説明

組織細胞を検出するための方法および機器

癌細胞等の組織細胞を同定するための機器および方法が提供されている。上記機器は、検出器を有する嚥下可能なカプセルを含めることができる。患者は、マーカー材料(放射性マーカーあるいは磁性マーカー材料等)を含みかつ特定細胞タイプに対して優先的に結合され、あるいは上記タイプに他の方法で対応付けられた物質の投与が可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
この特許出願は、2002年11月14日付で出願された米国仮出願60/426,211号の優先権を主張するものである。
【0002】
この特許出願は、この出願と同日に出願され、「異常組織細胞を検出するための方法および機器」という名称で整理番号END5005NPの特許出願を相互参照しかつ参照することによって組み込むものである。
【0003】
この発明は、概ね医療機器および方法に関するものであり、より詳細には、癌性組織細胞等の異常組織細胞を含む組織タイプを検出するための機器および方法に関するものである。
【発明の背景】
【0004】
結腸直腸癌は、米国における3番目に多い癌であり、癌による年間死亡率では2番目である。毎年、130,000名以上のアメリカ人がこの疾患であると診断されている。幸運にも、他の多く癌とは異なり、結腸直腸癌と診断された人の予後は、仮に上記癌が早期に発見される場合には、楽観的とすることができる。早期ステージで発見された場合には、5年生存率は90%以上とすることができる。従って、米国においては、50才以上の成人全員について、結腸直腸癌に関して概略的選別をすることが重要であると助言されている。
【0005】
現在の結腸直腸癌に関する選別様式としては、潜血便(潜血)、バリウム浣腸、S状結腸鏡検査法、結腸鏡検査法、およびコンピュータ断層撮影式仮想結腸写真および便・デオキシリボ核酸検査等の実験的手法を含むものである。これらの様式はいくつかの小さな早期癌を検出することができる。しかしながら、あらゆる診断様式と同様に、多量選別ツールとしての上記様式の採用は、低検査コスト、悪性度の検出感度の信頼性、および患者体内の悪性部位を示す良好な特異性等の恩恵を与える上記様式の性能に依存するものである。
【0006】
潜血便の選別は、管理し易く、相対的に低コストで行うことができるが、時として、癌に対する感度が低いこともある。さらに、患者は、不快で品位を落とす新鮮便からの検体の反復的な取り出しを求める可能性がある。
【0007】
S状結腸鏡検査法は、左側(下降部)の結腸における疾患に対して高い感度を与えることができる。S状結腸鏡検査法の精度は、医師の専門技術に影響されてもよい。さらに、患者は、全結腸洗浄養生法(「腸調製法」)および前処置の不快な食事規制を求める可能性がある。
【0008】
結腸鏡検査法は、相対的に高い感度および特異性を与えるものである。しかしながら、結腸鏡検査法は、コストを増加しかつ大規模設定での使用を制限する医師の先進専門技術を要求することができる。意識的な鎮静剤の投与に関連した追加コストも、選別手法としての上記処置の採用を制限する可能性がある。S状結腸鏡検査法と同様にして、患者は、全結腸洗浄養生法(「腸調製法」)および前処置の不快な食事規制を求める可能性がある。
【0009】
三次元コンピュータ断層撮影法あるいは磁気共鳴映像法の一式に基づいた仮想S状結腸鏡検査法は、現在開発中である。このアプローチの感度および特異性が未だ議論されているが、許容できる結果を達成するために、いずれかの画像様式が腸調製法および結腸ガス注入(S状結腸鏡検査法および結腸鏡検査法の処置の不快部位)を要求することになる。
【0010】
便・デオキシリボ核酸検査は、潜血便検査よりも高感度を与える可能性がある。しかしながら、検体採取機構は、潜血便と実質的に同一とすることができ、これにより患者が不快な新鮮便からの検体の取り出しを求める可能性がある。
【0011】
上記文献は、胃腸管に使用するカプセルを開示する。プラズニコフ(Pluzhnikov)ら(米国特許第3,690,309号)は、電力消費量を最小にするように設計された特定構造の回路で放射能検出用カプセルを開示する。生理医学生物学、1978年、第23巻、第2においてハッサン(Hassan)およびピアース(Pearce)は、特定の検出器を用いた放射能検出用カプセルおよび検出信号の連続アナログ伝送装置を開示する。医学および生物工学および演算処理、1991年3月においてランバート(Lambert)らは、機械的位置の追跡および材料採取機能を備えた可変性多機能カプセルを記述する。欧州特許出願EP1159917号(2001年)においてグルクノフスキー(Glukhovsky)は、組織の変動を識別するための複数の電気インピーダンスを測定する機能を備えたカプセルを記述する。キンチー(Kimchy)ら(米国特許出願第2002/0099310号)は、胃腸管に使用されるカプセル系アプローチを記述する。
【0012】
さらに、ゴールドバーグ(Goldberg)(米国特許第5,716,595号)およびレメルソン(Lemelson)(米国特許第5,993,378号)は、組織タイプに対して生物学的な親和性を有するモノクローナル抗体および抗体フラグメント等の物質の使用を記述する。
【0013】
依然として、科学者は、胃腸管内に存在する異常組織の検出に使用される改良方法を求め続けている。
【発明の概要】
【0014】
出願人は、胃腸管内の組織タイプを検出するのに使用される機器および方法と関係して、妥協できない多くの必要性を認識しており、その必要性としては、検出システムによって受信あるいは生成されたデータを管理し、有効な方法で多くの場合に適切な形態のデータを分析しかつ示す必要性;疑いのある標的組織に実際に結合された少量の標識物質と比較して、循環系すなわち非標的組織に通常残存することになる材料を区別しかつ標識化する多量の材料で処理する課題:上記出願前のカプセル内の電力消費量を有効に制御する必要性を含むものである。
【0015】
1つの実施の形態では、この発明は、検出器と、パルス成形機器と、少なくとも1つの単チャンネル分析器を含む嚥下可能なカプセルを提供する。他の実施の形態では、この発明は、患者内の標的細胞を検出するための方法であって、上記患者内の標的細胞を検出可能な物質で標識化するステップと、上記患者内に存在する固有の管腔を経由して検出器を誘導して上記物質からの信号を検出するステップと、上記検出された少なくともいくつかの信号を示すデータを数学的に変換するステップを含む方法を提供する。上記検出信号は、離散エネルギ範囲内で受信されたカウント数を示すヒストグラムあるいは他のグラフを与えるために、エネルギレベルによって分類可能である。上記検出信号は、特徴的な反応が受信されたときに腫瘍あるいは他の標的組織が検出される確率を確認するために、所定の標準型あるいは応答パターンと比較可能である。
【発明の詳細な記述】
【0016】
この発明の新規な特徴は、添付された請求項中における詳細な事項で明らかにされている。しかしながら、この発明自体は、その他の目的および効果と共に、構成および操作方法の双方に関して、添付図面と共に、次の記述を参照することによって最もよく理解される可能性がある。
【0017】
この発明は、癌性組織等の異常組織を検出するための機器および方法を提供する。この発明は、特に、結腸、直腸、胃、食道、小腸の癌等の胃腸管の癌およびリンパ腫並びに膵臓癌のような隣接器官の疾患を検出するのに適切に使用されるものである。この発明が癌に使用されると記述されているが、クローン(Chrohn)疾患等の良性疾患にも使用可能である。この発明がヒト患者に対する使用に関して記述されているが、この発明がヒト以外に対して適切に使用可能であると理解されるはずである。
【0018】
検出方法/放射線方法
1つの実施の形態では、この発明は、癌等の異常組織の位置を特定する方法を提供する。図1を参照すると、上記方法は、癌等の標的組織タイプに対する親和性および物質300(バイアル瓶中の注射液の形態で存在する)等の検出可能な信号を与える機能を有する物質を用意するステップと、上記物質300を患者に投与するステップと、上記物質によって放出される信号を受信する検出器を有する検出用カプセル100等の嚥下可能な錠剤またはカプセルを用意するステップと、上記患者の胃腸管(GIT)の少なくとも一部を経由して検出器を備えたカプセルを誘導するステップと、上記検出用カプセルとの連係するデータ通信リンクおよび上記データの格納手段を有する患者データ収集ユニット(PDCU)等のデータ収集機器に受信信号を伝達するステップと、上記複数のPDCUからのデータを収集しかつ上記データを読取可能な形態に構成する手段を有するデータ収集分析センタ(DCAC)500等で上記データを分析するステップと、この方法の管理および、当業者の観察者が癌性物質の存在および位置を確認できる医師の作業端末400等の読取可能なデータの表示を行うためのヒューマンインターフェースを用意するステップを含むものである。
【0019】
上記癌細胞に対して相対的に高い親和性を有しかつ特定の信号を放出する物質を患者に与えることによって、観察者は、信号がその物質由来であるか否かを確認することができる。選択された組織の相互作用に対する用語「識別」あるいは「識別要素」の使用、およびいくつかの検出可能な局面を提供するための「標識付け」あるいは「標識物質」の使用は有用であるが、「標識」あるいは「標識物質」という用語は、両方の機能を含めるためにしばしば使用される。
【0020】
適切な識別要素は、通常の「良性の傍観者的な」細胞を選別するものではないが、癌細胞等の特定の細胞タイプを識別するのに有用である。上記識別物質の例としては、「腫瘍対応抗原」がある。この名称は、上記抗原(蛋白質)が癌細胞のみ、あるいは少なくとも圧倒的に癌細胞と関連しているが、これに対して通常細胞を実質的に欠いているという点でなされている。
【0021】
γカメラあるいは単一光子放射形コンピュータ断層撮影画像形成装置等の放射性標識化放射線画像システムにおいて、コリメータは、画像化された対象の物理的制約領域(二次元「ピクセル」あるいは三次元「ボクセル」)から出される粒子が他の領域からの粒子と区別することができるように、指向性反応を与えるのに使用可能である。上記のような機器は、典型的には、何千もの粒子を遮断し、これらの粒子を関連したピクセル(γカメラ)あるいはボクセル(単一光子放射形コンピュータ断層撮影画像形成装置)に関係付ける。崩壊生成物を検討する際に、用語としての放射線および粒子がこの検討において区別なく使用されているが、粒子と「放射線」との間の識別が時として判明される可能性がある点を留意すべきである。
【0022】
上記検出器の感度および放射線源の分布を空間的に分解する能力は、上記検出器と放射線源との間の距離および介在物質によって抑制可能である。自由空間において、上記放射線源が放射性同位元素で構成されているので、検出器におけるフラックスは、上記放射線源への距離の2乗に反比例して変動する。体内においては、上記放射線は吸収されかつ散乱される。放射線が散乱するときに、その方向は変化し、そのエネルギは減少する。この結果、距離の短縮が2乗の逆数よりも大きい。外部の検出器は、高い減衰および指向性の喪失のために、患者内における放射能の分布の優れた「病像」を得ることを必然的に要求されている。外部の検出器で経験された他の問題は部分体積の効果であり、点源の放射能は、75%あるいは88%までの減衰について、複数(二次元では4つおよび三次元では8つ)のピクセルあるいはボクセルで観察されている。この発明において記述されているような内部の検出器は、検出に有利である。
【0023】
検出方法/磁気的方法
放射能検出に関する他の実施の形態では、設備および材料は、標識バイアル瓶内に収容された物質300が放射性(自己放射性)材料を組み込まない以外は、記述された内容と同様である。これに代えて、物質300は、カプセル100によって検出された反応を、作動あるいはプローブ信号に対応して、引き起こす材料を組み込む。この反応は、データ収集機器200に送られ、上述したように処理される。上記のような物質の例は、帯磁可能な粒子の形態のような磁性材料を含む。この磁性材料は、磁場に晒されているときに、上記磁場の検出可能な歪み、あるいは検出可能な帯磁または消磁の時間的なサインを招くことになる。このような実施の形態は、放射性物質の使用を回避する。この実施の形態は、磁場、詳細には双極子およびそれ以上のモーメントの磁場が単一の放射能モデルよりも速い距離の短縮を示すことができるという他の利点を有している。この実施の形態は、標的組織からの信号と、さらに遠くであるが体内の他の場所での同時に発生する分布からの信号との識別に役立つ。
【0024】
機器
結合材料および標識物質
この発明に有用な物質300は、通常の組織が実質的に結合しない(「識別要素」である)のに対して、癌細胞に好適に結合する1つまたはそれ以上の材料と組み合わせる放射性材料、磁性材料、蛍光性材料、あるいは超音波対比剤等の単一放出材料を含む。1つの実施の形態では、適切な物質は、特定の標的細胞タイプに対して親和性を有する蛋白質あるいは蛋白質複合識別要素と組み合わせる1つまたはそれ以上の放射性標識を含むことができる。
【0025】
適切な標識は、1つまたはそれ以上の放射性核種を含むことができる。この発明に有用な放射性核種は、γ線を放出しかつその安定な同位元素が生物学的に許容されるものを含む。いくつかの用途では、望ましくは、被験者の胃腸管を介して摂取された材料の通常の通過時間あるいはそれ以上に長い半減期を有する放射性標識とすることができる。望ましくは、大気のバックグラウンド(約100keV)より高く、検出機器内に有効に収集されるのに十分に低いγ線を放出する要素を使用することができる。適切な放射性同位元素としては、48Cr、99mTc、64Cu、153Dy、155Dy、157Dy、188Ir、52Fe、38K、83Sr、122Xe、125Xe、87Y、66Ga、201Tl、111Inおよび109Inを含むが、これらに限定されるものではない。1つの実施の形態では、標識は、単一のγ粒子を放出することによって143keVで崩壊し、6.01時間の半減期を有するテクネチウム元素の準安定同位元素99mTcである。
【0026】
適切な識別要素は、1つまたはそれ以上のモノクローナル抗体(MAb)とすることができる。この発明に有用なモノクローナル抗体としては、市販品Oncoscint(登録商標。サイトゲン(Cytogen)社)等のTAG−72蛋白質、市販品CEA−scan(登録商標:イムノメディックス(Immunomedics:登録商標)社)等の癌胎児性抗原(CEA)、あるいは17−1A等の結腸直腸癌関連の他の蛋白質に対して親和性を有するものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
次の文献は参照することによってこの明細書にそっくりそのまま組み込まれる:核医療技術誌、2000年3月1日、第28巻に記載された米国ニューヨーク州バファローにあるSUNY核医学部のデボラ エイ.エルブ(Deborah A.Erb)およびハニ エイ.ナビ(Hani A.Nabi)による「99mTc標識抗CEAのFabフラグメントで結腸直腸癌の画像化に関する臨床的および技術的考察」;核医療技術誌、1998年9月3日、第28巻に記載された米国ミシガン州ロイヤルオークにあるウイリアムビューモント病院核医学部のポール ジェイ.ボードウィツ(Paul J.Bohdiewicz)による「サチュモマブ・ペンデチド(Satumomab Pendetide)のインジウム111:最初に食品医薬品局に許可された腫瘍に対するモノクローナル抗体の画像」。
【0028】
他の実施の形態では、識別要素は、ペプチド類およびヌクレオチド類を含む群より選択可能である。
【0029】
磁気検出器を組み込む検出用カプセルが使用される場合には、標識は、磁気すなわち帯磁ナノ粒子で構成可能である。このような粒子は、上述した放射性標識に対する方法と同様の方法で、モノクローナル抗体(MAb)、ペプチド類あるいはヌクレオチド類に結合されているFe34、γ−Fe23、コバルトおよび他の材料で形成されてもよい。
【0030】
他の実施の形態では、他の材料は、物質を標的細胞あるいは器官に運ぶか、あるいは他の方法で誘導するためのモノクローナル抗体に加えて、あるいはこれに代えて使用可能である。例えば、水性コアと、1つまたはそれ以上の外層(リン脂質層等の脂質含有層を含む)で構成する材料は、標識物質を標的細胞あるいは器官に運ぶのに使用可能である。適切な物質は、1つまたはそれ以上のリポソームを含む。この明細書に使用される用語「リポソーム」は、1つまたはそれ以上のリン脂質層内に包含された水性コアを有し、ワクチン類、薬剤、放射性材料、酵素類あるいは他の物質等の物質を標的細胞あるいは器官に運ぶのに使用される人工顕微鏡的なベシクルを意味する。適切な市販のリポソームとしては、米国ニュージャージー州プリンストンのワンリサーチウエイ08540−6619にあるリポソーム社によって製造されたアンホテリシンBであるアベルセ(Abelcet:登録商標)と、米国カリフォルニア州マウンテンビューのチャールストン通り94039−7210にあるアルザ(ALZA)社によって製造されたドキソルビシンであるドキシル(Doxil:登録商標)を含む。臨床癌研究、2001年2月7日に記載されたハリントン(Harrington)、モハマタイ(Mohammadtaghi)らによる「放射性標識化して固定されたリポソームによって局所的に進行した癌を患う患者の固形腫瘍に対する有効な標的」も参照されたい。なお、この文献は参照することによってこの明細書に組み込まれる。
【0031】
放射能検出器を用いるこの発明の1つの実施の形態によれば、物質300は、モノクローナル抗体(MAb)等の識別要素および99mTc等の標識の組み合わせで構成する材料を含めることができる。
【0032】
カプセル
図2および図3を参照すると、患者によって嚥下するのに適したカプセル100は、このカプセル100内に支持された検出モジュール130の一部上に配されるか、あるいは他の方法で配されることが可能な検出器132を備えることができる。検出器132は、標識物質によって放出される信号を検出することが可能である。上記標識が識別物質を介して癌細胞(あるいは他の標的組織細胞)と選択的に関連しているので、癌組織細胞中の識別要素の局所的に濃くなっている濃度は、カプセルが上記癌細胞の近傍に接近した状態で通過するときに、上記カプセルに組み込まれた検出器によって検出されることになる。
【0033】
摂取時には、カプセルは、通常の蠕動運動によるなどして胃腸管を経由して移動する。信号は、カプセルによって受信器すなわち、体外あるいは体内に配置可能な患者データ収集ユニット(PDCU)200に送信可能であるか、あるいは後に解読されるために上記カプセル内に記録可能である。例えば、上記患者データ収集ユニット200は、カプセル100が胃腸管を通過している時間中に、患者の手首上に支持され、患者の手首に固定され、あるいは患者の体または衣服に関連した他の方法で対応させることができる機器で構成することができる。カプセル100は、後に、通常の方法では便中に排出され、必要に応じて回収可能である。
【0034】
上記カプセル100は、患者に投与された標識物質の存在を検出するのに適したあらゆる検出器132を含めることができる。適切な検出器としては、イオン化放射能検出器あるいは磁性粒子検出器を含むが、これらに限定されるものではない。イオン化放射能検出器は、半導体誘導放射能検出器あるいは固定されたシンチレーション結晶を備えた光検出器に基づいたものとすることができる。磁性粒子検出器は、高感度の磁力計、磁気抵抗計、あるいは印加された磁場に対する時間的な反応に基づいたものとすることができる。これに代えて、検出モジュールは、結腸鏡検査法あるいはS状結腸鏡検査法等の可撓性の内視鏡上に配置可能である。
【0035】
カプセル100は、1つまたはそれ以上のバッテリモジュール110等の1つまたはそれ以上の電源を含めることもできる。これに代えて、カプセル100は、高周波数(RF)発生源を介して電力を受けることができる。カプセル100は、検出器によって受信された未処理または処理信号データを、患者の体外から離れて配置された受信器201あるいは他の機器に送信するための送信モジュール120、および/または検出器によって受信された信号を記録するための記録装置に関連したトランスミッタ122を含めることもできる。患者の体外に配置される受信器201は、上記カプセルから送られた信号を受信および/または記録するのに適したものとすることができる。カプセル100は、このカプセルを摂取するのに役立つように構成された外表面101を有することができ、1つまたはそれ以上の被膜103を含めることができ、その被膜のうち1つは酸耐性の保護被膜とすることができる。他の有機および無機の被膜は塗布可能である。例えば、二酸化マンガン(MnO2)による表面被膜は、胃腸管を経由するカプセルの移動がより速くなる緩下効果を創出可能である。ループ利尿剤(例えば、ブメタニド、フロセミド)等の利尿剤、チアジド系利尿剤(例えば、チアジド塩酸塩、塩化ジドおよびクロラリドン)およびカリウム保持性利尿剤(例えば、アミロリドトラムテレン)等の利尿剤による表面被膜は、腎臓および尿道中の無関係な標識の排出を促進させるのに役立つ可能性がある。これに代えて、上述した所望の生物学的効果は、カプセル100上を被覆するよりもむしろ、通常の方法(すなわち経口法による)で達成可能である。
【0036】
上記カプセル100は、他の滑らかなテーパ形状を採用することができるが、概ね半球状に形成された端部キャップ102を有することができる。図2には、概ね半球状に形成されたキャップのみが示されているが、その端部キャップ102がカプセル100の一端あるいは両端上に配置可能であることは理解されるはずである。
【0037】
上記カプセル100は、内蔵された電力あるいはエネルギを与える1つまたはそれ以上のバッテリモジュール110を含めることができる。カプセルは、内蔵バッテリにより電力が供給される、高周波アンテナ124および高周波送信回路122、支援回路、制御回路および論理回路を含む送信モジュール120を含めることもできる。1つの実施の形態では、送信モジュール構成要素122および124は、通信機能が内蔵電源からの放出エネルギを供給することによって実現されることを意味する能動的な高周波トランスミッタで構成する。他の実施の形態では、送信モジュール構成要素122および124は、通信機能がリモート型高周波送信電源によって示される明白な高周波負荷を変えることによって実現されることを意味する受動的、すなわち「電力ゼロ」の高周波トランスミッタで構成する。この実施の形態では、リモート型高周波電源は、バッテリモジュール110によって供給される必要な電力の低減あるいは削減を要求する内蔵電源の一部あるいは全てを備えることもできる。1つの適切なバッテリ化学は、デュラセルD357のコイン電池によって代表されるような酸化銀である。
【0038】
送信モジュール120は、効率的な免許不要の近距離操作で選択される。例えば、単一目的高周波集積回路に、すなわち特定用途向け集積回路(ASIC)の一部として組込み可能であるアジレントテクノロジーズE8874AワイヤレスLAN設計ライブラリーに備えられたブルートゥース(登録商標)あるいはIEEE802.11b標準品に組み込まれた小電力作動型のトランスミッタ122は適切である。所望なら、低データ通信速度および省エネルギに適した特注のプロトコルは使用可能である。
【0039】
ここで図3を参照すると、プログラマブルコントロールプロセッサ141は、インテル8051の8ビットプロセッサ命令セットアーキテクチュアをベースとしたもの等の一般的な市販のマイクロコントローラコアをベースとしたものとすることができる。上記カプセルの操作を制御する命令は、上記マイクロコントローラモジュール内に組み込まれた読出し専用記憶素子に格納可能である。上記マイクロコントローラコアは、上記ASICの全ての部分と取付け部品との間でデータの管理、制御および送信を担うこともできる。
【0040】
クロック発信・タイミングモジュール142は、全ての内部クロック・タイミング信号の生成に使用可能である。追記型構成メモリ143は、上記カプセルの個別化情報を保存するのに配設可能である。製造時において、固有の連続番号および種々のハードウエア/ソフトウエア構成パラメータは読込み可能である。これらのパラメータは、カプセルの適切な操作に必要な程度に何度も、プログラマブルコントロールプロセッサ141によって読出し可能である。上記固有の連続番号は、患者に対する検査結果の対応関係に役立つ関連データ受信器に上記カプセルを関連付けるのに使用可能である。これに代えて、固有の連続番号あるいは他の識別子は、磁性あるいは光学タグあるいは表示等の他の方法によってカプセルに関連付け、特定の患者に対するカプセルと検査結果とを対応させることができる。
【0041】
電力制御モジュール145は、カプセルの数箇所あるいは全ての箇所に対する電力を管理するのに使用される。電力制御モジュール145は、カプセル内の種々の電気モジュールを作動および停止することを含み、これらに限定されない種々の負荷管理方法を介してバッテリ電力を保全するのに使用可能である。通信接続モジュール146は、プログラマブルコントロールプロセッサからのデジタルデータワードを受け入れ、かつ上記トランスミッタ122を経由する正確な送信で上記デジタルデータワードを初期化する。
【0042】
再度、図2を参照すると、カプセル100は電力接続手段150を含めることができる。1つの実施の形態では、電力接続手段は、バッテリ110およびカプセル電子モジュールの残余部分を直接状態にする磁気リードスイッチである。これに代えて、ホール効果センサ上に搭載されたもの等の能動スイッチは適用可能である。スイッチ手段は、通電容量および寿命期間の条件に基づいて選択される。操作中において、電力接続手段150は、適切に極性化された磁場がスイッチ近傍に配置されたときには、「開」すなわち非接続状態とすることができる。上記磁場がスイッチ近傍から移動するか、あるいは反対の磁場が上記第1の磁場を解消するために与えられたときに、電力接続手段150は、上記カプセルが稼働中になるように、「閉」すなわち接続状態とすることができる。
【0043】
ここで図6を参照すると、カプセルは保護パッケージ160内に封入可能である。保護パッケージ160は、実際の誤用および種々の環境の汚染物質(例えば、塵埃、湿気および細菌)からの保護を与える。1つの実施の形態によれば、磁石は、保護パッケージ160内に含めることができ、ここで上記磁石は、上記カプセルが保護パッケージ160内に含まれている場合の「開」状態で電力接続手段150を維持するために、適切に極性化されかつ位置決めされている。上記患者が摂取前に保護パッケージ160からカプセルを取り出す際に、電力接続手段150は「閉」状態から解除され、カプセルの電子機器回路は作動される。図に示されているように、磁気構造161は、パッケージ部160A/160Bが分離されて上記パッケージを開封しかつカプセルを取り出すときに、電力接続手段150が閉状態となるように2つのパッケージ部160A/160Bの1つに対応可能である。これに代えて、機械的起動(パッケージが開いたときに動かされ、取り出され、あるいは接続される機械的スイッチあるいは材料等による)、光すなわち光学的起動、真空すなわち空圧的起動およびこれらと同様のものを含むが、これらに限定されない、カプセルに電力を通電する他の方法は使用可能である。
【0044】
放射能検出用カプセル
図2および図3は、放射能検出を利用する検出用カプセルの1つの実施の形態を示すものである。このカプセルは、放射性標識化した識別要素と共に使用可能である。上記カプセルが胃腸管に沿って移動するときに、上記検出器は、食道、胃、小腸、結腸および直腸の組織に接近する。この接近は、γカメラあるいは単一光子放射形コンピュータ断層撮影画像形成装置等の伝統的な外部γ放射線検出画像手段に比較して改善された感度および特異性を与えることができると共に、他の方法で検出を逃れる可能性のある小さな前癌および癌の病変を検出することが可能にする。検出器は、癌組織に未結合で循環する標識物質に加えて、膵臓、腎臓、脾臓、胆管、胆嚢、肝臓および泌尿生殖器系を含む解剖学的構造に由来する信号をも検知することになる。同位元素、検出されたエネルギ範囲を選択し、上記信号の抑制を支援し、あるいは上記信号を抑制するか、あるいは追及する他の方法を使用することは望ましい。
【0045】
上記カプセルとしては、適切な検出器132と、前置増幅器131と、パルス整形増幅器133で構成する検出モジュール130を含めることができる。検出器は、好ましくは、半導体放射能検出器である。検出モジュール130は、適切な動的応答を有して、高低のカウント率の崩壊状況を明瞭に収集することができるように備えられている。高カウント率の崩壊状況は、患者の血液プール内で循環しかつその結果として種々の非癌組織内に一時的に存在する未結合の標識から生じる。低カウント率の崩壊状況は、複数の癌組織源から生じる。高カウント状態と低カウント状態との1000:1を上回るカウント率の差は生じる可能性がある。
【0046】
半導体放射能検出器および手法は、この発明の1つの実施の形態において好適である。これに代えて、検出器132は、シンチレーション結晶に結合して崩壊粒子を多くの光子に変換する半導体光検出器(ディテクションテクノロジーPDBまたはPDCシリーズ等)で構成された半導体シンチレーション検出器とすることができる。低カウント閾値は、1〜50ナノキュリーの源を示すことができ、検出モジュール130はこの活性レベルに対応するのに適したものとすることができる。
【0047】
前置増幅器131は、半導体検出器内で生成された電荷あるいはシンチレーション検出器の光ダイオード内で発生した電流を出力電圧に変換するのに使用可能である。出力電圧の大きさは、上記検出器132上に入射する粒子エネルギに比例している。出力のパルス波形は、種々の回路素子によって確認可能である。
【0048】
パルス整形増幅器133は、電荷出力を出力パルス電圧に変換する前置増幅器131の電荷出力を受け入れる。出力パルスの大きさは、入力信号の大きさに対して直線的な関係を有することができる。パルス波形は、上記検出器に衝突する粒子の入射エネルギに依存し、所定および一定の幅「w」と変動可能な高さ「h」を有する実質的にガウス曲線とすることができる。
【0049】
上記カプセルは、検出器電子機器回路モジュール140を含めることができる。検出器電子機器回路モジュール140は、検出器支援電子機器回路およびコントロールプロセッサを含めることができる。1つの実施の形態では、プログラマブルコントロールプロセッサ141と、クロック発信・タイミングモジュール142と、追記型構成メモリ143と、複数の単チャンネル分析器(SCA)モジュール144と、電力制御モジュール145と、通信接続モジュール146を含む特定用途向け集積回路(ASIC)は利用可能である。
【0050】
少なくとも1つの単チャンネル分析器(SCA)モジュール144は配設可能であり、1つの実施の形態では、複数の単チャンネル分析器(SCA)モジュール144は、パルス整形増幅器133の出力を解釈するのに設けられている。単チャンネル分析器は、パルスの振幅に従う入力に与えられたパルスを制限し、入力パルスの振幅が特定範囲内に入るときだけ、一定(標準化された)幅および振幅のパルスを与えるのに使用可能である。連続した振幅範囲を示す単チャンネル分析器(SCA)モジュールの特性は、マルチチャンネル分析器(MCA)としばしば呼ばれている。上記分析器は、上記検出器と相互作用する粒子のエネルギ分布のヒストグラムを提供する。このような分析器は、核計測分野において周知である多くの方法で構成可能である。複数の単チャンネル分析器(SCA)モジュールは、上記複数の単チャンネル分析器(SCA)モジュールが典型的に検討されたマルチチャンネル分析器(MCA)ではない場合において、任意の非連続的で、非重複あるいは重複範囲をも示すことができる。このような単チャンネル分析器(SCA)モジュールの配列は、利用された1つまたは複数の放射性同位元素からの入射粒子の予定エネルギに関連した選択エネルギ範囲を登録するのに利用可能である。
【0051】
この用途に適した検出器は、直接検出器(DD)およびシンチレーション検出器(SD)を含むものである。直接検出器(DD)は、入射粒子に「直接」対応する:すなわち、上記粒子は、検出器材料と相互作用して、電荷キャリアを生成する。半導体検出器においては、上記キャリアはホールおよび電子である。上記システムでは、電流または電圧の測定を通して上記電荷キャリアを検知する。シンチレーション検出器は、異なる変換機構を有している。典型的には、入射粒子は、シンチレーション媒体と相互作用し、光のバーストを引き起こす。この光は、シンチレーション媒体から光検出器に移動する。光検出器では、上記光は材料と相互作用し、電流または電圧の測定を通して上記システムによって検知される電荷キャリアを生成する。適切なシンチレーション検出器(SD)は、高効率の光ダイオード(例えば、ディテクションテクノロジーPDBシリーズ)に堅く結合されるCsI:TIシンチレーション結晶の組み合わせとすることができる。
【0052】
指向性
検出器は、指向性度:すなわち入射粒子の出現方向に対する感度への依存性の変動を示すことができる。この指向性度は、有利でもあり、不利でもある。遮蔽は、検出応答曲線に対する他の指向性度を与えるのに使用可能である。γ放射線に関しては、遮蔽は、鉛あるいはタングステン等の高Z(原子質量)材料から構成可能である。遮蔽は、典型的には、大きな空間領域からの放射能を阻止する。上記遮蔽は、その角度範囲あるいは寸法範囲によって通常、特徴付けられる。コリメータは、検出応答曲線に対する他の指向性度を与えるのに使用可能である。γ放射線に関しては、コリメータは、鉛あるいはタングステン等の高Z(原子質量)材料から構成可能である。コリメータは、少なくとも1つの平面内における大きなl/w(長さ/幅(または直径))比によって特徴付けられる。簡単な計算では、コリメータの効果は、コリメータの許容角度より大きな角度で上記検出器に衝突しようとする全ての放射能を排除することにある。他の見方では、上記効果は上記許容角度内の放射能のみを受け入れることにある。
【0053】
位相配列
1つ以上の検出器からの複数の信号は、個別の検出器の指向性と著しく異なる指向性を与えるように組み合わせることができる。アンテナ配列が組み立てられかつその出力が組み合わせられたときに、その配列は典型的には位相配列を意味する。このアプローチは、核検出器において共通するものではないが、上記用語がこの明細書においてアナログ的に使用されるのと十分な類似点がある。
【0054】
この用途に適切なエネルギのγ粒子に関しては、理論によって限定されることなく、直接検出器は、適度な指向性、およびシンチレーション検出(SD)のほぼ全指向性を示すことができる。図10には、シンチレーション結晶が立方体である例が示されている。
【0055】
放射能検出器の使用は、全ての供給源(腫瘍、標識物質を含む循環血液、血液で満たされ、あるいは他の方法で標識物質を含む器官を含む)からの放射性成分が検出されることに帰することができる。理論によって限定されることなく、小さな腫瘍で濃縮された標識の量が近傍の器官に存在する量よりも少ない水準であると信じられている。より低濃度にのみ対応するか、あるいは他の方法で腫瘍と他の放射線源とを区別することができる検出アプローチは有利になる。
【0056】
コリメータは腫瘍の特定に役立つように使用される可能性があるのに対し、コリメータは、カプセル上の空間を占有しかつ他の欠点を有する可能性がある。この発明の1つの実施の形態によれば、カプセル100は、少なくとも2つの検出器で構成する検出器アレイを使用することができる。このような実施の形態では、第1および第2の検出器は、カプセル100の両側に配置可能である。各検出器は、コリメータ機器に対応付けてもよく、あるいは対応付けなくてもよい。上記コリメータは、上記検出器が入射しているγ粒子を検知することができる立体角を制限するのに使用可能である。図9は、1つの検出器を有するカプセルの模擬応答(曲線2201)と、双検出器システムが模擬の胃腸管を移動するときの2つの検出器間空間(1cm、曲線2202および2cm、曲線2203)を示す。この例では、双検出器カプセルに応答するシステムは、各サンプリング期間から2つの検出器の応答時間の差を抽出することによって導き出される。2つの応答の特定の組み合わせは、広範な背景雑音源に対して非常に感度が悪い指向性応答を与えることができると信じられている。複数の検出応答(例えば、加算、乗算、積分、微分)の他の組み合わせも可能である。
【0057】
磁気検出用カプセル
図4は、磁性標識化した識別要素と共に使用可能である磁気検出を利用する検出用カプセルの構成要素を示す。先に記述された放射性アプローチのように、胃腸管を移動する際に、上記カプセルは前癌病変および癌病変に接近することになる。磁気検出器は、上記病変に未結合であり、循環(例えば、血流または器官中)する標識物質に起因する可能性がある増加する信号の減衰を与える場合に、静磁場(2乗の逆数)よりも迅速に距離を縮める双極子およびそれ以上のモーメントの磁場に対応するために配設可能である。
【0058】
カプセルは、コイル130と、送信/受信スイッチ131と、検出用増幅器チェーン132と、刺激増幅器133と、信号調節・コントロールブロック134と、放射能検出アプローチに関して先に記述されたものと同様の処理・通信ブロックを含めることができ、上記アプローチは連続番号/構成ROM(リードオンリメモリ)143と、プログラマブルコントロールプロセッサ141と、電力制御部145と、クロック発信器142と、メッセージフォーマッタ146と、トランスミッタ122と、アンテナ124を含むものである。
【0059】
1つの磁気検出アプローチでは、磁場は、信号調節・コントロールブロック134を利用して、刺激増幅器133によって増幅されかつ送信/受信スイッチ131によって上記コイル130に送信される信号を構成することで、簡単に形成される。これは、磁性ナノ粒子の磁区の近傍における磁性ナノ粒子の物理的回転あるいは磁区の回転のいずれかが局所場とのアライメント度を変動させるという結果になる。
【0060】
次に、信号調節・コントロールブロック134は、磁化信号を終了させ、上記コイル130を検出用増幅器チェーン132に接続するように切り換える。ここで、場の位置決めはなく、粒子または磁区の配向がランダム状態に戻ることになる。この変化は、多くのファクタ、特に粒子の温度、サイズおよび磁性材料自体の種々のパラメータに依存するものである。しかしながら、所定の状態では、典型的には、上記処理に関連した特徴的な「緩和時間」が存在する。
【0061】
上記粒子または磁区がランダム配向性に戻っているが、これらの動きは検出可能な信号という結果になり、その帯域幅は上記緩和時間の略逆数とすることが可能である。検出用増幅器チェーン132は、低ノイズ増幅器と、帯域幅を適切な価に設定して、合成および天然の電磁干渉を実質的に拒絶しながら上記信号を通過させるフィルタとを内蔵することができる。時間的修飾またはパターン照合の形態での他の処理は、感度あるいは干渉拒絶を向上させるのに適用可能である。受信信号すなわち代表的なパラメータの一時的な格納に適したデジタル形態への変換、および処理および通信によって送信されるべきメッセージへの組立品も内蔵可能である。上述された方法ではカプセル内に配置されるべき刺激および応答器具の双方を検討しているが、電力あるいは他の制約条件が患者の体外に配置される一方または他方を必要とする可能性があることは明らかなはずである。
【0062】
位置の追跡
胃腸管を経由する移動路中において、カプセルは前進移動、逆行移動および宙返り移動を経験する可能性がある。したがって、胃腸管内のカプセルの位置を確認および/または追跡する機器を設けることが望ましい可能性がある。例えば、慣性、電気的、電磁気的、磁気的、超音波的および物理的な測定値は、自由な、あるいは抑制された物体運動を追跡するのに利用可能である。例えば、1つあるいは複数の軸の加速度計は、カプセル100の位置を確認するのに利用可能である。結腸癌の選別の用途では、癌組織の確率が高い徴候の次に採られるべき通常の処置は、結腸鏡を介して管腔全体に対する徹底的な視覚的検査である。管体に沿うカプセルの位置の精確な測定が必須ではないが、概略の位置確認は診断ばかりでなく、検出の完全性を潜在的に向上させるという点で有用である。
【0063】
この発明の1つの側面は、位置追跡方法である。放射線系の用途では、少量の放射性同位元素は自動的に有効な位置に配されることになる。これらの放射性同位元素は、供給源を確認するのに通常使用されるコバルト57等、半減期が長く入手可能なものが好適に選択される。適切な外部の位置は、外側の解剖学的構造、触診あるいは他の手段によって確立されることになる。例としては、小腸の始点を凡そ標識化する胸骨の基部と、上記器官の終点を凡そ標識化する右腸骨のクレストが挙げられる。同位元素は耐久性の密閉体に内包され、典型的な検査の継続期間に患者の皮膚上に残るように設計された使い捨て粘着性貼付剤を使用することによって外側に付与されることになる。上記患者データ収集ユニット(PDCU)が処方する医師に戻されるときに、放射性同位元素パケットは返却されかつ再使用のために洗浄されることになる。同様の概念は、磁気検出システムに適用可能であり、ここで、応答材料の特定の空間パターンあるいは局所場または応答属性の時間モジュールはカプセルによって検出可能であり、かつカプセルによる応答データから伝えられるか、ろ過されるかのいずれかが可能である。
【0064】
カプセルの胃腸管内での移動中に、検出器および関連した回路は、外部供給源を、その特徴的で、標識に使用される同位元素のスペクトルと異なるエネルギスペクトルによって識別することが可能である。後者の同位元素は短い半減期、および穏やかな透過に適したエネルギを有することができるのに対し、前者の外部供給源は、経済的で、利便性の範囲が広い長い半減期を有することができる。時間の関数としてエネルギスペクトルを観察すると、カプセルあるいはデータを検査するユーザーがいつでもカプセルの位置をより詳細に推定することを可能にさせる。外部供給源の数は、局在化の要求精度に依存して選択されることになる。
【0065】
追跡方向
上述された追跡位置は、カプセルの位置に関する情報を与えるものである。この追跡位置は、ある座標系の原点を基準にした変換によって規定され、その測定値の単位は長さである。空間中のカプセルの全ての内容は、その方向も含むものである。このような方向は、ある座標系の複数軸を基準にした回転によって規定され、その測定値の単位は角度である。この明細書に記述されているような指向性検出器は、放射性標識の大きな均一分布に基づいて信号の寄与を設定するのに有用である。一方、仮にカプセルが宙返り移動(1つまたはそれ以上の軸回りに回転)する場合には、指向性検出器は上記分布からの寄与を向上させることができる。したがって、この発明の1つの実施の形態では、上記カプセルは指向性センサを含む。このセンサは、1つまたはそれ以上の小型電気・機械式系(MEMS)の角速度センサ(例えば、カプセル100の角速度の測定)によって実装されてもよい。上記センサからの出力は、放射能センサからのデータと共に患者データ収集ユニット(PDCU)に伝えられてもよく、あるいは放射能センサのデータを制限あるいは修正するために上記カプセル内で利用されてもよい。例えば、仮に上記速度センサからの出力が、検出器が肝臓を過ぎて「掃引する」ようにカプセルが回転することを示す場合には、この情報は検出器からのデータを解釈する際に考慮されることができる。
【0066】
カプセルの構造には、実装密度の高い部品を含めることができる。特定用途向け集積回路(ASIC)、ハイブリッドで可撓性三次元回路は利用可能である。1つの実施の形態では、カプセル100は、約1.5インチ(1インチ=2.54cm)以下、より好ましくは約1.0インチ以下の長さと、0.75インチ以下、より好ましくは約0.5インチ以下の直径あるいは最大幅を有することができる。
【0067】
生物的に利用可能な化合物は、生体吸収性被膜等のカプセルの要素として含めることができる。上記用途によって、遅効性あるいは速効性の被膜はカプセルの外表面上の被膜上に塗布されて上記化合物の所望の放出速度を与える。
【0068】
内視鏡用途
他の実施の形態では、検出器は内視鏡と共に利用可能である。検出器の位置は、内視鏡の軸上の目盛りから直接確認可能である。さらに、検出器は、回転的な制約を与える現在の内視鏡と共に利用可能であり、指向性を検知しない内視鏡の先端部の方向に関する十分な情報を得る角度制御は検出機構で要求される見通しである。内視鏡系機器の1つの実施の形態は、現在の結腸鏡、胃鏡あるいは他の可撓性内視鏡の先端部に取付け可能である検出モジュールの形態を採ることができる。接続配線は、内視鏡の外側に固定されるか、あるいは可撓性内視鏡内に通常設けられた作業または機器用チャンネルを通過させることができる。他の実施の形態では、放射能あるいは磁気検出器を含む検出モジュールは、現在の可撓性内視鏡の上記作業または機器用チャンネルを経由して導かれる。上記検出モジュールは、上記作業チャンネルを越えて可視領域内に前進可能である。現在の可視的態様および可撓性内視鏡の性能を用いて、潜在的な癌性であるとして示された領域を迅速に検査することができる。このような同時検出および検査は、カプセル系検出器によって与えられた結果に続くものとして使用可能である。
【0069】
データ収集および通信
ここで図5を参照すると、通信モジュール120から送信されたデータを受信するための患者データ収集ユニット(PDCU)200は、データを格納するために利用可能である。患者データ収集ユニット(PDCU)は、患者(衣服に留めることによるなどして)に取り付けられるか、あるいは患者内のカプセル100の受信距離以内の室内で位置決めされることが可能である。患者データ収集ユニット(PDCU)は、受信器201と、コントロールプロセッサ202と、構成情報および固有の連続番号を格納する追記型構成メモリ203と、受信データを格納する小電力メモリ204と、連続データ通信モジュール205と、ユーザーインターフェースモジュール206と、ユーザーインターフェース表示装置207と、複数のコントロールボタン208と、バッテリ209を含めることができる。1つの実施の形態では、受信器201、コントロールプロセッサ202、メモリ203および204、通信モジュール205およびユーザーインターフェースモジュール206は、1つの特定用途向け集積回路(ASIC)内で組み合わせ可能である。
【0070】
受信器201は、トランスミッタ120と互換性があるように選択可能であり、コントロールプロセッサ202に適用されるデジタルデータストリームに高周波信号を変換することができる。コントロールプロセッサ202は、インテル8051の8ビットプロセッサ命令セットアーキテクチュアをベースとしたもの等の一般的な市販のマイクロコントローラコアをベースとしたものとすることができる。上記データ収集ユニットの操作を制御する命令は、上記コントロールプロセッサコアモジュール内に組み込まれた読出し専用記憶素子に格納可能である。上記マイクロコントローラコアは、上記ASICの全ての部分と取付け部品との間でデータの管理、制御および送信を担うこともできる。追記型構成メモリ203は、構成情報を格納するのに使用可能である。構成情報は、製造時、あるいは
図1および図6に示された医師の作業端末400への接続によって入力可能である。製造時には、種々のパラメータおよび固有の受信ユニット連続番号は格納可能である。受信ユニットが医師の作業端末で作動したときに、医師固有の識別コード、カプセル連続番号、作動のデータおよび時間、患者の番号および名前、および検査タイプは、データ収集ユニットに送信されかつ読出し専用記憶素子に格納可能である。
【0071】
小電力メモリ204は、カプセルによって送出されたデータを格納するのに使用可能である。このメモリは、コントロールプロセッサによって支持されたあらゆる小電力操作モード中およびバッテリ209が取替え用に取り除かれたときに例えば2時間までの間のデータを保存することができる。カプセルトランスミッタ120から受信したメッセージごとに小電力メモリ204内に格納可能な情報は、到達したメッセージ時間、受信メッセージの完全な内容およびデータの完全性を保証する一連のデータ事項を含めることができる。このようなデータの完全性情報は、周期冗長検査(CRC)言語および/または複数ビットエラー検査訂正コード(ECC)等のデータを含めることができる。
【0072】
上記連続データ通信モジュール205は、上記データ収集ユニットを外部の演算処理および通信資源に接続するのに利用可能である。1つの実施の形態では、モジュールは電話加入者ネットワークあるいは医師の作業端末に接続する一連のモデムを含めることができる。これに代えて、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続、赤外線通信あるいは他の標準的なコンピュータインターフェースは供給可能である。電話加入者ネットワークの最も広い多様性との互換性を保証するために、データ通信速度は、十分であると考えられた実現可能な9600ボー程度に低くなるように選択可能である。しかしながら、より高い、あるいは低いデータ通信速度も使用可能である。ユーザーインターフェースモジュール206はユーザーインターフェース表示装置207に接続し、ユーザーコントロールボタン208をコントロールプロセッサ202に接続する。このモジュールは、ユーザーインターフェース表示装置207上に文字および限定された図形情報を効率的に表示するのに必要なあらゆるデータの初期化および機器コントロール操作を実行することができる。このモジュールは、適当なレベルの変換、およびユーザーコントロールボタン208とコントロールプロセッサ202との間の「ディバウンシング」を与えることもできる。
【0073】
ユーザーインターフェース表示装置207は、テキスト情報および図形をユーザーに示すのに使用可能である。この表示装置は、バックライトを有するかあるいは有しない液晶ディスプレイ(LCD)タイプとすることができる。種々のモデルのデータ収集ユニットは、図形および情報表示の高度化について種々のレベルで提供可能である。ユーザーコントロールボタン208は、複数の「押しボタン」スイッチで構成可能である。好適な実施の形態では、上記スイッチは、圧力感知式の膜スイッチ技術に基づく全ての瞬時単極単投(SPST)型である。少なくとも1つのボタンは、データ収集ユニットの電力状態を制御するのに使用可能である。データ収集ユニット200に電力を供給するバッテリ209は、1.5ボルトの「AAA」バッテリ等の比較的安価なものとすることができる。
【0074】
検査期間の終了時(すなわち、カプセルが患者の胃腸管全体を通過した後)に、患者データ収集ユニット200によって収集されたデータは、電子接続のデータ線を経由して、あるいはインターネット接続を介して、データ収集分析センタ500(図1)あるいは患者データ収集ユニット(PDCU)にアップロード可能であり、その格納データは、郵便サービスあるいは所望の場所への一般的な運搬によって物理的に配送可能である。上記データは、患者(例えば、自宅に配されたパーソナルコンピュータによって、インターネット接続経由あるいはモデム接続経由)によって直接、データ収集分析センタ500に送信可能であり、薬局、診療所あるいは医師等の代行者によって操作された遠隔式の収集通信施設によって送信可能である。
【0075】
データ収集分析センタ
上記データ収集分析センタ(DCAC)500は、演算処理、通信および操作者インターフェース資源で構成可能である。データ収集分析センタ500は、1つまたはそれ以上のインターネットサーバーを含めることができる。このインターネットサーバーは、複数の電話加入者ネットワーク資産に接続された複数のモデムを有することができる。インターネットサーバーは、カプセルおよびデータ収集ユニット連続番号のデータベース、医師識別番号および医師関連情報、実施・分析された検査および請求状態の保持専用とすることができる。各インターネットサーバーは、診断目的で、複数の表示スクリーン、キーボードおよび位置決め装置で構成された操作者インターフェースユニットに選択的に接続可能である。データが上記データ収集分析センタ500に送信されたときに、このセンタは疑義ある領域データを特定するために識別要素/標識の出力の時間配列を評価するのに使用される一連のデータ分析技術で処理可能である。一旦、分析されると、上記カプセルの連続番号は、診断報告タイプおよび電子報告の送出用の電子アドレスを確認するために、患者、医師のデータベース、カプセル連続番号および処置タイプに突き合わされる。仮にデータベースが整合した場合には、上記報告は仕上げられ、記録上の電子アドレスに、安全な暗号化方法で送出される。
【0076】
受信データ分析の1つの形態は、単一(または累積的には数種)のエネルギ範囲内でカプセルにおいて粒子が検出される速度を調査するものである。同位元素および解剖学的構造に関しては、背景雑音に対する信号の比が高い場合に、これは十分である可能性がある。ある場合には、循環中および排出された標識物質からの強度の背景雑音が、カプセルの腫瘍への接近によって与えられた有効範囲と同じ程度の腫瘍から得られる信号の小さな増分を識別することを困難にさせる場合であってもよい。γ線シンチグラフィにおいて、エネルギの関数としての減衰および散乱範囲の相異に基づいて近接およびこれより離れた供給源から生じる粒子を識別するための方法が開示されてきた(例えば、カプラン、ミヤオカらによる「エネルギスペクトル適合に基づくインジウム111に関する散乱および減衰の補正」医学物理学23巻(7)、1996年7月参照)。複数の崩壊エネルギ(インジウム111等)を有する同位元素標識を選択し、かつエネルギバンドの高低差で生じる検出比を観察することによって、強度であるが距離のある背景カウントの除去が達成可能である。受信したエネルギスペクトルは、検出に使用される同位元素の数学的スペクトルモデルと比較あるいは適合可能である。上記同位元素のスペクトルモデルは、検出器の体内通過および/または器官内の同位元素含有物質の位置を考慮して修正可能である。例えば、スペクトルが血液を満たした器官内で検出される同位元素により「類似」しているようなサンプルあるいは検査モデルは、実際に測定されたエネルギスペクトルと比較可能であり、その比較に基づいて、確率は、実際に測定されたエネルギスペクトルが腫瘍に対応する確度に対応付け可能である。また、異なるエネルギバンドにおいて受信したカウント数あるいは粒子エネルギレベルは、比較(比率等による)されて、供給源までの距離を確認あるいは推定することができ、その距離は特定のエネルギバンドにおけるピークが腫瘍に対応する確度/確率を推定するのに使用可能である。更なる改良は、広範囲のエネルギスペクトルの観察によってなされる可能性があり、これにより制動放射構成要素は、試験的分布を放射源のピークから離れたスペクトル部分に数学的に適合させ、かつ未処理データから上記分布を減算することによって除去可能である。同様に、体内および検出器におけるコンプトン散乱によるスペクトルの広がりは、有利に模擬化および利用されて未処理のカウントデータを補正し、カウント比測定の質を向上することができる。
【0077】
フーリエ変換等の標準データ変換方法に加えて、ヒルベルト変換あるいはヒルベルト・フアン変換等の他の変換を利用することが望ましい場合がある。このような方法は、この明細書では「非一様サンプリング変換」として特徴付けられる。さらに、多変量分析および多層学習(「結合」)機は、高レベルの抽出が明らかでない潜在的なパターンを識別するために利用される可能性がある。このような方法は、この明細書では「パラメトリック変換」として特徴付けられる。
【0078】
医師の作業端末
図7を参照すると、医師作業端末および分析システム(PWAS)400も利用可能である。上記PWASは、標準的なパーソナルあるいはオフィスコンピュータ401に基づいたものとすることができる。カプセルインターフェースユニット402は配設可能である。バイアル瓶(図1)内に準備された放射性標識化したモノクローナル抗体(MAb)物質に関しては、上記カプセルインターフェースユニット402は、保護パッケージ160内に内包されたカプセル100を受け入れるカプセル容器403と、上記放射性標識化したモノクローナル抗体(MAb)を含むバイアル瓶を受け入れるバイアル瓶容器404(図1に示された)と、内蔵型の患者データ収集ユニット、すなわち内蔵型データ収集ユニット405と、患者データ収集ユニット200からのケーブルを受け入れるか、あるいは上記ユニット200に直接接続するソケット406を含めることができる。上記カプセルインターフェースユニット402は、全ての構成要素(カプセル100、標識バイアル瓶300および患者データ収集ユニット200)が、カプセルインターフェースユニット402からのデータを標準的なパーソナルあるいはオフィスコンピュータ401にダウンロードする正確なソケットに固定可能であるように、内部通信システムも含めることができる。上記カプセルインターフェースユニット402は、さらに1つまたはそれ以上のバーコードリーダーも含めることができる。バーコードリーダーは、カプセル100、バイアル瓶および/または患者データ収集ユニット200に関連した連続番号等の情報を含む、1つまたはそれ以上の表示(例えば、バーコード)を読み込むのに使用可能である。
【0079】
パーソナルコンピュータあるいはマッキントッシュ(MAC)コンピュータ、ワークシュテーションコンピュータ、あるいはパームパイロット(Palm Pilot)あるいは他のパーソナルデータ情報端末(PDA)とすることができるコンピュータ401は、接続ポート、ユーザーインターフェース(例えば、キーボード、マウス)およびモニターを含めることができる。カプセルインターフェースユニット402を標準的なパーソナルあるいはオフィスコンピュータ401に接続するのを支援する接続ポートは、カプセル100、バイアル瓶および/または患者データ収集ユニット200への、およびそこからのデータ送受信を行うことができる。コンピュータ401へ送信されたデータは、安全な測定のために暗号化可能である。コンピュータ401は、あらゆる適切なオペレーティングシステムの利用が可能である。コンピュータ401は、さらにユニット402および/または患者データ収集ユニット(PDCU)200から受信されたデータを分析するのに使用されるソフトウエアも含めることができる。このソフトウエアプログラムは、カプセルインターフェースユニット402から送信されたあらゆる暗号化データを解読するのに使用される暗号化コードも含めることができる。
【0080】
上記カプセルインターフェースユニット402は、RS232直接インターフェース、IEEE1394あるいはユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、インターネットあるいはローカルエリアネットワークによるイーサネット(登録商標)ケーブルあるいは電話回線経由、平行印刷様データインターフェース、光ファイバインターフェース、特注PCIカードインターフェース、あるいは赤外線あるいは高周波インターフェース等であるが、これらに限定されない多くの標準的なコンピュータ周辺方法のいずれか1つを介して、コンピュータ401に接続可能である。上記コンピュータ401内のソフトウエアも、カプセルインターフェースユニット402の操作に役立てるための使用可能である。
【0081】
上記医師作業端末および分析システム(PWAS)400によって規定可能な機能としては、1)カプセル100の操作性を確認すること、2)患者データ収集ユニット200の操作性を確認すること、3)識別要素(放射性標識化したモノクローナル抗体(MAb)例等)の活性レベルを確認すること、4)患者データ収集ユニット200へ患者、医師および検査タイプの情報を書き込むこと、5)安全な暗号化データ法によって、中央処理センタ500に対して医師、患者の名および識別番号、カプセル100の連続番号を伝えると共に、患者データ収集ユニット200に対して必要で施された検査のタイプおよび物質300の注入時間を伝えることを挙げることができるが、これらに必ずしも限定されるものではない。
【0082】
データ収集分析センタ(DCAC)500からの安全な暗号化データを受信した後に、オンデマンドで表示あるいは印刷する機能を医師の作業端末を追加することができる。医師あるいは同僚によって入力されるべきデータの部分を取得するために、図形ユーザーインターフェース等の現代のユーザーインターフェースは、標準的なパーソナルあるいはオフィスコンピュータ401上の操作用に配設可能である。
【0083】
カプセル100の操作性を活性化および/または確認するために、カプセルをその保護パッケージ160で完全に受け入れるように適合されたカプセルインターフェースユニット402のソケットあるいはポートとしては、上記保護パッケージに内包された磁石によって形成された磁場を無効にする磁性手段(カプセルの出力が磁気的に活性化されるものと仮定する)等の活性化機構を含めることができる。内蔵型データ収集ユニット405は、カプセル100によって与えられ、あるいはカプセル100内に格納されたデータを受信および/または上記データに応答しかつ基本データ妥当性検査を実施するためのコンピュータ401に上記データを与えるのに適合可能である。
【0084】
上記患者のデータ収集ユニット200の操作性を確認するために、データ収集ユニットインターフェースケーブル210を経由して、作業端末のカプセルインターフェースユニット402に接続することができる(図4)。カプセル100がデータを送信している状態で、患者データ収集ユニット200からの出力は、内蔵型データ収集ユニット405からの出力と比較可能である。識別物質(放射性標識化したモノクローナル抗体(MAb))300の活性レベルを確認するために、上記物質300を収容するバイアル瓶は、カプセルインターフェースユニット402内に設けられたソケット内に挿入可能である。また、カプセル100がその機械的なソケット内に挿入された状態で、上記バイアル瓶から受信した放射性カウントレベルは、内蔵型データ収集ユニット405および患者データ収集ユニット200に送信可能である。この情報は、その後に、許容値の範囲と照合すべきコンピュータ401に対して通信可能である。
【0085】
種々のシステム構成要素(すなわち、カプセル100、患者データ収集ユニット200およびバイアル瓶中の識別物質300)の正確な操作性を確認した後に、医師によって入力されたデータおよび、ソフトウエアおよび患者情報によって決定された種々の較正および構成コードは、データ収集ユニットインターフェースケーブル210を経由して患者データ収集ユニット200に送信可能である。患者データ収集ユニット200内では、このデータは、追記型構成メモリ203内の適切な位置に格納可能である。
【0086】
図8は、医師作業端末および分析システム(PWAS)400に書き込まれた、すなわち電子的形態で表示可能な報告用フォーマットを示すものである。この報告には、検出器によって受信された単位時間当たりの放射能カウントに対応する未処理データは、水平軸上に示された胃腸管内の近似位置を基準とした未処理データ曲線450として標準化されかつ表示される。データ収集分析センタ(DCAC)500で行われるデータ処理の結果として、予想スコアは、(標識の濃縮が胃腸管に沿うある位置で生じた確率(確度)を描写する癌腫確率スコア曲線460として図8に描写されているように)規定可能である。予想スコアの重要性は、上記結果を分析する医師の臨床報告および経験によって決定可能である。一般に、予想スコアの目的は、未処理データ曲線450におけるピークが癌性、すなわち標識バイアル瓶300内に収容され、肝臓または脾臓内に蓄積された物質からなど放射能の背景雑音を示すか否かを示すことができることにある。例えば、図7では、小腸に対応する未処理データ曲線450におけるピークは、小腸に対応する癌腫確率スコア曲線460によって与えられた確率値により、小腸内における癌の存在を示しそうにない。
【0087】
2つの識別要素による方法
異なる実施の形態では、2つまたはそれ以上の識別要素は、検査の精度を向上させるのに使用可能である。モノクローナル抗体等の単一の識別要素の精度は、患部ばかりでなく、健康な器官に対して分布することによって制限されることがある。例えば、モノクローナル抗体は、肝臓、腎臓、脾臓、膀胱および骨髄に分布する傾向がある。この傾向は、上記器官のうち1つから生じる信号が患部から発せられるものとして誤って解釈されることから、誤った陽性判定あるいは特異性の低下を誘発することになる。さらに、注入されたモノクローナル抗体(MAb)の循環系から出来する放射能は、小腸または病変部から発せられるものよりも非常に高くなり、これにより実際の病変組織を隠す可能性がある。医師は、その後に、上記信号の特性に関しては、病変細胞から発せられるものなのか、あるいは体全体への抗体の通常の分布を示しているのに過ぎないのか?と確信が持てなくなる。
【0088】
1つの識別要素、例えば疾病に対して特異的な放射性標識化モノクローナル抗体(MAb)のみを受け入れるよりはむしろ、患者は、たとえ1つが他の粒子によって標識化されても、2つのモノクローナル抗体(MAb)を受け入れることができる。例えば、仮に、最初の薬剤が99mTc等の放射性物質で標識化されたモノクローナル抗体(MAb)であった場合に、その後に、一緒に投与された薬剤を、111In等の他の放射性標識で標識化された同様の同一のモノクローナル抗体(MAb)とすることができる。さらに、第2の薬剤は、異なる体の区画(例えば、腎臓、肝臓、血液および肝臓)中で同一濃度に濃縮されるように設定することが可能である。最終的には、第2の薬剤は、同一の分子量、電荷および物理的特性を有することができるが、異なる結合表面を有することになる。これを達成する実際の方法は、免疫グロブリンG型の2つのモノクローナル抗体を使用することができ、その一方は99mTcで標識化した腫瘍に対して特異性を有するものであり、他方は111In等の他の放射性標識で標識化した非特異性IgG抗体である。
【0089】
患者への投与時において、両モノクローナル抗体(MAb)は、体の区画内で概ね等量に濃縮することができる。しかしながら、上記腫瘍に結合するように設定された上記モノクローナル抗体(MAb)を多少の腫瘍が摂取することにもなる。複数の同位元素を識別することができる放射能分析器(例えば、マルチチャンネルスペクトル分析器)を使用することで、上記分析器は、放射能が2つの標識のそれぞれからどの程度放射されているのかを体の領域ごとに確認することができる。上記2つの標識が同一の分子量および組成物を有するように設計あるいは選択されることができるので、上記標識はこれらの薬物動態学的および薬理学的な質において非常に類似させることができる。したがって、適切に計測することによって、および/または1つの供給源から発せられる放射能強度を他の供給源からの放射能強度から減算することによって、放射能の測定値を無視することができる。これは、抗体型の1つが結合する腫瘍が存在し、このモノクローナル抗体(MAb)がより強い結合力を有し、この領域から発せられる放射能が第2の抗体に結合した同位元素から発せられる放射能よりも著しく高くなる点を除き、一般的な場合である。医師への最終的な回答は、上記2つの放射能レベルを減算するという最終結果とすることができるものであり、その結果は、背景雑音に関連した混乱、あるいは上述した非特異的な分布を著しく減らす可能性がある。
【0090】
予想される実施例を提示する目的で、方法は次のステップを含めることができる。
(1)炎症性あるいは壊死性の組織等の腫瘍あるいは他の異常組織に対して特異的な識別要素を準備するステップ。使用可能な識別要素としては、モノクローナル抗体、ペプチド、核酸(ヌクレオチド)、ナノ粒子あるいは他のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
(2)患者への投与時に、上記識別要素に結合され、あるいは結合する標識物質を準備するステップ。使用可能な標識物質としては、99mTc等の放射性核種、ポルフィリン系化学物質の1つ等の蛍光性分子、超音波造影剤あるいは他のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
(3)ステップ1における上記識別要素に類似した物質、例えば同様の分子量、電荷および三次元構造の蛋白質を準備するステップ。この薬剤は、体内の同一半体に結合しない点でステップ1における識別要素とは異なる。例証するために、仮に市販品Oncoscint等のIgG免疫グロブリン群由来のモノクローナル抗体(MAb)がステップ1で選択された場合に、第2の薬剤(3)として選択する適切な物質は、体内の公知の半体に特異的でないIgG抗体である。これに代えて、ある場合には、非特異性IgGの混合物を使用することができる。最終的には、ある場合には、IgGのFc部分すなわち特異的な受容体に適合しない抗原認識領域を選択することができる。例えば、IgG抗体のFc部分は、アラニン等のアミノ酸の繰返し配列で構成されている。
【0093】
(4)ステップ2における標識物質とは異なり、ステップ3における薬剤に結合した標識物質を準備するステップ。例えば、仮に放射性同位元素99mTcが上記ステップ2で準備された場合には、その後、ここで同位元素111Inの選択が可能である。
【0094】
(5)放射線検出器、磁場センサあるいは他の信号であり、標識物質(2)または(4)によって発せられる信号を検出する検出システムを準備するステップ。上記システムは、上記2つの異なる供給源を識別できるはずである。例えば、99mTcの存在から得られる放射能は、各γ放射線の広範囲に分離された崩壊エネルギから得られる結果と識別されるはずである。
【0095】
(6)上記2つの標識物質あるいは他の方法で処理されたものからの信号を計測しかつ減算し、医師に示すことができる結果を与えるステップ。
【0096】
上記方法は、増加する背景雑音を心配することなく、患者に与えられた識別要素の感度を向上させるために、ユーザーが上記識別要素のレベルを向上させる可能性もある。したがって、上記システムは、感度(例えば、診断される患者の比例部分)と特異性(患者が実際に病気である可能性がある陽性結果が与えられている)との双方を向上させることができる。
【0097】
アビジン/ビオチン方法
他の実施の形態では、検査精度を向上させるために、相互に強く結合するが、他の化学的半体に対する親和性結合力が弱いか、あるいは親和性結合力が全くない物質を使用してもよい。上述した抗体を別にして、相互に対する比較的高い親和性結合力を有する他の物質は使用可能である。天然の状態で、あるいは実験室条件下で互いに混合したときに、上記薬剤は、しっかり固定したほとんど永続的な方法で互いに強く結合することになる。
【0098】
上記結合の一例は、アビジン/ビオチン結合である。ビオチンは、B複合体由来のビタミンである。この複合体は、C10−H16−N2−O3−Sの化学構造を有する透明な結晶のビタミンである。この複合体は、多くの酵素系の活性に不可欠である。アビジンは、未調理の卵白中に発見され、ビオチンに結合しかつビオチンを不活性化する蛋白質である。
【0099】
ビオチンおよびアビジンの相互に対する親和性は、しばしば実験室レベルでの実験、しばしば診断用に使用される。アビジンとビオチンとの関係は、薬剤誘導機構を展開するために、製薬産業で使用されてきた。カラケイ エイチ.(Karacay H.)らによる「ストレプタビジン・抗・癌胎児性抗原抗体の進展、結腸直腸癌の放射性免疫療法についての放射性標識化ビオチンによる事前標的方法、試薬の進展」、生物複合化学1997年7月〜8月、第8(4)巻、585頁〜594頁および、シュルツ エイ.(Schultz A.)による「リンパ腫療法用の四価単鎖抗体・ストレプタジン融合蛋白質」、癌研究2000年12月1日、第60(23)巻、6663頁〜6669頁を参照されたい。なお、これらの文献の内容は参照することによってこの明細書に組み込まれるものとする。
【0100】
アビジンあるいはその誘導体のような同様の構造を有する他の蛋白質は、その結合を最適化し、間隔を短縮し、薬物動態学的あるいは薬理学的な特性を改善し、あるいは他の有利な効果を誘導するために使用されてもよい。例えば、組換え型ストレプタビジン(rSAv)は、アビジンに代えて使用されてもよい。さらに、例えば逆に高い腎臓の局在化を低下させることによって、一層好適な作用を得るために、組換え型ストレプタビジン(rSAv)を修正することが望ましい可能性がある。医学文献の最後までに記述された方法としては、無水コハク酸を用いる組換え型ストレプタビジン(rSAv)のスクシニル化が挙げられる。「1,2−シクロヘキサンジオンおよび無水コハク酸修飾組換え型ストレプタビジン(rSAv)のビオチン結合および組織の局在化」、生物複合化学2002年5月〜6月、第13(3)巻、611頁〜620頁;「腫瘍結合能力を維持しながら腎臓へのストレプタビジンの局在化を低下させる方法の評価」、生物複合化学1998年5月〜6月、第9(3)巻、322頁〜330頁を参照されたい。なお、これらの文献の内容は参照することによってこの明細書に組み込まれるものとする。
【0101】
1つの実施の形態では、カプセル系癌診断の精度を向上させるために、ビオチンとアビジンまたは他の同様の対間の関連性を利用する方法は使用可能である。予想される実施例を提示する目的で、方法は次のステップを含めることができる。
【0102】
(1)癌等の疾患に特異的なモノクローナル抗体(MAb)またはFAbあるいは他の識別性分子を有する患者を準備するステップ。アビジンあるいはストレプタビジンすなわちアビジン系列の他の成分はモノクローナル抗体(MAb)に結合される。識別要素として使用される上記アビジンあるいはアビジン様半体のモノクローナル抗体(MAb)またはFAbへの結合は、シュルツ エイ.(Schultz A.)による「事前に標的化されたリンパ腫療法用の三価単鎖抗体・ストレプタジン融合蛋白質」、癌研究2000年12月1日、第60(23)巻、6663頁〜6669頁に記述されているような融合性蛋白質を創出する遺伝子工学によって達成される可能性がある。なお、この文献の内容は参照することによってこの明細書に組み込まれるものとする。
【0103】
(2)薬剤が病変組織に蓄積し、その後に、第1の薬剤に対する非常に高い親和性を有するビオチンあるいは他の分子を含む清澄化剤を患者に与えることを可能にするステップ。ビオチンはステップ1で与えられた薬剤に強く結合し、体内には未だ存在しない。したがって、残留するあらゆる薬剤は、特異的な標的に結合されるものである。これに代えて、他の実施の形態では、ステップ1で得られた薬剤が自然に体内から除かれるのに十分な時間を待つことになる。
【0104】
(3)99mTc等の放射性標識、磁性粒子等の他の標識、蛍光性標識あるいは他の標識に結合したビオチンを患者に、与えるステップ。上記ビオチンはアビジンに結合し、上記ビオチンに結合した標識剤に依存して、放射能あるいは他の信号提供モードで病変部を標識化する。
【0105】
(4)上記処置の前、中あるいは後に、検出器を有する嚥下可能なカプセルを患者に投与するステップ。
【0106】
操作
次の操作上の説明は、この発明の機器および方法に言及するものであり、放射性標識化モノクローナル抗体を含む細胞標識物質が利用される。相対的に非侵襲性処置における結腸癌の標的集団を選別することを目的として、次の操作上のステップが利用可能である。
【0107】
患者要求選別は、医師すなわち結腸癌選別検査に関連する医師に提出することができる。放射性医薬品の利用を実施する際に、上記医師または関連スタッフは、核医学物質を調剤する免許を取得しかつ患者訪問日より早く検査キットを送出した薬剤師から選別キットを命じて受け取ることができる。磁性検出の利用を実施する際に、上記物質はおそらく規制されず、院内在庫から抜き取ることができる。
【0108】
患者の来院時に、医師は、その医師作業端末および分析システム(PWAS)400における特定の器具内のキット部品を配置することができる。キット部品としては、嚥下可能な検出用カプセル100と、患者データ収集ユニット(PDCU)200と、バイアル瓶中に収容された注入可能な細胞標識物質(CM)300を含めることができる。上記医師作業端末および分析システム(PWAS)400および関連したソフトウエアは、全てのキット部品の操作性を確認しかつ一定の情報を患者データ収集ユニット(PDCU)200に書き込むのに使用可能である。
【0109】
一旦、上記キットが操作可能なように確認されると、上記医師は上記細胞標識物質(CM)300を患者に注入することができ、患者は検出用カプセル100を嚥下するように指示されることができる。患者は、患者データ収集ユニット(PDCU)200の使用に関して指示され、このユニットは携帯用無線呼出し器、携帯電話あるいは腕時計と同様の方法で患者に取り付けられることができる。これに代えて、患者は、カプセルを嚥下する前の最適時間を待機するように指示されてもよく、そのような遅延は、循環する細胞標識物質(CM)300のある程度の自然な排泄を可能にすることによって検査結果を改善するように作用する可能性がある。
【0110】
この時点で、患者は、カプセル100および検出器が食道から胃腸管すなわち胃、小腸、結腸(大腸)を経由して移動し、最終的に排便中に便と共に肛門から排泄されるときに、通常の日常活動に戻ることになる。
【0111】
上記検出器が胃腸管を経由して移動するときには、患者内の種々の供給源から発せられる信号、あるいは上記信号を代表するパラメータ(例えば電圧)を定期的に測定しかつ報告している。この情報は、カプセル100に関する固有の識別コードと、上記情報が患者データ収集ユニット(PDCU)200に送信されるときの時間表示と組み合わせることができる。患者データ収集ユニット(PDCU)200は、カプセル100からの全ての情報を収集しかつ格納し、その後に、データ収集分析センタ(DCAC)500に送信するのに使用可能である。
【0112】
一旦、上記データがデータ収集分析センタ(DCAC)500に到着すると、一連の分析ルーチンは未処理データに適用可能であり、特定処置報告は作成可能である。この報告は、医師(医師作業端末および分析システム400)を経由させることができ、上記キットの操作性を確認しかつ患者データ収集ユニット(PDCU)200への患者および医師情報を暗号化する情報を含めることができる。
【0113】
図示されかつこの明細書に記述された構造に代えて、等価の構造が置換される可能性があり、この発明の記述された実施の形態が請求項に記載された発明を実施するのに利用される可能性がある構造だけではないと認識されるはずである。さらに、上述した全ての構造が1つの機能を有しかつそのような構造が上記機能を実施するための手段として言及可能であることは理解されるべきである。
【0114】
この発明の好適な実施の形態がこの明細書において図示されかつ記述されているが、そのような実施の形態が単に例示することを目的として与えられていることは、この技術分野における当業者にとって明白なはずである。多くの変動、変化および置換は、この発明を逸脱することなく、この技術分野における当業者にとって出来するはずである。したがって、実施の形態は、この発明が添付された請求項の精神および範囲によってのみ限定されるものと意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】この発明の1つの実施の形態による検査システムの種々の構成部分を示す斜視図である。
【図2】この発明の1つの実施の形態による検出用カプセルを示す斜視図である。
【図3】この発明の検出用カプセルの形態を示すブロック図である。
【図4】この発明の磁性粒子検出器内の検出用カプセルを示すブロック図である。
【図5】この発明の1つの実施の形態による患者データ収集ユニットを示すブロック図である。
【図6】この発明の1つの実施の形態による検出用カプセルおよびこれに関連した保護パッケージを示す斜視図である。
【図7】この発明の1つの実施の形態による医師の作業端末の一例を示す斜視図である。
【図8】この発明の1つの実施の形態により生成可能なグラフである。
【図9】数種の検出機構の相対的な性能を示すグラフである。
【図10】典型的なシンチレーション検出器(SD)である放射能検出器の検出応答を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嚥下可能なカプセルであって、検出器と、パルス成形機器と、少なくとも1つの単チャンネル分析器を含む、カプセル。
【請求項2】
少なくとも2つの検出器を含む、請求項1記載のカプセル。
【請求項3】
上記検出器は放射能検出器である、請求項1記載のカプセル。
【請求項4】
上記検出器は磁性材料を検出するものである、請求項1記載のカプセル。
【請求項5】
複数の単チャンネル分析器を含む、請求項1記載のカプセル。
【請求項6】
マルチチャンネル分析器を含む、請求項1記載のカプセル。
【請求項7】
上記カプセルは材料で被覆されている、請求項1記載のカプセル。
【請求項8】
上記カプセルは、胃腸管を経由するカプセルの移動を修正する材料で被覆されている、請求項1記載のカプセル。
【請求項9】
上記カプセルは磁気作動型スイッチを含む、請求項1記載のカプセル。
【請求項10】
上記カプセルは、角速度センサを含む、請求項1記載のカプセル。
【請求項11】
特定組織を検出するためのシステムであって、検出器を含むカプセルと、上記特定組織に対応しかつ上記検出器によって検出可能である物質と、使用に適した上記検出器および物質のうち少なくとも1つを確認するための装置を含む、システム。
【請求項12】
患者内の標的細胞を検出するための方法であって、上記患者内の標的細胞を検出可能な物質で標識化するステップと、上記患者内に存在する固有の管腔を経由して検出器を誘導して上記物質からの信号を検出するステップと、上記検出された少なくともいくつかの信号を示すデータを数学的に変換するステップを含む、方法。
【請求項13】
上記標識物質の量、濃度および活性のうち少なくとも1つを確認するステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
上記物質はモノクローナル抗体を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
上記物質はペプチドを含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
上記物質はナノ粒子を含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
上記物質は、遺伝物質であるモノクローナル抗体に対応する、伝令リボ核酸またはデオキシリボ核酸等のヌクレオチド配列を含む、請求項12記載の方法。
【請求項18】
上記物質は、リポソームまたはリポソーム構造体を含む、請求項12記載の方法。
【請求項19】
患者に対して複数の放射性同位元素を投与するステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項20】
エネルギスペクトルを獲得するステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項21】
エネルギスペクトル粒子を標準型に適合させるステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項22】
エネルギスペクトル粒子を、放射性同位元素スペクトルの標準型に適合させるステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項23】
受信した、エネルギ帯が異なるエネルギ粒子を比較するステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項24】
複数の検出器を用いるステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項25】
複数の検出器の出力を組み合わせるか、あるいは比較して空間的な応答パターンを与えるステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項26】
獲得されたデータの時間的な変動を所定のパターンと比較するステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項27】
患者外の複数の放射線源を用いるステップを含む、請求項12記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−509537(P2006−509537A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553719(P2004−553719)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/036510
【国際公開番号】WO2004/045374
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
マッキントッシュ
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】