説明

組電池および電池

【課題】熱交換流体の通過の際に熱伝達性が向上する組電池および電池を提供する。
【解決手段】複数の円筒形電池30を平行な姿勢に並べて収納しているケース20を備え、ケース20は収納している円筒形電池30に空気を円筒形電池30の軸線方向に交差する方向に送って熱交換するための流入口40と排出口41とを有する。流入口40からケース20に流入される空気で円筒形電池30と熱交換し、円筒形電池30と熱交換した空気を排出口41から排出する。円筒形電池30における空気の流れの下流側にフィン50が円筒形電池30と熱的に結合する状態で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池および電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の組電池は、複数の電池モジュールをホルダーケースに収納している。ホルダーケースは、流入口を開口している流入側プレートと、排出口を開口している排出側プレートと、排出側プレートおよび流入側プレートの第1の側縁を連結している第1プレートと、第2の側縁を連結している第2プレートとで収納室を構成し、この収納室の内部に、複数段、複数列に電池モジュールを収納している。流入口からホルダーケースに流入される冷却風の風量は、第2プレート側よりも第1プレート側で多くし、排出口からホルダーケースの外部に排出される冷却風の風量は、第1プレート側よりも第2プレート側で多くなるようにしている。これにより、ホルダーケースに収納している複数の電池モジュールの温度差を少なくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−278140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池を熱交換流体が通過する際に、電池と熱交換流体との間の熱伝達性を向上させたいというニーズがある。
本発明の目的は、熱交換流体の通過の際に熱伝達性が向上する組電池および電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、複数の円筒状の電池を平行な姿勢に並べて収納しているケースを備え、ケースは収納している電池に熱交換流体を前記電池の軸線方向に交差する方向に送って熱交換するための流入口と排出口とを有しており、前記流入口から前記ケースに流入される熱交換流体で前記電池と熱交換し、当該電池と熱交換した熱交換流体を排出口から排出するようにしてなる組電池において、前記電池における前記熱交換流体の流れの下流側に前記電池の外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材を前記電池と熱的に結合する状態で配置したことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ケースには複数の円筒状の電池が平行な姿勢に並べて収納され、流入口と排出口にてケースに収納している電池に熱交換流体を電池の軸線方向に交差する方向に送って熱交換が行われる。つまり、流入口からケースに流入される熱交換流体で電池と熱交換され、当該電池と熱交換した熱交換流体が排出口から排出される。
【0007】
電池における熱交換流体の流れの下流側には、前記電池の外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材が電池と熱的に結合する状態で配置されている。この熱伝導部材を通して電池との熱交換が行われる。その結果、熱交換流体の通過の際に熱伝導部材により熱交換流体の流れの下流側の熱伝達性が向上する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、円筒状の外周面のうち少なくとも一部に、外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材を設けてなることを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、電池を熱交換流体の流れの中に熱伝導部材が下流側となるように配置することにより、熱交換流体で電池と熱交換され、当該電池と熱交換した熱交換流体が下流側に流れる。
【0009】
電池における外周面のうち少なくとも一部に、外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材が設けられているので、この熱伝導部材を通して電池との熱交換が行われる。その結果、熱交換流体の通過の際に熱伝導部材により熱伝達性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱交換流体の通過の際に熱伝達性が向上する組電池および電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本実施形態における組電池の一部破断平面図、(b)は(a)のA−A線での組電池の縦断面図。
【図2】組電池におけるケース内の構成を示す斜視図。
【図3】(a)は電池の正面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図4】(a)は別例の電池の正面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図5】(a)は別例の電池の正面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図6】(a)は別例の組電池の一部破断平面図、(b)は(a)のA−A線での組電池の縦断面図。
【図7】(a)は別例の電池の正面図、(b)は(a)のA−A線での断面図。
【図8】別例のケース内の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
【0013】
図1に示すように、組電池10はケース20を備えている。ケース20は樹脂よりなる。ケース20はケース本体部21と上蓋22からなる。ケース20は四角箱形をなし、ケース本体部21の上面開口部を上蓋22で塞いで構成している。
【0014】
図1,2に示すように、ケース20には、複数の円筒状の円筒形電池30が平行な姿勢に並べて収納されている。ケース20の内部に多数配置された円筒形電池30は、縦(Y方向)・横(X方向)に整列した状態で立設され、この状態でケース20に固定されている。この円筒形電池30の間や円筒形電池30とケース20の内壁との間を熱交換流体としての空気が通過していくことになる。
【0015】
図1,2においてはX方向において円筒形電池30が3列配置され、各列は一定の距離だけ離間しており、第1列目の円筒形電池30と第3列目の円筒形電池30に対し、第2列目の円筒形電池30は千鳥配置されている。即ち、Y方向における中間位置に隣の列の円筒形電池30が配置されている。また、各列における円筒形電池30同士は一定の距離だけ離間している(Y方向において一定の距離だけ離間している)。
【0016】
ケース20は流入口40と排出口41とを有している。流入口40と排出口41は、収納している円筒形電池30に対し熱交換流体としての空気を円筒形電池30の軸線方向に交差する方向に送って熱交換するためのものである。
【0017】
そして、流入口40からケース20に流入される熱交換流体としての空気で円筒形電池30と熱交換される。詳しくは、ケース20はX方向、即ち、円筒形電池30の軸線方向に交差(直交)する方向に空気を通過させることができるようになっており、ファン等の駆動により空気がケース20内に供給され、この空気により組電池10の円筒形電池30を冷却することができるようになっている。円筒形電池30と熱交換した熱交換流体としての空気が排出口41から排出される。より具体的には、電気自動車またはハイブリッド車において車室内に取り込んだ空気を、ケース20内を通過させて円筒形電池30を冷却した後にトランクルームまたは車外に放出する。
【0018】
図2,3に示すように、円筒形電池30における熱交換流体としての空気の流れの下流側に熱伝導部材としてのフィン50が円筒形電池30と熱的に結合する状態で配置されている。
【0019】
フィン50は円筒形電池30に密着している。フィン50はアルミよりなる。アルミ以外にも銅や高熱伝導性樹脂を用いることができる。フィン50は図3(b)に示すように断面形状が三角形状をなし、流れの下流側ほど幅狭な形状をなしている。また、フィン50は図3(b)において円筒形電池30の外周面(円)の接線で囲まれた領域に配置されている。フィン50は中実体となっており、内部が満たされている。また、フィン50は図3(a)に示すように円筒形電池30の軸線方向の全長にわたり延設されている。
【0020】
このようにして、円筒形電池30において、円筒状の外周面のうち少なくとも一部に、外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材としてのフィン50が設けられている。
次に、このように構成した組電池10の作用を説明する。
【0021】
ファン等の駆動に伴い空気がケース20内に供給される。つまり、ファン等の駆動に伴い空気が図1の組電池10のケース20の内部にX方向に供給される。
そして、ケース20において送られてきた空気と円筒形電池30との間で熱交換が行われる。具体的には、円筒形電池30において熱が発生し、その熱は空気との間で熱交換が行われて放熱される。
【0022】
詳しくは、ケース20には複数の円筒形電池30が平行な姿勢に並べて収納され、流入口40と排出口41にてケース20に収納している円筒形電池30に熱交換流体としての空気を円筒形電池30の軸線方向に交差する方向に送って熱交換が行われる。そして、この円筒形電池30と熱交換した熱交換流体としての空気が排出口41から排出される。
【0023】
ここで、円筒形電池30における熱交換流体としての空気の流れの下流側には、熱伝導部材としてのフィン50が円筒形電池30と熱的に結合する状態で配置されている。この熱伝導部材としてのフィン50を通して円筒形電池30との熱交換が行われる。
【0024】
その結果、熱交換流体としての空気の通過の際に、円筒形電池30における空気の流れの下流側である流れが剥離する部位に設けた熱伝導部材としてのフィン50により空気の流れの下流側の熱伝達性が向上する。
【0025】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)組電池10の構成として、円筒形電池30における熱交換流体としての空気の流れの下流側に、円筒形電池30の外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材としてのフィン50を円筒形電池30と熱的に結合する状態で配置した。そして、熱伝導部材としてのフィン50を通して円筒形電池30との熱交換が行われる。つまり、電池冷却用流体の流れが剥離する円筒形電池30の下流側にフィン50を設置することにより流れの下流側の熱伝達性能を向上させることができる。このようにして、熱交換流体の通過の際に熱伝導部材(フィン50)により流れの下流側の熱伝達性が向上する。
【0026】
(2)電池の構成として、円筒状の外周面のうち少なくとも一部に、外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材としてのフィン50を設けた。これにより、円筒形電池30を熱交換流体の流れの中に熱伝導部材としてのフィン50が下流側となるように配置することにより、熱交換流体としての空気で円筒形電池30と熱交換され、この円筒形電池30と熱交換した熱交換流体としての空気が下流側に流れる。ここで、フィン50を通して円筒形電池30との熱交換が行われ、熱交換流体としての空気の通過の際に熱伝導部材としてのフィン50により熱伝達性が向上する。
【0027】
(3)熱伝導部材としてのフィン50は中実体であるので、熱伝導性に優れている。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・図4に示すように、熱伝導部材としてのフィン60の内部に空洞61があってもよい。詳しくは、熱伝導部材としてのフィン60は中空構造をなし、円筒形電池30の外周面の下流側部位に連続して熱的に結合している。これにより軽量化を図ることができる。
【0028】
・図5に示すように、フィン70は円筒形電池30の外周を覆う構成としてもよい。つまり、熱伝導部材としてのフィン70は円筒形電池30の外周面の周方向の全周にわたり円筒形電池30に熱的に結合している。これにより電池とフィンの連結体の製造や電池とフィンとの組み付けが容易となる。
【0029】
・図6に示すように、ケース20にフィン80を一体形成して、このフィン80に対して円筒形電池30を組み付ける形態で実施してもよい。つまり、熱伝導部材としてのフィン80はケース20に一体形成され、これにより、ケースとフィンの連結体の製造や電池の組み付けが容易となる。
【0030】
・図7に示すように、円筒形電池30における熱交換流体の流れの下流側に加えて上流側に熱伝導部材としてのフィン90を設置してもよい。即ち、円筒形電池30における熱交換流体としての空気の流れの上流側に、更にフィン90を円筒形電池30と熱的に結合する状態で配置してもよい。これにより、熱交換流体の通過の際に更に熱伝達性が向上する。また、フィン90は断面が三角形状をなし(流れの上流側ほど幅狭な形状をなし)円筒形電池30の外周面(円)の接線で囲まれた領域に配置されているので、空気の流れを整流する効果もある。
【0031】
・図8に示すように、各円筒形電池30ごとに熱交換流体の流れの向きが異なる場合において円筒形電池30ごとに熱交換流体の流れの下流側に熱伝導部材としてのフィン100,101を設置してもよい。
【0032】
・図8に示すようにフィン100,101に溝110を形成してもよい。つまり、熱伝導部材としてのフィンの外面に溝110を形成する。また、溝110は空気の流れに沿う方向に延びている。これにより、熱交換流体の通過の際に溝110によって伝熱面積を増大させて更に熱伝達性が向上する。
【0033】
・円筒形電池30の軸線方向における全長にわたりフィンを設置しなくてもよい。その例として、例えば、ケース20内において空気は上流側ほど温度が低く上流側の円筒形電池30は冷却されやすいのでフィンは円筒形電池30の軸線方向において流れの上流側ほど短くしてもよい。
【0034】
・ケース20内の各円筒形電池30の全てに対して必ずしもフィンは必要でなく、例えば、空気の流れの上流側ほど温度が低く上流側の円筒形電池30は冷却されやすいので上流側の円筒形電池30にフィンは無くてもよい。
【0035】
・1本の円筒形電池30に設けるフィンは分割してもよい。
・熱交換流体は空気を用いたが、これに限ることなく、他の流体、例えば液体でもよい。
【0036】
次に、上記実施形態および別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記熱伝導部材は中実体であることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【0037】
従って、この(a)に記載の発明によれば、熱伝導性に優れている。
(b)前記熱伝導部材は中空構造をなし、前記電池の外周面の下流側部位に連続して熱的に結合していることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【0038】
従って、この(b)に記載の発明によれば、軽量化を図ることができる。
(c)前記熱伝導部材は前記電池の外周面の周方向の全周にわたり前記電池に熱的に結合していることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【0039】
従って、この(c)に記載の発明によれば、製造や組み付けが容易となる。
(d)前記熱伝導部材は前記ケースに一体形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【0040】
従って、この(d)に記載の発明によれば、製造や組み付けが容易となる。
(e)前記電池における前記熱交換流体の流れの上流側に、更に熱伝導部材を前記電池と熱的に結合する状態で配置したことを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【0041】
従って、この(e)に記載の発明によれば、熱交換流体の通過の際に更に熱伝達性が向上する。
(f)前記熱伝導部材の外面に溝を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【0042】
従って、この(f)に記載の発明によれば、熱交換流体の通過の際に更に熱伝達性が向上する。
【符号の説明】
【0043】
10…組電池、20…ケース、30…円筒形電池、40…流入口、41…排出口、50…フィン、60…フィン、70…フィン、80…フィン、90…フィン、100…フィン、101…フィン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円筒状の電池を平行な姿勢に並べて収納しているケースを備え、ケースは収納している電池に熱交換流体を前記電池の軸線方向に交差する方向に送って熱交換するための流入口と排出口とを有しており、
前記流入口から前記ケースに流入される熱交換流体で前記電池と熱交換し、当該電池と熱交換した熱交換流体を排出口から排出するようにしてなる組電池において、
前記電池における前記熱交換流体の流れの下流側に前記電池の外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材を前記電池と熱的に結合する状態で配置したことを特徴とする組電池。
【請求項2】
円筒状の外周面のうち少なくとも一部に、外周面から離れるほど幅狭となる熱伝導部材を設けてなることを特徴とする電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−216410(P2012−216410A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80666(P2011−80666)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】