説明

組電池装置

【課題】均一的温度に抑制される単位セルを複数有する組電池装置を提供すること。
【解決手段】第1の単位セル群は、矩形の厚板状の形状を有する単位セルを複数備え、その側面どうしが対向するように該複数の単位セルがひとつの方向に並べて配置されている。第2の単位セル群は、第1のバッテリ群と同様の構成を有し、第1の単位セル群とは離間して、互いに背面と腹面とが、または背面どうしが、または腹面どうしが対向するように配置されている。熱容量具有部材は、第1、第2の単位セル群のそれぞれ複数の単位セルの側面どうしの間に設けられている。圧縮力付与機構は、第1、第2の単位セル群のそれぞれ複数の単位セルのうちのもっとも外側に位置する第1の単位セルと、第1の単位セルとは反対の側のもっとも外側に位置する第2の単位セルとが互いに近づく方向に変位するように圧縮力を与えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、単位セルを複数有する組電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HEV(hybrid electric vehicle)、EV(electric vehicle)などの車両で使われる組電池装置は、必要な容量や出力電力を確保するため単位セルが複数組み合わされた構成になっている。単位セルそれぞれで見ると、熱容量は大きくはなく温度上昇が起こりやすい。また、単位セルどうしの電気的な接続によっては、必ずしも、単位セルそれぞれで同じように発熱するとは言えないため、温度の不均一性も発生しやすい。
【0003】
過度の温度上昇は、安全性のため単位セルとして許容できない。したがって、単位セルを複数有する組電池装置としても、一般に、温度上昇を抑制する機能部分が必要であり、その場合でもその機能部分の効率上、均一的温度に抑制されることが望まれると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−111349号公報
【特許文献2】特開平7−320794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、温度上昇を抑制し、温度上昇が抑制された結果として均一的温度に抑制がされ得る、単位セルを複数有する組電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の組電池装置は、第1の単位セル群と、第2の単位セル群と、熱容量具有部材と、圧縮力付与機構とを持つ。第1の単位セル群は、矩形の厚板状の形状を有する単位セルを複数備え、該複数の単位セルの側面どうしが対向するように該複数の単位セルがひとつの方向に並べて配置されている。また、第2の単位セル群は、矩形の厚板状の形状を有する単位セルを複数備え、該複数の単位セルの側面どうしが対向するように該複数の単位セルがひとつの方向に並べて配置され、前記第1の単位セル群とは離間して、互いに背面と腹面とが、または背面どうしが、または腹面どうしが対向するように配置されている。
【0007】
また、熱容量具有部材は、前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記複数の単位セルの前記側面どうしの間に設けられている。また、圧縮力付与機構は、前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記複数の単位セルのうちのもっとも外側に位置する第1の単位セルと、前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記複数の単位セルのうちの、前記第1の単位セルとは反対の側のもっとも外側に位置する第2の単位セルとが互いに近づく方向に変位するように圧縮力を与えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態である組電池装置の構成を示す縦断面図。
【図2】図1中に示すA−Aa位置における矢視方向の縦断面図。
【図3】別の実施形態である組電池装置の構成を示す縦断面図。
【図4】さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図。
【図5】さらに別の(第4の)実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図。
【図6】さらに別の(第5の)実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図。
【図7】さらに別の(第6の)実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図。
【図8】さらに別の(第7の)実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図。
【図9】さらに別の(第8の)実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以上を踏まえ、以下では実施形態の組電池装置を図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態である組電池装置の構成を示す縦断面図である。図2は、図1中に示すA−Aa位置における矢視方向の縦断面図である。これらの図中、対応する部分には同一符号を付してある。以下、図1の参照を中心に説明するが、適宜図2を参照すれば理解はより容易である。なお、図1の図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。この方向の設置はひとつの好ましい使用姿勢である。
【0010】
図1、図2に示すように、この組電池装置は、単位セル1、端子接続部2、熱容量具有部材(金属塊)5、両端近傍雄ねじ付き棒11、ナット12、13、両端近傍雄ねじ付き棒14、ナット15、16、両端近傍雄ねじ付き棒17、ナット18、19、スリット付き剛性板27、28、箱体31を有する。なお、図示では見えないが、両端近傍雄ねじ付き棒およびふたつのナットが、組でもうひと組存在する。
【0011】
単位セル1は、それぞれ、矩形の厚板状の形状を有しており、このような単位セル1の側面どうしが対向するように複数の単位セル1がひとつの方向に並べて配置されて、ひとつの単位セル群をなしている(図の場合は単位セル1が4つでひとつの単位セル群)。このような単位セル群は、図1の図示左右方向に互いに離間するように複数(図の場合は7つ)ある。単位セル群を構成する単位セル1の数、および組電池装置を構成する単位セル群の数は例示であり、必要な容量や出力電圧、あるいは放熱的に均一性をより高くすることを考慮して、ほかの数とすることもできる。
【0012】
隣り合う単位セル群は、その含まれる単位セル1どうしで見ると、互いに背面と腹面とが、または背面どうしが、または腹面どうしが対向するように配置されている。単位セル1間の電気的な接続は、端子接続部2(図2)に対向する面に設けられている、単位セル1それぞれの端子を介してなされている。単位セル1間の電気的接続態様(直列、並列、またはそれらの混合)や電気的に接続するための部材の配置の都合いかんによって、隣り合う単位セル群どうしでの単位セル1間の対向は、背面と腹面、背面どうし、腹面どうし、いかようもあり得る。
【0013】
端子接続部2は、単位セル1間を電気的に接続している部材を総括的に示している。このような端子接続部2として、より具体的には、各単位セル1が有する正極端子および負極端子を、それぞれ、別の単位セル1が有する正極端子または負極端子に電気的につなぐように渡る橋状構造の板(バスバー)を用い得る。
【0014】
熱容量具有部材5は、単位セル群それぞれの単位セル1の間に設けられている。この部材5は、例えば、熱伝導率がよくかつある程度大きな熱容量をもった、銅などの金属の塊であり、単位セル1と導熱的に接続、配置されることで、単位セル1での発熱を吸収する機能を有している。このような発熱の吸収により、各単位セル1の温度上昇を抑制することができる。また、部材5により各単位セル群内で複数の単位セル1が導熱的に接続されることで、温度上昇が抑制された結果として、それらの温度は均一的温度に抑制され得る。連続充電時や連続放電時に特に好適である。
【0015】
なお、単位セル1の外面どうしを互いに電気絶縁する必要がある場合には、熱容量具有部材5として、絶縁性の材料でできたもの(例えば、フィラーを混ぜて熱伝導性を改善した樹脂など)を用いることができる。または、同様の目的のため、導電性材料の表面を絶縁性の層で覆ったものも用い得る。いずれの場合も、部材5と単位セル1との熱的な接続を向上するため、それらの間に熱伝導性のよいグリースを介在させてもよい。
【0016】
また、熱容量具有部材5は、図示するように、単位セル群それぞれのもっとも外側に位置する単位セル1と、スリット付き剛性板27、28との間にも設け得る。これによれば、それらの、外側に配置された熱容量具有部材5にも単位セル1での発熱を吸収する機能を持たせることでき、さらに、その外側に配置された熱容量具有部材5を介してスリット付き剛性板27、28にも同様の機能を持たせることができる。
【0017】
スリット付き剛性板27、28と、両端近傍雄ねじ付き棒11、ナット12、13、両端近傍雄ねじ付き棒14、ナット15、16、両端近傍雄ねじ付き棒17、ナット18、19、加えて図示されていない両端近傍雄ねじ付きおよびふたつのナットとは、圧縮力付与機構として存在している。以下では、この図示されていないものをも含めるときに「等」を付けて表現する。
【0018】
スリット付き剛性板27、28は、それぞれの単位セル群のもっとも外側の単位セル1の各外側に位置する。そして、隣り合う単位セル群の間の離間した空間につながるように、それぞれ、スリット27a、28aが設けられている。スリット付き剛性板27、28は、その配置された位置により、単位セル群のもっとも両外側の単位セルが互いに近づく方向に変位するように圧縮力を与える板として機能する。このような機能に適合させるように、剛性板27、28は、曲げに対抗する十分な剛性を有する材質や断面形状のものを用いる。
【0019】
両端近傍雄ねじ付き棒11、ナット12、13、両端近傍雄ねじ付き棒14、ナット15、16、両端近傍雄ねじ付き棒17、ナット18、19、並びに図示されていない両端近傍雄ねじ付きおよびふたつのナットは、各ナットを締めていくことで、スリット付き剛性板27と同28とを互いに近づけるように、これらの剛性板に27、28に変位を与えることができる。これにより、スリット付き剛性板27、28は、上記のような圧縮力を発揮する。
【0020】
より具体的に、スリット付き剛性板27、28には、それぞれ、両端近傍雄ねじ付き棒11、14、17等を貫通させるための孔がそれらの四隅近傍に設けられており、それらの孔に、両端近傍雄ねじ付き棒11、14、17等が貫通される。両端近傍雄ねじ付き棒11、14、17等の各両端近傍には、雄ねじが切られており、したがって、これらの雄ねじにナット12、13、15、16、18、19等を螺合させ締めていくことで、スリット付き剛性板27と同28とは互いに近づくように変位する。
【0021】
なお、上記のような圧縮力付与機構の構成は、一例であり、これに限られるわけではない。要は、各単位セル群での熱容量具有部材5を介した導熱接続が良好に保たれるように圧縮力を加え得る機構であればよい。例えば、両端近傍雄ねじ付き棒11等、ナット12、13等は一切設けず、箱体31とスリット付き剛性板27、28との間に圧縮させたばねを配置するようにしても同様の機能を果たすことができる。
【0022】
箱体31は、すべての単位セル群および圧縮力付与機構を囲うように設けられた、この組電池装置としての収容ケースである。図示の下側に設けられた入気孔31aから空気が入り込むことができ、入り込んだ空気は、スリット付き剛性板28に設けられたスリット28a、隣り合う単位セル群の間の離間した空間、スリット付き剛性板27に設けられたスリット27a、図示の上側に設けられた出気孔31bを順に通過して、箱体31の外側に出ることができる。このような空気の流れは下から上であるため、この組電池装置として自然対流による放熱が可能である。このように箱体31の壁面には、隣り合う単位セル群の離間した空間に気流を流す仕組みを備えさせることができる。
【0023】
入気孔31a、出気孔31bには、その外側に配管を接続できるように、フランジなどの接続機構を設けるようにしてもよい。場合によってこの接続機構に配管を接続し、外部から強制的に冷気を送り込み、放熱を時間集中的に行うことが可能になる。
【0024】
この実施形態の組電池装置によれば、特に、熱容量具有部材5が単位セル群内それぞれの単位セル1間に設けられているので、その部材5の熱容量により、各単位セル1の温度上昇を抑制することができる。また、圧縮力付与機構により、各単位セル群内で複数の単位セル1が確実に導熱的に接続されるので、温度上昇が抑制された結果として、それらの温度は均一的温度に抑制がされ得る。単位セル1間の電気的な接続によっては、必ずしも単位セル1それぞれで同じように発熱するとは言えないため、このような均一的温度への抑制効果は、温度上昇を抑制する構成として効率がよいと言える。
【0025】
以上説明した実施形態の変形例として、より放熱効率を高めるため、以下のように構成することも可能である。図1での図示では、単位セル群どうしの間の空間の幅(およびスリット付き剛性板27、28のスリット27a、28aの幅)が、同一に構成されている。これを変更し、端に位置する単位セル群が面する空間の幅(およびこれにつながるスリット27a、28aの幅)を単位セル群間の他の離間した空間の幅(およびこれにつながるスリット27a、28aの幅)より、狭く(例えば1/2に)構成する。
【0026】
これによれば、相対的に、端に位置する単位セル群よりそうでない単位セル群のほうが高い放熱効果を得る。端に位置する単位セル群は、単位セル群間相互の熱輻射の影響が相対的に小さいので、このような放熱効果によれば、多数の単位セル群を有する組電池装置全体としてより均一的温度への抑制になる。熱輻射について同様の考えをさらに適用し、上記の空間の幅(およびこれにつながるスリット27a、28aの幅)を、中央に位置する空間ほど幅を広くするように分布的に設定するようにしてもよい。
【0027】
次に、別の実施形態について図3を参照して説明する。図3は、別の実施形態である組電池装置の構成を示す縦断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当するような縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0028】
この組電池装置は、一例として金属塊である熱容量具有部材5に代えて、単位セル1それぞれの腹面、背面、および側面に連続して複数回巻き付けられ構成された、巻き付け薄板金属である熱容量具有部材5Aを使用している点が上記の組電池装置の場合と異なる点である。この点以外は上記の組電池装置の場合と同様である。このような構成の熱容量具有部材5Aによっても、各単位セル1の温度上昇が抑制され得る点、および、温度上昇が抑制された結果として、それらの温度が均一的温度に抑制がされ得る点は同様である。
【0029】
巻き付け薄板金属である熱容量具有部材5Aは、各単位セル1単体においてあらかじめ設けておくことができる。したがって、組電池装置として組み立てるときの手間はその分小さくできる。組み立て時に、隣り合う部材5Aどうしの熱的な接続を向上するため、それらの間に熱伝導性のよいグリースを介在させてもよい。また、この組電池装置は、熱容量具有部材5Aが、単位セル群それぞれの腹面上および背面上にも設けられている点で、上記の組電池装置の場合よりその熱容量を増加し得る。よって、その分、単位セル1での発熱の吸収を増加させ、各単位セル1の温度上昇抑制効果を増強できる。
【0030】
なお、単位セル1の外面どうしを互いに電気絶縁する必要がある場合には、隣り合う単位セル1に設けられた熱容量具有部材5Aどうしの間に、絶縁シートを介在させるように構成することができる。また、部材5Aが積層構造になることから、この積層方向の熱的な接続を向上するため、薄板金属間に熱伝導性のよいグリースを介在させ巻き付け熱容量具有部材5Aを構成してもよい。部材5Aと単位セル1の外面との間も同様である。
【0031】
次に、さらに別の実施形態について図4を参照して説明する。図4は、さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当する縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0032】
図4の図示は、平面図(上面図または底面図)に相当する図示であるか、あるいはこの図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。これらの設置姿勢は、それぞれ、この組電池装置の望ましい使用姿勢であるが、使用姿勢がこれらに限られるわけではない。例えば、図1に示した組電池装置と同様の姿勢でも使用できる。
【0033】
この組電池装置は、使用姿勢の点以外に、図1に示した組電池装置における、箱体31の出気孔31bの場所に、排気ファン41を設けた点が、図1に示した組電池装置の場合と異なる点である。すなわち、排気ファン41を設けて内部に強制的に気流を作ることにより、組電池装置として放熱を可能としている。組電池装置内部における気流の通過の順は、図1や図3に示した組電池装置と同様である。このように強制的な放熱を可能としたことから、上で説明したように使用姿勢の自由度が増加している。
【0034】
次に、さらに別の実施形態について図5を参照して説明する。図5は、さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当する縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0035】
図5の図示は、図4の図示と同様に、平面図(上面図または底面図)に相当する図示であるか、あるいはこの図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。これらの設置姿勢は、それぞれ、この組電池装置の望ましい使用姿勢であるが、使用姿勢がこれらに限られるわけではない。例えば、図1に示した組電池装置と同様の姿勢でも使用できる。
【0036】
この組電池装置は、使用姿勢の点以外に、図1に示した組電池装置における、箱体31の入気孔31aの場所に、吸気ファン51を設けた点が、図1に示した組電池装置の場合と異なる点である。すなわち、吸気ファン51を設けて内部に強制的に気流を作ることにより、組電池装置として放熱を可能としている。組電池装置内部における気流の通過の順は、図1や図3に示した組電池装置と同様である。このように強制的な放熱を可能としたことから、上で説明したように使用姿勢の自由度が増加している。また、吸気ファン51は、排気ファン41の場合より低温の空気を通過させることになるので、使用環境として小負荷であり、この結果、より長寿命を期待できる。
【0037】
次に、さらに別の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当する縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0038】
図6の図示は、図4、図5の図示と同様に、平面図(上面図または底面図)に相当する図示であるか、あるいはこの図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。これらの設置姿勢は、それぞれ、この組電池装置の望ましい使用姿勢であるが、使用姿勢がこれらに限られるわけではない。例えば、図1に示した組電池装置と同様の姿勢でも使用できる。
【0039】
この組電池装置は、使用姿勢の点以外に、図1に示した組電池装置における、箱体31の入気孔31aの場所に、吸排気ファン51Aを設けた点が、図1に示した組電池装置の場合と異なるひとつの点である。さらに、内部の気流の上流側および下流側に相当する単位セル1面上の位置に温度センサ61、62を設けている。
【0040】
吸排気ファン51Aを設けることで、ひとつの動作として、吸気動作ができる。これにより、図5に示した組電池装置と同様に放熱動作が可能である。また、もうひとつの動作として、排気動作ができる。これにより、内部の気流の向きをまったく逆にして、やはり放熱動作を行うことが可能である。
【0041】
このようなふたつの放熱動作は、以下のように使い分けることができる。すなわち、温度センサ61、62で検知される温度に基づき、その温度の高い側の位置が気流の上流になるように、吸排気ファン51Aの吸気、排気を切り替える。外部から取り入れられる空気は当初はより低い温度であるため、熱交換効果が高く、下流に行くに従い温度が上昇するので徐々に熱交換効果が低下する。したがって、温度センサ61、62のうち検出温度が高い側が気流の上流になるように吸排気ファン51Aの吸気、排気を切り替えれば、単位セル1間での温度均一性をより高めることができる。これは放熱動作としてより効率的である。
【0042】
次に、さらに別の実施形態について図7を参照して説明する。図7は、さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当する縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0043】
図7の図示は、図4、図5、図6の図示と同様に、平面図(上面図または底面図)に相当する図示であるか、あるいはこの図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。これらの設置姿勢は、それぞれ、この組電池装置の望ましい使用姿勢であるが、使用姿勢がこれらに限られるわけではない。例えば、図1に示した組電池装置と同様の姿勢でも使用できる。
【0044】
この組電池装置は、使用姿勢の点以外に、図1に示した組電池装置における、箱体31の入気孔31aの場所に吸排気ファン51Aを設け、さらに、出気孔31bの場所にも吸排気ファン41Aを設けた点が、図1に示した組電池装置の場合と異なる点である。さらに、内部の気流の上流側および下流側に相当する単位セル1面上の位置に温度センサ61、62を設けている。これは、図6に示した組電池装置の場合と同様である。
【0045】
吸排気ファン41Aは、吸排気ファン51Aの動作状態に従い、内部の気流を一方の方向に形成するように吸気、排気が切り替えられる。これにより、図6に示した組電池装置の場合と同様に、効率のよい放熱動作ができる。加えて、この組電池装置の場合、上流側にも下流側にも常にファンが設けられることで、気流形成能力が高く、その分放熱効果を高めることができる。
【0046】
次に、さらに別の実施形態について図8を参照して説明する。図8は、さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当する縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0047】
図8の図示は、図4ないし図7の図示と同様に、平面図(上面図または底面図)に相当する図示であるか、あるいはこの図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。これらの設置姿勢は、それぞれ、この組電池装置の望ましい使用姿勢であるが、使用姿勢がこれらに限られるわけではない。例えば、図1に示した組電池装置と同様の姿勢でも使用できる。
【0048】
この組電池装置は、図6に示した組電池装置を変形させたものである。図6に示した組電池装置の場合は、吸排気ファン51Aを設けているが、この組電池装置では、吸気ファン51と排気ファン41とを別々に並べて設けるように構成している。吸気ファン51を動作させるときには、排気ファン41を動作させず、逆に排気ファン41を動作させるときには、吸気ファン51は動作させない。これにより、図6に示した組電池装置の場合と同様に、種々の効果を得ることができる。
【0049】
次に、さらに別の実施形態について図9を参照して説明する。図9は、さらに別の実施形態である組電池装置の構成を示す横断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには、同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。なお、図2に相当する縦断面の図示は、容易に推考できるので省略する。
【0050】
図9の図示は、図4ないし図8の図示と同様に、平面図(上面図または底面図)に相当する図示であるか、あるいはこの図示における上下で、この装置の通常使用時の上下を示している。これらの設置姿勢は、それぞれ、この組電池装置の望ましい使用姿勢であるが、使用姿勢がこれらに限られるわけではない。例えば、図1に示した組電池装置と同様の姿勢でも使用できる。
【0051】
この組電池装置は、図8に示した組電池装置をさらに変形させたものである。すなわち、新たに、吸気ファン51に気流遮断カバー71を設け、排気ファン41にも気流遮断カバー72を設けている。気流遮断カバー71は、吸気ファン51を動作させない場合に、吸気ファン51の吸気経路を閉じるように位置し、吸気ファン51を動作させる場合に、吸気ファン51の吸気経路が確保されるように位置する。同様に、気流遮断カバー72は、排気ファン41を動作させない場合に、排気ファン41の排気経路を閉じるように位置し、排気ファン41を動作させる場合に、排気ファン41の排気経路が確保されるように位置する。
【0052】
吸気ファン51と排気ファン41とが同時には動作しない点は、図8に示した組電池装置の場合と同様である。上記のように気流遮断カバー71、72を設けることにより、吸気ファン51から取り入れられた空気が排気ファン41から漏れ出して内部の放熱効果を劣化させることを確実に防止できる。また、排気ファン41から放出される空気の一部が吸気ファン51から入り込んだ空気で占められて内部の放熱効果を劣化させることも確実に防止できる。
【0053】
以上説明の各実施形態では、共通して、熱容量具有部材5(または同5A)が単位セル群内それぞれの単位セル1間に設けられているので、その部材5の熱容量により、各単位セル1の温度上昇を抑制することができる。また、圧縮力付与機構により、各単位セル群内で複数の単位セル1が確実に導熱的に接続されるので、温度上昇が抑制された結果として、それらの温度は均一的温度に抑制がされ得る。
【0054】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…単位セル、2…端子接続部、5…熱容量具有部材(金属塊)、5A…熱容量具有部材(巻き付け薄板金属)、11…両端近傍雄ねじ付き棒、12,13…ナット、14…両端近傍雄ねじ付き棒、15,16…ナット、17…両端近傍雄ねじ付き棒、18,19…ナット、27,28…スリット付き剛性板、27a,28a…スリット、31…箱体、31a…入気孔、31b…出気孔、41…排気ファン、41A…吸排気ファン、51…吸気ファン、51A…吸排気ファン、61,62…温度センサ、71,72…気流遮断カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の厚板状の形状を有する単位セルを複数備え、該複数の単位セルの側面どうしが対向するように該複数の単位セルがひとつの方向に並べて配置された第1の単位セル群と、
矩形の厚板状の形状を有する単位セルを複数備え、該複数の単位セルの側面どうしが対向するように該複数の単位セルがひとつの方向に並べて配置され、前記第1の単位セル群とは離間して、互いに背面と腹面とが、または背面どうしが、または腹面どうしが対向するように配置された、第2の単位セル群と、
前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記複数の単位セルの前記側面どうしの間に設けられた熱容量具有部材と、
前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記複数の単位セルのうちのもっとも外側に位置する第1の単位セルと、前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記複数の単位セルのうちの、前記第1の単位セルとは反対の側のもっとも外側に位置する第2の単位セルとが互いに近づく方向に変位するように圧縮力を与える圧縮力付与機構と
を具備することを特徴とする組電池装置。
【請求項2】
前記熱容量具有部材が、前記第1、第2の単位セル群それぞれの前記腹面上および前記背面上にも設けられていることを特徴とする請求項1記載の組電池装置。
【請求項3】
前記第1、第2の単位セル群を囲う壁面を有する箱体をさらに具備し、
前記箱体が、前記壁面に、前記第1、第2の単位セル群のそれぞれ前記第1の単位セルから前記第2の単位セルの方向に、該第1の単位セル群と該第2の単位セル群との離間した空間に気流を流すように仕組みを備えていること
を特徴とする請求項1記載の組電池装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−43758(P2012−43758A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186673(P2010−186673)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】