説明

経口投与極性剤の生物利用能を増強する製剤

ノイラミニダーゼ阻害剤などの極性剤の経口浸透性を改善した組成物について記載する。該組成物は、1種以上の極性剤と1種以上の浸透性増強剤を含有し、Caco−2細胞膜を通過して輸送され得る極性剤の量を、浸透性増強剤が存在しない場合にCaco−2細胞膜を通過して輸送され得る量の少なくとも150%増加させる。該組成物を含有する経口投与製剤、およびインフルエンザ感染の治療または予防方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第61/001,874号(2007年11月5日出願)および第61/030,056号(2008年2月20日出願)に基づく優先権を主張する。これらの出願内容は、それぞれその全文およびすべての目的について、参照により本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は概して、活性薬剤の浸透性と生物利用能とを増強することに関する。より詳しくは、本発明は極性活性剤の浸透性と生物利用能とを増強することに関する。
【背景技術】
【0003】
ペラミビル(Peramivir)は、インフルエンザウイルスが複製して、その宿主に感染するために必須である酵素、ウイルス・ノイラミニダーゼを阻害することによって作用する一群の抗ウイルス剤の一員である。インフルエンザAおよびBの他にも、トリ・インフルエンザウイルス(H5N1)がペラミビルに感受性であることが示されている。より具体的には、インフルエンザの株にもよるが、ペラミビルはノイラミニダーゼ阻害剤として、オセルタミビル(タミフル;登録商標)およびザニミビル(zanimivir)よりも、インビトロでノイラミニダーゼ活性を50%阻害するために必要なそれぞれ実験的に定量した濃度に基づいて、2ないし10倍より強力であることが判明している。
【0004】
げっ歯類および霊長類での研究によると、ペラミビルの筋肉内注射の安全性と有効性はマウスのインフルエンザモデルにおいて確立されていることが報告されている。さらに、ペラミビルの静脈内および筋肉内用製剤が、前臨床動物モデルにおいて成功裏に評価されたと報告されている。しかし、ペラミビルの経口体についてのヒトでの検討は、ペラミビルの経口での生物利用能が非常に悪いことを示した。とりわけ、ペラミビルの経口用製剤の第III相臨床治験においては、インフルエンザAおよびBに対する抗ウイルス活性が統計的に有意な値に達しなかったと報告されている。
【0005】
従って、インフルエンザ感染の治療または予防のために経口投与した場合に、改善された生物利用能と有効性を示すノイラミニダーゼ阻害剤組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は少なくとも1種の極性剤および少なくとも1種の浸透性増強剤を含む組成物を特徴とする。該組成物により、Caco−2細胞膜などの細胞膜を通過して輸送され得る極性剤の量を増加させることが可能であり、また浸透性増強剤が存在しない場合に細胞膜を通過して輸送され得る量の少なくとも150%までその量を増加させることができる。本発明の組成物において使用するのに適した浸透性増強剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸塩、グリセロール、グリセロールモノカプリル酸エステル、界面活性剤、シクロデキストリン、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、キトサン、キトサン誘導体、塩化N−トリメチルキトサン、モノカルボキシメチル−キトサン、塩化パルミトイルカルニチン、アシルカルニチン類、エチレングリコール四酢酸、3−アルキルアミド−2−アルコキシプロピル−ホスホコリン誘導体、ジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネート、アルカノイルコリン類、N−アセチル化アミノ酸、粘膜付着性ポリマー、リン脂質、ピペリン、1−メチルピペラジン、α−アミノ酸、または鉱油などであり得る。細胞吸収性の劣る極性剤であっても、本発明の組成物において使用することができる。ある好適な観点では、該極性剤がオセルタミビル、ザナミビル、またはペラミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤である。本発明はまた、経口投与形態の組成物を提供する;該組成物は治療上有効量の極性剤および浸透性増強量の浸透性増強剤を含む。経口投与製剤はさらに該組成物を囲む腸溶性またはpH感受性のコーティングまたは層をも含み得る。経口投与製剤では、浸透性増強剤がグリセロール、グリセロールモノカプリル酸エステルまたはジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートであってもよい。また、該極性剤はオセルタミビル、ザナミビル、またはペラミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤であってもよい。該浸透性増強剤は該組成物中に、極性剤と浸透性増強剤とを合わせた重量の約5%ないし約95%の濃度で存在し得る。
【0007】
また、本発明はインフルエンザ感染の治療または予防のための方法をも特徴とする。一般に、該方法は少なくとも1種のノイラミニダーゼ阻害剤と少なくとも1種の浸透性増強剤とを含む組成物を、かかる組成物の経口投与製剤などとして、これを必要とする被験者に投与することを含む。当該方法において使用する組成物においては、該浸透性増強剤は、グリセロール、グリセロールモノカプリル酸エステルまたはジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートなどであり、またノイラミニダーゼ阻害剤はオセルタミビル、ザナミビル、またはペラミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤などである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、Caco−2細胞単層を通過して輸送されるペラミビルに対しての浸透性増強剤の作用を示す。Caco−2細胞浸透性アッセイは、最少経上皮電気抵抗(TEER)>200Ωcm2を有する単層を用い、標準法に従って実施した。特に言及しない限り、各増強剤はHBSS中、1%の最終濃度(w/w)で存在する。各増強剤が提供する対照(HBSS中ペラミビルのみ)を超える輸送率において倍増した増強が示される。直線は1:1の比を示す(増強せず)。
【図2】図2は、Caco−2細胞単層を通過するペラミビルの浸透性増強に対するキャップムル(Capmul)MCM L8濃度を上昇させる作用を示す。増強は約1〜2%のキャップムルMCM L8で飽和し、より高い濃度で下降する。本図および図1に示す1%キャップムルMCM L8での最大倍数増強の実験ごとの変動は、実験間の陰性対照浸透性(HBSSのみ)の差によるものと考えられる。
【図3】図3は、Caco−2細胞単層を通過するペラミビルの浸透性増強に対するガッテフォッセ(Gattefosse)組成物の増強作用を示す。キャップムルMCM L8を用いた結果と対照的に、増強作用の上昇は少なくとも2%の最終濃度まで直線的であり、このことは、最大の可能な増強がもっと高い濃度で起こることを示唆している。
【図4】図4は、Caco−2細胞単層を通過するペラミビルの浸透性増強に対するPPS濃度の上昇作用を示す。ペラミビルの浸透性における実質的に直線的な上昇は、PPS濃度が0.001%から0.01%の最終濃度に上昇するにつれて観察される。
【図5】図5は、Caco−2細胞単層を通過するペラミビルの浸透性増強に対するグリセロール濃度の上昇作用を示す。ペラミビル浸透性における実質的上昇は、グリセロール濃度が2%から5%の最終濃度に上昇するにつれて観察される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ペラミビルとは、化合物(1S,2S,3S,4R)−3−[(1S)−1−アセトアミド−2−エチルブチル]−4−(ジアミノメチリデンアミノ)−2−ヒドロキシ−シクロペンタン−1−カルボン酸をいい、下記の化学構造を有する:
【化1】

【0010】
とりわけ有意義なことは、3種の官能基:アルコール−OH基、カルボン酸基、およびグアニジノ基の存在である。グアニジノ基は、ノイラミニダーゼ活性を有する他の薬剤よりも改善されたペラミビルの活性に対して主として寄与しているのではないかと考えられる。しかし、ペラミビルおよびそのアルキルエステルの経口吸収性が乏しいことの主な原因は、特にペラミビルの両性イオン形状に見られるようなプロトン付加体における、グアニジノ基の高い極性によるものであろう。何らかの特定の理論または作用メカニズムに制限されることを意図するものではないが、薬剤の1個以上の極性基が該化合物の浸透性を制限していると考えられ、このことは、極性因子が輸送タンパクによって細胞膜を通過輸送されないか、または非常に僅かである場合に、特に問題となる。今回、製剤中に1種以上の浸透性増強化合物を、吸収され難い高極性剤と共に、特に、ノイラミニダーゼ阻害剤製剤に包含させることにより、細胞により吸収される薬物量が増加し得ること、また最終的に生体への生物利用能が増大し得ることが見出された。特に、浸透性増強化合物(類)は、細胞膜を通過する吸収に関して、改善された経口有効性をもつノイラミニダーゼ阻害剤などの極性剤を提供すると考えられる。何らかの特定の理論または作用メカニズムに拘束されることは望まないが、浸透性増強剤化合物は、ノイラミニダーゼ阻害剤などの高極性化合物の、細胞のタイトジャンクションを通る吸収増加を促進し得るか、または経細胞輸送経路を経て吸収を促進するように作用し得るか、または他のメカニズムを介して浸透性を増大するように作用し得ると考えられる。従って、本発明はノイラミニダーゼ阻害剤などの極性化合物の経口生物利用能と活性を改善するための組成物と方法を提供する。
【0011】
「極性」物質/剤とは、部分的または永続的電荷の程度が、ヒドロキシル基の電荷よりも大きいかもしくは同等であり、より好ましくはカルボキシル基の電荷よりも大きいかもしくは同等であり、より好ましくはイミダゾール基の電荷よりも大きいかもしくは同等であり、より好ましくはアミノ基の電荷よりも大きいかもしくは同等であり、およびより好ましくはグアニジノ基、リン酸エステル、または硫酸エステル基の電荷よりも大きいかもしくは同等である電荷を化合物に付与する少なくとも1個の基を有するものである。
【0012】
本発明の組成物の観点に関しては、少なくとも1種の極性剤と浸透性増強剤とを含む組成物であって、該組成物が浸透性増強剤を含まない組成物において観察される浸透性の少なくとも150%のCaco−2への極性剤の浸透性を提供する組成物が提供される。以下の開示および例示から明らかになるように、150%の浸透性の増強はまた、極性剤の浸透性を1.5倍改善することと等価である。好適な観点においては、極性剤はノイラミニダーゼ阻害剤である。
【0013】
当該技術分野において既知の、または発見されたノイラミニダーゼ阻害剤は、いずれも本発明の製剤および方法に従って使用することができる。限定されるものではないが、かかる薬剤の例は以下のとおりである:シス−3−[(メチルカルボニルアミノ)メチル]シクロペンタンカルボン酸;トランス−3−アミノ−c−4−(メチルカルボニルアミノ)メチル−γ−シクロペンタンカルボン酸;トランス−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−c−4−[(メチルカルボニルアミノ)メチル]シクロペンタン−γ−カルボン酸;4(3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−3α−[(2−ヒドロキシ−1−メチルカルボニル−アミノ)エチル]−1−シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[(2−ヒドロキシ)(1−メチルカルボニルアミノ)エチル]シクロペンタン−γ−カルボン酸ナトリウム;トランス−3−アミノ−トランス−1−ヒドロキシ−シス−4[(ヒドロキシメチル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]シクロペンタン−γ−カルボン酸;トランス−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−トランス−1−ヒドロキシ−シス−4−[(2−ヒドロキシメチル)(1−メチルカルボニルアミノ)エチル]シクロペンタン−γ−カルボン酸;3β−アミノ−4α−[(1−メチルカルボニルアミノ)(2,3,4−トリヒドロキシ)ブチル]シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[(1−メチルカルボニルアミノ)(2,3,4−トリヒドロキシ)ブチル]シクロペンタンカルボン酸;シス−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−トランス−1−ヒドロキシ−トランス−4−[(1−メチルカルボニルアミノ)(2−トリフルオロメチル−カルボニルオキシ)エチル]シクロペンタン−γ−カルボン酸;t−3−アミノ−c−4−[(1−メチルカルボニルアミノ)(2−フェニルメトキシ)エチル]−t−1−ヒドロキシシクロペンタン−γ−カルボン酸;c−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−t−1−ヒドロキシ−t−4−{(メチルカルボニルアミノ)([(メチル)−(メトキシ)アミノ]カルボニル)メチル}シクロペンタン−γ−カルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−{{4−[(メトキシ)(メチル)アミノ]−1−(メチルカルボニルアミノ−2−オキソ}ブチル)シクロペンタンカルボン酸;t−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−c−4−[(ジエチルアミノカルボニル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]−t−1−ヒドロキシシクロペンタン−γ−カルボン酸;t−3−アミノ−c−4−[(ジ−n−プロピルアミノカルボニル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]−t−1−ヒドロキシ−シクロペンタン−γ−カルボン酸;t−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−c−4−[ジ−n−プロピルアミノカルボニル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]−t−ヒドロキシシクロペンタン−γ−カルボン酸;c−3−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−t−4−[(ジ−n−プロピルアミノカルボニル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]−t−1−ヒドロキシシクロペンタン−γ−カルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[(ジ−n−プロピルアミノカルボニル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[(メチルカルボニルアミノ)(3−ペンチルアミノカルボニル)メチル]シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[(ジエチルアミノカルボニル)(メチルカルボニルアミノ)メチル]シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−{[(エチル)(プロピル)アミノカルボニル](メチルカルボニルアミノ)メチル}シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−{[(エチル)(プロピル)アミノカルボニル](メチルカルボニルアミノ)メチル}シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[1−(1−メチルカルボニルアミノ)ペント−2−エニル]シクロペンタンカルボン酸;3β−{[(アミノ)(イミノ)メチル]アミノ}−4α−[1−(メチルカルボニルアミノ)ペンチル]シクロペンタンカルボン酸;フェニルグアニジン;1−フェニルビグアニド;4−アセチルアミノ安息香酸;2−アセチルアミノベンゼンスルホン酸;4−アセチルアミノフェニルリン酸;4−(トリフルオロアセトアミド)安息香酸;4−チオアセトアミド安息香酸;4−[(メチルスルホニル)アミノ]安息香酸;3−グアニジノ安息香酸;3−[アミノ(シアノイミノ)メチル]アミノ安息香酸;3−シアノアミノ安息香酸;3−(2−アミノ−2−イミノ)エチル安息香酸;4−(アセトアミノ)フェニル酢酸;4−(メチルアミノカルボニル)安息香酸;4−アセチルアミノ−3−ヒドロキシメチル安息香酸;β−(2−N−アセチルアミノ−5−カルボキシフェニル)エタノール;4−アセチルアミノ−3−(2′,3′−ジヒドロキシプロピル)安息香酸;4−アセチルアミノ−3−アミノ安息香酸;4−アセチルアミノ−3−[(アミノイミノメチル)アミノ]安息香酸;3−[(アミノイミノメチル)アミノ]−4−(2−メチルプロピオニルアミノ)安息香酸;4−アセチルアミノ−3−[(ヒドロキシイミノ)メチル]安息香酸;3−[(アミノイミノメチル)アミノ]−4−[(メチルスルホニル)アミノ]安息香酸;3−[(N−ヒドロキシイミノ)メチル]−4−[(メチルスルホニル)アミノ]安息香酸;3−[((アミノイミノ)メチル)アミノ]−4−メトキシ安息香酸;3−[(アミノイミノメチル)アミノ]−4−ヒドロキシ安息香酸;3,5−ビス[(アミノイミノメチル)アミノ]安息香酸;3−アミノ−5−{[(アミノイミノ)メチル]アミノ}安息香酸;3−[(アミノイミノメチル)アミノ]−5−[(N−ヒドロキシルイミノ)メチル]安息香酸;および3−[(アミノイミノメチル)アミノ−5−ヒドロキシメチル]−4−(メチルスルホニル)アミノ安息香酸。特に好適なノイラミニダーゼ阻害剤は、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸エチルエステル(オセルタミビル)、5−アセトアミド−4−グアニジノ−6−(1,2,3−トリヒドロキシプロピル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピラン−2−カルボン酸(ザナミビル)、および(1S、2S、3S、4R)−3−[(1S)−1−アセトアミド−2−エチル−ブチル]−4−(ジアミノメチリデンアミノ)−2−ヒドロキシ−シクロペンタン−1−カルボン酸(ペラミビル)である。
【0014】
本発明の組成物は、治療上有効量の少なくとも1種の極性剤および浸透性を増強する量の浸透性増強剤を含む経口用組成物をも企図するものである。この観点においては、浸透性増強剤の増強する量とは、浸透性増強剤の存在しない場合に極性剤が提供する量の少なくとも150%(すなわち、1.5倍以上)、Caco−2への極性剤の浸透性を生じる量または濃度である。ある好適な観点においては、該極性剤はノイラミニダーゼ阻害剤である。
【0015】
また、本発明は細胞膜から通過吸収されないか、あるいはほんの僅かしか吸収されない極性剤の経口生物利用能を改善する方法をも提供する。一般に、かかる方法は、治療上有効量の少なくとも1種の極性剤および浸透性を増強する量の1種以上の適切な浸透性増強剤化合物を含む医薬製剤を、経口投与に適する医薬製剤もしくはその投与形状にて提供することを含む。適切な形状の例は、例えば、カプセル剤、錠剤、キャプレッツ、種々の持続性もしくは制御放出製剤、水剤、懸濁剤などであり、それぞれが当業者に周知であり、目的とする投与形状の製剤に適する許容される医薬賦形剤を包含し得る。ある好適な観点においては、該極性剤はノイラミニダーゼ阻害剤である。
【0016】
本明細書において使用する場合、用語「浸透性増強剤」、「増強剤」およびその変化形は、経口製剤に取り込ませたときに、極性剤の生物利用能を改善する化合物をいう。ノイラミニダーゼ阻害剤浸透性増強剤は、増強剤化合物の存在しない場合のノイラミニダーゼ阻害剤の輸送率に比較して、Coca−2の細胞膜を通過するノイラミニダーゼ阻害剤輸送率を1.5倍(150%)、またはそれ以上上昇させ得る化合物と定義し得る。当業者が利用し得る既知のまたはその他の手段、例えば、本明細書に記載され例示されるCaco−2細胞浸透性アッセイを用いて、輸送率を決定することができる。
【0017】
極性剤の生物利用能に関しては、浸透性増強剤の存在が、浸透性増強剤の存在しない場合の極性剤の生物利用能に比較して、被験者に対する極性剤の生物利用能を増大させる。従って、ある観点においては、浸透性増強剤の存在が、浸透性増強剤の存在しない場合の極性剤の生物利用能量の約1.5倍、極性剤の生物利用能を増大させる。より好ましくは、浸透性増強剤の存在は、極性剤の生物利用能を、浸透性増強剤の存在しない場合の極性剤の生物利用能量の約2倍まで、より好ましくは約2.5倍、より好ましくは約3倍、より好ましくは約3.5倍、より好ましくは約4倍、より好ましくは約4.5倍、より好ましくは約5倍、より好ましくは約6倍、より好ましくは約7倍、より好ましくは約8倍、より好ましくは約9倍、より好ましくは約10倍、より好ましくは約12倍、より好ましくは約15倍、より好ましくは約17倍、より好ましくは約20倍、より好ましくは約22倍、より好ましくは約25倍、より好ましくは約27倍、より好ましくは約30倍またはさらにそれ以上増大させる。
【0018】
本発明は、浸透性増強剤の存在しない場合に生物利用能量の低い高度極性剤が、製剤と浸透性増強剤とを組合わせた時、その生物利用能を上昇させることを企図する。望ましくは、該極性剤の生物利用能は、極性剤を投与した被験者において、少なくとも約10%上昇させること、より好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約35%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約55%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%上昇させること、そしてより好ましくは、浸透性増強剤で製剤化して極性剤を投与した被験者においては、少なくとも約75%以上上昇させることである。
【0019】
様々な群の化合物が、本発明による適切な浸透性増強剤として役立ち得る。第一の範疇には、脂肪酸およびその塩とエステル、例えば、モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリドが包含される。中鎖長脂肪酸、とりわけ、C8およびC10酸、およびそれらの塩とエステルは特に有用である。適当な具体例は、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、キャップムル(CAPMUL;登録商標)グリセリド(オハイオ州、コロンバスのアビテックから入手可能)、ラブラゾール(LABRASOL:登録商標)グリセリド(PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド;フランス、セデックス、セントプリーストのガッテフォッセSASから入手可能)、ゲルシール(GELUCIRE;登録商標)44/14(PEG−32ラウリン酸グリセリルEP;ガッテフォッセから入手可能)、他のグリセリドおよび脂肪酸エステル、クレモフォア(CREMOPHOR;登録商標)(BASF、ルードウィッヒシャッフェン、ドイツ)、D−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル、植物油、ポリオキシグリセリド、および中鎖モノ−およびジアシルグリセリドである。
【0020】
この群の一例、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8(モノカプリル酸グリセロール)(オハイオ州、コロンバスのアビテックから入手可能)は、中鎖脂肪酸(カプリル酸主体で一部カプリン酸)のモノ−およびジグリセリドおよび7%最大遊離グリセロールから構成される。このものは少なくとも44%のアルファモノグリセリド(カプリル酸エステルとして)を含有する。
【0021】
この群の増強剤のその他の例は、ガッテフォッセSASに所有権のあるガッテフォッセ組成物61Aないし61Hであるが、一般に、1種以上の中鎖モノ−、ジ−、もしくはトリ−グリセリド、ポリソルビン酸誘導体、ポリオキシひまし油誘導体、ポリエチレングリコール誘導体(例えば、ポリエチレングリコールグリセリド)、ポリオキシルエーテル、植物油、およびグラス(GRAS)(一般に安全とみなされる)脂質成分などを様々な量で含有する混合物から構成される。これらの成分は個々の市販品、例えば、カプリオール(CAPRYOL;商標)90、カプリオール(CAPRYOL;商標)PGMC、ラウログリコール(LAUROGLYCOL:商標)90、ゲルシール(GELUCIRE;登録商標)44/14、プルロールオレイックCC497、ラブラソール(LABRASOL;登録商標)、ラブラフィル(LABRAFIL;登録商標)M1944CS(杏仁油PEG−6エステル)、トランスキュートルHP、ペセオール、およびメイシン35−1などの一部であり、これらはすべてガッテフォッセSASから入手し得る。
【0022】
この群に直接当てはまるものではないが、グリセロールそれ自体は、特にノイラミニダーゼ阻害剤に対して優れた浸透性増強作用を分与することが見出されている。グリセロールは浸透性増強剤であるとは考えられていないため、この結果は予測されなかったものである。
【0023】
増強剤の第二の範疇には、胆汁酸塩など、ステロイド構造をもつ界面活性剤が包含される。適切な化合物の例は、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリコール酸塩、グリコウルソデオキシコール酸塩、タウロコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、およびステロイド洗浄剤/胆汁塩である。その他の界面活性剤も適当な浸透性増強剤であり、例えば、カチオン性、アニオン性、および非イオン性界面活性剤を包含する。例示すると、ポリソルベート80、塩化ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウム、臭化N−ヘキサデシルピリジニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシル−β−D−マルトシド、オクチルグルコシド、グリシルリチン酸、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパン−スルホネート、およびラウリル硫酸ナトリウムなどである。
【0024】
シクロデキストリン類も適切な増強剤として使用し得る。例示すると、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンである。
【0025】
他の様々な化合物もまた増強剤として使用し得る。例示すると、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、キトサンとキトサン誘導体、塩化N−トリメチルキトサン、モノカルボキシメチル−キトサン、塩化パルミトイルカルニチン、アシルカルニチン類、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、3−アルキルアミド−2−アルコキシプロピル−ホスホコリン誘導体、アルカノイルコリン類、N−アセチル化アミノ酸(α−および非α−アミノ酸にもとづく)、粘膜付着性ポリマー、リン脂質、ピペリン、1−メチルピペラジン、α−アミノ酸類、および鉱油である。
【0026】
このように、広範囲の増強剤化合物が以下からなる群より選択し得る:脂肪酸類、脂肪酸エステル類、脂肪酸塩類、グリセロール、界面活性剤、シクロデキストリン類、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、キトサン、キトサン誘導体、塩化N−トリメチルキトサン、モノカルボキシメチル−キトサン、塩化パルミトイルカルニチン、アシルカルニチン類、エチレングリコール四酢酸、3−アルキルアミド−2−アルコキシプロピル−ホスホコリン誘導体、アルカノイルコリン類、N−アセチル化アミノ酸、粘膜付着性ポリマー、リン脂質、ピペリン、1−メチルピペラジン、α−アミノ酸類、および鉱油。
【0027】
浸透性増強剤の上記の例は一部の例示にすぎず、可能性のある浸透性増強剤の完全なリストを構成するものではない。ノイラミニダーゼ阻害剤の経口吸収を少なくと50%上昇させ得る化合物はいずれも本発明の範囲内のものであると考えられる。
【0028】
浸透性増強剤および極性剤は、治療上有効量の極性剤と浸透性を増強し得る量の増強剤化合物が提供される限り、如何なる比率で混合してもよい。経口投与した極性剤の生物利用能の増強は、製剤化した増強剤化合物の性質と濃度に左右され得るものである。従って、必要とされる治療量は、単回投与形態で含有し得るし、または同時もしくは連続的な取り込みを意図して1回以上の投与量に分割して投与してもよい。
【0029】
浸透性増強剤は、極性剤の濃度とは相対的に独立して作用する。異なる浸透性増強剤は、それらの特定の本来的増強力に依存して広い濃度範囲で、任意のまたは最大の増強に到達し得る。多くの場合、増強剤は、存在する増強剤濃度と極性剤吸収増加量との間に、非直線的用量応答関連性を有する。極性剤を含む経口投与製剤において利用されるべき増強剤の量は、最初は、様々に固定した増強剤濃度でCaco−2細胞アッセイにおいて観察される増強性に基づく。これらの結果に基づいて、ヒト製剤用の増強剤化合物のインビボ有効量は、製剤技術分野の当業者に周知の方法を用いて、過度の実験を遂行することなく、見積もり、証明し、最適化して、所望の薬動力学的インビボプロフィールを得ることができる。
【0030】
本発明の組成物を製剤化する上で、製剤技術の当業者にとって、より有効な増強剤化合物は、目標の薬動力学的プロフィールを得るために、有効性の劣る浸透性増強剤よりも極性剤が少量ですむことは明らかであろう。
【0031】
これらの考慮点および変動によれば、増強剤の量は、増強剤と極性剤とを合わせた重量の少なくとも約0.1重量%であり、より好ましくは少なくとも約50重量%であり、またより好ましくは増強剤と極性剤とを合わせた重量の少なくとも約70重量%であるとよい。この量は増強剤と極性剤とを合わせた重量の多くて95重量%、より好ましくは多くて80重量%、またより好ましくは多くて75重量%である。従って、実施例に示すように、典型的な投与形態は、化合物それ自体により、また経口投与後、極性剤が浸透性を増強したことによるその有効性により、増強剤化合物の濃度は幅広い範囲を採り得る。0.001重量%から20%までの低い濃度でも、極性剤の浸透性増強により有効であることが証明されている。
【0032】
適当な賦形剤については製剤技術分野の当業者に周知であり、薬学の技術分野で既知の賦形剤または賦形剤の組合わせをいずれも使用し得る。例としては、流動性助剤、安定剤、界面活性剤、結合剤、分散化剤、芳香剤、矯味剤、コーティング剤、放出制御剤、水、および/または経口投与形態の製剤に一般的に採用される他の賦形剤が挙げられる。ある実施態様においては、該賦形剤は、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、ラクトース、前ゼラチン化デンプン、カルナウバロウ、カンデリラロウ、シリカ、およびステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上の物質であってもよい。
【0033】
本発明の組成物は、ある観点においては、1種以上の極性剤と、適当量の単一の浸透性増強剤化合物もしくはその組合わせと、任意に他の製剤添加物/賦形剤とを組合わせ、充分に混合し、さらに得られた組成物を打錠するか、または硬殻カプセルもしくは軟ゲルカプセルに充填することにより調製し得る。場合により、混合物を超音波処理すること(すなわち、ノイラミニダーゼ阻害剤/増強剤混合物に超音波を照射する)が、増強剤の有効性を増大させ得る。超音波処理の一般的方法はプローブ型または浴型超音波処理装置を使用するなど、当該技術分野において既知である。
【0034】
また、場合によっては、混合物の高エネルギー混和(例えば、混合物を剪断力に付すこと)が増強剤の効力を増加させ得ることも見出されている。高エネルギー混和の一般的方法は、当該分野で既知の方法、例えば、攪拌、回転攪拌装置またはコロイドミルなどである。
【0035】
また、場合によっては、該混合物の均質化または微粒子化(例えば、混合物に、限定されるものではないが、剪断、乱流、加速、および衝撃力などの極端な圧力および応力を加える)が、水中の極性剤/増強剤混合物のエマルジョンを形成することにより増強剤の効力を高め得ることが見出されている。微粒子化の一般的方法は、高圧ホモジナイザーの使用など、当該技術分野で既知のものである。かかる微粒子化法は製剤混合物の粒子径を有意に減少させ得るものであり、典型的には粒子径<10μmのものを提供する。例えば、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8/ノイラミニダーゼ阻害剤混合物は、およそ等重量の水に乳化させることができる。この操作は、エマルジョンが形成されるまで、該混合物を繰返し狭い開口から噴出させるか、または当業者既知の他のエマルジョン形成法により実施し得る。典型的には大まかに等重量の水が充分に働き得るが、他の比率も本発明に従い使用してもよい。
【0036】
超音波処理、高エネルギー混和、均質化および微粒子化などの方法は、すべて該混合物の粘度を変化させ得る。場合によっては、混合物の粘度は、時に50%以上にまで有意に上昇することが見出されている。場合によっては、粘度の増大は改善された製造適合性(すなわち、カプセルまたはソフトゲルなどの固体投与形状容器に封入する上での効率改善)にとって、または内容物均一性の改善にとって、また混合物の流動性低下のために、望ましい。ある観点においては、粘度の有意な増加は増強剤の効力を増大させ得る。
【0037】
ある観点においては、粘度の有意な増大は、高エネルギー混合、超音波処理または均質化が成功したことを示す。場合により、混合物の均質化、微粒子化、超音波処理または高エネルギー混和においては、吸熱反応は粘度の増加を伴い得ることが見出されている。ある実施態様においては、吸熱反応は高エネルギー混合、超音波処理または均質化が成功したことを示す。この作用を示す一例としての実施態様は、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8とペラミビルとの組合わせであり、このものはある種の条件下の超音波処理により吸熱遷移を受けるが、その間に混合物は突然顕著に、より不透明となり、混合物の温度が急速に降下する。場合により、例えば、遷移は約65〜75℃から約10℃の温度降下を生じる。
【0038】
得られる組成物は、典型的に粘稠な液体または糊様の固体である。さらなる浸透性増強剤または製剤添加剤は、最初の脂質/薬剤組成物の超音波処理の前、または超音波処理の後のいずれで加えてよい。
【0039】
ある実施態様においては、該組成物を含有する錠剤、多微粒子投与形態、カプセル、または顆粒は、胃末端の胃腸管において薬物組成物を放出し易くするために、腸溶性またはpH感受性層で被覆してもよい。ある実施態様においては、腸溶性コーティングまたはpH感受性層は、限定されるものではないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および酢酸フタル酸ポリビニル;およびメタアクリル酸とメタアクリル酸エステルに基づくアニオン性ポリマーからなる腸溶性ポリマー群から選択される1種以上の物質を含有していてもよい。
【0040】
本開示は、任意の腸溶性コーティングを有する錠剤またはカプセル形状に、少なくとも1種の極性剤、浸透性増強剤、および任意に他の賦形剤を含む製剤組成物を企図する。ある実施態様においては、かかる組成物は潜在的な賦形剤として水分を排除した非水性のものであり、唯一存在する水分は個々の製剤成分に本来的にまたは自然に存在し得る水分である。さらに企図されることは、本発明によるカプセル送達投与のための液体製剤の粘度を、その製剤の5%水溶液の粘度よりも高くすることである。
【0041】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するために提供する。これらの実施例は説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0042】
一般的実験方法
浸透性増強剤、例えば、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8、ガッテフォッセ61Aないしガッテフォッセ61H組成物、グリセロール、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート(PPS)、ロイシン、アラニン、ゲルシール44/14、トゥイーン20、N−メチルピペラジン、およびd−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS)をそれぞれペラミビルと混合し、渦振盪し、超音波処理した。例えば、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8の場合、増強剤をぺラミジルと、増強剤とペラミビルの重量比が約333:1ないし約1333:1の範囲となるような量で混合し、引き続き、ペラミビルが15μg/mL(0.0015%)の濃度で存在するレベルまで混合物をHBSSに希釈したときに、サンプルの増強剤濃度が下記の表に示すように、0.5%ないし2.00%の範囲となるように混合する。混合操作は、比較粘度の低い液体混合物を、安定かつ非分離性の高粘度もしくは糊様組成物に変換する超音波処理(浴型またはプローブ型ソニケーターを使用)により実施する。
【0043】
同様の方法で、他の増強剤化合物をペラミビルと、増強剤とペラミビルとの重量比が約0.7:1ないし約7000:1の範囲となるような量で混合するか、また同様に、混合物をペラミビルが15μg/mL(0.0015%)の濃度で存在するレベルまで引続き希釈したときに、サンプルの増強剤濃度が下記の表に示すように、0.001%ないし約10%の範囲となるように混合する。
【0044】
浸透性増強剤の有効性を評価するために、Caco−2細胞浸透性アッセイにより、ペラミビルの浸透性を増大させる1種以上の浸透性増強剤化合物の能力を証明するためのデータを取得した。本アッセイは文献[Artursson P, Palm K, Luthman K., Caco-2 Monolayers in Experimental and Theoretical Predictions of Drug Transport(薬物輸送の実験的および理論的予測におけるCaco−2単層), Adv Drug Deliv Rev. 2001 Mar 1; 46(1-3): 27-43;Shah P, Jogani V, Bagchi T, Misra A,. Role of Caco-2 Cell Monolayers in Prediction of Intestinal Drug Absorption(腸内薬物吸収の予測におけるCaco−2単層の役割), Biotechnol Prog. 2006 Jan-Feb; 22(1): 186-98]記載の方法に従って実施した。アッセイは約68,000個の生存するCaco−2細胞を、1.12cm2のコースター・トランスウエルインサート(12穴フォーマット、0.4ミクロン孔径のPET膜)において、20%ウシ胎児血清、グルタミン、ピルビン酸塩、非必須アミノ酸、表皮増殖因子、ITS(インスリン、トランスフェリン、セレン)、およびペニシリン/ストレプトマイシンを補足したダルベッコ修飾イーグル培地(高グルコース)に播種することにより実施した。細胞は2〜3日ごとに培地交換しながら、21〜25日間インキュベートした。経上皮電気抵抗(TEER)の読み取りを実施し、トランスウエル膜上の細胞単層の質を試験した。該膜をハンクスバランス塩溶液(HBSS、入手先:メディアテック・インク、ハーンドン、バージニア州)で洗い、膜横断抵抗を測定した。TEER読み取り値が200Ωcm2以上のウエルを、浸透性アッセイに使用した。
【0045】
Caco−2細胞単層を含むトランスウエルインサートをHBSS中洗浄し、それらを1.5mlのHBSSを低部ウエルにもつ12穴プレートに容れた。ペラミビル含有試験製剤をHBSSに希釈してペラミビル濃度15μg/mLとし、その溶液0.5mlをトランスウエルインサートに加えた。各製剤は三重測定により試験した。トランスウエルインサートを50rpmで回転しながら37℃のインキュベーター中で、30分間インキュベートした。この時間の終末点で、トランスウエルインサートを12穴プレートの新たなウエル中、新たなHBSS1.5mlに容れ、さらに30分間インキュベートした。総計8ないし10の30分時点のものを、12穴ウエルプレートの連続するウエル中の新たなHBSS1.5mlに、トランスウエルインサートを連続的に移動させることにより集めた。底部ウエルに輸送されたペラミビルの量をLC−MSにより定量し、各試験製剤について膜を通過して輸送されるペラミビルの率を明らかにした。参照対照は、浸透性増強剤化合物の存在しないHBSS中のペラミビルから構成されていた。
【0046】
本明細書において使用する場合、用語「増加倍数」とは、増強剤が付与するペラミビル浸透性に対する増加力効果を示すものである。従って、浸透性上昇の程度はペラミビルのみの(浸透性増強化合物の不存在下、または浸透性の増強に無効である化合物の存在下の)浸透性を百分率で表し、その場合、100%以下の結果は浸透性の増強のないことを示す。同様に、これらの値は「−倍」値で報告され(また、下記の数値およびデータセットで示す)、その場合、1倍とはペラミビルのみと等価(すなわち、100%と同じ)であり、1.5倍の値はペラミビルのみの値の150%と同じであり、5の倍数値は500%増強と等価である、などと示される。
【実施例2】
【0047】
ペラミビルのCaco−2浸透性に対する種々の浸透性増強剤の評価
図1に示すように、ペラミビルのCaco−2細胞浸透性は、単一濃度で様々な浸透性増強剤と組合わせたときに増強された。
【0048】
有意な浸透性増加はキャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8により提供されたが、ガッテフォッセ組成物の多くによっても有意な増加が観察された。これまでに試験した他の物質と比較して、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8は、さらなる別の利点を有すると思われる。図2および3に示すように、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8による浸透性増強(図2)は、ガッテフォッセ組成物(図3)に比較して、増強剤の、むしろ低重量レベルで飽和状態となり、生じるように思われる。
【0049】
キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8
キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8と組合わせたペラミビルのCaco−2浸透性は、上記同様に実施した。その結果は図2および表1に報告する;前者は1データセットからの比較にもとづく増加倍数と関連するデータを可視化表示するものであり、後者は、膜通過ペラミビル輸送の観察される割合(輸送されるペラミビルng/分)および浸透性増強剤によるCaco−2細胞膜通過浸透性の倍増の両方を、ペラミビルのみを含む対照に比較して、共に15μg/mLのペラミビル濃度として説明するもう一つのデータベースを示す。
【0050】
キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8濃度の変動は、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8をHBSS中、0.5%から1%に増加させた場合、Caco−2細胞膜通過ペラミビルの浸透性を有意に増加させた。これまでに実施した試験において、最良の浸透性増強は約1%のキャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8の濃度で観察され、より高い濃度(例えば、5%)では幾分浸透性が抑制された。以上のように、浸透性の有意な改善が、ペラミビル浸透性増強剤としてキャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8を包含させることにより得られた。
【0051】
ガッテフォッセ61Aないしガッテフォッセ61H
ペラミビル15μg/mLを含有するHBSS溶液中、ガッテフォッセ組成物61Aないし61Hを0.5%から2%に変化させた濃度で包含させることにより得た結果を下記表に示す。結果に見られるように、ペラミビル浸透性の有意な増加は、ガッテフォッセ61Aないし61H化合物含有濃度を一般に少なくとも0.5%、あるいはそれ以上とすることにより達成された。同様の結果を、61A、61Eおよび61Fを説明する別のガッテフォッセデータベースについて図3にグラフを用いて示す。
【0052】
ジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネート
可能性のあるすべての浸透性増強剤がCaco−2細胞アッセイにおいてペラミビルに有効であることを示した訳ではない。例えば、トゥイーン80、サリチル酸ナトリウム、およびメチルピペラジンは大部分が陰性であることが示されている。ペラミビル浸透性増強に関連する幾つかのメカニズムの一層の理解を促進するために、さらなる化合物および組成物について試験した。有望な新しいデータは、ホスファチジルコリン(PC)および3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート(PPS)を包含する。PCはCaco−2細胞アッセイにおいて、ペラミビル浸透性増強に幾分有望であることを示していたが、その水不溶性がその結果を困惑させる。PCはまた密着結合調節メカニズムを介して作用すると思われる。
【0053】
密着結合の挙動を変化させる他の浸透増強性組成物と対照的に、PPCは異なるメカニズムを介して作用する。PPSは両性イオン洗浄剤であり、経細胞浸透性経路を用いる輸送を上昇させる膜流動化性を有する。図4に示すように、PPS濃度を0.001%から最終濃度0.01%に変えるCaco−2細胞アッセイでは、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8において認められる浸透性と同等の実質的に増大したペラミビル浸透性を提供した。この結果は、膜流動性の性質を修飾すると期待された非イオン性界面活性剤トゥイーン80での陰性の結果に比較してとりわけ興味深いものである。他の非イオン性およびイオン性の界面活性剤、例えば、胆汁塩に関するさらなる試験も実施する予定である。PPSは承認された不活性成分のFDAリストには掲載されていないが、使用した濃度では細胞傷害性はない。表1は、Caco−2細胞単層通過ペラミビル輸送に関し、本発明による他の浸透性増強剤の用量−応答特性を示す。以上のように、有意な浸透性増強が、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート(PPS)の場合に得られた。
【0054】
グリセロール
ペラミビルの浸透性を上昇させるグリセロールの能力を下記表1に示す。約1%またはそれ以下のより低いグリセロール濃度で、150%未満のペラミビル浸透性増強が得られた。しかし、浸透性増強の実質的増大は、グリセロール濃度が約1%以上、適切には約2%から10%の高さの範囲である場合に得られた。
【0055】
図5に示す結果は、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8と同様に、グリセロールが低濃度で浸透性を上昇させる上で無効であるが、5%までのより高い濃度では実質的に浸透性を増大させることを示す。この結果は、グリセロールが細胞間隙(paracellula)輸送を増大させる密着結合機構を破損するという公表されている観察結果と矛盾がない(Wiebe JP, Kowalik A, Gallardi RL, Egeler O, and Clubb BH (2000) "Glycerol disrupts tight junction-associated actin microfilaments, occluding, and microtubules in Sertoli cells" (グリセロールはセルトリ細胞において密着結合関連アクチン微小線維、閉鎖、および微小管を破損する), J. Androl, 21, 625-635)。グリセロールの安全性プロフィールおよびペラミビルでのそのインビボ浸透性増強能力の両方が、グリセロールをヒトでの治験における魅力的な代替品として考慮させる。
【0056】
その他の浸透性増強剤
ゲルシール44/14、ホスファチジルコリン、トゥイーン20、およびN−メチルピペラジンを浸透性増強剤として使用した。これらの一部については、実質的な増強が非常に低い濃度で得られた;その幾つかの例では0.0016%という低濃度であった(表1)。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【実施例3】
【0059】
提案された最初のヒト薬動力学的治験
本例は予測例である。提案された腸溶性被覆ペラミビル経口投与製剤が有効であるためには、細胞間隙もしくは経細胞輸送経路、またはその両方に衝撃を与えるのに適切な量の浸透性増強剤を含有すべきである。かかる条件を確認し得た段階で、所望の血中レベルを達成するために、ペラミビルの量を適切に計り取る。例えば、浸透性増強剤の量は、ヒトの十二指腸の容積を考慮すべきであり、大まかには750〜1000mgおよび1500〜2000mgの増強剤が、それぞれヒトの十二指腸の容積に釣り合った下限範囲と上限範囲の用量に相当する。
【0060】
最初のヒトでのPK治験は、キャップムル(CAPMUL;登録商標)MCM L8とグリセロール両方の実用性を試験するように設計すべきである。腸溶性被覆ソフトゲルを利用する4方向または5方向に互いにまたがるプロトコールを予測する。これは個々のアームで1個または2個のソフトゲルを被験者に投与し、ペラミビルの血中レベルが投与量に比例するかどうかを判定するためにPKデータを調べることを含む。ペラミビル投与量の比例は、使用した浸透性増強剤の低投与量から略作用の飽和までを示している。あるいは、個々の製剤は各アームについて製造することが可能であり、その場合、ペラミビルは一定に維持され、また浸透性増強剤は2系列の量で使用する。以下のアームは浸透性増強剤機能両方につき試験し、製造しなければならない製剤の数を限定するために提案するものである。
【0061】
アーム1:単回投与製剤において、150mgのペラミビルおよび765mgのキャップムルMCM L8(キャップムルMCM L8 765mgはFDA不活性成分リスト上、現在承認されている最高量である)。
アーム2:300mgのペラミビルと1530mgのキャップムルMCM L8を、アーム1で使用した2個のゲルカプセルとして投与。
アーム3:単回投与製剤において、150mgのペラミビルおよび1000mgのグリセロール(グリセロールは223.8mgが現在承認されている最高量であるが、食品添加物としてのその安全性と用途については、その制限の増加について、重大な法的障害は存在しない)。
アーム4:300mgのペラミビルと2000mgのグリセロールを、アーム3で使用した2個のゲルカプセルとして投与。
アーム5:単回投与製剤において、150mgまたは300mgのペラミビルと不活性充填剤(このものは浸透性増強剤の影響を測定するために含めた任意の陰性対照アームである。経口ペラミビルでの先の臨床経験に左右される必要はない)。
【0062】
この治験からの結果は、ペラミビルを経口的に送達する可能性を証明するために、また最適な剤形とペラミビル薬物負荷を規定する指針として使用するために、重要な情報を提供すると期待される。
【0063】
本発明を、具体的な実施態様を参照しながら本明細書において説明し、記載したが、本発明はここに示した詳細な情報に限定されるものではない。むしろ、様々な細部の修飾が請求項に等価の範囲内でなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性剤および浸透性増強剤を含む組成物であって、Caco−2細胞膜を通過して輸送され得る極性剤の量を、浸透性増強剤が存在しない場合にCaco−2細胞膜を通過して輸送され得る量の少なくとも150%増加させる組成物。
【請求項2】
浸透性増強剤が、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸塩、グリセロール、界面活性剤、シクロデキストリン、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、キトサン、キトサン誘導体、塩化N−トリメチルキトサン、モノカルボキシメチル−キトサン、塩化パルミトイルカルニチン、アシルカルニチン、エチレングリコール四酢酸、3−アルキルアミド−2−アルコキシプロピル−ホスホコリン誘導体、アルカノイルコリン、N−アセチル化アミノ酸、粘膜付着性ポリマー、リン脂質、ピペリン、1−メチルピペラジン、α−アミノ酸、および鉱油からなる群より選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
浸透性増強剤が1種以上の脂肪酸エステルを含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
浸透性増強剤がグリセロールである請求項1記載の組成物。
【請求項5】
浸透性増強剤がモノカプリル酸グリセロールである請求項1記載の組成物。
【請求項6】
浸透性増強剤がジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートである請求項1記載の組成物。
【請求項7】
極性剤がノイラミニダーゼ阻害剤である請求項1記載の組成物。
【請求項8】
ノイラミニダーゼ阻害剤がオセルタミビルである請求項7記載の組成物。
【請求項9】
ノイラミニダーゼ阻害剤がザナミビルである請求項7記載の組成物。
【請求項10】
ノイラミニダーゼ阻害剤がペラミビルである請求項7記載の組成物。
【請求項11】
該極性剤と浸透性増強剤が乳化混合物を形成している請求項1記載の組成物。
【請求項12】
請求項1記載の組成物を含む経口投与製剤であって、該組成物は治療上有効量の極性剤と浸透性増強量の浸透性増強剤とを含む経口投与製剤。
【請求項13】
さらに、組成物を囲む腸溶性またはpH感受性のコーティングまたは層を含んでなる請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項14】
浸透性増強剤がグリセロールである請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項15】
浸透性増強剤がモノカプリル酸グリセロールである請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項16】
浸透性増強剤がジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートである請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項17】
極性剤がノイラミニダーゼ阻害剤である請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項18】
ノイラミニダーゼ阻害剤がオセルタミビルである請求項17記載の経口投与製剤。
【請求項19】
ノイラミニダーゼ阻害剤がザナミビルである請求項17記載の経口投与製剤。
【請求項20】
ノイラミニダーゼ阻害剤がペラミビルである請求項17記載の経口投与製剤。
【請求項21】
該極性剤と浸透性増強剤が乳化混合物を形成している請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項22】
浸透性増強剤が、極性剤と浸透性増強剤とを合わせた重量の約5%ないし約95%の濃度で組成物中に存在する請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項23】
インフルエンザ感染の治療または予防方法であって、請求項7に記載の組成物をこれを必要とする被験者に投与することを特徴とする方法。
【請求項24】
インフルエンザ感染の治療または予防方法であって、請求項17に記載の経口投与製剤をこれを必要とする被験者に投与することを特徴とする方法。
【請求項25】
浸透性増強剤がモノカプリル酸グリセロールである請求項24記載の方法。
【請求項26】
浸透性増強剤がグリセロールである請求項24記載の方法。
【請求項27】
浸透性増強剤がジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートである請求項24記載の方法。
【請求項28】
ノイラミニダーゼ阻害剤がオセルタミビルである請求項24記載の方法。
【請求項29】
ノイラミニダーゼ阻害剤がザナミビルである請求項24記載の方法。
【請求項30】
ノイラミニダーゼ阻害剤がペラミビルである請求項24記載の方法。
【請求項31】
ペラミビルおよび浸透性増強剤を含む組成物であって、Caco−2細胞膜を通過して輸送され得るペラミビルの量を、浸透性増強剤が存在しない場合にCaco−2細胞膜を通過して輸送され得る量の少なくとも150%増加させる組成物。
【請求項32】
請求項31に記載の組成物を含む経口投与製剤であって、該組成物は治療上有効量のペラミビルと浸透性増強量の浸透性増強剤とを含む経口投与製剤。
【請求項33】
浸透性増強剤がグリセロールである請求項32記載の経口投与製剤。
【請求項34】
浸透性増強剤がモノカプリル酸グリセロールである請求項32記載の経口投与製剤。
【請求項35】
浸透性増強剤がジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートである請求項32記載の経口投与製剤。
【請求項36】
オセルタミビルおよび浸透性増強剤を含む組成物であって、Caco−2細胞膜を通過して輸送され得るオセルタミビルの量を、浸透性増強剤が存在しない場合にCaco−2細胞膜を通過して輸送され得る量の少なくとも150%増加させる組成物。
【請求項37】
請求項36に記載の組成物を含む経口投与製剤であって、該組成物は治療上有効量のオセルタミビルと浸透性増強量の浸透性増強剤とを含む経口投与製剤。
【請求項38】
浸透性増強剤がグリセロールである請求項37記載の経口投与製剤。
【請求項39】
浸透性増強剤がモノカプリル酸グリセロールである請求項37記載の経口投与製剤。
【請求項40】
浸透性増強剤がジメチルパルミチル−アンモニオプロパンスルホネートである請求項37記載の経口投与製剤。
【請求項41】
ザナミビルおよび浸透性増強剤を含む組成物であって、Caco−2細胞膜を通過して輸送され得るザナミビルの量を、浸透性増強剤が存在しない場合にCaco−2細胞膜を通過して輸送され得る量の少なくとも150%増加させる組成物。
【請求項42】
請求項41に記載の組成物を含む経口投与製剤であって、該組成物は治療上有効量のザナミビルと浸透性増強量の浸透性増強剤とを含む経口投与製剤。
【請求項43】
浸透性増強剤がグリセロールである請求項42記載の経口投与製剤。
【請求項44】
浸透性増強剤がモノカプリル酸グリセロールである請求項42記載の経口投与製剤。
【請求項45】
該経口投与製剤が、該組成物を含む外部ゲルキャップを含むカプセル封入ゲゲルである請求項12記載の経口投与製剤。
【請求項46】
該経口投与製剤が、該組成物を含む外部ゲルキャップを含むカプセル封入ゲゲルである請求項32記載の経口投与製剤。
【請求項47】
該経口投与製剤が、該組成物を含む外部ゲルキャップを含むカプセル封入ゲゲルである請求項37記載の経口投与製剤。
【請求項48】
該経口投与製剤が、該組成物を含む外部ゲルキャップを含むカプセル封入ゲルである請求項42記載の経口投与製剤。
【請求項49】
該極性剤と浸透性増強剤とを超音波処理によって混合する請求項12記載の経口投与製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−503087(P2011−503087A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533208(P2010−533208)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082463
【国際公開番号】WO2009/061805
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510124010)スコル ファーマ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】