経皮送達システム
生理活性剤および浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)平均分子量300以下のポリエチレングリコール(PEG)の組み合わせを含む経皮送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮送達システムおよび生理活性剤の経皮送達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚を通過する生理活性剤の投与(「経皮送達」)は、相対的に簡易な投与計画を提供するのみならず、生理活性剤の体循環への相対的に持続的かつ制御された放出経路も提供するため、より一層の注目を集めている。しかしながら、皮膚が天然バリアとして振る舞い、それゆえ皮膚を通過する薬剤の輸送が複雑なメカニズムを有しているという事実によって、経皮薬物送達は複雑なものとなっている。
【0003】
構造的に、皮膚は2つの主要部分からなり、相対的に薄い最外層(「表皮」)およびより厚い内部領域(「真皮」)からなる。表皮の最外層(「角質層」)は、ケラチンで満たされた扁平な死細胞からなる。角質層の扁平な死細胞の間の領域は、皮膚の天然バリア性の原因であるラメラ相を形成する脂質で満たされている。
【0004】
皮膚の表面に適用される(「局所適用」)生理活性剤の効率的な経皮送達のために、薬剤は初めにビヒクルから角質層へ分配されなければならず、次いで角質層から生きた表皮へ分配される前に、典型的には角質層内に拡散しなければならない。
【0005】
皮膚層を横切る輸送(「経皮吸収」)と関連する経皮送達についてのいくつかの問題を克服するために、生理活性剤は通常、皮膚浸透促進剤と共に製剤化されるが(Finnin and Morgan, J. Pharm. Sci., Vol 88, No. 10, October 1999, pp 955-958)、それらは多くの場合、脂溶性化学物質であり、角質層に容易に分配され、そこで皮膚バリアを横切る薬物輸送の改善に対する効果を発揮する。
【0006】
経皮「パッチ」は、典型的には、投与される薬物を含むマトリックスまたはリザーバー、裏打ち層(backing layer)、および接着性かつ保護性の剥離ライナー(release liner)からなる。放出膜を包含してもよい。これらのシステムを通じた薬物の送達は、半透放出膜によって制御され、または接着剤/接着性マトリックスによって制御される受動拡散を通じてなされる。皮膚を通過する薬物の流動を増加させるために、該システムは薬物浸透促進剤を包含してもよい。
【0007】
現在のアプローチの欠点の1つは、製剤が典型的には継続的に皮膚と接触していることである。パッチに用いられるクリーム剤および軟膏剤または接着剤は、皮膚炎および皮膚感作の原因となりうる。パッチに用いられる接着剤のために、かなりの割合のパッチ使用者が皮膚炎および皮膚感作に苦しんでいる。
【0008】
皮膚表面を横切る薬物送達の速度は、皮膚浸透促進剤によって増加しうる。皮膚浸透促進剤についての最も知られた問題は、それらが多くの場合、毒性、刺激性またはアレルゲン性があることである。これらの促進剤は、ジメチルスルホキシドおよびジメチルアセトアミドなどのプロトン受容溶媒であることが多い。最近になって、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、1−ドデシル−アザシクロヘプタン−2−オン(アゾン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジンおよびチオグリコール酸カルシウムが、効果的な促進剤として報告されている。しかしながら、適用部位における刺激作用の問題が克服されていないため、該皮膚促進剤についての問題は残ったままである。
【0009】
しかしながら、これらの化合物についての最も重大な問題はその毒性である。皮膚促進剤として用いられる場合に、化合物に毒性、刺激性またはアレルゲン性があれば、化合物は動物の体へ適用するのに不適切である。これらの理由のために、ジメチルアセトアミドは臨床的に許容されない。ディートおよびアゾンは毒性が低いことが報告されているが、それらの毒性はなおも強いため、広くは用いられていない。アゾンおよびジメチルスルホキシドは、動物に対するかなりの毒性、刺激性またはアレルゲン性を有さないように、適用される量が十分少ない場合、皮膚浸透促進剤として利用されうる可能性がある。
【0010】
本発明の組成物は、医薬的、栄養補助的、美容的または獣医学的製剤を用いて、皮膚に特異的化合物を局所適用するためのビヒクルとしての使用に適切である。該局所適用は、特異的化合物が皮膚に浸透し、循環系に入ることを可能にし、それによって活性化合物が全身作用を有することを可能にする。少なくとも1つの活性化合物は、薬理活性化合物であってよい。「薬理活性化合物」は、疾患の治療または予防において、ヒトまたは動物の体に対する治療効果を有する化合物である。
【0011】
本明細書の文書の考察、行為、物質、装置、論文などは、本発明についての文脈を提供するためだけに含まれている。本出願の各請求項の優先日前に存在していたからといって、これらの事項のいずれかまたは全部が先行技術基準の一部を形成していた、または本発明と関連する分野における共通一般知識であったことを示唆または意味するものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
概略
本発明は、生理活性剤および浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)平均分子量300以下のポリエチレングリコールの組み合わせを含む経皮送達システムを提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、上記経皮送達システムを動物の皮膚表面へ適用することを含む、ヒトを含む動物対象への活性剤の経皮投与方法を提供する。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、動物の皮膚表面の部位に薬剤を適用することによる動物に対する生理活性剤の経皮投与用の生理活性剤を含む薬剤の製造における、(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールの使用を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、動物の皮膚表面の部位への投与用の経皮送達システムの製造方法であって、生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを組み合わせることを含む製造方法を提供する。
【0016】
さらなる実施態様では、本発明は、経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含む経皮送達システムであって、該経皮組成物が生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む経皮送達システムを含む。
【0017】
該経皮送達システムは、好ましくは、動物の血流中に生理活性剤の有効量を提供するのに十分な用量にて適用されるであろう。
【0018】
好ましくは、動物はヒトであるが、本発明は非ヒト動物の治療にも拡張される。
【0019】
定義
当業者であれば、用語「ポリエチレングリコール」は、ジエチレングリコールを含まないことは理解できるであろう(ただし、必要であれば、ジエチレングリコールは付加的成分として存在してよい)。平均分子量300以下のポリエチレングリコールは、名目上の平均分子量200および300のポリエチレングリコールを含み、該平均分子量は最高で示された値の110%および最低で90%(好ましくは最高で105%および最低で95%)である。ポリエチレングリコールは、式H−[OCH2CH2]n−OHで表される。平均分子量300以下は、nの平均値が少なくとも3であり、一般的には3、4、5または6などの3〜6の値であり(ただし、平均値は整数である必要はない)、より好ましくは3〜5であることを意味する。ポリエチレングリコール(PEG)は、供給業者から医薬品グレードにて広く入手可能であり、平均分子量が最高で示された値の105%および最低で95%であることを一般的に示す特定の名目分子量にて販売されている。粘度および分子量決定方法は、「USP NF Official Compendium of Standards Volume 11180-1182 [2007 Edition]」に開示されている。
【0020】
本明細書で、用語「生理活性剤」は、広範な種類の有用な化学薬品および治療薬を指すのに用いられている。
【0021】
本明細書で考察する薬剤を記載する用語「生理活性」は、宿主に対して直接的な薬理効果を有する薬剤のみならず、医療分野で有用な間接的または観察可能な効果を有する薬剤をも包含する広範な意味で用いられている。用語「生理活性剤」は、インビボで生理学的効果を発揮する薬剤のプロドラッグを含む。
【0022】
ステロイドは、式:
【化1】
の一般シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を有する化合物を含む。
【0023】
ステロイドは、これらの環に結合している官能基および該環の酸化状態によって異なる。ステロイドは、活性薬物の形態にあってよく、またはインビボでステロイドのより活性のある形態を提供するプロドラッグステロイドであってよい。ステロイドは、エストロゲン、アンドロゲン、グルココルチコイド、アドレノコルチコイド、タンパク質同化または受胎調節活性を提供する薬物およびプロドラッグを含む。ステロイドの例は、例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、ピバル酸プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フルニソリド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、酢酸クロロプレドニゾン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、デスオキシメタゾン、エストラジオール、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ジクロリゾン、フルオロヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、フルプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、アンドロステロン、フルオキシメステロン、アルドステロン、メタンドロステノロン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、ノルエタンドロロン、テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、エキレニン、エキリン、安息香酸エストラジオール、二プロピオン酸エストラジオール、エストリオール、エストロン、安息香酸エストロン、アセトキシプレグネノロン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、酢酸フルロゲストン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、ノルメチステロン、プレグネノロン、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシジオンナトリウム、スピロノラクトン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プロメトロン、シピオン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、シピオン酸エストラジオール、およびノルエチノドレルを含む。
【0024】
「プロドラッグ」は、不活性または低活性型にて投与され、活性型に代謝される医薬活性剤である。プロドラッグ自体は、皮膚または循環系などの体系と相互作用するまでは、所望の活性をほとんどまたは全く有さなくてよい。それにもかかわらず、本発明の経皮送達システムに用いられる医薬活性剤は、投与されると経皮投与過程の間または後にインビボでより活性のある薬剤を形成するプロドラッグである薬剤を含む。
【0025】
さらに別の好ましい実施態様では、プロドラッグまたは親組成物と混合されたプロドラッグの組成物は、薬理学的に同量の親薬物を有する同一の組成物よりも速いまたは遅い浸透速度を有する。さらに別の好ましい実施態様では、組成物は、薬理学的に同量の親薬物のみを有する組成物よりも長いまたは短い治療効果の持続期間を有する。別の好ましい実施態様では、プロドラッグは親薬物よりも親油的であり、プロドラッグは皮膚を通過するより速い浸透速度を有する。一般的に、プロドラッグは、代謝条件下で切断可能な基を有する親薬物の変形または誘導体である。プロドラッグは、生理学的条件下で加溶媒分解されまたは酵素分解されると、医薬活性がありまたはインビボでより活性がある親薬物となる。当該技術分野で周知のプロドラッグは、親酸もしくは親アルコールをそれぞれ適切なアルコールもしくは酸と反応させることによって製造される酸エステル、親酸もしくは親アミン化合物をそれぞれアミンもしくは酸と反応させることによって製造されるアミド、または反応によってアシル化塩基誘導体を形成する塩基性基を含む。プロドラッグの例は、「Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985」、「Silverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, Calif., 1992」、および「Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry, Fifth Ed., Vol. 1, pp. 172-178,949-982 (1995)」で考察されている。対象の血漿プロファイルを制御する他の方法は、分子量または極性などに基づいてプロドラッグを選択することである。プロドラッグの分子量を増加させることによって、プロドラッグの有効量の浸透が開始するまでの時間は、親薬物と比較して増加するであろう。この効果の1つの例は、ノルエチンドロンおよび酢酸ノルエチンドロンの使用である。ノルエチンドロンの浸透速度は、適用後、急速にピークになるが、一方でより高分子量を有する酢酸ノルエチンドロンは、ノルエチンドロンの浸透速度が低下し始めた後に最大に達する。ステロイドは、縮合環上の17位、3位、または11位などのステロイド環上の位置で、遊離ヒドロキシ基を有する。特に好ましいのは、エストロゲン、プロゲスチン、およびアンドロゲンなどのステロイド系ホルモンである。対応するステロイドプロドラッグ(プロステロイド)は、3、11または17位の遊離ヒドロキシがアルコール反応性部位と反応したステロイドに対応する構造として定義される。特に好ましいのは、17位のヒドロキシルが、例えばC1−C12アルカノイル基によってアシル化されているステロイド誘導体である。ステロイドであるか対応するプロステロイドであるかにかかわらず、誘導体は主薬として担体組成物に組み込まれ、それぞれ血流中にステロイド源を提供し、目的の生理学的効果を達成するが、対応するプロステロイドの場合には、該効果は誘導体の代謝変換を通じて生じる。ステロイドエステルは、環上の遊離ヒドロキシ基がエステル化されているステロイドに対応する構造を有する。ステロイドおよびその対応するエステルの例は、エストラジオール、ならびに安息香酸エストラジオール、17β−シピオン酸エストラジオール、17−プロピオン酸エストラジオール、ヘミコハク酸エストラジオール(eutocol)、エナント酸エストラジオール、ウンデシレン酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、およびプロピオン酸エストラジオールなどを含む。別の例は、テストステロンおよびそのテストステロンの対応するエステルであり、17β−シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、ニコチン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、プロピオン酸テストステロンなどである。テストステロン17−クロラールヘミアセタールなどの17位に基を有する非エステル、またはエストラジオール3−メチルエーテルなどの3位に基を有するエーテルも含まれる。
【0026】
本明細書で、用語「経皮的」および「経皮」は、無傷の皮膚を通過することができることを指すために最も広義に用いられている。
【0027】
本明細書で、用語「皮膚浸透促進剤」は、局所適用用であろうと全身送達用であろうと、活性剤を動物などの生物に使用および送達するために、皮膚を横切る活性剤の経皮輸送の速度を改善する薬剤を指すために最も広義に用いられている。
【0028】
本明細書で、用語「非閉塞性」は、皮膚の適用部位に長期にわたって存在し続けるパッチ装置、固定リザーバー、適用チャンバー、テープ、包帯、絆創膏などによって、皮膚を外気に対して閉じ込めず、または密閉しないことを指すために最も広義に用いられている。本発明の経皮送達システムは、非閉塞性であることが特に好ましい。
【0029】
本明細書で、用語「角質層」は、主にタンパク質性物質のケラチンでできている(およそ15)層の最終分化したケラチノサイトからなっており、「レンガとモルタル」様式にて並んでおり、モルタルが主にコレステロール、セラミドおよび長鎖脂肪酸でできている脂質マトリックスからなっている皮膚の外層を指すために最も広義に用いられている。角質層は、皮膚を横切る活性剤の拡散に対する律速バリアを作り出す。
【0030】
本明細書で、用語「皮膚蓄積」は、細胞内(ケラチノサイト内)であろうと細胞間であろうと、角質層内の活性剤および皮膚浸透促進剤のリザーバーまたは蓄積を指すために最も広義に用いられている。
【0031】
当該技術分野で、用語「揮発性:不揮発性液体ビヒクル」は、皮膚浸透促進剤などの不揮発性液体ビヒクルと混合される揮発性液体を含む液体医薬ビヒクルを指すために用いられている。本明細書で記載されている場合、不揮発性皮膚浸透促進剤と混合される揮発性液体を含むシステムまたはビヒクルは、揮発性:不揮発性液体ビヒクルとして知られるシステムを含むために最も広義に用いられている。
【0032】
用語「脂肪族」は、直鎖状、分枝鎖状および環状脂肪族を含み、飽和アルキル基または1〜3個の不飽和基、特に1〜3個の二重結合を含む不飽和脂肪族であってよい。
【0033】
本発明の経皮薬物送達システムは、広範な生理活性剤が皮膚を通じて送達され、所望の全身作用を達成することを可能にする。薬物送達システムは、好ましくは、不揮発性皮膚浸透促進剤および揮発性液体と密に混合される活性剤を含む。薬物送達システムが皮膚に適用される場合、活性剤および不揮発性液体は、揮発性液体が蒸発するに従って熱力学的に皮膚に追い込まれる。一度皮膚に入ると、不揮発性液体は脂質マトリックスを破壊し、および/または可溶化剤として作用し得、皮膚を通過する活性剤の浸透速度の促進、および治療される対象への送達を可能にする。このように、皮膚浸透促進剤はビヒクルとして作用し、多くの全身活性剤が動物に経皮投与されうる。
【0034】
「栄養補助活性化合物(nutraceutically active compound)」は、天然(動物または植物)に由来し、疾患の治療においてヒトまたは動物の体に対して有益な、および/または治療的な効果を有する化合物である。該化合物を栄養と見なしてよい。
【0035】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、単語「を含む(comprise)」ならびに「を含む(comprising)」および「を含む(comprises)」などの該単語の変形は、他の添加剤、成分、整数またはステップを排除することを意図していない。
【0036】
詳細な記載
本発明の発明者は、(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールの組み合わせである浸透促進剤の使用が、浸透促進において相乗的な改善を示すことを見出した。
【0037】
(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールに対するサリチル酸のエステルの重量比は、好ましくは95:5〜5:95の範囲、好ましくは1:10〜10:1、例えば1:10〜5:1および1:5〜2:1などの範囲である。最適比は、活性剤の性質および濃度、ならびに浸透促進剤の組み合わせの濃度に依存して変化してよい。
【0038】
サリチル酸のエステルは、好ましくはC6−C18脂肪族エステル、より好ましくはC6−C12アルキルエステル、さらに好ましくはC8アルキル、最も好ましくは慣用名サリチル酸オクチルまたは単にオクチサレートとして知られる2−エチルヘキシルエステルである。
【0039】
典型的には、サリチル酸のエステルは、本発明の全経皮組成物の0.1〜10重量%の量にて、より好ましくは0.5〜5%、例えば0.5、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、1.7、2.0、3.0、3.5、4.0、4.5および5.0などの量にて存在するであろう。
【0040】
典型的には、平均分子量300未満のPEGは、全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて、好ましくは0.5〜20%、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%などの量にて存在するであろう。
【0041】
本発明の組成物は、好ましくはPEG200を全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて、好ましくは0.5〜20%、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%などの量にて含む。
【0042】
本発明の組成物は、揮発性溶媒を含んでよく、好ましくは含むであろう。好ましくは、揮発性溶媒は、大気圧下で35mmHg以上の蒸気圧を有し、正常な皮膚温度である32℃を有する。本発明の特に好ましい形態では、溶媒は好ましくはC2−C4アルカノール、より好ましくはエタノールもしくはイソプロパノール、またはその混合物である。
【0043】
既知の皮膚浸透促進剤も、経皮薬物送達システムにおいて利用されてよい。既知の皮膚浸透促進剤の使用は、ラウロカプラム(アゾン(Azone(登録商標)))およびラウロカプラム誘導体、例えば米国特許第5,196,410号に記載されている1−アルキルアザシクロヘプタン−2−オンなど、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニルおよびグリセリルモノオレエートなど、ソルビタンエステル、例えばソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノオレエートなど、ならびに他の脂肪酸エステル、例えばイソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールモノラウレートおよびプロピレングリコールモノオレエートなど、ならびに2−ピロリドンの長鎖アルキルエステル、特に2−ピロリドンの1−ラウリル、1−ヘキシルおよび1−(2−エチルヘキシル)エステル、ならびに米国特許第5,082,866号に記載の皮膚浸透促進剤、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテートおよびドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、ならびに米国特許第4,861,764号に記載のもの、特に2−n−ノニル−1−3−ジオキソランの使用を含む。好ましくは、組成物は、PEGおよびサリチル酸エステル以外に5重量%以下の不揮発性浸透促進剤を含み、より好ましくは1%以下、最も好ましくは分子量300以下のPEGおよびサリチル酸エステル以外に組成物の0.5重量%以下の不揮発性浸透促進剤を含むであろう。
【0044】
揮発性溶媒は、好ましくは、本発明の組成物中に、組成物の40〜95重量%、より好ましくは50〜95%、さらに好ましくは全組成物の60〜95重量%、例えば65%〜95重量%、70%〜95%、70〜90%および75〜90重量%などの範囲の量にて存在する。
【0045】
本発明の組成物は、必要であれば、例えば浸透促進剤、界面活性剤、増粘剤および溶媒からなる群から選択される1つ以上の付加的なアジュバントを含んでよい。適切な増粘剤の例は、ポリアクリル酸;およびアシル酸コポリマー、寒天、カラギナン、食物デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タンパク質、ならびにポリビニルピロリドンを含む。増粘剤の含有量は、0〜5%であってよい。しかしながら、本質的に下記からなる組成物が本発明の特に好ましい態様である:
(i) 1つ以上の生理活性剤を含んでよい生理活性成分;
(ii) サリチル酸のエステルおよび平均分子量300以下のポリエチレングリコールからなる浸透促進成分;
(iii)エタノールおよびイソプロパノールの1つ以上からなる揮発性溶媒;ならびに
(iv) 任意に噴霧剤。
【0046】
当業者であれば、アルコールおよびポリオールは、一定量の水を含むことが理解できるであろう。典型的には、組成物の総含水量は20重量%未満、好ましくは全組成物の10重量%未満である。
【0047】
本発明の組成物は、液体、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、パッチ(マトリックスおよびリザーバー)、テープ、硬膏剤またはフィルム形成剤の範囲の形態にあってよい。より好ましい実施態様では、経皮送達システムは皮膚の特定部位への適用用の液体形態にある。
【0048】
本発明の組成物は、皮膚への局所適用に適切ないずれかの形態にあってよい。適切な形態は、噴霧可能液体;ゲル剤;ロールオン装置を用いて適用されうる液体;ラッカー;およびパッチなどの経皮送達装置の持続放出マトリックスを含む。組成物は通常、単独で投与されるが、ある状況下では、投与は、浸透を促進するために、イオン導入、超音波およびマイクロニードルなどの他の送達メカニズムを用いることによってさらに修飾されてよい。非閉塞性の適用、特に噴霧適用が好ましい。
【0049】
適切な薬理活性化合物は、下記から選択してよい:
【0050】
消化器系抗下痢剤、例えばジフェノキシレート、ロペラミドおよびヒヨスチアミンなど;
【0051】
下記を含む心血管系薬剤:
【0052】
降圧剤、例えばヒドララジン、ミノキシジル、カプトプリル、エナラプリル、クロニジン、プラゾシン、デブリソキン、ジアゾキシド、グアネチジン、メチルドパ、レセルピン、トリメタファンなど;
【0053】
カルシウムチャネル遮断薬、例えばジルチアゼム、フェロジピン、アムロジピン、ニトレンジピン、ニフェジピンおよびベラパミルなど;
【0054】
プロトンポンプ阻害剤、例えばランソプラゾール;オメプラゾール;およびパントプラゾールなど;
【0055】
抗不整脈薬、例えばアミオダロン、フレカイニド、ジソピラミド、プロカインアミド、メキシレチンおよびキニジンなど;
【0056】
抗狭心症薬、例えばニトログリセリン、エリトリトールテトラニトラート、ペンタエリトリトールテトラニトラート、マンニトールヘキサニトラート、ペルヘキシレン、イソソルビドジニトレートおよびニコランジルなど;
【0057】
β−アドレナリン作動性遮断薬、例えばアルプレノロール、アテノロール、ブプラノロール、カルテオロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ナドキソロール(nadoxolol)、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロールおよびマレイン酸チモロールなど;
【0058】
強心配糖体、例えばジゴキシンおよび他の強心配糖体、ならびにテオフィリン誘導体など;
【0059】
アドレナリン作動性刺激薬、例えばアドレナリン、エフェドリン、フェノテロール、イソプレナリン、オルシプレナリン、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、ドブタミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリンおよびドーパミンなど;
【0060】
血管拡張薬、例えばシクランデレート、イソクスプリン、パパベリン、ジピリマドール(dipyrimadole)、イソソルビドジニトレート、フェントラミン、ニコチニルアルコール、コデルゴクリン、ニコチン酸、ニトログリセリン、ペンタエリトリトールテトラニトラートおよびキサンチノールなど;ならびに
【0061】
抗片頭痛製剤、例えばエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、メチセルジド、ピゾチフェンおよびスマトリプタンなど。
【0062】
下記を含む血液および造血組織に作用する薬物:
【0063】
抗凝血剤および血栓溶解剤、例えばワルファリン、ジクマロール、エノキサパリンなどの低分子量ヘパリン;ストレプトキナーゼおよびその活性誘導体など。
【0064】
止血剤、例えばアプロチニン、トラネキサム酸およびプロタミンなど。
【0065】
下記を含む中枢神経系に作用する薬物:
【0066】
鎮痛薬;
【0067】
オピオイド鎮痛薬を含む解熱薬、例えばブプレノルフィン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロモルホン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、コデインおよびジヒドロコデインなど。その他、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール、およびフェナゾンを含む;
【0068】
睡眠薬および鎮静薬、例えばバルビツレート、アミロバルビトン、ブトバルビトンおよびペントバルビトンなど、ならびに他の睡眠薬および鎮静薬、例えば抱水クロラール、クロメチアゾール、ヒドロキシジンおよびメプロバメートなど;ならびに
【0069】
抗不安薬、例えばベンゾジアゼピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロラゼペート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムなど。
【0070】
食物アレルギーを治療する薬剤、例えばクロモグリク酸ナトリウムなど。
【0071】
神経遮断薬および抗精神病薬、例えばフェノチアジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、プロマジン、チオプロパザート、チオリダジンおよびトリフルオペラジン、ドロペリドールおよびハロペリドールなどのブチロフェノン系化合物、ならびにピモジド、チオチキセンおよびリチウムなどの他の抗精神病薬など。
【0072】
抗うつ薬、例えばアミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリンおよびトリミプラミンなどの三環系抗うつ薬;ミアンセリンなどの四環系抗うつ薬;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびモクロベミドなどのモノアミンオキシダーゼ阻害剤;フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、フルボキサミンおよびセルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤;ならびにミルタザピンなどの四環系抗うつ薬、ならびにそのいずれかの代謝物、塩、エナンチオマー(エスミルタザピンを含む)、溶媒、非共有結合複合体、キレート、水和物、結晶または非結晶型など。
【0073】
CNS刺激薬、例えばカフェインなど。
【0074】
アルツハイマー病治療薬、例えばタクリンなど。
【0075】
パーキンソン病治療薬、例えばアマンタジン、ベンセラジド、カルビドパ、レボドパ、ベンズトロピン、ビペリデン、ベンズヘキソール、プロシクリジンおよびS(−)−2−(N−プロピル−N−2チエニルエチルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(N−0923)などのドーパミン−2作動薬など。
【0076】
脂質調節薬、例えばスタチン系薬剤など。
【0077】
骨代謝に作用する薬物、例えばカルシトニンおよびビスホスホネートなど。
【0078】
抗痙攣薬、例えばフェニトイン、バルプロ酸、プリミドン、フェノバルビトン、メチルフェノバルビトンおよびカルバマゼピン、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、スルチアムならびにクロナゼパムなど。
【0079】
制吐薬、鎮吐薬、例えばフェノチアジン、プロクロペラジン、チエチルペラジン、オンダンセトロンおよびグラニセトロンなどの5HT−3受容体拮抗薬、ならびにジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、メトクロプラミド、ドンペリドン、ヒヨスチン、ヒヨスチン臭化水素酸塩、ヒヨスチン塩酸塩、クレボプリドおよびブロモプリドなどの他の薬剤など。
【0080】
筋骨格系薬:
【0081】
ラセミ混合物または適用可能な場合は個々のエナンチオマーを含む非ステロイド系抗炎症薬、例えばイブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナク(aclofenac)、ジクロフェナク、アロキシプリン、アプロキセン(aproxen)、アスピリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、スリンダク、デスオキシスリンダク、テノキシカム、トラマドールおよびケトロラクなど;
【0082】
皮膚浸透促進剤と組み合わせて製剤化されうる付加的な非ステロイド系抗炎症薬は、サリチルアミド、サリチル酸、フルフェニサール、サルサラート、サリチル酸トリエタノールアミン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナム酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルチン、アロプリノール、オキシプリノール、塩酸ベンジダミン、ジメファダン、インドキソール、イントラゾール、塩酸ミンバン、塩酸パラニレン、テトリダミン、塩酸ベンジンドピリン、フルプロフェン、イブフェナク、ナプロキソール、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモール、フルチアジン、メタザミド、塩酸レチミド、塩酸ネキセリジン、オクタザミド、モリナゾール(molinazole)、ネオシンコフェン、ニマゾール(nimazole)、クエン酸プロキサゾール、テシカム、テシミド、トルメチン、およびトリフルミダートを含む;
【0083】
抗リウマチ薬、例えばペニシラミン、アウロチオグルコース、アウロチオリンゴ酸ナトリウム、メトトレキセートおよびオーラノフィンなど;
【0084】
筋弛緩薬、例えばバクロフェン、ジアゼパム、塩酸シクロベンザプリン、ダントロレン、メトカルバモール、オルフェナドリンおよびキニーネなど;ならびに
【0085】
痛風および高尿酸血症に用いられる薬剤、例えばアロプリノール、コルヒチン、プロベネシドおよびスルフィンピラゾンなど。
【0086】
ホルモンおよびステロイドは下記を含む:
【0087】
エストロゲン、例えばエストラジオール、エストリオール、安息香酸エストラジオール、17β−シピオン酸エストラジオール、エナント酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、ジエネストロール、メストラノール、スチルベストロール、ジエネストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、結合型エストロゲンホルモン、リン酸ポリエストラジオール、およびゼラノール、ならびにその混合物など;
【0088】
プロゲステロンおよびプロゲスチン、例えばノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ゲストデン、レボノルゲストレル、アリルエストレノール、アナゲストン、デソゲストレル、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチステロン、エチノジオール、二酢酸エチノジオール、エトノゲストレル、ゲストデン、エチニルエストラジオール、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ゲストノロン、ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、MENT(7−メチル−19−テストステロン);ノルエルゲストロミン、トリメゲストン、ドロスピレノン、チボロン、およびメゲストロール、ならびにその混合物など;
【0089】
抗アンドロゲン剤、例えば酢酸シプロテロンおよびダナゾールなど;
【0090】
抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、エピチオスタノール、アロマターゼ阻害剤、エキセメスタンおよび4−ヒドロキシ−アンドロステンジオンならびにその誘導体など;
【0091】
アンドロゲンおよびタンパク質同化薬、例えばアンドロイソキサゾール、アンドロステンジオール、ボランジオール、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メタンドリオール、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロロン、ノルボレトン、オキシメステロン、ステンボロンおよびトレンボロンなど。アンドロゲンステロイドは、ボルデノン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メタンドロステノロン、17−メチルテストステロン、17α−メチルテストステロン3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメステロン、オキシメトロン、プラステロン、スタノロン、スタノゾロール、テストステロン、テストステロン17−クロラールヘミアセタール、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、チオメステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(アンドロ):アンドロステンジオール、アンドロステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、およびアンドロスタノロン、ならびにその誘導体を含んでよい;
【0092】
5−αレダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリド、ツロステリド、LY−191704およびMK−306など;
【0093】
副腎皮質ステロイド、例えばベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、21−リン酸デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、17−吉草酸ヒドロコルチゾン、17−酪酸ヒドロコルチゾン、21−酢酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、21−リン酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど;
【0094】
即時組成物における使用用のステロイド系抗炎症薬のさらなる例は、コルトドキソン、フルオロアセトニド(fluoracetonide)、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその他のエステル、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン、デスシノロン、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメトロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニゾロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸コルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、酢酸フルドロコルチゾン、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル、アムシナフィド、ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、酢酸クロロプレドニゾン、酢酸クロコルトロン、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、酢酸ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、ピバル酸フルメタゾン、酢酸フルニソリド、酢酸フルペロロン、吉草酸フルプレドニゾロン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾラメート、プレドニバール、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコータルならびにニバゾールを含む;
【0095】
下垂体ホルモンおよびそれらの活性誘導体または類似体、例えばコルチコトロピン、サイロトロピン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)など;
【0096】
血糖降下薬、例えばインスリン、クロロプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミドおよびメトホルミンなど;
【0097】
甲状腺ホルモン、例えばカルシトニン、チロキシンおよびリオチロニンなど、ならびに抗甲状腺薬、例えばカルビマゾールおよびプロピルチオウラシルなど;ならびに
【0098】
他の種々のホルモン薬、例えばオクトレオチドなど。
【0099】
下垂体阻害剤、例えばブロモクリプチンなど。
【0100】
排卵誘発剤、例えばクロミフェンなど。
【0101】
泌尿生殖器系薬剤は下記を含む:
【0102】
利尿薬、例えばチアジド系利尿薬、類似利尿薬およびループ利尿薬、ベンドロフルアジド、クロロチアジド、クロルサリドン、ドーパミン、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メフルシド、メチクロチアジド、メトラゾン、キネタゾン、ブメタニド、エタクリン酸およびフルセミドならびにカリウム保持性利尿薬、スピロノラクトン、アミロライドならびにトリアムテレンなど。
【0103】
抗利尿薬、例えばデスモプレシン、リプレシンおよびバソプレシン、ならびにそれらの活性誘導体または類似体など。
【0104】
子宮に作用する薬剤を含む分娩薬、例えばエルゴメトリン、オキシトシンおよびゲメプロストなど。
【0105】
プロスタグランジン、例えばアルプロスタジル(PGEi)、プロスタサイクリン(PGI2)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2−α)およびミソプロストールなど。
【0106】
抗菌薬は下記を含む:
【0107】
セファロスポリン系抗菌薬を含む抗菌薬、例えばセファレキシン、セフォキシチンおよびセファロチンなど;
【0108】
ペニシリン系抗生物質、例えばアモキシシリン、アモキシシリン・クラブラン酸、アンピシリン、バカンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、メチシリン、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリンおよびアズロシリンなど;
【0109】
テトラサイクリン系抗生物質、例えばミノサイクリン、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、およびオキシテトラサイクリン、ならびに他のテトラサイクリン型抗生物質など;
【0110】
アミノグリコシド系抗生物質、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシンおよびトブラマイシンなど;
【0111】
抗真菌薬、例えばアモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、ビホナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾールおよびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛ピリチオンならびにナトリウムピリチオンなど;
【0112】
キノロン系抗菌薬、例えばナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシンおよびノルフロキサシンなど;
【0113】
スルホンアミド系抗菌薬、例えばフタリルスルファチアゾール、スルファドキシン、スルファジアジン、スルファメチゾールおよびスルファメトキサゾールなど;
【0114】
スルホン系抗菌薬、例えばダプソンなど;ならびに
【0115】
他の種々の抗生物質、例えばクロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエチルカーボネート、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシングルセプテート、エリスロマイシンエチルスクシネート、エリスロマイシンラクトビオネート、ロキシスロマイシン、リンコマイシン、ナタマイシン、ニトロフラントイン、スペクチノマイシン、バンコマイシン、アズトレオナム、コリスチンIV、メトロニダゾール、チニダゾール、フシジン酸およびトリメトプリム;2−チオピリジンN−オキシド;ハロゲン化合物、特にヨウ素およびヨウ素化合物、例えばヨウ素−PVP複合体およびジヨードヒドロキシキノリンなど;ヘキサクロロフェン;クロルヘキシジン;クロロアミン化合物;過酸化ベンゾイルなど。
【0116】
抗結核薬、例えばエタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシンおよびクロファジミンなど。
【0117】
抗マラリア薬、例えばプリマキン、ピリメタミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニーネ、メフロキンおよびハロファントリンなど。
【0118】
抗ウイルス薬、例えばアシクロビルおよびアシクロビルプロドラッグ、ファムシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ドコサノール、トロマンタジンならびにイドクスウリジンなど。
【0119】
駆虫薬、例えばメベンダゾール、チアベンダゾール、ニクロサミド、プラジカンテル、ピランテルエンボネート(pyrantel embonate)およびジエチルカルバマジンなど。
【0120】
細胞毒性薬、例えばプリカマイシン、シクロホスファミド、ダカルバジン、フルオロウラシルおよびそのプロドラッグ[例えば、「international Journal of Pharmaceutics 111, 223-233 (1994)」に記載されているプロドラッグなど]、メトトレキセート、プロカルバジン、6−メルカプトプリンならびにミコフェノール酸など。
【0121】
下記を含む代謝系薬剤:
【0122】
デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドールおよびフェンテルミンを含む食欲抑制薬および減量薬;ならびに
【0123】
高カルシウム血症に用いられる薬剤、例えばカルシトリオール、ジヒドロタキステロールおよびそれらの活性誘導体または類似体など;
【0124】
下記を含む呼吸器系薬剤:
【0125】
鎮咳薬、例えばエチルモルヒネ、デキストロメトルファンおよびフォルコジンなど;
【0126】
去痰薬、例えばアセチルシステイン、ブロムヘキシン、エメチン、グアイフェネシン、トコンおよびサポニン系化合物など;
【0127】
鬱血除去薬、例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミンおよびプソイドエフェドリンなど;ならびに
【0128】
気管支痙攣弛緩薬、例えばエフェドリン、フェノテロール、オルシプレナリン、リミテロール、サルブタモール、クロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸およびそのプロドラッグ[例えば、「International Journal of Pharmaceutics 7, 63-75 (1980)」に記載されているプロドラッグなど]、テルブタリン、臭化イプラトロピウム、サルメテロールならびにテオフィリンおよびテオフィリン誘導体など。
【0129】
下記を含むアレルギーおよび免疫系薬剤:
【0130】
抗ヒスタミン薬、例えばメクロジン、シクリジン、クロルシクリジン、ヒドロキシジン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルアミン、ドキシラミン、メブヒドロリン、フェニラミン、トリポリジン、アザタジン、ジフェニルピラリン、メトジラジン、テルフェナジン、アステミゾール、ロラチジンおよびセチリジンなど。
【0131】
局所麻酔薬、例えばブピバカイン、アメトカイン、リグノカイン、シンコカイン、ジブカイン、メピバカイン、プリロカインおよびエチドカインなど。
【0132】
角質層脂質、例えば皮膚バリア修復の改善用のセラミド、コレステロールおよび遊離脂肪酸など[Man, et al. J. Invest.Dennatol., 106(5), 1096, 1996]。
【0133】
H2−受容体拮抗薬、例えばシメチジン;およびラニチジンなど;
【0134】
神経筋遮断薬、例えばスキサメトニウム、アルクロニウム、パンクロニウム、アトラクリウム、胆汁アミン、ツボクラリンおよびベクロニウムなど。
【0135】
禁煙薬、例えばニコチン、ブプロピオンおよびイボガインなど。
【0136】
局所または全身適用に適切な殺虫剤および他の駆除剤。
【0137】
皮膚病薬、例えばビタミンAおよびE、酢酸ビタミンEおよびビタミンEソルベート(vitamin E sorbate)など。
【0138】
脱感作用アレルゲン、例えばイエダニアレルゲンなど。
【0139】
栄養補助活性化合物(nutraceutically active compounds)は、リコピン、ルテイン、アスタキサンチンおよび[β]−カロチンなどのカロテノイド;グルコサミンまたはN−アシルグルコサミン;ユビキノン;ビタミンA、C、DおよびEなどのビタミン;ロスマリン酸;ホノキオール;マグノロール;クロロゲン酸;オレウロペイン;メチルスルホニルメタン(「MSM」);コラーゲンおよびコンドロイチン;ボスウェリンおよびボスウェル酸;を含む
【0140】
角質溶解薬、例えばα−ヒドロキシ酸、グリコール酸およびサリチル酸など。
【0141】
精神賦活薬、例えば3−(2−アミノプロピル)インドール、3−(2−アミノブチル)インドールなど。
【0142】
抗ニキビ薬、例えばイソトレチノイン、トレチノインおよび過酸化ベンゾイルなど。
【0143】
抗乾癬薬、例えばエトレチナート、シクロスポリンおよびカルシポトリオールなど。
【0144】
かゆみ止め薬、例えばカプサイシンおよびその誘導体、例えばノニバミドなど[Tsai, et al. Drug. Dev. Ind. Pharm., 20(4), 719, 1994]。
【0145】
腋窩発汗(axillary sweating)の阻害およびあせものコントロールに有効な抗コリン薬。硝酸メタトロピン(methatropine nitrate)、臭化プロパンテリン、スコポラミン、臭化メトスコポラミン、および新種のソフト制汗剤、第4級アシルオキシメチルアンモニウム塩[例えば、「Bodor et al, J. Med. chem. 23, 474 (1980)」および1979年6月27日に発行された英国特許明細書第2010270号に記載されているものなど]などの薬剤の制汗作用。
【0146】
浸透促進剤と活性剤の最適比は、活性剤の性質、ならびに浸透促進を作り出す組み合わせの特異的同一性(specific identity)および組成に依存して異なるであろう。典型的には、活性剤に対する浸透促進剤の重量比は1000:1〜1:1000、好ましくは500:1〜1:10、最も好ましくは20:1〜1:1の範囲であろう。
【0147】
本発明の浸透促進剤は、抗うつ薬、女性の健康増進剤(women's health actives)およびホルモンの経皮投与に特に有用である。本発明の薬物送達システムに用いられてよいホルモンは、皮膚浸透促進剤の助けにより皮膚を通過して送達され、所望の効果を達成しうる全身活性ホルモンを含む。
【0148】
適切なホルモンは下記を含む:
【0149】
アンドロゲン、例えば:
テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(アンドロ):アンドロステンジオール、アンドロステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、アンドロスタノロン、フルオキシメステロン、メステロロン、メチルテストステロンおよびその誘導体など;
【0150】
エストロゲン、例えば:
エストラジオール、エストリオール、エストロン、クロロトリアニセン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メストラノール、リン酸ポリエストラジオールなど。
【0151】
選択的エストロゲン受容体修飾因子、例えば:
バゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソフォキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンなど
【0152】
アロマターゼ阻害剤、例えば:
アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾールおよびボロゾールなど。
【0153】
ゴナドトロピン、例えば:
クロミフェンおよびウロフォリトロピンなど。
【0154】
プロゲストゲン、例えば:
プロゲステロン;
プロゲスチン、例えば:
デソゲストレル、ドロスピレノン、ジドロゲステロン、エチステロン、エトノゲストレル、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、ゲストノロン、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエルゲストロミン、ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、エチニルエストラジオール、チボロン、メゲストロールおよびMENT(7−メチル−19−テストステロン)からなる群から選択されるプロゲスチンなど;
【0155】
選択的プロゲステロン受容体修飾因子、例えば:
アソプリスニル、CDB−4124など
【0156】
抗プロゲストゲン剤、例えばミフェプリストンなど;
【0157】
抗ゴナドトロピン剤、例えば:
ダナゾールおよびゲストリノンなど;ならびに
【0158】
GnRH:(受容体)作動薬、例えば:
ブセレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなど。
【0159】
GnRH拮抗薬:アバレリクス、セトロレリクスおよびガニレリクス。
【0160】
本発明の組成物は、これらの群の1つ以上からの複数のホルモンを含んでよい。例えば、避妊製剤については、1つ以上のエストロゲンおよび1つ以上のプロゲスチンを含むことが所望でありうる。
【0161】
有効量の局所または全身投与用に治療システムが用いられてよい。1つの実施態様では、経皮送達システムは医薬的有効量の活性剤を体循環に提供するように投与される。本発明の1つの好ましい形態では、薬物送達システムは重量ベースで約0.1〜約10%の活性剤(部分的にホルモン)、約0.1〜12%の少なくとも1つの皮膚浸透促進剤、および約78〜99.8%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を含む。
【0162】
本発明の別の好ましい形態では、薬物送達システムは、重量ベースで、約1〜3%のホルモン、約1〜15%の皮膚浸透促進剤の組み合わせ、約45〜90%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物、5〜45%の水を含む。
【0163】
好ましい薬物の別の群は、抗うつ薬であり、ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA);より好ましくは四環系抗うつ薬、最も好ましくはミルタザピンならびにいずれかの代謝物、塩、エナンチオマー(エスミルタザピンを含む)、溶媒、非共有結合複合体、キレート、水和物、その結晶または非結晶型を含む。
【0164】
本発明の薬物送達システムおよび方法を用いることによって治療されうる疾患または状態は、テストステロン欠乏性の性機能低下男性の男性ホルモン補充、例えばエストラジオールを用いた閉経後女性用の女性ホルモン補充療法、性欲が欠如している女性用および/またはうつを治療するためのテストステロンなどのアンドロゲンを用いたアンドロゲン補充療法、男性避妊(例えば、任意にテストステロンと組み合わせるエトノゲストレルなどのプロゲスチンを用いた避妊)ならびに女性避妊(例えば、任意にエストロゲンと組み合わせるプロゲスチンを用いた避妊)を含み、これらに限定されない。ステロイド系ホルモン、特にエストロゲン、例えばエストラジオールは、女性の月経前症候群(PMS)症状を治療するために用いられてよい。PMS症状は、腹部膨満、腹部痙攣、頭痛または片頭痛、乳房圧痛または乳房腫脹、不安症、不眠、関節痛または筋肉痛および気分変動を含む(これらに限定されない)。
【0165】
1つの実施態様では、経皮送達システムは、経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含み、該経皮組成物は生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む。
【0166】
該経皮送達システムは、好ましくは、動物の血流中に生理活性剤の有効量を提供するのに十分な用量にて適用されるであろう。
【0167】
好ましくは、塗布器は定量噴霧適用を提供し、例えば定量噴霧エアロゾル、蓄積エネルギー式定量噴霧ポンプまたは手動式定量噴霧ポンプなどである。好ましくは、薬物送達システムは、約10〜800cm2、より好ましくは約10〜400cm2、および最も好ましくは約10〜200cm2の送達表面積に及ぶ動物の皮膚に適用される。最も好ましくは、適用は、局所定量噴霧スプレーとアクチュエータノズルカバーを組み合わせて用いることで実施されるが、これらは共に適用される用量の量および/または均一性を正確にコントロールする。カバーの1つの機能は、ノズルの位置を薬物送達システムが適用される皮膚から所定の高さ上に、かつ、垂直に保つことである。この機能は、スペーサーバー(spacer-bar)などを用いることによっても達成されうる。カバーの別の機能は、薬物送達システムが周囲の環境に跳ね返り、および/または喪失することを防止または制限するために、皮膚上の部位を包み込むことである。好ましくは、カバーによって定義される適用部位は、実質的に円形である。
【0168】
本発明は、下記の実施例を参照して記載されるであろう。実施例は本発明を説明する目的で提供されており、決して本発明の範囲に限定する目的で提供されているのではないと理解されるべきである。
【0169】
実施例
実施例の組成物およびそれらの性能は図面を参照して比較される。
【図面の簡単な説明】
【0170】
図面において:
【0171】
【図1】図1は、コントロールからのプロゲスチンの浸透を、実施例1の本発明のプロゲスチン経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0172】
【図2】図2は、コントロールからのエストロゲンの浸透を、実施例1の本発明の経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0173】
【図3】図3aおよび3bは、実施例2に記載されている異なるプロゲスチンおよびPEG200ではなくPEG400を含む比較経皮組成物のプロゲスチン浸透に対する効果を示すカラムチャートである。
【0174】
【図4】図4は、コントロール組成物からのプロゲスチンの浸透を、実施例2に従うPEG200を含む本発明の経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0175】
【図5】図5は、本発明の経皮送達組成物2〜7からのエストロゲンの浸透を、実施例2の1のコントロール組成物と比較したカラムチャートである。
【0176】
【図6】図6は、実施例3の経皮送達組成物1〜4からのアンドロゲンの浸透に対するPEG200の効果を比較したカラムチャートである。
【0177】
【図7】図7は、経皮送達組成物2〜3からのアンドロゲンの浸透を、実施例4のコントロール組成物1と比較したカラムチャートである。
【0178】
【図8】図8および9は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ケトプロフェンの浸透を、OS単独、PEG単独および実施例5に記載されている(本発明に従った)組み合わせのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【図9】図8および9は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ケトプロフェンの浸透を、OS単独、PEG単独および実施例5に記載されている(本発明に従った)組み合わせのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【0179】
【図10】図10および11は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ジクロフェナクの浸透を、OS単独、PEG200単独またはPEG400単独、および実施例6に記載されている異なるPEG組成物と組み合わせたOSのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【図11】図10および11は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ジクロフェナクの浸透を、OS単独、PEG200単独またはPEG400単独、および実施例6に記載されている異なるPEG組成物と組み合わせたOSのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【0180】
【図12】図12は、実施例7に記載されているOS浸透促進剤を含む組成物からのエストロゲン、エストラジオールの浸透に対するPEG200およびPEG400のそれぞれの効果を比較したカラムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0181】
実施例1
インビトロでヒト皮膚を通過する累積酢酸ノルエチステロンおよびエストラジオール浸透に対するPEG200の効果についての研究
【0182】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0183】
これらの実験は、フランツ型セルを用いて24時間にわたって実施した。事前に切った皮膚膜を、セルのレセプターチャンバーの中央に角質層がドナーチャンバーに面するようにマウントし、グリース(高真空グリース、BDH)を塗った水平型フランツ型浸透セルの中間部のバリアとした。浸透に利用できる面積は、およそ0.925cm2であった。浸透セルのレセプターチャンバーにレセプター相(リン酸緩衝生理食塩水pH7.4)を満たし、蓋をした。浸透セルを定温の水浴に浸し、レセプターチャンバーを35℃に維持した。水中使用が可能なマグネチックスターラーで動かされる小型PTFEコーティングマグネチックスターラーバーによって、レセプターチャンバーの内容物を連続的に撹拌した。投薬前1時間、水浴中にて、皮膚をレセプター溶液の温度に平衡化させた。
【0184】
皮膚に製剤を用量3.6μL/cm2で適用した。適用された製剤を、皮膚膜を破壊することなく、エッペンドルフ社の容積式ピペットチップを用いて皮膚領域に広げた。
製剤は下記の組成を有した:
○比較組成物1:2.8%酢酸ノルエチステロン(NETA)、0.55%エストラジオール(E2)、5%サリチル酸オクチル(OS)
○組成物2:2.8%NETA、0.55%E2、5%ポリエチレングリコール200(PEG200)
○組成物3:2.8%NETA、0.55%E2、5%OS、5%PEG200
○組成物4:2.8%NETA、0.55%E2、10%PEG200
○組成物5:2.8%NETA、0.55%E2、5%OS、10%PEG200
【0185】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0186】
図1は、比較組成物1の浸透を本発明と関連する組成物2〜5と比較するものである。OSと組み合わせたPEG200は、酢酸ノルエチステロンおよびエストラジオールの両方について、インビトロでヒト表皮を通過する浸透を有意に促進することがわかった。NETAの浸透を図1にて比較しており、エストラジオールの浸透を図2にて比較している。
【0187】
実施例2
インビトロでヒト皮膚を通過する累積ネストロンおよびエチニルエストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0188】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0189】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cm2に増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量3.6μL/cm2で臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(リン酸緩衝生理食塩水pH7.4)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物(Comp)1(コントロール):1.35%ネストロン(NES)、0.35%エチニルエストラジオール(EE)、5%サリチル酸オクチル(OS)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液
○組成物2:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、5%ポリエチレングリコール400(PEG400)のIPA溶液
○組成物3:1.35%NES、0.35%EE、0.5%ポリエチレングリコール(PEG200)のIPA溶液
○組成物4:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、0.5%PEG200のIPA溶液
○組成物5:1.35%NES、0.35%EE、1%PEG200のIPA溶液
○組成物6:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、1%PEG200のIPA溶液
○組成物7:1.35%NES、0.35%EE、2.5%PEG200のIPA溶液
○組成物8:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、2.5%PEG200のIPA溶液
○組成物9:1.35%NES、0.35%EE、5%PEG200のIPA溶液
○組成物10:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、5%PEG200のIPA溶液
○組成物11:1.35%NES、0.35%EE、10%PEG200のIPA溶液
○組成物12:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、10%PEG200のIPA溶液
【0190】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0191】
NESおよびEEの浸透に対するPEG400の効果は、それぞれ図3aおよび3bに示している。OSと組み合わせたPEG200は、ネストロンおよびエチニルエストラジオールの両方について、インビトロでヒト表皮を通過する浸透を促進することが分かった。
【0192】
PEG400を製剤に加えても、インビトロでヒト表皮を通過するネストロンの浸透に対して有意な効果(促進または阻害)はなかった。PEG400は、インビトロでヒト表皮を通過するエチニルエストラジオールの浸透を阻害することが分かった。
【0193】
図4にて、NESの浸透に対する組成物3〜12中のPEG200の効果を、組成物1コントロール(PEG200を含まない)と比較している。
【0194】
図5にて、EEの浸透に対する組成物3〜12中のPEG200の効果を、組成物1コントロールと比較している。
【0195】
実施例3
インビトロでヒト皮膚を通過する累積テストステロン浸透に対するPEG200の効果についての研究。
【0196】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0197】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cm2に増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量15μL/cm2で臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ1.0mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(0.002%w/v NaN3)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物1:2%テストステロン(TES)、5%サリチル酸オクチル(OS)、2%ポリビニルピロリジン(PVP)、30%イソプロピルアルコール(IPA)のエタノール(95%)溶液
○組成物2:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、0.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のエタノール(95%)溶液
○組成物3:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、1.0%PEG200のエタノール(95%)溶液
○組成物4:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、2.5%PEG200のエタノール(95%)溶液
【0198】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0199】
組成物を用いた場合のTESの浸透に対する効果を、図6に示している。OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するテストステロンの浸透を有意に促進することが分かった。
【0200】
実施例4
インビトロでヒト皮膚を通過する累積テストステロン浸透に対するPEG200の効果についての研究
【0201】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0202】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cm2に増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量3.6μL/cm2で臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ1.0mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(0.002%w/v NaN3)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物1:5%テストステロン(TES)、5%サリチル酸オクチル(OS)のエタノール(95%)溶液
○組成物2:5%TES、5%OS、1.0%ポリエチレングリコール200(PEG200)のエタノール(95%)溶液
○組成物3:5%TES、5%OS、2.5%PEG200のエタノール(95%)溶液
【0203】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0204】
図7にて、組成物2および3におけるPEG200およびOSの組み合わせの効果を、コントロール組成物1と比較している。図7に示すように、OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するテストステロンの浸透を有意に促進することが分かった。
【0205】
実施例5
ケトプロフェン経皮噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するケトプロフェン浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0206】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0207】
これらの実験は、1cm2の投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。
【0208】
皮膚を0.002%ナトリウムアジド(NaN3)のレセプター溶液(RS)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に容量3.6μL/cm2(特に示さない限り)の試験製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。
【0209】
ケトプロフェン経皮噴霧製剤は下記の通りであった:
・5.0%ケトプロフェン(KETO)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液[促進剤なし]
・5.0%KETO、5%サリチル酸オクチル(OS)のIPA溶液[OS]
・5.0%KETO、2.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のIPA溶液[PEG200]
・5.0%KETO、5%OS、2.5%PEG200のIPA溶液[OS+PEG200]
【0210】
市販のケトプロフェンゲル(およそ5mg/cm2)をコントロールとして用いた。市販のゲルは固体キャップを用いて適用し、該製品を用いる際に必要な摩擦作用をシミュレートした。およそ7mgのゲルを、黒色のポリプロピレン製円柱キャップ(オルテック(Alltech)カタログ#98105、直径11mm)の環状表面に適用した。ゲルを皮膚の表面に塗る前に、キャップの重さを量った。ゲルを30秒間塗り、上端に3.5gの重さをかけてキャップを皮膚上にさらに1分間残した。次いでキャップの重さを再び量り、適用されたゲルの実際の量を決定した。市販のゲルの実際の重量は、5mg/cm2のKETOが適用された場合に達成されたであろうレベルに浸透データを合わせるために用いた。
【0211】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0212】
図8は、市販の経皮ゲルから得たケトプロフェンの浸透を、5%ケトプロフェン、0または5%OSおよび0または2.5%PEG200のイソプロピルアルコール溶液を含む上記の噴霧製剤と比較するものである。
【0213】
図9は、2.5%ケトプロフェン組成物の経皮浸透を比較するものであり、浸透促進剤はPEG200またはPEG400であり、PEG200およびPEG400はOSALと組み合わせて用いられている(第2および第3カラム)。
【0214】
結果:
OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するKETOの浸透を有意に促進することが分かった。PEG400は、単独またはOSと組み合わせたいずれにおいても、KETOの浸透を促進しなかった。
【0215】
実施例6
ジクロフェナク経皮噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するジクロフェナク浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0216】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0217】
これらの実験は、1cm2の投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。
【0218】
皮膚をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4のレセプター溶液(RS)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に容量3.6μL/cm2(特に示さない限り)の試験製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。
【0219】
ジクロフェナク経皮噴霧製剤は下記の通りであった:
・0.1〜2.0%ジクロフェナク(DIC)ジエチルアミンのイソプロピルアルコール(IPA)溶液[促進剤なし]
・0.1〜2.0%DICジエチルアミン、5%サリチル酸オクチル(OS)のIPA溶液[OS単独]
・0.1〜2.0%DICジエチルアミン、2.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のIPA溶液[PEG200単独]
・0.1〜2.0%DICジエチルアミン、5%OS、2.5%PEG200のIPA溶液[OS+PEG200]
【0220】
市販のジクロフェナクゲル(およそ5mg/cm2)をコントロールとして用いた。市販のゲルは固体キャップを用いて適用し、該製品を用いる際に必要な摩擦作用をシミュレートした。およそ7mgのゲルを、黒色のポリプロピレン製円柱キャップ(オルテック(Alltech)カタログ#98105、直径11mm)の環状表面に適用した。ゲルを皮膚の表面に塗る前に、キャップの重さを量った。ゲルを30秒間塗り、上端に3.5gの重さをかけてキャップを皮膚上にさらに1分間残した。次いでキャップの重さを再び量り、適用されたゲルの実際の量を決定した。市販のゲルの実際の重量は、5mg/cm2のDICが適用された場合に達成されたであろうレベルに浸透データを合わせるために用いた。
【0221】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0222】
図10は、市販のゲルから得られたジクロフェナクDIC浸透を、2%DICジエチルアミンと0%促進剤、5%OS、2.5%PEG200、および5%OS+2.5%PEG200(それぞれイソプロピルアミン(IPA)溶液)のそれぞれとの組み合わせを含む組成物とを比較したものである。
【0223】
図11は、OSによる促進に対するPEG400の効果を含むものである。
【0224】
結果:
OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するDICの浸透を有意に促進することが分かった。PEG400は、単独またはOSと組み合わせたいずれにおいても、DIC浸透を減少させることが分かった。
【0225】
実施例7
エストラジオール噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するエストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0226】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ浸透研究を行った。
【0227】
これらの実験は、1cm2の投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を各浸透セルのレセプターチャンバー内に置き、皮膚を支え、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、レセプター溶液を名目上の流速0.5mL/時間に維持した。セルを加熱棒上に置き、皮膚の温度を32±1℃に保った。
【0228】
皮膚をレセプター溶液(RS;0.002%ナトリウムアジド)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に3.6μL/cm2のエストラジオール経皮噴霧製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。適切な大きさのガラスバイアルに浸透サンプルを24時間収集した。
【0229】
エストラジオール経皮噴霧製剤は下記を含んだ:
・エストラジオール(E2)+サリチル酸オクチル(OS)のイソプロピルアルコールIPA溶液
・E2+OS+ポリエチレングリコール(PEG200)のイソプロピルアルコールIPA溶液
・E2+OS+ポリエチレングリコール400(PEG400)のIPA溶液
【0230】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0231】
図12は、エストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果を示すものである。
【0232】
結果:
OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト皮膚を通過するエストラジオールの浸透を相乗的に促進した。PEG400は、コントロール製剤と比較して、エストラジオールの浸透に対して有意な効果はなかった−これは、PEG400単独およびPEG400+OSを含む製剤について同様であった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮送達システムおよび生理活性剤の経皮送達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚を通過する生理活性剤の投与(「経皮送達」)は、相対的に簡易な投与計画を提供するのみならず、生理活性剤の体循環への相対的に持続的かつ制御された放出経路も提供するため、より一層の注目を集めている。しかしながら、皮膚が天然バリアとして振る舞い、それゆえ皮膚を通過する薬剤の輸送が複雑なメカニズムを有しているという事実によって、経皮薬物送達は複雑なものとなっている。
【0003】
構造的に、皮膚は2つの主要部分からなり、相対的に薄い最外層(「表皮」)およびより厚い内部領域(「真皮」)からなる。表皮の最外層(「角質層」)は、ケラチンで満たされた扁平な死細胞からなる。角質層の扁平な死細胞の間の領域は、皮膚の天然バリア性の原因であるラメラ相を形成する脂質で満たされている。
【0004】
皮膚の表面に適用される(「局所適用」)生理活性剤の効率的な経皮送達のために、薬剤は初めにビヒクルから角質層へ分配されなければならず、次いで角質層から生きた表皮へ分配される前に、典型的には角質層内に拡散しなければならない。
【0005】
皮膚層を横切る輸送(「経皮吸収」)と関連する経皮送達についてのいくつかの問題を克服するために、生理活性剤は通常、皮膚浸透促進剤と共に製剤化されるが(Finnin and Morgan, J. Pharm. Sci., Vol 88, No. 10, October 1999, pp 955-958)、それらは多くの場合、脂溶性化学物質であり、角質層に容易に分配され、そこで皮膚バリアを横切る薬物輸送の改善に対する効果を発揮する。
【0006】
経皮「パッチ」は、典型的には、投与される薬物を含むマトリックスまたはリザーバー、裏打ち層(backing layer)、および接着性かつ保護性の剥離ライナー(release liner)からなる。放出膜を包含してもよい。これらのシステムを通じた薬物の送達は、半透放出膜によって制御され、または接着剤/接着性マトリックスによって制御される受動拡散を通じてなされる。皮膚を通過する薬物の流動を増加させるために、該システムは薬物浸透促進剤を包含してもよい。
【0007】
現在のアプローチの欠点の1つは、製剤が典型的には継続的に皮膚と接触していることである。パッチに用いられるクリーム剤および軟膏剤または接着剤は、皮膚炎および皮膚感作の原因となりうる。パッチに用いられる接着剤のために、かなりの割合のパッチ使用者が皮膚炎および皮膚感作に苦しんでいる。
【0008】
皮膚表面を横切る薬物送達の速度は、皮膚浸透促進剤によって増加しうる。皮膚浸透促進剤についての最も知られた問題は、それらが多くの場合、毒性、刺激性またはアレルゲン性があることである。これらの促進剤は、ジメチルスルホキシドおよびジメチルアセトアミドなどのプロトン受容溶媒であることが多い。最近になって、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、1−ドデシル−アザシクロヘプタン−2−オン(アゾン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジンおよびチオグリコール酸カルシウムが、効果的な促進剤として報告されている。しかしながら、適用部位における刺激作用の問題が克服されていないため、該皮膚促進剤についての問題は残ったままである。
【0009】
しかしながら、これらの化合物についての最も重大な問題はその毒性である。皮膚促進剤として用いられる場合に、化合物に毒性、刺激性またはアレルゲン性があれば、化合物は動物の体へ適用するのに不適切である。これらの理由のために、ジメチルアセトアミドは臨床的に許容されない。ディートおよびアゾンは毒性が低いことが報告されているが、それらの毒性はなおも強いため、広くは用いられていない。アゾンおよびジメチルスルホキシドは、動物に対するかなりの毒性、刺激性またはアレルゲン性を有さないように、適用される量が十分少ない場合、皮膚浸透促進剤として利用されうる可能性がある。
【0010】
本発明の組成物は、医薬的、栄養補助的、美容的または獣医学的製剤を用いて、皮膚に特異的化合物を局所適用するためのビヒクルとしての使用に適切である。該局所適用は、特異的化合物が皮膚に浸透し、循環系に入ることを可能にし、それによって活性化合物が全身作用を有することを可能にする。少なくとも1つの活性化合物は、薬理活性化合物であってよい。「薬理活性化合物」は、疾患の治療または予防において、ヒトまたは動物の体に対する治療効果を有する化合物である。
【0011】
本明細書の文書の考察、行為、物質、装置、論文などは、本発明についての文脈を提供するためだけに含まれている。本出願の各請求項の優先日前に存在していたからといって、これらの事項のいずれかまたは全部が先行技術基準の一部を形成していた、または本発明と関連する分野における共通一般知識であったことを示唆または意味するものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
概略
本発明は、生理活性剤および浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)平均分子量300以下のポリエチレングリコールの組み合わせを含む経皮送達システムを提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、上記経皮送達システムを動物の皮膚表面へ適用することを含む、ヒトを含む動物対象への活性剤の経皮投与方法を提供する。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、動物の皮膚表面の部位に薬剤を適用することによる動物に対する生理活性剤の経皮投与用の生理活性剤を含む薬剤の製造における、(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールの使用を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、動物の皮膚表面の部位への投与用の経皮送達システムの製造方法であって、生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを組み合わせることを含む製造方法を提供する。
【0016】
さらなる実施態様では、本発明は、経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含む経皮送達システムであって、該経皮組成物が生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む経皮送達システムを含む。
【0017】
該経皮送達システムは、好ましくは、動物の血流中に生理活性剤の有効量を提供するのに十分な用量にて適用されるであろう。
【0018】
好ましくは、動物はヒトであるが、本発明は非ヒト動物の治療にも拡張される。
【0019】
定義
当業者であれば、用語「ポリエチレングリコール」は、ジエチレングリコールを含まないことは理解できるであろう(ただし、必要であれば、ジエチレングリコールは付加的成分として存在してよい)。平均分子量300以下のポリエチレングリコールは、名目上の平均分子量200および300のポリエチレングリコールを含み、該平均分子量は最高で示された値の110%および最低で90%(好ましくは最高で105%および最低で95%)である。ポリエチレングリコールは、式H−[OCH2CH2]n−OHで表される。平均分子量300以下は、nの平均値が少なくとも3であり、一般的には3、4、5または6などの3〜6の値であり(ただし、平均値は整数である必要はない)、より好ましくは3〜5であることを意味する。ポリエチレングリコール(PEG)は、供給業者から医薬品グレードにて広く入手可能であり、平均分子量が最高で示された値の105%および最低で95%であることを一般的に示す特定の名目分子量にて販売されている。粘度および分子量決定方法は、「USP NF Official Compendium of Standards Volume 11180-1182 [2007 Edition]」に開示されている。
【0020】
本明細書で、用語「生理活性剤」は、広範な種類の有用な化学薬品および治療薬を指すのに用いられている。
【0021】
本明細書で考察する薬剤を記載する用語「生理活性」は、宿主に対して直接的な薬理効果を有する薬剤のみならず、医療分野で有用な間接的または観察可能な効果を有する薬剤をも包含する広範な意味で用いられている。用語「生理活性剤」は、インビボで生理学的効果を発揮する薬剤のプロドラッグを含む。
【0022】
ステロイドは、式:
【化1】
の一般シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を有する化合物を含む。
【0023】
ステロイドは、これらの環に結合している官能基および該環の酸化状態によって異なる。ステロイドは、活性薬物の形態にあってよく、またはインビボでステロイドのより活性のある形態を提供するプロドラッグステロイドであってよい。ステロイドは、エストロゲン、アンドロゲン、グルココルチコイド、アドレノコルチコイド、タンパク質同化または受胎調節活性を提供する薬物およびプロドラッグを含む。ステロイドの例は、例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、ピバル酸プレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フルニソリド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、酢酸クロロプレドニゾン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、酢酸デスオキシコルチコステロン、ピバル酸デスオキシコルチコステロン、デスオキシメタゾン、エストラジオール、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ジクロリゾン、フルオロヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、フルプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸パラメタゾン、アンドロステロン、フルオキシメステロン、アルドステロン、メタンドロステノロン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、ノルエタンドロロン、テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、エキレニン、エキリン、安息香酸エストラジオール、二プロピオン酸エストラジオール、エストリオール、エストロン、安息香酸エストロン、アセトキシプレグネノロン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、酢酸フルロゲストン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、ノルメチステロン、プレグネノロン、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロキシジオンナトリウム、スピロノラクトン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プロメトロン、シピオン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、シピオン酸エストラジオール、およびノルエチノドレルを含む。
【0024】
「プロドラッグ」は、不活性または低活性型にて投与され、活性型に代謝される医薬活性剤である。プロドラッグ自体は、皮膚または循環系などの体系と相互作用するまでは、所望の活性をほとんどまたは全く有さなくてよい。それにもかかわらず、本発明の経皮送達システムに用いられる医薬活性剤は、投与されると経皮投与過程の間または後にインビボでより活性のある薬剤を形成するプロドラッグである薬剤を含む。
【0025】
さらに別の好ましい実施態様では、プロドラッグまたは親組成物と混合されたプロドラッグの組成物は、薬理学的に同量の親薬物を有する同一の組成物よりも速いまたは遅い浸透速度を有する。さらに別の好ましい実施態様では、組成物は、薬理学的に同量の親薬物のみを有する組成物よりも長いまたは短い治療効果の持続期間を有する。別の好ましい実施態様では、プロドラッグは親薬物よりも親油的であり、プロドラッグは皮膚を通過するより速い浸透速度を有する。一般的に、プロドラッグは、代謝条件下で切断可能な基を有する親薬物の変形または誘導体である。プロドラッグは、生理学的条件下で加溶媒分解されまたは酵素分解されると、医薬活性がありまたはインビボでより活性がある親薬物となる。当該技術分野で周知のプロドラッグは、親酸もしくは親アルコールをそれぞれ適切なアルコールもしくは酸と反応させることによって製造される酸エステル、親酸もしくは親アミン化合物をそれぞれアミンもしくは酸と反応させることによって製造されるアミド、または反応によってアシル化塩基誘導体を形成する塩基性基を含む。プロドラッグの例は、「Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985」、「Silverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, Calif., 1992」、および「Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry, Fifth Ed., Vol. 1, pp. 172-178,949-982 (1995)」で考察されている。対象の血漿プロファイルを制御する他の方法は、分子量または極性などに基づいてプロドラッグを選択することである。プロドラッグの分子量を増加させることによって、プロドラッグの有効量の浸透が開始するまでの時間は、親薬物と比較して増加するであろう。この効果の1つの例は、ノルエチンドロンおよび酢酸ノルエチンドロンの使用である。ノルエチンドロンの浸透速度は、適用後、急速にピークになるが、一方でより高分子量を有する酢酸ノルエチンドロンは、ノルエチンドロンの浸透速度が低下し始めた後に最大に達する。ステロイドは、縮合環上の17位、3位、または11位などのステロイド環上の位置で、遊離ヒドロキシ基を有する。特に好ましいのは、エストロゲン、プロゲスチン、およびアンドロゲンなどのステロイド系ホルモンである。対応するステロイドプロドラッグ(プロステロイド)は、3、11または17位の遊離ヒドロキシがアルコール反応性部位と反応したステロイドに対応する構造として定義される。特に好ましいのは、17位のヒドロキシルが、例えばC1−C12アルカノイル基によってアシル化されているステロイド誘導体である。ステロイドであるか対応するプロステロイドであるかにかかわらず、誘導体は主薬として担体組成物に組み込まれ、それぞれ血流中にステロイド源を提供し、目的の生理学的効果を達成するが、対応するプロステロイドの場合には、該効果は誘導体の代謝変換を通じて生じる。ステロイドエステルは、環上の遊離ヒドロキシ基がエステル化されているステロイドに対応する構造を有する。ステロイドおよびその対応するエステルの例は、エストラジオール、ならびに安息香酸エストラジオール、17β−シピオン酸エストラジオール、17−プロピオン酸エストラジオール、ヘミコハク酸エストラジオール(eutocol)、エナント酸エストラジオール、ウンデシレン酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、およびプロピオン酸エストラジオールなどを含む。別の例は、テストステロンおよびそのテストステロンの対応するエステルであり、17β−シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、ニコチン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、プロピオン酸テストステロンなどである。テストステロン17−クロラールヘミアセタールなどの17位に基を有する非エステル、またはエストラジオール3−メチルエーテルなどの3位に基を有するエーテルも含まれる。
【0026】
本明細書で、用語「経皮的」および「経皮」は、無傷の皮膚を通過することができることを指すために最も広義に用いられている。
【0027】
本明細書で、用語「皮膚浸透促進剤」は、局所適用用であろうと全身送達用であろうと、活性剤を動物などの生物に使用および送達するために、皮膚を横切る活性剤の経皮輸送の速度を改善する薬剤を指すために最も広義に用いられている。
【0028】
本明細書で、用語「非閉塞性」は、皮膚の適用部位に長期にわたって存在し続けるパッチ装置、固定リザーバー、適用チャンバー、テープ、包帯、絆創膏などによって、皮膚を外気に対して閉じ込めず、または密閉しないことを指すために最も広義に用いられている。本発明の経皮送達システムは、非閉塞性であることが特に好ましい。
【0029】
本明細書で、用語「角質層」は、主にタンパク質性物質のケラチンでできている(およそ15)層の最終分化したケラチノサイトからなっており、「レンガとモルタル」様式にて並んでおり、モルタルが主にコレステロール、セラミドおよび長鎖脂肪酸でできている脂質マトリックスからなっている皮膚の外層を指すために最も広義に用いられている。角質層は、皮膚を横切る活性剤の拡散に対する律速バリアを作り出す。
【0030】
本明細書で、用語「皮膚蓄積」は、細胞内(ケラチノサイト内)であろうと細胞間であろうと、角質層内の活性剤および皮膚浸透促進剤のリザーバーまたは蓄積を指すために最も広義に用いられている。
【0031】
当該技術分野で、用語「揮発性:不揮発性液体ビヒクル」は、皮膚浸透促進剤などの不揮発性液体ビヒクルと混合される揮発性液体を含む液体医薬ビヒクルを指すために用いられている。本明細書で記載されている場合、不揮発性皮膚浸透促進剤と混合される揮発性液体を含むシステムまたはビヒクルは、揮発性:不揮発性液体ビヒクルとして知られるシステムを含むために最も広義に用いられている。
【0032】
用語「脂肪族」は、直鎖状、分枝鎖状および環状脂肪族を含み、飽和アルキル基または1〜3個の不飽和基、特に1〜3個の二重結合を含む不飽和脂肪族であってよい。
【0033】
本発明の経皮薬物送達システムは、広範な生理活性剤が皮膚を通じて送達され、所望の全身作用を達成することを可能にする。薬物送達システムは、好ましくは、不揮発性皮膚浸透促進剤および揮発性液体と密に混合される活性剤を含む。薬物送達システムが皮膚に適用される場合、活性剤および不揮発性液体は、揮発性液体が蒸発するに従って熱力学的に皮膚に追い込まれる。一度皮膚に入ると、不揮発性液体は脂質マトリックスを破壊し、および/または可溶化剤として作用し得、皮膚を通過する活性剤の浸透速度の促進、および治療される対象への送達を可能にする。このように、皮膚浸透促進剤はビヒクルとして作用し、多くの全身活性剤が動物に経皮投与されうる。
【0034】
「栄養補助活性化合物(nutraceutically active compound)」は、天然(動物または植物)に由来し、疾患の治療においてヒトまたは動物の体に対して有益な、および/または治療的な効果を有する化合物である。該化合物を栄養と見なしてよい。
【0035】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、単語「を含む(comprise)」ならびに「を含む(comprising)」および「を含む(comprises)」などの該単語の変形は、他の添加剤、成分、整数またはステップを排除することを意図していない。
【0036】
詳細な記載
本発明の発明者は、(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールの組み合わせである浸透促進剤の使用が、浸透促進において相乗的な改善を示すことを見出した。
【0037】
(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールに対するサリチル酸のエステルの重量比は、好ましくは95:5〜5:95の範囲、好ましくは1:10〜10:1、例えば1:10〜5:1および1:5〜2:1などの範囲である。最適比は、活性剤の性質および濃度、ならびに浸透促進剤の組み合わせの濃度に依存して変化してよい。
【0038】
サリチル酸のエステルは、好ましくはC6−C18脂肪族エステル、より好ましくはC6−C12アルキルエステル、さらに好ましくはC8アルキル、最も好ましくは慣用名サリチル酸オクチルまたは単にオクチサレートとして知られる2−エチルヘキシルエステルである。
【0039】
典型的には、サリチル酸のエステルは、本発明の全経皮組成物の0.1〜10重量%の量にて、より好ましくは0.5〜5%、例えば0.5、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、1.7、2.0、3.0、3.5、4.0、4.5および5.0などの量にて存在するであろう。
【0040】
典型的には、平均分子量300未満のPEGは、全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて、好ましくは0.5〜20%、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%などの量にて存在するであろう。
【0041】
本発明の組成物は、好ましくはPEG200を全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて、好ましくは0.5〜20%、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%などの量にて含む。
【0042】
本発明の組成物は、揮発性溶媒を含んでよく、好ましくは含むであろう。好ましくは、揮発性溶媒は、大気圧下で35mmHg以上の蒸気圧を有し、正常な皮膚温度である32℃を有する。本発明の特に好ましい形態では、溶媒は好ましくはC2−C4アルカノール、より好ましくはエタノールもしくはイソプロパノール、またはその混合物である。
【0043】
既知の皮膚浸透促進剤も、経皮薬物送達システムにおいて利用されてよい。既知の皮膚浸透促進剤の使用は、ラウロカプラム(アゾン(Azone(登録商標)))およびラウロカプラム誘導体、例えば米国特許第5,196,410号に記載されている1−アルキルアザシクロヘプタン−2−オンなど、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニルおよびグリセリルモノオレエートなど、ソルビタンエステル、例えばソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノオレエートなど、ならびに他の脂肪酸エステル、例えばイソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールモノラウレートおよびプロピレングリコールモノオレエートなど、ならびに2−ピロリドンの長鎖アルキルエステル、特に2−ピロリドンの1−ラウリル、1−ヘキシルおよび1−(2−エチルヘキシル)エステル、ならびに米国特許第5,082,866号に記載の皮膚浸透促進剤、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテートおよびドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、ならびに米国特許第4,861,764号に記載のもの、特に2−n−ノニル−1−3−ジオキソランの使用を含む。好ましくは、組成物は、PEGおよびサリチル酸エステル以外に5重量%以下の不揮発性浸透促進剤を含み、より好ましくは1%以下、最も好ましくは分子量300以下のPEGおよびサリチル酸エステル以外に組成物の0.5重量%以下の不揮発性浸透促進剤を含むであろう。
【0044】
揮発性溶媒は、好ましくは、本発明の組成物中に、組成物の40〜95重量%、より好ましくは50〜95%、さらに好ましくは全組成物の60〜95重量%、例えば65%〜95重量%、70%〜95%、70〜90%および75〜90重量%などの範囲の量にて存在する。
【0045】
本発明の組成物は、必要であれば、例えば浸透促進剤、界面活性剤、増粘剤および溶媒からなる群から選択される1つ以上の付加的なアジュバントを含んでよい。適切な増粘剤の例は、ポリアクリル酸;およびアシル酸コポリマー、寒天、カラギナン、食物デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タンパク質、ならびにポリビニルピロリドンを含む。増粘剤の含有量は、0〜5%であってよい。しかしながら、本質的に下記からなる組成物が本発明の特に好ましい態様である:
(i) 1つ以上の生理活性剤を含んでよい生理活性成分;
(ii) サリチル酸のエステルおよび平均分子量300以下のポリエチレングリコールからなる浸透促進成分;
(iii)エタノールおよびイソプロパノールの1つ以上からなる揮発性溶媒;ならびに
(iv) 任意に噴霧剤。
【0046】
当業者であれば、アルコールおよびポリオールは、一定量の水を含むことが理解できるであろう。典型的には、組成物の総含水量は20重量%未満、好ましくは全組成物の10重量%未満である。
【0047】
本発明の組成物は、液体、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、パッチ(マトリックスおよびリザーバー)、テープ、硬膏剤またはフィルム形成剤の範囲の形態にあってよい。より好ましい実施態様では、経皮送達システムは皮膚の特定部位への適用用の液体形態にある。
【0048】
本発明の組成物は、皮膚への局所適用に適切ないずれかの形態にあってよい。適切な形態は、噴霧可能液体;ゲル剤;ロールオン装置を用いて適用されうる液体;ラッカー;およびパッチなどの経皮送達装置の持続放出マトリックスを含む。組成物は通常、単独で投与されるが、ある状況下では、投与は、浸透を促進するために、イオン導入、超音波およびマイクロニードルなどの他の送達メカニズムを用いることによってさらに修飾されてよい。非閉塞性の適用、特に噴霧適用が好ましい。
【0049】
適切な薬理活性化合物は、下記から選択してよい:
【0050】
消化器系抗下痢剤、例えばジフェノキシレート、ロペラミドおよびヒヨスチアミンなど;
【0051】
下記を含む心血管系薬剤:
【0052】
降圧剤、例えばヒドララジン、ミノキシジル、カプトプリル、エナラプリル、クロニジン、プラゾシン、デブリソキン、ジアゾキシド、グアネチジン、メチルドパ、レセルピン、トリメタファンなど;
【0053】
カルシウムチャネル遮断薬、例えばジルチアゼム、フェロジピン、アムロジピン、ニトレンジピン、ニフェジピンおよびベラパミルなど;
【0054】
プロトンポンプ阻害剤、例えばランソプラゾール;オメプラゾール;およびパントプラゾールなど;
【0055】
抗不整脈薬、例えばアミオダロン、フレカイニド、ジソピラミド、プロカインアミド、メキシレチンおよびキニジンなど;
【0056】
抗狭心症薬、例えばニトログリセリン、エリトリトールテトラニトラート、ペンタエリトリトールテトラニトラート、マンニトールヘキサニトラート、ペルヘキシレン、イソソルビドジニトレートおよびニコランジルなど;
【0057】
β−アドレナリン作動性遮断薬、例えばアルプレノロール、アテノロール、ブプラノロール、カルテオロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ナドキソロール(nadoxolol)、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロールおよびマレイン酸チモロールなど;
【0058】
強心配糖体、例えばジゴキシンおよび他の強心配糖体、ならびにテオフィリン誘導体など;
【0059】
アドレナリン作動性刺激薬、例えばアドレナリン、エフェドリン、フェノテロール、イソプレナリン、オルシプレナリン、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、ドブタミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリンおよびドーパミンなど;
【0060】
血管拡張薬、例えばシクランデレート、イソクスプリン、パパベリン、ジピリマドール(dipyrimadole)、イソソルビドジニトレート、フェントラミン、ニコチニルアルコール、コデルゴクリン、ニコチン酸、ニトログリセリン、ペンタエリトリトールテトラニトラートおよびキサンチノールなど;ならびに
【0061】
抗片頭痛製剤、例えばエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、メチセルジド、ピゾチフェンおよびスマトリプタンなど。
【0062】
下記を含む血液および造血組織に作用する薬物:
【0063】
抗凝血剤および血栓溶解剤、例えばワルファリン、ジクマロール、エノキサパリンなどの低分子量ヘパリン;ストレプトキナーゼおよびその活性誘導体など。
【0064】
止血剤、例えばアプロチニン、トラネキサム酸およびプロタミンなど。
【0065】
下記を含む中枢神経系に作用する薬物:
【0066】
鎮痛薬;
【0067】
オピオイド鎮痛薬を含む解熱薬、例えばブプレノルフィン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロモルホン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、コデインおよびジヒドロコデインなど。その他、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール、およびフェナゾンを含む;
【0068】
睡眠薬および鎮静薬、例えばバルビツレート、アミロバルビトン、ブトバルビトンおよびペントバルビトンなど、ならびに他の睡眠薬および鎮静薬、例えば抱水クロラール、クロメチアゾール、ヒドロキシジンおよびメプロバメートなど;ならびに
【0069】
抗不安薬、例えばベンゾジアゼピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロラゼペート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラムなど。
【0070】
食物アレルギーを治療する薬剤、例えばクロモグリク酸ナトリウムなど。
【0071】
神経遮断薬および抗精神病薬、例えばフェノチアジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、プロマジン、チオプロパザート、チオリダジンおよびトリフルオペラジン、ドロペリドールおよびハロペリドールなどのブチロフェノン系化合物、ならびにピモジド、チオチキセンおよびリチウムなどの他の抗精神病薬など。
【0072】
抗うつ薬、例えばアミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリンおよびトリミプラミンなどの三環系抗うつ薬;ミアンセリンなどの四環系抗うつ薬;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびモクロベミドなどのモノアミンオキシダーゼ阻害剤;フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、フルボキサミンおよびセルトラリンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤;ならびにミルタザピンなどの四環系抗うつ薬、ならびにそのいずれかの代謝物、塩、エナンチオマー(エスミルタザピンを含む)、溶媒、非共有結合複合体、キレート、水和物、結晶または非結晶型など。
【0073】
CNS刺激薬、例えばカフェインなど。
【0074】
アルツハイマー病治療薬、例えばタクリンなど。
【0075】
パーキンソン病治療薬、例えばアマンタジン、ベンセラジド、カルビドパ、レボドパ、ベンズトロピン、ビペリデン、ベンズヘキソール、プロシクリジンおよびS(−)−2−(N−プロピル−N−2チエニルエチルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(N−0923)などのドーパミン−2作動薬など。
【0076】
脂質調節薬、例えばスタチン系薬剤など。
【0077】
骨代謝に作用する薬物、例えばカルシトニンおよびビスホスホネートなど。
【0078】
抗痙攣薬、例えばフェニトイン、バルプロ酸、プリミドン、フェノバルビトン、メチルフェノバルビトンおよびカルバマゼピン、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、スルチアムならびにクロナゼパムなど。
【0079】
制吐薬、鎮吐薬、例えばフェノチアジン、プロクロペラジン、チエチルペラジン、オンダンセトロンおよびグラニセトロンなどの5HT−3受容体拮抗薬、ならびにジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、メトクロプラミド、ドンペリドン、ヒヨスチン、ヒヨスチン臭化水素酸塩、ヒヨスチン塩酸塩、クレボプリドおよびブロモプリドなどの他の薬剤など。
【0080】
筋骨格系薬:
【0081】
ラセミ混合物または適用可能な場合は個々のエナンチオマーを含む非ステロイド系抗炎症薬、例えばイブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナク(aclofenac)、ジクロフェナク、アロキシプリン、アプロキセン(aproxen)、アスピリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、スリンダク、デスオキシスリンダク、テノキシカム、トラマドールおよびケトロラクなど;
【0082】
皮膚浸透促進剤と組み合わせて製剤化されうる付加的な非ステロイド系抗炎症薬は、サリチルアミド、サリチル酸、フルフェニサール、サルサラート、サリチル酸トリエタノールアミン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナム酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルチン、アロプリノール、オキシプリノール、塩酸ベンジダミン、ジメファダン、インドキソール、イントラゾール、塩酸ミンバン、塩酸パラニレン、テトリダミン、塩酸ベンジンドピリン、フルプロフェン、イブフェナク、ナプロキソール、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモール、フルチアジン、メタザミド、塩酸レチミド、塩酸ネキセリジン、オクタザミド、モリナゾール(molinazole)、ネオシンコフェン、ニマゾール(nimazole)、クエン酸プロキサゾール、テシカム、テシミド、トルメチン、およびトリフルミダートを含む;
【0083】
抗リウマチ薬、例えばペニシラミン、アウロチオグルコース、アウロチオリンゴ酸ナトリウム、メトトレキセートおよびオーラノフィンなど;
【0084】
筋弛緩薬、例えばバクロフェン、ジアゼパム、塩酸シクロベンザプリン、ダントロレン、メトカルバモール、オルフェナドリンおよびキニーネなど;ならびに
【0085】
痛風および高尿酸血症に用いられる薬剤、例えばアロプリノール、コルヒチン、プロベネシドおよびスルフィンピラゾンなど。
【0086】
ホルモンおよびステロイドは下記を含む:
【0087】
エストロゲン、例えばエストラジオール、エストリオール、安息香酸エストラジオール、17β−シピオン酸エストラジオール、エナント酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、ジエネストロール、メストラノール、スチルベストロール、ジエネストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、結合型エストロゲンホルモン、リン酸ポリエストラジオール、およびゼラノール、ならびにその混合物など;
【0088】
プロゲステロンおよびプロゲスチン、例えばノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ゲストデン、レボノルゲストレル、アリルエストレノール、アナゲストン、デソゲストレル、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチステロン、エチノジオール、二酢酸エチノジオール、エトノゲストレル、ゲストデン、エチニルエストラジオール、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ゲストノロン、ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、MENT(7−メチル−19−テストステロン);ノルエルゲストロミン、トリメゲストン、ドロスピレノン、チボロン、およびメゲストロール、ならびにその混合物など;
【0089】
抗アンドロゲン剤、例えば酢酸シプロテロンおよびダナゾールなど;
【0090】
抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、エピチオスタノール、アロマターゼ阻害剤、エキセメスタンおよび4−ヒドロキシ−アンドロステンジオンならびにその誘導体など;
【0091】
アンドロゲンおよびタンパク質同化薬、例えばアンドロイソキサゾール、アンドロステンジオール、ボランジオール、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メタンドリオール、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロロン、ノルボレトン、オキシメステロン、ステンボロンおよびトレンボロンなど。アンドロゲンステロイドは、ボルデノン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メタンドロステノロン、17−メチルテストステロン、17α−メチルテストステロン3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメステロン、オキシメトロン、プラステロン、スタノロン、スタノゾロール、テストステロン、テストステロン17−クロラールヘミアセタール、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、チオメステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(アンドロ):アンドロステンジオール、アンドロステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、およびアンドロスタノロン、ならびにその誘導体を含んでよい;
【0092】
5−αレダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリド、ツロステリド、LY−191704およびMK−306など;
【0093】
副腎皮質ステロイド、例えばベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、21−リン酸デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、17−吉草酸ヒドロコルチゾン、17−酪酸ヒドロコルチゾン、21−酢酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、21−リン酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど;
【0094】
即時組成物における使用用のステロイド系抗炎症薬のさらなる例は、コルトドキソン、フルオロアセトニド(fluoracetonide)、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその他のエステル、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン、デスシノロン、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメトロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニゾロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、酢酸コルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、酢酸フルドロコルチゾン、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル、アムシナフィド、ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、酢酸クロロプレドニゾン、酢酸クロコルトロン、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、酢酸ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、ピバル酸フルメタゾン、酢酸フルニソリド、酢酸フルペロロン、吉草酸フルプレドニゾロン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾラメート、プレドニバール、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコータルならびにニバゾールを含む;
【0095】
下垂体ホルモンおよびそれらの活性誘導体または類似体、例えばコルチコトロピン、サイロトロピン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)など;
【0096】
血糖降下薬、例えばインスリン、クロロプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミドおよびメトホルミンなど;
【0097】
甲状腺ホルモン、例えばカルシトニン、チロキシンおよびリオチロニンなど、ならびに抗甲状腺薬、例えばカルビマゾールおよびプロピルチオウラシルなど;ならびに
【0098】
他の種々のホルモン薬、例えばオクトレオチドなど。
【0099】
下垂体阻害剤、例えばブロモクリプチンなど。
【0100】
排卵誘発剤、例えばクロミフェンなど。
【0101】
泌尿生殖器系薬剤は下記を含む:
【0102】
利尿薬、例えばチアジド系利尿薬、類似利尿薬およびループ利尿薬、ベンドロフルアジド、クロロチアジド、クロルサリドン、ドーパミン、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メフルシド、メチクロチアジド、メトラゾン、キネタゾン、ブメタニド、エタクリン酸およびフルセミドならびにカリウム保持性利尿薬、スピロノラクトン、アミロライドならびにトリアムテレンなど。
【0103】
抗利尿薬、例えばデスモプレシン、リプレシンおよびバソプレシン、ならびにそれらの活性誘導体または類似体など。
【0104】
子宮に作用する薬剤を含む分娩薬、例えばエルゴメトリン、オキシトシンおよびゲメプロストなど。
【0105】
プロスタグランジン、例えばアルプロスタジル(PGEi)、プロスタサイクリン(PGI2)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2−α)およびミソプロストールなど。
【0106】
抗菌薬は下記を含む:
【0107】
セファロスポリン系抗菌薬を含む抗菌薬、例えばセファレキシン、セフォキシチンおよびセファロチンなど;
【0108】
ペニシリン系抗生物質、例えばアモキシシリン、アモキシシリン・クラブラン酸、アンピシリン、バカンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、メチシリン、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリンおよびアズロシリンなど;
【0109】
テトラサイクリン系抗生物質、例えばミノサイクリン、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、およびオキシテトラサイクリン、ならびに他のテトラサイクリン型抗生物質など;
【0110】
アミノグリコシド系抗生物質、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシンおよびトブラマイシンなど;
【0111】
抗真菌薬、例えばアモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、ビホナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾールおよびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛ピリチオンならびにナトリウムピリチオンなど;
【0112】
キノロン系抗菌薬、例えばナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシンおよびノルフロキサシンなど;
【0113】
スルホンアミド系抗菌薬、例えばフタリルスルファチアゾール、スルファドキシン、スルファジアジン、スルファメチゾールおよびスルファメトキサゾールなど;
【0114】
スルホン系抗菌薬、例えばダプソンなど;ならびに
【0115】
他の種々の抗生物質、例えばクロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエチルカーボネート、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシングルセプテート、エリスロマイシンエチルスクシネート、エリスロマイシンラクトビオネート、ロキシスロマイシン、リンコマイシン、ナタマイシン、ニトロフラントイン、スペクチノマイシン、バンコマイシン、アズトレオナム、コリスチンIV、メトロニダゾール、チニダゾール、フシジン酸およびトリメトプリム;2−チオピリジンN−オキシド;ハロゲン化合物、特にヨウ素およびヨウ素化合物、例えばヨウ素−PVP複合体およびジヨードヒドロキシキノリンなど;ヘキサクロロフェン;クロルヘキシジン;クロロアミン化合物;過酸化ベンゾイルなど。
【0116】
抗結核薬、例えばエタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシンおよびクロファジミンなど。
【0117】
抗マラリア薬、例えばプリマキン、ピリメタミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニーネ、メフロキンおよびハロファントリンなど。
【0118】
抗ウイルス薬、例えばアシクロビルおよびアシクロビルプロドラッグ、ファムシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ドコサノール、トロマンタジンならびにイドクスウリジンなど。
【0119】
駆虫薬、例えばメベンダゾール、チアベンダゾール、ニクロサミド、プラジカンテル、ピランテルエンボネート(pyrantel embonate)およびジエチルカルバマジンなど。
【0120】
細胞毒性薬、例えばプリカマイシン、シクロホスファミド、ダカルバジン、フルオロウラシルおよびそのプロドラッグ[例えば、「international Journal of Pharmaceutics 111, 223-233 (1994)」に記載されているプロドラッグなど]、メトトレキセート、プロカルバジン、6−メルカプトプリンならびにミコフェノール酸など。
【0121】
下記を含む代謝系薬剤:
【0122】
デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドールおよびフェンテルミンを含む食欲抑制薬および減量薬;ならびに
【0123】
高カルシウム血症に用いられる薬剤、例えばカルシトリオール、ジヒドロタキステロールおよびそれらの活性誘導体または類似体など;
【0124】
下記を含む呼吸器系薬剤:
【0125】
鎮咳薬、例えばエチルモルヒネ、デキストロメトルファンおよびフォルコジンなど;
【0126】
去痰薬、例えばアセチルシステイン、ブロムヘキシン、エメチン、グアイフェネシン、トコンおよびサポニン系化合物など;
【0127】
鬱血除去薬、例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミンおよびプソイドエフェドリンなど;ならびに
【0128】
気管支痙攣弛緩薬、例えばエフェドリン、フェノテロール、オルシプレナリン、リミテロール、サルブタモール、クロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸およびそのプロドラッグ[例えば、「International Journal of Pharmaceutics 7, 63-75 (1980)」に記載されているプロドラッグなど]、テルブタリン、臭化イプラトロピウム、サルメテロールならびにテオフィリンおよびテオフィリン誘導体など。
【0129】
下記を含むアレルギーおよび免疫系薬剤:
【0130】
抗ヒスタミン薬、例えばメクロジン、シクリジン、クロルシクリジン、ヒドロキシジン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルアミン、ドキシラミン、メブヒドロリン、フェニラミン、トリポリジン、アザタジン、ジフェニルピラリン、メトジラジン、テルフェナジン、アステミゾール、ロラチジンおよびセチリジンなど。
【0131】
局所麻酔薬、例えばブピバカイン、アメトカイン、リグノカイン、シンコカイン、ジブカイン、メピバカイン、プリロカインおよびエチドカインなど。
【0132】
角質層脂質、例えば皮膚バリア修復の改善用のセラミド、コレステロールおよび遊離脂肪酸など[Man, et al. J. Invest.Dennatol., 106(5), 1096, 1996]。
【0133】
H2−受容体拮抗薬、例えばシメチジン;およびラニチジンなど;
【0134】
神経筋遮断薬、例えばスキサメトニウム、アルクロニウム、パンクロニウム、アトラクリウム、胆汁アミン、ツボクラリンおよびベクロニウムなど。
【0135】
禁煙薬、例えばニコチン、ブプロピオンおよびイボガインなど。
【0136】
局所または全身適用に適切な殺虫剤および他の駆除剤。
【0137】
皮膚病薬、例えばビタミンAおよびE、酢酸ビタミンEおよびビタミンEソルベート(vitamin E sorbate)など。
【0138】
脱感作用アレルゲン、例えばイエダニアレルゲンなど。
【0139】
栄養補助活性化合物(nutraceutically active compounds)は、リコピン、ルテイン、アスタキサンチンおよび[β]−カロチンなどのカロテノイド;グルコサミンまたはN−アシルグルコサミン;ユビキノン;ビタミンA、C、DおよびEなどのビタミン;ロスマリン酸;ホノキオール;マグノロール;クロロゲン酸;オレウロペイン;メチルスルホニルメタン(「MSM」);コラーゲンおよびコンドロイチン;ボスウェリンおよびボスウェル酸;を含む
【0140】
角質溶解薬、例えばα−ヒドロキシ酸、グリコール酸およびサリチル酸など。
【0141】
精神賦活薬、例えば3−(2−アミノプロピル)インドール、3−(2−アミノブチル)インドールなど。
【0142】
抗ニキビ薬、例えばイソトレチノイン、トレチノインおよび過酸化ベンゾイルなど。
【0143】
抗乾癬薬、例えばエトレチナート、シクロスポリンおよびカルシポトリオールなど。
【0144】
かゆみ止め薬、例えばカプサイシンおよびその誘導体、例えばノニバミドなど[Tsai, et al. Drug. Dev. Ind. Pharm., 20(4), 719, 1994]。
【0145】
腋窩発汗(axillary sweating)の阻害およびあせものコントロールに有効な抗コリン薬。硝酸メタトロピン(methatropine nitrate)、臭化プロパンテリン、スコポラミン、臭化メトスコポラミン、および新種のソフト制汗剤、第4級アシルオキシメチルアンモニウム塩[例えば、「Bodor et al, J. Med. chem. 23, 474 (1980)」および1979年6月27日に発行された英国特許明細書第2010270号に記載されているものなど]などの薬剤の制汗作用。
【0146】
浸透促進剤と活性剤の最適比は、活性剤の性質、ならびに浸透促進を作り出す組み合わせの特異的同一性(specific identity)および組成に依存して異なるであろう。典型的には、活性剤に対する浸透促進剤の重量比は1000:1〜1:1000、好ましくは500:1〜1:10、最も好ましくは20:1〜1:1の範囲であろう。
【0147】
本発明の浸透促進剤は、抗うつ薬、女性の健康増進剤(women's health actives)およびホルモンの経皮投与に特に有用である。本発明の薬物送達システムに用いられてよいホルモンは、皮膚浸透促進剤の助けにより皮膚を通過して送達され、所望の効果を達成しうる全身活性ホルモンを含む。
【0148】
適切なホルモンは下記を含む:
【0149】
アンドロゲン、例えば:
テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(アンドロ):アンドロステンジオール、アンドロステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、アンドロスタノロン、フルオキシメステロン、メステロロン、メチルテストステロンおよびその誘導体など;
【0150】
エストロゲン、例えば:
エストラジオール、エストリオール、エストロン、クロロトリアニセン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メストラノール、リン酸ポリエストラジオールなど。
【0151】
選択的エストロゲン受容体修飾因子、例えば:
バゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソフォキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンなど
【0152】
アロマターゼ阻害剤、例えば:
アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾールおよびボロゾールなど。
【0153】
ゴナドトロピン、例えば:
クロミフェンおよびウロフォリトロピンなど。
【0154】
プロゲストゲン、例えば:
プロゲステロン;
プロゲスチン、例えば:
デソゲストレル、ドロスピレノン、ジドロゲステロン、エチステロン、エトノゲストレル、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、ゲストノロン、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエルゲストロミン、ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、エチニルエストラジオール、チボロン、メゲストロールおよびMENT(7−メチル−19−テストステロン)からなる群から選択されるプロゲスチンなど;
【0155】
選択的プロゲステロン受容体修飾因子、例えば:
アソプリスニル、CDB−4124など
【0156】
抗プロゲストゲン剤、例えばミフェプリストンなど;
【0157】
抗ゴナドトロピン剤、例えば:
ダナゾールおよびゲストリノンなど;ならびに
【0158】
GnRH:(受容体)作動薬、例えば:
ブセレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなど。
【0159】
GnRH拮抗薬:アバレリクス、セトロレリクスおよびガニレリクス。
【0160】
本発明の組成物は、これらの群の1つ以上からの複数のホルモンを含んでよい。例えば、避妊製剤については、1つ以上のエストロゲンおよび1つ以上のプロゲスチンを含むことが所望でありうる。
【0161】
有効量の局所または全身投与用に治療システムが用いられてよい。1つの実施態様では、経皮送達システムは医薬的有効量の活性剤を体循環に提供するように投与される。本発明の1つの好ましい形態では、薬物送達システムは重量ベースで約0.1〜約10%の活性剤(部分的にホルモン)、約0.1〜12%の少なくとも1つの皮膚浸透促進剤、および約78〜99.8%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を含む。
【0162】
本発明の別の好ましい形態では、薬物送達システムは、重量ベースで、約1〜3%のホルモン、約1〜15%の皮膚浸透促進剤の組み合わせ、約45〜90%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物、5〜45%の水を含む。
【0163】
好ましい薬物の別の群は、抗うつ薬であり、ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA);より好ましくは四環系抗うつ薬、最も好ましくはミルタザピンならびにいずれかの代謝物、塩、エナンチオマー(エスミルタザピンを含む)、溶媒、非共有結合複合体、キレート、水和物、その結晶または非結晶型を含む。
【0164】
本発明の薬物送達システムおよび方法を用いることによって治療されうる疾患または状態は、テストステロン欠乏性の性機能低下男性の男性ホルモン補充、例えばエストラジオールを用いた閉経後女性用の女性ホルモン補充療法、性欲が欠如している女性用および/またはうつを治療するためのテストステロンなどのアンドロゲンを用いたアンドロゲン補充療法、男性避妊(例えば、任意にテストステロンと組み合わせるエトノゲストレルなどのプロゲスチンを用いた避妊)ならびに女性避妊(例えば、任意にエストロゲンと組み合わせるプロゲスチンを用いた避妊)を含み、これらに限定されない。ステロイド系ホルモン、特にエストロゲン、例えばエストラジオールは、女性の月経前症候群(PMS)症状を治療するために用いられてよい。PMS症状は、腹部膨満、腹部痙攣、頭痛または片頭痛、乳房圧痛または乳房腫脹、不安症、不眠、関節痛または筋肉痛および気分変動を含む(これらに限定されない)。
【0165】
1つの実施態様では、経皮送達システムは、経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含み、該経皮組成物は生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む。
【0166】
該経皮送達システムは、好ましくは、動物の血流中に生理活性剤の有効量を提供するのに十分な用量にて適用されるであろう。
【0167】
好ましくは、塗布器は定量噴霧適用を提供し、例えば定量噴霧エアロゾル、蓄積エネルギー式定量噴霧ポンプまたは手動式定量噴霧ポンプなどである。好ましくは、薬物送達システムは、約10〜800cm2、より好ましくは約10〜400cm2、および最も好ましくは約10〜200cm2の送達表面積に及ぶ動物の皮膚に適用される。最も好ましくは、適用は、局所定量噴霧スプレーとアクチュエータノズルカバーを組み合わせて用いることで実施されるが、これらは共に適用される用量の量および/または均一性を正確にコントロールする。カバーの1つの機能は、ノズルの位置を薬物送達システムが適用される皮膚から所定の高さ上に、かつ、垂直に保つことである。この機能は、スペーサーバー(spacer-bar)などを用いることによっても達成されうる。カバーの別の機能は、薬物送達システムが周囲の環境に跳ね返り、および/または喪失することを防止または制限するために、皮膚上の部位を包み込むことである。好ましくは、カバーによって定義される適用部位は、実質的に円形である。
【0168】
本発明は、下記の実施例を参照して記載されるであろう。実施例は本発明を説明する目的で提供されており、決して本発明の範囲に限定する目的で提供されているのではないと理解されるべきである。
【0169】
実施例
実施例の組成物およびそれらの性能は図面を参照して比較される。
【図面の簡単な説明】
【0170】
図面において:
【0171】
【図1】図1は、コントロールからのプロゲスチンの浸透を、実施例1の本発明のプロゲスチン経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0172】
【図2】図2は、コントロールからのエストロゲンの浸透を、実施例1の本発明の経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0173】
【図3】図3aおよび3bは、実施例2に記載されている異なるプロゲスチンおよびPEG200ではなくPEG400を含む比較経皮組成物のプロゲスチン浸透に対する効果を示すカラムチャートである。
【0174】
【図4】図4は、コントロール組成物からのプロゲスチンの浸透を、実施例2に従うPEG200を含む本発明の経皮送達組成物と比較したカラムチャートである。
【0175】
【図5】図5は、本発明の経皮送達組成物2〜7からのエストロゲンの浸透を、実施例2の1のコントロール組成物と比較したカラムチャートである。
【0176】
【図6】図6は、実施例3の経皮送達組成物1〜4からのアンドロゲンの浸透に対するPEG200の効果を比較したカラムチャートである。
【0177】
【図7】図7は、経皮送達組成物2〜3からのアンドロゲンの浸透を、実施例4のコントロール組成物1と比較したカラムチャートである。
【0178】
【図8】図8および9は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ケトプロフェンの浸透を、OS単独、PEG単独および実施例5に記載されている(本発明に従った)組み合わせのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【図9】図8および9は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ケトプロフェンの浸透を、OS単独、PEG単独および実施例5に記載されている(本発明に従った)組み合わせのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【0179】
【図10】図10および11は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ジクロフェナクの浸透を、OS単独、PEG200単独またはPEG400単独、および実施例6に記載されている異なるPEG組成物と組み合わせたOSのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【図11】図10および11は、市販の製品からの非ステロイド系抗炎症薬(NASAID)ジクロフェナクの浸透を、OS単独、PEG200単独またはPEG400単独、および実施例6に記載されている異なるPEG組成物と組み合わせたOSのそれぞれを含む経皮送達噴霧組成物と比較したカラムチャートである。
【0180】
【図12】図12は、実施例7に記載されているOS浸透促進剤を含む組成物からのエストロゲン、エストラジオールの浸透に対するPEG200およびPEG400のそれぞれの効果を比較したカラムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0181】
実施例1
インビトロでヒト皮膚を通過する累積酢酸ノルエチステロンおよびエストラジオール浸透に対するPEG200の効果についての研究
【0182】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0183】
これらの実験は、フランツ型セルを用いて24時間にわたって実施した。事前に切った皮膚膜を、セルのレセプターチャンバーの中央に角質層がドナーチャンバーに面するようにマウントし、グリース(高真空グリース、BDH)を塗った水平型フランツ型浸透セルの中間部のバリアとした。浸透に利用できる面積は、およそ0.925cm2であった。浸透セルのレセプターチャンバーにレセプター相(リン酸緩衝生理食塩水pH7.4)を満たし、蓋をした。浸透セルを定温の水浴に浸し、レセプターチャンバーを35℃に維持した。水中使用が可能なマグネチックスターラーで動かされる小型PTFEコーティングマグネチックスターラーバーによって、レセプターチャンバーの内容物を連続的に撹拌した。投薬前1時間、水浴中にて、皮膚をレセプター溶液の温度に平衡化させた。
【0184】
皮膚に製剤を用量3.6μL/cm2で適用した。適用された製剤を、皮膚膜を破壊することなく、エッペンドルフ社の容積式ピペットチップを用いて皮膚領域に広げた。
製剤は下記の組成を有した:
○比較組成物1:2.8%酢酸ノルエチステロン(NETA)、0.55%エストラジオール(E2)、5%サリチル酸オクチル(OS)
○組成物2:2.8%NETA、0.55%E2、5%ポリエチレングリコール200(PEG200)
○組成物3:2.8%NETA、0.55%E2、5%OS、5%PEG200
○組成物4:2.8%NETA、0.55%E2、10%PEG200
○組成物5:2.8%NETA、0.55%E2、5%OS、10%PEG200
【0185】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0186】
図1は、比較組成物1の浸透を本発明と関連する組成物2〜5と比較するものである。OSと組み合わせたPEG200は、酢酸ノルエチステロンおよびエストラジオールの両方について、インビトロでヒト表皮を通過する浸透を有意に促進することがわかった。NETAの浸透を図1にて比較しており、エストラジオールの浸透を図2にて比較している。
【0187】
実施例2
インビトロでヒト皮膚を通過する累積ネストロンおよびエチニルエストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0188】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0189】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cm2に増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量3.6μL/cm2で臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(リン酸緩衝生理食塩水pH7.4)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物(Comp)1(コントロール):1.35%ネストロン(NES)、0.35%エチニルエストラジオール(EE)、5%サリチル酸オクチル(OS)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液
○組成物2:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、5%ポリエチレングリコール400(PEG400)のIPA溶液
○組成物3:1.35%NES、0.35%EE、0.5%ポリエチレングリコール(PEG200)のIPA溶液
○組成物4:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、0.5%PEG200のIPA溶液
○組成物5:1.35%NES、0.35%EE、1%PEG200のIPA溶液
○組成物6:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、1%PEG200のIPA溶液
○組成物7:1.35%NES、0.35%EE、2.5%PEG200のIPA溶液
○組成物8:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、2.5%PEG200のIPA溶液
○組成物9:1.35%NES、0.35%EE、5%PEG200のIPA溶液
○組成物10:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、5%PEG200のIPA溶液
○組成物11:1.35%NES、0.35%EE、10%PEG200のIPA溶液
○組成物12:1.35%NES、0.35%EE、5%OS、10%PEG200のIPA溶液
【0190】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0191】
NESおよびEEの浸透に対するPEG400の効果は、それぞれ図3aおよび3bに示している。OSと組み合わせたPEG200は、ネストロンおよびエチニルエストラジオールの両方について、インビトロでヒト表皮を通過する浸透を促進することが分かった。
【0192】
PEG400を製剤に加えても、インビトロでヒト表皮を通過するネストロンの浸透に対して有意な効果(促進または阻害)はなかった。PEG400は、インビトロでヒト表皮を通過するエチニルエストラジオールの浸透を阻害することが分かった。
【0193】
図4にて、NESの浸透に対する組成物3〜12中のPEG200の効果を、組成物1コントロール(PEG200を含まない)と比較している。
【0194】
図5にて、EEの浸透に対する組成物3〜12中のPEG200の効果を、組成物1コントロールと比較している。
【0195】
実施例3
インビトロでヒト皮膚を通過する累積テストステロン浸透に対するPEG200の効果についての研究。
【0196】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0197】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cm2に増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量15μL/cm2で臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ1.0mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(0.002%w/v NaN3)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物1:2%テストステロン(TES)、5%サリチル酸オクチル(OS)、2%ポリビニルピロリジン(PVP)、30%イソプロピルアルコール(IPA)のエタノール(95%)溶液
○組成物2:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、0.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のエタノール(95%)溶液
○組成物3:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、1.0%PEG200のエタノール(95%)溶液
○組成物4:2%TES、5%OS、2%PVP、30%IPA、2.5%PEG200のエタノール(95%)溶液
【0198】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0199】
組成物を用いた場合のTESの浸透に対する効果を、図6に示している。OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するテストステロンの浸透を有意に促進することが分かった。
【0200】
実施例4
インビトロでヒト皮膚を通過する累積テストステロン浸透に対するPEG200の効果についての研究
【0201】
方法:
デルマトームで採皮したヒト女性腹部皮膚(500μm)を用いて有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0202】
これらの実験は24時間にわたって実施し、拡散面積を1.0cm2に増加させるためにセルを修飾した以外は、以前に記載されたもの(Cooper, E.R. J. Pharm. Sci. 1984, 73, 1153-1156)に基づいたステンレス鋼の、フロースルー拡散セルを用いて実施した。製剤は、有限用量技術(finite dose technique)(Franz, T.J. Curr. Probl. Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて適用し、適用した用量3.6μL/cm2で臨床投薬条件を模倣した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。マイクロカセットペリスタルティックポンプ(Watson Marlow 505S UK)によって、拡散セルを流速およそ1.0mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。レセプター溶液(0.002%w/v NaN3)によって皮膚下の浸漬条件を維持した。
製剤は下記の組成を有した:
○組成物1:5%テストステロン(TES)、5%サリチル酸オクチル(OS)のエタノール(95%)溶液
○組成物2:5%TES、5%OS、1.0%ポリエチレングリコール200(PEG200)のエタノール(95%)溶液
○組成物3:5%TES、5%OS、2.5%PEG200のエタノール(95%)溶液
【0203】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0204】
図7にて、組成物2および3におけるPEG200およびOSの組み合わせの効果を、コントロール組成物1と比較している。図7に示すように、OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するテストステロンの浸透を有意に促進することが分かった。
【0205】
実施例5
ケトプロフェン経皮噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するケトプロフェン浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0206】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0207】
これらの実験は、1cm2の投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。
【0208】
皮膚を0.002%ナトリウムアジド(NaN3)のレセプター溶液(RS)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に容量3.6μL/cm2(特に示さない限り)の試験製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。
【0209】
ケトプロフェン経皮噴霧製剤は下記の通りであった:
・5.0%ケトプロフェン(KETO)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液[促進剤なし]
・5.0%KETO、5%サリチル酸オクチル(OS)のIPA溶液[OS]
・5.0%KETO、2.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のIPA溶液[PEG200]
・5.0%KETO、5%OS、2.5%PEG200のIPA溶液[OS+PEG200]
【0210】
市販のケトプロフェンゲル(およそ5mg/cm2)をコントロールとして用いた。市販のゲルは固体キャップを用いて適用し、該製品を用いる際に必要な摩擦作用をシミュレートした。およそ7mgのゲルを、黒色のポリプロピレン製円柱キャップ(オルテック(Alltech)カタログ#98105、直径11mm)の環状表面に適用した。ゲルを皮膚の表面に塗る前に、キャップの重さを量った。ゲルを30秒間塗り、上端に3.5gの重さをかけてキャップを皮膚上にさらに1分間残した。次いでキャップの重さを再び量り、適用されたゲルの実際の量を決定した。市販のゲルの実際の重量は、5mg/cm2のKETOが適用された場合に達成されたであろうレベルに浸透データを合わせるために用いた。
【0211】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0212】
図8は、市販の経皮ゲルから得たケトプロフェンの浸透を、5%ケトプロフェン、0または5%OSおよび0または2.5%PEG200のイソプロピルアルコール溶液を含む上記の噴霧製剤と比較するものである。
【0213】
図9は、2.5%ケトプロフェン組成物の経皮浸透を比較するものであり、浸透促進剤はPEG200またはPEG400であり、PEG200およびPEG400はOSALと組み合わせて用いられている(第2および第3カラム)。
【0214】
結果:
OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するKETOの浸透を有意に促進することが分かった。PEG400は、単独またはOSと組み合わせたいずれにおいても、KETOの浸透を促進しなかった。
【0215】
実施例6
ジクロフェナク経皮噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するジクロフェナク浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0216】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ拡散研究を行った。
【0217】
これらの実験は、1cm2の投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を拡散セルのレセプターチャンバー内の皮膚直下に置き、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、拡散セルを流速およそ0.5mL/時間に維持した。加熱棒によってセルを32±0.5℃に保ち、適切な大きさのガラスバイアルにサンプルを24時間収集した。
【0218】
皮膚をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4のレセプター溶液(RS)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に容量3.6μL/cm2(特に示さない限り)の試験製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。
【0219】
ジクロフェナク経皮噴霧製剤は下記の通りであった:
・0.1〜2.0%ジクロフェナク(DIC)ジエチルアミンのイソプロピルアルコール(IPA)溶液[促進剤なし]
・0.1〜2.0%DICジエチルアミン、5%サリチル酸オクチル(OS)のIPA溶液[OS単独]
・0.1〜2.0%DICジエチルアミン、2.5%ポリエチレングリコール200(PEG200)のIPA溶液[PEG200単独]
・0.1〜2.0%DICジエチルアミン、5%OS、2.5%PEG200のIPA溶液[OS+PEG200]
【0220】
市販のジクロフェナクゲル(およそ5mg/cm2)をコントロールとして用いた。市販のゲルは固体キャップを用いて適用し、該製品を用いる際に必要な摩擦作用をシミュレートした。およそ7mgのゲルを、黒色のポリプロピレン製円柱キャップ(オルテック(Alltech)カタログ#98105、直径11mm)の環状表面に適用した。ゲルを皮膚の表面に塗る前に、キャップの重さを量った。ゲルを30秒間塗り、上端に3.5gの重さをかけてキャップを皮膚上にさらに1分間残した。次いでキャップの重さを再び量り、適用されたゲルの実際の量を決定した。市販のゲルの実際の重量は、5mg/cm2のDICが適用された場合に達成されたであろうレベルに浸透データを合わせるために用いた。
【0221】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0222】
図10は、市販のゲルから得られたジクロフェナクDIC浸透を、2%DICジエチルアミンと0%促進剤、5%OS、2.5%PEG200、および5%OS+2.5%PEG200(それぞれイソプロピルアミン(IPA)溶液)のそれぞれとの組み合わせを含む組成物とを比較したものである。
【0223】
図11は、OSによる促進に対するPEG400の効果を含むものである。
【0224】
結果:
OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト表皮を通過するDICの浸透を有意に促進することが分かった。PEG400は、単独またはOSと組み合わせたいずれにおいても、DIC浸透を減少させることが分かった。
【0225】
実施例7
エストラジオール噴霧:インビトロでヒト皮膚を通過するエストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果についての研究
【0226】
方法:
切除した女性の腹部皮膚からデルマトームで採皮して調製した皮膚(500μmにセットしたパジェット・モデル(Padgett Model)BまたはS電動デルマトーム)を用いて、有限用量(Finite-dose)インビトロ浸透研究を行った。
【0227】
これらの実験は、1cm2の投与面積を有するフロースルーシステムを用いて24時間にわたって実施した。一切れのステンレス鋼の金網を各浸透セルのレセプターチャンバー内に置き、皮膚を支え、皮膚下のレセプター溶液の乱流を維持した。ペリスタルティックポンプ(313Aアダプターおよび308MC 8ローラーポンプヘッドを備えたWatson Marlow 520Sペリスタルティックポンプ;Stauff Corporation, Australia)によって、レセプター溶液を名目上の流速0.5mL/時間に維持した。セルを加熱棒上に置き、皮膚の温度を32±1℃に保った。
【0228】
皮膚をレセプター溶液(RS;0.002%ナトリウムアジド)と2時間平衡化した後、容積式ピペットを用いて角質層表面に3.6μL/cm2のエストラジオール経皮噴霧製剤を投与した。ピペットチップを用いて製剤を皮膚領域に均一に広げた。適切な大きさのガラスバイアルに浸透サンプルを24時間収集した。
【0229】
エストラジオール経皮噴霧製剤は下記を含んだ:
・エストラジオール(E2)+サリチル酸オクチル(OS)のイソプロピルアルコールIPA溶液
・E2+OS+ポリエチレングリコール(PEG200)のイソプロピルアルコールIPA溶液
・E2+OS+ポリエチレングリコール400(PEG400)のIPA溶液
【0230】
皮膚に浸透した活性剤の量は、有効化HPLC法を用いて定量化した。
【0231】
図12は、エストラジオール浸透に対するPEG200およびPEG400の効果を示すものである。
【0232】
結果:
OSと組み合わせたPEG200は、インビトロでヒト皮膚を通過するエストラジオールの浸透を相乗的に促進した。PEG400は、コントロール製剤と比較して、エストラジオールの浸透に対して有意な効果はなかった−これは、PEG400単独およびPEG400+OSを含む製剤について同様であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性剤および浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)平均分子量300以下のポリエチレングリコール(PEG)の組み合わせを含む経皮送達システム。
【請求項2】
サリチル酸のエステルがC6−C12アルキルエステルである、請求項1の経皮送達システム。
【請求項3】
サリチル酸のエステルがエチルヘキシルエステルである、請求項1または請求項2の経皮送達システム。
【請求項4】
サリチル酸のエステルが全経皮組成物の0.1〜10重量%の量にて存在する、請求項1または請求項2の経皮送達システム。
【請求項5】
平均分子量300以下のPEGが全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて存在する、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項6】
平均分子量300以下のポリエチレングリコールに対するサリチル酸のエステルの重量比が1:10〜10:1の範囲にある、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項7】
組成物がC2−C4アルカノールから選択される溶媒を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項8】
揮発性溶媒が好ましくは全組成物の70重量%〜95重量%の範囲の量にて組成物中に存在する、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項9】
組成物が本質的に、
(i) 1つ以上の生理活性剤を含んでよい生理活性成分;
(ii) サリチル酸のエステルおよび平均分子量300以下のポリエチレングリコールからなる浸透促進成分;
(iii)エタノールおよびイソプロパノールの1つ以上からなる揮発性溶媒;ならびに
(iv) 任意に噴霧剤、
からなる、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項10】
組成物の総含水量が全組成物の10重量%未満である、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項11】
非閉塞性である、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項12】
活性剤に対する浸透促進剤の重量比が500:1〜1:10の範囲にある、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項13】
生理活性剤が抗うつ薬、女性の健康増進剤(women's health actives)およびホルモンからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項14】
生理活性剤がミルタザピン、代謝物、塩、エナンチオマー(エスミルタザピンを含む)、溶媒、非共有結合複合体、キレート、水和物、その結晶または非結晶型の1つ以上を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項15】
生理活性剤が、アンドロゲン、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体修飾因子、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン、プロゲステロン、プロゲスチン、選択的プロゲステロン受容体修飾因子、抗プロゲストゲン剤、抗ゴナドトロピン剤、GnRH:(受容体)作動薬、抗下痢剤、心血管系薬剤、降圧剤、カルシウムチャネル遮断薬、プロトンポンプ阻害剤、抗不整脈薬、抗狭心症薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、強心配糖体、アドレナリン作動性刺激薬、血管拡張薬、抗片頭痛製剤、抗凝血剤、止血剤、鎮痛薬、解熱薬、睡眠薬、抗不安薬、神経遮断薬および抗精神病薬、抗うつ薬、カフェインなどのCNS刺激薬、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、脂質調節薬、抗痙攣薬、制吐薬、鎮吐薬、非ステロイド系抗炎症薬、抗リウマチ薬、筋弛緩薬、痛風および高尿酸血症に用いられる薬剤、利尿薬、抗利尿薬、分娩薬、プロスタグランジン、抗菌薬、抗結核薬、抗マラリア薬、抗ウイルス薬、駆虫薬、細胞毒性薬、食欲抑制薬、高カルシウム血症に用いられる薬剤、鎮咳薬、去痰薬、鬱血除去薬、気管支痙攣弛緩薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、角質層脂質、H2−受容体拮抗薬、神経筋遮断薬、禁煙薬、殺虫剤および他の駆除剤、皮膚病薬、アレルゲン、栄養補助活性化合物(nutraceutically active compounds)、角質溶解薬、精神賦活薬、抗ニキビ薬、抗乾癬薬、かゆみ止め薬、抗コリン薬、ならびにその混合物からなる群から選択される1つ以上のホルモンを含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項16】
これらの群の1つ以上からの複数のホルモンを含み、好ましくは避妊活性剤が1つ以上のエストロゲンおよび1つ以上のプロゲスチンを含む、請求項14の経皮送達システム。
【請求項17】
薬物送達システムが重量ベースで約0.1〜約10%のホルモン、約0.1〜12%の浸透促進剤、および約70〜99.8%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項18】
前述の請求項のいずれか1項の経皮システムを動物の皮膚表面へ適用することを含む、動物対象への活性剤の経皮投与方法。
【請求項19】
動物対象がテストステロン欠乏性の性機能低下男性の男性ホルモン補充、閉経後女性用の女性ホルモン補充療法、性欲が欠如している女性用のテストステロンなどのアンドロゲンを用いたアンドロゲン補充療法、男性避妊および女性避妊を必要としている、請求項16の経皮投与方法。
【請求項20】
動物の皮膚表面の部位に薬剤を適用することによる動物に対する生理活性剤の経皮投与用の生理活性剤を含む薬剤の製造における、(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールの使用。
【請求項21】
動物の皮膚表面の部位への投与用の経皮送達システムの製造方法であって、生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを組み合わせることを含む製造方法。
【請求項22】
経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含む経皮送達システムであって、該経皮組成物が生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む経皮送達システム。
【請求項1】
生理活性剤および浸透促進剤を含む組成物を含む経皮送達システムであって、該浸透促進剤が(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)平均分子量300以下のポリエチレングリコール(PEG)の組み合わせを含む経皮送達システム。
【請求項2】
サリチル酸のエステルがC6−C12アルキルエステルである、請求項1の経皮送達システム。
【請求項3】
サリチル酸のエステルがエチルヘキシルエステルである、請求項1または請求項2の経皮送達システム。
【請求項4】
サリチル酸のエステルが全経皮組成物の0.1〜10重量%の量にて存在する、請求項1または請求項2の経皮送達システム。
【請求項5】
平均分子量300以下のPEGが全組成物の0.1〜40重量%の範囲の量にて存在する、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項6】
平均分子量300以下のポリエチレングリコールに対するサリチル酸のエステルの重量比が1:10〜10:1の範囲にある、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項7】
組成物がC2−C4アルカノールから選択される溶媒を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項8】
揮発性溶媒が好ましくは全組成物の70重量%〜95重量%の範囲の量にて組成物中に存在する、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項9】
組成物が本質的に、
(i) 1つ以上の生理活性剤を含んでよい生理活性成分;
(ii) サリチル酸のエステルおよび平均分子量300以下のポリエチレングリコールからなる浸透促進成分;
(iii)エタノールおよびイソプロパノールの1つ以上からなる揮発性溶媒;ならびに
(iv) 任意に噴霧剤、
からなる、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項10】
組成物の総含水量が全組成物の10重量%未満である、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項11】
非閉塞性である、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項12】
活性剤に対する浸透促進剤の重量比が500:1〜1:10の範囲にある、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項13】
生理活性剤が抗うつ薬、女性の健康増進剤(women's health actives)およびホルモンからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項14】
生理活性剤がミルタザピン、代謝物、塩、エナンチオマー(エスミルタザピンを含む)、溶媒、非共有結合複合体、キレート、水和物、その結晶または非結晶型の1つ以上を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項15】
生理活性剤が、アンドロゲン、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体修飾因子、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン、プロゲステロン、プロゲスチン、選択的プロゲステロン受容体修飾因子、抗プロゲストゲン剤、抗ゴナドトロピン剤、GnRH:(受容体)作動薬、抗下痢剤、心血管系薬剤、降圧剤、カルシウムチャネル遮断薬、プロトンポンプ阻害剤、抗不整脈薬、抗狭心症薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、強心配糖体、アドレナリン作動性刺激薬、血管拡張薬、抗片頭痛製剤、抗凝血剤、止血剤、鎮痛薬、解熱薬、睡眠薬、抗不安薬、神経遮断薬および抗精神病薬、抗うつ薬、カフェインなどのCNS刺激薬、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、脂質調節薬、抗痙攣薬、制吐薬、鎮吐薬、非ステロイド系抗炎症薬、抗リウマチ薬、筋弛緩薬、痛風および高尿酸血症に用いられる薬剤、利尿薬、抗利尿薬、分娩薬、プロスタグランジン、抗菌薬、抗結核薬、抗マラリア薬、抗ウイルス薬、駆虫薬、細胞毒性薬、食欲抑制薬、高カルシウム血症に用いられる薬剤、鎮咳薬、去痰薬、鬱血除去薬、気管支痙攣弛緩薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、角質層脂質、H2−受容体拮抗薬、神経筋遮断薬、禁煙薬、殺虫剤および他の駆除剤、皮膚病薬、アレルゲン、栄養補助活性化合物(nutraceutically active compounds)、角質溶解薬、精神賦活薬、抗ニキビ薬、抗乾癬薬、かゆみ止め薬、抗コリン薬、ならびにその混合物からなる群から選択される1つ以上のホルモンを含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項16】
これらの群の1つ以上からの複数のホルモンを含み、好ましくは避妊活性剤が1つ以上のエストロゲンおよび1つ以上のプロゲスチンを含む、請求項14の経皮送達システム。
【請求項17】
薬物送達システムが重量ベースで約0.1〜約10%のホルモン、約0.1〜12%の浸透促進剤、および約70〜99.8%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を含む、前述の請求項のいずれか1項の経皮送達システム。
【請求項18】
前述の請求項のいずれか1項の経皮システムを動物の皮膚表面へ適用することを含む、動物対象への活性剤の経皮投与方法。
【請求項19】
動物対象がテストステロン欠乏性の性機能低下男性の男性ホルモン補充、閉経後女性用の女性ホルモン補充療法、性欲が欠如している女性用のテストステロンなどのアンドロゲンを用いたアンドロゲン補充療法、男性避妊および女性避妊を必要としている、請求項16の経皮投与方法。
【請求項20】
動物の皮膚表面の部位に薬剤を適用することによる動物に対する生理活性剤の経皮投与用の生理活性剤を含む薬剤の製造における、(i)好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および(ii)(平均分子量300以下の)ポリエチレングリコールの使用。
【請求項21】
動物の皮膚表面の部位への投与用の経皮送達システムの製造方法であって、生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを組み合わせることを含む製造方法。
【請求項22】
経皮組成物用の容器、噴霧ノズル、および該ノズルを経由して該容器から定量噴霧を送達するためのアクチュエータを含む噴霧装置を含む経皮送達システムであって、該経皮組成物が生理活性剤、ならびに第1の浸透促進成分として好ましくはサリチル酸のC6−C30脂肪族エステルから選択されるサリチル酸のエステル、および第2の浸透促進成分として平均分子量300以下のポリエチレングリコールを含む経皮送達システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−502173(P2011−502173A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532377(P2010−532377)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001614
【国際公開番号】WO2009/055860
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001614
【国際公開番号】WO2009/055860
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]