説明

結合研摩材物品を補強するように設計されたガラス繊維構造

本発明は、結合研摩材物品を補強するように設計され、樹脂組成物で被覆されたたガラス繊維に基づく構造に関し、その樹脂組成物は、固体物質のwt%で表して次の割合で次の構成成分を含むことを特徴とする。60℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラックと、60℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラックとの混合物75〜98wt%、少なくとも1つのワックス0.5〜10wt%、ならびに
少なくとも1つの可塑剤0〜3.5wt%。さらに、本発明は、このような補強構造、およびその構造を組み入れる結合研摩材物品、特に研摩材砥石、を製造するのに適した樹脂組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研摩材に関する。もっと正確には、本発明は、結合研摩材物品、特に砥石、を補強するように設計され、樹脂組成物で被覆されたガラス繊維に基づく構造に関し、その本発明は、結合研摩材物品、特に砥石、を補強するように設計され、樹脂組成物で被覆されたガラス繊維に基づく構造に関し、その樹脂組成物は、この構造を補強するのに用いられ、そしてその結合研摩材物品はそのような構造を組み入れる。研摩製品は、バインダーにより一緒に固く結合された、多数の研摩粒子を含む。これらの物品は、種々の材料から製造される機械加工部品のために、特に切断、バリ取り、表面研削およびポリッシング操作において広く用いられている。
【背景技術】
【0002】
従来法においては、次の点が区別され得る。
【0003】
−たわみ性裏打材を含む被覆研摩材であり、その表面には研摩材がバインダーで固定されて分布される。そのたわみ性裏打材は、一枚の紙または繊維のネットワーク、たとえばマット、フェルト、または織物であってもよい。これらの物品は、種々の形態、シート、ディスク、ベルト、コーン型等を採り得る。
【0004】
−研磨粒子とバインダーの混合物から得られる結合研摩材であり、圧力下の成型により成型および圧密される。それらは研摩材砥石から本質的になる。
【0005】
本発明が特に関係する結合研摩材物品は、硬材料、特に鋼、を切断するための研摩材砥石である。これらの砥石は、高い周速度で操作する機械上で使用され、そしてこのために高い周速度により生じる機械的応力に耐えることできなければならない。
【0006】
特に、次の要件が満たされることが重要である:
−研摩粒子は、処理される材料の性質に適合されなければならない:研摩粒子は、その材料と接触して砕けないように、そして材料を切断し得るために、十分に鋭い端を保つように十分に耐え得る必要がある;
−バインダーは、良好な引張り強度を有さなければならず、その結果、研摩粒子はバインダーに結合されたままであり、遠心力の作用下で傷つけられていない。さらに、バインダーは、処理される材料との高摩擦から生じる高温に耐えることができるべきである。;バインダーは、熱の作用下に流出も劣化もしてはならない、
−研摩材砥石は、早まって摩耗もすべきではなく、また破れるべきでない;研摩材砥石は、できる限り長い間、最初の寸法特性を保持しなければならず、その結果、切断は良好な条件下で実行される。
【0007】
たとえば、織物の形態であり得る補強糸、特にガラス繊維糸に基づいて少なくとも1つの構造をそこに組み入れることにより、研摩材砥石を強化するのが通常である。
【0008】
しかし、むき出しのガラス繊維は、バインダーとほとんど接着しないとすれば、ガラスとバインダー間の結合を確実にする樹脂組成物でガラス繊維の構造を被覆する必要がある。
【0009】
公知の方法で、補強構造は、70wt%オーダーの樹脂を含む溶液からなる樹脂組成物を有する浴にガラス繊維を通過させ、ついで2つのローラー間を通過させて、過剰な樹脂を除去し、そして最後に最大数分間、100〜145℃程度の温度に加熱されたチャンバーを通過させて、約5%〜10%の値に樹脂に基づく溶媒量を減少させる、ことにより得られる。このようにして得られる補強構造は、巻き取り、たとえばリール、の形態で集められ、またはシートに、もしくはたとえばパンチにより、最終的な砥石の所望の形状および大きさに直接に、切断される。
【0010】
次のステップで、研摩材砥石は、一方において、研摩材粒子とバインダーの混合物、および他方において補強構造のいくつかの層、を型内に交互に置くこと、ならびに熱間もしくは冷間圧縮により、このアセンブリーを成型する、ことからなる方法により得られる。離型後に、バインダーが架橋され、最終的に研摩材砥石を得ることを可能にする、温度条件下で熱的に処理される。
【0011】
上述の補強構造の製造のために最も一般的に用いられる樹脂組成物は、以下から選ばれる少なくとも1つの熱硬化性樹脂を含む:
−尿素アルデヒド樹脂、たとえば尿素ホルムアルデヒド樹脂(GB-A-419812)、
−フェノール樹脂、たとえばヘキサメチレンジアミン架橋剤と結合されたノボラック(GB-A-1151174)またはヘキサメチレンジテトラミン架橋剤と結合された、溶液および固体ノボラックとのレゾール混合物(US-A-4338357)、ならびに
−尿素アルデヒド樹脂およびフェノール樹脂の混合物、たとえばAステージの尿素ホルムアルデヒドプレポリマーおよびフェノール樹脂(US-A-4038046)、または酸性触媒の存在下での尿素アルデヒド樹脂およびレゾールの混合物(US-A-5551961)。
【0012】
上述の樹脂組成物は高価ではなく、特にたわみ性および接着力によって良好な特性を示す、補強繊維が得られることを可能にする。
【0013】
実際、その構造が十分な高いたわみ性を有することが重要である。すなわち、樹脂が「硬」(“hard”)過ぎず、上述の切断操作が許容し得る条件下で、生じ得る最小のダストを発生させることにより、そして樹脂が構造の切断端の近くで除去されない(ガラスはむき出しにされない)ように操作することにより、実行され得る。
【0014】
しかし、高すぎない接着力(「粘性」ともいう)が、切断器具を汚さないように、構造に接着するダストによる貯蔵時の汚染を制限すること、ならびに巻き上げる前に、もしくは構造切断時に、構造上にアンチブロッキング剤を置かなければならないのを避けること、もさらに必要である。
【0015】
調節に関して、ヒトの健康もしくは環境を害し得ると考えられる化合物を最小で利用し得る(すなわち含むが、補強構造への適用時または続いても発生する)非汚染樹脂組成物を有することが必要である。この点で、上述の樹脂組成物は完全な満足は与えない。
【0016】
尿素ホルムアルデヒド樹脂は熱安定性ではなく、温度が100℃を超えるとすぐにホルムアルデヒドを遊離する間に劣化する。ホルムアルデヒドは、補強構造が製造されるとき、加熱されたチャンバー内での乾燥時、および研摩材砥石が用いられるときに、遊離され得る。
【0017】
フェノール樹脂は、酸性触媒(ノボラック)の存在下に1より小さいホルムアルデヒド/フェノールモル比で、または塩基性触媒(レゾール)の存在下に1より大きいホルムアルデヒド/フェノールモル比で、ホルムアルデヒドとフェノールの結合により得られる。ノボラックは、遊離ホルムアルデヒドをほとんど含まないが、ヘキサメチレンジアミンおよびヘキサメチレンジテトラミンのような架橋触媒とともに使用され、それらは熱安定性ではなく、補強構造の製造時に、および研摩材砥石使用時にホルムアルデヒドおよびアンモニアの放出を生じる。レゾールは、比較的高い量で遊離ホルムアルデヒドを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、結合研摩材物品、そして特に砥石、を強化するように設計されたガラス繊維構造を被覆し得る樹脂組成物を開発することであり、その構造に大きなたわみ性と低い接着力を与え、さらにホルムアルデヒドおよび窒素含有化合物の放出汚染のリスクを制限するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、固体物質のwt%で表して次の割合で次の構成成分を含む樹脂組成物で被覆された補強構造を提供する本発明により達成される:
60℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラックと、60℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラックとの混合物75〜98wt%、
少なくとも1つのワックス0.5〜10wt%、ならびに
少なくとも1つの可塑剤0〜3.5wt%。
【発明を実施するための形態】
【0020】
異なるガラス転移温度を有するノボラックとワックスの組み合わせは、結合研摩材の補強に適したガラス繊維構造を被覆し得る樹脂組成物を製造するのに特に価値があることがわかった。そのノボラックとワックスの特性は実際、相補的である。
【0021】
比較的低いガラス転移温度を有するノボラックは、構造にたわみ性を与え、高レベルのたわみ性を有することを可能にする。比較的高いガラス転移温度を有するノボラックの余りに高い剛性を補い、そしてこのように所望のレベルにたわみ性を調節することを可能にする。
【0022】
上述のとおり、ガラスをむき出しのままにする端の領域において、「消失する」(”crumble away”)ことができる樹脂領域なしに、正しく切断されるように高いたわみ性を有することが重要である。
【0023】
60℃以下である、比較的低いガラス転移温度を有するノボラックは、ノボラック混合物の50〜80wt%を示すのが好ましい。
【0024】
有利には、比較的低いガラス転移温度を有するノボラックのガラス転移温度は、40℃を超える。同様に、比較的高いガラス転移温度を有するノボラックのガラス転移温度は、80℃以上であり、有利には100℃以下である。
【0025】
本発明によるノボラックは、当業者に知られているノボラックから選択され得、酸性触媒(4〜7オーダーのpH)の存在下に、フェノール化合物、好ましくはフェノール、とアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドを反応させることにより得られる。好適には、ホルムアルデヒド/フェノールモル比は0.75〜0.8で変動する。ノボラックの選択は所望のガラス転移温度によりなされる。
【0026】
本発明の関係内で使用され得るノボラックは、0.1wt%未満、好ましくは0.05wt%未満、の遊離ホルムアルデヒドを含む。
【0027】
ワックスは、「アンチブロッキング剤」として作用し、比較的低いガラス転移温度を有するノボラックの高い接着力を補うことを可能にする。上述のように、一方において高すぎない接着力は、ダストによる汚染を避ける、きれいな、非常に価値ある状態で切断された補強構造を保持することを可能にし、他方において、特に貯蔵時に中程度の圧力で互いに接着する最小限度のリスクでこれらの切断構造を扱うことを可能にする。
【0028】
そのワックスは、パラフィンワックス、たとえばポリエチレンもしくはポリプロピレンワックス、およびエチレンビスアミドワックス、特にN,N’-エチレンビス(ステラミド)、から選ばれる。有利には、ワックスは微結晶性である。
【0029】
好適には、ワックス含量は、樹脂組成物の固体物質の5wt%を超えず、有利には3%以下である。
【0030】
可塑剤は、樹脂組成物のたわみ性の改善に寄与する。そのような剤の例としては、アルキルホスフェート、フタレート、トリエタノールアミン、オイルおよび多価アルコール、特にグリセロールおよびグリコールが挙げられる。好適には、可塑剤含量は、樹脂組成物の固体物質の1wt%を超えない。
【0031】
本発明による補強構造を被覆する樹脂組成物は、いかなる架橋剤も含まないことが留意されるべきであり、ノボラックはその最初の熱可塑性の性質を維持し得るので、それは特に有利である。樹脂組成物は、時間とともに変化しそうにもないので、補強構造は非常に長期間貯蔵され得、公知の樹脂組成物に比べて、補助的な利点となる。
【0032】
補強構造は連続的なガラスヤーンから構成され得、好ましくはウェブ、マットのような不織、メッシュ、織物または切断ストランドのマット、の形態である。
【0033】
ガラスヤーンは、「補強用」と呼ばれるヤーンであり、ダイの多数のオリフィスから流出する溶融ガラス糸より工業的に製造され、これらの糸は連続フィラメントの形態で機械的に紡糸され、ベースヤーンに集められ、ついで回転支持体上に巻き取られて集められる。
【0034】
したがって、本発明によるガラスヤーンは、これらのヤーンから得られる製品、特に積層された、これらのベースヤーンのアセンブリーである。このようなアセンブリーは、ベースヤーンの幾つかのコイルを同時に巻き戻し、ついで回転支持体上に巻き取られたメッシュに組み立てられる。ガラスヤーンは、織物製造用の繊維ヤーンを製造するために、撚り操作に供し得る。
【0035】
ガラスヤーンは、ガラスフィラメントからなり、その径は広く変動し得、たとえば9〜24μm、好ましくは9〜17μm、である。有利には、ガラスヤーンは、34〜4800テックス、好ましくは34〜1200テックスの番手(すなわち、糸の太さ(linear mass))を有する。
【0036】
ヤーンはいかなる種類のガラスからなっていてもよく、特にE,CおよびAR(アルカリ耐性)である。好ましくは、それらはEガラスからなる。
【0037】
好適な態様によれば、その構造は、100〜1000g/m2で変動する坪量(grammage)を有する,ガラスヤーンからなる織物である。
【0038】
樹脂組成物自体は、補強構造に適用される前に、本発明の目的も構成し得る。したがって、樹脂組成物は、wt%で表わされる、次の化合物を含む:
60℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラック25〜55wt%、
60℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラック10〜30wt%、
少なくとも1つのワックス0.5〜6.5wt%、
少なくとも1つの可塑剤0〜2.5wt%、
少なくとも1つのアルコール25〜45wt%、ならびに
水0〜15wt%。
【0039】
本発明によるアルコールとして、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびこれらのアルコールの混合物が挙げられる。
【0040】
樹脂組成物は、有利には撹拌手段を備えた、適切な容器中で構成成分を単に混合することによって調製され得る。ノボラックは、エタノール、またはエタノールとメタノールの混合溶液、の形態が好ましく、ワックスは水分散体であり、そして可塑剤は液体である。
【0041】
事情次第で、樹脂組成物は、乳化剤、顔料、充填剤、移行防止剤、凝集剤、湿潤剤、殺生物剤、オルガノシラン、消泡剤、着色剤、および酸化防止剤のような添加剤を含み得る。添加剤含量は、樹脂組成物の固体物質の3%を超えない。
【0042】
被覆された補強構造の製造は、まず液体樹脂組成物からなる含浸浴にガラス繊維を通過させ、ついで2つのローラーからなるカレンダー装置のニップを通過させ、それにより樹脂組成物含量を固体物質の30wt%に近い値に調節することを可能にし、ついで最後に溶媒の一部を除去するために加熱チャンバーを通過させる、ことにより連続的に実行される。好適には、そのチャンバーは130℃のオーダーの温度に加熱される第1帯域と、110℃のオーダーの温度に加熱される少なくとも1つの第2帯域からなり、両帯域での補強構造の滞留時間は10分間より少ないのが通常であり、好ましくは30秒〜3分間で変動する。好適には、補強構造における溶媒%は、12%未満、そして有利には10%未満である。ついで、得られた補強構造は、リールの形態で集められ、シートに、もしくは最終研摩材砥石の形状および大きさに直接に切断され、これらの切断された構造は、積み重ねた形態で貯蔵される。
【0043】
本発明による補強構造は、研摩材砥石のような結合研摩材物品の製造に特に用いられ得、これらの物品は本発明の目的を構成する。
【0044】
これらの研摩材物品は、特に当業者に知られる圧縮成形法により製造され得る。たとえば、研摩材砥石は、型の内側に、研摩材粒子の粒状混合物の幾つかの交互層を堆積させることにより得ることができ、そしてその補強構造は、型の大きさに予め切断される。補強構造の数は、研摩材砥石の所望されるレベルの性能により変動する;通常、その数は10を超えない。
【0045】
その型は、凝集を示す「生の」(”green”)部分を形成するのに十分な圧力下に置かれ、その結果、型は形状および大きさに実質的な変更なしに、次のステップで取り扱われ、処理され得る。その型は、通常170℃未満、すなわち150℃でさえも、の温度に圧縮時に加熱される(熱間成形)。この段階で、バインダーは非架橋状態にある。
【0046】
生の部分が型から取り出され、バインダーを架橋し、その部分に最終形状を与える硬化ポリマーネットワークを与え得る温度で、炉内において加熱される。架橋は、従来の硬化サイクルにより実行され、生の部分を100℃のオーダーの温度に置き、30分〜数時間、この温度に保持することからなり、その結果、形成された揮発生成物が除去され得る。ついで、その部分は、200〜250℃のオーダーの温度に10〜35時間、加熱される。
【0047】
このような方法で得られる研摩材砥石は、研摩特性を必要とする、あらゆる種類の用途に使用され得、たとえばサンディング、バリ取り、表面仕上げ操作、そして特に鋼のような硬材料の切断である。
【実施例】
【0048】
以下の例は、本発明を例示するものであり、本発明を制限するものではない。
これらの例において、樹脂組成物および補強構造の特性は、次の条件下で実行された。
樹脂
−ガラス転移温度(Tg)は、DMTA(動機械的熱分析)で測定された。
−数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、次の条件下に、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で測定された:
−静止相:Watersにより市販されているStyragel(登録商標)HR4E、30℃に保持
−移動相:テトラヒドロフラン(THF)
−検出:示差屈折率測定(ΔRI)
−検定:標準物質ポリスチレン
樹脂組成物
−樹脂組成物のたわみ性は、次のようにして測定された:樹脂組成物(固体物質中の質量含量:40〜60%)が一枚の紙(大きさ:20mm×70mm;坪量:3600g/m2)上に堆積され、そして200μm厚さの層が膜スプレッダーを用いて広げられた。紙は、加熱されたチャンバー内で140℃、1分間、乾燥された。紙の自由端は水平支持体に固定され、2.8gの質量が他端から宙に下げられた。4分後に、紙が水平方向となす角度θが測定された。たわみ性は、角度θの値が30度以上のときに、適切であった。
−接着力は次のように評価された:円形断面(面積3.2cm2)を有する、2つの円筒状アルミニウムスタッドが用いられた。樹脂組成物0.2mLが各セクションに堆積され、スタッドは130℃に加熱され、換気されたチャンバー内に10分間、置かれた。周囲温度で30分間、冷却された後、スタッドは調節された雰囲気(温度:22℃;相対湿度:50%)で、変動し得る期間、貯蔵された。樹脂組成物で被覆された表面は、50Nの圧力を1分間加える間、互いに接触して置かれた。アセンブリーは、引張り試験機上に置かれ、スタッドを分離するのに必要な力が測定された。接着力は、その力が30N未満であるときに満足すべきものであった。
補強構造
−ダスト量:補強構造の試料が秤量され、44〜46cmの長さに沿って手で折り畳まれた。試料の質量損失がダスト量に相当した。ダスト量は、切断される能力を評価することを可能にするパラメータである。その値が2%未満であるとき、許容し得ると考えられる。
−接着力:10〜12cm径のディスク形状の、2つの補強構造が重ねられ、50Nの圧力が1分間加えられた。試料は引張り試験機上に置かれ、その構造を分離するのに必要な力が測定された。接着力は、その力が5N未満であるときに満足すべきものであった。
−縦糸または横糸の引張強度が、2000テックスまでのガラスヤーンに適用し得る、ISO標準3341の条件下に測定された。引張強度の値は、300Nよりも大きくなければならなかった。
−加熱減量は、ISO標準1887の条件下に測定された。
例1
樹脂組成物は、次の構成成分を含んで調製された:
wt% %固体物質
ノボラック(1)(Tg約40℃) 50.0 76.47
ノボラック(2)(Tg約80℃) 13.0 20.58
ポリエチレンワックス(3) 2.0 2.95
水 3.0
アルコール 32.0
樹脂組成物は次の特性を有していた。
たわみ性:35°
接着力: 0N (t=0)
0.13N(t+15日)
2.37N(t+30日)
例2
樹脂組成物は、次の構成成分を含んで調製された:
wt% %固体物質
ノボラック(1)(Tg約40℃) 47.0 74.28
ノボラック(2)(Tg約80℃) 13.0 20.00
ポリエチレンワックス(3) 3.5 5.72
水 5.5
アルコール 31.0
(1)フェノール−ホルムアルデヒドノボラック:Mn=829;Mw=2176;固体物質65wt%エタノール溶液
(2)フェノール−ホルムアルデヒドノボラック:Mn=1247;Mw=5779;固体物質70wt%(エタノール:メタノール=25:5)溶液
(3)Shamrockにより「Hydrocer69」の名称で市販されている。
【0049】
樹脂組成物は次の特性を有していた。
たわみ性:35°
接着力: 0.80N (t=0)
1.20N(t+15日)
1.35N(t+30日)
比較例1
樹脂組成物は、例1の条件で調製されたが、ノボラック(1)のみを含むことが変更された:
wt% %固体物質
ノボラック(1)(Tg約40℃) 65.0 100
アルコール 35.0
樹脂組成物は次の特性を有していた。
たわみ性:>30°
接着力: 88.44N (t=0)
比較例2
樹脂組成物は、例1の条件で調製されたが、次の構成成分を含むことが変更された:
wt% %固体物質
ノボラック(1)(Tg約40℃) 59.0 94.20
ポリエチレンワックス(3) 3.5 5.80
水 5.5
アルコール 32.0
樹脂組成物は次の特性を有していた。
たわみ性:>30°
接着力: 26.95N (t=0)
比較例3
樹脂組成物は、例1の条件で調製されたが、次の構成成分を含むことが変更された:
wt% %固体物質
ノボラック(1)(Tg約40℃) 52.0 78.80
ノボラック(2)(Tg約80℃) 14.0 21.20
アルコール 34.0
樹脂組成物は次の特性を有していた。
たわみ性:35°
接着力: 34.40N (t=0)
例3
この例は、半工業的装置における、樹脂組成物の適用を示す。
ガラス繊維織物(坪量):198g/m2;縦糸:EC204テックスS/Z;横糸:RO408テックス;幅0.5m、リールから巻き戻し;が被覆ライン操作上に連続して配置された。その通路上に、織物は樹脂組成物を含む含浸浴を通過し、ついで125℃に加熱された第1帯域および115℃に加熱された第2帯域からなる炉内で処理され、ついでリールの形態に集められた。樹脂組成物は、次の構成成分を含んで調製された:
wt% %固体物質
ノボラック(1)(Tg約40℃) 50.0 77.15
ノボラック(2)(Tg約80℃) 14.0 20.77
ポリエチレンワックス(3) 1.3 2.08
水 1.7
アルコール 33.0
樹脂組成物は次の特性を有していた。
ダスト量:0.03%
接着力:0N
引張強度(縦糸):304N
引張強度(横糸):343N
加熱減量:30%
揮発性化合物含量:4.65%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合研摩材物品の補強のための、樹脂組成物で被覆されたガラス繊維構造であり、樹脂組成物は固体物質のwt%で表して次の割合で次の構成成分を含むことを特徴とするガラス繊維構造。
60℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラックと、60℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラックとの混合物75〜98wt%、
少なくとも1つのワックス0.5〜10wt%、ならびに
少なくとも1つの可塑剤0〜3.5wt%。
【請求項2】
比較的低いガラス転移温度を有するノボラックが、ノボラック混合物の50〜80wt%を示すことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
比較的低いガラス転移温度を有するノボラックが、40℃を超えるガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1または2に記載の構造。
【請求項4】
比較的高いガラス転移温度を有するノボラックが、80℃以上、100℃以下のガラス転移温度を有するガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造。
【請求項5】
ノボラックが、フェノールとホルムアルデヒドを、0.75〜0.8で変動するホルムアルデヒド/フェノールモル比で反応させることにより得られること特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造。
【請求項6】
ワックスが、パラフィンワックス、好ましくはポリエチレンもしくはポリプロピレンワックス、およびエチレンビスアミドワックス、好ましくはN,N’-エチレンビス(ステラミド)、から選ばれること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の構造。
【請求項7】
ワックス含量が、樹脂組成物の固体物質の5wt%を超えず、好ましくは3%以下であること特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の構造。
【請求項8】
可塑剤が、アルキルホスフェート、フタレート、トリエタノールアミン、オイルおよび多価アルコールから選ばれること特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の構造。
【請求項9】
可塑剤含量は、樹脂組成物の固体物質の1wt%を超えないこと特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の構造。
【請求項10】
補強構造が、好ましくはウェブ、マットのような不織、メッシュ、織物または切断ストランドのマット、の形態である、連続的なガラスヤーンから構成されること特徴とする請求項請求項1〜9のいずれかに記載の構造。
【請求項11】
ヤーンが、9〜24μm、好ましくは9〜17μm、で変動する径を有すること特徴とする請求項10に記載の構造。
【請求項12】
ヤーンが、34〜4800テックス、好ましくは34〜1200テックスの番手(すなわち、糸の太さ)を有すること特徴とする請求項10または11に記載の構造。
【請求項13】
構造が、100〜1000g/m2で変動する坪量からなる織物の形態であること特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の構造。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の構造を被覆可能な樹脂組成物であり、樹脂組成物は固体物質のwt%で表して次の割合で次の構成成分を含むことを特徴とする樹脂組成物。
60℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラック25〜55wt%、
60℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1つのノボラック10〜30wt%、
少なくとも1つのワックス0.5〜6.5wt%、
少なくとも1つの可塑剤0〜2.5wt%、
少なくとも1つのアルコール25〜45wt%、ならびに
水0〜15wt%。
【請求項15】
アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびこれらのアルコールの混合物から選ばれること特徴とする請求項14に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載の補強構造を含むこと特徴とする、バインダーで結合された研摩材粒子に基づく結合研摩材物品。
【請求項17】
研摩材砥石からなること特徴とする請求項16に記載の物品。

【公表番号】特表2010−530811(P2010−530811A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512750(P2010−512750)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051088
【国際公開番号】WO2009/004250
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(507392897)
【Fターム(参考)】