説明

結晶シリコン製造装置とその製造方法

【課題】 1度に多数の結晶シリコンインゴットを製造することができる生産性の高い結晶シリコン製造装置とその製造方法とを提供するものである。
【解決手段】 受台18に複数の坩堝16を載せ、その複数の坩堝16の隣合う側面同士を接触させる。この状態で加熱融解や冷却を行うことで、四隅の角部にのみクラックが発生し、坩堝16同士が接合する角部にはクラックが発生しない。この結果、本発明は1個の坩堝のみで製造する従来のものと比べて、均質な結晶シリコンインゴットを複数製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料シリコンを融解して結晶シリコンを作るための結晶シリコン製造装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池には一般に、多結晶シリコンが使用されている。この多結晶シリコンは一般に、結晶シリコン製造装置を用いて、一方向凝固法を用いて製造されている。結晶シリコン製造装置は、炉内空間を内部に形成した本体と、原料シリコンを入れる坩堝と、その坩堝を載せる受台と、その受台に載せた坩堝を炉内空間で上下移動させる移動手段と、坩堝内の原料シリコンを加熱融解するためのヒーター等から構成されている。
【0003】
ここで、結晶シリコン製造装置を用いて、一方向凝固法で多結晶シリコンを製造する方法について説明する。原料シリコンを入れた坩堝を受台に載せて、炉内空間内の加熱領域に坩堝を位置させ、ヒーターで坩堝内の原料シリコンを融解させる。原料シリコンが融解した後、受台と坩堝を徐々に一定の速度で下方に移動させて、坩堝をヒータ−の加熱領域外へ移動させると共に炉内空間の温度も低下させる。これによって、融解したシリコンは下部から上部へ向けて徐々に凝固成長して、多結晶シリコンインゴットになる。結晶シリコンイの製造装置や製造方法は、特許文献1に示されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,898,051
【0005】
現在一般に使用されている坩堝は、内部に離型剤を塗布した石英やカーボン製のもので、縦約70cm×横約70cm×高さ約30cmの立方体形状の容器であり、その厚みは約2cmである。この寸法の角柱状の坩堝からは、重量約300Kgの結晶シリコンインゴットが製造される。坩堝16の形状を角型(内部空間で製造する結晶シリコンインゴットの形状が角柱となる)とするのは、丸型(内部空間で製造する結晶シリコンインゴットの形状が円柱となる)に比べて、太陽電池モジュールにおける有効占有面積が広く取れ、またインゴットから基板に加工する際の歩留まりが高く、原料シリコンの選択範囲が広い等の利点があるためである。このように、角型の坩堝は丸型の坩堝に比べ大量の結晶シリコン基板を提供できることから、現在では坩堝は丸型のものより角型のものが主流となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近の太陽電池市場は年率成長30%と急激に拡大しており、それに伴い多結晶シリコンの需要が急激に増えつつある。しかしながら、従来既知の結晶シリコン製造装置では、ヒーターによる1回の加熱毎に重量約300Kgの多結晶シリコンインゴットが1個しか製造できず、多結晶シリコンの大量生産に応じることができないものであった。そこで、結晶シリコン製造装置の台数を増やすことも考えられるが、結晶シリコン製造装置そのものが非常に高価なため、結晶シリコン製造装置の台数を簡単に増やすことができないという不具合があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、1度に多数の結晶シリコンインゴットを製造することができる生産性の高い結晶シリコン製造装置とその製造方法とを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る結晶シリコンの製造装置は、内部に炉内空間を形成した本体と、前記炉内空間に配置されるものであって内部に原料シリコンを入れる坩堝と、その坩堝を支持する受台と、前記坩堝を加熱するためのヒータとを有し、前記坩堝内の原料シリコンを前記ヒータで加熱して原料シリコンを融解し、融解したシリコンを下方から冷却して結晶シリコンを作る結晶シリコンの製造装置において、前記受台に載せる前記坩堝を複数とし、その複数の坩堝の隣合う側面同士を接触させるようにしたものである。本発明は、側面同士を接触させた前記複数の坩堝を平面からみた状態をほぼ正方形としたものである。本発明は、側面同士を接触させた前記複数の坩堝の側面周辺を熱伝導率の小さいカーボン材料で覆うようにしたものである。本発明は、前記受台の上面に前記複数の坩堝を嵌合させるためのへこみ部を形成したものである。本発明は、前記複数の坩堝を載せる前記受台を融解したシリコンの冷却の際に回転させるようにしたものである。本発明は、前記ヒーターは、前記複数の坩堝の側面周囲に配置されるものと、前記複数の坩堝の上部に配置されるものとから成るようにしたものである。
【0009】
本発明に係る結晶シリコンの製造方法は、坩堝内部に原料シリコンを入れ、前記坩堝内の原料シリコンをヒータで加熱して原料シリコンを融解し、その後融解したシリコンを下方から冷却して結晶シリコンを作る結晶シリコンの製造方法において、受台に載せる前記坩堝を複数とし、その複数の坩堝の隣合う側面同士を接触させるようにしたものである。本発明は、側面同士を接触させた前記複数の坩堝を平面からみた状態をほぼ正方形形状とするようにしたものである。本発明は、側面同士を接触させた前記複数の坩堝の側面周辺を熱伝導率の小さいカーボン材料で覆うようにしたものである。本発明は、前記複数の坩堝を載せる前記受台を融解したシリコンの冷却の際に回転させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の結晶シリコンの製造装置やその製造方法では、受台の上に載せる坩堝を複数とし、それら複数の坩堝の隣合う側面同士を接触させるようにしたものである。これによって、同時に複数個の結晶シリコンインゴットを製造することができ、大量生産による大幅な製造コストの低減が実現できる。また、縦幅や横幅が例えば従来の2倍やそれ以上の長さになるため、縦方向や横方向の温度勾配が小さくなり、より均質な結晶シリコンインゴットを製造できる。更に、品質が劣るインゴットコーナー部も製造製品の単位体積当たり大幅に減少させることができる。
【0011】
本発明では、坩堝の周辺を熱伝導率の小さいカーボン材料で囲むことにより、坩堝周辺からの熱伝導が減少し、全体で均質な多結晶シリコンインゴットが育成できる。また、坩堝を回転しながら融解シリコンの凝固および冷却を行うことにより結晶シリコンインゴットでのクラックを防止することができる。更に、坩堝の上部に加熱ヒーターを設置することにより凝固時に常時上下方向に温度勾配を保持でき、スライス時のワイヤー断線を著しく減少させ、インゴットからのウエーハ製造歩留まり向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、装置内に複数の坩堝を備え、各坩堝のそれぞれに結晶シリコンインゴットを同時に育成することで、1回の加熱で複数の結晶シリコンインゴットを製造することができる。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る結晶シリコン製造装置の一例を示す縦断断面図、図2は図1のA−A断面図である。結晶シリコン製造装置は内部に炉内空間10を形成したチャンバー即ち本体12を有し、その本体12の内壁側に外部への伝熱を防ぐための断熱カーボン壁14を備えている。炉内空間10には坩堝16を載せる受台18が備えられ、その受台18は駆動手段20によって上下方向に移動可能とされている。坩堝16は、内壁に窒化珪素離型剤を塗布した石英やカーボンから成る立方体形状の容器であり、平面から見た外形形状が正方形であるのが望ましい。坩堝16の内部空間は立方体形状であり、その内部空間は平面から見て正方形であるのが望ましい。
【0014】
この実施例では、受台18の上に4個の坩堝16を載せ、隣合う坩堝16の側面同士を常に接触した状態(図1参照)とするよう設定する。本発明で使用する坩堝16は、現時点で最大の重量(約300Kg)の多結晶シリコンインゴットを製造できるものを用いる。即ち、坩堝16の外形寸法は、縦約70cm、横約70cm、高さ約30cm、厚み約2cmのものを用いる。技術の進歩に伴なって、将来的には縦横高さの寸法が大きいものを使用できるようになった場合に、その大きい寸法の坩堝16を用いるのが望ましい。
【0015】
4個の坩堝16の隣合う坩堝16の側面同士が常に接触した状態に保つために、受台18の上面に4個の坩堝16が丁度嵌合するようなへこみ部22を形成する(図1参照)。へこみ部22は、そこに4個の坩堝16を嵌合させると、隣合う坩堝16の側面同士が接触するような寸法に設定する。なお、4個の坩堝16の隣合う坩堝16の隣合う側面同士を接触させる方法としては、受台18の上面のへこみ部22に代えて、4個の坩堝16の側面同士を接着剤で接着する方法や、4個の坩堝16の周囲をワイヤ等(図示せず)で縛る方法等を採用しても良い。4個の隣合う坩堝16の側面同士を接触させた状態では、平面から見て一体に接続された4個の坩堝16は、ほぼ正方形であることが望ましい。
【0016】
4個の坩堝16のそれぞれの内部に、ドーパントとしてBを含有する原料シリコン24を入れる。炉内空間10の内部には、坩堝16内の原料シリコン24を加熱融解するためのヒーター26が4個の坩堝16の周囲を囲むように備えられている。従来の装置では1個の坩堝のみを加熱するのに対し、本発明では4個の坩堝16を加熱するので、受台18もヒーター26も本体12も従来の装置より大きなものとなる。
【0017】
本発明の結晶シリコン製造装置を用いて一方向凝固法によって、多結晶シリコンを製造する場合、例えば4個の坩堝16内に原料シリコン24を入れ、4個の坩堝16を受台18のへこみ部22に嵌合させる。これによって、4個の坩堝16の側面同士は互いに接触した状態となって受台18の上に載る。炉内空間10を密閉した後、炉内空間10を真空にし、その炉内空間10にアルゴンガスを流す。その後、ヒーター26によって炉内空間10に加熱領域を形成する。駆動手段20を作動させて受台18を上昇させ、4個の坩堝16を加熱領域内に位置させ、坩堝16内の原料シリコンをヒーター26の熱によって完全に融解させる。坩堝16内で原料シリコンを融解した後、駆動手段20を作動させて受台18を下降させ、受台18と坩堝16とをヒーター26の加熱領域から一定のゆっくりした速度で下部方向へ徐々に移動させ、それと同時に炉内空間10の温度を下げる。これによって、坩堝16内の下部から上部方向に向けて融解したシリコンが凝固してゆき、最終的に結晶シリコンインゴットが完成する。
【0018】
本発明では、1回の加熱時間で、4個の坩堝16に同時に結晶シリコンインゴットを育成できるので、従来の4倍の結晶シリコンインゴットを製造でき、結晶シリコンインゴットの生産性を大幅に向上させることができ、結晶シリコンインゴットの製造コストを低減することができる。
【0019】
本発明では、隣合う坩堝16の側面同士を接触させた状態で、坩堝16内の原料シリコン24を加熱するので、4個の坩堝16を接触させたものは、1個の坩堝16に比べて縦横の長さが2倍の長さの1個の坩堝とみなされる。このように、4個の坩堝16を接触させたものは、縦横の長さが2倍になるため、縦方向や横方向の温度勾配が小さくなり、より均質な結晶シリコンインゴットを製造することができる。また、隣合う坩堝16の側面同士を接続した4個の坩堝16は、平面から見た形状がほぼ正方形とすることで、4個の坩堝16が均等に加熱される。
【0020】
従来ものでは、図3に示すように、1個の多結晶シリコンインゴット28の四隅に、突起等の品質の落ちる箇所(その箇所を〇印で示す)が発生する。これは、坩堝16の軸方向中心位置を原料シリコンの融解に最適な温度にすると、四隅の〇印の箇所が最適な温度以上の高温で加熱されるためである。このため、従来の装置で製造した多結晶シリコンインゴット28では、四隅の〇印の箇所を除去してしている。これに対して、本発明装置で多結晶シリコンインゴット28を製造した場合には、図4に示すように、4個の坩堝16の隣合う側面同士を接触させているので、4個の坩堝16を接続したものの四隅に品質の落ちる箇所(〇印の箇所)が発生する。即ち、1個の多結晶シリコンインゴット28当たり、一箇所にのみに品質の落ちる箇所(〇印の箇所)が発生する。この結果、本発明で製造される多結晶シリコンインゴット28では、品質が落ちるコーナー箇所を、従来の装置で製造する多結晶シリコンインゴット28の4分の1に減少することができる。
【0021】
本発明で製造した多結晶シリコンインゴット28の断面をバンドソーを用いて切断して組織を観察した。その結果、多結晶シリコンインゴット28は、多結晶粒界がほぼ垂直に見られる柱状に成長していた。多結晶シリコンインゴット28の断面での抵抗率を測定した結果、インゴット底部で抵抗率は1.5ohm・cmであったが、上部では抵抗率は1.0ohm・cmに低下した。この変化は、固液界面での偏析係数で説明できた。抵抗率1.0〜1.5ohm・cmは、太陽電池用の多結晶シリコンとしては望ましい抵抗率の範囲内である。この多結晶シリコンインゴット28から厚さ3.0mmのシリコン基板を作製し、そのシリコン基板のスライス損傷層を除去するため、その表面をHNO3/HF水溶液でエッチングした。その後、表面光起電圧法を用い、太陽電池の性能に影響する少数キャリヤ拡散長を測定した。その少数キャリヤ拡散長は、インゴットの下部や上部は50μm以下であったが、中心部は200から300μmと良好(100μmであれば、太陽電池特性の変換効率が望ましい値となる)であった。
【実施例2】
【0022】
より均質な多結晶シリコンインゴットの製造方法を、図5に基づいて説明する。4個の坩堝16の隣合う側面同士を接触させた一体接合物の側面全周を、熱伝導率の小さいカーボン材料等から成る断熱材30で囲む。断熱材30は、通常のカーボンでもよいが、熱伝導率が約100分の1の断熱カーボンの方がより望ましい。断熱材30は4個の坩堝16の一体接合物の側面を覆っているが、下面も覆う方が望ましい。
【0023】
断熱カーボンを断熱材30に用いて、その厚さを3cmとした場合には、初期の早い凝固後、1分間に約0.5mmの速度で融解シリコンを結晶化した。断熱材30に厚さ3cmの断熱カーボンを使用することにより、結晶シリコンインゴットの育成速度が増加した。このように、結晶シリコンインゴットの育成速度を速めることによって、生産性を向上させることができる。更に、結晶シリコンインゴットの上部にはほとんど突起が見られず、平坦な結晶面が得られた。本発明により、結晶シリコンインゴットの上部の突起が大幅に減少した理由は、坩堝16の一体接合物の周辺を断熱カーボン等の断熱材30で囲むことにより、坩堝16の一体接合物における縦方向や横方向の温度勾配が極端に小さくなったためである。
【0024】
バンドソーを用いて結晶シリコンインゴットの断面を切断して組織を観察した結果、多結晶粒界がほぼ垂直に見られ、結晶インゴットは柱状に成長していた。結晶シリコンインゴットの断面での抵抗率を測定した結果、インゴット底部で抵抗率は1.3ohm・cmであったが、上部では抵抗率は0.9ohm・cmに低下した。実施例1と比較すると、坩堝16の周辺部の結晶シリコンインゴットの抵抗率は中心部とほぼ同じ値であった。抵抗率0.9〜1.3ohm・cmは、太陽電池用の多結晶シリコンとしては望ましい抵抗率の範囲内である。この結晶シリコンインゴットから厚さ3.0mmのシリコン基板を作製し、そのシリコン基板のスライス損傷層を除去するため、その表面をHNO3/HF水溶液でエッチングした。その後、表面光起電圧法を用い、太陽電池の性能に影響する少数キャリヤ拡散長を測定した。その少数キャリヤ拡散長は、インゴットの下部や上部は50μm以下であったが、中心部は200から300μmと良好であった。
【実施例3】
【0025】
次に、結晶シリコンインゴットのコーナー部で時々見られるクラックの発生を防止する方法について説明する。4個の坩堝16の一体接合物、または一体接合物の外周を断熱材30で囲んだものを受台18の上に載せる。受台18を上下方向に移動させるための駆動手段20は、受台18を回転可能な機構も備えるものとする。ヒーター26によって融解したシリコンを冷却する際に、駆動手段20によって受台18を下降させると共に受台18を1分間に1〜5回転の速度で回転させる。このように、融解したシリコンを冷却する際に、4個の坩堝16の一体接合物を回転させることによって、4個の坩堝16の内部の温度がより均一化される。この実施例で製造した結晶シリコンインゴットの断面での抵抗率を測定した結果、インゴット底部で抵抗率は1.3ohm・cmであったが、上部では抵抗率は0.9ohm・cmに低下した。実施例1や実施例2に比べてこの実施例3では、坩堝16周辺部の結晶シリコンインゴットコーナー部ではクラックが存在しなかった。
【実施例4】
【0026】
本発明の他の実施例を図6に示す。図6において図1と異なる点は、坩堝16の上方に上部ヒーター32を備えることである。従来の装置では、1個の坩堝16のみを加熱するので、坩堝16の側面の周囲にのみ筒状のヒーターを備えれば良かったが、本発明では4個の坩堝16を加熱するので、平面から見た面積が4倍になる。このため、側面からのヒーター26の熱だけでなく、上面からの上部ヒーター32の熱を加えることが望ましい。上部ヒーター32は、平面から見た4個の坩堝16の面積全体と同じかそれより広い面積とするのが望ましい。
【0027】
上部ヒーター32は融解したシリコンが上部から凝固せず下部のみから凝固するように、上下に適切な温度勾配を実現できるように調節する。この実施例では、初期の早い凝固後、1分間に約0.4mmの速度で融解シリコンを結晶化した場合、結晶シリコンインゴットの上部では、一つのコーナーのみに若干突起が見られた。この突起は、最終凝固位置に相当する。従来は、インゴットの4隅の全てに突起が見られたが、この実施例では突起は大幅に減少した。結晶シリコンインゴットの断面での抵抗率を測定した結果、インゴット底部で抵抗率は1.5ohm・cmであったが、上部では抵抗率は1.0ohm・cmに低下した。また、抵抗率の変化は上下方向に均一で、インゴット内に微小なSiC析出物は存在しなかった。
【0028】
なお、前述の実施例では、平面正方形の坩堝16を4個使用したが、平面正方形の坩堝16を9個使用しても、平面正方形の坩堝16を16個使用しても良い。即ち、複数の坩堝16を隣接する側面同士を接触させて一体化した場合に、一体化したものは平面から見てほぼ正方形の形状にとするのが望ましい。このような正方形の形状にすることによって、温度勾配が小さくなる(均一な温度分布箇所が広くなる)利点がある。複数の坩堝を接触させた一体化物を平面から見てほぼ正方形とする場合、平面長方形の坩堝を2個接合して平面正方形としたり、平面長方形の坩堝を1個とその半分の平面正方形の坩堝を2個とを接合させて平面正方形としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る結晶シリコン製造装置の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】従来の装置で製造した結晶シリコンと坩堝とを示す平面図である。
【図4】本発明に係る結晶シリコン製造装置で製造した結晶シリコンと坩堝とを示す平面図である。
【図5】複数個の坩堝を断熱材で囲んだ状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る結晶シリコン製造装置の他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 炉内空間
12 本体
16 坩堝
18 受台
22 へこみ部
24 原料シリコン
26 ヒーター
28 結晶シリコンインゴット
30 断熱材
32 上部ヒーター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に炉内空間を形成した本体と、前記炉内空間に配置されるものであって内部に原料シリコンを入れる坩堝と、その坩堝を支持する受台と、前記坩堝を加熱するためのヒータとを有し、前記坩堝内の原料シリコンを前記ヒータで加熱して原料シリコンを融解し、融解したシリコンを下方から冷却して結晶シリコンを作る結晶シリコンの製造装置において、前記受台に載せる前記坩堝を複数とし、その複数の坩堝の隣合う側面同士を接触させたことを特徴とする結晶シリコン製造装置。
【請求項2】
側面同士を接触させた前記複数の坩堝を平面からみた状態をほぼ正方形としたことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン製造装置。
【請求項3】
側面同士を接触させた前記複数の坩堝の側面周辺を熱伝導率の小さいカーボン材料で覆うことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン製造装置。
【請求項4】
前記受台の上面に前記複数の坩堝を嵌合させるためのへこみ部を形成したことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン製造装置。
【請求項5】
前記複数の坩堝を載せる前記受台を融解したシリコンの冷却の際に回転させることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン製造装置。
【請求項6】
前記ヒーターは、前記複数の坩堝の側面周囲に配置されるものと、前記複数の坩堝の上部に配置されるものとから成ることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン製造装置。
【請求項7】
坩堝内部に原料シリコンを入れ、前記坩堝内の原料シリコンをヒータで加熱して原料シリコンを融解し、その後融解したシリコンを下方から冷却して結晶シリコンを作る結晶シリコンの製造方法において、受台に載せる前記坩堝を複数とし、その複数の坩堝の隣合う側面同士を接触させたことを特徴とする結晶シリコンの製造方法。
【請求項8】
側面同士を接触させた前記複数の坩堝を平面からみた状態をほぼ正方形形状とすることを特徴とする請求項7記載の結晶シリコンの製造方法。
【請求項9】
側面同士を接触させた前記複数の坩堝の側面周辺を熱伝導率の小さいカーボン材料で覆うことを特徴とする請求項7記載の結晶シリコンの製造方法。
【請求項10】
前記複数の坩堝を載せる前記受台を融解したシリコンの冷却の際に回転させることを特徴とする請求項7記載の結晶シリコンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−335582(P2006−335582A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158734(P2005−158734)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(594075204)株式会社第一機電 (9)
【Fターム(参考)】