説明

結晶成長のためにアルカリ土類及びアルカリハロゲン化物を浄化する方法

不純物が捕捉される可能性を減らし、及び/又は成長結晶の望ましい化学量論比を確保する改善技術である。不純物除去の改善が掃去(scavenge)ガス、例えばフッ素ガス又はフッ化水素ガス、をアルカリ土類又はアルカリハロゲン化物の溶融体を通したバブリングによって得られ、より多くの揮発性ハロゲン化物及び溶融体中に含まれた酸素を除去することによって溶融体の純度を改善する。原材料を溶融後に反応させることにより、原材料中に捕捉されたあらゆる酸素または金属不純物が自由に掃去剤と反応する。アルカリ土類またはアルカリ金属が掃去ガス中のハロゲン化物と反応するので、望ましい化学量論比に達する。溶融体中の不純物量を低減すること、及び望ましい化学量論比の溶融体を使用することにより、この浄化した原材料から成長した結果物である塊の耐放射性及び透過特性が改善する。加えて、この方法は脱ガスに必要な時間も短縮できる。この方法はまた高純度のプレ溶融体を形成するためにも使用でき、このプレ溶融体はより高い純度の塊を成長させるために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載した本発明は概してハロゲン化物結晶及び特にフッ化物の単結晶、例えばフッ化カルシウム及びフッ化バリウムを形成するために使用する成長材料を合成する方法に関係し、これらの結晶は特に高純度用途、例えば優れた透過特性を有する光学素子に好適である。
【背景技術】
【0002】
光学的組織(body)として使用するための様々な無機塩でできた大きくて本質的に単結晶である塊の成長は、過去数十年にわたって多くの注目の的であった。これらの塩の中で、特に広範囲の放射線の波長に渡ってレンズとして使用するのに好適なものはアルカリ土類金属ハロゲン化物である。特に、写真平板装置で157及び193nmの波長で使用されるレンズを含む、多くの用途について、透明度が高く、歪みが無く、放射線に対して丈夫な単結晶、特にフッ化カルシウム又はフッ化バリウムのもの、が必要とされている。この技術が特に向いている別の用途は、シンチレーション結晶、例えばタリウム活性化ヨウ化ナトリウム又はタリウム活性化ヨウ化セシウムであり、ここでは酸素不純物が電子が捕捉される位置(site)として作用する。
【0003】
結晶の耐放射性は、結晶の固有特性並びに結晶中の不純物のタイプ及び量の両方によって決まる。アルカリ又はアルカリ土類ハロゲン化物結晶内の金属不純物及び酸素は、結晶の耐放射性を低減することが知られている。
【0004】
耐放射性は、結晶の透明率を低減するエネルギーに曝露させた結果生じる結晶中の損傷と定義してもよい。良好な耐放射性を確保するための理論値にできるだけ近い化学量論比の結晶を有することも必要である。アルカリ土類フッ化物の場合、これは各々のアルカリ土類原子一つについて二つのフッ素原子を意味する。アルカリフッ化物の場合、これは各々のアルカリ原子一つについて一つのフッ素原子を意味する。望ましい化学量論比は、固有吸光以外に、あらゆる波長において望まない吸光をしない化学量論比である。
【0005】
現在の技術では、化合物がフッ化物に変化する前に、金属は沈降法によって除去される。沈降技術は高価であり、かつ歩留まり損失及び人手のせいで時間がかかる。
【0006】
酸素はアルカリ土類及びアルカリハロゲン化物において脱ガス(outgas)(真空下での加熱)によって除去され、これは時間のかかるプロセスである。るつぼ内のカルシウム/バリウムフッ化物装填物(charge)を真空下で加熱するといくらか脱気(degas)が起こる、すなわち吸収されていた種が脱着によって離れる。この真空下の加熱は望ましくない汚染物質の多くを除去するが、掃去(scavenge)剤を添加すると、脱気に対するさらなる改善がなされる。当該技術において、掃去剤は酸素と反応するために使用され、この酸素は原材料中及びるつぼに存在することがあり、揮発性酸素化合物を生成し、これはるつぼから排気される。アルカリ土類又はアルカリフッ化物のための典型的な掃去剤は、金属フッ化物、フッ化水素ガス、ポリテトラフルオロエチレン及び四フッ化炭素を含む。おそらく最も広く使用される掃去剤はフッ化鉛である。
【0007】
フッ化鉛は概してアルカリ土類又はアルカリ金属フッ化物装填物に1〜3質量%の量で添加される。フッ化鉛は、可能な範囲で均一に分散するように、粉末として添加され、そして機械的にアルカリ土類又はアルカリ金属フッ化物と混合される。概して600℃を超える、高温において、フッ化鉛は実質的に揮発し始める。例として、任意の酸素、水、硫黄、硫酸塩種は、フッ化鉛と反応可能であり、そして揮発性の鉛化合物として排気可能である。これが装填物中の不純物を低減させそして透明性、歪み及び耐放射性といった特性を改善した製品を生み出す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アルカリ土類又はアルカリ金属フッ化物中の汚染物質の多くは、表面上にはない可能性があり又は装填物が溶融し始めそして結晶が成長する前に放出するために表面に達することが出来ないことがある。結果として、不純物はまだ結晶中に捕捉されていることがあり、そのために最終製品の品質を落としている。
【0009】
米国特許第3,935,302号は、優れた機械的、熱的及び光学特性を有するレーザーウィンドウとして使用するための、単結晶耐熱金属ハロゲン化物及び希土類ハロゲン化物を提供する試みを開示している。この特許で開示されているように、レーザーウィンドウは、反応性大気プロセス法を使用して溶融体から調和成長(congruent growth)によって浄化したハロゲン化物結晶から作成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、結晶成長の前に適用すると、不純物が捕捉される可能性をさらに減らすという改善技術を提供する。本発明により、酸素を除去し、及び/又は特定のハロゲン化物を溶融体に添加する掃去(scavenger)ガスをバブリングすることによって、汚染物質除去が改善される。例えば、カルシウムフッ化物の場合、掃去ガス、例えばフッ素ガス、フッ化水素ガス、三フッ化窒素ガス、四フッ化炭素ガス、又はそれらの混合物、が溶融体を通じてバブリングされ、溶融体内に含まれる酸素及び揮発性金属フッ化物をより多く除去することによって、溶融体の純度を改善する。原材料を溶融した後で反応させることにより、原材料中に捕捉されていたあらゆる酸素又は金属不純物が掃去剤と自由に反応する。溶融体中の不純物の量を減らすことにより、浄化された原材料から成長した結果物の塊の耐放射性及び透過特性が改善する。加えて、この方法は脱ガスに必要な時間を低減することがある。この方法はまた高純度のプレ溶融体を形成するためにも使用され、プレ溶融体は(溶融体に)立ち替わって高純度の塊を成長するために使用される。この方法は任意のアルカリ土類又はアルカリフッ化物と適当な掃去剤を伴って使用されることが可能である。
【0011】
本発明はまた溶融体の化学量論比をさらに改善することができる改善技術も提供する。原材料をプロセス処理する間は、不純物、反応条件、及び電気化学プロセスのせいで原材料が決して望ましい化学量論比に達しないことがありえる。アルカリ土類又アルカリハロゲン化物において非化学量論的である一つの原因はハロゲン化物の欠陥である。溶融体を通じた掃去ガスのバブリングは、溶融体にハロゲン化物を添加することにより非化学量論比を修正する能力を有する。
【0012】
これにより、本発明は、ハロゲン化物結晶を形成するために使用する成長材料を浄化する方法を提供し、この方法は以下のステップ:アルカリ又はアルカリ土類フッ化物を含む成長材料を加熱して溶融体を形成すること;及び溶融体中に掃去ガスを導入すること、を含み、そしてその結果、溶融体内に含まれる酸素及び揮発性金属ハロゲン化物を除去することにより溶融体の純度を改善する。この加熱及び掃去ガスの導入は好ましくは密閉空間で実施され、この密閉空間から成長材料中の不純物と掃去ガスの反応により生じた反応ガスが排気される。
【0013】
本発明の別の態様によると、ハロゲン化物結晶を形成するために使用する成長材料を改善する方法が提供され、この方法は以下のステップ:アルカリ又はアルカリ土類フッ化物を含む成長材料を加熱して溶融体を形成すること;及び溶融体中にガスを導入すること、を含み、そしてその結果、溶融体にハロゲン化物を添加することによって溶融体の化学量論比を改善する。この加熱及び掃去ガスの導入は好ましくは密閉空間で実施され、この密閉空間から成長材料中の不純物と掃去ガスの反応により生じた反応ガスが排気される。
【0014】
掃去ガス又はハロゲン化物含有ガスは、フッ素ガス、フッ化水素ガス、三フッ化窒素、四フッ化炭素、六フッ化硫黄、トリフルオロメタン、ヨウ素ガス、ヨウ化水素、テトラヨードメタン、トリヨードメタン、臭素ガス、臭化水素、テトラブロモメタン、塩素ガス、塩化水素ガス、テトラクロロメタンガス、トリクロロメタンガス、及びこれらの混合物からなる好ましい群から選択され得る;そして成長材料が、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化リチウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化セシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化マグネシウム、臭化ストロンチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化セシウム、及びこれらの混合物からなる好ましい群から選択され得る。
【0015】
本発明はまた溶融体を冷却してプレ成長材料を形成するステップも含み、その後このプレ成長材料は実質的に再加熱されて溶融体を形成することができ、この再加熱した溶融体から結晶が成長し得る。このプレ成長材料はスラブ又はパンケーキ状、又は球状であってもよい。
【0016】
本発明はさらに、前述の方法論によって得た浄化した及び/又は改善した結晶成長材料、この浄化した及び/又は改善した結晶成長材料からハロゲン化物結晶を成長させるステップを含むハロゲン化物を成長させる方法、並びにこのような成長の結果物であるハロゲン化物結晶、を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の前述した及び他の特徴は以下でより十分に記載され特に請求項において指摘される。以下に記載が本発明の説明の役に立つ或る実施態様を詳細に説明し、これらは指標ではあるが、本発明の原理が適用されることがある多様な方法のいくつかにすぎない。
【0018】
上述したとおり、本発明は、結晶成長の前に適用すると、不純物が捕捉される可能性をさらに減らし及び/又は溶融体の望ましい化学量論比を提供するという改善技術を提供する。この技術は、アルカリ土類又はアルカリ金属ハロゲン化物の成長株を合成するための従来型の方法、及び掃去剤を不純物、特に酸素、をこの成長株から除去のために使用する方法に適用可能であり、これは耐放射性、高透過率の結晶をもたらすために望まれる。従来、掃去剤、例えばフッ化鉛、はアルカリ土類又はアルカリ金属ハロゲン化物、例えばカルシウムフッ化物装填物、に1〜3質量%の量で添加される。フッ化鉛は概して、可能な範囲で均一に分散するように、粉末として添加され、そしてアルカリ土類又はアルカリ金属ハロゲン化物と混合される。
【0019】
概して600℃を超える、高温において、このフッ化鉛は実質的に揮発し始める。例として、任意の酸素、水、硫黄、硫酸塩種は、フッ化鉛と反応可能であり、そして揮発性の鉛化合物として排気可能である。これが装填物中の不純物を低減させそして透明性、歪み及び耐放射性といった特性を改善した製品を生み出す。
【0020】
アルカリ土類又はアルカリ金属ハロゲン化物中の汚染物質の多くは、表面上にはない可能性があり又は装填物が溶融しそして結晶が成長する前に放出するために表面に達することが出来ないことがある。結果として、不純物はまだ結晶中に捕捉されていることがあり、そのために最終製品の品質を落としている。
【0021】
本発明はこれまでは手の届かなかった汚染物質を放出するための方法を提供する。これは掃去ガスがアルカリ土類又はアルカリ金属ハロゲン化物の溶融体を通じてバブリングすることによって達成され、溶融体内に含まれる酸素及び揮発性金属フッ化物をより多く除去することによって、溶融体の純度を改善する。原材料を溶融した後で反応させることにより、原材料中に捕捉されていたあらゆる酸素又は金属不純物が掃去剤と自由に反応する。加えて、アルカリ土類又はアルカリ金属ハロゲン化物がこの掃去ガスによって利用可能にされた追加的なハロゲン化物と反応可能であるので、望ましい化学量論比からのあらゆる逸脱が修正される。
【0022】
本発明の理解を促すために、典型的なプロセスについてこれから記載する。最初に、概して粉末状である、成長材料が成長るつぼに詰め込まれる。このるつぼは従来型の材料、例えばグラファイト、で出来ていても良い。このるつぼは、実用的な任意のサイズであってよく、そして使用される成長るつぼの領域内に適合し得る。成長るつぼの例はストックバーガー、チョクラルスキー、キロプーロス、熱交換法、等である。
【0023】
それから、この粉末は、真空下で溶解するまで、成長炉で加熱され、及び掃去ガスが溶融体を通じてバブリングされる。この掃去ガスは溶融体に挿入した管を通じて供給可能である。この管は、溶融フッ化物又は掃去ガスと反応しない材料、例えばグラファイト、から作られねばならない。この管は、例えば、成長炉の壁のプローブ穴を通じて挿入された中空グラファイト管であってもよい。このグラファイト管は掃去ガス源に接続されていてもよく、そしてバブリング速度はガス流によって制御可能である。この管の末端は、要望通りに、ガス拡散器を備えてもよく備えなくてもよい。ガスを排気する管の末端が溶融体の底部近くになるまで、この管を溶融体に挿入することが可能である。このガスが管から出てくるので、溶融体を通じて泡が立つ。
【0024】
バブリングは好ましく、溶融体中の不純物を、全部ではないが、ほとんどを除去することをもたらすために十分な時間続けることができる。目標不純物の全てを除去するために必要な時間は出発原料中の不純物の量及び装填物の質量によって決定される。
【0025】
このバブリング技術は真空下、減圧下、又は昇圧下で実施可能である。本発明により0.001cc/分〜1000L/分のガス流が使用可能であるが、しかしながら概して約1時間約10cc/分のガス流が不純物のほとんどを除去するためには十分なはずである。
【0026】
通常「原」材料として言及される、市販の成長材料は、特にクロム(Cr)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、カリウム(K)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、硫黄(S)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)及び亜鉛(Zn)を含む、不純物を含む。本発明は特にナトリウム、ケイ素、アルミニウム及び亜鉛を除去するのに有用である。好ましくは掃去ガスは十分な時間溶融体に導入され、成長材料中の一又は二以上の不純物、特にナトリウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び/又は亜鉛、の濃度を少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、低減する。さらに、掃去ガスは十分な時間溶融体に導入され、先行技術で従来得られたよりも低いレベルまで不純物を低減可能である。例えば、成長材料中のナトリウムの存在は2.5ppmより低く、より好ましくは約2.0ppmより低く、そしてさらに好ましくは約1.8ppmより低くまで低減可能である。さらなる一例として、成長材料中のケイ素の存在は1.4ppmより低く、より好ましくは約1.0ppmより低く、そしてさらに好ましくは約0.7ppmより低くまで低減可能である。溶融体中の不純物の濃度を測定することは困難かつ実用的でないので、ここでの参照濃度は、本発明によりプロセス処理したプレ成長材料を固化したものの中又は 本発明によりプロセス処理した成長材料からできた結晶成長の中の、不純物の濃度を測定することによって得たものである。このようにして、例えば、このガスが十分な時間溶融体に導入され、成長結晶中のケイ素存在を1.4ppmより低く、より好ましくは約1.0ppmより低く、そしてさらに好ましくは約0.7ppmより低くまで低減する。
【0027】
ここで記載される技術は、一又は二以上の多様な噴霧器を使用する際にも、適用され得る。例えば、容器の底部で画定される容器の内底壁をプレナム(容器内の圧力が外気圧より高い状態)にして、そこに掃去ガスが十分な圧力で供給され、ガスが溶融体に入ることを可能にすることもできる。この容器はその代わりに又は追加的に溶融チャンバーの底部に配置した噴霧器を、掃去ガスを溶融体に注入するために、備えても良い。
【0028】
このるつぼがシールされている場合、その上部は排気ポートを備えることができ、その排気ポートはこのるつぼからの反応ガスを引き抜くための真空源に接続している。この代わりにるつぼがシールした炉の中に配置されている場合、炉は排気ポートを備えることができ、その排気ポートはこの炉からの反応ガスを引き抜くための真空源に接続している。
【0029】
このバブリングプロセスの後、掃去ガス流は停止されそして任意の使用されたガス注入器、例えば前述の中空グラファイト管、は溶融体から除去されることが可能である。現時点で、好適な成長プロセスを使用して結晶の成長が可能である。あるいは、プレ成長材料を形成するために溶融体を使用することが可能であり、このプレ成長材料は後で成長炉に添加し、その後溶融し結晶成長に続けることが可能である。プレ成長材料を使用することは当該技術分野で周知であり、これは成長るつぼでの装填密度を高めるためであり、炉内の脱ガス時間を短縮するためであり、及び/又は結晶成長プロセス全体における追加的な浄化ステップとしても周知である。
【実施例】
【0030】
いくつかの特定の例をこれから開示する。
【0031】
例1
80kgのフッ化カルシウム粉末をるつぼに加えそして結晶成長炉に詰め込んだ。既知の脱ガス技術を用いて真空下で、この粉末を溶融するまで緩やかに加熱した。フッ化水素ガスを、約1時間10cc/分の速度でグラファイト管を通じて溶融体の底部にバブリングした。このガス処理が終了後、グラファイト管を溶融体から除去した。その後結晶をストックバーガー結晶成長技術を用いて成長させ、そして標準的な焼きなましプロセスを用いて冷却した。
【0032】
例2
60kgのフッ化カルシウム粉末をるつぼに加えそして結晶成長炉に詰め込んだ。既知の脱ガス技術を用いて真空下で、この粉末を溶融するまで緩やかに加熱した。フッ化水素ガスを、約10時間1cc/分の速度でグラファイト管を通じて溶融体の底部にバブリングした。このガス処理が終了後、グラファイト管を溶融体から除去した。その後結晶をストックバーガー結晶成長技術を用いて成長させ、そして標準的な焼きなましプロセスを用いて冷却した。
【0033】
例3
80kgのフッ化カルシウム粉末をるつぼに加えそして炉に詰め込んだ。既知の脱ガス技術を用いて真空下で、この粉末を溶融するまで緩やかに加熱した。フッ化水素ガスを、約1時間10cc/分の速度でグラファイト管を通じて溶融体の底部にバブリングした。このガス処理が終了後、グラファイト管を溶融体から除去した。溶融体を緩やかに冷却し緻密化した原材料を製造した。この緻密化した原材料をその後結晶成長炉に詰め込みそして溶融した。その後結晶をストックバーガー結晶成長技術を用いて成長させ、そして標準的な焼きなましプロセスを用いて冷却した。
【0034】
ここで開示、記載及び説明した本発明を好ましい形態へ修正、変更及び改良することは、本発明の原理及び教訓を理解することができる当業者であれば思いつくことができる。これに応じて、この文書に交付される特許の範囲はここで説明した本発明の特定の実施態様に限定すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化物結晶を形成するために使用する成長材料を処理する方法であって、以下のステップ:
アルカリ又はアルカリ土類ハロゲン化物を含む成長材料を加熱して溶融体を形成すること;及び
該溶融体中に掃去ガスを導入すること、
を含んでなる方法。
【請求項2】
成長材料中のナトリウムの存在を2.5ppm未満まで減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
成長材料中のナトリウムの存在を約2.0ppm未満まで減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項4】
成長材料中のナトリウムの存在を約1.8ppm未満まで減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項5】
成長材料中のケイ素の存在を1.4ppm未満まで減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項6】
成長材料中のケイ素の存在を約1.0ppm未満まで減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
成長材料中のケイ素の存在を約0.7ppm未満まで減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項8】
溶融前の成長材料が少なくとも一種の不純物を含み、かつ成長材料中の該不純物の濃度を少なくとも約25%減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項9】
不純物がナトリウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び亜鉛のうちの少なくとも一種である、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
溶融前の成長材料が少なくとも一種の不純物を含み、かつ成長材料中の該不純物の濃度を少なくとも約50%減少するために十分な時間掃去ガスが溶融体に導入される、請求項1に記載された方法。
【請求項11】
不純物がナトリウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び亜鉛のうちの少なくとも一種である、請求項10に記載された方法。
【請求項12】
加熱ステップが密閉空間内でアルカリ又はアルカリ土類ハロゲン化物を加熱することを含み、さらに該密閉空間から成長材料中の不純物と掃去ガスとの反応によって生じた反応ガスを排出させるステップを含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項13】
掃去ガスが、フッ素ガス、フッ化水素ガス、三フッ化窒素、四フッ化炭素、六フッ化硫黄、トリフルオロメタン、ヨウ素ガス、ヨウ化水素、テトラヨードメタン、トリヨードメタン、臭素ガス、臭化水素、テトラブロモメタン、塩素ガス、塩化水素ガス、テトラクロロメタンガス、トリクロロメタンガス、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載された方法。
【請求項14】
成長材料が、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化リチウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化セシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化マグネシウム、臭化ストロンチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化セシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載された方法。
【請求項15】
請求項14に記載された方法により得た浄化した成長材料からハロゲン化物結晶を成長させるステップを含んでなるハロゲン化物結晶を成長させる方法。
【請求項16】
請求項15に記載された方法により製造したハロゲン化物結晶。
【請求項17】
成長材料がるつぼに詰め込まれそしてるつぼ内で加熱され、該るつぼが密閉空間内で加熱され、及び成長材料中の不純物と掃去ガスとの反応によって生じた反応ガスが該密閉空間から排出される、請求項1に記載された方法。
【請求項18】
請求項1に記載された方法により製造した結晶成長材料。
【請求項19】
該溶融体を冷却し、後で再加熱して、結晶が成長することができる溶融体を形成することができる、プレ成長材料を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載された方法。
【請求項20】
プレ成長材料をるつぼに詰め込むステップ、るつぼを加熱しプレ成長塊を溶融するステップ、及び該溶融体から結晶を成長させるステップ、をさらに含んでなる請求項19に記載された方法。
【請求項21】
ハロゲン化物結晶を形成するために使用する成長材料を処理する方法であって、以下のステップ:
アルカリ又はアルカリ土類ハロゲン化物を含む成長材料を加熱して溶融体を形成すること;及び
該溶融体中を通じて掃去ガスをバブリングすること、
を含んでなる方法。
【請求項22】
加熱ステップが密閉空間内のアルカリ又はアルカリ土類ハロゲン化物を加熱することを含み、及び該密閉空間から成長材料中の不純物と掃去ガスとの反応によって生じた反応ガスを排出させるステップをさらに含んでなる、請求項21に記載された方法。
【請求項23】
掃去ガスが、フッ素ガス、フッ化水素ガス、三フッ化窒素、四フッ化炭素、六フッ化硫黄、トリフルオロメタン、ヨウ素ガス、ヨウ化水素、テトラヨードメタン、トリヨードメタン、臭素ガス、臭化水素、テトラブロモメタン、塩素ガス、塩化水素ガス、テトラクロロメタンガス、トリクロロメタンガス、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載された方法。
【請求項24】
成長材料が、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載された方法。
【請求項25】
フッ化物結晶を成長させる方法であって、請求項14に記載された方法により得た浄化した成長材料からフッ化物結晶を成長させるステップを含んでなる方法。
【請求項26】
請求項25に記載された方法により製造したフッ化物結晶。
【請求項27】
請求項21に記載された方法により製造した結晶成長材料。

【公表番号】特表2008−517870(P2008−517870A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539005(P2007−539005)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/037892
【国際公開番号】WO2006/049901
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(593150863)サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド (139)
【Fターム(参考)】