説明

結線管理システム、その方法及びプログラム

【課題】電子機器間や機器内の構成部位を接続するケーブルの結線状態を容易に確認し、機器構成の管理を正確に行う。
【解決手段】GPS衛星からの電波を受信する受信器、及びケーブルの端部に固定されたICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末と、受信器によって取得された携帯端末の三次元位置情報、ICタグ通信手段によって取得された各ケーブルのICタグの識別情報、及びICタグ通信手段と各ICタグとの距離情報を保管するDBと、このDBに保管された三次元位置情報と距離情報を用いてICタグの絶対位置を計算するICタグの絶対位置処理部と、この絶対位置処理部によって処理された、あるケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、あるケーブルに接続されるべき他のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して両者が一致した場合、両者のケーブルは接続状態にあると判断する結合判定処理部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結線管理システム、その方法及びプログラムに係り、特に電子機器内或いは電子機器を接続するケーブルの接続状態を管理する結線管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル内やオフィスに配置された多数の電子機器の接続構成を管理するために、構成図が作成される。電子機器のレイアウト変更等による構成変更の度に、管理者は現地調査を行って電子機器の接続状態を目視で確認して、構成図を修正する。しかし、床下やサーバラック内等の見えない場所におけるケーブルの接続状態は目視で確認出来ないため、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、通信ケーブルに取り付けられた複数の発信機から送出される識別番号から、発信器の位置情報を検出し、ネットワーク配線図を作成するネットワーク配線図作成システムが開示されている。
また、特許文献2には、ハブやケーブルのような通信設備に、接続構成情報やID情報を記憶したICタグをあらかじめ取り付け、このIDタグを読み取ることにより配線経路を特定する配線経路管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−244155公報
【特許文献2】特開2004−38583公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、特許文献1の技術では機器の接続順番は判断できるが、それらが結合状態にあるかどうか判断することは困難である。また、特許文献2の技術では配線経路は判断できるが、特許文献1の技術と同様に、結合状態にあるかどうかの判断することは困難である。
【0006】
本発明は、電子機器間や機器内の構成部位を接続するケーブルの結線状態を容易に確認し、機器構成の管理を正確に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る結線管理システムは、好ましくは、ケーブルの接続状態を管理する結線管理システムにおいて、ケーブルの端部を識別する固有の識別情報が記憶されたICタグを固定したケーブルは、お互いに接続された又は接続されるべき状態にあり、
GPS衛星からの電波を受信する受信器、及び該ICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末と、
該受信器によって取得された該携帯端末の三次元位置情報、該ICタグ通信手段によって取得された各ケーブルの該ICタグの識別情報、及び該ICタグ通信手段と各該ICタグとの距離情報を保管する第1の記憶手段と、
該第1の記憶手段に保管された該三次元位置情報と該距離情報を用いて、該ICタグの絶対位置を計算するICタグの絶対位置処理部と、
該絶対位置処理部によって処理された、第1のケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、該第1のケーブルに接続されるべき第2のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して、それらの絶対位置情報が所定の関係にあるとき、該第1のケーブルと該第2のケーブルとは接続された状態にあると判断する結合判定処理部とを有することを特徴とする結線管理システムとして構成される。
【0008】
好ましい例によれば、更に、前記絶対位置処理部によって処理された結果、該ICタグの絶対位置情報を、該ICタグの識別情報をキーとして記憶する第2の記憶手段と、
該結合処理部によって処理された結果、該ケーブルに付与された固有の識別情報と、該ケーブルに固定された該ICタグの識別情報と、該ケーブルの結合状態を関係付けて記憶する第3の記憶手段とを有する結線管理システムとして構成される。
更に好ましくは、前記携帯端末と接続されるコンピュータを有し、該コンピュータは、前記第1乃至第3の記憶手段と、前記絶対位置処理部と、前記結合判定処理部とを有する。
【0009】
本発明に係る結線管理方法は、好ましくは、ケーブルの接続状態を管理する結線管理方法において、対象とするケーブルの端部を識別する固有の識別情報が記憶されたICタグを固定したケーブルは、お互いに接続された又は接続されるべき状態にあり、
GPS衛星からの電波を受信する受信器及び該ICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末を用いて、該携帯端末の三次元位置情報、該IC各ケーブルの該ICタグの識別情報、及び該ICタグ通信手段と各該ICタグとの距離情報を取得するステップと、
取得された該三次元位置情報、ICタグの識別情報及びICタグとの距離情報を記憶手段に保管するステップと、
該記憶手段に保管された該三次元位置情報と該距離情報を用いて、該ICタグの絶対位置を計算するステップと、
該ICタグの絶対位置の計算結果を用いて、第1のケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、該第1のケーブルに接続されるべき第2のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して、それらの絶対位置情報が所定の関係にあるとき、該第1のケーブルと該第2のケーブルとは接続された状態にあると判断するステップとを有することを特徴とする結線管理方法として構成される。
【0010】
また、本発明に係る結線管理プログラムは、好ましくは、ケーブルの端部を識別する固有の識別情報が記憶されたICタグを固定した、お互いに接続された又は接続されるべき状態にあるケーブルの接続状態を、コンピュータを用いて管理する結線管理用のプログラムであって、
GPS衛星からの電波を受信する受信器及び該ICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末を用いて取得された、該携帯端末の三次元位置情報、該IC各ケーブルの該ICタグの識別情報、及び該ICタグ通信手段と各該ICタグとの距離情報を記憶手段に保管するステップと、
該記憶手段に保管された該三次元位置情報と該距離情報を用いて、該ICタグの絶対位置を計算するステップと、
該ICタグの絶対位置の計算結果を用いて、第1のケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、該第1のケーブルに接続されるべき第2のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して、それらの絶対位置情報が所定の関係にあるとき、該第1のケーブルと該第2のケーブルとは接続された状態にあると判断するステップと、を実行することを特徴とする結線管理用プログラムとして構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子機器内や電子機器間を接続するケーブルの結線状態を容易に判断することが可能であり、機器構成を正確に管理することが可能である。また、電子機器の構成変更時や未使用機器やケーブルの撤去時に、現状の結線状態を判断できるため、事前調査の簡略化と作業の安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態による結線管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】一実施形態による携帯端末102の構成を示す図である。
【図3】一実施形態によるコンピュータ103の機能構成ブロック図である。
【図4】一実施形態によるICタグ距離DB32の構成を示す図である。
【図5】一実施形態によるICタグ絶対位置DB34の構成を示す図である。
【図6】一実施形態による結線構成管理DB36の構成を示す図である。
【図7】一実施形態による登録処理部302の処理フローチャートである。
【図8】一実施形態によるICタグ絶対位置処理部304の処理フローチャートである。
【図9】一実施形態による結合判定処理部306の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、結線管理システムの全体構成を示す。
この結線管理システムは、GPS衛星を利用した位置測位システムを用いて、例えばサーバ装置等の電子機器内の配線されたケーブルの結線状態を管理するものである。そのために、GPS衛星101、ケーブルの結線情報を検知する携帯端末102、及び結線に関する情報を処理するコンピュータ103を有する。管理の対象となる多数のケーブル122,124(総称して12ということがある)の両端には、それぞれのケーブルの両端部を識別する固有の識別情報(タグID)を記憶したICタグ141−143、144−145(総称して14ということがある)が取り付けられている。
【0014】
携帯端末102は、ケーブルの結線状態を調査する作業者がそれをサーバ装置内に入れて操作する機器であり、GPS衛星101からの電波を受信してそれぞれとの距離を割り出すことにより、現在位置(緯度、経度、高度の三次元位置)を測定する機能と、ケーブル12の両端のICタグを検知して、当該携帯端末102と各ICタグとの間の距離を検知する機能を備える。そのために、GPS衛星101からの電波を受信するGPS受信手段、各ケーブル12の両端のICタグが持つタグIDを受信する無線通信手段、及びコンピュータ103との間で通信する通信手段、及び情報処理手段を有している。なお、携帯端末102の構成については、図2を参照して後述する。
【0015】
コンピュータ103は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、プロセッサ(CPU)、メモリ、ハードディスクのような外部記憶装置、入力器、表示器等を有し、本発明に特徴的なアプリケーションプログラムをCPUで実行することで、ケーブルの結線状態を管理するための種々の機能を実現する。
【0016】
図2は携帯端末102の構成を示す。
携帯端末102は、表示部201、入力部202、GPS衛星からの電波を受信するGPS受信器203、各ICタグ14の間で無線通信してタグIDを取得するICタグ通信部204、コンピュータ103との間で情報のやり取りを行うために所定のインタフェースで接続されるコンピュータ通信部205、取得されたGPS衛星101からの測位情報(即ち携帯端末の緯度、経度、高度の三次元座標)及びICタグからのタグIDを用いて座標処理するプロセッサ(CPU)206、メモリ207を有して構成される。
【0017】
ここで、携帯端末102と、ケーブルの両端に固定された各ICタグ14との間の距離は、ICタグ通信部204から各ICタグ14に対して発信される信号の発信時刻と、各ICタグからの応答信号の受信時刻の差分をCPU206で計算して求める。ここで、携帯端末102とICタグ14間の距離は、実質的にICタグ通信部204とICタグ14との間の距離を求めることになる。また、携帯端末102内に実装されるGPS受信器202とICタグ通信部204の位置は実質的に同じ位置であるか、或いはその実装位置が異なる場合には、その間の三次元距離は予め分かっているものとする。
【0018】
算出された距離情報、即ちGPS衛星101に対する三次元座標情報及び各ICタグ14との距離情報は、メモリ207に一時保管される。GPS衛星101に対する座標情報及びICタグ14との距離情報の算出は4回繰り返される。メモリ207に保管された4回分の距離情報は、コンピュータ通信部205を介してコンピュータ103に送信される。
なお、距離情報を4回計算する理由は、GPS衛星からの受信信号を用いて位置を特定する技術として知られているように、携帯端末102からICタグまでの距離が分かったとしても、1回の測定ではICタグの位置はGPS受信器203を中心とした球上の何処にあるか分からない。そこで、GPS衛星からの2回目の受信信号の計算によって、2つの球が交差する円のいずれかにあることを特定し、3回目及び4回目の受信信号の計算によってさらにもう1つの円を規定して、これら2つの円の交差するいずれか一方の側の位置を特定する。
【0019】
図3はコンピュータ103で実現される結線管理システムの諸機能を示す。
結線管理システムは、CPUにおいて結線管理プログラムの実行によって実現される処理機能(処理部)30として、携帯端末102で取得された距離情報をコンピュータ103内に取り込む処理を行う登録処理部302、ケーブルの両端に固定されたIDタグの絶対位置を算出するICタグ絶対位置処理部304、及びケーブル端に固定されたICタグの絶対位置からケーブルどうしが接続状態にあるか否かを判定する結合判定処理部306と、外部記憶装置に形成される特徴的なデータベース(DB)として、ICタグ距離DB32、ICタグ絶対位置DB34、結線構成管理DB35を有して構成される。
なお、図示していないが、前提として、外部記憶装置は、ケーブルどうしの本来あるべき結合状態を示した配線図、例えばケーブルAの一端とケーブルBの一端は結合状態にある旨を示した配線図を登録した配線DBを有している。この結合状態にあるとは、ケーブルA,Bの一端に固定されたICタグ「A2」とICタグ「B1」の絶対位置が合致していることを意味する。
【0020】
以下、各処理部及び各DBの構成について説明する。
登録処理部302は、図7に示すように、携帯端末102で取得された距離情報をコンピュータ103内に取り込む処理を行う。即ち、携帯端末102で取得された、自らの位置情報であるGPS情報、ICタグID、携帯端末102と各ICタグとの間の距離情報を1件ずつ読み込み(S702)、これらの情報をICタグ距離DB32に保管する(S704)。一連の距離情報は4件で1組を構成しているので、4件目の距離情報を取り込んで最終と判断する(S703、Yes)。なお、ICタグ距離DB32の構成については、図4を参照して後述する。
【0021】
ICタグ絶対位置処理部304は、図8の処理フローに従い、ケーブルの両端に固定されたIDタグの絶対位置を算出する処理を行う。
図8において、ICタグ距離DB32のICタグID1の欄に保持された同じID毎にその距離1欄の情報及びその取得時のGPS情報を読み込む(S802)。例えば、同じICタグID「A1」に対応する4つの距離情報「500mm」及び4つのGPS情報を読み込む。同じICタグIDを持つ4つの情報を取得した後、周知の測位方程式を用いてICタグ絶対位置計算処理を行う(S804)。この処理によって、各ICタグの地球上での絶対位置(即ち三次元座標)情報が計算される。算出された絶対位置情報は、ICタグIDごとにICタグ絶対位置DB34に保管される(S805)。なお、上記測位方程式は、例えば、GPS衛星(座標(X,Y,Z))からの受信信号に重畳された航法メッセージ信号を復調して地球上の位置(受信器の位置(x,y,z))を算出する、3変数3連立方程式である。
【0022】
ICタグID「A1」の絶対位置の計算処理が終わると、次に、ICタグID「A2」、「B1」、「B2」に関連する距離情報及びGPS情報を順次読み込み(S802)、上記と同様の処理(S804−S805)を行う。この処理は、ICタグ距離DB32に保管された全ての距離情報及びGPS情報が読み込み終わるまで続けられる(S802)。
この処理の結果として、図5に示すような、ICタグ絶対位置DB34の情報が得られる。なお、ICタグ絶対位置DB34の構成については後述する。
【0023】
結合判定処理部306は、図9の処理フローに従い、ケーブルの結合判定処理を行う。
まず、予め用意された配線DBを検索して、対象となる配線図のケーブルの結線関係の情報を参照する。そして、ケーブルの結合関係にある2つのICタグIDに対応した絶対位置情報を読み込む(S902)。配線DBを参照した結果、例えば、ケーブルAとケーブルBは結合していなければならないので、ケーブルAの一端に固定されたICタグID「A2」の絶対位置情報と、ケーブルBの一端に固定されたICタグID「B1」の絶対位置情報を読み込む。そして、読み込まれた、ICタグID「A2」の絶対位置情報(35.41,139.46,100)と、ICタグID「B1」の絶対位置情報(35.41,139.46,100)を比較する(S903)。比較の結果、両者の情報が一致したかを判定する(S904)。
【0024】
比較の結果が一致の場合、結線構成管理DB36のケーブルAのICタグID「A2」と、ケーブルBのICタグID「B1」の接続状態の欄に、接続状態を示す「1」を登録する(S906)。一方、比較の結果が不一致の場合、結線構成管理DB36のケーブルAのICタグID「A2」と、ケーブルBのICタグID「B1」の接続状態の欄に、接続状態を示す「0」を登録する(S905)。
このようにして、配線DBに登録された配線図における全てのケーブルの全てのICタグIDに対応する絶対位置情報を順次読み込んで、比較照合の処理を行い、全ての処理が完了すると(S907)、一連の処理を終了する。
この結果、図6に示すような、結線構成管理DB36が形成される。なお、結線構成管理DB36の構成については、図6を参照して後述する。
【0025】
なお、上記の比較(S904)において、両者の絶対位置情報は必ずしも完全一致である必要はない。例えば、利用する絶対位置情報の桁数が長く、位置情報の精度がかなり高い場合には、その比較の結果、両者は不一致となる可能性がある。このような場合には、比較の結果が不一致であっても、両者の位置情報の差分が一定の誤差範囲内にあれば、両者は一致とみなしてよいであろう。
【0026】
次に、図4〜図6を参照して、各DBの構成について説明する。
図4において、ICタグ距離DB32は、携帯端末102で測定された距離情報を保管するDBである。このDB32には、GPS受信器203の絶対位置情報(三次元(x, y, z)位置情報)(即ち携帯端末102の絶対位置情報)を示すGPS情報401、ケーブルの両端のICタグの識別情報であるタグID1〜ID4(402,404,406,408)、ICタグ通信部204と各ICタグとの間の距離1〜距離4(403,405,407,409)の各情報を格納する。図1の例に従うと、ケーブル1及び2の名称がそれぞれ「ケーブルA」,「ケーブルB」であり、それらの両端に固定されたICタグのタグID1〜ID4は、それぞれ「A1」「A2」「B1」「B2」であり、例えば、1回目に測定されたGPS情報(緯度、経度、高度)は(35.40,139.46,100)であり、測定されたICタグ通信部204とICタグ「A1」と間の距離は、500(mm)である、ことを示している。このように、携帯端末102をサーバ装置内で4回移動させて、GPS情報及びICタグID及び距離の情報を求められたそれぞれの情報は、4つのエントリ情報として格納される。
なお、図4のDBの情報は、携帯端末102のメモリ207内に一端格納された後に、携帯端末102からコンピュータ103へ送信されることになる。
また、図示の例では、ICタグ距離DB32は、タグID4及び距離4まで保管されているが、ケーブルの結線部が多い場合には、図の右方向及び下方向へ拡張してそれぞれの情報を記憶可能である。
【0027】
図5を参照するに、ICタグ絶対位置DB34は、ケーブルの両端に固定された各ICタグの絶対位置(地球上の三次元位置)情報を保管するDBであり、それぞれのICタグID1〜4(501,503,505,507)に対応して、そのICタグの絶対位置情報1〜4(502,504,506,508)が保管される。
これらの絶対位置情報は、図8に示す処理フローによる処理に従い、ICタグ距離DB32に保管された情報を用いて、プログラムがCPUで実行されることで算出される。
【0028】
図6を参照するに、結線構成管理DB35は、結合判定処理部306でケーブルの接続状態を判定した結果を保管するDBである。このDB35には、ケーブルが敷設されている場所の名称601、ケーブルの敷設されたサーバ名602、ケーブル名称1(604)とその両端のICタグID(603,605)、及びケーブル名称2(608)とその両端のICタグID(607,609)、及びケーブル1のタグID2とケーブル2のタグID3の間の接続状態を示す情報606を保管する。接続状態606の情報で、「1」は接続状態、「0」は未接続状態を示す。
なお、ケーブル2の先に更にケーブル3、4・・と多数のケーブルが接続されることがあり、またその設置場所も多数あるので、この結線構成管理DB36は図の右方向、及び下側へ拡張可能である。
【0029】
上記のように、構築された結線構成管理DB36の情報は、適宜読み出して、表示器やプリンタに出力することが可能である。とりわけ、結線状態情報として全ての情報を読み出す必要は無く、「接続状態」が「0」未接続のケーブルに関する情報のみを出力して、作業者に未接続ケーブルの目視確認を行わせることが可能である。
【0030】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、種々変形、応用して実施することができる。
例えば、上記実施例では、登録処理部302、ICタグ絶対位置処理部304、結合判定処理部306、ICタグ距離DB32、ICタグ絶対位置DB34、結線構成管理DB36の全てをコンピュータ103内に設けた。しかし、変形例によれば、その一部の機能又は全部を携帯端末102側に設けてもよい。例えば、全ての機能を携帯端末側に持たせた場合、サーバ装置内の結線状態をチェックしながら、未接続が検知される時に、携帯端末102に設けた音声出力手段にアラームを鳴らし、かつ表示部にその未接続のケーブル部分を表示することが可能である。この例の場合コンピュータ103は不要となる。
【符号の説明】
【0031】
101:GPS衛星 102:携帯端末 103:コンピュータ
12、122,123:ケーブル 14,142、143,144,145:ICタグ
201:表示部 202:入力部 203:GPS受信器 204:ICタグ通信部 205:コンピュータ通信部 206:プロセッサ 207:メモリ
30:処理部 302:登録処理部 304:ICタグ絶対位置処理部 306:結合判定処理部 32:ICタグ距離DB 34:ICタグ絶対位置DB 35:結線構成管理DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの接続状態を管理する結線管理システムにおいて、
ケーブルの端部を識別する固有の識別情報が記憶されたICタグを固定したケーブルは、お互いに接続された又は接続されるべき状態にあり、
GPS衛星からの電波を受信する受信器、及び該ICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末と、
該受信器によって取得された該携帯端末の三次元位置情報、該ICタグ通信手段によって取得された各ケーブルの該ICタグの識別情報、及び該ICタグ通信手段と各該ICタグとの距離情報を保管する第1の記憶手段と、
該第1の記憶手段に保管された該三次元位置情報と該距離情報を用いて、該ICタグの絶対位置を計算するICタグの絶対位置処理部と、
該絶対位置処理部によって処理された、第1のケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、該第1のケーブルに接続されるべき第2のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して、それらの絶対位置情報が所定の関係にあるとき、該第1のケーブルと該第2のケーブルとは接続された状態にあると判断する結合判定処理部とを有することを特徴とする結線管理システム。
【請求項2】
更に、前記絶対位置処理部によって処理された結果、該ICタグの絶対位置情報を、該ICタグの識別情報をキーとして記憶する第2の記憶手段と、
該結合処理部によって処理された結果、該ケーブルに付与された固有の識別情報と、該ケーブルに固定された該ICタグの識別情報と、該ケーブルの結合状態を関係付けて記憶する第3の記憶手段とを有することを特徴とする請求項1記載の結線管理システム。
【請求項3】
前記携帯端末と接続されるコンピュータを有し、該コンピュータは、前記第1乃至第3の記憶手段と、前記絶対位置処理部と、前記結合判定処理部とを有することを特徴とする請求項2記載の結線管理システム。
【請求項4】
前記結合判定処理部は、該第1のICタグの絶対位置情報と該第2のICタグの絶対位置情報の比較の結果、両者の差分が一定の範囲内にある場合、両者は一致していると判定して、該第1のケーブルの端部と該第2のケーブルの端部は結合状態にあるとみなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項記載の結線管理システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、表示又は印刷による出力手段を有し、前記結合判定処理部による処理結果を該出力手段に出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項記載の結線管理システム。
【請求項6】
ケーブルの接続状態を管理する結線管理方法において、
対象とするケーブルの端部を識別する固有の識別情報が記憶されたICタグを固定したケーブルは、お互いに接続された又は接続されるべき状態にあり、
GPS衛星からの電波を受信する受信器及び該ICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末を用いて、該携帯端末の三次元位置情報、該IC各ケーブルの該ICタグの識別情報、及び該ICタグ通信手段と各該ICタグとの距離情報を取得するステップと、
取得された該三次元位置情報、ICタグの識別情報及びICタグとの距離情報を記憶手段に保管するステップと、
該記憶手段に保管された該三次元位置情報と該距離情報を用いて、該ICタグの絶対位置を計算するステップと、
該ICタグの絶対位置の計算結果を用いて、第1のケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、該第1のケーブルに接続されるべき第2のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して、それらの絶対位置情報が所定の関係にあるとき、該第1のケーブルと該第2のケーブルとは接続された状態にあると判断するステップと、を有することを特徴とする結線管理方法。
【請求項7】
ケーブルの端部を識別する固有の識別情報が記憶されたICタグを固定した、お互いに接続された又は接続されるべき状態にあるケーブルの接続状態を、コンピュータを用いて管理する結線管理用のプログラムであって、
GPS衛星からの電波を受信する受信器及び該ICタグの識別情報を含む信号を取得するICタグ通信手段を有する携帯端末を用いて取得された、該携帯端末の三次元位置情報、該IC各ケーブルの該ICタグの識別情報、及び該ICタグ通信手段と各該ICタグとの距離情報を記憶手段に保管するステップと、
該記憶手段に保管された該三次元位置情報と該距離情報を用いて、該ICタグの絶対位置を計算するステップと、
該ICタグの絶対位置の計算結果を用いて、第1のケーブルの端部に固定された第1のICタグの絶対位置情報と、該第1のケーブルに接続されるべき第2のケーブルの端部に固定された第2のICタグの絶対位置情報とを比較して、それらの絶対位置情報が所定の関係にあるとき、該第1のケーブルと該第2のケーブルとは接続された状態にあると判断するステップと、を実行することを特徴とする結線管理用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−283993(P2010−283993A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135215(P2009−135215)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】