説明

給水システム

【課題】内燃式エンジンに駆動されるポンプの内部及びこのポンプ側の配管内部の水は、内燃式エンジンに駆動されるポンプの作動時までその場に滞留することになり、ポンプの内部及び配管内部の滞留水が長期間放置されて腐敗してしまう虞がある。
【解決手段】モータ駆動ポンプ21が設置された第1配管路12と、エンジン駆動ポンプ26が設置された、第1配管路12の代替給水路を形成する第2配管路13と、電磁弁36が設置され、エンジン駆動ポンプ26の下流側から上流側へと向かい停止状態のエンジン駆動ポンプ26を通る水路を形成する第3配管路14a,14bとを有し、モータ駆動ポンプ21の運転時、第1配管路12を介して給水する水の一部が、第2配管路13及び第3配管路14a,14bを流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停電時等の電力供給が不可能な際にも給水ポンプの運転を可能にして飲料水や生活用水の給水を行うことができる給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータが起動して給水ポンプが運転を開始すると、給水ポンプに受水槽の水が吸い込まれた後、給水ポンプから吐出される給水ユニットが知られている(特許文献1参照)。
このような電動モータを駆動源とする給水ポンプの場合、例えば、地震等の災害の発生により停電になると、通電が復旧するまでに長期間を要する場合があり、この間、給水ポンプを作動させることができないので、長期間給水できない状態になってしまい、また、例えば、計画停電の実施等により予め決まった時間停電になる場合にも、決められた一定時間、給水ポンプを作動させることができず、その間断水状態が続くことになる。
【0003】
ところで、給水ポンプの駆動源に、電気を用いる電動モータではなく液体燃料を用いる内燃式エンジンを採用したものとして、例えば、工事用ポンプがある。
そこで、既存の電動モータを駆動源とする給水ポンプにおける停電時の対策として、この給水ポンプに内燃式エンジンを駆動源とする給水ポンプを併設し、停電時には、電動モータを駆動源とする給水ポンプの代わりに内燃式エンジンを駆動源とする給水ポンプを作動させ、作動する給水ポンプにより受水槽の貯留水を吸引して給水を可能にすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−86278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電動モータに駆動される給水ポンプに内燃式エンジンに駆動される給水ポンプを併設した場合、平常時は、電動モータに駆動される給水ポンプにより給水が行われ、停電時は、電動モータに駆動される給水ポンプは作動を停止し内燃式エンジンに駆動される給水ポンプにより給水が行われるが、停電が解除された後は、内燃式エンジンに駆動されるポンプに代わって、再び、電動モータに駆動される給水ポンプによる給水が行われる。
【0006】
そのため、作動を停止した内燃式エンジンに駆動されるポンプは、次の停電時まで作動しないので、内燃式エンジンに駆動されるポンプの内部及びこのポンプ側の配管内部の水は、内燃式エンジンに駆動されるポンプの作動時までその場に滞留することになり、内燃式エンジンに駆動されるポンプの作動状況によっては、ポンプの内部及び配管内部の滞留水が長期間放置されて腐敗してしまう虞がある。
滞留水が腐敗してしまった場合、内燃式エンジンに駆動されるポンプによる給水時、腐敗した滞留水が給水対象へと供給されてしまうことになる。
【0007】
この発明の目的は、電動モータに駆動される給水ポンプと内燃式エンジンに駆動される給水ポンプを併設し、停電時に内燃式エンジンに駆動される給水ポンプにより給水を行い、停電解除後に内燃式エンジンに駆動される給水ポンプが作動を停止しても、内燃式エンジンに駆動される給水ポンプの内部及びこのポンプ側の配管内部に水が滞留しないようにすることができる給水システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明に係る給水システムは、電動モータに駆動されるモータ駆動ポンプが設置された、受水槽から給水対象への給水路を形成する第1配管路と、内燃式エンジンに駆動されるエンジン駆動ポンプが設置された、前記第1配管路の代替給水路を形成する第2配管路と、開閉弁が設置され、前記エンジン駆動ポンプの下流側から上流側へと向かい、停止状態の前記エンジン駆動ポンプを通る水路を形成する第3配管路とを有し、前記モータ駆動ポンプの運転時、前記第1配管路を介して給水する水の一部が、前記第2配管路及び前記第3配管路を流れる。
【0009】
また、この発明の他の態様に係る給水システムは、前記第3配管路が、前記第2配管路と、前記エンジン駆動ポンプの下流側の下流側分岐で分岐し上流側の上流側分岐で接続する、前記開閉弁が設置された管路と、前記第2配管路の前記エンジン駆動ポンプと前記下流側分岐との間で分岐し、前記受水槽に開口する受水槽管路とを有している。
また、この発明の他の態様に係る給水システムは、前記開閉弁が電磁弁である。
また、この発明の他の態様に係る給水システムは、前記受水槽管路に、絞り機構であるオリフィスを設けている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電動モータに駆動されるモータ駆動ポンプと内燃式エンジンに駆動されるエンジン駆動ポンプを併設し、停電時にエンジン駆動ポンプにより給水を行い、停電解除後にエンジン駆動ポンプが作動を停止しても、エンジン駆動ポンプの内部及びこのポンプ側の配管内部に水が滞留しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施の形態に係る給水システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】図1の給水システムにおけるモータ駆動ポンプ運転時の水の流れの説明図である。
【図3】図1の給水システムにおけるエンジン駆動ポンプ運転時の水の流れの説明図である。
【図4】図1の給水システムにおける滞留水除去が行われる際の水の流れの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る給水システムの構成を模式的に示す説明図である。図1に示すように、給水システム10は、受水槽11と、受水槽11から給水対象(図示しない)への給水路を形成する第1配管路12と、第1配管路12の代替給水路としての第2配管路13と、滞留水除去用の第3配管路14a,14bと、第1配管路12に設置された第1ポンプユニット15と、第2配管路13に設置された第2ポンプユニット16とを有しており、受水槽11に貯留された水Wは、第1配管路12或いは第2配管路13を介して、給水対象へと給水される。第1ポンプユニット15と第2ポンプユニット16、及びユニット周辺の配管路等は、例えば、機械室に設置されている。
【0013】
第1配管路12には、受水槽11の下流側に仕切弁17を介して第1分岐18が、第1分岐18の下流側に逆止弁19を介して第1ポンプユニット15が、第1ポンプユニット15の下流側に第2分岐20が、それぞれ設置されている。
第1ポンプユニット15は、モータ駆動ポンプ21、逆止弁22、圧力タンク23、仕切弁24、及び制御盤25を有しており、モータ駆動ポンプ21は逆止弁19を介して第1分岐18に、仕切弁24は第2分岐20に、それぞれ接続されている。モータ駆動ポンプ21は、電力会社等から供給される電力を用いて作動させる電動モータにより駆動される。
第2配管路13は、第1分岐18で第1配管路12から分岐し、第2分岐20で第1配管路12に接続する。
【0014】
第2ポンプユニット16は、エンジン駆動ポンプ26、一定圧弁27、絞り機構であるオリフィス28、仕切弁29、小流量スイッチ(FS)30、逆止弁31、圧力スイッチ(PS)32、圧力計(PG)33、圧力タンク34、仕切弁35、電磁弁(開閉弁)36、制御盤37、及びバッテリ(B)38を有している。エンジン駆動ポンプ26は、液体燃料を用いて作動させる内燃式エンジン(E)26aにより駆動される。
【0015】
エンジン駆動ポンプ26、一定圧弁27、小流量スイッチ30、逆止弁31、圧力スイッチ32、圧力計33、圧力タンク34は、第2配管路13に設置され、オリフィス28、仕切弁29は、第3配管路14bに設置され、仕切弁35、電磁弁36は、第3配管路14aに設置され、エンジン駆動ポンプ26は、逆止弁39、仕切弁40を介して第1分岐18に、圧力タンク34は、仕切弁41を介して第2分岐20に、それぞれ接続されている。なお、一定圧弁27には、エンジン駆動ポンプ26の吸込み側(上流側)からのバイパス路が接続されている。
【0016】
制御盤37は、受水槽11に貯留されている水Wの所定の水位における水位情報、小流量スイッチ30における水量の情報、圧力スイッチ32による圧力の情報に基づいて、エンジン駆動ポンプ26の内燃式エンジン26aを制御する。
制御盤37からの制御情報が電磁弁36に入力することにより、電磁弁36の開閉動作が制御される。
【0017】
電磁弁36は、電力が供給される通電時に開状態となる通電時開仕様の電磁弁であり、通電時に開閉を制御するものである。このため、電力が供給されない停電時は閉状態に保持される。この電磁弁36は、タイマーにより、定期的に、例えば、一日に一回、一週間に一回等、適宜設定した周期で開閉動作を行う。
バッテリ38は、内燃式エンジン26aと制御盤37に接続されており、それぞれを作動させるために必要な電力を供給すると共に、制御盤37を介して、電磁弁36、内燃式エンジン26aの作動を制御する。
【0018】
第2配管路13の、逆止弁39とエンジン駆動ポンプ26の間には第3分岐42が、一定圧弁27と小流量スイッチ30の間には第4分岐43が、逆止弁31と圧力スイッチ32の間には、第5分岐44が、それぞれ設けられている。
第3配管路14aは、第5分岐44で第2配管路13から分岐し、第3分岐42で第2配管路13に合流し、第3配管路14b(受水槽管路)は、第4分岐43で第2配管路13から分岐し、オリフィス28、仕切弁29を介して、受水槽11に開口している。
従って、電磁弁36は、モータ駆動ポンプ21を備えた第1ポンプユニット15と、エンジン駆動ポンプ26を備えた第2ポンプユニット16を仕切っており、エンジン駆動ポンプ26の吸込み側に設置されている。
【0019】
次に、図1の給水システム10による給水作用を説明する。
図2は、図1の給水システムにおけるモータ駆動ポンプ運転時の水の流れの説明図、図3は、図1の給水システムにおけるエンジン駆動ポンプ運転時の水の流れの説明図、図4は、図1の給水システムにおける滞留水除去が行われる際の水の流れの説明図である。
【0020】
第1ポンプユニット15は、電力会社等から電力が供給される、平常時(停電時以外)の給水システム10への通電時に、供給された電力を用いて電動モータを駆動させ、モータ駆動ポンプ21を運転して給水を行うことができる。
図示しない検知手段により、給水システム10によって給水される給水対象へと連結された給水配管、即ち、第1配管路12内の圧力低下及び少流量を検知すると、第1ポンプユニット15の制御盤25から出力された制御信号により、モータ駆動ポンプ21が運転を開始する。モータ駆動ポンプ21は、給水量に応じて、運転・停止を繰り返す。
【0021】
図2に示すように、モータ駆動ポンプ21が運転を開始すると、受水槽11内の水Wは、モータ駆動ポンプ21に吸引されて第1配管路12、第1分岐18を経てモータ駆動ポンプ21側方向へと向かい、モータ駆動ポンプ21から第2分岐20を経て給水対象へ向かう(図2中、矢印参照)。このとき、水Wは、第2ポンプユニット16のエンジン駆動ポンプ26が停止しているのでエンジン駆動ポンプ26方向へは流れず、モータ駆動ポンプ21側へ吸い込まれる。
【0022】
つまり、給水システム10への通電時、モータ駆動ポンプ21の運転により、第1配管路12に設置された第1ポンプユニット15を介して、給水対象への給水が行われる。
一方、電力会社等から電力が供給されない状態、例えば、自然災害等により突発的に発生する停電や、電力供給量を調整するために定期的に繰り返される計画停電による停電等、が発生すると、給水システム10への通電が不可能な状態になるので、ポンプ運転を、モータ駆動によるモータ駆動ポンプ21からエンジン駆動ポンプ26に切り替える。
【0023】
図3に示すように、第2ポンプユニット16のエンジン駆動ポンプ26が運転を開始すると、受水槽11内の水Wは、エンジン駆動ポンプ26に吸引されて第1配管路12、第1分岐18を経て、第2配管路13へと流れ込みエンジン駆動ポンプ26側へと向かい、エンジン駆動ポンプ26から、第4分岐43、第5分岐44を経て、第2分岐20で第1配管路12へと流れ込み給水対象へ向かう(図3中、矢印参照)。
つまり、停電等により給水システム10への通電不可能時、エンジン駆動ポンプ26の運転により、第1配管路12の代替配管路として設けられた第2配管路13に設置された第2ポンプユニット16を介して、給水対象への給水が行われる。
【0024】
このとき、即ち、モータ駆動ポンプ21が運転を停止し、エンジン駆動ポンプ26が運転を開始しているとき、電磁弁36は常に閉状態にあるので、第2配管路13を流れる水Wが第3分岐42で電磁弁36側へと流れることはない。また、エンジン駆動ポンプ26が吐出した水Wは、第4分岐43で、第2配管路13の給水側方向と共に第3配管路14bの受水槽11側方向へも流れ出るが、第3配管路14bにはオリフィス28が設けられているため、受水槽11側へは少流量が戻るだけであり、第2ポンプユニット16を介した、給水対象へと給水するための給水量には殆ど影響しない。
【0025】
そして、電力会社等から電力が供給されない状態が解除されて、電力会社等から電力が供給され給水システム10への通電が可能な状態になると、第2ポンプユニット16のエンジン駆動ポンプ26は運転を停止し、第1ポンプユニット15のモータ駆動ポンプ21が運転を開始すると共に、電磁弁36も通電状態になる。これにより、モータ駆動ポンプ21は通常の運転を行い、第1ポンプユニット15を介して給水が行われ、電磁弁36も定期的な開閉動作を行う。
【0026】
ところで、図4に示すように、第1ポンプユニット15を介して給水が行われる際、水Wは、給水対象へと向かうだけでなく、第2分岐20で、第2配管路13の第5分岐44方向へ、更に、第5分岐44で、エンジン駆動ポンプ26の吐出方向側と第3配管路14aの電磁弁36側へも流れようとする。
【0027】
しかしながら、エンジン駆動ポンプ26の吐出方向側には、逆止弁31を設置しているため、逆止弁31より上流側であるエンジン駆動ポンプ26側へは流れない。一方、電磁弁36側へ流れた水Wは、電磁弁36が閉状態のとき、そのまま第3配管路14a内に留まり、電磁弁36が開状態のとき、第3分岐42から第2配管路13のエンジン駆動ポンプ26の吸込み側へと流れ込む。なお、第3分岐42から第2配管路13へ流れ出た水Wは、逆止弁39より上流側、即ち、第2配管路13の第1分岐18方向側へ流れることはない。
【0028】
第3分岐42で、第2配管路13のエンジン駆動ポンプ26の吸込み側へと流れ出た水Wは、エンジン駆動ポンプ26から第4分岐43へ向かい、第4分岐43で、第2配管路13の給水側方向と第3配管路14bの受水槽11側方向へ流れ出ようとする。しかしながら、第3配管路14bは開放されているのに加え、逆止弁31があるため、第3分岐42でエンジン駆動ポンプ26の吸込み側へと流れ出た水Wは、第2配管路13を逆止弁31側へ向かわずに第3配管路14bを受水槽11側へと流れ、オリフィス28を通って受水槽11内へと戻される。
【0029】
従って、電力会社等から電力が供給されない状態が解除されて、電力会社等から電力が供給されてモータ駆動ポンプ21が通常の運転を行い、第1ポンプユニット15を介して給水が行われると、モータ駆動ポンプ21から吐出されて給水対象へと向かう水Wは、その一部が、第2分岐20で第2配管路13、第5分岐44で第3配管路14a、電磁弁36、第3分岐42で第2配管路13、エンジン駆動ポンプ26、第4分岐43で第3配管路14b、オリフィス27を順番に流れて受水槽11へと向かい、受水槽11に回収される。
【0030】
上述したように、電力会社等から電力が供給される平常時、モータ駆動ポンプ21が運転を開始すると、モータ駆動ポンプ21の吐出側とエンジン駆動ポンプ26の吸込側は、第2配管路13と第3配管路14aを介して接続されているため、モータ駆動ポンプ21により受水槽11から吸い込まれた新たな水Wの一部がエンジン駆動ポンプ26に流れ込み、エンジン駆動ポンプ26及びその配管内は新たな水Wの一部により満たされることになる。
【0031】
つまり、電力会社等から電力が供給されない状態が解除され、給水システム10への通電が可能な状態になることで、第2ポンプユニット16のエンジン駆動ポンプ26が運転を停止するが、運転を停止したことでエンジン駆動ポンプ26及び第2配管路13のそれぞれの内部に留まった滞留水は、そのまま留まらずに流れ出るので、エンジン駆動ポンプ26及び第2配管路13のそれぞれの内部から滞留水を除去することができる。
よって、電力会社等から電力が供給される平常時が続き、エンジン駆動ポンプ26が運転されない状態が長期間続いた場合にも、エンジン駆動ポンプ26及び第2配管路13のそれぞれの内部に留まった水Wが長期間滞留することが無く、長期間滞留した水Wを原因とする腐敗水の発生を防止することができる。
【0032】
なお、エンジン駆動ポンプ26及び第2配管路13のそれぞれの内部に留まった滞留水は、モータ駆動ポンプ21が運転を開始することで、そのまま留まらずに流れ出し、この実施例では、第3配管路14bを経て受水槽11に回収されるが、それに限るものではない。
例えば、受水槽11に回収することなく、排水系路へと流して排出しても良く、或いは、給水システム10のモータ駆動ポンプ21の吸込み側へ戻したり、別系統の給水ポンプの配管系路へ送り出しても良い。
【0033】
また、エンジン駆動ポンプ26の吐出側配管と受水槽11の間に絞り機構であるオリフィス28を設けたことで少流量の流速が発生することにより、エンジン駆動ポンプ26及び吐出側配管の内部に滞留した水は、エンジン駆動ポンプ26の吸込側配管とモータ駆動ポンプ21の吐出側配管の間に設けられた電磁弁36が開である間は、常時、絞り機構に応じた少量の水を負圧側である受水槽11へ戻すことになり、受水槽11へ戻す水量をコントロールすることができる。
【0034】
また、上記構成を有することにより、既にモータ駆動ポンプ21を設置している給水システムであっても、配管設備工事を行ってエンジン駆動ポンプ26を後付けすることが可能になるので、モータ駆動ポンプ21とエンジン駆動ポンプ26を併設することにより、給水システムにおいて、電力会社等から電力が供給されない停電時の断水を回避することができる。
更に、電磁弁36のルートを、エンジン駆動ポンプ26を備えた第2ポンプユニット16の内部に構成することができるため、既存の給水ポンプ施設で電磁弁36のルート形成用に分岐配管する必要が無いので、現場での施工が容易になる。
【0035】
このように、この発明に係る給水システム10は、電動モータに駆動されるモータ駆動ポンプ21が設置された、受水槽11から給水対象への給水路を形成する第1配管路12と、内燃式エンジン26aに駆動されるエンジン駆動ポンプ26が設置された、第1配管路12の代替給水路を形成する第2配管路13と、モータ駆動ポンプ21の運転時に開状態になる電磁弁36が設置され、エンジン駆動ポンプ26の下流側から上流側へと向かい、停止状態のエンジン駆動ポンプ26を通る水路を形成する第3配管路14a,14bとを有し、モータ駆動ポンプ21の運転時、第1配管路12を介して給水する水の一部が、第2配管路13及び第3配管路14a,14bを流れる。
【0036】
つまり、第1配管路12と、第2配管路13と、滞留水除去用の第3配管路14a,14bと、エンジン駆動ポンプ26の吸込側の流路とモータ駆動ポンプ21の吐出側の流路の間に設置した電磁弁36とを有することにより、電動モータに駆動されるモータ駆動ポンプ21と内燃式エンジンに駆動されるエンジン駆動ポンプ26を併設し、停電時にエンジン駆動ポンプ26により給水を行い、停電解除後にエンジン駆動ポンプ26が作動を停止しても、エンジン駆動ポンプ26の内部及びこのポンプ側の配管内部に水が滞留しないようにすることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 給水システム
11 受水槽
12 第1配管路
13 第2配管路
14a,14b 第3配管路
15 第1ポンプユニット
16 第2ポンプユニット
17,24,29,35,40,41 仕切弁
18 第1分岐
19,22,31,39 逆止弁
20 第2分岐
21 モータ駆動ポンプ
23,34 圧力タンク
25,37 制御盤
26 エンジン駆動ポンプ
26a 内燃式エンジン
27 一定圧弁
28 オリフィス
30 小流量スイッチ
32 圧力スイッチ
33 圧力計
36 電磁弁
38 バッテリ
42 第3分岐
43 第4分岐
44 第5分岐
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータに駆動されるモータ駆動ポンプが設置された、受水槽から給水対象への給水路を形成する第1配管路と、
内燃式エンジンに駆動されるエンジン駆動ポンプが設置された、前記第1配管路の代替給水路を形成する第2配管路と、
開閉弁が設置され、前記エンジン駆動ポンプの下流側から上流側へと向かい、停止状態の前記エンジン駆動ポンプを通る水路を形成する第3配管路とを有し、
前記モータ駆動ポンプの運転時、前記第1配管路を介して給水する水の一部が、前記第2配管路及び前記第3配管路を流れる給水システム。
【請求項2】
前記第3配管路は、
前記第2配管路に対し、前記エンジン駆動ポンプの下流側の下流側分岐で分岐し上流側の上流側分岐で接続する、前記開閉弁が設置された管路と、
前記第2配管路の前記エンジン駆動ポンプと前記下流側分岐との間で分岐し、前記受水槽に開口する受水槽管路と
を有する請求項1に記載の給水システム。
【請求項3】
前記開閉弁は、電磁弁である請求項1または2に記載の給水システム。
【請求項4】
前記受水槽管路に、絞り機構であるオリフィスを設けた請求項3に記載の給水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11254(P2013−11254A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145898(P2011−145898)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000133939)テラル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】