説明

給液装置

【課題】燃料油に水分が混入している場合には給液を停止することができる給液装置を提供する。
【解決手段】地下タンク式給油装置1に水検出手段4を設け、燃料油等の油の中に混入した水分を分離し、水位センサで水分量を検知し、水位量を信号路してする発信する水検出回路を設け、水位検出回路からの出力信号と、記憶手段に記憶させてデータと比較し、異常の有無の判定を行い、異常判断の場合、計量制御装置で給油モータを自動停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が混入した燃料油の給液を阻止する給液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所には複数の地下タンクが埋設されていて、これら地下タンクに給油管が連通されている。また、上端のマンホールピットで横引き配管に接続され、マンホールから引き出されて給油装置の給油機構を経由してに給油ノズルによって車両に燃料油が供給される。
しかしながら、横引き管が腐食すると腐食箇所から地下水や雨水が流入し、車両に流れ込んでエンジンスに不都合を生じさせる。
【0003】
また、地下タンクの燃料油に分散している水分を検出するために特許文献1に見られるように複数の導電板を対向配置して電極とし、電極間の静電容量により水分量を測定することも提案されている。
【0004】
これによれば導電板の面積を大きしたり、導電板の間隔を狭めることよって水検出の感度を上げることができるが、センサーのサイズが大きくなるという問題や、導電板の間に不純物が入り込み誤検出が生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−21519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その第一の目的とするところは燃料油に水分が混入している場合には給液を停止することができる給液装置を提供することである。
【0007】
本発明の第二の目的は、給油装置に組み込むのに最適な水検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような問題を解消するために、請求項1の発明は、燃料油等の油の中に水が混入したことを検出する水検出手段を設け、該水検出手段からの出力を受けて給油装置へ報知又は給油停止を行うように構成した。
【0009】
また請求項2の発明は、水検出手段は、燃料油が供給される管路内に配置された二重螺旋巻きの対向電極間の静電容量に応じた周波数で発振する発信回路と、該発信回路からの周波数と記憶手段のデータとに基づいて前記燃料油の水分の有無を検出する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば水が混入した燃料油が給油されてしまうのを可及的に防止できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、水検出手段の大型化を招くことなく、燃料油中の水分を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図(イ)(ロ)は、それぞれ本発明の給油装置の一実施例を示す図である。
【図2】水検出手段の一実施例を示す断面図である。
【図3】図(イ)(ロ)はそれぞれ水センサの一実施例を示す断面図、及びコイルの領域を一部拡大して示す図である。
【図4】本発明の給油装置の一実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1(イ)は本発明の給油装置の一実施例を示すものであって、給油装置1は、図示しない計量機構にパイプ2により地下タンク3に接続され、好ましくは計量機構の上流側に水検出手段4が接続されている。
【0014】
なお、図1(ロ)に示したように地下タンク3に接続された水検出手段4の下流側に分岐管5を介して複数の給油装置1、1を接続しても同様の作用効果を得ることができる。
【0015】
水検出手段4は、図2に示したように給油装置に連通する立ち上がり管6の下部に後述する水センサ10を配置し、これの上部に地下タンク3に連通する流入管7が水平に接続され、斜めに整流板8を配置して構成されている。
【0016】
これにより、水を含む燃料油が流れこむと、一部は整流板8により下方に向く流れに変換されて、燃料油に比較して比重が大きい水は立ち上がり管6の下部領域に沈殿する。
そして含まれていた水は、水センサ10により検出される。
【0017】
図3は水検出手段4に最適な水センサ10の一実施例を示すものであって、電気絶縁製の円柱11に二重螺旋状に導線、好ましくは不銹鋼線を巻いて2つのコイル12,13を形成し、各コイルの一方の端部をケーブル14の側に引き出し、さらにコイル12,13の形成領域を電気絶縁性材料15で被覆してセンサ本体が構成されている。なお、円柱11の表面には好ましくはコイルを収める巻溝16が形成されている。
【0018】
このように巻芯である円柱11の表面に巻溝16を形成して、導線を溝16に嵌るように導線を巻きつけ、さらに絶縁層17によりモールドされているため、検出用の対向電極を構成する各コイル12,13の間の距離を一定に維持できるとともに、電極間の絶縁を維持して漏電を防止できる。
【0019】
水センサはコイル非形成領域をセンサ基部となる筒状体18に挿入して樹脂19でモールドされ、またコイル12,13とケーブル14とを接続する中継基板20をシリコン樹脂21でモールドし、さらにケーブルの端部を樹脂22でモールドして構成されている。この中継基板20には好ましくは後述する発振回路31が実装されている。
【0020】
これにより水センサ10とケーブル14とをセンサ基部となる筒状体18を介して強固に接続するとともに、コイル12,13とケーブル14のリード線との間に無理な力が作用するのをシリコン樹脂21の弾性で緩和できる。
【0021】
図4は上記水検出手段4を用いた給油装置の一実施例を示すものであって、水検出回路30は、水検出手段10のコイル12,13をコンデンサとする発振回路31と、この発振回路31の周波数を計測するカウンタ32と、周波数に基づいて水位信号を計量制御装置40に出力する出力手段33とから構成されている。
【0022】
計量制御装置40は、周知のように給油ノズルの掛け外しを検出するノズルスイッチ51からの信号を受けるモータ駆動手段41、給油ノズルから吐出した燃料油を計測する流量計の流量パルス発信機52からのパルスを計数する計数手段42、計数手段42からの信号を流量に変換して表示器53に出力する表示器駆動手段43、を備え、その上で本発明においては水検出回路30からの信号により水検出手段4に溜まっている水位L1、L2を記憶手段44のデータに基づいて判定し、その結果をモータ駆動手段41及び表示器駆動手段43に出力する判定手段45とから構成されている。
なお、符号54はモータ駆動手段41により制御される給油モータを示す。
【0023】
この実施例においてノズルがノズル掛けから外されると、ノズルスイッチ51からの信号を受けモータ駆動手段41により給油モータ54が回転する。
ノズルを自動車燃料タンクに挿入して給油レバーを引き上げると、給油モータ54により駆動される図示しないポンプからの燃料油が送り込まれ、水検知手段4を通過して自動車燃料タンクに流れ込む。流れ込んだ燃料油は整流板8により下方に流れ込み、水検出手段4に前回の給油中に溜まった水を排出する。
【0024】
この燃料の流れは流量計により計測されパルス発信機52から流量パルスとなって計数手段42により給液量に換算され表示器駆動手段43により表示器53に給油量として表示される。
【0025】
一方、このようにして給油中は燃料油が水検出手段4を通過して自動車燃料タンクに排出される。
給油終了後、燃料油に水滴が混入していると、燃料油に比較して比重が大きいため液溜部に落下する。このようにして水位が上昇すると、水の比誘電率が燃料油に比較して大きいため、水センサ10のコイル12,13の間の静電容量値が上昇し、発振回路31の周波数が変化する。このようにコイル12,13の間の静電容量を発振回路の一部とすることにより、その周波数の変化から静電容量の変化を容易に検出することができる。
【0026】
判定手段45は、周波数の変化と記憶手段44のデータに基づいて水のレベルがL1を超えた場合には、表示器駆動手段43に信号を出力して、表示器に53により警報を発する。
【0027】
さらに判定手段45は、水位がレベルL2まで上昇したと判定した場合には、モータ駆動手段41に信号を出力して給油モータ54を停止させる。これにより、自動車燃料タンクに障害が生じる程度の水が流入するのを未然に防止できる。
【符号の説明】
【0028】
1 給油装置 4 水検出手段 6 立ち上がり管 8 整流板 10 水センサ 12,13 コイル 16 巻溝 17 絶縁層 30 水検出回路 40 計量制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油等の油の中に水が混入したことを検出する水検出手段を設け、該水検出手段からの出力を受けて給油装置へ報知又は給油停止を行うことを特徴とした給油装置。
【請求項2】
水検出手段は、燃料油が供給される管路内に配置された二重螺旋巻きの対向電極間の静電容量に応じた周波数で発振する発信回路と、該発信回路からの周波数と記憶手段のデータとに基づいて前記燃料油の水分の有無を検出する請求項1に記載の給油装置。
【請求項3】
対向電極は、絶縁性の円柱体の表面に二重の螺旋溝を形成し、それぞれの溝に導体を巻き付けて構成されている請求項2に記載の給油装置。
【請求項4】
給油装置に連通する立ち上がり管の下部に地下タンクに連通する水平な流入管を接続し、この接続領域に流入側から下方に向きを替えるための整流板を配置し、前記整流板の下方に液溜を形成し、前記液溜に前記二重螺旋巻きの対向電極が配置されている請求項1に記載の給油装置。
【請求項5】
前記対向電極とケーブルとを固定するセンサ基部に前記発振回路が収容されている請求項2に記載の給油装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−250744(P2012−250744A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124951(P2011−124951)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】