説明

給湯配管システム等に用いる二管路配管

【課題】全体として一体でありながら内部に仕切壁を設けて独立した二流体管路を備えた二管路配管の前記仕切壁の断面形状に工夫を凝らすことによりいずれの方向にも曲げ易く配管施工性に優れる給湯配管システム等に用いる二管路配管を提供する。
【解決手段】管内部が管軸方向に連続する仕切壁15で第1流体管路16と第2流体管路17に区画形成されてなる二管路配管において、仕切壁15を断面S字形状に形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯配管システム等に用いる二管路配管に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、即湯タイプの給湯配管システムにおいて、全体として一体に形成されながら内部に独立した二つの流体管路を備えた二管路配管としては、例えば、給湯配管とこの給湯配管内の水を加熱する蒸気管とをペアチューブ状に構成し、またそれら蒸気管と給湯配管とを内外二重管構造に構成することは公知である(例えば、特許文献1参照。)。
また、給湯配管を内管と外管とを有する二重管に構成し、内管に湯を流し、外管に温風を流すことによって内管内の湯を加熱又は保温するようにしたものも公知である(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−89442号公報(第2図、第3図)
【特許文献2】特開2006−10212号公報(図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように全体として一体でありながら内部に二流体管路を備えた二管路配管は、一方の流体管路と、もう一方の流体管路とを同一箇所に同時に配管できる点で有利である反面、その断面形状からして配管時に曲げ難くて配管施工を困難にするという不利がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、上記のような、全体として一体でありながら内部に仕切壁を設けて独立した二流体管路を備えた二管路配管において、前記仕切壁の断面形状に工夫を凝らすことによりいずれの方向にも曲げ易く配管施工性に優れる給湯配管システム等に用いる二管路配管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、管内部が管軸方向に連続する仕切壁で第1流体管路と第2流体管路に区画形成されてなる給湯配管システム等に用いる二管路配管において、前記仕切壁を断面S字形状に形成していることに特徴を有するものである。
【0007】
かかる構成の二管路配管によれば、全体として一体に形成されながら管内部が仕切壁により独立する第1,2流体管路に仕切られた配管においても、仕切壁は断面S字形状に形成してあるので、管軸方向に対して直角方向に且つ仕切壁のS字方向に荷重を作用させても曲げることができ、曲げ方向性の制約を受けることがなくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、全体として一体に形成されながら管内部が仕切壁により独立する第1,2流体管路に仕切られた二管路配管も、曲げ方向性の制約を受けることがないので、配管施工性の容易化を図ることができて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明に係る二管路配管の使用例を示す循環式給湯システムを、出湯栓の全てが閉栓状態にある時の状態を示す構成図、図2は図1の循環式給湯システムを出湯栓の一つが開栓された時の状態を示す構成図、図3は本発明に係る二管路配管の一部斜視図、図4は図3の二管路配管の断面図、図5は図1の循環式給湯システムに使用される配管の末端部と出湯栓との接続構造を示す断面図である。
【0010】
本発明に係る二管路配管が使用される循環式給湯システム1は、図1に示すように、給湯用の湯を貯える貯湯タンク2と、給湯配管系統の末端の蛇口やシャワーヘッド等の複数の出湯栓3(図示例では第1,2,3の出湯栓3A,3B、3C)と、貯湯タンク2に各先端が接続されている送湯単独配管4及び給水配管5と、給水配管5から分岐した第1バイパス管6に先端が接続されている返湯単独配管7と、送湯単独配管4及び返湯単独配管7の各末端と各出湯栓3とを管継ぎ合せ部材(管継手)8(図示例では第1,2の管継ぎ合せ部材8A,8B)を介して接続する本発明の二管路配管10(図示例では第1,2,3,4の二管路配管10A,10B,10C,10D)と、返湯単独配管7に配設された循環用ポンプ11とを備えている。
【0011】
給水配管5は貯湯タンク2の下部と上水道等給水源との間に配管され、送湯単独配管4は貯湯タンク2の上部と第1の管継ぎ合せ部材8Aとの間に配管され、返湯単独配管7は第1バイパス管6と第1の管継ぎ合せ部材8Aとの間に配管されている。送湯単独配管4の貯湯タンク2との接続部近傍箇所には貯湯タンク2への湯の逆流を防ぐ第1逆止弁12を設けている。第1バイパス管6には返湯単独配管7への湯の逆流を防ぐ第2逆止弁13を設けている。
【0012】
本発明に係る二管路配管10(10A,10B,10C,10D)は、図3、図4に示すように、ポリブテン管、ポリエチレン管、塩化ビニル管等からなり、管内部が管軸方向に連続する仕切壁15で第1流体管路16と第2流体管路17に区画形成されてなり、本実施例では第1流体管路16は送湯用に、第2流体管路17は送湯用にそれぞれ使用される。そして、その二管路配管10の内部を仕切る仕切壁15は直径方向に断面S字形状に形成している。したがって、この二管路配管10は管軸方向に対して直角方向に且つ仕切壁15のS字方向PP´と交差する方向QQ´(S字方向PP´と直角に交わる場合のみならず、S字方向PP´に斜めに交わる場合も含む)に荷重を作用させて曲げられることはもとより、管軸方向に対して直角方向に且つ仕切壁15のS字方向PP´に荷重を作用させても曲げることができ、曲げ方向性の制約を受けることがない。
【0013】
管継ぎ合せ部材8は、円筒部18と、この円筒部18から分岐した分岐部19とを有するT形に形成した管継ぎ合せ本体20を有する。この管継ぎ合せ本体20の内部は、円筒部18の筒軸方向に延びる円筒部仕切壁24と、この円筒部仕切壁24の分岐部19内に臨む箇所から該円筒部仕切壁24と直交する垂直平面上で分岐部19の開口端方向へ延びる分岐部仕切壁23とで仕切ることにより円筒部18の一端開口部から他端開口部にわたって真っ直ぐに貫通する第1流通路26と、分岐部19の開口端から円筒部18の一端開口部にわたって連通する屈曲状の第2流通路21と、分岐部19の開口端から円筒部18の他端開口部にわたって連通する屈曲状の第3流通路22とに区画形成している。
管継ぎ合せ部材8の円筒部18の両端開口部や分岐部19の開口端には、後述するように各二管路配管10がこの配管10内の仕切壁15の端部と円筒部仕切壁24の端部及び分岐部仕切壁23の端部とがそれぞれ突き合せ状に接合するように接続される。このため、円筒部18の円筒部仕切壁24、及び分岐部19の分岐部仕切壁23の各断面形状は二管路配管10の仕切壁15の断面S字形状に合せた断面S形状に形成されている。
【0014】
給湯循環配管に際し、送湯単独配管4の末端は第1の管継ぎ合せ部材8Aの第2流通路21に接続され、返湯単独配管7の末端は同管継ぎ合せ部材8Aの第3流通路22に接続される。
第1の管継ぎ合せ部材8Aの第1,2流通路26,21と第1の出湯栓3Aの湯流入口とは第1の二管路配管10Aで接続される。
その際、第1の二管路配管10Aの先端は第1の管継ぎ合せ部材8Aの円筒部18の一端開口部に、該二管路配管10A内の仕切壁15の端部と該仕切壁15と同じ断面S形状の円筒部仕切壁24の端部とが突き合せ状態になるように挿入されて熱融着、電気融着或いは接着手段で一体に接合する。これにより第1の二管路配管10Aの第1流体管路16の先端は第1の管継ぎ合せ部材8Aの第2流通路21に、同二管路配管10Aの第2流体管路17の先端は第1の管継ぎ合せ部材8Aの第1流通路26にそれぞれ連通するように接続される。
図5に示すように、第1の二管路配管10Aの第1流体管路16及び第2流体管路17の各末端は第1の出湯栓3Aの湯流入口27の内部にまで臨むように第1の出湯栓3Aと筒形管継ぎ合せ部材28を介して接続し、これにより該出湯栓3Aの閉栓時には、常に、湯流入口27内において第1流体管路16の末端からの湯が第2流体管路17の末端にユー・ターンして湯流入口27の内部にまで循環するようにしてある。
【0015】
図1のように、第1の管継ぎ合せ部材8Aと第2の出湯栓3B及び第3の出湯栓3Cとは、第2の管継ぎ合せ部材8Bを介して第2,3,4の二管路配管10B,10C,10Dで接続される。すなわち、第1の管継ぎ合せ部材8Aと第2の管継ぎ合せ部材8Bとを第2の二管路配管10Bで接続するが、その際、第2の二管路配管10Bの先端は第1の管継ぎ合せ部材8Aの円筒部18の他端開口部に、該二管路配管10B内の仕切壁15の端部と該仕切壁15と同じ断面S形状の円筒部仕切壁24の端部とが突き合せ状態になるように挿入され、また第2の二管路配管10Bの末端は第2の管継ぎ合せ部材8Bの分岐部19の開口端に、該二管路配管10B内の仕切壁15の端部と分岐部19内の仕切壁15と同じ断面S形状の分岐部仕切壁23の端部とが突き合せ状態になるように挿入されてそれぞれ熱融着、電気融着或いは接着手段で一体に接合する。これにより第1の管継ぎ合せ部材8Aの第1流通路26と第2の管継ぎ合せ部材8Bの第2流通路21とが第2の二管路配管10Bの第1流体管路16で、第1の管継ぎ合せ部材8Aの第3流通路22と第2の管継ぎ合せ部材8Bの第3流通路22とが第2の二管路配管10Bの第2流体管路17でそれぞれ連通するように接続される。
【0016】
第2の出湯栓3Bと第2の管継ぎ合せ部材8Bとの接続に際しては、第3の二管路配管10Cの先端は第2の管継ぎ合せ部材8Bの円筒部18の一端開口部に、該二管路配管10C内の仕切壁15の端部と該仕切壁15と同じ断面S形状の円筒部仕切壁24の端部とが突き合せ状態になるように挿入されて熱融着、電気融着或いは接着手段で一体に接合する。これにより第3の二管路配管10Cの第1流体管路16の先端が第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路21に、第2流体管路17の先端が第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路26にそれぞれ連通するように接続される。
そして、第3の二管路配管10Cの第1流体管路16及び第2流体管路17の各末端は第2の出湯栓3Bの湯流入口27の内部にまで臨むように第2の出湯栓3Bと接続し、これにより、図5に示す第1の出湯栓3Aの場合と同様に、第2の出湯栓3Bの閉栓時には、常に、湯流入口27内において第1流体管路16の末端からの湯が第2流体管路17の末端にユー・ターンして湯流入口27の内部にまで循環するようにしてある。
【0017】
第3の出湯栓3Cと第2の管継ぎ合せ部材8Bとの接続に際しては、第4の二管路配管10Dの先端は第2の管継ぎ合せ部材8Bの円筒部18の他端開口部に、該二管路配管10D内の仕切壁15の端部と該仕切壁15と同じ断面S形状の円筒部仕切壁24の端部とが突き合せ状態になるように挿入されて熱融着、電気融着或いは接着手段で一体に接合する。これにより第4の二管路配管10Dの第1流体管路16の先端が第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路26に、第2流体管路17の先端が第2の管継ぎ合せ部材8Bの第3流通路22にそれぞれ連通するように接続される。
そして、第4の二管路配管10Dの第1流体管路16及び第2流体管路17の各末端は第3の出湯栓3Cの湯流入口27の内部に臨むように第3の出湯栓3Cと接続し、これにより、図5に示す第1の出湯栓3Aの場合と同様に、第3の出湯栓3Cの閉栓時には、常に、湯流入口27内において第1流体管路16の末端からの湯が第2流体管路17の末端にユー・ターンして湯流入口27の内部にまで循環するようにしてある。
【0018】
このように複数の出湯栓3A,3B,3Cどうしを接続する給湯循環配管に際して送湯・返湯共用の二管路配管10A〜10Dを用いて配管施工することによって送湯配管と返湯配管を同一箇所に且つ同時に配管することができる。また、管継ぎ合せ部材8A、8Bを用いることによって送湯単独配管4及び返湯単独配管7と二管路配管10との継ぎ合せ、および二管路配管10同士の継ぎ合せ作業が能率よく行われ、施工性に優れる。更に、二管路配管10A〜10Dは仕切壁15を有するものの、いかなる方向にも曲げることができるので、出湯栓3A,3B,3Cや管継ぎ合せ部材8A、8Bの配置に対応して自在に曲げて配管することができる。
【0019】
図1において、送湯単独配管4から分岐された第2バイパス管14と返湯単独配管7の途中部位との間には、湯の流れの方向を切替える三方弁等による切替部29を設ける。
この切替部29により出湯栓3A,3B,3Cの全てが閉栓状態にあるときは、図1のように、貯湯タンク2から湯が第1逆止弁12→送湯単独配管4→第1管継ぎ合せ部材8Aの第2流通路21→第1の二管路配管10Aの第1流体管路16→第1の出湯栓3Aの湯流入口27→第1の二管路配管10Aの第2流体管路17→第1の管継ぎ合せ部材8Aの第1流通路26→第2の二管路配管10Bの第1流体管路16→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第2流通路21→第3の二管路配管10Cの第1流体管路16→第2の出湯栓3Bの湯流入口27→第3の二管路配管10Cの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路26→第4の二管路配管10Dの第1流体管路16→第3の出湯栓3Cの湯流入口27→第4の二管路配管10Dの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第3流通路22→第2の二管路配管10Bの第2流体管路17→第1の管継ぎ合せ部材8Aの第3流通路22→返湯単独配管7→循環用ポンプ11→第1バイパス管6→第2逆止弁13→給水配管5へと流れて貯湯タンク2に戻るように切替えられる。
【0020】
そして、出湯栓3A,3B,3Cのいずれかの開栓、例えば、第2の出湯栓3Bの開栓により、第2の出湯栓3Bの流入口27内に臨む第3の二管路配管10Cの第1流体管路16からの湯を直ぐに吐出すると同時に、切替部29の切替えに伴い、図2のように、送湯単独配管4から湯が第2バイパス管14を介して返湯単独配管7にも流れ、第1の管継ぎ合せ部材8Aの第3流通路22→第2の二管路配管10Bの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第3流通路22→第4の二管路配管10Dの第2流体管路17→第3の出湯栓3Cの湯流入口27→第4の二管路配管10Dの第1流体管路16→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路26→第3の二管路配管10Cの第2流体管路17→第2の出湯栓3Bの流入口27へ流れるようにしてある。つまり、第2の出湯栓3Bが開栓されると切替部29の切替えにより第3の二管路配管10Cの第1流体管路16及び第1流体管路17の両方から湯が第2の出湯栓3Bに送られる。
【0021】
次に、上記構成の循環式給湯システム1の動作を説明する。
【0022】
図1のように、第1,2,3の出湯栓3A,3B,3Cの全てが閉栓状態にある時は、循環用ポンプ11を低速又は間欠的に運転し、第2バイパス管14と返湯単独配管7との連通状態が遮断されるように切替部29である三方弁を切替える。これにより、貯湯タンク2→第1逆止弁12→送湯単独配管4→第1の管継ぎ合せ部材8Bの第2流通路21→第1の二管路配管10Aの第1流体管路16→第1の出湯栓3Aの湯流入口27→第1の二管路配管10Aの第2流体管路17→第1の管継ぎ合せ部材8Aの第1流通路26→第2の二管路配管10Bの第1流体管路16→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第2流通路21→第3の二管路配管10Cの第1流体管路16→第2の出湯栓3Bの湯流入口27→第3の二管路配管10Cの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路26→第4の二管路配管10Dの第1流体管路16→第3の出湯栓3Cの湯流入口27→第4の二管路配管10Dの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第3流通路22→第2の二管路配管10Bの第2流体管路17→第1の管継ぎ合せ部材8Aの第3流通路22→返湯単独配管7→循環用ポンプ11→第1バイパス管6→第2逆止弁13→給水配管5へと流れて貯湯タンク2に戻り、また貯湯タンク2から第1逆止弁12を経て前述したと同じ順に流れ、それを繰り返して循環する。
このように貯湯タンク2内の湯を少量ずつ循環させることにより各配管内の湯の温度を維持することができる。
【0023】
いま、第1,2,3の出湯栓3A,3B,3Cのうち、例えば、第2の出湯栓3Bが開栓されると、該出湯栓3Bから発せられる電気信号、あるいは返湯単独配管7に配設する圧力感知計30による圧力感知信号により、切替部29である三方弁は、図2のように、第2バイパス管14から返湯単独配管7にも湯が流れるように切替えられる。このときは循環用ポンプ11の運転は停止される。しかるときは、第2の出湯栓3Bが開栓されると、貯湯タンク2内の内圧(水道圧)により、第2の出湯栓3Bの流入口27内に臨む第3の二管路配管10Cの第1流体管路16からの湯を直ぐに吐出し、これと同時に、切替部29である三方弁の切替えに伴い送湯単独配管4から湯が第2バイパス管14を介して返湯単独配管7にも流れ、第1の管継ぎ合せ部材8Aの第3流通路22→第2の二管路配管10Bの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第3流通路22→第4の二管路配管10Dの第2流体管路17→第3の出湯栓3Cの湯流入口27→第4の二管路配管10Dの第1流体管路16→第2の管継ぎ合せ部材8Bの第1流通路26→第3の二管路配管10Cの第2流体管路17→第2の出湯栓3Bの流入口27へ流れ、第3の二管路配管10Cの第1流体管路16からの湯と共に吐出する。
このように第2の出湯栓3Bが開栓されると、直ぐに湯が吐出するので、捨て水を発生するようなことはない。また、切替部29である三方弁の切替えにより開栓される第2の出湯栓3Bには第3の二管路配管10Cの第1流体管路16及び第1流体管路17の両方から湯が送られるので、第2の出湯栓3Bからの吐出流量の低下変動を減少できる。
【0024】
図6は、本発明に係る二管路配管10の他の使用例を示す循環式給湯システム1の構成図を示す。この実施例の管継ぎ合せ部材33は、上記実施例の二管路配管10と同様な、内部が仕切壁15により第1流体管路16と第2流体管路17に区画形成された複数の各二管路配管10(第1,2,3の配管10A,10B,10C)をその先端で継ぎ合せるヘッダーである。
【0025】
この実施例の管継ぎ合せ部材33は、図1,図2に示すT形の管継ぎ合せ部材8と同じような断面形状をもつ複数の第1,2,3の管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cを直列に連結した形に一体に形成してなる。
すなわち、各管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cは円筒部34と、この円筒部34から分岐した分岐部35とを有するT形に形成する。各管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cの内部は、円筒部34の筒軸方向に延びる円筒部仕切壁40と、この円筒部仕切壁40の分岐部35内に臨む箇所から該円筒部仕切壁40と直交する垂直平面上で分岐部35の開口端方向へ延びる分岐部仕切壁36とで仕切ることにより円筒部34の一端開口部から他端開口部にわたって貫通する第1流通路43と、分岐部35の開口端から円筒部34の一端開口部にわたって連通する屈曲状の第2流通路37と、分岐部35の開口端から円筒部34の他端開口部にわたって連通する屈曲状の第3流通路38とに区画形成している。そして、各管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cは円筒部34同士を円筒部仕切壁40の端部同士が突き合せ状態になるように筒軸方向に直列に連結し、筒軸方向末端の管継ぎ合せ構成部材33Cの円筒部34の末端は盲栓部44で閉塞している。
【0026】
給湯循環配管に際しては、管継ぎ合せ部材33の筒軸方向先端の第1の管継ぎ合せ構成部材33Aの第2流通路37と、貯湯タンク2の上部とを送湯単独配管4で接続し、同管継ぎ合せ構成部材33Aの第1流通路43と、送湯単独配管4の途中部位とを返湯単独配管7で接続する。
返湯単独配管7に循環用ポンプ11を配設すること、送湯単独配管4から分岐された第2バイパス管14と返湯単独配管7の途中部位との間に三方弁等による切替部29を設けること、送湯単独配管4の貯湯タンク2との接続部近傍箇所には貯湯タンク2への湯の逆流を防ぐ第1逆止弁12を設けることは、図1に示す循環式給湯システム1の場合と同様である。返湯単独配管7上の循環用ポンプ11と送湯単独配管4との接続部との間には熱交換器やヒートポンプ等による再加熱部31を設けている。返湯単独配管7の送湯単独配管4の途中部位との接続部には返湯単独配管7への湯の逆流を防ぐ逆止弁32を設けている。
【0027】
そして、第1,2,3の管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cの各分岐部35と、第1〜3の出湯栓3A,3B,3Cとは、上記各実施例に用いられた送湯・返湯共用の二管路配管10と同じ第1,2,3の二管路配管10A,10B,10Cを用いて直列に接続される。
すなわち、第1,2,3の二管路配管10A,10B,10Cの各先端は第1,2,3の管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cの各分岐部35の開口端に、各二管路配管10A,10B,10C内の仕切壁15の端部と、各分岐部35内の、仕切壁15と同じ断面形状の分岐部仕切壁36の端部とが突き合せ状態になるように、それぞれ挿入されて熱融着、電気融着或いは接着手段で一体に接合する。これにより第1,2,3の二管路配管10A、10B、10Cの各第1流体管路16の先端は第1,2,3の管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cの各第2流通路37に、各第2流体管路17の先端は管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cの各第3流通路38にそれぞれ連通するように接続される。
そして、第1,2,3の二管路配管10A,10B,10Cの各第1流体管路16の末端及び各第2流体管路17の末端は第1,2,3の各出湯栓3Aの湯流入口27の内部にそれぞれ臨むように第1,2,3の各出湯栓3A,3B,3Cと接続し(図5参照)、これにより、図5に示すように、各出湯栓3A,3B,3Cの閉栓時には各湯流入口27内において第1流体管路16の末端からの湯が第2流体管路17の末端にユー・ターンして湯流入口27内にまで循環するようにしてある。
【0028】
次に、図6に示す実施例の循環式給湯システム1の動作を説明する。
【0029】
図6のように、第1,2,3の出湯栓3A,3B,3Cの全てが閉栓状態にある時は、循環用ポンプ11を低速又は間欠的に運転し、第2バイパス管14と返湯単独配管7との連通状態が遮断されるように切替部29である三方弁を切替える。これにより、貯湯タンク2→第1逆止弁12→送湯単独配管4→第1の管継ぎ合せ構成部材33Aの第2流通路37→第1の二管路配管10Aの第1流体管路16→第1の出湯栓3Aの湯流入口27→第1の二管路配管10Aの第2流体管路17→第1の管継ぎ合せ構成部材33Aの第3流通路38→第2の管継ぎ合せ構成部材33Bの第2流通路37→第2の二管路配管10Bの第1流体管路16→第2の出湯栓3Bの湯流入口27→第2の二管路配管10Bの第2流体管路17→第2の管継ぎ合せ構成部材33Bの第3流通路38→第3の管継ぎ合せ構成部材33Cの第2流通路37→第3の二管路配管10Cの第1流体管路16→第3の出湯栓3Cの湯流入口27→第3の二管路配管10Cの第2流体管路17→第3の管継ぎ合せ構成部材33Cの第3流通路38→第3,2,1の各第1流通路43→返湯単独配管7→切替部29→循環用ポンプ11→再加熱部31→逆止弁32→送湯単独配管4へ戻り、また貯湯タンク2から第1逆止弁12を経て前述したと同様の順に流れ、それを繰り返して循環する。このように貯湯タンク2内の湯を少量ずつ循環させることにより各配管内の湯の温度を維持することができる。
【0030】
いま、第1,2,3の出湯栓3A,3B,3Cのうち、例えば、第2の出湯栓3Bが開栓されると、該出湯栓3Bから発せられる電気信号、あるいは返湯単独配管7に配設する圧力感知計30による圧力感知信号により、切替部29である三方弁は、図7のように、第2バイパス管14から返湯単独配管7にも湯が流れるように切替えられる。このとき循環用ポンプ11の運転は停止される。しかるときは、第2の出湯栓3Bが開栓されると、貯湯タンク2内の内圧(水道圧)により、第2の出湯栓3Bの流入口27内に臨む第2の二管路配管10Bの第1流体管路16からの湯を直ぐに吐出し、これと同時に、切替部29である三方弁の切替えに伴い送湯単独配管4から湯が第2バイパス管14を介して返湯単独配管7にも流れ、第1,2,3の管継ぎ合せ構成部材33A,33B,33Cの各第1流通路43→第3の管継ぎ合せ構成部材33Cの第3流通路38→第3の二管路配管10Cの第2流体管路17→第3の出湯栓3Cの湯流入口27→第3の二管路配管10Cの第1流体管路16→第3の管継ぎ合せ構成部材33Cの第2流通路37→第2の管継ぎ合せ構成部材33Bの第3流通路38→第2の二管路配管10Bの返湯流通路17→第2の出湯栓3Bの流入口27へ流れ、第2の二管路配管10Bの第1流体管路16からの湯と共に吐出する。
このように第2の出湯栓3Bが開栓されると、直ぐに湯が吐出するので、捨て水を発生するようなことはない。また、切替部29である三方弁の切替えにより開栓される第2の出湯栓3Bには第3の二管路配管10Cの第1流体管路16及び第1流体管路17の両方から湯が送られるので、第2の出湯栓3Bからの吐出流量の低下変動を減少できる。
【0031】
図6に示す実施例では、管継ぎ合せ部材33に複数の出湯栓3A,3B,3Cを第1,2,3の二管路配管10A,10B,10Cを介して直列に接続しているが、図8に示すように管継ぎ合せ部材33に複数の出湯栓3A,3B,3Cを第1,2,3の二管路配管10A,10B,10Cを介して並列に接続することもできる。尤も、この場合管継ぎ合せ部材33としては複数の出湯栓3A,3B,3Cを並列に接続可能とする内部流路を有する形状に変更した並列仕様タイプのものが使用される。
【0032】
本発明に係る二管路配管は、給湯配管システム以外に、例えば、暖房配管システムの配管などにも同様に適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る二管路配管の使用例を示す循環式給湯システムを、出湯栓の全てが閉栓状態にある時の状態を示す構成図である。
【図2】図1の循環式給湯システムを出湯栓の一つが開栓された時の状態を示す構成図である。
【図3】本発明に係る二管路配管の一部斜視図である。
【図4】図3の二管路配管の断面図である。
【図5】図1の循環式給湯システムに使用される二管路配管の末端部と出湯栓との接続構造を示す断面図である。
【図6】本発明に係る二管路配管の他の使用例を示す循環式給湯システムを、出湯栓の全てが閉栓状態にある時の状態を示す構成図である。
【図7】図6の循環式給湯システムを出湯栓の一つが開栓された時の状態を示す構成図である。
【図8】本発明に係る二管路配管の更に他の使用例を示す循環式給湯システムを、出湯栓の全てが閉栓状態にある時の状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0034】
10(10A,10B,10C) 二管路配管
15 仕切壁
16 第1流体管路
17 第2流体管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内部が管軸方向に連続する仕切壁で第1流体管路と第2流体管路に区画形成されてなる給湯配管システム等に用いる二管路配管において、前記仕切壁を断面S字形状に形成していることを特徴とする、給湯配管システム等に用いる二管路配管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−39269(P2008−39269A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212885(P2006−212885)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000231121)JFE継手株式会社 (140)
【出願人】(592026554)大洋化学株式会社 (26)
【Fターム(参考)】