給紙機構
【課題】優れた給紙機構を得る。
【解決手段】給紙機構は、用紙束を支持するシャーシと、用紙束の最上位用紙を係合し、用紙束の残りに対し用紙を移動させる最上位用紙係合部材と、用紙束と係合し最上位用紙係合部材に対し最上位用紙を付勢する束係合構造と、シャーシに対する相対移動が制限されるようシャーシに取り付けられ、共に移動するよう束係合構造をロック機構に固定するために、摩擦表面と係合する付勢された接触フットを有するロック機構と、束係合構造が、最上位用紙を最上位用紙係合部材に対して押圧するようにロック機構に対し移動するよう摩擦表面から接触フットを係合解除するようにシャーシに取り付けられ、摩擦表面と再び係合するように、接触フットを係合解除し、束係合構造が最上位用紙係合部材から所定の距離だけ後退するようにシャーシに対してロック機構を移動させるアクチュエータとを備える。
【解決手段】給紙機構は、用紙束を支持するシャーシと、用紙束の最上位用紙を係合し、用紙束の残りに対し用紙を移動させる最上位用紙係合部材と、用紙束と係合し最上位用紙係合部材に対し最上位用紙を付勢する束係合構造と、シャーシに対する相対移動が制限されるようシャーシに取り付けられ、共に移動するよう束係合構造をロック機構に固定するために、摩擦表面と係合する付勢された接触フットを有するロック機構と、束係合構造が、最上位用紙を最上位用紙係合部材に対して押圧するようにロック機構に対し移動するよう摩擦表面から接触フットを係合解除するようにシャーシに取り付けられ、摩擦表面と再び係合するように、接触フットを係合解除し、束係合構造が最上位用紙係合部材から所定の距離だけ後退するようにシャーシに対してロック機構を移動させるアクチュエータとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙材料束を移動するための機構に関する。特に、本発明は、用紙を一枚ずつ供給路内に供給するために用紙媒体束を持ち上げるための機構である。
【背景技術】
【0002】
用紙材料は、典型的に、束で供給され格納される。用紙を一枚ずつ使用するためには、まず用紙を互いに分離する必要がある。プリンタ、スキャナ、コピー機、またはファックスの紙送りシステムは、束から紙送り搬送路内に用紙を一枚ずつ連続供給するために必要なものの一般的な例である。このような装置には広範囲の用途があるが、本明細書ではこの分野での使用を特に参照しながら本発明について記載する。しかしながら、これは、例示的な目的のものにすぎず、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本発明は、さらに広範な用途を有し、積み重ねた用紙材料の取り扱いを伴う多くのシステムに適したものであってもよいことを認識されたい。
【0003】
プリンタ、コピー機、スキャナ、ファックスなどは、紙トレイの束からイメージング手段(例えば、プリントヘッド)を通って排紙トレイへ用紙を連続供給する。束から用紙を一枚ずつ分離するために使用される方法は多数ある。より一般的な方法には、エアジェット、吸引フット、ゴム引きのピッカローラ、ゴム引きのプッシャアームなどを含むものもある。ピックアップローラやプッシャアームを使用するシステムでは、ローラが、用紙束の一番上にある用紙に触れて、その用紙を上部から引き離すように駆動し、押し出し、または引っ張る力を制御することが重要である。最上位用紙とプッシャまたはローラとの間の摩擦は、最上位用紙とその下にある用紙との間の摩擦を超える必要がある。力が強すぎると、2枚以上の用紙が束から引き出されてしまうこともあり(「ダブルピック」として公知である)、力が弱すぎると、1枚も用紙を引き出せないことは明らかである。
【0004】
給紙機構は、比較的単純で小型であり、電力需要も低いものが要求される。例えば、SOHO(小規模/在宅オフィス)向けのプリンタ市場における消費者期待に合わせて、設計者らは机上の設置面積を減らし、製造コストを維持または削減しながら、種々の紙質の供給信頼性を高めようとしている。
【発明の概要】
【0005】
以上のことから、本発明により、
用紙束を支持するように構成されたシャーシと、
用紙束の最上位用紙と係合し、用紙束の残りに対して用紙を移動させるための最上位用紙係合部材と、
用紙束と係合し、最上位用紙係合部材に対して用紙束の最上位用紙を付勢し、束係合構造の進行方向に平行に延伸する摩擦表面を有する束係合構造と、
シャーシに対する相対移動が制限されるようにシャーシに取り付けられ、共に移動するように束係合構造をロック機構に固定するために、摩擦表面と係合するための付勢された接触フットを有するロック機構と、
束係合構造が、最上位用紙を最上位用紙係合に対して押圧するようにロック機構に対して移動するように摩擦表面から接触フットを係合解除するようにシャーシに取り付けられたアクチュエータであって、摩擦表面と再び係合するように、接触フットを係合解除し、束係合構造が最上位用紙係合部材から所定の距離だけ後退するように、シャーシに対してロック機構を移動させる、当該アクチュエータと、
を備える給紙機構が、提供される。
【0006】
本発明による給紙機構は、可動部品数が相対的に少なく、単純かつ小型の装置で具体化され得る。ロック機構と係合するためのアクチュエータは1つでよく、他の要素はばねなどの無動力完全体を用いて付勢される。従って、プリンタまたは全装置にかかる給紙の電力負荷は小さい。アクチュエータが、最上位係合部材から所定の距離だけ束を常に後退させるため、給紙機は、異なる厚みの紙でも確実に機能する。
【0007】
束係合構造は、束の最上位用紙が最上位用紙係合部材に対して付勢されるように束を持ち上げるための弾性部材を有し、束を上昇させると弾性部材の付勢力が低減し、束の厚みおよび重量が低減するに連れ、付勢力も同様に低減し、最上位用紙が、実質的に均一な力で最上位用紙係合部材に対して付勢されることが好ましい。
【0008】
アクチュエータは、回転カムであることが好ましい。別の好ましい形態において、最上位用紙係合部材は、束から最上位用紙を引き出すように回転するゴム引きのピッカローラである。
【0009】
ロック機構は、シャーシに蝶着されたロックアームと、ロックアームに枢着された第1種のレバーとを有し、前記レバーの一方側および前記レバーの他方側にある接触フットは、摩擦表面から接触フットを持ち上げるために、カムと係合するように構成されることが好ましい。さらなる好ましい形態において、シャーシは、カムに近接して形成されたストッパ形成物をさらに備え、ロック機構は、ロックアームに固定して取り付けられたベアリング構造を有し、ベアリング構造は、ストッパに隣接するためのベアリング表面を有し、ロック機構が、接触フットを摩擦表面と係合状態に付勢するために、ベアリング構造と、接触フットと反対にあるレバーアームとの間に弾性部材を有する。特に好ましい実施形態において、第1種のレバーは、第1および第2のサイドアーム横材によって分離された一般的にU字形状であり、カムは、それぞれ交互に係合するために第1および第2のサイドアームの間に位置付けられ、第1のサイドアームは、接触フットと摩擦表面が係合解除するように作動するレバーアームを形成し、第2のアームは、カムがロックアームおよび束係合構造を押すように作用するベアリング表面を与えることで、束が最上位用紙係合部材から後退する。特定の実施形態において、ピボットは、横材の第1のサイドアーム端部付近に位置付けられ、接触フットは、横材の第2のサイドアーム端部付近に位置付けられ、カムは、カムと第2のサイドアームとの間の摩擦により、接触フットが摩擦表面と係合状態になるように回転する。
【0010】
束係合構造は、ロックアームと同一のヒンジ軸に沿ったシャーシに蝶着された束リフトアームであることが好ましい。さらに好ましい形態において、摩擦表面は、リフトアームのヒンジ軸の曲率中心を有し、ヒンジ軸に回転するように固定された弓形セクションである。特に好ましい実施形態において、束リフトアームおよび弓形セクションは、シャーシに回転可能に取り付けられたシャフトに間隔を空けて取り付けられ、シャフトの軸は、リフトアームおよびロックアームのヒンジ軸と同一線上であり、リフトアームは、シャフトの周りに巻き付けられたコイルばねによって束を持ち上げるように付勢される。コイルばねを通してヒンジシャフトを挿入するのは、有効な省スペース技術である。同様に、ロックアームおよびリフトアームが、直線的に移動するのではなく、回転するように構成すると、弓形セクションに沿った摩擦表面をさらに短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図2】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図3】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図4】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図5】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図6】本発明の別の実施形態の概略図である。
【図7】本発明とともに使用するためのインクジェットプリンタおよび紙送りトレイの斜視図である。
【図8】本発明の構成部品を露出するために、紙送りトレイおよび外側ハウジングを取り外した状態にある図1に示すプリンタの斜視図である。
【図9】関係のないプリンタ構成部品の大部分を取り外した状態の図8に示す本発明の斜視図である。
【図10】関係のないプリンタ構成部品を取り外した状態の図9に示す本発明の構成部品の斜視図である。
【図11】駆動モータ、ロックアーム、および分離したロック表面を示した立面図である。
【図12】動作サイクルの完全にロック解除された段階にあり、ロックアームの片側を取り外した状態の図11の立面図である。
【図13】動作サイクルの再ロック段階にある図11に示す立面図である。
【図14】動作の完全にロック解除された段階の駆動モータ、ロックアーム、およびロック表面の斜視図である。
【図15】ロックアームの片側および分離したロック表面の立面図である。
【図16】動作サイクルの開始に戻された駆動モータ、ロックアーム、およびロック表面の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を例示的にのみ参照しながら、本発明の特定の実施形態について記載する。
図1〜図5は、理解しやすいように給紙機構の1つの形態を概略して示す。給紙機構1は、典型的に、プリンタなどのより大きな装置に使用され、プリンタの給紙機構に一体化されたシャーシ2を有してもよい。給紙機構1は、プリンタ給紙路(図示せず)内に用紙を1枚引き込むピッカローラ6に用紙束4を持ち上げる。ピッカローラの代わりに、給紙機構は、吸引シューまたは他の用紙係合手段の方へ束を持ち上げるものであってもよい。
【0013】
図1を参照すると、リフトアーム8が降下位置にある間、束4は、プリンタの紙トレイなどの装置(図示せず)の指定部内に挿入される。リフトアーム8は、リフトばね10によって上向きに付勢されるが、ロック機構12によって降下位置に保持される。ロック機構12は、リフトアーム8と同じヒンジ軸16でシャーシ2に蝶着されるロックアーム14の遠端部にある。ロック機構は、摩擦表面18を介してロックアーム14をリフトアーム8に取り外し可能に固定する。ロック機構12は、リフトばね10の付勢力により、ロックアーム14およびリフトアーム8が上向きに回転しないように、カム20と隣接する。
【0014】
図2を参照すると、カム20は、プリンタからの紙送り要求信号に応答して時計回りに回転する。カム20は、ロック機構12のU字状部材22内に位置付けられる。U字状部材22は、ヒンジ24でロックアーム14に蝶着される。ヒンジ24は、「U」の両側で係合アーム28と係合解除アーム30とを分離する横材26上にある。接触フット32は、係合解除アーム30に対してロックヒンジ24の反対側で横材26に取り付けられて、第1種のレバーを形成する。カム20を時計回りに回転して、カム20と係合アーム28との間に発生する摩擦を利用することで、接触フット32を摩擦表面18にしっかりと係合させる。これにより、カム20が係合解除アーム34と係合する前に、接触フットと摩擦表面との間ですべりが回避される助力となる。すべりが生じると、プリンタ供給路にある他の構成部品が用紙を受ける準備が整う前に、リフトアーム8が、最上位用紙40をピッカローラ6に押圧してしまうこともあり得る。
【0015】
カム20が係合アーム28と係合わせずに回転すると、ベアリング表面34がシャーシ2のストッパ36に隣接するまで、リフトばね10は、リフトアーム8、ロック表面18、およびロックアーム14を押し上げる。カム20は、係合解除アーム30に接触するまで回転を続ける。さらなる回転により、係合解除アーム30は、ロックばね38の付勢力に抗ってベアリング表面34の方へ押される。これにより、レバーが、摩擦表面18との係合を解除するように接触フット32を持ち上げる。これにより、リフトアーム8がロックアーム14からロック解除される。ロックが解除されると、最上位用紙40がピッカローラ6と係合し、束の残りから引き離されるまで、リフトばね10は、束4を上昇させる。
【0016】
図3を参照すると、カム20が回転を続けることで、ロックばね38は、係合解除アーム30を押してベアリング表面34から離す。これにより、接触フット32と摩擦表面18とが再度係合して、ロックアーム14とリフトアーム8とをロックする。ピッカローラ6は、束4から最上位用紙40を引き出し続ける。
【0017】
図4を参照すると、カム20は、係合アーム28と接触した状態で回転し、接触フット32が摩擦表面18を押圧する力まで力を増大させる。また、この時点で、カム20は、係合アーム28、ひいては、ロックアーム14およびリフトアーム8を、リフトばね10の付勢力に抗って時計回りに押し始める。従って、束4は、ピッカローラ6が新しい最上位用紙42を束4から引き出す前に、ピッカローラ6から離れるように降下し始める。
【0018】
図5は、動作サイクルの完了時の給紙機構を示す。カム20は、頂点が係合アーム28と接触した状態になるまで回転する。これにより、ロックアーム14およびリフトアーム8が所定の回転角度に押し戻される。次に、束4は、所定の距離だけピッカローラ6から後退する。この距離は、束にある紙質(または厚み)にかかわらず変わらない。このため、リフトばね10が圧縮する量が少量ですむため、束を通って割り出しをするさいの給紙機構の消費エネルギーが低減される。さらに、束4がなくなるに連れ、重量が軽くなるが、ばね10は、圧縮される力が弱くなるため、ピッカローラ6に対して束を付勢する力も低減する。これにより、ピッカローラに対して最上位用紙を連続して押圧する力が実質的に均一に保たれる。
【0019】
図6は、給紙機構1の別の実施形態の概略図である。本実施形態において、蝶着されたリフトアームは、回転運動ではなく直線運動を有するリフト構造44に置き換えられる。摩擦表面18は、リフト構造44の進行方向に平行になるように上向きに延伸するアーム上にある。ロックアーム14は、シャーシ2に再度蝶着され、摩擦表面18とロック係合するように接触フット32を付勢するためのロックばね38があるベアリング表面34を有する。さらに、係合解除アーム30、ロックヒンジ24、および接触フット32は、第1種のレバーを形成する。
【0020】
図示した実施形態は、U字状の部材を使用していないが、その代わりに、ロックアーム14を係合アーム28としても作用するように構成している。カム20は、係合アーム28と接触すると、ヒンジ16の周りを反時計回りに回転する。係合アームが反時計回りの方向に回転しても、ばね38は時計回りの方向に係合解除アーム30を付勢し続けるため、接触フット32は、摩擦表面18とのロック係合を維持する。実際、反時計回りに回転するベアリング表面34は、付勢力が比較的均一のままになるように、ばね38が設置されたギャップを維持する傾向がある。
【0021】
図6に示す実施形態は、本発明が特定の摩擦要求および空間制限に適合するように、多くの異なる構成を採用し得ることを明示したものである。当業者であれば、カムがソレノイドアクチュエータまたは空気式/油圧式アクチュエータと置き換えられてもよいことを認識する。係合解除アームおよび係合アームと連続して接触する任意の二重作用アクチュエータは、本発明の目的に適したものである。
【0022】
図7は、SOHO向けプリンタに組み込まれた本発明を示す。プリンタ46は、大量の白紙(図示せず)を受けるための紙送りトレイ48を有する。プリンタの紙送りアセンブリは、紙送りトレイ48に配置された束から用紙を連続して引き出し、C字状の紙搬送路を通ってプリントヘッドを通過するように用紙を方向付ける。印刷後、印刷された紙は、紙送りトレイ48の上部にある収集トレイ(図示せず)から収集される。
【0023】
リフトアーム8は、リフトアームの遠端部50が用紙束の前縁部の下方に位置付けられた状態で、ピッカローラ6の下方に直接位置付けられる(図示せず)。最初、リフトアームは、遠端部が紙送りトレイ48にある紙支持盤52と同一平面になるように、完全に降下させた配置に保持される。リフトアーム8は、以下にさらに詳細に記載するリフトアームリセットレバー54を用いて、この初期位置に置かれる。
【0024】
以下、図8を参照すると、明確にするために、紙送りトレイおよび外側ハウジングが取り外されている。この場合も、リフトアーム8は、遠端部50が紙束の前縁部の下方にあるように降下させた初期位置にある。コイルばね10は、ヒンジシャフト16の周りでリフトアームを上向きに付勢する。しかしながら、ロック機構(以下に記載)は、アクチュエータが用紙への要求に応答するまで、リフトアームを初期位置に保持する。
【0025】
図9では、ロック機構を露出するために、プリンタのさらなる構成部品が取り外されている。ヒンジシャフト16は、リフトアーム8からロックばね10を通ってロックアセンブリ56へ延伸する。ヒンジシャフト16の最外端部には、コネクタロッド60を介してリセットレバー54に接続されたリセットアーム58がある。リセットアーム58は、ラチェット係合を介してヒンジシャフト16に取り付けられ、この係合では、時計回りに回転しているとき、シャフトを固定したままアームが反時計回りに回転できるようにシャフトとアームとがロックされる。このようにして、ユーザは、リフトアームリセットレバー54を押すだけで、リセットアーム58、ひいては、リフトアーム8をばね10の付勢力に抗って引き下ろす。
【0026】
また、図9には、出力ウォーム駆動64がカムシャフト68に取り付けられた駆動ギヤ66と噛み合うカム駆動モータ62が示されている。また、ロックアーム14の片側が示され、これについては、以下にさらに詳細に記載する。
【0027】
図10は、明確にするために、さらなる構成部品を取り外した給紙機構を示す。ロックアーム14は、ヒンジシャフト16に取り付けられた2つのサイドプレート70および72を有する。サイドプレート70および72の遠端部は、プリンタシャーシに固定されたストッパ36に隣接するように位置付けられた接合ブロック74によって接続される。サイドプレート70および72の間には、弓形の摩擦アーム18およびU字状部材22が取り付けられる。サイドプレート70および72は、弓形の摩擦アーム18がシャフト16に固定されている一方で、ヒンジシャフト16に回転可能に取り付けられる。
【0028】
図11を参照すると、カム20は、U字状部材22の両側の間に示されている。給紙要求に応答して、カム20は、係合アーム28に沿って時計回りに回転し始める。接触フットは、カム20と係合アーム28との間の摩擦によって弓形の摩擦アーム18と係合状態にされることを認識されたい。これは、接触フットが、ロック機構ヒンジ24の右側で、サイドプレート70および72の間にあるためである(図示せず)。ロックばね38が接触フットをロック係合状態にするように押すことは言うまでもない。
【0029】
図12は、ロック解除状態にあるロックアセンブリを示す。ロックアセンブリ56は、サイドプレート70を取り外して示されている。カム20は、U字状部材22の係合解除アーム30を押圧するように回転した状態にある。カム20は、最初、ストッパ36と係合状態になるまで回転するように、アセンブリ56全体を押す。ストッパ36と係合した後、カムは、ロック機構ヒンジ24の周りでU字状部材を反時計回りに回転する。これは、接触フット32を持ち上げるか、または弓形の摩擦アーム18上の弓形表面にかかる接触フット32の重さを減らすだけでよい。弓形の摩擦アームは、自由に回転できるようになると、ヒンジシャフト16によって反時計回りの方向に動かされる。ヒンジシャフト16には、リフトばね10(図10を参照)によって与えられるトルクがかかる。図12には示されていないが、弓形の摩擦アームのロックが解除されると、リフトアーム8によって紙束が上昇する。リフトアーム8は、最上位用紙がピッカローラ6と係合するまで、紙束の上昇を続ける。
【0030】
図14は、ロック解除状態にあるロックアセンブリの斜視図を示す。U字状部材22は、係合解除アーム30が、接合ブロック74に対してロックばね38を圧縮するように、ロック機構ヒンジ24の周りを回転する。接触フット32は、リフトアーム8(図10を参照)が紙束を引き上げることができるように、弓形の摩擦アーム18との係合を解除するように動かされる。
【0031】
図13は、U字状部材がロック位置に戻るときのロック機構56を示す。カム20が、時計回りに回転し続けることで、U字状部材22も、ロックばね38の作用下で回転する。この段階では、接合ブロック74は、ストッパ36に接した状態のままであることに留意されたい。さらに、紙束は、ピッカローラに対して押圧されたままであり、ピッカローラは、束から最上位用紙を引き出している。
【0032】
図15に、U字状部材22および弓形の摩擦アーム18のロック構成を最良に示す。係合解除アーム30、ロック機構ヒンジ24、および接触フット32が、第1種のレバーを形成し、ロックばね38の付勢力が、レバーによって得られる機械的利益によって接触フット32で増幅されることが明らかに分かる。
【0033】
図16は、初期構成に戻されたロックアセンブリを示す。カム20は、ヒンジシャフト16の周りでアセンブリ56全体を回転させるために、ストッパ36から少し離れた距離、係合アーム28と係合した状態になるように回転して戻る。弓形の摩擦アーム18およびロックアーム14がロックされると、ヒンジシャフト16は、カムシャフト20によって回転するようにされる。これにより、ピッカローラ6からわずかな距離だけ紙束を後退させることによって、リフトアーム8(図10を参照)が回転する。束からさらに多くの用紙が引き出されることがないようにするために、カムがピッカローラの表面から非常にわずかな距離だけ紙を後退させるだけでよいため、カム駆動モータ62にかかる電力負荷は比較的低い。さらに、束がより厚みのあるローラから後退する距離は、紙送りトレイに差し込まれた紙の品質にかかわらず常に一定に保たれる。これにより、全供給機構の多用途性が高まる。
【0034】
本明細書において本発明を例示的に記載してきた。当業者であれば、本発明の広範囲の概念の精神および範囲から逸脱しない多くの変更例および修正例を容易に認識する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙材料束を移動するための機構に関する。特に、本発明は、用紙を一枚ずつ供給路内に供給するために用紙媒体束を持ち上げるための機構である。
【背景技術】
【0002】
用紙材料は、典型的に、束で供給され格納される。用紙を一枚ずつ使用するためには、まず用紙を互いに分離する必要がある。プリンタ、スキャナ、コピー機、またはファックスの紙送りシステムは、束から紙送り搬送路内に用紙を一枚ずつ連続供給するために必要なものの一般的な例である。このような装置には広範囲の用途があるが、本明細書ではこの分野での使用を特に参照しながら本発明について記載する。しかしながら、これは、例示的な目的のものにすぎず、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本発明は、さらに広範な用途を有し、積み重ねた用紙材料の取り扱いを伴う多くのシステムに適したものであってもよいことを認識されたい。
【0003】
プリンタ、コピー機、スキャナ、ファックスなどは、紙トレイの束からイメージング手段(例えば、プリントヘッド)を通って排紙トレイへ用紙を連続供給する。束から用紙を一枚ずつ分離するために使用される方法は多数ある。より一般的な方法には、エアジェット、吸引フット、ゴム引きのピッカローラ、ゴム引きのプッシャアームなどを含むものもある。ピックアップローラやプッシャアームを使用するシステムでは、ローラが、用紙束の一番上にある用紙に触れて、その用紙を上部から引き離すように駆動し、押し出し、または引っ張る力を制御することが重要である。最上位用紙とプッシャまたはローラとの間の摩擦は、最上位用紙とその下にある用紙との間の摩擦を超える必要がある。力が強すぎると、2枚以上の用紙が束から引き出されてしまうこともあり(「ダブルピック」として公知である)、力が弱すぎると、1枚も用紙を引き出せないことは明らかである。
【0004】
給紙機構は、比較的単純で小型であり、電力需要も低いものが要求される。例えば、SOHO(小規模/在宅オフィス)向けのプリンタ市場における消費者期待に合わせて、設計者らは机上の設置面積を減らし、製造コストを維持または削減しながら、種々の紙質の供給信頼性を高めようとしている。
【発明の概要】
【0005】
以上のことから、本発明により、
用紙束を支持するように構成されたシャーシと、
用紙束の最上位用紙と係合し、用紙束の残りに対して用紙を移動させるための最上位用紙係合部材と、
用紙束と係合し、最上位用紙係合部材に対して用紙束の最上位用紙を付勢し、束係合構造の進行方向に平行に延伸する摩擦表面を有する束係合構造と、
シャーシに対する相対移動が制限されるようにシャーシに取り付けられ、共に移動するように束係合構造をロック機構に固定するために、摩擦表面と係合するための付勢された接触フットを有するロック機構と、
束係合構造が、最上位用紙を最上位用紙係合に対して押圧するようにロック機構に対して移動するように摩擦表面から接触フットを係合解除するようにシャーシに取り付けられたアクチュエータであって、摩擦表面と再び係合するように、接触フットを係合解除し、束係合構造が最上位用紙係合部材から所定の距離だけ後退するように、シャーシに対してロック機構を移動させる、当該アクチュエータと、
を備える給紙機構が、提供される。
【0006】
本発明による給紙機構は、可動部品数が相対的に少なく、単純かつ小型の装置で具体化され得る。ロック機構と係合するためのアクチュエータは1つでよく、他の要素はばねなどの無動力完全体を用いて付勢される。従って、プリンタまたは全装置にかかる給紙の電力負荷は小さい。アクチュエータが、最上位係合部材から所定の距離だけ束を常に後退させるため、給紙機は、異なる厚みの紙でも確実に機能する。
【0007】
束係合構造は、束の最上位用紙が最上位用紙係合部材に対して付勢されるように束を持ち上げるための弾性部材を有し、束を上昇させると弾性部材の付勢力が低減し、束の厚みおよび重量が低減するに連れ、付勢力も同様に低減し、最上位用紙が、実質的に均一な力で最上位用紙係合部材に対して付勢されることが好ましい。
【0008】
アクチュエータは、回転カムであることが好ましい。別の好ましい形態において、最上位用紙係合部材は、束から最上位用紙を引き出すように回転するゴム引きのピッカローラである。
【0009】
ロック機構は、シャーシに蝶着されたロックアームと、ロックアームに枢着された第1種のレバーとを有し、前記レバーの一方側および前記レバーの他方側にある接触フットは、摩擦表面から接触フットを持ち上げるために、カムと係合するように構成されることが好ましい。さらなる好ましい形態において、シャーシは、カムに近接して形成されたストッパ形成物をさらに備え、ロック機構は、ロックアームに固定して取り付けられたベアリング構造を有し、ベアリング構造は、ストッパに隣接するためのベアリング表面を有し、ロック機構が、接触フットを摩擦表面と係合状態に付勢するために、ベアリング構造と、接触フットと反対にあるレバーアームとの間に弾性部材を有する。特に好ましい実施形態において、第1種のレバーは、第1および第2のサイドアーム横材によって分離された一般的にU字形状であり、カムは、それぞれ交互に係合するために第1および第2のサイドアームの間に位置付けられ、第1のサイドアームは、接触フットと摩擦表面が係合解除するように作動するレバーアームを形成し、第2のアームは、カムがロックアームおよび束係合構造を押すように作用するベアリング表面を与えることで、束が最上位用紙係合部材から後退する。特定の実施形態において、ピボットは、横材の第1のサイドアーム端部付近に位置付けられ、接触フットは、横材の第2のサイドアーム端部付近に位置付けられ、カムは、カムと第2のサイドアームとの間の摩擦により、接触フットが摩擦表面と係合状態になるように回転する。
【0010】
束係合構造は、ロックアームと同一のヒンジ軸に沿ったシャーシに蝶着された束リフトアームであることが好ましい。さらに好ましい形態において、摩擦表面は、リフトアームのヒンジ軸の曲率中心を有し、ヒンジ軸に回転するように固定された弓形セクションである。特に好ましい実施形態において、束リフトアームおよび弓形セクションは、シャーシに回転可能に取り付けられたシャフトに間隔を空けて取り付けられ、シャフトの軸は、リフトアームおよびロックアームのヒンジ軸と同一線上であり、リフトアームは、シャフトの周りに巻き付けられたコイルばねによって束を持ち上げるように付勢される。コイルばねを通してヒンジシャフトを挿入するのは、有効な省スペース技術である。同様に、ロックアームおよびリフトアームが、直線的に移動するのではなく、回転するように構成すると、弓形セクションに沿った摩擦表面をさらに短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図2】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図3】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図4】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図5】様々な動作段階にある本発明の1つの実施形態の概略図である。
【図6】本発明の別の実施形態の概略図である。
【図7】本発明とともに使用するためのインクジェットプリンタおよび紙送りトレイの斜視図である。
【図8】本発明の構成部品を露出するために、紙送りトレイおよび外側ハウジングを取り外した状態にある図1に示すプリンタの斜視図である。
【図9】関係のないプリンタ構成部品の大部分を取り外した状態の図8に示す本発明の斜視図である。
【図10】関係のないプリンタ構成部品を取り外した状態の図9に示す本発明の構成部品の斜視図である。
【図11】駆動モータ、ロックアーム、および分離したロック表面を示した立面図である。
【図12】動作サイクルの完全にロック解除された段階にあり、ロックアームの片側を取り外した状態の図11の立面図である。
【図13】動作サイクルの再ロック段階にある図11に示す立面図である。
【図14】動作の完全にロック解除された段階の駆動モータ、ロックアーム、およびロック表面の斜視図である。
【図15】ロックアームの片側および分離したロック表面の立面図である。
【図16】動作サイクルの開始に戻された駆動モータ、ロックアーム、およびロック表面の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を例示的にのみ参照しながら、本発明の特定の実施形態について記載する。
図1〜図5は、理解しやすいように給紙機構の1つの形態を概略して示す。給紙機構1は、典型的に、プリンタなどのより大きな装置に使用され、プリンタの給紙機構に一体化されたシャーシ2を有してもよい。給紙機構1は、プリンタ給紙路(図示せず)内に用紙を1枚引き込むピッカローラ6に用紙束4を持ち上げる。ピッカローラの代わりに、給紙機構は、吸引シューまたは他の用紙係合手段の方へ束を持ち上げるものであってもよい。
【0013】
図1を参照すると、リフトアーム8が降下位置にある間、束4は、プリンタの紙トレイなどの装置(図示せず)の指定部内に挿入される。リフトアーム8は、リフトばね10によって上向きに付勢されるが、ロック機構12によって降下位置に保持される。ロック機構12は、リフトアーム8と同じヒンジ軸16でシャーシ2に蝶着されるロックアーム14の遠端部にある。ロック機構は、摩擦表面18を介してロックアーム14をリフトアーム8に取り外し可能に固定する。ロック機構12は、リフトばね10の付勢力により、ロックアーム14およびリフトアーム8が上向きに回転しないように、カム20と隣接する。
【0014】
図2を参照すると、カム20は、プリンタからの紙送り要求信号に応答して時計回りに回転する。カム20は、ロック機構12のU字状部材22内に位置付けられる。U字状部材22は、ヒンジ24でロックアーム14に蝶着される。ヒンジ24は、「U」の両側で係合アーム28と係合解除アーム30とを分離する横材26上にある。接触フット32は、係合解除アーム30に対してロックヒンジ24の反対側で横材26に取り付けられて、第1種のレバーを形成する。カム20を時計回りに回転して、カム20と係合アーム28との間に発生する摩擦を利用することで、接触フット32を摩擦表面18にしっかりと係合させる。これにより、カム20が係合解除アーム34と係合する前に、接触フットと摩擦表面との間ですべりが回避される助力となる。すべりが生じると、プリンタ供給路にある他の構成部品が用紙を受ける準備が整う前に、リフトアーム8が、最上位用紙40をピッカローラ6に押圧してしまうこともあり得る。
【0015】
カム20が係合アーム28と係合わせずに回転すると、ベアリング表面34がシャーシ2のストッパ36に隣接するまで、リフトばね10は、リフトアーム8、ロック表面18、およびロックアーム14を押し上げる。カム20は、係合解除アーム30に接触するまで回転を続ける。さらなる回転により、係合解除アーム30は、ロックばね38の付勢力に抗ってベアリング表面34の方へ押される。これにより、レバーが、摩擦表面18との係合を解除するように接触フット32を持ち上げる。これにより、リフトアーム8がロックアーム14からロック解除される。ロックが解除されると、最上位用紙40がピッカローラ6と係合し、束の残りから引き離されるまで、リフトばね10は、束4を上昇させる。
【0016】
図3を参照すると、カム20が回転を続けることで、ロックばね38は、係合解除アーム30を押してベアリング表面34から離す。これにより、接触フット32と摩擦表面18とが再度係合して、ロックアーム14とリフトアーム8とをロックする。ピッカローラ6は、束4から最上位用紙40を引き出し続ける。
【0017】
図4を参照すると、カム20は、係合アーム28と接触した状態で回転し、接触フット32が摩擦表面18を押圧する力まで力を増大させる。また、この時点で、カム20は、係合アーム28、ひいては、ロックアーム14およびリフトアーム8を、リフトばね10の付勢力に抗って時計回りに押し始める。従って、束4は、ピッカローラ6が新しい最上位用紙42を束4から引き出す前に、ピッカローラ6から離れるように降下し始める。
【0018】
図5は、動作サイクルの完了時の給紙機構を示す。カム20は、頂点が係合アーム28と接触した状態になるまで回転する。これにより、ロックアーム14およびリフトアーム8が所定の回転角度に押し戻される。次に、束4は、所定の距離だけピッカローラ6から後退する。この距離は、束にある紙質(または厚み)にかかわらず変わらない。このため、リフトばね10が圧縮する量が少量ですむため、束を通って割り出しをするさいの給紙機構の消費エネルギーが低減される。さらに、束4がなくなるに連れ、重量が軽くなるが、ばね10は、圧縮される力が弱くなるため、ピッカローラ6に対して束を付勢する力も低減する。これにより、ピッカローラに対して最上位用紙を連続して押圧する力が実質的に均一に保たれる。
【0019】
図6は、給紙機構1の別の実施形態の概略図である。本実施形態において、蝶着されたリフトアームは、回転運動ではなく直線運動を有するリフト構造44に置き換えられる。摩擦表面18は、リフト構造44の進行方向に平行になるように上向きに延伸するアーム上にある。ロックアーム14は、シャーシ2に再度蝶着され、摩擦表面18とロック係合するように接触フット32を付勢するためのロックばね38があるベアリング表面34を有する。さらに、係合解除アーム30、ロックヒンジ24、および接触フット32は、第1種のレバーを形成する。
【0020】
図示した実施形態は、U字状の部材を使用していないが、その代わりに、ロックアーム14を係合アーム28としても作用するように構成している。カム20は、係合アーム28と接触すると、ヒンジ16の周りを反時計回りに回転する。係合アームが反時計回りの方向に回転しても、ばね38は時計回りの方向に係合解除アーム30を付勢し続けるため、接触フット32は、摩擦表面18とのロック係合を維持する。実際、反時計回りに回転するベアリング表面34は、付勢力が比較的均一のままになるように、ばね38が設置されたギャップを維持する傾向がある。
【0021】
図6に示す実施形態は、本発明が特定の摩擦要求および空間制限に適合するように、多くの異なる構成を採用し得ることを明示したものである。当業者であれば、カムがソレノイドアクチュエータまたは空気式/油圧式アクチュエータと置き換えられてもよいことを認識する。係合解除アームおよび係合アームと連続して接触する任意の二重作用アクチュエータは、本発明の目的に適したものである。
【0022】
図7は、SOHO向けプリンタに組み込まれた本発明を示す。プリンタ46は、大量の白紙(図示せず)を受けるための紙送りトレイ48を有する。プリンタの紙送りアセンブリは、紙送りトレイ48に配置された束から用紙を連続して引き出し、C字状の紙搬送路を通ってプリントヘッドを通過するように用紙を方向付ける。印刷後、印刷された紙は、紙送りトレイ48の上部にある収集トレイ(図示せず)から収集される。
【0023】
リフトアーム8は、リフトアームの遠端部50が用紙束の前縁部の下方に位置付けられた状態で、ピッカローラ6の下方に直接位置付けられる(図示せず)。最初、リフトアームは、遠端部が紙送りトレイ48にある紙支持盤52と同一平面になるように、完全に降下させた配置に保持される。リフトアーム8は、以下にさらに詳細に記載するリフトアームリセットレバー54を用いて、この初期位置に置かれる。
【0024】
以下、図8を参照すると、明確にするために、紙送りトレイおよび外側ハウジングが取り外されている。この場合も、リフトアーム8は、遠端部50が紙束の前縁部の下方にあるように降下させた初期位置にある。コイルばね10は、ヒンジシャフト16の周りでリフトアームを上向きに付勢する。しかしながら、ロック機構(以下に記載)は、アクチュエータが用紙への要求に応答するまで、リフトアームを初期位置に保持する。
【0025】
図9では、ロック機構を露出するために、プリンタのさらなる構成部品が取り外されている。ヒンジシャフト16は、リフトアーム8からロックばね10を通ってロックアセンブリ56へ延伸する。ヒンジシャフト16の最外端部には、コネクタロッド60を介してリセットレバー54に接続されたリセットアーム58がある。リセットアーム58は、ラチェット係合を介してヒンジシャフト16に取り付けられ、この係合では、時計回りに回転しているとき、シャフトを固定したままアームが反時計回りに回転できるようにシャフトとアームとがロックされる。このようにして、ユーザは、リフトアームリセットレバー54を押すだけで、リセットアーム58、ひいては、リフトアーム8をばね10の付勢力に抗って引き下ろす。
【0026】
また、図9には、出力ウォーム駆動64がカムシャフト68に取り付けられた駆動ギヤ66と噛み合うカム駆動モータ62が示されている。また、ロックアーム14の片側が示され、これについては、以下にさらに詳細に記載する。
【0027】
図10は、明確にするために、さらなる構成部品を取り外した給紙機構を示す。ロックアーム14は、ヒンジシャフト16に取り付けられた2つのサイドプレート70および72を有する。サイドプレート70および72の遠端部は、プリンタシャーシに固定されたストッパ36に隣接するように位置付けられた接合ブロック74によって接続される。サイドプレート70および72の間には、弓形の摩擦アーム18およびU字状部材22が取り付けられる。サイドプレート70および72は、弓形の摩擦アーム18がシャフト16に固定されている一方で、ヒンジシャフト16に回転可能に取り付けられる。
【0028】
図11を参照すると、カム20は、U字状部材22の両側の間に示されている。給紙要求に応答して、カム20は、係合アーム28に沿って時計回りに回転し始める。接触フットは、カム20と係合アーム28との間の摩擦によって弓形の摩擦アーム18と係合状態にされることを認識されたい。これは、接触フットが、ロック機構ヒンジ24の右側で、サイドプレート70および72の間にあるためである(図示せず)。ロックばね38が接触フットをロック係合状態にするように押すことは言うまでもない。
【0029】
図12は、ロック解除状態にあるロックアセンブリを示す。ロックアセンブリ56は、サイドプレート70を取り外して示されている。カム20は、U字状部材22の係合解除アーム30を押圧するように回転した状態にある。カム20は、最初、ストッパ36と係合状態になるまで回転するように、アセンブリ56全体を押す。ストッパ36と係合した後、カムは、ロック機構ヒンジ24の周りでU字状部材を反時計回りに回転する。これは、接触フット32を持ち上げるか、または弓形の摩擦アーム18上の弓形表面にかかる接触フット32の重さを減らすだけでよい。弓形の摩擦アームは、自由に回転できるようになると、ヒンジシャフト16によって反時計回りの方向に動かされる。ヒンジシャフト16には、リフトばね10(図10を参照)によって与えられるトルクがかかる。図12には示されていないが、弓形の摩擦アームのロックが解除されると、リフトアーム8によって紙束が上昇する。リフトアーム8は、最上位用紙がピッカローラ6と係合するまで、紙束の上昇を続ける。
【0030】
図14は、ロック解除状態にあるロックアセンブリの斜視図を示す。U字状部材22は、係合解除アーム30が、接合ブロック74に対してロックばね38を圧縮するように、ロック機構ヒンジ24の周りを回転する。接触フット32は、リフトアーム8(図10を参照)が紙束を引き上げることができるように、弓形の摩擦アーム18との係合を解除するように動かされる。
【0031】
図13は、U字状部材がロック位置に戻るときのロック機構56を示す。カム20が、時計回りに回転し続けることで、U字状部材22も、ロックばね38の作用下で回転する。この段階では、接合ブロック74は、ストッパ36に接した状態のままであることに留意されたい。さらに、紙束は、ピッカローラに対して押圧されたままであり、ピッカローラは、束から最上位用紙を引き出している。
【0032】
図15に、U字状部材22および弓形の摩擦アーム18のロック構成を最良に示す。係合解除アーム30、ロック機構ヒンジ24、および接触フット32が、第1種のレバーを形成し、ロックばね38の付勢力が、レバーによって得られる機械的利益によって接触フット32で増幅されることが明らかに分かる。
【0033】
図16は、初期構成に戻されたロックアセンブリを示す。カム20は、ヒンジシャフト16の周りでアセンブリ56全体を回転させるために、ストッパ36から少し離れた距離、係合アーム28と係合した状態になるように回転して戻る。弓形の摩擦アーム18およびロックアーム14がロックされると、ヒンジシャフト16は、カムシャフト20によって回転するようにされる。これにより、ピッカローラ6からわずかな距離だけ紙束を後退させることによって、リフトアーム8(図10を参照)が回転する。束からさらに多くの用紙が引き出されることがないようにするために、カムがピッカローラの表面から非常にわずかな距離だけ紙を後退させるだけでよいため、カム駆動モータ62にかかる電力負荷は比較的低い。さらに、束がより厚みのあるローラから後退する距離は、紙送りトレイに差し込まれた紙の品質にかかわらず常に一定に保たれる。これにより、全供給機構の多用途性が高まる。
【0034】
本明細書において本発明を例示的に記載してきた。当業者であれば、本発明の広範囲の概念の精神および範囲から逸脱しない多くの変更例および修正例を容易に認識する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙機構であって、
用紙束を支持するように構成されたシャーシと、
前記用紙束の最上位用紙と係合し、前記用紙束の残りに対して前記用紙を移動させるための最上位用紙係合部材と、
前記用紙束と係合し、前記最上位用紙係合部材に対して前記用紙束の最上位用紙を付勢し、束係合構造の進行方向に平行に延伸する摩擦表面を有する束係合構造と、
前記シャーシに対する相対移動が制限されるように前記シャーシに取り付けられ、共に移動するように前記束係合構造をロック機構に固定するために、前記摩擦表面と係合するための付勢された接触フットを有するロック機構と、
前記束係合構造が、前記最上位用紙を最上位用紙係合に対して押圧するように前記ロック機構に対して移動するように前記摩擦表面から前記接触フットを係合解除するように前記シャーシに取り付けられたアクチュエータであって、前記摩擦表面と再び係合するように、前記接触フットを係合解除し、前記束係合構造が前記最上位用紙係合部材から所定の距離だけ後退するように、前記シャーシに対して前記ロック機構を移動させる、当該アクチュエータと、
を備える、給紙機構。
【請求項2】
前記束係合構造が、前記用紙束の最上位用紙が前記最上位用紙係合部材に対して付勢されるように前記用紙束を持ち上げるための弾性部材を有し、用紙束を上昇させると前記弾性部材の付勢力が低減し、前記用紙束の厚みおよび重量が低減するに連れ、付勢力も同様に低減し、前記最上位用紙が、実質的に均一な力で最上位用紙係合部材に対して付勢される、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項3】
前記アクチュエータが回転カムである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項4】
前記最上位用紙係合部材が、前記用紙束から最上位用紙を引き出すように回転するゴム引きのピッカローラである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項5】
前記ロック機構が、前記シャーシに蝶着されたロックアームと、前記ロックアームに枢着された第1種のレバーとを有し、
前記レバーの一方側および前記レバーの他方側にある接触フットが、前記摩擦表面から前記接触フットを持ち上げるために、前記カムと係合するように構成される、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項6】
前記シャーシが、前記カムに近接して形成されたストッパ形成物をさらに備え、
前記ロック機構が、前記ロックアームに固定して取り付けられたベアリング構造を有し、前記ベアリング構造が、前記ストッパに隣接するためのベアリング表面を有し、前記ロック機構が、前記接触フットを前記摩擦表面と係合状態に付勢するために、前記接触フットの反対にある前記レバーアームと前記ベアリング構造との間に弾性部材を有する、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項7】
前記第1種のレバーが、第1および第2のサイドアーム横材によって分離された一般的にU字形状であり、前記カムが、それぞれ交互に係合するために前記第1および第2のサイドアームの間に位置付けられ、前記第1のサイドアームが、接触フットと前記摩擦表面が係合解除するように作動する前記レバーアームを形成し、前記第2のアームが、前記カムが前記ロックアームおよび前記束係合構造を押すように作用する前記ベアリング表面を与えることで、前記用紙束が、前記最上位用紙係合部材から後退する、請求項6に記載の給紙機構。
【請求項8】
前記ピボットが、前記横材の前記第1のサイドアーム端部付近に位置付けられ、前記接触フットが、前記横材の前記第2のサイドアーム端部付近に位置付けられ、前記カムが、前記カムと前記第2のサイドアームとの間の摩擦により、前記接触フットが前記摩擦表面と係合状態になるように回転する、請求項7に記載の給紙機構。
【請求項9】
前記束係合構造が、前記ロックアームと同一のヒンジ軸に沿った前記シャーシに蝶着された束リフトアームである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項10】
前記摩擦表面が、前記リフトアームの前記ヒンジ軸の曲率中心を有し、前記ヒンジ軸に回転するように固定された弓形セクションである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項11】
前記束リフトアームおよび前記弓形セクションが、前記シャーシに回転可能に取り付けられたシャフトに間隔を空けて取り付けられ、前記シャフトの軸が、前記リフトアームおよび前記ロックアームのヒンジ軸と同一線上であり、前記リフトアームが、前記シャフトの周りに巻き付けられたコイルばねによって前記束を持ち上げるように付勢される、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項1】
給紙機構であって、
用紙束を支持するように構成されたシャーシと、
前記用紙束の最上位用紙と係合し、前記用紙束の残りに対して前記用紙を移動させるための最上位用紙係合部材と、
前記用紙束と係合し、前記最上位用紙係合部材に対して前記用紙束の最上位用紙を付勢し、束係合構造の進行方向に平行に延伸する摩擦表面を有する束係合構造と、
前記シャーシに対する相対移動が制限されるように前記シャーシに取り付けられ、共に移動するように前記束係合構造をロック機構に固定するために、前記摩擦表面と係合するための付勢された接触フットを有するロック機構と、
前記束係合構造が、前記最上位用紙を最上位用紙係合に対して押圧するように前記ロック機構に対して移動するように前記摩擦表面から前記接触フットを係合解除するように前記シャーシに取り付けられたアクチュエータであって、前記摩擦表面と再び係合するように、前記接触フットを係合解除し、前記束係合構造が前記最上位用紙係合部材から所定の距離だけ後退するように、前記シャーシに対して前記ロック機構を移動させる、当該アクチュエータと、
を備える、給紙機構。
【請求項2】
前記束係合構造が、前記用紙束の最上位用紙が前記最上位用紙係合部材に対して付勢されるように前記用紙束を持ち上げるための弾性部材を有し、用紙束を上昇させると前記弾性部材の付勢力が低減し、前記用紙束の厚みおよび重量が低減するに連れ、付勢力も同様に低減し、前記最上位用紙が、実質的に均一な力で最上位用紙係合部材に対して付勢される、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項3】
前記アクチュエータが回転カムである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項4】
前記最上位用紙係合部材が、前記用紙束から最上位用紙を引き出すように回転するゴム引きのピッカローラである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項5】
前記ロック機構が、前記シャーシに蝶着されたロックアームと、前記ロックアームに枢着された第1種のレバーとを有し、
前記レバーの一方側および前記レバーの他方側にある接触フットが、前記摩擦表面から前記接触フットを持ち上げるために、前記カムと係合するように構成される、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項6】
前記シャーシが、前記カムに近接して形成されたストッパ形成物をさらに備え、
前記ロック機構が、前記ロックアームに固定して取り付けられたベアリング構造を有し、前記ベアリング構造が、前記ストッパに隣接するためのベアリング表面を有し、前記ロック機構が、前記接触フットを前記摩擦表面と係合状態に付勢するために、前記接触フットの反対にある前記レバーアームと前記ベアリング構造との間に弾性部材を有する、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項7】
前記第1種のレバーが、第1および第2のサイドアーム横材によって分離された一般的にU字形状であり、前記カムが、それぞれ交互に係合するために前記第1および第2のサイドアームの間に位置付けられ、前記第1のサイドアームが、接触フットと前記摩擦表面が係合解除するように作動する前記レバーアームを形成し、前記第2のアームが、前記カムが前記ロックアームおよび前記束係合構造を押すように作用する前記ベアリング表面を与えることで、前記用紙束が、前記最上位用紙係合部材から後退する、請求項6に記載の給紙機構。
【請求項8】
前記ピボットが、前記横材の前記第1のサイドアーム端部付近に位置付けられ、前記接触フットが、前記横材の前記第2のサイドアーム端部付近に位置付けられ、前記カムが、前記カムと前記第2のサイドアームとの間の摩擦により、前記接触フットが前記摩擦表面と係合状態になるように回転する、請求項7に記載の給紙機構。
【請求項9】
前記束係合構造が、前記ロックアームと同一のヒンジ軸に沿った前記シャーシに蝶着された束リフトアームである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項10】
前記摩擦表面が、前記リフトアームの前記ヒンジ軸の曲率中心を有し、前記ヒンジ軸に回転するように固定された弓形セクションである、請求項1に記載の給紙機構。
【請求項11】
前記束リフトアームおよび前記弓形セクションが、前記シャーシに回転可能に取り付けられたシャフトに間隔を空けて取り付けられ、前記シャフトの軸が、前記リフトアームおよび前記ロックアームのヒンジ軸と同一線上であり、前記リフトアームが、前記シャフトの周りに巻き付けられたコイルばねによって前記束を持ち上げるように付勢される、請求項1に記載の給紙機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−542554(P2009−542554A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518677(P2009−518677)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000591
【国際公開番号】WO2008/006138
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000591
【国際公開番号】WO2008/006138
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
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