説明

給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】温湿度環境が変化しても、高速機に適用可能な重送やノーフィード防止が可能な給紙装置と、そのような給紙装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】積層された用紙を搭載して上下に移動する用紙載置台と、最上の用紙位置を検知する用紙位置検知手段と、該用紙位置を所定の給紙位置に維持する給紙位置変更手段と、最上の用紙を送り出す送り出し手段と、用紙を受け取る給紙ローラと、該給紙ローラに圧接する重送防止用の捌きローラと、該給紙ローラと前記送り出し手段との間にあって送り出された用紙の先端が当接して乗り越える傾斜面を備えた傾斜面保有部材と、周囲の温度及び湿度を検知する温度検知手段及び湿度検知手段と、を有し、前記温度検知手段及び湿度検知手段に検知される温度及び湿度が低温低湿基準値の値より低いとき、前記最上の用紙位置を前記所定の給紙位置より高い位置に変更することを特徴とする給紙装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給紙装置、及びそれを備えた複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置では、給紙トレイなどの給紙装置から、用紙を1枚ずつ供給し、画像形成部で電子写真方式により形成されたトナー像を転写部において用紙上に転写し、可視画像を定着形成している。
【0003】
このような画像形成装置では、温湿度等室内環境の変化、用紙表面の摩擦係数、用紙間の静電的な吸着力等の理由で用紙間の分離が困難な場合があり、複数の用紙が重なった状態、或いは階段状にずれて重なった状態で搬送されるいわゆる重送という現象が起きる。一方、この重送とは別に、用紙を送り出すことができないノーフィードという問題もある。
【0004】
また、使用される用紙の斤量、サイズ、材質等が多様化しており、斤量は50g/m程度の薄いものから350g/m程度の厚いものまで、サイズはハガキサイズから13×18インチの大きさまでが一般に使用されている。更に紙種は、普通紙、再生紙、コート紙、特殊加工紙、と多種の用紙の給紙が求められ、重送やノーフィードが起き易くなっている。
【0005】
従来、重送の防止法としては、捌きローラを使用する方法、傾斜面保有部材を乗り越えさせる方法、送り出しローラと用紙との接触圧を調整する方法等が知られている。
【0006】
捌きローラを用いる給紙装置としては、特許文献1(特開平6−107349号)がある。この給紙装置は、用紙の上から圧接する送り出しローラと、重送防止のための給紙ローラと捌きローラとを備えている。給紙するときには、先ず用紙の上面位置が設定位置まで上昇し、給紙信号により送り出しローラと給紙ローラとが同時に回転を開始する。所定の位置で用紙上面に圧接した送り出しローラは、用紙を給紙ローラと捌きローラとのニップ位置に送り込む。捌きローラには、トルクリミッタが接続されていて、給紙ローラに圧接している。捌きローラに接続しているトルクリミッタは、給紙ローラと捌きローラが直接接触したとき(ニップ間に用紙がないとき)、または用紙が1枚ニップ間に送り込まれたとき、リミットトルクを越えてすべり、捌きローラは給紙ローラに従動して回転する。しかし、用紙が2枚以上ニップ間に送り込まれた場合、リミットトルクが用紙間の摩擦力に打ち勝って、捌きローラを逆方向に回転させ、下側の用紙を押し戻して重送(多数枚送り)を防止している。以上のようにして、1枚ずつ分離されて給紙された用紙はレジストローラへと搬送され、画像形成される。
【0007】
また、傾斜面保有部材の傾斜面を乗り越えさせる方法は、送り出しローラで送り出した用紙の先端を傾斜面保有部材の傾斜面に突き当てることで、重なっている用紙をこの傾斜面で1枚ずつに分離するようにするものである。給紙性能を向上させるために、この傾斜面に抵抗部材を追加するものもある。
【0008】
特許文献2(特開2007−55705号)は、この傾斜面を使用したものであるが、特に、傾斜面の角度を変えることができる可動式の構成と、高さ方向で角度を変えている固定式の構成とを有するものである。固定式の構成においては、用紙束の最上の位置を変更しうる給紙位置変更手段も備えている。
【0009】
特許文献3(特開2004−277114号)も、この傾斜面を使用したものであるが、特に、積載された用紙にカールがある場合でも、重送を防止できるようにした例である。すなわち、積載された用紙のカールの程度をセンサで検知し、カールの程度により傾斜面の傾斜角を変更できるようにしている。
【0010】
これらの技術は重送やノーフィードに対してそれなりに効果が認められるが、温湿度条件によっては最適な条件が変わってしまうという問題がある。
【0011】
この問題を解決するために、温湿度条件によって傾斜面保有部材の傾斜面の角度を変化させるという技術が特許文献4(特開2003−112838号)に開示されている。特許文献4は用紙の厚みや弾力性によりこの傾斜面の角度を変化させるというものである。
【0012】
しかしながら、傾斜面保有部材の傾斜面の角度を変化させるためには、この傾斜面を可動にする構成が必要であり、かつ、傾斜面を傾けるための動力源が必要となり、コストアップの要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−107349号公報
【特許文献2】特開2007−55705号公報
【特許文献3】特開2004−277114号公報
【特許文献4】特開2003−112838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、簡単な構成でありながら、温湿度条件が変化しても重送やノーフィードを生じさせない給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0016】
1.積層された用紙を用紙束として搭載し、上下方向に移動する用紙載置台と、
前記用紙束の最上の用紙を検知する給紙位置検知手段と、
前記給紙位置検知手段の検知に基づいて、前記用紙束の最上の用紙位置が所定の給紙位置を維持するように前記用紙載置台を移動させる給紙位置変更手段と、
前記用紙束の最上の用紙を送り出す送り出し手段と、
送り出された用紙を受け取る給紙ローラと、
該給紙ローラに圧接する重送防止用の捌きローラと、
該給紙ローラと前記送り出し手段との間にあって前記送り出し手段から送り出された用紙の先端が当接して乗り越える傾斜面を備えた傾斜面保有部材と、
周囲の温度及び湿度を検知する温度検知手段及び湿度検知手段と、を有し
前記温度検知手段及び湿度検知手段により検知される温度及び湿度が予め設定した低温低湿基準値の値より低いとき、前記用紙束の最上の用紙位置を前記所定の給紙位置より高い位置に変更することを特徴とする給紙装置。
【0017】
2.前記湿度検知手段により検知される湿度が予め設定した高湿基準値の値より高いとき、前記用紙束の最上の用紙位置を前記所定の給紙位置より低い位置に変更することを特徴とする前記1に記載の給紙装置。
【0018】
3.用紙の種別に適応した給紙位置を記憶する給紙位置決定手段を有し、使用される用紙の種別に応じて、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする前記1又は2に記載の給紙装置。
【0019】
4.給紙ミスの発生頻度をカウントする給紙ミス対応手段を有し、該給紙ミス対応手段によりカウントされる給紙ミスの発生頻度が予め設定した給紙ミス発生頻度基準値を超えるとき、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0020】
5.前記送り出し手段が前記用紙束の最上の用紙の送り出しを開始してから、前記送り出し手段の用紙搬送方向の下流側に位置する搬送ローラに達するまでの給紙時間を計測する給紙時間対応手段を有し、
該給紙時間に応じて、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0021】
6.用紙のカールの方向と大きさを検知するカール対応手段を有し、該カール対応手段の検知結果に応じて、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0022】
7.前記傾斜面保有部材の前記傾斜面は、該傾斜面に当接する用紙とのなす角度が、用紙の進行方向に沿って角度が緩くなるように形成されていることを特徴とする前記1から6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0023】
8.前記傾斜面保有部材と用紙とのなす傾斜角が0°を超え90°未満であることを特徴とする前記1から7のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0024】
9.前記1から8のいずれか1項に記載の給紙装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、特別な機構や新たな動力源を用いることなく、周囲の温度又は湿度が変化しても重送やノーフィードの発生を抑制しうる給紙装置、又はそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】大容量の給紙装置であるLCTの断面図である。
【図3】本発明に係る給紙装置の第1及び第2の実施形態における送り出しユニット50A、50Bを拡大した平面図である。
【図4】図2の給紙装置の第1の実施形態における送り出しユニット50Aの周辺部分を拡大した拡大断面図である。
【図5】本発明の給紙装置の一般的な動作に係る制御系のブロック図である。
【図6】本発明の給紙装置の第2の実施形態における送り出しユニット50Bの構成を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の給紙装置において、特殊な手段を含む手段により給紙位置を変える際の動作に係る制御系のブロック図である。
【図8】本発明の給紙装置において、給紙位置を変更する手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態の構成及び動作について説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態を示す概略断面図である。図1に示す画像形成装置は、電子写真方式により用紙上に画像を形成する画像形成装置本体10と、原稿を読取位置に搬送する自動原稿搬送装置20と、第1後処理装置30と、第2後処理装置40とから構成される。第2後処理装置40は、画像形成装置本体10で画像形成されて第1後処理装置30から搬送される用紙に対し、綴じ処理等の後処理を行う装置である。自動原稿搬送装置20は、原稿が載置される原稿給紙台21と、原稿を読取位置上に搬送するプラテンローラ22と、読取済み原稿が載置される原稿排紙台23とを有する。
【0029】
画像形成装置本体10は、感光体11と、画像形成部12と、収納部13a、13b、13cと、給紙部18a、18b、18cと、反転給紙部14と、定着器15と、を有する。画像形成部12は、感光体11に対して帯電、露光、現像を行ってトナー像を形成し、感光体11に形成されたトナー像を用紙に転写する。収納部13a、13b、13cは種々のサイズの用紙をそれぞれサイズ毎に区別して収納する。給紙部18a、18b、18cは、各収納部13a、13b、13cから用紙を1枚ずつ搬出し、画像形成部12へと搬送する、ローラ群を備える。反転給紙部14は、用紙の両面への画像形成に際して片面記録された用紙を反転し、画像形成部12へと搬送する。定着器15は用紙上に転写されたトナー像を定着する。画像形成装置は更に、大容量の給紙装置であるLCT50を備えており、LCT50から画像形成部12に給紙して画像を形成する。
【0030】
制御手段95は、画像形成装置本体10に内蔵され、画像形成装置各部の動作を制御するとともに、自動原稿搬送装置20、第1後処理装置30、第2後処理装置40、及びLCT50との間における信号の授受により、これらの装置との動作の連係を司っている。
【0031】
図2は大容量の給紙装置であるLCT50の断面図である。用紙Pは昇降可能な用紙載置台としての給紙台52に載置される。給紙台52に載置された用紙束の最上に位置する用紙Pが所定の給紙位置まで上昇すると、最上に位置する用紙Pの上面に、送り出し手段としての送り出しローラ53が接触し、用紙Pを最上位のものから順に送り出す。即ち、用紙束の最上位に位置する用紙Pの高さが所定の給紙位置となる。給紙ローラ54と、トルクリミッタにより回転を規制され、給紙ローラ54に圧接する捌きローラ55とにより用紙Pは1枚に分離され、分離された用紙Pは搬送ローラ56に搬送されて画像形成部12(図1参照)に搬送される。送り出しローラ53、給紙ローラ54、捌きローラ55、及びその周辺の部材は後述する給紙装置の第1の実施形態における送り出しユニット50A、又は第2の実施形態における送り出しユニット50Bを構成する。
【0032】
給紙台52は、LCT50の枠51の底部に設けられた給紙位置変更手段としての2個のモータ60、70により駆動されて給紙台52を図の上下方向(矢印bの方向)に昇降する。前方昇降用モータとしてのモータ70は給紙方向aの前方部において給紙台52を昇降し、後方昇降用モータとしてのモータ60は給紙方向aの後方部において給紙台52を昇降する。給紙台52の給紙方向a後端部の昇降機構はモータ60、モータ60の回転軸61の両端に固定されたワイヤプーリ62、63、これらワイヤプーリ62、63に一端が取り付けられたワイヤ66、67及び枠51に取り付けられた滑車64、65からなる。ワイヤ66、67は、給紙方向aに直交し、かつ、紙面に垂直な方向の給紙台52の両後端部を支持している。給紙台52の給紙方向aの先端部の昇降機構はモータ70、モータ70の回転軸71に固定されたワイヤプーリ72、73、これらワイヤプーリ72、73に一端が取り付けられたワイヤ76、77及び枠51に取り付けられた滑車74、75からなる。ワイヤ76、77は、給紙台52の給紙方向aに直交し、かつ、紙面に垂直な方向の両前端部を支持している。
【0033】
モータ60、70は、用紙束の最上の用紙位置を給紙位置として検知する、後述する給紙位置検知手段としてのセンサSu、Ss、Sdの出力に基づいて作動し、用紙Pの消費に伴って給紙台52をb方向に上昇させて給紙位置を常に一定のレベルに維持する。従って、給紙台52上の用紙Pの量の変動に左右されない安定した給紙が行われる。
【0034】
枠51には、用紙幅の両端部において用紙Pを案内する案内板80、81が用紙幅に応じて移動可能に設けられる。また、枠51には、給紙方向aの後端部において用紙Pを案内する後端案内部材としての案内板82が給紙方向aに移動可能に設けられ、用紙サイズに応じた位置に設定される。
【0035】
図2に示すように、モータ60、70の回転軸61、71にはそれぞれエンコーダ68、78が固定され、エンコーダ68、78の回転量がセンサ69、79によりそれぞれ検知される。
【0036】
図3は、本発明に係る給紙装置の第1及び第2の実施形態における送り出しユニット50A、50Bを拡大した平面図である。図4は、図2の給紙装置の第1の実施形態における送り出しユニット50Aの周辺部分を拡大した拡大断面図である。
【0037】
送り出しユニット50A、50Bは、送り出しローラ53、給紙ローラ54、給紙ローラ54の軸54a、ベルト57、センサSu、Ss、Sd、連結ロッド91、93、センサSd、Ss、Su、及び傾斜面保有部材100、200、210等からなる。本発明の給紙装置における第1の実施形態と第2の実施形態との違いは、傾斜面保有部材100と傾斜面保有部材200及び210との形状の違いである。
【0038】
始めに、第1の実施形態の送り出しユニット50Aについて、図3及び図4を用いて説明する。
【0039】
図3及び図4において、送り出しローラ53は、用紙束の最上の用紙Pを確実に送り出せるように、溝付きローラとなっている。給紙ローラ54と送り出しローラ53とは、連結ロッド91、93で結合され、給紙ローラ54の軸54aが駆動軸となり、給紙ローラ54の回転がベルト57により送り出しローラ53に伝達される。また、給紙ローラ54の軸54aを中心に送り出しローラ53が回動自在に保持されており、送り出しローラ53は、自重によって、用紙の上面に圧接した状態を保つことができる。従って、用紙Pを送り出す高さ(給紙位置)が上下方向に変化しても用紙Pは正常に送り出される構成となっている。
【0040】
用紙束の最上の用紙Pの用紙高さを検知するアクチュエータ90は、軸54aに回動自在に取り付けられる支軸部90aと、送り出しローラ53の軸を遊嵌する環状部を備えた検知部90bと、センサSu、Ss、Sdを遮光する遮光部90cと、を有する。遮光部90cより検知部90bの方が重いので、検知部90bの方が下がり、検知部90bの下端が用紙束の最上の用紙Pに当接することで、用紙束の上端位置が識別される。給紙装置のフレームに設けられた3つの光電素子からなるセンサSu、Ss、Sdは、それぞれ投光器と受光器を備えており、アクチュエータ90の遮光部90cが投光器と受光器の間に進入してセンサSu、Ss、Sdを遮光することで、最上の用紙Pの高さを検知する。センサSu、Sdの中間に位置するセンサSsは、温湿度等の条件が通常状態にあるとき、給紙位置Psの位置を所定の給紙位置として給紙台52を停止させるように検知する。センサSsより下方に位置するセンサSdは、所定の給紙位置より低い位置Pdを検知し、センサSsより上方に位置するセンサSuは、所定の給紙位置より高い位置Puを検知して給紙台52が停止される。遮光部90cが給紙位置検知手段としての3つのセンサSd、Ss、Suのいずれにより検知されるかは、制御手段95からの指示により決定される。制御手段95は、温湿度等の環境条件、用紙の種別、給紙ミスの発生頻度、給紙時間の長短、用紙のカールの度合等の諸条件(後述)の情報から、いずれかのセンサを選択する。即ち、用紙の重送が発生し易い条件にあるときには、給紙位置を所定の給紙位置より低い位置Pdに設定することにより用紙搬送の抵抗力を増やし、追随する用紙の搬送を阻止することができる。また、ノーフィードが発生し易い条件にあるときには給紙位置を所定の給紙位置より高い位置Puに設定することにより、用紙搬送の抵抗力を減らして用紙搬送を円滑にすることができる。
【0041】
3つのセンサSd、Ss、Suの内のいずれか1つのセンサが選択されると、それに対応する給紙位置Pu、Ps、Pd(図4参照)が決定され、用紙束の最上の用紙Pは、決定したいずれかの給紙位置から送り出される。
【0042】
本発明の第1の実施形態では、図3、図4に示すように、送り出しローラ53と給紙ローラ54との間に、傾斜角θの一様な傾斜面100aを有する傾斜面保有部材100が設けられている。3つの給紙位置Pu、Ps、Pdのいずれかから送り出される用紙Pは、この傾斜面100aに当接し、傾斜面100aを乗り越えて画像形成部12へ向けて送り出されるように設定されている。
【0043】
なお、本発明者は、実験を通して、第1の実施形態における傾斜面保有部材100の傾斜面100aの傾斜角θは、0°を超え90°未満の範囲に設定することで良い結果が得られることを確認している。
【0044】
本実施の形態によれば、傾斜面保有部材100の傾斜面100aは固定であり、傾斜面100aに用紙Pが当接する位置により用紙搬送の抵抗力をコントロールしているため、傾斜面100aを可動式にする必要がない。従って、構成を簡略にすることができ、かつ動力源としてのモータは本来給紙台52を昇降させるためのものであり、特別に設ける必要がないため、製造コストを低く抑えることができる。
【0045】
図5は、本発明の給紙装置の一般的な動作に係る制御系のブロック図である。温湿度等の環境条件等の条件が通常状態にあるとき、給紙位置変更手段としてのモータ60、70は、制御手段95により、センサ69、79及びセンサSsを介して次のように制御される。制御手段95は、用紙Pの給紙位置が所定の給紙位置Psより低下したことをセンサSsが検知すると、検知した信号に基づいてモータ60、70を作動させ、給紙台52を上昇させて用紙Pの位置を上昇させる。モータ60、70の作動により用紙Pの位置が所定の給紙位置Psに達すると、センサSsからの検知信号に基づきモータ60、70を停止させる。
【0046】
制御手段95は、また、センサ69、79の回転検知信号に基づいてモータ70の回転量が常にモータ60の回転量に等しいように制御する。その結果、給紙台52は常に水平な姿勢を保持して図2の矢印b方向に昇降する。
【0047】
図5の給紙装置の制御系のブロック図において、制御手段95には、用紙データを入力する入力部96があり、ここから給紙装置であるLCT50に収容されている用紙Pの種別などのデータを入力できるようになっている。この入力部96は、画像形成装置本体10の入力部を利用することができる。入力データの例としては、例えば、A4サイズの普通紙で斤量は○○g/mであるとか、B5サイズのコート紙で斤量は△△g/mである等である。入力されたデータは制御手段95のメモリ95aに記憶される。
【0048】
また、制御手段95は、予め実験により設定される、用紙の種別に応じた最適な給紙位置を表として記憶するプログラムからなる給紙位置決定手段97を備えている。制御手段95は、入力部96から用紙Pのデータが入力されると、このデータを給紙位置決定手段97内のデータのどの紙種に一致するかを探しだし、その紙種に最適な所定の給紙位置を選定する。制御手段95は、この所定の給紙位置の情報に基づいて、給紙位置調整手段101に指示を出し、給紙位置を調整させる。
【0049】
なお、本発明の給紙装置は、LCT50に限定されるものではなく、各収納部13a、13b、13cと、これらに対応する各給紙部18a、18b、18cとであっても良く、これらはLCT50とは別の3つの給紙装置を構成している。各給紙装置には、それぞれサイズや紙質の異なる用紙Pが収納されているが、これらの用紙Pのデータは、予め入力部からメモリ95aに入力しておくことができる。従って、オペレータが給紙装置の1つを選択すれば、制御手段95は、給紙位置決定手段97を介して、その給紙装置に収納されている用紙Pに合った給紙位置を決定することができ、給紙位置調整手段101により指示された給紙位置が設定される。
【0050】
本実施形態に係る給紙位置調整手段101は、制御基板からなり、制御手段95からの指示に基づいて3つのセンサSu、Ss、Sdのいずれか1つに接続する回路を選び、残りの回路を遮断することにより、使用するセンサを選択する。
【0051】
制御手段95は、給紙位置調整手段101により1つのセンサを選択するとき、使用する用紙が厚紙や剛性の高い紙の場合は、傾斜面100aを乗り越え難いので給紙位置が傾斜面100aの上方に位置する給紙位置Puを選択すべく、センサSuを選定する。また、薄紙や剛性の低い紙の場合は、給紙位置が傾斜面100aの下方に位置する給紙位置Pdを選択すべく、センサSdを選定して重送の発生を防止する。即ち、給紙位置調整手段101により、センサSuが選択された場合は、アクチュエータ90の遮光部90cがセンサSuに検知されるまで給紙台52が上昇し、用紙束の最上位の用紙Pは給紙位置Puの位置に達する。同様に、センサSdが選択された場合は、最上位の用紙Pは給紙位置Pdの位置に達し、センサSsが選択された場合は最上位の用紙Pは所定の給紙位置Psの位置に達する。かくして、給紙位置調整手段101が3つのセンサSu、Ss、Sdのいずれか1つを選択することにより、用紙束の最上位の用紙Pは給紙位置Pu、Ps、Pdのいずれかの位置から送り出されるように設定される。
【0052】
以上の構成は従来の給紙装置と同じである。以下、本発明の特徴的な構成を以下に説明する。
【0053】
本発明に係る温度検知手段としての温度検知センサ98、及び湿度検知手段としての湿度検知センサ99は、画像形成装置に内蔵され、画像形成装置の周囲の温度及び湿度を検知する。制御手段95にはメモリ95aが内蔵されており、環境条件が低温低湿であるかどうかを判定する基準となる低温低湿基準値、及び、高湿であるかどうかを判定する基準となる高湿基準値が記憶されている。
【0054】
また、本発明に係る給紙位置決定手段97は、用紙種別と給紙位置とを対比させて用紙Pの種別に応じた給紙位置を選択するとともに、周囲の温湿度に応じて、それに対応する最適な給紙位置を対比させ、温湿度に応じた給紙位置を選択するプログラムからなる。
【0055】
制御手段95は、温度検知センサ98、及び湿度検知センサ99により検知される温度及び湿度が、ともに低温低湿基準値より低いときには、画像形成装置内外の環境条件が低温低湿の状態にあると判断する。そして、後述の給紙位置決定手段及び給紙位置調整手段を介して給紙位置を変更させ、低温低湿時に発生し易いノーフィードに備える。具体的には、傾斜面保有部材100の傾斜面100aに対して用紙Pが進入する給紙位置をより高い位置に設定することにより、傾斜面100aからの抵抗を小さくして用紙の搬送性を高めるものである。
【0056】
また、制御手段95は、湿度検知センサ99により検知される湿度が、高湿基準値より高いとき、画像形成装置内外の環境条件が高湿の状態にあると判断し、給紙位置決定手段及び給紙位置調整手段を介して給紙位置を変更させ、高湿時に発生し易い重送に備える。具体的には、傾斜面保有部材100の傾斜面100aに対して用紙Pが進入する給紙位置をより低い位置に設定することにより、傾斜面100aからの抵抗を大きくして重なる用紙を分離させ、重送を防止するものである。
【0057】
つまり、給紙位置を決定する要因としては、前述した用紙Pの種別と、本発明に係る温湿度とがあり、本発明に係る給紙位置決定手段97は、これら2つの要因を組み合わせた実験に基づいて作成されたデータをプログラムとして保有するものである。
【0058】
また、本発明に係る給紙位置調整手段101の制御基板にはタイマを含む制御回路が備えられており、用紙Pの種別により決定された給紙位置を、更に温湿度に応じた位置に再設定することができる。例えば、用紙Pの種別により決定された給紙位置をより高い位置に再設定するときには、アクチュエータ90がセンサSu、Ss、Sdを検知した時点からタイマを動作させてモータ60、70の回転する時間を延長させるという構成である。即ち、モータ60、70の回転する時間をタイマにより延長させることにより、給紙台52の停止位置をより高い位置とする。また、温湿度に応じて変更したい給紙位置をより低い位置にしたい場合には、用紙種別に応じて決定される給紙位置を予め全体に低い位置に設定しておき、通常の温湿度時においては、タイマにより上昇させた位置を所定の給紙位置として設定する構成とすれば良い。
【0059】
本発明によれば、用紙の種別に応じて給紙位置を変化させることにより、用紙種別による搬送性の違いに対応することができるとともに、周囲の温湿度に対応して給紙位置を変化させることにより、温湿度による搬送不良の発生を抑制することができる。
【0060】
図6は、本発明の給紙装置の第2の実施形態における送り出しユニット50Bの構成を示す拡大断面図であり、図6(a)は第1の実施形態の図4に対応する拡大断面図、図6(b)は傾斜面保有部材の変形例を示す図である。
【0061】
第1の実施形態と共通する部分は同一の符号を付し、相違点を中心に以下に説明する。この第2の実施形態は、傾斜面保有部材200の傾斜面200aを曲面としたものである。傾斜面200aの傾斜角は、傾斜面保有部材200の上方、すなわち、用紙の進行方向に沿って緩くなる。所定の給紙位置Psにおける傾斜角をθ0としたとき、使用される用紙が厚紙や剛性の高い紙の場合は、給紙位置が傾斜面200aのより上方に位置するように、センサSuにより給紙位置Puの位置に設定され、傾斜面200aの傾斜角はθ1となる。また、薄紙や剛性の低い紙の場合は、給紙位置は傾斜面200aのより下方に位置するように、センサSdを用いて給紙位置Pdに設定され、傾斜面200aの傾斜角はθ2となる。ここで、傾斜角は、θ2>θ0>θ1となるように設定されている。そして、センサSu、Ss、Sdによる用紙の高さを給紙位置で示すと、センサSdによる用紙の高さは、Pdに示す低い給紙位置になり、傾斜角θ2は大きくなる。逆に、センサSuによる用紙の高さは、Puに示す高い給紙位置になり、傾斜角θ1は小さくなる。即ち、本第2の実施形態では、用紙Pの給紙位置が変わると、用紙Pの先端が当接する傾斜面200aの傾斜角θも変化するようになっている。
【0062】
図6(b)は、傾斜面保有部材の変形例を示す概略図である。この傾斜面保有部材210は、中間の2箇所が折れた形状の3つの平面からなる傾斜面210aを有している。傾斜面210aの傾斜角は、図6(a)の傾斜面200aと同様に、上側がθ1、下側がθ2、中間がθ0で、θ2>θ0>θ1の関係にある。この傾斜面保有部材210を使用する場合は、傾斜角がθ0、θ1、又はθ2のいずれを利用するか、3者択一の選択となる。
【0063】
なお、本発明者は、実験を通して、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態における傾斜面保有部材200、210の傾斜面200a、210aの傾斜角θ0、θ1、θ2を、0°を超え90°未満の範囲に設定することで良い結果を得ている。
【0064】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、傾斜面保有部材200、210の傾斜面200a、210aは固定であり、傾斜面200a、210aへの用紙Pの当接位置で用紙P搬送の抵抗力をコントロールしており、傾斜面100aを可動式にする必要がない。従って、第1の実施形態と同様に、構成を簡略にすることができ、かつ動力源としてのモータやソレノイドが不要であるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0065】
また、第1の実施形態より多くの傾斜角を設定できるため、種々の条件変化に対応しうる給紙位置を設定することができる。
【0066】
第2の実施形態では、用紙の高さを3通りとし、センサSu、Ss、Sdの3つのセンサを使用したが、傾斜面100aが曲面なので、用紙Pの高さを多様に変化させることで、傾斜角を3つ以上に細かく変更することが可能となる。その場合、センサの数を増加してもよいが、センサSu、Ss、Sdのいずれか1つとし、そのセンサの高さを可動式のセンサ保持部材で上下方向に移動する構成としても良い。また、支軸部90aにエンコーダ68を設けてアクチュエータ90bの傾斜角を検知できるようにすることで、センサの数を1つだけにして、多数の用紙高さを設定することもできる。
【0067】
図7は、本発明の給紙装置において、特殊な手段を含む手段により給紙位置を変える際の動作に係る制御系のブロック図である。図5のブロック図と同様に、用紙の高さ(給紙位置)は、センサSu、Ss、Sdにより設定され、図4又は図6(a)のPu、Ps、Pdに示す位置となる。
【0068】
図7において、温度検知センサ98、及び湿度検知センサ99からの温湿度データ、センサ69、79、及びセンサSu、Ss、Sdからの用紙位置情報、及び入力部から入力される用紙のデータについては、図5のブロック図と同一であり、説明は省略する。図7で特徴的な構成は、給紙時間対応手段111、給紙ミス対応手段112、及びカール対応手段113を備えていることである。
【0069】
本発明に係る給紙ミス対応手段112は、発生したフィードジャムや重送をカウントして発生頻度を記憶し、その発生頻度が予め設定した給紙ミス発生頻度基準値を超える場合に給紙位置を変化させる手段である。この給紙ミス対応手段112は、図示しないジャム検知センサ、ジャム検知センサにより検知されたフィードジャムの発生回数をカウントするカウンタ、及びフィードジャムの発生頻度とそれを防止するための最適な給紙位置とを対比させたプログラムからなる。
【0070】
このプログラムは実験に基づいて作成され、用紙の種別に応じて、フィードジャムや重送の発生頻度とそれを防止するための給紙位置とを対比させたものである。フィードジャムや重送の発生頻度が用紙の種別により差があるとき、フィードジャムの発生頻度が高い用紙を用いる場合には、第1の実施形態においては、給紙位置を高くして傾斜面の抵抗を小さくする。また、第2の実施形態においては、傾斜角度を緩くするために給紙位置を高くする。重送が起こりやすい用紙を用いる場合は、第1の実施形態においては、給紙位置を低くして傾斜面の抵抗を大きくし、第2の実施形態においては、傾斜角度を強くするために給紙位置を下げる。フィードジャムや重送の発生頻度が用紙の種別により差があるかどうかは、制御手段95により判断される。
【0071】
用紙の種別による差がなく、フィードジャム及び重送の発生頻度が高いときには、プログラムは用紙に関係なく、フィードジャムの発生頻度が高い場合には給紙位置を高くし、重送の発生頻度が高い場合には給紙位置を低くするように作成されている。
【0072】
本発明に係る給紙時間対応手段111は、送り出しローラ53が用紙の送り出しを開始してから、例えば、搬送ローラ56に達するまでの給紙時間を測定する手段であり、この時間を計測することにより、用紙ジャムを未然に防止する狙いがある。この時間を測定するには、送り出しローラ53と搬送ローラ56とのそれぞれの近傍に図示しない用紙位置検知センサを配設することで可能となる。用紙が送り出しローラ53から搬送ローラ56に達するまでの給紙時間が下限として予め設定した給紙時間基準値より短い場合は用紙搬送に対する抵抗が小さすぎるものと判断し、第1の実施形態においては、給紙位置を低くして傾斜面の抵抗を大きくする。第2の実施形態においては、傾斜角度を強く(θを大きく)するように給紙位置を低くする。給紙時間が上限として予め決められた給紙時間基準値より長い場合は、用紙搬送に対する抵抗が大きすぎるものと判断し、第1の実施形態においては、給紙位置を高くして傾斜面の抵抗を小さくする。第2の実施形態においては、傾斜角度を緩く(θを小さく)するように給紙位置を高くする。
【0073】
本発明に係るカール対応手段113は、給紙装置内に収容されている用紙のカールを検知し、カールの大きさが予め設定した用紙カール基準値を超える場合に給紙位置を変化させるものである。カール対応手段113は、カールの方向と大きさとを測定するカール測定手段と、カールの方向と大きさとに応じてそれに対応する給紙位置を対比させたプログラムとからなる。カール測定手段としては、例えば、前記特許文献3(特開2004−277114)に記載された構成を使用することができる。即ち、用紙の高さを、用紙搬送方向の異なる位置で用紙上面に当接する回動自在なアームと、アームの回転量を検出するエンコーダとにより測定し、測定した異なる位置での値から、カールの方向と大きさとを算出するという構成である。即ち、用紙の先端部と中央部との高さの測定値から、用紙が上に凸のカールか下に凸のカールかのカールの方向と、その大きさとが判る。カールの方向が上に凸のカールであり、大きさが用紙カール基準値より大きい場合、用紙は傾斜面100a、200a、210aに対して用紙先端の抵抗が大きく、ノーフィードを生じさせる危険性が高い。従って、用紙が上に凸のカールである場合には用紙を傾斜面100a、200a、210aの高い位置で当接させることにより用紙搬送に対する抵抗を弱め、ノーフィードの発生を防止することができる。また、カールの方向が下に凸のカールで、大きさが用紙カール基準値より大きい場合には用紙下面が滑り易く、重送を起こし易い。従って、用紙が下に凸のカールである場合には用紙を傾斜面100a、200a、210aの低い位置で当接させることにより用紙搬送に対する抵抗を強め、重送の発生を防止することができる。
【0074】
本実施の形態によれば、用紙の搬送不良やカールに応じて適切な給紙位置を設定することができ、用紙の搬送性を向上させることができる。
【0075】
図8は、本発明の給紙装置において、給紙位置を変更する手順を説明するためのフローチャートである。
【0076】
図8において、始めに、用紙Pが給紙装置に装填される(ステップS11)。次に、温度検知センサ98及び湿度検知センサ99からの検知信号により、制御手段95は、検知された温度及び湿度が予め設定した低温低湿基準値の値より低いかどうかを確認する(ステップS12)。低温低湿基準値の値より低ければ(ステップS12肯定)ステップS13に進み、低くなければ(ステップS12否定)ステップS14に進む。
【0077】
ステップS13において、制御手段95は、給紙位置決定手段97、給紙位置調整手段101、及び給紙位置変更手段としてのモータ60、70を動作させ、用紙Pの位置が所定の給紙位置より高い位置となるように給紙台52を移動させる(ステップS13)。
【0078】
低温低湿基準値の値より低くなければステップS14に進み、制御手段95は、検知された湿度が予め設定した高湿基準値の値より高いかどうかを確認する(ステップS14)。高湿基準値の値より高ければ(ステップS14肯定)ステップS15に進み、高くなければ(ステップS14否定)ステップS16に進む。
【0079】
ステップS15において、制御手段95は、給紙位置決定手段97、給紙位置調整手段101、及びモータ60、70を動作させ、用紙Pの位置が所定の給紙位置より低い位置となるように給紙台52を移動させる(ステップS15)。
【0080】
高湿基準値の値より高くなければステップS16に進み、制御手段95は、給紙位置決定手段97、給紙位置調整手段101、及びモータ60、70を動作させ、用紙Pの位置が所定の給紙位置となるように給紙台52を移動させる(ステップS16)。
【0081】
給紙台52の移動が完了した後、制御手段95は、送り出しローラ53を回転させて用紙Pを給紙台52から送り出す(ステップS17)。
【0082】
本実施の形態によれば、周囲の温湿度に自動的に対応しうる給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 画像形成装置本体
50 LCT50(大容量の給紙装置)
50A 第1の実施形態における送り出しユニット
50B 第2の実施形態における送り出しユニット
52 給紙台(用紙載置台)
53 送り出しローラ(送り出し手段)
54 給紙ローラ
55 捌きローラ
56 搬送ローラ
60 モータ(給紙位置変更手段)
69 センサ
70 モータ(給紙位置変更手段)
79 センサ
90 アクチュエータ
95 制御手段
95a メモリ
96 入力部
97 給紙位置決定手段
98 温度検知センサ(温度検知手段)
99 湿度検知センサ(湿度検知手段)
100 傾斜面保有部材
100a 傾斜面
101 給紙位置調整手段
111 給紙時間対応手段
112 給紙ミス対応手段
113 カール対応手段
200 傾斜面保有部材
200a 傾斜面
210 傾斜面保有部材
210a 傾斜面
P 用紙
Pu 給紙位置
Ps 給紙位置(所定の給紙位置)
Pd 給紙位置
Su センサ(給紙位置検知手段)
Ss センサ(給紙位置検知手段)
Sd センサ(給紙位置検知手段)
θ、θ0、θ1、θ2、 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された用紙を用紙束として搭載し、上下方向に移動する用紙載置台と、
前記用紙束の最上の用紙を検知する給紙位置検知手段と、
前記給紙位置検知手段の検知に基づいて、前記用紙束の最上の用紙位置が所定の給紙位置を維持するように前記用紙載置台を移動させる給紙位置変更手段と、
前記用紙束の最上の用紙を送り出す送り出し手段と、
送り出された用紙を受け取る給紙ローラと、
該給紙ローラに圧接する重送防止用の捌きローラと、
該給紙ローラと前記送り出し手段との間にあって前記送り出し手段から送り出された用紙の先端が当接して乗り越える傾斜面を備えた傾斜面保有部材と、
周囲の温度及び湿度を検知する温度検知手段及び湿度検知手段と、を有し
前記温度検知手段及び湿度検知手段により検知される温度及び湿度が予め設定した低温低湿基準値の値より低いとき、前記用紙束の最上の用紙位置を前記所定の給紙位置より高い位置に変更することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記湿度検知手段により検知される湿度が予め設定した高湿基準値の値より高いとき、前記用紙束の最上の用紙位置を前記所定の給紙位置より低い位置に変更することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
用紙の種別に適応した給紙位置を記憶する給紙位置決定手段を有し、使用される用紙の種別に応じて、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項4】
給紙ミスの発生頻度をカウントする給紙ミス対応手段を有し、該給紙ミス対応手段によりカウントされる給紙ミスの発生頻度が予め設定した給紙ミス発生頻度基準値を超えるとき、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記送り出し手段が前記用紙束の最上の用紙の送り出しを開始してから、前記送り出し手段の用紙搬送方向の下流側に位置する搬送ローラに達するまでの給紙時間を計測する給紙時間対応手段を有し、
該給紙時間に応じて、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
用紙のカールの方向と大きさを検知するカール対応手段を有し、該カール対応手段の検知結果に応じて、前記用紙束の最上の用紙位置を変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記傾斜面保有部材の前記傾斜面は、該傾斜面に当接する用紙とのなす角度が、用紙の進行方向に沿って角度が緩くなるように形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記傾斜面保有部材と用紙とのなす傾斜角が0°を超え90°未満であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の給紙装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269923(P2010−269923A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125087(P2009−125087)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】