説明

給紙装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】大きなスペースをとることなく低コストで、シートの斜行及び重送の検知とシートの有無の検知を可能とする給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿搬送装置27は、第1の信号を出力する光センサー81と、第2の信号を出力する超音波センサー82と、制御部91と、を備える。制御部91は、レジストローラー対36のニップ部に原稿を突き当てるために、第1及び第2の信号のいずれかのシートの通過を示す信号に基づいて原稿を所定量Mだけ搬送するように給紙部71を回転駆動させる一方、原稿が通過していない時よりも第2の信号の出力レベルが低下したことにより原稿の通過を判定するとともに、第2の信号の出力レベルが所定の閾値より低下したことにより原稿の重送状態を判定し、さらに第1の信号に基づく原稿の通過タイミングと第2の信号に基づく原稿の通過タイミングとのずれから原稿の斜め搬送状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機等に搭載される給紙カセットや原稿搬送装置等の給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、シートの斜行を検知する給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給紙カセットや原稿搬送装置等の給紙装置では、記録紙または原稿等のシートが搬送方向に対して斜めに搬送(斜行)される場合がある。画像形成において、記録紙の斜行が著しいと画像が斜めになって印刷され、また、原稿読み取りにおいて、原稿の斜行が著しいと原稿画像が斜めに読み込まれることになり、さらにシートの搬送路上で紙詰りが発生することになる。
【0003】
そこで、特許文献1では、記録紙の搬送路に複数の検知センサーを配設している。検知センサーは、フォトダイオードからなり、記録紙搬送方向に直交する方向に複数個並べて配置されている。複数の検知センサーは、搬送される記録紙の先端を検知してその検知信号を出力し、制御部は、各検知センサーからの検知信号の発生タイミングのずれに基づいて搬送される記録紙の斜行及びその斜行の度合を判定している。
【0004】
また、原稿搬送装置は、原稿収納部に積載された複数枚の原稿を1枚毎に分離して画像読取位置まで搬送している。しかし、この原稿搬送装置は、積載された原稿の大きさ、厚さ、また、原稿の吸湿や、原稿と原稿の摩擦・静電気等によっては、原稿を1枚毎に分離して搬送することができずに複数の原稿が重なって搬送されることがある。このような原稿の重送が発生した際に、原稿の重送を検知する原稿検知部を備えた原稿搬送装置が知られている。
【0005】
例えば、特許文献2では、超音波が原稿を透過する際に減衰することを利用して、原稿の重送を検知するものであり、原稿検知部は、超音波を発信する発信器と、発信器から発信された超音波を受信して電気エネルギーに変換して信号を出力する受信器とを備える。発信器と受信器は、搬送される原稿を挟んで対向して設けられる。原稿が重送されている場合、搬送される原稿に対する超音波の減衰度と所定の閾値とを比較し、両者の差により原稿が重送されていることを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−139215号公報(段落[0017]〜[0019]、第4図)
【特許文献2】特開2009−137716号公報(段落[0020]、[0021]、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1では、シートの斜行を検知するために、フォトダイオードからなる複数の検知センサーが設けられ、また、特許文献2では、シートの重送を検知するために、超音波センサーからなる検知センサーが設けられている。例えば、特許文献2に記載の原稿搬送装置において、シートの重送の検知とともにシートの斜行を検知することが必要になると、超音波センサーと複数のフォトダイオードとを装置に設けることになる。各検知センサーを取り付けるために、装置に取り付けスペースが夫々必要になり、装置が大型化し、また、検知センサーの部品コスト、さらに、各検知センサーを取り付ける組み立てコストによって、製造コストが高くなるという不都合があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、センサーの取り付けのために大きなスペースをとることなく低コストで、シートの斜行及び重送の検知とシートの有無の検知を可能とする給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1の発明の給紙装置は、積載されたシートを搬送方向に送り出す給紙部と、前記給紙部よりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートの通過を検知する第1センサー部と、シート搬送方向と直交する方向に前記第1センサー部に対して並べて設けられるとともに、シートの通過及び重なり状態を検知する第2センサー部と、前記第1センサー部から出力される第1の信号と前記第2センサー部から出力される第2の信号とが入力される制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1及び第2の信号のいずれかのシートの通過を示す信号に基づいてシートの通過を判定するとともに、前記第2の信号の出力レベルに基づいてシートの重送状態を判定し、さらに前記第1の信号に基づくシートの通過タイミングと前記第2の信号に基づくシートの通過タイミングとのずれからシート斜行量を算出し、シートの斜め搬送状態を判定することを特徴としている。
【0010】
また、第2の発明では、上記の給紙装置において、前記第1及び第2センサー部よりもシート搬送方向の下流側に設けられ、前記給紙部から搬送されるシートの斜行を補正するレジストローラー対を備え、前記制御部は、前記レジストローラー対のニップ部でシートに撓みを生じさせ、シートの斜行を補正するために、前記第1及び第2の信号のいずれかのシートの通過を示す信号に基づいてシートを所定量だけ搬送するように前記給紙部を回転駆動させることを特徴としている。
【0011】
また、第3の発明では、上記の給紙装置において、前記制御部は、シートが斜め搬送状態にあって前記シート斜行量が所定の範囲を超えていれば、シートを前記所定量よりも多く搬送するように前記給紙部を回転駆動させることを特徴としている。
【0012】
また、第4の発明では、上記の給紙装置において、前記制御部は、前記給紙部を回転駆動させた後に停止させることを繰り返して行うことを特徴としている。
【0013】
また、第5の発明では、上記の給紙装置において、前記制御部は、前記シート斜行量が所定値を超えれば、シートを搬送する搬送ローラーの回転駆動を停止させるとともに、シートの斜め搬送に関する警告を行う警告手段を設けたことを特徴としている。
【0014】
また、第6の発明では、上記の給紙装置において、前記第2センサー部は、超音波を発信する発信部と、搬送されるシートを挟むように前記発信部に対向して設けられ受信した超音波から受ける圧力により出力電圧が変化する受信部とを有することを特徴としている。
【0015】
また、第7の発明では、上記の構成の給紙装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、第2センサー部の第2の信号に基づいてシートの重送状態が判定され、第1センサー部の第1信号と第2センサー部の第2信号とに基づいてシートの斜行状態が判定され、さらに第1信号と第2信号のいずれかの信号に基づいてシートの通過が検知される。このように、第2センサーがシートの斜行及び重送の検知、さらにシートの通過の検知に用いられるために、検知センサーの取り付けのために大きなスペースをとることなく低コストで、シートの斜行及び重送の検知とシートの有無を検知することがきる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略構成図
【図2】実施形態に係る原稿搬送装置の内部構造を示す正面断面図
【図3】実施形態に係る原稿搬送装置の要部を示す正面断面図
【図4】実施形態に係る原稿搬送装置の要部を示す平面図
【図5】実施形態に係るシートの搬送と第2センサー部の出力との関係を示す図
【図6】実施形態に係る第1及び第2センサー部によるシートの斜行の検知構成を模式的に示す図
【図7】実施形態に係る制御部の周辺を示すブロック図
【図8】実施形態に係るシート搬送の制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、原稿搬送装置を備えた胴内排紙方式の画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置100の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには印刷前の用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0020】
画像形成装置100の右側面には、手差しトレー10cが配設されている。手差しトレー10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙が載置可能である。手差しトレー10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0021】
用紙搬送路11は用紙給紙部10の左方に配置されている。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー12に搬送される。レジストローラー12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
【0022】
画像形成装置100の上部には原稿読取装置6が配設され、原稿読取装置6の上面には、プラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置27に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置6によって原稿の画像データが読み取られる。
【0023】
画像形成装置100の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体5を備え、更に、感光体5の周辺にその回転方向(図中のA方向)に沿って順に、帯電装置4と、露光ユニット7と、現像ユニット8と、転写ローラー13、及びクリーニング装置18を備える。現像ユニット8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。
【0024】
感光体5の表面が帯電装置4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置6によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体5上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0025】
現像ユニット8は、帯電したトナーを感光体5の表面に供給し、感光体5上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラー13によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着部14へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体5の表面に残留する残留トナーがクリーニング装置18によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体5の表面の残留電荷が除去される。
【0026】
定着部14は、熱源を内蔵する定着ローラー14aと加圧ローラー14bとを有し、トナー像を転写された用紙を定着ローラー14a及び加圧ローラー14bによって加圧加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、排出ローラー20aによって胴内排紙部17aに排出される。
【0027】
トナー像が定着された用紙は、必要に応じて、経路切り替えガイド21によって搬送方向を切り替えられ、排出ローラー20bによってスタックトレー17b上に排出される。また、両面印刷を行う場合には、胴内排紙部17aに排出させる途中において、用紙の後端が切り替えガイド21を通過したタイミングで排出ローラー20aを逆回転させて、経路切り替えガイド21、22を用紙搬送路16側に切り替える。これによって、用紙は、用紙搬送路16を通って、用紙搬送路11からレジストローラー12に搬送される。その後、画像形成部3で用紙の裏面にもトナー像が転写されると、用紙は定着部14によって再度定着され排出される。
【0028】
図2は、給紙装置である原稿搬送装置27の内部構造を示す正面断面図である。原稿搬送装置27は、複数枚の原稿を整合して積載する原稿ガイド29aを備えた原稿給紙トレー29と、原稿給紙トレー29の下方に設けられた反転トレー30とを有し、原稿給紙トレー29及び反転トレー30は原稿搬送装置27のフレームに対して各々の部材が装着されている。また、原稿搬送装置27のフレームに対し一端(図の左下)を回動支点としてカバー部材31が開閉可能に支持されており、このカバー部材31の側方には原稿排出トレー32がプラテン24(図1参照)の上面の一部に直付けで形成されている。カバー部材31内には原稿給紙トレー29から原稿排出トレー32に至る略U字状の原稿搬送路Dが形成されており、カバー部材31を開放することで原稿搬送路Dを開放し、ジャム処理が可能となっている。
【0029】
カバー部材31内には、原稿搬送路Dに沿ってピックアップローラー33と、給紙部71と、レジストローラー対36と、CISローラー41と、搬送ローラー対38、39と、反転ローラー対42と、排出ローラー対43等からなる原稿搬送手段が設けられている。原稿搬送路Dはレジストローラー対36から原稿読取部Rに至る間において搬送方向を反転するように湾曲している。また、原稿搬送路Dには、原稿の存否或いは通過を検知するための光センサー81と、原稿の通過或いは原稿の重送を検知するための超音波センサー(図2では不可視)が設けられ、光センサー81と超音波センサーは、原稿搬送路に対して直交する方向に並べて配置され、この二つのセンサーによって、原稿の斜め状態での搬送(斜行)が検知される。
【0030】
次に、原稿搬送装置27を用いるシートスルー方式の原稿搬送動作について説明する。シートスルー方式においては、原稿給紙トレー29に画像面を上向きにして複数枚の原稿をセットした後、画像形成装置100の操作パネルのコピー開始ボタンがオンされると、昇降機構(図示せず)により上昇したリフト板45が原稿を介してピックアップローラー33を押し上げ、ピックアップローラー33を含む枠体(図示せず)の重さがリフト板45に加わることにより、原稿の上面が所定の圧力(給紙圧)でピックアップローラー33に押しつけられる。ここで給紙モータ(図示せず)によりピックアップローラー33及び給紙部71のローラーが回転駆動させられる。
【0031】
原稿給紙トレー29にセットされた原稿は、ピックアップローラー33によって上段の複数枚が給紙部71に送られる。そして、複数枚の原稿のうち最上の1枚のみが給紙部71によって分離されてレジストローラー対36に向けて搬送される。その際、原稿の先端が光センサー81、または後述する超音波センサーによって検知されてから所定の時間だけその原稿が搬送された後、ピックアップローラー33及び給紙部71のローラーの回転駆動が停止され一次給紙が終了する。一次給紙された原稿は、その先端がレジストローラー対36のニップ部に突き当たり、且つその先端部に撓みが形成された状態で停止させられる。
【0032】
一次給紙が終了してから所定時間経過後、二次給紙が開始される。つまり、後述する搬送モーターの作動によりレジストローラー対36が回転駆動される。原稿は、レジストローラー対36、CISローラー41、搬送ローラー対38、39により、原稿読取部Rを経て排出ローラー対43に向けて搬送された後、排出ローラー対43によって原稿排出トレー32上に排出される。
【0033】
また、両面原稿を読み取る場合は、原稿読取部Rで原稿表面の画像を読み取った後、分岐爪47により原稿を反転トレー30に振り分け、反転ローラー対42を逆転させて、原稿の裏面を上にした状態で再びレジストローラー対36の上流側に搬送し、原稿読取部Rで原稿裏面の画像を読み取ることになる。
【0034】
次に、給紙部71及び二つのセンサーを図3〜図6に基づいて詳しく説明する。図3は、給紙部及び超音波センサーの構成を示す正面断面図であり、図4は、給紙部の周辺と超音波センサー及び光センサーの構成、配置を示す平面図である。また、図5は、原稿の搬送と超音波センサーの出力との関係を示す図であり、図6は、二つのセンサーによる原稿の斜行を検知する構成を示す図である。尚、図3では、給紙部の内部構成を説明するために、給紙部の筐体を省略し、また、超音波センサーが見えるように断面としている。
【0035】
図3に示すように、給紙部71は、ピックアップローラー33から送られる複数枚の原稿を1枚ずつ分離して搬送するものであり、駆動ローラー72と、従動ローラー73と、給紙ベルト74と、分離コロ75とを備える。
【0036】
給紙ベルト74は駆動ローラー72と従動ローラー73とに張架されている。駆動ローラー72は後述する給紙モーターによって回転駆動され、駆動ローラー72の回転によって給紙ベルト74はB方向に回転させられる。
【0037】
分離コロ75は、駆動ローラー72と従動ローラー73との略中間位置で、給紙ベルト74の下方にて所定の圧力で給紙ベルト74に接触し、給紙ベルト74とともにニップ部を形成している。また、分離コロ75は、トルクリミッターを内蔵し、後述するモーターによってC方向に回転させられる。1枚の原稿がニップ部に送られると、分離コロ75の回転負荷がトルクリミッターの所定トルクを上回るために、分離コロ75がC方向に対して逆方向に回転し、原稿が下流側に搬送される。複数の原稿がニップ部に送られると、分離コロ75の回転負荷がトルクリミッターの所定のトルクを下回るために、分離コロ75がC方向に回転し、下側の原稿は、分離コロ75によってピックアップローラー33側に戻される一方、最上の1枚の原稿は給紙ベルト74のB方向の回転によってレジストローラー対36(図2参照)に搬送される。給紙部71は、給紙ベルト74に替えて給紙ローラーと分離コロ75とで構成してもよい。
【0038】
尚、複写伝票等の複数の用紙がセットになった原稿を搬送する場合には、操作パネル上で例えば伝票モードを設定すると、分離コロ75がC方向に対して逆回転するようにモーターの回転方向が切り替えられ、複写伝票が一括してレジストローラー対36(図2参照)に搬送される。
【0039】
図4に示すように、給紙部71は装置の前後方向(図4の左右方向)に対して略中央の位置に配置される。駆動ローラー72は前後方向に延びる回転軸76に支持される。回転軸76は、装置本体に回転可能に支持され、後述する給紙モーターによって回転させられる。また、回転軸76に装着されたプーリーと、ピックアップローラー33に装着されたプーリーには、ベルト77が張架され、回転軸76が回転すると、駆動ローラー72、ベルト77とともにピックアップローラー33が回転することになる。
【0040】
給紙部71の原稿搬送路Dの上流側近傍には、光センサー81と超音波センサー82が設けられる。光センサー81と超音波センサー82は、原稿搬送路Dに対して直交する方向に同じライン上に並べて配置され、且つ、給紙部71に対して用紙幅方向の両側に振り分けて配置される。また、二つの検知センサー81、82は、A4タテ等の小さい幅の原稿に対しても原稿を検知できるように配置されている。尚、二つのセンサー81、82は、直交する方向に並べて配置されれば、同じライン上に配置されてなくてもよい。
【0041】
光センサー81は、原稿の先端の通過を検知するためのものであり、例えばLEDを有する発光部と、例えばフォトダイオードを有する受光部とを備え、原稿搬送路Dに対して上下に対向して設けられる。原稿が発光部と受光部との間を通過すると、発光部から受光部への光が原稿に遮られ、受光部の出力電圧RVが低下する。この受光部の出力電圧RVの低下により、原稿の先端の通過を検知することがきる。尚、光センサー81は、原稿からの反射光を受光するように、原稿搬送路Dの上側または下側のいずれかに発光部と受光部とが配置されるように構成してもよい。また、カンチレバー型光検出器を用いて、カンチレバーの一端を原稿搬送路Dに配置してもよい。この場合には、原稿がカンチレバー型光検出器を通過すると、カンチレバーの一端が原稿に当接し、カンチレバーが作動することで原稿の先端を検知する。
【0042】
図3に戻り、超音波センサー82は、原稿の重送を検知するためのものであり、超音波を発信する発信部82aと、発信部82aからの音波を受信する受信部82bで構成される。発信部82aと受信部82bにそれぞれ圧電体(例えば、圧電セラミック)が内蔵される。そして、発信部82aでは、超音波域の周波数で圧電体の電極間に電圧を加え、電圧に対応した機械的な変形が圧電体に生じ、超音波が発信部82aから照射される。そして、発信部82aから照射された超音波の波動が、受信部82bの圧電体に加わると、圧電体の電極間で波動に応じた電圧が取り出される。
【0043】
発信部82aと受信部82bは、夫々検出面が原稿搬送路Dを挟むように対向して設けられる。発信部82aは原稿搬送路Dに対して下側に配置される一方、受信部82bは、原稿搬送路Dに対して上側に配置され、また、原稿搬送路Dに対して鋭角となるように所定の角度だけ傾斜して配置される。従って、搬送される原稿に対して、発信部82aから超音波が所定の角度で照射され、原稿を透過した後、受信部82bで超音波が所定の角度で受信されることになる。尚、発信部82aと受信部82bは、夫々原稿搬送路Dに対して垂直方向に配置してもよいし、また、発信部82aと受信部82bとの上下を入れ替えて配置してもよい。
【0044】
受信部82bは、超音波の振動に応じた電圧を出力する。発信部82aと受信部82bとの間で、原稿の枚数が多いほど、超音波が原稿に反射あるいは遮蔽され、受信部82bに到達する超音波のレベルが小さくなり、受信部82bの出力電圧が小さくなる。この受信部82bの出力電圧に基づいて、通過する原稿が1枚、あるいは2枚以上の重送状態にあるのかを判定する。即ち、図5に示すようにして原稿の重送を判定することができる。
【0045】
図5は、横軸に時間をとり、縦軸に受信部82bの出力電圧をとったグラフである。原稿が超音波センサー82に到達していないときには、受信部82bで受信する超音波は原稿に遮られることがないので、出力電圧LVは最大値LV0となる。そして、原稿の先端が発信部82aと受信部82bとの間に到達したときに、出力電圧LVは低下する。原稿が1枚である場合、出力電圧LVはLV1まで低下し、原稿が2枚重なっている場合、出力電圧LVは出力電圧LV1からさらに低下して出力電圧LV2(図5の破線)となる。図示しないが、2枚の原稿が原稿搬送方向にずれて搬送される場合には、1枚目の原稿の先端が発信部82aと受信部82bとの間に到達したときに出力電圧LV1となり、2枚目の原稿の先端が発信部82aと受信部82bとの間に到達したときに出力電圧LV2に変わる。出力電圧LV1と出力電圧LV2との間のレベルに閾値LVsを設定して、出力電圧LVが閾値LVsより大きければ、1枚の原稿が超音波センサー82を通過したことになる一方、出力電圧LVが閾値LVsより小さければ、2枚以上の原稿が超音波センサー82を通過したことなり、原稿の重送を判定することができる。さらに、出力電圧LVが最大値LV0から低下したタイミングを捉えることで、原稿の先端の通過を判定することができる。尚、閾値LVsは、原稿の厚みや紙の種類等に応じて設定される。
【0046】
原稿の斜行の判定及び斜行量は図6に基づいて求められる。図6の破線の原稿Pは斜行していない正常状態を示し、図6の実線の原稿Pは、斜行している状態を示す。
【0047】
原稿の斜行は、原稿搬送路Dに対して直交する方向に並べて設けられる光センサー81及び超音波センサー82を原稿の先端が通過することを検知して行われる。
【0048】
原稿に斜行がない場合、光センサー81及び超音波センサー82は略同時に原稿の先端を検知し、各出力の変化に時間差が発生しない。一方、原稿に斜行がある場合、原稿の先端が光センサー81及び超音波センサー82を通過するタイミングがずれるので、光センサー81及び超音波センサー82の出力変化に時間差が発生する。この時間差に給紙部71の給紙ベルト74(図3参照)の線速(単位時間当たりの給紙ベルトの回転移動量)を乗ずると、光センサー81と超音波センサー82との間の距離Lにおける斜行量Δが算出される。両センサー81、82の出力変化の時間差が大きければ、原稿は大きく斜行していることになる。
【0049】
原稿の斜行及び重送の判定と、その判定に基づく原稿搬送の制御について図7、図8を用いて説明する。図7は制御部の周辺を示すブロック図であり、図8は斜行及び重送の判定とシート搬送の制御を示すフローチャートである。
【0050】
図7に示すように、制御部91は、マイクロコンピュータ等で構成され、RAM、HDD、フラッシュROM等のメモリからなる記憶部92に記憶され、または入力されるプログラム、データに基づき、各種演算を行い、また画像形成部3、定着部14、操作パネル96、処理部93、駆動部94等の各部を制御する。また、制御部91は、制御上各種時間を計時するために計時部95に接続されている。計時部95は、制御部91内に設けてもよい。
【0051】
処理部93は、光センサー81と超音波センサー82とに接続されている。処理部93と光センサー81は第1センサー部を構成し、また、処理部93と超音波センサー82は第2センサー部を構成する。処理部93は、制御部91の指示に基づき光センサー81を駆動し、また、光センサー81の受光部の出力電圧RVを処理し、出力電圧RVに相当するRV信号を制御部91に出力する。また、処理部93は、制御部91の指示に基づき超音波センサー82を駆動し、また、超音波センサー82の受信部82bの出力電圧LVを処理し、出力電圧LVに相当するLV信号を制御部91に出力する。尚、処理部93は、光センサー81と超音波センサー82夫々に個別に設けてもよい。
【0052】
制御部91は、超音波センサー82の出力から原稿の重送状態を判定する。即ち、1枚の原稿が搬送されるときには、超音波センサー82を原稿が遮らないときの出力信号であるLV0信号と、1枚の原稿が超音波センサー82を通過するときの出力信号であるLV1信号とが順次制御部91に入力される。一方、2枚重なった原稿が搬送されるときには、LV0信号と、2枚重なった原稿が超音波センサー82を通過するときの出力信号であるLV2信号とが順次制御部91に入力される。また、出力電圧LV1と出力電圧LV2との間のレベルに設定される閾値LVsに相当する閾値信号が記憶部92に保存され、その閾値信号が制御部91に入力される。
【0053】
また、制御部91は、LV0信号から、LV1信号またはLV2信号(LV1信号あるいはLV2信号のどちらかを示す場合、LVi信号とする)に変化した時から、所定時間経過後に超音波センサー82の出力レベル信号LVを取り込む。その出力レベル信号LVと閾値信号を比較し、出力レベル信号LVが閾値信号より大きければ、LV1信号であるとして重送が発生していないと判定する。一方、出力レベル信号LVが閾値信号より小さければ、LV2信号であるとして重送が発生していると判定する。
【0054】
制御部91は、上記原稿の重送状態とともに斜行状態を判定する。斜行状態の判定には、超音波センサー82から出力されるLVi信号が用いられ、さらに光センサー81を原稿が通過したときに出力される出力電圧RVに相当するRV信号が用いられる。即ち、制御部91は、LVi信号とRV信号のいずれか一方の信号の先に入力した時間から他方の信号の後から入力した時間までの差を算出する。さらに、制御部91は、記憶部92に保存された給紙ベルト74(図3参照)の線速を取り出し、上記時間差に給紙ベルト74の線速を乗じて斜行量Δを算出する。算出した斜行量Δがレジストローラー対36(図2参照)によって斜行を補正することのできる範囲にあるか否かを判定し、その結果、通常の原稿搬送におけるレジストローラー対36への突き当てによって補正できる範囲の斜行量であれば、斜行がないものとみなす一方、レジストローラー対36への通常の原稿搬送よって補正できる範囲を超えていれば、給紙部71(図2参照)によって原稿の斜行状態を調整するか、または、警告表示を行う。
【0055】
駆動部94は、搬送モーター85と、給紙モーター86と、分離モーター87と、電磁クラッチ88とに接続され、制御部91の指示に基づき各モーター85〜87を駆動し、また、電磁クラッチ88のオン、オフを切り替える。
【0056】
給紙モーター86は給紙部71の駆動ローラー72と、ピックアップローラー33(図3参照)を回転駆動させ、また、分離モーター87は分離コロ75を回転駆動させる。搬送モーター85は、搬送ローラー対38、39を回転駆動されるとともに、電磁クラッチ88を介してレジストローラー対36を回転駆動させる。
【0057】
レジストローラー対36は、給紙部71から搬送される原稿の先端がニップ部に突き当てられ、原稿が撓んで斜行を補正した後、原稿読取部Rでの原稿読み取り動作とタイミングを取って回転を始める。従って、制御部91は、駆動部94を介して、給紙モーター86と搬送モーター85とを回転駆動させるが、電磁クラッチ88をオフに切り替え、レジストローラー対36を回転停止させる。次に、制御部91は、LVi信号とRV信号のいずれかの、制御部91に先に入力した信号の入力時間から、原稿の先端がレジストローラー対36のニップ部に突き当たるのに要する時間が経過すると、給紙モーター86の回転駆動を停止させる。この一次給紙によって、原稿の先端がレジストローラー対36のニップ部に突き当たり原稿が撓むように、給紙部71が原稿を所定量Mだけ搬送させると、原稿の斜行が補正される。一次給紙が終了してから所定時間経過後、制御部91が電磁クラッチ88をオフからオンに切り替えられることで、レジストローラー対36が回転駆動し、搬送ローラー対38、39とともに原稿が原稿読取部Rに搬送される。
【0058】
しかし、原稿の斜行が過度に大きくなると、原稿を所定量Mだけ搬送しても、原稿先端の一部がレジストローラー対36のニップ部に突き当らずに、原稿の斜行を補正しきれない場合がある。そこで、制御部91は、斜行量Δが所定値以下であれば、原稿を所定量Mよりも多く搬送するように給紙モーター86を回転駆動させ、さらに、斜行量Δが所定値を超えれば、搬送モーター85の回転駆動を停止させるとともに、操作パネル96に原稿の斜め搬送に関する警告を表示する。尚、操作パネル96への警告表示に替えて、例えばアラームやランプの点滅等により警告を行っても良い。
【0059】
次に、図8を用いて、制御部91による原稿の重送及び斜行の検知と原稿搬送の制御の手順を説明する。図8は原稿搬送の制御を示すフローチャートである。
【0060】
ステップ1で、原稿搬送装置27の原稿給紙トレー29に原稿が積載される。
【0061】
ステップ2で、操作パネル96からコピー開始の信号が制御部91に入力され、搬送モーター85、給紙モーター86、分離モーター87を回転駆動させ、電磁クラッチ88をオフに設定する。搬送モーター85の回転駆動によって、搬送ローラー対38、39は回転するが、電磁クラッチ88がオフであるためにレジストローラー対36は回転しない。給紙モーター86の回転駆動によって、給紙部71の駆動ローラー72とともに、給紙ベルト74とピックアップローラー33が回転する。分離モーター87の回転駆動によって、分離コロ75がC方向(図3参照)に回転する。
【0062】
ステップ3で、光センサー81と超音波センサー82を駆動させる。
【0063】
ステップ4で、ピックアップローラー33と給紙ベルト74及び分離コロ75の回転によって原稿が原稿搬送路Dに搬送され、搬送された原稿が光センサー81と超音波センサー82によって検知される。光センサー81と超音波センサー82の各信号が制御部91に入力される。
【0064】
ステップ5で、原稿の重送の有無を判定するために、超音波センサー82からの出力レベルLV信号と、重送の判定レベルとなる閾値信号との大きさを比較する。出力レベル信号LVが閾値信号より大きければ原稿の重送が発生していないと判定する一方、出力レベル信号LVが閾値信号より小さければ、原稿の重送が発生していると判定する。
【0065】
原稿の重送が発生している場合(ステップ5)、ステップ6で、各モーター85〜87の回転を停止させ、ステップ7で、操作パネル96の液晶等の表示部に原稿が重送状態にある旨を表示させ、使用者に重送した原稿を原稿搬送路Dから取り除くように促す。
【0066】
ステップ8で、使用者によって原稿搬送路Dから原稿を除去するジャム処理作業が行われ、ジャム処理作業のために開けられたカバー部材31が閉じられたこと、且つ、二つの検知センサー81、82が原稿を検知していないことを確認する。確認の結果、原稿の除去が完了していないならば、ステップ6に戻り、各モーター85〜87の回転の停止と、重送状態にある旨の表示とを継続する。一方、原稿の除去が完了していれば、ステップ1に戻り、原稿給紙トレー29に原稿が積載され、原稿の搬送が再開される。
【0067】
原稿の重送が発生していない場合(ステップ5)、ステップ9で、原稿の斜行の有無を判定するために、超音波センサー82のLVi信号と光センサー81のRV信号とが処理部93を介して制御部91に入力された時間差を算出する。前述のように、LVi信号とRV信号は、ともに各センサー81、82が原稿の先端を検知したことを示す信号であるために、上記時間差に給紙ベルト74の線速を乗じて斜行量Δを算出する。さらに、斜行量Δに基づいてシートが斜め搬送状態にあるか否かを判定し、シートが斜め搬送状態にある場合、レジストローラー対36によって斜行を補正することのできる所定範囲L1にあるか否かの第1の判定を行う。
【0068】
斜め搬送状態でない場合、または、第1の判定で斜行量Δが所定範囲L1内である場合(ステップ9)、原稿が斜行していないか、または斜行していても、原稿の先端をレジストローラー対36に突き当てて原稿を撓ませると斜行を補正することができるレベルにある。このために、ステップ10で、給紙部71が原稿を所定量Mだけ搬送するように、給紙モーター86を回転駆動させた後、回転を停止する。これで、原稿の斜行が補正される。
【0069】
ステップ11で、原稿読取部Rでの原稿読み取り動作とタイミングを取るために、所定時間経過後に電磁クラッチ88をオフからオンに切り替える。これによって、レジストローラー対36が回転駆動する。
【0070】
ステップ12で、搬送モーター85の回転駆動によって、レジストローラー対36とともに搬送ローラー対38、39が回転駆動しているために、原稿が原稿読取部Rに搬送され、原稿読取部Rにて、原稿読取装置6が原稿の画像データを読み込む。
【0071】
次に、ステップ9において、斜行量Δが第1の判定で所定範囲L1を超えている場合、ステップ13で、斜行量Δに対して所定値L2以下か否かの第2の判定を行う。第2の判定で、斜行量Δが所定値L2以下であれば、原稿の斜行が補正可能であるレベルにあると判定する一方、行量Δが所定値L2を超えてれば、原稿の斜行を搬送モーター85等の駆動では補正することができないレベルであると判定する。
【0072】
第2の判定で斜行量Δが所定値L2以下である場合(ステップ9)、ステップ14で、給紙部71が原稿を所定量Mよりも多く搬送するように、給紙モーター86を回転駆動させた後、回転を停止する。これで、原稿を撓ませる量が多くなり、原稿の先端全てがレジストローラー対36に突き当って、原稿の斜行が補正される。尚、ステップ14で、原稿を所定量Mよりも多く搬送するために、給紙部71を回転させた後に停止させることを繰り返して行うように、給紙モーター86を間欠駆動させてもよい。
【0073】
ステップ15で、原稿読取部Rでの原稿読み取り動作とタイミングを取るために、所定時間経過後に電磁クラッチ88をオフからオンに切り替える。これによって、レジストローラー対36が回転駆動する。ステップ12で、搬送モーター85の回転駆動によって、レジストローラー対36とともに搬送ローラー対38、39が回転駆動しているために、原稿が原稿読取部Rに搬送され、原稿読取部Rにて、原稿読取装置6が原稿の画像データを読み込む。
【0074】
次に、ステップ13における第2の判定で、斜行量Δが所定値L2を超えている場合、原稿の斜行を搬送モーター85等の駆動では補正することができないために、使用者にジャム処理を促す。
【0075】
ステップ16で、各モーター85〜87の回転を停止させ、ステップ17で、操作パネル96の液晶等の表示部に原稿が斜め搬送状態にある旨を表示させ、使用者に斜め搬送した原稿を原稿搬送路Dから取り除くように促す。
【0076】
ステップ18で、使用者によって原稿搬送路Dから原稿を除去するジャム処理作業が行われ、ジャム処理作業のために開けられたカバー部材31が閉じられたこと、且つ、二つの検知センサー81、82が原稿を検知していないことを確認する。確認の結果、原稿の除去が完了していないならば、ステップ16に戻り、各モーター85〜87の回転の停止と、斜め搬送状態にある旨の表示とを継続する。一方、原稿の除去が完了していれば、ステップ1に戻り、原稿給紙トレー29に原稿が積載され、原稿の搬送が再開される。
【0077】
上記実施形態によれば、原稿搬送装置27は、原稿の通過を検知する光センサー81と、原稿搬送方向と直交する方向に光センサー81に対して並べて設けられるとともに、原稿の通過及び重なり状態に応じた出力レベルを検知する超音波センサー82と、光センサー81から出力される第1の信号が入力され、超音波センサー82から出力される第2の信号が入力される制御部91と、を備える。制御部91は、第1及び第2の信号のいずれかのシートの通過を示す信号に基づいて原稿の通過を判定するとともに、第2の信号の出力レベルが所定の閾値より低下したことにより原稿の重送状態を判定し、さらに第1の信号に基づく原稿の通過タイミングと第2の信号に基づく原稿の通過タイミングとのずれから原稿の斜行量を算出し、その結果、原稿の斜め搬送状態を判定する。
【0078】
この構成によると、超音波センサー82の第2の信号に基づいて原稿の重送状態が判定され、光センサー81の第1信号と超音波センサー82の第2信号とに基づいて原稿の斜行状態が判定され、さらに第1信号と第2信号のいずれかの信号に基づいてシートの通過が検知される。このように、超音波センサー82が原稿の斜行及び重送の検知、さらに原稿の通過の検知に用いられるために、検知センサーの数が少なくてよく、検知センサーの取り付けのために大きなスペースをとることなく低コストで、原稿の斜行及び重送の検知と原稿の有無を検知することがきる。
【0079】
また、上記実施形態によれば、制御部91は、レジストローラー対36のニップ部に原稿を突き当てるために、第1の信号と、原稿が通過していない時よりも出力レベルが低下した第2の信号とのいずれかの原稿の通過を示す信号に基づいて原稿を所定量Mだけ搬送するように給紙部71を回転駆動させる。
【0080】
この構成によると、原稿を所定量Mだけ搬送させ、原稿の先端がレジストローラー対36のニップ部に突き当って原稿が撓むことで、原稿の斜行を補正することができる。
【0081】
また、上記実施形態によれば、制御部91は、原稿が斜め搬送状態にあって原稿の斜行量Δが所定範囲L1を超えていれば、原稿を所定量Mよりも多く搬送するように給紙部71を回転駆動させる。
【0082】
この構成によると、原稿を所定量Mだけ搬送させ、原稿の先端がレジストローラー対36のニップ部に突き当って原稿が撓むことで、原稿の斜行を補正しているが、さらに大きな原稿の斜行があると、上記構成のように、原稿を所定量Mよりも多く搬送するように給紙部71を回転駆動させるという簡単な駆動制御によって原稿の斜行を補正することができる。
【0083】
また、上記実施形態によれば、制御部91は、給紙部71を回転駆動させた後に停止させることを繰り返して行う。
【0084】
この構成によると、原稿を所定量Mだけ搬送させ、原稿の先端がレジストローラー対36のニップ部に突き当って原稿が撓むことで、原稿の斜行を補正しているが、さらに大きな原稿の斜行があると、上記構成のように、原稿を所定量Mよりも多く搬送するように給紙部71を間欠回転駆動させるという簡単な駆動制御によって原稿の斜行を補正することができる。
【0085】
また、上記実施形態によれば、制御部91は、原稿の斜行量Δが所定値L2を超えれば、原稿を搬送する搬送ローラー対38、39の回転駆動を停止させるとともに、操作パネル96に原稿の斜め搬送に関する警告を表示する。
【0086】
この構成によると、使用者が誤操作することなく確実にジャム処理を行うことができる。
【0087】
尚、上記実施形態では、第2センサー部を超音波センサー82と処理部93とで構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、第2センサー部は光センサーと処理部93で構成してもよい。この場合には、光センサーは、例えばLEDを有する発光部と、例えばフォトダイオードを有する受光部とを備え、重送される原稿の枚数に応じて透過光量が変化することで、受光部の光量変化から重送を判定することになる。
【0088】
また、上記実施形態では、給紙装置は原稿搬送装置27に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、画像形成用の記録紙を収納する給紙カセットから記録紙が搬送される給紙装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機等に搭載される給紙カセットや原稿搬送装置等の給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、シートの斜行を検知する給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
27 原稿搬送装置(給紙装置)
29 原稿給紙トレー
32 原稿排出トレー
33 ピックアップローラー
36 レジストローラー対
38、39 搬送ローラー対
71 給紙部
72 駆動ローラー
73 従動ローラー
74 給紙ベルト
75 分離コロ
81 光センサー(第1センサー部)
82 超音波センサー(第2センサー部)
82a 発信部
82b 受信部
85 搬送モーター
86 給紙モーター
87 分離モーター
88 電磁クラッチ
91 制御部
92 記憶部
93 処理部(第1センサー部、第2センサー部)
94 駆動部
95 計時部
96 操作パネル(警告手段)
100 画像形成装置
D 原稿搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシートを搬送方向に送り出す給紙部と、
前記給紙部よりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートの通過を検知する第1センサー部と、
シート搬送方向と直交する方向に前記第1センサー部に対して並べて設けられるとともに、シートの通過及び重なり状態を検知する第2センサー部と、
前記第1センサー部から出力される第1の信号と前記第2センサー部から出力される第2の信号とが入力される制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1及び第2の信号のいずれかのシートの通過を示す信号に基づいてシートの通過を判定するとともに、前記第2の信号の出力レベルに基づいてシートの重送状態を判定し、さらに前記第1の信号に基づくシートの通過タイミングと前記第2の信号に基づくシートの通過タイミングとのずれからシート斜行量を算出し、シートの斜め搬送状態を判定することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記第1及び第2センサー部よりもシート搬送方向の下流側に設けられ、前記給紙部から搬送されるシートの斜行を補正するレジストローラー対を備え、前記制御部は、前記レジストローラー対のニップ部でシートに撓みを生じさせ、シートの斜行を補正するために、前記第1及び第2の信号のいずれかのシートの通過を示す信号に基づいてシートを所定量だけ搬送するように前記給紙部を回転駆動させることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記制御部は、シートが斜め搬送状態にあって前記シート斜行量が所定の範囲を超えていれば、シートを前記所定量よりも多く搬送するように前記給紙部を回転駆動させることを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記給紙部を回転駆動させた後に停止させることを繰り返して行うことを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記シート斜行量が所定値を超えれば、シートを搬送する搬送ローラーの回転駆動を停止させるとともに、シートの斜め搬送に関する警告を行う警告手段を設けたことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項6】
前記第2センサー部は、超音波を発信する発信部と、搬送されるシートを挟むように前記発信部に対向して設けられ受信した超音波から受ける圧力により出力電圧が変化する受信部とを有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の給紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166922(P2012−166922A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30337(P2011−30337)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】