給電プラグロック装置
【課題】限られたスペースしか存在しなくても、その配置スペースに搭載することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】アンロック状態の際、アンロック位置のキーシリンダ41をメカニカルキー28にてロック位置に回動操作すると、円弧状のリンク39がロック方向に円弧スライドし、リンク39の先端がロックレバー47と支持突部50との間に入り込む。よって、ロックレバー47の回動が制限されるので、給電プラグロック装置27がロック状態となる。一方、ロック位置のキーシリンダ41をメカニカルキー28にてアンロック位置に回動操作すると、円弧状のリンク39がアンロック方向に円弧スライドし、リンク39の先端がロックレバー47と支持突部50との間から抜け出す。よって、ロックレバー47の回動が許容されるので、給電プラグロック装置27がアンロック状態となる。
【解決手段】アンロック状態の際、アンロック位置のキーシリンダ41をメカニカルキー28にてロック位置に回動操作すると、円弧状のリンク39がロック方向に円弧スライドし、リンク39の先端がロックレバー47と支持突部50との間に入り込む。よって、ロックレバー47の回動が制限されるので、給電プラグロック装置27がロック状態となる。一方、ロック位置のキーシリンダ41をメカニカルキー28にてアンロック位置に回動操作すると、円弧状のリンク39がアンロック方向に円弧スライドし、リンク39の先端がロックレバー47と支持突部50との間から抜け出す。よって、ロックレバー47の回動が許容されるので、給電プラグロック装置27がアンロック状態となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行する。よって、長距離走行してバッテリ残量が減ったときは、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。従って、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に接続した際、給電プラグが不正に取り外されないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給電プラグロック装置を車両に搭載する場合、その搭載場所は、例えば車体の側壁などの搭載スペースが限られた場所となる可能性が高い。よって、限られた配置スペースしか車体に存在しない場合であっても搭載することができる給電プラグロック装置の開発ニーズがあった。
【0006】
本発明の目的は、限られたスペースしか存在しなくても、その配置スペースに搭載することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続されたとき、当該給電プラグに設けられた係止用の操作アームを、前記インレット側のロック部材によって該インレットに係止することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、ロック状態又はアンロック状態を切り換える際に操作するキーシリンダと、前記キーシリンダの回動操作により、当該回動操作によって連れ動きすることにより、前記ロック部材の動きを規制するロック状態と、当該ロック部材の動きを許容するアンロック状態とに切り換わるリンク部材とを備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、ロック部材に連結されたリンク部材を、キーシリンダの手動による回動操作によってロック位置/アンロック位置に位置させることにより、ロック部材のロック/アンロックを切り換えて、給電プラグロック装置のロック/アンロックを設定する。このため、ロック部材をリンク部材にてキーシリンダと連結する構成をとるので、給電プラグロック装置の構成部品を1箇所にまとめて配置しなくても、インレットの周囲に分散配置することが可能となる。よって、搭載スペースが限られる場合であっても、そのスペースに装置を搭載できる可能性が高くなるので、搭載実現性の確保に効果が高くなる。
【0009】
本発明では、前記リンク部材は、前記インレットの外周に沿って、円弧状に形成されていることを要旨とする。この構成によれば、インレットの周囲を広範囲に亘りリンク部材の配置スペースとして利用することが可能となるので、給電プラグロック装置の装置体格の大型化を抑えながら、リンク部材の長さを確保することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記ロック部材は、軸回りに回動するレバー部材であって、前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記操作アームによる押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの挿し込みが許容され、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くとき、開き操作される前記操作アームの押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの引き抜きが許容されることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置の構造を、給電プラグをインレットに抜き挿しする際の動作を利用した簡素なロック/アンロック構造とすることが可能となる。
【0011】
本発明では、前記キーシリンダがアンロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をアンロック位置に引き込んでアンロック状態となり、前記キーシリンダがロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をロック位置に押し出してロック状態となり、前記キーシリンダは、ロック位置及びアンロック位置の両方においてメカニカルキーを抜き挿し可能であることを要旨とする。この構成によれば、キーシリンダがロック位置/アンロック位置のどちらにあっても、キーシリンダからメカニカルキーを外しておくことが可能となる。
【0012】
本発明では、装置本体には、前記リンク部材がロック位置をとるとき、前記ロック部材とで当該リンク部材を挟み込む支持突部が形成されていることを要旨とする。この構成によれば、ロック時において操作アームが不正に開き操作されても、この外力にて開き方向に動こうとするロック部材を支持突部で支持することが可能となる。このため、ロック部材がロック位置にて保持されるので、給電プラグロック装置の不正解除防止に効果が高くなる。
【0013】
本発明では、前記リンク部材は、当該リンク部材がロック位置をとるとき、装置本体をその取り付け先に固定するための装置本体用締結部材を隠す形状に形成されていることを要旨とする。この構成によれば、リンク部材がロック位置をとったとき、装置本体用締結部材がリンク部材にて隠されるので、仮に第三者が不正に装置本体用締結部材を取り外そうとしても、この行為を行うことができなくなる。よって、給電プラグロック装置の不正取り外し防止に効果が高くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、限られたスペースしか存在しなくても、給電プラグロック装置をその配置スペースに搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の充電システム及び給電プラグロック装置の構成図。
【図2】給電プラグ及び受電コネクタの斜視図。
【図3】インレットの収納ボックスへの取り付け方を示す斜視図。
【図4】給電プラグの受電コネクタへの取り付け方を示す模式図。
【図5】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図6】給電プラグを受電コネクタに接続したときの給電口の正面図。
【図7】(a)は給電プラグロック装置の構成部品の側面図、(b)はリンクの取り付け状態を示す平面図。
【図8】アンロック状態の給電プラグロック装置の正面図。
【図9】ロック状態の給電プラグロック装置の正面図。
【図10】アンロック時の給電プラグロック装置の動作状態を示す斜視図。
【図11】ロック時の給電プラグロック装置の動作状態を示す斜視図。
【図12】プラグ挿し込み時にアームにて押し上げられるロックレバーを示す説明図。
【図13】プラグ引き抜き時にアームにて押し上げられるロックレバーを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2及びモータ3を利用して発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。また、車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム6が設けられている。充電システム6は、例えば街に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備7として、充電設備7の充電ケーブル8の先端に設けられた給電プラグ9を車両1に接続してバッテリ5を充電する。
【0017】
図2及び図3に示すように、車体10の側壁には、車体10の給電口11を開閉するリッド12が横開き可能に取り付けられている。給電口11には、リッド12や給電口11周辺の各種部品を取り付けるための収納ボックス13が設けられている。
【0018】
図3に示すように、収納ボックス13の略中央位置には、給電プラグ9の嵌め込み先となるインレット14が、複数(本例は4つ)の締結部材15にて取り付け固定されている。車体10側の受電コネクタ16は、複数の電気接続端子(パワー端子、制御端子等)が形成されるとともに、インレット14の中央に貫設された通し孔17から外部に引き出されている。インレット14には、受電コネクタ16に給電プラグ9が完挿されたことを検出する図1に示すプラグ接続検出センサ18が設けられている。
【0019】
図4に示すように、給電プラグ9は、充電システム6の電源側であって、受電コネクタ16と同様の電気接続端子を有する。給電プラグ9のプラグ本体19には、接続時の抜け止めとしてロックアーム20が回動可能に取り付けられている。ロックアーム20は、長手方向中央を回動軸21として、長手方向と交差する方向に回動操作可能である。ロックアーム20は、先端の爪部22と根元のアーム操作部23とがプラグ本体19の外部に露出されている。ロックアーム20には、アーム操作部23寄りの位置に、ロックアーム20を閉じ側に常時付勢する付勢部材24が設けられている。なお、ロックアームが操作アームに相当する。
【0020】
給電プラグ9を受電コネクタ16に接続する際には、給電プラグ9を受電コネクタ16に向けて真っ直ぐ(図4の−X軸方向)に挿し込む。このとき、爪部22がインレット14の上部の係止突25に当接すると、ロックアーム20はその斜面26に案内されて係止突25を上る。そして、給電プラグ9がインレット14に完挿されると、付勢部材24の付勢力によってロックアーム20が閉じ側に回動する。このため、爪部22が係止突25に引っ掛かり、給電プラグ9がインレット14に抜け止めされる。
【0021】
ハイブリッドシステム4は、給電プラグ9が受電コネクタ16の完挿されたことを確認すると、給電プラグ9(充電設備7)にバッテリ5の充電を実行させる。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電になったことを確認すると、給電プラグ9に充電を終了させる。充電終了後、給電プラグ9を受電コネクタ16から取り外す際には、アーム操作部23を押してロックアーム20を開き側に回動操作し、係止突25から離間する。そして、この状態で給電プラグ9を受電コネクタ16から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0022】
図5及び図6に示すように、給電口11内の収納ボックス13には、受電コネクタ16に接続された給電プラグ9の不正取り外しを防止する給電プラグロック装置27が設けられている。本例の給電プラグロック装置27は、ロック/アンロックの切り換えを、給電プラグロック装置27の専用のメカニカルキー28によるキー操作によって行う。
【0023】
図5に示すように、給電プラグロック装置27には、ロック機構に関係する各種部品が取り付けられた装置本体29と、装置本体29の外面を覆う樹脂製のカバー部30とが設けられている。装置本体29の外枠は、金属製であって、内部に各種部品を収納する。装置本体29には、取付状態においてインレット14(受電コネクタ16)を通す開口部31が貫設されている。装置本体29は、3つの締結部材15aによってインレット14と共締めすることにより、収納ボックス13に取り付け固定されている。締結部材15aは、装置本体29の3つの角に各々形成された挿通孔32にそれぞれ通されている。
【0024】
カバー部30にも、取付状態においてインレット14(受電コネクタ16)を通す開口部33が貫設されている。カバー部30は、装置本体29の蓋以外に、装置本体29に締結された3つの締結部材15aを隠す役目もある。カバー部30は、スナップフィット構造によって装置本体29に一体固定されている。
【0025】
本例の給電プラグロック装置27は、後付けの用品としてもよい。この場合、インレット14を固定する4つの締結部材15のうち、3つの締結部材15aを取り外し、装置本体29を取付状態のインレット14に対して位置決めした後、装置本体29を締結部材15aによってインレット14と共締めすることにより取り付ける。そして、この装置本体29にカバー部30をスナップフィット構造によって取り付け固定する。
【0026】
図5及び図6に示すように、カバー部30には、閉じたリッド12を閉状態にてロックするリッドロックピン(図示略)を隠す蓋部34が、装置本体29に対して着脱可能に設けられている。このように、カバー部30は、カバー部本体30aと蓋部34とで構成される。蓋部34には、一段低い位置に座部35が突設されている。蓋部34は、座部35に通した締結部材36を装置本体29のボス部37に締結することによって、装置本体29に取り付け固定されている。
【0027】
図6に示すように、本例の給電プラグ9は、受電コネクタ16に接続された際、周囲よりも一段低くなった座部35を、自身の先端周囲に突設された庇部38によって覆い隠すことにより、締結部材36を外から見えなくする。これにより、給電プラグ9が受電コネクタ16に接続されている最中は、締結部材36が給電プラグ9によって隠されるので、締結部材36(即ち、蓋部34)を不正に取り外す行為が防止される。
【0028】
図5、図7〜図9に示すように、装置本体29には、略円弧状(半円弧状)のリンク39が開口部31の周縁に沿って円弧スライド可能に取り付けられている。リンク39は、装置本体29の側部に形成された略円弧状のガイド溝40に取り付けられ、ガイド溝40によって円弧スライドが案内される。リンク39は、円弧スライド位置に応じてロック/アンロックを切り換える部材である。なお、リンク39がリンク部材を構成する。
【0029】
図5、図7〜図9、装置本体29には、円弧状リンク39を円弧スライドさせる際に操作するキーシリンダ41が設けられている。キーシリンダ41には、装置本体29の角部分において装置本体29に一体形成された略筒状のロータケース42と、ロータケース42内に相対回動可能に収納されたロータ43とが設けられている。ロータケース42に収納されたロータ43は、カバー部30に形成されたロータ蓋部44によってロータケース42に抜け止めされている。
【0030】
キーシリンダ41(ロータ43)には、給電プラグロック装置27の専用のメカニカルキー28が挿し込み可能である。専用のメカニカルキー28とは、車両ドアの施解錠やエンジン始動停止を操作するキーシステムで使用するメカニカルキーではなく、これとは別の給電プラグロック装置27の専用キーのことを言う。そして、キーシリンダ41に正規のメカニカルキー28が挿し込まれると、ロータ43内の複数のタンブラ(図示略)が整列し、ロータ43が回動操作可能となる。
【0031】
図5、図10及び図11に示すように、ロータ43の背面には、リンク39に向かって突出する略円柱状の係止突起45が突設されている。この係止突起45には、リンク39の根元に形成された長穴部46が摺動可能に係止されている。よって、メカニカルキー28によるロータ43の回転方向の動きが、係止突起45と長穴部46とによって、リンク39の円弧スライドの動きに変換される。なお、係止突起45及び長穴部46がリンク部材を構成する。
【0032】
本例の場合、キーシリンダ41がロック方向(図8の矢印A1方向)に回動操作されると、リンク39がロック方向(図8の矢印B1方向)に円弧スライドする。また、キーシリンダ41がアンロック方向(図9の矢印A2方向)に回動操作されると、リンク39がアンロック方向(図9の矢印B2方向)に円弧スライドする。メカニカルキー28は、キーシリンダ41がロック位置又はアンロック位置のどちらをとっていても、キーシリンダ41に対して抜き挿し可能となっている。
【0033】
図5、図7〜図9に示すように、装置本体29の上部には、ロックアーム20の開き操作を規制可能なロックレバー47が、装置奥行き方向に延びる軸心L1回りに回動可能に枢支されている。ロックレバー47は、筒状に突出する軸支持部48に回動可能に取り付けられている。軸支持部48の孔は、締結部材15aを通すための挿通孔32として使用されている。ロックレバー47の根元には、ロックレバー47を閉じ方向(図8及ぶ図9の矢印C1方向)に常時付勢する付勢部材49が設けられている。付勢部材49は、例えばコイルばねが使用され、一端がロックレバー47の根元の穴に係止され、装置本体29の本体部分29aから突設された支持突部50の穴に他端が係止されている。なお、ロックレバー47がロック部材(レバー部材)に相当する。
【0034】
ロックレバー47の先端には、給電プラグ9を受電コネクタ16に挿し込む際、ロックアーム20の当接によってロックレバー47を開き方向(図8及び図9の矢印C2方向)に回動させる斜面部51が設けられている。このため、図12に示すように、給電プラグ9の接続時、ロックアーム20が斜面部51に当接すると、その押し力によってロックレバー47が開き方向(図8及び図9の矢印C2方向)に回動する。そして、図13に示すように、ロックアーム20が係止突25の奥の穴に落ち込み、ロックアーム20が斜面部51を押さなくなると、ロックレバー47が付勢部材49の付勢力によって閉じ方向(図8及び図9の矢印C1方向)に回動する。
【0035】
キーシリンダ41のロック操作によってリンク39がロック方向(図8の矢印B1方向)に円弧スライドしたとき、リンク39がロックレバー47を下から支持する状態となると、ロックレバー47の開き動作を制限するロック状態となる。一方、キーシリンダ41のアンロック操作によってリンク39がアンロック方向(図9の矢印B2方向)に円弧スライドしたとき、リンク39がロックレバー47から離間する状態となると、ロックレバー47の開き動作を許容するアンロック状態となる。
【0036】
本例の場合、支持突部50は、リンク39がロック位置に位置したとき、ロックレバー47とでリンク39の先端部分を挟持して支持する箇所となっている。これは、例えば第三者が無理にロックアーム20を開き操作した際、ロックレバー47が開き方向に動いても、支持突部50で支持して、不正解除を防止するためである。支持突部50は、広い範囲の表面50aにてロックレバー47をしっかりと支持する。
【0037】
図7(a)に示すように、リンク39は、途中で段状に折り曲げられた形状に形成されている。これは、図7(b)に示すように、リンク39を、装置本体29の壁部分(本体部分29aの壁面29bと支持突部50の表面50a)で支持するためである。こうすれば、リンク39を広範囲の面積で支持することが可能となるので、リンク39の変形防止に効果が高くなる。
【0038】
図5、図8〜図11に示すように、リンク39には、正面から見て右下の締結部材15aをロック時においてのみ隠す締結部材隠し部52が設けられている。本例の締結部材隠し部52は、締結部材15aを避けるように略円弧状に形成された非干渉部53と、締結部材15aを上から覆い隠す干渉部54とが設けられている。図8に示すように、非干渉部53の両側の根元は、強度を確保するために、肉厚を付けて表面を緩やかなR形状とすることにより、補強部55,55として形成されている。
【0039】
図8に示すように、リンク39がアンロック位置をとるとき、非干渉部53が締結部材15aと位置が合い、締結部材15aが外部に露出する。このため、リンク39がアンロック位置のときは、締結部材15a(給電プラグロック装置27)の取り外しが可能である。一方、図9に示すように、リンク39がロック位置をとるとき、干渉部54が締結部材15aの上に位置し、締結部材15aを外から見えないように隠す。このため、リンク39がロック位置のときは、締結部材15a(給電プラグロック装置27)の取り外しが不可となる。
【0040】
次に、本例の給電プラグロック装置27の動作を、図8〜図13を用いて説明する。
図12に示すように、給電プラグ9を受電コネクタ16に接続するとき、ロックアーム20の爪部22がロックレバー47の斜面部51に当接し、ロックレバー47を上に押しのける動きをとる。このとき、ロックレバー47が開き方向(図12の矢印C2方向)に回動することにより、ロックレバー47が邪魔にならず、給電プラグ9を受電コネクタ16に挿し込む操作が許容される。
【0041】
そして、給電プラグ9が受電コネクタ16に完挿されて、ロックアーム20が係止突25を乗り越えると、その後、ロックアーム20が付勢部材24の付勢力によって閉じ方向(図8の矢印C1方向)に回動し、係止突25の奥の穴に落ち込む。これにより、ロックアーム20の爪部22が係止突25に係止し、給電プラグ9の挿し込みが完了する。
【0042】
図8に示すように、受電コネクタ16に挿し込んだ給電プラグ9をロックするには、アンロック位置にあるキーシリンダ41にメカニカルキー28を挿し込み、メカニカルキー28をロック方向(図8の矢印A1方向:紙面右方向)に略90°回転操作する。このとき、ロータ43のロック方向への回動に伴い、係止突起45が長穴部46を摺動しながら押すことにより、リンク39がロック方向(図8の矢印B1方向)に円弧スライドする。
【0043】
そして、図9に示すように、リンク39の先端がロックレバー47と支持突部50との間に入り込むと、リンク39はロックレバー47の開き方向(図9の矢印C2方向)の動きを制限する状態、つまり給電プラグロック装置27はロック状態となる。そして、リンク39をロック位置に円弧スライドさせた後は、キーシリンダ41からメカニカルキー28を抜き取り、手元においておくことで、ロック操作が完了する。
【0044】
給電プラグロック装置27がロック状態のとき、仮に第三者が給電プラグ9を受電コネクタ16から不正に取り外そうとして、給電プラグのロックアーム20を勝手に開き操作することも想定される。しかし、給電プラグロック装置27がロック状態であれば、ロックレバー47はリンク39にて開き動作が不可となっているので、ロックアーム20が不正に開き操作されても、ロックレバー47は動かず、ロック状態で維持される。このため、接続中の給電プラグ9が受電コネクタ16から勝手に抜き取られる可能性が低くなる。
【0045】
また、図9の円内に示すように、このロック状態のとき、リンク39は、支持突部50の広い面積にて支持された状態で、ロックレバー47の開き動作を規制する。このため、リンク39は、ロックレバー47の開き動作をしっかりと支持することが可能となるので、ロックレバー47の不正解除防止に効果が高くなる。また、ロックの不正解除時にロックレバー47からリンク39に加わる操作荷重の方向(操作荷重方向F)が、リンク39のアンロック方向(図9の矢印B2方向)と交差するので、操作荷重がリンク39をアンロックさせる力として働かない。よって、このことも、ロックの不正解除防止に効果が高くなる。
【0046】
バッテリ5の充電完了後、給電プラグ9を受電コネクタ16から取り外すには、ロック状態の給電プラグロック装置27をアンロック状態に切り換える。このとき、図9に示すように、ロック位置にあるキーシリンダ41にメカニカルキー28を挿し込み、メカニカルキー28をアンロック方向(図9の矢印A2方向:紙面左方向)に略90°回転操作する。このとき、ロータ43のアンロック方向への回動に伴い、係止突起45が長穴部46を摺動しながら引くことにより、リンク39がアンロック方向(図9の矢印B2方向)に円弧スライドする。
【0047】
そして、図8に示すように、リンク39がロックレバー47と支持突部50との間から抜け出ると、リンク39はロックレバー47の開き方向(図8の矢印C2方向)の動きを許容する状態、つまり給電プラグロック装置27はアンロック状態となる。
【0048】
図13に示すように、アンロックに切り換え後、給電プラグ9を受電コネクタ16から抜き取るときには、アーム操作部23を押してロックアーム20を開き操作する。このとき、ロックアーム20の開き動作に伴って爪部22が斜面部51を押し、ロックレバー47が開き方向(図13の矢印C2方向)に押し上げられるので、給電プラグ9を受電コネクタ16から引き抜くことが可能である。そして、給電プラグ9を受電コネクタ16から引き抜くと、押し上げられたロックレバー47は、付勢部材49の付勢力によって元の閉じ状態に戻る。
【0049】
以上により、本例においては、円弧スライド可能なリンク39を、キーシリンダ41の回動操作によってロック位置/アンロック位置に切り換えることにより、ロックレバー47の開き動作を制限/許可して給電プラグ9のロック/アンロックする。このため、本例の場合、インレット14の周囲の半円弧状のスペースに、ロックレバー47とリンク39とキーシリンダ41とが配置されることになる。
【0050】
よって、インレット14の周囲の空いたスペースに、ロックレバー47やリンク39やキーシリンダ41を分散して配置することが可能となる。従って、給電プラグロック装置27を手動ロック/アンロック式とするに際し、インレット14に限られたスペースしか存在しなくても、この限られたスペースに各種部品を配置することが可能となるので、給電プラグロック装置27の搭載実現性に効果が高くなる。
【0051】
また、給電プラグロック装置27のロック/アンロックは、キーシリンダ41を専用のメカニカルキー28にて回動操作するという手動操作にて行うので、ユーザが新規ロック状態/アンロック状態に移行させたいときにのみ、給電プラグロック装置27を動作させることが可能となる。このため、不要なロック動作/アンロック動作が実施されずに済むので、部品の早期劣化が抑制される。
【0052】
さらに、ロック時においてリンク39がロック位置をとった際、締結部材隠し部52の干渉部54が、1つの締結部材15aを上から覆って隠す状態をとる。このため、給電プラグロック装置27が給電プラグ9をインレット14にロックしているとき、仮に第三者が不正にカバー部30を破壊して給電プラグロック装置27を車体10から取り外そうとしても、リンク39で締結部材15aが隠されているので、締結部材15aを外すことができない。このため、給電プラグロック装置27(給電プラグ9)の不正取り外し防止に効果が高くなる。
【0053】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ロックレバー47に連結された円弧状のリンク39を、キーシリンダ41の手動操作によってロック位置/アンロック位置に円弧スライドさせることにより、ロックレバー47のロック位置/アンロック位置を切り換えて、給電プラグロック装置27のロック/アンロックを設定する。このため、ロックレバー47をリンク39にてキーシリンダ41と連結する構成をとるので、給電プラグロック装置27の構成部品を1箇所にまとめて配置するのではなく、インレット14の周囲に分散配置することができる。よって、仮に給電プラグロック装置27の搭載スペースが限られる場合であっても、そのスペースに装置を搭載できる可能性が高くなるので、搭載実現性が向上する。
【0054】
(2)給電プラグロック装置27の構造が、主としてリンク39、キーシリンダ41及びロックレバー47などで済むので、給電プラグロック装置27の構造を簡素化することができ、さらには部品コストも低く抑えることができる。
【0055】
(3)リンク39の形状を、インレット14の外周に沿う円弧形状とした。このため、インレット14の周囲を広範囲に亘りリンク39の配置スペースとして利用することが可能となるので、給電プラグロック装置27の装置体格の大型化を抑えながら、リンク39の充分な長さを確保することができる。
【0056】
(4)給電プラグ9の受電コネクタ16への挿し込み時、給電プラグ9のロックアーム20でロックレバー47の斜面部51を押し上げることにより、ロックレバー47を開き方向に回動させ、給電プラグ9の挿し込みを許容する。一方、給電プラグ9の受電コネクタ16からの取り外し時、ロックアーム20を開き操作してロックレバー47を押し上げることにより、ロックレバー47を開き宝庫に回動させ、給電プラグ9の取り外しを許容する。このため、給電プラグロック装置27の構造を、給電プラグ9をインレット14に抜き挿しする際の動作を利用した簡素なロック/アンロック構造とすることができる。
【0057】
(5)キーシリンダ41がロック位置/アンロック位置のどちらに位置していても、メカニカルキー28をキーシリンダ41に抜き挿しすることが可能である。このため、キーシリンダ41がロック位置/アンロック位置のどちらにあっても、キーシリンダ41からメカニカルキー28を外しておくことができる。
【0058】
(6)リンク39がロック位置をとるとき、リンク39の先端を背面から広い面積で支持する支持突部50を設けた。このため、ロック時において、仮に第三者が不正なロック解除を狙ってロックアーム20を不正に開き操作した場合であっても、そのときにロックアーム20から、ロックレバー47→リンク39を伝って加わる操作荷重を、支持突部50で支持することができる。このため、ロックレバー47がロック位置にて保持されるので、ロックの不正解除防止に効果が高くなる。
【0059】
(7)給電プラグロック装置27のロック時、ロックレバー47と支持突部50との間でリンク39を挟み込むことにより、ロック状態が保持される。このため、ロック不正解除時にロックレバー47からリンク39に加わる操作荷重の方向(図9に示す操作荷重方向F)と、リンク39のアンロック方向(図9の矢印B2方向)とが交差する向きをとる。よって、操作荷重がリンク39のアンロック方向への操作力として働かずに済むので、ロックの不正解除防止に一層寄与する。
【0060】
(8)リンク39がロック位置に円弧スライドされたとき、リンク39が干渉部54にて締結部材15aを隠すので、仮に第三者が不正に締結部材15aを取り外そうとしても、この行為を行うことができなくなる。よって、給電プラグロック装置27の不正取り外し防止に一層寄与する。
【0061】
(9)カバー部30が取付状態において締結部材15aを覆い隠すので、第三者によって締結部材15aが不正に取り外されてしまう可能性が低くなる。このため、給電プラグロック装置27の不正取り外し防止に効果が高くなる。また、締結部材15aが外に露出しないので、給電プラグロック装置27の見栄えもよくなる。
【0062】
(10)給電プラグ9をインレット14に接続した際、締結部材36が給電プラグ9によって隠されるので、蓋部34の不正取り外しを生じ難くすることができる。
(11)メカニカルキー28を給電プラグロック装置27の専用キーとしたので、仮にキーシリンダ41が盗難されて、内部のタンブラからキー溝形状が読み取られても、車両ドアの施解錠やエンジン始動で使用するキーのキー溝形状が読み取られたことにはならない。よって、車両盗難防止に対するセキュリティ性を確保することができる。
【0063】
(12)リッドロックを隠す蓋部34を設けたので、リッドロックが外に露出しない。このため、給電プラグロック装置27の見栄え確保に一層寄与する。また、リッドロックピンを後付け式とした場合でも、蓋部34を取り外して、リッドロックピンを取り付けることが可能となる。よって、ユーザの要望に応じて、自由にリッドロックピンを取り付けることができる。
【0064】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ロータ43に係止突起45が形成され、リンク39に長穴部46が形成されることに限らず、例えば係止突起45をリンク39に設け、長穴部46をロータ43に設けてもよい。
【0065】
・キーシリンダ41の回動操作力をリンク39の円弧スライドの操作力に変換する機構は、ロータ43の係止突起45とリンク39の長穴部46とから構成されることに限定されない。例えば、ロータ43の側面に設けた突起でリンク39の根元を摺動しながら押すことにより、リンク39をロック方向に円弧スライドさせ、リンク39のアンロック方向への円弧スライドが付勢部材の付勢力にて行われる構造としてもよい。
【0066】
・リンク39がロック位置をとるとき、例えばリンク39がロックレバー47の溝に係止して、ロック状態が保持される構造をとってもよい。
・締結部材隠し部52は、アンロック状態において非干渉部53が締結部材15aを避けるような略円弧形状をとる構造に限定されず、例えばロック状態において干渉部54が締結部材15aを隠すように形状が加工されたものでもよい。
【0067】
・カバー部30は、スナップフィット構造により装置本体29に組み付けられることに限定されず、例えばビス等など、他の組付方式を使用してもよい。
・リンク39は、半円弧形状に限定されず、例えば直線形状など、他の形状に変更可能である。
【0068】
・キーシリンダ41は、ロック位置/アンロック位置の両方でメカニカルキー28が抜き挿し可能となることに限定されない。例えば、リンク39がロック位置に位置した際、その位置が保持可能であれば、キーシリンダ41がロック位置のときのみメカニカルキー28が抜き挿し可能となっていてもよい。
【0069】
・メカニカルキー28は、給電プラグロック装置27の専用キーであることに限定されず、例えば車両ドアの施解錠やエンジン始動の際に用いるキーシステムと共用のキーであってもよい。
【0070】
・ロックアーム20の形状、配置位置、動きは、実施形態に述べた構成に限らず、爪部22がインレット14の係止突25に係止できれば、他の態様に変更可能である。
・ロックレバー47は、装置奥行き方向に延びる軸心L1回りに回動する部材に限定されず、装置幅方向や装置高さ方向を軸心として回る部材でもよい。
【0071】
・ロック部材は、給電プラグ9の抜き挿し時に、ロックアーム20にて持ち上げられる動きをとるレバー部材(ロックレバー47)に限定されない。例えば、ロック部材は、リンク39によってロック位置とアンロック位置との間で位置が切り換わる部材でもよい。この場合、ロック部材がロックアーム20の上方に位置してロック位置をとると、ロックアーム20の開き操作を規制する状態となり、一方でロック部材がロックアーム20から離間してアンロック位置をとると、ロックアーム20の開き操作を許可する状態となる。
【0072】
・給電プラグロック装置27は、締結部材15によってインレット14と共締めされることにより車体10に組み付けられることに限定されない。例えば、給電プラグロック装置27のみを、個別にボルト等で車体10に組み付けてもよい。
【0073】
・付勢部材49は、ばねに限定されず、ロックレバー47に閉じ方向の付勢力を与えることができれば、他の部材に変更可能である。
・給電プラグロック装置27の構造は、実施形態に述べた態様に限定されず、本発明の思想を満たすことができれば、他の構造や形状に変更可能である。
【0074】
・車両1は、ハイブリッド車に限定されず、モータ3のみで動く電気自動車でもよい。
・給電プラグロック装置27は、車両1に搭載されることに限定されず、他の装置や機器に転用可能である。
【符号の説明】
【0075】
9…給電プラグ、14…インレット、15(15a)…装置本体用締結部材、20…操作アームとしてのロックアーム、27…給電プラグロック装置、28…メカニカルキー、29…装置本体、39…リンク部材を構成するリンク、41…キーシリンダ、45…リンク部材を構成する係止突起、46…リンク部材を構成する長穴部、47…ロック部材(レバー部材)としてのロックレバー、50…支持突部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行する。よって、長距離走行してバッテリ残量が減ったときは、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。従って、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に接続した際、給電プラグが不正に取り外されないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給電プラグロック装置を車両に搭載する場合、その搭載場所は、例えば車体の側壁などの搭載スペースが限られた場所となる可能性が高い。よって、限られた配置スペースしか車体に存在しない場合であっても搭載することができる給電プラグロック装置の開発ニーズがあった。
【0006】
本発明の目的は、限られたスペースしか存在しなくても、その配置スペースに搭載することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続されたとき、当該給電プラグに設けられた係止用の操作アームを、前記インレット側のロック部材によって該インレットに係止することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、ロック状態又はアンロック状態を切り換える際に操作するキーシリンダと、前記キーシリンダの回動操作により、当該回動操作によって連れ動きすることにより、前記ロック部材の動きを規制するロック状態と、当該ロック部材の動きを許容するアンロック状態とに切り換わるリンク部材とを備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、ロック部材に連結されたリンク部材を、キーシリンダの手動による回動操作によってロック位置/アンロック位置に位置させることにより、ロック部材のロック/アンロックを切り換えて、給電プラグロック装置のロック/アンロックを設定する。このため、ロック部材をリンク部材にてキーシリンダと連結する構成をとるので、給電プラグロック装置の構成部品を1箇所にまとめて配置しなくても、インレットの周囲に分散配置することが可能となる。よって、搭載スペースが限られる場合であっても、そのスペースに装置を搭載できる可能性が高くなるので、搭載実現性の確保に効果が高くなる。
【0009】
本発明では、前記リンク部材は、前記インレットの外周に沿って、円弧状に形成されていることを要旨とする。この構成によれば、インレットの周囲を広範囲に亘りリンク部材の配置スペースとして利用することが可能となるので、給電プラグロック装置の装置体格の大型化を抑えながら、リンク部材の長さを確保することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記ロック部材は、軸回りに回動するレバー部材であって、前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記操作アームによる押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの挿し込みが許容され、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くとき、開き操作される前記操作アームの押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの引き抜きが許容されることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置の構造を、給電プラグをインレットに抜き挿しする際の動作を利用した簡素なロック/アンロック構造とすることが可能となる。
【0011】
本発明では、前記キーシリンダがアンロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をアンロック位置に引き込んでアンロック状態となり、前記キーシリンダがロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をロック位置に押し出してロック状態となり、前記キーシリンダは、ロック位置及びアンロック位置の両方においてメカニカルキーを抜き挿し可能であることを要旨とする。この構成によれば、キーシリンダがロック位置/アンロック位置のどちらにあっても、キーシリンダからメカニカルキーを外しておくことが可能となる。
【0012】
本発明では、装置本体には、前記リンク部材がロック位置をとるとき、前記ロック部材とで当該リンク部材を挟み込む支持突部が形成されていることを要旨とする。この構成によれば、ロック時において操作アームが不正に開き操作されても、この外力にて開き方向に動こうとするロック部材を支持突部で支持することが可能となる。このため、ロック部材がロック位置にて保持されるので、給電プラグロック装置の不正解除防止に効果が高くなる。
【0013】
本発明では、前記リンク部材は、当該リンク部材がロック位置をとるとき、装置本体をその取り付け先に固定するための装置本体用締結部材を隠す形状に形成されていることを要旨とする。この構成によれば、リンク部材がロック位置をとったとき、装置本体用締結部材がリンク部材にて隠されるので、仮に第三者が不正に装置本体用締結部材を取り外そうとしても、この行為を行うことができなくなる。よって、給電プラグロック装置の不正取り外し防止に効果が高くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、限られたスペースしか存在しなくても、給電プラグロック装置をその配置スペースに搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の充電システム及び給電プラグロック装置の構成図。
【図2】給電プラグ及び受電コネクタの斜視図。
【図3】インレットの収納ボックスへの取り付け方を示す斜視図。
【図4】給電プラグの受電コネクタへの取り付け方を示す模式図。
【図5】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図6】給電プラグを受電コネクタに接続したときの給電口の正面図。
【図7】(a)は給電プラグロック装置の構成部品の側面図、(b)はリンクの取り付け状態を示す平面図。
【図8】アンロック状態の給電プラグロック装置の正面図。
【図9】ロック状態の給電プラグロック装置の正面図。
【図10】アンロック時の給電プラグロック装置の動作状態を示す斜視図。
【図11】ロック時の給電プラグロック装置の動作状態を示す斜視図。
【図12】プラグ挿し込み時にアームにて押し上げられるロックレバーを示す説明図。
【図13】プラグ引き抜き時にアームにて押し上げられるロックレバーを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2及びモータ3を利用して発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。また、車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム6が設けられている。充電システム6は、例えば街に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備7として、充電設備7の充電ケーブル8の先端に設けられた給電プラグ9を車両1に接続してバッテリ5を充電する。
【0017】
図2及び図3に示すように、車体10の側壁には、車体10の給電口11を開閉するリッド12が横開き可能に取り付けられている。給電口11には、リッド12や給電口11周辺の各種部品を取り付けるための収納ボックス13が設けられている。
【0018】
図3に示すように、収納ボックス13の略中央位置には、給電プラグ9の嵌め込み先となるインレット14が、複数(本例は4つ)の締結部材15にて取り付け固定されている。車体10側の受電コネクタ16は、複数の電気接続端子(パワー端子、制御端子等)が形成されるとともに、インレット14の中央に貫設された通し孔17から外部に引き出されている。インレット14には、受電コネクタ16に給電プラグ9が完挿されたことを検出する図1に示すプラグ接続検出センサ18が設けられている。
【0019】
図4に示すように、給電プラグ9は、充電システム6の電源側であって、受電コネクタ16と同様の電気接続端子を有する。給電プラグ9のプラグ本体19には、接続時の抜け止めとしてロックアーム20が回動可能に取り付けられている。ロックアーム20は、長手方向中央を回動軸21として、長手方向と交差する方向に回動操作可能である。ロックアーム20は、先端の爪部22と根元のアーム操作部23とがプラグ本体19の外部に露出されている。ロックアーム20には、アーム操作部23寄りの位置に、ロックアーム20を閉じ側に常時付勢する付勢部材24が設けられている。なお、ロックアームが操作アームに相当する。
【0020】
給電プラグ9を受電コネクタ16に接続する際には、給電プラグ9を受電コネクタ16に向けて真っ直ぐ(図4の−X軸方向)に挿し込む。このとき、爪部22がインレット14の上部の係止突25に当接すると、ロックアーム20はその斜面26に案内されて係止突25を上る。そして、給電プラグ9がインレット14に完挿されると、付勢部材24の付勢力によってロックアーム20が閉じ側に回動する。このため、爪部22が係止突25に引っ掛かり、給電プラグ9がインレット14に抜け止めされる。
【0021】
ハイブリッドシステム4は、給電プラグ9が受電コネクタ16の完挿されたことを確認すると、給電プラグ9(充電設備7)にバッテリ5の充電を実行させる。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電になったことを確認すると、給電プラグ9に充電を終了させる。充電終了後、給電プラグ9を受電コネクタ16から取り外す際には、アーム操作部23を押してロックアーム20を開き側に回動操作し、係止突25から離間する。そして、この状態で給電プラグ9を受電コネクタ16から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0022】
図5及び図6に示すように、給電口11内の収納ボックス13には、受電コネクタ16に接続された給電プラグ9の不正取り外しを防止する給電プラグロック装置27が設けられている。本例の給電プラグロック装置27は、ロック/アンロックの切り換えを、給電プラグロック装置27の専用のメカニカルキー28によるキー操作によって行う。
【0023】
図5に示すように、給電プラグロック装置27には、ロック機構に関係する各種部品が取り付けられた装置本体29と、装置本体29の外面を覆う樹脂製のカバー部30とが設けられている。装置本体29の外枠は、金属製であって、内部に各種部品を収納する。装置本体29には、取付状態においてインレット14(受電コネクタ16)を通す開口部31が貫設されている。装置本体29は、3つの締結部材15aによってインレット14と共締めすることにより、収納ボックス13に取り付け固定されている。締結部材15aは、装置本体29の3つの角に各々形成された挿通孔32にそれぞれ通されている。
【0024】
カバー部30にも、取付状態においてインレット14(受電コネクタ16)を通す開口部33が貫設されている。カバー部30は、装置本体29の蓋以外に、装置本体29に締結された3つの締結部材15aを隠す役目もある。カバー部30は、スナップフィット構造によって装置本体29に一体固定されている。
【0025】
本例の給電プラグロック装置27は、後付けの用品としてもよい。この場合、インレット14を固定する4つの締結部材15のうち、3つの締結部材15aを取り外し、装置本体29を取付状態のインレット14に対して位置決めした後、装置本体29を締結部材15aによってインレット14と共締めすることにより取り付ける。そして、この装置本体29にカバー部30をスナップフィット構造によって取り付け固定する。
【0026】
図5及び図6に示すように、カバー部30には、閉じたリッド12を閉状態にてロックするリッドロックピン(図示略)を隠す蓋部34が、装置本体29に対して着脱可能に設けられている。このように、カバー部30は、カバー部本体30aと蓋部34とで構成される。蓋部34には、一段低い位置に座部35が突設されている。蓋部34は、座部35に通した締結部材36を装置本体29のボス部37に締結することによって、装置本体29に取り付け固定されている。
【0027】
図6に示すように、本例の給電プラグ9は、受電コネクタ16に接続された際、周囲よりも一段低くなった座部35を、自身の先端周囲に突設された庇部38によって覆い隠すことにより、締結部材36を外から見えなくする。これにより、給電プラグ9が受電コネクタ16に接続されている最中は、締結部材36が給電プラグ9によって隠されるので、締結部材36(即ち、蓋部34)を不正に取り外す行為が防止される。
【0028】
図5、図7〜図9に示すように、装置本体29には、略円弧状(半円弧状)のリンク39が開口部31の周縁に沿って円弧スライド可能に取り付けられている。リンク39は、装置本体29の側部に形成された略円弧状のガイド溝40に取り付けられ、ガイド溝40によって円弧スライドが案内される。リンク39は、円弧スライド位置に応じてロック/アンロックを切り換える部材である。なお、リンク39がリンク部材を構成する。
【0029】
図5、図7〜図9、装置本体29には、円弧状リンク39を円弧スライドさせる際に操作するキーシリンダ41が設けられている。キーシリンダ41には、装置本体29の角部分において装置本体29に一体形成された略筒状のロータケース42と、ロータケース42内に相対回動可能に収納されたロータ43とが設けられている。ロータケース42に収納されたロータ43は、カバー部30に形成されたロータ蓋部44によってロータケース42に抜け止めされている。
【0030】
キーシリンダ41(ロータ43)には、給電プラグロック装置27の専用のメカニカルキー28が挿し込み可能である。専用のメカニカルキー28とは、車両ドアの施解錠やエンジン始動停止を操作するキーシステムで使用するメカニカルキーではなく、これとは別の給電プラグロック装置27の専用キーのことを言う。そして、キーシリンダ41に正規のメカニカルキー28が挿し込まれると、ロータ43内の複数のタンブラ(図示略)が整列し、ロータ43が回動操作可能となる。
【0031】
図5、図10及び図11に示すように、ロータ43の背面には、リンク39に向かって突出する略円柱状の係止突起45が突設されている。この係止突起45には、リンク39の根元に形成された長穴部46が摺動可能に係止されている。よって、メカニカルキー28によるロータ43の回転方向の動きが、係止突起45と長穴部46とによって、リンク39の円弧スライドの動きに変換される。なお、係止突起45及び長穴部46がリンク部材を構成する。
【0032】
本例の場合、キーシリンダ41がロック方向(図8の矢印A1方向)に回動操作されると、リンク39がロック方向(図8の矢印B1方向)に円弧スライドする。また、キーシリンダ41がアンロック方向(図9の矢印A2方向)に回動操作されると、リンク39がアンロック方向(図9の矢印B2方向)に円弧スライドする。メカニカルキー28は、キーシリンダ41がロック位置又はアンロック位置のどちらをとっていても、キーシリンダ41に対して抜き挿し可能となっている。
【0033】
図5、図7〜図9に示すように、装置本体29の上部には、ロックアーム20の開き操作を規制可能なロックレバー47が、装置奥行き方向に延びる軸心L1回りに回動可能に枢支されている。ロックレバー47は、筒状に突出する軸支持部48に回動可能に取り付けられている。軸支持部48の孔は、締結部材15aを通すための挿通孔32として使用されている。ロックレバー47の根元には、ロックレバー47を閉じ方向(図8及ぶ図9の矢印C1方向)に常時付勢する付勢部材49が設けられている。付勢部材49は、例えばコイルばねが使用され、一端がロックレバー47の根元の穴に係止され、装置本体29の本体部分29aから突設された支持突部50の穴に他端が係止されている。なお、ロックレバー47がロック部材(レバー部材)に相当する。
【0034】
ロックレバー47の先端には、給電プラグ9を受電コネクタ16に挿し込む際、ロックアーム20の当接によってロックレバー47を開き方向(図8及び図9の矢印C2方向)に回動させる斜面部51が設けられている。このため、図12に示すように、給電プラグ9の接続時、ロックアーム20が斜面部51に当接すると、その押し力によってロックレバー47が開き方向(図8及び図9の矢印C2方向)に回動する。そして、図13に示すように、ロックアーム20が係止突25の奥の穴に落ち込み、ロックアーム20が斜面部51を押さなくなると、ロックレバー47が付勢部材49の付勢力によって閉じ方向(図8及び図9の矢印C1方向)に回動する。
【0035】
キーシリンダ41のロック操作によってリンク39がロック方向(図8の矢印B1方向)に円弧スライドしたとき、リンク39がロックレバー47を下から支持する状態となると、ロックレバー47の開き動作を制限するロック状態となる。一方、キーシリンダ41のアンロック操作によってリンク39がアンロック方向(図9の矢印B2方向)に円弧スライドしたとき、リンク39がロックレバー47から離間する状態となると、ロックレバー47の開き動作を許容するアンロック状態となる。
【0036】
本例の場合、支持突部50は、リンク39がロック位置に位置したとき、ロックレバー47とでリンク39の先端部分を挟持して支持する箇所となっている。これは、例えば第三者が無理にロックアーム20を開き操作した際、ロックレバー47が開き方向に動いても、支持突部50で支持して、不正解除を防止するためである。支持突部50は、広い範囲の表面50aにてロックレバー47をしっかりと支持する。
【0037】
図7(a)に示すように、リンク39は、途中で段状に折り曲げられた形状に形成されている。これは、図7(b)に示すように、リンク39を、装置本体29の壁部分(本体部分29aの壁面29bと支持突部50の表面50a)で支持するためである。こうすれば、リンク39を広範囲の面積で支持することが可能となるので、リンク39の変形防止に効果が高くなる。
【0038】
図5、図8〜図11に示すように、リンク39には、正面から見て右下の締結部材15aをロック時においてのみ隠す締結部材隠し部52が設けられている。本例の締結部材隠し部52は、締結部材15aを避けるように略円弧状に形成された非干渉部53と、締結部材15aを上から覆い隠す干渉部54とが設けられている。図8に示すように、非干渉部53の両側の根元は、強度を確保するために、肉厚を付けて表面を緩やかなR形状とすることにより、補強部55,55として形成されている。
【0039】
図8に示すように、リンク39がアンロック位置をとるとき、非干渉部53が締結部材15aと位置が合い、締結部材15aが外部に露出する。このため、リンク39がアンロック位置のときは、締結部材15a(給電プラグロック装置27)の取り外しが可能である。一方、図9に示すように、リンク39がロック位置をとるとき、干渉部54が締結部材15aの上に位置し、締結部材15aを外から見えないように隠す。このため、リンク39がロック位置のときは、締結部材15a(給電プラグロック装置27)の取り外しが不可となる。
【0040】
次に、本例の給電プラグロック装置27の動作を、図8〜図13を用いて説明する。
図12に示すように、給電プラグ9を受電コネクタ16に接続するとき、ロックアーム20の爪部22がロックレバー47の斜面部51に当接し、ロックレバー47を上に押しのける動きをとる。このとき、ロックレバー47が開き方向(図12の矢印C2方向)に回動することにより、ロックレバー47が邪魔にならず、給電プラグ9を受電コネクタ16に挿し込む操作が許容される。
【0041】
そして、給電プラグ9が受電コネクタ16に完挿されて、ロックアーム20が係止突25を乗り越えると、その後、ロックアーム20が付勢部材24の付勢力によって閉じ方向(図8の矢印C1方向)に回動し、係止突25の奥の穴に落ち込む。これにより、ロックアーム20の爪部22が係止突25に係止し、給電プラグ9の挿し込みが完了する。
【0042】
図8に示すように、受電コネクタ16に挿し込んだ給電プラグ9をロックするには、アンロック位置にあるキーシリンダ41にメカニカルキー28を挿し込み、メカニカルキー28をロック方向(図8の矢印A1方向:紙面右方向)に略90°回転操作する。このとき、ロータ43のロック方向への回動に伴い、係止突起45が長穴部46を摺動しながら押すことにより、リンク39がロック方向(図8の矢印B1方向)に円弧スライドする。
【0043】
そして、図9に示すように、リンク39の先端がロックレバー47と支持突部50との間に入り込むと、リンク39はロックレバー47の開き方向(図9の矢印C2方向)の動きを制限する状態、つまり給電プラグロック装置27はロック状態となる。そして、リンク39をロック位置に円弧スライドさせた後は、キーシリンダ41からメカニカルキー28を抜き取り、手元においておくことで、ロック操作が完了する。
【0044】
給電プラグロック装置27がロック状態のとき、仮に第三者が給電プラグ9を受電コネクタ16から不正に取り外そうとして、給電プラグのロックアーム20を勝手に開き操作することも想定される。しかし、給電プラグロック装置27がロック状態であれば、ロックレバー47はリンク39にて開き動作が不可となっているので、ロックアーム20が不正に開き操作されても、ロックレバー47は動かず、ロック状態で維持される。このため、接続中の給電プラグ9が受電コネクタ16から勝手に抜き取られる可能性が低くなる。
【0045】
また、図9の円内に示すように、このロック状態のとき、リンク39は、支持突部50の広い面積にて支持された状態で、ロックレバー47の開き動作を規制する。このため、リンク39は、ロックレバー47の開き動作をしっかりと支持することが可能となるので、ロックレバー47の不正解除防止に効果が高くなる。また、ロックの不正解除時にロックレバー47からリンク39に加わる操作荷重の方向(操作荷重方向F)が、リンク39のアンロック方向(図9の矢印B2方向)と交差するので、操作荷重がリンク39をアンロックさせる力として働かない。よって、このことも、ロックの不正解除防止に効果が高くなる。
【0046】
バッテリ5の充電完了後、給電プラグ9を受電コネクタ16から取り外すには、ロック状態の給電プラグロック装置27をアンロック状態に切り換える。このとき、図9に示すように、ロック位置にあるキーシリンダ41にメカニカルキー28を挿し込み、メカニカルキー28をアンロック方向(図9の矢印A2方向:紙面左方向)に略90°回転操作する。このとき、ロータ43のアンロック方向への回動に伴い、係止突起45が長穴部46を摺動しながら引くことにより、リンク39がアンロック方向(図9の矢印B2方向)に円弧スライドする。
【0047】
そして、図8に示すように、リンク39がロックレバー47と支持突部50との間から抜け出ると、リンク39はロックレバー47の開き方向(図8の矢印C2方向)の動きを許容する状態、つまり給電プラグロック装置27はアンロック状態となる。
【0048】
図13に示すように、アンロックに切り換え後、給電プラグ9を受電コネクタ16から抜き取るときには、アーム操作部23を押してロックアーム20を開き操作する。このとき、ロックアーム20の開き動作に伴って爪部22が斜面部51を押し、ロックレバー47が開き方向(図13の矢印C2方向)に押し上げられるので、給電プラグ9を受電コネクタ16から引き抜くことが可能である。そして、給電プラグ9を受電コネクタ16から引き抜くと、押し上げられたロックレバー47は、付勢部材49の付勢力によって元の閉じ状態に戻る。
【0049】
以上により、本例においては、円弧スライド可能なリンク39を、キーシリンダ41の回動操作によってロック位置/アンロック位置に切り換えることにより、ロックレバー47の開き動作を制限/許可して給電プラグ9のロック/アンロックする。このため、本例の場合、インレット14の周囲の半円弧状のスペースに、ロックレバー47とリンク39とキーシリンダ41とが配置されることになる。
【0050】
よって、インレット14の周囲の空いたスペースに、ロックレバー47やリンク39やキーシリンダ41を分散して配置することが可能となる。従って、給電プラグロック装置27を手動ロック/アンロック式とするに際し、インレット14に限られたスペースしか存在しなくても、この限られたスペースに各種部品を配置することが可能となるので、給電プラグロック装置27の搭載実現性に効果が高くなる。
【0051】
また、給電プラグロック装置27のロック/アンロックは、キーシリンダ41を専用のメカニカルキー28にて回動操作するという手動操作にて行うので、ユーザが新規ロック状態/アンロック状態に移行させたいときにのみ、給電プラグロック装置27を動作させることが可能となる。このため、不要なロック動作/アンロック動作が実施されずに済むので、部品の早期劣化が抑制される。
【0052】
さらに、ロック時においてリンク39がロック位置をとった際、締結部材隠し部52の干渉部54が、1つの締結部材15aを上から覆って隠す状態をとる。このため、給電プラグロック装置27が給電プラグ9をインレット14にロックしているとき、仮に第三者が不正にカバー部30を破壊して給電プラグロック装置27を車体10から取り外そうとしても、リンク39で締結部材15aが隠されているので、締結部材15aを外すことができない。このため、給電プラグロック装置27(給電プラグ9)の不正取り外し防止に効果が高くなる。
【0053】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ロックレバー47に連結された円弧状のリンク39を、キーシリンダ41の手動操作によってロック位置/アンロック位置に円弧スライドさせることにより、ロックレバー47のロック位置/アンロック位置を切り換えて、給電プラグロック装置27のロック/アンロックを設定する。このため、ロックレバー47をリンク39にてキーシリンダ41と連結する構成をとるので、給電プラグロック装置27の構成部品を1箇所にまとめて配置するのではなく、インレット14の周囲に分散配置することができる。よって、仮に給電プラグロック装置27の搭載スペースが限られる場合であっても、そのスペースに装置を搭載できる可能性が高くなるので、搭載実現性が向上する。
【0054】
(2)給電プラグロック装置27の構造が、主としてリンク39、キーシリンダ41及びロックレバー47などで済むので、給電プラグロック装置27の構造を簡素化することができ、さらには部品コストも低く抑えることができる。
【0055】
(3)リンク39の形状を、インレット14の外周に沿う円弧形状とした。このため、インレット14の周囲を広範囲に亘りリンク39の配置スペースとして利用することが可能となるので、給電プラグロック装置27の装置体格の大型化を抑えながら、リンク39の充分な長さを確保することができる。
【0056】
(4)給電プラグ9の受電コネクタ16への挿し込み時、給電プラグ9のロックアーム20でロックレバー47の斜面部51を押し上げることにより、ロックレバー47を開き方向に回動させ、給電プラグ9の挿し込みを許容する。一方、給電プラグ9の受電コネクタ16からの取り外し時、ロックアーム20を開き操作してロックレバー47を押し上げることにより、ロックレバー47を開き宝庫に回動させ、給電プラグ9の取り外しを許容する。このため、給電プラグロック装置27の構造を、給電プラグ9をインレット14に抜き挿しする際の動作を利用した簡素なロック/アンロック構造とすることができる。
【0057】
(5)キーシリンダ41がロック位置/アンロック位置のどちらに位置していても、メカニカルキー28をキーシリンダ41に抜き挿しすることが可能である。このため、キーシリンダ41がロック位置/アンロック位置のどちらにあっても、キーシリンダ41からメカニカルキー28を外しておくことができる。
【0058】
(6)リンク39がロック位置をとるとき、リンク39の先端を背面から広い面積で支持する支持突部50を設けた。このため、ロック時において、仮に第三者が不正なロック解除を狙ってロックアーム20を不正に開き操作した場合であっても、そのときにロックアーム20から、ロックレバー47→リンク39を伝って加わる操作荷重を、支持突部50で支持することができる。このため、ロックレバー47がロック位置にて保持されるので、ロックの不正解除防止に効果が高くなる。
【0059】
(7)給電プラグロック装置27のロック時、ロックレバー47と支持突部50との間でリンク39を挟み込むことにより、ロック状態が保持される。このため、ロック不正解除時にロックレバー47からリンク39に加わる操作荷重の方向(図9に示す操作荷重方向F)と、リンク39のアンロック方向(図9の矢印B2方向)とが交差する向きをとる。よって、操作荷重がリンク39のアンロック方向への操作力として働かずに済むので、ロックの不正解除防止に一層寄与する。
【0060】
(8)リンク39がロック位置に円弧スライドされたとき、リンク39が干渉部54にて締結部材15aを隠すので、仮に第三者が不正に締結部材15aを取り外そうとしても、この行為を行うことができなくなる。よって、給電プラグロック装置27の不正取り外し防止に一層寄与する。
【0061】
(9)カバー部30が取付状態において締結部材15aを覆い隠すので、第三者によって締結部材15aが不正に取り外されてしまう可能性が低くなる。このため、給電プラグロック装置27の不正取り外し防止に効果が高くなる。また、締結部材15aが外に露出しないので、給電プラグロック装置27の見栄えもよくなる。
【0062】
(10)給電プラグ9をインレット14に接続した際、締結部材36が給電プラグ9によって隠されるので、蓋部34の不正取り外しを生じ難くすることができる。
(11)メカニカルキー28を給電プラグロック装置27の専用キーとしたので、仮にキーシリンダ41が盗難されて、内部のタンブラからキー溝形状が読み取られても、車両ドアの施解錠やエンジン始動で使用するキーのキー溝形状が読み取られたことにはならない。よって、車両盗難防止に対するセキュリティ性を確保することができる。
【0063】
(12)リッドロックを隠す蓋部34を設けたので、リッドロックが外に露出しない。このため、給電プラグロック装置27の見栄え確保に一層寄与する。また、リッドロックピンを後付け式とした場合でも、蓋部34を取り外して、リッドロックピンを取り付けることが可能となる。よって、ユーザの要望に応じて、自由にリッドロックピンを取り付けることができる。
【0064】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ロータ43に係止突起45が形成され、リンク39に長穴部46が形成されることに限らず、例えば係止突起45をリンク39に設け、長穴部46をロータ43に設けてもよい。
【0065】
・キーシリンダ41の回動操作力をリンク39の円弧スライドの操作力に変換する機構は、ロータ43の係止突起45とリンク39の長穴部46とから構成されることに限定されない。例えば、ロータ43の側面に設けた突起でリンク39の根元を摺動しながら押すことにより、リンク39をロック方向に円弧スライドさせ、リンク39のアンロック方向への円弧スライドが付勢部材の付勢力にて行われる構造としてもよい。
【0066】
・リンク39がロック位置をとるとき、例えばリンク39がロックレバー47の溝に係止して、ロック状態が保持される構造をとってもよい。
・締結部材隠し部52は、アンロック状態において非干渉部53が締結部材15aを避けるような略円弧形状をとる構造に限定されず、例えばロック状態において干渉部54が締結部材15aを隠すように形状が加工されたものでもよい。
【0067】
・カバー部30は、スナップフィット構造により装置本体29に組み付けられることに限定されず、例えばビス等など、他の組付方式を使用してもよい。
・リンク39は、半円弧形状に限定されず、例えば直線形状など、他の形状に変更可能である。
【0068】
・キーシリンダ41は、ロック位置/アンロック位置の両方でメカニカルキー28が抜き挿し可能となることに限定されない。例えば、リンク39がロック位置に位置した際、その位置が保持可能であれば、キーシリンダ41がロック位置のときのみメカニカルキー28が抜き挿し可能となっていてもよい。
【0069】
・メカニカルキー28は、給電プラグロック装置27の専用キーであることに限定されず、例えば車両ドアの施解錠やエンジン始動の際に用いるキーシステムと共用のキーであってもよい。
【0070】
・ロックアーム20の形状、配置位置、動きは、実施形態に述べた構成に限らず、爪部22がインレット14の係止突25に係止できれば、他の態様に変更可能である。
・ロックレバー47は、装置奥行き方向に延びる軸心L1回りに回動する部材に限定されず、装置幅方向や装置高さ方向を軸心として回る部材でもよい。
【0071】
・ロック部材は、給電プラグ9の抜き挿し時に、ロックアーム20にて持ち上げられる動きをとるレバー部材(ロックレバー47)に限定されない。例えば、ロック部材は、リンク39によってロック位置とアンロック位置との間で位置が切り換わる部材でもよい。この場合、ロック部材がロックアーム20の上方に位置してロック位置をとると、ロックアーム20の開き操作を規制する状態となり、一方でロック部材がロックアーム20から離間してアンロック位置をとると、ロックアーム20の開き操作を許可する状態となる。
【0072】
・給電プラグロック装置27は、締結部材15によってインレット14と共締めされることにより車体10に組み付けられることに限定されない。例えば、給電プラグロック装置27のみを、個別にボルト等で車体10に組み付けてもよい。
【0073】
・付勢部材49は、ばねに限定されず、ロックレバー47に閉じ方向の付勢力を与えることができれば、他の部材に変更可能である。
・給電プラグロック装置27の構造は、実施形態に述べた態様に限定されず、本発明の思想を満たすことができれば、他の構造や形状に変更可能である。
【0074】
・車両1は、ハイブリッド車に限定されず、モータ3のみで動く電気自動車でもよい。
・給電プラグロック装置27は、車両1に搭載されることに限定されず、他の装置や機器に転用可能である。
【符号の説明】
【0075】
9…給電プラグ、14…インレット、15(15a)…装置本体用締結部材、20…操作アームとしてのロックアーム、27…給電プラグロック装置、28…メカニカルキー、29…装置本体、39…リンク部材を構成するリンク、41…キーシリンダ、45…リンク部材を構成する係止突起、46…リンク部材を構成する長穴部、47…ロック部材(レバー部材)としてのロックレバー、50…支持突部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続されたとき、当該給電プラグに設けられた係止用の操作アームを、前記インレット側のロック部材によって該インレットに係止することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、
ロック状態又はアンロック状態を切り換える際に操作するキーシリンダと、
前記キーシリンダの回動操作により、当該回動操作によって連れ動きすることにより、前記ロック部材の動きを規制するロック状態と、当該ロック部材の動きを許容するアンロック状態とに切り換わるリンク部材と
を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記リンク部材は、前記インレットの外周に沿って、円弧状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、軸回りに回動するレバー部材であって、前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記操作アームによる押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの挿し込みが許容され、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くとき、開き操作される前記操作アームの押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの引き抜きが許容される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記キーシリンダがアンロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をアンロック位置に引き込んでアンロック状態となり、前記キーシリンダがロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をロック位置に押し出してロック状態となり、
前記キーシリンダは、ロック位置及びアンロック位置の両方においてメカニカルキーを抜き挿し可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
装置本体には、前記リンク部材がロック位置をとるとき、前記ロック部材とで当該リンク部材を挟み込む支持突部が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項6】
前記リンク部材は、当該リンク部材がロック位置をとるとき、装置本体をその取り付け先に固定するための装置本体用締結部材を隠す形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続されたとき、当該給電プラグに設けられた係止用の操作アームを、前記インレット側のロック部材によって該インレットに係止することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、
ロック状態又はアンロック状態を切り換える際に操作するキーシリンダと、
前記キーシリンダの回動操作により、当該回動操作によって連れ動きすることにより、前記ロック部材の動きを規制するロック状態と、当該ロック部材の動きを許容するアンロック状態とに切り換わるリンク部材と
を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記リンク部材は、前記インレットの外周に沿って、円弧状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、軸回りに回動するレバー部材であって、前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記操作アームによる押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの挿し込みが許容され、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くとき、開き操作される前記操作アームの押し上げにて前記レバー部材が開き方向に回動することにより、前記給電プラグの引き抜きが許容される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記キーシリンダがアンロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をアンロック位置に引き込んでアンロック状態となり、前記キーシリンダがロック位置のとき、当該キーシリンダが前記リンク部材をロック位置に押し出してロック状態となり、
前記キーシリンダは、ロック位置及びアンロック位置の両方においてメカニカルキーを抜き挿し可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
装置本体には、前記リンク部材がロック位置をとるとき、前記ロック部材とで当該リンク部材を挟み込む支持突部が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項6】
前記リンク部材は、当該リンク部材がロック位置をとるとき、装置本体をその取り付け先に固定するための装置本体用締結部材を隠す形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−45639(P2013−45639A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182806(P2011−182806)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]