説明

給電レール及び位置管理システム

【課題】例えば、所定位置に検出手段を備えた給電レールをフロアーの天井に配置し、この検出手段により所定位置に対応した給電レール近傍の物理量を検出する。
【解決手段】管理サーバ21は、給電レール50に設けた複数個の赤外線センサ40の位置および担当エリアを把握しておく。赤外線センサ40は、エリアの温度を検出しているため、人がいる場合を検出するので、管理サーバ21は、人の位置を管理できる。しかも、この給電レール50は、PLCシステムの一部として用いられるため、信号の授受は電力線を流れる電流に重畳して行うことができ、赤外線センサ40の配線等を別途行うことなく、検出対象の位置管理が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、屋内において人の位置を把握するのに用いて好適な給電レールおよび位置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内において、人間の位置を検出する方法として、送信手段から送信された絶対位置情報を受信して、この絶対位置情報に従って相対的位置情報を補正するナビゲーションシステムがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
この特許文献1,2では、前進方向加速度計,上方向加速度計及び3軸磁力計からなる歩行航行装置を人体に装着し、前記計測器から算出した測定値から求めた相対的位置情報を、所定位置に設置された送信装置から受信した絶対位置情報に従って補正するようになっている。
【0004】
さらに、他の方法として、携帯電話を所有した人に対し、室外でGPS(Global Positioning System)を用いて位置を検出し、屋内に設置した室内LAN(Local Area Network)のシステムを用い、LANの基地局から携帯電話への無線強度によって位置を検出するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−139340号公報
【特許文献2】特開2004−138513号公報
【特許文献3】特開2005−351823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1,2の技術にあっては、人に各種センサを装着しなくてはならず、特に、特許文献2の実施形態にあるように、原子力発電所のように人の位置情報を細かく把握する必要な場合を除いて、人が各種センサを装着すること自体、煩わしさを感じさせることになる。
また、特許文献3の技術で用いられる無線LANに限らず、通常無線LANに用いられる基地局、即ち発信機はその出力に応じて設置される。例えば、半径30メートルの出力を有する発信機であれば、発信機の設置間隔は50メートル位となる。そして、この離れた両発信機から人が所有する端末までの電波強度を計算して、その位置を検出している。
電波強度を計測するに当たり、短い距離で強い電波で測定する方が検出感度は上がるものの、無線LANシステムを用いる位置検出では、発信機の設計上、本来の無線通信を行う目的を逸脱して短い距離での設置は不可能であり、さらにコスト高を招いてしまうという問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、例えば、屋内における検出対象の位置を検出するのに好適に用いられる給電レールおよび位置管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する給電レールの構成は、フロアーに設置される複数のレール本体と、前記複数のレール本体の伸長方向の所定位置に各々設けられ、複数の前記所定位置における周辺の物理量を検出する複数の検出手段と、電力線を流れる電流に重畳された信号を抽出する一方、前記電力線に流れる電流に信号を重畳する信号送受信手段と、前記電力線を流れる電流から前記検出手段宛の信号を抽出する処理と、前記検出手段の検出信号を前記電流に重畳する処理とを、前記信号送受信手段に行わせる検出制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
上記構成において、前記複数の検出手段には識別情報が各々付与されており、前記検出制御手段は、前記信号送受信手段により抽出した信号が、前記識別情報であるか否かを判定する識別情報判定手段を有することが好ましい。
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する給電レールの他の構成は、フロアーに設置される複数のレール本体と、前記複数のレール本体の伸長方向の所定位置に各々設けられ、複数の前記所定位置における周辺の物理量を検出する複数の検出手段と、前記レール本体に設けられ、前記レール本体の伸長方向に沿って移動可能で、電気機器が取り付けられる移動体と、前記レール本体から前記移動体に電力を供給する電力供給手段と、電力線を流れる電流に重畳された信号を抽出する一方、前記電力線に流れる電流に信号を重畳する信号送受信手段と、前記信号送受信手段により抽出した信号に基づき、前記電気機器の動作を制御する動作制御手段と、前記電力線を流れる電流から前記検出手段宛の信号を抽出する処理と、前記検出手段の検出信号を前記電流に重畳する処理とを、前記信号送受信手段に行わせる検出制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】
上記構成において、前記複数の検出手段および前記電気機器には識別情報が各々付与されており、前記動作制御手段および前記検出制御手段は、前記信号送受信手段により抽出された信号が、前記識別情報であるか否かを判定する識別情報判定手段をそれぞれ有することが好ましい。
【0012】
上記構成において、前記電力供給手段にて供給された電力を用いて前記移動体を前記レール本体に沿って走行させる走行手段を、前記レール本体または前記移動体の少なくともいずれか一方に設け、前記動作制御手段は、前記信号送受信手段により抽出された信号に基づき、前記走行手段による前記移動体の走行を制御することが好ましい。
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する位置管理システムの構成は、上記記載の給電レールと、前記給電レールの複数の検出手段からの信号に基づき、検出対象の位置を算出するための物理量を解析する情報解析手段と、を備えた位置管理システムであって、前記情報解析手段は、前記給電レールに設けられた複数の検出手段の複数の所定位置を記憶する基準位置記憶手段と、前記検出信号からの信号に基づき、前記基準位置記憶手段に記憶された複数の検出手段の複数の所定位置との相対位置から前記検出対象の位置を算出する位置算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する位置管理システムの他の構成は、上記記載の給電レールと、前記給電レールとネットワークを介して接続された管理サーバと、を備えた位置管理システムであって、前記管理サーバは、前記給電レールの複数の検出手段からの信号に基づき、検出対象の位置を算出するための物理量を解析する情報解析手段を有し、前記情報解析手段は、前記給電レールに設けられた複数の検出手段の複数の所定位置を記憶する基準位置記憶手段と、前記検出信号からの信号に基づき、前記基準位置記憶手段に記憶された複数の検出手段の複数の所定位置との相対位置から前記検出対象の位置を算出する位置算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成において、前記検出手段は、磁気、超音波、赤外線、無線の少なくともいずれかを発信または受信する機構を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、所定位置に検出手段を備えた給電レールをフロアーの天井に配置し、この検出手段により所定位置周辺の物理量を検出する。例えば、検出手段に赤外線センサを用いた場合には、給電レール配下に存在する人(検出対象)の熱を検出することができ、フロアーにおける人の存在を把握することが可能となる。
しかも、この給電レールは、PLCシステムの一部として用いられるため、信号の授受は電力線に重畳して行うことができ、検出手段からの配線等を別途行うことなく、検出対象の位置管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態による位置管理システム示す斜視図である。
【図2】同第1実施形態による給電レールの分解斜視図である。
【図3】同第1実施形態による給電レールの断面図である。
【図4】図3中の矢視IV−IV方向から見た断面図である。
【図5】位置検出部の被検出部を示す図である。
【図6】同第1実施形態によるレール本体を示す斜視図である。
【図7】同第1実施形態によるレール本体を示す断面図である。
【図8】同第1実施形態による給電レール、赤外線センサの配置関係を示す図である。
【図9】同第1実施形態による移動体の電気的構成および給電線から移動体に供給される電気ラインを示す図である。
【図10】同第1実施形態による管理サーバに記憶されるデータテーブルを示す図である。
【図11】同第1実施形態による管理サーバから出力される指令信号を示すテーブルである。
【図12】第2実施形態による位置管理システム示す斜視図である。
【図13】同第2実施形態による管理サーバに記憶されるデータテーブルを示す図である。
【図14】同第2実施形態による位置算出処理を示す流れ図である。
【図15】同第2実施形態による位置算出処理を説明する図である。
【図16】変形例による異なった位置検出部の構成を示す図である。
【図17】変形例による異なった位置検出部の被検出部を示す図である。
【図18】変形例によるさらに異なった位置検出部の被検出部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照しつつ、本発明に係る第1実施形態について説明する。
<<第1実施形態>>
<構成>
1.位置管理システム
第1実施形態による位置管理システム10は、ビル内に点在する人の状況を把握する場合に用いることを例示して説明する。
具体的には、図1に示すように、ビルの各階(例えば、1F〜5F)の天井には予め決められた位置に給電レール50が配置され、これらの給電レール50には、配電盤11を介して外部の送電線12にトランス13を介して接続される。また、配電盤11にはマスターPLC(Power Line Communications;電力線搬送通信)アダプター15を介して管理サーバ21が接続される。そして、マスターPLCアダプター15は、管理サーバ21からの各種信号を電力線に流れる電流に重畳させると共に、電力線を流れる電流に重畳されている信号を抽出して管理サーバ21に出力する動作を行う。
【0019】
さらに、この位置管理システム10では、給電レール50の所定位置に複数個の赤外線センサ40を設け、各赤外線センサ40からの検出信号に基づいて各赤外線センサ40が担当するエリアに人が存在するか否かを管理するものである。
【0020】
2.給電レールの構成
まず、給電レール50の構成について説明する。給電レール50は、図2に示すように、レール本体51、レール本体51の伸長方向に沿って移動する移動体60、位置検出部90(図3、参照)等を具備する。レール本体51はx軸に平行する軸線方向に伸長することになる。
移動体60には、電気機器として、例えばライトLが着脱可能に取り付けられている。そして、移動体60は、内蔵したモータMXの駆動により移動体60をx軸方向に平行する軸線(矢印a方向)に移動する。
【0021】
このレール本体51は、図2および図3に示すように、その外形は下側に開口する断面略「コ」字状に形成されてx軸方向に伸長する。開口部には折り返し部が伸長方向に延びるように形成され、この各折り返し部には後述する凸部64が挿嵌される凹溝52が伸長方向に形成される。レール本体51の上面には、その内面側に移動体60のピニオン62が噛合されるラック53が、当該レール本体51の伸長方向に形成される。また、レール本体51の側面には、その各内面側に板状の給電端子54,54が給電導体として前記伸長方向に貼着される。この給電端子54には、コンセント等の商用電源(いずれも図示せず)に接続されるために、リード線55を介してプラグ56が接続されている。
【0022】
移動体60は、レール本体51内をx軸方向に摺動しつつ移動する直方体の摺動部61と、レール本体51からy軸方向に突出し、外周に雄ねじ部65Aが刻設された円柱状の突出部65とを有する。この突出部65の下面には商用電力用の雌コネクタ65Bが設けられる。この雌コネクタ65Bの端子はリード線(いずれも図示せず)を介して後述する受電端子66に接続される。これにより、雌コネクタ65Bには給電端子54および受電端子66を介して電力が供給される。
【0023】
摺動部61の上面には、ピニオン62周面の一部が突出するように設けられ、このピニオン62はモータMXによって駆動される。このピニオン62は、図4に示すように、円形歯車によって形成され、モータMXの軸に固定された伝達歯車63が噛合される。モータMXを駆動させることによって発生する軸の回転は、伝達歯車63を介してピニオン62に伝達される。
ピニオン62は、移動体60がレール本体51に組み込まれる際、レール本体51のラック53に噛合される。モータMXを正/逆方向に駆動させることによって、移動体60がレール本体51の伸長方向に移動し、ライトLを矢印a方向に移動させる。
【0024】
一方、摺動部61の下面には、レール本体51の凹溝52に挿入される凸部64,64が形成される(図3、参照)。レール本体51に移動体60の摺動部61が挿入された段階で、凸部64,64が凹溝52,52にそれぞれ挿嵌されて、レール本体51に対して摺動部61のy軸方向への移動が規制される。
【0025】
また、摺動部61の各側面には、レール本体51の各給電端子54に電気的に接触する受電端子66が設けられる。この受電端子66は、挿入穴66A内に収容された円錐状の端子部66Bと、この端子部66Bを外側に付勢するバネ部66Cとを有する。そして、給電端子54および受電端子66によって電力供給手段が構成される。
さらに、摺動部61内には、後述するスレーブPLCアダプター77およびコントローラ76等の回路を構成する電子素子を実装した基板67が内蔵される。
【0026】
3.移動体の位置検出部
次に、移動体60のレール本体51の伸長方向における位置を検出する位置検出部90について説明する。
位置検出部90は、図3に示すように、移動体60側に設けた受発光部91と、レール本体51側に設けたバーコード92とからなる。バーコード92は、それぞれ異なったコード情報を示すバーコード92a,92b,…92nからなり、図5に示すように、このバーコードが受発光部91と対向するレール本体51の内側面に所定間隔毎に貼着される。この第1実施形態の場合、給電端子54の下側に配置され、横(x軸)方向の位置は、枠Fの中心となる位置に対応させている。なお、バーコードは二次元バーコードであってもよい。
【0027】
そして、位置検出部90では、受発光部91でバーコードを読み取り、読み込んだバーコードの情報に基づき、移動体60のレール本体51における位置を検出する。このためには、予めバーコードの情報とレール本体51における位置を、コントローラ71等のROMにデータテーブルとして記憶しておく。
この位置検出部90にあっては、所定間隔毎に貼着されたバーコード92を受発光部91で読み取ることによって、レール本体51の伸長方向における移動体60の位置が断続的に検出されることになる。
【0028】
このように構成される給電レール50であっては、指令信号を受けてモータMXを駆動させることにより、ライトLを矢印a方向に移動させる。この移動は、位置検出部90における検出信号によって制御される。
ライトLは、移動体60に機械的に固定されるこのため、ライトLの一端には、平行して電極が突出する雄コネクタ31と、この雄コネクタ31の鍔部31Aに係合される貫通型の袋状ナット32とを有し、この袋状ナット32の外周面にはローレット加工が施される。そして、雌コネクタ65Bに雄コネクタ31の電極を挿入した上で、袋状ナット32を雄ねじ部65Aに螺号させることによって、ライトLが電極レール50の移動体60に固定される。また、ライトLは、管理サーバ21からの指令信号により、点灯・調光が制御される機能を備えている。
【0029】
4.赤外線センサ
図6および図7に示すように、給電レール50のレール本体51の長手方向に対して所定間隔を離間した位置に4個のセンサ40が設けられる。赤外線センサ40は、レール本体51が開口する側の折り返し部に設けることにより、下側の状況を検出する。この赤外線センサ40は、人体から発生する温度に対応した赤外線を検出するようになっている。
ここで、給電レール50および赤外線センサ40の位置について説明する。
例えば、図8(a)は、正方形の1Fを天井から見た図である。平行に4本の給電レール50が設置され、各給電レール50に4個の赤外線センサ40が設けられており、その赤外線センサ40は、16個のエリアa〜pの中心に位置して、このエリアの検出を担当する。
【0030】
また、給電レール50および赤外線センサ40には各々IDが付与されており、給電レールのレールID、赤外線センサ40のセンサID、およびエリアの関係は、例えば、管理サーバ21のRAMに記憶されるデータベース(図10、参照)のようになる。
つまり、1階のエリアaからdに跨いで設けられた給電レール50のレールIDは「aaaaa1」であり、この給電レール50に設けられたセンサIDは「111」「112」「113」「114」となる。そして、センサID「111」の赤外線センサ40はエリアaを、センサID「112」の赤外線センサ40はエリアbを、センサID「113」の赤外線センサ40はエリアcを、センサID「114」の赤外線センサ40はエリアdを担当することになる。
【0031】
5.位置管理システムの電気構成
次に、図9を参照しつつ、位置管理システム10について説明する。
まず、PLCシステムは、送電線を流れる電力に、インターネット等のネットワークからの信号を重畳させて、この重畳された電力が供給される範囲においてLAN(Local Area Network:ラン)を構築する技術である。
一般的に、PLCシステムを屋内LANとして構築する場合、図1に示すように、配電盤11近くに、電力線を流れる電流への信号の重畳・電流から信号の抽出を行うマスターPLCアダプター15を設置し、使用する電気機器の近くのコンセント近傍にスレーブPLCアダプターを接続する。そして、スレーブPLCアダプターがこの電力から信号を抽出し電気機器に出力したり、電気機器側の検出信号等を、電力線を流れる電流に重畳させて送信させたりする。
第1実施形態における位置管理システムでは、屋内において管理するため、管理サーバ21はマスターPLCアダプター15を介して給電線16に接続される。
ここで、管理サーバ21から送信される信号には、制御信号(モータに対する動作を指令する指令信号)や赤外線センサ40への検出開始信号等があり、給電レール50側から管理サーバ21に送信される信号は、赤外線センサ40からの検出信号等がある。
【0032】
次に、移動体60内の電気的な構成を説明する。
移動体60には、交流電力VACが給電端子54および受電端子66を介して供給される。AC/DCコンバータ70は移動体60内に内蔵されており、商用周波数の交流電力VACを直流電圧VDCに変換する。AC/DCコンバータ70は、その構成は省略するが、一般的にトランス、ブリッジ回路、レギュレータ等で構成される。変換された直流電圧VDCは、基板67に供給される。この基板67には実装された電子素子によってスレーブPLCアダプター72およびコントローラ71等の回路が構成される。
スレーブPLCアダプター72は、マスターPLCアダプター15と同様に、交流電力VACから信号(指令信号)を抽出すると共に、コントローラ71側からの信号(検出信号)を、電力線を流れる電流に重畳させる。
【0033】
コントローラ71は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)(いずれも図示せず)を有する。CPUはROMに記憶された各種プログラムを読み出して実行する。また、ROMには、モータのID、電気機器のID等が予め記憶される。さらに、RAMには、位置検出部90からの検出信号に応じて、移動体60のx軸方向の位置を示したデータが順次更新・記憶される。
【0034】
コントローラ71には、その入力側に位置検出部90が接続され、その出力側にモータMXおよびライトLが接続される。さらに、コントローラ71は、スレーブPLCアダプター72との間で信号の授受を行う。
【0035】
さらに、レール本体51に設けられる赤外線センサ40近傍の電気的な構成について説明する。
レール本体51には、前記移動体60と同様に、AC/DCコンバータ75、スレーブPLCアダプター77およびコントローラ76等の回路を構成する基板78が設けられる。
この基板78は、1個のレール本体51に対して1個、或いは赤外線センサ40毎に1個設けるようにしてもよい。
【0036】
コントローラ76のROMには、赤外線センサ40のIDが予め記憶される。例えば、レールID「aaaaa1」の給電レール50については、センサID「111」「112」「113」「114」が記憶され、レールID「aaaaa2」の給電レール50については、センサID「121」「122」「123」「124」が記憶される。コントローラ76は、スレーブPLCアダプター77によって電力から抽出される信号に含まれるIDが、RAMに記憶されたセンサIDであるか否かを判定し、該当した信号があった場合には、そのセンサ40の検出動作を行わせ、スレーブPLCアダプター77を介して電力線を流れる電流に検出信号を重畳する。
【0037】
6.管理サーバの構成
次に、管理サーバ21について説明する。
この管理サーバ21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)(いずれも図示せず)を備える。
【0038】
そして、管理サーバ21のROM内には、移動体60および電子機器を制御する制御プログラムおよびセンサ40による位置管理処理を行うプログラムが予め格納されている。
また、RAMの記憶領域には、図10に示すように、階NO,レールID,センサIDとエリアとが対応付けられたデータテーブルが記憶される。これにより、管理サーバ21では、センサIDが分かれば、階NO,レールNOとエリアが分かるようになる。例えば、管理サーバ21に送信されたセンサ40からの検出信号のIDが「113」である場合には、1階の給電レール(レールID「aaaaa1」)およびエリアcからの検出信号であることが分かる。
また、管理サーバ21のRAMには、図8(b)に示すような、実際の見取り図がユーザの操作によって記憶される。この図8(b)では、便宜上書庫を示している。正方形の部屋に入口Dを除いて本箱Fが図示のように配置されている。
【0039】
さらに、管理サーバ21では、図11に示すような指令信号を含むデータテーブルが生成される。このデータテーブルは、給電レール50のレールID、モータの識別モータIDおよびこのモータに対する指令信号、ライトLの識別IDおよびこのライトLに対する指令信号からなる。ここで、モータMXの識別ID(MID)に対する指令信号は、レール本体51に対する移動体60の位置を示した値、ライトLの識別ID(MID)に対する指令信号は、点灯・調光制御の動作を指令する信号をそれぞれ示している。
そして、管理サーバ21は、この図11に示すデータテーブルから指令信号を読み出し、読み出した指令信号をモータMX或いはライトLに送信することにより、モータMX或いはライトLの動作を制御する。例えば、ライトLを給電レール50の伸長方向に移動させたり、ライトLの点灯/消灯、調光制御を行ったりを遠隔操作で行うことが可能となる。
【0040】
そして、管理サーバ21では、実際のフロアーにて監視される給電レール50の赤外線センサ40からの検出信号に基づき、図8の見取図上に、人が存在するエリアを点灯させる等して識別化を図ってモニタリングする。
【0041】
<動作>
移動体60の移動およびライトLの動作制御については先に述べたので、その説明を割愛する。
ここでは、赤外線センサ40により検出された検出信号に基づいて、検出対象となる人が存在するエリアを特定する動作について説明する。
管理サーバ21は、ROMから位置管理処理を呼出し、そのプログラムを実行する。
管理サーバ21からは、管理を行いたい階の赤外線センサに対して検出を開始する検出開始信号を供給される。この検出開始信号のヘッダには、検出させたい赤外線センサ40のセンサIDが記憶される。
【0042】
検出開始信号は、マスターPLCアダプター15により電力線を流れる電流に重畳されてビル内の各給電レール50に供給される。給電レール50のスレーブPLCアダプター77は、電力から検出開始信号を抽出し、この抽出した信号がコントローラ76に記憶されたセンサIDであるか否かを判定する。例えば、検出開始信号の指定IDが「111」〜「144」の場合には、管理サーバ21は、1階分の各赤外線40に対して検出信号を要求している、ということになる。
そして、コントローラ76がセンサID「111」を受信した場合には、赤外線センサ40はエリアaにおける赤外線を検出し、この検出信号は、スレーブPLCアダプター77を介して電力線を流れる電流に重畳させて、管理サーバ21に送信される。
管理サーバ21では、このようにして供給される赤外線センサ40からの検出信号に基づき、エリア毎に人が存在しているか否かを管理する。
【0043】
具体的には、図8(b)に示すように、エリアdに人Tが居る場合には、順次検出動作を行う赤外線センサ40のうち、センサIDが「114」の赤外線センサ40からの検出信号の値が他の検出信号よりも大きくなるため、エリアdに人が存在していることが分かり、図8(b)の見取り図中のエリアdを点滅させる等によってモニタに表示する。これにより、管理サーバ21では、人が存在するエリアを把握することができる。
【0044】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態においては、所定位置に赤外線センサ40を備えた給電レールをフロアーの天井に配置し、この赤外線センサ40によって当該赤外線センサ40が担当するエリアの温度を測定する。このように、各赤外線センサ40は、フロアーを仕分けしたエリア毎に検出動作を行うようになっているため、赤外線センサ40からの検出信号を監視することにより、そのエリアに人が存在しているか否かを判定することができる。
しかも、管理サーバ21では階毎に監視しているため、各階のフロアー毎のエリアに人が存在するか否かを管理することができる。
【0045】
また、管理サーバ21は、移動体60の動作も制御することができるので、エリアを人が移動することを赤外線センサ40にて検出した場合には、その移動に応じてライトLを追従移動させることもできる。これにより、無駄な光を無くし、有効的な光取りが可能となる。
【0046】
具体的には、図8(b)に示すように、人Tがエリアdに居る場合には、管理サーバ21は、レールID「aaaaa1」の給電レール50のモータMXに対してセンサID114の位置に移動体60が位置するような指令信号を送信し、移動したライトLによってこのエリアdを照らす。さらに、図8(b)に示すように、人Tがエリアdからcに移動する場合には、管理サーバ21ではそのことを管理できるため、管理サーバ21は、給電レールのモータMXに、センサID114の位置からセンサID113の位置に移動する指令信号を送信する。これにより、人Tの移動先となるエリアcをライトLによって照らすことが可能となる。
【0047】
さらに、人Tがエリアdからcに移動する場合には、センサID114の検出信号が減少しつつ、センサID113の検出信号が増加する傾向となる。そこで、管理サーバ21では、予めこの傾向を記憶しておいて、この傾向が検出された場合には人Tが一のエリアから他のエリアに移動しつつあると判断して、信号の変化に応じて移動体60の移動速度を算出してライトLを移動させるようにしてもよい。これにより、人Tの移動に対してライトLを追従させて移動させることが可能となる。
【0048】
また、給電レール50は、PLCシステムを用いているため、給電線を利用して信号の授受を行うことにより、赤外線センサ40を設置する場合に生じる配線等の施行を、後から別途行うことなく、検出対象の位置管理が可能になる。
このように、位置管理システムは、給電レール50の有効活用の一翼を担う技術となる。
【0049】
<具体例>
第1実施形態では書庫を例示したが、百貨店とした場合、電気機器をライトLに代えてスピーカを移動体60に装着し、赤外線センサ40で人の群を測定する。これにより、管理サーバ21は、この人の群の移動に対してスピーカを移動させることも可能となる。この場合には、サービス情報等をスピーカから放送するようにしてもよい。
また、管理サーバ21では、識別情報を有するスピーカに対して個々に流すメッセージを設定できる。このため、管理サーバ21は、各階の各エリアの人の状況を把握した上で、その込み具合に応じたメッセージを流すことが可能となる。例えば、同じ階でタイムセールが行われる場合、人の集まっているエリアにスピーカを移動させた上で、タイムセールの内容を放送し、その後、人の移動にスピーカを追従させた上でメッセージを流すこともできる。
【0050】
さらに、博物館等にこの位置管理システムを用いる場合には、電気機器にスピーカを用いる。これにより、赤外線センサ40により人が所定のエリアに入った場合には、このエリアに展示している展示品の紹介や、作者の紹介等を音声により知らせるようにしてもよい。
さらにまた、この位置管理システムでは、例えばスタッフオンリーで、一般の人が入っていけないエリアに人が進入したことが分かった場合には、そのエリアから退出する旨のメッセージをスピーカから流すようにしてもよい。
【0051】
<<第2実施形態>>
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
本実施形態の特徴は、センサに無線送受信機を用いて、位置管理システムを個々の位置を特定する室内GPSとして機能する点にある。なお、前述した第1実施形態に記載した構成要件と同一の構成要件には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
まず、第2実施形態による位置管理システム10´の全体構成について、図12を参照しつつ説明する。
第1実施形態による位置管理システム10との構成の相違は、管理サーバ21´をネットワークを介して接続している点のみである。
管理サーバ21´は、CPU、ROMおよびRAM(いずれも図示せず)を備える。
【0052】
そして、管理サーバ21´のROM内には、移動体60および電子機器を制御する制御プログラムおよび後述する送受信センサ41による位置管理処理を行うプログラムが予め格納されている。
また、ROMの記憶領域には、図13に示すように、ビル名毎にセンサID、階数、基準位置(緯度,経度)がそれぞれ対応付けられてデータテーブルとして記憶される。
例えば、四角ビルの1Fには3個送受信センサ41が給電レールを介して設置されており、センサID「111」の送受信センサ41の基準位置は(X111,Y111)、センサID「112」の送受信センサ41の基準位置は(X112,Y112)、センサID「113」の送受信センサ41の基準位置は(X113,Y113)…となっている。
本実施形態においては、説明の便宜を図るために、1Fに3個の送受信センサ41を設置した場合について述べる。なお、給電レール50におけるコントローラ76およびスレーブPLCアダプター77の動作等は、前述した第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
このデータテーブルは、管理者が予め入手したビル内の階毎のレイアウトや実測した給電レール50の位置や長さを手入力によって作成される。なお、データテーブルの作成方法は、これに限らず、給電レール50が予め決められた位置に設置される場合には、ビル内の階毎のレイアウトを入力するだけで他のデータを自動的に入力して作成しても、ある給電レールに方位センサ(地磁気センサ)を設けて、この方位センサに対する他のレールの相対位置から基準位置を算出してデータテーブルを作成してもよい。
【0054】
ここで、送受信センサ41と検出対象の関係について説明する。
送受信センサ41は無線を発信,受信する機能を有し、この送受信センサ41の検出対象は、無線ICタグとなる。この無線ICタグは、予め固有のIDが付与されており、無線信号を受信することにより、この固有IDを付与した応答信号として送信する機能を有する。また、この無線ICタグは、携帯電話等の携帯電子機器に内蔵されているものとする。
【0055】
これにより、送受信センサ41からある波形の無線信号を無線ICタグに送信すると、無線ICタグでは、受信した波形を基準にして固有IDを付与した応答信号を送受信センサ41に送信する。管理サーバ21´では、送受信センサ41を介して受信した検出信号(応答信号)から、無線ICタグの固有IDを抽出すると共に、無線信号の発信から受信までの時間、振幅の変化および位相差等から送受信センサ41から無線ICタグまでの相対距離を算出するようになっている。
【0056】
次に、図14を参照しつつ、本実施形態によう位置管理システム10´の動作について説明する。
管理サーバ21´は、検出信号(応答信号)を必要とする送受信センサ41に対して無線信号の送信を指示する(ステップS1)。
例えば、四角ビルの1Fを管理したい場合には、センサID「111」・「112」・「113」の送受信センサ41を駆動させるための駆動信号を送信する。この駆動信号のヘッダにはセンサIDが付与される。
ネットワーク、給電レール50を介して送信された駆動信号は、給電レール50のスレーブPLCアダプター77によって抽出され、コントローラ76で、記憶されたセンサIDとヘッダに付与されたセンサIDとを比較し、一致したセンサIDに対して無線信号の送信を許可する。
【0057】
この例の場合、センサID「111」・「112」・「113」の送受信センサ41を駆動させ、各々異なった波形の無線信号を順次送信する。
無線ICタグは、送信されてくる無線信号に対し、無線ICタグの固有IDを付与した検出信号(応答信号)を送信する。例えば、センサID「111」の送受信センサ41からの無線信号が無線ICタグにて反射された後に、センサID「112」の送受信センサ41からの無線信号を送信し、センサID「112」の送受信センサ41からの無線信号が無線ICタグにて反射された後に、センサID「113」の送受信センサ41からの無線信号を送信する。
これにより、管理サーバ21´では、センサID「111」・「112」・「113」の送受信センサ41で受信した検出信号が受信される(ステップS2)。
【0058】
管理サーバ21´は、検出信号を分析して検出信号に固有IDが付与されている検出信号を抽出する(ステップS3)。この場合、3個の検出信号が抽出されることになる。
さらに、管理サーバ21´は、各検出信号の強弱からセンサ位置に対する無線ICタグの相対位置を算出する(ステップS4)。
具体的には、無線信号の発信から検出信号の受信までの時間を、センサ41毎に検出し、
センサID「111」の送受信センサ・・・ta
センサID「111」の送受信センサ・・・tb
センサID「111」の送受信センサ・・・tc
として、各センサの座標を中心として時間×定数Aを半径とする円を作成する。
センサID「111」・・・(x−x111)(y−y111)=(Ata)2
センサID「112」・・・(x−x112)(y−y112)=(Atb)2
センサID「113」・・・(x−x113)(y−y113)=(Atc)2
そして、3つの円が交差する点を、3つの方程式から算出する。この交差する点が検出対象の位置となる(ステップS4,5)。
【0059】
このように、第2実施形態による位置管理システム10´では、図15に示すように、人Tが居る位置(X,Y)を、座標として管理することができる。このため、無線ICタグを備えた携帯電話を所有したユーザが位置情報を取得する場合には、室外においては、携帯電話に内蔵したGPSアンテナを利用してGPSによる測位で位置を特定し、室内に入ってGPSによる測位が不可能になった場合には、管理サーバ21´に問い合わせることにより、自身の位置を緯度,経度で取得することができる。しかも、管理サーバ21´では、ビル内を階毎に監視することが可能となるため、検出対象となる人Tが何階に居るかも管理することが可能となる。
【0060】
なお、第2実施形態では、一つの検出対象(無線ICタグ)に対しての位置を算出する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、複数の無線ICタグに対しても算出することが可能である。
この場合には、送受信センサ41から1つの無線信号を送信すると、各無線ICタグから異なった時間で複数個の検出信号(応答信号)が得られる。これらの検出信号は、各無線ICタグの固有IDに対応した波形変形となっているため、この波形と無線ICタグとを対応付けたデータベースを管理サーバ21´に格納しておく。これにより、各送受信センサ41で検出された各検出信号を、このデータベールを参照して解析することにより、無線ICタグ毎の検出信号を抽出する。そして、前述した如く、抽出された3個の検出信号から無線ICタグの位置を算出する。
【0061】
さらに、前記第2実施形態では、1つの階に3個の送受信センサ41を配置した場合について述べたが、2個の場合でも、4個以上の場合でもよい。
送受信センサ41を2個とした場合では、これらのセンサ41は、対角線を挟んで左右で同じ検出信号が得られてしまうため、これを防止するために、センサは部屋の一方の壁に面して設置すればよい。
また、4個以上の場合には、各センサから検出された検出信号のうち、何らかの条件で3つの信号に絞って無線ICタグの位置を算出するようにすればよい。何らかの条件としては、検出信号(応答信号)の波高値が所定レベル以上、無線信号の送信から応答信号の受信までの時間が長い順に3個或いは短い順等、3個の抽出する条件であればよい。
【0062】
<<変形例>>
1.移動体の位置検出部
前記実施形態では、位置検出部の構成を、受発光部91とバーコード92としたが、本発明はこれに構成に限らず、種々の構成が可能である。
以下、幾つかの例を列挙する。
(1)光学センサ
透過型センサ
図16に示すように、発光部93Aと受光部93Bとが互いに対向するように配置されたフォトインタラプタを検出部93とし、この発光部93Aと受光部93Bとの間に移動するシャッタ94を配置する。ここで、移動体60側に検出部を、レール本体51にシャッタ94を設けられる。
【0063】
シャッタ94の構成は、図17(a),(b),(c)等が考えられる。
前述した位置検出部90と同様に、予め定めた所定位置にある移動体60の位置を検出する場合には、図17(a)に示すように、シャッタ94Aの伸長方向に対して所定間隔毎に貫通孔94a,94a,…を穿設する。この際、貫通孔94aの径寸法を漸次異なるように形成し、最大径の貫通孔94aよりも発光部93Aから発光する光の径(発光径)が大きくなるようにする。
また、図17(b)に示すように、シャッタ94Bにスリット94bを形成する。このスリット94bはその幅寸法が、シャッタ94Bの伸長方向一側から他側に向けて漸次小さくなるように形成し、最大幅の寸法よりも発光部93Aから発光する光の直径が大きくなるようにする。
さらに、図17(c)に示すように、シャッタ94Cの外形を伸長方向一側から他側に向けて漸次傾斜する形状とし、シャッタ94Cの最大幅の寸法よりも発光部から発光する光の直径が同じか或いは大きくなるようにする。
【0064】
このように、図17(a)のシャッタ94Aの構造にあっては、前述した位置検出部90と同様に、レール本体51の所定位置に移動体60が有ることを検出することができる。
図17(b),(c)のシャッタ94B,94Cの構造にあっては、コントローラ71等のROMに、受光部93Bからの受信信号の値に対するレール本体51の位置を予め位置情報として記憶しておき、受光部93Bでの受信信号の大きさから移動体60のレール本体51に対する位置を演算によって特定することが可能となる。
この場合には、先の位置検出部90が断続的な位置検出となるのに対し、図17(b),(c)に示すシャッタ構造の光学センサを用いることによって、連続的な受信信号が得られ、移動体60の位置が連続的に検出される。
【0065】
反射型センサ
光学センサは、透過型センサに限らず反射型センサであってもよい。この場合、図18に示すように、発光部93Cと受光部93Dとが一体となった検出部93´と、発光部からの光を反射する反射板94Dとを有する。この反射板94Dの形を、反射板が貼着される部位の伸長方向に対して反射量が変化する形状に形成する。例えば、図17(b)のスリット形状或いは図17(c)のシャッタ形状のようにすればよい。
さらに、断続的に移動体60の位置を検出したい場合には、伸長方向の所定位置に反射量が異なる反射板を貼着し、連続的に移動体60の位置を検出したい場合には、伸長方向に対して漸次反射量が変化するような形状の反射板を貼着すればよい。
【0066】
(2)磁気センサ
磁気センサを用いて位置検出部としてもよい。この場合、検出部には半導体ホール素子、半導体磁気抵抗素子等を用い、被検出部を磁性材料の部位に施された着磁部位或いは磁石とする。
被検出部となる着磁部位は、所定間隔毎に着磁させ、その着磁部位における磁場が異なるようにする。これにより、検出部からの検出信号に基づき、レール本体51の伸長方向における移動体60の位置を断続的に検出する。
また、着磁部位は、所定間隔毎に形成するのではなく、磁場が伸長方向に対して漸次変化するように着磁させることにより、検出部からは着磁部位の磁場を連続的に検出でき、レール本体51の伸長方向における移動体60の位置を連続的に検出する。
一方、被検出部が磁石の場合には、この磁石を所定間隔毎にレール本体51に貼着し、各磁石の磁場を異なるようにする。これにより、検出部からの検出信号に基づき、レール本体51の伸長方向における移動体60の位置を断続的に検出する。
【0067】
(3)その他のセンサ
移動体の位置検出部の構成は、上記バーコード、光学センサ、磁気センサ等に限らず、レール本体51の伸長方向に対する移動体60の位置を相対的に検出するものであれば、これらに限定されるものではない。
前記各例では、センサ1個に対してシャッタ等の被検出部を変化させる場合について述べたが、逆に、発光部と受光部とを有する検出部を、レール本体51の伸長方向の所定位置毎に対向するように設け、移動体によって発光部からの光が遮蔽された部分が、移動体60が移動した位置であると特定するようにしてもよい。
さらに、レール本体51の伸長方向の所定位置毎に前述したフォトインタラプタを設け、フォトインタラプタ内の光路を遮るシャッタを移動体60側に設けるようにしてもよい。
【0068】
2.給電レール近傍の物理量を検出する検出手段
前記各実施形態では、検出手段に赤外線センサや送受信センサを用いた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、検出対象との距離を相対的な物理量として検出できるものであればよい。例えば、検出対象が、磁力を有するものである場合には磁気センサ、光を発光させるものであれば照度センサ等がある。
【0069】
また、前記各実施形態では、給電レール50の所定位置に赤外線センサ40或いは送受信センサ41を設けるものとして記載したが、赤外線センサ40或いは送受信センサ41を移動体60に設けるようにしてもよい。移動体60には、移動体の位置検出部90があるため、給電レール50の位置が管理サーバ21で把握できれば、容易に検出手段の位置を把握することができる。
【0070】
さらに、給電レール50に設けられるセンサは1種類に限らず、異なった種類のセンサを設け、検出対象に応じて検出動作するセンサを管理サーバ21で指示するようにしてもよい。
【0071】
3.給電レールの設置
前記各実施形態では、図1,図8および図12に示すように、4個の給電レール50を並列に天井に設置した場合を例示したが、本発明はこれに限らず、種々の設置が可能であり、互いの給電レール50を直交させて設置したり、任意に角度を付けて設置したり、壁に垂直に設置したり、床に設置したりすることも可能である。但し、その都度、管理サーバ21に階毎の検出手段の位置を特定するデータテーブルを作成する必要がある。特に、壁に垂直方向に給電レールを設置する場合には、三次元の位置計測が可能となる。
【0072】
4.データベースの設定
前記各実施形態では、管理サーバ21に記憶されるデータベースは、人為的に入力するものとして記載したが、給電レール50の所定位置に方位センサ(地磁気センサ)を設け、この方位センサからの出力に基づいて緯度,軽度を算出し、この給電レールを基準として、他の給電レール50のデータを自動入力することで、データベースを自動的に作成するようにしてもよい。
【0073】
5.移動体の移動機構
前記各実施形態では、移動体60の移動をラック、ピニオンによって移動させるようにしたが、本発明はこれに限らず、種々の移動機構で構成できる。
例えば、1本のレール本体51に対して1個の移動体60を取り付ける場合には、移動体60自体に移動機構を持たせることなく、レール本体51と移動体60とに移動機構を持たせることが可能となる。例えば、ボールベアリング構造によって移動機構が構成できる。この機構は、レール本体51の伸長方向に延びる雄ねじ部と、摺動部61に穿設された雌ねじ部と、前記雄ねじ部を回転させるモータによって構成する。そして、この機構にあっては、モータによって雄ねじ部を回転させることにより、螺合された雌ねじ部に雄ねじ部がねじ込まれ、レール本体51に回り止めされた摺動部61が移動するようになる。
また、レール本体51の両側に滑車を設け、各滑車間に架設したワイヤーに移動体60を固定し、一方の滑車をモータによって回動させることによって、移動体60を移動させるようにしてもよい。
【0074】
6.移動体への給電方式
前記各実施形態では、給電手段をレール本体51に設けた板状の給電端子54と移動体60側に設けた受電端子66によって構成したが、受電端子66の端子部66Bを円錐形状に限定するものではなく、ブラシ構造であってもよく、要は移動体60側の端子がレール本体51側の端子に摺動して電気的に接続される構成であればよい。また、1本のレール本体51に対して1個の移動体60を取り付ける場合には、移動体60に対してリード線55を直接接続するようにしてもよく、この際、移動体60がレール本体51の伸長方向に移動可能なだけのリード線55に余裕を持たせればよい。
【0075】
7.移動体に取り付ける際に対象のIDを記憶する方法
前記各実施形態では、レールID、モータIDおよびセンサIDの抽出については記載していないが、例えば、図2に示すように、移動体60の突出部65側に読取部を設け、この読取部に対向する面(ライトLの雄コネクタ31の端面)に、このライトLの情報を表すバーコードを貼着する。これにより、移動体60にライトLを取り付ける際に、ライトLの情報が読み込まれる。
【0076】
8.移動体と電気機器の接続
前記各実施形態では、移動体60側の雌コネクタ65BにライトL側の雄コネクタ31を接続し、貫通型の袋状ナット32で固定する構造としたが、これに限らず、GP−IB等の規格によるコネクタ接続で電気的に接続した上で、別途機械的に接続する構造であってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
10,10´…位置管理システム、11…配電盤、15…マスターPLCアダプター、21…管理サーバ、40…赤外線センサ(検出手段)、41…送受信センサ(検出手段)、50…給電レール、51…レール本体、53…ラック、54…給電端子、60…移動体、62…ピニオン、66…受電端子、67,78…基板、71,76…コントローラ、72,77…スレーブPLCアダプター、90…位置検出部、91…受発光部、92…バーコード、93,93´,96…検出部、94A,94B,94C,97…シャッタ、94D…反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアーに設置される複数のレール本体と、
前記複数のレール本体の伸長方向の所定位置に各々設けられ、複数の前記所定位置における周辺の物理量を検出する複数の検出手段と、
電力線を流れる電流に重畳された信号を抽出する一方、前記電力線に流れる電流に信号を重畳する信号送受信手段と、
前記電力線を流れる電流から前記検出手段宛の信号を抽出する処理と、前記検出手段の検出信号を前記電流に重畳する処理とを、前記信号送受信手段に行わせる検出制御手段と、
を具備することを特徴とする給電レール。
【請求項2】
請求項1記載の給電レールにおいて、
前記複数の検出手段には識別情報が各々付与されており、
前記検出制御手段は、前記信号送受信手段により抽出した信号が、前記識別情報であるか否かを判定する識別情報判定手段を有する
ことを特徴とする給電レール。
【請求項3】
フロアーに設置される複数のレール本体と、
前記複数のレール本体の伸長方向の所定位置に各々設けられ、複数の前記所定位置における周辺の物理量を検出する複数の検出手段と、
前記レール本体に設けられ、前記レール本体の伸長方向に沿って移動可能で、電気機器が取り付けられる移動体と、
前記レール本体から前記移動体に電力を供給する電力供給手段と、
電力線を流れる電流に重畳された信号を抽出する一方、前記電力線に流れる電流に信号を重畳する信号送受信手段と、
前記信号送受信手段により抽出した信号に基づき、前記電気機器の動作を制御する動作制御手段と、
前記電力線を流れる電流から前記検出手段宛の信号を抽出する処理と、前記検出手段の検出信号を前記電流に重畳する処理とを、前記信号送受信手段に行わせる検出制御手段と、
を具備することを特徴とする給電レール。
【請求項4】
請求項3記載の給電レールにおいて、
前記複数の検出手段および前記電気機器には識別情報が各々付与されており、
前記動作制御手段および前記検出制御手段は、前記信号送受信手段により抽出された信号が、前記識別情報であるか否かを判定する識別情報判定手段をそれぞれ有する
ことを特徴とする給電レール。
【請求項5】
請求項3記載の給電レールにおいて、
前記電力供給手段にて供給された電力を用いて前記移動体を前記レール本体に沿って走行させる走行手段を、前記レール本体または前記移動体の少なくともいずれか一方に設け、
前記動作制御手段は、前記信号送受信手段により抽出された信号に基づき、前記走行手段による前記移動体の走行を制御する
ことを特徴とする給電レール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の給電レールと、
前記給電レールの複数の検出手段からの信号に基づき、検出対象の位置を算出するための物理量を解析する情報解析手段と、を備えた位置管理システムであって、
前記情報解析手段は、前記給電レールに設けられた複数の検出手段の複数の所定位置を記憶する基準位置記憶手段と、
前記検出信号からの信号に基づき、前記基準位置記憶手段に記憶された複数の検出手段の複数の所定位置との相対位置から前記検出対象の位置を算出する位置算出手段と、を備える
ことを特徴とする位置管理システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の給電レールと、
前記給電レールとネットワークを介して接続された管理サーバと、を備えた位置管理システムであって、
前記管理サーバは、前記給電レールの複数の検出手段からの信号に基づき、検出対象の位置を算出するための物理量を解析する情報解析手段を有し、
前記情報解析手段は、前記給電レールに設けられた複数の検出手段の複数の所定位置を記憶する基準位置記憶手段と、
前記検出信号からの信号に基づき、前記基準位置記憶手段に記憶された複数の検出手段の複数の所定位置との相対位置から前記検出対象の位置を算出する位置算出手段と、を備える
ことを特徴とする位置管理システム。
【請求項8】
請求項6または7記載の位置管理システムにおいて、
前記検出手段は、磁気、超音波、赤外線、無線の少なくともいずれかを発信または受信する機構を備える
ことを特徴とする位置管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−150117(P2012−150117A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28295(P2012−28295)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2007−199797(P2007−199797)の分割
【原出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】