説明

給電装置搭載車両

【課題】車両本体の給電部が外部の電力供給先に対して位置ずれしている状態であっても、給電部から外部の電力供給先への非接触給電を行うことができる給電装置搭載車両の提供にある。
【解決手段】外部の電力供給先へ電力供給する受給電装置20を車両本体11に搭載した給電装置搭載車両であって、受給電装置20は、非接触給電により外部の電力供給先へ電力供給する給電部を有する非接触ユニット21と、非接触ユニット21の向きを変更可能に、車両本体11に取り付ける非接触ユニット可動機構と、を備え、非接触ユニット可動機構を駆動させるユニット駆動部と、を備え、ユニット駆動部は、非接触ユニット21の向きを前記電力供給先の向きに対向させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非接触給電を行う給電装置を車体に搭載した給電装置搭載車両に関する。
【背景技術】
【0002】
給電装置搭載車両の従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示された移動充電装置及び移動充電方法を挙げることができる。
特許文献1に開示された移動充電装置は、移動している移動充電車から移動している被充電車の受電部へ充電を行う充電部とを備えている。
そして、移動充電装置には、移動している被充電車と移動している移動充電車との間を、充電可能な所定距離に保つように、被充電車へ移動充電車を追従させる距離維持部を備えている。
【0003】
この距離維持部が、移動充電車の駆動系により加速・減速を行わせて被充電車と移動充電車との車間距離を維持することから、被充電車の受電部に対して移動充電車の充電部が充電可能な範囲に位置することになる。
因みに、移動充電車の充電部は、被充電車の受電部の高さと同じ高さになるように車体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−35333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、被充電車の受電部の位置に合わせて移動充電車の充電部を設置していることから、両車が直進する状態では充電部と受電部を充電可能な範囲に位置させることができる。
しかしながら、走行時や停止時において両車の位置が幅方向に互いに位置ずれしている場合では、受電部が充電部へ向くことができず充電ができないという問題がある。
つまり、移動充電車の充電部が受電部への充電可能な範囲から幅方向の位置ずれが生じないように移動充電車を走行させたりあるいは停止させたりする必要がある。
また、従来技術では、移動充電車の充電部が被充電車の受電部の高さと同じ高さになるように設置されているが、充電部の高さと異なる高さに設置されている受電部である場合には、充電部と受電部の位置が合わず充電は不可能である。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、車両本体の給電部が外部の電力供給先に対して位置ずれしている状態であっても、給電部から外部の電力供給先への非接触給電を行うことができる給電装置搭載車両の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、外部の電力供給先へ電力供給する給電装置を車両本体に搭載した給電装置搭載車両であって、前記給電装置は、非接触給電により外部の電力供給先へ電力供給する給電部を有する非接触ユニットと、前記非接触ユニットの向きを変更可能に、前記車両本体に取り付ける非接触ユニット可動機構と、前記非接触ユニット可動機構を駆動させるユニット駆動部と、を備え、前記ユニット駆動部は、前記非接触ユニットを前記電力供給先に対向させることを特徴とする。
なお、非接触ユニットの車両本体に対する可動の自由度は1軸以上であればよく、好ましくは2軸の自由度であり、より好ましくは3軸の自由度である。
【0008】
本発明によれば、給電部を有する非接触ユニットが非接触ユニット可動機構を介して外部の電力供給先に向くように姿勢を変更することが可能である。
非接触ユニットが外部の電力供給先と対向することにより、車両本体の給電部が外部の電力供給先に対して位置ずれしている状態であっても、非接触ユニットの給電部から外部の電力供給先への電力供給が可能となる。
【0009】
また、本発明では、上記の給電装置搭載車両において、前記非接触ユニットは、前記車両本体の前部および後部の少なくとも一方に設置されてもよい。
【0010】
この場合、車両前方や車両後方に存在する外部の電力供給先に対して非接触給電を行うことができる。
【0011】
また、本発明では、上記の給電装置搭載車両において、前記非接触ユニットは、非接触給電により外部の電力供給元から電力供給を受ける受電部を有してもよい。
【0012】
この場合、非接触ユニットが受電部を有することで、非接触ユニットによる外部の電力供給先に対する非接触給電を行うことができるだけでなく、外部の電力供給元からの非接触給電を受けることができる。
また、車両本体の前部および後部に非接触ユニットが存在する場合、一方の非接触ユニットにより外部の電力供給先への非接触給電を行いつつ、他方の非接触ユニットにより外部の電力供給元から非接触給電を受けることも可能である。
【0013】
また、本発明では、上記の給電装置搭載車両において、前記非接触ユニットは、外部の電力供給先又は電力供給元と通信可能な送受信部を有してもよい。
【0014】
この場合、非接触ユニットが送受信部を有することで、外部の電力供給先に対する非接触給電を行うだけでなく、非接触ユニットと外部の電力供給先との間で各種情報の通信を行うことができる。
【0015】
また、本発明では、上記の給電装置搭載車両において、前記給電装置は、外部の電力供給先の位置又は向きを探知する探知器を備え、前記探知器による外部の電力供給先の位置又は向きに基づき、前記非接触ユニットの向きを制御するコントローラと、を備えてもよい。
【0016】
この場合、探知器が外部の電力供給先の位置又は向きを探知し、外部の電力供給先の位置又は向きが探知された場合には、非接触ユニットを外部の電力供給先へ向けられるように、コントローラがユニット駆動部を制御する。
このため、非接触ユニットを外部の電力供給先へ確実に向けることができ、非接触ユニットの給電部から外部の電力供給先への電力供給がより確実となる。
【0017】
また、本発明では、上記の給電装置搭載車両において、前記非接触ユニットは路面に対して対向可能であってもよい。
【0018】
この場合、非接触ユニットが路面と対向可能であることから、非接触ユニットは路面方向の外部の電力供給元からの非接触給電を受けることができる。
【0019】
また、本発明では、上記の給電装置搭載車両において、外部の電力供給先が受電装置を搭載した受電側車両であって、前記給電装置は、前記受電側車両との距離を計測する測距器と、前記非接触ユニットを前記車両の前後方向に進退させる非接触ユニット進退機構と、を備え、前記コントローラは、前記測距器により計測された前記受電側車両との距離に基づき非接触ユニット進退機構を制御してもよい。
【0020】
この場合、測距器が非接触ユニットと受電側車両との距離を計測する。コントローラは、非接触ユニットと受電側車両との計測距離に基づき、非接触ユニット進退機構を制御する。
非接触ユニット進退機構が制御されることにより、非接触ユニットと受電装置との距離を一定範囲内とすることが可能であり、非接触ユニットの給電部から受電装置への非接触給電をより適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車両本体の給電部が外部の電力供給先に対して位置ずれしている状態であっても、給電部から外部の電力供給先への非接触給電を行うことができる給電装置搭載車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る電気自動車の概略構成を示す図である。
【図2】(a)は非接触ユニットを示す平面図であり、(b)は非接触ユニットを示す側面図である。
【図3】非接触ユニットおよびマーカーの画像上での表示例を示す説明図である。
【図4】電気自動車による他の車両への非接触給電の例を示す平面図であり、(a)は両車の中心が一致して縦列で直進走行する例であり、(b)は両車の中心が不一致で同方向へ直進走行する例であり、(c)は両車の進行方向が不一致となるカーブを走行する例である。
【図5】他の車両による電気自動車への非接触給電の例を示す平面図であり、(a)は両車の中心が一致して縦列で直進走行する例であり、(b)は両車の中心が不一致で同方向へ直進走行する例であり、(c)は両車の進行方向が不一致となるカーブを走行する例である。
【図6】電気自動車3台の縦列走行時の非接触給電を示す側面図である。
【図7】非接触ユニットが路面側の給電装置と対向した状態の側面図である。
【図8】第2の実施形態に係る電気自動車の概略構成を示す図である。
【図9】(a)および(b)は第3の実施形態に係る電気自動車の非接触ユニットの正面図である。
【図10】(a)および(bは)別例に係る受電部Rの作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る給電装置搭載車両を図面に基づいて説明する。
本実施形態は、給電装置搭載車両の一例としての電気自動車について説明する。
図1における電気自動車10の左方を車両前方とし、図1の右方を車両後方としている。
図1に示す電気自動車10の車両本体11には前輪12と後輪13が備えられている。
車両本体11は、走行駆動源である駆動モータ14と、駆動モータ14への電力制御を行うインバータ(図示せず)やコンバータ(図示せず)等を有する電力制御部15と、電力を蓄えるバッテリ16を備えている。
バッテリ16に蓄えられた電力が電力制御部15を通じて駆動モータ14へ供給されるように電力配線17が配設されている。
駆動モータ14と電力制御部15が電力配線17により接続されているほか、電力制御部15とバッテリ16も電力配線17により接続されている。
電力制御部15に備えられる電力系の各機器は車両本体11に設けられたECU(Electronic Control Unit)18に制御される。
本実施形態のECU18はコントローラに相当し、電力制御部15を制御するほか、車両本体11に設けられているその他の機器を制御する。
【0024】
この実施形態の電気自動車10は、車両本体11に給電装置および受電装置としての受給電装置20を搭載している。
受給電装置20は、外部の電力供給先である受電装置(例えば、他車搭載の受電装置)に対して非接触給電を行ったり、外部の電力供給元である給電装置(例えば、他車搭載の給電装置)からの非接触給電を受けたりすることが可能である。
この実施形態では、受給電装置20は車両本体11の前部および後部に設置されているが、車両本体11の前部に設置されている受給電装置20と車両本体11の後部に設置されている受給電装置20は構成が同じである。
車両本体11の後部に設置されている受給電装置20は、車両本体11の前部に設置されている受給電装置20よりも高い位置に設置されている。
【0025】
受給電装置20は、車両本体11に対して水平方向および上下方向に回動する非接触ユニット21と、車両本体11に対する非接触ユニット21の姿勢を変更可能とする非接触ユニット可動機構と、非接触ユニット可動機構を駆動させるユニット駆動部と、非接触ユニット21を進退させる非接触ユニット進退機構と、を備えている。
【0026】
この実施形態の非接触ユニット21は、非接触給電により外部の電力供給先へ電力供給する給電部および非接触給電により外部の電力供給元から電力供給を受ける受電部としての受給電部22を備えている。
受給電部22は方形状盤体であって、受給電部22の内部には、コイル(図示せず)とコイルと電磁誘導により磁気的に結合される自己共振コイル(図示せず)を備えている。
受給電部22における前方に向けられた盤面が給電および受電可能な受給電面である。
受給電部22と電力制御部15は電力配線17に接続されており、受給電部22のコイルが高周波電力の供給を受けると、電磁誘導により自己共振コイルへ高周波電力が供給される。
例えば、外部の電力供給先である受電装置の受電部に対して、高周波電力の供給を受けた受給電部22が対向する場合、この受電部が受給電部22の共振周波数と同じ共振周波数である場合、磁気共鳴し、受給電部22から受電部に対する非接触給電が行われる。
【0027】
非接触ユニット21は、非接触ユニット可動機構に支持されるとともに、車両本体11に対して水平方向および上下方向に回動可能である。
非接触ユニット可動機構は、車両本体11に対して進退可能な進退部材23に支持されており、進退部材23に対して水平方向に回動するL字状のアーム24を有している。
アーム24の車両本体11側は水平回動の軸心Pを形成する基軸部24Aを備え、基軸部24Aの下端から前方へ突出し、非接触ユニット21を上下回動に支持する支持軸部24Bを備えている。
【0028】
受給電装置20は、第1モータ25、第2モータ26および第3モータ27を備えている。
第1モータ25はアーム24の水平回動を行うユニット駆動部に相当し、車両本体11の前部に設けられ、第1モータ25の回転軸(図示せず)は基軸部24Aの上端に連結されている。
第2モータ26は非接触ユニット21の上下回動を行うユニット駆動部に相当し、支持軸部20Bの先端部に備えられている。
図2(a)に示すように、第2モータ26の回転軸(図示せず)は非接触ユニット21をアーム24に軸支する軸28に連結されている。
第3モータ27は、進退部材23の後方に設置されており第3モータ27の回転軸は、進退部材と連結されている。
そして、第3モータ27は、進退部材23とともに非接触ユニット21を前後に進退させる非接触ユニット進退機構を構成する。
第1モータ25、第2モータ26および第3モータ27はいずれも電動モータであり、ECU18と接続されており、ECU18により制御される。
【0029】
図2(a)および図2(b)は、非接触ユニット21の姿勢の変更が可能な範囲を示す図である。
図2(a)に示すように、非接触ユニット21の水平回動の範囲は、車両本体11の幅方向の中心から左右それぞれに45°の角度の範囲である。
なお、図中のQは非接触ユニット21の上下回動の軸心を示している。
図2(b)に示すように、非接触ユニット21の上下回動の範囲は、受給電部22の盤面が路面と平行になる位置(盤面と水平面との角度0°)から盤面と水平面との角度180°の範囲である。
このため、非接触ユニット21は水平回動および上下回動の2軸の自由度を持ち、広い範囲へ向きを変更することが可能である。
また、非接触ユニット21の前後の進退距離Lは進退部材23の進退可能範囲により設定されている。
【0030】
図1に示す電気自動車10は、外部の電力供給先や外部の電力供給元の位置および向きを探知する探知器30を備えている。
この実施形態では探知器30は、距離センサ31と位置センサ32を備えており、距離センサ31は公知のミリ波レーダーであり、測距器に相当する。
位置センサは公知のCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである。
距離センサ31は、外部の電力供給先や外部の電力供給元と非接触ユニット21との距離を測定する。
また、位置センサ32は、外部の電力供給先や外部の電力供給元を撮像して撮像データを得て撮像データを画像処理する。
【0031】
距離センサ31および位置センサ32はECU18と接続されている。
ECU18では画像処理された撮像データに基づき外部の電力供給先や外部の電力供給元の有無が認識されるほか、距離センサ31により測定された距離に基づき外部の電力供給先や外部の電力供給元との距離や方向が認識される。
この実施形態では、図2(a)および図2(b)に示すように、非接触ユニット21の受給電部22に円錐状のマーカー33が設けられている。
マーカー33は、外部の電力供給先や外部の電力供給元に同じマーカーを有する受電部や給電部が備えられている場合、位置センサ32の画像処理において目印として利用され、非接触ユニット21と受電部や給電部との位置あわせを行い易くするために設けられている。
この受電部や給電部に対して非接触ユニット21が完全に対向している状態では、画像上ではマーカー33と受電部や給電部のマーカーが重畳する。
【0032】
例えば、外部の電力供給先としての受電側車両が電気自動車10の前方を走行する前方車両であり、前方車両がマーカー33と同じマーカーMを有する受電部Rを備えている場合、位置センサ32により得られた前方車両の画像処理を行う。
図3(a)は画像処理における画像の一部を示しており、前方車両の受電部RとマーカーMが表示され、予め画像領域Eにおいて位置設定された非接触ユニット21とマーカー33が表示される。
この画像処理の際に、マーカー33およびマーカーMの位置関係を把握することにより、非接触ユニット21と受電部Rとの距離や方向が特定される。
画像処理において特定された距離や方向に基づき、非接触ユニット21の向きを制御することで、画像上ではマーカー33とマーカーMが重畳し、受電部Rに対して非接触ユニット21が正対する。
【0033】
また、マーカー33が円錐状であることで、画像上のマーカーMは、非接触ユニット21に対する受電部Rの位置に応じて変形して表示される。
図3(b)に示すように、例えば、非接触ユニット21が受電部Rと傾斜することなく正対している場合では、画像上のマーカーMは円形表示となる。
また、非接触ユニット21が受電部Rとが傾斜して正対していない場合は、マーカーMは非接触ユニット21と受電部Rとの傾斜の程度に応じて楕円形、扇形又は涙滴形として表示される。
また、非接触ユニット21と受電部Rとの距離に応じて表示されるマーカーMの表示サイズが変わる。
マーカーMは、非接触ユニット21と受電部Rが近い場合には大きく表示され、遠い場合には小さく表示される。
従って、ECU18は、距離センサ31とは別に、画像上におけるマーカーMの形状や大きさに基づき非接触ユニット21と受電部Rとの距離や方向を特定する。
【0034】
この実施形態の電気自動車10は、外部の電力供給先や外部の電力供給元の通信装置(例えば、他車搭載の通信装置)と無線通信可能な送受信部35を有している。
送受信部35は、車両本体11の上部に設置されるとともにECU18と接続されており、他の通信装置と無線による双方向の通信を行う。
送受信の通信データはECU18と送受信部35との間でやり取りされ、通信データは非接触給電に必要な情報を含む。
通信データは、例えば、電気自動車10の状態を示すデータ、外部の電力供給先を特定する識別データ、非接触給電に必要なデータおよび外部の電力供給先の状態(外部の電力供給先が受電装置搭載車両の場合は車両の状態を含む)を示すデータ等である。
【0035】
本実施形態の電気自動車10による非接触給電について説明する。
まず、電気自動車10から外部の電力供給先である受電側車両の受電装置へ非接触給電を行う場合について説明する。
図4(a)〜図4(c)に示すように、電気自動車10の前に受電装置を搭載した受電側車両(以下「前方車両」と表記する)Aが走行している状態であって、前方車両Aが給電要求する状態を前提とする。
なお、前方車両Aの受電装置には非接触給電を受けることが可能な受電部Rを備えているものとし、受電部Rは非接触ユニット21の受給電部22と同様に向きを変更することが可能な構成が好ましい。
【0036】
前方車両Aの給電要求を送受信部35が受信すると、ECU18は電気自動車10の走行時および停車時に関わらず、探知器30を作動させる。
探知器30の距離センサ31は、前方車両Aの受電装置における受電部Rと非接触ユニット21との距離との距離を測定する。
位置センサ32は受電部Rを含む前方車両Aの後部を撮像し、受電部Rの位置および向きを認識できるように画像処理する。
ECU18は、探知器30により得た受電部Rと非接触ユニット21との距離と受電部Rの位置および向きに基づき、第1モータ25および第2モータ26の駆動を制御する。
第1モータ25の駆動制御により、非接触ユニット21は水平方向へ回動され、また、第2モータ26の駆動制御により非接触ユニット21が上下方向において回動される。
非接触ユニット21の水平方向および上下方向の回動の組み合わせにより、非接触ユニット21が受電部Rと対向するように、非接触ユニット21の姿勢が変更される。
【0037】
非接触ユニット21が受電部Rと対向し、受電部Rと非接触ユニット21との距離が予め設定された設定範囲内であるとき、ECU18は電力制御部15を制御して非接触ユニット21へ高周波電力を供給する。
このとき、非接触ユニット21の受給電部22と同じ構造を有する受電部Rに対しての受給電部22の共振周波数と同じ共振周波数である場合、非接触ユニット21と受電部Rは磁気共鳴し、受電部Rに対する非接触給電が行われる。
非接触給電を受けた受電部Rは高周波電力を整流し、得られた電力は受電装置を通じて電力が必要な電力機器(モータやバッテリ等)に供給される。
【0038】
図4(a)に示すように、前方車両Aと電気自動車10の幅方向の中心が一致する縦列で直進走行する場合、非接触ユニット21と受電部Rは進行方向において前後に位置する。
この場合、第1モータ25は非接触ユニット21の向きが進行方向と一致する方向となるように制御される。
従って、非接触給電が可能な設定範囲内の車間距離にあれば、受電部Rに対する非接触ユニット21からの非接触給電が維持される。
第3モータ27は、非接触給電が可能な設定範囲の車間距離となるように進退部材23を前後に進退させ、非接触ユニット21を前方車両Aに接近又は離隔する。
【0039】
図4(b)は、前方車両Aと電気自動車10の進行方向が一致しているものの、前方車両Aと電気自動車10の幅方向の中心が不一致の縦列で直進走行する場合であり、前方車両Aが電気自動車10よりも左寄りを走行している。
この場合、受電部Rに向けて非接触ユニット21がやや左側へ向けられ、非接触ユニット21と受電部Rが対向する状態を維持する。
また、この場合では、前方車両Aの受電部Rも非接触ユニット21へ向けることが望ましい。
走行時において前方車両Aと電気自動車10との幅方向の位置ずれが変化しても、非接触ユニット21が受電部Rへ常に向けられることで受電部Rに対する非接触ユニット21からの非接触給電が維持される。
【0040】
図4(c)は、前方車両Aが左カーブを走行する場合であり、前方車両Aの中心と電気自動車10の進行方向は不一致である。
この場合、左方へ曲がる前方車両Aの受電部Rへ非接触ユニット21が向けられ、非接触ユニット21と受電部Rとは対向する状態となる。
カーブ走行時において前方車両Aおよび電気自動車10の進行方向が互いに変化しても、受電部Rの位置に基づき非接触ユニット21が受電部Rへ常に向けられることで受電部Rに対する非接触ユニット21からの非接触給電が維持される。
なお、図4(a)〜図4(c)は走行時に限らず、信号待ち等の前方車両Aおよび電気自動車10の停止時においても前方車両Aと電気自動車10との間の非接触給電が行われる。
【0041】
次に、電気自動車10が外部の電力供給元である給電側車両の給電装置から非接触給電を受ける場合について説明する。
図5(a)〜図5(c)に示すように、電気自動車10の後に給電装置を搭載した給電側車両(以下「後方車両」と表記する)Bが走行している状態であって、電気自動車10が給電要求する状態を前提とする。
なお、この場合、車両本体11の後部の非接触ユニット21を用い、給電装置には非接触給電を行うことが可能な給電部Sを備えているものとし、給電部Sは非接触ユニット21の受給電部22と同様に姿勢を変更可能な構成が好ましい。
【0042】
電気自動車10のECU18は、バッテリ16の残電力が一定以下となる等、給電が必要な状態になると、送受信部35を通じて外部に給電要求を発信する。
後方車両Bが電気自動車10の給電要求を受信し、後方車両Bとの通信により、後方車両Bから給電が可能であると認識されると、ECU18は電気自動車10の走行時および停車時に関わらず、車両本体11の後部側の探知器30を作動させる。
探知器30の距離センサ31は、後方車両Bの給電部Sと車両本体11の後部側の非接触ユニット21との距離を測定する。
位置センサ32は給電部Sを含む後方車両Bの前部を撮像し、給電部Sの位置を認識できるように画像処理する。
ECU18は、探知器30により得た給電部Sの探知結果としての給電部Sと非接触ユニット21との距離と給電部Sの位置に基づき、第1モータ25および第2モータ26を制御する。
第1モータ25の駆動制御により、非接触ユニット21は水平方向へ回動され、また、第2モータ26の駆動制御により非接触ユニット21が上下方向において回動される。
非接触ユニット21の水平方向および上下方向の回動の組み合わせにより、非接触ユニット21は給電部Sに向けて姿勢が変更される。
【0043】
非接触ユニット21が給電部Sに向けられ、給電部Sと非接触ユニット21との距離が予め設定された設定範囲内であって、かつ、後方車両Bの給電部Sに高周波電力が存在すると、非接触ユニット21と給電部Sは磁気共鳴する。
磁気共鳴により後方車両Bの給電部Sから非接触ユニット21の受給電部22に対する非接触給電が行われる。
非接触給電を受けた受給電部22は発生した高周波電力を整流し、得られた電力は受給電装置20を通じて電力制御部15に供給される。
得られた電力は電力制御部15を通じて、バッテリ16に充電されたり、駆動モータ14等へ供給されたりする。
【0044】
電気自動車10は、図5(a)〜図5(c)の状態で、後方車両Bの給電装置から非接触給電を受けることは可能である。
図5(a)は電気自動車10および後方車両Bの幅方向の中心が一致して縦列で直進走行する例であり、図5(b)は電気自動車10および後方車両Bの幅方向の中心が不一致で同方向へ直進走行する例であり、図5(c)は電気自動車10および後方車両Bの進行方向が不一致となるカーブを走行する例である。
【0045】
なお、非接触ユニット21は受給電部22を備えることから、図4(a)〜図4(c)の状態で、前方車両Aが給電装置を搭載した外部の電力供給元としての給電側車両である場合、前方車両Aから電気自動車10に対する非接触給電が可能である。
また、図5(a)〜図5(c)の状態で、後方車両Bが受電装置を搭載した外部の電力供給先としての受電側車両である場合、電気自動車10から後方車両Bに対する非接触給電も可能である。
【0046】
また、図6に示すように、前方車両Aが外部の電力供給先としての受電側車両であり、後方車両Bが外部の電力供給元としての給電側車両である場合、車両本体11の前部の非接触ユニット21により前方車両Aへの給電を行うと同時に、車両本体11の後部の非接触ユニット21により後方車両Bからの非接触給電を受けてもよい。
さらに、図6において、前方車両Aが外部の電力供給元としての給電側車両であって、後方車両Bが外部の電力供給先としての受電側車両である場合、電気自動車10は前方車両Aからの非接触給電を受ける一方で、後方車両Bへ非接触給電を行ってもよい。
さらに、図6において、前方車両Aおよび後方車両Bが外部の電力供給元としての給電側車両である場合、電気自動車10は前方車両Aおよび後方車両Bからの非接触給電を受けてもよい。
さらに、図6において、前方車両Aおよび後方車両Bが外部の電力供給先としての受電側車両である場合、電気自動車10は前方車両Aおよび後方車両Bへ非接触給電を行うことも可能である。
【0047】
また、非接触ユニット21は路面Gと対向する位置に姿勢を変えることができるため、路面Gと対向する姿勢の状態では、例えば、図7に示すように、路面Gに埋め込まれた給電装置Tの給電部Sから受給電部22への非接触給電を受けることも可能である。
なお、図7に示す給電装置Tは電力制御部Cと電源Dを備えている。
【0048】
本実施形態の電気自動車10によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)非接触ユニット21が非接触ユニット可動機構を介して外部の電力供給先である受電装置の受電部Rに向くように姿勢を変更することが可能である。非接触ユニット21が受電部Rと対向することにより、非接触ユニット21の受給電部22が受電装置に対して位置ずれしている状態であっても、非接触ユニット21の受給電部22から受電装置への非接触による電力供給が可能となる。
(2)受給電部22を備えた非接触ユニット21が車両本体11の前部および後部に設置されているから、電気自動車10は車両前方や車両後方の外部の電力供給先としての受電装置に対して非接触給電を行うことができるほか、車両前方や車両後方の外部の電力供給元としての給電装置より非接触給電を受けることができる。
(3)受給電部22を備えた非接触ユニット21が車両本体11の前部および後部に設置されているから、電気自動車10は前方車両Aへの給電を行うとともに、後方車両Bからの非接触給電を同時に受けることができる。これにより、例えば、前方車両A、電気自動車10、後方車両Bという3台の車両が縦列走行を行う場合でも、走行時の空気抵抗等により電力を消耗しやすい前方車両Aに電気自動車10を介して後方車両Bの電力を供給することも可能である。
【0049】
(4)探知器30が外部の電力供給先である受電装置や外部の電力供給元としての給電装置を探知する。受電装置や給電装置が探知された場合には、非接触ユニット21が受電装置や給電装置へ向けられるように、ECU18は受電装置や給電装置の方向や位置に基づき、第1モータ25および第2モータ26を制御し、非接触ユニット21の向きを制御する。このため、電気自動車10の向きを変えることなく自動的に非接触ユニット21を受電装置や給電装置へ向けることができるほか、探知器30による探知を継続することにより非接触給電可能な状態を維持することができる。また、非接触ユニット21の向きを変えることから、電気自動車10が停止しても、受電装置や給電装置に対する非接触ユニット21の向きを非接触給電に適した状態に保つことも可能である。
(5)非接触ユニット21が路面と対向可能であることから、非接触ユニット21は路面方向への非接触給電を行うことができる。例えば、路面Gに埋設された給電装置Tの給電部Sから非接触給電を受けることが可能となる。
(6)距離センサ31が非接触ユニット21と外部の電力供給先である受電装置や外部の電力供給元としての給電装置との距離を計測する。ECU18は、非接触ユニット21と受電装置や給電装置との計測距離に基づき、第3モータ27を制御して進退部材23が制御されることにより、非接触ユニット21と受電装置や給電装置との距離を一定範囲内とすることが可能である。このため、非接触ユニット21の受給電部22から受電装置への非接触による電力供給や、非接触ユニット21に対する給電部Sからの非接触給電をより適切に行うことができる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る給電装置搭載車両ついて説明する。
第2の実施形態の給電装置搭載車両は電気自動車の例であるが、送受信部が非接触ユニットに備えられる点で第1の実施形態と異なる。
非接触ユニットおよび送受信部以外の要素については、第1の実施形態と共通するため、共通する要素については、第1の実施形態の説明を援用し、同じ符号を用いる。
【0051】
図8に示す第2の実施形態に係る電気自動車10は、非接触ユニット41の受給電部42を備えているが、受給電部42は非接触給電による電力送受のほか、外部の電力供給先又は外部の電力供給元と通信可能な送受信部として機能する。
通信のための情報は、非接触給電の高周波電力とは異なる通信用の周波数を用いて非接触給電の高周波電力に重畳させることで、非接触給電と同時に送受信を行う。
送受信のための情報は、ECU18と接続された電力制御部15内に設けられた通信制御器43において非接触給電の高周波電力に重畳される。
なお、非接触給電と同時に情報の送受信を行う場合、非接触ユニット41と対向する受電装置の受電部Rや給電装置の給電部Sが受給電部42に対応する同じ構成を有する必要がある。
【0052】
この実施形態によれば、非接触ユニット41を用いた非接触給電と同時に外部の電力供給先としての受電装置側や外部の電力供給元としての給電装置側との通信を行うことができる。
車両本体11における非接触ユニット41以外の場所に送受信部を設ける必要がない。
【0053】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る給電装置搭載車両について説明する。
第3の実施形態の給電装置搭載車両も電気自動車の例である。
第3の実施形態は、非接触ユニットを用いた非接触給電時における電力量の多寡に基づき、外部の電力供給元としての給電装置を探知する点、電気自動車が非接触給電により電力供給をうける受電側である点で第1の実施形態と異なる。
【0054】
図9(a)は車両本体11の前部の非接触ユニット51を正面から見た図であり、受電部となる非接触ユニット51は方形状であり、左右に分かれた受給電部52R、52Lを有している。
外部の電力供給元としての給電装置は、非接触ユニット51と同一形状であるが単一の給電部S(図9(a)において二点鎖線で示す)を備えるものとする。
電気自動車10における非接触ユニット51以外の構成は、第1の実施形態と基本的に同一である。
なお、ECU18は受給電部52R、52Lを通じて得られる電力量(以下「受電量」と表記する)に基づき、受給電部52R、52L間の非接触給電の偏りを認識する機能を有している。
従って、この実施形態では、ECU18および非接触ユニット51が探知器に相当する。
【0055】
電気自動車10が、送受信部35による通信により、前方に外部の電力供給元としての給電装置を搭載した前方車両Aの存在を認識すると、ECU18は、前方車両Aの後部へ向けて非接触ユニット51を向けるとともに、非接触ユニット51が前方車両Aの後部における一定範囲を走査するように第1モータ25、第2モータ26を制御する。
非接触ユニット51が走査している状態では、ECU18は各受給電部52R、52Lの受電量を監視している。
【0056】
例えば、図9(a)のように、非接触ユニット51の一方の受給電部52Rが他方の受給電部52Lよりも受電量が多い状態では、ECU18は非接触ユニット51における非接触給電に偏りがあることを受電量の偏りにより把握する。
そして、ECU18は、受電量の偏りの存在から前方車両Aの給電部Sと非接触ユニット51が正対している状態にないと認識する。
この状態では、非接触ユニット51における非接触給電時の受電量に偏りがなくなる方向(図9(a)における矢印方向)を探知しつつ走査し、非接触ユニット51をその方向へ移動させるように、ECU18は第1モータ25、第2モータ26を制御する。
非接触ユニット51が非接触給電に偏りがなくなる方向へ移動するにつれて、受給電部52R、52Lの受電量が増大し、非接触ユニット51が給電部Sと正対する方向へ移動する。
【0057】
図9(b)に示すように、非接触ユニット51が給電部Sと正対すると、非接触ユニット51の受給電部52R、52L間では受電量に偏りがなくなる。
このとき、各受給電部52R、52Lからの受電量を監視しているECU18は、非接触ユニット51と給電部Sが完全に対向していると認識する。
【0058】
この実施形態では、非接触給電による受電量が多くなるように非接触ユニット51が給電部Sを探知する。つまり、非接触給電による受電量の偏りに基づいて非接触ユニット51を向けるべき方向を探知することができ、探知器30においてイメージセンサ等の位置決めのための位置センサ32を必要とすることがない。
このように、非接触ユニット51およびECU18を用い、非接触給電時の複数の受給電部52R、52Lにおける受電量の偏りに基づき給電部Sの向きを探知することができる。
また、非接触ユニット51が常に給電部Sを探知するから非接触給電の開始のタイミングを制御する必要がない。
さらに言うと、ECU18が、非接触ユニット51と給電部Sとの距離を受電量の多寡に基づき特定することも可能であり、この場合、距離センサ31を不要とすることも可能となる。
【0059】
(別例)
次に、別例に係る電力供給先の受電部Rについて図10(a)および図10(b)を参照して説明する。
別例では、給電装置搭載車両としての電気自動車は第1の実施形態と同じであるが、外部の電力供給先の受電部Rに偏光シートが用いられている点で第1の実施形態と異なる。
【0060】
図10(a)は、位置センサ32により撮像された電力供給先の受電部Rの正面を示しており、左図は遠い位置から撮像された受電部Rを示し、右図は左図の撮像位置よりも受電部Rに接近した位置にて撮像された受電部Rを示す。
この別例では、受電部Rは4分割され、分割された領域に対応する偏光シートL1〜L4が備えられている。
これらの偏光シートL1〜L4は撮像の方向によって明度が切り換わる性質を有しており、偏光シートL1〜L4の共通する性質としては、いずれの偏光シートL1〜L4も正面から撮像された場合には偏光シートにおける明度が高くなり、位置センサ32は偏光シートL1〜L4を認識できる。
図10(a)ではいずれも正面から撮像した受電部Rであり、明度が高い状態を便宜的にハッチングにより示すが、正面から撮像した受電部Rであることから偏光シートL1〜L4は全てハッチングにより示される。
【0061】
図10(b)は、受電部Rを見る角度のパターン毎の受電部Rを示す図である。
図10(b)における白抜矢印は撮像の方向を示しており、明度が高い状態を便宜的にハッチングにより示し、明度が低い状態を無地により示す。
また、図10(b)では、正面から撮像した場合を除き、各受電部Rの撮像方向と偏光シートL1〜4との傾斜角度を例として45度としている。
【0062】
斜め左上から撮像された受電部Rは偏光シートL1のみが明度の高い状態となり、偏光シートL2〜L4は明度の低い状態である。
斜め上から撮像された受電部Rは、偏光シートL1、L2が明度の高い状態となり、偏光シートL3、L4は明度の低い状態である。
斜め右上から撮像された受電部Rは偏光シートL2のみが明度の高い状態となり、偏光シートL1、L3、L4は明度の低い状態である。
斜め左から撮像された受電部Rは、偏光シートL1、L3が明度の高い状態となり、偏光シートL2、L4は明度の低い状態である。
【0063】
正面から撮像された受電部Rは、偏光シートL1〜L4全てが明度の高い状態となる。
斜め右から撮像された受電部Rは、偏光シートL2、L4が明度の高い状態となり、偏光シートL1、L3は明度の低い状態である。
斜め左下から撮像された受電部Rは偏光シートL3のみが明度の高い状態となり、偏光シートL1、L2、L4は明度の低い状態である。
斜め下から撮像された受電部Rは、偏光シートL3、L4が明度の高い状態となり、偏光シートL1、L2は明度の低い状態である。
斜め右下から撮像された受電部Rは偏光シートL4のみが明度の高い状態となり、偏光シートL1〜L3は明度の低い状態である。
【0064】
このように、明度の高い状態の偏光シートと明度の低い偏光シートの組み合わせパターンにより、受電部Rに対する非接触ユニット21の角度が把握できる。
従って、マーカーMを用いたと同様に、非接触ユニット21と受電部Rとの距離や方向が特定され、ECU18は受電部Rの向きに基づき非接触ユニット21の向きを制御することができる。
なお、受電部Rを例示したが、給電部Sに偏光シートL1〜L4を適用してもよく、受電部Rや給電部Sの分割数や分割された領域の形状は特に限定されず、偏光シートを分割された領域に設けるようにすればよい。
また、別例では明度が高い偏光シートを認識する位置センサ32としたが、明度が低い偏光シートを認識する位置センサ32を用いてもよい。
【0065】
なお、上記の各実施形態は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
○ 上記の各実施形態では、給電装置搭載車両として電気自動車を例示して説明したが、給電装置搭載車両は給電装置を搭載した電気自動車に限定されない。本発明が適用できる給電装置搭載車両としては、例えば、ハイブリッド車や燃料電池車のほか、内燃機関搭載の車両等、自走可能な車両であればよく、いずれも給電装置を搭載していればよい。
○ 上記の各実施形態では、非接触ユニットは、水平回動および上下回動の2軸の自由度を有して車両本体に対する姿勢を変更することを可能としたが、2軸の自由度に限定されず多関節ロボットのように3軸以上の多軸の自由度を有する構造であってもよい。この場合、非接触ユニット可動機構と非接触ユニット進退機構との一体化を図ることができる。
○ 上記の各実施形態では、非接触給電として、高周波電力に基づく磁場共鳴による送電を例示したが、磁場共鳴以外の方式の非接触給電を採用してもよい。その他の非接触給電の方式としては、電磁誘導によって電力の伝送を行う方式、電力をマイクロ波又はレーザー光に変換して伝送する方式を挙げることができる。この場合、給電装置における非接触ユニットにおける給電部や受電部をそれぞれの方式に適した構成とする必要がある。
【0066】
○ 上記の実施形態では、探知器として距離センサと位置センサとを組み合わせた探知器や、非接触ユニットおよびECUによる走査型の探知器としたが、探知器はこれらの方式に限定されない。例えば、GPS(全地球測位システム)による位置情報を用いて受電部や給電部を探知する探知器であってもよい。また、距離センサはミリ波レーダーのほかレーザー光を用いた距離センサとしてもよい。なお、距離センサと位置センサを別々に設けてもよい。
○ 上記の実施形態では、非接触ユニット可動機構として水平回動可能なL字状のアームや非接触ユニットを上下回動可能とする機構を用いたが、非接触ユニット可動機構の構成は特に限定されない。非接触ユニット可動機構は、例えば、水平回動および上下回動の軸心を形成する円弧状のアームでもよく、少なくとも非接触ユニットの向きを変更可能に、車両本体に取り付ける機構であればよい。また、非接触ユニット可動機構は、受給電部と受電部又は給電部との高さが同じである場合は、水平回動のみを実現する非接触ユニット可動機構であってもよい。
○ 上記の実施形態では、非接触ユニットはECUの制御を受けるユニット駆動部の駆動により自動的に向きを変更されたが、例えば、電気車両に搭乗するオペレータなどにより非接触ユニットの向きの変更を手動にて行ってもよい。また、ユニット駆動部として電動モータを用いたがモータは電動モータに限らず、超音波モータや流体圧を利用したアクチュエータ等を用いてもよい。
【0067】
○ 上記の実施形態では、車両前部および車両後部に非接触ユニットを設けた例を説明したが、車両前部および車両後部以外の部位に非接触ユニットを設けてもよい。車両本体の天井や側部に非接触ユニットを設けてもよく、非接触ユニットの数も特に制限されない。
○ 上記の実施形態では、非接触ユニット進退機構は、第3モータの駆動により進退部材を車両本体に対して前後方向に進退させる構成としたが、例えば、進退部材に代えて、伸縮可能なアームやパンタグラフ機構を利用した非接触ユニットの進退機構としてもよい。
○ 上記の実施形態では、非接触給電において非接触ユニットの受給電部と受電部(又は給電部)との間は何も介在しない状態であるが、例えば、受電部(又は給電部)の外側に隔壁等の介在物が存在する場合、非接触ユニットの受給電部を隔壁に当接させてもよい。この場合、隔壁に非接触ユニットの受給電部を隔壁に当接されているものの、非接触ユニットの受給電部と受電部(又は給電部)との間に隔壁が介在物として存在するから、非接触ユニットの受給電部と受電部(又は給電部)との間では非接触給電が行われる。
【符号の説明】
【0068】
10 電気自動車
11 車両本体
15 電力制御部
18 ECU
20 受給電装置
21、41、51 非接触ユニット
22、42、52R、52L 受給電部
23 進退部材
24 アーム
25 第1モータ
26 第2モータ
27 第3モータ
30 探知器
31 距離センサ
32 位置センサ
33 マーカー
35 送受信部
43 通信制御部
A 前方車両
B 後方車両
M マーカー
R 受電部
S 給電部
L1〜L4 偏光シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電力供給先へ電力供給する給電装置を車両本体に搭載した給電装置搭載車両であって、
前記給電装置は、
非接触給電により外部の電力供給先へ電力供給する給電部を有する非接触ユニットと、
前記非接触ユニットの向きを変更可能に、前記車両本体に取り付ける非接触ユニット可動機構と、
前記非接触ユニット可動機構を駆動させるユニット駆動部と、を備え、
前記ユニット駆動部は、前記非接触ユニットを前記電力供給先に対向させることを特徴とする給電装置搭載車両。
【請求項2】
前記非接触ユニットは、車両本体の前部および後部の少なくとも一方に設置されていることを特徴とする請求項1記載の給電装置搭載車両。
【請求項3】
前記非接触ユニットは、非接触給電により外部の電力供給元から電力供給を受ける受電部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の給電装置搭載車両。
【請求項4】
前記非接触ユニットは、外部の電力供給先又は電力供給元と通信可能な送受信部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の給電装置搭載車両。
【請求項5】
前記給電装置は、
外部の電力供給先の位置又は向きを探知する探知器を備え、
前記探知器による外部の電力供給先の位置又は向きに基づき、前記非接触ユニットの向きを制御するコントローラと、を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の給電装置搭載車両。
【請求項6】
前記非接触ユニットは路面に対して対向可能であることを特徴とする請求項3記載の給電装置搭載車両。
【請求項7】
外部の電力供給先が受電装置を搭載した受電側車両であって、
前記給電装置は、
前記受電側車両との距離を計測する測距器と、
前記非接触ユニットを前記車両の前後方向に進退させる非接触ユニット進退機構と、を備え、
前記コントローラは、前記測距器により計測された前記受電側車両との距離に基づいて非接触ユニット進退機構を制御することを特徴とする請求項5記載の給電装置搭載車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222975(P2012−222975A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86909(P2011−86909)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】