説明

統合された多機能手段を備える誘電体バリア放電ランプ

本発明の主題は、点火補助を用いて紫外線を生成し且つ放射するための誘電体バリア放電(DBD)ランプであり、ランプは、少なくとも内壁(5)及び外壁(4)によって少なくとも部分的に形成され且つ/或いは取り囲まれ、壁(4,5)の少なくとも一方は誘電性壁であり、壁(4,5)の少なくとも一方は少なくとも部分的に透明部を有する放電間隙(2)と、放電間隙(2)の内部に位置する充填体と、少なくとも2つの電気接触手段と、外壁(4)と関連して電気接触するための第一手段と、内壁(5)と関連して電気接触するための第二手段とを含み、案内補助として並びに点火補助として機能する少なくとも1つの多機能手段(3)が放電間隙(2)に隣接して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火補助を用いて紫外線を発生し且つ放射するための誘電体バリア放電(DBD)ランプに関し、少なくとも内壁及び外壁によって少なくとも部分的に形成され且つ/或いは取り囲まれ、壁の少なくとも一方は誘電性壁であり、壁の少なくとも一方は少なくとも部分的に透明部を有する放電間隙と、放電間隙の内部に位置する充填物と、少なくとも2つの電気接触手段と、外壁と関連して電気接触するための第一手段と、内壁と関連して電気接触するための第二手段とを含む。
【背景技術】
【0002】
そのような周知の誘電体バリア放電ランプは一般的に知られており、様々な目的のために特定波長の光波が生成されなければならない広範な用途で使用されている。一部の用途は、例えば、廃水処理、飲料水の殺菌、超純水の脱塩素又は製造のような工業目的のための約180nm〜380nmの波長を備える紫外線を生成することである。
【0003】
周知の誘電体バリア放電ランプは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)バックライト用の平坦ランプにおいて、写真複写用の円筒形ランプとして、並びに、表面及び水処理目的用の同軸ランプとして使用される。
【0004】
欧州公報第EP1048620B1号は、流体殺菌に適したDBDランプを記載しており、放電容積又は放電間隙を定める、この場合には2つの石英管から成るランプ外被の内面の上に堆積された蛍光層、この場合には燐光体層を含む。この場合には、放電間隙は特定圧力にあるキセノンガスで充填され、それはガス放電、特に誘電体バリア放電が放電間隙内で点火されるや否や、一次放射線を放射する。約172nmの放射最大を備えるこの一次プラズマ放射線は、蛍光層によって、所望の、例えば、約180nm〜380nmの波長範囲に変換される。特殊な用途によれば、この範囲は、超純水の製造の場合には、180nm〜190nmの範囲に、もし水、空気、表面、及び、それらの類似物の殺菌のために使用されるならば、200nm〜280nmの範囲に減少され得る。
【0005】
米国特許第5,432,398号は、初期点火の間或いは比較的長い小休止の後に、放電空間内における局所的な電磁界ひずみ用の手段を設けることによって改良される点火動作を備える紫外線エキシマ放射を示している。これらの手段は、ピンポイント状に設けられる局所的くびれ、或いは、酸化アルミニウム又は酸化チタンから成る摂動体のいずれかであり得る。
【0006】
この放射体の欠点は、前記手段が、1つの機能のみを有すること、並びに、初期点火の改良が局所的な電磁界ひずみのみによって行われることである。DBDランプ、摂動体、又は、局所的くびれ内にこの手段を設けることによって、初期点火は、そのような手段を有さないDBDランプに比べ改良される。しかしながら、可能であることに比べると、従来技術に従った点火補助は最適化されておらず、依然として高い初期電圧を必要とする。この高い初期電圧の理由は、局所的電磁界ひずみに基づく初期点火の動因が依然としてこの地域内のガス放電であるという事実に起因する。これは、所要初期点火圧力Uが次の方程式によって記載され得ることを意味する。即ち、U>U(p、d)。ここで、U(p,d)は、点火補助の地域における充填圧力p及び放電間隙の幅dの関数である。この関数はパッシェンの法則として周知であり、以下の方程式によって近似される。
【数1】

ここで、A及びBは、放電間隙内部のガス充填に従って選択されなければならないパラメータである。
【0007】
この式を曲線で表わすことの結果、U字状又は放物線状グラフが得られ、それによって、そのU字状グラフの最小値は、最小初期点火電圧を表示する。
【0008】
一定の充填圧力でこの最適値に達するために、前記手段の極めて正確な位置決めが必要である。間隙の局所的なくびれを用いた点火は、もし動作電圧がパッシェン最小値の右側にある場合にのみ作動する。さもなければ、間隙くびれを用いて最適化される点火補助の実現は可能ではない。もしパッシェン曲線の最小値によって表示される最小初期電圧が許容し得る動作電圧よりも高いか或いは送り出し得る特定電源よりも高いならば、特に長い動作小休止後の確実な初期点火は全く保証され得ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方では、特に初期点火又は長い小休止後の点火のために改良され且つ最適化された点火補助として働き、他方では、特に2つの壁を互いに向かって配置することによって、特に同軸DBDランプ用の最適化された放電間隙を形成するために、少なくとも案内手段として働く、多機能手段を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題は、統合された多機能手段を備える紫外線を生成し且つ/或いは放射するための誘電体バリア放電(DBD)ランプによって対処され、当該ランプは、内壁によって少なくとも部分的に形成され且つ/或いは取り囲まれた内部充填圧力を備える充填物を有する放電間隙と、内壁に対して間隙幅を定める距離dを備えて離間する誘電性の外壁とを含み、少なくとも一方の壁は誘電性材料から成り、少なくとも一方の壁は少なくとも部分的に透明であり、当該ランプは、電気接続手段、例えば、放電間隙内部でガス放電を発生するために電気エネルギーを供給する電極も含み、案内補助として、並びに、少なくとも初期点火補助として機能する少なくとも1つの多機能手段が、放電間隙内に配置される。
【0011】
本発明に従ったDBDランプは、外側部分と内側部分とを含む。外側部分は内側部分の外被を含み、それによって、内側部分は、放射線を発生し且つDBDランプの光を放射するための手段を含む。本発明に従ったDBDランプの内側部分は、内側から外側に以下のように構造的に配置される。
【0012】
DBDランプの心臓部は、充填体を備える放電間隙である。この放電間隙は周囲の壁によって形成され、これらの壁の少なくとも一方は誘電性材料から成り、壁の少なくとも一方は部分的に透明である。これらの壁は、それらの内面において、蛍光層、特に、放電間隙内で生成された放射線を異なる、具体的には、より高い波長を備える放射線に移転するための蛍光体塗工層で被覆されることができ、それは次にDBDランプの周囲に放射される。それらの外面に、壁は、放電間隙内部でガス放電を発生するようエネルギーを供給するために、よって、放電間隙内部に放射線を発生するために、電気的に接触するための2つの対応する手段を有する。
【0013】
誘電性壁(複数の誘電性壁)のための材料は、誘電性材料、具体的には、石英、ガラス、又は、セラミックの群から選択される。誘電性壁のための材料は、放射線をDBDランプの周囲に適用するために放射線が外壁及び/又は内壁の少なくとも一部を通り得るよう配置されなければならない。各壁は内面及び外面を有する。各壁の内面は放電間隙に向けられ且つ放電間隙に面している。一方の壁の内面と外面との間の距離は壁厚を定め、壁厚はある特定の場合に変化し得る。外面又は外面付近には、電気的に接触するための手段が提供される。放電間隙内部にガス放電を発生し、よって、放電間隙内部に放射線を発生するために、それらは電気の形態でエネルギーを供給する。放射線を適用するために、少なくとも一方の壁に或いは少なくとも一方の壁の上にある電極又は電気接触手段は、内側からの放射線が対応する電極を通り得るよう配置されなければならない。よって、特に電極が外壁の外面或いは内壁の内面の上に隣接して配置されるときには、前記電極は格子として配置されるのが好ましい。その場合には、電極が外壁の外面に或いは内壁の外面に対して離間される点で、例えば水処理の場合において、電極は、対応する環境において電子を提供するのに適した如何なる材料でもあり得る。
【0014】
好ましくは、ランプ幾何は、平坦ランプ幾何、同軸ランプ幾何、ドームランプ幾何、平面ランプ幾何、及び、これらの類似物から成る群から選択され得る。工業目的のためには、流体及び表面処理のために比較的大きな実効面積を備えるランプを達成するために、好ましくは、放電間隙又は対応する内壁及び外壁の内面間の距離の直径に比べて比較的大きな直径を備える同軸DBDランプ又はドーム形状同軸ランプが用いられる。
【0015】
DBDランプ、特に極めて効率的且つ高出力のDBDランプの最適動作(ピーク)振幅は、所要初期点火電圧に極めて近い−時折その直ぐ下である−ことが分かった。従って、信頼性のあるランプ始動を達成するために、補助電極や一次電圧オーバシュートのような追加的な手段が普通必要である。全てのこれらの手段は、より複雑且つより高価なランプ電源又はランプドライバを招く。
【0016】
本発明の1つの利点は、案内補助として並びに少なくとも初期始動補助として機能する多機能手段を放電間隙内に有することによって、幾つかの機能を1つの手段に統合し得る。この多機能手段を有することによって、幾つかの追加的な手段を有することは必要がない。この手段は2つの方法で概ね実現され得る。第一に、減少された間隙幅dを有する局所的に制限された領域によって、或いは、壁又は放電管材料の誘電率(誘電率)の変更によって。発明手段の意味における放電間隙内部で、多機能手段は放電間隙内に或いは放電間隙から突出する。この手段を有することによって、相互に向かう壁の容易な構成が可能である。また、初期点火に必要とされる電圧振幅は、多機能手段の故により低い。他の利点は、特に長い動作小休止の後の信頼性のある点火、簡単なランプ設計、補助電極が不要であること、補助放電容積が不要であること、並びに、間隙内部の充填圧力及び間隙幅が最大ランプ効率に関して最適化され得ることである。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの多機能手段が、約d/2の値をの除き、放電間隙幅dの全範囲内で変化し得る距離tを備えて一方の壁から他方の壁に突出する。調節可能な距離tを有することによって、最適化された点火条件を構成し得る。
【0018】
もしtが0であるならば、点火補助は、残余の壁の材料とは異なる材料を壁(複数の壁)の局所的地域において使用することによって実現される。この材料は残余の壁のための材料と異なる電気定数を有し、それは点火のための努力を低減する。
【0019】
もしtがdと等しいならば、多機能手段は、内壁と外壁との間の直接接触を形成する。直接接触は、接点、接線、及び/又は、接触地域の形態であり得る。
【0020】
少なくとも1つの接線の場合、接線(複数の接線)は、内管及び/又は外管に沿って如何なる任意の形状を有し得る。ランプの長軸と平行な接線は、案内補助、点火補助をもたらす特殊な利点を有することができ、断面形状(ランプの長軸に対して垂直)の変更は不要である。後者は、改良されたワイピングのためにひずみのないランプを提供するために有用である。
【0021】
少なくとも1つの接触地域の場合、接触地域(複数の接触地域)は、内管及び/又は外管に沿って如何なる任意の形状を有し得る。ランプの長軸と平行な接触地域は、案内補助、点火補助をもたらす特殊な利点を有することができ、断面形状の変更(ランプの長軸に対して垂直)は不要である。後者は、改良されたワイピングのためにひずみのないランプを提供するために有用である。
【0022】
接線(複数の接線)及び/又は接触地域(複数の接触地域)の故に、副容積の生成が可能である。よって、ランプの外壁と内壁との間に封入される放電容積は、2つ又はそれよりも多くの副容積に分割される。各副容積は、全副容積に向かって方向付けられる多機能手段に沿って表面放電によって点火される。
【0023】
これによって、ガスを通じた放電によってではなく、むしろ表面に沿った一種の滑り放電(gliding discharge)によって、初期点火が起こる。この接触によって、より低い初期点火電圧が必要とされる。従って、両方の壁の間の接触を形成するために、多機能手段が一方の壁から他方の壁に延在することが好ましい。これによって、案内補助及び点火補助が同時に実現される。
【0024】
DBDランプは、VUV又はUVC範囲の放射線を発生するために、例えば、キセノンガス充填体を使用する。そのようなランプは、例えば、二重管構造として構成され得る。数10cmの範囲の比較的短い長さを備える低出力ランプのために、二重管構造の製造及び機械的安定性は実現可能である。しかしながら、例えば、50cmよりも長い長さを有する間隙幅dに比較して長い長さを備える高出力ランプのために、内管は、製造中に、好ましくは中心化されるよう、外管に対して配置されなければならない。幾つかの欠点を有する溶融ガラスロッドの代わりに、管壁内に圧痕が形成される。形状及び深さ又は距離tは適切に制御されることができ、良好な中心化を保証する。
【0025】
案内補助として並びに同時に点火補助として機能するために、多機能手段は、もし間隙が完全に橋架されるならば、最適な性能を示す。作動電圧よりも低い点火電圧は、圧痕に沿った且つ間隙内部の表面放電の活性化によって構築される。もしランプ電圧が点火閾値よりも上に増大されるならば、この表面放電は容積放電を引き起こす。
【0026】
そのようなDBDランプを製造する方法は、以下のステップを含む。
【0027】
圧痕が必要とされるガラス表面の局所的な加熱後、ガラス壁は熱抵抗工具を用いて押し込まれる。代替的に、圧痕は、例えば、ガラスを外向きに押すことによって、内管上に形成され得る。この場合には、圧痕は、内部上で外管に触れる。
【0028】
好ましくは、多機能手段は、少なくとも1つの壁の一体的な部分である。それは追加的な部分が不要ということを意味する。多機能手段は、壁の一部として、例えば、内管及び/又は外管上の点、線、及び/又は、リング形状肥大部として、壁の少なくとも1つの局所的に限定的な領域内に配置される。
【0029】
1つの利点は、一体的な多機能手段が、対応する壁とほぼ同じ又はそれよりも薄い壁厚を有し、それによって、壁から多機能手段への移行が滑らかであることである。これによって、最適化された点火補助が実現される。多機能手段の表面に沿った壁の表面での放電の故に、局所的な電磁界ひずみによる点火補助に比べより低いエネルギーを伴うより良好な点火が実現される。局所的な電磁界ひずみを備える点火によって、距離dはパッシェンの法則に従って計算される。もしDBDランプの所与のガス充填圧力のためのパッシェン曲線の最小値が前記ランプの作動電圧より依然として上であるならば、残留有限間隙幅を用いた局所的間隙減少によって所要の点火電圧を減少する可能性はない。壁の表面で放電を実現することによって、電場の等電位線は、所要の初期点火電圧の本質的な減少が実現されるよう曲げられ/変更される。所要の初期点火電圧は、対応するパッシェン曲線の最小値よりも本質的に低い。前述されたことは、壁の壁厚よりも大きくない接触の地域において全ての壁厚を有することによって最適化される。
【0030】
好ましくは、少なくとも2つの多機能手段が、長手軸に対して垂直及び/又は軸方向に離間された放電間隙内に/から突出する。これによって、最適化された案内補助が実現され、幾つかの地域は、点火をより容易にする点火補助として形成される。
【0031】
より好ましくは、3つの多機能手段が配置される。それによって、極めて正確な作動案内補助が実現される。2つのシリンダによって形成される放電間隙の場合には、手段は、例えば120°の角度で離間されてシリンダの1つの円周線に沿って配置され得る。多機能手段も軸方向に離間され得る。
【0032】
多機能手段は、如何なる形態をも有し得る。好ましくは、多機能手段は、滑らかな移行を伴って形成される歯状又は正弦波状である。この形態は製造が容易であり、点火補助のために良好な結果をもたらす。2つのシリンダによって形成される放電間隙を有すると、放電間隙の形態は環状形状である。内部シリンダを精密に配置するために、幾つかの多機能手段が必要とされる。
【0033】
好ましくは、外部シリンダに対して同軸に配置される内部シリンダを有するために、多機能手段は全て同一に形成される。この場合には、内部シリンダ又は管は、外部シリンダ又は管に対して正確に配置され得る。
【0034】
案内手段として働くことで、多機能手段は、1つの接触点、接触線、及び/又は、内壁と外壁との間の接触地域を少なくとも形成する。減少された所要点火電圧振幅の故に、この地域はガス放電の点火のためにも使用され得る。接触地域において、電場の等電位線は変更されるので、それらは多機能手段の壁を通じて方向付けられ、よって、ガラス壁の表面で滑り放電を点火し、次いで、それは間隙放電を点火する。
【0035】
DBDランプは如何なる形態をも有し得るが、壁が両側で一体に溶着された2つの同軸シリンダ石英管によって形成され、よって、環状の放電間隙を形成することが好ましい。これはDBDランプの表面地域と放電容積との間の良好な関係を生成する。
【0036】
好ましくは、多機能手段は、1つの壁の内面に円周方向及び/又は軸方向に離間して配置される。より好ましくは、多機能手段は、壁の材料と異なる材料、好ましくは、異なる電気特性を有する材料で構成される。1つの電気特性は、例えば、誘電率εである。誘電率は、好ましくは、>=1.0〜<=10.0、より好ましくは、>2.0〜<=9.0、最も好ましくは、>=2.5〜<=8.0の範囲である。好ましくは、多機能手段の誘電率は、壁の誘電率よりも高い。
【0037】
本発明に従ったDBDランプは、広範な用途において使用され得る。好ましくは、ランプは、請求項1乃至9に従ったランプを組み込むシステムにおいて使用され、1つ又はそれよりも多くの以下の用途において使用される。即ち、硬い及び/又は柔らかい表面の流体及び/又は表面処理、好ましくは、洗浄、殺菌、及び/又は、浄化、液体殺菌及び/又は浄化、飲料殺菌及び/又は浄化、水殺菌及び/又は浄化、廃水殺菌及び/又は浄化、飲料水殺菌及び/又は浄化、水道水殺菌及び/又は浄化、超純水の製造、ガス殺菌及び/又は浄化、空気殺菌及び/又は浄化、排気ガス殺菌及び/又は浄化、成分、好ましくは、無機及び/又は有機化合物の分解及び/又は除去、半導体表面の洗浄、半導体表面からの成分の分解及び/又は除去、食品の洗浄及び/又は殺菌、栄養補助食品の洗浄及び/又は殺菌、医薬品の洗浄及び/又は殺菌。1つの有利な用途は、浄化、或いは、一般的に、洗浄である。これは主として望ましくない微生物を破壊し且つ/或いは望ましくない化合物及び類似物を分解することによって行われる。このDBDランプの本質的機能によって、上述の用途を容易に実現し得る。
【0038】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載される実施態様を参照することによって明瞭に解明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、外壁4から放電間隙2に突出する環状凹み3aとして構成された1つの統合された円周多機能手段3を備える2つの同軸シリンダによって形成された放電間隙2を含むDBDランプ1の一部を示している。外壁4及び内壁5は、双方とも放電間隙2を形成し、一定距離dを備えて互いに向かって配置されている。多機能手段3の地域において、放電間隙2の距離dは、凹み3aによって局所的に減少され、距離tを有する。この減少された距離dは、DBDランプの点火のために必要とされる電圧を決定する関連距離である。壁4,5の壁厚は、ほぼ多機能手段3の壁厚である。
【0040】
図2a乃至4bは、異なって構成された多機能手段3を備える同軸DBDランプの実施態様を示している。
【0041】
図2aは、外壁4から内壁5に突出する肥大部3aとして構成された1つの円周多機能手段3を備える、2つの同軸シリンダによって形成された放電間隙2を縦断面図で示している。この場合には、多機能手段3の距離tはdと等しくそれは内壁と外壁との間の直接接触が実現されていることを意味する。
【0042】
図2bは、灰壁5から外壁4に突出する肥大部3aとして構成された1つの円周多機能手段3を備える、2つの同軸シリンダによって形成された放電間隙2を縦断面図で示している。再び、距離tはdと等しく、それは内壁5と外壁4との間の直接接触が実現されていることを意味している。
【0043】
図3aは、外壁4から内壁5に突出する凹み3bとして構成された1つの円周多機能手段3を備える2つの同軸シリンダによって形成された放電間隙2を縦断面図で示している。図2a及び2bにおけると同様に、距離tはdと等しく、それは内壁と外壁との間の直接接触が実現されていることを意味している。その多機能手段3の壁厚は、外壁4の壁厚以下である。
【0044】
図3bは、内壁5から外壁4に突出する凹み3bとして構成された1つの円周多機能手段3を備える、2つの同軸シリンダによって形成される図1の放電間隙2を縦断面図で示している。その多機能手段3のその壁厚は、内壁5の壁厚以下である。
【0045】
図4aは、外壁4の材料と比べて、内壁5内の異なる材料3cの地域として構成された1つの円周多機能手段3を備える、2つの同軸シリンダによって形成された放電間隙2を縦断面図で示している。
【0046】
図4bは、内壁5の材料と比べて、外壁4内の異なる材料3cの地域として構成された1つの円周多機能手段3を備える、2つの同軸シリンダによって形成された放電間隙2を縦断面図で示している。
【0047】
図5は、放電間隙2を形成する2つのシリンダの構造を断面図で概略的に示している。2つのシリンダは相互に接続されているので、外側シリンダは外壁4を形成し、内側シリンダは内壁5を形成している。
【0048】
図6は、放電間隙2を備え、且つ、内壁5に向かって突出する外壁4にある凹み3bとして構成された多機能手段3を有する同軸に構成されたDBDランプの断面を断面図で概略的に示している。距離tは間隙幅dと等しいので、内壁5は外壁4又はむしろ凹み3bと接触する。
【0049】
図7は、同軸に構成されたDBDランプの断面を断面図で概略的に示しており、外壁4で内壁5に向かって突出し接触する凹み3bとして構成された多機能手段3を有するので、dはtとほぼ等しいか或いは等しい。放電は、矢印として示されるように、外壁4の背面に沿って生じる。
【0050】
図8a及び8bは、多機能手段(3,3a)の円周方向分布を示している。図8aにおいて、多機能手段は、ランプの円周線に沿って分配されている。内管及び外管又は内壁及び外壁(4,5)の間の局所化された接触地点の代わりに、接触線(幾つかの接触線)が生成されている。
【0051】
接触線(複数の接触線)は、内管又は外管に沿って如何なる任意の形状をも有し得る。ランプの長さ軸と平行な複数の接触線は、案内補助、点火補助をもたらすという特別な利点を有することができ、断面形状(ランプの長さ軸に対して垂直)の変更は不要である。後者は、改良されたワイピングのためにひずみのないランプを提供するのに有用である。
【0052】
図8bにおいて、多機能手段(3,3a)は、ランプの円周地域に沿って分配されている。局所化された地点(複数の地点)、線(複数の線)の代わりに、接触地域(幾つかの接触地域)が生成されている。
【0053】
接触地域(複数の接触地域)は、内管及び/又は外管或いは内壁及び/又は外壁(4,5)に沿って如何なる任意の形状を有し得る。ランプの長さ軸と平行は接触地域は、案内補助、点火補助をもたらすという特別な利点を有することができ、断面形状(ランプの長さ軸に対して垂直)の変更は不要である。後者は、改良されたワイピングのためにひずみのないランプを提供するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】外壁から放電間隙に突出する環状凹みとして構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を含む同軸DBDランプを示す縦断面図である。
【図2a】外壁から内壁へ突出する肥大部として構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を示す縦断面図である。
【図2b】内壁から外壁へ突出する肥大部として構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を示す縦断面図である。
【図3a】外壁から内壁へ突出する凹みとして構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を示す縦断面図である。
【図3b】内壁から外壁へ突出する凹みとして構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を示す縦断面図である。
【図4a】外壁内の異なる材料の地域として構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を示す縦断面図である。
【図4b】内壁内の異なる材料の地域として構成された1つの円周多機能手段を備える2つの同軸シリンダによって形成される放電間隙を示す縦断面図である。
【図5】放電間隙を形成する2つのシリンダの構造を概略的に示す断面図である。
【図6】放電間隙に突出する外壁にある凹みとして構成された多機能手段を有する同軸に構成されたDBDランプの断面を概略的に示す断面図である。
【図7】直接接触を形成する多機能手段を詳細に示す概略図である。
【図8a】DBDランプの多機能手段の円周方向の分布を示す概略図である。
【図8b】DBDランプの多機能手段の円周方向の分布を示す概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1 誘電体バリア放電ランプ(DBDランプ)
2 放電間隙
3 多機能手段
3a 肥大部
3b 凹み
3c 異なる材料の地域
4 外壁
5 内壁
d 放電間隙幅
t (多機能手段の)距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火補助を用いて紫外線を生成し且つ放射するための誘電体バリア放電ランプであって、
少なくとも内壁及び外壁によって少なくとも部分的に形成され且つ/或いは取り囲まれ、前記壁の少なくとも一方は誘電性壁であり、前記壁の少なくとも一方は少なくとも部分的に透明部を有する放電間隙と、
該放電間隙の内部に位置する充填体と、
少なくとも2つの電気接触手段と、
前記外壁と関連して電気接触するための第一手段と、
前記内壁と関連して電気接触するための第二手段とを含み、
案内補助として並びに点火補助として機能する少なくとも1つの多機能手段が,
前記放電間隙に隣接して配置される、誘電体放電ランプ。
【請求項2】
少なくとも1つの多機能手段は、底部から頂部まで距離tを備えて一方の壁から他方の壁に向かって突出し、前記距離tは、約d/2の値を除き、前記放電間隙の幅dの全範囲において変化し得る、請求項1に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項3】
前記多機能手段は、一方の壁から他方の壁に延在し、双方の壁の間の直接接触を形成する、請求項1又は2に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項4】
前記多機能手段は、前記壁の少なくとも1つの一体的な部分である、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項5】
前記統合された多機能手段は、対応する前記壁とほぼ同一又はより薄い壁厚を有することによって、壁から多機能手段への移行が滑らかであり且つ/或いは段階的である、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項6】
少なくとも2つの多機能手段が、当該ランプの長手軸に対して垂直に並びに/或いは軸方向に離間して前記放電間隙内に突出する、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項7】
前記壁は、2つの同軸のシリンダ石英管によって形成され、環状の放電間隙をそれらの間に含む、請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項8】
前記多機能手段は、前記壁の前記材料と異なる材料、好ましくは、異なる電気特性を有する材料から構成される、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項9】
多機能手段を製造するためのステップが含まれ、前記2つの壁を相互に最適化して配置するためのステップが含まれる、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプを製造するための方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプを組み込み、且つ、以下の1つ又はそれよりも多くの用途に用いられるシステム:
硬い及び/又は柔らかい表面の流体及び/又は表面処理、好ましくは、洗浄、殺菌、及び/又は、浄化、
液体殺菌及び/又は浄化、
飲料殺菌及び/又は浄化、
水殺菌及び/又は浄化、
廃水殺菌及び/又は浄化、
飲料水殺菌及び/又は浄化、
水道水殺菌及び/又は浄化、
超純水の製造、
ガス殺菌及び/又は浄化、
空気殺菌及び/又は浄化、
排気ガス殺菌及び/又は浄化、
成分、好ましくは、無機及び/又は有機化合物の分解及び/又は除去、
半導体表面の洗浄、
半導体表面からの成分の分解及び/又は除去、
食品の洗浄及び/又は殺菌、
栄養補助食品の洗浄及び/又は殺菌、
医薬品の洗浄及び/又は殺菌。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2008−506233(P2008−506233A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519967(P2007−519967)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052276
【国際公開番号】WO2006/006139
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】