説明

統合的な電力供給を容易にする結合インダクタ

【課題】モード切り替え式バック電圧レギュレータのシステムオンチップ(SOCs)への集積を促進する高効率のインダクタ・コンポーネントを提供する。
【解決手段】表面実装型デバイス(SMD)インダクタ形成体に少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルを形成し、前記空気コイルは、SMD形成体上で3つの端子に接続されており、1つの端子が、両方の巻線の共通ノードに接続され、2つの独立した端子が、巻線の他方のノードに接続される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バックコンバータの動作は非常に単純であり、インダクタと、インダクタを制御する2つのスイッチ(通常、トランジスタおよびダイオード)とで行われる。バックコンバータは、インダクタを電源電圧に接続してインダクタにエネルギーを保存することと、インダクタを負荷に放電することとを繰り返す。
【0002】
しかし、本技術分野の最先端技術には非効率性が存在しており、したがって、統合的な電力供給を容易にするべく、モード切り替え式バック電圧レギュレータのシステムオンチップ(SOCs)への集積を促進する新しいインダクタ・コンポーネントが強く要望されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明と見なす発明内容を、本明細書の結末部分において詳細に指摘し、明確に権利請求する。しかし、本発明は、動作の構成および方法に関して、それらの目的、特徴、および利点とともに、以下の詳細な記載を添付の図面と読み合わせることで、最良に理解されるであろう。
【図1】本発明の一実施形態に係るSMDインダクタを示す。 図示を簡略かつ明確にするべく、図に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。たとえば、明確性を期すべく、いくつかの要素の寸法は、その他の要素に比較して誇張されている。さらに、適切と見なされる場合には、参照符号を図面間で繰り返し使用して、対応物もしくは類似物を示す場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な記載では、本発明を完全に理解できるようにするべく、多数の特定的詳細事項を記載する。しかし、本発明は、これらの特定的詳細事項なしでも実施し得ることは、当業者には理解されるであろう。その他の例では、本発明が不明瞭となるのを防ぐべく、周知の方法、手順、要素、及び回路を詳細には記載しなかった。
【0005】
ここでは、且つ、一般的には、アルゴリズム、技術、もしくは処理を、所望の結果を導く行為もしくは動作の首尾一貫した順序であると見なす。これらには、物理量を物理的に操作することが含まれる。通常、必ずしもではないが、これらの量は、保存、転送、組み合わせ、比較、及びその他の操作をされることが可能な電気的信号もしくは磁気的信号の形態を取る。これらの信号を、折に触れ、ビット、数値、要素、符号、文字、期間、数字等と呼ぶことは、主に共通的に使用されていることが理由となって、便利であることが明らかになっている。しかし、これら及び類似の文言は、適切な物理量に対応づけられるものであり、これらの量に適用された便宜的な命名であることは理解されるべきである。
【0006】
本発明の実施形態では、2つの別々の要素を有利な方法で組み合わせることで、より低い等価直列抵抗(ESR)で所望のインダクタンスを提供し、効率性を改善して実施の物理的寸法を小さくする。より詳細には、本発明の実施形態では、モード切り替え式バック電圧レギュレータの、たとえばシステムオンチップ(SOC)への集積を促進する新しいインダクタ・コンポーネントを提供する。本発明の実施形態では、電力供給技術の開発時に発見される数多くの性能/集積に関する問題に取り組む。利点をいくつか挙げると、1)単相レギュレータと類似の設置面積で二相バックレギュレータが実施可能になること(バックコンバータとは、ステップダウンDC−DCコンバータである。その設計は、ステップアップ昇圧コンバータに似ており、昇圧コンバータと同じく、バックコンバータは、2つのスイッチ(一実施形態ではトランジスタおよびダイオードであり、本発明の実施形態に係る同期式バックコンバータにおいて使用される好適な実施形態では、ダイオードを、逆相で第1のトランジスタに効果的に切り替えられるトランジスタで置き換えてよい)と、インダクタと、キャパシタとを使用してよいモード切り替え式電力供給源である)、2)所定のインダクタンスのESRが低下し、したがって、レギュレータの効率が増加すること、及び3)この結合コンポーネントによって二相式を実施することにより、電圧信号(voltage ringing)の抑制がある程度向上し、したがって、このような信号を抑制するべく通常用いられるデカップリング・キャパシタンスのシリコン領域を減らすことができることが挙げられる。
【0007】
図1を参照すると、通常100として表されるのは、本発明の実施形態の基本構成であり、同一のSMD形成体115に形成された少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイル105及び110が設けられている。コイルは、SMD115上で、3つの端子120、125、及び130に接続されている。1つの端子が両方の巻線の共通ノード130に接続されており、2つの独立した端子120及び125が巻線の他方のノードに接続されている。好適な実施形態では、ノードA 130が共通のノードであり、ノードB 120及びノードC 125が、逆方向に巻かれたコイル105及び110の他方の端子に接続される。
【0008】
このコンポーネントの主要な電気的利点は、これらの巻線が逆相で切り替えられる(つまり、巻線105の信号電流によって巻線2 110のインダクタンスが上昇し、その逆も成立する)ことによって得られる相互誘導結合により可能となる利点である。所定のパフォーマンス・バルーン(a given performance balloon)について、インダクタンスの最適値が存在する。これは、効率性、供給される電力、電圧リップル、応答時間等の要素によって決まる。
【0009】
本発明の利点は、所定のインダクタンスを供給するための巻線の物理的大きさを、相互インダクタンスによって小さくできることである。これによって、等価直列抵抗(ESR)が低下し、効率が改善し、材料の内容量が減少するので、わずかにコスト的な意味合いがある。さらに、二相式バックレギュレータの両方の相が同じ位置に配置されるので、コンポーネントの配置に必要な基板領域が削減されるという意味において物理的大きさという観点の利点があり、さらにSoCから二相式インダクタへの配線が占める通路がより狭められ、高密度のIO配線構成においては利点となる。
【0010】
本明細書において、本発明のいくつかの特徴を図示し、記載したが、当業者には多くの改変、置き換え、変更、および均等物が考えられるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、これら全ての改変および変更を、本発明の真の趣旨に合致するものとして、範囲に含むと理解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のSMD形成体に形成された少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルを有する表面実装型デバイス(SMD)インダクタを備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルは、前記SMD形成体上で3つの端子に接続されており、1つの端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの共通ノードに接続され、2つの独立した端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの他方のノードに接続される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記SMDインダクタは、システムオンチップ(SoC)技術において、バックレギュレータに対応するよう構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルは、2つの逆方向に巻かれた空気コイルである請求項3に記載の装置。
【請求項5】
表面実装型デバイス(SMD)インダクタを製造する方法であって、
前記表面実装型デバイス(SMD)インダクタの同一のSMD形成体上で、少なくとも2つの空気コイルを逆方向に巻く段階を備える方法。
【請求項6】
前記SMD形成体上で前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルを3つの端子に接続する段階をさらに備え、
1つの端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの共通ノードに接続され、2つの独立した端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの他方のノードに接続される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記SMDインダクタを、システムオンチプ(SoC)技術において、バックレギュレータに対応するよう構成する段階をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
二相式バックレギュレータと、
前記二相式バックレギュレータに対応するよう構成された表面実装型デバイス(SMD)インダクタとを備え、
前記SMDインダクタは、同一のSMD形成体に形成された少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルを有する装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルは、前記SMD形成体上で3つの端子に接続されており、1つの端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの共通ノードに接続され、2つの独立した端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの他方のノードに接続される請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルは、2つの逆方向に巻かれた空気コイルである請求項9に記載の装置。
【請求項11】
システムオンチプ(SoC)において電力供給を容易にする方法であて、
表面実装型デバイス(SMD)インダクタを前記SoCに結合する段階を備え、
前記SMDインダクタは、同一のSMD形成体に形成された少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルを有する方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルは、前記SMD形成体上で3つの端子に接続されており、1つの端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの共通ノードに接続され、2つの独立した端子が、前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルの他方のノードに接続される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記SMDインダクタは、システムオンチップ(SoC)技術において、バックレギュレータに対応するよう構成されている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの逆方向に巻かれた空気コイルは、2つの逆方向に巻かれた空気コイルである請求項13に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−216784(P2012−216784A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−53192(P2012−53192)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】