説明

絶縁低下監視装置

【課題】発電機の絶縁抵抗を自動で測定できるとともに、発電機に異常な絶縁低下が生じた場合に、この異常を自動で解消できるようにする。
【解決手段】発電機5の絶縁抵抗を測定するとともにこの絶縁抵抗が低下しているか否かを監視する絶縁低下監視装置1において、発電機5の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定器16と、この絶縁抵抗測定器16に所定の時間間隔で発電機5を測定させるためのタイマ31と、発電機5の絶縁抵抗の低下による異常が発生したときに、この低下を改善するための絶縁抵抗改善手段19と、絶縁抵抗測定器16、タイマ31、及び絶縁抵抗改善手段19を制御するとともに、絶縁抵抗測定器16によって測定される絶縁抵抗の低下の度合いに応じて適した絶縁抵抗改善手段19(19a,19b)を作動させる制御部18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、発電機の絶縁抵抗が低下していないかどうかを監視するための絶縁低下監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、発電機が停止している間に、この発電機の絶縁抵抗を自動で測定し、所定の閾値を下回ったときに、これを異常と判断し、その結果を出力することができる絶縁低下監視装置(絶縁抵抗測定装置)が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の絶縁低下監視装置では、発電機の絶縁低下を監視することはできるが、異常を検知した場合に、その異常を出力するだけであり、自動による監視の観点から、異常が生じた場合の対応をも自動で行えることができるようになれば、更に作業性を向上することが可能になる。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、発電機の絶縁抵抗を自動で測定できるとともに、発電機に異常な絶縁低下が生じた場合に、この異常を自動で解消できる絶縁低下監視装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであって、発電機の絶縁抵抗を測定するとともにこの絶縁抵抗が低下しているか否かを監視する絶縁低下監視装置において、発電機の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定器と、この絶縁抵抗測定器に所定の時間間隔で発電機を測定させるためのタイマと、発電機の絶縁抵抗の低下による異常が発生したときに、この低下を改善するための絶縁抵抗改善手段と、絶縁抵抗測定器、タイマ、及び絶縁抵抗改善手段を制御するとともに、絶縁抵抗測定器によって測定される絶縁抵抗の低下の度合いに応じて適した絶縁抵抗改善手段を作動させる制御部と、を備えてなることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、絶縁抵抗測定器は、タイマによって、定期的に発電機の絶縁低下の有無を測定することができ、さらに、発電機の制御部によって絶縁抵抗改善手段を作動させることによって、発電機の異常の検知から、その後の対応まで自動で行うことができるようになる。
【0008】
また、本発明に係る絶縁低下監視装置は、前記制御部が、絶縁抵抗が低下したときに、絶縁抵抗測定器による絶縁抵抗の測定の時間間隔を短くするようにタイマを設定可能に構成されることが望ましい。
【0009】
かかる構成によれば、絶縁低下が生じたときに、制御部が、タイマによる測定の時間間隔を短くするように設定できることで、絶縁抵抗改善手段を作動させなければならない時期を、より正確に把握できるようになる。
【0010】
また、本発明に係る絶縁低下監視装置は、前記制御部は、前記発電機に設けられている接地線を接続・遮断するスイッチを制御可能に構成されることが望ましい。
【0011】
かかる構成によれば、絶縁抵抗測定器によって発電機の絶縁抵抗を測定する場合に、制御部が前記スイッチを遮断するように制御して接地線を遮断することで、絶縁抵抗の測定に必要な準備をも自動で行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発電機の絶縁抵抗を自動で測定できるとともに、発電機に異常な絶縁低下が生じた場合に、この異常を自動で解消できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】絶縁低下監視装置の全体図である。
【図2】制御部を示すブロック図である。
【図3】タイマ設定テーブルを示す。
【図4】絶縁低下監視装置の他の実施形態を示す部分的な図であり、(a)は、その平面図、(b)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1〜図3は、本発明に係る絶縁低下監視装置の一実施形態を示す。図1に示すように、絶縁低下監視装置1は、回転子巻線2、固定子巻線3、コレクタリング(スリップリング)4等を有する発電機5に関して、その絶縁抵抗の低下の有無を監視するとともに、絶縁抵抗が低下したときに、これを回復するための措置を講じるためのものである。
【0016】
発電機5は、円筒状に構成される固定子巻線3内を界磁された回転子巻線2が回転することにより、固定子巻線3に電力を誘起する。この発電機5には、その一部に、接地線6が設けられており、この接地線6には、接地線6の接続・遮断を行うための接地線用スイッチ7が設けられている。
【0017】
絶縁低下監視装置1は、発電機5のコレクタリング4に接触するブラシ11と、回転子巻線2を初期励磁するための初期励磁回路12と、回転子巻線2が回転して固定子巻線3に誘起された電圧を降圧するトランス13と、トランス13から生じる交流電力を直流に整流する整流器14と、回転子巻線2に供給する界磁電力を遮断する界磁遮断器15と、絶縁抵抗を測定するための絶縁抵抗測定器(一般に「メガー」という)16と、絶縁抵抗測定器16の測定端子をブラシ11に対して接続・遮断する絶縁抵抗測定用スイッチ17と、絶縁抵抗監視装置1の種々の制御を行うための制御部18と、発電機5の絶縁抵抗が低下して異常が生じた場合に、この絶縁抵抗の低下を改善する複数の絶縁抵抗改善手段19(19a,19b)と、を備える。
【0018】
ブラシ11は、回転子巻線2が回転している状態において、コレクタリング4との接触を維持するとともに、コレクタリング4の回転により、このコレクタリング4に対して相対的に摺動するように構成される。初期励磁回路12は、発電機5による発電を開始する際に、ブラシ11、コレクタリング4を介して回転子巻線2に所定の電圧を加えるためのものである。
【0019】
整流器14は、トランス13から供給される電力を整流するとともに、不作動状態(遮断していない状態)の界磁遮断器15を通じてブラシ11からコレクタリング4へと界磁電力(電流)を供給するためのものである。界磁遮断器15は、絶縁抵抗測定器16による発電機5の絶縁抵抗を測定する際に、制御部18からの信号によって作動し、界磁回路を遮断するためのものである。
【0020】
本実施形態では、絶縁抵抗改善手段19として、1つの送風機19a及び1つの電熱器19bが採用されている。これらの送風機19a、電熱器19bの数は、これに限定されず、発電機5の規模や数に応じて適宜選択される。送風機19a及び電熱器19bは、制御部18に接続されており、送風機19aと制御部18との間には、送風機作動用スイッチ21が設けられている。また、電熱器19bと制御部18との間には、電熱器作動用スイッチ22が設けられている。
【0021】
制御部18は、図2に示すように、絶縁抵抗測定器16の測定のタイミングを所定の時間ごとに行うために、この時間の間隔を設定可能なタイマ31と、ブラシ11に供給される電力を検知する電力検知手段32と、絶縁抵抗測定器16による測定結果を判定するための判定手段33と、界磁遮断器15を駆動するための電力を発生させる遮断器駆動部34と、絶縁抵抗測定用スイッチ17を駆動するためのスイッチ駆動部35と、接地線用スイッチ7を駆動するための電力を発生させるスイッチ駆動部36と、送風機作動用スイッチ21を駆動するためのスイッチ駆動部37と、電熱器作動用スイッチ22を駆動するためのスイッチ駆動部38と、これらを制御するともに所定の演算を行うCPU41と、制御に必要なプログラムを記憶するROM42と、ワーキングメモリとして動作するRAM43とを備える。
【0022】
制御部18は、発電機5が運転中か停止しているかを認識することができ、停止している場合に、絶縁抵抗測定器16を作動させて発電機5の絶縁抵抗を測定させる。また、制御部18は、絶縁抵抗測定器16による測定結果に応じて、タイマ31の設定を適宜変更し、その後の測定のタイミングを決定できる。また、制御部18は、発電機5の絶縁抵抗が低下している場合に、絶縁抵抗改善手段19を作動させる。
【0023】
以下、この制御部18による絶縁低下監視装置1の制御方法について具体的に説明する。
【0024】
制御部18は、CPU41及び電力検知手段32によって、ブラシ11に供給される電力の有無を検知することにより、発電機5が運転中であるかどうかを認識できる。電力検知手段32がブラシ11の電力を検知している場合には、発電機5が運転中であり、電力が検知されない場合には、発電機5が停止しているということがわかる。
【0025】
なお、発電機5が運転中である場合には、接地線用スイッチ7がオンになっており、接地線6が発電機5を接地した状態となっている。また、発電機5が運転中である場合には、界磁遮断器15が不作動状態(回路を遮断していない状態)になっている。また、発電機5が運転中の場合は、絶縁抵抗測定用スイッチ17、送風機用スイッチ21、及び電熱器用スイッチ22がオフになっている。
【0026】
制御部18は、電力検知手段32によって発電機5が停止していると認識した場合に、遮断器駆動部34を介して界磁遮断器15に信号を送信し、界磁遮断器15を作動させて界磁回路を遮断する。また、制御部18は、スイッチ駆動部36を介して、接地線用スイッチ7を作動させる(オフにする)ことにより、接地線6の接地を遮断する。
【0027】
さらに、制御部18は、CPU41及びスイッチ駆動部35を介して絶縁抵抗測定用スイッチ17を作動(ON)させることにより、絶縁抵抗測定器16をブラシ11及び発電機5に接続する。
【0028】
この状態で、制御部18は、絶縁抵抗測定器16に制御信号を送信し、絶縁抵抗測定器16は、この信号を受信すると、所定の測定電圧を発生させ、発電機5の絶縁抵抗を測定する。その後、絶縁抵抗測定器16は、測定結果(絶縁抵抗の測定値)を制御部18に送信する。
【0029】
制御部18は、判定手段33を介して、絶縁抵抗測定器16の測定結果が正常かどうかを判断するともに、判断結果に応じて、タイマ31の時間間隔を設定する。具体的には、ROM42には、図3に示すように、タイマ設定テーブルが記憶されている。測定抵抗の判断基準として、複数の抵抗値の閾値(以下「管理値」という)Rが設定されている。本実施形態では、3つの管理値(以下、それぞれを、第1管理値、第2管理値、第3管理値という)R1〜R3が設定されている場合を例示する。各管理値R1〜R3の値は、R1>R2>R3の関係に設定されている。制御部18は、ROM42のタイマ設定テーブル、RAM43、及び判定手段33を介して、所定の管理値R(R1〜R3)に応じたタイマ時間T(T1〜T3)を設定することができる。
【0030】
なお、管理値Rは、第1管理値R1乃至第3管理値R3の3つの場合に限定されず、4つ以上の複数の管理値R1〜RN(Nは正の整数)が設定され得る。
【0031】
タイマ設定テーブルには、各管理値R1〜R3に対応して、3つのタイマ時間(以下、それぞれを第1タイマ時間、第2タイマ時間、第3タイマ時間という)T1〜T3が設定されている。各タイマ時間T1〜T3の値は、T1>T2>T3の関係に設定されている(例えば、T1:60分、T2:30分、T3:10分)。
【0032】
制御部18は、絶縁抵抗測定器16によって測定された測定値(抵抗)が第1管理値R1(例えば100MΩ)以上であるか否かを、判定手段33を介して判定する。絶縁抵抗測定器16の測定結果が第1管理値R1以上である場合には、制御部18は、発電機5の絶縁状態が正常であると判断するとともに、その後の測定を第1タイマ時間T1にて行うように、タイマ31の設定を行う。
【0033】
制御部18は、CPU41を介して、タイマ31において第1タイマ時間T1に達したときに、絶縁抵抗測定器16を制御し、発電機5の絶縁抵抗の測定を行わせる。絶縁抵抗の測定値が第1管理値R1以上である限り、制御部18は、タイマ31を第1タイマ時間T1に設定し、この第1タイマ時間T1を基準として絶縁抵抗測定器16による測定を繰り返す。
【0034】
絶縁抵抗測定器16による発電機5の絶縁抵抗の測定値が第1管理値R1未満である場合、制御部18は、この測定値が第2管理値R2以上であるか否かを、判定手段33を介して判定する。測定値が第2管理値R2以上である場合には、制御部18は、タイマ31を第2タイマ時間T2に設定するとともに、この状態を異常であると判断し、スイッチ駆動部37及び送風機用スイッチ21を介して、絶縁抵抗改善手段19としての送風機19aに制御信号を送信してこれを作動させる。
【0035】
制御部18は、タイマ31が第2タイマ時間T2に達したときに、絶縁抵抗測定器16を再度作動させて発電機5の絶縁抵抗を測定する。このとき、制御部18は、測定値が第1管理値R1以上かどうかを判定手段33によって判定する。測定値が第1管理値R1以上である場合には、制御部18は、絶縁抵抗改善手段19(送風機19a)によって、絶縁抵抗が正常に戻ったと判断し、スイッチ駆動部37、送風機用スイッチ21を介して、送風機19aを停止させる。
【0036】
さらに、制御部18は、CPU41を介して、タイマ31を第1タイマ時間T1に設定し、この第1タイマ時間T1を基準に、その後の測定を継続する。一方、測定値が第1管理値R1未満である場合、制御部18は、測定値が第2管理値R2以上であるか否かを、判定手段33を介して判定する。測定値が第2管理値R2以上である場合には、制御部18は、既に作動している送風機19aを作動させ続けるとともに、タイマ31を第2タイマ時間T2のままにしておき、この第2タイマ時間T2を基準として、その後の測定を行う。
【0037】
また、前記測定値が第2管理値R2未満である場合、制御部18は、測定値が第3管理値R3以上であるか否かを、判定手段33を介して判定する。測定値が第3測定R3以上である場合、制御部18は、発電機5の絶縁状態がさらに悪化しているものと判断し、スイッチ駆動部38、及び電熱器用スイッチ22を介して、絶縁抵抗改善手段19としての電熱器19bを作動させる。これにより、絶縁抵抗改善手段19としての送風機19aと電熱器19bの両方が作動している状態となる。
【0038】
さらに、制御部18は、上記の措置をとるとともに、タイマ31を第3タイマ時間T3に設定し、この第3タイマ時間T3を基準として、その後の測定を行う。
【0039】
また、前記測定値が第3管理値R3未満である場合には、制御部18は、判定手段33を通じて、管理センター等に配設される外部装置としての警報機が警報を発するように制御信号を送信する。
【0040】
このように、制御部18は、発電機5の絶縁抵抗の低下の度合いに応じて、タイマ時間T(T1〜T3)を適宜変更しながら、測定値と管理値R(第1管理値R1〜第3管理値R3)との比較を繰り返し、絶縁低下の度合いに応じて、これを改善するのに適した絶縁抵抗改善手段19(送風機19a、電熱器19b)を選択して作動させるのである。
【0041】
なお、発電機5が再び始動する場合には、制御部は、スイッチ駆動部35〜38を介して、接地線用スイッチ7をオンにし、絶縁抵抗測定用スイッチ17をオフにし、さらに、送風機用スイッチ21、電熱器用スイッチ22をオフにする。さらに、制御部18は、遮断器駆動部35を介して、界磁遮断器15を不作動状態(遮断解除状態)にする。
【0042】
以上説明した絶縁低下監視装置によれば、発電機5が停止している間に、この発電機5の絶縁抵抗が低下しているか否かを定期的に自動で監視するとともに、絶縁抵抗が低下している場合には、この低下の度合いに応じて、改善に適した絶縁抵抗改善手段19(19a,19b)を自動で作動させることができる。
【0043】
さらに、絶縁低下監視装置は、各管理値R(R1〜R3)が小さくなるにつれて、対応するタイマ時間T(T1〜T3)を短くすることにより、発電機5の絶縁抵抗の低下に応じて、監視の間隔を短くして、異常の状態を早期に発見するとともに、これに応じて適切なタイミングで、絶縁抵抗改善手段19(19a,19b)を作動させることができるようになる。
【0044】
また、制御部18によって、接地線6の接続・遮断の動作をも自動でできるため、絶縁抵抗の測定に必要な準備をも自動で行うことができ、絶縁抵抗監視装置1は、さらに作業性の良いものとなる。
【0045】
なお、本発明は、上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0046】
上記の実施形態では、ブラシ11をスリップリングに常時接触させて、発電機5が停止したときに、絶縁抵抗測定用スイッチ17を作動させ、絶縁抵抗測定器16による測定を行うようにした例を示したが、これに限定されない。例えば、パンタグラフを応用したもの、シリンダ等の伸縮可能な部材をブラシ11に連結し、ブラシ11を進退させることにより、コレクタリング4への接触・接触解除を行うようにしてもよい。
【0047】
さらなる変形例として、図4に示すように、例えば、モータ51によって回動自在にされる回動軸52の先端に、接触子53を有する回動部材54を設け、制御部18によってモータ51を制御することで、接触子53のコレクタリング4への接触・接触解除を行うようにしてもよい。
【0048】
回動軸52には、2つのカム(以下、一方を「第1カム」、他方を「第2カム」という)56,57が設けられ、それぞれのカム56,57に対応して、2つのリミットスイッチ(以下、第1カム56に対応するものを「第1リミットスイッチ」、第2カム57に対応するものを「第2リミットスイッチ」という)58,59が接触して設けられている。第1カム56と第1リミットスイッチ58は、接触子53がコレクタリング4に接触したときに、第1リミットスイッチ58が作動するように関係づけられる。
【0049】
第2カム57と第2リミットスイッチ59は、接触子53がコレクタリング4から離れた所定の待機位置にあるときに、第2リミットスイッチ59が作動するように関係づけられる。制御部18は、発電機5が停止している状態で、モータ51を介して回動軸52を回動方向一方側に回動させ、接触子53をコレクタリング4に接触させる。接触子53がコレクタリング4に接触したとき、第1カム56に対応する第1リミットスイッチ58が作動し、これを制御部18が検知して、モータ51を停止させる。この状態で、制御部18は、絶縁抵抗測定器16に制御信号を送信し、発電機5の絶縁抵抗を測定させることができる。
【0050】
発電機5が作動したとき、制御部18はこれを検知して、回動部材52の接触子53をコレクタリング4から離すべく、モータ51に制御信号を送信する。モータ51の駆動により、回動軸52が回動方向他方側に回動し、接触子53がコレクタリング4から離れるように回動部材54が回動する。回動部材54が回動を続け、所定の待機位置に達したときに、第2カム57に対応する第2リミットスイッチ59が作動する。この場合には、発電機5を停止させた状態で、接触子53をコレクタリング4に接触させ、この接触子53に接続される絶縁抵抗測定器16によって、発電機5の絶縁抵抗を測定することができる。
【0051】
また、発電機5の回転子巻線2の回転を制動するブレーキ等を絶縁低下監視装置1に利用することも可能である。この場合には、回転子巻線2の所定の部位に接触するブレーキの制動部材に接触子を設け、発電機5が停止し、制動部材が回転子巻線2に接触して制動しているときに、これと同時に接触子を回転子巻線2側に接触させて絶縁抵抗測定器16による発電機5の絶縁抵抗の測定を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…絶縁低下監視装置、2…回転子巻線、3…固定子巻線、4…コレクタリング、5…発電機、6…接地線、7…接地線用スイッチ、11…ブラシ、12…初期励磁回路、13…トランス、14…整流器、15…界磁遮断器、16…絶縁抵抗測定器(メガー)、17…絶縁抵抗測定用スイッチ、18…制御部、19…絶縁抵抗改善手段、19a…送風機、19b…電熱器、21…送風機用スイッチ、22…電熱器用スイッチ、31…タイマ、32…電力検知手段、33…判定手段、34…遮断器駆動部、35…スイッチ駆動部、36…スイッチ駆動部、37…スイッチ駆動部、38…スイッチ駆動部、41…CPU、42…ROM、43…RAM、51…モータ、52…回動軸、53…接触子、54…回動部材、56…第1カム、57…第2カム、58…第1リミットスイッチ、59…第2リミットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機の絶縁抵抗を測定するとともにこの絶縁抵抗が低下しているか否かを監視する絶縁低下監視装置において、
発電機の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定器と、この絶縁抵抗測定器に所定の時間間隔で発電機を測定させるためのタイマと、発電機の絶縁抵抗の低下による異常が発生したときに、この低下を改善するための絶縁抵抗改善手段と、絶縁抵抗測定器、タイマ、及び絶縁抵抗改善手段を制御するとともに、絶縁抵抗測定器によって測定される絶縁抵抗の低下の度合いに応じて適した絶縁抵抗改善手段を作動させる制御部と、を備えてなることを特徴とする絶縁低下監視装置。
【請求項2】
前記制御部は、絶縁抵抗が低下したときに、絶縁抵抗測定器による絶縁抵抗の測定の時間間隔を短くするようにタイマを設定可能に構成されてなる請求項1に記載の絶縁低下監視装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記発電機に設けられている接地線を接続・遮断するスイッチを制御可能に構成される請求項1又は2に記載の絶縁低下監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−39796(P2012−39796A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178958(P2010−178958)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】