説明

絶縁体上半導体の高速でコンパクトな光変調器

本発明は、コンパクト性が高く且つ光波及び電波の適合性に利するように改良された電気光学変調の素子、デバイス及びシステム、並びに製造方法に関する。本発明によれば、前記素子は、導波路(690)のアーキテクチャを備えており、そして、制御電気信号の進む経路の長さ(L609)に対して、光束の進む経路の長さ(L611)が、光束と電気信号との伝播速度(V609,V611)の差を低減又は補正するように決定された差を有するように、前記導波路を配置する。特に、変調領域は光束の経路を含み、前記光束は、これらの制御要素の少なくとも2つから出ている少なくとも2つの欠刻を連続的に通過し、そして、それ自体巻かれている。このようにして、前記光束経路は、例えば、この制御信号とこの光束との間の相互作用の第一領域(R1a)と第二領域(R2a)との間で、電気信号が進む長さより大きい長さを備えている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、コンパクト性を高めるための且つ光波及び電波のそれらの間の適合性を促進するための改良された電気光学変調素子に関する。
【0002】
本発明によれば、前記素子は導波路のアーキテクチャを備えており、ここで、光束が進む経路の長さが、制御電気信号が進む経路の長さに対して、光束と電気信号との伝播速度の差を低減又は補正するように決定された差を有するように、前記導波路のアーキテクチャが配置される。特に、この素子は、例えば、この制御信号とこの光束との間の相互作用の第一領域と第二領域との間に、電気信号が進むより大きい長さを有する光束の経路を変調領域内で含む。
【0003】
本発明は、前記素子の製造方法と、前記素子を含むデバイス又はシステムとに更に関する。
【0004】
技術分野
本発明は、シリコンフォトニクスの分野にあり、主として、集積回路における光通信及び光インターコネクションの分野での利用を対象としている。
【0005】
高速の情報伝達鎖を形成するためには電子/光変換素子が必要であり、そして、オプトエレクトロニクス変調器は、電気信号の情報を光波上に移すことを可能にする重要な要素である。本発明は、高速(10Gbit/sより高速であり、典型的な現行の利用では変調器当たり10〜40Gbit/sを必要とする)で動作する独自のコンパクトなオプトエレクトロニクス変調器構成に関する。
【0006】
本発明は、半導体(特に、シリコン)上のオプトエレクトロニクス及びフォトニクスの分野にある。本発明は、多くのオプトエレクトロニクスの用途に、そして特に、集積回路における光通信及び光インターコネクションの分野の用途に有用である。
【0007】
光ファイバ又は光回路内の光に基づく信号と電気信号との両方を含む、特に高速の通信鎖を形成するためには、電子/光変換素子が必要である。電気光学変調器は、情報を電子信号から光波へ移すことを可能にする、例えば、電子形態のデジタル情報を、短距離、中距離又は長距離の伝送用に光ファイバ内に送られる光デジタル信号に変換することを可能にする、重要な要素である。
【0008】
他のエレクトロニクスの分野でも変調器、例えば、種々の波長を検出又は観察するシステムを用いることができる。
【0009】
背景技術
最新世代の素子及びオプトエレクトロニクスシステムは10Gbit/sより高速であることができる速度で動作し、そして、その典型的な適用はシリコンで色彩チャネル(canal chromatique)ごとに1秒間当たり40Gbit/sまでの速度を目標としている。
【0010】
典型的には、電気光学変調器は変調領域を含み、前記変調領域は、変調すべき光束が通る導波路を含む。この変調領域において、少なくとも2つの電極が導波路を含む活性領域に変調電気信号を印加する。
【0011】
この変調領域は変調器のタイプによって別様に動作し、そして、別様の導波路のアーキテクチャを備えていることができる。
【0012】
変調領域は、例えば、導波路の屈折率を変化させることによって動作し、そしてそれによって、そこを通過する光の位相変調を与えることができる。次いで、変調されない他の部分と入射後に干渉計内で組み合わせられる入射光束の一部を位相変調するようにこの変調領域を配置する。干渉計の出力において、この組み合わせは干渉によってこの光束の強度変調を与える。この位相変調要素は干渉計、例えば、マッハ・ツェンダー型の干渉計内に組み込まれる。
【0013】
前記位相変調領域は、例えば、異なった材料及び/又は光スペクトルが選択された、上記と同様のアーキテクチャを備えていることができる。
【0014】
半導体の導波路内に光を通すことによっても位相変調領域を形成することができる。この導波路は、変調電気信号が印加されるダイオードを間に形成する少なくとも2つのドープ領域と一定の長さで相互作用する。このダイオードに印加されたバイアス電圧に従って、導波路の半導体はその屈折率を変化させ、そしてこのようにして伝播速度を変調させ、そのことによってそこを通る光の位相を変調する。
【0015】
このタイプのデバイスは、例えば、PCT/FR/05/00748及びUS7116853に記載されており、その動作は、導波路内で屈折率に作用するダイオードを形成する、別様にドープされた複数の半導体に基づく。
【0016】
他のメカニズム、例えば、活性領域内に形成された導波路が存在し、前記活性領域は、伝播方向と平行する量子井戸を間に形成する種々の材料からなる複数の層を含む。この活性領域は2つの群の電極によって囲まれており、これらの電極に電気信号を印加して活性領域をバイアスし、そして、導波路内を伝播する光モードの有効率(indice effectif)を変化させる。
【0017】
欠点:長さ/コンパクト性
所定のタイプの変調器について得られる性能は、例えば対照的に、現在では1ミリメートル以上のオーダーにおける長さに達することのある、充分に大きい変調長さを用いることに大きく依存している。
この長さは、集積回路及び/又は小さな素子内の集積の可能性を制限するので、特に、コンパクト性の点で不都合を生じさせる。
【0018】
欠点:長さ/速度
長さは変調速度の点でも不都合を有している。実際に、光は所定の速度で導波路内を伝播するが、この速度は変調ダイオードの電極における変調電気信号の伝播速度とは異なる。一定の長さを超えて、変調信号の周波数をあまりに増加させると伝送速度を改善することができない場合には、伝播速度のこの差が障害となる。
このように、所定の伝送速度に対して、一定の変調長さを超えることができないことが多く、そうでなければ、信号は劣化が激しくなりそのアナログ形態からの後続のデジタル再構成が妨げられるか又は阻止される。
この問題は、現在のところ、信号品質に対する変調長さと、情報速度に対する変調周波数との間での釣合選択を行うことを余儀なくさせる。これは、現在、変調長さで数ミリメートルの構成において10Gbit/sそして更に40Gbit/sの伝送速度に達する又はそれを超える上での制限となっている。
【0019】
リング共振器型の干渉計構造を用いることにより、光束と電気信号との間のこの共伝播(copropagation)の問題を制限することができる。しかしながら、このタイプの干渉計は極めて温度感受性であり、多くの用途においてその使用が限定され、及び/又は、例えば、温度制御(例えば、熱放散による温度制御)に関して関係するシステム工学に一層の制約を持ち込む。
【0020】
この変調領域は、例えば、導波路吸収の変化によって動作し、そしてそれによってそこを通過する光の強度変調を直接に与えることができる。それは、例えば、伝播方向と平行する量子井戸を間に形成する種々の材料からなる複数層を含む活性領域内に形成された導波路であることができる。この活性領域は2つの群の電極によって囲まれており、これらの電極に電気信号を印加して活性領域をバイアスし、そして、導波路を通る光の吸収特性を変化させる。
【0021】
US6,593,589は、例えば、GaN−AlN又はGaN−InN又はInGaN−GaN対を用い、約5.2μmを吸収することによって動作するISBユニポーラ変調器を記載している。前記素子は、例えば、無線伝送又は検出に用いられ、波長3〜5μm及び8〜12μmの大気の透明電磁窓を利用する。
【0022】
電気信号の伝播又は到着の速度に作用する、とりわけ、それを速めるための解決法が提案されてきたが、それは複雑で精巧な形状を備えた電極を設計することにある。しかしながら、この工学タイプの電極は制限及び多くの制約を有しており、複雑さの原因となりそしてとりわけ、大量生産において又は製造された素子のスクラップ率を低減することが望ましい場合に、達成が難しく費用のかかる極めて精密な製造公差を要求することが多い。
【0023】
制御電気信号を調整しようとする試みの中で、US7515775は、その制御信号が一連の連続的な遅延線を通って伝達される、能動遅延変調器(modulateur a retard actif)を記載している。各遅延線の出力において、いくつかの連続的な変調要素に信号を印加する。信号の遅延を調節し、その結果、能動遅延線を横切って通る変調信号の速度が、回路の変調要素を横切って通る光波と一致する。このように、能動遅延を用いることによって、電気電極の長さの問題を免れることができ、そして各変調要素内部で光路を曲げることによって(図12参照)又は並行して数列に配置された遅延線を連続的に横切らせるようにそれを折り曲げることによって(図12A参照)省スペース化することができる。
【0024】
しかしながら、この種の能動的な解決法は不利な点を有しており、そして特に、種々の変調要素において種々の注入時間を調整するべき制御電子回路が存在するため、製造において更に集積又は使用において少なからぬコスト及び複雑さを有している。
【0025】
従って、本発明の或る目的は、温度感受性並びに設計及び/又は製造の間の精密性の制約を制限しながら、位相又は強度の電気光学変調器の速度性能だけでなく、コンパクト性、集積能力及び製造簡潔性をも改善することである。
【0026】
この目的を達成するために、本発明は、変調領域を含み、制御電気信号に応じて光束を変調する電気光学素子であって、ここで、前記光束が、導波路内を伝播し、そして、例えば、2つの異なる方法でドープされた導電性材料及び/又は半導電性材料の少なくとも1つの第一のいわゆる電気制御要素及び少なくとも1つの第二のいわゆる電気制御要素の作用に付されるものとする、前記電気光学素子を提供する。それによって、両方の制御要素は制御電気信号を受ける1対の制御要素を、典型的には、電極の各々がこれらの制御要素の一方に電気的に接続されている1対の前記電極から形成する。これらの制御要素の各々及び/又はこれらの電極の各々は、単一の連続部分によって形成されることができるが、同様に電気制御信号を受けるいくつかの別個の部分から形成されることもできる。
【0027】
本発明によれば、この変調領域において、前記光束の進む経路の長さが制御電気信号の進む経路の長さと所定の差を有するように、光束と1対の制御要素との間に相互作用の少なくとも1つの第一の領域及び少なくとも1つの第二の領域が存在するように、導波路を配置する。更に詳細には、この長さの差が、相互作用のこれらの第一領域と第二領域との間で、光束の伝播速度と電気信号の速度との間に存在する差を、この電気信号の本来の伝播速度の意味で、完全に又は部分的に補正するように、これらの長さを決定する。素子の設計のときに、電極の制御電気信号と導波路の光束との伝播方向の相対的配置を考慮することによって、この長さの差を計算してこの速度差の低減を得ることができる。
【0028】
更に詳細には、本発明に係る素子では:
− 変調領域において光束が進む経路が一方の制御要素から他方の制御要素まで少なくとも2回通るように、前記導波路を配置し;及び
− 前記導波路は、変調領域の少なくとも一部において、それ自体巻かれた形状であって、これらの制御要素の少なくとも2つから出ている相互に挿置された少なくとも2つの欠刻(indentations)を連続的に通過する前記形状を備えている。
【0029】
US7515775に記載のような能動的電子制御による解決法では、能動回路を用いて変調領域の離散した部分に制御信号が印加されるべきずれを計算することによってレイアウトの問題を免れる試みがなされている。これらの離散した部分の各位置で速度の差を調整又は補正することができるが、これらの各部分の残部では速度の差が残る。
【0030】
それとは逆に、本発明は、このレイアウトの設計に取り組み、まさにその性質によって、そして、変調領域の長さの全体にわたって漸次且つ連続的に、より効果的なものにするものである。
【0031】
このように、制御要素に関して設計され及び計算された導波路のレイアウト又は設計図を選択することによって、少なくとも制御要素及び電極に関しては受動的な構造を用いながら、そこから生じるあらゆる利点を備えて、信号のずれの低減又は補正を得ることができる。その結果、能動制御の開発に頼ることなしにこれらの利点を得ることができる。
【0032】
これらの利点は、現在まで提案された電極の複雑な工学技術にも頼ることなしに得ることもできる。実際に、形状を描くのに用いられる技術及び導波路の製図は、しばしば、複雑さがより少なく、より柔軟性がありそして寸法正確性の必要がより少ない。更に、多くの種類のレイアウトは、特に、異なった成長又はドーピング領域間の境界に関する、高い寸法正確性を必要せずに前記長さの差を得ることができ、例えば、本明細書で以下に記載する実施態様に用いることができる。
【0033】
この配置は、例えば、単純な形状又は矩形でさえある形状を有する制御要素を用いながら、導波路のレイアウトのみを対象としていることができる。この配置は、活性領域の制御要素(例えば、ダイオードのドープされた半導体)の形状に基づいて作用するか、又は、後述する相互にかみ合った実施態様におけるように両方の部分の工学を調整することによって作用することもできる。
【0034】
この現時点で好ましい、いわゆる巻かれた実施態様において、少なくとも1対の電気制御要素の2つの制御要素は、互いに向き合って、相互に挿置された欠刻を含む形状を有し、そして、導波路は前記欠刻を連続的に通過し、前記導波路は変調領域の少なくとも一部においてそれ自体巻かれた形状を有している。
【0035】
或る特徴によれば、相互に挿置された実質的に放射状(radiales)の放射部(emanations)を連続的に通過する螺旋状に巻かれた部分を光束の進む経路が備えているように、導波路を配置し、前記放射部は:
− 一方では大部分が前記螺旋の内側に位置した一方の制御要素から、及び
− 他方では大部分が前記螺旋の外側で且つ周囲に位置した他方の制御要素から
延長している。
【0036】
別のいわゆる直線的な実施態様によれば、導波路は、それ自体巻かれていることなく、正確な長さを得るように計算された曲線の形状を有していることができる。少なくとも1対の電気制御要素の制御要素は、導波路の両側に設けられ、そして、この第一の相互作用領域と第二の相互作用領域との間でこの導波路を囲んでいる形状を有する。その結果、これらの制御要素が第一の相互作用領域と第二の相互作用領域との間の導波路の長さより小さい長さを有する。
【0037】
別の観点によれば、本発明は前記素子を含むデバイス又はシステムも提供する。
【0038】
更に、本発明は、本明細書に明記したような規定された素子を製造するように選択され、規定され、そして、組み合わせられた工程を含むオプトエレクトロニクス素子の製造方法も提供する。
【0039】
更に詳細には、本発明に係る素子は、変調領域を通過する光束の位相を制御電気信号に応じて変化させるように配置されたアーキテクチャを前記変調領域が有するタイプのものであることができる。
【0040】
前記位相変調器は、いくつかの用途にはそのまま用いることができる。
【0041】
他の用途において、少なくとも1つの前記変調領域を干渉計、例えば、マッハ・ツェンダー干渉計内に挿入して、前記変調領域を通過する光束の位相変調から、前記干渉計を通過する光束の強度変調を得る。
【0042】
このように、例えば、伝送速度及び/又は長さの制限並びに変調コントラストの制限の、伝播速度の差による欠点を制限しながら、このタイプの変調器の有利な特徴、温度安定性、堅牢さ(robustesse)を得ることができる。
【0043】
本発明によれば、導波路の経路を計算して、特に、変調器の動作範囲の周波数に対して及び例えば1GHzより高く素子のカットオフ周波数より低い周波数に対して、好ましくは、伝播速度の差を最も接近して10%まで又は更には5%まで補正する。
【0044】
好ましくは、本発明は、制御信号の処理を行って伝播速度の差を補正するであろう電子素子も電気回路も含まない、本発明に係る素子を用いるか又は含むデバイスも提供する。
【0045】
典型的には、後述する実施態様におけるように、PN型又はPIN型ダイオードを形成する活性領域内に形成された導波路によってこの変調領域を得ることができる。
【0046】
しかしながら、半導体の少なくとも1対の制御要素によって囲まれた活性領域に形成された導波路を含む変調領域に、本発明によって提供される変調領域の配置特性を適用することもでき、ここで、この活性領域は、2種の異なるIII−V型の半導電性材料から形成された1つ以上の量子井戸を備えた少なくとも1つの構造を含む。その結果、これらを1対のバンドギャップ半導体を形成するように選択し、そして、前記制御要素に印加される電気信号に応じたこの活性領域における有効吸収率(indice effectif d'absorption)の変化を得る。
【0047】
本発明は、高速電気信号からの光変調を必要とする多くの用途に、そして特に、光通信、マイクロプロセッサにおける光インターコネクション、又は検出システムの用途に有用である。
【0048】
本発明の実施態様の可能な全ての組み合わせに従い、本明細書に提示した種々の任意の特性を統合して、本発明の様々な実施態様を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明の更なる特徴及び利点は、決して限定的でない実施態様の詳細な記載、及び添付の図面からより明白となるであろう:
− 図1は、WO2005/093480に示されるような、その真性領域に垂直なドープ面を備えた側面構成のPIN型ダイオードを含む従来技術の一例を示す斜視断面図であり;
− 図2は、WO2005/093480に示されるような、非対称マッハ・ツェンダー干渉計内に埋め込まれた、図1のダイオードのような横方向ダイオードから変調器を形成する従来技術の一例を示す上面図であり;
− 図3〜図5は、制御要素が導波路のレイアウトを完全に囲む、本発明のまっすぐな(droit)実施態様を示す縮尺通りではない上面図であり;
− 図3は、PN型ダイオードを形成する制御要素の変調領域の部分を示し、そして
− 図4は、PIN型ダイオードを形成する制御要素の変調領域の部分を示し、
− 図5は、非対称変調器のマッハ・ツェンダー干渉計内に対称的に設けられたPNダイオードを備えた2つの変調領域を示し;
− 図6〜図9はPNダイオードが巻かれた実施態様の種々の変形態様を示し、ここでは、制御要素が、導波路の螺旋状のレイアウトと交差する実質的に放射状の相互にかみ合った構造を有するものとする;
− 図6は、同心性の制御要素を備えた変形態様を示し、ここで、導波路は入力螺旋の中で巻かれ、そして、ターンして入力螺旋に挟まれた出力螺旋の中を通って出て行くものであり;
− 図7は、同心性の制御要素を備えた変形態様を示し、ここで、導波路は中心を通って来てそして外側へと螺旋を描くものであり;
− 図8は、図6及び図8の例に対する制御要素及びそれらの電極の構造を示し;
− 図9は、並置された制御要素を備えた変形態様を示し、ここで、導波路は中心を通って来てそして外側へと交互に繰り返される螺旋の部分を描くものであり;
− 図10〜図12は、挟まれた欠刻の一部における、巻かれた実施態様の制御要素内の電荷密度分布を示し:
− 図10は、制御電位の差が0Vの場合の測定写真を示し;
− 図11は、制御電位の差が5Vの場合の測定写真を示し;
− 図12は、制御要素の構造内の図10及び図11の測定位置をより広範囲に示す図面である。
【0050】
導波路を囲む制御要素
制御要素が導波路のレイアウトを完全に囲む、いわゆるまっすぐな実施態様を図3〜図5を参照して説明する。本明細書に記載のこの実施態様の例において、導波路の長手方向のレイアウトはうねった形状を有しており、前記形状は、伝播速度の差を低減又は補正することを可能にする長さを有するように計算される。
【0051】
図3は、制御要素がPN型ダイオードを形成する変形態様における変調領域の部分を示す。
【0052】
半導電性材料、例えば、単結晶半導体(例えば、シリコン)の層内に導波路310を形成する。第一の制御要素321及び第二の制御要素322は1対の電気制御要素を形成し、そして導波路310の両側に設けられ、そして両側からそれを囲む。例えば、これらの制御要素の一方は「P」ドープされたシリコン部分321であり、そして他方は「N」ドープされたシリコン部分322である。
【0053】
両方の制御要素321と322との間の分離は、導波路のレイアウトに実質的に沿う。図に示されるように;両方の制御要素の間の境界を、例えば、導波路の片側へずらし、次いでこれら2つの制御要素の一方の中に完全に含めることができる。導波路内で両方の制御要素を隣接させることもできる。
【0054】
両方の制御要素321,322は、例えば、相互に平行な金属電極である2つの電極331,332をそれぞれ通る制御電気信号309を受ける。このようにして、両方の制御要素321,322は一緒になって、制御電気信号309によって制御されるPN変調ダイオードを形成する。
【0055】
変調されるべき光束311が導波路310内を通る場合に(ここでは、図面の左側に)、図の垂直方向に応じて、制御ダイオード内に形成された電場により、導波路材料の光学特性が変化する。このようにして、導波路の各点で、制御ダイオードは光束311と相互作用してその特性(例えば、本例では位相)を変調する。
【0056】
制御電極331,332内で、そしてそれによって制御要素321,322内で、制御電気信号は、相互の電極の位置によって決定される長手方向に沿って、例えば、図の左側から右側へ直線状に進む。
【0057】
例えば、シリコン層の上部に突き出た長手方向のリッジの公知技術によって、又は、この層の特定領域の光学特性(例えば、屈折率)を変化させるリソグラフィー処理によって、導波路310を形成する。
【0058】
本発明によれば、電極と制御要素との間で決定される線(dessin)、例えば、本明細書中に示されるようなうねりを形成す非直線状の線に従ってこの導波路を形成する。
【0059】
図に示されるように、任意の第一の相互作用領域R1と任意の第二の相互作用領域R2との間(両者とも導波路310上に位置する)で、光束311はその伝播速度V311で所定の長さL311を進む。
【0060】
一方、これら2つの領域R1とR2との間で、制御電気信号はその伝播速度V309に従って所定の長さL309を進む。
【0061】
例えば、これら2つの相互作用領域R1とR2との間の制御信号のレイアウトL309より長いレイアウトL311であって、どのような場合であってもレイアウトL309とは異なる非直線状の前記レイアウトL311を導波路に設けることによって、本発明は、これらの種々の伝播速度V311とV309との間の差を補正することを可能にする。
【0062】
この伝播速度V311とV309との差からレイアウトを選択及び計算して、長さL311とL309との差を設ける。この長さL311とL309との差は、望ましい補正を得ることを可能にするか又はこの速度差を望ましく低減させることを可能にする。
【0063】
図4は、図3に対するその違いについてここで記載しようとするだけの、制御要素がPIN型ダイオードを形成する変形態様における変調領域の部分を表す。
【0064】
このPINダイオードは制御要素421,422によって形成され、前記制御要素421,422は、1対の電気制御要素を形成し、導波路410の両側に設けられ、そして、両側から前記導波路410を囲む。例えば、これらの制御要素の一方は「P」ドープされたシリコン部分421であり、そして他方は「N」ドープされたシリコン部分422である。
【0065】
図5は、非対称変調器のマッハ・ツェンダー干渉計内に対称的に設けられた、例えば、図3のPNダイオードを備えた2つの変調領域を示す。
【0066】
電極331,332を介して、電気信号309によって変調領域330を制御する。ドープされた半導体層の表面にこれらの電極を別様に設けて、この変調領域330の導波路310を囲む第一の制御要素321及び第二の制御要素322を形成する。
【0067】
位相変調導波路310を進む位相変調されるべき束311と参照分岐路310’を形成する導波路を進む参照束311’とに分離する導波路に、強度変調されるべき光束31を注入する。
【0068】
変調領域の出力において、両方の束は合流して、出力導波路390を進む強度変調された束391になる。
【0069】
導波路と交差する制御要素
先行する実施態様に対するそれらの相違について記載しようとするだけである図6〜図9を参照して、いわゆる巻かれた実施態様を説明する。この巻かれている実施態様においては、導波路のレイアウトが数回通過する、実質的に放射状の相互にかみ合った構造を有する制御要素によってPNダイオードを形成する。本明細書に記載したこの実施態様の例において、導波路のレイアウトは、伝播速度の差を低減又は補正することを可能にする長さを有するように計算された、螺旋形状の全て又は一部を備えている。
【0070】
図に示した実施態様の例において、光束の進む経路が螺旋状に巻かれた部分を有するように、導波路610、690、790又は990を配置し、ここで、前記螺旋状に巻かれた部分は、相互に挿置された実質的に放射状の制御要素621,622及び921,922の放射部601,602及び901,902を連続的に通過する。これらの放射部は:
− 一方では、大部分が前記螺旋の内側に位置した制御要素の一方622,922から延長し;及び
− 他方では、大部分が前記螺旋の外側で且つ周囲に位置した制御要素の他方621,921から延長する。
【0071】
例えば、(図12に示すように)相互に平行する複数の挟まれた欠刻のような、本明細書には示されていない他の実施態様も考えることができる。このようにして、同じ導波路が複数のループを描くことができ、ループの1つは、これらのループの各々と又は前記ループの大部分と同じ方向に、これらの欠刻に対して直線的に且つ垂直に欠刻を通過する。
【0072】
図6は同心性の制御要素621,622を備えた変形態様を示しており、ここでは、導波路が入力螺旋の中で巻かれ、そして、ターンして、入力螺旋に挟まれた出力螺旋の中を通って出て行く。明確化の目的で、図8は、図6の制御要素及び電極に限定した表示を提供する。
【0073】
第一の制御要素621(例えば、「P」ドープされたシリコン)は、例えば、この例の場合のように完全に、また後述するように場合により不完全に、窪みを囲む周辺部分6010を備える。
【0074】
第二の制御要素622(例えば、「N」ドープされたシリコン)は、この例では実質的に円形の中心部分6020を備えている。欠刻602を形成する枝部は、この中心部分6020から外側へ、この例では一定幅を有する放射状枝部として延長する。
【0075】
第一要素621の周辺部分6010は、第二制御要素622の中心部分6020を囲んでいる。この周辺部分6010は、内側へ延びている欠刻601を備えており、第二要素622の外側枝部602同士の間の空隙を実質的に相補的にうめる。
【0076】
第一制御要素621の内部欠刻601と第二要素622の外部欠刻602とは、このように、相互に挟まれるか又は相互に「かみ合う」。こうして、内部欠刻601と外部欠刻602との間の各セパレーションは局部的に制御ダイオードを形成する。
【0077】
この例では、これらの欠刻601,602の長さを利用可能なスペースより若干小さくして、これらの欠刻の端部に空隙又は中性の若しくは非ドープの部分を残すことによって、精度の制約を減らして製造を容易にすることができるだけでなく、これらの端部領域における干渉のリスクも制限することができる。
【0078】
図示しない変形態様では、制御要素が、それらの接触の全周囲で中性又は非ドープ領域によって分離されることができ、それによってPIN型制御ダイオードを形成することもできる。
【0079】
第一の制御要素621は、例えば、この制御要素を形成する半導体層上に堆積された金属層としての、第一の電極631と接触している。第一の電極631のこの金属層は、相互にかみ合った欠刻を含む中心部分全体に窪みを備えていると共にその周囲の部分で開口部を備えている。
【0080】
この開口部によって、絶縁中間層上に設けられた金属層は変調領域630の外側から入り第一の制御要素622の中心領域6020まで延長している。絶縁中間層の中断により、この第二の電極632の内側端部は、この中心部分6020によって第二の制御要素622と接触している。
【0081】
このようにして、第一の電極631及び第二の電極632は、変調領域を担持するプレートの外側から容易にアクセス可能であり、そして、電気制御信号がそれらの電極に印加される場合に、両方の制御要素621,622を通して変調を制御することができる。
【0082】
相互にかみ合ったこれらの欠刻601,602の全部又は一部、従ってこのようにして形成されたダイオードの全部又は一部、を通過する曲線経路に導波路を設ける。本明細書に記載の変形態様において、この導波路の経路は、例えば、所定の式に従い螺旋状に、内側へと巻かれた第一の部分610を備えている。中心領域6020において、この経路はターンし、例えば、所定の式に従い螺旋状に、第一の部分の渦巻の間に挟まれながら外側へと巻き戻る第二の部分690が後に続く。
【0083】
このようにして、この巻いてそして巻き戻る渦巻のレイアウトは、制御ダイオードを形成する領域を多くの回数通過する導波路の大きな長さの全体を、コンパクトな単位表面積当りのスペース内に得ることを可能にする。相互に挿置された第一の部分610と第二の部分との渦巻のレイアウトは、とりわけ、レイアウトの全体を半導体の実質的に同一平面層内に保存することを可能とし、このことは製造を単純化することに資する。
【0084】
従って、導波路610に導入された変調されるべき光束611が進む経路は、出力の螺旋経路690上で、一方の制御要素から他方の制御要素への光束の第一の通過領域に対応する少なくとも1つの第一の相互作用領域R1aを通ることが理解されよう。図面には、例えば、図面中の「P」ドープされた第一の制御要素621の内部欠刻601から、図面中の「N」ドープされた第二の制御要素622の外部枝部602までこの経路が通るときの、前記第一の相互作用領域R1aが示されている。
【0085】
同様にして、この経路は、少し先で、一方の制御要素622から他方の制御要素622への光束の第二の通過の領域に対応する第二の相互作用領域R2aを通る。図面には、例えば、図面中の「P」ドープされた第一の制御要素621の内部欠刻601(同じ又は別のもの)から図面中の「N」ドープされた第二の制御要素622の外部枝部602までこの経路が通るときの、前記第二の相互作用領域R2aが示されている。
【0086】
図に示すように、この第二の領域R2aの(R1aに対する)位置は、順に、光束611の経路において更に前に位置する別の相互作用領域R2bに対する第一の相互作用領域R1bと同じように考えることができる。
【0087】
図面から理解することができるように、第一の領域R1aと第二の領域R2aとの間を速度V611で光束611が進む経路は長さL611aを有しており、これは両方の領域R1aとR2aとの間を制御電気信号が速度V609で進む長さL609aより大きい(従って、長さL609aはより小さい)。
【0088】
光束と制御信号とが進む経路の長さの差は、それらのそれぞれの伝播速度V611とV609との間の差を補正又は低減することを可能にし、そしてこのようにしてこの速度差に関連した欠点を制限又は抑制することを可能にする。
【0089】
或る特徴によれば、光束611が進む経路はこのように細長いループを備えており、前記ループは、自らとは交差することなくそれ自体が曲がっており、らせん状に巻かれており、そして、実質的に放射状の相互に挿置された放射部601,602を連続的に通過する。これらの放射部はそれぞれ:
− 一方では、大部分が前記螺旋の内側に位置した制御要素の一方622から延び;そして
− 大部分が前記螺旋の外側で且つ周囲に位置した制御要素の他方621から延びている。
【0090】
図7は、同心性の制御要素621,622を備えた変形態様を示しており、ここで、導波路は中心から発生しそして外側へと螺旋を描く。図8の制御要素及び電極の表示内容は、図7に示した変形態様にも適用することができ、そして図6の変形態様との差だけを本例に記載する。
【0091】
変調されるべき光束711は、例えば、実質的に放射状に、第二の制御要素622の中心部分6020まで第一の部分710内を貫通する導波路を通って来る。この中心部分から、導波路は、制御要素621,622のかみ合った欠刻601,602を連続的に数回通過することによって、例えば、所定の式に従い螺旋状に外側へと展開する第二の部分790を有する。
【0092】
図からわかるように、第一の相互作用領域R1aと第二の相互作用領域R2aとの間を光束711が進む経路は長さL711aを有し、これはこれらの両方の領域R1aとR2aとの間を制御電気信号が進む長さL709aより大きい。光束と制御信号とが進むこの経路の長さの差は、それらのそれぞれの伝播速度の間の差を補正又は低減することを可能にし、そしてこのようにしてこの速度差に関連した欠点を制限又は抑制することを可能にする。
【0093】
導波路のその第一部分710内への螺旋の内側までの貫通は、相互にかみ合った欠刻と交差することなしに、又は出力の螺旋におけるものよりも少なく交差することによってなされる。このまっすぐな貫通は、図6の変形態様において内側へ向かう螺旋の経路によって引き起こされることがあるかもしれない干渉又は妨害を制限することを可能にすることができる。導波路710,790の交差によって、あるいは、これらを同じ層内で相互に異なった深さにするか又はこれらを異なる層において形成することによって、この貫通をなすことができる。
【0094】
図9は、並置された制御要素を備えている変形態様を示すものであり、ここで、導波路が中心を通って来てそして外側へと交互に繰り返される螺旋の部分を描く。この変形態様は、図6、図7及び図8の変形態様に対するその差について記載しようとするのに過ぎない。
【0095】
図7の構造に対して、制御要素は共通の特徴を備えているが完全には互いを囲んでいない。
【0096】
第一の制御要素921は第二の制御要素922を囲んでいるが、それは部分的であって、360°より小さく、180°より大きい、あるいは270°又はそれより大きい扇形部分A900についての部分だけである。この変調扇形部分A900において、両方の制御要素は上記と同じ種類の挟まれた欠刻901,902を備えている。
【0097】
導波路910は第二の制御要素922の中心部分902まで貫通し、それから変調の扇形部分A900上で、外側へ螺旋状に、第一の曲線部分9102を開始する。この扇形部分から外へ出ると、導波路は、ターンしてそこで再び外側へと巻き戻る螺旋の新規部分9103中を新たに通る。それによって、導波路は、図の右側で出力990する前に、変調の扇形部分内で連続して交互に繰り返される複数の螺旋部分9104,9105を進む。
【0098】
この変調の扇形部分A900内において、例えば、同じ欠刻上にある、第一領域R1aと第二領域R2aとの間で、光信号が長さL911aの経路を進むのに対して、制御電気信号はこれより長さの短いL909aの経路を進み、これによって両方の信号間の伝播速度の差を補正又は制限することを可能にする。
【0099】
この相対的配置は、製造が容易でありながらコンパクトで効率的な構造を可能にする。光導波路の種々の部分間での交差を含まず、また全ての制御要素が変調領域の外側からアクセス可能であり、このことは、第一の制御要素921を第二の制御電極932から分離するための絶縁中間層をもはや用いる必要がなくなるので電極931,932の配置を単純化する。
【0100】
好ましくは、用いる螺旋形状は、伝播速度の様々な特徴に応じて決定される。
【0101】
シリコンに基づくオプトエレクトロニクスの場合では、そして、上記のような螺旋では、電波は光波より低い速度で放射状に伝播する。
【0102】
それゆえ、2つの連続する相互作用領域の間を電波と同じ見掛け速度で進むことを可能にする固有の経路に沿って、光波が進むことが好ましい。
【0103】
電波の放射状の伝播に対して、本発明は、次式:
【数1】

[式中:
− 「o(t)」は時間「t」の関数として螺旋の各点の座標を表す複素数であり、
− 「neff」は導波路における有効率であり、そして
− 「neff,com」は制御要素における有効率である]
で表される螺旋の形成経路を提供する。
【0104】
図10及び図11に、挟まれた欠刻601,602の一方の部分での、巻かれた実施態様の制御要素内の電荷密度分布の測定結果を示す。
【0105】
これらの画像は、どのように制御電気信号による電圧変化が制御要素の電場をどのように変化させ、そしてそれによって、導波路610,690,710を構成する領域が通過する半導電性材料621,622の光学的特性との相互作用をどのように制御するかを示している。
【0106】
図12は、欠刻が相互に平行に設けられた変形態様における、制御要素621,622の構造内のこれらの測定の位置決めを示す。
【0107】
もちろん、本発明は述べてきた例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなくこれらの例に対する多くの変更を行うことができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調領域(630,730,930)を含み、制御電気信号に応じて光束を変調する電気光学素子であって、
前記光束(611,711,911)は、導波路(610,710,910)内を伝播し、そして、前記制御電気信号(609)を受ける1対のいわゆる電気制御要素を形成する導電性材料及び/又は半導電性材料の少なくとも1つの第一要素(621)及び少なくとも1つの第二要素(622)の作用に付され、
前記変調領域(630,730,930)において、前記光束(611,711,911)と前記1対の制御要素(621,622)との間の相互作用の少なくとも1つの第一領域(R1a)から少なくとも1つの第二領域(R2a)まで、前記光束(611,711,911)の進む経路の長さ(L611a,L711a,L911a)が前記制御電気信号(609)の進む経路の長さ(L609a,L709a,L909a)とは異なるように、前記導波路(610)を配置し、
ここで、前記長さの差は、前記相互作用の第一領域(R1a)と第二領域(R2a)との間の制御要素(621,622)において、光束の伝播速度(V611)と電気信号の伝播速度(V609)との間の差を低減又は補正するように決定されるものとする、
前記電気光学素子において、
− 前記変調領域において光束の進む経路が、一方の制御要素(622)から他方の制御要素(621)へ少なくとも2回(R1a,R2a)通過するように、前記導波路(610,710,910)を配置すること;及び
− 前記導波路が、変調領域(630,730,930)の少なくとも一部において、それ自体巻かれた形状であって、前記制御要素(621,622)の少なくとも2つから出ている相互に挿置された少なくとも2つの欠刻(601,602,901,902)を連続的に通過する前記形状を備えていること;
を特徴とする、前記電気光学素子。
【請求項2】
互いに向き合っている少なくとも2つの制御要素(621,622)が、相互に挿置された欠刻を含む形状を有していること、そして、導波路(610)が、前記欠刻を連続的に通過し、変調領域(630)の少なくとも一部においてそれ自体巻かれた形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の素子。
【請求項3】
光束(611)の進む経路が実質的に放射状の放射部を連続的に通過する螺旋状に巻かれた部分(790)を備えているように、導波路を配置すること、そして、前記放射部は、相互に挿置され、一方では大部分が前記螺旋の内側に位置した制御要素の一方(622)から、及び、他方では大部分が前記螺旋の外側で且つ周囲に位置した制御要素の他方(621)から延長していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の素子。
【請求項4】
光束(611)の進む経路が実質的に放射状の放射部を連続的に通過する細長く且つ螺旋状に巻かれたループを備えているように、導波路(610,690)を配置すること、そして、前記放射部は、相互に挿置され、一方では大部分が前記螺旋の内側に位置した制御要素の一方(622)から、及び、他方では大部分が前記螺旋の外側で且つ周囲に位置した制御要素の他方(621)から延長していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の素子。
【請求項5】
導波路が、1つ以上の渦巻と交差することによって螺旋の内側に貫通する部分(710)を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の素子。
【請求項6】
交互に繰り返される方向に且つ連続的に同じ扇形部分(A900)を通る、実質的に同心性の螺旋形の一連の曲線部分(9102,9103,9104,9105)を導波路(910)のレイアウトが備えていること、そして、前記導波路が、一方では大部分が前記曲線部分の内部に位置した制御要素の一方(922)から、及び、他方では大部分が前記曲線部分の外側で且つ周囲に位置した制御要素の他方(921)から延長している、相互に挿置された実質的に放射状の放射部(901,902)を連続的に横切ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の素子。
【請求項7】
螺旋が、以下のタイプの式:
【数1】

[式中:
− 「o(t)」は時間「t」の関数として螺旋の各点の座標を表す複素数であり、
− 「neff」は導波路における有効率であり、そして
− 「neff,com」は制御要素における有効率である]
によって定義することができる形状を備えていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の素子。
【請求項8】
導波路の経路を計算して、最も接近して10%まで、又は更には5%まで伝播速度の差を補正することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の素子。
【請求項9】
制御信号を処理することによって伝播速度の差を補正する電気回路又は電子素子のいずれも含んでいないことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の素子を用いる又は含むデバイス。
【請求項10】
末端に印加された電気信号(609)に応じてその屈折率が変化するPN型(621,622)又はPIN型(421,422)ダイオードを形成するようにドープされた、IV型半導体の、少なくとも1対の制御要素を含む活性領域に形成された導波路(610)を、変調領域(630,730,930)が含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の素子。
【請求項11】
変調領域が、半導体の少なくとも1対の制御要素によって囲まれた活性領域内に形成される導波路を含むこと、そして、1対のバンドギャップ半導体を形成するように選択され且つこのように前記制御要素に印加された電気信号に応じて前記活性領域における有効屈折率又は有効吸収率の変化を得るように選択された、III−V型の2種類の異なった半導電性材料から形成される1つ以上の量子井戸を備えた少なくとも1つの構造を前記活性領域が含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の素子。
【請求項12】
変調領域が、制御電気信号に応じて前記変調領域を通過する光束の位相を変化させるように配置されたアーキテクチャを備えていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の素子。
【請求項13】
少なくとも1つの変調領域を干渉計内に挿入して、前記変調領域を通過する光束の位相変調から、前記変調領域を通過する光束の強度変調を得ることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の素子。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の素子を含むデバイス又はシステム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の素子を製造するように選択され、規定され、そして、組み合わせられた工程を含む、オプトエレクトロニクス素子の製造方法。

【公表番号】特表2013−506167(P2013−506167A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531480(P2012−531480)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052056
【国際公開番号】WO2011/039478
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(509026024)ユニヴェルシテ パリ−スュッド オンズ (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS−SUD 11
【出願人】(509025832)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク (6)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】