説明

絶縁体被膜層担持電極を有する気体励起装置、及び気体励起方法

【課題】気体励起効率を向上させ、製造コスト及びランニングコストの低減化を実現することができる気体励起装置及び気体励起方法を提供する。
【解決手段】気体励起装置10Aは、被処理気体の流入用開口部102と処理済み気体の排出用開口部103とを有するハウジング101内に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極16A,16Bを備え、前記の一対の電極が保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せであり、少なくとも1つの保護電極が、芯電極16Xと、その芯電極の表面上に全表面を覆って担持された絶縁体被膜層16Yとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁体被膜層担持電極を有する気体励起装置、及び気体励起方法に関する。本発明によれば、従来の気体励起装置及び気体励起方法における保護電極を、絶縁体被膜層担持電極に置き換えることによって、気体励起効率を向上させ、製造コスト及びランニングコストの低減化を実現することができる。
【背景技術】
【0002】
交流高圧放電条件下に気体を誘導して気体分子を励起し、低温プラズマを発生させる気体励起装置としては種々の装置が知られている(例えば、特許文献1や特許文献2)。こうした従来公知の気体励起装置の代表的な態様を図25に示す。図25は、気体励起装置Pのハウジング1の側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。前記気体励起装置Pは、被処理気体Gの流入用開口部2と処理済み気体Cの排出用開口部3とを備えた大略直方体状のハウジング1を有し、前記ハウジング1の内部には、多数の円筒状保護電極6を備えている。前記の円筒状保護電極6は、図26の模式的断面図に示すとおり、棒状電極6Xと、その棒状電極6Xの周囲を包囲する円筒状鞘体6Yとを含み、前記の円筒状鞘体6Yは、絶縁体材料からなる。更に、前記の円筒状保護電極6は、2系列の電極群6A,6Bに分かれており、それぞれ電線9A,9Bに接続し、電線9A,9Bは交流電源9と接続している。また、一般的には、一方の系列の電極群6Bに接続する電線9Bは、接地(アース)されている。なお、図26に示すとおり、ハウジング1の内部において最も外側に配置され、ハウジング1の内壁と対向する各保護電極6Bは、それぞれ、ハウジング1の内壁との間で放電が発生しないように、アースされる電線9Bに接続するのが好ましい。原理的にはハウジング1それ自体や、前記電極群6Bをアースする必要はないが、安全上の観点からそれらをアースするのが好ましい。
【0003】
図25及び図26は、従来の気体励起装置の代表的な態様における電極配置構造などを示す目的のために、構成を単純化し、例えば、電極群の数も極端に減少して図示している。実際には、気体励起装置内に大量の電極群を配設する必要があるため、例えば、図27に示すように、ある程度の個数の電極群をまとめて含む電極群ブロック体Qの形態とし、それらのブロック体Qの複数個を気体励起装置内に配設する。なお、図27に示す電極群ブロック体Qは、円筒状保護電極6、左側板8A、右側板8B、中央支持板8C、及びリード線9A,9Bを含み、各円筒状保護電極6は、前記左側板8Aと前記右側板8Bとの中間に配置される中央支持板8Cに設けた貫通孔を貫通することによって保持されていると共に、前記左側板8Aの内側及び前記右側板8Bの内側の各表面にそれぞれ設けた非貫通孔内部に端部を装入されることによって保持されている。
【0004】
前記の気体励起装置によって発生する低温非平衡プラズマを利用する脱臭装置や空気浄化装置も知られている。例えば、低温プラズマを発生する高圧放電部と、その下流に配置され、酸化促進触媒が充填されている触媒部とを有する低温プラズマ脱臭装置が知られており(特許文献3)、前記高圧放電部では、被処理気体に対して高圧放電により解離エネルギーを与えることによりラジカルを発生させる。すなわち、放電により気体中に放出された電子が、臭気ガス中の気体分子に射突し、分子を活性化させる。その活性分子の一部は解離してラジカルとなり、臭気ガス中の悪臭物質を酸化分解したり、あるいは、オゾンを生成させるものと考えられる。ラジカルにより生成された前記オゾンも、悪臭物質を酸化させ、悪臭物質の処理に貢献するものと考えられる。また、放電そのものの有するエネルギーによっても、悪臭物質の酸化分解が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−199261号公報
【特許文献2】米国特許第5,483,117号明細書
【特許文献3】特開2001−293079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図25及び図26に示すタイプの従来の気体励起装置Pにおいて用いられている円筒状保護電極6は、前記の通り、棒状電極6Xと、その周囲を包囲する円筒状鞘体6Yとを含み、通常、前記棒状電極6Xとしては金属電極棒が用いられ、前記円筒状鞘体6Yとしてはガラス管が用いられていた。このような円筒状保護電極6は、ガラス製鞘体6Yに金属電極棒6Xを挿入して製造するので、ガラス製鞘体6Yと金属電極棒6Xとの間に空隙が存在しており、前記円筒状鞘体6Yは、空隙を隔てて前記棒状電極6Xの周囲を包囲している。従って、従来の保護電極では、その内部で放電が発生して金属電極が激しく劣化するという欠点があった。また、部品数が多く、製造及び組み立てに手間がかかり、コスト高の要因となっていた。更に、従来の保護電極は、内部に空隙を有するガラス管が露出しているため、電極群ブロック体Qの組み立て時などに割れないように注意する必要があった。
また、気体励起装置においては、気体励起効率の向上という要求が常に存在する。
従って、本発明の課題は、気体励起効率の向上という課題を達成すると同時に、前記保護電極の各種欠点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明により、被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有するハウジング内に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備え、前記の一対の電極が保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せである気体励起装置であって、少なくとも1つの保護電極が、芯電極と、その芯電極の表面上に全表面を覆って担持された絶縁体被膜層とからなることを特徴とする、前記の気体励起装置によって解決することができる。
本発明装置の好ましい態様によれば、前記絶縁体被膜層が、ホウロウ被膜層、セラミック被膜層、ガラス被膜層、又は樹脂被膜層である気体励起装置である。
本発明装置の他の好ましい態様によれば、複数の保護電極から構成される第1電極群と、複数の保護電極又は露出電極から構成される第2電極群とを備え、前記第1電極群に属する保護電極及び/又は前記第2電極群に属する保護電極の少なくとも1つの電極が前記絶縁体被膜層を担持する保護電極である気体励起装置である。
本発明装置の更に他の好ましい態様によれば、前記保護電極の全てが、前記絶縁体被膜層を担持する保護電極である気体励起装置である。
本発明装置の他の好ましい態様によれば、前記絶縁体被膜層を担持する保護電極の芯電極が、円柱状、円筒状、又は板状である気体励起装置である。
本発明装置の更に他の好ましい態様によれば、前記内部板状電極が、平板状電極、凹凸板状電極、又は多孔板状電極である気体励起装置である。
また、本発明は、被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有すると共に、少なくとも一対の電極を備え、前記の一対の電極が保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せであるハウジング内に被処理気体を通過させ、前記一対の電極間に交流電位を印加することにより、被処理気体を励起する方法であって、
少なくとも1つの保護電極が、芯電極と、その芯電極の表面上に全表面を覆って担持された絶縁体被膜層とからなることを特徴とする、気体の励起方法にも関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、保護電極が
(a)芯電極と
(b)絶縁体被膜層と
からなり、その芯電極(a)の表面上に絶縁体被膜層(b)が直接形成されているので、従来の保護電極とは異なり、絶縁体被膜層(b)が金属電極棒(a)と密着してそれらの間に空隙が存在しない。従って、内部放電で発生するオゾンによる金属電極の劣化が発生せず、保護電極の寿命が長くなる。また、内部放電でオゾンが発生しないので、気体励起効率も向上する。更に、芯電極(a)と絶縁体被膜層(b)との間に空隙がなくなるので、保護電極自体の大きさを従来よりも細くすることができ、従って、気体励起装置や電極群ブロック体(図27参照)の省スペース化が可能になる。
また、絶縁体被膜層(b)は、例えば、ガラス質ウワグスリを金属電極表面上で焼き付けて、ホウロウ被膜層を形成したり、金属化合物溶融体を電極表面に溶射又はディッピングすることによって、セラミック被膜層を形成したり、溶融ガラスを電極表面に溶射又はディッピングすることによってガラス被膜層を形成したり、あるいは、合成樹脂から種々の公知の成形方法によって、電極表面上に樹脂被膜層を形成することができ、更には前もって成形した、セラミック被膜、ガラス被膜(例えば、ガラス板)、又は樹脂被膜を電極表面上に接着剤を用いて貼着して、絶縁体被覆層を形成することができるので、製造の煩雑性が解消されると共に、強度も向上するので、割れにくくなり、気体励起装置や電極群ブロック体の組み立て作業も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明装置は、従来の装置と同様に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備えており、その一対の電極が
(1)保護電極と保護電極との組合せ、又は
(2)保護電極と露出電極との組合せ
である。以下、本明細書では、前記の組合せ(1)の態様を、保護・保護電極型装置と称し、前記の組合せ(2)の態様を、保護・露出電極型装置と称する。
【0010】
図1(a)は、従来の保護・保護電極型装置P1の電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図1(b)は、本発明の一態様である保護・保護電極型装置10Aの電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
図1(a)に示す従来型装置P1は、被処理気体Gの流入用開口部2と処理済み気体Cの排出用開口部3とを備えたハウジング1を有し、前記ハウジング1の内部には、一対の円筒状保護電極6A,6Bを備えている。前記の円筒状保護電極6A,6Bは、それぞれ内部棒状電極6Xと円筒状鞘体6Yとを含む。その円筒状鞘体6Yは、通常、ガラス管であり、空隙部6Zを隔てて内部棒状電極6Xの周囲を包囲している。前記円筒状保護電極6Aは電線9Aに接続し、前記円筒状保護電極6Bは電線9Bに接続し、電線9A,9Bはそれぞれ交流電源9と接続している。また、電線及びハウジングは、いずれもアースされている必要はないが、それらの一方又は両方がアースされていてもよく、図1(a)に示す態様では、ハウジング1及び電線9Bが共にアースされている。
【0011】
従来型装置P1で用いられている円筒状保護電極6A,6Bにおいて、前記の内部棒状電極6Xは、導電性材料(例えば、アルミニウム若しくはその合金、銅、炭素質材料、鉄若しくはその合金、あるいはタングステン)から構成される。また、前記の内部棒状電極16Xの形状は、一般的には、棒状体(例えば、円筒状体若しくは円柱状体)、あるいは、導線それ自体若しくは導線を撚って製造した撚り線型電極である。前記の円筒状鞘体6Yは、絶縁体材料(通常は、前記の通りガラス)からなり、ガラス管鞘体6Yと内部棒状電極6Xとの空隙部6Zには、空気又は適当な保護ガスが充填されているか、あるいは液体(例えば、油又は水)が充填されている。
【0012】
これに対して、図1(b)に示す本発明の保護・保護電極型装置10Aは、被処理気体Gの流入用開口部102と処理済み気体Cの排出用開口部103とを備えたハウジング101を有し、前記ハウジング101の内部には、一対の円柱状保護電極106A,106Bを備えている。前記の円柱状保護電極106A,106Bは、それぞれ内部棒状電極106Xと、絶縁体被膜層106Yとを含む。その絶縁体被膜層106Yは、内部棒状電極106Xの表面上に全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部棒状電極106Xと絶縁体被膜層106Yとの間には、空隙部は存在しない。また、被処理気体は、絶縁体被膜層106Yと接触し、内部棒状電極106Xとは接触しない。前記円柱状保護電極106Aは電線109Aに接続し、前記円柱状保護電極106Bは電線109Bに接続し、電線109A,109Bはそれぞれ交流電源109と接続している。また、電線及びハウジングは、いずれもアースされている必要はないが、それらの一方又は両方がアースされていてもよく、図1(b)に示す態様では、ハウジング101及び電線109Bが共にアースされている。
【0013】
また、本発明の保護・保護電極型装置においては、一対の保護電極の組合せが、図1(b)に示すとおり、絶縁体被膜層を密着状態で担持する一対の円柱状保護電極の組合せであることもできるが、一方が図1(b)に示すように、絶縁体被覆層を密着状態で担持する円柱状保護電極であり、もう一方が図1(a)に示すように、内部に空隙を有する円筒状保護電極であることもできる。
【0014】
次に、図2(a)は、従来の保護・露出電極型装置P2の電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図2(b)は、本発明の一態様である保護・露出電極型装置10Bの電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
図2(a)に示す従来型装置P2は、被処理気体Gの流入用開口部2と処理済み気体Cの排出用開口部3とを備えたハウジング1を有し、前記ハウジング1の内部には、円筒状保護電極6Aと円筒状露出電極7とを備えている。前記の円筒状保護電極6Aは、前記図1(a)に示す従来型装置P1の円筒状保護電極6Aと同様に、内部棒状電極6Xと円筒状鞘体6Yとを含む。その円筒状鞘体6Yは、通常、ガラス管であり、空隙部6Zを隔てて内部棒状電極6Xの周囲を包囲している。前記円筒状保護電極6Aは電線9Aに接続し、前記円筒状露出電極7は電線9Bに接続し、電線9A,9Bはそれぞれ交流電源9と接続している。また、電線及びハウジングは、いずれもアースされている必要はないが、それらの一方又は両方がアースされていてもよく、図2(a)に示す態様では、ハウジング1及び電線9Bが共にアースされている。なお、前記の露出電極は、円柱状であることもできる。
【0015】
前記の円筒状露出電極(又は円柱状露出電極)は、前記の円筒状保護電極における円筒状鞘体を取り払い、内部棒状電極をそのまま露出した形態に相当する。すなわち、前記の円筒状露出電極(又は円柱状露出電極)は、任意の導電性材料から構成することができ、例えば、アルミニウム若しくはその合金、銅、炭素質材料、鉄若しくはその合金、あるいはタングステンを挙げることができる。また、前記の円筒状露出電極(又は円柱状露出電極)は、電極表面が被処理気体と直接に接触するので、耐蝕性を有し、清浄操作や取替え操作などのメンテナンスが容易な金属、例えば、ステンレススチール(例えば、SUS)を用いるのが好ましい。更に、前記の円筒状露出電極(又は円柱状露出電極)の形状も特に限定されるものではないが、棒状体(例えば、筒状体若しくは柱状体、特には、円筒状体若しくは円柱状体)、あるいは、導線それ自体若しくは導線を撚って製造した撚り線型電極であることもできる。
【0016】
これに対して、図2(b)に示す本発明の保護・露出電極型装置10Bは、被処理気体Gの流入用開口部102と処理済み気体Cの排出用開口部103とを備えたハウジング101を有し、円柱状保護電極106Aと円筒状露出電極107Bとを備えている。前記の円柱状保護電極106Aは、内部棒状電極106Xと、絶縁体被膜層106Yとを含む。その絶縁体被膜層106Yは、内部棒状電極106Xの表面上に全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部棒状電極106Xと絶縁体被膜層106Yとの間には、空隙部は存在しない。また、被処理気体は、絶縁体被膜層106Yと接触し、内部棒状電極106Xとは接触しない。一方、前記円筒状露出電極107Bは、前記図2(a)に示す従来型装置P2の円筒状露出電極7と同様に、円柱状であることもでき、その円筒状又は円柱状露出電極は、前記の円筒状保護電極における円筒状鞘体を取り払い、内部棒状電極をそのまま露出した形態に相当する。前記円柱状保護電極106Aは電線109Aに接続し、前記円筒状露出電極107Bは電線109Bに接続し、電線109A,109Bはそれぞれ交流電源109と接続している。また、電線及びハウジングは、いずれもアースされている必要はないが、それらの一方又は両方がアースされていてもよく、図2(b)に示す態様では、ハウジング101及び電線109Bが共にアースされている。
【0017】
図1(b)及び図2(b)に示す本発明による気体処理装置の流入用開口部102から被処理気体Gを流入すると、被処理気体Gは、円柱状保護電極と円柱状保護電極との間〔図1(b)〕、又は円柱状保護電極と円筒状露出電極との間〔図2(b)〕を通過して、最終的に排出用開口部103から排出される。また、その間に、一対の円柱状保護電極106A,106Bの間〔図1(b)〕、あるいは円柱状保護電極106Aと円筒状露出電極107との間に電圧を印加すると、それらの電極間で放電が起こり、気体分子が励起状態となってラジカルが発生する。これらのラジカルにより、被処理気体中の悪臭物質が酸化分解されたり、あるいは、オゾンを生成させるので、被処理気体は酸化処理される。また、こうして発生したラジカル及びオゾンと共に被処理気体を排出用開口部から排出し、酸化促進触媒が充填されている触媒部(図示せず)に送付して、ラジカル及びオゾンと被処理気体との反応を更に進行させ、気体の処理を続行することができる。
【0018】
図1(b)及び図2(b)は、説明の便宜のために、本発明の気体処理装置の電極構成を模式的に示すものであり、2つの電極のみ(一対の電極のみ)を図示してあるが、本発明の気体処理装置の実際の実施態様では、複数の電極から構成される第1電極群と、複数の電極から構成される第2電極群とが配置され、それらの間に電圧を印加して気体を処理することができる。なお、本発明においては、それらの電極群の内、前記第1電極群に属する保護電極及び/又は前記第2電極群に属する保護電極の少なくとも1つの電極が前記絶縁体被膜層を担持する保護電極であればよいが、前記保護電極の全てが、前記絶縁体被膜層を担持する保護電極であることが好ましい。
【0019】
芯電極の表面上に担持される絶縁体被膜層は、例えば、ホウロウ被膜層、セラミック被膜層、ガラス被膜層、又は樹脂被膜層である。ホウロウ皮膜層は、公知の方法により、金属芯電極の表面にガラス質ウワグスリを焼き付けて形成することができる。ホウロウ皮膜層を形成することのできる金属材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、鋼、又は銅などを挙げることができる。
【0020】
セラミック被膜層は、公知の方法により、芯電極(例えば、金属又は炭素質芯電極)の表面に溶融した金属化合物を溶射して冷却するか、又は芯電極(例えば、金属又は炭素質芯電極)を溶融金属化合物にディッピングして冷却することによって形成することができる。前記セラミック被膜層に用いる材料は、絶縁性を有する金属化合物であれば特に限定されないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、及び/又はシリコンカーバイトであることができる。
【0021】
ガラス被覆層は、芯電極(例えば、金属又は炭素質芯電極)の表面に溶融したガラスを溶射して冷却するか、又は芯電極(例えば、金属又は炭素質芯電極)を溶融ガラスにディッピングして冷却することによって形成することができる。前記ガラス被膜層に用いる材料は、特に限定されないが、例えば、ホウケイ酸ガラスであることができる。
【0022】
また、樹脂被膜層も公知の方法により、芯電極(例えば、金属又は炭素質芯電極)の表面に形成することができ、例えば、溶融した合成樹脂を芯電極の表面に塗布、溶射、押出成形、射出成形、ディッピング、静電塗装、又は流動浸漬することによって形成することができる。
前記樹脂被膜層に用いる材料は、絶縁性を有する合成樹脂であれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂(例えば、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂)、又は熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、フッ素樹脂、又は飽和ポリエステル)であることができ、これらを1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0023】
芯電極の表面上に担持される絶縁体被膜層の層厚は、電極間で放電を起こし、気体分子を励起状態としてラジカルを発生させることができる限り特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜5mm、好ましくは、0.2〜1mmである。気体を励起する目的で印加する実用的な電圧の範囲においては、前記絶縁体被膜層の層厚が0.1mmよりも薄くなると、前記絶縁体被膜層の絶縁破壊が発生しやすくなり、前記層厚が5mmよりも厚くなると、気体励起装置内で無声放電させることが困難になる。
【0024】
ところで、図25及び図26に示すタイプの従来の気体励起装置は、前記の通り、一般に多数の円筒状電極をハウジング1内に設けて製造される。これらの各円筒状電極を1本ずつハウジングに固定する作業は極めて煩雑であり、製造コストを上昇させる原因となっていた。また、前記図27に示すように、ある程度の個数の円筒状電極をブロック化して含む電極群ブロック体の形状でハウジングに設置する方法も利用されているが、その電極群ブロック体を製造する作業自体は、各円筒状電極を1本ずつ側板などに固定する作業であり、コスト減の効果も限られている。これらの欠点は、内部棒状電極と絶縁体被膜層とからなる保護電極を用いる本発明の気体励起装置においても、同様である。
【0025】
また、図25及び図26に示すタイプの気体励起装置で円筒状電極が故障(例えば、損傷)した場合、その故障電極を交換しないで気体励起装置の運転を継続すると、その周囲の正常な電極までも損傷させることになるので、故障電極の交換は、気体励起装置のメンテナンス上で重要な作業である。しかしながら、多数の円筒状電極の中から、1本ないし少数の故障電極を交換する作業は非常に煩雑な作業であり、メンテナンスコストを上昇させる原因となっていた。この欠点も、内部棒状電極と絶縁体被膜層とからなる保護電極を用いる本発明の気体励起装置によって、本質的に改善されることはない。
【0026】
更に、図25及び図26に示すタイプの気体励起装置を、汚染空気などの処理に使用して各円筒状電極の表面が汚れた場合、汚れたままで気体励起装置の運転を続けると気体の励起能力が著しく低下するので、定期的な洗浄が必要になる。しかしながら、多数の円筒状電極を配設した前記の気体励起装置の洗浄工程も非常に煩雑な作業であり、メンテナンスコストを上昇させる原因となっていた。この欠点も、前記保護電極を用いる本発明の気体励起装置によって、本質的に改善されることはない。
【0027】
前記の種々の欠点は、複数の円筒状又は円柱状電極から構成される第1電極群と複数の円筒状又は円柱状電極から構成される第2電極群とを備える気体励起装置において、前記第1電極群に属する複数の円筒状又は円柱状電極あるいは第2電極群に属する複数の円筒状又は円柱状電極を、1つの板状電極に置き換えることによって解決することができる。従って、本発明は、それぞれ、複数の円筒状又は円柱状電極から構成される第1電極群及び第2電極群を備える気体励起装置において、前記第1電極群及び/又は第2電極群に属する複数の円筒状又は円柱状電極を、1つの板状電極に置き換えた態様に対しても、有効に適用することができる。
【0028】
以下、板状電極を含む本発明の気体励起装置の種々の態様について説明する。
図3は、複数の円筒状又は円柱状電極を1つの板状電極に置き換えた構成を有する本発明装置10のハウジング11の側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図であり、図4は、その模式的断面図である。図3及び図4(本発明)と、図25及び図26(従来技術)とを比較すると明らかなように、本発明装置10においては、従来型装置P(図25及び図26)の第1電極群6Lの各列の複数の円筒状保護電極群が、それぞれ1つの板状保護電極14Bに置き換わった構造を有している。すなわち、ハウジング11の内壁に対向して接している位置(電極群の一方の端部)には、第1の板状保護電極14Bが、被処理気体Gの流れ方向に対して平行方向に配置される(従って、ハウジング11の内壁に対して平行方向に配置される)。続いて、円筒状保護電極16Aが列状に1グループを構成した第2電極群の第1列が、前記の第1板状保護電極14Bと平行方向に配置され、以下、同様に、第2以下の板状保護電極14Bと第2列以下の円筒状保護電極群が交互に平行に配置され、ハウジング11のもう一方の内壁に対向して接している位置(電極群のもう一方の端部)には、板状保護電極14Bが配置される。
【0029】
前記の板状保護電極14Bは、内部板状電極14Xと、絶縁体被膜層14Yとからなる。その絶縁体被膜層14Yは、内部板状電極14Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部板状電極14Xと絶縁体被膜層14Yとの間には、空隙部は存在しない。また、被処理気体は、絶縁体被膜層14Yと接触し、内部板状電極14Xとは接触しない。
【0030】
各々の円筒状保護電極16Aは、それぞれ電線19Aに接続し、各々の板状保護電極14Bは、それぞれ電線19Bに接続し、そして電線19A,19Bは交流電源19と接続しており、円筒状保護電極16Aと板状保護電極14Bとの間に高電圧が印加される。また、電線及びハウジングは、いずれもアースされている必要はないが、それらの一方又は両方がアースされていてもよく、図3及び図4に示す態様では、ハウジング11及び電線19Bが共にアースされている。
【0031】
なお、板状保護電極14Bは、図3に示すように、被処理気体Gの流れ方向に沿って、ハウジング11における流入用開口部12の端部付近から排出用開口部13の端部付近に至るまで連続する1枚の板状保護電極で構成することができる。あるいは、前記の連続する1枚の板状保護電極を被処理気体Gの流れ方向に沿って、複数枚に分割した形態、すなわち、2枚以上の複数個の板状保護電極を、被処理気体Gの流れ方向に沿って列状に並べて構成することもできる。この場合、個々の板状保護電極のそれぞれは、従来の複数個の円筒状保護電極に相当する機能を有するものである。
【0032】
図25及び図26に示す従来型装置Pにおいては、電極群6Lの列状グループが、それぞれ多数の円筒状保護電極6Bを含んで構成されていたので、製造コストやメンテナンスコストが高くなる原因となっていた。これに対して、図3及び図4に示す本発明装置10では、多数の円筒状保護電極に代えて、1つの板状保護電極14Bの形態で含むので、製造コスト及びメンテナンスコストが大幅に低減される。
【0033】
なお、図3及び図4に示すように、円筒状保護電極16Aとしては、ガラス製鞘体16Yと金属電極棒16Xとからなり、内部空隙16Zを有する従来型保護電極を使用することもできるが、それらの円筒状保護電極16Aの全て又はそれらの一部に代えて、図1(b)及び図2(b)に示す円柱状保護電極、すなわち、内部棒状電極6Xと、その内部棒状電極6Xの周囲を、前記内部棒状電極6Xに密着して包囲する絶縁体被膜層6Yとからなる円柱状保護電極を使用することもできる。
【0034】
図5は、円筒状又は円柱状電極の全てを板状電極に置き換えた構成を有する本発明装置20のハウジング21の側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図であり、図6は、その模式的断面図である。図5及び図6(本発明)と、図25及び図26(従来技術)とを比較すると明らかなように、本発明装置20においては、従来型装置P(図25及び図26)の第1電極群6Lの各列の複数の円筒状保護電極群が、それぞれ1つの板状保護電極24Bに置き換わると共に、従来型装置P(図25及び図26)の第2電極群6Hの各列の複数の円筒状保護電極群も、それぞれ1つの板状保護電極24Aに置き換わった構造を有している。すなわち、この態様では、全電極群を板状保護電極としているので、製造コスト及びメンテナンスコストが更に大幅に低減される。
【0035】
ここで、前記の板状保護電極24A,24Bは、それぞれ、内部板状電極24Xと、絶縁体被膜層24Yとからなり、絶縁体被膜層24Yは、内部板状電極24Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部板状電極24Xと絶縁体被膜層24Yとの間に、空隙部は存在しない。また、被処理気体は、絶縁体被膜層24Yと接触し、内部板状電極24Xとは接触しない。なお、板状保護電極24A,24Bは、図5に示すように、被処理気体Gの流れ方向に沿って、ハウジング21における流入用開口部22の端部付近から排出用開口部23の端部付近に至るまで連続する1枚の板状保護電極で構成することができる。あるいは、2枚以上の複数個の板状保護電極で構成することもできる。
【0036】
前記の内部板状電極の形状は、安定な放電が可能な板状である限り、特に限定されない。具体的には、例えば、平滑表面を有する平滑板状電極、表面に凹凸構造物を有する凹凸板状電極、又は貫通孔を有する貫通孔板状電極であることができる。平滑板状電極としては、例えば、図7に示すように、平滑な平面310aを有する平板状電極310、あるいは図8に示すように、曲面320aを有する平板状電極320を挙げることができる。なお、平滑曲面としては、図8に示すような平滑な凸状曲面だけではなく、平滑な凹状曲面も含まれる。
【0037】
また、表面に凹凸構造物を有する凹凸板状電極としては、例えば、図9に示すように、平面330a上に多数の円錐状突起331をドット状に分散させて配置した凹凸板状電極330を挙げることができる。前記の突起の形状は、円錐状に限定されず、半球状や立方体状であることもできる。また、図10に示すように、平面340a上に多数の立方体状凹部341をドット状に有する凹凸板状電極340を挙げることができる。前記の凹部の形状は、立方体状に限定されず、円錐状や半球状であることもできる。
【0038】
更に、前記凹凸板状電極として、例えば、図11に示すように、平行に設けた多数の帯状溝350aと帯状突起350bとを有する凹凸板状電極350を挙げることができる。前記の帯状溝及び帯状突起は、直線上のみでなく、平行に設けた多数の曲線状であることもできる。また、前記凹凸板状電極としては、例えば、図12に示すように、断面が略半円状の帯状溝360aと断面が略半円状の帯状突起360bとによって、表面に波形を形成する凹凸板状電極360を挙げることができる。
【0039】
前記の内部板状電極は、一方の表面が平滑板状であり、もう一方の表面が凹凸板状であることもできる。あるいは、前記の内部板状電極は、両面が平滑板状又は凹凸板状であることもできる。この場合、各面の平滑板状の形状及び凹凸板状の形状は、それぞれ、同じであっても異なっていてもよい。
【0040】
貫通孔板状電極としては、例えば、図13に示すように、導電性材料製の板に多数の孔部370aを打ち抜いて形成した多孔板状電極370を挙げることができる。また、後述するように、貫通孔板状電極は、例えば、細い導電性材料繊維から構成される網状電極であることもできる。
【0041】
前記の各種の内部板状電極の表面上に担持される絶縁体被膜層(例えば、ホウロウ被膜層、セラミック被膜層、ガラス被膜層、又は樹脂被膜層)も、前記の円柱状芯電極の表面上に担持される絶縁体被膜層と同様に、公知の方法により、前記の各種の内部板状電極の表面上に形成することができる。
【0042】
なお、内部板状電極の表面上に担持される絶縁体被膜層(例えば、セラミック被膜層、ガラス被膜層(例えば、ガラス板)、又は樹脂被膜層(例えば、樹脂フィルム)の形成方法は、前記の円柱状芯電極の表面上に担持される絶縁体被膜層と同様の公知の方法以外にも、予めセラミック被膜板、ガラス被膜板、又は樹脂被膜板を形成した後に、前記内部板状電極の表面上に接着剤を用いて接着して絶縁体被膜層を担持させることもできる。
【0043】
交流電源と接続する一対の電極の組合せとして、両方の電極が、図5及び図6に示すように、内部板状電極24Xと、その表面上に全表面を覆って密着して担持された絶縁体被膜層24Yとからなり、それらの間に空隙部が存在しない板状保護電極(密着型板状保護電極)である組合せが好ましい。しかしながら、前記の一対の電極として、一方の電極が、前記の密着型板状保護電極であり、もう一方の電極が、絶縁性鞘体(特には、ガラス板又は合成樹脂板からなる筐体)の内部に板状電極を収納し、外部絶縁性鞘体と内部板状電極との間に空隙部を有する形態の板状保護電極(空隙型板状保護電極)である組合せであることもできる。
【0044】
前記の一対の電極が、一方が板状保護電極であり、もう一方が円柱状保護電極(すなわち、内部棒状電極6Xと、その内部棒状電極6Xの周囲を、前記内部棒状電極6Xに密着して包囲する絶縁体被膜層6Yとからなる円柱状保護電極)である組合せの場合には、前記の板状保護電極として、前記の密着型板状保護電極又は前記の空隙型板状保護電極を用いることができる。
【0045】
なお、前記の空隙型板状保護電極の内部板状電極の形状も、安定な放電が可能な板状である限り、特に限定されず、例えば、図7〜図13に示すように、平滑表面を有する平滑板状電極、表面に凹凸構造物を有する凹凸板状電極、又は貫通孔を有する貫通孔板状電極であることができる。しかしながら、表面に凹凸構造物を有する凹凸板状電極の場合には、外部絶縁性鞘体と内部板状電極との間の空隙部において内部放電が発生して、内部電極の寿命が短くなったり、気体励起効率が低下することがあるので、平滑板状電極を用いることが好ましい。
【0046】
内部板状電極の表面上に担持される絶縁体被膜層の層厚は、電極間で放電を起こし、気体分子を励起状態としてラジカルを発生させることができる限り特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜5mm、好ましくは、0.2〜1mmである。
気体を励起する目的で印加する実用的な電圧の範囲においては、前記絶縁体被膜層の層厚が0.1mmよりも薄い場合には、前記絶縁体被膜層の絶縁破壊が発生しやすくなり、前記層厚が5mmよりも厚い場合には、気体励起装置内で無声放電させることが困難になる。
【0047】
図3〜図6に沿って説明した板状電極を含有する本発明の気体励起装置は、前記の通り、第1電極群及び/又は第2電極群に属する複数の円筒状又は円柱状電極を1つの板状電極に置き換えた態様であると同時に、前記の第1電極群及び第2電極群が、
(1)保護電極と保護電極との組合せ、又は
(2)保護電極と露出電極との組合せ
である。従って、本発明の気体励起装置においては、板状電極が保護電極である態様と、板状電極が露出電極である態様とが含まれる。これらの種々の組合せに関して、電極の基本的構成を示す模式的断面図を参照しながら、以下に説明する。
【0048】
まず、図14は、前記の図3及び図4に示す態様における電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図14に示す本発明の保護・保護電極型装置10は、被処理気体Gの流入用開口部12と処理済み気体Cの排出用開口部13とを備えたハウジング11を有し、前記ハウジング11の内部には、円筒状保護電極16Aと、板状保護電極14Bとを備えている。一方の保護電極である板状保護電極14Bは、内部板状電極14Xと、絶縁体被膜層14Yとからなり、絶縁体被膜層14Yは、内部板状電極14Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。内部板状電極14Xと絶縁体被膜層14Yとの間には、空隙部は存在しない。もう一方の保護電極である円筒状保護電極16Aは、内部棒状電極16Xと円筒状鞘体16Yとの間に空隙部16Zを有している。円筒状保護電極16Aは電線19Aと接続し、板状保護電極14Bは電線19Bに接続し、電線19A,19Bは交流電源19と接続している。また、電線及びハウジングは、共にアースされていても、されていなくてもよい。
【0049】
ところで、図14に示す態様のように、前記ハウジング11と対向して接する位置に円筒状保護電極16A及び板状保護電極14Bを配置すると、前記両電極16A,14B間において発生する目的とする放電の他に、ハウジング11と電極16A,14Bのどちらか一方又は両方との間でも放電が発生するおそれがある。ハウジング11との間の放電が発生すると、ハウジング11を構成する材料によっては、放電によって劣化が起きる。ハウジング11は、本来、電極を固定したり、気体励起装置において他の電極群ブロック体Q(図27)を保持する機能を有しており、前記のような劣化は、望ましくない。従って、安全上においても、ハウジング11と前記両電極16A,14Bとの放電を防止することが望ましい。
【0050】
ハウジング11とハウジング内壁に対向して接している位置に配置する電極群(外側電極)とをアース(接地)する目的は、前記ハウジング11と、円筒状保護電極16A又は板状保護電極14Bとの間で発生する放電を防止するためである。前記の放電を防止する別の手段としては、例えば、放電が発生しない程度にハウジング内壁と外側電極との間隔を設ける方法、又は外側電極とハウジング内壁との間で放電が生じない程度に、電極に印加する電圧を調節する方法等がある。
【0051】
次に、図15は、前記の図5及び図6に示す態様における電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図15に示す本発明の保護・保護電極型装置20は、被処理気体Gの流入用開口部22と処理済み気体Cの排出用開口部23とを備えたハウジング21を有し、前記ハウジング21の内部には、板状保護電極24A,24Bを備えている。前記の板状保護電極24A及び24Bは、内部板状電極24Xと、絶縁体被膜層24Yとからなり、絶縁体被膜層24Yは、内部板状電極24Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。内部板状電極24Xと絶縁体被膜層24Yとの間には、空隙部は存在しない。板状保護電極24Aは電線29Aと接続し、板状保護電極24Bは電線29Bに接続し、そして電線29A,29Bは交流電源29と接続しており、板状保護電極24Aと板状保護電極24Bとの間に高電圧が印加される。また、電線及びハウジングは、共にアースされていても、されていなくてもよい。図15に示す本発明装置20において、ハウジング21と板状保護電極24A,24Bとの放電は、前記と同じ方法で防止することができる。
【0052】
図15に示す態様において、前記板状保護電極24A又は前記板状保護電極24Bの一方が密着型板状保護電極であり、もう一方が空隙型板状保護電極であることができる。また、前記板状保護電極24A又は前記板状保護電極24Bが、複数の板状保護電極からなる場合には、それらの一部を空隙型板状保護電極とすることができる。
【0053】
図16は、本発明の更に別の態様の保護・保護電極型装置における電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図16に示す本発明の保護・保護電極型装置30は、被処理気体Gの流入用開口部32と処理済み気体Cの排出用開口部33とを備えたハウジング31を有し、前記ハウジング31の内部には、円柱状保護電極36Aと板状保護電極34Bを備えている。円柱状保護電極36Aは、内部棒状電極36Xと、絶縁体被膜層36Yとを含む。その絶縁体被膜層36Yは、内部棒状電極36Xの表面上に全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部棒状電極36Xと絶縁体被膜層36Yとの間には、空隙部は存在しない。
【0054】
また、前記の板状保護電極34Bは、内部板状電極34Xと、絶縁体被膜層34Yとからなり、絶縁体被膜層34Yは、内部板状電極34Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。内部板状電極34Xと絶縁体被膜層34Yとの間には、空隙部は存在しない。円柱状保護電極36Aは電線39Aと接続し、板状保護電極34Bは電線39Bに接続し、そして電線39A,39Bは交流電源39と接続しており、円柱状保護電極36Aと板状保護電極34Bとの間に高電圧が印加される。また、電線及びハウジングは、共にアースされていても、されていなくてもよい。図15に示す本発明装置30において、ハウジング31と円柱状保護電極36A又は板状保護電極34Bとの放電は、前記と同じ方法で防止することができる。
【0055】
図16に示す態様において、前記板状保護電極34Bが密着型板状保護電極又は空隙型板状保護電極であることができる。また、前記板状保護電極34Bが、複数の板状保護電極からなる場合には、それらの一部を空隙型板状保護電極とすることもできる。
【0056】
図17は、本発明の保護・露出電極型装置の一態様における電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図17に示す本発明の保護・露出電極型装置40は、被処理気体Gの流入用開口部42と処理済み気体Cの排出用開口部43とを備えたハウジング41を有し、前記ハウジング41の内部には、円柱状保護電極46Aと、板状露出電極45Bとを備えている。前記の円柱状保護電極46Aは、内部棒状電極46Xと絶縁体被膜層46Yとを含む。その絶縁体被膜層46Yは、内部棒状電極46Xの表面上に全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部棒状電極46Xと絶縁体被膜層46Yとの間には、空隙部は存在しない。
【0057】
一方、板状露出電極45Bは、板状保護電極において、絶縁体被膜層を取り除き、内部板状電極を露出させた状態に相当し、安定な放電が可能な板状である限り、特に限定されない。具体的には、平滑表面を有する平滑板状電極、表面に凹凸構造物を有する凹凸板状電極、又は貫通孔を有する貫通孔板状電極であることができる。
板状露出電極は、任意の導電性材料から構成することができ、例えば、アルミニウム若しくはその合金、銅、炭素質材料、鉄若しくはその合金、あるいはタングステンを挙げることができる。なお、前記の露出電極は、被処理気体と直接に接触するので、耐蝕性を有し、清浄操作や取替え操作などのメンテナンスが容易な金属、例えば、ステンレススチール(例えば、SUS)を用いるのが好ましい。
【0058】
円柱状保護電極46Aは電線49Aと接続し、板状露出電極45Bは電線49Bに接続し、そして電線49A,49Bは交流電源49と接続しており、円柱状保護電極46Aと板状露出電極45Bとの間に高電圧が印加される。また、電線及びハウジングは、共にアースされていても、されていなくてもよい。
【0059】
図17に示す本発明装置40において、ハウジング41と円柱状保護電極46A又は板状露出電極45Bとの放電は、前記と同じ方法で防止することができる。なお、板状露出電極45Bの両端部は、円柱状保護電極46Aの両端部と同様に、一般に、それぞれハウジング41の同じ壁面で保持されているので、板状露出電極45Bと円柱状保護電極46Aとの間隔が狭い場合には、ハウジング41の保持壁面において沿面放電が発生する可能性がある。このような沿面放電を防止する手段としては、例えば、図20に示すように、板状露出電極5の両端部に、絶縁性材料からなる鞘体60Zを設け、その鞘体60Zを介して板状露出電極5をハウジング(図示せず)に固定し、板状露出電極5の露出端部5Aと、隣接する円筒状保護電極との沿面放電可能な距離を実質的に延長させる方法を挙げることができる。
【0060】
次に、図18は、本発明の保護・露出電極型装置の別の態様における電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図18に示す本発明の保護・露出電極型装置50は、被処理気体Gの流入用開口部52と処理済み気体Cの排出用開口部53とを備えたハウジング51を有し、前記ハウジング51の内部には、板状保護電極54Aと、板状露出電極55Bを備えている。前記の板状保護電極54Aは、内部板状電極54Xと、絶縁体被膜層54Yとからなり、絶縁体被膜層54Yは、内部板状電極54Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。内部板状電極54Xと絶縁体被膜層54Yとの間には、空隙部は存在しない。板状露出電極55Bは、図17に示す板状露出電極45Bと同様の板状露出電極である。板状保護電極54Aは電線59Aと接続し、板状露出電極55Bは電線59Bと接続し、そして電線59A,59Bは交流電源59と接続しており、板状保護電極54Aと板状露出電極55Bとの間に高電圧が印加される。また、電線及びハウジングは、共にアースされていても、されていなくてもよい。
【0061】
図18に示す本発明装置50において、ハウジング51と板状保護電極54A又は板状露出電極55Bとの放電は、前記と同じ方法で防止することができ、ハウジング51の保持壁面における沿面放電も、前記と同様の方法で防止することができる。
【0062】
図19は、本発明の保護・露出電極型装置の更に別の態様における電極の基本的構成を示す模式的断面図であり、図19に示す本発明の保護・露出電極型装置60は、被処理気体Gの流入用開口部62と処理済み気体Cの排出用開口部63とを備えたハウジング61を有し、前記ハウジング61の内部には、板状保護電極64Aと、円筒状又は円柱状露出電極67Bとを備えている。前記の板状保護電極64Aは、内部板状電極64Xと、絶縁体被膜層64Yとからなり、絶縁体被膜層64Yは、内部板状電極64Xの表面上に、その全表面を覆って密着状態で担持されている。内部板状電極64Xと絶縁体被膜層64Yとの間には、空隙部は存在しない。
【0063】
前記の円筒状又は円柱状露出電極は、前記の円筒状保護電極における円筒状鞘体を取り払い、内部棒状電極をそのまま露出した形態に相当する。すなわち、前記の円筒状又は円柱状露出電極は、任意の導電性材料から構成することができ、例えば、アルミニウム若しくはその合金、銅、炭素質材料、鉄若しくはその合金、あるいはタングステンを挙げることができる。また、前記の円筒状又は円柱状露出電極も、被処理気体と直接に接触するので、耐蝕性を有し、清浄操作や取替え操作などのメンテナンスが容易な金属、例えば、ステンレススチール(例えば、SUS)を用いるのが好ましい。更に、前記の円筒状又は円柱状露出電極の形状も特に限定されるものではないが、棒状体(例えば、筒状体若しくは柱状体、特には、円筒状体若しくは円柱状体)、あるいは、導線それ自体若しくは導線を撚って製造した撚り線型電極であることもできる。
【0064】
図19に示す本発明の保護・露出電極型装置60において、板状保護電極64Aは電線69Aと接続し、円筒状又は円柱状露出電極67Bは電線69Bに接続し、そして電線69A,69Bは交流電源69と接続しており、板状保護電極64Aと円筒状又は円柱状露出電極67Bとの間に高電圧が印加される。また、電線及びハウジングは、共にアースされていても、されていなくてもよい。図19に示す本発明装置60において、ハウジング61と板状保護電極64A又は円筒状又は円柱状露出電極67Bとの放電は、前記と同じ方法で防止することができ、ハウジング61の保持壁面における沿面放電も、前記と同様の方法で防止することができる。具体的には、例えば、図21に示すように、円筒状又は円柱状露出電極7の両端部に、絶縁性材料からなる鞘体60Zを設け、その鞘体60Zを介して円筒状又は円柱状露出電極7をハウジング1に固定し、板状露出電極7の露出端部7Aと、隣接する円筒状保護電極との沿面放電可能な距離を実質的に延長させることを挙げることができる。
【0065】
本発明の気体励起装置は、従来型装置Pと同様に、大略直方体状のハウジングの上面に相当する部分に被処理気体Gの流入用開口部を備え、前記ハウジングの底面に相当する部分に処理済み気体Cの排出用開口部を備えている。また、高圧放電処理(励起処理)が実施される前記ハウジングの内部には、複数の各種電極が、それぞれ相互に間隔を隔てて放電可能な距離を開けて設けられ、しかも被処理気体の流れを妨害しない方向に配置されており、それら各電極の両端部は、それぞれハウジングの支持壁で支持されている。なお、前記ハウジングの内部での電極群の配置は、ハウジング内部で放電がほぼ均等に発生し、各電極間を通過する被処理気体がほぼ均等に処理されるように配置されているのが好ましい。
【0066】
こうした本発明による気体処理装置の流入用開口部から被処理気体Gを流入すると、被処理気体Gは、円筒状若しくは円柱状保護電極と板状保護電極との間、板状保護電極と板状保護電極との間、あるいは、円筒状若しくは円柱状保護電極と板状露出電極との間、板状保護電極と板状露出電極との間、又は板状保護電極と円筒状又は円柱状露出電極との間を通過して、最終的に排出用開口部から排出される。また、その間に、第1電極群と第2電極群とに電圧を印加すると、それらの電極間で放電が起こり、気体分子が励起状態となってラジカルが発生する。これらのラジカルにより、被処理気体中の悪臭物質が酸化分解されたり、あるいは、オゾンを生成させるので、被処理気体は酸化処理される。また、こうして発生したラジカル及びオゾンと共に被処理気体を排出用開口部から排出し、酸化促進触媒が充填されている触媒部に送付して、ラジカル及びオゾンと被処理気体との反応を更に進行させ、気体の処理を続行することができる。
【0067】
本発明による保護・露出電極型装置において、板状露出電極として貫通孔板状電極を用いる場合には、例えば、図22及び図23に示すように、第1電極群及び第2電極群を、それぞれ、被処理気体Gの流れ方向に対して垂直方向になるように配置することができる。
図22は、こうした態様の本発明装置70のハウジング71の側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図であり、図23は、その模式的断面図である。図22及び図23に示す態様の本発明装置70は、被処理気体Gの流入用開口部72と処理済み気体Cの排出用開口部73とを備えたハウジング71を有し、前記ハウジング71の内部には、第1電極群に属する円柱状保護電極76Aと、第2電極群に属する板状露出電極75Bとを備えている。前記の円柱状保護電極76Aは、内部棒状電極76Xと、絶縁体被膜層76Yとを含む。
【0068】
その絶縁体被膜層76Yは、内部棒状電極76Xの表面上に全表面を覆って密着状態で担持されている。従って、内部棒状電極76Xと絶縁体被膜層76Yとの間には、空隙部は存在しない。被処理気体は、絶縁体被膜層76Yと接触し、内部棒状電極76Xとは接触しない。円柱状保護電極76Aは、それぞれ電線(図示せず)と接続し、板状露出電極75Bは、それぞれ電線(図示せず)に接続し、そして各電線は交流電源(図示せず)と接続している。また、電線及びハウジングは、いずれもアースされている必要はないが、それらの一方又は両方がアースされていてもよく、図22及び図23に示す態様では、ハウジング71がアースされている。
【0069】
図22及び図23に示す本発明による気体処理装置70の流入用開口部72から被処理気体Gを流入すると、被処理気体Gは、各々の板状露出電極75Bにおける開口部を通過し、更に各々の円柱状保護電極76Aの間を通過して、最終的に排出用開口部73から排出される。また、その間に、円柱状保護電極76Aと板状露出電極75Bとに電圧を印加すると、円柱状保護電極76Aと板状露出電極75Bとの間で放電が起こり、気体分子が励起状態となってラジカルが発生する。これらのラジカルにより、被処理気体中の悪臭物質が酸化分解されたり、あるいは、オゾンを生成させるので、被処理気体は酸化処理される。また、こうして発生したラジカル及びオゾンと共に被処理気体を排出用開口部73から排出し、酸化促進触媒が充填されている触媒部(図示せず)に送付して、ラジカル及びオゾンと被処理気体との反応を更に進行させ、気体の処理を続行することができる。
【0070】
図22及び図23に示す本発明の気体処理装置70において、前記ハウジング71をアースしない場合、そのハウジング71が円柱状保護電極76Aを保持している壁面における沿面放電を防止するには、例えば、図24に示すように、板状露出電極75Bの周囲に、それを包囲する絶縁性材料製鞘体60Zを設け、その鞘体60Zを介して板状露出電極75Bをハウジング(図示せず)に固定し、板状露出電極75Bの露出端部75Cと、隣接する円筒状保護電極76Aとの沿面放電可能な距離を実質的に延長させる方法を挙げることができる。
【0071】
図22及び図23に示す本発明の気体処理装置70において、貫通孔板状露出電極75Bの代わりに、貫通孔板状保護電極を用いることができる。この貫通孔板状保護電極は、貫通孔板状内部電極と、絶縁体被膜層とを含む。その絶縁体被膜層は、貫通孔板状内部電極の表面上に全表面を覆って密着状態で担持されているが、貫通孔が被処理気体を通過可能な状態は維持される。貫通孔板状内部電極と絶縁体被膜層との間には、空隙部は存在しない。また、被処理気体は、絶縁体被膜層と接触し、貫通孔板状内部電極とは接触しない。前記の貫通孔板状保護電極は、これと組み合わせるもう一方の電極として、円筒状又は円柱状の保護電極若しくは露出電極を用いることができる。
【0072】
本発明の気体励起装置においては、前記の板状保護電極、板状露出電極、及び円筒状又は円柱状露出電極以外は、従来公知の気体励起装置(例えば、前記の特開平9−199261号公報又は米国特許第5,483,117号明細書に記載の装置)において使用されている各部品をそのまま使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、交流高圧放電条件下に気体を誘導して気体分子を励起し、低温プラズマを発生させるにより、例えば、脱臭装置や空気浄化装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1(a)】従来の保護・保護電極型装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図1(b)】本発明の保護・保護電極型装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図2(a)】従来の保護・露出電極型装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図2(b)】本発明の保護・露出電極型装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図3】本発明装置のハウジングの側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。
【図4】図3に示す本発明装置の模式的断面図である。
【図5】本発明装置のハウジングの側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。
【図6】図5に示す本発明装置の模式的断面図である。
【図7】本発明で用いることのできる平板状電極の斜視図である。
【図8】本発明で用いることのできる別の平板状電極の斜視図である。
【図9】本発明で用いることのできる凹凸板状電極の斜視図である。
【図10】本発明で用いることのできる別の凹凸板状電極の斜視図である。
【図11】本発明で用いることのできる更に別の凹凸板状電極の斜視図である。
【図12】本発明で用いることのできる更に別の凹凸板状電極の斜視図である。
【図13】本発明で用いることのできる貫通孔板状電極の斜視図である。
【図14】図3に示す本発明装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図15】図5に示す本発明装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図16】別の態様の本発明装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図17】更に別の態様の本発明装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図18】更に別の態様の本発明装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図19】更に別の態様の本発明装置の電極の基本的構成を示す模式的断面図である。
【図20】沿面放電を防止するための直方体状沿面放電防止用鞘体を有する露出電極の模式的斜視図である。
【図21】沿面放電を防止するための円筒状沿面放電防止用鞘体を有する露出電極の基本的構造を示す模式的断面図である。
【図22】板状露出電極を用いる本発明装置のハウジングの側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。
【図23】図22に示す本発明装置の模式的断面図である。
【図24】沿面放電を防止するための沿面放電防止用鞘体を周縁に有する板状露出電極の模式的斜視図である。
【図25】従来の気体処理装置のハウジングの側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。
【図26】図16に示す従来の気体処理装置の模式的断面図である。
【図27】従来の気体処理装置において使用されている電極群ブロック体の模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1,11,21,31,41,51,61,71,101・・・ハウジング;
2,12,22,32,42,52,62,72,102・・・流入用開口部;
3,13,23,33,43,53,63,73,103・・・排出用開口部;
5・・・板状露出電極;5A・・・露出端部;6・・・円筒状保護電極;
6A,6B・・・電極群;6L・・・第1電極群;6H・・・第2電極群;
6X,16X,76X・・・棒状電極(金属電極棒);
6Y,16Y・・・円筒状鞘体(ガラス製鞘体);6Z,16Z・・・空隙部;
7・・・円筒状露出電極;67B・・・円筒状又は円柱状露出電極;
8A・・・左側板;8B・・・右側板;8C・・・中央支持板;
9,19,29,39,49,59,69・・・交流電源;
9A,9B,19A,19B,29A,29B,39A,39B,49A,49B,59A,59B,69A,69B・・・電線;
10,20,70・・・本発明装置;
10A,30・・・保護・保護電極型装置;10B・・・保護・露出電極型装置;
14B,24A,24B,34B,54A,64A・・・板状保護電極;
14X,24X,34X,54X,64X・・・内部板状電極;
14Y,24Y,34Y,54Y,64Y・・・絶縁体被膜層;
16A・・・円筒状保護電極;34A,46A,76A・・・円柱状保護電極;
40,50,60・・・保護・露出電極型装置;
45B,55B,75B・・・板状露出電極;46X,76X・・・内部棒状電極;
46Y,76Y・・・絶縁体被膜層;60Z・・・鞘体;
106A,106B・・・円柱状保護電極;
106X・・・内部棒状電極;106Y・・・絶縁体被膜層;
107B・・・円筒状露出電極;
109・・・交流電源;109A,109B・・・電線;
310,320・・・平板状電極;
310a,330a,340a・・・平面;320a・・・曲面;
330,340,350,360・・・凹凸板状電極;341・・・立方体状凹部;
350a,360a・・・帯状溝;350b,360b・・・帯状突起;
370・・・多孔板状電極;370a・・・孔部;
C・・・処理済み気体;G・・・被処理気体;
P・・・気体励起装置(従来型装置);
P1・・・保護・保護電極型装置;P2・・・保護・露出電極型装置;
Q・・・ブロック体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有するハウジング内に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備え、前記の一対の電極が保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せである気体励起装置であって、少なくとも1つの保護電極が、芯電極と、その芯電極の表面上に全表面を覆って担持された絶縁体被膜層とからなることを特徴とする、前記の気体励起装置。
【請求項2】
前記絶縁体被膜層が、ホウロウ被膜層、セラミック被膜層、ガラス被膜層、又は樹脂被膜層である、請求項1に記載の気体励起装置。
【請求項3】
複数の保護電極から構成される第1電極群と、複数の保護電極又は露出電極から構成される第2電極群とを備え、前記第1電極群に属する保護電極及び/又は前記第2電極群に属する保護電極の少なくとも1つの電極が前記絶縁体被膜層を担持する保護電極である、請求項1又は2に記載の気体励起装置。
【請求項4】
前記保護電極の全てが、前記絶縁体被膜層を担持する保護電極である、請求項3に記載の気体励起装置。
【請求項5】
前記絶縁体被膜層を担持する保護電極の芯電極が、円柱状、円筒状、又は板状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項6】
前記内部板状電極が、平板状電極、凹凸板状電極、又は多孔板状電極である、請求項5に記載の気体励起装置。
【請求項7】
被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有すると共に、少なくとも一対の電極を備え、前記の一対の電極が保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せであるハウジング内に被処理気体を通過させ、前記一対の電極間に交流電位を印加することにより、被処理気体を励起する方法であって、
少なくとも1つの保護電極が、芯電極と、その芯電極の表面上に全表面を覆って担持された絶縁体被膜層とからなることを特徴とする、気体の励起方法。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−100031(P2006−100031A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282186(P2004−282186)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【Fターム(参考)】