説明

絶縁延長を有する微小電気機械変換器

絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する(cMUTなどの)微小電気機械変換器が開示される。2つの電極は、その間に変換用ギャップを画定する。絶縁体は、2つの電極間に配置された絶縁性の支持体と、変換用ギャップの増大を必要とすることなく有効な絶縁を高めるために2つの電極の少なくとも1つの中に延在する絶縁延長とを有する。また、微小電気機械変換器を製造するための方法も開示される。この方法は、従来の膜ベースのcMUT、および剛性のある上部プレートを輸送する組込み型スプリングを有するcMUTにおいて使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、エネルギー変換のための可動機械部分を有する微小電気機械デバイスに関し、より詳細には、容量性の微細機械加工された超音波変換器(cMUT)などの、微細機械加工された超音波変換器(MUT)に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、微小電気機械変換器(micro-electro-mechanical transducer)は、エネルギー変換のために使用される可動機械部分(movable mechanical part)を含む、共通の特徴を有する。こうした微小電気機械変換器の1つの例は、微細機械加工された超音波変換器(MUT:micromachined ultrasonic transducer)である。超音波変換器は、変換器としての機能を実現するために、一連のエネルギー変換を行う。その受信モードでは、変換器が置かれている媒体の中を伝播する超音波の音響エネルギーが、変換器内の可動部分(従来は振動する膜)の機械エネルギーに変換される。次いで、可動部分の運動は検出可能な電磁(通常は、電気)信号に変換される。その送信モードでは、逆のエネルギー変換が行われる。
【0003】
超音波を送受信するために、様々なタイプの超音波変換器が開発されてきた。超音波変換器は、液体、固体および気体を含む様々な媒体中で動作することができる。一般に、これらの変換器は、診断および治療のための医学的画像化、生化学的画像化、材料の非破壊評価、ソナー、通信、近接センサ、ガスフロー測定、現場の工程監視、音波顕微鏡検査、水中センシングおよび画像化、およびその他の多くのもののために使用される。また、ディスクリート超音波変換器に加えて、複数の変換器を含む超音波変換器のアレイも開発されてきた。例えば、画像化用途のために、超音波変換器の2次元アレイが開発されている。
【0004】
広く使用されている圧電性(PZT)超音波変換器と比較して、MUTは、デバイス製造方法、帯域幅および動作温度などにおいて有利な点を有する。例えば、従来のPZT変換器のアレイを製作することは、個々の圧電素子をダイスカットして接続することを含む。この工程は、困難かつ高価であることに加えて、言うまでもなく、それらの素子によって送受信回路にもたらされる大きな入力インピーダンス不整合の問題をはらんでいる。これに比べ、MUTの製造に使用される微細機械加工技法は、そうしたアレイを製作することにおいて、より優位である。性能に関しては、PZT変換器の性能に相当する動的性能を示す。このような理由のために、MUTは、圧電性(PZT)超音波変換器に対して魅力的な代替案となってきている。
【0005】
いくつかのタイプのMUTの中で、静電式変換器を使用した容量性の微細機械加工された超音波変換器(cMUT)が広く使用されている。図1は、従来技術のcMUTの基本構造体の断面図を示す。図1のcMUT10は、基板11の上に作られる。各cMUTセルは、剛性のある(rigid)底部電極12と、隣接する媒体中の音波を送信または受信するために使用される可とう性の膜(flexible membrane)16の上または内部に置かれた上部電極14とから成る平行板コンデンサを有する。各セル内の可とう性の膜16は、アンカ(anchor)18によって支持される。膜16は、変換用スペース19をその間に画定するために、基板11および上部電極12から間隔をあけられている。通常、感度および帯域幅を最大化する目的を有するcMUT動作のために、膜16を最適な位置に偏向させるために電極12と電極14との間に直流バイアス電圧が印加される。送信の間は、交流信号が変換器に印加される。cMUT10を取り囲む媒体(図示せず)の中に音響エネルギー(acoustic energy)を届けるために、上部電極と底部電極との間の交流静電気力(alternating electrostatic force)が、膜16を作動させる。受信の間は、衝突音波(impinging acoustic wave)が膜16を振動させ、それにより、2つの電極の間の静電容量を変化させる。電子回路が、この静電容量の変化を検出する。
【0006】
適正な動作のために、2つの電極12および14の間の電気的絶縁が必要とされる。こうした絶縁の1つの基本的な形状は、アンカ18により提供される。アンカ18は、絶縁材料で作られることができ、同時に、2つの電極12と14との間の支持を提供する。また、アンカ18に加えて、変換器の動作中の電気的短絡を防ぐために、他の絶縁層(図示せず)を、cMUT10の2つの電極12と14との間に配置することもできる。一般に、2つのcMUT電極12および14の離隔ギャップは、cMUTの変換性能に影響し、絶縁層の厚さおよびアンカ18の高さは、cMUT変換器の絶縁破壊電圧および寄生容量に、競合する様式で影響を及ぼす。通常、cMUTのより良い変換性能のためには、より小さい離隔ギャップが望ましく、より厚い絶縁層とより高いアンカとが、絶縁破壊電圧を高め、寄生容量を減少させるために望まれる。従って、しばしば、cMUTの設計は、cMUTの性能に譲歩するこれら2つの競合要因の間のトレードオフである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのMUTデバイスの重要性の理由から、性能と、機能と、一般的製造可能性との観点において技術を改良することが望まれ、特に、変換性能と、絶縁破壊電圧と、寄生容量低減とを最適化することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、絶縁延長(insulation extension)を備えた絶縁体で隔てられた2つの導電層(例えば、電極)を有する微小電気機械変換器(cMUTなど)を開示する。2つの導電層は、その間に変換用ギャップ(transducing gap)を画定する。絶縁体は、概して2つの導電層の間に配置された絶縁性の支持体と、2つの導電層のうちの少なくとも1つの中に延在する絶縁延長とを有する。絶縁延長の使用は、変換用ギャップを増加させることを必要としないで効果的な絶縁を高める。また、本明細書は、微小電気機械変換器を製造するための方法も開示する。また、本発明の技法は、従来の膜ベースのcMUT、および剛性のある上部プレートを輸送する組込み型スプリングを有するcMUTの双方において使用することができる。
【0009】
一実施形態において、絶縁延長が導電層に含まれるように、ホスト導電層(その内部に絶縁延長が延在する導電層)は絶縁延長よりも厚い。導電層は基礎導電層と、基礎導電層の導電率よりも著しく高い導電率を有する補助導電層とを含むことができる。2つの導電層は、異なるドーピングレベルを有するシリコンウェハの上に形成されることができる。一実施形態では、基礎導電層はシリコン層であり、補助導電層は金属層である。
【0010】
一実施形態において、絶縁延長は、導電層(複数の導電層)の内部に変換用ギャップの少なくとも25%を示す深さだけ延在し、これによって、変換用ギャップを増加させることなく有効な絶縁を著しく増加させる。
【0011】
絶縁性の支持体と絶縁延長とは、同一の材料か、または異なる絶縁材料の任意の組合せで作ることができる。絶縁性の支持体は、絶縁延長から分離されるかまたは結合されることができる。
【0012】
一実施形態において、絶縁延長は、ホスト導電層の中に形成されたキャビティの中に配置される。絶縁延長は、キャビティを完全に充填するかまたは部分的なボイド(void)をその中に残してキャビティを部分的に充填する固体材料であることができる。
【0013】
絶縁延長は、第1導電層の中に延在する第1延長端と第2導電層の中に延在する第2延長端との2つの延長端を含むことができる。2つの延長端は、同一かまたは異なる絶縁材料を有することができる。
【0014】
一実施形態において、絶縁延長は2つの導電層が動作中に互いに接触するかまたは接触に近づくと最も考えられる位置に配置される。また、最大の変換用距離を制限するために変換用ギャップを横切って部分的に延在する、モーションストッパ(motion stopper)を使用することもできる。
【0015】
本発明による微小電気機械変換器は、容量性の微細機械加工された超音波変換器であることができ、第1導電層は底部電極として働き、第2導電層は可動な上部電極として働く。シリコンウェハなどの導電性の基板が、底部電極として働くことができる。第2導電層は、絶縁性の支持体によって支持された弾性のある膜を有することができる。
【0016】
本発明の一態様によると、絶縁延長は、組込み型スプリングを有する微小電気機械変換器に組み込まれる。変換器は、(1)基板と、(2)基板上に配置された中央スプリング層であって、基板と中央スプリング層とはその間にキャビティを画定し、このキャビティは側壁によって境界を画され、キャビティを覆うために側壁から延在する中央スプリング層と、(3)中央スプリング層上の絶縁性コネクタと、(4)絶縁性コネクタ上に配置された上部プレートであって、絶縁性コネクタが上部プレートの下方に変換用ギャップを画定するために、上部プレートを中央スプリング層から隔てる上部プレートと、(5)変換用ギャップを超えて延在する絶縁延長とを備える。
【0017】
一実施形態において、上部プレートは、導電層と導電層の中に延在する絶縁延長とを備える。例えば、上部プレートはシリコン/ポリシリコン層を有することができ、絶縁延長はシリコン/ポリシリコン層の中に延在する。より効果的な電極のために、上部プレートは金属層をさらに含むことができる。
【0018】
他の実施形態において、中央スプリング層は導電層を備え、絶縁延長は導電層の中に延在する。別法として、基板は導電性であることができ、絶縁延長は導電性の基板の中に延在する。
【0019】
組込み型スプリングを有する微小電気機械変換器は、底部電極と上部電極とを有する容量性の微細機械加工された超音波変換器であることができる。底部電極は基板および/または中央スプリングの少なくとも一部であることができ、上部電極は上部プレートの一部であることができる。基板の側壁は導電性であることができ、底部電極は基板の側壁の少なくとも一部分を含むことができる。また、底部電極は、中央スプリング層の上または基板の中に堆積された別の導電層を含むこともできる。
【0020】
一実施形態において、上部プレートは中央スプリング層よりも著しく剛性があり、絶縁性コネクタの垂直偏移(vertical displacement)によって輸送された場合に、実質的に曲がることがない。上部プレートが変換用スペースを介して輸送されることができる最大垂直偏移は、モーションストッパによって制限されることができる。
【0021】
本発明の他の実施形態において、容量性の微細機械加工された超音波変換器(cMUT)は、(1)実質的に静的な基板を含み、底部電極として働く下部層と、(2)膜を含み、上部電極として働く上部層であって、この膜は変換用励磁を静的基板に関して振動させるように構成され、上部層と下部層とがその間に変換用ギャップを画定する上部層と、(3)主部分と絶縁延長とを有する絶縁体であって、主部分は概して下部層と上部層との間に配置され、それらを支持し、絶縁延長は下部層と上部層の少なくとも1つの中に延在する絶縁体とを備える。
【0022】
一実施形態において、下部層と上部層の少なくとも1つは、絶縁延長が導電層の中に包含されるように、絶縁延長よりも厚い導電層を有する。
【0023】
本発明の他の態様は、絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための方法に関する。この方法は、(1)第1導電層の主たる面の上に凹部を形成するステップと、(2)絶縁材料の立ち上がり特徴(standing feature)を形成するステップであって、立ち上がり特徴は凹部から第1ウェハ材料の主たる面より上の自由端まで延在するステップと、(3)第2導電層を立ち上がり特徴の自由端の上に配置するステップとを含む。
【0024】
第1導電層は、シリコン/ポリシリコン層を備えることができる。凹部を形成するステップは、直接エッチングプロセス、ディファレンシャル酸化法、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。立ち上がり特徴を形成するステップは、凹部の上に絶縁層を成長させるステップと、絶縁層をパターン形成しエッチングするステップとを含むことができる。第2導電層を立ち上がり特徴の自由端の上に配置するステップは、SOIウェハを立ち上がり特徴の自由端に接合するステップと、SOIウェハの所望の部分を立ち上がり特徴の上に残すためにSOIウェハをエッチバック(etching back)するステップとを含む。第2導電層を配置するステップは、SOIウェハの残された層の上に金属層を堆積するステップをさらに含む。立ち上がり特徴の上に残されたSOIウェハの所望の部分は、第2導電層の少なくとも部分を形成するシリコン/ポリシリコン層を備えることができる。一実施形態において、立ち上がり特徴の上に残されたSOIウェハの所望の部分は、適切な変換用励磁と同時に第1導電層に関して振動するように構成された膜の層を提供する。SOIウェハを使用する代わりに、所望の膜の層として働かせるために窒化物、酸化物、金属、パリレン(parylene)、または他のポリマ層などの機能層を持つウェハを使用することができる。
【0025】
上記方法の一実施形態において、第2導電層を立ち上がり特徴の自由端の上に配置するステップは、(1)犠牲層を第1導電層および立ち上がり特徴の上に堆積させるステップと、(2)犠牲層の上に機能層を堆積させるステップと、(3)機能層を立ち上がり特徴の自由端の上に残すために犠牲層を取り除くステップとを含む。第2導電層を配置するステップは、機能層の上に金属層を堆積させるステップをさらに含む。機能層は、第2導電層の少なくとも部分を形成するシリコン/ポリシリコン層を含むことができる。立ち上がり特徴の上の機能層は、適切な変換用励磁と同時に第1導電層に関して振動するように構成された膜の層であることができる。
【0026】
絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための他の方法は、(1)基板の材料を取り除くことによって基板の主たる面の上にパターン形成された溝を形成するステップであって、パターン形成された溝は基板の取り除かれていない材料の細い線を備えるステップと、(2)パターン形成された溝が絶縁体を構成するようにパターン形成された溝の中の基板の取り除かれていない材料の細い線を酸化させるステップと、(3)溝の中の絶縁体が上端を基板の上に立ち上がらせるようにシリコン/ポリシリコン基板の主たる面をパターン形成しエッチングするステップと、(4)絶縁体の上端の上に上部導電層を配置するステップとを含む。
【0027】
類似の微小電気機械変換器を製造するための代替の方法は、(1)基板の材料を取り除くことによって基板の主たる面の上に溝を形成するステップと、(2)溝を絶縁材料で充填するステップと、(3)溝の中の絶縁材料が上端を基板の上に立ち上がらせるようにシリコン/ポリシリコン基板の主たる面をパターン形成しエッチングするステップと、(4)絶縁体の上端の上に上部導電層を配置するステップとを含む。
【0028】
また、本方法は、組込み型スプリングを有する微小電気機械変換器に、本発明による絶縁延長を組み込むためにも使用される。こうした変換器を製造するための例示的方法は、(1)上部プレートと、中央スプリング層と、基板とを用意するステップと、(2)絶縁材料の立ち上がり特徴をホスト層の主たる面の上に形成するステップであって、ホスト層は上部プレートまたは中央スプリング層であり、立ち上がり特徴は主たる面の下の点から主たる面を越えて自由端まで延在するステップと、(3)上部プレートと、中央スプリング層と、基板とを結合するステップであって、それによって上部プレートと中央スプリング層とは立ち上がり特徴によってその自由端で接続され、中央スプリング層は基板に反対側の面で接続される。結果として得られる変換器において、基板と中央スプリング層とはその間にキャビティを画定し、キャビティは側壁によって境界を画され、キャビティを覆うために中央スプリング層は側壁から延在するステップとを含む。
【0029】
一実施形態において、ホスト層はシリコン/ポリシリコン層を備え、立ち上がり特徴を形成するステップは、(1)シリコン/ポリシリコン層の主たる面の上に凹部を形成するステップと、(2)凹部の上に絶縁材料を導入することによって立ち上がり特徴を形成するステップとを含む。別法として、立ち上がり特徴を形成するステップは、(1)シリコン/ポリシリコン材料を取り除くことによってシリコン/ポリシリコン層の上にパターン形成された溝を形成するステップであって、パターン形成された溝はシリコン/ポリシリコン層の取り除かれていない材料の細い線を備えるステップと、(2)パターン形成された溝が電気的に非導電性の構造体を含むように、パターン形成された溝の中のシリコン/ポリシリコン層の取り除かれていない材料の細い線を酸化するステップと、(3)溝の中の電気的非導電性の構造体から立ち上がり特徴を形成するためにシリコン/ポリシリコン層をパターン形成しエッチングするステップとを含む。パターン形成された溝を使用する代わりに、単純な溝(取り除かれていない材料の細い線などの精細な内部構造を用いない)が絶縁材料を使用して形成され、充填されることができる。
【0030】
上述のおよび他の特徴ならびに利点が、添付の図面を参照して進められるいくつかの実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の容量性の微細機械加工された超音波変換器(cMUT)などの微小電気機械変換器が、同じ部分は同じ参照番号または参照文字で示される図面と共に詳細に説明される。微小電気機械変換器は、任意の適切な方法を使用して、特に本明細書で同一物と認められたいくつかの特許出願の中に開示された方法を使用して、製造することができる。
【0032】
本発明は、特定の実施形態を参照して以下に説明される。多くの場合に、本発明を示すためにcMUT構造体が使用される。しかし、本発明はcMUTに限定されないことを理解されたい。本発明のより広範な範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされることができ、他の実施形態を使用することができることは当業者には明らかであろう。従って、特定の実施形態に対するこれらおよび他の変形形態が本発明によって含まれるように意図されている。当業者は、本実施形態に関連して開示された様々な特徴を個々にまたは共同して使用することができることを理解されよう。
【0033】
本明細書において、導電性材料は、1×10Ω−cm未満の抵抗率を有する材料であると定義される。従って、シリコンおよびポリシリコン材料は、この文脈において導電性材料であると考えられる。好適には、良好な導電性材料は、1Ω−cm未満の抵抗率を有する。用語「絶縁材料」、「絶縁性材料」、「誘電性材料」は別に言及されない限り置き換え可能に使用され、1×10Ω−cmより大きい抵抗率を有する材料として定義される。好適には、良好な絶縁/絶縁性材料は、1×10Ω−cmより大きい抵抗率を有する。一般に、絶縁体は絶縁性材料を含むが、特別な場合には空気および真空を含むことができる。
【0034】
用語「変換器」および「変換部材」は、動作機能とセンシング機能の両方を遂行するデバイスを含めるだけでなく、動作機能かセンシング機能のいずれかを遂行するデバイスも含めるために、本説明では広い意味で使用されることに留意されたい。また、用語「カンチレバー(cantilever)」は、固定端と、弾性のある部分を作動または動かすために固定端から作動端まで延在する弾性のある部分とを有する構造体を説明するために、本説明では広い意味で使用されることに留意されたい。従って、カンチレバーは、文字どおりの1次元の梁状のカンチレバーを必ずしも意味せず、橋、または横木などの異なる方向に延在する複数の梁を有する類似の構造体をも含み、最も限定的には、固定端はその領域または部分の閉じた周に置かれることができる延在する直線であり、弾性部分は延在する領域であり、作動端は単一の点、小さな領域、または延在された直線(閉鎖端の、開放端の、または区分化された)であるエリアスプリングまたは平面スプリング(2次元「カンチレバー」)も含む。
【0035】
最初に、本発明を説明するために、従来技術による設計のいくつかの態様を本発明に照らして説明する。本明細書は、説明を明確にするために、本発明に照らして従来技術の設計に解釈を投げかけるものであることに留意されたい。
【0036】
cMUTの適切な動作のために、2つの電極間の電気的絶縁が必要とされる。こうした絶縁の1つの基本的な形状は、同時に2つの電極間の支持も行うアンカによって提供される。
【0037】
図2は、絶縁アンカの高さと2つの電極間の離隔との関係を説明するための従来技術のcMUTの拡大部分を示す。図に示されるように、Hinsulatorはアンカ絶縁体28の高さであり、電極22と24との間の絶縁体の電極離隔ギャップHgapによって影響されまたは制限される。図2に示された構成のギャップでは、絶縁体の高さHinsulatorは電極離隔ギャップHgapに等しい。
【0038】
図3は、絶縁アンカの高さと2つの電極間の離隔との関係をさらに説明するための他の従来技術のcMUTの拡大部分を示す。アンカ絶縁体38に加えて、変換器の動作中の電極32と34との間の電気的短絡を防ぐために、他の絶縁層33もcMUTの2つの電極32と電極34との間に配置される。絶縁体の全高さHinsulatorは電極32と34との間の電極離隔ギャップHgapによって影響されまたは制限される。図3に示された構成でも、絶縁体の全高さHinsulatorは電極離隔ギャップHgapに等しい。
【0039】
cMUTなどの静電変換器における2つの電極の離隔ギャップHgapは、変換器の変換性能に影響を及ぼす。一般に、より小さな離隔ギャップHgapはより良好な変換性能をもたらす。他方、絶縁体の高さHinsulatorは変換器の絶縁破壊電圧と寄生容量とに影響を及ぼす。通常、より厚い絶縁層とより高いアンカ(すなわち、より大きなHinsulator)とが、絶縁破壊電圧を高め寄生容量を減少させるために望まれる。しかし、静電変換器の従来の設計では、Hinsulatorは本来的にHgapによって影響され制限されるので、しばしば、変換性能に譲歩または限定されるこれら2つの競合要因間のトレードオフが存在している。
【0040】
本発明は、cMUTなどの静電変換器の従来技術の設計に固有な上述の制限を取り除くために考案された。
【0041】
図4は、本発明による静電変換器の拡大部分を示す。静電変換器は、互いから離隔ギャップHgapだけ隔てられた底部電極410と上部電極420とを有する。底部電極410と上部電極420との隔たりはその間の変換用ギャップを画定する。概して、絶縁性の支持部分430が、底部電極410と上部電極420との間に配置される。静電変換器は、底部電極410の中に延在する絶縁延長440をさらに有する。
【0042】
上記設計は、HinsulatorとHgapとの間の関係を変化させる。図示されるように、Hinsulatorは絶縁性の支持部分430の高さと絶縁延長440の厚さとの合計である。絶縁性の支持部分430の高さは電極離隔ギャップHgapによってまだ制限されるが、絶縁延長440の厚さはこうした制約から自由であり、従って、電極離隔ギャップHgapを増加させることなく全体の絶縁体高さHinsulatorを増加させるための設計の自由度をもたらす。付加された絶縁延長440は、410と420との2つの電極間の離隔に影響を与えないので、デバイスの変換性能を犠牲にすることなく所望の絶縁破壊電圧と寄生容量とを達成するように任意の所望の厚さを有するように自由に設計することができる。
【0043】
絶縁体の高さHinsulatorを電極離隔ギャップHgapから切離すことによって、変換器の性能は変換器電極離隔Hgapを最適化することによって改良することができ、一方で、同時に、絶縁破壊電圧および寄生容量もそれらの間の任意の妥協をすることなく最適化することができる。この斬新な設計は、様々な静電変換器に使用することができ、特に、高周波のcMUTの性能を改善するのに重要である。
【0044】
本明細書の製造方法の説明において示されるように、絶縁延長440は様々な方法で電極410の内部に形成することができる。一実施形態では、初めにキャビティが電極410の内部に形成され、次いで絶縁延長440を形成するために絶縁材料がキャビティの内部に導入される。絶縁材料はキャビティを完全に満たす固体材料であることができるが、キャビティを完全に充填するかまたは部分的ボイドをその中に残してキャビティを部分的に充填する任意の他の絶縁材料であることもできる。
【0045】
絶縁延長440と絶縁性の支持部分430とは、同一の絶縁材料で作られるか、または異なる絶縁材料の任意の組合せで作られることができる。図4に示された構成では、絶縁延長440が底部電極410の中に含まれるように、底部電極410は絶縁延長440よりも厚い。しかし、絶縁延長440は、特に底部電極410が絶縁延長440を含むより厚い組み合わされた層の部分である場合には、底部電極410を超えて延在することができる。
【0046】
他の実施形態において、底部基板410は多数の導電性の層または誘電体基板の上の導電層を備えることができる。例えば、底部電極410はベース導電層と追加の導電層とを有することができる。これは、ベース導電層としてシリコン基板が使用され、シリコン基板(ベース導電層)の導電率よりもかなり高い導電率を有する追加の導電層がより効果的な電極を作るために使用される場合の事例であり得る。追加の層の例は、ポリシリコン層、金属層、または同じシリコン基板に接している部分であるが、より高いドーピングレベルを備えた部分を含む。こうした場合には、絶縁延長440は、追加の層の外に延在し、シリコン基板の中にさらに延在する。
【0047】
底部電極410の内部に延在する絶縁延長440の厚さは、絶縁破壊電圧、寄生容量および変換性能の最適化についての設計要件によって決定することができる。本質的に、この延長の厚さは、性能を配慮することを除いて本来的に制限されない設計の自由度である。例えば一実施形態において、絶縁延長440は、顕著な改善を確実にするために変換用ギャップの少なくとも25%を示す深さを有する。
【0048】
絶縁延長440は、その断面サイズにおいて絶縁性の支持部分430よりも幅が広くなっているように示される。こうした構成は、必要とされない大きすぎる支持領域を有することなく、絶縁破壊電圧および寄生容量を最適化するために好適である。
【0049】
絶縁延長440および絶縁性の支持部分430は、図4に示されるように互いに直接的に接続されることができ(いくつかの実施形態では、1つの絶縁材料の同じ連続する一部の部分であることさえもでき)、または、2つの代替の構成において図4aおよび図4bに示されるように、他の絶縁層435及び436によって介在されることもできる。
【0050】
図5〜図7は、図4に示された概念の変形形態を示す。これらの図で類似の構成要素は、類似または同じ参照番号を用いて示される。図5は、図5の絶縁体が底部電極510および上部電極520の中にそれぞれ延在する2つの絶縁延長540および550を有することを除いて、図4の静電変換器に類似の静電変換器を示す。図4の静電変換器と同様に、底部電極510と上部電極520は、互いから離隔ギャップHgapだけ隔てられる。底部電極510と上部電極520の離隔が両電極の間に変換用ギャップを画定する。概して、絶縁性の支持部分530が底部電極510と上部電極520との間に配置される。図に示されるように、Hinsulatorは、絶縁性の支持部分530の高さならびに絶縁延長540および550の厚さの和である。所与の離隔ギャップHgapについて、絶縁体の全体高さHinsulatorは、絶縁延長540か絶縁延長550の厚さ、またはその両方の厚さを調整することによって最適化することができる。
【0051】
図6は、絶縁延長が図6中でわずかに複雑な構造を有していることを除いて図4の静電変換器に類似している、他の静電変換器を示す。底部電極610内の絶縁延長は、異なる絶縁材料で作られてよい第1部分640と第2部分645とを含む。示されているように、絶縁延長の第1部分640はある種のボイド(示されているように第2部分645によって占められる)を画定するように構成される。第1部分640は絶縁性の支持部分630に接触しており、一方、絶縁延長の第2部分645は構成された第1部分640によって画定されたボイドを占めている。一実施形態では、第2部分645は空気または封止された真空を含む。
【0052】
図7は、底部電極710および上部電極720の内部に延在する2つの絶縁延長を有する図5の静電変換器に類似の他の静電変換器を示す。しかし、図7の絶縁延長はそれぞれが図5の対応する絶縁延長よりわずかにより複雑な構造を有する。底部電極710内の絶縁延長は、異なる絶縁材料で作られてよい第1部分740と第2部分745とを含む。同様に、上部電極720内の絶縁延長は第1部分750と第2部分755とを含む。示されるように、絶縁延長の第1部分740と750とは絶縁性の支持部分730に接触し、一方、絶縁延長の第2部分745と755とはそれぞれが第1部分740と750とによって画定されたボイドを占める。一実施形態においては、第2部分745と755とはそれぞれが空気または封止された真空を含む。
【0053】
絶縁延長の上述した基本的設計は、例としてcMUTを使用して図8〜図18を参照して以降に示されるように、様々な微小電気機械変換器に具現化することができる。特にこの設計は、(1)実質的に静的な基板を含み底部電極として働く下部層と、(2)膜またはプレートを含み上部電極として働く上部層であって、この膜またはプレートは静的な基板に対して変換用励磁(transducing excitation)を振動させるように構成され、上部層と下部層はその間に変換用ギャップを画定している上部層と、(3)主部分と絶縁延長とを有する絶縁体であって、主部分は概してその間に配置され下部層と上部層とを支持し、絶縁延長は下部層と上部層の少なくとも1つの内部に延在している絶縁体とを備えた容量性の微細機械加工された超音波変換器に使用することができる。
【0054】
あるタイプの絶縁延長構成が説明のためにこれらの実施例において使用されるが、任意の他の絶縁延長構成(図4〜図7を参照して上述された構成など)を、本発明の全体的な概念の中で等しいまたは類似の目的のために使用することができることを理解されたい。
【0055】
図8は、本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の断面図である。cMUT要素800は、基板ウェハ801の上に作られた底部電極層810と、上部電極層820を有する膜層819とを有する。絶縁性の支持体(アンカ)830は、底部電極層810と絶縁性の支持体(アンカ)830の上端で固定または留められる膜層819(上部電極層820を備えた)を支持するために、底部電極層810と膜層819との間に配置される。膜層819と底部電極層810とは、変換用ギャップ815を画定する。膜層819は、変換機能を遂行するために、変換用励磁を受けると変換用ギャップ815を介して基板に関して振動する。
【0056】
図8ならびに本明細書の他の図において、底部電極層810は基板801から分離された層であることは必要とされないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、基板801と底部電極810とは底部電極として働く単一の導電性の層であることができる。他の実施形態では、基板801は導電性のシリコン基板であることができ、底部電極810は同一基板801であるがより高いドーピングレベルを備えた連続した部分であることができる。
【0057】
絶縁延長840と842とは、全体の絶縁体高さを伸ばすために底部電極層810の内部に形成される。絶縁延長840はそれぞれ対応する絶縁性の支持体(アンカ)830に接続され、一方、絶縁延長842は絶縁性の支持体(アンカ)には接続されず、上部電極820と底部電極810とが変換器の動作中に互いに接触または接触に近づく可能性が最も高い位置に配置される。通常、しかし常にではないが、こうした位置は2つの対向する絶縁性の支持体(アンカ)830によって画定される、各cMUTセルの中央付近である。説明のため、絶縁延長842は2つの絶縁延長840の中央に配置されている。上述された絶縁延長の任意の設計を、図示された絶縁延長840と842との代わりに使用することができる。
【0058】
図9は、本発明による絶縁延長を使用した他のcMUT構造体の断面図である。cMUT構造体900は、絶縁延長940と942とが底部電極910を超えて基板901の内部に延在していることを除いて、図8に示されたcMUT構造体800に類似である。この構成は、基板901自体が導電性か高度に絶縁性ではない材料で作られている場合に有益であることができる。例えば、基板901は、本発明の文脈では導電性と考えられるシリコンウェハであることができる。導電性基板901は、好適には基板901よりより導電性のある底部電極層910と共に底部電極の部分として機能する。
【0059】
図10は、本発明による絶縁延長を使用した他のcMUT構造体の断面図である。cMUT構造体1000は、cMUT構造体1000が絶縁性の支持体(アンカ)930と絶縁延長940および942との間に絶縁層950をさらに含むことを除いて、図9に示されたcMUT構造体900と類似である。また、絶縁層950は膜層919と絶縁性の支持体(アンカ)930との間に配置することもできることを理解されたい。
【0060】
図11は、本発明による絶縁延長を使用した他のcMUT構造体の断面図である。cMUT構造体1100は以下の違いを除いて図10に示されたcMUT構造体1000に類似である、すなわち、(1)絶縁層1150は、cMUT構造体1100の中で絶縁延長940と942の上方領域だけを覆うようにパターン形成され、(2)導電性基板1101が追加の導電層を伴うことなく底部電極として単独で機能している。導電性基板1101のための1つの適切な材料は、ドープされたシリコンウェハである。
【0061】
図12は、本発明による絶縁延長を使用した他のcMUT構造体の断面図である。cMUT構造体1200は、cMUT構造体1200が絶縁延長942の上方に配置されたモーションストッパ(motion stopper)1230をさらに含むことを除いて、図11に示されたcMUT構造体1100に類似である。図示されているように、絶縁性の支持体(アンカ)930の下部に配置され、それに接続される絶縁延長940とは違って、絶縁延長942は、電極が動作中に互いに接触または接触に近づく可能性が最も高い各cMUTセルの中央近くに配置される(図12の特定の実施形態では、底部電極は導電性基板1201を備え、上部電極920は膜層919によって支えられるパターン形成された導電層を備える)。モーションストッパ1230は、動作中に底部基板に対する上部電極920の最大偏移を制限し、これにより電極間の直接短絡を防ぐことを助けるような位置に配置される。
【0062】
図13は、本発明による絶縁延長と類似の効果を達成するcMUT構造体の断面図である。cMUT構造体1300は、基板1301の上に作られ、基板1301の全体を覆って配置された、パターン形成された底部電極層1310を有する。絶縁体層1350は、基板1301および底部電極1310の上面を覆う。パターン形成された底部電極層1310はボイド1340を画定し、これらのボイドはそれらが封止された真空または空気を含む場合には絶縁延長の少なくとも一部として働くことができる。図13に示された特定の実施形態では、ボイド1340は絶縁体層1350で部分的に充填されている。この場合には、ボイド1340の残された空の領域とボイド1340内に充填された絶縁層1350の部分とが絶縁延長として共に働く。
【0063】
基板1301は、絶縁性材料、導電性材料または絶縁性材料で覆われた導電性材料で作ることができる。また、基板1301が導電性材料で作られている場合は、底部電極の少なくとも部分として働くこともできる。
【0064】
図14は、本発明による絶縁延長と類似の効果を達成する他のcMUT構造体の断面図である。cMUT構造体1400は、cMUT構造体1400が追加の絶縁延長1442の上方に配置されたモーションストッパ1430をさらに含み、絶縁体層1450がパターン形成され、底部電極1410の大部分を覆わないことを除いて、図13に示されたcMUT構造体1300に類似である。
【0065】
図13〜図14に示されたように底部電極をパターン形成することに加えて、上部電極も、絶縁性の支持体(アンカ)930が位置している場所および上部電極と底部電極とが動作中に互いに接触または接触に近づく可能性が最も高い場所近くなどのいくつかの選択された位置で、上部電極と底部電極とが互いに重なり合わないように、パターン形成することができる。
【0066】
また、本発明による絶縁延長は、組込み型スプリングを有する微小電気機械変換器の中で使用することもできる。特に、絶縁延長はエネルギーを変換するための可動機械部分を有する微小電気機械変換器で使用することができる。例示の変換器は、(1)基板と、(2)基板上に配置された中央スプリング層であって、基板と中央スプリング層とはその間にキャビティを画定し、このキャビティは側壁によって境界を形成され、中央スプリング層がキャビティを覆うように側壁から延在するスプリング層と、(3)中央スプリング層上の絶縁性コネクタと、(4)絶縁性コネクタの上部に配置された上部プレートであって、上部プレートの下方に変換用ギャップを画定するために絶縁性コネクタが上部プレートを中央スプリング層から切離す上部プレートと、(5)変換用ギャップの外へ延在する絶縁延長とを備える。
【0067】
図15は、組込みスプリング式微小電気機械変換器(ESMUT)の選択された部分の拡大図である。ESMUT部分1500は、完全なESMUT素子(図示せず)の一部分である。選択されたESMUT部分1500の構造体は、完全なESMUT素子を理解するための基礎を提供する。
【0068】
高い動作周波数を備えたESMUTなどのある種の用途のために、完成されたESMUT素子またはデバイスは、ESMUT部分1500のような1つの基本ユニットだけを使用する。他の用途のためには、図15および/または図16に示されるような複数の基本ユニットの組合せを使用することが好適であることができる。
【0069】
ESMUT部分1500は、基板1501の上に作られ、その基板の上面には、キャビティ1502と1502aとの境界を成す2つの反対側の側面上に2つの側壁を有する、立ち上がり特徴(本明細書ではこれ以降「側壁アンカ」と呼ぶ)1503がある。この立ち上がり特徴(側壁アンカ)1503は、キャビティ1502と1502aとを形成した結果として形成された基板1501の一体化された部分であることができるが、これは分離された基板の上に加えられた付加的な構造体であることもできる。例えば、一実施形態において、側壁アンカ1503は中央スプリング層1520の部分である。基板1501は、非導電性材料、若しくはシリコンまたはポリシリコンなどの導電性材料で作ることができる。側壁アンカ1503が別の構造である構成においては、側壁アンカ1503の導電率は、基板1501の導電率に等しいかまたは異なる。例えば、側壁アンカ1503は、金属、シリコンまたはポリシリコンなどの導電材料で作られる一方、基板1501は非導電性材料で作られる。
【0070】
また、示されたESMUT構造体は、側壁アンカ1503のもう一方の側面にそった第2キャビティ1502aも有する。ESMUT部分1500が、ESMUT素子からどのようにしてまたどこで取られるかによって、第2キャビティ1502aは、異なる別のキャビティに属するか、またはキャビティ1502と同じ円形または延長されたキャビティの単に他の部分であることができる。また、選択されたESMUT部分1500は、他の半分の中に第2コネクタ1530aも有する。ここでも、ESMUT部分1500がESMUT素子1500からどのようにしてまたどこで取られるかによって、第2コネクタ1530aは、異なる別のコネクタの一部分であるか、またはコネクタ1530と同じ円形または延長されたコネクタの単に他の部分であることができる。
【0071】
ESMUT構造体部分1500は、以下の構成要素、(a)好適には弾性のある膜である中央スプリング層1520と、(b)中央スプリング層1520の上に配置された底部電極1525、中央スプリング層1520の上部の上に立つコネクタ1530および1530aと、(c)コネクタ1530の上に位置する絶縁層1535と、(d)介在する絶縁層1535を介してコネクタ1530および1530aに結合された上部プレート1540と、(e)上部電極1550とをさらに有する。
【0072】
上部プレート1540の底面側は中央スプリング層1520の上面側に向かい合い、中央スプリング層1520の底面側は基板ウェハの前面側に向かい合い、コネクタ1530及び1530aは、上面プレート1540の下方に変換用スペース1560を画定するために中央スプリング層1520から立ち上がっている。概して、変換用スペース1560は、上部プレート層1540と中央スプリング層1520の上面または側壁アンカ1503の上面のいずれか高い方との間に画定される。上部プレート層1540と中央スプリング層1520の上面または側壁アンカ1503の上面との間に介在層がある場合には、利用できる変換用スペースが減少され得る。例えば、他の層が中央スプリング層1520または側壁アンカ1503の上方に配置される場合には、側壁アンカ1503の上面は側壁アンカ1503の上に堆積された層の覆われていない表面と定義される。図15に示された例示の構成においては、利用できる変換用スペース1560の実際の高さは、絶縁層1535と、底部電極1525と、中央スプリング層1520との厚さの分だけ減少されることがあり得る。
【0073】
いくつかの実施形態においては、変換用スペース1560のために利用可能な、上部プレート層1540と側壁アンカ1503の上面との間の全体の高さを有することができる。例えば、絶縁層は、2つの電極間の電気的短絡を防ぐために他の形態(例えば、モーションストッパ)が使用されるならば取り除くことができ、導電性の基板ウェハは別の電極層を必要とすることなく基板上(例えば、側壁アンカ1503上)の底部電極を実現するためにそれ自体を使用することができ、カンチレバーは、側壁アンカ1503の上部の上に配置された連続的な中央スプリング層を使用する代わりに、側壁アンカ1503に接続された中央スプリング層の部分と共に側壁アンカ1503の上面と同一平面かそれよりも低い側面の場所に作ることができる。
【0074】
側壁アンカ1503を含む板1501と中央スプリング層1520とは導電性であることができる。この場合には、基板1501は導電性の中央スプリング層1520にアクセスするための導電体として作用することができ、中央スプリング層1520は底部電極として働くことができる。
【0075】
コネクタ1530と1530aとは中央スプリング層1520の上に立ち上がり、それぞれは実質的に等しいコネクタ高さを有する。コネクタ1530と1530aとは、側壁アンカ1503のそれぞれの側壁から十分な長さだけ水平方向にそれぞれ間隔をあけている。このことが、側壁アンカ1503のそれぞれの側面に背中合わせの二重カンチレバー構成でそれぞれが固定された2つのキャビティを画定する。カンチレバーは、それぞれのコネクタ(1530または1530a)を通じてコネクタ(1530または1530a)が配置されている作動端(例えば、左側のカンチレバー上の1522)の位置で活性化(activated)される。カンチレバーならびにそれぞれのキャビティ1502および1502aはコネクタ1530および1530aの垂直の偏移を可能とし、この偏移は上部プレート1540を実質的に垂直なピストンに似た運動を伴って搬送し、これによって変換用スペース1560を変化させる。ESMUT構造体1500の両半分が同じ位相で運動する場合は、垂直のピストンに似た運動がさらに確実なものにされる。
【0076】
示されたこの特定の実施例では、側壁アンカ1503の上面は中央スプリング層1520で覆われ、次いで、この中央スプリング層は底部電極1525で覆われている。さらに、上部プレート1540とコネクタ1530とは、互いに直接的には結合されず、その間に絶縁層1535が介在している。従って、変換用スペース1560は、中央スプリング層1520と、底部電極1525と、絶縁層1535とによって部分的に占められている。側壁アンカ1503の上面と、底部電極1525と、絶縁層1535とを覆う中央スプリング層1520の部分はオプショナルである。いずれにしても、意図したエネルギー変換を達成するために、変換用スペース1560は、それらが構造体に含まれている場合はこれらの余分な層によって完全に占められてはならない。
【0077】
図16は、完全なESMUT素子(図示せず)の他の部分である別の選択されたESMUT部分1600の拡大図である。図15に示された選択されたESMUT部分1500と選択されたESMUT部分1600とは、同一のESMUT素子の異なる位置から取られることができる。選択されたESMUT部分1600は基板1601の上に作られ、この基板1601は、2つの向かい合う側の上の2つの側壁アンカ1603および1603aによって境界を成されるキャビティ1602を有する。ESMUT構造体部分1600は以下の構成要素、すなわち、中央スプリング層1620と、中央スプリング層1620の上に配置された底部電極1625と、中央スプリング層1620の上部の上に立つコネクタ1630と、コネクタ1630の上に位置する絶縁層1635と、介在する絶縁層1635を介してコネクタ1630に結合された上部プレート1640と、上部電極1650とをさらに有する。
【0078】
コネクタ1630は中央スプリング層1620の上に立ち、側壁アンカ1603および側壁アンカ1603aの両方の側壁から水平方向に間隔をあけている。側壁アンカ1603と側壁アンカ1603aとの間の中央スプリング層1620は、側壁アンカ1603と側壁アンカ1603aとの位置で固定された二重カンチレバーを画定する。二重カンチレバーは、コネクタ1630がブリッジを形成するように配置された位置1622において頭をつき合わせて接続される。
【0079】
上部プレート1640は、上部プレートの下方に変換用スペース1660を画定するために上部プレート1640を中央スプリング層1620から隔てるコネクタ1630の上に配置される。二重カンチレバーとキャビティ1602とは、コネクタ1630の垂直の偏移を可能とし、この偏移は上部プレート1640を実質的に垂直に搬送し、これにより変換用スペースを変化させ、エネルギー変換のために変換器内の変換材(transducing member)を活性化させる。
【0080】
上述したESMUT設計は、エネルギーを変換するための可動機械部分を有する様々な微小電気機械変換器を構築するための基本構築ユニットとして使用することができる。ESMUT構造体は、cMUT要素をセルに分解し、各cMUTセルの周辺で膜を支持し、クランプすることを必要とするセル絶縁壁の従来の概念を本質的に取り払った。
【0081】
図17〜図18を参照して以下に示されるように、本発明による絶縁延長は、さらにその性能を向上させるためにESMUTの中に組み込むことができる。
【0082】
図17は、本発明による絶縁延長を使用したESMUTを示す。ESMUT構造体1700は、ESMUT構造体1500に基づき、ESMUT構造体1500の構成部分の大部分を共有する。ESMUT構造体1700は、変換用スペース1560を増加させることなく更なる絶縁を提供するために、上部プレート1540の内部に延在する絶縁延長1742と1744とを有する。図示されるように、絶縁延長1742はコネクタ1530と1530aとに一直線にされ、オプションの絶縁層1535を介してそれらに結合される。コネクタ1530と1530aとは、絶縁材料で作られ図4〜図7の絶縁性支持部分および図8〜図14の絶縁性の支持部分または絶縁アンカと等価なものである。絶縁延長1744は、絶縁延長1742の間で、オプションの介在する絶縁層1535を含む上部プレート1540が、底部電極1525に接触または接触に近づく可能性が最も高い中央位置に配置される。
【0083】
図18は、本発明による絶縁延長を使用した他のESMUT構造を示す。ESMUT構造体1800はESMUT構造体1600に基づき、ESMUT構造体1600の構成部分の大部分を共有する。ESMUT構造体1800は、変換用スペース1660を増加させることなく更なる絶縁を提供するために、上部プレート1640の内部に延在する絶縁延長1842と1844とを有する。図示されるように、絶縁延長1842は、コネクタ1630に一直線に並べられ、オプションの絶縁層1635を介してそれらに結合される。コネクタ1630は、絶縁材料で作られ、図4〜図7の絶縁性支持部分および図8〜図14の絶縁性の支持体または絶縁アンカと等価なものである。絶縁延長1844は、オプションの介在する絶縁層1635を含む上部プレート1640が、底部電極1625に接触または接触に近づく可能性が最も高い位置に配置される。
【0084】
上述した実施形態における絶縁延長1742と、1744と、1842と、1844とは、変換器の変換性能を減少させることなく絶縁破壊電圧を最大化し、寄生容量を最小化することを可能とする。上部プレート1540/1640(または、1535/1635などの介在層)と中央スプリング層1520/1620(または1525/1625などの介在層)との間の接触を避けるために、上部プレート1540/1640の最大偏移がモーションストッパなどの他の構成部品によって制限される場合は、絶縁延長1744および1842はオプションである。とりわけ、絶縁延長の追加の絶縁効果は、上部プレート1550または1650が導電性の層(シリコンまたはポリシリコンなど)または十分な絶縁層を持たない非導電性の層である場合に有益である。いくつかのタイプの絶縁延長が本明細書で説明のために使用されているが、本発明による絶縁延長の任意の形態をESMUT構造体の中で使用することができることに留意されたい。例えば、代替としてまたは付加的に、絶縁延長は中央スプリング層1520または1620の中に、および/または基板アンカ1503または1603の中に作られてもよい。
【0085】
(製造方法)
本発明による絶縁延長を有する微小電気機械変換器は、様々な方法を使用して製造することができる。本発明の一態様によると、絶縁延長を有する絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための方法は、(1)第1導電層の主たる表面の上に凹部を形成するステップと、(2)第1ウェハ材料の主たる面の上方で凹部から自由端に延在する絶縁材料から成る立ち上がり特徴を形成するステップと、(3)第2導電層を立ち上がり特徴の自由端の上に配置するステップとを含む。
【0086】
また、極めて深い絶縁延長を形成するための方法も説明する。例示の方法は、(1)基板の材料を取り去ることによって、基板の取り去られていない材料から成る細い線を備えたパターン化された溝を基板の主たる面の上に形成するステップと、(2)パターン化された溝が絶縁体を構成するようにパターン化された溝の中の基板の取り去られていない材料から成る細い線を酸化させるステップと、(3)絶縁体が基板の上方に立ち上がった上端を有するように基板の主たる面をパターン形成し、エッチングするステップと、(4)上部導電層を絶縁体の上端の上に配置するステップとを含む。この方法のための好適な基板は、シリコンウェハなどの酸化させることのできる基板である。
【0087】
また、別法として、本方法は(1)基板材料を取り去ることによって基板の主たる表面の上に溝を形成するステップと、(2)溝を絶縁材料で充填するステップと、(3)溝の中の絶縁材料が基板の上方に立ち上がった上端を有するように基板の主たる面をパターン形成し、エッチングするステップと、(4)上部導電層を絶縁体の上端の上に配置するステップとを含むこともできる。この方法のための好適な基板は、シリコンウェハである。
【0088】
本発明によるESMUTを製造するための例示の方法は、(1)上部プレートと、中央スプリング層と、基板とを準備するステップと、(2)絶縁材料から成る立ち上がり特徴を上部プレートの1つの主たる面と中央スプリング層との上に形成するステップであって、この立ち上がり特徴は主たる面の下方の一点から主たる面を超えた自由端に延在するステップと、(3)上部プレートと中央スプリング層とが立ち上がり特徴によってその自由端で接続され、中央スプリング層は基板に反対の側で接続されるように、上部プレートと、中央スプリング層と、基板と、を接続するステップとを含む。その結果得られるESMUTにおいて、基板と中央スプリング層とはその間にキャビティを画定し、このキャビティは側壁によって境界を成され、中央スプリング層はキャビティを覆うために側壁から延在する。
【0089】
本方法の例示の実施形態を、図19A〜図27Dを参照して説明する。絶縁延長を形成するための工程は、絶縁延長を形成するための少数のステップを追加することによって、cMUT工程などの通常の微小電気機械変換器の製造工程に組み込むことができる。以下に示されるように、所望のパターンを備えた所望の凹部またはキャビティを基板の上に形成するステップを組み込むことが、本発明の重要な要素である。
【0090】
示される個々のステップは、最終的な構造体を完成させるためにそれらのステップが物理的に互いに互換性がある限り、任意の順番で行われることができることに留意されたい。本明細書に特に示されたステップを含み、しかしそれに限定されない多くの代替のステップが可能である。さらに、以下に説明する多くのステップは、説明中にオプションのものと特に示されたステップを含み、しかしそれらに限定されない、オプションのステップであることに留意されたい。
【0091】
図19.1〜図19.9aは、ウェハボンディング技法を使用して本発明の絶縁延長を従来の膜ベースのcMUTに組み込むための工程の流れを示す。工程の主要なステップを、以下に説明する。
【0092】
ステップ1(図19.1)において、凹部1905と1906とを含む所望の凹部パターンが基盤1901の上に形成される。図示の例で、2つの異なる深さの凹部が示され、1つ(1905)は絶縁性の支持体(アンカ)の絶縁延長のためのものであり、もう1つ(1906)は変換器の動作中に2つの電極が接触する可能性のある位置の絶縁延長のためのものである。2つのタイプの凹部1905と1906とは、同時に単一のステップで形成されるか、2つのステップを使用して別々に形成される。基板の上に所望の凹部パターンを作るための多くの適切な方法が存在する。エッチング可能な基板(例えば、シリコンウェハ)を使用する場合には、所望の凹部パターンは、適切なエッチング技法を使用して基板を直接的にエッチングすることによって形成することができる。
【0093】
ステップ2(図19.2)において、絶縁層1931(例えば、熱酸化物(thermal oxide)、LTO、窒化物、TEOSおよびSOG)が、凹部1905と1906の内部に所望の厚さで導入される。
【0094】
ステップ3(図19.3)において、絶縁層1931は、絶縁性の支持体(アンカ)1932およびモーションストッパ1934を形成するためにパターン形成され、エッチングされ、これらのそれぞれは凹部1905と1906の中で立ち上がり自由端に向けて延在する。
【0095】
ステップ4(図19.4)において、他の絶縁層1933が必要であれば形成される。
【0096】
ステップ5(図19.5)において、絶縁層1933は、絶縁延長の一部を形成するために、必要であれば各凹部1905と1906の内部に層1935を残してパターン形成される。
【0097】
ステップ6(図19.6)において、所望の膜の層1919を備えたSOIウェハが、絶縁性の支持体(アンカ)1932とモーションストッパ1934の自由端の上に接合される。次いで、SOIウェハは、絶縁性の支持体(アンカ)1932の上の膜層1919を残すために、アニールされ、背面エッチング(etched back)される。このステップで、必要であれば底部電極にアクセスするために、ビア(vias)がエッチングされる(図示せず)。
【0098】
SOIウェハを使用する代わりに、所望の膜層1919としての機能を果たすために窒化物、酸化物、金属、パリレン(parylene)、または他のポリマ層などの機能層を携えたウェハを、上述したステップ6を完成させるために適切な接合技法と共に使用することができる。
【0099】
ステップ7(図19.7)において、上部電極を形成するために金属層1920が堆積される。このステップの後で、必要であれば個々のcMUT要素を分離するために隣接するcMUT要素間の膜層1919をエッチングすることができる(図示せず)。
【0100】
ステップの他の変形形態を使用してもよい。例えば、上述のステップ6および7で使用されたSOIボンディング技法は、犠牲技法(sacrificial technique)を使用した代替の表面マイクロマシニング(micromachining)工程に置き換えてもよい。代替のステップ6、7、8および9を含む代替の方法を以下に示す。
【0101】
代替のステップ6(図19.6a)において、犠牲層1939が、絶縁性の支持体(アンカ)1932およびモーションストッパ1934の自由端の上に堆積される。
【0102】
代替のステップ7(図19.7a)において、膜層1919が堆積され、必要なパターンが形成される。
【0103】
代替のステップ8(図19.8a)において、ビア(図示せず)が必要であればエッチングされ、次いで犠牲層1939が取り除かれる。その後、ビアは適切な材料で封止される。
【0104】
代替のステップ9(図19.9a)において、上部電極を形成するために金属層1920が堆積される。その結果得られる構造体は、図19.7の構造体に類似したものである。
【0105】
適切な処理ステップを選択し、そのステップで使用される、各層のための様々な材料をさらに選択することにおいて、多くの自由がある。特に、異なる材料(例えば、シリコン、シリコン窒化物、酸化物、ポリマ、サファイア、ダイアモンドおよびSiC)から成る膜を形成するために、異なる接合工程(例えば、シリコン溶融接合(silicon fusion bonding)、共晶接合(eutectic bonding)、陽極接合、および熱圧縮接合)を適用することができる。
【0106】
本発明による絶縁延長がその中に組み込まれたESMUTを製造するために、ウェハボンディングおよび表面マイクロマシニング技法を使用した工程などの類似の工程を使用することもできる。
【0107】
基板の上に所望の凹部パターンを作るために多くの適切な方法がある。適切なエッチング工程を使用して基板を直接的にエッチングすることに加えて、図20〜図22を参照して以下に説明するディファレンシャル酸化法(differential oxidation methods)などの他の方法を使用して、所望の凹部パターンを形成することもできる。異なる酸化厚さ(oxidation thickness)を備える酸化物は、異なる量の酸化材料を消費するので、ディファレンシャル酸化法を使用して酸化可能な導電性の表面の上にパターン(例えば凹部)を形成することができる。これは、窒化層および/または酸化層を追加の酸化のためのマスクとして使用することによって、達成することができる。窒化層はその下部の酸化を本質的にブロックすることができ、酸化層はその下部の酸化を遅らせることができる。酸化層または窒化層を酸化遮蔽膜として使用することによって、異なる厚さを備えた酸化物を導電性材料(例えばシリコン)基板上の所望の位置に形成することができる。
【0108】
酸化プロセスは酸化材料を消費するので、このプロセスは、材料の直接的エッチングと等価であると考えることができる。しかし、一般に、酸化プロセスは、直接的エッチングよりも制御することがより容易であり、より良好な精度を有する。従って、電極表面と基板との上のパターン、凹部および材料分布のより高い精度と分布を必要とする(cMUTなどの)変換器を製造するためには、凹部を形成するために酸化法を使用することが直接的エッチング工程より好適であることができる。
【0109】
図20.1〜図20.3は、基板の上に凹部を形成するための例示の工程を示す。特に、この方法は、シリコン基板などの酸化可能な基板の上に凹部を形成することに適している。また、この工程は、酸化可能な上部プレート層または中央スプリング層の上に凹部を形成するために使用することもできる。
【0110】
ステップ1(図20.1)において、第1酸化層2010が基板2001の主要な面の上に成長される。酸化層2010は、基板が酸化物によって覆われていない開口2015を有する。
【0111】
ステップ2(図20.2)において、第2酸化層2020が、第1酸化層2010(開口2015を含む)にわたって成長される。第2酸化層2020は、開口2015が配置されている位置で基板2001内部に達する第1深さ2030と、第1酸化層2010に覆われた位置で基板2001内部に達する第2深さとを有する。第1酸化層2010は酸化プロセスを減速させるので、第1深さ2030は第2深さよりも大きいものとなる。2つの深さの間の差異が、次の工程における凹部の形成の基礎となる。
【0112】
ステップ3(図20.3)において、凹部2040を形成するため第1酸化層2010と第2酸化層2020とが取り除かれる。
【0113】
図21.1〜図21.3は、基板上に凹部を形成するための他の例示の工程を示す。特に、この方法は、シリコン基板などの酸化可能な基板の上に凹部を形成することに適している。また、この工程も、酸化可能な上部プレート層または中央スプリング層の上に凹部を形成するために使用することができる。
【0114】
ステップ1(図21.1)において、第1酸化層2110および窒化層2120が、基板2101の主要な面の上に成長される。酸化層2110はパターン形成され、基板が酸化物によって覆われていない開口2115を有する。窒化層2120は、第1酸化層2110の開口2115に一致する開口を有する。
【0115】
ステップ2(図21.2)において、第2酸化層2130が、第1酸化層2110および窒化層(開口2115を含む)に成長される。第2酸化層は、開口2015が配置されている位置において所望の深さで基板2101内に達する。基本的に、窒化層2120は、その他の領域ではさらなる酸化を停止させる。第2酸化層の深さは、次の工程における凹部の形成の基礎となる。
【0116】
ステップ3(図21.3)において、凹部2140を形成するために窒化層2120と、第1酸化層2110と、第2酸化層2130とが取り除かれる。
【0117】
上述した方法が、様々な深さを有するより複雑な凹部パターンを形成するために繰り返され、または組み合わされる。図22.1〜図22.5は、酸化プロセスを使用してシリコン基板上に所望の凹部パターンを製造するための工程を示す。また、この方法は、酸化することが可能な他の基板にも適用することができる。この工程の主たるステップを、以下に説明する。
【0118】
ステップ1(図22.1)において、熱酸化層(thermal oxide layer)2231が、基板2201上に所望の厚さまで形成され、必要に応じてパターン化される。
【0119】
ステップ2(図22.2)において、他の熱酸化層2232が、第1の熱酸化層2231のパターンに所望の厚さまで形成される。
【0120】
ステップ3(図22.3)において、次の工程で所望の凹部を形成するために、得られた熱酸化層2231および2232が、所望のパターンにさらにパターン形成される。
【0121】
ステップ4(図22.4)において、他の熱酸化層2233が、酸化パターンに所望の厚さまで形成される。これは、形成すべき所望の凹部の様々な深さをさらに規定するためである。
【0122】
ステップ5(図22.5)において、シリコン基板上に所望の凹部パターンを形成するために残っている酸化物が取り除かれる。凹部パターンは2つの異なる深さの凹部を含み、1つ(2205)は絶縁性の支持体(アンカ)の絶縁延長を形成するための凹部であり、もう1つ(2206)は変換器の動作中に2つの電極が接触する可能性のある位置の絶縁延長のための凹部である。
【0123】
図23.1〜図23.5は、O2注入および酸化プロセスを使用して、シリコン基板上に所望の凹部パターンを製造するための他の工程を示す。また、この方法は、酸化することが可能な他の基板にも適用することができる。この工程の主たるステップを、以下に説明する。
【0124】
ステップ1(図23.1)において、パターン化(選択的)O2注入が、パターン形成されたマスク2309を使用してシリコン基板2301に実施される。
【0125】
ステップ2(図23.2)において、熱酸化が、O2注入を用いて処理されたシリコン基板2301に実施される。熱酸化は、O2注入が行われた選択された領域内で、より厚い酸化物形成2332を有する酸化層2331を形成する。
【0126】
ステップ3(図23.3)において、酸化層2331がパターン形成される。
【0127】
ステップ4(図23.4)において、酸化層2331にさらなる熱酸化が行われる。
【0128】
ステップ5(図23.5)において、シリコン基板2301上に所望の凹部パターンを形成するために、酸化物が取り除かれる。凹部パターンは2つの異なる深さの凹部を含み、1つ(2305)は絶縁性の支持体(アンカ)の絶縁延長を形成するための凹部であり、もう1つ(2306)は変換器の動作中に2つの電極が接触する可能性のある位置の絶縁延長のための凹部である。
【0129】
図24.1〜図24.3は、O2注入およびシリコン選択酸化(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)を使用して、シリコン基板上に所望の凹部パターンを形成するための他の工程を示す。この方法は、酸化することが可能な他の基板にも適用することができる。本工程の主要なステップを、以下に説明する。
【0130】
ステップ1(図24.1)において、パターン形成されたマスク2409を使用して、パターン化(選択的)O2注入がシリコン基板2401に行われる。
【0131】
ステップ2(図24.2)において、パターン形成された窒化保護層2431がシリコン基板2401上に堆積され、シリコン基板はO2注入を用いて処理される。次いで、LOCOSプロセスが、パターン形成された窒化保護層2431を備えたシリコン基板2401に遂行される。LOCOSプロセスは、O2注入が行われている選択された領域のより厚い酸化形成体2432と、O2注入が行われなかった他の非保護領域のより薄い酸化形成体2434とを含む、2つのタイプの局所的に酸化された領域を有する酸化パターンを形成する。上述のプロセスは、所望の酸化厚みを有する2つの別のLOCOSプロセスに置き換えて、2つのタイプの局所酸化を別々に形成することができる。
【0132】
ステップ3(図24.3)において、シリコン基板2401上に所望の凹部パターンを形成するために、窒化物と酸化物とが取り除かれる。凹部パターンは2つの異なる深さの凹部を含み、1つ(2405)は絶縁性の支持体(アンカ)の絶縁延長を形成するための凹部であり、もう1つ(2406)は変換器の動作中に2つの電極が接触する可能性のある位置の絶縁延長のための凹部である。
【0133】
(極めて厚く高い絶縁延長を形成する方法)
上述した方法では、絶縁延長は、絶縁材料を成長または堆積させることによって製造された。従って、絶縁延長の厚さは、膜の堆積または膜の成長プロセスによって制限される。しかしながら、いくつかの用途では、電気的絶縁破壊を防ぐために極めて厚い絶縁が必要とされることがある。従って、微小電気機械変換器内の極めて厚い絶縁延長を製造するための異なるプロセスが必要とされる。
【0134】
図25.1〜図25.7は、可とう性の膜面を備えた従来のcMUTの中に極めて深い絶縁延長を形成するための例示的方法を示す。この方法は、所望のパターンを基板上にエッチングし、次いでそのパターンを全体的に酸化することによって深い絶縁延長を形成する。基板上のパターン形成された領域は、適切に形成されたパターンを備えた熱酸化物によって充填することができる。例示の方法の主たる工程を、以下に説明する。
【0135】
ステップ1(図25.1)において、所望の凹部パターン2531が基板2501上に形成される。凹部パターン2531は、直接エッチングプロセス、酸化、またはLOCOSを含む様々な技法によって形成することができる。
【0136】
ステップ2(図25.2)において、基板2501および凹部パターン2531の表面上で、所望のシリコンパターンがエッチングされる。シリコンパターンは、凹部パターン2531の凹部の上を含む選択された位置において所望の厚さまでエッチングされた、複数の深いパターン形成された溝を有する。各パターン形成された溝は、基板2501の元の材料が取り除かれた場所にボイド(void)を有し、基板2501の取り除かれていない元の材料から成る細い線2537も有する。
【0137】
ステップ3(図25.3)において、取り除かれていない基板材料から成る細い線2537を有するパターン形成された溝は、可変の深さを有する酸化層2533を形成するために、熱酸化を使用して全面的に酸化される。特に、酸化層2533は、以前は深いパターン形成された溝であった空間を充填している深い酸化物部分2532および2534を有する。このステップでは、熱酸化物が溝を全面的に充填しない場合は、充填材を加えることができる。酸化層2533の表面は、必要であれば研磨してもよい。表面高さの所望の変化を作るために前もって図25.1のステップ1が行われていない場合は、図25.1の凹部2531に対応する位置の酸化物を、このステップで所望の高さにエッチングすることができる。
【0138】
ステップ4(図25.4)において、酸化層2533がパターン形成され、酸化層2533の下部の基板2501の選択された部分が所望の厚さまでエッチングされる。このステップの後に、深い酸化物部分2532および2534が基板2501の中に残る。直接的エッチングプロセスに加えて、酸化またはLOCOSプロセスを、基板をエッチングするためにこのステップで使用することができる。
【0139】
ステップ5(図25.5)において、絶縁性の支持体(アンカ)および絶縁延長になる深い酸化物部分2532および2534のより明瞭な形成体を形成するために、再び、残っている酸化物がパターン形成され、その下にある基板が所望の厚さまでエッチングされる。必要であれば、このステップの後で薄い酸化層を成長し、パターン形成してもよい。
【0140】
ステップ6(図25.6)において、SOIウェハが、深い酸化物部分2532および2534の自由端の上に接合される。膜層2519を残しておくためにSOIウェハのハンドルウェハとボックス層(図示せず)とが取り除かれる。図示されているように、深い酸化物部分2532は、それぞれ基板2501の上方に絶縁性の支持体(アンカ)と、基板2501の内部に延在する深い絶縁延長とをもたらし、深い酸化物部分2534は、それぞれ隣接する絶縁性の支持体(アンカ)の中間部分の位置で基板2501の内部に延在する深い絶縁延長をもたらす。また、必要に応じて、深い酸化物部分2534は、基板2501の上方にモーションストッパを形成するための区間を有してもよい。
【0141】
ステップ7(図25.7)において、上部電極を形成するために金属層2520が堆積され、必要に応じてパターン形成される。次いで、必要に応じて、個々のcMUT要素を分離するために膜層がエッチングされる。
【0142】
上述した工程は、単に例示のためのものであることに留意されたい。この工程の各ステップにおいても、多くの変形形態が可能である。例えば、深い酸化物部分2532と2534の明瞭な形成のために、ステップ5において使用することができる形成体を完成させるために異なるパターンを最初の4つのステップ(ステップ1からステップ4)において使用することができる。こうした代替のパターン形成の1つの例を、図25.1〜図25.4の代替のものである図25.1a〜図25.4aを参照して、以下に説明する。加えて、極めて高い絶縁延長を有するcMUTを形成するために、図19.6a〜図19.8aのステップで示された表面マイクロマシニング工程を、図25.6のステップを置き換えるために使用することができる。
【0143】
絶縁延長の厚さを制御するために膜の堆積または膜の成長を使用する方法とは対照的に、上記の方法は、エッチング工程によって絶縁延長の厚さを画定する。絶縁延長は、より大きな範囲の厚さ、実際にはcMUT設計最適化が必要とする可能性のあるどんな厚さ、に製造することができる。
【0144】
上記の方法は、cMUT設計に容易に適合することができる。例えば、同様の絶縁延長を、同様の方法を使用してESMUT(図15〜図18に示された組込み型スプリングを備えたcMUT)の剛性のある上部プレートまたは中央スプリング層の上に形成することができる。本方法と両立できるように、ホスト層(絶縁延長がその中に形成されるESMUTの層)は、酸化することが可能な任意の材料(例えば、シリコン、Ge、GaAsまたは任意の他の半導体材料)で作ることができる。
【0145】
図26.1〜図26.7は、エッチングにより深い絶縁延長を形成するための他の方法を示す。この方法の主要なステップを、以下のように説明する。
【0146】
ステップ1(図26.1)において、溝2631が基板2601上にエッチングされる。
【0147】
ステップ2(図26.2)において、溝2631は、所望の誘電性材料2633(例えば、ガラスフリット、LTO、SOG、窒化シリコン、PSGまたはこれらの材料の複数層の組合せ)で充填される。
【0148】
ステップ3(図26.3)において、誘電性材料2632の表面が、必要に応じて研磨される。
【0149】
ステップ4(図26.4)において、深い絶縁体2632と2634(対応する絶縁延長を含む)を基板2601の中に残すために、充填材料2633の上でパターン形成とエッチングとが実行される。異なる高さの2つの異なるタイプの深い絶縁体2632と2634とがこのステップで形成される。
【0150】
ステップ5(図26.5)において、絶縁体2632と2634とをさらに画定するために、基板2601が所望の厚さまでエッチングされる。各絶縁体2632および2634は、良好に画定された2つの部分を有する。第1の部分は基板2601の中に延在する絶縁延長であり、第2の部分は基板2601の上方に延在する絶縁性の支持体またはアンカである。
【0151】
ステップ6(図26.6)において、絶縁延長を取り囲む周辺の溝2635を形成するために、基板2601上で追加のエッチングが行われる。
【0152】
ステップ7(図26.7)において、絶縁体2632の自由端の上にSOIウェハが接合され、次いで、ハンドルウェハおよびボックス酸化層(図示せず)が膜2619から取り外される。次いで、上部電極を形成するために金属層2620が堆積され、必要に応じてパターン形成される。膜層2019は、必要に応じて、cMUT要素を分離させるためにエッチングされてもよい。
【0153】
図25.1〜図25.7の方法と同様に、上記の方法は、絶縁延長の厚さを堆積された材料の厚さに代わってエッチングの深さによって画定する。従って、この方法は、高温cMUTまたは極めて高い絶縁破壊電圧を備えたcMUTを作るために不可欠な、極めて厚い絶縁延長を作ることができる。
【0154】
フレットガラス、SOG、LTO、窒化物、TEOSなどの広い範囲の充填材料溝が、溝を充填するための方法で利用可能である。また、これらの溝は、少なくともその1つが絶縁材料である材料から成る複数の層の組合せで充填されてもよい。
【0155】
絶縁延長を有するcMUTを作るために、図25A〜図26Bで示された方法では、ウェハボンディング技法を利用している。しかしながら、絶縁延長が製造された後では、cMUTは、犠牲技法に基づいた表面マイクロマシニングを使用して完成させることができる。
【0156】
図19A〜図26Bに示された製造方法は、本発明の絶縁延長を従来のcMUT(可とう性膜を備えたcMUT)の中に組み込む例である。しかしながら、本方法は他のcMUT設計に容易に適合することができる。特に、類似の絶縁延長は、同じ方法を使用してESMUT(組込み型スプリングを備えたcMUT)の上部プレートまたは中央スプリング層の上に形成することができる。絶縁延長がその中に形成されるホスト層は、任意の適切な材料で作ることができるが、ホスト層がシリコン、Ge、GaAsまたは他の半導体材料などの導電性材料で作られている場合、絶縁延長は特に有益である。
【0157】
図27.1〜図27.16は、本発明による絶縁延長を有するESMUTを製造するためのウェハボンディングプロセスを示す。また、ESMUTは、製造工程に組み込まれたセルフアライメント特徴(self-alignment feature)も有するが、このセルフアライメント特徴は説明のためだけに含まれ、絶縁延長によって必要とはされない。このプロセスはまた、溝封止などの他の特徴を組み入れてもよい。このプロセスのステップを以下に説明する。
【0158】
ステップ1(図27.1)において、工程は、結果として得られるcMUT構造体の上部プレート層2740となるシリコン層2740を持つSOIウェハ2780と共に開始する。酸化層2781および窒化層2782が、上部プレート2740の底部に成長される。別法として、このステップは、後のステップにおける上部プレート層のために所望の厚さまで研削され、研磨されることができるプライムウェハ(prime wafer)と共に開始することができる。
【0159】
ステップ2(図27.2)において、酸化層2781および窒化層2782が、上部プレート層2740のいくつかの領域を露出させるためにcMUT設計によってパターン形成される。
【0160】
ステップ3(図27.3)において、上部プレート層2740の露出された領域が、所望の厚さまで酸化される。
【0161】
ステップ4(図27.4)において、上部プレート層2740の底面に凹部2741を形成するために、窒化層と酸化層とが取り除かれる。この凹部2741は、絶縁延長と絶縁性の支持体(コントラクタ(contractor))を含む絶縁体を受けるための基礎となる。
【0162】
ステップ5(図27.5)において、絶縁材料から成る立ち上がり特徴2731が、上部プレート層2740の凹部2741に形成される。これらの立ち上がり特徴2731は、プレートとスプリングとのコネクタ2730(これらは絶縁体である)および凹部の中の絶縁延長の双方を提供する。こうした立ち上がり特徴2731を形成する1つの方法は、酸化層を成長させることである。
【0163】
ステップ6(図27.6)において、別の酸化層2732が上部プレート層2740の凹部2741に成長される。このオプションの酸化層2732は、凹部2741内の絶縁延長の追加の部分になるために、パターン形成される。オプションの酸化物層2732は、表面上の電気的漏洩を防ぐことによって絶縁を改善することができる。
【0164】
ステップ7(図27.7)において、シリコン層2721を有する別のSOIウェハ2785が、プレートとスプリングとのコネクタ2730に接合される。シリコン層2721は、組込み型スプリング(カンチレバー)を形成するために、最終のESMUT構造体において中央スプリング層2720となるものである。この目的を果たすために、シリコン層2721は適切な厚さを有するべきである。
【0165】
ステップ8(図27.8)において、SOIウェハ2785は、中央スプリング層2720となるシリコン層2721を残すために、キャリア層と酸化層とを取り除くように背面エッチングされる。必要に応じて、この段階でシリコン層2721の選択された領域にシリコンドーピングが行われる。
【0166】
ステップ9(図27.9)において、シリコン層2721の選択された領域2788をアクセス可能に残しつつ、酸化層2786および窒化層2787がシリコン層2721に形成され、パターン形成される。
【0167】
ステップ10(図27.10)において、シリコン層2721のアクセス可能領域2788が、所望の厚さまで酸化される。
【0168】
ステップ11(図27.11)において、シリコン層2721の領域2713の頂部に酸化物と窒化物とを残したままの状態で、酸化層と窒化層とが選択された位置で取り除かれる。この領域2713は、最終的なESMUT構造体において側壁アンカ2703になる。シリコン層2721の他の覆われていない領域は、次のステップのためにここで露出される。
【0169】
ステップ12(図27.12)において、シリコン層2721の露出された領域は、所望の厚さまで酸化される。
【0170】
ステップ13(図27.13)において、側壁アンカ2703およびカンチレバーの仕切り2722となるところのより厚い部分の特徴を有する中央スプリング層2720を形成するために、領域2713上の酸化層および窒化層、ならびにステップ12で形成された新しい酸化層が取り除かれる。カンチレバーの仕切り2722は、(1)モーションストッパとして働くことと、(2)スプリングの長さを2703で画定することとの2つの機能を同時に有することができる。
【0171】
ステップ14(図27.14)において、所望の厚さを備えたプライムウェハ2701が接合される。この層は、最終のESMUT構造体のための基板2701になる。このステップの後で、製造を終了させるための工程は、この説明の中で説明された他の例示の製造方法のいくつかの最終ステップに類似している。1つの例を、簡潔に以下で説明する。
【0172】
ステップ15(図27.15)において、キャリア層を取り除くために、頂部SOIウェハ2780は背面エッチングされ、上部プレート2740を形成するために、酸化層が背面エッチングされる。
【0173】
ステップ16(図27.16)において、必要に応じて相互接続を形成するために、金属層2750が堆積され、パターン形成される。個々のESMUT要素を分離するために、ESMUT要素間に溝2715が形成される。
【0174】
上記のステップ14について、いくつかの他のオプションを利用することができる。例えば、プライムウェハを接合する代わりに、内部にスルーウェハ相互接続(through-wafer interconnections)を備えたプロセスウェハ(processed wafer)を、中央スプリング層2720との溶融接合のために使用することができる。プロセスウェハと中央スプリング層2720とは、カンチレバー形成領域の形状に対応するキャビティパターンを画定する。また、このステップは、他のウェハボンディング技術(例えば、共晶接合、熱圧縮接合および陽極接合)でなされることもできる。
【0175】
別法として、所望の金属パターン、集積回路(IC)または所望の回路を備えたプリント配線板を、中央スプリング層2720に接合することもできる。ウェハは、ガラス、サファイアまたはシリコンなどの材料で作ることができる。別法として、その中に集積回路(IC)を有するシリコンウェハを、中央スプリング層2720に接合することもできる。
【0176】
上部プレート2740の上に絶縁延長を形成する代わりに、中央スプリング層2720の上に絶縁延長を作るための類似したプロセスを行うことができる。
【0177】
図27.1〜図27.16を参照して上述された製造方法の各ステップにおける材料の選択および工程方法の選択は、他の微小電気機械構造体を備えた製造方法に関連して本明細書で説明されたものに類似している。また、cMUTが、説明のために上述した工程の中で使用されているが、その方法はそれらに限定されない。また、微小電気機械構造体は、図27.1〜図27.16に示された各工程のただ一部分だけ、または工程の異なる一連のステップを使用することによっても製造することができる。加えて、SOIウェハを使用する代わりに、組込み型スプリングを有する微小電気機械構造体の中央スプリング層を、高度にドープされた層を有するシリコンウェハまたはシリコンウェハで作ることができる。その後で、中央スプリング層の上のカンチレバー領域を、選択的シリコンエッチングによって形成することができる。
【0178】
本発明による微小電気機械変換器を、図面および例示の実施形態と共に詳細に説明した。潜在的に、この変換器は、既存の技術のいくつかの問題を軽減し、または取り除くことができる。本発明は、多数のより小さなセルを使用して、アドレス可能な変換器要素を形成する必要性を取り除いた。本技術を使用すれば、より少ない複数のセルまたは単に1つのセルが、各アドレス可能な変換器要素のために必要となる。特に、本発明の微小電気機械変換器の設計は、容量性の微細機械加工された超音波変換器(cMUT)の用途に適しているが、エネルギーを変換するための可動機械部分を有する他の微小電気機械デバイスにも使用することができる。
【0179】
特に、本発明による微小電気機械変換器は、本製造方法を使用することによって製造することができる。
【0180】
本発明を、その特定の実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明がそれらに限定されないことを理解するであろう。上述した開示の様々な特徴および態様は、個別にまたは組み合わされて使用することができる。さらに、本開示は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本明細書に説明されたものを超えて、任意の数の環境および用途において使用することができる。我々は、添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨に入る全てのこうした修正形態および変形形態を請求する。従って、本明細書および図面は、限定のためではなく説明のためのものと見なされるべきである。本明細書で使用された用語、「備える」、「含む」および「有する」は、幅広い解釈のできる専門用語と解釈されるべきであることが特に意図されていることを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】従来技術のcMUTの基本構造体の断面図である。
【図2】絶縁アンカの高さと2つの電極間の離隔との間の関係を説明するための従来技術のcMUTの拡大部分を示す図である。
【図3】絶縁アンカの高さと2つの電極間の離隔との間の関係をさらに説明するための、他の従来技術のcMUTの拡大部分を示す図である。
【図4】本発明による静電変換器の拡大部分を示す図である。
【図4a】図4に示された絶縁延長の概念の変形形態を示す図である。
【図4b】図4に示された絶縁延長の概念の変形形態を示す図である。
【図5】図4に示された絶縁延長の概念の更なる変形形態を示す図である。
【図6】図4に示された絶縁延長の概念の更なる変形形態を示す図である。
【図7】図4に示された絶縁延長の概念の更なる変形形態を示す図である。
【図8】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の断面図である。
【図9】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の変形形態の断面図である。
【図10】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の変形形態の断面図である。
【図11】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の変形形態の断面図である。
【図12】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の変形形態の断面図である。
【図13】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の変形形態の断面図である。
【図14】本発明による絶縁延長を使用したcMUT構造体の変形形態の断面図である。
【図15】組込型スプリング微小電気機械変換器(ESMUT)の選択された部分の拡大図である。
【図16】完成したESMUT素子の異なる選択されたESMUT部分の拡大図である。
【図17】本発明による絶縁延長を使用したESMUT構造体を示す図である。
【図18】本発明による絶縁延長を使用した他のESMUT構造体を示す図である。
【図19A】ウェハボンディング技法を使用して本発明の絶縁延長を従来の膜ベースのcMUTに組み込むための例示の工程フローを示す図である。
【図19B】ウェハボンディング技法を使用して本発明の絶縁延長を従来の膜ベースのcMUTに組み込むための例示の工程フローを示す図である。
【図20】酸化プロセスを使用して酸化可能層の表面に凹部を形成するための例示の工程を示す図である。
【図21】酸化プロセスを使用して酸化可能層の表面に凹部を形成するための他の例示の工程を示す図である。
【図22】酸化プロセスを使用して基板の上に異なる凹部深さを有する凹部パターンを形成するための他の例示の工程を示す図である。
【図23】O2注入および酸化プロセスを使用してシリコン基板の上に所望の凹部パターンを製造するための他の例示の工程を示す図である。
【図24】O2注入およびシリコンの局所酸化(LOCOS)を使用してシリコン基板の上に所望の凹部パターンを製造するための他の工程を示す図である。
【図25A】可とう性の膜面を備えた従来のcMUTの中に極めて深い絶縁延長を形成するための例示の方法を示す図である。
【図25B】可とう性の膜面を備えた従来のcMUTの中に極めて深い絶縁延長を形成するための例示の方法を示す図である。
【図25C】可とう性の膜面を備えた従来のcMUTの中に極めて深い絶縁延長を形成するための例示の方法を示す図である。
【図26A】エッチングにより深い絶縁延長を形成するための他の方法を示す図である。
【図26B】エッチングにより深い絶縁延長を形成するための他の方法を示す図である。
【図27A】本発明による絶縁延長を有するESMUTを製造するためのウェハボンディング工程を示す図である。
【図27B】本発明による絶縁延長を有するESMUTを製造するためのウェハボンディング工程を示す図である。
【図27C】本発明による絶縁延長を有するESMUTを製造するためのウェハボンディング工程を示す図である。
【図27D】本発明による絶縁延長を有するESMUTを製造するためのウェハボンディング工程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する第1導電層と、
前記第1層の前記上面に対向する底面を有する第2導電層であって、前記第1導電層と前記第2導電層とはそれらの間に変換用ギャップを画定する第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に配置された絶縁性の支持体と、
前記第1導電層および前記第2導電層のうちの少なくとも1つの内部に延在する絶縁延長と
を備えることを特徴とする静電変換器。
【請求項2】
前記第1導電層および前記第2導電層のうちの少なくとも1つは、基礎導電層と該基礎導電層の導電率よりも著しく高い導電率を有する補助導電層とを含むことを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項3】
前記第1導電層および前記第2導電層のうちの少なくとも1つは、前記絶縁延長がその中に包含されるように前記絶縁延長よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項4】
前記第1導電層および前記第2導電層のうちの少なくとも1つは、シリコン/ポリシリコン層を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項5】
前記絶縁延長は、前記シリコン/ポリシリコン層の中に延在することを特徴とする請求項4に記載の静電変換器。
【請求項6】
前記絶縁延長は、前記第1導電層および前記第2導電層のうちの少なくとも1つの中に前記変換用ギャップの少なくとも25%の深さだけ延在することを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項7】
前記絶縁性の支持体は、第1絶縁材料を備え、前記絶縁延長は、前記第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料を備えることを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項8】
前記絶縁性の支持体は、前記絶縁延長に接続されることを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項9】
前記絶縁延長は、前記絶縁性の支持体の断面サイズよりも大きい断面サイズを有することを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項10】
前記絶縁延長は、前記第1導電層および前記第2導電層のうちの少なくとも1つの中に形成されたキャビティの中に配置されることを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項11】
前記絶縁延長は、部分的なボイドをその中に残して、前記キャビティを部分的に充填する固体材料を備えることを特徴とする請求項10に記載の静電変換器。
【請求項12】
前記絶縁延長は、部分的なボイドをその中に残して、前記キャビティを部分的に充填する固体材料を備えることを特徴とする請求項10に記載の静電変換器。
【請求項13】
前記絶縁延長は、前記第1導電層の中に延在する第1延長端と、前記第2導電層の中に延在する第2延長端とを含むことを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項14】
前記第1延長端は第1絶縁材料を備え、前記第2延長端は前記第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料を備えることを特徴とする請求項13に記載の静電変換器。
【請求項15】
前記絶縁延長は、前記第1導電層および前記第2導電層が動作中に互いに接触するか、または接触に近づくと最も考えられる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項16】
前記変換用ギャップを横切って部分的に延在するモーションストッパをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項17】
前記第1導電層は底部電極として働き、前記第2導電層は可動な上部電極として働く容量性の微細機械加工された超音波変換器であることを特徴とする請求項1に記載の静電変換器。
【請求項18】
前記第1導電層は、導電性の高い電極層と導電性の基板とを備えることを特徴とする請求項17に記載の静電変換器。
【請求項19】
前記第1導電層は、非導電性の基板の上に配置されることを特徴とする請求項17に記載の静電変換器。
【請求項20】
前記第2導電層は、前記絶縁性の支持体によって支持される弾性のある膜を備えることを特徴とする請求項17に記載の静電変換器。
【請求項21】
エネルギーを変換するための可動機械部分を有する微小電気機械変換器であって、
基板と、
前記基板の上に配置された中央スプリング層であって、前記基板と前記中央スプリング層とはその間にキャビティを画定し、前記キャビティは側壁によって境界を画定され、前記中央スプリング層は前記キャビティを覆うために前記側壁から延在する中央スプリング層と、
前記中央スプリング層の上の絶縁性コネクタと、
前記絶縁性コネクタの上に配置された上部プレートであって、前記絶縁性コネクタは前記上部プレートの下方に変換用ギャップを画定するために前記上部プレートを前記中央スプリング層から隔てる上部プレートと、
前記変換用ギャップを超えて延在する絶縁延長と
を備えることを特徴とする微小電気機械変換器。
【請求項22】
前記上部プレートは、導電層と該導電層の中に延在する前記絶縁延長とを備えることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項23】
前記上部プレートは、シリコン/ポリシリコン層を備えることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項24】
前記絶縁延長は、前記シリコン/ポリシリコン層の中に延在することを特徴とする請求項23に記載の微小電気機械変換器。
【請求項25】
前記上部プレートは、金属の層をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の微小電気機械変換器。
【請求項26】
前記中央スプリング層は導電層を備え、前記絶縁延長は前記導電層の中に延在することを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項27】
前記基板は導電性であり、前記絶縁延長は前記基板の中に延在することを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項28】
前記絶縁延長は、前記絶縁性コネクタに接続されることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項29】
前記絶縁延長は、前記上部プレートと前記中央スプリング層とが動作中に互いに接触するか、または接触に近づくと最も考えられる位置に配置されることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項30】
前記絶縁延長は、前記変換用ギャップの少なくとも25%の距離だけ変換用ギャップを超えて延在することを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項31】
前記絶縁延長は第1絶縁材料を備え、前記絶縁性コネクタは前記第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料を備えることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項32】
前記絶縁延長は、前記上部プレートと、前記中央スプリング層と、前記基板とのうちの少なくとも1つの中に形成されたキャビティの中に配置されることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項33】
前記上部プレートは前記中央スプリング層よりも著しく剛性があり、前記絶縁性コネクタの垂直偏移によって輸送された場合に実質的に曲がらないことを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項34】
前記変換用ギャップを横切って部分的に延在するモーションストッパをさらに備えたことを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項35】
底部電極と上部電極とを有する容量性の微細機械加工された超音波変換器であることを特徴とする請求項21に記載の微小電気機械変換器。
【請求項36】
前記底部電極は前記基板および/または前記中央スプリングの少なくとも一部を備え、前記上部電極は前記上部プレートの少なくとも一部を備えることを特徴とする請求項35に記載の微小電気機械変換器。
【請求項37】
前記基板の立ち上がり特徴は導電性であり、前記底部電極は前記基板の前記立ち上がり特徴の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項35に記載の微小電気機械変換器。
【請求項38】
前記底部電極は、前記中央スプリング層の上に堆積され分離された導電層を備えることを特徴とする請求項35に記載の微小電気機械変換器。
【請求項39】
静的基板を含み、底部電極として働く下部層と、
膜を含み、上部電極として働く上部層であって、前記膜は変換用励磁を前記静的基板に関して振動させるように構成され、前記上部層および前記下部層はその間に変換用ギャップを画定する上部層と、
主部分と絶縁延長とを有する絶縁体であって、前記主部分は前記下部層と前記上部層との間に配置されそれらを支持し、前記絶縁延長は前記下部層と前記上部層とのうちの少なくとも1つの中に延在する絶縁体と
を備えたことを特徴とする容量性の微細機械加工された超音波変換器。
【請求項40】
前記下部層と前記上部層とのうちの少なくとも1つは、前記絶縁延長が前記導電層の中に包含されるように前記絶縁延長よりも厚い導電層を有することを特徴とする請求項39に記載の容量性の微細機械加工された超音波変換器。
【請求項41】
前記下部層と前記上部層とのうちの少なくとも1つは、シリコン/ポリシリコン層を備えることを特徴とする請求項39に記載の容量性の微細機械加工された超音波変換器。
【請求項42】
前記絶縁延長は、前記シリコン/ポリシリコン基板の中に延在することを特徴とする請求項41に記載の容量性の微細機械加工された超音波変換器。
【請求項43】
前記絶縁延長は、前記上部層と前記下部層とのうちの少なくとも1つの中に形成されたキャビティの中に配置されることを特徴とする請求項39に記載の容量性の微細機械加工された超音波変換器。
【請求項44】
絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための方法であって、
第1導電層の主たる面の上に凹部を形成するステップと、
絶縁材料の立ち上がり特徴を前記凹部の上に形成するステップであって、前記立ち上がり特徴は前記凹部から前記第1導電層の前記主たる面より上の自由端まで延在するステップと、
第2導電層を前記立ち上がり特徴の前記自由端の上に配置するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
前記第1導電層は、シリコン/ポリシリコン層を備えることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記立ち上がり特徴を形成する前記ステップは、
前記凹部の上に絶縁層を成長させるステップと、
前記絶縁層をパターン形成しエッチングするステップと
を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記第2導電層を前記立ち上がり特徴の前記自由端の上に配置する前記ステップは、
機能層を有するコンポジットウェハ(composite wafer)を前記立ち上がり特徴の前記自由端に接合するステップと、
前記機能層を前記立ち上がり特徴の上に残すために前記コンポジットウェハをエッチバックするステップと
を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記第2導電層を配置する前記ステップは、前記機能層の上に金属層を堆積するステップをさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記立ち上がり特徴の上の前記機能層は、シリコン/ポリシリコン層を備えることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記立ち上がり特徴の上の前記機能層は、適切な変換用励磁と同時に前記第1導電層に関して振動するように構成された膜の層であることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記第2導電層を前記立ち上がり特徴の前記自由端の上に配置する前記ステップは、
犠牲層を前記第1導電層および前記立ち上がり特徴の上に堆積するステップと、
前記犠牲層の上に機能層を堆積するステップと、
前記機能層を前記立ち上がり特徴の前記自由端の上に残すために前記犠牲層を取り除くステップと
を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記第2導電層を配置する前記ステップは、前記機能層の上に金属層を堆積するステップをさらに含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記機能層は、シリコン、ポリシリコンまたは窒化物の層を備えることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記立ち上がり特徴の上の前記機能層は、適切な変換用励磁と同時に前記第1導電層に関して振動するように構成された膜の層であることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
第1導電層の主たる面の上に凹部を形成する前記ステップは、
前記第1導電層の前記主たる面の上に第1酸化層を成長させパターン形成するステップであって、前記第1酸化層は、前記第1導電層の前記主たる面の対応する部分を覆われないままに残された開口を有するステップと、
第2酸化層が、前記開口の配置された位置における前記第1導電層の中への第1の深さと、前記第1酸化層に覆われた位置における前記第1導電層の中への第2の深さとを有するように、前記開口を含む前記第1酸化層の上に前記第2酸化層を成長させるステップであって、前記第1深さは前記第2深さよりも大きいステップと、
前記第1酸化層と前記第2酸化層とを取り除くステップと
を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項56】
第1導電層の主たる面の上に凹部を形成する前記ステップは、
前記第1導電層の前記主たる面の上に第1酸化層を成長させパターン形成するステップであって、前記第1酸化層は前記第1導電層の前記主たる面の対応する部分を覆われないままに残された開口を有するステップと、
前記第1酸化層の上に窒化層を成長させパターン形成するステップであって、前記窒化層は前記第1酸化層の前記開口に一致する開口を有するステップと、
前記第2酸化層が前記開口の配置された場所で前記第1導電層の中に所望の深さに達するように、前記第1酸化層および前記窒化層の前記開口の上に第2酸化層を成長させるステップと、
前記窒化層と、前記第1酸化層と、前記第2酸化層とを取り除くステップと
を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項57】
絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための方法であって、
基板の材料を取り除くことによって前記基板の主たる面の上にパターン形成された溝を形成するステップであって、前記パターン形成された溝は前記基板の取り除かれていない材料の細い線を備えるステップと、
前記パターン形成された溝が絶縁体を構成するように前記パターン形成された溝の中の前記基板の取り除かれていない材料の細い線を酸化するステップと、
前記絶縁体が前記基板の上に立ち上がる上端を有するように前記基板の前記主たる面をパターン形成しエッチングするステップと、
前記絶縁体の前記上端の上に上部導電層を配置するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための方法であって、
基板の材料を取り除くことによって前記基板の主たる面の上に溝を形成するステップと、
前記溝を絶縁材料で充填するステップと、
前記溝の中の前記絶縁材料が前記基板の上に立つ上端を有するように前記基板の前記主たる面をパターン形成しエッチングするステップと、
前記絶縁体の前記上端の上に上部導電層を配置するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
絶縁延長を備えた絶縁体によって隔てられた2つの電極を有する微小電気機械変換器を製造するための方法であって、
上部プレートと、中央スプリング層と、基板とを用意するステップと、
絶縁材料の立ち上がり特徴を、前記上部プレートおよび前記中央スプリング層のうちの1つの主たる面の上に形成するステップであって、前記立ち上がり特徴は前記主たる面の下から前記主たる面を越えて自由端まで延在するステップと、
前記上部プレートと前記中央スプリング層とが前記立ち上がり特徴によってその自由端で接続され、前記中央スプリング層は前記基板に反対側で接続されるように前記上部プレートと、前記中央スプリング層と、前記基板とを接合するステップであって、前記基板と前記中央スプリング層とはその間にキャビティを画定し、前記キャビティは側壁によって境界を画定され、前記前記中央スプリング層は前記キャビティを覆うために側壁から延在するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
前記上部プレートおよび前記中央スプリング層のうちの1つは、シリコン/ポリシリコン層を備え、
前記立ち上がり特徴を形成する前記ステップは、
前記シリコン/ポリシリコン層の主たる面の上に凹部を形成するステップと、
前記凹部の上に絶縁材料を導入することによって前記立ち上がり特徴を形成するステップと
を含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記上部プレートおよび前記中央スプリング層のうちの1つは、シリコン/ポリシリコン層を備え、
前記立ち上がり特徴を形成する前記ステップは、
シリコン/ポリシリコン材料を取り除くことによって、前記シリコン/ポリシリコン層の上にパターン形成された溝を形成するステップであって、前記パターン形成された溝は前記シリコン/ポリシリコン層の取り除かれていない材料の細い線を備えるステップと、
前記パターン形成された溝が絶縁体を構成するように前記パターン形成された溝の中の前記シリコン/ポリシリコン層の取り除かれていない材料の前記細い線を酸化するステップと、
前記溝の中の絶縁体から前記立ち上がり特徴を形成するために前記シリコン/ポリシリコン層をパターン形成しエッチングするステップと
を含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記上部プレートおよび前記中央スプリング層のうちの1つは、シリコン/ポリシリコン層を備え、
前記立ち上がり特徴を形成する前記ステップは、
シリコン/ポリシリコン材料を取り除くことによって前記シリコン/ポリシリコン層の上に溝を形成するステップと、
前記溝を絶縁材料で充填するステップと、
前記絶縁材料から前記立ち上がり特徴を形成するために前記シリコン/ポリシリコン基板をパターン形成しエッチングするステップと
を含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【公表番号】特表2009−508367(P2009−508367A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516496(P2008−516496)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051948
【国際公開番号】WO2006/134580
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507382119)コロ テクノロジーズ インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】