説明

継手装置

【課題】リクライニング装置等の継手装置にダンパー機構を組み付けても、構造が大型化されないようにする。
【解決手段】継手装置としてのリクライニング装置4は円盤形状のラチェット10及びガイド20と両者の内盤面10a,20aの間に挟持されて外周面に外歯31a,31bを有するポール30a,30bとを有する。ラチェット10には内歯11bを有する円筒形状の内歯部11が形成されている。ガイド20には内歯部11に外周側から嵌まり込む円筒形状の囲い部21が形成されている。内歯11bの外周面には凹状の転動溝13が形成されている。転動溝13には、ラチェット10及びガイド20に接触した状態で転動部材80が転動可能に配されている。転動部材80は転動溝13の溝幅を転動する領域では転がり摩擦に伴う弱い制動力を作用させ、転動溝13の端部に達して転動が止まった後の領域では摺動摩擦に伴う強い制動力を作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに用いられるリクライニング装置等の継手装置に関する。詳しくは、同軸上に配設された2つの回動部材の間に配置され、該両回動部材の相対回動を許容する状態と相対回動を規制する状態とを有して該両回動部材を連結する継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の座席用シートには、背もたれ部となるシートバックの傾き角度を調整可能にするリクライニング装置が備え付けられているものがある。この種のリクライニング装置に関する技術は、例えば下記特許文献1に開示されている。すなわち、この開示のように、一般に、リクライニング装置は、シートバックをその下端部において回動可能に軸支する回動機構部と、回動機構部の回動を規制可能に作動するロック機構部と、を有している。そして、回動機構部には、シートバックをその前方に向けて回動附勢するリターンスプリングが組み付けられている。また、ロック機構部は、常時は回動規制の作動状態に附勢されて保持されている。そして、ロック機構部は、シートに備え付けられたレバーの操作を行うことによって解除切換えされるようになっている。したがって、上記のレバー操作によってロック機構部の回動規制状態を解除することにより、シートバックを自動的にその前方に回動させることができる。
更に、この開示では、リクライニング装置の外部にダンパー機構が組み付けられている。このダンパー機構は、その内部に充填された粘性体の粘性抵抗を利用して、上記シートバックの回動附勢力を減衰させるようになっている。これにより、シートバックの前方向への回動に弾みが付き過ぎないように抑制することができる。
【特許文献1】特開2003−48466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、ダンパー機構がリクライニング装置に外付けされる構成であり、かかる構造全体の大型化を招くという問題があった。
【0004】
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、リクライニング装置等の継手装置にダンパー機構を組み付けても、構造が大型化されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の継手装置は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、同軸上に配設された2つの回動部材の間に配置され、両回動部材の相対回動を許容する状態と相対回動を規制する状態とを有して両回動部材を連結する継手装置であって、互いの円盤形状の内盤面同士を重合させるようにして同軸上に相対回動可能に組み付けられる第1継手部材及び第2継手部材と、両継手部材の内盤面の間に配置され径方向の外周面に外歯を有する外歯部材と、を有し、第1継手部材は、2つの回動部材の一方と接合されるようになっており、その円盤形状の周縁に沿って第2継手部材の内盤面に向けて軸長方向に突出しその突出した内周面に内歯を有する円筒形状の内歯部が形成されており、第2継手部材は、2つの回動部材の他方と接合されるようになっており、その円盤形状の周縁に沿って第1継手部材の内歯部に外周側から嵌まり込むように軸長方向に突出する円筒形状の囲い部が形成されており、外歯部材は、第2継手部材に対してその円周方向への移動が規制されて径方向にのみ移動可能となる状態に組み付けられており、径方向の外方への移動によってその外歯を第1継手部材の内歯と噛合させることで両継手部材の相対回動を規制し、噛合を解除することで相対回動を許容するようになっており、両継手部材の間には両継手部材の相対回動許容時に相対回動速度を変化させる制動手段が設けられており、制動手段による制動力は両継手部材の相対回動が所定の回動領域を超えると変化するようになっていることを特徴とする。
この第1の発明によれば、制動手段は、両継手部材の間に設けられる構成となっており、継手装置の内部に組み込まれる。この制動手段は、両継手部材の相対回動が所定の回動領域を超えることにより、発揮する制動力が変化するようになっている。
【0006】
更に、第2の発明は、上述した第1の発明において、制動手段は、第1継手部材と第2継手部材との合わせ部に形成された凹状の転動溝内に配される転動部材であり、転動部材は、両継手部材に接触した状態で設けられ、両継手部材の相対回動に伴って転動溝内を転動するようになっており、所定の回動領域は、両継手部材の相対回動によって転動部材が転動溝の終端部に到達するまでの回動領域となっており、所定の回動領域を超えると、回動する一方の継手部材と転動が止まった転動部材との間に摺動摩擦に伴う制動力が作用することを特徴とする。
この第2の発明によれば、転動部材の転動を伴う回動領域では、転動部材の転がり摩擦が主として作用し、両継手部材の相対回動速度を抑制する制動力が弱く作用する。そして、転動部材が転動溝の終端部に到達して転動が止まると、その後の回動領域では、転動部材の摺動摩擦が主として作用し、両継手部材の相対回動速度を抑制する制動力が強く作用する。
【0007】
次に、第3の発明は、上述した第2の発明において、転動部材及び転動溝は、第1継手部材の内歯部或いは第2継手部材の囲い部における円周上の少なくとも3箇所に配置されていることを特徴とする。
この第3の発明によれば、転動部材は、第1継手部材の内歯部と第2継手部材の囲い部との間に配される。これにより、転動部材は、両継手部材の径方向を向く面と接触した状態として設けられる。したがって、このような転動部材が円周上の少なくとも3箇所に配されることにより、両継手部材が互いに円周方向の3点以上で支持されてセンタリングされる。
【0008】
次に、第4の発明は、上述した第2又は第3の発明において、転動部材及び転動溝は、第1継手部材の内歯部或いは第2継手部材の囲い部における円周上の軸対称位置に対で配置されることを特徴とする。
この第4の発明によれば、転動部材は、第1継手部材の内歯部と第2継手部材の囲い部との間に配される。これにより、転動部材は、両継手部材の径方向を向く面と接触した状態として設けられる。したがって、このような転動部材が円周上の軸対称位置に対で配されることにより、両継手部材が互いに軸対称位置で両端支持されてセンタリングされる。
【0009】
次に、第5の発明は、上述した第3又は第4の発明において、転動溝の終端部は、溝の開口を広げる拡開形状に形成されており、拡開形状の拡開面を成す傾斜面上に転動部材が乗り上げるようになっていることを特徴とする。
この第5の発明によれば、転動部材が傾斜面上に乗り上げることにより、転動部材が両継手部材を径方向の内外方に押圧する支持力(分力)が大きくなる。
【0010】
次に、第6の発明は、上述した第1から第5のいずれかの発明において、継手装置が車両の座席用シートのシートバックの傾き角度を調整するためのリクライニング装置として成ることを特徴とする。
ここで、継手装置がリクライニング装置として成る場合には、継手装置に、シートバックを前起こしする回動方向に附勢するためのバネ部材が組付けられる。また、この場合には、一方の継手部材がシートバックと一体に連結され、他方の継手部材がシートクッション或いは車両フロア等の固定部材と連結される構成となる。
この第6の発明によれば、シートバックが前起こし方向に附勢される附勢力は、制動手段によって抑制される。この制動手段による制動力は、シートバックの所定の傾き角度を境に変化する。したがって、上記制動力の強さや境界角度の設定により、シートバックを起こし上げる際の挙動を種々に調整可能となる。例えば、所定の角度範囲までは、弾み良くシートバックが起こし上げられるようにし、所定の角度範囲を超えたらシートバックが緩やかに起こし上げられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、制動手段を継手装置の内部に組み込んだことにより、継手装置を大型化することなくダンパー機構を組み付けることができる。また、制動手段による制動力の強さや境界領域の設定により、両継手部材の相対回動の挙動を種々に調整することができる。
更に、第2の発明によれば、上述した第1の発明を簡単な構成によって具現化することができる。
更に、第3の発明によれば、転動部材によって両継手部材を円周上の少なくとも3点で支持して互いにセンタリングさせることにより、重力等の作用に伴う両継手部材の偏心移動を抑えることができ、相対回動を円滑化することができる。
更に、第4の発明によれば、転動部材によって両継手部材を軸対称に両端支持してセンタリングさせることにより、重力等の作用に伴う両継手部材の偏心移動を抑えることができ、相対回動を円滑化することができる。
更に、第5の発明によれば、転動部材によって両継手部材を径方向の内外方に支持する支持力を高めたことにより、両継手部材をより良好にセンタリングさせることができる。
更に、第6の発明によれば、上記構成を備えた継手装置をリクライニング装置に適用することにより、リクライニング装置の使用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。以下の実施例では、本発明の継手装置にかかる構成を、車両用シートのリクライニング装置として採用している。
【実施例1】
【0013】
始めに、実施例1のリクライニング装置4の構成について、図1〜図7を用いて説明する。図1はリクライニング装置4の内部構造を正面視して表した断面図である。図2はリクライニング装置4の分解斜視図である。図3は図1のA−A線断面図である。図4は図1のB部分を表した要部拡大図である。図5はシート1の概略構成を表した側面図である。図6はラチェット10とクッションフレーム3fとの接合部分を拡大して表した斜視図である。図7はガイド20とバックフレーム2fとの接合部分を拡大して表した斜視図である。
【0014】
本実施例のリクライニング装置4は、図5に良く示されるように、車両用シート1のシートバック2とシートクッション3とを連結する継手装置として構成されている。このリクライニング装置4は、シート1の左右両サイドに一対で配設されており、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2fと、シートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3fと、の間に位置してこれらを連結している。詳しくは、リクライニング装置4は、バックフレーム2fがクッションフレーム3fに対して回動軸4aのまわりに相対回動可能となるように連結している。ここで、リクライニング装置4は、図示しない操作レバーと接続されており、同操作レバーの操作を行う前の常時は、上記の相対回動を規制したロック状態として附勢保持されている。そして、リクライニング装置4は、操作レバーの所定の解除操作を行うことにより、上記の相対回動を許容するアンロック状態に切換えられるようになっている。ここで、クッションフレーム3fが本発明における2つの回動部材の一方に相当し、バックフレーム2fが本発明における2つの回動部材の他方に相当する。
したがって、上記構成のリクライニング装置4によれば、操作レバーの解除操作を行う前の状態では、シートバック2の傾き角度を固定しておくことができる。そして、操作レバーの解除操作を行うことにより、シートバック2の傾き角度(背もたれ角度)の調整が行えるようになる。また、リクライニング装置4は、上記解除レバーの解除操作をやめることにより、附勢によって自動的に元のロック状態に切り返されるようになっている。これにより、シートバック2を、調整した傾き角度の位置にて保持することができる。
【0015】
次に、リクライニング装置4の構成について詳しく説明する。
すなわち、リクライニング装置4は、図2に良く示されるように、ラチェット10、ガイド20、ポール30a,30b、押送部材40、カム部材50、バネ部材60、セットプレート70及び転動部材80が一つに組み付けられて構成されている。ここで、ラチェット10が本発明の第1継手部材に相当し、ガイド20が本発明の第2継手部材に相当し、ポール30a,30bが本発明の外歯部材に相当する。
【0016】
詳しくは、ラチェット10は、略円盤形状に形成されている。このラチェット10には、円盤形状の周縁に沿って内盤面10a側から軸方向に突出した円筒形状の内歯部11が形成されている。この内歯部11は、ラチェット10の板厚方向への半抜き加工によって形成されており、更にその円筒形状の内周面に沿って内歯11bが形成されている。そして、内周面の円周方向の対向する2箇所の位置には、歯を持たない歯無面11dが形成されている。この歯無面11dは、内歯11bの歯先よりも半径方向の内方に突出した形状として形成されている。
また、ラチェット10の円盤形状の中心部には、軸方向に貫通した軸孔10cが形成されている。この軸孔10cには、図示しない軸部材が挿通され、ラチェット10がこの軸部材によって軸支されるようになっている。
また、図6に良く示されるように、ラチェット10の外盤面10bには、軸孔10cから径方向に離間した位置に、ダボ12a及びDダボ12bが円周方向に並んで形成されている。これらダボ12a及びDダボ12bは、ラチェット10の板厚方向への半抜き加工によって外盤面10bから軸方向に突出して形成されており、クッションフレーム3fに形成された対応するダボ孔3a及びDダボ孔3bにそれぞれ嵌め込まれるようになっている。ここで、前述したDダボ12bは、円柱形状の一部が断面D状に切欠かれた形状に形成されており、円柱形状のダボ12aとは形状が区別されるようになっている。これにより、ラチェット10を常に定められた向きにしてクッションフレーム3fに嵌め込むことができる。そして、これにより、ラチェット10の軸孔10cとクッションフレーム3fの貫通孔3cとを同軸位置に合わせた状態で、両者を接合することができる。
また、図2に良く示されるように、内歯部11の外周面には、凹状の転動溝13が複数形成されている。これら転動溝13は、図1に良く示されるように、内歯部11の円周方向の6箇所の位置に均等に配置されている。これにより、各転動溝13は、円周上の軸対称位置において、それぞれに向かい合う対の配置とされている。そして、これら各転動溝13には、円筒形状の転動部材80が配されている。ここで、各転動溝13の溝幅は、転動部材80の直径よりも大きく形成されている。これにより、各転動部材80は、転動溝13の溝幅の範囲内で転動可能とされている。なお、転動部材80の構成は、後に詳述する。
【0017】
次に、ガイド20について説明する。すなわち、ガイド20は、図2に良く示されるように、略円盤形状に形成されている。このガイド20は、円盤形状の内盤面20aをラチェット10の内盤面10aと対向させるように向けられた状態で、ラチェット10と重ね合わせ状に組み付けられる。また、図3に良く示されるように、ガイド20には、円盤形状の周縁に沿って内盤面20a側から軸方向に突出する円筒形状の囲い部21が形成されている。この円筒形状の囲い部21は、ガイド20の板厚方向への半抜き加工によって形成されており、ラチェット10の円筒形状の内歯部11に外周側から嵌まり込んで囲い込む大きさに形成されている。したがって、ガイド20とラチェット10とが組み付けられた状態では、囲い部21によってラチェット10の径方向への移動が規制される。そして、この組付状態では、ラチェット10の内歯部11に形成された内歯11bが、両内盤面10a,20aの間に形成された内部空間に露呈した状態となっている。
また、図2に良く示されるように、ガイド20の円盤形状の中心部には、軸方向に貫通した軸孔20cが形成されている。この軸孔20cは、図3に良く示されるように、ガイド20とラチェット10とが組み付けられた状態では、ラチェット10の軸孔20cと同軸位置に合わされる。そして、この軸孔20cには、前述した図示しない軸部材が挿通され、ガイド20がこの軸部材によって軸支されるようになっている。この軸部材による支持により、ラチェット10及びガイド20が、互いに同軸回りに相対回動可能な状態とされている。
また、図6に良く示されるように、ガイド20の外盤面20bには、軸孔20cから径方向に離間した位置に、ダボ22a及びDダボ22bが円周方向に並んで形成されている。これらダボ22a及びDダボ22bは、ガイド20の板厚方向への半抜き加工によって外盤面20bから軸方向に突出して形成されており、バックフレーム2fに形成された対応するダボ孔2a及びDダボ孔2bにそれぞれ嵌め込まれるようになっている。ここで、Dダボ22bは、円柱形状の一部が断面D状に切欠かれた形状に形成されており、円柱形状のダボ22aとは形状が区別されるようになっている。これにより、ガイド20を常に定められた向きにしてバックフレーム2fに嵌め込むことができる。そして、これにより、ガイド20の軸孔20cとバックフレーム2fの貫通孔2cとを同軸位置に合わせた状態で、両者を接合することができる。
また、図1に良く示されるように、ガイド20の内盤面20aには、十字形状に軸方向に窪んだ溝部23a〜23dが形成されている。これら溝部23a〜23dは、ガイド20の板厚方向への半抜き加工によって一繋ぎ状に形成されている(図2参照)。このうち、溝部23a,23bは、ポール30a,30bをそれぞれ一の径方向にのみ摺動可能となるように収容することのできる形状として形成されている。また、溝部23c,23dは、押送部材40をポール30a,30bの摺動方向に垂直な一の径方向にのみ摺動可能となるように収容することのできる形状として一連の窪み形状に形成されている。
また、図2に良く示されるように、ガイド20の外盤面20bには、後述するバネ部材60の外端部61を掛着させるためのバネ掛部24が形成されている。このバネ掛部24は、外盤面20bから軸方向に突出する突起状に形成されている。なお、バネ掛部24は、バネ部材60を組み付ける方向(附勢方向)が異なる場合にも対応できるように、予め外盤面20b上の周方向の2箇所に形成されている。
【0018】
次に、ポール30a,30bについて説明する。すなわち、ポール30a,30bは、図1及び図2に良く示されるように、板片状に形成されており、ガイド20の円周方向の軸対称位置に形成された溝部23a,23b内にそれぞれ収容されて配置されている。これにより、各ポール30a,30bは、溝部23a,23bの案内形状に沿って、ガイド20の径方向の内外方に摺動可能とされている。ここで、各ポール30a,30bは、その径方向の外周面に外歯31a,31bがそれぞれ形成されている。したがって、図1に良く示されるように、各ポール30a,30bを径方向の外方に摺動させることにより、各外歯31a,31bをその進行方向に露呈しているラチェット10の内歯11bと噛合させることができる。これにより、噛合状態の各ポール30a,30bを介して、ラチェット10及びガイド20の相対回動が規制された状態となる。すなわち、リクライニング装置4がロックされた状態となる。
また、各ポール30a,30bは、径方向の内側の部位に、脚部32a1,32a2及び脚部32b1,32b2がそれぞれ形成されている。これら脚部32a1,32a2及び脚部32b1,32b2は、各ポール30a,30bが後述する押送部材40によって径方向の外方に押し出される際の押し出され部として機能する。
また、各ポール30a,30bは、径方向の内側の部位が肉抜き状に形成されており、その肉抜きされた形状の一部に掛爪部33a,33bがそれぞれ形成されている。これら掛爪部33a,33bは、各ポール30a,30bが押送部材40によって径方向の内方に引き戻される際の引っ掛け部として機能する。
ここで、各ポール30a,30bは、図3に良く示されるように、ガイド20の溝部23a,23bに収容された状態で、その内盤面20aとラチェット10の内盤面10aとの間に挟持された状態として保持されている。これにより、各ポール30a,30bは、軸方向への移動が規制された状態として保持されている。
【0019】
次に、押送部材40について説明する。すなわち、押送部材40は、図1及び図2に良く示されるように、板片状に形成されており、前述したガイド20の溝部23a,23bと垂直を向く位置に形成された溝部23c,23d内に収容されて配置されている。これにより、押送部材40は、溝部23c,23dの案内形状に沿って、各ポール30a,30bと垂直な径方向に摺動可能とされている。
また、押送部材40の中心部には、軸方向に貫通した貫通孔41が形成されている。この貫通孔41は、後述するカム部材50の腕部52を緩嵌させた状態として収容することのできるカム孔状に形成されている。そして、押送部材40は、この貫通孔41の内部で回動するカム部材50に押圧されることにより、上述した径方向に摺動するようになっている。なお、図1では、押送部材40が紙面内左方向に押送された状態が示されている。
また、図1に良く示されるように、押送部材40の両側面、詳しくは各ポール30a,30bが配置されている両側面には、部分的に径方向に窪んだ形状の窪部42a1,42a2及び窪部42b1,42b2がそれぞれ形成されている。これら窪部42a1,42a2及び窪部42b1,42b2は、押送部材40が左方向に押送される前の状態(図示省略)では、各ポール30a,30bの脚部32a1,32a2及び脚部32b1,32b2をそれぞれ入り込ませた状態としている。この状態では、各ポール30a,30bをラチェット10の内歯11bから径方向の内方位置に退避させた状態として保持することができる。そして、押送部材40が左方向に押送されることにより、各ポール30a,30bの脚部32a1,32a2及び脚部32b1,32b2を窪部42a1,42a2及び窪部42b1,42b2からそれぞれ押し上げて、その脇にある肩部43a1,43a2及び肩部43b1,43b2にそれぞれ乗り上げさせるようになっている。これにより、図1に示されるように、各ポール30a,30bを径方向の外方に押し出して、各外歯31a,31bをその進行方向に露呈しているラチェット10の内歯11bと噛合させることができる。
また、図1に良く示されるように、上記押送部材40の両側面部には、各ポール30a,30bの肉抜き形状に入り込むようにして径方向に突出した形状のフック部44a,44bが形成されている。このフック部44a,44bは、押送部材40を図1に示される状態位置から右方向に摺動させることにより、各ポール30a,30bの掛爪部33a,33bにそれぞれ掬い掛けられて係合する。これにより、上記押送部材40の摺動に伴って各ポール30a,30bを径方向の内方に引き寄せ、各ポール30a,30bとラチェット10との噛合状態を解除させる。
【0020】
次に、カム部材50について説明する。すなわち、カム部材50は、図2に良く示されるように、ピン形状の軸部51と、軸部51に対して径方向に突出した形状の腕部52と、を有する。前者の軸部51は、ガイド20の軸孔20cに挿通されて、軸回動可能に組み付けられる。後者の腕部52は、図1に良く示されるように、ガイド20の内盤面20a上に配置され、押送部材40の貫通孔41の内部に収容された状態として組み付けられる。このカム部材50は、前述した操作レバー(図示省略)と一体に連結されており、同操作レバーと共に回動操作されるようになっている。
また、カム部材50は、図2に良く示されるように、軸部51と一体に設けられた断面方形状のバネ掛部53に、後述するバネ部材60の内端部62が掛着されている。これにより、カム部材50は、常時は、図1に示される反時計回り方向に回動附勢されており、押送部材40を同図に示す左方向に押圧して附勢している。
したがって、リクライニング装置4は、上記カム部材50にかかる附勢力の作用により、操作レバーを解除操作する前の常時は、ロック状態(図1の図示状態)に附勢されて保持されている。そして、上記附勢に抗して操作レバーの解除操作を行うことにより、押送部材40を同図の右方向に押送してリクライニング装置4をアンロック状態に切換えることができる。
【0021】
次に、バネ部材60について説明する。すなわち、バネ部材60は、図2に良く示されるように、公知の巻バネであり、その外端部61が前述したガイド20の外盤面20bに形成されたバネ掛部24の一方に掛着されている。そして、内端部62が、カム部材50のバネ掛部53と掛着されている。これにより、カム部材50を、図1に示される反時計回り方向に回動附勢している。
【0022】
次に、セットプレート70について説明する。すなわち、セットプレート70は、図2に良く示されるように、薄板状の円盤部材がその板厚方向に半抜き加工されることにより、略円筒状(環状)に形成されている。このセットプレート70は、重ね合わせ状に組み付けられるラチェット10とガイド20とを板厚方向に挟み込んで押さえ付ける押さえ部材として機能する。このセットプレート70は、ラチェット10やガイド20よりも板厚が薄く形成されている。
具体的には、セットプレート70は、円周方向に略一様な断面形状を有しており、その断面形状は、図3において詳しく示されている。すなわち、セットプレート70の断面形状は、組付状態のラチェット10及びガイド20の外周縁形状に沿うようにして段差状に形成されている。詳しくは、セットプレート70は、その左端側の垂直面が、ラチェット10の外周縁に沿って半抜き加工されて成る内歯部11の内盤側の周縁面11aに当て交われる外盤保持面71として形成されている。そして、この外盤保持面71からは、内歯部11の外周面に沿うようにして垂直に折り曲げられて水平面が形成されている。そして、そこから更に、ガイド20の囲い部21の内盤側の周縁面21aに沿うようにして垂直に折り曲げられて垂直面が形成されている。この垂直面は、上記囲い部21の内盤側の周縁面21aに当て交われる内盤保持面72として形成されている。そして、更にこの内盤保持面72からは、囲い部21の外周面に沿うようにして垂直に折り曲げられて水平面が形成されている。
そして、上記のように段差状に形成されたセットプレート70は、更にその右端側の水平面が、カシメ処理によって、囲い部21の外盤側の周縁面21bに沿うように垂直に折り曲げられている。これにより、折り曲げられた右端側の垂直面が、囲い部21の外盤側の周縁面21bに当て交われる挟持面73として形成されている。すなわち、セットプレート70は、外盤保持面71と挟持面73とによる挟み込み状の断面形状によって、ラチェット10及びガイド20を板厚方向に挟み込んで押さえ付けている。ここで、外盤保持面71には、部分的に内歯部11の外盤側の周縁面11aに向けて突出する突片71aが形成されている。この突片71aにより、外盤保持面71と内歯部11の外盤側の周縁面11aとを常に定位置(突片71a)で当接させることができるため、挟持面73との間で挟み込み力を安定して作用させることができる。
【0023】
次に、転動部材80について説明する。すなわち、転動部材80は、図1に良く示されるように、ラチェット10の内歯部11に形成された各転動溝13内に転動可能に配されている。これら転動部材80は、図3に良く示されるように、ラチェット10の内歯部11とガイド20の囲い部21との間に介在しており、その外周面を両部材に接触させた状態で設けられている。詳しくは、各転動部材80は、ラチェット10及びガイド20の径方向を向く面と接触している。したがって、図1を参照して、上記構成の転動部材80が円周上の6箇所(3箇所以上)に配されていることにより、ラチェット10が各転動部材80によってガイド20内でそれぞれ径方向の外方から支持される。これにより、ラチェット10は、ガイド20と同軸上の位置に位置決め(センタリング)される。
また、各転動部材80は、円周上の6箇所の位置に均等に配置されており、円周上の軸対称位置において、それぞれに向かい合う対の配置とされている。これにより、ラチェット10は、軸対称に向かい合う各転動部材80によって両端支持される形となり、ガイド20と同軸上の位置に良好に位置決め(センタリング)される。
上記構成の転動部材80は、ラチェット10とガイド20とが相対回動することにより、両部材との接触面上を転動し、各転動溝13内を移動する。具体的に説明すると、図4の実線で示されるように、例えば、各転動部材80が各転動溝13の反時計回り方向の端部(以下、始端部13a)に配置された状態を初期状態とする。そして、この状態から、ラチェット10がガイド20に対して相対的に反時計回り方向(矢印の方向)に回動する相対回動が生じると、転動部材80は、ラチェット10とガイド20との接触面に撫でられるようにして転動溝13内を時計回り方向に転動する。このとき、互いに相対回動するラチェット10とガイド20との間に生じる摩擦抵抗は、これらの間で転動する転動部材80の転がり摩擦によるものが主となる。また、重力等の作用によってラチェット10とガイド20とが径方向に偏心しようとする移動は、前述した各転動部材80による支持によって抑えられる。これにより、両者の相対回動が、互いに偏心のない同軸上の位置にてスムーズに行われるようになる。したがって、上記転動部材80の転動を伴う回動領域sにおいては、ラチェット10及びガイド20の相対回動速度を抑制する制動力が比較的弱く作用する。
そして、転動部材80は、図4の仮想線で示されるように、その転動によって各転動溝13の時計回り方向の端部(以下、終端部13b)に到達すると、転動が止まる。これにより、転動部材80は、ラチェット10の反時計回り方向への相対回動に対してはこれと一体の状態となる。したがって、この状態から更にラチェット10がガイド20に対して相対的に反時計回り方向(矢印の方向)に回動する相対回動が生じると、時計回り方向に相対回動するガイド20と転動が止まった転動部材80とが互いに摺動し、両者の間に摺動摩擦に伴う抵抗力(制動力)が作用する。これにより、転動部材80が転動溝13の終端部13bに到達した後の回動領域tにおいては、ラチェット10及びガイド20の相対回動速度を抑制する制動力が比較的強く作用する。なお、本実施例では、転動部材80が転動溝13の始端部13aから終端部13bに到達するまでの回動角度(回動領域s)が29.1度に設定されている。
【0024】
次に、リクライニング装置4の回動とシートバック2の傾動との関係について、図4と図5とを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、リクライニング装置4の相対回動が許容されている状態として説明をする。ここで、本実施例のシート1には、図示は省略されているが、シートバック2をその前方に向けて回動附勢するリターンスプリングが組み付けられている。このリターンスプリングは、リクライニング装置4の相対回動許容時に、シートバック2を自動的にその前方向に起こし上げることのできる附勢力を備えている。
始めに、シートバック2が略水平な姿勢位置に後倒しされている状態では、図4の実線で示されるように、転動部材80は転動溝13の始端部13aに位置している。そして、この状態から、リターンスプリングの附勢力によってシートバック2が起こし上げられていくと、ラチェット10がガイド20に対して相対的に反時計回り方向(図4の矢印の方向)に回動する相対回動が生じる。そして、シートバック2が起こし上げられていくと、図4の仮想線で示されるように、転動部材80が転動溝13の終端部13bに到達する。このように、本実施例では、転動部材80が転動溝13の終端部13bに到達するまでの回動領域sが、図5に示されるシートバック2の重量モーメント負荷が比較的大きい角度領域xに設定されている。したがって、この領域では、シートバック2の起こし上げ回動を阻害する抵抗力(制動力)の作用が弱いため、リターンスプリングに必要な附勢力が少なくて済む。
そして、リターンスプリングの附勢力によってシートバック2が更に起こし上げられていくと、前述したように、転動が止まった転動部材80によって、ラチェット10とガイド20との間に摺動摩擦に伴う抵抗力(制動力)が作用する。このように、本実施例では、シートバック2の起こし上げ回動に弾みが付き易くなる角度領域y(回動領域t)において、シートバック2の起こし上げ回動を阻害する抵抗力(制動力)を比較的強く作用させてその回動速度を抑制することができる。
【0025】
続いて、本実施例の使用方法を説明する。
すなわち、図5に良く示されるように、シートバック2が略水平な姿勢位置に後倒しされている状態で、リクライニング装置4の相対回動を許容する状態に切換える。これにより、シートバック2は、リターンスプリング(図示省略)の附勢力によって起こし上げられていく。このとき、シートバック2が水平状態から29.1度起こし上げられるまでの角度領域xでは、シートバック2の起こし上げ回動が比較的弾み良く行われる。そして、シートバック2が更に起こし上げられて角度領域xを超えることにより、すなわち角度領域yに入ることにより、転動部材80(図4参照)の摺動摩擦に伴って、シートバック2の起こし上げ回動速度が抑制される。これにより、シートバック2の起こし上げ回動に弾みが付き過ぎないように抑制することができる。
【0026】
このように、本実施例のリクライニング装置4によれば、制動手段である転動部材80をリクライニング装置4の内部に組み込んだことにより、リクライニング装置4を大型化することなくダンパー機構を組み付けることができる。また、発揮させる制動力の強さや境界領域の設定により、リクライニング装置4の相対回動の挙動を種々に調整して使用性を向上させることができる。また、転動部材80を介してラチェット10とガイド20とを円周上の軸対称の6点(3点以上)で支持して互いにセンタリングさせることにより、重力等の作用に伴うラチェット10及びガイド20の偏心移動を抑えることができ、相対回動を円滑化することができる。
【実施例2】
【0027】
続いて、実施例2のリクライニング装置4の構成について、図8を用いて説明する。図8はリクライニング装置4の要部を拡大して表した断面図である。なお、本実施例では、実施例1のリクライニング装置4と実質的に同様の構成及び作用を奏する箇所について、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、ラチェット10に形成された転動溝13の終端部13bが、溝の開口を広げる拡開形状に形成されている。したがって、図8の仮想線で示されるように、転動部材80が転動溝13の終端部13bに到達すると、転動部材80が上記拡開形状の拡開面を成す傾斜面13c上に乗り上げる形となる。これにより、転動部材80がラチェット10とガイド20との接触面に撫でられて時計回り方向に転動しようとする力が、傾斜面13cを通じて、ラチェット10及びガイド20を径方向の内外方に押圧する支持力(分力)として作用するようになる。これにより、転動溝13の終端部13bが垂直に起立した形状のものと比べると、上記支持力をより強く作用させることができる。
【実施例3】
【0028】
続いて、実施例3のリクライニング装置4の構成について、図9を用いて説明する。図9はリクライニング装置4の要部を拡大して表した断面図である。なお、本実施例では、実施例1のリクライニング装置4と実質的に同様の構成及び作用を奏する箇所について、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、転動部材80を転動可能に配する転動溝25がガイド20の囲い部21に形成されている。この転動部材80は、ラチェット10がガイド20に対して相対的に反時計回り方向(矢印の方向)に回動する相対回動が生じると、転動溝25内を反時計回り方向に転動するようになっている。ここで、転動部材80や転動溝25は、実施例1の場合と同様に、円周方向の6箇所の位置に均等に配置されている。
このように、転動溝25をガイド20側に形成して転動部材80を設定しても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態を3つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、上記の各実施例では、本発明の継手装置に相当する構成としてリクライニング装置を例に挙げて説明したが、他の継手構造に適用することもできる。すなわち、同軸上に相対回動可能に配設される回動部材同士を連結するための継手構造であれば、様々なタイプの構成に適用することができる。
また、転動部材や転動溝によってラチェットとガイドとを同軸上の位置に位置決めするには、これらが少なくとも円周上の3箇所以上の位置に配置されていれば良い。また、転動部材や転動溝が円周上に均等に配置されていなくても構わない。なお、転動部材や転動溝が円周上の2箇所もしくは1箇所にしか配置されていなくても構わないが、この場合には、ラチェットとガイドとが同軸上の位置に位置決めされ難くなることに留意が必要である。
また、転動部材は、円筒形状に限定されず、球、楕円球、半球、扁平球、円錐体または卵型等の転動溝内を転動することのできる形状であれば構わない。なお、上記の実施例では、転動部材を転動溝内にそれぞれ単体で配したものを示したが、各転動部材の転動を転動溝内で同期させたり、転動部材が転動溝から外れないように保護したりする保護部材を別途に設けても良い。
また、転動部材をラチェット及びガイドの径方向を向く面と接触させたものを示したが、図10に示されるように、これらの軸方向を向く面と接触させるようにしても良い。同図に示された転動部材80xは、球体により構成されている。但し、この場合の転動部材80xは、ラチェット10及びガイド20を径方向には支持しないため、両者を同軸上の位置に位置決めする機能は果たさない。
また、転動溝の溝幅を狭くして、転動部材が転動しないようにしても良い。但し、この場合には、リクライニング装置の相対回動時には常に摺動摩擦が生じることに留意が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1のリクライニング装置の内部構造を正面視して表した断面図である。
【図2】リクライニング装置の分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB部分を表した要部拡大図である。
【図5】シートの概略構成を表した側面図である。
【図6】ラチェットとクッションフレームとの接合部分を拡大して表した斜視図である。
【図7】ガイドとバックフレームとの接合部分を拡大して表した斜視図である。
【図8】実施例2のリクライニング装置の要部を拡大して表した断面図である。
【図9】実施例3のリクライニング装置の要部を拡大して表した断面図である。
【図10】他の変形実施例としてのリクライニング装置の要部を拡大して表した断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 シート
2 シートバック
2f バックフレーム(回動部材の他方)
2a ダボ孔
2b Dダボ孔
2c 貫通孔
3 シートクッション
3f クッションフレーム(回動部材の一方)
3a ダボ孔
3b Dダボ孔
3c 貫通孔
4 リクライニング装置
4a 回動軸
10 ラチェット(第1継手部材)
10a 内盤面
10b 外盤面
10c 軸孔
11 内歯部
11a 外盤側の周縁面
11b 内歯
11d 歯無面
12a ダボ
12b Dダボ
13 転動溝
13a 始端部
13b 終端部
13c 傾斜面
20 ガイド(第2継手部材)
20a 内盤面
20b 外盤面
20c 軸孔
21 囲い部
21a 内盤側の周縁面
21b 外盤側の周縁面
22a ダボ
22b Dダボ
22c 嵌合部
23a〜23d 溝部
24 バネ掛部
25 転動溝
30a,30b ポール(外歯部材)
31a,31b 外歯
32a1,32b1 脚部
32a2,32b2 脚部
33a,33b 掛爪部
40 押送部材
41 貫通孔
42a1,42b1 窪部
42a2,42b2 窪部
43a1,43b1 肩部
43a2,43b2 肩部
44a,44b フック部
50 カム部材
51 軸部
52 腕部
53 バネ掛部
60 バネ部材
61 外端部
62 内端部
70 セットプレート
71 外盤保持面
71a 突片
72 内盤保持面
73 挟持面
80 転動部材
80x 転動部材
s 回動領域
t 回動領域
x 角度領域
y 角度領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配設された2つの回動部材の間に配置され、該両回動部材の相対回動を許容する状態と相対回動を規制する状態とを有して該両回動部材を連結する継手装置であって、
互いの円盤形状の内盤面同士を重合させるようにして同軸上に相対回動可能に組み付けられる第1継手部材及び第2継手部材と、
当該両継手部材の内盤面の間に配置され径方向の外周面に外歯を有する外歯部材と、を有し、
前記第1継手部材は、前記2つの回動部材の一方と接合されるようになっており、その円盤形状の周縁に沿って前記第2継手部材の内盤面に向けて軸長方向に突出しその突出した内周面に内歯を有する円筒形状の内歯部が形成されており、
前記第2継手部材は、前記2つの回動部材の他方と接合されるようになっており、その円盤形状の周縁に沿って前記第1継手部材の内歯部に外周側から嵌まり込むように軸長方向に突出する円筒形状の囲い部が形成されており、
前記外歯部材は、前記第2継手部材に対してその円周方向への移動が規制されて径方向にのみ移動可能となる状態に組み付けられており、径方向の外方への移動によってその外歯を第1継手部材の内歯と噛合させることで両継手部材の相対回動を規制し、該噛合を解除することで相対回動を許容するようになっており、
前記両継手部材の間には該両継手部材の相対回動許容時に該相対回動速度を変化させる制動手段が設けられており、該制動手段による制動力は前記両継手部材の相対回動が所定の回動領域を超えると変化するようになっていることを特徴とする継手装置。
【請求項2】
請求項1に記載の継手装置であって、
前記制動手段は、前記第1継手部材と第2継手部材との合わせ部に形成された凹状の転動溝内に配される転動部材であり、
該転動部材は、前記両継手部材に接触した状態で設けられ、両継手部材の相対回動に伴って転動溝内を転動するようになっており、
前記所定の回動領域は、前記両継手部材の相対回動によって前記転動部材が転動溝の終端部に到達するまでの回動領域となっており、該所定の回動領域を超えると、回動する一方の継手部材と転動が止まった転動部材との間に摺動摩擦に伴う制動力が作用することを特徴とする継手装置。
【請求項3】
請求項2に記載の継手装置であって、
前記転動部材及び転動溝は、前記第1継手部材の内歯部或いは前記第2継手部材の囲い部における円周上の少なくとも3箇所に配置されていることを特徴とする継手装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の継手装置であって、
前記転動部材及び転動溝は、前記第1継手部材の内歯部或いは前記第2継手部材の囲い部における円周上の軸対称位置に対で配置されることを特徴とする継手装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の継手装置であって、
前記転動溝の終端部は、溝の開口を広げる拡開形状に形成されており、該拡開形状の拡開面を成す傾斜面上に前記転動部材が乗り上げるようになっていることを特徴とする継手装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の継手装置であって、
該継手装置が車両の座席用シートのシートバックの傾き角度を調整するためのリクライニング装置として成ることを特徴とする継手装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−236866(P2007−236866A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67466(P2006−67466)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】