説明

網膜画像による個人認証方式

【課題】網膜画像から盗み撮りが困難でありかつ個人差のある情報を取得して個人認証を行なう。
【解決手段】眼底カメラにより撮影した目の網膜画像に基づき個人認証を行なう。認証すべき個体の目の網膜画像を撮影し、撮影した網膜画像から視神経乳頭および黄斑部の位置を特定し、決定した視神経乳頭および黄斑部の位置に基づき網膜画像を正規化して正規化画像データを取得する。正規化画像データの一部を基準データと比較することにより個人認証を行なう。具体的には、網膜画像の一部を相関法によりマッチングさせて判別する方式、視神経乳頭と黄斑部とを焦点とする測定楕円と血管との交点位置により判別する方法、および黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ直線上の色分布により判別する方法などがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証に関し、特に眼底カメラにより撮影した網膜画像を用いて個人認証を行なう技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、指紋、虹彩、顔等の外面的な特徴から取得した生体情報を用いて個人認証を行なう技術が多数提案されている。しかしながら、これらの技術は、いずれも、例えば付着指紋の抽出や写真撮影により生体情報が容易に盗み取られるという問題を有している。
【0003】
これに対し、網膜の血管パターンはこれらの外面的な特徴とは異なり、目の中に保持されているため、本人の意識しない所での撮影は困難であり、盗み撮りを行なうことは極めて難しいという利点を有する。
【0004】
ところが、従来、網膜画像の撮影には瞳孔を開くための特別な目薬が必要であり、ユーザへの負担が大きく、撮影が非常に困難であった。このため、生体認証方式としては、過去に、赤外線を利用したものが米国で製品化されたことを除いて、ほとんど実用化の対象になっていなかった。
【0005】
上述の米国で製品化されたものは、1985年に製品化がなされた米国Eyedentify社の製品であり、網膜の血管パターンを用いて個人認証を行なうものである。
【0006】
この製品は、網膜の血管パターンを取り込むために赤外線を利用しており、その反射光が示すデータを用いて、登録データと認証データとを比較することで本人判定を行なうものである。この製品の個人認証処理は、概略次のような手順によって行なわれる。
(1)まず、ユーザが装置の中に見える光を見つめて視線を調整する。
(2)次に、視線が固定された状態で赤外線を照射して円形スキャンが行なわれる。
(3)照射された赤外線は、血管部分では吸収され、血管以外の部分では反射されるため、反射光は血管パターンを反映することになる。
(4)反射光を検知することにより読み取られた血管パターンのアナログ信号は、デジタル信号に変換される。
(5)登録時には5回程度の測定を行ない、その平均値が登録データとして保存される。
(6)認証時には、登録時と同様のスキャンが実行され、認証データが登録データと一定の閾値以上一致しているかどうかを比較することで本人判定が行なわれる。
【特許文献1】米国特許第4,109,237号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例の製品においては、登録時や認証時における視線の固定をユーザの動作に依存しており、ユーザが視線をずらすと赤外線によるスキャンエリアがずれてしまい、認証に悪影響を及ぼすという不都合があった。すなわち、上記従来例の製品では、網膜認証にとって視線の固定が絶対的な条件とされていた。
【0008】
また、顔の傾き具合によっては、スキャン結果に回転ずれが発生してしまうため、認証処理中において、このずれを吸収するための処理が必要となり、認証処理が複雑化しかつ認証速度が低下する。これは、上記製品が赤外線を使用しているために血管のみの特定しかできず、認証に使用する場所を自動的に決定することができないことが原因である。
【0009】
近年、瞳孔を開くための特別な目薬を付けることなく網膜画像の撮影が可能な装置が開発・実用化されたことにより、網膜画像の撮影が容易になりつつあり、以前よりも網膜画像を利用した個人認証の実現の可能性が高くなってきていると言える。
【0010】
したがって、本発明の目的は、上述の従来技術における問題点に鑑み、網膜画像を利用して視神経乳頭と黄斑部とを特定するという構想に基づき、ユーザの視線の固定を絶対条件とせずかつ顔の傾き具合などに依存することなく、的確に個人認証を行なうことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
近年、瞳孔を開くための特別な目薬を付けることなく網膜画像の撮影が可能な眼底カメラが開発・実用化されたことにより、網膜画像の撮影が容易になりつつある。したがって、本発明では、網膜画像を利用し、従来の赤外線方式では特定できない特徴的な部位である視神経乳頭と黄斑部とを特定し、これらを基準として用いることで、網膜画像における認証に使用する場所を自動的に決定することを可能にする。すなわち、網膜画像を使った自動での位置決めの実現によって、登録時や認証時におけるユーザの動作への依存や回転ずれの発生を軽減することができる。すなわち、本発明は、網膜画像を使用して位置決めを行ない、個人差のある情報を取得して個人認証を行なうものである。
【0012】
このため、本発明では、眼底カメラで撮影した網膜画像に対して、まず、視神経乳頭と黄斑部との特定を行なう。次に、これらの視神経乳頭と黄斑部との位置を用いて画像の回転ずれなどの正規化を行なう。そして、正規化された網膜画像から個人差のある生体情報を取り出して個人認証を行なう。
【0013】
個人認証に使用する生体情報としては様々なものが考えられるが、本明細書では、以下のものを実施形態として提案する。
(1)撮影された網膜画像の一部を相関法によりマッチングさせて本人・他人の判別を行なうもの。
(2)黄斑部と視神経乳頭とを焦点とする楕円を描き、この楕円と血管との交点位置を用いて本人判定を行なうもの。
(3)網膜画像の黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ直線上の色分布を用いて本人判定を行なうもの。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、網膜画像を利用し、視神経乳頭と黄斑部とを特定してこれらを基準として用いることで、網膜画像内における認証に使用する場所を自動的に決定することが可能となる。つまり、網膜画像を使った自動での位置決めの実現によって、登録時や認証時におけるユーザの動作への依存や回転ずれの発生を軽減することができ、より高い精度で迅速に個人認証を行なうことが可能になる。また、網膜画像は従来の指紋、虹彩、顔等の外面的な特徴とは異なり、目の中に保持されているため、本人の意識しない所での撮影は困難であり、生体情報の盗み撮りを行なうことは極めて困難であり、より信頼性の高い個人認証が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態につき説明する。
図1は、本発明に関わる個人認証方法を行なうための概略の構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施形態に関わる方法は、登録処理段階と認証処理段階から構成される。まず登録処理においては、通常人間である個体101の網膜画像を眼底カメラ103によって撮影する。この眼底カメラ103はカラー画像が撮像可能なものを使用する。眼底カメラ103で撮像した網膜画像はブロック105に与えられ、後に詳細に説明する手順で視神経乳頭の位置を特定する。また、眼底カメラ103で得られた網膜画像はブロック107に与えられて、後に詳細に説明する手順で黄斑部を特定する。
【0017】
次に、ブロック109において、視神経乳頭の位置と黄斑部の位置を使用して、視神経乳頭と黄斑部とが水平になるような角度θを求める。そして、画像を回転させる関数に角度θを入力して画像を回転させ視神経乳頭と黄斑部とが水平になった正規化された画像を得る。
【0018】
ステップ111において、正規化された網膜画像から認証に使用すべき特徴データを抽出して記憶部113に保管することにより、登録処理を完了する。
【0019】
次に、認証処理として上記登録処理と同様の処理を認証すべき個体について行なう。すなわち、認証すべき個体101aの網膜画像を眼底カメラ103aで撮像し、ブロック105aにおいて視神経乳頭を、ブロック107aにおいて黄斑部の位置(座標値)をそれぞれ特定する。そして、このようにして求めた視神経乳頭および黄斑部の位置からブロック109aにおいて正規化された網膜画像を得る。そして、ブロック111aにおいて、正規化された網膜画像から認証に使用すべき特徴データの抽出を行なう。
【0020】
このようにして認証すべき個体から抽出された特徴データは前記登録処理において登録された特徴データと比較される。そして、ブロック117において、登録された特徴データと認証すべき特徴データとの差などの大きさを閾値115と比較して判定する。この比較によって、ブロック119に示されるように、本人・他人を示す認証結果119が得られる。
【0021】
なお、上記各処理は、通常パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサなどのコンピュータを使用して行なわれる。また、認証されるべき個体は通常人間であるが、他の動物でも可能である。
【0022】
次に、図2を参照して、上述の登録処理および認証処理における視神経乳頭の特定方法につき詳細に説明する。まず、眼底カメラによって得られたフルカラー網膜画像201から、赤色(R)成分の画像201Rを取り出し、2値化画像203を得る。ここで、R成分の画像を用いているのは、R成分画像では他の色成分の画像と比べて、視神経乳頭周辺で顕著な濃度値を示す傾向があるためである。
【0023】
次に、2値化画像203内の予め定められた一定の大きさの領域205、例えば181画素×181画素の領域、の画像の濃度値合計を計算する。このような予め定められた大きさの領域205を2値化画像内で順次移動(走査)させながら、各領域内の濃度値合計を順次計算する。このような領域205の移動は、2値化画像203内の一定範囲内で行なう。通常、視神経乳頭が存在する可能性の高い部分を含む一定の領域が選択される。このようにして求めた各領域の濃度値合計の内、最大の濃度値合計を示す場所を検索する。すなわち、最も明るい領域を検索する。そして、濃度値が最大値を示した領域の中心点の座標値を、その原画像の視神経乳頭の位置として認識する。
【0024】
次に、図3を参照して、上述の登録処理および認証処理における黄斑部の特定方法につき説明する。まず、眼底カメラによって得られたフルカラー網膜画像201の網膜211の周辺の余分な部分、通常黒部分、を大きな濃度値、この場合は白、に置き換えて処理画像301を得る。この処理画像301から青色(B)成分の画像を取り出し、B成分画像303を得る。ここで、B成分の画像を用いているのは、B成分の画像では他の色成分の画像と比べて、黄斑部周辺で顕著な濃度値を示す傾向があるためである。
【0025】
次に、B成分画像303内の予め定められた一定の大きさの領域305、例えば101画素×101画素の領域、の画像の濃度値合計を計算する。このような予め定められた大きさの領域305をB成分画像303内で順次移動(走査)させながら、各領域内の濃度値合計を順次計算する。このような領域305の移動は、B成分画像303内の一定範囲内で行なう。通常、黄斑部が存在する可能性の高い部分を含む一定の領域が選択される。このようにして求めた各領域の濃度値合計の内、最小の濃度値合計を示す場所を検索する。すなわち、最も暗い領域を検索する。そして、濃度値が最小値を示した領域の中心点の座標値を、その原画像の黄斑部の位置として特定する。
【0026】
上で述べた視神経乳頭の特定処理で求めた座標値と、黄斑部の特定処理で求めた座標値を使用して、視神経乳頭と黄斑部とが水平になるような角度θを求める。すなわち、視神経乳頭の座標値と黄斑部の座標値とを結ぶ線と水平線との成す角度θを求める。そして、このようにして求めた角度θを画像を回転させる関数に入力して、視神経乳頭と黄斑部とを結ぶ線が水平になるよう回転させた正規化画像を得る。なお、網膜画像を左目から撮影するか右目から撮影するかによって、視神経乳頭と黄斑部の位置が網膜画像上において左右逆になるが、本発明は視神経乳頭と黄斑部が網膜画像上で左右いずれの位置にあっても適用できることは明らかである。
【0027】
以上のようにして得られた正規化網膜画像を使用して認証処理を行なう。認証処理は様々なものが考えられるが、本願においては3つの実施形態を示す。
【0028】
<第1の実施形態>
まず、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態に関わる認証処理につき説明する。第1の実施形態に関わる認証処理は、撮影された網膜画像の一部を相関法によりマッチングさせて判別する方法である。
【0029】
まず、撮影した網膜画像からパターンマッチングに用いる領域の画像を抽出するための位置決めを行なう。すなわち、前述のようにして視神経乳頭および黄斑部の位置を特定する。そして、前述のように視神経乳頭と黄斑部とを結ぶ線が水平になるように、画像を回転させ正規化する。すなわち、回転前の原画像における視神経乳頭の座標値と正規化のための回転角度は前述のようにして既に分かっている。これらの数値を使って、回転後の画像の視神経乳頭の座標値を計算により求め、パターンマッチングに利用する画像を抽出するための位置決め、すなわち視神経乳頭の位置決めを行なう。
【0030】
次に、図5に詳細に示すように、パターンマッチングに用いる画像の抽出を行なう。まず、回転後の画像から緑色(G)成分の画像データを取り出す。そして、このG成分の画像データから、前述のように位置決めの処理により求めた回転後の網膜画像の視神経乳頭の座標値を中心とした一定の領域、例えば192×192画素の画像を抽出する。これは、視神経乳頭を中心に含む所定領域の画像となる。以上の処理を登録用画像および認証用画像の両方において行なう。なお、別の実施形態として、黄斑部を中心に含む領域の画像を用いて認証を行なうことも可能である。
【0031】
次に、図6に示すように、登録処理において得られた登録用画像および認証処理において得られた認証用画像から抽出した画像の両方において、各画素の平均値を計算する。次に、パターンマッチングのために抽出した画像の各画素から先に計算した平均値を引き算する。ここで、認証画像側の抽出画像をS[i,j]、全ての要素がS[i,j]の平均値である行列をSAVG、登録画像の側の抽出画像をF[i,j]、全ての要素がF[i,j]の平均値である行列をFAVGとすると以下の数式1および2がそれぞれの特徴データとなる。

[数1]
S[i,j]−SAVG


[数2]
F[i,j]−FAVG

【0032】
次に、登録用画像および認証用画像から抽出した2つの画像間における相関係数を計算する。ここでは、相関係数を用いているが、相関法によるマッチングは画像信号に対する最も単純なパターンマッチングであり、特徴ベクトルとして濃度値データをそのまま用いる方法である。登録画像と認証画像の特徴データを用いると、相関係数Rは以下の数式3により求めることができる。

[数3]

【0033】
なお、相関係数Rは類似度を表わし、相関係数が大きければ大きい程、2つの画像は類似していることとなる。
【0034】
次に、最大相関係数の検索を行なう。まず、認証すべき網膜画像、すなわち認証画像、において、上述のようにして抽出した最初の抽出画像から1画素だけずらした画像を抽出する。この新たに抽出した認証画像における抽出画像と登録された網膜画像における抽出画像との間の相関係数を計算する。そして、ここで計算した相関係数と最初に求めた相関係数とを比較する。次に、より大きい値を示したものを真の相関係数として保存する。
【0035】
このような処理を、認証画像上の予め定められた走査範囲において順次繰り返し行ない、最も大きな値を示した相関係数を最終的な相関係数とする。
【0036】
このようにして求めた最大相関係数を予め設定しておいた閾値と比較する。そして、最大相関係数が閾値よりも大きい場合は本人と、小さい場合は他人と判定する。この第1の実施形態によれば、画像の回転ずれなどの影響を受けることなく高い精度で個人認証を行なうことができる。
【0037】
<第2の実施形態>
次に、図7〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態に関わる認証処理につき説明する。第2の実施形態に関わる認証処理は、測定楕円を導入して認証を行なうもので、より具体的には黄斑部と視神経乳頭を焦点とする楕円を描き、この楕円と血管との交点位置を用いて判別する方法である。
【0038】
この実施形態では、血管の模様など網膜画像の個人差の出る部分を利用して、本人特定を行なうものである。第1の実施形態の場合と同様に、予め登録処理において登録すべき個体の網膜画像から生体情報の特徴点を抽出しテンプレートとして登録する。そして、認証処理において、認証すべき個体の生体情報の特徴点、この場合は前記楕円と血管との交点位置、を抽出し、これを登録された生体情報の特徴点と照合して両者の類似度を算出することにより真偽の判定を行なうものである。
【0039】
この実施形態においても、登録処理および認証処理の双方において、生体情報を抽出する場所を決めるため、すなわち位置決めのために、黄斑部と視神経乳頭とを原網膜画像の濃度差から抽出する。
【0040】
次に、網膜上の血管パターンの識別のために、黄斑部と視神経乳頭を焦点とする測定楕円を導入し、この楕円と血管との交点を識別する。網膜画像上の血管の輝度値は、その他の部分より輝度値が著しく低いという特性を利用して、楕円上の交点を抽出する。この交点を生体情報の特徴点として、その類似度を比較することにより個人識別を行なう。
【0041】
第2の実施形態に関わる認証処理につきさらに詳細に説明する。まず、登録処理においては、生体情報の各特徴点を抽出し、識別するために、登録すべき個体の目から撮影した網膜画像において、黄斑部と視神経乳頭を抽出する。そして、抽出した黄斑部と視神経乳頭の位置に基づき測定楕円を導入し、該測定楕円と血管の交点から特徴点を測定しかつ登録する。
【0042】
すなわち、図7に示すように、登録すべき個体の目を撮影して得た原網膜画像から黄斑部と視神経乳頭を抽出する。すなわち、黄斑部と視神経乳頭の各座標値を求める。
【0043】
次に、このようにして求めた黄斑部と視神経乳頭の位置を焦点とする所定の測定楕円701を決定する。そして、この測定楕円701と血管との交点をそれぞれu1,u2,・・・,uと名付ける。具体的には、測定楕円701上の輝度値を算出して、該輝度値が他の部分より輝度値が著しく低いという特性を利用する。すなわち、測定楕円上の輝度値が前後の値と比べて著しく低い所を交点u1,u2,・・・,uとして抽出する。
【0044】
図8は、測定楕円に沿った位置をX座標として横軸に取り、縦軸に測定楕円の線上の輝度値を示すグラフである。同図において、グラフに沿った、a1,b1,c1,d1,e1,f1において輝度値が著しく低下しており、これらの点は測定楕円と血管との交点位置に対応する。図8は、一例としてある個体の目から撮影した網膜画像から採取したグラフを本人サンプル1として示すものである。
【0045】
また、図9は、同じ個体の目から異なる時間に撮影した網膜画像から採取した輝度値特性を本人サンプル2として示すものである。図9においても、点a2,b2,c2,d2,e2,f2において輝度値が著しく低くなっており、これらの点は測定楕円と血管との交点と考えられる。
【0046】
さらに、図10は、図8および図9とは異なる個体の目から撮影した網膜画像から採取した測定楕円上の輝度値の変化を他人サンプルとして示すものである。図10において、輝度値が著しく低下している、a3,b3,c3,d3,e3,f3は、測定楕円と血管との交点と考えられる。
【0047】
図8〜図10を見ると、輝度値の低い部分の輝度およびX座標が本人同士、すなわち、本人サンプル1および本人サンプル2、ではほぼ対応している。これに対し、他人サンプルの輝度値の低い部分は、本人サンプル1および本人サンプル2の輝度値の低い部分と輝度の値およびX座標があまり対応していないことが分かる。このような生体情報の特徴点の対応関係を考慮して本人・他人を判定する。
【0048】
実際の判定作業は例えば次のようにして行なう。すなわち、前述のようにして原網膜画像において黄斑部と視神経乳頭の位置を抽出し、画像の補正作業すなわち正規化を行なう。そして、抽出した黄斑部と視神経乳頭との位置を焦点とするある一定の大きさを有する測定楕円を決定する。そして、この測定楕円の線上の輝度値を算出し、輝度値がその周りの輝度に比べて著しく低い点を測定楕円と血管との輝度、すなわち特徴点、として抽出する。この特徴点の位置は個人個人によって違いが出る。この特徴点の座標を比較することにより、個人認証を行なう。
【0049】
一例として、ある2つの個体に関して採取した特徴点の座標を、それぞれ、サンプル座標1およびサンプル座標2として以下の表1および表2に示す。
【0050】

[表1]
サンプル座標1
サンプル番号 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
X座標 500 524 553 769 737 799 876 927
Y座標 562 659 718 850 848 848 822 786

【0051】

[表2]
サンプル座標2
サンプル番号 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
X座標 498 525 557 761 736 790 703 867
Y座標 541 661 724 850 848 849 840 826

【0052】
表1および表2に示されるサンプル座標1およびサンプル座標2の例を見ると、両者のサンプル座標においてサンプル番号(2),(3),(4),(5)および(6)の座標が互いにほぼ一致していることが分かる。したがって、このように両者のサンプル座標において、座標同士が一致する特徴点の数を求める。そして、この特徴点が所定の閾値より大きければ本人と判定し、所定の閾値より小さければ他人と判定する。なお、座標同士の一致する精度を決めるため、ある閾値を設定し、両者の座標値の差がこの閾値より小さい場合に座標が一致したものと判定する。また、X座標およびY座標それぞれについてある閾値を用いて座標の一致を判定し、XおよびY座標が共に一致した場合を座標の一致と判定することができる。あるいは、両者のサンプル座標のXおよびY座標の合計値の差がある閾値より小さくなることを利用して判定してもよい。いずれにしても、両サンプルの座標の一致を判定するためにある閾値を設定し、この閾値に基づき座標が一致する特徴点の数を算出する。
【0053】
さらに、両サンプルの座標が一致した数が十分なものであるか否かを判定するために、座標の一致した数を判定するための別の閾値を設定する。すなわち、要求される認証精度に応じて、この閾値を予め定める。
【0054】
したがって、設定する閾値は、
(1)座標同士の位置のずれ具合を判定するための閾値、および
(2)(1)の閾値によって判定した座標が一致した数が所定数以上であるか否かを判定するため第2の閾値を設定する。
【0055】
なお、上述の説明においては、網膜画像における血管との交点を抽出するために測定楕円を使用したが、この測定楕円は、例えば同じ黄斑部と視神経乳頭とを焦点とする大きさの異なる二重の、すなわち2本の、楕円を使用してもよい。また、3本以上の楕円を使用することも可能である。さらに、楕円以外の形の測定曲線または直線図形を導入することもできる。例えば、楕円に代えて、円、長方形、菱形その他の測定曲線を使用することができる。
【0056】
第2の実施形態によって得られる利点として、網膜画像の測定楕円のような固定線と血管パターンの交点を読むだけで特徴点を抽出することができ、個人認証のための識別アルゴリズムを簡素化し、かつ認証速度を比較的早くすることが可能になる。
【0057】
<第3の実施形態>
次に、図11〜図16を参照して、本発明の第3の実施形態に関わる認証処理につき説明する。第3の実施形態に関わる認証処理は、撮影された網膜画像の黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ直線上の色分布を用いて判別する方法である。
【0058】
この実施形態においても、撮影した網膜画像から黄斑部および視神経乳頭の位置を特定する。そして、黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ線が水平になるように、画像を回転させ正規化する。すなわち、回転前の原網膜画像における視神経乳頭の座標値と正規化のための回転角度は前述のように既に分かっている。これらの数値を使って、回転後の画像の黄斑部および視神経乳頭の座標値を求める。
【0059】
図11に示すように、このようにして求めた黄斑部1105および視神経乳頭1103の位置から、これら両者を結ぶ直線部分1107すなわち測定直線の画像データを取り出す。すなわち、黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ直線上の赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の画像の濃度値を画像データとして抽出する。
【0060】
図12は、ある個体の目を撮影して得たカラー網膜画像における、黄斑部と視神経乳頭とを結んだ測定直線上のRGBおよび輝度(Y)の値の分布の一例を示す。図12において、横軸は黄斑部から視神経乳頭に至る直線上の位置を表す座標であり、縦軸は各画像データの濃度値を示す。
【0061】
図12を参照すると、R,G,BおよびYの値は測定直線に沿って同じように変移している。したがって、RGBおよびY全ての値を用いて個人認証を行なうこともできるが、これらの値が同じように変移しているので、これらのRGBYの内1つの値を用いて個人認証を行なう例を以下に示す。ただし、本発明はRGBYの内1つのみを使用する場合に限られず、これらの値を全て使用した場合、またこれらの値RGBYの内の複数の色のデータを任意に組み合わせて使用する場合も含む。
【0062】
RGBYの内1つの値にて認証を行なう場合は、図12を参照すると、Rは途中で濃度値が255の最大値まで到達しており、一方Bは濃度値が始めは0が続いている。このため、GおよびYの値が測定直線上にわたり最も多くの特徴データを提供できると考えられる。本実施形態では、一例としてGの値にて認証を行なうものとする。
【0063】
図13は、同一人物の網膜画像データにおけるG(緑色)の値を比較して示す。すなわち、図13におけるGM1,GM2およびGM3で示される曲線は、同一人物の目をそれぞれ異なる日時に撮影して得た網膜画像から抽出したGの画像データの一部を示す。図13においても、横軸は黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ直線上の位置を表わす座標であり、縦軸はGの濃度値を示す。
【0064】
図13から明らかなように、各曲線GM1,GM2,GM3は縦方向および横方向に多少のずれはあるが、ほぼ同じ変化傾向を有することが分かる。
【0065】
この場合、同じ網膜(同じ個体)を撮影しても、撮影毎に縦および横方向の多少のずれが生じるために、そのようなずれを許容することが必要である。このため、図14に示すように、縦および横方向のずれ、すなわち誤差、を許容する値、すなわちしきい値(閾値)、の設定が必要となる。なお、図14は、同じ網膜(個体)を異なる日時に撮影して得た網膜画像から抽出した2つのGの画像データの一例を示すものである。
【0066】
本実施形態では、個人認証を行なう場合に、登録処理においてある個体の目から撮影した画像データから抽出したGの値を、認証処理においてある個体の目を撮影して得た網膜画像から抽出したGの値と比較して認証を行なう。すなわち、測定直線上の各座標において、登録されたGの画像データの値と認証すべき個体のGの値とを比較して認証を行なう。測定直線上の全ての画素、あるいは測定直線上にある間隔で設定したポイントにおいて両者のGの値が一致するか否かを判定し、一致したポイントの数が全体の何パーセント以上であるか否かに応じて本人・他人の認証を行なうことができる。このため、両者のGの値が何パーセント以上一致したら本人と認定するというしきい値(閾値)も設定する必要がある。
【0067】
すなわち、本実施形態では、縦および横方向の画像データのずれを許容するしきい値と、本人と認定するためのしきい値の3つを用いると好都合である。ただし、縦および横方向のずれを許容するためのしきい値は、後に説明するような画像データの補正を行なうことにより用いなくてもよい場合もある。
【0068】
上述の3つのしきい値は、あまりそれらの値を大きくしてしまうと、違う網膜(他人)の場合でも本人と認証する誤認証を起こしてしまう可能性がある。また、逆に上記しきい値を小さくしてしまうと、同じ網膜(本人)の場合でも他人と認証してしまうことがある。したがって、これらのしきい値は、実験その他により実際に認証処理を多数のサンプルについて行ない決定していく必要がある。
【0069】
図15は、同じ個体の目から撮影して得た画像データから抽出したGの値の分布を示す。図15における、曲線GM6,GM7は同じ個体を異なる日時に撮影して得た画像データから抽出したGの値の分布を示す。同図から明らかなように、同じ個体から得た画像データでもまれに大きくずれることがある。
【0070】
このような場合は、前述の縦方向のずれを許容するしきい値では吸収しきれないことがある。ただし、図15を見ると、画像データGM6およびGM7は縦方向に大きくずれているが、変移のパターンはほぼ同じである。このような場合には、何らかの補正が必要と考えられる。様々な補正の方法が考えられるが、例として以下の数式を適用して補正を行なうことができる。

[数4]
GM7の値=GM7の値
−((GM7の値の総和/座標の数)−(GM6/の値の総和/座標の数))

【0071】
上記数式4は、両者の画像データの平均値の差を全体により高い濃度値を示している画像データの値から減算して補正を行なうものである。このような補正を行なった結果を図16に示す。図16から明らかなように、このような補正によって両者の画像データがほぼ一致していることが分かる。したがって、認証処理を行なう場合に、登録画像データと認証すべき画像データとが大きくずれている場合には、上述のような補正を行なった後に両者を比較することもできる。
【0072】
この実施形態は、黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ測定直線上の色信号および/または輝度信号のデータの分布の類比によって認証を行なうものである。したがって、血管を抽出せずに、直接RGBYの値にて比較を行なうため、認証処理速度がより速くなると考えられる。
【0073】
なお、上記実施形態では、黄斑部と視神経乳頭とを結ぶ測定直線上の画像データを用いたが、この測定直線に代えて何らかの曲線、折れ線などを用いることもできる。また、黄斑部と視神経乳頭とを基準とした何らかの線図形を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、入出国管理や銀行のATMにおける本人確認などに使用することができ、盗み撮りが難しい生体情報を使用するため、信頼性の高い認証が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係わる個人認証方法を行なうための概略の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】視神経乳頭の特定手順を示す説明図である。
【図3】黄斑部の特定手順を示す説明図である。
【図4】第1の実施形態に関わる認証方法の概略の手順を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態においてパターンマッチングに用いる画像の抽出手順を示す説明図である。
【図6】第1の実施形態における最大相関係数の検索に至るまでの手順を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に関わる認証処理における測定楕円および該測定楕円と血管との交点の一例などを示す説明図である。
【図8】第2の実施形態における本人サンプル1の輝度値データを示すグラフである。
【図9】第2の実施形態における本人サンプル2の輝度値データを示すグラフである。
【図10】第2の実施形態における他人サンプルの輝度値データを示すグラフである。
【図11】本発明の第3の実施形態に関わる認証方法において、認証のための色情報を取得するための測定直線などを示す説明図である。
【図12】第3の実施形態における測定直線上の各色のデータの分布を示すグラフである。
【図13】同一人物のG(緑色)の値の分布を示すグラフである。
【図14】第3の実施形態における、縦および横方向のずれを許容するしきい値を示す説明的グラフである。
【図15】大きなずれのある同一個体の画像データの一例を示すグラフである。
【図16】図15のデータを補正した後の画像データの分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0076】
101,101a 個体
103,103a 眼底カメラ
105,105a 視神経乳頭特定部
107,107a 黄斑部特定部
109,109a 画像正規化部
111,111a 特徴データ抽出部
113 登録データ保管部
115 閾値設定部
117 判定部
119 認証結果出力部
201 原網膜画像
201R R成分画像
203 2値化画像
205 濃度値合計計算領域
207 視神経乳頭
209 黄斑部
211 眼底部
301 処理画像
303 B成分画像
305 濃度値合計計算領域
701 測定楕円
703 黄斑部
705 視神経乳頭
1101 網膜画像
1103 視神経乳頭
1105 黄斑部
1107 測定直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼底カメラにより撮影した目の網膜画像に基づき個人認証を行なう個人認証方法であって、
(a)認証すべき個体の目の網膜画像を撮影し、撮影した網膜画像から視神経乳頭および黄斑部の位置を決定する段階、
(b)前記決定した視神経乳頭および黄斑部の位置に基づき、網膜画像を正規化して、正規化した画像データを取得する段階、
(c)前記正規化した画像データの一部を基準画像データと比較することにより個人認証を行なう段階、
を具備することを特徴とする個人認証方法。
【請求項2】
前記基準画像データは、登録すべき個体の目の網膜画像を撮影し、撮影した網膜画像から視神経乳頭および黄斑部の位置を決定し、かつ決定した視神経乳頭および黄斑部の位置に基づき網膜画像を正規化して得た正規化画像データから求めることを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項3】
撮影した網膜画像から赤色(R)成分の画像データを抽出し、2値化処理を行なう段階、
前記2値化処理された画像データにおいて、一定の大きさの領域を定め、この領域を順次移動させながら、各領域内の画像の画素の濃度値合計を求める段階、
前記濃度値合計が最大になる領域を検索する段階、および
前記濃度値合計が最大値を示した領域の中心点を視神経乳頭の位置と決定する段階、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項4】
撮影した網膜画像における、網膜画像の周辺の余分な黒部分を大きな濃度値、すなわち白、に置き換え、得られた画像データから青色(B)成分の画像データを抽出する段階、
前記抽出したB成分の画像データにおいて、一定の大きさの領域を定め、この領域を順次移動させながら、各領域内の画素の濃度値合計を求める段階、
前記濃度値合計が最小になる領域を特定する段階、および
前記濃度値合計が最小になる領域の中心点を黄斑部の位置と決定する段階、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項5】
認証すべき個体の目および登録すべき個体の目に関して求めた網膜画像の内、視神経乳頭または黄斑部の位置を基準にして定めた所定の部分領域の画像を相関法により互いに比較することによって個人認証を行なうことを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項6】
視神経乳頭を含む所定エリアの画像を使用して個人認証を行なうことを特徴とする請求項5に記載の個人認証方法。
【請求項7】
視神経乳頭の位置を中心とする192×192画素の四角形の領域の画像を使用することを特徴とする請求項6に記載の個人認証方法。
【請求項8】
視神経乳頭を含む所定エリアの画像データの内緑色(G)成分を使用して個人認証を行なうことを特徴とする請求項5〜7の内のいずれか1項に記載の個人認証方法。
【請求項9】
認証すべき個体の目および登録すべき個体の目に関し、視神経乳頭と黄斑部とを焦点とする所定の測定楕円を定め、該測定楕円と血管画像の交点位置を互いに比較することにより個人認証を行なうことを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項10】
網膜画像の血管部分の輝度値が他の部分の輝度値より著しく低いという特性を利用して前記測定楕円と血管画像との交点位置を求めることを特徴とする請求項9に記載の個人認証方法。
【請求項11】
認証すべき個体の目の網膜画像から求めた前記交点位置の座標と、基準となる個体の目の網膜画像から求めた登録された交点位置の座標とを比較し、両者の交点位置が一致した数または割合に基づき個人認証を行なうことを特徴とする請求項9に記載の個人認証方法。
【請求項12】
認証すべき個体の目と登録すべき個体の目に関し、視神経乳頭と黄斑部とを基準として定めた所定の測定曲線と血管画像との交点位置を互いに比較することにより個人認証を行なうことを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項13】
認証すべき個体の目と基準となる個体の目に関して求めた網膜画像における、視神経乳頭と黄斑部とを結ぶ直線上の色分布を互いに比較することにより個人認証を行なうことを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項14】
前記色分布は赤色(R)、緑色(G)、青色(B)および輝度(Y)から選択した1つまたはそれ以上の色の前記直線上の濃度値分布特性を用いることを特徴とする請求項13に記載の個人認証方法。
【請求項15】
前記色分布は緑色(G)の前記直線上の濃度値分布特性を利用することを特徴とする請求項14に記載の個人認証方法。
【請求項16】
認証すべき個体の目と基準とすべき個体の目とに関して求めた網膜画像における、視神経乳頭と黄斑部を結ぶ単一または複数の所定の曲線および/または直線上の色分布に基づき個人認証を行なうことを特徴とする請求項1に記載の個人認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−206536(P2008−206536A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43302(P2007−43302)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 2007年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2007) 主催者名 電子情報通信学会 情報セキュリティ研究専門委員会(ISEC) 開催日 2007年1月23日 (火)〜1月26日 (金)
【出願人】(502283914)学校法人岩崎学園 (1)
【Fターム(参考)】