説明

緊急警報通知システム、デジタル放送受信機、及び緊急警報通知方法

【課題】既存設備を活かしつつ、より確実に緊急警報をユーザに通知できるようにする。
【解決手段】デジタル放送受信機100は、デジタル放送波を受信するチューナ部110と、アナログ電話回線400を介してアナログ電話機と通信可能なモデム部150と、チューナ部110及びモデム部150を制御するCPU140とを具備し、CPU140は、チューナ部110が受信したデジタル放送波から緊急警報情報が検出された場合に、アナログ電話機に対する発呼を行うようモデム部150を制御し、アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、緊急警報情報に基づく音声信号をアナログ電話機に送出するようモデム部150を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急警報を通知する緊急警報通知システム、デジタル放送受信機、及び緊急警報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震や津波等の災害に関する緊急警報を携帯電話網やデジタルテレビジョン放送を用いてユーザに通知する緊急警報通知システムが実用化されている。
【0003】
携帯電話網を用いて緊急警報を通知する緊急警報通知システムでは、緊急警報用のメッセージ(電子メール等)を携帯電話網から携帯電話機に送信し、当該メッセージを受信した携帯電話機は、緊急警報をユーザに提示する。
【0004】
デジタルテレビジョン放送を用いて緊急警報を通知する緊急警報通知システムでは、緊急警報情報を含んだデジタル放送波を放送局から放送し、緊急警報情報を含んだデジタル放送波を受信したデジタル放送受信機は、緊急警報をユーザに提示する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−81087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、携帯電話網を用いて緊急警報を通知する緊急警報通知システムでは、携帯電話機が電波圏外に位置する場合や、携帯電話機の電源がオフである場合には、緊急警報をユーザに通知できない問題があった。
【0007】
また、デジタルテレビジョン放送を用いて緊急警報を通知する緊急警報通知システムでは、デジタル放送受信機が設置されていない場所や停電時には、緊急警報をユーザに通知できない問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、既存設備を活かしつつ、より確実に緊急警報をユーザに通知できる緊急警報通知システム、デジタル放送受信機、及び緊急警報通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る緊急警報通知システム(緊急警報通知システム1)の特徴は、アナログ電話回線(アナログ電話回線400)に接続される少なくとも1つのアナログ電話機(アナログ電話機200)と、前記アナログ電話回線に接続されるデジタル放送受信機(デジタル放送受信機100)とを具備し、前記デジタル放送受信機は、デジタル放送波を受信する放送受信部(チューナ部110)と、前記アナログ電話回線を介して前記アナログ電話機と通信可能な回線通信部(モデム部150)と、前記放送受信部及び前記回線通信部を制御する制御部(CPU140)とを具備し、前記制御部は、前記放送受信部が受信したデジタル放送波から緊急警報情報が検出された場合に、前記アナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御し、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報に基づく音声信号を前記アナログ電話機に送出するよう前記回線通信部を制御することを要旨とする。
【0010】
このような特徴によれば、デジタルテレビジョン放送による緊急警報に基づき、既存のアナログ電話機を用いて緊急警報を通知できる。アナログ電話回線は最も一般的な電話回線であり、広く普及している。また、アナログ電話回線は有線回線であり、アナログ電話機は携帯電話機のように電波圏外にならない。さらに、アナログ電話機は、アナログ電話回線からの給電(いわゆる局給電)によって、停電時でも使用可能であるため、停電時でも緊急警報を通知可能である。従って、上記特徴に係る緊急警報通知システムによれば、既存設備を活かしつつ、より確実に緊急警報をユーザに通知できる。
【0011】
本発明に係る緊急警報通知システムの他の特徴は、上記特徴に係る緊急警報通知システムにおいて、前記デジタル放送受信機は、キーワードを記憶する記憶部(フラッシュメモリ131)をさらに具備し、前記制御部は、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分から、前記記憶部に記憶されたキーワードが検出された場合にのみ、前記アナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御することを要旨とする。
【0012】
このような特徴によれば、通知が必要な緊急警報(すなわち、重要度の高い緊急警報)に限って通知を行うようにすることができる。
【0013】
本発明に係る緊急警報通知システムの他の特徴は、上記特徴に係る緊急警報通知システムにおいて、前記デジタル放送受信機は、アナログ電話機の電話番号をキーワードと対応付けて記憶する記憶部(フラッシュメモリ131)をさらに具備し、前記制御部は、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分から、前記記憶部に記憶されたキーワードが検出された場合に、検出されたキーワードと対応する電話番号を有するアナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御することを要旨とする。
【0014】
このような特徴によれば、緊急警報の内容に応じて当該緊急警報の通知先のアナログ電話機を選択可能になる。
【0015】
本発明に係る緊急警報通知システムの他の特徴は、上記特徴に係る緊急警報通知システムにおいて、前記制御部は、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号を前記アナログ電話機に送出するよう前記回線通信部を制御することを要旨とする。
【0016】
このような特徴によれば、具体的な緊急警報の内容をユーザに通知可能になる。
【0017】
本発明に係る緊急警報通知システムの他の特徴は、上記特徴に係る緊急警報通知システムにおいて、前記制御部は、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号と、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる字幕部分を音声変換して得られた音声信号とを前記アナログ電話機に交互に送出するよう前記回線通信部を制御することを要旨とする。
【0018】
このような特徴によれば、より具体的な緊急警報の内容をユーザに通知可能になる。
【0019】
本発明に係る緊急警報通知システムの他の特徴は、上記特徴に係る緊急警報通知システムにおいて、前記デジタル放送受信機は、前記アナログ電話機が設けられる施設外に設けられることを要旨とする。
【0020】
このような特徴によれば、アナログ電話機が設けられる施設に停電が生じてもデジタル放送受信機の稼動が停止することを回避できるため、より確実に緊急警報をユーザに通知できる。
【0021】
本発明に係るデジタル放送受信機(デジタル放送受信機100)の特徴は、アナログ電話回線(アナログ電話回線400)を介して少なくとも1つのアナログ電話機(アナログ電話機200)に接続されるデジタル放送受信機であって、デジタル放送波を受信する放送受信部(チューナ部110)と、前記アナログ電話回線を介して前記アナログ電話機と通信可能な回線通信部(モデム部150)と、前記放送受信部及び前記回線通信部を制御する制御部(CPU140)とを具備し、前記制御部は、前記放送受信部が受信したデジタル放送波から緊急警報情報が検出された場合に、前記アナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御し、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報に基づく音声信号を前記アナログ電話機に送出するよう前記回線通信部を制御することを要旨とする。
【0022】
本発明に係る緊急警報通知方法の特徴は、アナログ電話回線を介して少なくとも1つのアナログ電話機に接続されるデジタル放送受信機が、デジタル放送波を受信するステップと、前記デジタル放送受信機が、受信したデジタル放送波から緊急警報情報を検出した場合に、前記アナログ電話機に対する発呼を行うステップと、前記デジタル放送受信機が、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報に基づく音声信号を前記アナログ電話機に送出するステップとを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、既存設備を活かしつつ、より確実に緊急警報をユーザに通知できる緊急警報通知システム、デジタル放送受信機、及び緊急警報通知方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態及び第2実施形態に係る緊急警報通知システムの概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態及び第2実施形態に係るデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る緊急警報通知システムの動作を示す動作シーケンス図である。
【図4】第2実施形態に係る緊急警報通知システムの動作を示す動作シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0026】
(1)第1実施形態
第1実施形態では、(1.1)緊急警報通知システムの構成、(1.2)デジタル放送受信機の構成、(1.3)緊急警報通知システムの動作、(1.4)第1実施形態の効果、(1.5)第1実施形態の変更例の順に説明する。
【0027】
(1.1)緊急警報通知システムの構成
図1は、第1実施形態に係る緊急警報通知システム1の概略構成を示す概略構成図である。
【0028】
図1に示すように、緊急警報通知システム1は、デジタル放送受信機100と、複数のアナログ電話機200とを具備する。デジタル放送受信機100と、複数のアナログ電話機200のそれぞれとは、アナログ電話回線400に接続される。
【0029】
デジタル放送受信機100は、デジタルテレビジョン放送波を受信する。デジタルテレビジョン放送波では、映像パケット、音声パケット、データパケットがMPEG2−TS方式に従って多重されている。また、デジタルテレビジョン放送波では、映像パケット、音声パケット、データパケットからなる情報信号以外に、TMCC信号と称される制御信号が含まれている。
【0030】
なお、映像パケットは映像を伝送するためのパケットであり、音声パケットは音声を伝送するためのパケットであり、データパケットは字幕等のデータを伝送するためのパケットである。TMCC信号は、変調方式や符号化率などのパラメータを伝送するための信号である。TMCC信号には、緊急警報放送用起動フラグと称される、緊急警報放送に基づき値が変更されるビットが含まれる。この緊急警報放送用起動フラグの値が“1”である場合、緊急警報放送が行われることから、緊急警報放送用起動フラグによりデジタル放送受信機100を起動することができる。緊急警報放送用起動フラグの詳細については、社団法人電波産業会、地上デジタルテレビジョン放送運用規定 技術資料 ARIB TR-B14 4.1版 (第三分冊)を参照されたい。以下においては、値が“1”である緊急警報放送用起動フラグを「緊急警報情報」と称する。
【0031】
デジタル放送受信機100には、映像を出力するモニタと音声を出力するスピーカとを含む出力装置300が接続される。ただし、出力装置300は、デジタル放送受信機100と一体化されていてもよい。
【0032】
アナログ電話回線400は、アナログ音声信号を伝送する有線の電話回線である。アナログ電話回線400は、局給電と称される仕組みによって、アナログ電話機200に対する給電を行うことができる。
【0033】
アナログ電話機200は、固定型であり、アナログ電話回線400からの局給電によって、停電時でも使用可能である。アナログ電話機200のそれぞれには、固有の電話番号が割り振られている。
【0034】
第1実施形態では、デジタル放送受信機100は、アナログ電話機200と同一施設(例えば家屋又はビル等)内に設けられており、アナログ電話機200と同一地域にあるものとする。
【0035】
(1.2)デジタル放送受信機の構成
図2は、第1実施形態に係るデジタル放送受信機100の構成を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すように、デジタル放送受信機100は、アンテナ10と接続される入力端子101と、アナログ電話回線400と接続されるアナログ電話端子102と、出力装置300と接続される出力端子103とを具備する。また、デジタル放送受信機100は、入力端子101と接続されるチューナ部110と、受光部120と、フラッシュメモリ131と、DRAM132と、CPU140と、アナログ電話端子102と接続されるモデム部150と、出力端子103と接続される映像・音声出力部160とを具備する。チューナ部110、受光部120、フラッシュメモリ131、DRAM132、モデム部150、映像・音声出力部160のそれぞれは、CPU140と接続される。
【0037】
チューナ部110は、入力端子101を介して入力されるデジタルテレビジョン放送波に含まれる情報信号を復調してCPU140に出力する。また、チューナ部110は、入力端子101を介して入力されるデジタルテレビジョン放送波に含まれるTMCC信号に従った受信制御を行う。チューナ部110は、TMCC信号から緊急警報情報を検出した場合に、その旨をCPU140に通知する。なお、第1実施形態においてチューナ部110は、デジタル放送波を受信する放送受信部に相当する。
【0038】
受光部120は、ユーザ操作を受け付けるリモコン20からの赤外線信号を電気信号に変換してCPU140に出力する。
【0039】
フラッシュメモリ131は、CPU140によって実行される制御プログラムや、CPU140における処理で用いられる各種の情報を記憶する。第1実施形態では、フラッシュメモリ131は、少なくとも1つのキーワードを記憶する。当該キーワードは、例えば“マグニチュード7”、“マグニチュード8”といった災害の大きさを示すキーワードや、“関東”“東京”といった地域を示すキーワードである。当該キーワードは、ユーザによって設定されてもよく、デジタル放送受信機100の初期設定と連動させて自動的に設定されてもよい。また、フラッシュメモリ131は、少なくとも1つのアナログ電話機200の電話番号を記憶する。当該電話番号は、ユーザによって設定されてもよい。なお、電話番号には、内線番号が含まれてもよい。第1実施形態においてフラッシュメモリ131は、記憶部に相当する。
【0040】
DRAM132は、CPU140の作業領域として使用される。
【0041】
CPU140は、チューナ部110から入力される情報信号を再生する機能と、デジタル放送受信機100全体を制御する機能とを有する。また、CPU140は、受光部120から入力される電気信号に応じた制御を行う。さらに、CPU140は、緊急警報情報が検出された旨をチューナ部110から通知された場合に、フラッシュメモリ131に記憶されている情報を用いて、後述する制御を行う。第1実施形態においてCPU140は、制御部に相当する。
【0042】
モデム部150は、アナログ電話端子102を介して、アナログ電話回線400との間でアナログ音声信号を入出力する。第1実施形態においてモデム部150は、回線通信部に相当する。
【0043】
(1.3)緊急警報通知システムの動作
図3は、第1実施形態に係る緊急警報通知システム1の動作を示す動作シーケンス図である。
【0044】
図3に示すように、ステップS11において、デジタル放送受信機100のチューナ部110は、デジタルテレビジョン放送波に含まれるTMCC信号から緊急警報情報を検出する。チューナ部110は、緊急警報情報を検出すると、デジタルテレビジョン放送波に含まれる情報信号を復調してCPU140に出力するとともに、緊急警報情報を検出した旨をCPU140に通知する。なお、緊急警報情報が検出された際の情報信号は、緊急放送に対応する映像(映像パケット)・音声(音声パケット)・字幕(データパケット)を含んでいる。
【0045】
ステップS12において、デジタル放送受信機100のCPU140は、緊急警報情報が検出された旨をチューナ部110から通知されると、チューナ部110から入力される情報信号のうち音声パケット及びデータパケットを復号して音声データ及び字幕データを生成し、これらを文字情報に変換する。また、CPU140は、フラッシュメモリ131に記憶されているキーワードを取得し、上記文字情報とのマッチング(一致判定)を行う。CPU140は、上記文字情報にキーワードが含まれる場合に、処理をステップS13に進める。
【0046】
ステップS13において、デジタル放送受信機100のCPU140は、上記音声データをアナログ音声信号に変換する。
【0047】
ステップS14において、デジタル放送受信機100のCPU140は、フラッシュメモリ131に記憶されている電話番号を取得する。そして、CPU140は、当該電話番号を用いて発呼を行うようモデム部150を制御する。
【0048】
ステップS15において、アナログ電話機200は、デジタル放送受信機100からの着呼に応じて呼出し音を出力する。
【0049】
ユーザがアナログ電話機200に対して通話開始操作を行うと、ステップS16において、デジタル放送受信機100とアナログ電話機200との間で呼が確立され、通話可能な状態になる。
【0050】
ステップS17において、デジタル放送受信機100のCPU140は、確立された呼を用いて上記アナログ音声信号を送出するようモデム部150を制御する。アナログ電話機200は、受信したアナログ音声信号を再生して出力する。
【0051】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、デジタル放送受信機100のCPU140は、チューナ部110が受信したデジタル放送波から緊急警報情報が検出された場合に、アナログ電話機200に対する発呼を行うようモデム部150を制御し、アナログ電話機200との間で呼が確立された場合に、緊急警報情報に基づくアナログ音声信号をアナログ電話機200に送出するようモデム部150を制御する。これにより、デジタルテレビジョン放送による緊急警報に基づき、既存のアナログ電話機200を用いて緊急警報を通知できる。アナログ電話回線400は最も一般的な電話回線であり、広く普及している。また、アナログ電話回線400は有線回線であり、アナログ電話機200は携帯電話機のように電波圏外にならない。さらに、アナログ電話機200は、アナログ電話回線400からの給電(いわゆる局給電)によって、停電時でも使用可能であるため、停電時でも緊急警報を通知可能である。従って、緊急警報通知システム1によれば、既存設備を活かしつつ、より確実に緊急警報をユーザに通知できる。
【0052】
また、第1実施形態では、デジタル放送受信機100のCPU140は、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分から、フラッシュメモリ131に記憶されたキーワードが検出された場合にのみ、アナログ電話機200に対する発呼を行うようモデム部150を制御する。これにより、通知が必要な緊急警報(すなわち、重要度の高い緊急警報)に限って通知を行うようにすることができる。特に、第1実施形態では、デジタル放送受信機100はアナログ電話機200と同一施設内に設けられるため、デジタル放送受信機100に設定されるキーワードを任意に決定可能である。
【0053】
さらに、第1実施形態では、デジタル放送受信機100のCPU140は、アナログ電話機200との間で呼が確立された場合に、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号をアナログ電話機200に送出するようモデム部150を制御する。これにより、具体的な緊急警報の内容をユーザに通知可能になる。
【0054】
(1.5)第1実施形態の変更例
第1実施形態では、デジタル放送受信機100のCPU140は、アナログ電話機200との間で呼が確立された場合に、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号を送出するようモデム部150を制御していた。しかしながら、より具体的な緊急警報の内容を通知するためには、当該字幕部分もユーザに通知できることが望ましい。
【0055】
本変更例では、デジタル放送受信機100のCPU140は、アナログ電話機200との間で呼が確立された場合に、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られたアナログ音声信号と、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる字幕部分を音声変換して得られたアナログ音声信号とを交互に送出するようモデム部150を制御する。なお、音声部分から得られたアナログ音声信号及び字幕部分から得られたアナログ音声信号の切り替え間隔は、任意に設定可能である。
【0056】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。以下、(2.1)緊急警報通知システム及びデジタル放送受信機の構成、(2.2)緊急警報通知システムの動作、(2.3)第2実施形態の効果の順に説明する。
【0057】
(2.1)緊急警報通知システム及びデジタル放送受信機の構成
第2実施形態に係る緊急警報通知システム1は、図1と同様に構成される。ただし、第2実施形態では、デジタル放送受信機100は、アナログ電話機200が設けられる施設外(例えば管理センター等)に設けられる。すなわち、デジタル放送受信機100は、必ずしもアナログ電話機200と同一地域にあるとは限らない。
【0058】
第2実施形態に係るデジタル放送受信機100は、図2と同様に構成される。ただし、第2実施形態では、デジタル放送受信機100のフラッシュメモリ131は、アナログ電話機200の電話番号をキーワードと対応付けて記憶する。当該キーワードは、例えば“関東”“東京”といった地域を示すキーワードである。
【0059】
(2.2)緊急警報通知システムの動作
図4は、第2実施形態に係る緊急警報通知システム1の動作を示す動作シーケンス図である。
【0060】
図4に示すように、ステップS21において、デジタル放送受信機100のチューナ部110は、デジタルテレビジョン放送波に含まれるTMCC信号から緊急警報情報を検出する。チューナ部110は、緊急警報情報を検出すると、デジタルテレビジョン放送波に含まれる情報信号を復調してCPU140に出力するとともに、緊急警報情報を検出した旨をCPU140に通知する。なお、緊急警報情報が検出された際の情報信号は、緊急放送に対応する映像(映像パケット)・音声(音声パケット)・字幕(データパケット)を含んでいる。
【0061】
ステップS22において、デジタル放送受信機100のCPU140は、緊急警報情報が検出された旨をチューナ部110から通知されると、チューナ部110から入力される情報信号のうち音声パケット及びデータパケットを復号して音声データ及び字幕データを生成し、これらを文字情報に変換する。また、CPU140は、フラッシュメモリ131に記憶されているキーワードを取得し、上記文字情報とのマッチング(一致判定)を行う。CPU140は、上記文字情報にキーワードが含まれる場合に、処理をステップS23に進める。
【0062】
ステップS23において、デジタル放送受信機100のCPU140は、上記文字情報の中から一致が検出されたキーワードに対応付けられた電話番号をフラッシュメモリ131から取得する。例えば、上記文字情報の中からキーワード“東京”が検出された場合、キーワード“東京”と対応付けられた電話番号(すなわち、東京にあるアナログ電話機200の電話番号)をフラッシュメモリ131から取得する。
【0063】
ステップS24において、デジタル放送受信機100のCPU140は、上記音声データをアナログ音声信号に変換する。
【0064】
ステップS25において、デジタル放送受信機100のCPU140は、ステップS23で取得された電話番号を用いて発呼を行うようモデム部150を制御する。
【0065】
ステップS26において、アナログ電話機200は、デジタル放送受信機100からの着呼に応じて呼出し音を出力する。
【0066】
ユーザがアナログ電話機200に対して通話開始操作を行うと、ステップS27において、デジタル放送受信機100とアナログ電話機200との間で呼が確立され、通話可能な状態になる。
【0067】
ステップS28において、デジタル放送受信機100のCPU140は、確立された呼を用いて上記アナログ音声信号を送出するようモデム部150を制御する。アナログ電話機200は、受信したアナログ音声信号を再生して出力する。なお、第1実施形態の変更例と同様に、CPU140は、上記音声データから得られたアナログ音声信号と、上記字幕データを音声変換して得られたアナログ音声信号とを交互に送出するようモデム部150を制御してもよい。
【0068】
(2.3)第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、第1実施形態で説明した効果に加えて、以下のような効果が得られる。
【0069】
具体的には、デジタル放送受信機100はアナログ電話機200が設けられる施設外に設けられるため、アナログ電話機200が設けられる施設に停電が生じてもデジタル放送受信機100の稼動が停止することを回避できるため、より確実に緊急警報をユーザに通知できる。
【0070】
また、第2実施形態では、デジタル放送受信機100のCPU140は、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分からキーワードが検出された場合に、検出されたキーワードと対応する電話番号を有するアナログ電話機200に対する発呼を行うようモデム部150を制御するため、緊急警報の内容に応じて当該緊急警報の通知先のアナログ電話機200を選択可能になる。
【0071】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は各実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0072】
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態は、相互に組み合わせて実施可能である。具体的には、第1実施形態において、フラッシュメモリ131が、アナログ電話機200の電話番号をキーワードと対応付けて記憶し、CPU140が、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分から、フラッシュメモリ131に記憶されたキーワードが検出された場合に、検出されたキーワードと対応する電話番号を有するアナログ電話機200に対する発呼を行うようモデム部150を制御してもよい。
【0073】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、デジタル放送受信機100は、緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号をアナログ電話機200に送出していた。しかしながら、デジタル放送受信機100は、そのような処理に代えて、予めフラッシュメモリ131に記憶されている、緊急警報情報が検出された旨の音声信号をアナログ電話機200に送出してもよい。
【0074】
さらに、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、デジタル放送受信機100は、外部から供給される電源を用いて駆動されることを想定していたが、デジタル放送受信機100にバッテリを搭載してもよい。この場合、デジタル放送受信機100が設けられる施設に停電が生じても、デジタル放送受信機100の稼動が停止することを回避できる。
【0075】
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、デジタル放送受信機100は、HDD等のコンテンツ蓄積手段を具備していなかったが、HDD等のコンテンツ蓄積手段を具備していてもよい。
【0076】
なお、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、MPEG2−TS方式が採用されるデジタル放送について説明したが、MPEG2−TS方式以外の方式に対して本発明を適用可能である。また、上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、地上波デジタルテレビジョン放送を想定していたが、BSデジタルテレビジョン放送等の他のデジタル放送に対して本発明を適用可能である。
【0077】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0078】
1…緊急警報通知システム、10…アンテナ、20…リモコン、100…デジタル放送受信機、101…入力端子、102…アナログ電話端子、103…出力端子、110…チューナ部、120…受光部、131…フラッシュメモリ、132…DRAM、140…CPU、150…モデム部、160…映像・音声出力部、200…アナログ電話機、300…出力装置、400…アナログ電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ電話回線に接続される少なくとも1つのアナログ電話機と、
前記アナログ電話回線に接続されるデジタル放送受信機とを具備し、
前記デジタル放送受信機は、
デジタル放送波を受信する放送受信部と、
前記アナログ電話回線を介して前記アナログ電話機と通信可能な回線通信部と、
前記放送受信部及び前記回線通信部を制御する制御部とを具備し、
前記制御部は、
前記放送受信部が受信したデジタル放送波から緊急警報情報が検出された場合に、前記アナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御し、
前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報に基づく音声信号を前記アナログ電話機に送出するよう前記回線通信部を制御することを特徴とする緊急警報通知システム。
【請求項2】
前記デジタル放送受信機は、キーワードを記憶する記憶部をさらに具備し、
前記制御部は、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分から、前記記憶部に記憶されたキーワードが検出された場合にのみ、前記アナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の緊急警報通知システム。
【請求項3】
前記デジタル放送受信機は、アナログ電話機の電話番号をキーワードと対応付けて記憶する記憶部をさらに具備し、
前記制御部は、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分及び/又は字幕部分から、前記記憶部に記憶されたキーワードが検出された場合に、検出されたキーワードと対応する電話番号を有するアナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の緊急警報通知システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号を前記アナログ電話機に送出するよう前記回線通信部を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の緊急警報通知システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる音声部分から得られた音声信号と、前記緊急警報情報が検出されたデジタル放送波に含まれる字幕部分を音声変換して得られた音声信号とを前記アナログ電話機に交互に送出するよう前記回線通信部を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の緊急警報通知システム。
【請求項6】
前記デジタル放送受信機は、前記アナログ電話機が設けられる施設外に設けられることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の緊急警報通知システム。
【請求項7】
アナログ電話回線を介して少なくとも1つのアナログ電話機に接続されるデジタル放送受信機であって、
デジタル放送波を受信する放送受信部と、
前記アナログ電話回線を介して前記アナログ電話機と通信可能な回線通信部と、
前記放送受信部及び前記回線通信部を制御する制御部とを具備し、
前記制御部は、
前記放送受信部が受信したデジタル放送波から緊急警報情報が検出された場合に、前記アナログ電話機に対する発呼を行うよう前記回線通信部を制御し、
前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報に基づく音声信号を前記アナログ電話機に送出するよう前記回線通信部を制御することを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項8】
アナログ電話回線を介して少なくとも1つのアナログ電話機に接続されるデジタル放送受信機が、デジタル放送波を受信するステップと、
前記デジタル放送受信機が、受信したデジタル放送波から緊急警報情報を検出した場合に、前記アナログ電話機に対する発呼を行うステップと、
前記デジタル放送受信機が、前記アナログ電話機との間で呼が確立された場合に、前記緊急警報情報に基づく音声信号を前記アナログ電話機に送出するステップと
を具備することを特徴とする緊急警報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−54770(P2012−54770A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195829(P2010−195829)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】