説明

緊急車両支援装置、情報処理装置、緊急車両支援プログラムおよび緊急通報プログラム

【課題】緊急用務のために走行中の車両を迅速かつ安全に踏切を通過させること。
【解決手段】緊急車両支援装置101は、緊急車両Eが踏切RCに接近したことを検出してサーバ102に通知する。このあと、サーバ102は、線路上を走行している列車T内の無線装置D2に対して停止指示を出して、列車Tの運行を一時的に停止させる。また、サーバ102は、緊急車両Eが接近した踏切RCを開放させて、緊急車両Eが踏切RCを通過できるようにする。これにより、踏切RCにより緊急車両Eの通行が妨げられる時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切での緊急車両の走行を支援する緊急車両支援装置、情報処理装置、緊急車両支援プログラムおよび緊急通報プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
線路と道路とが交差する踏切では、列車の通過にともなって、自動車や歩行者の通行が制限される。特に、線路の本数が多い踏切や駅に近い踏切では、遮断機が降りた状態が長時間継続して、自動車や歩行者の通行が長時間制限されることが多い。このような踏切(いわゆる「開かずの踏切」)では、慢性的な渋滞を引き起こすだけでなく、救急車両や消防車両などの緊急車両の通行が制限され、救急医療や消火活動などの緊急を要する用務の遅れを招く原因となっている。
【0003】
従来、自動車事故などの緊急時に、緊急状態にある自動車を支援するための自動車緊急時支援システムがある(たとえば、下記特許文献1参照。)。この自動車緊急時支援システムでは、地上支援ポストを道路近傍に設け、緊急状態にある被支援自動車から緊急情報が送信されると、地上送受信装置により受信し、地上コントローラにより、緊急情報に応じて被支援自動車を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−39245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術によれば、列車の通過にともなって遮断されている踏切での緊急車両に対する対策が不十分であるという問題がある。この結果、依然として、開かずの踏切での緊急車両の通行が長時間制限され、救急医療や消火活動などの遅れを招くという問題がある。
【0006】
なお、上述した特許文献1には、踏切近傍で被支援自動車から緊急情報が送信されると、踏切に接近している列車に停止信号を現示することが記載されている。しかしながら、踏切での信号現示だけでは、列車の運転士が踏切での状況を正確に把握することが難しく、事故と勘違いして列車を急停車させるなど安全性に問題がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、緊急用務のために走行中の車両が迅速かつ安全に踏切を通過することができる緊急車両支援装置、情報処理装置、緊急車両支援プログラムおよび緊急通報プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示の技術は、道路上を走行する車両内の無線装置から第1の信号を受信し、受信された第1の信号に基づいて、前記道路と線路とが交差する踏切に前記車両が接近したことを検出し、前記車両が接近したことが検出された場合、前記線路上を走行する列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置に、前記車両が接近した踏切を特定可能な第2の信号を送信することを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
本緊急車両支援装置、情報処理装置、緊急車両支援プログラムおよび緊急通報プログラムによれば、緊急用務のために走行中の車両が迅速かつ安全に踏切を通過することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】遮断状態にある踏切の一例を示す説明図である。
【図2】本実施の形態にかかる緊急車両支援手法の流れを示すシーケンス図(その1)である。
【図3】本実施の形態にかかる緊急車両支援手法の流れを示すシーケンス図(その2)である。
【図4】本実施の形態にかかる緊急車両支援システムのシステム構成図である。
【図5】本実施の形態にかかる緊急車両支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本実施の形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態にかかる緊急車両支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図8】各時間帯での踏切の遮断時間を示すグラフである。
【図9】本実施の形態にかかるサーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図10】列車運行テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図11】踏切/信号機対応テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図12】緊急車両支援装置の緊急車両支援処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図13】緊急車両支援装置の緊急車両支援処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図14】サーバの緊急通報処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図15】サーバの緊急通報処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる緊急車両支援装置、情報処理装置、緊急車両支援プログラムおよび緊急通報プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(緊急車両支援手法の一実施例)
まず、本実施の形態にかかる緊急車両支援手法の一実施例について説明する。本実施の形態では、緊急用務のために走行中の車両が安全かつ迅速に踏切を通過することができる緊急車両支援手法を提案する。
【0013】
図1は、遮断状態にある踏切の一例を示す説明図である。図1において、列車Tの通過にともなって、道路と線路とが交差する踏切RCが遮断され、緊急車両Eの通行が制限されている。図2および図3は、本実施の形態にかかる緊急車両支援手法の流れを示すシーケンス図である。ここではまず、図2を用いて、遮断状態にある踏切RCを緊急車両Eが通過するための緊急車両支援手法の流れについて説明する。
【0014】
図2において、まず、道路上を走行している緊急車両Eに搭載された無線装置D1により、緊急用務のために走行中であることを示す信号を発信する(ステップS201)。ここで、緊急車両とは、救急車両、消防車両、警察車両、自衛隊車両など緊急用務のために走行中の車両である。
【0015】
このあと、緊急車両支援装置101により、無線装置D1からの信号に基づいて、緊急車両Eが踏切RCに接近したことを検出する(ステップS202)。なお、緊急車両支援装置101は、踏切RCでの交通を制限するための遮断機104を制御する踏切制御装置103に設けられている。
【0016】
そして、緊急車両支援装置101により、列車Tに搭載された無線装置D2と通信可能なサーバ102に、緊急車両Eが踏切RCに接近したことを通知する(ステップS203)。なお、緊急車両支援装置101とサーバ102との通信には、列車Tが走行する線路に沿って敷設されたLCX(漏洩同軸ケーブル)110を利用することができる。
【0017】
つぎに、サーバ102により、線路上を走行している列車T内の無線装置D2に対して停止指示を出して、列車Tの運行を一時的に停止させる(ステップS204)。そして、サーバ102により、緊急車両Eが接近した踏切RCを開放させて、緊急車両Eが踏切RCを通過できるようにする(ステップS205)。
【0018】
このように、本緊急車両支援手法では、緊急車両Eの踏切RCへの接近を検出してサーバ102に通知することにより、列車Tの運行を一時的に停止させて踏切RCを開放することで、踏切RCにより緊急車両Eの通行が妨げられる時間を短縮することができる。
【0019】
つぎに、図3を用いて、緊急車両Eを通過させるために開放した踏切RCを遮断するための緊急車両支援手法の流れについて説明する。
【0020】
図3において、まず、緊急車両Eに搭載された無線装置D1により、緊急用務のために走行中であることを示す信号を発信する(ステップS301)。このあと、緊急車両支援装置101により、無線装置D1からの信号に基づいて、緊急車両Eが踏切RCを通過したことを検出する(ステップS302)。
【0021】
そして、緊急車両支援装置101により、緊急車両Eが踏切RCを通過したことをサーバ102に通知する(ステップS303)。つぎに、サーバ102により、緊急車両Eが通過した踏切RCを遮断させる(ステップS304)。これ以降は、運行管理室からの指示(たとえば、各路線のダイヤの変更)にしたがって、列車Tの運行が再開される。
【0022】
このように、本緊急車両支援手法では、緊急車両Eの踏切RCの通過を検出してサーバ102に通知することにより、緊急車両Eを通過させるために開放した踏切RCを遮断して、列車Tの運行を安全に再開させることができる。
【0023】
(緊急車両支援システム400のシステム構成)
つぎに、緊急車両支援システム400のシステム構成の一例について説明する。図4は、本実施の形態にかかる緊急車両支援システムのシステム構成図である。図4において、緊急車両支援システム400は、緊急車両支援装置101と、サーバ102と、踏切制御装置103と、無線装置D1、D2と、を含む構成である。緊急車両支援システム400において、緊急車両支援装置101と、サーバ102と、踏切制御装置103と、無線装置D1、D2とは、無線または有線のネットワーク410を介して通信可能に接続されている。
【0024】
緊急車両支援装置101は、無線LAN(Local Area Network)などの無線のネットワーク410を介して、緊急車両Eに搭載された無線装置D1から信号を受信する。また、緊急車両支援装置101は、LCX110などの有線のネットワーク410を介して、サーバ102と通信する。
【0025】
サーバ102は、LCX110などの有線のネットワーク410を介して、線路上を走行している列車Tに搭載されている無線装置D2や緊急車両支援装置101や線路上の信号機(不図示)と通信する。サーバ102は、たとえば、列車Tの運行を管理する運行管理室に設置されている。
【0026】
無線装置D1は、無線LANなどの無線のネットワーク410を介して、緊急車両支援装置101に信号(後述する「第1の信号」)を送信する。無線装置D1は、緊急車両Eに搭載されている。なお、第1の信号は、緊急車両Eが緊急用務のために走行中は常時送信されることにしてもよく、また、ユーザの操作入力により任意のタイミングで送信されることにしてもよい。緊急車両Eが緊急用務のために走行中であるときとは、たとえば、緊急車両Eがサイレンを作動させながら走行している場合が相当する。そこで、無線装置D1は、サイレンが作動している場合には第1の信号を送信し続けることにしてもよい。
【0027】
無線装置D2は、LCX110などの有線のネットワーク410を介して、サーバ102と通信する。無線装置D2は、線路上を走行している列車Tに搭載されている。なお、上述した説明では、緊急車両支援装置101は、踏切制御装置103に設けられることにしたが、踏切制御装置103と別体に設けられることにしてもよい。
【0028】
(緊急車両支援装置101のハードウェア構成)
図5は、本実施の形態にかかる緊急車両支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5において、緊急車両支援装置101は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read‐Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、I/F(Interface)504と、操作パネル505と、を備えている。また、各構成部はバス500によってそれぞれ接続されている。
【0029】
ここで、CPU501は、緊急車両支援装置101の全体の制御を司る。ROM502は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。I/F504は、ネットワーク410に接続され、このネットワーク410を介して他の装置に接続される。
【0030】
そして、I/F504は、ネットワーク410と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F504には、たとえばLANアダプタなどを採用することができる。操作パネル505は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
【0031】
(サーバ102のハードウェア構成)
図6は、本実施の形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6において、サーバ102は、CPU601と、ROM602と、RAM603と、磁気ディスクドライブ604と、磁気ディスク605と、光ディスクドライブ606と、光ディスク607と、ディスプレイ608と、I/F609と、キーボード610と、マウス611と、スキャナ612と、プリンタ613と、を備えている。また、各構成部はバス600によってそれぞれ接続されている。
【0032】
ここで、CPU601は、サーバ102の全体の制御を司る。ROM602は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される。磁気ディスクドライブ604は、CPU601の制御にしたがって磁気ディスク605に対するデータのリード/ライトを制御する。磁気ディスク605は、磁気ディスクドライブ604の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0033】
光ディスクドライブ606は、CPU601の制御にしたがって光ディスク607に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク607は、光ディスクドライブ606の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク607に記憶されたデータをコンピュータに読み取らせたりする。
【0034】
ディスプレイ608は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ608は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0035】
I/F609は、通信回線を通じてLAN、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワーク410に接続され、このネットワーク410を介して他の装置に接続される。そして、I/F609は、ネットワーク410と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F609には、たとえばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0036】
キーボード610は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス611は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などをおこなう。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0037】
スキャナ612は、画像を光学的に読み取り、サーバ102内に画像データを取り込む。なお、スキャナ612は、OCR(Optical Character Reader)機能を持たせてもよい。また、プリンタ613は、画像データや文書データを印刷する。プリンタ613には、たとえば、レーザプリンタやインクジェットプリンタを採用することができる。なお、詳細な説明は省略するが、踏切制御装置103、無線装置D1、D2についても緊急車両支援装置101またはサーバ102と同様のハードウェア構成を用いることができる。
【0038】
(緊急車両支援装置101の機能的構成)
つぎに、緊急車両支援装置101の機能的構成について説明する。図7は、本実施の形態にかかる緊急車両支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図7において、緊急車両支援装置101は、受信部701と、検出部702と、送信部703と、判定部704と、制御部705と、を含む構成である。各機能部(受信部701〜制御部705)は、具体的には、たとえば、図5に示したROM502、RAM503などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU501に実行させることにより、または、I/F504により、その機能を実現する。
【0039】
なお、以下の説明では、運行管理対象となる列車Tを「列車T1〜Tm」と表記し、任意の列車を「Tj」と表記する(j=1,2,…,m)。また、列車Tjが走行する線路上の踏切RCを「踏切RC1〜RCn」と表記し、任意の踏切RCを「踏切RCi」と表記する(i=1,2,…,n)。
【0040】
まず、受信部701は、無線LANなどのネットワーク410を介して、道路上を走行する緊急車両Eに搭載された無線装置D1から第1の信号を受信する機能を有する。ここで、第1の信号とは、緊急車両Eが緊急用務のために走行中であることを示す信号である。第1の信号には、たとえば、無線装置D1を識別する識別情報、緊急車両Eの現在位置を示す車両位置情報などが含まれている。また、無線装置D1を識別する識別情報の代わりに、無線装置D1を搭載した緊急車両Eを識別する識別情報が含まれていてもよい。車両位置情報は、たとえば、緊急車両Eに搭載されたGPS(全地球測位システム)により取得された位置情報であってもよいし、GPSによる位置情報をDGPS(Differential GPS)によりさらに補正した位置情報であってもよい。また、たとえば、緊急車両Eに搭載されたジャイロなどに基づき、緊急車両E内のコンピュータが自律測位した位置情報であってもよい。なお、受信された受信結果はRAM503に記憶される。
【0041】
検出部702は、受信された第1の信号に基づいて、踏切RCiに緊急車両Eが接近したことを検出する機能を有する。具体的には、たとえば、検出部702が、緊急車両Eと踏切RCiとの距離dが所定の閾値d未満の場合、踏切RCiに緊急車両Eが接近したことを検出することにしてもよい。
【0042】
ここで、距離dは、たとえば、第1の信号に含まれる車両位置情報と踏切RCiの位置を示す踏切位置情報から求めることができる。なお、踏切位置情報および閾値dは、たとえば、ROM502、RAM503などの記憶装置に記憶されている。また、検出された検出結果はRAM503に記憶される。
【0043】
また、検出部702が、受信された第1の信号の受信強度Iが所定の閾値I以上の場合、踏切RCiに緊急車両Eが接近したことを検出することにしてもよい。なお、閾値Iは、たとえば、ROM502、RAM503などの記憶装置に記憶されている。また、検出部702が、既存の誤り検出技術を利用して、第1の信号から誤りが非検出の場合、踏切RCiに緊急車両Eが接近したことを検出することにしてもよい。さらに、第1の信号に緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを示す情報が含まれている場合は、検出部702が、その情報に基づいて、踏切RCiに緊急車両Eが接近したことを検出することにしてもよい。
【0044】
送信部703は、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことが検出された場合、LCX110などのネットワーク410を介して、サーバ102に第2の信号を送信する機能を有する。ここで、サーバ102とは、線路上を走行する列車Tj内の無線装置D2と通信可能な情報処理装置である。また、第2の信号とは、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを示す信号である。第2の信号は、踏切RCiを特定できる信号であればよい。第2の信号には、たとえば、無線装置D1を識別する識別情報、緊急車両Eの現在位置を示す車両位置情報、緊急車両Eが接近した踏切RCiを識別する踏切IDなどが含まれていてもよい。
【0045】
判定部704は、踏切RCiが遮断されているか否かを判定する機能を有する。具体的には、たとえば、判定部704が、踏切制御装置103から踏切RCiの状態を示す踏切情報を取得して、踏切RCiが遮断されているか否かを判定することにしてもよい。なお、判定された判定結果はRAM503に記憶される。
【0046】
また、送信部703は、踏切RCiが遮断されていると判定され、かつ、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことが検出された場合、第2の信号をサーバ102に送信することにしてもよい。これにより、踏切RCiが開放されているため、緊急車両Eが踏切RCを通過できる場合は、第2の信号をサーバ102に通知しないようにできる。
【0047】
また、判定部704は、第1の信号の受信時刻に基づいて、第2の信号の送信の要否を判定することにしてもよい。一般に、踏切RCiでの遮断状態は、列車Tjの運行状況に応じて長時間継続する時間帯と短時間で開放される時間帯がある。そこで、判定部704が、第1の信号の受信時刻が、踏切RCiでの遮断状態が長時間継続する時間帯に含まれる場合に、第2の信号を送信する必要があると判定することにしてもよい。
【0048】
図8は、各時間帯での踏切の遮断時間を示すグラフである。図8において、踏切RCiの遮断時間Tを示す軸と各時間帯を示す軸とからなる座標系に、各時間帯での踏切RCiの遮断時間Tを示すグラフ800が表示されている。ここで、遮断時間Tは、これ以上踏切RCiでの遮断状態が継続すると、救命救急や消火活動などに重大な問題を招く可能性が高い時間とする。
【0049】
この場合、たとえば、判定部704が、第1の信号の受信時刻が、時間帯t〜tおよび時間帯t〜tに含まれる場合に、第2の信号を送信する必要があると判定することにしてもよい。これにより、救命救急や消火活動などに重大な問題を招かない程度の遮断時間で踏切RCiが開放されると予測される時間帯では、第2の信号をサーバ102に通知しないようにできる。
【0050】
また、判定部704は、第2の信号がサーバ102に送信された結果、踏切RCiが開放されたか否かを判定する機能を有する。具体的には、たとえば、判定部704が、踏切制御装置103から踏切RCiの状態を示す踏切情報を取得して、踏切RCiが開放されたか否かを判定することにしてもよい。
【0051】
また、検出部702は、踏切RCiが開放されたと判定された場合、第1の信号に基づいて、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを検出する機能を有する。具体的には、たとえば、検出部702が、緊急車両Eと踏切RCiとの距離dが所定の閾値d以上の場合、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを検出してもよい。
【0052】
また、検出部702が、受信された第1の信号の受信強度Iが所定の閾値I未満の場合、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを検出してもよい。また、検出部702が、既存の誤り検出技術を利用して、第1の信号から誤りが検出された場合、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを検出してもよい。さらに、第1の信号に緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを示す情報が含まれている場合は、検出部702が、その情報に基づいて、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを検出することにしてもよい。
【0053】
また、送信部703は、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことが検出された場合、LCX110などのネットワーク410を介して、第3の信号をサーバ102に送信する機能を有する。ここで、第3の信号とは、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを示す信号である。第3の信号には、たとえば、緊急車両Eが通過した踏切RCiを識別する踏切IDなどが含まれている。
【0054】
制御部705は、踏切RCiでの交通を制限するための遮断機104を制御する機能を有する。具体的には、たとえば、制御部705が、遮断機104を制御して、遮断機104の遮断棹105(図1参照)を上昇または降下させる。
【0055】
より具体的には、たとえば、制御部705が、第2の信号が送信された結果、サーバ102から踏切RCiの開放指示を受信した場合、遮断機104を制御して、遮断棹105を上昇させて踏切RCを開放する。また、制御部705が、第3の信号が送信された結果、サーバ102から踏切RCiの遮断要求を受信した場合、遮断機104を制御して、遮断棹105を降下させて踏切RCを遮断する。
【0056】
なお、踏切RCiでの障害物(車両、歩行者など)の有無を検知して、遮断機104を制御することにより、踏切RCiでの安全性を向上させることができる。踏切RCiでの障害物を検知するための技術としては、たとえば、特許第4080435号を参照することができる。
【0057】
また、上述した説明では、緊急車両支援装置101と踏切RCiとが一対一で対応する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、1台の緊急車両支援装置101が複数の踏切RCiに対応していてもよい。この場合、緊急車両支援装置101は、緊急車両Eの車両位置情報と踏切RCiの踏切位置情報から、緊急車両Eが接近した踏切RCiを特定することになる。
【0058】
(サーバ102の機能的構成)
つぎに、サーバ102の機能的構成について説明する。図9は、本実施の形態にかかるサーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。図9において、サーバ102は、受信部901と、特定部902と、送信部903と、を含む構成である。各機能部(受信部901〜送信部903)は、具体的には、たとえば、図6に示したROM602、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU601に実行させることにより、または、I/F609により、その機能を実現する。
【0059】
まず、受信部901は、LCX110などのネットワーク410を介して、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを示す第2の信号を受信する機能を有する。第2の信号には、たとえば、無線装置D1を識別する識別情報、緊急車両Eの現在位置を示す車両位置情報、緊急車両Eが接近した踏切RCiを識別する踏切IDなどが含まれている。受信された受信結果は、ROM602、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などの記憶装置に記憶される。
【0060】
なお、第2の信号に含まれる無線装置D1の識別情報を、予め登録されている無線装置D1の識別情報と照合することにより、無線装置D1のユーザを認証することにしてもよい。これにより、不正ユーザが使用する無線装置D1を判断することができる。そして、サーバ102は、第2の信号が、不正ユーザが使用する無線装置D1からの第1の信号に基づく信号の場合、以降の処理を実行しないことにしてもよい。
【0061】
送信部903は、第2の信号が受信された場合、LCX110などのネットワーク410を介して、線路上を走行している列車Tjの停止指示を、列車Tjに搭載されている無線装置D2に送信する機能を有する。なお、運行管理室のサーバ102から列車Tjに対して、各種指示を出すための技術は既存技術のため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0062】
特定部902は、受信された第2の信号に基づいて、線路上の複数の踏切RC1〜RCnの中から、緊急車両Eが接近した踏切RCiを特定する機能を有する。具体的には、たとえば、特定部902が、第2の信号に含まれる踏切IDから、緊急車両Eが接近した踏切RCiを特定することにしてもよい。
【0063】
なお、第2の信号に踏切IDが含まれていない場合、特定部902が、緊急車両Eの車両位置情報を用いて、複数の踏切RC1〜RCnの中から最近傍の踏切RCiを特定することにしてもよい。特定された特定結果は、ROM602、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などの記憶装置に記憶される。
【0064】
また、送信部903は、特定された踏切RCiに向かって走行している列車Tj内の無線装置D2に停止指示を送信することにしてもよい。具体的には、たとえば、まず、特定部902が、図10に示す列車運行テーブル1000を参照して、踏切RCiに向かって走行している列車Tjを特定する。そして、送信部903が、特定された列車Tj内の無線装置D2に停止指示を送信する。
【0065】
図10は、列車運行テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図10において、列車運行テーブル1000は、踏切ID、踏切位置情報および列車IDのフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、踏切RC1〜RCnごとの列車運行情報1000−1〜1000−nがレコードとして記憶されている。なお、列車運行テーブル1000の記憶内容は、列車Tjの運行状況に応じて時々刻々と変化する。
【0066】
ここで、踏切IDとは、踏切RCiを識別する識別子である。踏切位置情報とは、踏切RCiの位置(緯度、経度)を示す情報である。列車IDとは、踏切RCiに向かって走行中の列車Tjを識別する識別子である。一例として、緊急車両Eが接近した踏切RCiを「踏切RC1」とする。
【0067】
この場合、特定部902が、列車運行テーブル1000を参照して、踏切RC1に向かって走行している列車T1、T2、T3を特定する。そして、送信部903が、特定された列車T1、T2、T3に搭載されている無線装置D2に停止指示を送信する。これにより、線路上を走行している全列車の中から、踏切RCiに向かって走行中の列車Tjを絞り込んで停止指示を送信することができる。
【0068】
また、送信部903は、特定された踏切RCiに対応する信号機Skに停止現示の出力指示を送信することにしてもよい。具体的には、たとえば、特定部902が、図11に示す踏切/信号機対応テーブル1100を参照して、踏切RCiに対応する信号機Skを特定する。そして、送信部903が、特定された信号機Skに停止現示の出力指示を送信する。
【0069】
図11は、踏切/信号機対応テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図11において、踏切/信号機対応テーブル1100は、踏切IDおよび信号機IDのフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、踏切RC1〜RCnごとの信号機情報1100−1〜1100−nがレコードとして記憶されている。
【0070】
ここで、踏切IDとは、踏切RCiを識別する識別子である。信号機IDとは、信号機Skを識別する識別子である。一例として、緊急車両Eが接近した踏切RCiを「踏切RC1」とする。この場合、特定部902が、踏切/信号機対応テーブル1100を参照して、踏切RC1に対応する信号機S1、S2を特定する。そして、送信部903が、特定された信号機S1、S2に停止現示の出力指示を送信する。これにより、踏切RCiに向かって走行中の列車Tjに対して停止現示することができる。
【0071】
また、送信部903は、線路上を走行している列車Tjが停止した場合、踏切RCiの開放指示を送信する機能を有する。具体的には、たとえば、送信部903が、LCX110などのネットワーク410を介して、踏切RCiの開放指示を緊急車両支援装置101に送信する。また、送信部903が、LCX110などのネットワーク410を介して、踏切RCiの開放指示を踏切制御装置103に直接送信することにしてもよい。
【0072】
なお、列車Tjが停止したか否かの判断は、たとえば、サーバ102が、列車Tj内の無線装置D2から停止完了を示す信号を受信することで判断することにしてもよい。また、運行管理室の人間が、列車Tjの運転士と直接連絡を取り合うことで確認することにしてもよい。
【0073】
また、受信部901は、LCX110などのネットワーク410を介して、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを示す第3の信号を緊急車両支援装置101から受信する機能を有する。第3の信号には、たとえば、緊急車両Eの車両位置情報や緊急車両Eが通過した踏切RCiを識別する踏切IDなどが含まれている。
【0074】
また、送信部903は、第3の信号が受信された場合、踏切RCiの遮断指示を送信する機能を有する。具体的には、たとえば、送信部903が、LCX110などのネットワーク410を介して、踏切RCiの遮断指示を緊急車両支援装置101に送信する。また、送信部903が、LCX110などのネットワーク410を介して、踏切RCiの遮断指示を踏切制御装置103に直接送信することにしてもよい。
【0075】
また、送信部903は、第3の信号が受信された場合、LCX110などのネットワーク410を介して、踏切RCiに対応する信号機Skに進行現示の出力指示を送信することにしてもよい。具体的には、たとえば、特定部902が、踏切/信号機対応テーブル1100を参照して、踏切RCiに対応する信号機Skを特定する。そして、送信部903が、特定された信号機Skに進行現示の出力指示を送信する。
【0076】
なお、上述した説明では、緊急車両支援装置101の判定部704により踏切RCiが遮断されているか否かを判定することにしたが、これに限らない。具体的には、たとえば、判定部704の機能をサーバ102が有することにしてもよい。この場合、たとえば、送信部903は、第2の信号が受信され、かつ、踏切RCiが遮断されている場合に、列車Tjの停止指示を無線装置D2に送信することにしてもよい。
【0077】
(緊急車両支援装置101の緊急車両支援処理手順)
つぎに、緊急車両支援装置101の緊急車両支援処理手順について説明する。図12および図13は、緊急車両支援装置の緊急車両支援処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0078】
ここではまず、緊急車両Eが踏切RCiに接近した際に、緊急車両支援装置101において実行される緊急車両支援処理について説明する。図12のフローチャートにおいて、まず、受信部701により、緊急車両Eに搭載された無線装置D1から第1の信号を受信したか否かを判断する(ステップS1201)。
【0079】
ここで、第1の信号を受信するのを待って(ステップS1201:No)、受信した場合(ステップS1201:Yes)、検出部702により、受信された第1の信号に基づいて、踏切RCiに緊急車両Eが接近したことを検出する(ステップS1202)。
【0080】
ここで、緊急車両Eの接近が未検出の場合(ステップS1203:No)、ステップS1201に戻る。一方、緊急車両Eの接近が検出された場合(ステップS1203:Yes)、判定部704により、踏切RCiが遮断されているか否かを判定する(ステップS1204)。
【0081】
ここで、踏切RCiが遮断されていない場合、すなわち開放されている場合(ステップS1204:No)、ステップS1201に戻る。一方、踏切RCiが遮断されている場合(ステップS1204:Yes)、送信部703により、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを示す第2の信号をサーバ102に送信して(ステップS1205)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0082】
これにより、緊急車両Eの踏切RCiへの接近を検出してサーバ102に通知することができる。つぎに、図13を用いて、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことをサーバ102に通知したあと、緊急車両支援装置101において実行される緊急車両支援処理について説明する。
【0083】
図13のフローチャートにおいて、まず、受信部701により、サーバ102から踏切RCiの開放指示を受信したか否かを判断する(ステップS1301)。ここで、開放指示を受信するのを待って(ステップS1301:No)、受信した場合(ステップS1301:Yes)、制御部705が、遮断機104を制御して、遮断棹105を上昇させて踏切RCiを開放する(ステップS1302)。
【0084】
このあと、受信部701により、緊急車両Eに搭載された無線装置D1から第1の信号を受信したか否かを判断する(ステップS1303)。ここで、第1の信号を受信するのを待って(ステップS1303:No)、受信した場合(ステップS1303:Yes)、検出部702により、受信された第1の信号に基づいて、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを検出する(ステップS1304)。
【0085】
ここで、緊急車両Eの通過が未検出の場合(ステップS1305:No)、ステップS1303に戻る。一方、緊急車両Eの通過が検出された場合(ステップS1305:Yes)、送信部703により、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを示す第3の信号をサーバ102に送信する(ステップS1306)。
【0086】
このあと、受信部701により、サーバ102から踏切RCiの遮断指示を受信したか否かを判断する(ステップS1307)。ここで、遮断指示を受信するのを待って(ステップS1307:No)、受信した場合(ステップS1307:Yes)、制御部705が、遮断機104を制御して、遮断棹105を降下させて踏切RCiを遮断して(ステップS1308)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0087】
これにより、列車Tjの通過にともなって遮断されている踏切RCiを、緊急車両Eを通行させるために開放することができる。また、緊急車両Eの踏切RCiの通過を検出してサーバ102に通知することにより、緊急車両Eを通過させるために開放した踏切RCiを遮断して、列車Tjの運行を早急に再開させることができる。
【0088】
(サーバ102の緊急通報処理手順)
つぎに、サーバ102の緊急通報処理手順について説明する。図14および図15は、サーバの緊急通報処理手順の一例を示すフローチャートである。ここではまず、緊急車両Eが踏切RCiに接近した際に、サーバ102において実行される緊急通報処理について説明する。図14のフローチャートにおいて、まず、受信部901により、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを示す第2の信号を受信したか否かを判断する(ステップS1401)。
【0089】
ここで、受信部901により、第2の信号を受信するのを待つ(ステップS1401:No)。そして、第2の信号を受信した場合(ステップS1401:Yes)、特定部902により、受信された第2の信号に基づいて、線路上の複数の踏切RC1〜RCnの中から緊急車両Eが接近した踏切RCiを特定する(ステップS1402)。
【0090】
このあと、特定部902により、列車運行テーブル1000を参照して、特定された踏切RCiに向かって走行している列車Tjを特定する(ステップS1403)。また、特定部902により、踏切/信号機対応テーブル1100を参照して、踏切RCiに対応する信号機Skを特定する(ステップS1404)。
【0091】
そして、送信部903により、踏切RCiに対応する信号機Skに停止現示の出力指示を送信する(ステップS1405)。さらに、送信部903により、踏切RCiに向かって走行している列車Tj内の無線装置D2に停止指示を送信して(ステップS1406)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0092】
これにより、緊急車両Eに踏切RCiを通過させるために、線路上を走行している列車Tjを安全かつ迅速に停止させることができる。つぎに、図15を用いて、停止指示を出した列車Tjが停止したか否かの安全確認が完了したあと、サーバ102において実行される緊急通報処理について説明する。
【0093】
図15のフローチャートにおいて、まず、送信部903により、踏切RCiの開放指示を緊急車両支援装置101に送信する(ステップS1501)。このあと、受信部901により、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを示す第3の信号を緊急車両支援装置101から受信したか否かを判断する(ステップS1502)。
【0094】
ここで、第3の信号を受信するのを待って(ステップS1502:No)、受信した場合(ステップS1502:Yes)、送信部903により、踏切RCiの遮断指示を緊急車両支援装置101に送信する(ステップS1503)。さらに、送信部903により、踏切RCiに対応する信号機Skに進行現示の出力指示を送信して(ステップS1504)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0095】
これにより、緊急車両Eを通過させるために開放した踏切RCiを遮断して、列車Tjの運行を早急に再開させることができる。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態にかかる緊急車両支援装置101によれば、緊急車両Eの踏切RCiへの接近を検出して、第2の信号をサーバ102に送信することにより、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを運行管理室に通知することができる。これにより、列車Tjの運行を一時的に停止させて踏切RCiを安全に開放して、踏切RCiにより緊急車両Eの通行が妨げられる時間を短縮することができる。
【0097】
また、本実施の形態にかかる緊急車両支援装置101によれば、踏切RCiが遮断されている場合に限り、第2の信号をサーバ102に送信することができる。これにより、踏切RCiでの緊急車両Eの通行が妨げられない場合は、緊急車両Eの踏切RCiへの接近を運行管理室に通知しないようにできる。
【0098】
また、本実施の形態にかかる緊急車両支援装置101によれば、緊急車両Eの踏切RCiの通過を検出して、第3の信号をサーバ102に送信することにより、緊急車両Eが踏切RCiを通過したことを運行管理室に通知することができる。これにより、緊急車両Eを通過させるために開放した踏切RCiを遮断して、列車Tjの運行を早急に再開させることができる。
【0099】
また、本実施の形態にかかるサーバ102によれば、緊急車両Eが踏切RCiに接近したことを示す第2の信号を受信した場合、列車Tjの停止指示を無線装置D2に送信することができる。これにより、踏切RCiを開放するために、線路上を走行している列車Tjを早急に停止させることができる。
【0100】
このように、本実施の形態にかかる緊急車両支援装置、情報処理装置、緊急車両支援プログラムおよび緊急通報プログラムによれば、開かずの踏切などを緊急車両が迅速かつ安全に通過することができるようになり、救急医療や消火活動などの緊急用務を迅速に行うことができる。
【0101】
なお、本実施の形態で説明した緊急車両支援方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本緊急車両支援プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本緊急車両支援プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0102】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0103】
(付記1)道路上を走行する車両内の無線装置から第1の信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された第1の信号に基づいて、前記道路と線路とが交差する踏切に前記車両が接近したことを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記車両が接近したことが検出された場合、前記線路上を走行する列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置に、前記車両が接近した踏切を特定可能な第2の信号を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする緊急車両支援装置。
【0104】
(付記2)前記踏切が遮断されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記判定手段によって前記踏切が遮断されていると判定され、かつ、前記車両が前記踏切に接近したことが検出された場合、前記第2の信号を前記情報処理装置に送信することを特徴とする付記1に記載の緊急車両支援装置。
【0105】
(付記3)前記判定手段は、前記第2の信号が送信された結果、前記踏切が開放されたか否かを判定し、
前記検出手段は、前記判定手段によって前記踏切が開放されたと判定された場合、前記第1の信号に基づいて、前記車両が前記踏切を通過したことを検出し、
前記送信手段は、前記検出手段によって前記車両が通過したことが検出された場合、第3の信号を前記情報処理装置に送信することを特徴とする付記1または2に記載の緊急車両支援装置。
【0106】
(付記4)前記踏切での道路上を走行する車両の交通を制限するための遮断機を制御する制御手段をさらに備え、
前記受信手段は、前記第2の信号が送信された結果、前記情報処理装置から前記踏切の開放指示を受信し、
前記制御手段は、前記受信手段によって前記踏切の開放指示が受信された場合、前記遮断機を制御して、前記踏切を開放することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の緊急車両支援装置。
【0107】
(付記5)前記受信手段は、前記第3の信号が送信された結果、前記情報処理装置から前記踏切の遮断指示を受信し、
前記制御手段は、前記受信手段によって前記踏切の遮断指示が受信された場合、前記遮断機を制御して、前記踏切を遮断することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の緊急車両支援装置。
【0108】
(付記6)線路上を走行している列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置であって、
道路上を走行中の車両が前記線路と前記道路とが交差する踏切に接近したことを示す信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記信号が受信された場合、前記列車の停止指示を前記無線装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0109】
(付記7)前記受信手段によって受信された信号に基づいて、前記線路上の複数の踏切の中から前記車両が接近した踏切を特定する特定手段を備え、
前記送信手段は、前記特定手段によって特定された踏切に向かって走行している列車内の無線装置に当該列車の停止指示を送信することを特徴とする付記6に記載の情報処理装置。
【0110】
(付記8)前記情報処理装置は、信号機を制御する装置と通信可能に接続されており、前記送信手段は、さらに、前記特定手段によって特定された踏切に対応する前記信号機に停止現示の出力指示を送信することを特徴とする付記7に記載の情報処理装置。
【0111】
(付記9)コンピュータを、
道路上を走行する車両内の無線装置から第1の信号を受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第1の信号に基づいて、前記道路と線路とが交差する踏切に前記車両が接近したことを検出する検出手段、
前記検出手段によって前記車両が接近したことが検出された場合、前記線路上を走行する列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置に、前記車両が接近した踏切を特定可能な第2の信号を送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする緊急車両支援プログラム。
【0112】
(付記10)線路上を走行している列車内の無線装置と通信可能なコンピュータを、
道路上を走行中の車両が前記線路と前記道路とが交差する踏切に接近したことを示す信号を受信する受信手段、
前記受信手段によって前記信号が受信された場合、前記列車の停止指示を前記無線装置に送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする緊急通報プログラム。
【符号の説明】
【0113】
101 緊急車両支援装置
102 サーバ
103 踏切制御装置
104 遮断機
105 遮断棹
701、901 受信部
702 検出部
703、903 送信部
704 判定部
705 制御部
902 特定部
1000 列車運行テーブル
1100 踏切/信号機対応テーブル
D1、D2 無線装置
E 緊急車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を走行する車両内の無線装置から第1の信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された第1の信号に基づいて、前記道路と線路とが交差する踏切に前記車両が接近したことを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記車両が接近したことが検出された場合、前記線路上を走行する列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置に、前記車両が接近した踏切を特定可能な第2の信号を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする緊急車両支援装置。
【請求項2】
前記踏切が遮断されているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記送信手段は、
前記判定手段によって前記踏切が遮断されていると判定され、かつ、前記車両が前記踏切に接近したことが検出された場合、前記第2の信号を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の緊急車両支援装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記第2の信号が送信された結果、前記踏切が開放されたか否かを判定し、
前記検出手段は、
前記判定手段によって前記踏切が開放されたと判定された場合、前記第1の信号に基づいて、前記車両が前記踏切を通過したことを検出し、
前記送信手段は、
前記検出手段によって前記車両が通過したことが検出された場合、第3の信号を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1または2に記載の緊急車両支援装置。
【請求項4】
線路上を走行している列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置であって、
道路上を走行中の車両が前記線路と前記道路とが交差する踏切に接近したことを示す信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記信号が受信された場合、前記列車の停止指示を前記無線装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
道路上を走行する車両内の無線装置から第1の信号を受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第1の信号に基づいて、前記道路と線路とが交差する踏切に前記車両が接近したことを検出する検出手段、
前記検出手段によって前記車両が接近したことが検出された場合、前記線路上を走行する列車内の無線装置と通信可能な情報処理装置に、前記車両が接近した踏切を特定可能な第2の信号を送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする緊急車両支援プログラム。
【請求項6】
線路上を走行している列車内の無線装置と通信可能なコンピュータを、
道路上を走行中の車両が前記線路と前記道路とが交差する踏切に接近したことを示す信号を受信する受信手段、
前記受信手段によって前記信号が受信された場合、前記列車の停止指示を前記無線装置に送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする緊急通報プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−128901(P2011−128901A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286879(P2009−286879)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】