説明

緑化ブロック

【課題】背面日射による熱が植栽部へ伝達することを抑制できる緑化ブロックを提供する。
【解決手段】基本ブロック部10と緑化基盤材保持部20とからなり、緑化基盤材保持部20は上保持部21と下保持部22と保持部背面23とからなり、上保持部21は側面視前方先端が下方に突出した鉤形であり、下保持部22は側面視前方先端が上方に突出した鉤形であり、上保持部21には灌水ホース溝24が形成されており、下保持部22には排水溝25が形成されており、保持部背面23には空間保持溝23が形成されている緑化ブロックAである。緑化基盤材保持部20に緑化基盤材Sを挿入しブロック塀Xに植栽を施すことができる。緑化基盤材保持部20と緑化基盤材Sとの接触面積を少なくして空気層を確保することができ、背面日射による熱が緑化基盤材Sへ伝達することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化ブロックに関する。さらに詳しくは、ブロック塀として施工でき、かつ植栽が可能な緑化ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートアイランド現象の緩和や景観の向上のために、壁面緑化への関心が高まっており、都市部を中心に壁面緑化の施工面積が増加している。
そのため壁面緑化に関する提案が多数なされており、壁面を構成するコンクリートブロックに植栽機能を持たせた緑化ブロックも種々のものが提案されている。
【0003】
その緑化ブロックの一例として特許文献1に記載の緑化ブロックがある。図14に示すように、特許文献1に記載の緑化ブロックは、基本ブロック111の一方の面に長手方向に連通する空胴114と、この空胴114の上部側を外部に連通させる窓115と、空胴114の上部に給水パイプ118を設けた構造としたものである。この空洞114に、天然繊維の袋に土壌などを詰めて構成したカセット116が挿入され、カセット116の土壌を利用して植栽することにより、壁面緑化を可能としている。
【0004】
しかるに、特許文献1に記載の緑化ブロックは、この緑化ブロックを用いて施工されたブロック塀への背面日射による熱の影響を考慮していないため、背面日射により上昇したブロックの熱がカセット116に植栽された植物に伝わり、植物の生育に悪影響を及ぼすという問題がある。
また、給水パイプ118を全てのブロックに設置しなければならないため、施工に手間がかかり、給水設備も煩雑なものとなるうえ、製造コストやメンテナンスコストが高くなるという問題がある。
さらに、空洞114の上部側にしか窓115が設けられていないため、植栽面積が狭いものであるし、その窓115の構造から製造が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−37377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、背面日射による熱が植栽部へ伝達することを抑制できる緑化ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の緑化ブロックは、基本ブロック部と該基本ブロック部の正面に設けられた緑化基盤材保持部とからなり、前記緑化基盤材保持部は上保持部と下保持部と保持部背面とからなり、前記上保持部は、側面視前方先端が下方に突出した鉤形であり、底面には灌水ホース溝が形成されており、前記下保持部は、側面視前方先端が上方に突出した鉤形であり、上面には排水溝が形成されており、前記保持部背面は前記基本ブロック部の正面と一体となっていることを特徴とする。
第2発明の緑化ブロックは、基本ブロック部と該基本ブロック部の正面に設けられた緑化基盤材保持部とからなり、前記緑化基盤材保持部は上保持部と保持部背面とからなり、前記上保持部は、側面視前方先端が下方に突出した鉤形であり、底面には灌水ホース溝が形成されており、前記保持部背面は前記基本ブロック部の正面と一体となっていることを特徴とする。
第3発明の緑化ブロックは、基本ブロック部と該基本ブロック部の正面に設けられた緑化基盤材保持部とからなり、前記緑化基盤材保持部は下保持部と保持部背面とからなり、前記下保持部は、側面視前方先端が上方に突出した鉤形であり、上面には排水溝が形成されており、前記保持部背面は前記基本ブロック部の正面と一体となっていることを特徴とする。
第4発明の緑化ブロックは、第1発明において、前記上保持部の側面に上下に連通する上排水孔が形成されており、前記下保持部の側面に上下に連通する下排水孔が形成されており、前記下排水孔は前記排水溝と接続しており、前記上排水孔は前記下排水孔と平面視同位置に形成されていることを特徴とする。
第5発明の緑化ブロックは、第4発明において、前記排水溝が前記下排水孔に向かって下がる勾配を有することを特徴とする。
第6発明の緑化ブロックは、第1,第2,第3,第4または第5発明において、前記保持部背面には空間保持溝が形成されていることを特徴とする。
第7発明の緑化ブロックは、第1,第2,第3,第4,第5または第6発明において、前記基本ブロック部と前記緑化基盤材保持部が、保水性材料により成形されていることを特徴とする。
第8発明の緑化ブロックは、第1,第2,第3,第4,第5,第6または第7発明において、前記基本ブロック部に空洞部が形成されており、該空洞部に断熱材が挿入されていることを特徴とする。
第9発明の緑化基盤材は、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7または第8発明の緑化ブロックの緑化基盤材保持部に挿入可能な板状の緑化基盤材であり、該緑化基盤材の正面上縁が前記緑化基盤材保持部の上保持部の前方先端に係止されるように窪んで成形され、正面下縁が前記緑化基盤材保持部の下保持部の前方先端に係止されるように窪んで成形されることにより、側面視前方に突出した凸型をしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、基本ブロック部の正面に緑化基盤材保持部が設けられているので、緑化ブロックをブロック塀として施工できるとともに、緑化基盤材保持部に緑化基盤材を挿入し、その緑化基盤材に植物を植えることによりブロック塀に植栽を施すことができる。また、緑化基盤材保持部には灌漑ホース溝、排水溝が形成されているので、緑化基盤材保持部と緑化基盤材との接触面積を少なくして空気層を確保することができ、背面日射により上昇した緑化ブロックの熱が緑化基盤材へ伝達することを抑制できるうえ、緑化基盤材を空気に触れさせることで、緑化基盤材に植栽された植物の根の呼吸を促進することができる。さらに、上保持部の底面に灌水ホース溝が形成されているので、灌水ホース溝に灌水ホースを設置することができ、緑化基盤材に水を供給することができる。
第2発明によれば、基本ブロック部の正面に上保持部が設けられているので、緑化ブロックをブロック塀の最上段に施工すれば、この上保持部と下段の緑化ブロックの下保持部との間に緑化基盤材を挿入し、その緑化基盤材に植物を植えることによりブロック塀に植栽を施すことができる。
第3発明によれば、基本ブロック部の正面に下保持部が設けられているので、緑化ブロックをブロック塀の最下段に施工すれば、この下保持部と上段の緑化ブロックの上保持部との間に緑化基盤材を挿入し、その緑化基盤材に植物を植えることによりブロック塀に植栽を施すことができる。
第4発明によれば、下排水孔が排水溝と接続しているので、灌水ホースから供給された水は排水溝を流れて下排水孔から下方に排水することができる。また、上排水孔は下排水孔と平面視同位置に形成されているので、緑化ブロックを上下に施工すれば、上段の緑化ブロックの下排水孔と下段の緑化ブロックの上排水孔とが接続し、上段の緑化ブロックから排水された水が下段の緑化ブロックに供給される。そのため、灌水ホースを上段の緑化ブロックに設置するだけで、下段の緑化ブロックにも水を供給することができるので、ブロック塀の施工が容易であり、給水設備も簡易なものとすることができる。
第5発明によれば、排水溝が下排水孔に向かって下がる勾配を有するので、灌水ホースから供給された水を素早く下排水孔に排水することができる。
第6発明によれば、緑化基盤材保持部には灌漑ホース溝、排水溝に加えて、空間保持溝が形成されているので、緑化基盤材保持部と緑化基盤材との接触面積を少なくして空気層を確保することができ、背面日射により上昇した緑化ブロックの熱が緑化基盤材へ伝達することを抑制できるうえ、緑化基盤材を空気に触れさせることで、緑化基盤材に植栽された植物の根の呼吸を促進することができる。
第7発明によれば、基本ブロック部も緑化基盤材保持部も保水性材料により成形されているので、灌水ホースから供給された水が緑化ブロックに染み渡り、その水分の気化熱により緑化ブロックの温度上昇を抑制することができ、緑化基盤材への熱の伝達を抑え植物への熱の影響を少なくできる。
第8発明によれば、基本ブロック部に形成された空洞部に断熱材が挿入されているので、背面日射により上昇した緑化ブロック背面の熱が、緑化ブロック正面に保持されている緑化基盤材へ伝達することを抑制することができる。
第9発明によれば、緑化基盤材の正面上縁と正面下縁とが緑化基盤材保持部に係止されるように窪んで成形されているので、緑化基盤材はその正面上縁と正面下縁とで緑化基盤材保持部に係止され脱落することがない。また、緑化基盤材は側面視前方に突出した凸型をしているので、上保持部の前方先端と下保持部の前方先端との間にも緑化基盤材が挟まるようになり、下保持部の足がかりを小さくし、ブロック塀の防犯性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る緑化ブロックAに緑化基盤材Sを挿入した場合の右側面図である。
【図2】同緑化ブロックAの右側面図である。
【図3】同緑化ブロックAの左側面図である。
【図4】同緑化ブロックAの正面図である。
【図5】同緑化ブロックAの平面図である。
【図6】緑化ブロックAで施工したブロック塀Xの正面図である。
【図7】同ブロック塀Xの右側面図である。
【図8】同ブロック塀Xの平面図である。
【図9】緑化ブロックAに側面視長方形の緑化基盤材Sを挿入し、緑化基盤材Sの前面にメッシュMを挿入した場合の右側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る緑化ブロックBの右側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る緑化ブロックCの右側面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る緑化ブロックDの右側面図である。
【図13】緑化ブロックB,C,Dで施工したブロック塀Yの右側面図である。
【図14】従来技術の緑化ブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1から図5に示すように、本発明の第1実施形態に係る緑化ブロックAは、主に基本ブロック部10とその正面に設けられた緑化基盤材保持部20とからなる。
基本ブロック部10は外形的には直方体である。特許請求の範囲に記載の「基本ブロック」には、塀用ブロックや擁壁用ブロックなど、積み上げて固定する種々のブロックが含まれるが、本実施形態では塀用ブロックを用いている。本実施形態の基本ブロック部10はその上下面および左右側面に半円形の溝が形成されている。この溝は、緑化ブロックAをブロック塀として施工する際に、鉄筋を通してモルタルやコンクリートを充填するなどしてブロック塀を強固にするためのものである。
【0011】
図3および図5に示すように、基本ブロック部10の中央には空洞部11が形成されており、その空洞部11は基本ブロック部10の左側面に開口し、右側壁に向って形成されている。右側壁では数cm位の壁を残してもよく、右側面まで貫通してもよい。そして、この開口から、空洞部11に発泡成形材などの断熱材が挿入できるようになっている。
【0012】
緑化基盤材保持部20も外形的には直方体であり、正面視において基本ブロック部10と同一の寸法を有している。緑化基盤材保持部20は上保持部21と下保持部22と保持部背面23とからなる。上保持部21は、側面視において前方先端が下方に突出した鉤形であり、基本ブロック部10の正面上縁に設けられている。一方、下保持部22は、側面視において前方先端が上方に突出した鉤形であり、基本ブロック部10の正面下縁に設けられている。また、保持部背面23は基本ブロック部10の正面と一体となっている。すなわち、緑化基盤材保持部20全体では側面視C字型をしており、おおよそ上下対称の形状をしている。
【0013】
上保持部21および下保持部22は緑化ブロックAの幅方向に水平な板状となっており、上保持部21の上面および下保持部22の底面は平面となっている。そして、緑化ブロックAの正面視では、上部に上保持部21の前方先端面が、下部に下保持部22の前方先端面が位置し、それらの中間は緑化基盤材保持部20内部が外側と連通するように開かれた形状となっている。
また、緑化基盤材保持部20の左右両側面には壁面などが設けられておらず、緑化ブロックAの幅方向においても緑化基盤材保持部20内部が外側と連通するように開かれた形状となっている。
【0014】
上保持部21の底面には灌水ホース溝24が緑化ブロックAの幅方向に沿って形成されており、後述する灌水ホースHを挿入できるようになっている。一方、下保持部22の上面には排水溝25が緑化ブロックAの幅方向に沿って形成されている。また、保持部背面23には2本の空間保持溝26が緑化ブロックAの幅方向に沿って形成されている。すなわち、緑化基盤材保持部20の内側には灌水ホース溝24、排水溝25、空間保持溝26の多数の溝が形成されている。
なお、本実施形態では、空間保持溝26を2本としているが、これを1本としてもよいし、より多数本としてもよい。
【0015】
図3に示すように、上保持部21の側面には上下に連通する上排水孔27が形成されており、下保持部22の側面にも上下に連通する下排水孔28が形成されている。
本実施形態では、上排水孔27および下排水孔28は、それぞれ上保持部21および下保持部22の左側面にのみ溝状に形成されており、緑化ブロックAを横並びに施工すると、隣り合う緑化ブロックAの一方の上排水孔27および下排水孔28と他方の上保持部21および下保持部22の右側面とで、上下に連通する孔が構成されるようになっている。
また、下排水孔28は排水溝25と接続しており、排水溝25はその下排水孔28に向かって下がる勾配を有している。
【0016】
さらに、図5に示すように、上排水孔27は下排水孔28と平面視同位置に形成されている。そのため、緑化ブロックAを上下に施工すれば、上段の緑化ブロックAの下排水孔28と下段の緑化ブロックAの上排水孔27とが接続するようになっている。
【0017】
図6から図8に示すように、上記形状を有する緑化ブロックAを縦横に並べることによりブロック塀Xとして施工することができる。ブロック塀Xとして施工する際には、基本ブロック部10の上下面および左右側面に形成された半円形の溝に鉄筋を通してモルタルやコンクリートを充填するなどしてブロック塀Xを強固にする。このとき、空洞部11には断熱材が挿入されているので、空洞部11にモルタルなどが侵入することはなく、基本ブロック部10の内部に断熱材が封入されるようになる。
【0018】
緑化ブロックAを横並びに施工すると、隣り合う緑化基盤材保持部20同士が連結し、ブロック塀Xの幅方向に連続した長尺の緑化基盤材保持部20が形成される。この緑化基盤材保持部20には緑化基盤材Sを挿入することができる。
【0019】
緑化基盤材Sとしては、形状保持性のある土壌が用いられ、例えば特開2005−102578号公報に記載された緑化用資材が用いられる。
緑化基盤材Sは緑化基盤材保持部20に挿入できるように成形されている。具体的には緑化基盤材Sは板状をしており、図1に示すように、側面視において、緑化基盤材Sの正面上縁が上保持部21の前方先端に係止されるように窪んで成形されるとともに、正面下縁が下保持部22の前方先端に係止されるように窪んで成形され、前方に突出した凸型に成形されている。なお、図6に示すように、緑化基盤材Sの幅寸法は緑化ブロックAの幅寸法に関係なく、それより長くても、短くても良い。これは、前述のとおり、ブロック塀Xとして施工した場合には、隣り合う緑化ブロックAの緑化基盤材保持部20同士が連結し、幅方向に連続した長尺の緑化基盤材保持部20が形成されるからである。
【0020】
この緑化基盤材Sを緑化基盤材保持部20に挿入し、その緑化基盤材Sに植物を植えることによりブロック塀Xに植栽を施すことができる。このとき、緑化基盤材Sは緑化基盤材保持部20の側面から挿入してもよいし、緑化基盤材Sとして弾力性のあるものを用いれば、緑化基盤材保持部20の正面から挿入することもできる。
緑化基盤材Sは正面上縁と正面下縁とが上保持部21および下保持部22に係止されるように窪んで成形されているので、緑化基盤材Sは正面上縁と正面下縁とで緑化基盤材保持部20に係止され、別途固定部材などを使用せずとも、緑化基盤材保持部20から脱落することがない。
【0021】
また、図1に示すように、緑化基盤材Sは側面視前方に突出した凸型をしているので、上保持部21の前方先端と下保持部22の前方先端との間にも緑化基盤材Sが挟まった状態となり、下保持部22の前方先端面と緑化基盤材Sの前面との間の足がかりaが小さくなる結果、ブロック塀Xの防犯性を高くすることができる。
【0022】
なお、図9に示すように、緑化基盤材Sを側面視長方形に成形し、これを緑化基盤材保持部20に挿入した実施形態としてもよい。また、緑化基盤材Sの前面に線材で構成されたメッシュMを挿入することにより緑化基盤材Sの土壌が流出したり、緑化基盤材S自体が脱落しないようにしてもよい。
【0023】
図7に示すように、ブロック塀Xの最上段の緑化ブロックAには、灌水ホース溝24に灌水ホースHが挿入される。したがって、灌水ホースHは最上段の緑化基盤材Sの上方に位置することになる。
灌水ホースHは、金属製やゴム製などのホースであり、一定間隔で点滴穴30が設けられており、灌水ホースHに水を通すと点滴穴30から水が滴下されるようになっている。
【0024】
図6に示すように、灌水ホースHの点滴穴30から滴下された水は、まず最上段の緑化基盤材Sに供給される。そして緑化基盤材Sから下方に透過した水は排水溝25を流れ、下排水孔28から下方に排水される。このとき、排水溝25は下排水孔28に向かって下がる勾配を有するので、排水溝25を流れる水を素早く下排水孔28に排水することができる。そして、前述の通り上段の緑化ブロックAの下排水孔28と下段の緑化ブロックAの上排水孔27とは接続されているので、上段の緑化ブロックAから排水された水は下段の緑化ブロックAの緑化基盤材Sに供給される。
このように、最上段から下段に向かって順々に水が供給されるようになっているため、灌水ホースHは全段に設置する必要がなく、最上段と、必要に応じて一部の段の緑化ブロックAに設置するだけでよく、その結果ブロック塀Xの施工が容易となり、給水設備も簡易なものとすることができる。
【0025】
図1に示すように、緑化基盤材保持部20には灌漑ホース溝24、排水溝25、空間保持溝26が形成されているので、緑化基盤材保持部20と緑化基盤材Sとの接触面積を少なくするとともに、両者の間に空気層を確保することができる。そのため、ブロック塀Xへの背面日射により上昇した緑化ブロックAの熱が緑化基盤材Sへ伝達することを抑制することができる。そして、緑化基盤材Sを空気に触れさせることができるので、緑化基盤材Sに植栽された植物の根の呼吸を促進することができる。
【0026】
また、前述の通り基本ブロック部10の内部に断熱材が封入されているので、この断熱材においても、背面日射により上昇した緑化ブロックA背面の熱が、緑化ブロックA正面に保持されている緑化基盤材Sへ伝達することを抑制することができる。
【0027】
さらに、緑化ブロックAを保水性材料により成形すれば、灌水ホースHから供給された水が緑化ブロックAに染み渡り、その水分の気化熱により緑化ブロックAの温度上昇を抑制することができ、緑化基盤材Sへの熱の伝達を抑え植物への熱の影響を少なくできるので好適である。
保水性材料としては、例えば、多孔質天然砕石、多孔質セラミック粒状物、コンクリートに単一粒度の骨材を配合することで微細な密隙を成形するコンクリート骨材としての使用材料などを用いることができる。
【0028】
(第2実施形態)
図10に示すように、本発明の第2実施形態に係る緑化ブロックBは、第1実施形態の緑化ブロックAにおいて、上保持部21と下保持部22が緑化基盤材保持部20の上下中央に設けられた形状をしている。
より詳細には、下保持部22は上保持部21の上部に位置し、下保持部22の底面と上保持部21の上面とが一体となるように形成されている。その結果、上保持部21と下保持部22とを合わせれば側面視T字型をしている。その余の構成は緑化ブロックAと同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
(第3実施形態)
図11に示すように、本発明の第3実施形態に係る緑化ブロックCは、第1実施形態の緑化ブロックAの上下中央から上半分のみの形状をしている。
より詳細には、基本ブロック部10および緑化基盤材保持部20共に、緑化ブロックAの半分の高さであり、緑化基盤材保持部20は上部保持部21と保持部背面23とからなり、下保持部22がない。その余の構成は緑化ブロックAと同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
(第4実施形態)
図12に示すように、本発明の第4実施形態に係る緑化ブロックDは、第1実施形態の緑化ブロックAの上下中央から下半分のみの形状をしている。
より詳細には、基本ブロック部10および緑化基盤材保持部20共に、緑化ブロックAの半分の高さであり、緑化基盤材保持部20は下部保持部22と保持部背面23とからなり、上保持部21がない。その余の構成は緑化ブロックAと同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
図13に示すように、上記緑化ブロックB,C,Dを用いてブロック塀Yを施工することができる。ブロック塀Yは、最上段が緑化ブロックC、最下段が緑化ブロックD、それ以外の段が緑化ブロックBで構成される。ブロック塀Yの施工も第1実施形態に係るブロック塀Xと同様に、基本ブロック部10の上下面および左右側面に形成された半円形の溝に鉄筋を通してモルタルやコンクリートを充填することにより行われる。
【0032】
ブロック塀Yでは、最上段の緑化ブロックCの上保持部21と、その下段の緑化ブロックBの下保持部22との間に緑化基盤材Sが挿入できるようになる。また、最下段の緑化ブロックDの下保持部22と、その上段の緑化ブロックBの上保持部21との間に緑化基盤材Sが挿入できるようになる。さらに、上下に積み上げられた緑化ブロックBにおいて、上段の緑化ブロックBの上保持部21と下段の緑化ブロックBの下保持部22との間にも緑化基盤材Sが挿入できるようになる。
【0033】
このように、緑化基盤材Sを挿入し、その緑化基盤材Sに植物を植えることによりブロック塀Yに植栽を施すことができる。また、ブロック塀Yは、ブロック塀Xが有する他の効果も同様に奏することができる。
【符号の説明】
【0034】
A,B,C,D 緑化ブロック
S 緑化基盤材
H 灌水ホース
M メッシュ
X,Y ブロック塀
10 基本ブロック部
11 空洞部
20 緑化基盤材保持部
21 上保持部
22 下保持部
23 保持部背面
24 灌水ホース溝
25 排水溝
26 空間保持溝
27 上排水孔
28 下排水孔
30 点滴穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本ブロック部と該基本ブロック部の正面に設けられた緑化基盤材保持部とからなり、
前記緑化基盤材保持部は上保持部と下保持部と保持部背面とからなり、
前記上保持部は、側面視前方先端が下方に突出した鉤形であり、底面には灌水ホース溝が形成されており、
前記下保持部は、側面視前方先端が上方に突出した鉤形であり、上面には排水溝が形成されており、
前記保持部背面は前記基本ブロック部の正面と一体となっている
ことを特徴とする緑化ブロック。
【請求項2】
基本ブロック部と該基本ブロック部の正面に設けられた緑化基盤材保持部とからなり、
前記緑化基盤材保持部は上保持部と保持部背面とからなり、
前記上保持部は、側面視前方先端が下方に突出した鉤形であり、底面には灌水ホース溝が形成されており、
前記保持部背面は前記基本ブロック部の正面と一体となっている
ことを特徴とする緑化ブロック。
【請求項3】
基本ブロック部と該基本ブロック部の正面に設けられた緑化基盤材保持部とからなり、
前記緑化基盤材保持部は下保持部と保持部背面とからなり、
前記下保持部は、側面視前方先端が上方に突出した鉤形であり、上面には排水溝が形成されており、
前記保持部背面は前記基本ブロック部の正面と一体となっている
ことを特徴とする緑化ブロック。
【請求項4】
前記上保持部の側面に上下に連通する上排水孔が形成されており、
前記下保持部の側面に上下に連通する下排水孔が形成されており、
前記下排水孔は前記排水溝と接続しており、
前記上排水孔は前記下排水孔と平面視同位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の緑化ブロック。
【請求項5】
前記排水溝が前記下排水孔に向かって下がる勾配を有する
ことを特徴とする請求項4記載の緑化ブロック。
【請求項6】
前記保持部背面には空間保持溝が形成されている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の緑化ブロック。
【請求項7】
前記基本ブロック部と前記緑化基盤材保持部が、保水性材料により成形されている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の緑化ブロック。
【請求項8】
前記基本ブロック部に空洞部が形成されており、
該空洞部に断熱材が挿入されている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載の緑化ブロック。
【請求項9】
請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の緑化ブロックの緑化基盤材保持部に挿入可能な板状の緑化基盤材であり、
該緑化基盤材の正面上縁が前記緑化基盤材保持部の上保持部の前方先端に係止されるように窪んで成形され、正面下縁が前記緑化基盤材保持部の下保持部の前方先端に係止されるように窪んで成形されることにより、側面視前方に突出した凸型をしている
ことを特徴とする緑化基盤材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−130691(P2011−130691A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291691(P2009−291691)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】