説明

緑茶種を含む抽出物および方法

本発明は、超臨界CO抽出法によって調製される緑茶種植物材料の抽出物に関する。一態様では、本発明は、図6〜25のいずれかの実時間直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む緑茶種抽出物に関する。さらなる一実施形態では、抽出物は、精油、ポリフェノール、多糖、およびそれらの組合せからなる群から選択される化合物を含む。さらなる一実施形態では、精油は、n−ヘキサデカン酸、テトラデカン酸、9−ヘキサデカノール、1−ウンデカノール、1−ヘキサデカノール、オレイルアルコール、9−オクタデセン−1−オール、ノナデカノール、およびそれらの組合せからなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,178号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、緑茶種の抽出物、連続抽出工程を使用するそれらの調製方法、およびそれらの処理法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
茶は、約4000年前に中国南部で始まり、世界人口の3分の2以上によって消費されている。茶は、魅力的な香り、優れた味、および健康増進作用を有しており、それによって水に次いで世界で最も人気のある飲料となっている。早くも紀元前3000年前には、茶は中国人によって薬用飲料として使用された。茶の医学的用途は、明王朝(16世紀)の間に書かれた古代中国薬局方「Ben Cao Gang Mo」に記録された。茶の源は、植物学名カメリアシネンシス(Camellia sinensis)である。今やまさに数百もの茶がC.シネンシスの葉から生成され、一般に、非発酵性緑茶、部分発酵ウーロン、および完全発酵紅茶の3つの主なカテゴリーに分類されている。
【0004】
ツバキ科の一員であるカメリアシネンシスは、30フィートの高さに成長することがある常緑の低木または樹木である。しかし茶葉の栽培では、通常1〜5フィートの高さに剪定される。この植物は、栽培され新芽として選択的に摘み取られる濃い緑で毛様の楕円形から卵形の葉を付けて、大量に枝分かれする。古い葉は、一般に質が劣るとみなされている。
【0005】
緑茶および紅茶は両方、植物学名カメリアシネンシスに由来するが、2種の茶を区別するのは、葉の処理である。紅茶の場合、葉を摘み取った後に萎れさせ、次いで丸める。これらの葉を発酵させ、茶ポリフェノール(カテキン)をフロバフェンに変換し、芳香環を形成する。発酵は、ポリフェノール酸化堆積物を含む葉の酵素が、茶ポリフェノール、特にカテキン[1]と反応する際に生じる。緑茶製造の場合、新芽を酸化させることは認められていない。その代わり、葉を蒸すことにより酸化酵素を不活性化させて、茶カテキンを保存する。
【0006】
緑茶葉の化学構成成分には、ポリフェノール、メチルキサンチン、アミノ酸、有機酸、炭水化物、タンパク質、リグニン、脂質、クロロフィルおよび他の色素、灰分、ならびに精油が含まれる。表1[2、3(非特許文献1、非特許文献2)]参照。商業的かつ生物学的な点からみて、ポリフェノールおよびカフェインは、従来他の構成成分よりも重要であるとみなされてきた。しかしテアニン、精油、および水溶性−エタノール不溶性多糖などの他の化学構成成分は、生物学的に有益な重要な作用を有することが、近年示されてきた(以下の概略参照)。
【0007】
【表1】

緑茶は、乾燥質量%で30〜42%のポリフェノールを含有する。最も生物学的に有益な活性を有するとも報告されているこれらのポリフェノールの大部分は、「カテキン」として知られるフラボノールである。主なカテキンには、以下の(−)−エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−カテキンガレート(CG)、およびエピカテキン(EC)が含まれる。最も高濃度のものは、高いものから順にEGCG、EGC、ECG、ECである。(+)−ガロカテキン(GC)、(−)−ガロカテキンガレート(GCG)、(−)−カテキンガレート(CG)、および(+)−カテキン(C)を含む他のカテキンは少量存在する。カテキンの多くの有益な生物学的作用が研究されてきた。それらには、抗酸化活性、抗変異原作用、抗発癌作用、ニトロソ化阻害、ならびに正常細胞への作用ではなく腫瘍および不死化細胞の増殖を抑制する作用が含まれる。しかし、他の化学構成成分の群も、生物学的に有益な作用を示している。例えば、精油(EO)化学構成成分は、抗酸化活性、抗ぜんそく活性、抗菌活性、抗ウィルス活性、抗癌活性、免疫増強活性、血糖降下活性、脂質低下活性、抗炎症活性、抗皮膚炎活性、抗座瘡活性、抗アテローム性動脈硬化活性を有する。テアニン(T)は、不安軽減活性および気分高揚活性、認識促進活性、抗癌活性、脳虚血および卒中からの神経保護、ならびに減量活性を有する。さらに、緑茶多糖(P)は、抗酸化活性および酸素フリーラジカル捕捉活性、抗糖尿病活性、ならびに免疫増強活性を有する。
【0008】
最近の科学的調査および臨床試験は、緑茶の化学構成成分の治療的価値を簡潔にまとめるために、以下を含む緑茶の様々な化合物、化学画分、および抽出生成物全体の以下の治療効果を示している。強力な抗酸化、酸素フリーラジカル捕捉、およびニトロソ化阻害(EO、カテキン−主にECGCおよびECG、P、抽出物)[4〜7(非特許文献1〜4)];抗変異原活性(EO、カテキン、抽出物)[7(非特許文献4)〜12];正常細胞への作用のない抗発癌性活性(EO、カテキン、T、抽出物)[7(非特許文献4)〜13];皮膚保護(EO、カテキン、P、抽出物)[8、10、11、14、15];抗心臓血管疾患(EO、カテキン、抽出物)[4〜7(非特許文献1〜4)、16、17];抗脂質異常症(抽出物)[16];抗脳卒中および脳の保護(EO、カテキン、T、P、抽出物)[18、19];抗歯周病(抽出物)[20];抗骨粗鬆症(抽出物)[21];免疫促進(抽出物)[22];抗ウィルス、抗HIV、および抗菌(EO、カテキン、抽出物)[23];減量および熱産生(カテキン、カフェイン、T、抽出物)[23、24];抗加齢(カテキン−ECGC、抽出物)[23];不安軽減、気分高揚剤、および向知性薬(T、抽出物)[25、26];ならびに抗糖尿病(P、抽出物)[27]。
【0009】
緑茶は、非常に高用量でも一般的に安全であり毒性はないが、緑茶飲料および医薬品の消費による潜在的な転帰には、不整脈、胃腸障害、および神経過敏、全般性不安、不眠症によって現れるカフェイン毒性などのカフェイン関連障害の発症がある。さらにカフェインの過剰消費は、ストレスおよびストレス関連ホルモン放出を増大する。過剰のカフェインが消費される場合、血圧が上昇する恐れがあり、心臓発作および卒中の危険性が高まる。
【0010】
現在利用可能な抽出プロセスに包括的な選択性が欠如していることを考慮すると、現在利用可能な緑茶製品はそれらの化学組成物に関して疑わしい点がある。
【非特許文献1】Lin Y−Lら、J Agric Food Chem(1996)44:1387−1394
【非特許文献2】Lu Hら、Drug Metab Dispos(2003)31:452−461
【非特許文献3】Chen Hら、J Agric Food Chem(2004)52(11): 3333−3336
【非特許文献4】Chen C−WおよびHo CT. J Food Lipids(1995)2:35−46
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、これらの相乗的に[14,28]作用する、標準的で信頼性のある量の生理的かつ医学的に有益な緑茶化学構成成分で製造することができる、精製済み精油、高いECGCのカテキン、テアニン、および多糖化学構成成分画分を組み合わせた、低カフェイン濃度の新規かつ再生産可能な緑茶抽出組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、本発明は、図6〜25のいずれかの実時間直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む緑茶種抽出物に関する。
【0013】
さらなる一実施形態では、抽出物は、精油、ポリフェノール、多糖、およびそれらの組合せからなる群から選択される化合物を含む。さらなる一実施形態では、精油は、n−ヘキサデカン酸、テトラデカン酸、9−ヘキサデカノール、1−ウンデカノール、1−ヘキサデカノール、オレイルアルコール、9−オクタデセン−1−オール、ノナデカノール、およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる一実施形態では、ポリフェノールは、カテキン、フラバノール、フラボノール配糖体、およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる一実施形態では、カテキンは、カテキン(C)、エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECG)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる一実施形態では、フラバノールは、ケルセチンおよびルチンからなる群から選択される。さらなる一実施形態では、フラボノール配糖体は、ケンペロールである。さらなる一実施形態では、多糖は、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる一実施形態では、本発明の緑茶種は、カフェイン、シュウ酸、またはタンニンを実質的に含まない。
【0014】
さらなる一実施形態では、精油の量は2重量%を超える。さらなる一実施形態では、精油の量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、精油の量は50重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、精油の量は75重量%〜90重量%である。
【0015】
さらなる一実施形態では、ポリフェノールの量は40重量%を超える。さらなる一実施形態では、ポリフェノールの量は50重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、ポリフェノールの量は75重量%〜90重量%である。
【0016】
さらなる一実施形態では、多糖の量は15重量%を超える。さらなる一実施形態では、多糖の量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、多糖の量は50%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、多糖の量は75重量%〜90重量%である。
【0017】
さらなる一実施形態では、緑茶種抽出物は、精油2重量%〜97重量%、カテキン15重量%〜98重量%、テアニン4重量%〜90重量%、および多糖9重量%〜98重量%を含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、本発明の緑茶種抽出物を含む食品または医薬品に関する。
【0019】
別の態様では、本発明は、a)超臨界二酸化炭素抽出によって緑茶種植物材料を抽出して、精油画分および第1の残渣を得る工程、b)アルコール抽出によって緑茶種植物材料または工程a)からの第1の残渣を抽出して、ポリフェノール画分および第2の残渣を得る工程、ならびにc)水抽出によって工程a)からの第2の残渣を抽出し、多糖をアルコールで沈殿させて多糖画分を得る工程によって逐次的に緑茶種植物材料を抽出して、精油画分、ポリフェノール画分、および多糖画分を得ることを含む、少なくとも1つの所定の特徴を有する緑茶抽出物の調製方法に関する。
【0020】
さらなる一実施形態では、工程a)からの第1の残渣は、超臨界二酸化炭素抽出によってさらに脱カフェインされる。さらなる一実施形態では、ポリフェノール画分は、アフィニティー吸着クロマトグラフィーによってさらに精製される。
【0021】
さらなる一実施形態では、工程a)は、1)粉砕された緑茶種植物材料を抽出容器に入れる工程、2)超臨界条件下で二酸化炭素を添加する工程、3)緑茶種植物材料と二酸化炭素をある時間接触させる工程、および4)精油画分を収集容器に収集する工程を含む。さらなる一実施形態では、工程a)は、超臨界二酸化炭素画分分離システムで精油画分を分画することによって、精油化合物の比を変える工程をさらに含む。さらなる一実施形態では、超臨界条件は、35℃〜90℃で60バール〜800バールの圧力を含む。さらなる一実施形態では、超臨界条件は、40℃〜80℃で60バール〜500バールの圧力を含む。さらなる一実施形態では、その時間は30分〜2.5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は1時間である。
【0022】
さらなる一実施形態では、工程b)は、1)ポリフェノール化学構成成分を抽出するのに十分な時間、粉砕された緑茶種植物材料または工程a)からの第1の残渣をアルコール溶媒と接触させる工程、2)工程1)からの抽出されたポリフェノール化学構成成分の水溶液を、アフィニティー吸着樹脂カラムに通過させ、ポリフェノール構成成分を吸着させる工程、3)酸性溶出溶媒を使用して、アフィニティー吸着物からカフェイン化合物を溶出する工程、および4)含水アルコール溶離溶媒を使用して、アフィニティー吸着樹脂からポリフェノール化学構成成分を溶出する工程を含む。さらなる一実施形態では、含水アルコール溶液は、エタノールおよび水を含み、エタノール濃度は10〜95重量%である。さらなる一実施形態では、含水アルコール溶液は、エタノールおよび水を含み、エタノール濃度は25重量%である。さらなる一実施形態では、工程1)は30℃〜100℃で実施される。さらなる一実施形態では、工程1)は60℃〜100℃で実施される。さらなる一実施形態では、その時間は1〜10時間である。さらなる一実施形態では、その時間は1〜5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2時間である。
【0023】
さらなる一実施形態では、工程c)は、1)多糖を抽出するのに十分な時間、工程b)からの第2の残渣を水と接触させる工程、および2)アルコール沈殿によって水溶液から多糖を沈殿させる工程を含む。さらなる一実施形態では、水は70℃〜90℃である。さらなる一実施形態では、水は80℃〜90℃である。さらなる一実施形態では、その時間は1〜5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2〜4時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2時間である。さらなる一実施形態では、アルコールはエタノールである。
【0024】
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって調製された緑茶種抽出物に関する。
【0025】
別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの25〜35重量%のテオフィリン/テオブロミン、ピロガロールの0.1〜5重量%のシキミ酸、ピロガロールの0.1〜5重量%のクマル酸、およびピロガロールの0.1〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0026】
別の態様では、本発明は、テアニン、テアニンの20〜30重量%のテオフィリン/テオブロミン、テアニンの1〜10重量%のカテキン/エピカテキン、テアニンの1〜10重量%の没食子酸、テアニンの0.1〜5重量%のカテキンキノン、テアニンの0.1〜5重量%のシンナムアルデヒド、およびテアニンの1〜10重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0027】
別の態様では、本発明は、テアニン、テアニンの45〜55重量%のテオフィリン/テオブロミン、テアニンの1〜10重量%のカテキン/エピカテキン、テアニンの0.1〜5重量%のカルノシン酸(carnosic acid)、テアニンの1〜10重量%の没食子酸、テアニンの0.5〜5重量%のカテキンキノン、テアニンの1〜10重量%のシンナムアルデヒド、テアニンの0.1〜5重量%のメチルケイ皮酸、テアニンの1〜10重量%のシンナミド、およびテアニンの1〜10重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0028】
別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの1〜10重量%のテオフィリン/テオブロミン、ピロガロールの0.1〜5重量%のテアニン、ピロガロールの1〜10重量%のカテキン/エピカテキン、ピロガロールの5〜15重量%のケンペロール、ピロガロールの0.1〜5重量%のミリシチン、ピロガロールの0.1〜5重量%のガロカテキンキノン、ピロガロールの65〜75重量%の没食子酸、ピロガロールの0.5〜5重量%のカテキンキノン、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、およびピロガロールの1〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0029】
別の態様では、本発明は、ケンペロール、ケンペロールの1〜10重量%のテアニン、ケンペロールの95〜105重量%のカテキン/エピカテキン、ケンペロールの20〜30重量%のケルセチン、ケンペロールの5〜15重量%のミリシチン、ケンペロールの5〜10重量%のガロカテキンキノン、ケンペロールの55〜65重量%の没食子酸、ケンペロールの1〜10重量%のカテキンキノン、ケンペロールの10〜20重量%のクマル酸、ケンペロールの1〜10重量%のバニリン酸、およびケンペロールの15〜25重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0030】
別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの0.5〜5重量%のテオフィリン/テオブロミン、ピロガロールの95〜105重量%のカテキン/エピカテキン、ピロガロールの55〜65重量%のケンペロール、ピロガロールの20〜30重量%のケルセチン、ピロガロールの10〜20重量%のミリシチン、ピロガロールの20〜30重量%のガロカテキンキノン、ピロガロールの50〜60重量%の没食子酸、ピロガロールの15〜25重量%のカテキンキノン、ピロガロールの15〜25重量%のクマル酸、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、およびピロガロールの0.5〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0031】
別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの0.5〜5重量%のテオフィリン/テオブロミン、ピロガロールの95〜105重量%のカテキン/エピカテキン、ピロガロールの55〜65重量%のケンペロール、ピロガロールの20〜30重量%のケルセチン、ピロガロールの10〜20重量%のミリシチン、ピロガロールの20〜30重量%のガロカテキンキノン、ピロガロールの50〜60重量%の没食子酸、ピロガロールの15〜25重量%のカテキンキノン、ピロガロールの15〜25重量%のクマル酸、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、およびピロガロールの0.5〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0032】
別の態様では、本発明は、ピロガロール、ピロガロールの重量のテアニン、ピロガロールの90〜100重量%のカテキン/エピカテキン、ピロガロールの65〜75重量%のケンペロール、ピロガロールの15〜25重量%のケルセチン、ピロガロールの5〜15重量%のミリシチン、ピロガロールの5〜15重量%のガロカテキンキノン、ピロガロールの65〜75重量%の没食子酸、ピロガロールの5〜15重量%のカテキンキノン、ピロガロールの10〜20重量%のクマル酸、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、およびピロガロールの1〜10重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物に関する。
【0033】
本発明の抽出物は、それに限定されるものではないが、抗酸化活性、酸素フリーラジカル捕捉、ニトロソ化阻害、抗変異原活性(癌予防)、抗発癌性活性(癌治療)、皮膚保護、抗加齢、抗心臓血管疾患、抗脳卒中および治療、脳の保護、抗脂質異常症、抗歯周病、抗骨粗鬆症、免疫増強、抗ウィルス、抗HIVおよび抗菌活性、抗真菌活性、抗ウィルス活性、体重制御および熱産生、抗糖尿病、ならびに不安軽減、気分高揚、および認識促進を含む生理的かつ医学的作用を提供するのに有用である。
【0034】
本開示のこれらの実施形態、他の実施形態、ならびにそれらの特性および特徴は、以下の説明、図、および請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
定義
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(即ち少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例えば「一要素」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0036】
本明細書で使用されるように、「地上部」は、葉および茎部を含むC.シネンシスの構成部分を指す。
【0037】
本明細書で使用されるように、「カテキン画分」という用語は、緑茶から得られるまたは緑茶由来の水溶性かつエタノール可溶性カテキン化合物を含み、それに限定されるものではないが、ECGC、EGC、ECG、EC、GC、GCC、GC、およびCなどの化合物をさらに含む。
【0038】
「含む」および「含んでいる」という用語は、追加の要素が含まれ得るという包括的でオープンな意味で使用される。
【0039】
「からなる」という用語は、要素を、通常それに関連する不純物を除いて特定されたものに限定するために使用される。
【0040】
「から本質的になる」という用語は、要素を特定されたもの、ならびに材料または工程の基本的および新規特徴に実質的に影響を与えないものに限定するために使用される。
【0041】
本明細書で使用されるように、「脱カフェインされた」という用語は、緑茶葉植物材料に見られるカフェイン濃度よりも低いカフェイン濃度を有する緑抽出組成物を含む。
【0042】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、所望の生物学的応答を導くために必要な量を指す。当業者には理解されるように、複合物または生物活性剤の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される生物活性剤、封入マトリックスの組成、標的組織等の要素に依存して変わり得る。
【0043】
本明細書で使用されるように、「精油画分」という用語は、緑茶から得られるまたは緑茶に由来する脂溶性の水不溶性化合物を含み、それに限定されるものではないが、n−ヘキサデカン酸、テトラデカン酸、9−ヘキサデカノール、E、オレイルアルコール、1−オクタデカノール、フィトール、およびジヒドロアクチニジオリドとして分類される化合物が含まれる。
【0044】
本明細書で使用されるように、「原料」は一般に、植物全体それのみを含むか、またはそれに限定されるものではないが、主根、側根、および繊維根、茎、葉、種、および花を含む、葉、根を含む植物の1つもしくは複数の構成部分と組み合わせて含む未加工の植物材料を指し、この植物または構成部分は、未加工のままの材料、処理を容易にするために乾燥、蒸気加工、加熱した材料、またはそれ以外の物理的処理にかけた材料を含むことができ、さらには、そのままの材料、植物材料の寸法および物理的完全性に影響を与えるために切断し、切り刻み、さいの目切りにし、粉砕し、挽き、またはそれ以外の処理にかけた材料を含むことができる。場合により「原料」という用語は、さらなる抽出プロセスのために供給源として使用されることになる抽出生成物を特徴付けるために使用することができる。
【0045】
本明細書で使用されるように、「画分」という用語は、いくつかの物理的化学的特性、または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられる特定の群の化合物を含む抽出組成物を意味する。
【0046】
本明細書で使用されるように、「緑茶」という用語は、カメリアシネンシス種植物に由来する葉または地上部の植物材料を指す。緑茶という用語はまた、C.シネンシス種と同義に使用され、これらの植物、クローン、変種、および枝変り等を意味する。緑茶は、緑茶葉を製造するために処理されたC.シネンシス種植物材料の従来の抽出生成物に対する薬物名である。
【0047】
本明細書で使用されるように、「緑茶構成成分」という用語は、緑茶種に見られる化合物を意味すべきであり、先に定義したような化合物、ならびにそれに限定されるものではないが精油化学構成成分、カテキン、テアニン、および多糖を含む緑茶種に見られる他の化合物すべてを含むべきである。
【0048】
本明細書で使用されるように、「1つまたは複数の化合物」という用語は、n−ヘキサデカン酸(緑茶の脂溶性精油化学構成成分)、もしくはECGC(緑茶の水溶性および水−エタノール可溶性カテキン)、もしくはテアニン(緑茶の水溶性アミノ酸)、もしくは緑茶の水溶性−エタノール不溶性多糖分子などの少なくとも1つの化合物が企図され、または2つ以上の化合物、例えばn−ヘキサデカノイド酸およびECGCが企図されることを意味する。当技術分野で知られているように、「化合物」という用語は、単一分子を意味するものではなく、多数のまたは数モルの1つまたは複数の化合物を意味するものである。当技術分野で知られているように、「化合物」という用語は、明確な化学的および物理的特性を有する特定の化学構成成分を意味し、「化合物(複数)」は、1つまたは複数の化学構成成分を指す。
【0049】
本明細書で使用されるように、「多糖画分」という用語は、緑茶から得られるまたは緑茶由来の水溶性−エタノール不溶性多糖化合物を含む。多糖の非限定的な例には、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せが含まれる。
【0050】
緑茶の他の化学構成成分が、これらの抽出画分に存在することもできる。
【0051】
本明細書で使用されるように、「プロファイル」という用語は、抽出画分内の化合物の質量パーセント比を指し、または最終緑茶抽出組成物における4つの緑茶画分化学構成成分のそれぞれの質量パーセント比を指す。
【0052】
本明細書で使用されるように、「精製済み」画分または組成物という用語は、その画分のまたは組成物の化学構成成分の50%超に濃縮しているいくつかの物理−化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられる特定の群の化合物を含む画分または組成物を意味する。換言すれば、精製済み画分または組成物は、その画分または組成物を定義するいくつかの所望の物理−化学的特性、または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられない化学構成成分化合物を50%未満含む。
【0053】
「相乗的」という用語は当技術分野で認識されており、一緒に作用して、その全体の効果が各成分の合計よりも大きくなる2つ以上の成分を指す。
【0054】
本明細書で使用されるように、「テアニン画分」という用語は、緑茶から得られるまたは緑茶に由来するアミノ酸である水溶性テアニンを含む。
【0055】
「治療する」という用語は当技術分野で認識されており、任意の状態または疾病の少なくとも1つの症候が治癒することならびに緩和することを指す。
【0056】
抽出物
本発明は、1つまたは複数の緑茶原料から、精油、カテキン、テアニン、および多糖を単離したおよび精製した画分の抽出物を含む。これらの個々の画分を特定の比(プロファイル)で組み合わせて、有益な組合せを提供することができ、現在知られている抽出生成物には見られない抽出生成物を提供することができる。例えば、1つの種からの精油画分を、同じかまたは異なる種からのカテキン画分と組み合わせることができ、この組合せを、同じかまたは異なる緑茶原料からのテアニン画分または多糖画分と組み合わせてもよく、または組み合わせなくてもよい。かかる抽出物は、所定量の精油、カテキン、テアニン、または多糖画分の少なくとも1つを有する画分を含む。いくつかの実施形態は、シュウ酸を含まない緑茶の抽出物を含む。いくつかの実施形態は、脱カフェインされた緑茶の抽出物を含む。
【0057】
さらなる実施形態は、天然植物材料に見られるもの、または現在利用可能な緑茶抽出生成物に対して変更されたプロファイル(比分布)の緑茶化学構成成分を含む抽出物を含む。例えば、精油画分濃度は、カテキンおよび/またはテアニンおよび/または多糖濃度に対して増加しても減少してもよい。同様に、カテキンまたはテアニンまたは多糖を、他の抽出物構成成分の画分に対して増加または減少させて、特定の生物学的作用のための新規構成成分の化学的プロファイル組成を可能にすることができる。
【0058】
一実施形態では、本発明の抽出物は、2質量%を超える精油化学構成成分を含むことができる。かかる抽出物の別の実施形態は、天然の植物材料または従来の緑茶種抽出物に見られるよりも高い所定のカテキン濃度を含む。例えば抽出物は、その抽出物の30質量%を超える濃度の新規緑茶カテキンを含むことができる。かかる抽出物の別の実施形態は、天然の植物材料または現在利用可能な抽出生成物の天然緑茶L−テアニンの濃度よりも高い、2質量%を超えるL−テアニン濃度を含むことができる。
【0059】
個々の緑茶種の有益な化学構成成分の濃度関係(化学的プロファイル)を変更することによって、ヒトの特定の状態または疾患に望ましい独特または新規の緑茶種抽出生成物の配合が可能になる。例えば、抗酸化、酸素フリーラジカル捕捉、およびニトロソ化阻害活性のための新規かつ強力な緑茶組成物は、質量%で、緑茶天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多い精製済み精油、カテキン、および多糖組成、ならびにそれよりも少ないL−テアニン組成を有することができよう。それとは対照的に、癌予防のための新規緑茶抽出物は、質量%で、緑茶天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多い精製済み精油およびカテキン画分、ならびにそれよりも少ないL−テアニンおよび多糖画分を有することができよう。抗脳卒中および脳の保護のための新規緑茶抽出物プロファイルの別の例は、質量%で、天然緑茶植物材料または知られている従来の緑茶抽出生成物に見られるよりも多い精製済み精油、カテキン、L−テアニン、および多糖組成の抽出プロファイルとなろう。抗加齢活性については、質量%で、天然緑茶植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも多いカテキン画分、ならびにそれより少ない精油、テアニン、および多糖画分が望ましい。それとは対照的に、不安軽減、気分高揚、および認識促進については、質量%で、天然緑茶植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも多い精製済みテアニン画分およびそれより少ない精油、カテキン、および多糖画分が、最適な組成の生成物となり得る。
【0060】
本発明のさらなる実施形態は、カテキン化学構成成分の新規副画分を含む抽出物であり、全カテキンは、高度に精製され(例えば>95質量%)、ECGCなどの特定の高度生物活性カテキン化合物の濃縮物は、他のカテキン化合物(プロファイルされた副画分)と比較して高い濃度を有する。かかる新規および精製済みカテキン副画分抽出物は、単独で、または他の緑茶精製済み画分、他の植物化学構成成分、もしくは医薬化合物と組み合わせて使用することができる。例えば、かかる新規カテキン副画分は、癌および加齢予防に実質的に有益となり得る。
【0061】
本発明の方法は、ヒトの障害を治療および予防するための新規緑茶抽出物を提供することを含む。例えば、抗酸化活性および心血管保護のための新規緑茶抽出物は、重量%で、緑茶天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも高いカテキン画分濃度、高い精油画分濃度、低いテアニン濃度、および高い多糖画分濃度を有することができる。卒中予防および治療のための新規緑茶種抽出物は、重量%で、天然緑茶植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも高いカテキン画分、精油画分画分、テアニン画分、および多糖画分濃度を有することができる。不安および抑うつ治療のための新規緑茶抽出物の別の例は、天然緑茶植物材料または知られている従来の抽出生成物に見られるよりも高いテアニン画分濃度および少ない精油画分、および低いカテキン濃度、および少ない多糖画分を有する組成物を含む。
【0062】
天然緑茶と比較した抽出物
いくつかの実施形態は、天然緑茶植物材料または現在利用可能な緑茶抽出生成物に見られるよりも多い量の精油、カテキン、テアニン、または多糖濃度の少なくとも1つを有する緑茶の抽出物を含む。いくつかの実施形態は、精油、カテキン、テアニン、または多糖を含む1つまたは複数の画分が、天然緑茶植物材料に見られるよりも高い濃度で見出される組成物も含む。いくつかの実施形態は、精油、カテキン、テアニン、または多糖を含む1つまたは複数の画分が、天然緑茶植物材料に見られるよりも低い濃度で見出される抽出物も含む。緑茶の生物活性のある化学構成成分画分の知られている量(表1)を、本発明の一例として使用する。例えば、本発明の抽出物は、精油の濃度が天然緑茶植物材料の濃度の0.001〜200倍である画分、および/またはカテキンの濃度が天然緑茶植物材料の濃度の0.001〜4倍である組成物、および/またはテアニンの濃度が緑茶植物材料の濃度の0.001〜200倍である抽出物、および/または多糖の濃度が天然緑茶植物材料の濃度の0.001〜40倍である抽出物、および/またはカフェインの濃度が緑茶植物材料の濃度の0.001〜0.99倍である抽出物を含む。本発明の抽出物は精油の濃度が天然緑茶の濃度の0.01〜200倍である画分、および/またはカテキンの濃度が天然緑茶の濃度の0.01〜4倍である抽出物、および/またはテアニンの濃度が天然緑茶の濃度の0.01〜200の抽出物、および/または多糖の濃度が天然緑茶植物材料の濃度の0.01〜40倍である抽出物を含む。さらに、本発明の抽出物は、天然緑茶植物材料カテキン化学構成成分に見られるよりも多いまたは少ない量で天然植物材料カテキン化学構成成分に存在する、少なくとも1つまたは複数の化合物を有するカテキン化学構成成分の副画分を含む。例えば化合物ECGCは、カテキン副画分が、天然緑茶植物材料の全カテキン化学構成成分の50質量%というその濃度から、60質量%の該副画分に増加した濃度を有することができる。それとは対照的にCは、カテキン副画分が、天然植物材料の全カテキン化学構成成分の2.2質量%というその濃度から、該副画分<0.1質量%に減少した濃度を有することができる。本発明の抽出物は、かかる新規カテキン副画分における特定の化合物の濃度が、天然緑茶カテキン化学構成成分に見られる濃度の約1.1〜約2倍増加し、または約0.1〜100倍減少する抽出物を含む。
【0063】
かかる抽出物のさらなる一実施形態は、天然緑茶種の乾燥植物材料または従来の緑茶種抽出生成物に見られるものに対して実質的に増加した所定の多糖濃度を含む。例えばある抽出物は、その抽出物の3質量%を超える水溶性エタノール不溶性多糖画分を含むことができる。いくつかの実施形態は、精油化合物、カテキン、L−テアニン、または多糖を含む1つまたは複数の画分が、天然緑茶植物材料に見られるよりも低い濃度で見出される抽出物も含む。例えば本発明の抽出物は、精油が天然緑茶植物材料の濃度の0.001〜100倍、および/またはカテキンの濃度が天然緑茶植物材料の濃度の0.001〜14倍、および/またはL−テアニンの濃度が天然緑茶植物材料の0.001〜100倍、および/または多糖濃度が天然緑茶植物材料の濃度の0.001〜80倍である抽出物を含む。混合抽出物を製造する場合、約0.001mg〜約200mgの精油画分を使用することができる。さらに、約0.001mg〜約500mgの精製済みカテキン画分を使用することができる。さらに、約0.001mg〜約500mgの精製済みL−テアニン画分を使用することができる。最後に、約0.001mg〜約500mgの水溶性エタノール不溶性多糖画分を使用することができる。
【0064】
抽出物の純度
以下本発明で教示される方法は、精油画分、カテキン画分、カテキン副画分、L−テアニン画分、および多糖画分の精製(濃縮)、ならびにカテキン、L−テアニン、および多糖画分の脱カフェインを可能にするものである。所望の化学構成成分の89質量%もの高さの精油画分純度は、精製済み画分における主な非精油構成成分としてのカフェインによって実現することができる。SCCO2は、原料中の約85質量%のカフェインを除去する、緑茶原料を脱カフェインするための優れた手段となることが証明されている。カテキン画分のプロセスクロマトグラフィー精製の副画分すべてを組み合わせると、全カテキンの質量の57〜69%のECGC濃度(プロファイル)で、混合抽出物の63〜68質量%の全カテキン純度を得ることができる。選択されたアフィニティー吸着プロセスクロマトグラフィーの溶出副画分を組み合わせると、全カテキンの62〜70質量%のECGC濃度の、副画分の91〜99質量%の全カテキン純度を含む高度に精製されたカテキン副画分が、かなり高い収率で容易に実現される。収率が犠牲となる場合、さらに高いレベルの全カテキン純度およびECGC濃度を含む副画分を得ることができる。高い収率の、画分の90質量%のL−テアニン濃度を含む精製済みL−テアニン画分、および画分の90質量%を超える多糖濃度を含む精製済み多糖画分も、本発明に教示される方法を使用して実現される。使用される特定の抽出環境、抽出速度、溶媒、および抽出技術は、原料の始めの化学構成成分プロファイルおよび最終抽出生成物の所望の精製レベルに依存する。本発明で教示される特定の方法は、特定の特質を有する産出材料に加工される出発材料の特質のサンプル変動を説明するためのプロセス調節に一般的な、ほんの日常的な実験を使用して、当業者によって容易に決定され得る。例えば特定のある組の緑茶種植物材料では、精油化学構成成分、カフェイン、カテキン、L−テアニン、および多糖の最初の濃度は、本発明で教示されるように、当業者に知られている方法を使用して決定される。当業者は、本明細書に開示の抽出法を使用して、カテキン構成成分の最初の濃度からの、例えば最終抽出生成物のカテキン化学構成成分の所定量までの変化量を決定して、最終緑茶種組成物製品における所望の濃度に到達させることができる。同様に、脱カフェインレベルならびに精油化合物、L−テアニン、および多糖画分組成物についてもかかる変更を行うことができる。
【0065】
一般に、本発明の方法および組成物は、所定の特徴を有する抽出緑茶種組成物の生成方法を含む。かかる抽出緑茶種組成物は、所与の生成物に望ましい有益な生物学的作用(複数)に依存して、4つの濃縮抽出画分の任意の1つ、2つ、3つ、または4つすべてを含むことができる。一般に、4つすべての精製済み緑茶種抽出物画分を含有する組成物は、天然植物材料に見られる4つの主な生物学的に有益な化学構成成分すべてを含有する高度に精製された第1の緑茶種抽出生成物であることから、一般には望ましいものである。本発明の実施形態は、所定の特徴が、選択的に増加した所定濃度の緑茶種の精油化合物、カテキン、L−テアニン、および多糖を別個の抽出画分として含む方法を含む。最終組成物中に4つの生物学的に有益な化学構成成分群のすべてを有することの重要性は、高度に精製された単一の化合物または関連化合物の群に見られる以上に緑茶化学構成成分の所望の生理的かつ医学的作用を高めるという、これらの化合物の相乗的相互作用に関係している。
【0066】
抽出方法
抽出の出発材料は、1つまたは複数のC.シネンシス種からの植物材料である。植物材料は、植物の任意の部分であってよいが、葉、茎、または他の植物部分を含む植物の地上部が好ましい。葉は最も好ましい出発材料である。
【0067】
C.シネンシス種植物材料を予備抽出工程にかけて、その材料を任意の特定の形態にすることができ、抽出に有用な任意の形態が本発明によって企図される。C.シネンシスの葉材料は、カテキンを緑茶生成物のフロブフェンに変換する酵素を不活化するために、好ましくは蒸される。かかる予備抽出工程には、それに限定されるものではないが、材料が切断され、切り刻まれ、細分に刻まれ、細長く刻まれ、粉砕され、微粉化され、切断され、または引き裂かれる工程が含まれ、出発材料は、予備抽出工程の前に乾燥されるか、または新鮮な植物材料のままである。好ましい予備抽出工程は、C.シネンシス種葉材料を、微粉に粉砕および/または微粉化する工程を含む。出発材料または予備抽出工程後の材料は乾燥されるか、または湿気を与えられる。緑茶植物材料が抽出用の形態になると、本発明によって抽出方法が企図される。
【0068】
一般に本発明の方法は、緑茶植物材料が、超臨界流体抽出(SFE)、またいわゆる超臨界二酸化炭素(SCCO)を使用して抽出され、それに1つまたは複数の溶媒抽出工程、例えばそれに限定されるものではないが、水、含水アルコール、およびアフィニティーポリマー吸収抽出プロセスが続く方法を部分的に含む。本発明で企図されるさらなる他の方法は、他の有機溶媒、冷媒化学物質、圧縮性ガス、可聴化(sonification)、高圧液体抽出、高速向流クロマトグラフィー、分子インプリントポリマー、および他の知られている抽出法を使用する緑茶植物材料の抽出を含む。かかる技術は当業者に知られている。一態様では、本発明の組成物は、図1〜5に概略的に示した工程を含む方法によって調製することができる。
【0069】
本発明は、SCCO2技術を使用して、緑茶植物材料から精油および他の脂溶性化合物を濃縮(精製)およびプロファイルする方法を含む。本発明は、SCCO2処理を使用する緑茶植物材料の脱カフェインを含む。本発明で教示されるSCCO2での緑茶植物材料の精油化学構成成分の抽出および脱カフェインによって、有害な有機溶媒の使用が排除される。二酸化炭素は、天然の安全な生物学的生成物であり、多くの食品および飲料に含まれる成分である。
【0070】
精油は、香水産業、医薬部門、ならびに食品およびヒトの栄養において広く使用されている芳香物質である。それらは200を超える化合物の混合物であり、それらは油全体の90〜95%を構成し、モノテルペンおよびセスキテルペン炭水化物、ならびにそれらの酸化誘導体を、脂肪族アルデヒド、アルコール、およびエステルと一緒に含有する揮発性画分と、油全体の5〜10%を構成し、炭水化物、脂肪酸、ステロール、カロテノイド、ワックス、クマリン、プソラリン、およびフラボノイドを含有する不揮発性残余の2つの画分に基本的に分類することができる。
【0071】
これらの化合物の広範な使用の結果として、精油の単離、濃縮、および精製は、何年もの間重要なプロセスとなってきた。従来使用されてきた一般的な方法は、主に溶媒抽出および蒸気蒸留に基付くものである。これらの従来技術の使用は、大きな不利益(熱不安定性化合物の喪失の危険性)があり、さらに2つの重大な欠点(自動化が不可能であり、抽出に長時間を要する)がある。濃縮に使用される商業用の方法は、真空分留および選択的溶媒抽出およびクロマトグラフィー分離である。これらのすべての方法は、低収率、副産物形成(高温曝露時間による)、および抽出物中の有害有機残渣の存在などの重大な欠点を有している。
【0072】
超臨界流体抽出(SFE)は、従来技術に関連する欠点を回避するために、植物からの精油抽出に最近使用されているものである。その抽出有用性は、液体溶媒よりも高い拡散係数を伴う、ガス様物質移動特性と液体様溶媒特性との組合せによる。SFEは、分画による従来の抽出法によって得られた精油の質を高める適切な技術でもある。
【0073】
世界中で最も消費されているアルカロイドであるカフェインは、コカ豆(0.2%)、コーヒー豆(0.9〜2.4%)、および茶葉(1.5〜2.5%)などのいくつかの天然生成物に高濃度で見られるものである。カフェインは一般に、ヒトの健康および環境にとって有害とみなされるジクロロメタンおよびヘキサンなどの有機溶媒を使用する抽出によって得られる。水は、カフェインにとって優れた溶媒であるが、非選択的溶媒である。水での抽出によって、緑茶のポリフェノール(カテキン)などの他の価値のある成分が分解され、その後喪失してしまう。
【0074】
本発明では、超臨界二酸化炭素は、カフェイン抽出(緑茶の脱カフェイン)の主なプロセスとして選択されている。このプロセスには、カフェインを除去するための溶媒として高温の圧縮ガスを使用することが含まれる。商業規模では、二酸化炭素は、コーヒー豆からカフェインを抽出するために使用される。超臨界CO2は、従来使用されている有機溶媒と比較して非汚染性および非毒性である。いくつかの特許が、CO2を用いたコーヒー豆からのカフェイン抽出について記載しており、これらは既に論じられている。Zosel(米国特許第4,247,570号)は、商業規模での脱カフェイン操作を詳説した。0.7〜3%の範囲のコーヒー豆のカフェイン含量が、約0.02%のカフェインに減少した。抽出プロセスは、70〜90Cおよび160〜200バール(CO2密度0.4〜0.65g/cc)で実施された。
【0075】
超臨界二酸化炭素は、カフェインに非常に選択的であるが、カフェインの可溶性は有機溶媒への可溶性よりも低く、その結果多量のCO2を使用することになり、したがって固定費および操業費の両方が著しく上がる。コーヒー豆で観測されるように、水は、抽出収率を実質的に改善する価値のある共溶媒として作用することができる。
【0076】
緑茶植物材料の生物学的に活性な化学構成成分の抽出方法の概略図を、図1〜5に示す。抽出プロセスは、一般にそれに限定されるものではないが、6工程である。本文参照に関して、下線の数字Xが本文に現れた場合、その数字は図1〜5の数字を指す。抽出プロセスに使用される分析方法は、実施例部分で提示される。
【0077】
工程1:緑茶精油の超臨界流体二酸化炭素抽出
精油の疎水性性質に起因して、それに限定されるものではないが、SCCO、ヘキサン、石油エーテル、および酢酸エチルを含む非極性溶媒を、この抽出プロセスで使用することができる。精油のいくつかの成分は揮発性であるため、抽出プロセスとして蒸気蒸留を使用することもできる。
【0078】
SCCO2を使用する緑茶葉からの精油化学構成成分抽出の概略図を、図1−工程1に図示する。原料[10]は、乾燥切断緑茶葉である(105μmを超える寸法)。抽出溶媒[210]は、純粋な二酸化炭素である。共溶媒として水を使用することができる。原料を、SFE抽出容器[20]に入れる。パージおよび漏出試験後、このプロセスは、貯蔵容器から冷却器を介してCO2ポンプに流れる液化CO2を含む。CO2は、所望の圧力に圧縮され、圧力および温度が所望のレベルに維持される抽出容器内で原料を貫流する。抽出の圧力は、約60バール〜800バールの範囲であり、温度は約35℃〜約90℃の範囲である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは少なくとも100バールの圧力および少なくとも35℃の温度、より好ましくは約60バール〜300バールの圧力および約40℃〜約60℃の温度で実施される。抽出の単一段階についての抽出時間は、約30分〜約2.5時間、〜約1時間の範囲である。溶媒と供給物の比は、各SCCO2抽出につき、一般に約20〜60対1である。CO2は、商業用抽出処理のために再利用される。次いで、抽出された精製およびプロファイル済み精油化学構成成分[30]は、コレクターまたはセパレーターに収集され、光防止ガラス瓶に保存され、冷暗庫中4℃で貯蔵される。緑茶原料[10]物質は、抽出および精製済みの得られた緑茶精油画分[30]が、1つのコレクターSFEまたはSCCO2システム[20]に収集される1工程プロセス(図1、工程1A)で抽出することができる。あるいは分画SFEシステムの場合、SCCO2抽出した緑茶原料物質は、コレクター容器(セパレーター)に分離され、各コレクター内に収集された精製済み精油副画分のそれぞれに異なる相対パーセンテージの精油化学構成成分組成(プロファイル)が存在するようにすることができる。残渣(残り)[40]は収集され、保存され、それに限定されるものではないが、脱カフェイン、ならびに緑茶カテキン、テアニン、および多糖の精製済み画分を得るための処理を含むさらなる処理に使用される。本発明の一実施形態は、60バール〜800バールの圧力および35℃と90℃の間の温度における多段階SCCO2抽出を使用する緑茶原料の抽出、ならびに各段階後における抽出緑茶材料の収集を含む。本発明の第2の実施形態は、60バール〜800バールの圧力および35℃と90℃の間の温度におけるSCCO2分画抽出を使用する緑茶種原料の抽出、ならびに所定条件(圧力、温度、および密度)および所定間隔(時間)での異なるコレクター容器への抽出緑茶材料の収集を含む。多段階抽出器のそれぞれからまたは異なるコレクター容器(分画システム)で得られる抽出された緑茶の精製済み精油副画分組成物は、回収し独立に使用することができ、または混合して、天然植物材料に見られるよりも高いもしくは低い所定の精油化学構成成分濃度を含む1つもしくは複数の緑茶精油組成物を形成することができる。一般に、SCCO2単一抽出工程を使用する緑茶植物材料からの精油画分の全収率は、約0.4重量%(精油化学構成成分の>95%)であり、抽出物の85質量%を超える精油化学構成成分純度を有する。かかる抽出プロセスの結果は、以下の表2〜4に見られる。手順は実施例1に見ることができる。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3−1】

【0081】
【表3−2】

【0082】
【表4−1】

【0083】
【表4−2】

緑茶葉精油画分の化合物合計73種を、SCCO2を使用して40℃および100〜200バールで抽出した。SCCO2抽出が乾燥または湿潤緑茶葉のどちらで達成されるかは重要と思われず、このプロセスではカフェインが抽出される。これらの精油画分のカフェイン濃度は、精油画分の約11〜80質量%で変わる。カフェインに加えて、精油画分に見られる他の主な化合物には、1−ウンデカノール、1−ヘキサデカノール、オレイルアルコール、およびノナデカノールなどの飽和脂肪アルコールならびにヘキサデカン酸などの脂肪酸が含まれる。興味深いことに、精油化合物に関しては中国緑茶F1には殆ど見られなかった。それとは対照的に、中国緑茶F2、F3、およびF4はすべて、50質量%を超える脂肪アルコールおよび脂肪酸を含むSCCO2精油抽出画分を有することが見出された。日本緑茶原料からのSCCO2精油画分では、40質量%未満の脂肪アルコールおよび脂肪酸が抽出画分を構成していた。
【0084】
工程2.緑茶の超臨界二酸化炭素脱カフェイン
SCCO2を使用する緑茶葉からの化学構成成分の脱カフェインの一般的説明を、図1−工程2に図示する。乾燥切断緑茶葉(105mμを超える寸法)の原料[10または40]または工程1の精油画分抽出後の残渣を、1苗床分の量の蒸留水に浸す。抽出溶媒[210]は、純粋な二酸化炭素である。共溶媒として水を使用することができる。原料を、SFE抽出容器[50]に入れる。パージおよび漏出試験後、このプロセスは、貯蔵容器から冷却器を介してCO2ポンプに流れる液化CO2を含む。CO2は所望の圧力に圧縮され、圧力および温度が所望のレベルに維持される抽出容器内で原料を貫流する。抽出の圧力は、約60バール〜800バールの範囲であり、温度は約35℃〜約90℃の範囲である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは少なくとも200バールの圧力および少なくとも35℃の温度、より好ましくは約30バール〜700バールの圧力および約60℃〜約80℃の温度で実施される。抽出の単一段階についての抽出時間は、約2〜約6時間、〜約4時間の範囲である。溶媒と供給物の比は、各SCCO2抽出につき、一般に約240対1である。CO2は、商業用抽出処理のために再利用される。次いで、抽出されたカフェイン化学構成成分[70]は収集され、カフェイン含量を測定され、廃棄される。残渣(残り)または脱カフェイン済み緑茶抽出物[60]は収集され、保存され、それに限定されるものではないが、緑茶カテキン、テアニン、および多糖の精製済み画分を得るための処理を含むさらなる処理に使用される。一般に、単一工程のSCCO2抽出を使用する緑茶植物材料からのカフェインの全収率は、約4.5重量%(原料のカフェイン化学構成成分の約85%)であり、カフェイン抽出物の約29質量%のカフェイン化学構成成分純度を有する。かかる脱カフェインプロセスによって、脱カフェイン済み緑茶原料中のカフェイン含量は、原料のカフェイン含量の約55〜85質量%に減少する。カフェイン含量の低い緑茶原料では、カフェインの83〜85質量%を除去することができる。高カフェインを含有する緑茶原料中のカフェイン含量を減少させるため、原料を80質量%超脱カフェインするにはより高い溶媒/供給物比が必要とされる。かかる抽出プロセスの結果は、以下の表5および6に見られる。手順は実施例2に見ることができる。
【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

カフェインの抽出収率は、共溶媒の添加と共に増加した。超臨界流体二酸化炭素/共溶媒混合物中のカフェインの可溶性は、純粋な二酸化炭素のみより3〜5倍高い(Kopcak2005)。カフェイン抽出の観点からすれば、75%エタノール/水は非常に効率的である。しかし、脱カフェイン抽出物中のカフェイン9.3質量%に加えて、脱カフェイン抽出物の4質量%のEGCG、2.6質量%のEGC、および0.9質量%のECGなどの、原料からの価値あるフェノール酸化合物も抽出される。緑茶葉原料の脱カフェインに関して、水はエタノールよりも良好な共溶媒である。湿潤緑茶葉、共溶媒としての水、およびS/F比240を使用して、原料から価値のあるフェノール酸またはテアニンのいずれも除去することなく、F1原料および日本緑茶(JPGC)原料中80%を超えるカフェインを除去(脱カフェイン)することができる。これは、F1原料中1.3質量%からF1脱カフェイン済み材料中0.18質量%へのカフェイン含量の減少、またはJPGT原料中2.2質量%から脱カフェイン済み緑茶材料中0.36質量%へのカフェイン含量の減少、6〜7倍のカフェイン含量の減少に等しい。3.3質量%の高カフェイン含量のF4緑茶葉原料の場合、全カフェインの減少は少ない。F4脱カフェイン済み原料の1.46質量%。しかし、価値のあるカテキンおよびテアニンは、脱カフェイン済み残渣材料に保存されていた。したがって、価値のあるカテキンおよびテアニン化学構成成分を保持している脱カフェイン済み残渣を、次いでさらなる処理のために使用して、精製済みカテキン、テアニン、および多糖画分を得ることができる。
【0087】
興味深いことに、同じSFE脱カフェイン条件下で、高カフェイン含量のF4原料については約55%の脱カフェインしか観測されなかった。この差異は、F4緑茶葉の高カフェイン含量もしくは異なるマトリックス構造、またはその両方によって生じるものと思われる。観測に基付くと、F4原料葉は浸水によってはあまり湿潤していない。換言すれば、水はF4葉の内部マトリックスに浸透する代わりに、葉の表面上に残る傾向がある。したがってF4緑茶葉は、80%を超える脱カフェインを実現するために、より多量の水および/または長時間の浸水時間、ならびに場合によってはより高い溶媒/供給物比が必要となろう。
【0088】
工程3.粗緑茶カテキン化学構成成分画分のエタノール抽出
一態様では本発明は、生物活性のあるカテキン化学構成成分の抽出および濃縮を含む。この工程の一般的説明を、図2−工程3に図示する。この工程3の抽出プロセスは、溶媒浸出プロセスである。この抽出用の原料は、茶を切断した緑茶葉材料緑茶[10]、または工程1のSCCO2抽出による精油画分からの残渣[30]もしくは工程2のSCCO2による脱カフェイン緑茶葉材料からの残渣[60]のいずれかである。抽出溶媒220は95%エタノールである。抽出溶媒は10〜95%アルコール水溶液であってよく、95%水性エタノールが好ましい。この方法では、緑茶原料および抽出溶媒は、加熱または攪拌される抽出容器100に入れられる。これは90℃、約80℃、約70℃、または約60〜90℃に加熱することができる。抽出は、約1〜10時間、約1〜4時間、約2時間実施される。得られる液体抽出物を遠心分離にかけ[110]、濾過する[120]。濾液(上清)[300、310]を生成物として収集し、溶媒の蒸発後の体積および乾燥質量固形分について測定する。抽出残渣材料[130または140を保持し、さらなる処理のために保存する(工程4参照)。必要または所望に応じて、抽出を数回反復することができる。それは2回以上、3回以上、4回以上等反復することができる。抽出に2段階以上が使用される場合、各段階からの粗カテキン画分を、生成物のために組み合わせてもよく[320]、またはカテキン画分のさらなる精製のために保持してもよい(工程4参照)。例えば、図2−工程3は2段階プロセスを示しており、第2段階では、同じ方法および条件を使用する。結果を以下の表7および8に示す。手順は実施例3に見ることができる。
【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

これらの結果は、SFE脱カフェインプロセスによって、残渣中の他の価値のある化合物に影響を及ぼさずに緑茶原料からカフェインが除去されたことを示している。さらに、95%エタノールを使用する残渣の抽出によって、精製済みテアニンおよび多糖画分のさらなる処理のために使用できるL−テアニンおよび水溶性−エタノール不溶性多糖が残渣中に保存される。最終的には、2段階浸出プロセスによって、4つの主なカテキンの濃度(PA、表8)は、天然緑葉原料中約7〜12質量%から抽出物中約26〜39質量%に増加し、純度は約3.5倍増加する。抽出収率は、最初の緑茶原料に対して19〜36質量%の範囲であった。カテキン化学構成成分画分のさらに高い純度は、アフィニティー吸着プロセスクロマトグラフィープロセス(以下参照)を使用して得ることができる。
【0091】
工程4.アフィニティー吸着抽出プロセス
本明細書で教示されるように、緑茶原料の含水アルコール抽出物(工程3)を固体アフィニティーポリマー吸着樹脂と接触させて、含水アルコール抽出物に含有される活性なカテキンをアフィニティー吸着物に吸着させることによって、緑茶からの高度精製カテキン画分抽出物を得ることができる。続いて、結合した化学構成成分は本明細書で教示される方法によって溶出される。カテキン画分化学構成成分の溶出の前に、アフィニティー吸着物とそれに吸着した所望の化学構成成分を、従来の任意のやり方で抽出物の残りから分離することができ、好ましくは吸着剤および分離物との接触プロセスは、水性抽出物を抽出カラムまたは吸着物質床に通すことによって行われる。さらにカテキン画分化学構成成分の溶出の前に、カフェイン化合物を溶出するがカテキン化合物は溶出しない(精製済みカテキン画分の脱カフェイン)特定の溶媒を使用することによって、アフィニティー吸着物上に吸着した任意のカフェイン化合物をカテキンから分離することができる。
【0092】
それに限定されるものではないが、緑茶植物材料のカテキン化学構成成分を精製するために、「Amberlite XAD−2」(Rohm & Hass)、「Duolite S−30」(Diamond Alkai Co.)、「SP207」(三菱化学)、ADS−5(Nankai University、Tianjin、中国)、ADS−17(Nankai University、Tianjin、中国)、Dialon HP20(三菱、日本)、およびAmberlite XAD7HP(Rohm & Hass)などの様々なアフィニティー吸着物を使用することができる。Amaberlite XAD7HPは、緑茶のカテキン化学構成成分に対する高アフィニティーにより、好ましく使用される。微細網状(macroreticular)構造(連続ポリマー相および連続細孔相の両方を含有する)、高表面積、およびその表面の脂肪族性質からの吸着可能特性に由来するものが、560〜710μnの粒経を有する非イオン性脂肪族アクリルポリマーである。ポリマー性エステル基を有するこの微細網状構造によって、XAD7HPは、フェノール酸(カテキン)への高アフィニティーをもたらす極性化合物を吸着することができる。
【0093】
吸着剤からカテキン化学構成成分を回収するために様々な溶離溶媒が使用できるが、本発明の一態様では、溶離溶媒は、それに限定されるものではないがメタノール、エタノール、またはプロパノールを含む低分子量アルコールを含む。第2の態様では、溶離溶媒は、低分子量アルコールを水との混合物として含む。第3の態様では、溶離溶媒は、低分子量アルコール、第2の有機溶媒、および水を含む。別の態様では、吸着剤上に吸着したカテキンの脱カフェインに使用される溶離溶媒は、それに限定されるものではないが、10%エタノール中5%H2SO4などの酸性溶媒を含む。したがって2段階溶出プロセスは、緑茶のカテキン化学構成成分画分の精製用に設計されている。第1段階は、酸性溶液を使用して、カフェインの塩基特性およびカテキンの酸特性を利用することによってカラムに吸着した化学構成成分を脱カフェインすることである。第2段階は、エタノール/水溶離溶媒を使用して、脱カフェインカテキンを溶出することである。
【0094】
緑茶原料は、抽出物を含有する水性カテキン化学構成成分をアフィニティー吸着剤と接触させる前に、それに限定されるものではないが、工程1、2、および3に記載のプロセスなどの1つまたは複数の予備精製プロセスにかけてもよく、またはかけなくてもよい。
【0095】
本発明で教示されるアフィニティー吸着プロセスを使用することによって、天然植物材料または市販の抽出生成物中に通常存在する他の化学構成成分が殆ど含まれない、緑茶の高度に精製されプロファイルされた脱カフェイン済みカテキン化学構成成分画分が得られる。例えば、本発明で教示されるプロセスは、乾燥質量で95%を超える全カテキン化学構成成分を含有する精製済みカテキン抽出物を得ることができる。
【0096】
ポリマーアフィニティー吸着樹脂ビーズを使用する緑茶葉からのカテキンの抽出および精製の一般的説明を、図3−工程4に図示する。この抽出プロセスの原料は、天然緑茶原料[10]または工程3の95%エタノール浸出抽出物からのカテキンを含有する水溶液[320]であってよい。適切な重量の吸着樹脂ビーズ(吸着樹脂1gm当たりカテキン12mg)を、カラム410、420に入れる前および後に4〜5BVエタノール[220]および4〜5BV蒸留水[230]で洗浄する。清浄な吸着樹脂ビーズを、カラムに充填する[430]。次いでカテキン含有水溶液[320]を、流量2〜4床体積(BV)/時間でカラムに入れる[440]。カラムが一杯になったら、蒸留水[230]を用いてカラムを流量2〜3BV/時間で洗浄して[450]、吸着カテキンから任意の不純物を除去する。流出残渣[500]および洗浄残渣[510]を収集し、質量含有量、カテキン含量、カフェイン含量を測定し、廃棄した。吸着したカフェイン化合物の溶出[460]を、アイソクラティック方式で、溶離溶媒[240]として10%エタノール中5%H2SO4を用いて、流量2〜4BV/時間で実施する。溶出液[520]を収集し、質量含有量、カテキン含量、カフェイン含量を測定し、廃棄する。この脱カフェイン段階の後、8BVの蒸留水[230]を用いて、カラムを流量10BV/時間で洗浄する[470]。洗浄したもの[530]を、それが中性になるまでpH紙によって試験して、収集し、廃棄する。吸着カテキンの溶出[480]を、アイソクラティック方式で、溶出溶液[250]として80%エタノール/水溶液を用いて流量2〜4BV/時間で実施し、溶出液抽出物[540]について溶出曲線を記録した。溶出体積480は、約15〜30分毎に収集することができ、HPLCを使用してこれらのサンプルを分析し、固体含量および純度について試験した。結果を表9〜11に示す。手順は、実施例4に見ることができる。
【0097】
【表9】

【0098】
【表10】

【0099】
【表11】

酸性溶出溶媒は、最終生成物中のカフェイン濃度を抽出物の1質量%未満から0.2質量%もの低さに低減するカテキンのさらなる脱カフェインにとって優れたプロセスであることが立証されている。カテキンの精製済み画分は、最初の緑茶原料の1.9質量%の全収率で、純度>90%で得ることができる。さらに、使用される最初の緑茶原料に関係なく、カテキン純度>95%でEGCG濃度が>60%まで増加する副画分を得ることもできる。F1、F4、およびJPGTの組合せプロセスのクロマトグラフィー溶出液におけるカテキン純度およびECGCプロファイルの概略を、表12に示す。
【0100】
【表12】

他の典型的な実験では、使用溶液は、未加工または最初の緑茶葉原料の工程3の95%浸出抽出後に得られた透明な水溶液であった。これらの実験では、各段階2時間の2段階で、70℃において95%エタノール250mlを使用して、未加工緑茶残渣25gmを浸出抽出した(溶媒/供給物比は20/1)。この2段階抽出からの2つの上清溶液を混合し、ロータリーエバポレーターを使用してエタノール抽出溶媒を除去した。エタノールの除去(蒸留)後、いくらか固体沈殿物が生じ、それを工程3に記載のように遠心分離および濾過を使用して除去した。上清を収集し、次いで蒸留水を濃縮上清に添加して、最終濃度16〜30mg/mlを達成した。次いで、カテキンを含有するこの透明な水溶液を使用して、工程4のアフィニティー吸着プロセスクロマトグラフィー法を用いてさらに精製した。この工程3の浸出抽出の結果は表13に見られ、未加工または最初の緑茶葉の浸出を、工程2からのSFE脱カフェイン済み残渣の浸出と比較する。未加工緑茶植物材料の場合、SFE脱カフェイン済み残渣では見られなかった沈殿物がエタノール蒸留中に生じたことに留意されたい。したがってこの沈殿物の遠心分離および濾過によって、全収率は最初の原料に対して32.8質量%〜26.9質量%減少した。浸出抽出した未加工緑茶原料からの全収率はより高いが、カテキン化学構成成分の純度は類似している。さらに、カフェイン濃度は、未加工緑茶の浸出抽出生成物において非常に高い。かかる2段階95%エタノール浸出の結果を、表13および14に示す。
【0101】
【表13】

【0102】
【表14】

典型的な吸着実験を、オープンバッチシステムで室温で実施した。PA XAD7HP〜30gをエタノールで洗浄してモノマーおよび不純物を除去し、次いで16時間蒸留水に浸して充填した。次いで、清浄なPA樹脂ビーズを10mm(ID)×350mm(L)のガラスカラムに充填した。濃度16〜30mg/mlを有する水溶液(脱エタノール化浸出溶液)100mlを、充填したカラムに流量1.8ml/分、2BV/時間で入れた。入れた後に蒸留水150mlを使用して、カラムを流量10BV/時間で洗浄した。次いで10%エタノール中5%硫酸200mlを使用して、流量2.2BV/時間でカラム溶出した(脱カフェイン)。この溶出後、カラムからの洗浄液がpH7に達するまで、蒸留水250mlを使用して10BV/時間でカラムを洗浄した。次いで80%エタノール100mlを使用して、流量2BV/時間でカラム溶出した(脱吸着)。全処理時間は300分であった。溶離溶媒の画分を順次収集した。各溶出液画分をHPLCによってアッセイし、その結果を表15〜17に示す。
【0103】
【表15】

【0104】
【表16】

【0105】
【表17】

工程4の、未加工(未脱カフェイン)緑茶植物材料を用いて始めるカテキンのアフィニティー吸着精製では、酸性溶出溶媒を使用して吸着剤へのカテキンの結合を保ちながら、95%のカフェインを除去することができる。例えば、約12質量%のカフェインを含有する粗浸出抽出物を、プロセスクロマトグラフィー抽出画分中0.3質量%に脱カフェインすることが可能である。原料中のカフェインの濃度が高いほど、抽出画分を脱カフェインするために多量の酸溶液の溶離溶媒が必要とされる。
【0106】
興味深いことに、80%エタノールを使用するカテキンの溶出によって、抽出画分中の質量%でEGCよりも高い収率のEGCG、ECG、およびCが得られる。最高の収率および純度は、0.6〜2BV画分に見られる。高度に精製された画分の全カテキン純度は、粗浸出抽出物の全カテキン純度の約1.7倍であった。カテキン純度のレベルは、SFE脱カフェイン済み残渣の工程4のプロセスクロマトグラフィーで達成したレベルほど高くなかった。しかし、緑茶原料に依存して71%〜93%の全カテキン純度で、最初の緑茶原料に対して11質量%を超える全抽出画分収率が達成される。最終的には、EGCG、ECG、およびCの質量%を選択的に増加し、EGCを減少させることにより、4つの主なカテキンの化学的分布プロファイルは変えられる。例えばEGCGは、一般に混合抽出画分の全カテキンの65質量%を超え、抽出副画分の75質量%にもなり得る。
【0107】
精製済みカテキン画分および副画分中のシュウ酸の分析時には、95%エタノール浸出原料中にシュウ酸が存在するにも関わらず、これらの画分または副画分のいずれかにおいてシュウ酸を検出することができなかった。実際、シュウ酸は原料溶液の6質量%にもなることが見出された。しかしシュウ酸化合物は、アフィニティー吸着物上には吸着せず、流出物中に見出された。
【0108】
工程5.テアニンおよび多糖の水浸出
緑茶の化学構成成分の多糖抽出画分は、「水溶性エタノール不溶性抽出画分」として科学文献に定義されている。L−テアニンおよび多糖は、両方水溶性である。水溶媒浸出を使用する緑茶植物材料の抽出物からのテアニンおよび多糖抽出の一般的説明を、図4−工程5に図示する(別表1)。原料140は、工程3の95%浸出抽出プロセスからの固体残渣である。この原料は、2段階で浸出抽出される。溶媒は蒸留水260である。この方法では、緑茶抽出残渣140および抽出溶媒260を、抽出容器600に入れ、加熱し攪拌する。それを100℃、約80℃、または約60〜80℃に加熱することができる。抽出は、約1時間、約2〜4時間、または約2時間で実施される。上清抽出溶液700を遠心分離にかけ610、濾過し620、収集する。残渣630を保持し、さらなる処理のために保存する。必要または所望に応じた回数、残渣で抽出を反復することができる。それは2回以上、3回以上、4回以上等であってよい。例えば、図4−工程5は2段階プロセスを示しており、第2段階では同じ方法および条件を使用する。最終残渣[650]は破棄した。この抽出工程の一例は、実施例5に見られ、L−テアニン含量の質量測定およびHPLC分析の結果を表18に示す。
【0109】
【表18】

水浸出プロセスの全収率は、最初の緑茶原料の3.6〜12.5質量%であった。L−テアニンの濃度は、浸出抽出物の13.2〜18.2質量%であった。最初の緑茶葉原料において85質量%を超える収率のテアニンを、2段階浸出プロセスで抽出することができる。科学文献と一致して(29)、他の化学構成成分は大部分が多糖となるはずである。多糖化学構成成分からテアニンを分離するために、さらなる工程6を使用することができる。
【0110】
工程6.L−テアニンおよび多糖画分の精製
水溶媒プロセスを使用する緑茶抽出物からの多糖およびテアニン画分の抽出および精製の一般的説明を、図5−工程6に図示する。原料は、工程5の水浸出抽出からの水浸出上清溶液[700+710]である。混合溶液を蒸発させて[800]、60%の水を除去する。次いで、溶媒の無水エタノール[280]を濃縮溶液に添加して、最終エタノール濃度を75%にする。溶液を静置し、大量の沈殿物[810]を観測する。溶液を遠心分離にかけ[820]、デカントし[830]、テアニン画分のさらなる処理および精製のために上清を収集する[910]。沈殿生成物[900]は精製済み多糖画分であり、これは、多糖について比色(colormetric)法を使用し、参照標準として分子量5,000〜410,000のデキストランを使用することによって分析することができる。抽出多糖画分の純度は、様々な分子量のデキストランに対して約23〜50%であり、全収率は最初の天然緑茶葉原料の1.15質量%である(表18)。様々なデキストラン当量の純度を組み合わせると、精製済み多糖画分の90質量%を超える全体的多糖純度と一致する。
【0111】
上清溶液のテアニン純度は約31〜42%である。より高いレベルのテアニン純度を達成するために、さらなる処理が必要とされる。上清溶液[910]を乾燥させる。乾燥生成物を十分な量の蒸留水[260]に溶解して、10%溶液を作製する[850]。この溶液に、4体積の無水エタノール[270]を添加し混合する。この含水アルコール溶液を約1時間静置し、次いで遠心分離にかけ[860]、任意沈殿物[910]を破棄する。真空ロータリーエバポレーター[870]を使用して、約60℃で上清[920]を濃縮して、80%溶液を実現する。この80%溶液を室温に冷却し、次いで4体積の無水エタノール[280]を溶液に添加し、それを0℃で24時間冷蔵する[880]。形成される結晶を収集し、60℃で真空乾燥して[890]、精製済みテアニン画分[930]を得る。精製済みテアニン画分の収率は、最初の緑茶原料の約0.51〜1.95質量%であり、純度は約90〜92%である(表18)。実際の手順は、実施例6に見ることができる。
【0112】
緑茶多糖収率は、最初の緑茶葉原料に対して1.2〜8.5質量%であった。多糖画分の純度は、様々な分子量のデキストランに対して23〜50%であり、これは、画分中の全体的純度が緑茶多糖化学構成成分の>90%であることを示すものであった。数々の様々な実験手法に基付くと、1.2〜8.5質量%の収率は、天然緑茶種原料中の水溶性エタノール不溶性多糖の90%を超えると結論付けることは実に合理的である。
【0113】
緑茶のL−テアニン収率は、最初の緑茶原料に対して0.5〜2.0質量%であり、これは最初の原料中約70%のテアニンであった。90%のテアニン純度は、これらの方法を使用して実現することができる。
【0114】
当技術分野では、溶液からアルコールを除去するための多くの方法が知られている。再利用のためにアルコールを保存することが望ましい場合、抽出後に標準大気圧または減圧下での蒸留によって溶液から除去することができる。このアルコールは再利用することができる。さらに、水溶液またはアルコールが既に除去された溶液、いずれかの溶液から水を除去するための当技術分野で知られている多くの方法も存在する。かかる方法には、それに限定されるものではないが炭酸マグネシウムまたはマルトデキストリンなどの適切な担体上に、それに限定されるものではないが水溶液を噴霧乾燥することが含まれ、あるいは液体を凍結乾燥またはリフラクティブウィンドウ(refractive window)乾燥することによって乾燥状態にすることができる。
【0115】
先に記載の抽出法の実施では、緑茶の最初の乾燥葉原料中に存在する80%を超える純度の精油化学構成成分を有する90質量%を超える収率の精油化学構成成分および関連種を、精油SCCO2抽出画分として抽出できるということが見出された(工程1)。工程2(SCCO2脱カフェインプロセス)で教示される方法を使用すると、緑茶植物材料からのカフェインの全収率は、約4.5質量%となり(最初の緑茶原料中に存在するカフェイン化合物の約85%)、カフェイン抽出物の約29質量%のカフェイン化学的純度を有する。かかる脱カフェインプロセスによって、脱カフェイン済み緑茶原料中のカフェイン含量は、脱カフェイン済み緑茶材料の0.2質量%未満に減少する。さらに、本発明で教示される方法を使用して、精製済みカテキン、テアニン、および多糖画分を得るためのさらなる処理に使用できる価値のあるカテキン、テアニン、および多糖化学構成成分を原料中に維持しながら、緑茶原料の80%脱カフェインを達成することができる。
【0116】
本発明の工程3で教示される方法を使用して、最初の緑茶種原料から19〜31質量%の収率のエタノール浸出画分が達成される。カテキン化学構成成分の収率は、最初の緑茶原料に存在するカテキンの90質量%を超える(表8およびA1−別表1参照)。さらに、エタノール浸出プロセスによって、4つの主なカテキンの濃度(純度)は、研究された天然緑茶葉原料中7〜12質量%から、カテキン抽出画分中約25〜39質量%に増加し、カテキンの濃度(ECGC、ECG、EGC、およびCの合計)が3.5倍増加する。最終的にエタノール浸出抽出によって、固体残渣中にテアニンおよび多糖化合物が保存され、それらは、精製済みテアニンおよび多糖画分(工程5および6)のさらなる処理のために使用することができる。
【0117】
本発明の工程4に教示される方法(アフィニティー吸着抽出プロセス)を使用すると、抽出画分の90乾燥質量%を超える純度のカテキン画分を得ることができる。95%エタノール浸出抽出原料から56〜86%のカテキンを抽出することが可能である。これは、カテキン化学構成成分参照としてECGC、ECG、EGC、およびCを使用する天然緑茶種植物材料に見られるカテキン化学構成成分の50〜77%収率に等しい。これらを参照として使用してこのフェノール酸画分のHPLC分析に基付くと、フェノール酸化学構成成分の純度は、フェノール酸画分抽出生成物の約40%となる。さらに酸性溶出溶媒は、最終カテキン画分生成物中のカフェインを抽出画分の1%未満〜0.2質量%もの低さに低減する精製済みカテキン画分のさらなる脱カフェインにとって優れたプロセスであることが立証されている。さらに、EGCG濃度が65〜75質量%に増加し、カテキン純度が抽出副画分の95質量%を超える副画分を得ることができる。このデータは、抽出画分中のEGCG、ECG、およびCの質量%の選択的増加ならびにEGCの減少によってカテキン抽出画分をプロファイルするアフィニティー吸着プロセスクロマトグラフィーの能力を支持するものである。
【0118】
工程5に教示される方法(水浸出プロセス)を使用すると、最初の緑茶葉原料に対して約3.6質量%という高収率の水溶性化学構成成分が得られる。この粗抽出物中のL−テアニン濃度は約17質量%である。残りの水溶性化合物は大部分が多糖であり、これは、60%エタノール沈殿を使用すると緑茶葉中の多糖濃度が約2.42質量%となり、純度が86.8%であったと報告した他の研究結果(29)と一致するものである。
【0119】
本発明の工程6に教示される方法(L−テアニンおよび多糖の抽出および精製プロセス)を使用すると、水溶性エタノール不溶性多糖の全収率は、最初の原料に対して約1.2質量%である。多糖抽出画分の純度は、参照標準として様々な分子量のデキストランを使用する比色法に基付いて約56〜76%である。これらのデータは、95%を超える全多糖純度と一致する。
【0120】
さらに工程6に教示される方法を使用すると、L−テアニンの収率は、最初の緑茶葉原料に対して約0.8質量%であり、これは最初の原料中に存在するL−テアニンの55%を超えている。これらの方法を使用して、精製済みテアニン抽出画分の90質量%のテアニン純度を実現することができる。
【0121】
食品および医薬品
本発明の食品の一形態として、任意選択の形態、例えば顆粒状態、粒状、ペースト状、ゲル状、固体状態、または液体状態に配合することができる。これらの形態では、食品に添加できる当業者に従来知られている様々な種類の物質、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、検査薬、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存剤、乳化剤、等張剤、安定化剤、またはpH調節剤等が任意選択で含有され得る。食品に添加されるエルダーベリー抽出物の量は特に限定されず、例えば体重約60kgの成人によって摂取される量としては1日当たり約10mg〜5g、好ましくは50mg〜2gであってよい。
【0122】
特に、保険機能食品等の保存用食品として使用される場合、本発明の所定の効果が十分に示されるような量で本発明の有効成分を含有することが好ましい。
【0123】
本発明の医薬品は、例えば錠剤、顆粒、粉剤、カプセル剤等の固体薬剤、または注入剤等の液体薬剤として、従来知られている方法に従って任意選択で調製することができる。これらの医薬品には、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、検査薬、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存剤、乳化剤、等張剤、安定化剤、またはpH調節剤などの一般に使用される任意の材料を配合することができる。
【0124】
医薬品としての有効成分(緑茶抽出物)の投与量は、種類、剤形、患者の年齢、体重、または適用される症候等に依存して変わり得、例えば経口投与される場合、体重約60kgの成人については1日1回または数回投与され、1日当たり約10mg〜5g、好ましくは約50mg〜2gの量で投与される。有効成分は、緑茶抽出物の1つまたはいくつかの成分であってよい。
【0125】
本方法はまた、1日当たり2回以上、1日当たり3回以上、1日当たり4回以上、および1日当たり1〜15回の範囲でかかる抽出物を投与することを含む。かかる投与は、連続的にある日数、週数、月数、もしくは年数の間、毎日行うことができ、または特定の状態を治療もしくは予防するために特定の回数で行うことができる。例えばあるヒトは、精神集中、認識、および記憶を強化するため、または2型糖尿病を予防および治療するため、心臓血管疾患卒中を予防するため、または胃腸障害を治療するため、または痛風を含む炎症性障害および関節炎を治療するため、または一般的な風邪、細菌感染および真菌感染症を治療するために、少なくとも1日1回数年間、緑茶種抽出物を投与され得る。
【0126】
前述の説明は、本発明の実施に現在企図されている最良の態様を含む。この説明は、本発明の一般的原理を例示するためのものであり、限定的な意味と解釈されるべきではない。本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは本発明の範囲に制限を付与するものと決して解釈されるべきではない。それとは逆に、本明細書の説明の読後に本発明の精神から逸脱することなく当業者にそれら自体を提案できる様々な他の実施形態、改変形態、およびそれらの等価物を手段として用いることができることを明確に理解されたい。
【0127】
本明細書で使用されるすべての用語は、当業者によって通常認められている用法で解釈されるとみなされる。本明細書に引用した特許および特許出願または参考文献は、すべて参照によってその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0128】
材料
植物:本発明では中国緑茶4種および日本緑茶1種を使用した。
【0129】
F1:中国緑茶葉は、シンガポールNam Wan Tea Co Pte Ltdから購入した。
【0130】
F2:高級中国緑茶「BaifuTea」は、中国Jiangsu Province製のものとした。
【0131】
F3:高級中国緑茶「Kai Hua Long Ding」は、Zhejing Kai Hua Co.製の春摘みのものとした。
【0132】
F4:高級中国緑茶「Kai Hua Long Ding」は、Zhejing Kai Hua Co.製の秋摘みのものとした。
【0133】
JPGT:高級日本緑茶。
【0134】
【表19】

有機溶媒
HPLC用アセトニトリル(75−05−8)、勾配グレード≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(110−54−3)、95+%、分光光度グレード(248878)、4.8%イソプロパノールで変性したエタノール(02853);エタノール(64−17−5)、無水(02883);メタノール(67−56−1)、99.93%、ACS HPLCグレード、(4391993);および水(7732−18−5)、HPLCグレード、(95304);すべてSigma−Aldrich Coから購入した。
【0135】
酸および塩基
ギ酸(64−18−6)、50%溶液(09676);フェノール(108−95−2)(P3653);硫酸(7664−93−9)、ACS試薬、95〜97%(44719);トリフルオロ酢酸(76−05−1)、99.8%分光光度グレード(302031)リン酸(7664−38−2)、85%水溶液(438081);すべてSigma−Aldrich Co.から購入した。リン酸カリウム、一塩基性(7778−77−0)>99%純度(205925000、Lot番号:A019842601)は、Acros Organics Co.から購入した。
【0136】
化学物質参照標準
(+)−カテキン(154−23−4)、純度95%(03310);(−)−エピカテキン(490−46−0)、純度93.6%(05125);(−)−エピカテキンガレート(1257−08−5)、純度99%(05135);(−)−エピガロカテキン(970−74−1)、純度98.3%(05145);(−)−エピガロカテキンガレート(989−51−5)、純度94%(05151);L−テアニン(3086−61−6)、純度:99.0%(20250−001);すべてChromadex(www.chromadex.com)から購入した。カフェイン(58−0802)、純粋、無水>99%(27600);テオブロミン(83−67−0)、純度>99%(T4500);およびクロロゲン酸(327−97−9)、最小95%滴定(C3878)はSigma−Aldrich Co.から購入した。DINによって認定されたデキストラン標準5000(00269)、50,000(00891)、および410,000(00895)はFluka Co.から購入した。シュウ酸(144−62−7)、98%純度(194131)はSigma−Aldrich Co.から購入した。標準物質の構造を表20に示す。
【0137】
【表20】

方法
HPLC法
カテキンおよびアルカロイド分析
クロマトグラフシステム:LC10ADVPポンプとSPD−M10AVPフォトダイオードアレイ検出器を備えた島津高速液体クロマトグラフLC−10AVPシステム。得られた抽出生成物を、逆相JupiterC18カラム(250×4.6mmI.D.、5μ、300Å)(Phenomenex、パート番号:00G−4053−E0、シリアル番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)で測定した。移動相は、A(0.5%(v/v)ギ酸水溶液)およびB(アセトニトリル)からなっていた。勾配を以下のようにプログラムした。最初の6分以内にAは100%を維持し、6〜10分では、溶媒Bは0%〜12%に直線的に増加し、10〜35分ではB直線12%〜21%、次いで35〜40分ではB直線21%〜25%、次いで40〜50分ではB直線は100%。注入量は10μlであり、移動相の流量は1ml/分であった。カラム温度は50℃であった。
【0138】
C(カテキン)、EGC(エピガロカテキン)、ECG(エピカテキンガレート)、EGCG(エピガロカテキンガレート)、カフェイン、テオブロミン、クロロゲン酸のメタノール保存溶液を、濃度1mg/mlで調製した。1ミリリットル分量の標準溶液を、10ml容量のフラスコに入れて、標準混合溶液を得た。次いで、参照標準混合溶液を段階的に希釈して、それぞれ最終濃度0.5、0.2、0.1、0.05、および0.01mg/mlの一連の溶液を得た。これらの5つの濃度で標準曲線を作成し、対応する濃度に対して線形回帰を使用してピーク面積をプロットして標準曲線を作成した。結果を表21にまとめる。
【0139】
【表21】

理論段はN=16×(t/w)によって算出した。tは保持時間であり、wはピーク幅である。https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB−HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN 。
【0140】
テアニン分析
テアニン分析は、逆相JupiterC18カラム(250×4.6mmI.D.、5μ、300Å)(Phenomenex、パート番号:00G−4053−E0、シリアル番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)で実施した。移動相を濃度0.1%のトリフルオロ酢酸で調節した。移動相の流量は1ml/分であった。検出器を波長203nmに設定した。
【0141】
シュウ酸分析
シュウ酸分析は、逆相JupiterC18カラム(250×4.6mmI.D.、5μ、300Å)(Phenomenex、パート番号:00G−4053−E0、シリアル番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)で実施した。移動相は、A(0.5%KH2PO4(w/v)水溶液)およびB(アセトニトリル)からなっていた。0.5%KH2PO4(w/v)水溶液の移動相を、蒸留水に固体KH2PO4を溶解することによって調製した。次いで、H3PO4溶液1.0mol/LでPH2.80に調節した。勾配を以下のようにプログラムした。溶媒Bは15分で10%〜40%に直線的に増加し、次いでさらなる5分間で40%〜10%に減少した。注入量は10μlであり、移動相の流量は1ml/分であった。カラム温度は25℃であった。検出波長は262nmであった。異なるシュウ酸水中濃度0.1mg/ml〜10mg/mlをアッセイした。これらの濃度で標準曲線を作成し、対応する濃度に対して線形回帰を使用してピーク面積をプロットして、標準曲線を作成した。サンプル溶液中のシュウ酸含量を、サンプル溶液のピーク面積と、知られている標準のピーク面積とを比較することによって定量化した。
【0142】
GC−MS法
GC−MS分析は、島津GCMS−QP2010システムを使用して実施した。このシステムは、高速ガスクロマトグラフ、直結GC/MSインターフェース、電子衝撃(EI)イオン源と独立温度制御、四重極質量分析器等を含む。このシステムは、データ収集および実施後分析のためのGCMS溶液Ver.2ソフトウェアで制御される。Agilent J&W DB−5溶融シリカ毛細管カラム(30m×0.25mm i.d.、0.25μmフィルム厚さ)(カタログ:1225032、シリアル番号:US5285774H)で、以下の温度プログラムを使用して分離を実施した。最初の温度を60℃で1分間保持し、次いで速度3℃/分で180℃に上昇し、35分間保持し、全実施時間は76分であった。サンプル注入温度を220℃とし、サンプル1μlを、スプリットレスモードの自動注入器によって1分間注入した。キャリアガスはヘリウムとし、流量は圧力40.1KPaで制御した。かかる圧力下では、流量は0.79ml/分であり、直線速度は32.5cm/分であった。MSイオン源温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は230℃であった。MS検出器を、50m/zおよび500m/zの間で、走査速度1000AMU/秒で走査した。溶媒カットオフ温度は3.5分であった。
【0143】
多糖分析
分光光度計システム:この研究では島津UV−1700紫外線可視分光光度計(190〜1100nm、1mm分解能)を使用した。多糖分析には、比色法(Dubois,M.、Gilles,K.A.、Hamilton、J.K.、Rebers,P.A.およびSmith,F.、Colorimetric Method for Determination of Sugars and related substances、Analytical chemistry、1956年、28巻3号、350〜356頁)を使用した。デキストラン(Mw=5000、50,000、および410,000)保存溶液0.1mg/mlを作成する。保存溶液0.08、0.16、0.24、0.32、0.40mlを取り、蒸留水で体積0.4mlにする。次いで5%のフェノール溶液0.2mlおよび濃硫酸1mlに添加する。混合物を10分間静置した後、UV走査を実施した。最大吸収は488nmで見られた。次いで波長を488nmに設定し、各サンプルについて吸収度を測定する。結果を表22に示す。デキストラン溶液のそれぞれについて、以下のように標準較正曲線を得た。デキストラン5000、吸収度=0.01919+0.027782C(μg)、R=0.97(N=5);デキストラン50,000、吸収度=0.0075714+0.032196C(μg)、R=0.96(N=5);およびデキストラン410,000、吸収度=0.03481+0.036293C(μg)、R=0.98(N=5)。
【0144】
【表22】

緑茶抽出物のDART−MS分析
JEOL AccuTOF−DART質量分析計(Jeol USA、Peabody、MA)を、緑茶抽出物の質量分析で使用した。この飛行時間型(TOF)質量分析計技術は、サンプル調製を必要とせず(または必要としても最小限)質量単位0.00001までの精度で質量が得られる。正イオンモード(DART+)では、ニードル電圧を3500Vに、発熱体を300℃に、電極1を150Vに、電極2を250Vに、ヘリウムガス流を1分当たり3.69リットル(LPM)に設定した。質量分析計には、以下の設定を取り込んだ。オリフィス1を20Vに、リングレンズ電圧を5Vに、オリフィス2を5Vに設定する。分解能を得るために、ピーク電圧を1000Vに設定し約100m/zで開始した。マイクロチャネルプレート検出器(MCP)電圧を2550Vに設定した。PEG600の10%溶液を使用して、各サンプルについて較正を内部で実施し、必要な質量範囲100〜1000質量単位全体にマスマーカーを提供した。
【0145】
一方の端が閉じられたホウケイ酸ガラス融点毛細管を使用して、緑茶サンプルをDARTヘリウムプラズマに粉末として入れた。サンプルは、TOFへの送達を最大限にするHeプラズマビームに均質な表面積を曝露させることができる毛細管上の薄膜として集まる。分析1回当たり約3〜5秒間、毛細管をHeプラズマ中に保持する。分析中にはサンプルの熱分解は見られなかった。
【0146】
負イオンモード(DART−)では、DARTおよびAccuTOF−MSを負イオンモードに切り替えた。ニードル電圧は3500V、発熱体は300℃、電極1は150V、電極2は250V、ヘリウムガス流は3.69LPMであった。質量分析計には、以下の設定を取り込んだ。オリフィス1を−20Vに設定し、リングレンズ電圧を−5Vに設定し、オリフィス2を−5Vに設定する。負イオンモードにおいて低m/z範囲の適切な分解能を実現するために、ピーク電圧を600Vに設定した。MCP電圧を2600Vに設定した。サンプルを正イオンモードと正確に同じやり方でDARTに入れた。ペルフルオロカルボン酸溶液を使用して、各サンプルについて較正を内部で実施した。
【0147】
JEOL AccuTOF DART−MSを備えた元素組成および同位体マッチングプログラムによって分子式を確認した。文献に基付いて、緑茶構成成分の検索可能なデータベースを開発した。質量スペクトルとしての全化学物質の識別(識別済みおよび未識別)は、90%を超える信頼水準で割り当てられる。
【0148】
(実施例1)
工程1の実施例:緑茶精油の単一工程のSFE抽出および精製
すべてのSFE抽出を、圧力および温度をそれぞれ最大690バールおよび200℃に設計したSFT250(Supercritical Fluid Technologies,Inc.、Newark、Delaware、USA)で実施した。この装置は、動的または静的モードで操作する柔軟性を伴って、超臨界条件における簡単で効果的な抽出を可能にする。この装置は、オーブン、ポンプおよび制御、ならびに収集モジュールの3つのモジュールからなる。オーブンは、1つの予熱カラムおよび1つの100mlの抽出容器を有する。ポンプモジュールには、300ml/分の一定の流量の圧縮空気駆動式ポンプが備えられている。収集モジュールは40mlのガラスバイアルであり、抽出生成物を回収するためにキャップおよび隔壁で封止される。それには、マイクロメーターバルブおよび流量計がさらに備えられている。抽出容器の圧力および温度はモニタされ、+/−3バールおよび+/−1℃以内で制御される。
【0149】
典型的な実験実施例では、140メッシュスクリーンのふるいにかけた105μmを超える寸法の茶切断緑茶葉25グラムを、各実験毎に100mlの抽出容器に入れた。オーブンを所望の温度に予熱した後、充填された容器を搭載した。容器をオーブンに接続した後、抽出系をCOで加圧することによって(850psig)漏出について該系を試験し、パージした。この系を閉じ、空気駆動液体ポンプを使用して所望の抽出圧力に加圧した。次いで、該系を平衡のために〜3分間静置した。サンプリングバイアル(40ml)を秤量し、サンプリングポートに接続した。5SLPM(9.8g/分)の速度でCOを流すことによって抽出を開始したが、この速度は絞り弁で制御される。使用した全COと搭載した未加工材料の重量の重量比として定義される溶媒/供給物比を算出した。抽出プロセス中、抽出サンプルを5分毎に秤量した。サンプル重量が2つの秤量測定値間で5%を超えて変化しなくなったとき、抽出が終了したと推定した。収率は、全抽出物と未加工原料の供給物の重量比と定義した。
【0150】
この実験実施例では、温度が40℃に設定され、圧力が200バールに設定されるように抽出条件を設定した。CO2流量は9.8g/分であった。
【0151】
(実施例2)
工程2の実施例:緑茶植物材料の単一工程のSFE脱カフェイン
すべてのSFE抽出を、SFT250(Supercritical Fluid Technologies,Inc.、Newark、Delaware、USA)で実施した。典型的な実験実施例では、蒸留水共溶媒25gmで湿潤した精油抽出済み茶の切断緑茶葉25グラムの残渣を、各実験毎に100mlの抽出容器に入れた。オーブンを所望の温度に予熱した後、充填された容器を搭載した。容器をオーブンに接続した後、抽出系をCOで加圧することによって(850psig)漏出について該系を試験し、パージした。この系を閉じ、空気駆動液体ポンプを使用して所望の抽出圧力に加圧した。次いで、該系を平衡のために〜3分間静置した。サンプリングバイアル(40ml)を秤量し、サンプリングポートに接続した。5SLPM(9.8g/分)の速度でCOを流すことによって抽出を開始したが、この速度は絞り弁で制御される。毎分、その系に共溶媒3mlを注入した。抽出時間は4時間であった。使用した全COと搭載した未加工材料の重量の重量比として定義される溶媒/供給物比を算出した。収率は、全抽出物と未加工原料の供給物の重量比と定義した。抽出条件は70℃および500バールに設定した。
【0152】
(実施例3)
工程3の実施例:95%エタノール浸出抽出
緑茶葉材料のカテキン化学構成成分の、2段階溶媒抽出物の典型的な実施例は以下の通りである。原料は、工程2のSCCO2脱カフェインからの茶切断緑茶葉SFE残渣または未加工緑茶葉原料25gmとした。溶媒は、95%エタノール250mlとした。この方法では、原料および95%エタノール250mlを、1つの500mlの抽出容器に個々に入れ、温水浴中、70℃で2時間混合した。保持粒経4〜8μmを有するFisherbrand P4濾紙を使用して抽出溶液を濾過し、3000rpmで20分間遠心分離にかけ、さらなる抽出のために微粒子残渣を使用した。収率算出およびHPLC分析のために濾液(上清)を収集した。段階1の残渣を、前述の方法を使用して2時間抽出した(段階2)。上清抽出物を混合し、ロータリーエバポレーターを使用してエタノールを除去した。カテキン画分のさらなる精製が望ましい場合、アルコールを含まない粗カテキン抽出生成物を、工程4の処理で蒸留水250mlに溶解する。段階2の抽出の残渣は、テアニンおよび多糖画分のさらなる処理と同じようにした(工程5参照)。
【0153】
(実施例4)
工程4の実施例 カテキン画分のアフィニティー吸着抽出
典型的な実験では、使用溶液は工程3の緑茶の2段階95%エタノール浸出抽出の透明な水溶液であった。これらの実施例では、工程3に記載のように70℃で95%エタノール250mlを使用して(溶媒と供給物比20/1)、緑SFE脱カフェイン済み残渣25gmを2段階浸出抽出した。2段階抽出物を混合し、ロータリーエバポレーションを使用してエタノールを除去した。次いで蒸留水を添加して、溶液の最初の濃度を再構成した(体積500ml)。
【0154】
アフィニティー吸着ポリマー樹脂はXAD7HPであった(別表1参照)。アフィニティー吸着物30gmを、ID10mmおよび長さ350mmのガラスカラムへの充填前および充填後に、95%エタノール(4〜5BV)および蒸留水(4〜5BV)で予め洗浄した。吸着剤のBV(床体積)は35mlであった。溶液中濃度=4.8〜9.6mg/mlを有する水溶液100ml(脱エタノール化工程3の浸出溶液)を、流量1.2ml/分(2BV/時間)で充填したカラムに入れた。搭載時間は85分であった。ロードしたカラムを、流量10BV/時間、洗浄時間25分で蒸留水150mlを用いて洗浄した。ロードしたカラムを脱カフェインするために、10%エタノール中5%のH2SO4、100mlを使用して、カフェイン化合物を流量2.2ml/分(2BV/時間)で溶出した。溶出液を破棄した。次いで蒸留水250mlを使用して、流量6ml/分(12BV/時間)で、または洗浄溶液が中性pHになるまで、カラムを洗浄した。80%エタノール100mlを使用して、流量1.2ml/分(2BV/時間)、溶出時間85分で、ロードしたカラムからカテキンを溶出した。溶出中6画分(F1〜F6)を、それぞれ0〜0.7(F1)、0.8〜1.0(F2)、1.0〜1.1(F3)、1.1〜1.3(F4)、1.3〜1.6(F5)、および1.6〜3(F6)BVで収集した。次いで、無水エタノール3BVを使用して、カラム上の残りの化学物質を流量3.6BV/時間で清浄にし、次いで蒸留水3BVを用いて3.8BV/時間で洗浄した。使用物、流出物、洗浄液、およびカフェイン溶出液をすべて収集し、質量含有量について測定し、カテキン(EGCG、EGC、ECG、C)、カフェイン、テオブロミン、およびクロロゲン酸を測定するために、HPLCを使用して分析した。各溶出画分を収集し、HPLCによって分析した。
【0155】
(実施例5)
工程の実施例 多糖およびテアニンの抽出のための水浸出プロセス
水浸出プロセスの典型的な実験実施例では、工程3の95%エタノール浸出プロセスからの残渣20gmおよび蒸留水400mlを、500mlの抽出容器に別々に入れ、70℃の水浴中で2時間混合する。透明な最上層をデカントし、固体残渣の第2段階の抽出物を、同じ方法を使用して蒸留水400mlで抽出した。2段階抽出溶液を2000rpmで10分間遠心分離にかけ、FisherbrandP4濾紙(保持粒経4〜8μm)で濾過した。2段階でデカントした上清溶液を収集し、テアニン含量の収率算出およびHPLC分析のために混合した。
【0156】
(実施例6)
工程6の実施例 多糖画分およびテアニンの抽出および精製
緑茶の水溶性エタノール不溶性精製済み多糖画分化学構成成分およびテアニン化学構成成分の溶媒抽出および沈殿の典型的な実験実施例は以下の通りである。工程3の2段階95%エタノール浸出抽出からの固体残渣20gmを、工程5に先に記載したように2段階の蒸留水浸出を使用して抽出した。工程5の2段階抽出溶液を混合した。真空ロータリーエバポレーションを使用して、60%の水溶媒を除去して透明な上清抽出溶液を濃縮した。次いで無水エタノールを添加して、最終エタノール濃度を75%にした。この溶液を1時間静置し、沈殿物を観測した。抽出溶液を2,000rpmで10分間遠心分離にかけ、上清をデカントし、凍結乾燥させ、さらなる処理のために保存した。多糖沈殿物を収集し、凍結乾燥させた。乾燥多糖画分を秤量し水に溶解して、参照標準としてデキストランを使用して比色法で多糖純度を分析した。さらに、AccuTOF−DART質量分析を使用して、多糖画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイルした。結果を図6〜11に示す。
【0157】
L−テアニンを含有する乾燥した上清生成物を蒸留水に溶解して、10%溶液を作製した。この溶液に無水エタノール4体積を添加し、混合し、1時間静置した。次いで溶液を6,000rpmで10分間遠心分離にかけ、デカントした。沈殿物を破棄した。収集した上清溶液を、真空ロータリーエバポレーションを使用して60℃で80%エタノール溶液に濃縮した。この80%エタノール溶液を室温に冷却した。次いで、エタノール4体積をこの溶液に添加した。この溶液を24時間0℃の冷蔵庫に入れて、テアニン化合物を結晶化させた。溶液を2000rpmで10分間遠心分離にかけ、次いで結晶を収集し、真空下60℃で乾燥させた。
【0158】
(実施例7)
以下の成分を配合のために混合する。
【0159】
【表23】

緑茶の新規抽出物は、天然根茎材料または従来の抽出生成物に見られるよりも高い質量%で、精製済み精油画分、カテキン画分、テアニン画分、および多糖画分を含む。配合物は、任意の経口用剤形にすることができ、所望の生理学的、心理学的、医学的効果(抗酸化、酸素フリーラジカル捕捉、およびニトロソ化阻害活性、免疫増強、抗骨粗鬆症、心臓血管疾患予防および治療、脳血管疾患予防および治療、コレステロール低下活性、癌の予防および治療、HIVおよびウィルス疾患治療の治療、減量および熱産生、老化予防、糖尿病の管理、記憶および認識強化、不安軽減、ならびに気分高揚)に対して、必要に応じて毎日または1日当たり15回まで投与することができる。
【0160】
(実施例8)
以下の成分を以下の配合のために混合する。
【0161】
【表24】

緑茶の新規抽出組成物は、天然植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも高い質量%で、精製済み精油画分、カテキン、テアニン、および多糖化学構成成分画分を含む。配合物は、任意の経口用剤形にすることができ、所望の生理学的、心理学的、医学的効果に対して、必要に応じて1日当たり15回まで安全に投与することができる。
【0162】
引用参考文献:
【0163】
【化1】

【0164】
【化2】

【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の精油の超臨界二酸化炭素抽出(工程1)および緑茶の脱カフェイン(工程2)の例示的略図である。
【図2】本発明の粗緑茶カテキン化学構成成分画分のエタノール抽出の例示的概略図である。
【図3】本発明のアフィニティー吸着抽出プロセスの例示的略図である。
【図4】本発明のL−テアニンおよび多糖の水浸出抽出の例示的略図である。
【図5】本発明のL−テアニンおよび多糖画分の精製の例示的略図である。
【図6】本方法の工程6からの緑茶多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図7】本方法の工程6からの緑茶多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図8】本方法の工程6からの緑茶多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図9】本方法の工程6からの緑茶多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図10】本方法の工程6からの緑茶多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図11】本方法の工程6からの緑茶多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図12】市販の緑茶(Kai Hua Long Ding)のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図13】本方法の工程3からの95%エタノール浸出による緑茶粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図14】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶フェノール酸供給物のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図15】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF2画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図16】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF3画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図17】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF4画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図18】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF5画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(正イオンモード)のグラフである。
【図19】市販の緑茶(Kai Hua Long Ding)のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図20】本方法の工程3からの95%エタノール浸出による緑茶粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図21】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶フェノール酸供給物のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図22】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF2画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図23】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF3画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図24】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF4画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。
【図25】XAD7HP脱着充填剤を使用するカラムクロマトグラフィーによる本方法の工程4からの緑茶精製済みF5画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(負イオンモード)のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図6〜25のいずれかの実時間直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む緑茶種抽出物。
【請求項2】
精油、ポリフェノール、多糖、およびそれらの+組合せからなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の緑茶種抽出物。
【請求項3】
前記精油が、n−ヘキサデカン酸、テトラデカン酸、9−ヘキサデカノール、1−ウンデカノール、1−ヘキサデカノール、オレイルアルコール、9−オクタデセン−1−オール、ノナデカノール、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項4】
前記ポリフェノールが、カテキン、フラバノール、フラボノール配糖体、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項5】
前記カテキンが、カテキン(C)、エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECG)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の緑茶種抽出物。
【請求項6】
前記フラバノールが、ケルセチンおよびルチンからなる群から選択される、請求項4に記載の緑茶種。
【請求項7】
前記フラボノール配糖体がケンペロールである、請求項4に記載の緑茶種。
【請求項8】
前記多糖が、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の緑茶種。
【請求項9】
カフェイン、シュウ酸、またはタンニンを実質的に含まない、請求項1に記載の緑茶種。
【請求項10】
前記精油の量が2重量%を超える、請求項2に記載の緑茶種。
【請求項11】
前記精油の量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項12】
前記精油の量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項13】
前記精油の量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項14】
前記ポリフェノールの量が40重量%を超える、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項15】
前記ポリフェノールの量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項16】
前記ポリフェノールの量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項17】
前記多糖の量が15重量%を超える、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項18】
前記多糖の量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項19】
前記多糖の量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項20】
前記多糖の量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の緑茶種抽出物。
【請求項21】
2重量%〜97重量%の精油、15重量%〜98重量%のカテキン、4重量%〜90重量%のテアニン、および9重量%〜98重量%の多糖を含む、請求項1に記載の緑茶種抽出物。
【請求項22】
請求項1に記載の緑茶種抽出物を含む食品または医薬品。
【請求項23】
a)超臨界二酸化炭素抽出によって緑茶種植物材料を抽出して、精油画分および第1の残渣を得る工程、
b)アルコール抽出によって緑茶種植物材料または工程a)からの第1の残渣を抽出して、ポリフェノール画分および第2の残渣を得る工程、ならびに
c)水抽出によって工程b)からの第2の残渣を抽出し、多糖をアルコールで沈殿させて多糖画分を得る工程
によって逐次的に緑茶種植物材料を抽出して、精油画分、該ポリフェノール画分、および該多糖画分を得ることを含む、少なくとも1つの所定の特徴を有する緑茶種抽出物の調製方法。
【請求項24】
工程a)からの前記第1の残渣が、超臨界二酸化炭素抽出によってさらに脱カフェインされる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリフェノール画分が、アフィニティー吸着クロマトグラフィーによってさらに精製される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
工程a)が、
1)粉砕された緑茶種植物材料を抽出容器に入れる工程、
2)超臨界条件下で二酸化炭素を添加する工程、
3)該緑茶種植物材料と二酸化炭素とをある時間接触させる工程、および
4)精油画分を収集容器に収集する工程
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
超臨界二酸化炭素画分分離システムで前記精油画分を分画することによって、精油化合物の比を変える工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
超臨界条件が、35℃〜90℃で60バール〜800バールの圧力を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
超臨界条件が、40℃〜80℃で60バール〜500バールの圧力を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記時間が30分〜2.5時間である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記時間が1時間である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
工程b)が、
1)ポリフェノール化学構成成分を抽出するのに十分な時間、粉砕された緑茶種植物材料または工程a)からの前記第1の残渣とアルコール溶媒とを接触させる工程、
2)工程1)からの抽出されたポリフェノール化学構成成分の水溶液を、アフィニティー吸着樹脂カラムに通過させ、該ポリフェノール構成成分を吸着させる工程、
3)酸性溶出溶媒を使用して、アフィニティー吸着物からカフェイン化合物を溶出する工程、および
4)含水アルコール溶離溶媒を使用して、該アフィニティー吸着樹脂から該ポリフェノール化学構成成分を溶出する工程
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記含水アルコール溶液が、エタノールおよび水を含み、該エタノールの濃度が10〜95重量%である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記含水アルコール溶液が、エタノールおよび水を含み、該エタノールの濃度が25重量%である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
工程1)が30℃〜100℃で実施される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
工程1)が60℃〜100℃で実施される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記時間が1〜10時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記時間が1〜5時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記時間が2時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
工程c)が、
1)多糖を抽出するのに十分な時間、工程b)からの前記第2の残渣と水とを接触させる工程、および
2)アルコール沈殿によって水溶液から該多糖を沈殿させる工程
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項41】
前記水が70℃〜90℃である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記水が80℃〜90℃である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記時間が1〜5時間である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記時間が2〜4時間である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記時間が2時間である、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記アルコールがエタノールである、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
請求項23に記載の方法によって調製された緑茶種抽出物。
【請求項48】
ピロガロール、該ピロガロールの25〜35重量%のテオフィリン/テオブロミン、該ピロガロールの0.1〜5重量%のシキミ酸、該ピロガロールの0.1〜5重量%のクマル酸、および該ピロガロールの0.1〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項49】
テアニン、該テアニンの20〜30重量%のテオフィリン/テオブロミン、該テアニンの1〜10重量%のカテキン/エピカテキン、該テアニンの1〜10重量%の没食子酸、該テアニンの0.1〜5重量%のカテキンキノン、該テアニンの0.1〜5重量%のシンナムアルデヒド、および該テアニンの1〜10重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項50】
テアニン、該テアニンの45〜55重量%のテオフィリン/テオブロミン、該テアニンの1〜10重量%のカテキン/エピカテキン、該テアニンの0.1〜5重量%のカルノシン酸、該テアニンの1〜10重量%の没食子酸、該テアニンの0.5〜5重量%のカテキンキノン、該テアニンの1〜10重量%のシンナムアルデヒド、該テアニンの0.1〜5重量%のメチルケイ皮酸、該テアニンの1〜10重量%のシンナミド、および該テアニンの1〜10重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項51】
ピロガロール、該ピロガロールの1〜10重量%のテオフィリン/テオブロミン、該ピロガロールの0.1〜5重量%のテアニン、該ピロガロールの1〜10重量%のカテキン/エピカテキン、該ピロガロールの5〜15重量%のケンペロール、該ピロガロールの0.1〜5重量%のミリシチン、該ピロガロールの0.1〜5重量%のガロカテキンキノン、該ピロガロールの65〜75重量%の没食子酸、該ピロガロールの0.5〜5重量%のカテキンキノン、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、および該ピロガロールの1〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項52】
ケンペロール、該ケンペロールの1〜10重量%のテアニン、該ケンペロールの95〜105重量%のカテキン/エピカテキン、該ケンペロールの20〜30重量%のケルセチン、該ケンペロールの5〜15重量%のミリシチン、該ケンペロールの5〜10重量%のガロカテキンキノン、該ケンペロールの55〜65重量%の没食子酸、該ケンペロールの1〜10重量%のカテキンキノン、該ケンペロールの10〜20重量%のクマル酸、該ケンペロールの1〜10重量%のバニリン酸、および該ケンペロールの15〜25重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項53】
ピロガロール、該ピロガロールの0.5〜5重量%のテオフィリン/テオブロミン、該ピロガロールの95〜105重量%のカテキン/エピカテキン、該ピロガロールの55〜65重量%のケンペロール、該ピロガロールの20〜30重量%のケルセチン、該ピロガロールの10〜20重量%のミリシチン、該ピロガロールの20〜30重量%のガロカテキンキノン、該ピロガロールの50〜60重量%の没食子酸、該ピロガロールの15〜25重量%のカテキンキノン、該ピロガロールの15〜25重量%のクマル酸、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、および該ピロガロールの0.5〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項54】
ピロガロール、該ピロガロールの0.5〜5重量%のテオフィリン/テオブロミン、該ピロガロールの95〜105重量%のカテキン/エピカテキン、該ピロガロールの55〜65重量%のケンペロール、該ピロガロールの20〜30重量%のケルセチン、該ピロガロールの10〜20重量%のミリシチン、該ピロガロールの20〜30重量%のガロカテキンキノン、該ピロガロールの50〜60重量%の没食子酸、該ピロガロールの15〜25重量%のカテキンキノン、該ピロガロールの15〜25重量%のクマル酸、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、および該ピロガロールの0.5〜5重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。
【請求項55】
ピロガロール、該ピロガロールの重量のテアニン、該ピロガロールの90〜100重量%のカテキン/エピカテキン、該ピロガロールの65〜75重量%のケンペロール、該ピロガロールの15〜25重量%のケルセチン、該ピロガロールの5〜15重量%のミリシチン、該ピロガロールの5〜15重量%のガロカテキンキノン、該ピロガロールの65〜75重量%の没食子酸、該ピロガロールの5〜15重量%のカテキンキノン、該ピロガロールの10〜20重量%のクマル酸、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸、および該ピロガロールの1〜10重量%の3−メトキシ−1−チロシンを含む緑茶種抽出物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2009−531162(P2009−531162A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501756(P2009−501756)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064830
【国際公開番号】WO2007/109802
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】