説明

線画処理装置、線画処理方法およびプログラム

【課題】描画線に基づいた領域分離を高精度に実施することを容易とする技術を提供する。
【解決手段】線画処理装置100は、線画から芯線CL1を抽出する芯線抽出部21と、芯線CL1の端点TP1を抽出する端点抽出部22と、端点TP1から延長線ELを延伸させる延伸方向EDとして、前記端点まで続く芯線CL1の描画方向DDに基づいて、端点TP1から射出させる射出方向SDと、射出方向SDに射出された延長線EDを所定方向に湾曲させる湾曲方向CDとを決定する延伸方向決定部24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、線画を処理する技術に関するものであって、特に描画線の線切れを補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マンガは、一般的に、欧米のコミック(Comic)とは異なり、日本独自の風合いを持つモノクロ線画である。すなわち、マンガでは、階調(色合い)の表現やキャラクターの感情等が、様々な網点やベタ、効果線等の模様並びに輪郭線等の描画線で表現されており、カラー表現が多いコミックとは性質が大きく異なっている。
【0003】
従来、マンガは紙上に印刷されて市場に供給されているが、カラー印刷コストがかかりすぎる等の理由から、雑誌等の巻頭カラーページ以外はモノクロでしか制作されていなかった。
【0004】
しかし、携帯電話や電子ブック等の端末装置の通信技術の発達により、デジタル化されたマンガを、通信回線を介して購読できるサイトが急増しており、マンガを液晶モニタ等で鑑賞できる機会が増えている。それに伴い、カラー化(彩色、色付け)されたマンガの需要が大きくなっている。また、日本国外においては、モノクロマンガの文化がないため、マンガビジネスを海外展開する上では、モノクロマンガを彩色することが望まれる。
【0005】
マンガ等の線画の彩色は、コンピューターを用いて行われることが多い。この彩色過程では、デジタルデータ化された線画がモニタ上に表示され、作業者の操作入力に基づいてマンガに含まれる各領域の彩色が行われる。
【0006】
ここで作業者は、彩色すべき色と、その色で彩色すべき領域とを選択する。彩色する領域は、一般的には、作者が描画した描画線等に基づいて抽出される。ところが、作風によっては、描画線が途中で途切れていたり、あるいは、他の描画線に接続するべき描画線が途中で途切れていたりする等、線切れが多く含まれている場合がある。
【0007】
このような線画について、描画線に基づき、コンピューター上で閉領域を抽出しようとすると、本来は2以上の領域としてそれぞれ分離されるべき領域が1の領域として分離されるため、領域分離精度が非常に悪くなる場合がある。このような場合、作業者は、手作業によって領域を細かく選択する必要がある。そのため、線切れを高精度に補正する技術が、これまでにも提案されている(例えば特許文献1)。
【0008】
具体的に、特許文献1では、まず描画線を細線化して、1画素幅の芯線が抽出され、距離が所定のしきい値以下である2端点の組が選出される。さらに元の描画線における選出された2端点を結ぶ背景画素の数が算出され、この数が所定のしきい値以下であると判定される場合に、該2端点間を接続する接続線分が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−208178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記従来技術では、端点から接続線分を延ばす際に、描画線の描画方向を考慮することなく、単に2端点間の距離に応じて接続を判定するため、本来描画線の端点から延長して接続すべき他の描画線の端点ではなく、より近くにある端点に向けて接続線分が生成されてしまう場合がある。したがって、このような線切れの補正を行った場合、領域分離の精度が非常に悪くなってしまうおそれがある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、描画線に基づいた領域分離を高精度に実施することを容易とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、線画を処理する線画処理装置において、前記線画から芯線を抽出する芯線抽出部と、前記芯線の端点を抽出する端点抽出部と、前記端点から延長線を延伸させる延伸方向として、前記端点まで続く芯線の描画方向に基づいて、前記端点から射出させる射出方向と、前記射出方向に射出された前記延長線を湾曲させる湾曲方向とを決定する延伸方向決定部とを備える。
【0013】
また、第2の態様は、第1の態様に係る線画処理装置において、前記端点に繋がる芯線上において、該芯線が前記端点に至るまでに湾曲し始める湾曲開始位置を所定基準に基づき決定する湾曲開始位置決定部、をさらに備え、前記延伸方向決定部は、少なくとも前記端点から前記湾曲開始位置までに含まれる芯線の描画方向に従って、前記延伸方向を決定する。
【0014】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る線画処理装置において、前記延伸方向決定部は、前記芯線上の隣り合う二点間を連結した連結線のそれぞれが、所定の基準線に対して成す角度を連結角度として算出し、該連結角度に基づいて、前記射出方向を決定するとともに、連続する前記二点間についての前記連結角度の変化量に基づいて、前記湾曲方向を決定する。
【0015】
また、第4の態様は、第1から第3の態様までのいずれか1態様に係る線画処理装置において、前記二点間を連結する連結線は、隣接する2つの画素を連結する。
【0016】
また、第5の態様は、第1から4までのいずれか1態様に係る線画処理装置において、前記延伸方向に向かって、前記端点と接続すべき接続点を探索する探索部とをさらに備える。
【0017】
また、第6の態様は、第5の態様に係る線画処理装置において、前記探索部は、前記端点から射出する前記延長線に沿って、その両側に所定の角度で広がる領域のうちから、前記接続点を探索する。
【0018】
また、第7の態様は、第6の態様に係る線画処理装置において、前記探索部は、特定の芯線の端点から延伸した前記延長線に沿って広がる前記探索範囲と、前記特定の芯線とは異なる他の芯線の端点から延伸した前記延長線に沿って広がる前記探索範囲とが、互いに重複する重複領域のうちから、前記接続点を決定する。
【0019】
また、第8の態様は、第7の態様に係る線画処理装置において、前記探索部は、前記重複領域の重心点を前記特定の端点についての前記接続点に決定する。
【0020】
また、第9の態様は、線画を処理する線画処理方法において、前記線画から芯線を抽出する芯線抽出工程と、前記芯線の端点を抽出する端点抽出工程と、前記端点から延長線を延伸させる延伸方向として、前記端点まで続く芯線の描画方向に基づいて、前記端点から射出させる射出方向と、前記射出方向に射出された前記延長線を湾曲させる湾曲方向とを決定する延伸方向決定工程とを有する。
【0021】
また、第10の態様は、コンピューターが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピューターが備えるCPUが前記プログラムをメモリ上で実行することによって、前記コンピューターを、線画を処理する処理する線画処理装置であって、前記線画から芯線を抽出する芯線抽出部と、前記芯線の端点を抽出する端点抽出部と、前記端点から延長線を延伸させる延伸方向として、前記端点まで続く芯線の描画方向に基づいて、前記端点から射出させる射出方向と、前記射出方向に射出された前記延長線を湾曲させる湾曲方向とを決定する延伸方向決定部とを備える線画処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0022】
第1から第8態様に係る線画処理装置によれば、描画線の描画方向に従って、端点から延長線を延伸させることができる。したがって、線画の領域分離を高精度に行うことが容易となり得る。
【0023】
特に、第2態様に係る線画処理装置によれば、描画線の湾曲する部分の湾曲度に従って、延長線を延伸させることができるため、より高精度な領域分離を容易に実現し得る。
【0024】
特に、第3態様に係る線画処理装置によれば、描画線の湾曲度が反映された延長線を生成できるという優れた効果を奏し得る。
【0025】
特に、第4態様に係る線画処理装置によれば、湾曲度を芯線に沿って1画素毎に算出することによって、描画線の描画方向を細かく解析することができる。
【0026】
特に、第5態様に係る線画処理装置によれば、描画線の湾曲度に従って決定される延伸方向に沿って、端点と接続するべき接続点を探索するため、描画線の状態に従って端点の接続先を見つけやすくなる。したがって、領域分離を高精度に実施することが容易となり得る。
【0027】
特に、第6態様に係る線画処理装置によれば、より広い範囲を探索範囲に含めることができるため、線切れ端点の接続先をより見つけやすくなる。したがって、より細かな領域分離を実施し得る。
【0028】
特に、第7の態様に係る線画処理装置によれば、それぞれの描画線に基づき、端点と他の端点とを接続点を介して互いに接続することが可能となる。したがって、高精度な領域分離を実施することが容易となり得る。
【0029】
特に、第8の態様に記載の線画処理装置によれば、特定の端点と別の端点とのそれぞれを結ぶべき接続点を、精度よく特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る線画処理の概要を説明するための説明図である。
【図2】第1実施形態に係る線画処理装置の外観図である。
【図3】線画処理装置の構成を示す図である。
【図4】線画処理装置の備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図5】描画線から抽出された芯線を示す図である。
【図6】連結線が基準線に対して成す連結角度を示す図である。
【図7】図5に示す芯線について、連結角度、連結角度変化量、および平均連結角度変化量を算出した結果を示す図である。
【図8】芯線の端点から延長線を延伸させる様子を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る補正部を示すブロック図である。
【図10】芯線の端点から接続点を探索する様子を示す図である。
【図11】重心点算出部によって接続点が特定される様子を示す図である。
【図12】重心点に向けて湾曲しながら延びる補助線を生成する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して実施形態を詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0032】
図1は、実施形態に係る画像処理の概要を説明するための説明図である。上述したように、描画線DL1の途中に線切れが発生していた場合、彩色等の際に領域選択が困難となるため、端点同士を良好に接続することが望まれる。
【0033】
そこで、以下に説明する実施形態では、まず線画を構成する描画線DL1〜DL3が1画素幅の芯線CL1〜CL3に細線化され、さらに端点TP1〜TP3がそれぞれ検出される。そして、検出された端点TP1に着目し、この端点TP1に繋がる描画線DL1の描画方向DDが解析される。
【0034】
さらに、この描画方向DDに従って、端点TP1から延伸する延長線の延伸方向EDが決定される。より詳細には、この延伸方向EDは、端点TP1から延長線を射出させ射出方向SDと、射出方向SDを所定方向に湾曲させることによって、徐々に延長線を所定方向に湾曲させていく湾曲方向CDとで表される。
【0035】
このようにして決定された延伸方向EDは、線切れ部分である端点TP1から描画線DL1が本来延びていくべき方向を示している。そこで、第1実施形態に係る線画処理装置100は、この延長線ELに沿って、線切れ補正用の補助線を生成することによって、線切れの補正を行うように構成されている。また、第2実施形態に係る線画処理装置100は、延長線の延びる方向(延伸方向ED)を端点TP1と接続すべき先端点を探索する際の探索方向に利用することによって、端点TP1の接続先を決定し、線切れを補正するように構成されている。
【0036】
特に図1に示すように、描画線DL1の描画方向DDに基づいて延長線を延ばすことによって、端点TP1に対して端点TP2よりも近い位置にある端点TP3を接続対象から外すことができる。このように、端点TP1の接続先が、描画線DL1の描画方向DDによって決定されるため、端点TP1の適切な接続先を決定し得る。これにより、領域の分離を高精度かつ高効率に実施することが可能となる。
【0037】
{1. 第1実施形態}
{1.1. 線画処理装置の構成および機能}
図2は、第1実施形態に係る線画処理装置100の外観図である。また、図3は、線画処理装置100の構成を示す図である。
【0038】
線画処理装置100は、主にCPU10、記憶部11、操作部12、表示部13、ディスク読取部14、通信部15およびスキャナ16を備え、一般的なコンピュータ(情報処理装置)としての機能を備えている。
【0039】
CPU10は、記憶部11に格納されたプログラム2に従って動作することによって、各種データの演算や制御信号の生成を実行し、線画処理装置100の各構成を制御する。CPU10によって実現される各機能については後述する。
【0040】
記憶部11は、CPU10の一時的なワーキングエリアとなるRAMや、補助記憶装置(例えばハードディスク等)、読み取り専用のROMを備えている(図示せず)。記憶部11は、プログラム2や各種データを記憶する記録媒体として機能する。なお、プログラム2は、後述する記録媒体9からディスク読取部14を介して記憶部11に転送されてもよい。あるいは、プログラム2が通信部15を介して、記憶部11に転送されてもよい。
【0041】
操作部12は、線画処理装置100に対してユーザの指示を入力するために使用される。すなわち、操作部12は、線画処理装置100における入力装置として機能する。具体的に操作部12は、例えばキーボードやマウス、ペンタブレット(登録商標)および各種ボタン類等が該当する。
【0042】
表示部13は、各種データを画像として画面に表示する。すなわち表示部13は、線画処理装置100における表示装置として機能する。具体的に表示部13は、例えばCRTモニタや液晶ディスプレイ等が該当するが、タッチパネルディスプレイのように、操作部12の機能を一部又は全部有するもので構成されていてもよい。
【0043】
ディスク読取部14は、可搬性の記録媒体9に記憶されているデータを読み取って記憶部11に転送する装置である。すなわち、ディスク読取部14は線画処理装置100におけるデータ入力装置として機能する。
【0044】
本実施形態の線画処理装置100は、ディスク読取部14としてCD−ROMドライブを備えている。しかし、ディスク読取部14はこれに限られるものではなく、FDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ、BDドライブ等であってもよい。なお、ディスク読取部14が記録媒体9にデータを記録させる機能を有する場合には、ディスク読取部14に記憶部11の機能の一部を代行させることも可能である。
【0045】
ここで、線画処理装置100の処理対象となる線画は、紙等に記載されたアナログ画(原稿)の場合のほか、過去にデジタル化された画像の場合もある。
【0046】
アナログ画の場合には、スキャナ16等を用いた光電読取りによってデジタル化するにあたって、2値画像としての読み取りが実行される。すなわち、線画データは、描画色(線画を構成する描画線や模様等の色)と、背景色とを表す2段階のカラーのみで表現されることとなる。なお、スキャナ16での読み取りの際に、アナログ画を多値画像として読み取ってもよい。ただし、以下に説明するデータ加工においては、描画色が多段階で表現されていたとしても、描画色を持つ画素か背景色を持つ画素かのみで区別される。すなわち、線画が多値画像である場合には、所定のしきい値に基づいて2値化された画像として取り扱われる。
【0047】
通信部15は、線画処理装置100と図示しない他の装置群との間でネットワークを介した通信を行う。線画処理装置100は、当該ネットワークを介することによって、各種データを取得することができる。
【0048】
スキャナ16は、線画を読み取るための読取装置であって、多数のイメージセンサを有しており、アナログの線画をデジタルデータとして取得する機能を有する。所定の印刷基材(紙等)に印刷もしくは描画された線画(マンガの一部)をスキャナ16により読み取られて取得された線画データは、記憶部11等に適宜格納される。なお、線画データの取得方法は、もちろんこれに限られるものではなく、例えば記録媒体9に記録された線画データをディスク読取部14で読み取ることにより取得してもよいし、通信部15がネットワークを介して線画データを取得するように構成してもよい。なお、以下において、特に断らない場合に限り、線画は、線画データが表現する画像を意味する。
【0049】
図4は、線画処理装置100の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図4に示す芯線抽出部21、端点抽出部22、湾曲開始位置決定部23、延伸方向決定部24、補正部25は、CPU10がプログラム2に従ってRAM上で動作することにより実現される機能ブロックである。
【0050】
{芯線抽出部21}
芯線抽出部21は、線画に含まれる描画線から芯線を抽出する。具体的には、描画線を構成する画素群が1ピクセルの幅となるまで、順次描画線を細らせる細線化処理を行う。このような細線化処理は、従来の技術を含む種々の技術を適用して実現することができる。このようにして芯線を抽出したデータ(芯線データCLd)は、端点抽出部22や補正部25による処理において利用される。なお、芯線は、必ずしも描画線の中央部分のみからなる線である必要はなく、描画線上のどの部分から抽出されてもよい。
【0051】
{端点抽出部22}
端点抽出部22は、芯線の端点を抽出する。詳細には、端点抽出部22は、所定の長さを持つ芯線の端点を検出する。端点抽出部22によって、検出された端点の位置データおよび該端点が属する芯線を関連付けて記録したデータ(端点抽出データTPd)が生成される。この端点抽出データTPdは、湾曲開始位置決定部23および延伸方向決定部24による処理において利用される。
【0052】
{湾曲開始位置決定部23}
湾曲開始位置決定部23は、端点に繋がる芯線において、芯線が該端点に至るまでに湾曲し始める位置(湾曲開始位置CSP)を所定基準に基づいて決定する。湾曲開始位置CSPを決定するために使用される判断基準については、後に詳述する。湾曲開始位置決定部23は、湾曲開始位置CSPを検出することによって、描画線の端点に至るまでの間の最後の湾曲部分(最終湾曲部分FCS)のみを抽出する。なお、本願でいう「湾曲」には、折れ曲がり(屈曲)も含まれる概念である。すなわち、直線的に延びる芯線(ないしは描画線)が途中で折れ曲がって、異なる方向へ直線的に延びている場合において、この折れ曲がり部分が湾曲開始位置とされる場合もある。
【0053】
{延伸方向決定部24}
延伸方向決定部24は、端点から延長線を延伸させる延伸方向を決定する。より詳細には、延伸方向決定部24は、端点まで続く芯線(より詳細には、最終湾曲部分FCS)の湾曲度を解析することによって、端点から延長線を射出させる方向(射出方向SD)と、該延長線を所定方向に湾曲させる方向(湾曲方向CD)とを決定する。なお、ここでいう湾曲度とは、描画線の非直線性を示す指標であり、本実施形態では、描画線から抽出した芯線を構成する連結画素の配列に基づいて決定される。延伸方向決定部24によって決定された延伸方向EDを示すデータ(延伸方向データEDd)は、次に説明する補正部25による処理において使用される。
【0054】
{補正部25}
補正部25は、延伸方向決定部24によって決定された延伸方向に向けて、端点から延びる延長線生成する。そして、補正部25は、この延長線と交差する他の芯線上の点や、他の端点から延びてきた延長線上の点を接続点として、元の端点と該接続点を接続する補助線を生成する。この接続処理によって、線画の描画線に含まれる線切れが補正され、閉領域ごとに分離したデータ(閉領域分離データ)が生成される。
【0055】
この閉領域分離データは、線画を描画線と、この描画線に基づいて生成された補助線とによって分離される閉領域が、領域毎に分離したデータである。閉領域分離データは、例えば線画を彩色する場合等において、特定の領域を選択する際等に利用される。
【0056】
{1.2.線画処理装置の動作}
次に、上記で説明した機能ブロックによって実行される各処理を具体的に説明する。なお、以下においては、描画線DL1の湾曲度に基づいて延長線ELの延長方向EDを算出する具体的な手法について説明しているが、これは単なる例示に過ぎないものであって、その他の方法で算出されてもよいことはいうまでもない。
【0057】
図5は、描画線から抽出された芯線CL1を示す図である。図5に示す例では、芯線CL1は互いに連結する画素P0,P1,P2,P3,P4,P5・・・で構成されており、画素P0は、芯線CL1の端点TP1となっている。なお、図5においては、画素の配列方向として、右方向がX軸方向の正方向となっており、これに直行する下方向をY軸方向の正方向として定義されている。
【0058】
まず、描画線DL1から抽出された芯線CL1の湾曲開始位置CSPを決定するために、連結角度Rn,連結角度変化量dRn,平均連結角度変化量dR’nのそれぞれが算出される。以下に、それぞれの算出方法について説明する。
【0059】
{連結角度Rn}
まず、図5に示すように、芯線CL1上の隣り合う二点間(ここでは、連続する2画素間)を連結する連結線LLn(ただし、nは自然数)が想定される。この連結線LLnのそれぞれが所定の基準線SLに対して成す角度が、連結角度Rnとして算出される。
【0060】
図6は、連結線LLnが基準線SLに対して成す連結角度Rnを示す図である。図6では、画素P(n−1)とこれに連続する画素Pnを示しており、基準線SLをX軸方向としている。したがって、画素P(n−1),Pn間を連結する連結線LLnの連結角度Rnは、X軸方向からの回転角度として定義している。
【0061】
本実施形態では、芯線CL1を構成する画素は、8近傍のいずれかの位置に隣接する画素が連結する画素集合となっている。したがって、連結角度Rnは、0,45,90,135,180,225,270,315度のいずれかの値を取ることとなる。なおR0については、連結線LLnが点となり、定義することができないが、演算の都合上、ここではR0=0.25*(R1+R2+R3+R4)とする。
【0062】
{連結角度変化量dRn}
連結角度変化量dRnは、隣り合う連結線LLnと連結線LL(n−1)の成す角度の変化量であって、次式(1)に従って算出される。
【0063】
【数1】

【0064】
連結角度変化量dRnの値が180度を超える場合は、その値から180度引き算され、180度以下の値となるように調整される。また、連結角度変化量dRnの値が−180度よりも小さくなる場合は、その値に180度加算されることによって、−180度以上の値となるように調整される。なお、演算の都合上、n=0のときの連結角度変化量(=dR0)については、“0”とする。
【0065】
この連結角度変化量dRnは、連結線LL(n−1)を基準としたときの連結線LLnの回転変化量を示しており、芯線CL1の延びる方向の部分的な変化を示す値である。この連結角度変化量dRnが次式(2)に従って移動平均されることにより、連結角度変化量dRnの値が平滑化された(ノイズ成分が除去された)平均連結角度変化量dR’nが算出される。
【0066】
【数2】

【0067】
ここで、式(2)中、定数sは、オペレータによって任意に定められる自然数である。ただし、iがゼロ未満である場合は、i=0として演算される。すなわち、例えばdR(−1),dR(−2)等については、いずれもdR0として演算される。
【0068】
なお、本実施形態では、式(2)において単純平均加算を行うようにしているが、重み付けを伴った移動平均(例えば、荷重移動平均や指数移動平均等)により、平均連結角度変化量dR’nを算出するようにしてもよい。
【0069】
図7は、図5に示す芯線CL1について、連結角度Rn、連結角度変化量dRn、および平均連結角度変化量dR’nを算出した結果を示す図である。なお、図7では、式(2)の定数sを“2”として、平均連結角度変化量dR’nを算出している。
【0070】
このようにして平均連結角度変化量dR’nの算出すると、湾曲開始位置決定部23は、平均連結角度変化量dR’nをdR’0から順にしきい値Thと比較して、はじめてしきい値Th以上の値となる平均連結角度変化量dR’nに対応する画素Pnを、湾曲開始位置CSPとする。
【0071】
例えば図7に示す例では、しきい値Thを15度とした場合に、平均連結角度変化量dR’4(=18度)において初めてしきい値Thを越えることとなる。したがって、これに対応する画素P4が、湾曲開始位置CSPとされる。
【0072】
以上のようにして、湾曲開始位置決定部23は、芯線CL1の湾曲開始位置CSPを決定する。その結果、芯線CL1の端点TP1に至るまでの最終湾曲部分FCS(図5に示す例では、画素P0〜画素P4までの部分)が抽出される。
【0073】
次に、延伸方向決定部24は、端点TP1から延長線を射出させる射出方向SD(=射出角度pR0)を決定する。具体的に、射出角度pR0は、次式(3)に従って算出される。
【0074】
【数3】

【0075】
式(3)に示すように、本実施形態では、連結角度Rnに基づいて、射出角度pR0が算出される。ここで連結角度Rnは、端点TP1から延長線を延伸させる延伸方向EDとは逆方向に、芯線CL1上を移動して算出される値である。そのため、式(3)において、射出角度pR0を算出する際に、連結角度Rnに対して180度を加えることによって、その方向を反転させている。
【0076】
また係数Kpiは重み付け係数であり、オペレータによって任意に設定される。具体的に、例えば端点TP1により近い部分の連結角度Rnにより大きな重みを付ける場合には、Kp0≧Kp1≧Kp2・・・≧Kptとなるように係数Kpiが設定される。
【0077】
また定数tは、オペレータによって設定される任意の値である。定数tが大きければ大きいほど、端点TP1から離れた部分の連結角度Rnを使って射出角度pR0を算出することとなる。本実施形態では、湾曲開始位置決定部23によって抽出される最終湾曲部分FCSの画素数Lよりも値tが小さくなるように設定される(t=μL。ただし、0<μ<1)。これにより、芯線CL1の最後の湾曲部分のみに基づいて、射出角度pR0が算出されるため、芯線CL1に忠実な延長線を端点TP1から射出させることができる。
【0078】
また式(3)に示すように、射出角度pR0の値が360度を超える場合は、その値からさらに360度減算される。これにより、射出角度pR0が0度〜360度の範囲で算出される。
【0079】
次に、延伸方向決定部24は、射出方向SDに対して、端点TP1から延伸させる延長線を所定方向に湾曲させる湾曲方向CDを決定する。この湾曲方向CDは、湾曲角度pdR0として、次式(4)に従って算出される。
【0080】
【数4】

【0081】
式(4)に示すように、本実施形態では、湾曲角度pdR0が平均連結角度変化量dR’nに基づいて算出される。ここで、平均連結角度変化量dR’nは、延長させる方向とは逆方向に向かって、芯線CL1の2点間を連結する連結線LLnを解析して算出された値である。そこで、式(4)に示すように、負符号を付加することによって、平均連結角度変化量dR’nを逆方向に変換して、湾曲角度pdR0を算出している。
【0082】
また係数Kpdiは重み付け係数であり、オペレータによって任意に設定される。具体的に、例えば端点TP1により近い部分の平均連結角度変化量dR’nに重きをおく場合には、Kpd0≧Kpd1≧Kpd2・・・≧Kpdtとなるように係数Kpdiが設定される。
【0083】
以上のようにして、延伸方向決定部24は、芯線CL1の端点TP1から延長線を延伸させる延伸方向EDとして、端点TP1における延長線の射出方向SDと、湾曲方向CDとが決定される。
【0084】
図8は、芯線CL1の端点TP1から延長線ELを延伸させる様子を示す図である。図8に示すように、補正部25は、延伸方向決定部24によって決定された射出方向SD(射出角度pR0)と湾曲方向CD(湾曲角度pdR0)に基づき、延長線ELを生成する。その際、式(5)で定義される距離Le分進むごとに、式(6)で定義される延伸角度pRjの方向(基準線SLから延伸角度pRj分回転した方向)に延長線ELが延伸されていく。
【0085】
【数5】

【0086】
【数6】

【0087】
式(5)中、定数Mはオペレータによって任意に定められる自然数である。また、定数Hはオペレータによって任意に定められる正数である。具体的に図8では、H=1,M=3である場合を例示している。またLは、端点TP1から湾曲開始位置CSPまでの距離(ここでは画素数)である。距離Leは、式(5)に従って算出される値が小数点以下を含む場合は、適宜適当な自然数に変換されることによって、画素数として取り扱われる。
【0088】
図8に示すように、端点TP1から延長線ELを延伸させる場合、まず、式(6)の変数jに0が代入されることによって、最初の延伸角度(=射出角度pR0)が算出される。したがって、補正部25は、端点TP1から延伸角度pR0の方向に、延長線ELを距離Le分延長させることによって、延長点EP1まで延びる延長線ELを生成する。さらに補正部25は、式(6)の変数jに1を代入して、延伸角度pR1を算出し、延長点EP1から延伸角度pR1の方向に距離Le分延長されて次の延長点EP2まで延びる延長線ELが生成される。このようにして、延長点EP1,EP2・・・EPj・・・EPMのそれぞれを接続する延長線ELが生成される。
【0089】
式(6)に示すように、距離Leずつ進むに連れて、変数jの値が1ずつ大きくなる。したがって、図8に示すように、射出方向SDに対して、湾曲方向CDが段階的に加算合成されて延伸方向EDが決定される。そのため、延長線ELは、所定方向に湾曲しながら、延伸することとなる。
【0090】
なお、延長線ELの総延長距離(総画素数)は、式(5)の分子である(H*L)とされる。そして距離Leは、総延長距離をM個に分割した長さとなっている。すなわち、定数Mを大きくすればするほど、より細かく分割された延長線ELを生成することとなるため、より滑らかに湾曲する(詳細には、屈曲する)延長線ELを生成することが可能となる。
【0091】
次に補正部25は、生成した延長線ELが他の芯線CL4と交差したり、あるいは他の芯線CL4の端点と交差したり場合には、この交差点を接続点LPに設定する。そして、延長線ELに沿って接続点LPまで延びる線切れ補正用の補助線ALを生成する。これにより、端点TP1から芯線CL1の湾曲度に従って延長した補助線が生成される。
図8に示す例では、延長線ELが他の芯線CL4と交差するため、この交点を接続点LPとして補助線ALが生成される。
【0092】
以上のように、端点TP1から延ばした延長線ELが他の芯線CL2や、他の芯線CL2から延びる補助線と交差する点(画素)を、接続点LPに設定することによって、元の線画に含まれる線切れを高精度に補正した線切補正データ、もしくは、線切れ補正した線画を閉領域毎に分離した閉領域分離データを生成することができる。
【0093】
本実施形態では、延長線ELは、描画線から抽出される芯線CL1の湾曲度に従って、端点TP1から延長されるため、元の描画線に忠実な補助線ALを生成することとなる。これにより、精密な線切れの補正を実施することができるため、描画線に基づいた線画の領域分離をより高精度に実施することが容易となり得る。
【0094】
{2. 第2実施形態}
上記実施形態の線画処理装置100は、延長線ELに沿って線切れ補正用の補助線を生成するように構成されていたが、延長線ELの用途は、このようなものに限定されない。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0095】
図9は、第2実施形態に係る補正部25Aを示すブロック図である。本実施形態に係る線画処理装置100は、補正部25の代わりに補正部25Aを備えている。補正部25Aは、探索部251と、重心点算出部252とを備えている。以下に、探索部251と重心点算出部252の機能について説明する。
【0096】
{探索部251}
探索部251は、第1実施形態で延長線ELに沿って、前記端点と接続すべき接続点を探索する。探索部251による接続点LPの探索について、図10を参照しつつ具体的に説明する。
【0097】
図10は、芯線CL1の端点TP1から接続点LPを探索する様子を示す図である。図10に示すように、端点TP1から射出する延長線ELに沿って、角度pHpで広がるプラス側延長線PELと、角度pHmで広がるマイナス側延長線MELが生成される。そして、探索部251は、プラス側延長線PELとマイナス側延長線MELとによって挟まれる略扇状の領域(探索領域AR)内から、端点TP1と接続するべき接続点LPを探索する。
【0098】
ここで、プラス側延長線PELを延伸させる方向(プラス側延伸角度pRpj)は、式(7)に従って算出される。
【0099】
【数7】

【0100】
また、マイナス側延長線MELを延伸させる方向(マイナス側延伸角度pRmj)は、式(8)に従って算出される。
【0101】
【数8】

【0102】
ここで、式(7),(8)に示すように、プラス側延伸角度pRpjおよびマイナス側延伸角度pRmjは、延長線ELの延伸角度pRjに対して角度pHpもしくは角度pHmを加算した値となっている。ここで、式(7),(8)における角度pHp,pHmのそれぞれは、オペレータによって任意に設定される値である。ただし、角度pHpは正数であり、角度pHmは負数とされる。したがって、図10に示すように、プラス側延長線PELは、延長線ELに沿って左側に広がるように延伸する。また、マイナス側延長線MELは、延長線ELに沿って右側に広がるように延伸する。
【0103】
例えば図10に示す例では、芯線CL1とは異なる芯線CL5の端点TP5が、探索領域ARに存在している。そこで補正部25Aは、この端点TP5と端点TP1とを接続する補助線ALを生成することによって、端点TP1と端点TP5との間の線切れを補正する。
【0104】
このように、本実施形態に係る線画処理装置100では、端点TP1の接続先である接続点LPの探索範囲を、延長線ELに沿って広がる探索領域ARとしている、そのため、第1実施形態のように延長線EL上に接続先を探索する場合に比べて、接続先を見つけやすくなっている。したがって、線切れの補正をより確実に行うことができるため、より詳細に線画を閉領域毎に分離することが可能となる。
【0105】
図11は、重心点算出部252によって接続点LPが特定される様子を示す図である。図11に示す例では、芯線CL1の端点TP1から延びるプラス側延長線PEL1とマイナス側延長線MEL1とで挟まれる探索領域AR1が接続点LPの探索範囲に設定されている。また、他の芯線CL6の端点TP6から延びるプラス側延長線PEL6とマイナス側延長線MEL6とで挟まれる探索領域AR6が接続点LPの探索範囲に設定されている。そして、探索領域AR1,AR6が互いに重複する重複領域ORが存在している。
【0106】
本実施形態では、このような重複領域ORが存在する場合、この重複領域ORの重心点CPが端点TP1(もしくは端点TP6)と接続する接続点LPとされる。重心点CPの決定方法としては、例えば重複領域ORの全画素の位置を平均して重心点CPの位置を求めたり、あるいは、重複領域ORに外接する矩形領域の中心を重心点CPとしたりする等、従来技術を含む種々の方法を採用することができる。
【0107】
このようにして重心点CPが決定されると、補正部25Aは、端点TP1(および端点TP6)から重心点CPに接続される補助線ALを生成する。なお、この補助線ALは、例えば図11に示すように、端点TP1(もしくは端点TP6)から延びる直線としてもよいが、次に説明するように、芯線CL1の湾曲度を考慮して端点TP1から湾曲しながら延びる補助線ALを生成することも可能である。
【0108】
図12は、重心点CPに向けて湾曲しながら延びる補助線AL1を生成する様子を示す図である。補正部25Aは、次式(9)に従って算出される延伸角度pRjの方向に延びる補助線ALを順次生成する。
【0109】
【数9】

【0110】
ここで、式(9)中、Yは端点TP1から接続点LP(ここでは、重心点CP)までのY軸方向についての画素数を示している。また変数jは、1から(M−1)までの整数値が代入される。さらに、式(9)の角度pHsは、次式(10)にしたがって算出される。
【0111】
【数10】

【0112】
式(10)中のpKpは、図12に示すように、プラス側延長線PELの終端点PTPと重心点CPとの間の距離(画素数)である。また、pKmは、マイナス側延長線MELの終端点MTPと重心点CPとの間の距離(画素数)である。
【0113】
補助線AL1を生成する場合、式(9)のjに0を代入することによって、最初の延伸角度pRs0(=pR0+pHs)が算出される。この延伸角度pRs0で、Y軸成分の大きさが(Y/M)である線分の補助線AL1が延伸される。これにより、端点TP1から延長点AP1までの補助線AL1が生成される。そしてさらに次の延長点AP1からは、式(9)の変数jに2を代入した角度pRs1の方に向けて、Y軸成分の大きさが(Y/M)となる線分の補助線AL1が生成される。これにより、次の延長点AP2まで延びる補助線AL1が生成される。このようにして、端点TP1,延長点AP1,AP2・・・APj・・・APM(=重心点CP)を接続する補助線AL1が生成されることとなる。
【0114】
このように補助線AL1を生成した場合、次の延長点APjに到達するたびに、jの値が1ずつ大きくなるため、延伸角度pRsjは、湾曲角度pdR0に(Y/M)を積算した値分ずつ加算されることとなる。したがって芯線CL1の湾曲度に従って、湾曲(詳細には、屈曲)しながら重心点CPまで延びる補助線AL1を生成することができる。このように補助線AL1を生成することによって、元の線画の描画線DL1の線切れについて、描画線DL1に忠実に従って、好適な線切れ補正を行うことができる。したがって、領域分離を高精度に実施することが容易となる。
【0115】
なお、上記のような補助線AL1の延長方法は、接続点TP1を重心点CPとする場合以外にも適用することが可能である。すなわち、任意の接続点TP1と、プラス側終端点PTPもしくはマイナス側終端点MTPとの距離を、式(10)のpKpもしくはpKmに代入することで、角度pHsを算出し、これを式(9)に代入することによって、任意に設定された接続点TP1へ向けて、端点TP1から芯線CL1の湾曲度に従って延びる補助線AL1を生成することが可能である。
【0116】
{3. 変形例}
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0117】
例えば、上記実施形態では、芯線CL1の湾曲度を解析する際に、隣接する画素同士を結ぶ連結線LLnに基づいて連結角度Rnを算出するようにしているが、例えば複数画素分離れた画素同士を結ぶ線を連結線LLnとして連結角度Rnを算出するようにしてもよい。
【0118】
また、本発明は、マンガやイラスト等の線画を処理対象とするものに限られるものではない。例えば本願発明は、X線撮影装置や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)、超音波断層装置等で撮影された診断画像や、カメラで撮影された自然画像等の各種画像を線画化したものにも適用することができることはいうまでもない。例えば診断画像であれば、病巣を特定可能となり、また、自然画であれば、人物等の目的物を高精度に特定することが可能となり得る。
【0119】
また、上記各実施形態および各変形例で説明した各要素は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、あるいは省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0120】
100 線画処理装置
10 CPU
11 記憶部
2 プログラム
21 芯線抽出部
22 端点抽出部
23 湾曲開始位置決定部
24 延伸方向決定部
25,25A 補正部
251 探索部
252 重心点算出部
9 記録媒体
AL,AL1 補助線
APj,EPj 延長点
AR,AR1,AR6 探索領域
CD 湾曲方向
CL 芯線
CL1 芯線
CL1〜CL6 芯線
CLd 芯線データ
CP 重心点
CSP 湾曲開始位置
DD 描画方向
DL1〜DL3 描画線
ED 延伸方向
EDd 延伸方向データ
EL 延長線
FCS 最終湾曲部分
LLn 連結線
LP 接続点
MEL,MEL1,MEL6 マイナス側延長線
MTP 終端点
OR 重複領域
P0,P1,P2,P3,P4,P5,Pn 画素
PEL,PEL1,PEL6 プラス側延長線
PTP 終端点
Rn 連結角度
SD 射出方向
SL 基準線
TP1,TP2,TP3,TP5,TP6 端点
TPd 端点抽出データ
dRn 連結角度変化量
dR’n 平均連結角度変化量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線画を処理する線画処理装置において、
前記線画から芯線を抽出する芯線抽出部と、
前記芯線の端点を抽出する端点抽出部と、
前記端点から延長線を延伸させる延伸方向として、前記端点まで続く芯線の描画方向に基づいて、前記端点から射出させる射出方向と、前記射出方向に射出された前記延長線を湾曲させる湾曲方向とを決定する延伸方向決定部と、
を備える線画処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の線画処理装置において、
前記端点に繋がる芯線上において、該芯線が前記端点に至るまでに湾曲し始める湾曲開始位置を所定基準に基づき決定する湾曲開始位置決定部、
をさらに備え、
前記延伸方向決定部は、少なくとも前記端点から前記湾曲開始位置までに含まれる芯線の描画方向に従って、前記延伸方向を決定する線画処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の線画処理装置において、
前記延伸方向決定部は、
前記芯線上の隣り合う二点間を連結した連結線のそれぞれが、所定の基準線に対して成す角度を連結角度として算出し、該連結角度に基づいて、前記射出方向を決定するとともに、連続する前記二点間についての前記連結角度の変化量に基づいて、前記湾曲方向を決定する線画処理装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の線画処理装置において、
前記二点間を連結する連結線は、隣接する2つの画素を連結する線画処理装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の線画処理装置において、
前記延伸方向に向かって、前記端点と接続すべき接続点を探索する探索部と、
をさらに備える線画処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の線画処理装置において、
前記探索部は、前記端点から射出する前記延長線に沿って、その両側に所定の角度で広がる領域のうちから、前記接続点を探索する線画処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の線画処理装置において、
前記探索部は、
特定の芯線の端点から延伸した前記延長線に沿って広がる前記探索範囲と、前記特定の芯線とは異なる他の芯線の端点から延伸した前記延長線に沿って広がる前記探索範囲とが、互いに重複する重複領域のうちから、前記接続点を決定する線画処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の線画処理装置において、
前記探索部は、
前記重複領域の重心点を前記特定の端点についての前記接続点に決定する線画処理装置。
【請求項9】
線画を処理する線画処理方法において、
前記線画から芯線を抽出する芯線抽出工程と、
前記芯線の端点を抽出する端点抽出工程と、
前記端点から延長線を延伸させる延伸方向として、前記端点まで続く芯線の描画方向に基づいて、前記端点から射出させる射出方向と、前記射出方向に射出された前記延長線を湾曲させる湾曲方向とを決定する延伸方向決定工程と、
を有する線画処理方法。
【請求項10】
コンピューターが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピューターが備えるCPUが前記プログラムをメモリ上で実行することによって、前記コンピューターを、
線画を処理する処理する線画処理装置であって、
前記線画から芯線を抽出する芯線抽出部と、
前記芯線の端点を抽出する端点抽出部と、
前記端点から延長線を延伸させる延伸方向として、前記端点まで続く芯線の描画方向に基づいて、前記端点から射出させる射出方向と、前記射出方向に射出された前記延長線を湾曲させる湾曲方向とを決定する延伸方向決定部と、
を備える線画処理装置として機能させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−210044(P2011−210044A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77689(P2010−77689)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】