線維症をモジュレートするマイクロRNAファミリー及びその使用
【課題】本発明は、心臓ならびに他の組織におけるマイクロRNAの関与について詳述する。
【解決手段】
本発明は、心臓組織の線維症の重要なレギュレーターである、miR−29a〜cと呼ばれるマイクロRNAファミリーの特定に関する。本発明者らは、miR−29ファミリーのメンバーが、ストレスに応答して心臓組織では下方制御され、ストレス及び線維症の両方に耐性のあるマウスの心臓組織では上方制御されることを示す。心臓肥大、骨格筋線維症、その他の線維症関連疾患、及びコラーゲン喪失関連疾患を含めた繊維化疾患の治療薬として、miR−29ファミリーのmiRNAの発現及び活性をモジュレートする方法も提供される。
【解決手段】
本発明は、心臓組織の線維症の重要なレギュレーターである、miR−29a〜cと呼ばれるマイクロRNAファミリーの特定に関する。本発明者らは、miR−29ファミリーのメンバーが、ストレスに応答して心臓組織では下方制御され、ストレス及び線維症の両方に耐性のあるマウスの心臓組織では上方制御されることを示す。心臓肥大、骨格筋線維症、その他の線維症関連疾患、及びコラーゲン喪失関連疾患を含めた繊維化疾患の治療薬として、miR−29ファミリーのmiRNAの発現及び活性をモジュレートする方法も提供される。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)心臓線維症、心臓肥大、又は心不全を有する対象を特定する工程と、
(b)前記対象にmiR−29a〜cの発現又は機能の作動薬を投与する工程と
を含む、その必要がある対象の心臓線維症、心臓肥大、又は心不全を治療する方法。
【請求項2】
miR−29a〜cの作動薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリヌクレオチドが、配列番号18、配列番号19、又は配列番号20の配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
miR−29a〜cの作動薬が、非経口投与又は直接注射によって心臓組織に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
非経口投与が静脈内又は皮下投与である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
miR−29a〜cの作動薬が、経口、経皮、持続放出、制御放出、遅延放出、坐薬、カテーテル又は舌下投与によって投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
第2の治療薬を前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の治療薬が、β遮断薬、イオノトロープ、利尿薬、ACE−I、AII拮抗薬、BNP、Ca++遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、及びHDAC阻害薬からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の治療薬が、miR−29a〜cの作動薬と同時に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の治療薬が、miR−29a〜cの作動薬の前又は後に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
心臓線維症、心臓肥大又は心不全の1つ又は複数の症状が、miR−29a〜cの作動薬の投与の後に対象内で改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の改善された症状が、高い運動能力、高い心臓駆出容積、低い左心室拡張末期圧、低い肺毛細血管楔入圧、高い心拍出量、高い心係数、低い肺動脈圧、低い左心室収縮末期及び拡張末期径、低下した心臓線維症、心筋での少ないコラーゲン沈着、低い左心室及び右心室壁応力、低い壁張力、高い生活の質、及び低い疾患関連罹患率又は死亡率、又はこれらの組合せである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
miR−29a〜cの作動薬の投与が、対象での心臓肥大から心不全への移行を遅延させる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(a)病的な心臓肥大又は心不全を発症する危険性がある対象を特定する工程と、
(b)前記対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進する工程と
を含む、その必要がある対象で病的な肥大又は心不全を予防する方法。
【請求項15】
miR−29a〜cの発現又は活性を促進させる工程が、心臓細胞に、miR−29a〜cの作動薬又はmiR−29a〜cをコードする発現ベクターを送達する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
miR−29a〜cの作動薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
発現ベクターが、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20からなる群から選択された配列を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
危険性のある対象が、長期にわたって管理されていない高血圧、矯正されていない弁膜症、慢性アンギナ、最近の心筋梗塞、心疾患に対する先天的素因、及び病的な肥大からなる群から選択された1つ又は複数の危険因子を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
危険性のある対象が、心臓肥大に対する遺伝的素因を有すると診断された、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
危険性のある対象が、心臓肥大の家族歴を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その細胞が、機能性miR29a、miR29b、及び/又はmiR29cを発現することができない哺乳類。
【請求項22】
マウスである、請求項21に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項23】
トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その細胞が、前記非ヒト哺乳類の細胞で活性な異種プロモーターの制御下にあるmiR−9a〜cコード領域を含む哺乳類。
【請求項24】
マウスである、請求項23に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項25】
前記プロモーターが組織特異的プロモーターである、請求項23に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項26】
組織特異的プロモーターが筋特異的プロモーター又は線維芽細胞特異的プロモーターである、請求項25に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項27】
組織特異的プロモーターが心筋特異的プロモーターである、請求項25に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項28】
miR−29a、miR−29b、及び/又はmiR−29cの天然の対立遺伝子の一方又は両方を欠くトランスジェニック非ヒト哺乳類細胞。
【請求項29】
前記天然のmiR−29a〜c対立遺伝子のすべてを欠く、請求項28に記載の細胞。
【請求項30】
対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進させる工程を含む、その必要がある前記対象の心筋梗塞を治療する方法。
【請求項31】
対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進する工程を含む、その必要がある対象の心臓肥大及び拡張型心筋症を予防する方法。
【請求項32】
対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進する工程を含む、その必要がある対象での心臓肥大の進行を阻害する方法。
【請求項33】
(a)組織線維症の危険性を有する、又は危険性がある対象を特定する工程と、
(b)前記対象の骨格筋又は線維芽細胞でのmiR−29a〜cの発現及び/又は活性を増大させる工程と
を含む、対象の組織線維症を治療又は予防する方法。
【請求項34】
前記組織線維症が、心臓線維症、強皮症、骨格筋線維症、肝線維症、腎臓線維症、肺線維症、又は糖尿病性線維症である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
miR−29a〜cの発現及び/又は活性を増大させる工程が、対象にmiR−29a〜cの作動薬を投与する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
miR−29a〜cの作動薬が、配列番号18、配列番号19、又は配列番号20の配列を含むポリヌクレオチドである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
miR−29a〜cの発現及び/又は活性を増大させる工程が、miR−29a〜cをコードする発現ベクターを前記対象に投与する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
発現ベクターがウイルス発現ベクターである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ウイルス発現ベクターがアデノウイルス発現ベクターである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
発現ベクターが非ウイルス発現ベクターである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
非ウイルス発現ベクターが脂質ビヒクル内に含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
miR−29a〜cの作動薬が脂質ビヒクル内に含まれる、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
非miR−29a〜c抗線維化治療薬を対象に投与する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
miR−29a〜cのモジュレーターを特定するための方法であって、
(a)細胞を候補化合物に接触させる工程と、
(b)miR−29a〜cの活性又は発現を評価する工程と、
(c)工程(b)の活性又は発現を、候補化合物の不在下でのmiR−29a〜cの活性又は発現と比較する工程と
を含み、測定したmiR−29a〜cの活性又は発現の間の差から、前記候補化合物がmiR−29のモジュレーターであることが示される方法。
【請求項45】
細胞を、in vitroで候補化合物に接触させる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
細胞を、in vivoで候補化合物に接触させる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
miR−29a〜cのモジュレーターが、miR−29a〜cの作動薬である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
miR−29a〜cのモジュレーターが、miR−29a〜cの拮抗薬である、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
候補化合物が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子である、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
miR−29a〜cの活性又は発現を評価する工程が、miR−29a〜cの発現を評価する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
miR−29a〜cの発現を評価する工程が、ノーザンブロット又はRT−PCRを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
miR−29a〜cの活性又は発現を評価する工程が、miR−29a〜cの活性を評価する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
miR−29a〜cの活性を評価する工程が、miR−29a〜cによって調節された遺伝子の発現又は活性を評価する工程を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
miR−29a〜cによって調節された遺伝子が、COL1A1、COL1A2、COL1A3、及び/又はFBN1である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
miR−29a〜cの作動薬を含む医薬品組成物。
【請求項56】
前記作動薬が、miR−29a〜cをコードする発現ベクターである、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項57】
前記作動薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29cの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項58】
前記ポリヌクレオチドが配列番号18、配列番号19、又は配列番号20の配列を含む、請求項57に記載の医薬品組成物。
【請求項59】
前記作動薬が脂質送達ビヒクルに含まれる、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項60】
注射用に配合される、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項61】
非経口投与用のキットと組み合わせた、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項62】
非経口投与が静脈内又は皮下投与である、請求項61に記載の医薬品組成物。
【請求項63】
カテーテル投与用のキットと組み合わせた、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項64】
miR−29a〜cの拮抗薬を含む、医薬品組成物。
【請求項65】
miR−29a〜cの拮抗薬が、miR−29a〜cのアンタゴmirである、請求項64に記載の医薬品組成物。
【請求項66】
miR−29a〜cの拮抗薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列に相補的な配列を含む、請求項64に記載の医薬品組成物。
【請求項67】
局所投与のために処方される、請求項64に記載の医薬品組成物。
【請求項68】
ゲル、クリーム、ローション、又は軟膏である、請求項67に記載の医薬品組成物。
【請求項69】
組織でコラーゲン沈着を誘発させる方法であって、前記組織をmiR−29a〜cの拮抗薬に接触させる工程を含む方法。
【請求項70】
前記拮抗薬が、miR−29a、miR−29b、又はmiR−29cの拮抗薬である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記拮抗薬がmiR−29a〜cのアンタゴmirである、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記拮抗薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列に相補的な配列を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記拮抗薬が、配列番号18、配列番号19、又は配列番号20に相補的な配列を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記組織が顔面組織である、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記顔面組織が、額の組織、唇、頬、顎、眉毛、瞼、目の下、又は口の付近である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記組織が、手の組織、首の組織、腕の組織、足の組織、胃の組織、又は乳房組織である、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記組織が、創傷、植皮、瘢痕組織、皺、弛緩した皮膚、日光による損傷、化学的損傷、熱損傷、低温損傷、及び/又は伸展裂創を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
接触させる工程が、前記組織への注射、前記組織を供給する脈間構造への注射、又は局所適用を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
局所適用が、軟膏、クリーム、ゲル、膏薬、又は香膏の使用を含む請求項78に記載の方法。
【請求項80】
圧迫包帯又はドレッシングの使用をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記拮抗薬を、前記組織に複数回接触させる、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
前記拮抗薬を、前記組織に2,3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100回接触させる、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記拮抗薬を、前記組織に2、3、4、5、又は6日、1、2、3、又は4週、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11カ月、又は1、2、3、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、又は25年以上接触させる、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記組織を第2の薬剤に接触させる工程をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の薬剤が、局所ビタミンA、局所ビタミンC、又はビタミンEである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記組織に第2の治療を施す工程をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の治療が、化学的剥離、レーザー治療、削皮術、又は皮膚擦傷法を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記組織が、エーラー−ダンロス症候群又はビタミンC欠乏症に罹っている対象にある、請求項69に記載の方法。
【請求項1】
(a)心臓線維症、心臓肥大、又は心不全を有する対象を特定する工程と、
(b)前記対象にmiR−29a〜cの発現又は機能の作動薬を投与する工程と
を含む、その必要がある対象の心臓線維症、心臓肥大、又は心不全を治療する方法。
【請求項2】
miR−29a〜cの作動薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリヌクレオチドが、配列番号18、配列番号19、又は配列番号20の配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
miR−29a〜cの作動薬が、非経口投与又は直接注射によって心臓組織に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
非経口投与が静脈内又は皮下投与である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
miR−29a〜cの作動薬が、経口、経皮、持続放出、制御放出、遅延放出、坐薬、カテーテル又は舌下投与によって投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
第2の治療薬を前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の治療薬が、β遮断薬、イオノトロープ、利尿薬、ACE−I、AII拮抗薬、BNP、Ca++遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、及びHDAC阻害薬からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の治療薬が、miR−29a〜cの作動薬と同時に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の治療薬が、miR−29a〜cの作動薬の前又は後に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
心臓線維症、心臓肥大又は心不全の1つ又は複数の症状が、miR−29a〜cの作動薬の投与の後に対象内で改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の改善された症状が、高い運動能力、高い心臓駆出容積、低い左心室拡張末期圧、低い肺毛細血管楔入圧、高い心拍出量、高い心係数、低い肺動脈圧、低い左心室収縮末期及び拡張末期径、低下した心臓線維症、心筋での少ないコラーゲン沈着、低い左心室及び右心室壁応力、低い壁張力、高い生活の質、及び低い疾患関連罹患率又は死亡率、又はこれらの組合せである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
miR−29a〜cの作動薬の投与が、対象での心臓肥大から心不全への移行を遅延させる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(a)病的な心臓肥大又は心不全を発症する危険性がある対象を特定する工程と、
(b)前記対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進する工程と
を含む、その必要がある対象で病的な肥大又は心不全を予防する方法。
【請求項15】
miR−29a〜cの発現又は活性を促進させる工程が、心臓細胞に、miR−29a〜cの作動薬又はmiR−29a〜cをコードする発現ベクターを送達する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
miR−29a〜cの作動薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
発現ベクターが、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20からなる群から選択された配列を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
危険性のある対象が、長期にわたって管理されていない高血圧、矯正されていない弁膜症、慢性アンギナ、最近の心筋梗塞、心疾患に対する先天的素因、及び病的な肥大からなる群から選択された1つ又は複数の危険因子を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
危険性のある対象が、心臓肥大に対する遺伝的素因を有すると診断された、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
危険性のある対象が、心臓肥大の家族歴を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その細胞が、機能性miR29a、miR29b、及び/又はmiR29cを発現することができない哺乳類。
【請求項22】
マウスである、請求項21に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項23】
トランスジェニック非ヒト哺乳類であって、その細胞が、前記非ヒト哺乳類の細胞で活性な異種プロモーターの制御下にあるmiR−9a〜cコード領域を含む哺乳類。
【請求項24】
マウスである、請求項23に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項25】
前記プロモーターが組織特異的プロモーターである、請求項23に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項26】
組織特異的プロモーターが筋特異的プロモーター又は線維芽細胞特異的プロモーターである、請求項25に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項27】
組織特異的プロモーターが心筋特異的プロモーターである、請求項25に記載のトランスジェニック哺乳類。
【請求項28】
miR−29a、miR−29b、及び/又はmiR−29cの天然の対立遺伝子の一方又は両方を欠くトランスジェニック非ヒト哺乳類細胞。
【請求項29】
前記天然のmiR−29a〜c対立遺伝子のすべてを欠く、請求項28に記載の細胞。
【請求項30】
対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進させる工程を含む、その必要がある前記対象の心筋梗塞を治療する方法。
【請求項31】
対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進する工程を含む、その必要がある対象の心臓肥大及び拡張型心筋症を予防する方法。
【請求項32】
対象の心臓細胞でのmiR−29a〜cの発現又は活性を促進する工程を含む、その必要がある対象での心臓肥大の進行を阻害する方法。
【請求項33】
(a)組織線維症の危険性を有する、又は危険性がある対象を特定する工程と、
(b)前記対象の骨格筋又は線維芽細胞でのmiR−29a〜cの発現及び/又は活性を増大させる工程と
を含む、対象の組織線維症を治療又は予防する方法。
【請求項34】
前記組織線維症が、心臓線維症、強皮症、骨格筋線維症、肝線維症、腎臓線維症、肺線維症、又は糖尿病性線維症である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
miR−29a〜cの発現及び/又は活性を増大させる工程が、対象にmiR−29a〜cの作動薬を投与する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
miR−29a〜cの作動薬が、配列番号18、配列番号19、又は配列番号20の配列を含むポリヌクレオチドである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
miR−29a〜cの発現及び/又は活性を増大させる工程が、miR−29a〜cをコードする発現ベクターを前記対象に投与する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
発現ベクターがウイルス発現ベクターである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ウイルス発現ベクターがアデノウイルス発現ベクターである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
発現ベクターが非ウイルス発現ベクターである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
非ウイルス発現ベクターが脂質ビヒクル内に含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
miR−29a〜cの作動薬が脂質ビヒクル内に含まれる、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
非miR−29a〜c抗線維化治療薬を対象に投与する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
miR−29a〜cのモジュレーターを特定するための方法であって、
(a)細胞を候補化合物に接触させる工程と、
(b)miR−29a〜cの活性又は発現を評価する工程と、
(c)工程(b)の活性又は発現を、候補化合物の不在下でのmiR−29a〜cの活性又は発現と比較する工程と
を含み、測定したmiR−29a〜cの活性又は発現の間の差から、前記候補化合物がmiR−29のモジュレーターであることが示される方法。
【請求項45】
細胞を、in vitroで候補化合物に接触させる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
細胞を、in vivoで候補化合物に接触させる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
miR−29a〜cのモジュレーターが、miR−29a〜cの作動薬である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
miR−29a〜cのモジュレーターが、miR−29a〜cの拮抗薬である、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
候補化合物が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子である、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
miR−29a〜cの活性又は発現を評価する工程が、miR−29a〜cの発現を評価する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
miR−29a〜cの発現を評価する工程が、ノーザンブロット又はRT−PCRを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
miR−29a〜cの活性又は発現を評価する工程が、miR−29a〜cの活性を評価する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
miR−29a〜cの活性を評価する工程が、miR−29a〜cによって調節された遺伝子の発現又は活性を評価する工程を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
miR−29a〜cによって調節された遺伝子が、COL1A1、COL1A2、COL1A3、及び/又はFBN1である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
miR−29a〜cの作動薬を含む医薬品組成物。
【請求項56】
前記作動薬が、miR−29a〜cをコードする発現ベクターである、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項57】
前記作動薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29cの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項58】
前記ポリヌクレオチドが配列番号18、配列番号19、又は配列番号20の配列を含む、請求項57に記載の医薬品組成物。
【請求項59】
前記作動薬が脂質送達ビヒクルに含まれる、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項60】
注射用に配合される、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項61】
非経口投与用のキットと組み合わせた、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項62】
非経口投与が静脈内又は皮下投与である、請求項61に記載の医薬品組成物。
【請求項63】
カテーテル投与用のキットと組み合わせた、請求項55に記載の医薬品組成物。
【請求項64】
miR−29a〜cの拮抗薬を含む、医薬品組成物。
【請求項65】
miR−29a〜cの拮抗薬が、miR−29a〜cのアンタゴmirである、請求項64に記載の医薬品組成物。
【請求項66】
miR−29a〜cの拮抗薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列に相補的な配列を含む、請求項64に記載の医薬品組成物。
【請求項67】
局所投与のために処方される、請求項64に記載の医薬品組成物。
【請求項68】
ゲル、クリーム、ローション、又は軟膏である、請求項67に記載の医薬品組成物。
【請求項69】
組織でコラーゲン沈着を誘発させる方法であって、前記組織をmiR−29a〜cの拮抗薬に接触させる工程を含む方法。
【請求項70】
前記拮抗薬が、miR−29a、miR−29b、又はmiR−29cの拮抗薬である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記拮抗薬がmiR−29a〜cのアンタゴmirである、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記拮抗薬が、miR−29a、miR−29b、miR−29c、又はこれらの組合せの成熟配列に相補的な配列を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記拮抗薬が、配列番号18、配列番号19、又は配列番号20に相補的な配列を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記組織が顔面組織である、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記顔面組織が、額の組織、唇、頬、顎、眉毛、瞼、目の下、又は口の付近である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記組織が、手の組織、首の組織、腕の組織、足の組織、胃の組織、又は乳房組織である、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記組織が、創傷、植皮、瘢痕組織、皺、弛緩した皮膚、日光による損傷、化学的損傷、熱損傷、低温損傷、及び/又は伸展裂創を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
接触させる工程が、前記組織への注射、前記組織を供給する脈間構造への注射、又は局所適用を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
局所適用が、軟膏、クリーム、ゲル、膏薬、又は香膏の使用を含む請求項78に記載の方法。
【請求項80】
圧迫包帯又はドレッシングの使用をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記拮抗薬を、前記組織に複数回接触させる、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
前記拮抗薬を、前記組織に2,3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100回接触させる、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記拮抗薬を、前記組織に2、3、4、5、又は6日、1、2、3、又は4週、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11カ月、又は1、2、3、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、又は25年以上接触させる、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記組織を第2の薬剤に接触させる工程をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の薬剤が、局所ビタミンA、局所ビタミンC、又はビタミンEである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記組織に第2の治療を施す工程をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の治療が、化学的剥離、レーザー治療、削皮術、又は皮膚擦傷法を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記組織が、エーラー−ダンロス症候群又はビタミンC欠乏症に罹っている対象にある、請求項69に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2010−535247(P2010−535247A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520206(P2010−520206)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071839
【国際公開番号】WO2009/018493
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(501100582)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071839
【国際公開番号】WO2009/018493
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(501100582)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム (19)
【Fターム(参考)】
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