締結部材付き構造部材
【課題】軽量で剛性があると共に、現場での施工性が優れており、構造部材の運搬性が優れた締結部材付き構造部材を提供する。
【解決手段】構造部材1は、取付面にボルトを挿通させる取付孔3を有する中空の角筒状をなし、取付面の両端部から立ち上がる両内側面に内方に突出する突起2が形成されている。締結部材10は、ボルト挿通孔12が形成されたプレート11と、ネジ部15がボルト挿通孔12に挿通され頭部14がプレート11上に残るボルト13と、プレート11に固定された板状の係止部材16とを有する。係止部材16は、プレート11上の基部17からその両側方に延出する係止部18を有し、この係止部18は構造部材10の内側面に当接し、プレート11が取付面に向けて移動するときに突起2を乗り越え、プレート11が取付面から離れる方向に移動しようとすると突起2に係止される。
【解決手段】構造部材1は、取付面にボルトを挿通させる取付孔3を有する中空の角筒状をなし、取付面の両端部から立ち上がる両内側面に内方に突出する突起2が形成されている。締結部材10は、ボルト挿通孔12が形成されたプレート11と、ネジ部15がボルト挿通孔12に挿通され頭部14がプレート11上に残るボルト13と、プレート11に固定された板状の係止部材16とを有する。係止部材16は、プレート11上の基部17からその両側方に延出する係止部18を有し、この係止部18は構造部材10の内側面に当接し、プレート11が取付面に向けて移動するときに突起2を乗り越え、プレート11が取付面から離れる方向に移動しようとすると突起2に係止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で剛性が優れ、取り付け施工性が優れていると共に、運搬性も優れた締結部材付き構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のバンパー及び突入防止装置、並びに建築用梁材等の構造部材(以下、構造部材という)の締結には、ボルト及びナット等の機械式締結具が一般的に使用されている。機械式締結具は、溶接による取り付けに比して、施工性がよく、熱歪みが生じない等の優れた特性を有する。機械式締結具においては、複数個のボルト及びナットを一度に取り付けるために、ナットをプレートに接合しておくナットプレートと、ボルトをプレートに接合しておくボルトプレートとがある(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
図18はこのボルトプレート102を構造部材100に取り付ける方法を示す断面図である。構造部材100における他部材への取付面に、構造部材100の長手方向に延びるようにボルト挿通孔103が形成されており、この長尺の挿通孔103の上部を取り囲むようにして、断面が逆U字状のガイド部101が形成されている。そして、プレート104が接合されたボルトプレート102が、そのボルト頭部及びプレート104をガイド部101内に収納され、ボルト部分をボルト挿通孔103を挿通させて外部に露出させた状態で、配置されている。このボルト部分を相手方の構造部材の孔に挿通させ、ナット(図示せず)を前記ボルト部分に螺合することにより、構造部材100と相手方の構造部材とが相互に固定される。この従来技術においては、ガイド部101はボルトプレート102を挿通孔103に沿って構造部材100の所定の取り付け位置まで案内するためのガイドとなっているが、プレート104の抜け落ちを防止する機能も有する。
【0004】
一方、特許文献3には、ボルトをナットで締結するまでにボルトが抜け落ちないようにするために、構造部材に突起部を設けて、弾性突起部をもつ座金をボルトに嵌合したものが開示されている。この座金の弾性突起部が構造部材に設けた突起に係止されるので、ボルトが構造部材から離脱してしまうことが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−54106号公報
【特許文献2】特開昭62−160383号公報
【特許文献3】実開昭50−93573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の締結装置には、以下に示す問題点がある。先ず、ボルトプレートは、プレート及びボルトの頭部を通し、かつ抜け落ちを防止するために、構造部材100の内面に断面逆U字状のガイド部101を設ける必要があり、ボルトプレート102のボルト部(ネジ部)を通すためのスリット状の孔103が必要である。また、同様に、ナットプレートもそれを挟持し、かつ抜け落ちを防止するために、ガイド部を設ける必要があり、ナットから突き出るボルトを通すための孔を開けておく必要がある。
【0007】
このため、構造部材の形状は必然的に複雑なものとなり、構造部材の重量増加を招来している。更に、構造部材を例えばJIS7000系アルミニウム合金押出形材とした場合には、強度が高すぎて構造部材の成形ができない場合がある。
【0008】
また、特許文献3においては、弾性突起部を有する座金をボルトに取り付けることにより、突起部と弾性片との係止でボルトの抜け落ちを防止する構造をとることができるが、座金とボルトが固定されていないため、ボルト頭部を工具で締結する必要があり、閉断面の構造部材には適用できないという問題点がある。
【0009】
更に、ナットが固定されたナットプレート又はボルトが固定されたボルトプレートが、レール方向に移動してしまうことがないようにするために、これを構造部材にリベットで固定する必要がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、軽量で剛性があると共に、現場での施工性が優れており、構造部材の運搬性が優れた締結部材付き構造部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る締結部材構造部材は、構造部材を他の部材に取り付けるための締結部材を備えた締結部材付き構造部材において、前記構造部材は、取付面にボルトを挿通させる取付孔を有する中空の形状を有し、前記取付面の両端部から立ち上がる両内側面又は前記取付面に立設された1対の係合壁の内側面に内方に突出する突起が形成されており、
前記締結部材は、ボルト挿通孔が形成されたプレートと、ネジ部が前記ボルト挿通孔に挿通され頭部が前記プレート上に残るボルトと、前記プレートに別体で固定され又は一体成形された板状の係止部材とを有し、前記係止部材は、前記プレートからその両側方に延出して前記構造部材の内側面に当接する係止部を有し、前記係止部は前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記突起は乗り越えることができるが、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されるような形状を有し、前記係止部は前記係止部材のプレート上の部分に対して変形可能であることを特徴とする。
【0012】
この締結部材付き構造部材において、例えば、前記係止部材は、前記プレートに重なる基部を有し、前記係止部はこの基部の両端部からその両側方に延出し、前記係止部は前記基部に対して鈍角をなして屈曲していることにより、前記係止部は、前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記係止部が前記基部に対して屈曲して前記突起を乗り越えることができ、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されるものである。
【0013】
また、前記締結部材付き構造部材は、前記係止部が前記突起を乗り越える前の状態で、前記ボルトの前記ネジ部が前記取付孔から突出していることが好ましい。
【0014】
更に、前記ボルトの頭部は、前記プレートに溶接又はかしめにより固定されていることが好ましい。
【0015】
更にまた、前記係止部材は、金属又はプラスチック製であり、弾性的に変形可能であることが好ましい。そして、前記構造部材は、アルミニウム合金製の形材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、プレートに固定され、又はプレートに一体成形された係止部材の係止部が、構造部材の内側面に当接しているので、プレートの位置、即ち、ボルトの位置を所定の位置に高精度で配置することができる。
【0017】
そして、締結部材のプレートを構造部材の取付面に向けて移動させると、締結部材の係止部材の係止部が構造部材の内側面に形成された突起を乗り越えて前記プレートが前記取付面の内面に重なる。このとき、係止部は前記突起に係止されて、前記プレートが前記取付面から離隔することがなく、締結部材が前記構造部材に固定される。これにより、ボルトの抜け落ちを防止できる。
【0018】
そして、このプレートが構造部材の取付面に重なった状態で、前記プレートの挿通孔を挿通するボルトのネジ部が前記取付孔から構造部材の外部に突出しているので、このネジ部を被取付部材に挿通してナットを緊締することにより、構造部材を被取付部材に取り付けることができる。
【0019】
また、構造部材の運搬時には、係止部材は、係止部が突起を乗り越える前の状態、即ち、プレートが取付面から離隔している状態とする。これにより、ボルトはその大部分が構造部材内に収まり、取付孔から外部に露出する部分は僅かであるから、構造部材をコンパクトな状態で運搬することができる。
【0020】
更に、ボルトの頭部がプレートに溶接又はかしめにより固定されていることにより、被取付部材に締結部材のネジ部を挿通して、ナットをネジ部に螺合してナットをネジ部に緊締しようとしたときに、ボルト頭部が供回りすることが確実に回避されるので、作業性が向上する。
【0021】
前記係止部材が金属又はプラスチックで弾性的に変形可能である場合は、プレートを取付面に向けて押し込んだときに、係止部が変形してプレート上の部分(基部)に対して容易に変形するので、作業性が向上する。
【0022】
更に、構造部材がアルミニウム合金製の形材であることにより、突起を有する筒状の形状を容易に成形することができ、構造部材の軽量化及び高強度化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る締結部材付き構造部材を示す横断面図である。
【図2】同じくその締結部材10を示す斜視図である。
【図3】同じくその動作を示す横断面図である。
【図4】同じくその係止部材の変形例を示す斜視図(a)、(b)、(c)、(d)及び正面図(a)´、(b)´、(c)´、(d)´である。
【図5】同じくそのボルト頭部の固定方法を示す図である。
【図6】同じくそのボルト頭部の固定方法の変形例を示す図である。
【図7】同じく構造部材を示す横断面図である。
【図8】(a)は従来の保管及び運搬状態を示す横断面図、(b)は本実施形態の保管及び運搬状態を示す横断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る締結部材付き構造部材を示す図であり、(a)は締結部材の正面図、(a´)は同じくその平面図、(b)は同じくその側面図、(c)は構造部材の側面断面図、(d)は平面図、(e)は被締結部材に固定された構造部材を示す側面断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態の変形例に係る締結部材付き構造部材を示す図であり、(a)は締結部材の正面図、(a´)は同じくその平面図、(b)は同じくその側面図、(c)は構造部材の側面断面図、(d)は平面図、(e)は被締結部材に固定された構造部材を示す側面断面図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は図9及び図10の問題点を示す図である。
【図12】(a)、(b)、(c)は図11の問題点を解消した本発明の実施形態を示す側面断面図である。
【図13】本発明において、締結部材を中空構造部材内に挿入する方法を示す図であり、(a)はその側面断面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図14】図13の構造部材の運搬状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図15】同じく、図13の構造部材の締結準備状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図16】同じく、図13の構造部材を被締結部材に固定した状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図17】本発明の他の実施形態を示す図であり、(a)は締結部材の設置前、(b)締結部材の設置途中、(c)は締結部材の設置後の状態を示す。
【図18】従来の締結部材付き構造部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態を示す横断面図、図2は締結部材10を示す斜視図、図3は動作を示す横断面図である。構造部材1は断面が角筒状をなし、例えば、自動車のバンパー及び突入防止装置、並びに建築用梁材等である。この構造部材1の取付面9には、その幅方向の中央に、長手方向に離隔して2個の取付孔3が設けられている。この取付面9の両端部から立ち上がる両側面の内面に、内方に突出する突起2が形成されている。この構造部材1は、アルミニウム合金の押出成形により角筒状に成形されている。しかし、構造部材1の材質はアルミニウム合金に限らず、鋼材等でもよく、また押出成形に限らず、種々の成形方法がある。
【0025】
締結部材10のプレート11には、その幅方向(構造部材1の幅方向)の中央に、その長手方向(構造部材1の長手方向)に離隔して2個のボルト挿通孔12が形成されている。このボルト挿通孔12にはボルト13のネジ部15が挿通されており、ボルト13の頭部14はプレート11上に残っている。このボルト13の頭部14は、図5に示すように、プレート11に溶接30により固定されている。又は、図6に示すように、ボルト頭部14のネジ部15との境界部に凹部31を形成し、この凹部31にプレート11を打ち込むことによりプレート11の肉でボルト頭部14をかしめることにより、ボルト13をプレート11に固定してもよい。
【0026】
プレート11には、その長手方向の2個のボルト13の間に、2個の係止部材16が溶接又は接着により固定されている。この係止部材16は、プレート11上に重なる基部17と、この基部17の両端部から、その両側方に延出する係止部18とから構成されている。係止部18は基部17に対して鈍角をなして屈曲している。そして、この係止部材16は、金属又はプラスチックの弾性材料により成形されているので、係止部18は基部17に対する姿勢を弾性的に変更することができる。つまり、係止部18は基部17に対して、そのなす角度が小さくなるように変形し、その後、自己の弾性力で前記なす角度がもとの大きな状態に戻ることができる。なお、プレート11と係止部材16とは、金属板又はプラスチック板により一体的に成形することも可能である。
【0027】
次に、上述のごとく構成された本実施形態の締結部材付き構造部材の動作について説明する。先ず、本実施形態の締結部材付き構造部材の組立時(ボルトプレート挿入時)及び保管運搬時には、図3の上半部に示すように、締結部材10の係止部18が構造部材1の内側面に当接する位置は、突起2よりも上方である。このため、締結部材10のボルト13のネジ部15は、その大部分が構造部材1内に収まり、ネジ部15のうち、構造部材1の取付孔3から外部に露出する部分は極めて短い。このため、構造部材1はコンパクトな構造を有し、保管時及び運搬時には、極めて有利である。つまり、本実施形態の構造部材1は、保管性及び運搬性が優れている。また、係止部18は、その先端が構造部材1の内側面に当接しているので、従来のように係止部がない場合に比して、締結部材のプレート11に固定されているボルト13は構造部材1の取付孔3の位置に高精度で位置決めされる。また、係止部18は弾性的に変形可能であるので、このボルト13の位置は、係止部18が弾性的に変形することにより、その変形可能の範囲でプレート11の面に平行の方向に若干の位置調整が可能である。
【0028】
そして、構造部材1を所定の被取付部材(車輌のフレームのステイ等)に取り付ける際には、構造部材1の取付孔3から若干外部に露出しているボルト13のネジ部15を把持して構造部材1から外部に引き出す。これにより、締結部材10は、図3に白抜き矢印にて示すように、そのプレート11が構造部材1の取付孔3が形成された取付面に向けて移動する。そうすると、図3の下半部に示すように、係止部18が基部17に対してなす角度が小さくなるように変形して係止部18の先端が突起2を乗り越え、係止部18が突起2を乗り越えた後、係止部18は弾性的に元の状態に戻り、プレート11が取付面に重なると共に、係止部18の先端は、突起2の下部隅部に係止される。これにより、締結部材10はそのプレート11が取付面から上方に離隔するように移動することができなくなり、図1に示す状態に拘束され、ボルト13の抜け落ちが防止される。このとき、締結部材10のボルト13のネジ部15は取付孔3から下方に突出する。これにより、ステイ等の被取付部材に設けた孔にネジ部15を挿通し、更に、ネジ部15にナットを螺合して、ナットを緊締することにより、バンパー又は突入防止装置等の構造部材1がステイ等の被取付部材に取り付けられ、固定される。
【0029】
このようにして、構造部材1を極めて容易に被取付部材に取り付けることができる。構造部材1はアルミニウム合金の押出形材により成形されているので、この構造部材1は軽量であり、成形が容易である。構造部材1を構成するアルミニウム合金は、JIS1000系〜8000系まで種々の材質のものを使用することができるが、6000系又は7000系のアルミニウム合金が強度が高いために有利である。また、係止部材16もアルミニウム合金又はプラスチックの弾性材料により成形されているので、締結部材10を突起2を超えて容易に押し込むことができ、作業性が優れている。更に、ボルト13の頭部14はプレート11に溶接又はかしめにより固定され、かつプレート11に固定された係止部材16の係止部18が構造部材の内面と突起2との隅部によって回転を阻止され、更に、図2に示すように、1枚のプレート11に2本のボルト13が固定されているので、ネジ部15にナット(図示せず)を螺合する際に、ボルト13が供回りすることが確実に防止され、作業性が向上する。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。図4(a)は係止部材16の変形例を示す斜視図、図4(a)´は同じくその正面図である。この係止部材16は係止部18の先端の輪郭が半円形に湾曲している。図4(b)、(b)´に示す係止部材は、係止部の第1部18aが基部17から斜め上方に屈曲しているが、更に第1部の先端部から第2部18bが水平方向に向いて第1部に18aに対して屈曲している。図4(c)、(c)´に示す係止部材は、係止部の第1部18cが基部17に対して鈍角をなして屈曲し、第1部18cの先端部に半円弧状に湾曲した第2部18dが連なっている。この第2部18dは、構造部材1の内側面に対し、湾曲面で当接する。図4(d)、(d)´に示す係止部材は、係止部の第1部18eが基部17に対して鈍角をなして屈曲し、この第1部18eの先端部に、上方に延びる第2部18fが第1部18eに対して屈曲して連なっている。この係止部は第1部18eと第2部18fとの境界で突起2を乗り越え、乗り越えた後は、第2部18fの先端が突起2の下部隅部に係止される。
【0031】
図7は、構造部材1の変形例を示す断面図である。図7(a)に示す構造部材1は、図1に示すものと同一である。図7(b)に示す構造部材1は、その幅方向の中央に垂直に延びる仕切り壁4が設けられており、突起2がこの仕切り壁4の両面に形成されている。また、仕切り壁4により、中空の構造部材1が2室に仕切られており、各室の下部壁には、夫々ボルトの取付孔3a、3bが形成されている。これにより、図8(b)に示すように、構造部材1の幅方向に2個の締結部材10を並列的に設けることができる。また、仕切り壁4により、構造部材1が補強される。図7(c)に示す構造部材1は、中空の構造部材1内に、垂直に延びる3個の仕切り壁4a,4b,4cが設けられており、これらの仕切り壁4a,4b,4cにより仕切られた室のうち、外側の2室に、突起2a,2cと取付孔3a、3bが設けられている。この構造部材1においても、仕切り壁4a、4b、4cにより、構造部材1が補強される。
【0032】
図7(d)に示す構造部材1は、両内側面に、上下に2段の突起2a,2bが設けられている。これにより、内側面に当接する締結部材10の係止部18が、突起2bを乗り越えた位置と、突起2aを乗り越えた位置とで、取付孔3から突出するボルトのネジ部の長さが異なる。この構造部材1は、2段の突起2a,2bを有するので、運搬時には係止部18が上段の突起2bより上にあるようにして、締結部材10を構造部材1内に格納し、使用時には、締結部材10を下方に引き出して係止部18が下段の突起2aの下方にて突起2aに係止されるようにして、締結部材10を所定位置に固定するようにすることができる。
【0033】
図7(e)に示す構造部材1は、下部材1bと上部材1aとを溶接5により接合して、中空の角筒状にしたものである。この下部材1bと上部材1aはプレスにより成形した後、断面がコ字状になるように屈曲することにより製造することができ、押出成形により製造する場合に比して、コストが低い。
【0034】
図8(b)は図7(b)に示す構造部材1に締結部材10を設置した状態を示す。この場合は、前述のように、構造部材の長手方向に沿って2列にボルト13を配列し、1箇所にて、4個のボルトにより構造部材を被取付部材に固定することができる。この締結部材付き構造部材においても、保管時又は運搬時は、係止部18が突起2よりも上方にあるので、ボルト13のネジ部15が構造部材1から外部に突出する長さは短く、ネジ部15の大部分は構造部材1内に収まる。このため、構造部材1はコンパクトに保管したり、運搬したりすることができる。
【0035】
これに対し、従来の構造部材100の場合は、図8(a)に示すように、ボルトのネジ部が構造部材100から突出する長さは、構造部材100を被取付部材に取り付けるために必要な長さであり、取付状態で必要な長さである。このため、このネジ部の突出長を短くすることには限界があり、結局、図8(a)に示すように、保管時又は運搬時には、その所要スペースが大きなものとなる。
【0036】
図9(a)は本発明の他の実施形態の締結部材20を示す正面図、(a´)は平面図、(b)は側面図である。図9(c)はこの実施形態の締結部材20が取り付けられた構造部材1の側面断面図、(d)は構造部材1の平面図、(e)はこの構造部材1が締結部材20を介して他の部材30に固定された状態を示す側面断面図である。本実施形態の締結部材20は、プレート21に1個のボルト23が固定されている。このボルト23も、頭部24及びネジ部25を有する。そして、プレート21には、2個の係止部材26が固定されており、各係止部材26の両端部には係止部28が係止部材26の基部に対して斜め上方に延出している。
【0037】
構造部材1には、その取付面における締結部材20の両側に、取付面に対して垂直に起立するようにして、1対の係合壁6が設けられている。この係合壁6の上端部には、夫々、相互に対向するようにして突起7が形成されている。
【0038】
これにより、締結部材20は、その係止部28の先端部が、突起7により係止されることにより、構造部材1の取付面に固定される。そして、この構造部材1が固定される他の部材30には、締結部材20のネジ部25が挿通する孔(図示せず)が形成されており、この部材30の孔にネジ部25を挿通させ、部材30の裏面に露出したネジ部25にナット31を螺合することにより、構造部材1が他の部材30に固定される。本実施形態においては、構造上の必要性から決まる構造部材1の大きさによらず、係合壁6間の間隔は任意に決めることができるので、締結部材20の係止部28の大きさを不必要に大きくする必要がない。
【0039】
次に、図10(a)乃至(e)を参照した本発明の他の実施形態の変形例について説明する。本変形例は、締結部材20のプレート21に、2個のボルト23が固定されており、これらのボルト23間の中央に、1個の係止部材26が設けられている点が図9の場合と異なる。本変形例においても、同様に、係止部28が突起7に係止されることにより、締結部材20が構造部材1の取付面に固定される。
【0040】
図11(a)乃至(c)は図9及び図10に示す締結部材20の問題点を示す断面図である。締結部材20は構造部材1内に収納されて運搬されるが、この場合に、図11(a)及び(b)に示すように、ボルト23が倒れてしまいやすい。従って、図11(c)に示すように、締結部材20のボルト23のねじ部25を取付孔3に挿通させる作業が煩雑になりやすい。このように、締結部材20は、構造部材1の取付面に係合壁6を立設させてこの係合壁の先端に設けた突起7に係止部18を係止させて固定するために、締結部材20の大きさを小型化することができるという利点があるが、逆に、締結部材20は構造部材1の内部で規制が少なく、遊びが大きい構造となる。このため、締結部材20は運搬時に乱雑となり、位置決めがしにくくなるという問題点がある。
【0041】
この問題点を解消するために、図12(a)乃至(c)に示す実施形態においては、構造部材1の内部に、2枚の仕切り壁4a、4bを設け、その仕切り壁4a、4bの対向面に、上下方向に2組の突起2a、2bを設けている。そして、この仕切り壁4a、4b間に、図1と同様の締結部材10を格納する。そして、運搬時には、図12(b)に示すように、ネジ部15を若干引き出す。これにより、係止部18は上段の突起2aを乗り越え、係止部18の先端が上段の突起2aと下段の突起2bとの間に位置し、ネジ部15の下部が若干構造部材1から外部に露出する。このように、係止部18の先端を上段の突起2aと下段の突起2bとの間に位置させて、締結部材10を構造部材1内に格納しておく。
【0042】
その後、構造部材1を所定位置に設置したときに、図12(c)に示すように、締結部材10のネジ部15を更に引き出す。そうすると、係止部18が下段の突起2bを乗り越え、係止部18の先端が突起2bにより係止されて、締結部材10が構造部材1内に戻ってしまうことが防止されると共に、締結部材10のネジ部15の殆どの部分が構造部材1から外部に露出する。そこで、このネジ部に被締結部材の孔を嵌合し、更に、ネジ部にナットを螺合して、このナットを緊締することにより、構造部材1と被締結部材とを固定する。
【0043】
本実施形態においては、締結部材10の大きさは、仕切り壁4a、4b間の間隔を調整することにより任意の大きさにすることができると共に、係止部材16の係止部18は常に仕切り壁4a、4bの内面に拘束されているので、運搬時及び保管時等に、ボルト13の姿勢が乱れてしまうことはない。従って、ボルト13のネジ部15を利用して、容易に締結部材10を引き出すことができる。
【0044】
次に、締結部材10を構造部材1内に配置する方法について説明する。図13(a)はこの挿入方法を示す側面断面図、図13(b)は同じくその正面図、図13(c)は同じくその底面図である。4角筒状をなす構造部材1の側壁の内面には、上下2段の突起2a、2bが形成されている。また、構造部材1の取付面には、構造部材1の長手方向に離隔するようにして、2個の取付孔3が形成されている。一方、締結部材10は、1枚のプレート11に、その長手方向に離隔するようにして、2個のボルト13が固定されている。そして、これらのボルト13間のプレート11に、係止部材16が固定されている。また、係止部材16の1対の係止部18は、ボルト13の対向方向に垂直の方向に対向するように、基部17から延出している。
【0045】
ボルト13の長さは、図13(b)に示すように、中空部材1の内部の高さよりも小さいので、図13(b)に示すように、締結部材10は中空の構造部材1の長手方向に挿入することができる。そして、締結部材1のネジ部15が取付孔3の位置まで移動してきたときに、図14(a)、(b)に示すように、ネジ部15を取付孔3から若干引き出すと、係止部18の先端が突起2aを乗り越えて突起2aと突起2bとの間に位置し、係止部18の先端は突起2aを逆方向に乗り越えることはできなくなる。これにより、締結部材10はそのネジ部15が若干構造部材1から露出した状態で維持される。この状態で、構造部材10は、保管及び運搬される。
【0046】
そして、締結作業時には、図15(a)、(b)に示すように、ネジ部15を更に引き出し、係止部18の先端を下段の突起2bより下方に位置させる。これにより、締結部材10はその係止部18の先端が下段の突起2bを逆方向に乗り越えることができなくなり、そのネジ部15が殆ど構造部材1の外部に露出した状態で維持される。
【0047】
その後、図16(a)、(b)に示すように、ネジ部15を被締結部材30の孔に挿通し、被締結部材30から露出したネジ部15の部分にナット31を螺合させ、このナット31を緊締することにより、構造部材1を被締結部材30に固定する。
【0048】
このようにして、図14に示すように、保管時及び運搬時には、締結部材10はその殆どが中空の構造部材1内に格納されている。そして、ボルト13のネジ部15が若干構造部材1の外部に露出しているので、図15に示すように、ボルト13のネジ部15を握持してこれを最後まで引き出し、締結部材10を所定の締結処理位置に設定する作業が容易である。また、締結作業時には、図15に示すように、係止部18の先端が下段突起2bに係止されて、これを逆方向に乗り越えることはなく、ネジ部15の殆どの部分が構造部材1の外部に露出した状態で保持される。従って、被締結部材30の設置、及びナット31の螺合作業に際し、ボルト13が構造部材1内に入り込んでしまうことが防止され、作業性が向上する。
【0049】
次に、図17を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態においては、構造部材1の取付面に1対の係合壁6が立設されており、この係合壁6間の中央の取付面に、取付孔3が形成されている。本実施形態においては、締結部材20のボルト23には、係止部材40が固定されており、この係止部材40は、基部41と、この基部41からほぼ垂直上方に延びる係止部42とから構成されている。従って、本実施形態においては、図17(c)に示すように、係止部材40の係止部42の外面間の間隔は、係合壁6の内面の間隔にほぼ一致する。
【0050】
上述のように構成された本実施形態においては、図17(a)に示すように、締結部材20をそのネジ部25の先端部を孔3内に挿通させて下降させると、係止部材40の係止部42と基部41との折れ曲がり部分が、係合壁6の上端の突起7に当接する。そして、更に、締結部材20を下降させると、前記折れ曲がり部分がこの突起7を広げ、図17(b)に示すように、係合壁6をその上端部が広がるように変形させる。そして、締結部材10の基部41が構造部材1の取付面の内面に当接すると、係止部42の長さが突起7と構造部材1の取付面との間の距離より短いので、突起7が自由となり、係合壁6がもとの取付面に垂直の状態に戻る。これにより、係止部材40の係止部42の上端が突起7により係止され、締結部材30はそのネジ部25が殆ど露出した状態に維持される。この状態で、締結作業が行われる。本実施形態においては、構造部材の断面形状を単純化でき、プレート及び係止部材を小型化することによって、軽量化することができると共に、取付け施工性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:構造部材
2、2a、2b、2c:突起
3、3a、3b:取付孔
4、4a、4b、4c:仕切り壁
6:係合壁
7:突起
10、20:締結部材
11:プレート
12:ボルト挿通孔
13、23:ボルト
14、24:頭部
15、25:ネジ部
16、26:係止部材
17:基部
18、28:係止部
18a、18c、18e:第1部
18b、18d、18f:第2部
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で剛性が優れ、取り付け施工性が優れていると共に、運搬性も優れた締結部材付き構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のバンパー及び突入防止装置、並びに建築用梁材等の構造部材(以下、構造部材という)の締結には、ボルト及びナット等の機械式締結具が一般的に使用されている。機械式締結具は、溶接による取り付けに比して、施工性がよく、熱歪みが生じない等の優れた特性を有する。機械式締結具においては、複数個のボルト及びナットを一度に取り付けるために、ナットをプレートに接合しておくナットプレートと、ボルトをプレートに接合しておくボルトプレートとがある(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
図18はこのボルトプレート102を構造部材100に取り付ける方法を示す断面図である。構造部材100における他部材への取付面に、構造部材100の長手方向に延びるようにボルト挿通孔103が形成されており、この長尺の挿通孔103の上部を取り囲むようにして、断面が逆U字状のガイド部101が形成されている。そして、プレート104が接合されたボルトプレート102が、そのボルト頭部及びプレート104をガイド部101内に収納され、ボルト部分をボルト挿通孔103を挿通させて外部に露出させた状態で、配置されている。このボルト部分を相手方の構造部材の孔に挿通させ、ナット(図示せず)を前記ボルト部分に螺合することにより、構造部材100と相手方の構造部材とが相互に固定される。この従来技術においては、ガイド部101はボルトプレート102を挿通孔103に沿って構造部材100の所定の取り付け位置まで案内するためのガイドとなっているが、プレート104の抜け落ちを防止する機能も有する。
【0004】
一方、特許文献3には、ボルトをナットで締結するまでにボルトが抜け落ちないようにするために、構造部材に突起部を設けて、弾性突起部をもつ座金をボルトに嵌合したものが開示されている。この座金の弾性突起部が構造部材に設けた突起に係止されるので、ボルトが構造部材から離脱してしまうことが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−54106号公報
【特許文献2】特開昭62−160383号公報
【特許文献3】実開昭50−93573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の締結装置には、以下に示す問題点がある。先ず、ボルトプレートは、プレート及びボルトの頭部を通し、かつ抜け落ちを防止するために、構造部材100の内面に断面逆U字状のガイド部101を設ける必要があり、ボルトプレート102のボルト部(ネジ部)を通すためのスリット状の孔103が必要である。また、同様に、ナットプレートもそれを挟持し、かつ抜け落ちを防止するために、ガイド部を設ける必要があり、ナットから突き出るボルトを通すための孔を開けておく必要がある。
【0007】
このため、構造部材の形状は必然的に複雑なものとなり、構造部材の重量増加を招来している。更に、構造部材を例えばJIS7000系アルミニウム合金押出形材とした場合には、強度が高すぎて構造部材の成形ができない場合がある。
【0008】
また、特許文献3においては、弾性突起部を有する座金をボルトに取り付けることにより、突起部と弾性片との係止でボルトの抜け落ちを防止する構造をとることができるが、座金とボルトが固定されていないため、ボルト頭部を工具で締結する必要があり、閉断面の構造部材には適用できないという問題点がある。
【0009】
更に、ナットが固定されたナットプレート又はボルトが固定されたボルトプレートが、レール方向に移動してしまうことがないようにするために、これを構造部材にリベットで固定する必要がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、軽量で剛性があると共に、現場での施工性が優れており、構造部材の運搬性が優れた締結部材付き構造部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る締結部材構造部材は、構造部材を他の部材に取り付けるための締結部材を備えた締結部材付き構造部材において、前記構造部材は、取付面にボルトを挿通させる取付孔を有する中空の形状を有し、前記取付面の両端部から立ち上がる両内側面又は前記取付面に立設された1対の係合壁の内側面に内方に突出する突起が形成されており、
前記締結部材は、ボルト挿通孔が形成されたプレートと、ネジ部が前記ボルト挿通孔に挿通され頭部が前記プレート上に残るボルトと、前記プレートに別体で固定され又は一体成形された板状の係止部材とを有し、前記係止部材は、前記プレートからその両側方に延出して前記構造部材の内側面に当接する係止部を有し、前記係止部は前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記突起は乗り越えることができるが、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されるような形状を有し、前記係止部は前記係止部材のプレート上の部分に対して変形可能であることを特徴とする。
【0012】
この締結部材付き構造部材において、例えば、前記係止部材は、前記プレートに重なる基部を有し、前記係止部はこの基部の両端部からその両側方に延出し、前記係止部は前記基部に対して鈍角をなして屈曲していることにより、前記係止部は、前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記係止部が前記基部に対して屈曲して前記突起を乗り越えることができ、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されるものである。
【0013】
また、前記締結部材付き構造部材は、前記係止部が前記突起を乗り越える前の状態で、前記ボルトの前記ネジ部が前記取付孔から突出していることが好ましい。
【0014】
更に、前記ボルトの頭部は、前記プレートに溶接又はかしめにより固定されていることが好ましい。
【0015】
更にまた、前記係止部材は、金属又はプラスチック製であり、弾性的に変形可能であることが好ましい。そして、前記構造部材は、アルミニウム合金製の形材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、プレートに固定され、又はプレートに一体成形された係止部材の係止部が、構造部材の内側面に当接しているので、プレートの位置、即ち、ボルトの位置を所定の位置に高精度で配置することができる。
【0017】
そして、締結部材のプレートを構造部材の取付面に向けて移動させると、締結部材の係止部材の係止部が構造部材の内側面に形成された突起を乗り越えて前記プレートが前記取付面の内面に重なる。このとき、係止部は前記突起に係止されて、前記プレートが前記取付面から離隔することがなく、締結部材が前記構造部材に固定される。これにより、ボルトの抜け落ちを防止できる。
【0018】
そして、このプレートが構造部材の取付面に重なった状態で、前記プレートの挿通孔を挿通するボルトのネジ部が前記取付孔から構造部材の外部に突出しているので、このネジ部を被取付部材に挿通してナットを緊締することにより、構造部材を被取付部材に取り付けることができる。
【0019】
また、構造部材の運搬時には、係止部材は、係止部が突起を乗り越える前の状態、即ち、プレートが取付面から離隔している状態とする。これにより、ボルトはその大部分が構造部材内に収まり、取付孔から外部に露出する部分は僅かであるから、構造部材をコンパクトな状態で運搬することができる。
【0020】
更に、ボルトの頭部がプレートに溶接又はかしめにより固定されていることにより、被取付部材に締結部材のネジ部を挿通して、ナットをネジ部に螺合してナットをネジ部に緊締しようとしたときに、ボルト頭部が供回りすることが確実に回避されるので、作業性が向上する。
【0021】
前記係止部材が金属又はプラスチックで弾性的に変形可能である場合は、プレートを取付面に向けて押し込んだときに、係止部が変形してプレート上の部分(基部)に対して容易に変形するので、作業性が向上する。
【0022】
更に、構造部材がアルミニウム合金製の形材であることにより、突起を有する筒状の形状を容易に成形することができ、構造部材の軽量化及び高強度化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る締結部材付き構造部材を示す横断面図である。
【図2】同じくその締結部材10を示す斜視図である。
【図3】同じくその動作を示す横断面図である。
【図4】同じくその係止部材の変形例を示す斜視図(a)、(b)、(c)、(d)及び正面図(a)´、(b)´、(c)´、(d)´である。
【図5】同じくそのボルト頭部の固定方法を示す図である。
【図6】同じくそのボルト頭部の固定方法の変形例を示す図である。
【図7】同じく構造部材を示す横断面図である。
【図8】(a)は従来の保管及び運搬状態を示す横断面図、(b)は本実施形態の保管及び運搬状態を示す横断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る締結部材付き構造部材を示す図であり、(a)は締結部材の正面図、(a´)は同じくその平面図、(b)は同じくその側面図、(c)は構造部材の側面断面図、(d)は平面図、(e)は被締結部材に固定された構造部材を示す側面断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態の変形例に係る締結部材付き構造部材を示す図であり、(a)は締結部材の正面図、(a´)は同じくその平面図、(b)は同じくその側面図、(c)は構造部材の側面断面図、(d)は平面図、(e)は被締結部材に固定された構造部材を示す側面断面図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は図9及び図10の問題点を示す図である。
【図12】(a)、(b)、(c)は図11の問題点を解消した本発明の実施形態を示す側面断面図である。
【図13】本発明において、締結部材を中空構造部材内に挿入する方法を示す図であり、(a)はその側面断面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図14】図13の構造部材の運搬状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図15】同じく、図13の構造部材の締結準備状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図16】同じく、図13の構造部材を被締結部材に固定した状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図17】本発明の他の実施形態を示す図であり、(a)は締結部材の設置前、(b)締結部材の設置途中、(c)は締結部材の設置後の状態を示す。
【図18】従来の締結部材付き構造部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態を示す横断面図、図2は締結部材10を示す斜視図、図3は動作を示す横断面図である。構造部材1は断面が角筒状をなし、例えば、自動車のバンパー及び突入防止装置、並びに建築用梁材等である。この構造部材1の取付面9には、その幅方向の中央に、長手方向に離隔して2個の取付孔3が設けられている。この取付面9の両端部から立ち上がる両側面の内面に、内方に突出する突起2が形成されている。この構造部材1は、アルミニウム合金の押出成形により角筒状に成形されている。しかし、構造部材1の材質はアルミニウム合金に限らず、鋼材等でもよく、また押出成形に限らず、種々の成形方法がある。
【0025】
締結部材10のプレート11には、その幅方向(構造部材1の幅方向)の中央に、その長手方向(構造部材1の長手方向)に離隔して2個のボルト挿通孔12が形成されている。このボルト挿通孔12にはボルト13のネジ部15が挿通されており、ボルト13の頭部14はプレート11上に残っている。このボルト13の頭部14は、図5に示すように、プレート11に溶接30により固定されている。又は、図6に示すように、ボルト頭部14のネジ部15との境界部に凹部31を形成し、この凹部31にプレート11を打ち込むことによりプレート11の肉でボルト頭部14をかしめることにより、ボルト13をプレート11に固定してもよい。
【0026】
プレート11には、その長手方向の2個のボルト13の間に、2個の係止部材16が溶接又は接着により固定されている。この係止部材16は、プレート11上に重なる基部17と、この基部17の両端部から、その両側方に延出する係止部18とから構成されている。係止部18は基部17に対して鈍角をなして屈曲している。そして、この係止部材16は、金属又はプラスチックの弾性材料により成形されているので、係止部18は基部17に対する姿勢を弾性的に変更することができる。つまり、係止部18は基部17に対して、そのなす角度が小さくなるように変形し、その後、自己の弾性力で前記なす角度がもとの大きな状態に戻ることができる。なお、プレート11と係止部材16とは、金属板又はプラスチック板により一体的に成形することも可能である。
【0027】
次に、上述のごとく構成された本実施形態の締結部材付き構造部材の動作について説明する。先ず、本実施形態の締結部材付き構造部材の組立時(ボルトプレート挿入時)及び保管運搬時には、図3の上半部に示すように、締結部材10の係止部18が構造部材1の内側面に当接する位置は、突起2よりも上方である。このため、締結部材10のボルト13のネジ部15は、その大部分が構造部材1内に収まり、ネジ部15のうち、構造部材1の取付孔3から外部に露出する部分は極めて短い。このため、構造部材1はコンパクトな構造を有し、保管時及び運搬時には、極めて有利である。つまり、本実施形態の構造部材1は、保管性及び運搬性が優れている。また、係止部18は、その先端が構造部材1の内側面に当接しているので、従来のように係止部がない場合に比して、締結部材のプレート11に固定されているボルト13は構造部材1の取付孔3の位置に高精度で位置決めされる。また、係止部18は弾性的に変形可能であるので、このボルト13の位置は、係止部18が弾性的に変形することにより、その変形可能の範囲でプレート11の面に平行の方向に若干の位置調整が可能である。
【0028】
そして、構造部材1を所定の被取付部材(車輌のフレームのステイ等)に取り付ける際には、構造部材1の取付孔3から若干外部に露出しているボルト13のネジ部15を把持して構造部材1から外部に引き出す。これにより、締結部材10は、図3に白抜き矢印にて示すように、そのプレート11が構造部材1の取付孔3が形成された取付面に向けて移動する。そうすると、図3の下半部に示すように、係止部18が基部17に対してなす角度が小さくなるように変形して係止部18の先端が突起2を乗り越え、係止部18が突起2を乗り越えた後、係止部18は弾性的に元の状態に戻り、プレート11が取付面に重なると共に、係止部18の先端は、突起2の下部隅部に係止される。これにより、締結部材10はそのプレート11が取付面から上方に離隔するように移動することができなくなり、図1に示す状態に拘束され、ボルト13の抜け落ちが防止される。このとき、締結部材10のボルト13のネジ部15は取付孔3から下方に突出する。これにより、ステイ等の被取付部材に設けた孔にネジ部15を挿通し、更に、ネジ部15にナットを螺合して、ナットを緊締することにより、バンパー又は突入防止装置等の構造部材1がステイ等の被取付部材に取り付けられ、固定される。
【0029】
このようにして、構造部材1を極めて容易に被取付部材に取り付けることができる。構造部材1はアルミニウム合金の押出形材により成形されているので、この構造部材1は軽量であり、成形が容易である。構造部材1を構成するアルミニウム合金は、JIS1000系〜8000系まで種々の材質のものを使用することができるが、6000系又は7000系のアルミニウム合金が強度が高いために有利である。また、係止部材16もアルミニウム合金又はプラスチックの弾性材料により成形されているので、締結部材10を突起2を超えて容易に押し込むことができ、作業性が優れている。更に、ボルト13の頭部14はプレート11に溶接又はかしめにより固定され、かつプレート11に固定された係止部材16の係止部18が構造部材の内面と突起2との隅部によって回転を阻止され、更に、図2に示すように、1枚のプレート11に2本のボルト13が固定されているので、ネジ部15にナット(図示せず)を螺合する際に、ボルト13が供回りすることが確実に防止され、作業性が向上する。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。図4(a)は係止部材16の変形例を示す斜視図、図4(a)´は同じくその正面図である。この係止部材16は係止部18の先端の輪郭が半円形に湾曲している。図4(b)、(b)´に示す係止部材は、係止部の第1部18aが基部17から斜め上方に屈曲しているが、更に第1部の先端部から第2部18bが水平方向に向いて第1部に18aに対して屈曲している。図4(c)、(c)´に示す係止部材は、係止部の第1部18cが基部17に対して鈍角をなして屈曲し、第1部18cの先端部に半円弧状に湾曲した第2部18dが連なっている。この第2部18dは、構造部材1の内側面に対し、湾曲面で当接する。図4(d)、(d)´に示す係止部材は、係止部の第1部18eが基部17に対して鈍角をなして屈曲し、この第1部18eの先端部に、上方に延びる第2部18fが第1部18eに対して屈曲して連なっている。この係止部は第1部18eと第2部18fとの境界で突起2を乗り越え、乗り越えた後は、第2部18fの先端が突起2の下部隅部に係止される。
【0031】
図7は、構造部材1の変形例を示す断面図である。図7(a)に示す構造部材1は、図1に示すものと同一である。図7(b)に示す構造部材1は、その幅方向の中央に垂直に延びる仕切り壁4が設けられており、突起2がこの仕切り壁4の両面に形成されている。また、仕切り壁4により、中空の構造部材1が2室に仕切られており、各室の下部壁には、夫々ボルトの取付孔3a、3bが形成されている。これにより、図8(b)に示すように、構造部材1の幅方向に2個の締結部材10を並列的に設けることができる。また、仕切り壁4により、構造部材1が補強される。図7(c)に示す構造部材1は、中空の構造部材1内に、垂直に延びる3個の仕切り壁4a,4b,4cが設けられており、これらの仕切り壁4a,4b,4cにより仕切られた室のうち、外側の2室に、突起2a,2cと取付孔3a、3bが設けられている。この構造部材1においても、仕切り壁4a、4b、4cにより、構造部材1が補強される。
【0032】
図7(d)に示す構造部材1は、両内側面に、上下に2段の突起2a,2bが設けられている。これにより、内側面に当接する締結部材10の係止部18が、突起2bを乗り越えた位置と、突起2aを乗り越えた位置とで、取付孔3から突出するボルトのネジ部の長さが異なる。この構造部材1は、2段の突起2a,2bを有するので、運搬時には係止部18が上段の突起2bより上にあるようにして、締結部材10を構造部材1内に格納し、使用時には、締結部材10を下方に引き出して係止部18が下段の突起2aの下方にて突起2aに係止されるようにして、締結部材10を所定位置に固定するようにすることができる。
【0033】
図7(e)に示す構造部材1は、下部材1bと上部材1aとを溶接5により接合して、中空の角筒状にしたものである。この下部材1bと上部材1aはプレスにより成形した後、断面がコ字状になるように屈曲することにより製造することができ、押出成形により製造する場合に比して、コストが低い。
【0034】
図8(b)は図7(b)に示す構造部材1に締結部材10を設置した状態を示す。この場合は、前述のように、構造部材の長手方向に沿って2列にボルト13を配列し、1箇所にて、4個のボルトにより構造部材を被取付部材に固定することができる。この締結部材付き構造部材においても、保管時又は運搬時は、係止部18が突起2よりも上方にあるので、ボルト13のネジ部15が構造部材1から外部に突出する長さは短く、ネジ部15の大部分は構造部材1内に収まる。このため、構造部材1はコンパクトに保管したり、運搬したりすることができる。
【0035】
これに対し、従来の構造部材100の場合は、図8(a)に示すように、ボルトのネジ部が構造部材100から突出する長さは、構造部材100を被取付部材に取り付けるために必要な長さであり、取付状態で必要な長さである。このため、このネジ部の突出長を短くすることには限界があり、結局、図8(a)に示すように、保管時又は運搬時には、その所要スペースが大きなものとなる。
【0036】
図9(a)は本発明の他の実施形態の締結部材20を示す正面図、(a´)は平面図、(b)は側面図である。図9(c)はこの実施形態の締結部材20が取り付けられた構造部材1の側面断面図、(d)は構造部材1の平面図、(e)はこの構造部材1が締結部材20を介して他の部材30に固定された状態を示す側面断面図である。本実施形態の締結部材20は、プレート21に1個のボルト23が固定されている。このボルト23も、頭部24及びネジ部25を有する。そして、プレート21には、2個の係止部材26が固定されており、各係止部材26の両端部には係止部28が係止部材26の基部に対して斜め上方に延出している。
【0037】
構造部材1には、その取付面における締結部材20の両側に、取付面に対して垂直に起立するようにして、1対の係合壁6が設けられている。この係合壁6の上端部には、夫々、相互に対向するようにして突起7が形成されている。
【0038】
これにより、締結部材20は、その係止部28の先端部が、突起7により係止されることにより、構造部材1の取付面に固定される。そして、この構造部材1が固定される他の部材30には、締結部材20のネジ部25が挿通する孔(図示せず)が形成されており、この部材30の孔にネジ部25を挿通させ、部材30の裏面に露出したネジ部25にナット31を螺合することにより、構造部材1が他の部材30に固定される。本実施形態においては、構造上の必要性から決まる構造部材1の大きさによらず、係合壁6間の間隔は任意に決めることができるので、締結部材20の係止部28の大きさを不必要に大きくする必要がない。
【0039】
次に、図10(a)乃至(e)を参照した本発明の他の実施形態の変形例について説明する。本変形例は、締結部材20のプレート21に、2個のボルト23が固定されており、これらのボルト23間の中央に、1個の係止部材26が設けられている点が図9の場合と異なる。本変形例においても、同様に、係止部28が突起7に係止されることにより、締結部材20が構造部材1の取付面に固定される。
【0040】
図11(a)乃至(c)は図9及び図10に示す締結部材20の問題点を示す断面図である。締結部材20は構造部材1内に収納されて運搬されるが、この場合に、図11(a)及び(b)に示すように、ボルト23が倒れてしまいやすい。従って、図11(c)に示すように、締結部材20のボルト23のねじ部25を取付孔3に挿通させる作業が煩雑になりやすい。このように、締結部材20は、構造部材1の取付面に係合壁6を立設させてこの係合壁の先端に設けた突起7に係止部18を係止させて固定するために、締結部材20の大きさを小型化することができるという利点があるが、逆に、締結部材20は構造部材1の内部で規制が少なく、遊びが大きい構造となる。このため、締結部材20は運搬時に乱雑となり、位置決めがしにくくなるという問題点がある。
【0041】
この問題点を解消するために、図12(a)乃至(c)に示す実施形態においては、構造部材1の内部に、2枚の仕切り壁4a、4bを設け、その仕切り壁4a、4bの対向面に、上下方向に2組の突起2a、2bを設けている。そして、この仕切り壁4a、4b間に、図1と同様の締結部材10を格納する。そして、運搬時には、図12(b)に示すように、ネジ部15を若干引き出す。これにより、係止部18は上段の突起2aを乗り越え、係止部18の先端が上段の突起2aと下段の突起2bとの間に位置し、ネジ部15の下部が若干構造部材1から外部に露出する。このように、係止部18の先端を上段の突起2aと下段の突起2bとの間に位置させて、締結部材10を構造部材1内に格納しておく。
【0042】
その後、構造部材1を所定位置に設置したときに、図12(c)に示すように、締結部材10のネジ部15を更に引き出す。そうすると、係止部18が下段の突起2bを乗り越え、係止部18の先端が突起2bにより係止されて、締結部材10が構造部材1内に戻ってしまうことが防止されると共に、締結部材10のネジ部15の殆どの部分が構造部材1から外部に露出する。そこで、このネジ部に被締結部材の孔を嵌合し、更に、ネジ部にナットを螺合して、このナットを緊締することにより、構造部材1と被締結部材とを固定する。
【0043】
本実施形態においては、締結部材10の大きさは、仕切り壁4a、4b間の間隔を調整することにより任意の大きさにすることができると共に、係止部材16の係止部18は常に仕切り壁4a、4bの内面に拘束されているので、運搬時及び保管時等に、ボルト13の姿勢が乱れてしまうことはない。従って、ボルト13のネジ部15を利用して、容易に締結部材10を引き出すことができる。
【0044】
次に、締結部材10を構造部材1内に配置する方法について説明する。図13(a)はこの挿入方法を示す側面断面図、図13(b)は同じくその正面図、図13(c)は同じくその底面図である。4角筒状をなす構造部材1の側壁の内面には、上下2段の突起2a、2bが形成されている。また、構造部材1の取付面には、構造部材1の長手方向に離隔するようにして、2個の取付孔3が形成されている。一方、締結部材10は、1枚のプレート11に、その長手方向に離隔するようにして、2個のボルト13が固定されている。そして、これらのボルト13間のプレート11に、係止部材16が固定されている。また、係止部材16の1対の係止部18は、ボルト13の対向方向に垂直の方向に対向するように、基部17から延出している。
【0045】
ボルト13の長さは、図13(b)に示すように、中空部材1の内部の高さよりも小さいので、図13(b)に示すように、締結部材10は中空の構造部材1の長手方向に挿入することができる。そして、締結部材1のネジ部15が取付孔3の位置まで移動してきたときに、図14(a)、(b)に示すように、ネジ部15を取付孔3から若干引き出すと、係止部18の先端が突起2aを乗り越えて突起2aと突起2bとの間に位置し、係止部18の先端は突起2aを逆方向に乗り越えることはできなくなる。これにより、締結部材10はそのネジ部15が若干構造部材1から露出した状態で維持される。この状態で、構造部材10は、保管及び運搬される。
【0046】
そして、締結作業時には、図15(a)、(b)に示すように、ネジ部15を更に引き出し、係止部18の先端を下段の突起2bより下方に位置させる。これにより、締結部材10はその係止部18の先端が下段の突起2bを逆方向に乗り越えることができなくなり、そのネジ部15が殆ど構造部材1の外部に露出した状態で維持される。
【0047】
その後、図16(a)、(b)に示すように、ネジ部15を被締結部材30の孔に挿通し、被締結部材30から露出したネジ部15の部分にナット31を螺合させ、このナット31を緊締することにより、構造部材1を被締結部材30に固定する。
【0048】
このようにして、図14に示すように、保管時及び運搬時には、締結部材10はその殆どが中空の構造部材1内に格納されている。そして、ボルト13のネジ部15が若干構造部材1の外部に露出しているので、図15に示すように、ボルト13のネジ部15を握持してこれを最後まで引き出し、締結部材10を所定の締結処理位置に設定する作業が容易である。また、締結作業時には、図15に示すように、係止部18の先端が下段突起2bに係止されて、これを逆方向に乗り越えることはなく、ネジ部15の殆どの部分が構造部材1の外部に露出した状態で保持される。従って、被締結部材30の設置、及びナット31の螺合作業に際し、ボルト13が構造部材1内に入り込んでしまうことが防止され、作業性が向上する。
【0049】
次に、図17を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態においては、構造部材1の取付面に1対の係合壁6が立設されており、この係合壁6間の中央の取付面に、取付孔3が形成されている。本実施形態においては、締結部材20のボルト23には、係止部材40が固定されており、この係止部材40は、基部41と、この基部41からほぼ垂直上方に延びる係止部42とから構成されている。従って、本実施形態においては、図17(c)に示すように、係止部材40の係止部42の外面間の間隔は、係合壁6の内面の間隔にほぼ一致する。
【0050】
上述のように構成された本実施形態においては、図17(a)に示すように、締結部材20をそのネジ部25の先端部を孔3内に挿通させて下降させると、係止部材40の係止部42と基部41との折れ曲がり部分が、係合壁6の上端の突起7に当接する。そして、更に、締結部材20を下降させると、前記折れ曲がり部分がこの突起7を広げ、図17(b)に示すように、係合壁6をその上端部が広がるように変形させる。そして、締結部材10の基部41が構造部材1の取付面の内面に当接すると、係止部42の長さが突起7と構造部材1の取付面との間の距離より短いので、突起7が自由となり、係合壁6がもとの取付面に垂直の状態に戻る。これにより、係止部材40の係止部42の上端が突起7により係止され、締結部材30はそのネジ部25が殆ど露出した状態に維持される。この状態で、締結作業が行われる。本実施形態においては、構造部材の断面形状を単純化でき、プレート及び係止部材を小型化することによって、軽量化することができると共に、取付け施工性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:構造部材
2、2a、2b、2c:突起
3、3a、3b:取付孔
4、4a、4b、4c:仕切り壁
6:係合壁
7:突起
10、20:締結部材
11:プレート
12:ボルト挿通孔
13、23:ボルト
14、24:頭部
15、25:ネジ部
16、26:係止部材
17:基部
18、28:係止部
18a、18c、18e:第1部
18b、18d、18f:第2部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材を他の部材に取り付けるための締結部材を備えた締結部材付き構造部材において、前記構造部材は、取付面にボルトを挿通させる取付孔を有する中空の形状を有し、前記取付面の両端部から立ち上がる両内側面又は前記取付面に立設された1対の係合壁の内側面に内方に突出する突起が形成されており、
前記締結部材は、ボルト挿通孔が形成されたプレートと、ネジ部が前記ボルト挿通孔に挿通され頭部が前記プレート上に残るボルトと、前記プレートに別体で固定され又は一体成形された板状の係止部材とを有し、前記係止部材は、前記プレートからその両側方に延出して前記構造部材の内側面に当接する係止部を有し、前記係止部は前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記突起は乗り越えることができるが、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されるような形状を有し、前記係止部は前記係止部材のプレート上の部分に対して変形可能であることを特徴とする締結部材付き構造部材。
【請求項2】
前記係止部材は、前記プレートに重なる基部を有し、前記係止部はこの基部の両端部からその両側方に延出し、前記係止部は前記基部に対して鈍角をなして屈曲していることにより、前記係止部は、前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記係止部が前記基部に対して屈曲して前記突起を乗り越えることができ、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されることを特徴とする請求項1に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項3】
前記係止部が前記突起を乗り越える前の状態で、前記ボルトの前記ネジ部が前記取付孔から突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項4】
前記ボルトの頭部は、前記プレートに溶接又はかしめにより固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項5】
前記係止部材は、金属又はプラスチック製であり、弾性的に変形可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項6】
前記構造部材は、アルミニウム合金製の形材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項1】
構造部材を他の部材に取り付けるための締結部材を備えた締結部材付き構造部材において、前記構造部材は、取付面にボルトを挿通させる取付孔を有する中空の形状を有し、前記取付面の両端部から立ち上がる両内側面又は前記取付面に立設された1対の係合壁の内側面に内方に突出する突起が形成されており、
前記締結部材は、ボルト挿通孔が形成されたプレートと、ネジ部が前記ボルト挿通孔に挿通され頭部が前記プレート上に残るボルトと、前記プレートに別体で固定され又は一体成形された板状の係止部材とを有し、前記係止部材は、前記プレートからその両側方に延出して前記構造部材の内側面に当接する係止部を有し、前記係止部は前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記突起は乗り越えることができるが、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されるような形状を有し、前記係止部は前記係止部材のプレート上の部分に対して変形可能であることを特徴とする締結部材付き構造部材。
【請求項2】
前記係止部材は、前記プレートに重なる基部を有し、前記係止部はこの基部の両端部からその両側方に延出し、前記係止部は前記基部に対して鈍角をなして屈曲していることにより、前記係止部は、前記プレートが前記取付面に向けて移動するときに前記係止部が前記基部に対して屈曲して前記突起を乗り越えることができ、前記プレートが前記取付面から離れる方向に移動しようとすると前記突起に係止されることを特徴とする請求項1に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項3】
前記係止部が前記突起を乗り越える前の状態で、前記ボルトの前記ネジ部が前記取付孔から突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項4】
前記ボルトの頭部は、前記プレートに溶接又はかしめにより固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項5】
前記係止部材は、金属又はプラスチック製であり、弾性的に変形可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の締結部材付き構造部材。
【請求項6】
前記構造部材は、アルミニウム合金製の形材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の締結部材付き構造部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−31972(P2012−31972A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173736(P2010−173736)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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