説明

緩衝材製造装置

【課題】単一又は任意個数の緩衝材を空気封入量が多い場合でも、破袋現象やジャム現象を発生させることなく簡単な機構で確実に装置外へ排出できるようにする。
【解決手段】溶着先端部が形成された筒状フィルムを空気供給手段によって膨らませた後、全幅にわたり溶着した溶着部により後端が封止された緩衝材(Fc)を形成する第二溶着手段と、前記溶着部の中間位置を幅方向に切断し、緩衝材の溶着後端部と次の溶着先端部を形成する切断手段と、切断された前記緩衝材を排出する排出手段(70)と、を備えた緩衝材製造装置において、前記排出手段が、前記切断手段より下流側に配設された、排出方向に進退動可能な削ぎ板(7a)と、該削ぎ板を排出方向に移動させる駆動手段(62、63、7g、7j、7m)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材製造装置、特に空気で膨らませて密封された状態のフィルムからなる梱包用の緩衝材を、単一又は2以上連なった状態で製造する際に適用して好適な緩衝材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の緩衝材製造装置としては、例えば特許文献1には、図1にその概要を示すものが開示されている。
【0003】
この緩衝材製造装置100の上流側に備えているフィルム収容部110には、ポリエチレン等からなる長尺の筒状フィルム101を折りたたんで紙管軸に巻きつけたフィルムロールが収容されている。
【0004】
このフィルム収容部110に収容されているフィルムロールから、図示されているように筒状フィルム101が搬送手段120により下流側に順次送り出され、その一側端部が図示しないカッターで切り開かれて帯状フィルムにされると、その開口端部から空気供給手段130により空気を送り込むことが可能になっていると共に、その下流側には、該空気供給手段130により空気を送り込む前に上記開口端部を溶着して再度筒状フィルムに加工する第一溶着手段140が配設されている。
【0005】
更に、第一溶着手段140の下流側には、側方から見た要部を拡大して図2に示すように、再加工された筒状フィルム101を、その全幅にわたり溶着して空気が充填された短尺の緩衝材を形成する第二溶着手段160と、この幅方向の溶着部分にミシン目を形成する部分切断又は完全切断を選択的に行うカッター545を有する切断手段150と、切断後の緩衝材を第二溶着手段160から引き離す引き離し手段170とを備えた構成になっている。
【0006】
この引き離し手段170は、クランク機構により前記切断手段150と一体でパッド621を下降させ、筒状フィルム101をヒータ612に押し付けて溶着すると、該パッド621に連動して下降するカッター545により切断して形成された緩衝材102の第二溶着手段160側の溶着端部を押上げる押上げ部723と、クランク機構により切断手段150と連動する削ぎ部171と、該削ぎ部171のV字状下端部に押圧されて下降する受け部172等から構成され、削ぎ部171と受け部172により緩衝材102の第二溶着手段160の近傍を挟持すると共に、押上げ部723は削ぎ部171の下降に連動して上昇する一連の動作により行われていた。
【0007】
【特許文献1】特開2004−35054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に開示されている緩衝材製造装置では、製造した緩衝材102を分離するために削ぎ部171と受け部172とで、該緩衝材102の第二溶着手段160側の溶着端部近傍を挟持すると共に、押上げ部723は受け部172の下降に連動して上昇する構造であるため、図3(A)に第二溶着手段160により一つの緩衝材102の後端を溶着し、切断手段150により切断した直後の状態を示すように、封入空気量を多くして張りのある緩衝材102を製造した場合には、削ぎ部171を下降させるとその挟持部材により緩衝材102が押圧されて封入空気の圧力を上昇させることになる。そのため、同図(B)に示すように先端のシール部が溶着直後で空冷による固化が完了していない場合にはそのシール部から密封空気の吹き抜けが起こったり、シール部の固化が完了している場合には、圧力が素材フィルムの強度限界を超えて高まるとフィルム自体の破壊(図示せず)が起こったりする破袋現象が発生することがあった。
【0009】
又、このような破袋現象を防止するために、逆に緩衝材の封入空気量を少量とした場合には、図4に示すように緩衝材102の端部を挟持した際に削ぎ部171及び受け部172の挟持部材にフィルムが追従して、先端部のV字形状による引き剥がし方向(X方向)への押圧力が発生しなくなるため、製袋後切断された緩衝材102が受け部172近傍に滞留して、後続のフィルムの排出を妨げてジャム状態を発生させるという現象が発生していた。
【0010】
これらのことより、従来の方式により安定して緩衝材を製造するためには、破袋及び滞留によるジャム状態の両方共発生しない範囲で封入空気量を調整する必要があった。
【0011】
ところが、このような調整を行ったとしても、薄いプラスチックフィルムに空気を封入した緩衝材は嵩比重が小さいため、1個あるいは数個が連鎖(連続)した少数単位での切断では、図5に単一の例を示すように空気抵抗により浮遊したり、フィルムに発生した静電気により排出口近傍に付着し、滞留してジャム状態を発生したりすることがあった。
【0012】
その為、切断後は自重で自然落下するように連鎖個数を多くしたり、後方からブロアファンの気流により押し出す強制排出を行う等の運転状態に制限を加えなくてはならないことから、任意の連鎖個数の緩衝材を安定して製造するという装置本来の性能を犠牲にすることになっていた。
【0013】
又、破袋防止のために空気量を調整する場合には、緩衝材の体積が予定していた最大の状態より減少することになるため、梱包作業で空隙部に緩衝材を充填した際に、単位体積当たりのフィルム使用量が増大するという二次的な問題も発生していた。
【0014】
更には、緩衝材を第二溶着手段160から引き剥がすための機構である引き剥がし手段170は、削ぎ部171、受け部172及びこれに連動する押上げ部723を主要部として構成されており、機構が複雑で且つ部品点数が多いために、部品価格や組立調整工数に掛る費用が増大するという製造上の問題もあった。
【0015】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、単一または任意個数連鎖した状態の緩衝材を、封入空気量が多い張りのある場合であっても、破袋現象を発生させることなく、しかも複雑な機構を用いずに確実に装置本体から排出することができる緩衝材製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、筒状フィルムを折り畳んだ状態で下流側に搬送供給する搬送手段と、搬送供給された筒状フィルムの片側縁部を切り開いて片側開放状態にするカッターと、片側開放状態にされた折り返し状態のフィルム内に空気を供給する空気供給手段と、前記空気供給手段の下流側に近接配置され、前記フィルムの切り開かれた縁部を互いに重ね合わせた状態で溶着して再度筒状フィルムを形成する第一溶着手段と、溶着先端部が形成された前記筒状フィルムを前記空気供給手段によって膨らませた後、後端位置を全幅にわたり溶着した溶着部により封止された緩衝材を形成する第二溶着手段と、前記溶着部の中間位置を幅方向にミシン目を形成するか切断し、緩衝材の溶着後端部と次の溶着先端部を形成する切断手段と、切断された前記緩衝材を排出する排出手段と、を備えた緩衝材製造装置において、前記排出手段が、前記切断手段より下流側に配設された、排出方向に進退動可能な削ぎ板と、該削ぎ板を排出方向に移動させる駆動手段とを備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、排出手段を、切断手段より下流側に配設された、排出方向に進退動可能な削ぎ板と、該削ぎ板を排出方向に移動させる駆動手段とを備えた構成にしたので、切断された緩衝材を排出方向に押出すことができるため、簡単な機構にも拘わらず確実に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図6は、本発明に係る一実施形態の緩衝材製造装置の全体の概要を示す斜視図である。
【0020】
本実施形態の緩衝材製造装置1は、二点鎖線で示すカバーフレーム2により、構成部材とそれを覆うカバーが構成され、後述する製袋動作を行う各機構の取り付け支持及び保護が実現されている。
【0021】
この緩衝材製造装置1は、前記図1に示したものと基本的な構成は同一であり、下流側に供給するフィルムFを収容するフィルム収容部10と、該収容部10から筒状フィルムFを折り畳んだ状態で下流側に搬送供給するフィルム送り機構(搬送手段)20と、搬送供給された筒状フィルムの片側縁部を切り開いて片側開放状態にするカッター31と、片側開放状態にされた折り返し状態のフィルム内に空気を供給する送風部(空気供給手段)30と、前記送風部30の下流側に近接配置され、前記フィルムの切り開かれた縁部を互いに重ね合わせた状態で溶着して再度筒状フィルムを形成する第一溶着部(手段)40と、先端部が溶着された前記筒状フィルムを前記送風部によって膨らませた後、後端位置を全幅にわたり溶着し、その溶着部により封止された緩衝材を形成する第二溶着部(手段)60と、該第二溶着手段による溶着部の中間位置を幅方向にミシン目を形成するか切断し、緩衝材の溶着後端部と次の溶着先端部を形成するカッターを有する、前記第二溶着部60に内蔵された切断手段50と、切断された前記緩衝材を排出する削ぎ部(排出手段)70と、を備えている。
【0022】
以下に、各構成部について具体的に説明する。
【0023】
前記フィルム収容部10に収容されるフィルムFは、チューブ状(筒状)の薄膜プラスチックフィルムの素材を円筒状の紙管に巻き取ったフィルムロールの形態で供給されると共に、カバーフレーム2の上流側端部にフィルム送り機構20の一部を構成する紙管軸21により回転自在に支持され、フィルム供給時の慣性による過剰な回転を防止するため外周部にブレーキベルト22により適度な摩擦力が与えられるようになっている。
【0024】
フィルムFは外周から巻き出され、モータで回転駆動される上下一対の入力ローラ23で挟持されて装置内部へ送り込まれる。次いで、このフィルムFは一端が回転可能に支持され、他端が上下に揺動するバーの揺動端部に固定されたスイングローラ24でたるみが調整され、空気封入時の逆流を防止する上下一対の逆流防止ローラ25を経て送風部30へ導かれる。
【0025】
この送風部30では、フィルムFの搬送方向一側端部がカッター31で切り開かれ、この段階で片側開放状態(半切で折り返し状態)のフィルムにされて更に下流側へ送られると共に、ブロアファンにより切り開かれた片側端部から上下のフィルムの間に送風が行われる。
【0026】
次いで、この片側開放状態のフィルムFは第一溶着部40へ送り込まれ、通電により発熱するヒータ41及び該ヒータ41に対して密着離反動作を行う押し板42で挟持されて第一シールFaが形成され、再び筒状のフィルムに加工される。筒状に戻し加工されたフィルムFはモータで駆動される上下一対の出力ローラ26により挟持され、詳細は後述する第二溶着部60へ送り込まれる。
【0027】
この第二溶着部60では、フィルムFの全幅にわたって第二シール(溶着部)Fbの溶着形成を行ない、空気が封入された緩衝材Fcが形成される。又、複数の緩衝材Fcの隣接間に形成される第二シールFbへのミシン目Fdを形成する不完全切断と、ミシン目Fdを介して複数連鎖した緩衝材Fcを任意個数に分離する完全切断が行われる。完全切断により分離された緩衝材Fcは、後述する排出部を構成する削ぎ部70を経て機外へ排出される。
【0028】
次に前記第二溶着部60について更に説明する。
【0029】
図7には、第二溶着部60のヒータ台61の詳細を示す。(A)は装置本体への取付け状態を、(B)はこれを矢印で示す下方から見た状態である。
【0030】
ヒータ台61は、通電により発熱する一対のヒータ611と、両ヒータ611を離隔する中央の溝613を有し、絶縁性及び耐熱性を有する保持台612より構成されている。このヒータ台61は、出力ローラ26の排出側近傍にカバーフレーム2を介して固定され、後述する押し板機構62の押し板621とヒータ611が対面するよう配置される。
【0031】
図8には、押し板機構62の詳細を示す。
【0032】
この押し板機構62は、一対の押し板621、該押し板621の中央に配置された、切断手段50の一部を構成する多数の鋭利な切刃を有する鋸歯状のミシン目刃622、押し板を伸縮自在に支持する圧縮コイルばね623、該圧縮コイルばね623を介して押し板621を支持し、且つ、ミシン目刃622を剛性をもって保持する昇降板624、該昇降板624の上下動を案内するガイド軸625、該ガイド軸625を支持するフレーム626、及びモータにより昇降運動を行なう駆動機構627により構成される。
【0033】
フィルムFは、ヒータ611と押し板621で挟持されると、空気の封入と次回製袋の溶着先端部を成す、全幅に延びる2本の第二シールFbを形成するとともに、中央より突出するミシン目刃622が前記ヒータ台61の溝613に浅く挿入されることより不完全切断となるミシン目Fdが形成される。一方、ミシン目刃622は深く突出することにより製袋フィルムFを完全切断して分離することが可能である。また、昇降板624は後述する削ぎ部70と連動するための接触部63を有する。
【0034】
次に、削ぎ部70について、一部を破断して詳細構造を示す図9を用いて説明する。
【0035】
7aは削ぎ板で、カバーフレーム2の一部を成す下フレーム21の垂直側壁面に取付けられたベアリング7bを介して、回転自在に保持されている。この削ぎ板7aと下フレーム21にはバネ掛け7c及び7dが取付けられ、これら両ばね掛けの間に係合された引張りコイルばね7eにより、削ぎ板7aにベアリング7bを中心とする回転力が付与される。7fはストッパで、削ぎ板7aの一部と接触して位置決めを行なう。
【0036】
7gは揺動カムで、前記押し板機構62のフレーム626に固定されたカム支持板7hにより回転自在に支持されている。この揺動カム7gとカム支持板7hの間には引っ張りコイルばね7iが係合され、揺動カム7gに回転力が付与される。7jは揺動ピンで、保持板7kを介して削ぎ板7aと固定され、揺動カム7gと円筒側面で接触する。揺動カム7gは接触部7mを有し、押し板機構62の昇降に伴い接触部63と接触離反を行い、揺動ピン7jを介して削ぎ板7aを、排出方向に付勢移動させる揺動運動(進退動)を行う。
【0037】
即ち、この揺動運動の駆動手段が、前記押し板機構62、接触部63と、揺動カム7g、揺動ピン7j、接触部7mを含むカム機構等により構成されている。
【0038】
以上の構成において、本実施形態の緩衝材製造装置により緩衝材を製造する製袋動作における削ぎ部70の働きを説明する。
【0039】
図10はフィルムFが送りだされた状態にある排出部近傍の断面図を示す。フィルムFはカッター31で切り開かれた搬送方向側面(片側端部)を第一溶着部40で溶着され、搬送方向と直角を成す先端部の全幅を第二溶着部60の押し板621が上昇することにより最先端部溶着される。その後、押し板621が下降し、フィルムFが通過する空間を形成する。
【0040】
この状態で出力ローラ26が回転することにより、フィルムFの先端は削ぎ板7aの位置まで到達する。削ぎ板7aはストッパ7fに接触して停止しており、フィルムFと対面する側が案内斜面を形成している。フィルムFは削ぎ板7aの斜面に沿うように進行して図示されているように下方向に垂れ下がる。尚、このとき揺動カム7gは引っ張りコイルばね7iの張力により揺動ピン7jに接触して停止位置が保持される。
【0041】
図11には、フィルムFへの空気の送風状態の断面図を示す。押し板機構62が動作して押し板621を上昇させて垂れ下がったフィルムFを下から支持するとともに、ヒータ611との間に内部への空気の通路を形成する。次に送風部30が作動しフィルムFのカッター31で切り開かれた片側端部に空気を送り込む。フィルムFは、前記図6に示したように第一シールFa、第二シールFbによりすでに密閉状態が作られており、空気は漏れることなく先端まで到達してフィルムFを膨張させ、緩衝材Fcが形成される。
【0042】
図12には、溶着による空気の封入とミシン目Fdの形成状態の断面図を示す。空気がフィルムに充填された後、駆動機構627の動作により押し板621とミシン目刃622が上昇する。緩衝材Fcの後方はヒータ611と押し板621とで挟持され、空気の封入部(溶着後端部)及び次の製袋の先頭部(溶着先端部)の2本の第二シールFbを生成する。さらに上昇すると押し板621がヒータ611と接触したまま圧縮コイルばね623がたわみ、ミシン目刃622のみが上昇してヒータ台61の溝611に進入して多数の刃先でフィルムFを突き破る。フィルムが完全に切断される手前でミシン目刃622の上昇を停止させることにより、2本の第二シールFbの中央にミシン目Fdが形成される。フィルムの搬送、第一シール、空気封入、第二シール及びミシン目生成を繰り返すことにより、前記図6に示したようなミシン目の入った連鎖状の緩衝材Fcを製造することができる。
【0043】
図13には、ミシン目刃622が切断位置まで上昇した場合の断面図を示す。ミシン目刃622が図12の位置よりさらに上昇すると、フィルムFはミシン目刃で完全に切断され前後の製袋端部は分離される。同時に押し板機構62の接触部63は揺動カム7gの接触部7mと接触してこれを押し上げる。該接触部63がさらに上昇すると接触部63と接触部7mの係合が開放され、揺動カム7gは引っ張りコイルばね7iの張力により回転して揺動ピン7jと接触する位置まで戻る。これにより接触部63と接触部7mの上下の位置が入れ替わる。
【0044】
図14には、押し板機構62がフィルム切断位置から下降を開始した直後の断面図を示す。
【0045】
熱溶着と切断を完了すると、押し板機構62が下降して緩衝材Fcの後方の挟持が開放される。このとき揺動カム7gの接触部7mが押し板機構62の接触部63と接触して押下げられ、揺動ピン7j及び保持板7kを介して削ぎ板7aの旋回を開始させる。この際、緩衝材Fc及び切断されて機械内に残ったフィルムFは第二シールFbが溶着熱で粘性を帯びているためヒータ台61に粘着する。フィルムFは出力ローラ26の微小量の逆転によりヒータ台61から容易に引き剥される。緩衝材Fcは滞留したままとなる。
【0046】
尚、緩衝材Fcのヒータ台61への粘着は単独あるいは数個を連鎖させた比較的重量の軽い切断の場合にのみ発生する。ミシン目で連鎖させた連続製袋の場合は自重による引き剥がしが行なわれるため粘着は発生しない。
【0047】
図15には、押し板62の下降が進行した断面図を示す。押し板62の下降が進行すると揺動カム7gの接触部7mが押し板機構62の接触部63と接触して押し下げられ、削ぎ板7aが緩衝材Fcの排出方向に旋回する。これによりヒータ台61に粘着し滞留した緩衝材Fcは該ヒータ台61から引き剥がされる。その後削ぎ板7aの旋回により緩衝材Fcは機外に速やかに投射(排出)される。このため静電気による吸着や嵩比重が小さいことに起因する空気中での浮遊に起因する滞留は発生しない。
【0048】
更に押し板62が下降を続けて最下点に到達すると、押し板側の接触部63と揺動カム7g側の接触部7mの接触が外れて揺動カム7gは揺動ピン7jを介して削ぎ板7aを回転させる力を失う。これにより削ぎ板7aは引っ張りコイルばね7eの張力によりストッパ7fに押し付けられ、同時に揺動カム7gも揺動ピン7jと接触して停止し、前記図10に示す溶着動作前の状態に復帰する。
【0049】
このように、削ぎ板7aは連続製袋時でミシン目を生成する場合は動作せず、完全な切断動作をする場合は排出方向に投射動作をして緩衝材Fcの滞留を防止する。
【0050】
以上詳述した本実施形態によれば、製袋フィルムのシール部の粘着、静電気による吸着、嵩比重が小さいことによる空気中への浮遊等に起因する排出部での緩衝材の滞留を、簡便で確実に防止し、後続する製袋フィルムの排出の傷害いわゆるジャム状態を解消することができる。
【0051】
又、動作が従来のような挟持部材の上下運動による滞留防止作用と異なり、重力で垂れ下がるフィルムを下方向から押し出して機外へ強制的に排出するため、空気量の多い製袋の場合の破袋や空気量が少ない場合のフィルムに接触しないいわゆる空振り動作がなく安定した滞留防止が可能となる。
【0052】
なお、前記実施形態では、滞留防止機構として、昇降する第二溶着部60の押し板機構62の動力と上昇高さに応じて連動する削ぎ板7aを用いた例を示したが、削ぎ板の駆動にソレノイドやモータ等の動力源を用いて、前記と同一のタイミングで動作させることにより同一の効果が得られるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来の緩衝材製造装置の概要を示す斜視図
【図2】従来の緩衝材製造装置の削ぎ部近傍を拡大して示す要部側面図
【図3(A)】従来の緩衝材製造装置の削ぎ部の動作を示す、図2に相当する要部側面図
【図3(B)】従来の緩衝材製造装置の問題点を示す、図2に相当する要部側面図
【図4】従来の緩衝材製造装置の他の問題点を示す、図2に相当する要部側面図
【図5】従来の緩衝材製造装置の更に他の問題点を示す、図2に相当する要部側面図
【図6】本発明に係る一実施形態の緩衝材製造装置全体の概要を示す斜視図
【図7】本実施形態の緩衝材製造装置が備えている第二溶着部のヒータ台を拡大して示す斜視図
【図8】本実施形態の緩衝材製造装置が備えている第二溶着部の押し板機構を拡大して示す斜視図
【図9】本実施形態の緩衝材製造装置が備えている削ぎ部を拡大して示す斜視図
【図10】前記削ぎ部の動作を説明する要部側面図
【図11】図10の次の動作を説明する要部側面図
【図12】図11の次の動作を説明する要部側面図
【図13】図12の次の動作を説明する要部側面図
【図14】図13の次の動作を説明する要部側面図
【図15】図14の次の動作を説明する要部側面図
【符号の説明】
【0054】
10…フィルム収容部
20…フィルム送り機構(搬送手段)
30…送風部(空気供給手段)
40…第一溶着部
50…切断手段
60…第二溶着部
70…削ぎ部(排出手段)
7a…削ぎ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルムを折り畳んだ状態で下流側に搬送供給する搬送手段と、
搬送供給された筒状フィルムの片側縁部を切り開いて片側開放状態にするカッターと、
片側開放状態にされた折り返し状態のフィルム内に空気を供給する空気供給手段と、
前記空気供給手段の下流側に近接配置され、前記フィルムの切り開かれた縁部を互いに重ね合わせた状態で溶着して再度筒状フィルムを形成する第一溶着手段と、
溶着先端部が形成された前記筒状フィルムを前記空気供給手段によって膨らませた後、後端位置を全幅にわたり溶着した溶着部により封止された緩衝材を形成する第二溶着手段と、
前記溶着部の中間位置を幅方向に切断し、緩衝材の溶着後端部と次の溶着先端部を形成する切断手段と、
切断された前記緩衝材を排出する排出手段と、を備えた緩衝材製造装置において、
前記排出手段が、前記切断手段より下流側に配設された、排出方向に進退動可能な削ぎ板と、該削ぎ板を排出方向に移動させる駆動手段とを備えていることを特徴とする緩衝材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−76807(P2010−76807A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247431(P2008−247431)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(509319591)白河電産株式会社 (2)
【Fターム(参考)】