説明

縁石付き側溝およびその施工方法

【課題】 縁石の横断方向への移動を防止することができる縁石付き側溝を提供する。
【解決手段】 ブロック本体2の上面2aに、縁石3の横断方向への移動を規制する第一規制部材10および第二規制部材11を拡張アンカー12により固定し、この第一規制部材10および第二規制部材11に、縁石3の溝部8の両側面を当接させることにより、縁石3がブロック本体2に対して横断方向へ移動するのを規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水性舗装が施された道路の側縁に設置される縁石付き側溝およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の排水性舗装技術として、路盤上に敷設した不透水層の上に、透水性機能を有する多孔質のアスファルト混合物よりなる排水層を配置するものがある。この排水性舗装が施工された道路では、雨水は排水層を浸透して不透水層の上を流れることで排水される。このため、道路の表面に水分が溜まらなくなり、車両の走行安全性が向上したり、排水層内の空隙によりエンジン音やタイヤのエアポンピング音が吸収され、交通騒音が低減されるという利点がある。
このような排水性舗装が施工された道路の側縁に設置する側溝として、内部に排水路を有する暗渠部材を路盤に据え付け、この暗渠部材の上面に車道と歩道とを区分けする縁石を設置したものが知られている(特許文献1参照)。
この縁石付き側溝は、暗渠部材に縁石を設置する際に、暗渠部材の上面に形成された排水溝と、縁石の下面に形成された溝部とを対向させるようになっている。これにより、排水層に浸透した雨水を排水溝および溝部に導くとともに、導水路を経て排水路へ導くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−133691号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような縁石付き側溝にあっては、側溝の施工時における埋め戻し土圧や転圧機械による道路の横断方向への荷重、または施工後における自動車の衝突による横断方向への荷重が縁石に作用することにより、縁石が横断方向へ移動して暗渠部材からずれることがある。この縁石の移動量が大きくなると、縁石の下端部が排水溝内に落ち込んで排水溝が塞がれることにより、排水機能が低下するという問題があった。
そこで、本発明はこのような従来技術の問題点に鑑み、縁石の横断方向への移動を防止することができる縁石付き側溝を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の縁石付き側溝は、縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに、排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材と、前記暗渠部材の上方に設置されているとともに下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石と、からなる縁石付き側溝であって、前記排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように前記暗渠部材の上面に固定されているとともに、前記縁石の前記溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を備えていることを特徴とする。
【0006】
上記本発明の縁石付き側溝では、縁石の溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を暗渠部材の上面に固定するようにしたので、縁石が暗渠部材に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝が縁石に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。
【0007】
また、前記縁石は、前記暗渠部材の上面に敷設された敷きモルタルに設置されており、前記規制部材は、前記排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように前記暗渠部材の上面に固定されていることが好ましい。
この場合、規制部材は、排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように固定されているため、側溝の施工時において、暗渠部材の上面に敷設された敷きモルタルが、規制部材に堰き止められることによって排水溝内に流れ込むのを防止することができる。
【0008】
また、前記縁石付き側溝は、前記規制部材を前記暗渠部材に固定するための拡張アンカーをさらに備えていることが好ましい。
この場合、特殊な工具を使用する必要がないため、規制部材を暗渠部材に容易に固定することができる。
【0009】
また、本発明の縁石付き側溝の施工方法は、縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材を、路盤に設置する工程、前記暗渠部材の上面に、規制部材を固定する工程、下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記暗渠部材の上方に設置する工程、を含むことを特徴としている。
本発明の縁石付き側溝の施工方法では、縁石の溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を暗渠部材の上面に固定するようにしたので、縁石が暗渠部材に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝が縁石に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。
【0010】
また、本発明の縁石付き側溝の施工方法は、縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材の上面に、一対の規制部材を固定する工程、前記暗渠部材を、路盤に設置する工程、下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記暗渠部材の上方に設置する工程、を含むことを特徴としている。
本発明の縁石付き側溝の施工方法では、縁石の溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を暗渠部材の上面に固定するようにしたので、縁石が暗渠部材に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝が縁石に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。また、暗渠部材を道路脇に設置する前に、規制部材を暗渠部材に固定するようにしたので、暗渠部材を現場へ搬入する前に規制部材をあらかじめ暗渠部材に固定しておくことができ、現場での施工期間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明の縁石付き側溝の施工方法は、縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材を、路盤に設置する工程、前記暗渠部材の上面に、前記排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように一対の規制部材を固定する工程、前記暗渠部材の上面に敷きモルタルを敷設する工程、下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記敷きモルタル上に設置する工程、を含むことを特徴としている。
【0012】
本発明の縁石付き側溝の施工方法では、縁石の溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を暗渠部材の上面に固定するようにしたので、縁石が暗渠部材に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝が縁石に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。また、規制部材は、排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように固定されているため、暗渠部材の上面に敷きモルタルを敷設する際に、規制部材によって敷きモルタルが排水溝内に流れ込むのを防止することができる。
【0013】
また、本発明の縁石付き側溝の施工方法は、縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材の上面に、当該排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように一対の規制部材を固定する工程、前記暗渠部材を、路盤に設置する工程、前記暗渠部材の上面に敷きモルタルを敷設する工程、下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記敷きモルタル上に設置する工程、を含むことを特徴としている。
【0014】
本発明の縁石付き側溝の施工方法では、縁石の溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を暗渠部材の上面に固定するようにしたので、縁石が暗渠部材に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝が縁石に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。また、規制部材は、排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように固定されているため、暗渠部材の上面に敷設された敷きモルタルが、規制部材に堰き止められることによって排水溝内に流れ込むのを防止することができる。
さらに、暗渠部材を道路脇に設置する前に、規制部材を暗渠部材に固定するようにしたので、暗渠部材を現場へ搬入する前に規制部材をあらかじめ暗渠部材に固定しておくことができ、現場での施工期間を短縮することができる。
【0015】
また、前記敷きモルタルを敷設する工程において、当該敷きモルタルを敷設する前に、前記各規制部材の上端部に排水溝の上方を覆う養生カバーを取り付けることが好ましい。
この場合、敷きモルタルを敷設する前に、規制部材の上端部に排水溝の上方を覆う養生カバーを取り付けるようにしたので、敷きモルタルを暗渠部材に敷設する際に、敷きモルタルが排水溝の上方からその内部に撒かれるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の縁石付き側溝によれば、縁石が暗渠部材に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝が縁石に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係る側溝を示す横断方向断面図である。
【図2】上記側溝のブロック本体の斜視図である。
【図3】上記側溝を道路の側縁に設置した状態を示す斜視図である。
【図4】上記側溝の第一規制部材の取り付け構造を示す図1の要部拡大図である。
【図5】上記側溝の第一規制部材およびブロック本体の一部を示す斜視図である。
【図6】上記側溝の施工方法の前半を示す横断方向断面図である。
【図7】上記側溝の施工方法の後半を示す横断方向断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る側溝の施工方法を示す横断方向断面図である。
【図9】拡張アンカーを示す一部断面図である。
【図10】第3の実施形態に係る側溝を示す横断方向断面図である。
【図11】第4の実施形態に係る側溝を示す横断方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る側溝1が排水性舗装30の道路脇に設置された状態を示している。
本実施形態は、排水性舗装30が施された道路に埋設される暗渠部材としてのプレキャストコンクリート製のブロック本体2よりなり、このブロック本体2の上面2aには、歩道部31と車道部32とを区分けする縁石3が設置されている。
【0019】
本実施形態の道路では、車道部32に排水性舗装30が施工されている。この排水性舗装30は、路盤33上に不透水層34を敷設するとともに、この不透水層34の上に多孔質のアスファルト混合物よりなる透水機能を有する排水層35を敷設することによって構成されている。なお、不透水層34と排水層35との間は、例えばタックコートを塗布することによって接着性を向上させている。
【0020】
図1および図2に示すように、側溝1のブロック本体2は断面方形状をなしており、その内部には長手方向(道路の縦断方向)に延びる円管状の排水路4が形成されている。この排水路4の直径は300mmであり、流れ込む多量の雨水等を排出できるようになっている。なお、上記排水路4の直径は特に限定されるものではなく、水量に応じて他の寸法としてもよい。ブロック本体2には、排水層35に浸透した水分(例えば雨水等)を排水路4に導くべく、排水路4に連通する二組の導水路5が設けられている。
【0021】
これら二組の導水路5は、排水路4の内面上部の車道側寄りの位置から車道側へ斜め上方に延び、車道側端部近傍に上部開口5Aaを有する内導水路5Aと、排水路4の内面上部から歩道側寄りの位置から歩道側へ斜め上方に延び、歩道側端部近傍に上部開口5Baを有する外導水路5Bとから構成されている。
また、ブロック本体2の上面2aには、上記導水路5と交差しつつ長手方向に延びる二本の排水溝6が形成されている。
【0022】
これら排水溝6は、ブロック本体2の車道側寄りに配置された内側排水溝6Aと、同本体2の歩道側寄りに配置された外側排水溝6Bとからなり、これらの排水溝6A,6Bは、それぞれ上方に開口した状態で、ブロック本体2の長手方向に沿って互いに並行して直線状に延びている。
内側排水溝6Aの底部には、内導水路5Aの上部開口5Aaが連通しており、外側排水溝6Bの底部には、外導水路5Bの上部開口5Baが連通している。これら内導水路5Aと外導水路5Bは、ブロック本体2の長手方向に沿って一定間隔おきに複数配置されている(図2参照)。以上のように、道路の縦断方向の広い範囲に渡って排水溝6が形成されているので、排水層35に浸透した水分を当該排水溝6に沿った道路の広い範囲で効率よく排水することができる。
【0023】
内導水路5Aの上部開口5Aaは、樹脂製の断面筒状のメッシュ部材36により長手方向に沿って透水可能に閉塞されている。このメッシュ部材36は、排水層35が内側排水溝6Aに陥没するのを防止しつつ透水機能を確保するものであり、排水層35に浸透した水分やこれに含有する粉塵や土砂等を通過させる程度の空隙率を有している。また、メッシュ部材36は、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂で成形されており、高い耐圧性能を有している。
また、上記導水路5は、排水溝6の底部から排水路4に連通しているとともに、当該排水溝6に充満した水分によって排水層35に浸透した水分を下方に吸引するヘッド圧を発生させる管路長および管路径に設定されている。このため、排水溝6に水分が充満すると導水路5が上記ヘッド圧を発生させるので、このヘッド圧に伴うポンピング作用により、排水層35の内部に存在していた土砂や粉塵が水分とともに排水溝6に向かって下方に引き込まれ、排水層35の内部に土砂や粉塵が堆積する目詰まり現象を防止ないし抑制することができる。
【0024】
図1に示すように、上記縁石3は、下方へ向かうに従って片側が広がる断面略矩形状に形成されているとともに、平面状の下面を有している。この縁石3は、ブロック本体2の上面2aに敷設された敷きモルタル7の上に、当該ブロック本体2に対する横断方向の相対的な位置を変更して設置されるようになっている。
また、縁石3の横断方向の幅はブロック本体2の上面2aよりも短く設計されており、縁石3が上面2aの歩道側の端部および車道側の端部のうちいずれの位置に取り付けられた状態においても、内側排水溝6Aあるいは外側排水溝6Bのうちのいずれかが縁石3に塞がれないようになっている。
【0025】
図1に示す本実施形態では、縁石3は、上面2aの歩道側の端部において、縁石3の歩道側側面とブロック本体2の歩道側側面とが面一となるように設置されている。そして、上部開口5Baは縁石3の下に隠れており、上部開口5Aaは、縁石3が取り付けられている部分以外の位置にあるため、縁石3に塞がれないようになっている。
縁石3の下面であって外側排水溝6Bの上方に対向する位置には、長手方向に延びる溝部8が形成されている。この溝部8は、断面矩形状に形成され、水分を縁石3内部で長手方向に流す機能を有している。なお、溝部8は本実施形態の形状に限定するものではなく他の形状としてもよい。
【0026】
また、図3に示すように縁石3の両端部には、上記溝部8から排水性舗装側(車道側)に通じる集水口9が形成されている。
この集水口9は、隣接する縁石3の端面同士が合わさることによって構成されているものであり、側溝1を設置した状態において集水口9の上部は排水層35の表面よりも上に出ており、その下部は排水層35の表面よりも下に配置されている。従って、排水層35の表面から流れてくる水分、および排水層35の内部からその側縁にしみ出してくる水分が、集水口9から溝部8に取り込まれるようになっている。
【0027】
図1において、排水層35は不透水層34およびブロック本体2の上面2aに施工されており、ブロック本体2は排水性舗装30の表面に露出していない。そして、ブロック本体2の上面2aのうち縁石3が設置されている部分以外の部分には排水層35が敷設され、この排水層35の下面がブロック本体2の上面2aと一致している。
【0028】
これにより、内側排水溝6Aの上部開口5Aaが、上記メッシュ部材36を介した状態で排水層35の下面に突き合うような状態となっており、排水層35の内部を浸透してその下面にしみ出してきた水分が内側排水溝6Aを通じて上部開口5Aaに入り、内導水路5Aを通って排水路4に流れ出されるようになっている。
また、排水層35の表面および側縁から集水口9に取り込まれた水分は、溝部8や外側排水溝6Bを通って外導水路5Bの上部開口5Baに入り、外導水路5Bを通って排水路4に流れ出るようになっている。
【0029】
図1において、ブロック本体2の上面2aと縁石3との間には、縁石3がブロック本体2に対して道路の横断方向へ移動するのを規制する第一規制部材10および第二規制部材11が設けられている。第一規制部材10および第二規制部材11は、ともに断面L字型に形成されており、外側排水溝6Bの横断方向の両端部に配置されている。
図4は、第一規制部材10の取り付け構造を示す図1の要部拡大図であり、図5は、その第一規制部材10およびブロック本体2の一部を示す斜視図である。なお、第一規制部材10と第二規制部材11とは同一構成であるため、以下、第一規制部材10の構成について詳しく説明し、第二規制部材11の詳細説明については省略する。
【0030】
図4および図5において、第一規制部材10は、鉛直方向に延びる規制部10Aと、水平方向に延びる取付部10Bとを有し、ブロック本体2の長手方向の長さと略同一長さに形成されている。規制部10Aは、その外側(図4の左側)の側面10Aaの下端を外側排水溝6Bの車道側の上端縁と一致させており、この上端縁から立ち上がるように配置されている。また、規制部10Aは、縁石3の溝部8内に入り込み、内側(図4の右側)の側面10Abに溝部8の車道側の側面8aが当接するようになっている。
【0031】
上記取付部10Bには、図5に示すように、該取付部10Bの縦断方向に延びる複数の長孔からなる取付孔10Baが形成されており、この取付孔10Baの下方のブロック本体2の上面2aには固定穴2bが形成されている。この固定穴2bは、ブロック本体2の長手方向に沿って一定間隔おきに複数形成されている。この各固定穴2bには、複数の拡張アンカー12が打ち込まれており、第一規制部材10がブロック本体2に固定されている。
【0032】
図9は、拡張アンカー12の構成を示す図である。図9において、拡張アンカー12は、取付孔10Baおよび固定穴2bに差し込まれるアンカー本体12Aと、このアンカー本体12A内に形成された中空部12Aaに挿通されている芯棒12Bとを備えている。前記アンカー本体12Aの下部にはスリット12Abが形成され、下端の断面形状が厚肉に形成された複数の拡張部12Acが形成されている。上記構成により、図9の状態から、芯棒12Bをアンカー本体12Aに対して下方に押し込むと、芯棒12Bの下端が、アンカー本体12Aの各拡張部12Acを径方向に押し広げ、図4に示すように、アンカー本体12Aを固定穴2bの壁面に圧接させることにより、第一規制部材10の取付部10Bがブロック本体2に固定される。なお、芯棒12Bは、汎用工具であるハンマ(図示せず)を用いて芯棒12Bの頭部12Baを打ち込むことにより、アンカー本体12Aに押し込まれる。
【0033】
次に、第1の実施形態に係る側溝1の施工方法について、図6および図7を参照しながら説明する。まず、ブロック本体2を道路脇の路盤33に設置する(図6(a))。ついで、このブロック本体2の上面2aに、第一規制部材10および第二規制部材11を、それぞれ外側排水溝6Bの幅方向の両上端縁から立ち上がるように配置するとともに、各規制部材10,11の取付孔10Ba,11Baをブロック本体2の固定穴2bの上方に位置させるように配置する(図6(a))。
各規制部材10,11を配置した後は、拡張アンカー12により各規制部材10,11をブロック本体2に固定する。具体的には、取付孔10Ba,11Baおよび固定穴2bにアンカー本体12Aを挿入したあと、ハンマを用いて芯棒12Bをアンカー本体12Aに押し込む(図6(b))。
【0034】
各規制部材10,11を固定した後は、各規制部10A,11Aの上端部間に、断面半円弧状の養生カバー13を被せ、外側排水溝6Bの上方を覆う。この状態で各規制部材10,11の取付部10B,11Bの上およびブロック本体2の上面2aに敷きモルタル7を敷設する(図7(c))。
敷きモルタル7を敷設した後、養生カバー13を取り外し、縁石3を敷きモルタル7の上に設置する。その際、各規制部材10,11の規制部10A,11Aが、縁石3の溝部8内に挿入されるように縁石3を設置する(図7(d))。
そして、所定期間養生した後に、路盤33上に不透水層34を敷設する。その後、この不透水層34の上およびブロック本体2の上面2aに排水層35を敷設し、ブロック本体2を埋設することで、側溝1の施工が完了する(図1参照)。
【0035】
以上のように、第1の実施形態に係る側溝1によれば、ブロック本体2の上面2aに固定した第一規制部材10および第二規制部材11の各規制部10A,11Aに、縁石3の溝部8の横断方向の両側面8aを当接させることができる。したがって、側溝1の施工時における埋め戻し土圧や転圧機械による道路の横断方向への荷重、または施工後における自動車の衝突による横断方向への荷重が作用しても、縁石3がブロック本体2に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、外側排水溝6Bが縁石3に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。
また、各規制部材10,11は、その規制部10A,11Aが外側排水溝6Bの横断方向の両端部から立ち上がるように固定されているため、側溝1の施工時において、ブロック本体2の上面2aに敷設された敷きモルタル7が、上記規制部10A,11Aに堰き止められることによって、外側排水溝6B内に流れ込むのを防止することができる。
【0036】
さらに、拡張アンカー12を用いて各規制部材10,11をブロック本体2に固定するようにしたので、各規制部材10,11を特殊な工具を使用することなく容易に固定することができる。
また、各規制部材10,11の取付孔10Ba,11Baを縦断方向に延びる長孔により形成するようにしたので、この取付孔10Ba,11Baとブロック本体2の固定穴2bとの縦断方向の位置合わせを容易に行うことができる。
また、敷きモルタル7をブロック本体2に敷設する前に、各規制部材10,11の規制部10A,11Aの上端部に、ブロック本体2の外側排水溝6Bの上方を覆う養生カバー13を被せるようにしたので、敷きモルタル7をブロック本体2に敷設する際に、敷きモルタル7が外側排水溝6Bの上方からその内部に撒かれるのを防止することができる。
【0037】
図8は、第2の実施形態に係る側溝の施工方法を示す図である。以下、この第2の実施形態に係る側溝の施工方法について、図8を参照しながら説明する。なお、第2実施形態の側溝の構成は、第1の実施形態に係る側溝1と同様であるため、以下の説明では、第1の実施形態と同一符号で示す。
【0038】
まず、ブロック本体2の上面2aに、第一規制部材10および第二規制部材11を、それぞれ外側排水溝6Bの幅方向の両上端縁から立ち上がるように配置するとともに、各規制部材10,11の取付孔10Ba,11Baをブロック本体2の固定穴2bの上方に位置させるように配置する(図8(a))。
ついで、拡張アンカー12により各規制部材10,11をブロック本体2に固定する。具体的には取付孔10Ba,11Baおよび固定穴2bにアンカー本体12Aを差し込んだあと、ハンマを用いて芯棒12Bをアンカー本体12Aに押し込む(図8(a))。
【0039】
各規制部材10,11を固定した後は、ブロック本体2を道路脇の路盤33に設置する(図8(b))。ついで、ブロック本体2の上面2aに敷きモルタル7を敷設した後、敷きモルタル7の上に縁石3を設置する。この施工方法の詳細については、第1の実施形態の施工法(図7(c),(d))と同様であるため、詳しい説明は省略する。その後、所定期間養生した後に、路盤33上に不透水層34、排水層35をそれぞれ敷設し、側溝1の施工が完了する(図1参照)。
【0040】
以上、第2の実施形態に係る側溝の施工方法によれば、ブロック本体2を道路脇に設置する前に、第一規制部材10および第二規制部材11をブロック本体2に固定するようにしたので、ブロック本体2を現場に搬入する前にあらかじめ各規制部材10,11をブロック本体2に固定しておくことができ、現場での施工期間を短縮することができる。
【0041】
図10は、第3の実施形態に係る側溝が道路脇に設置された状態を示している。第3の実施形態は、第1の実施形態における側溝の変形例を示すものである。なお、第3実施形態のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第1の実施形態と同一符号で示す。
第3の実施形態に係る側溝14のブロック本体15は断面方形状をなしており、その内部には長手方向(道路の縦断方向)に延びる円管状の排水路16が形成されている。この排水路16により、流れ込む多量の雨水等を排出できるようになっている。ブロック本体15の上面15aには、長手方向に延びる単一の排水溝17が形成されている。この排水溝17は、排水層35に浸透した水分(例えば雨水等)を排水路16に導くべく、排水路16に連通されている。また、排水溝17は、排水路16の内面上部の横断方向の中央部から上方へ鉛直方向に延び、上面15aの横断方向中央部に開口した上部開口17Aを有している。この上部開口17Aは、ブロック本体15の長手方向に沿って直線状に延びている。以上のように、道路の縦断方向の広い範囲に渡って排水溝17が形成されているので、排水層35に浸透した水分を当該排水溝17に沿った道路の広い範囲で効率よく排水することができる。
【0042】
ブロック本体15の上面15aの横断方向中央部には、敷きモルタル7を介して縁石3が設置されている。縁石3は、その下面に形成された溝部8が、排水溝17の上方に対向する位置となるように設置されている。
ブロック本体15の上面15aと縁石3との間には、縁石3がブロック本体15に対して道路の横断方向へ移動するのを規制する第一規制部材10および第二規制部材11が設けられている。第一規制部材10および第二規制部材11の水平方向に延びる取付部10B,11Bは、それぞれ拡張アンカー12をブロック本体15の上面15aに形成された固定穴15bに打ち込むことにより固定されている。また、第一規制部材10および第二規制部材11の鉛直方向に延びる規制部10A,11Aは、排水溝17の横断方向の両端部から立ち上がるように配置されている。また、規制部10A,11Aは、縁石3の溝部8内に入り込み、規制部10A,11Aに溝部8の横断方向の両側面8aが当接するようになっている。
【0043】
以上のように、第3の実施形態に係る側溝14によれば、ブロック本体15の上面15aに固定した第一規制部材10および第二規制部材11の各規制部10A,11Aに、縁石3の溝部8の横断方向の両側面8aを当接させることができる。したがって、側溝14の施工時における埋め戻し土圧や転圧機械による道路の横断方向への荷重、または施工後における自動車の衝突による横断方向への荷重が作用しても、縁石3がブロック本体15に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝17が縁石3に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。
また、各規制部材10,11は、その規制部10A,11Aが排水溝17の横断方向の両端部から立ち上がるように固定されているため、側溝14の施工時において、ブロック本体15の上面15aに敷設された敷きモルタル7が、上記規制部10A,11Aに堰き止められることによって、排水溝17内に流れ込むのを防止することができる。
【0044】
図11は、第4の実施形態に係る側溝が道路脇に設置された状態を示している。第4の実施形態は、第1の実施形態における側溝の変形例を示すものである。なお、第4実施形態のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第1の実施形態と同一符号で示す。
第4の実施形態に係る側溝18のブロック本体19は、U字型に形成された本体部19Aとこの本体部19Aの上部にその上部開口を閉鎖するように固定された蓋部19Bとから構成されており、この本体部19Aおよび蓋部19Bの各壁面によって囲まれた内部空間に、長手方向(道路の縦断方向)に延びる矩形管状の排水路20が形成されている。この排水路20により、流れ込む多量の雨水等を排出できるようになっている。蓋部19Bには、排水層35に浸透した水分(例えば雨水等)を排水路20に導くべく、排水路20に連通する導水路21が蓋部19Bの長手方向に沿って一定間隔おきに複数設けられている。この導水路21は、排水路20の内面上部の横断方向中央部の位置から上方へ鉛直方向に延び、横断方向中央部に上部開口21Aを有している。
【0045】
また、蓋部19Bの上面19Baには、上記導水路21と交差しつつ長手方向に延びる単一の排水溝22が形成されている。排水溝22は、それぞれ上方に開口した状態で、ブロック本体19の長手方向に沿って直線状に延びている。また、排水溝22の底部には、導水路21の上部開口21Aが連通している。以上のように、道路の縦断方向の広い範囲に渡って排水溝22が形成されているので、排水層35に浸透した水分を当該排水溝22に沿った道路の広い範囲で効率よく排水することができる。
【0046】
蓋部19Bの上面19Baの横断方向中央部には、敷きモルタル7を介して縁石3が設置されている。縁石3は、その下面に形成された溝部8が、排水溝22の上方に対向する位置となるように設置されている。
蓋部19Bの上面19Baと縁石3との間には、縁石3がブロック本体19に対して道路の横断方向へ移動するのを規制する第一規制部材10および第二規制部材11が設けられている。第一規制部材10および第二規制部材11の水平方向に延びる取付部10B,11Bは、それぞれ拡張アンカー12を蓋部19Bの上面19Baに形成された固定穴19Bbに打ち込むことにより固定されている。また、第一規制部材10および第二規制部材11の鉛直方向に延びる規制部10A,11Aは、排水溝22の横断方向の両端部から立ち上がるように配置されている。また、規制部10A,11Aは、縁石3の溝部8内に入り込み、規制部10A,11Aに溝部8の横断方向の両側面8aが当接するようになっている。
【0047】
以上のように、第4の実施形態に係る側溝18によれば、ブロック本体19の上面19Baに固定した第一規制部材10および第二規制部材11の各規制部10A,11Aに、縁石3の溝部8の横断方向の両側面8aを当接させることができる。したがって、側溝18の施工時における埋め戻し土圧や転圧機械による道路の横断方向への荷重、または施工後における自動車の衝突による横断方向への荷重が作用しても、縁石3がブロック本体19に対して横断方向へ移動するのを規制することができ、排水溝22が縁石3に塞がれることによって排水機能が低下するのを防止することができる。
また、各規制部材10,11は、その規制部10A,11Aが排水溝22の横断方向の両端部から立ち上がるように固定されているため、側溝18の施工時において、ブロック本体19の上面19Baに敷設された敷きモルタル7が、上記規制部10A,11Aに堰き止められることによって、排水溝22内に流れ込むのを防止することができる。
【0048】
なお、本発明は上記各実施形態に限定するものではない。例えば、各規制部材10,11は、ブロック本体2の長手方向の全範囲に渡って延設されていなくてもよく、長手方向中途で分断していてもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、縁石3の取り付け位置は、外側排水溝6Bであるが、内側排水溝6Aに変更することも可能である。この場合、各規制部材10,11は内側排水溝6Aの横断方向の両端部から立ち上がるように配置すればよい。
さらに、上記各実施形態では、養生カバー13は、断面半円弧状に形成しているが、平面状に形成するものであってもよい。
【0049】
また、上記各実施形態では、縁石3は、ブロック本体2,15,19の上面2a,15a,19Baに敷設された敷きモルタル7上に設置されているが、縁石3をブロック本体2,15,19の上面2a,15a,19Baに直接設置し、拡張アンカーを、縁石3の上面から下方へ貫通するとともに、各規制部材10,11の取付孔10Ba,11Ba、およびブロック本体2,15,19の固定穴2b,15b,19Baに差し込むことにより、縁石3をブロック本体2,15,19に固定するようにしてもよい。この場合は、縁石3と各規制10,11とを、同時にブロック本体2,15,19に固定することができるので、現場での施工期間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0050】
1,14,18 側溝
2,15,19 ブロック本体(暗渠部材)
3 縁石
4,16,20 排水路
6,17,22 排水溝
7 敷きモルタル
8 溝部
8A 側面
10 第一規制部材
11 第二規制部材
12 拡張アンカー
13 養生カバー
30 排水性舗装

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに、排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材と、
前記暗渠部材の上方に設置されているとともに下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石と、からなる縁石付き側溝であって、
前記暗渠部材の上面に固定されているとともに、前記縁石の前記溝部の横断方向の両側面に当接可能な一対の規制部材を備えていることを特徴とする縁石付き側溝。
【請求項2】
前記縁石は、前記暗渠部材の上面に敷設された敷きモルタルに設置されており、
前記規制部材は、前記排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように前記暗渠部材の上面に固定されている請求項1に記載の縁石付き側溝。
【請求項3】
前記規制部材を前記暗渠部材に固定するための拡張アンカーをさらに備えている請求項1または2に記載の縁石付き側溝。
【請求項4】
縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材を、路盤に設置する工程、
前記暗渠部材の上面に、規制部材を固定する工程、
下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記暗渠部材の上方に設置する工程、
を含むことを特徴とする縁石付き側溝の施工方法。
【請求項5】
縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材の上面に、一対の規制部材を固定する工程、
前記暗渠部材を、路盤に設置する工程、
下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記暗渠部材の上方に設置する工程、
を含むことを特徴とする縁石付き側溝の施工方法。
【請求項6】
縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材を、路盤に設置する工程、
前記暗渠部材の上面に、前記排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように一対の規制部材を固定する工程、
前記暗渠部材の上面に敷きモルタルを敷設する工程、
下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記敷きモルタル上に設置する工程、
を含むことを特徴とする縁石付き側溝の施工方法。
【請求項7】
縦断方向に延びる排水路を内部に有するとともに排水性舗装の水分を当該排水路に導くべく上面に縦断方向に延びる排水溝が形成された暗渠部材の上面に、当該排水溝の横断方向の両端部から立ち上がるように一対の規制部材を固定する工程、
前記暗渠部材を、路盤に設置する工程、
前記暗渠部材の上面に敷きモルタルを敷設する工程、
下面に縦断方向に延びる溝部が形成された縁石を、当該溝部の横断方向の両側面に前記各規制部材をそれぞれ当接可能に、前記敷きモルタル上に設置する工程、
を含むことを特徴とする縁石付き側溝の施工方法。
【請求項8】
前記敷きモルタルを敷設する工程において、当該敷きモルタルを敷設する前に、前記各規制部材の上端部に排水溝の上方を覆う養生カバーを取り付ける請求項6または7に記載の縁石付き側溝の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−168801(P2010−168801A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12151(P2009−12151)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】