説明

縦型多列自動充填包装機におけるカッター装置のガイド機構

【課題】
液体原料が充填された包装袋を円滑に製造することができる縦型多列自動充填包装機を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、複数枚の包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールして形成された包装袋に液体原料を充填する縦型多列自動充填包装機であって、当該液体原料が充填された複数の包装袋の横シール部分を打ち抜いてRカットし、包装袋ごとに分包するカッター装置7を備えたものである。そして、このカッター装置7は、包装袋に左右から当接して包装袋の左右方向の位置を規定するとともに、包装袋に前後から当接して包装袋を送るガイド機構73を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムの包装袋に液体等の内容物を充填して包装体を製造する縦型多列自動充填包装機に関し、特に、Rカットされた包装袋をガイドするガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、縦型多列自動充填包装機によって、スティックタイプの包装袋が製造されてきた。縦型多列自動充填包装機は、原反包装フィルムを各包装袋で必要なサイズ毎にスリッターで切り分け、この切り分けられた包装フィルムを袋状に成形する。この成形された両端重ね合わせ部分に縦シールが施され、縦シールにより筒状になった包装フィルムの規定の位置を挟み込んで横シールが施される。
【0003】
縦型多列自動充填包装機は、このスティックタイプの包装袋に液体原料を充填する場合には、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填ノズルを用いて液体原料を投入する。その後、縦型多列自動充填包装機は、原料注入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対しカッター装置を用いて切離し、個別包装袋としている。このような縦型多列自動充填包装機の一例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
このような従来の切離された個別包装袋では、カット部分の角と出来上がった袋部分とが互いに接触して穴を開けてしまう事故が発生しやすい。そのため、横シールされたカット部分の角を切り落とした形状(所謂「Rカット」形状)に施工し、このような事故を防ぐようにしている。
【0005】
Rカット形状に切離すカッター装置では、直線カットの場合と異なり、角部分を切り取るために打ち抜き構造が必要になる。そして、一回の打ち抜き動作で角部分を含めて確実に打ち抜くために両隅の角部分が繋がった形状となるように中央部分も幅を持って打ち抜くようにしている。そのため、通常の直線カットに比べてカット位置のズレが発生した際の包装袋に穴が開く確率が高くなり、位置ズレを極力少なくすることが求められている。
【0006】
また、Rカット形状に打ち抜く際に包装袋の切り口にバリが発生すると、切断された個別の包装袋が抜き型に引っ掛かってしまう。このRカット形状に打ち抜く際に発生するバリを極力少なくするために、連続した包装袋の弛みを出来るだけ吸収するような工夫が求められている。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、従来の縦型多列自動充填包装機では、包装袋をRカット形状に切離す場合には、横シール部分を横断した状態で確実に打ち抜く必要がある。そのため、包装袋の高い位置決め精度が要求され、液体原料が充填されたスティック状の包装袋を効率よく確実に製造することができないという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、液体原料が充填された包装袋を円滑に製造することができる縦型多列自動充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、幅の広いシートフィルムを複数枚の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、当該複数の各包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シール装置及び横シール装置と、当該シール成形された各包装フィルムに液体原料を充填する充填装置と、当該液体原料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置とを備えた縦型多列自動充填包装機であって、当該カッター装置は、型抜きによって前記横シール部分をRカットするRカット機構と、前記包装袋に当接し、前記Rカット機構に前記包装袋を案内するガイド機構とを有するものである。
このような構成において、包装袋をガイドしながらRカット機構に導入することができるので、包装袋の位置決め精度を向上させることができる。従って、横シール部分の切断箇所を確実に打ち抜くことができるので、液体原料が充填された包装袋を円滑に製造することができる。
【0009】
さらに、前記ガイド機構は、前記包装袋に左右から当接し、前記包装袋の左右方向の位置を規定する袋ガイドと、前記包装袋に当接し、前記包装袋を送る送りローラとを有する。
好適には、前記袋ガイドは、断面略コ字状の形状を有し、前記包装袋の左右方向の位置を規定するとともに、前記送りローラに対向する方向から前記包装袋を支持する。
これにより、袋ガイドは、包装袋を左右方向から支持するとともに、送りローラによる押圧を後方から支持することができる。それ故、送りローラは、適宜設定されたローラ圧によって、包装袋を最適に押圧することが可能となる。
【0010】
また、前記送りローラは、前記包装袋を上方から下方に向けて引っ張るように、前記包装袋の移送速度よりも速い回転数で回転する。
これにより、包装袋を上下方向に引っ張りながら送ることができるので、包装袋の上下方向の弛みを吸収することが可能となる。それ故、包装袋の切り口にバリが発生したとしても、送りローラによって包装フィルムを送ることができるので、包装フィルムが引っ掛かるのを防止することができる。従って、液体原料が充填された包装袋を良好に製造することができる。
【0011】
なお、本明細書において、Rカットとは、尖った包装袋の角を除去するための切断を示す。従って、本明細書におけるRカットは、略曲線状に包装袋の角を除去する場合だけでなく、包装袋同士が傷つかない程度に包装袋の角を除去する場合も含む。
またなお、本明細書における略太鼓状の打ち抜く型とは、略太鼓状の中央に幅があるものだけでなく、幅が無いものも含む。従って、本明細書における略太鼓状の打ち抜く型は、包装フィルムの角部だけを打ち抜き、この角部間を単に切断するだけの場合も含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液体原料が充填された包装袋を円滑に製造することができる縦型多列自動充填包装機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、液体原料が充填されたスティック状の包装袋Rカットすることによって包装袋の角部を除去するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
【0014】
まず、図1及び図2を用いて、本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成について説明する。本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、1度に複数本のスティック状包装袋を連続的にシール成形する。
図1の正面図に、本発明に係る縦型多列自動充填包装機の一構成例が示されている。図1では、本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、符号1により全体的に示され、この図1は正面側(前方)から背面側(後方)に向かって観察した図である。また、以下では、縦型多列自動充填包装機1を自動包装機1と略す。
図1に示すように、自動包装機1は、フォーミング装置2、縦シール装置3、横シール装置4、原料供給装置5、充填装置6、カッター装置7、操作パネルボックス8を備えている。
【0015】
フォーミング装置2は、包装フィルムを略円筒状にフォーミングする装置であり、フォーマーパイプ21、フォーマーリング22、製袋ガイドローラ23を有する。フォーマーパイプ21は、多列に並設されている。フォーマーリング22は、フォーマーパイプ21ごとに設けられ、フォーマーリング22にフォーマーパイプ151が貫装されている。製袋ガイドローラ23もまた、フォーマーパイプ21ごとに設けられている。
【0016】
縦シール装置3は、ホルダー24の下方に設けられ、フォーマーパイプ21上で、略円筒状に成形された包装フィルムに縦シールを施す装置である。横シール装置4は、縦シール装置17の下方に設けられ、縦シールされた包装フィルムを横シールする装置である。
原料供給装置5は、横シールによって形成された包装袋に液体原料を供給する装置であり、ホッパー51、ポンプ装置52を有する。ホッパー51は、液体原料を収容する収納容器である。ポンプ装置52は、液体原料を吸い上げてホッパー51に送る装置である。
【0017】
充填装置6は、ホッパー51から供給された液体原料を包装袋に充填する装置であり、充填ノズル61、充填ノズル上下機構62を有する。充填ノズル61は、ホッパー51から供給される液体原料を各フォーマーパイプ21内に振り分けて供給する部材である。充填ノズル上下機構62は、充填ノズル61が液体原料の充填にともなって液面に触れないように、充填ノズル61を上下させる機構である。
カッター装置7は、2つの横シール間に液体原料が充填された包装袋を横シールの位置で切断し、スティック状の包装袋に分包する装置である。本発明に係る自動包装機1におけるカッター装置7は、Rカットすることによって包装袋の角部を除去するものである。
操作パネルボックス8は、自動包装機1の各駆動装置等を操作するための装置が内蔵され、自動包装機1の各種駆動装置等を支持する本体フレーム81に取付けられている。また、本体フレーム81には、自動包装機1の動作状態を示すための報知手段である表示/警報ランプ82が設けられている。
【0018】
続いて、図2を用いて、本発明に係る自動包装機1の動作について概略的に説明する。
図2の側面図に、本発明に係る自動包装機1の一構成例が示され、この図2は、図1において右方から左方に向かって観察した図である。図2に示すように、自動包装機1は、上記の各装置に加え、スリッター装置9を備えている。
原反フィルム110から引き出された包装フィルム111は、スリッター装置9によって多列に切り裂かれる。この多列に分けられた包装フィルム111は、各製袋ガイドローラ23によって略U字状にフォーミングされる。包装フィルム111は、このフォーミングされた状態でフォーマーパイプ21に巻きつけられ、フォーマーパイプ21とフォーマーリング22との間に挿入される。フォーマーリング22は包装フィルム111の両端を合掌状に重ね合わせ、包装フィルム111は、略筒状に成形される。包装フィルム111は、この状態で縦シール装置3へと導入され、重ね合わせられた部分を縦シールされる。
【0019】
この縦シールによって略筒状となった包装フィルム111は、横シール装置4に導入され、短手方向に横シールを施される。この横シールは包装袋112の底部分となり、フォーマーパイプ21内に挿入された充填ノズル61から液体原料が注入される。このとき、充填ノズル61は、充填ノズル上下機構62が液体原料の注入量に応じて充填ノズル61を上方に移動させなながら液体原料を注入する。液体原料が所定量だけ注入されると、横シール装置4が間歇運動によって包装フィルム111を下方に引く。
【0020】
この間歇運動によって包装フィルム111が原反ロール110から引き出される。横シール装置4は、復動した後、包装フィルム111が停止した状態で再度横シールを行う。これによって、包装袋112が完成し、カッター装置7に導入される。カッター装置7は、横シール部分を切断することによって、一連に繋がった包装袋112を個別に分封する。このとき、後述するように、カッター装置7は、Rカットを行い、包装袋112の角部を曲線状に加工する。
【0021】
次に、図3乃至図7を用いて、自動包装機1のカッター装置7について詳細に説明する。本発明に係るカッター装置7は、Rカットによって包装袋112の角を除去するものである。
図3に、カッター装置7の全体構成が示されている。図3(a)は正面図、図3(b)は上面図、図3(c)は側面図である。図3に示すように、カッター装置7は、Rカット機構71、ガイド機構72、引き剥がし機構73、集塵機構74を備えている。
【0022】
Rカット機構71は、略太鼓状に横シールを打ち抜く機構である。このRカット機構71は、抜き型711、押し型712、エアーシリンダ713を有する。このRカット機構71の部分構成の一例が、図4に示されている。図4(a)は抜き型711の正面図であり、図4(b)は押し型712の上面図、図4(c)は押し型712の背面図、図4(d)は押し型712の側面図である。
抜き型711は、略平板状の部材に複数の貫通孔が形成された部材である。具体的には、この貫通孔は、略太鼓状の抜き穴714とすることができる。この抜き型711は、抜き穴714が略水平に配列されるように配設されている。詳細には、抜き型711は、略太鼓状の抜き穴714の長手方向が略水平となるように配置されている。また、抜き穴714の幅は、横シール部分を幅方向にRカットするために横シール部分の幅よりも大きな幅である。
【0023】
押し型712は、抜き型711の形状に応じた形状を有し、横シールを抜き型711に押し付けて打ち抜く部材である。この押し型712は、押し型712先端が抜き型711に嵌合するような形状を有し、この先端形状は断面略太鼓状の形状を有する。押し型712は、抜き型711の配列状態に応じて複数配設されている。具体的には、複数の抜き型711は略水平に配列され、詳細には、断面略太鼓状の先端の長手が略水平となるように配列されている。
エアーシリンダ713は、押し型712を押し出したり、引き戻したりする牽引手段である。このエアーシリンダ713は、複数配設され、複数の押し型712のそれぞれに固着されている。
【0024】
ガイド機構72は、カッター装置7における包装袋112を略水平方向にガイドする機構である。このガイド機構72は、袋ガイド721、送りローラ722、モータ723を有する。このガイド機構72の部分構成の一例が、図5に示されている。図5(a)は正面図、図5(b)は上面図である。
袋ガイド721は、断面略コ字状に折り曲げられた部材である。この袋ガイド721は、Rカット機構71の上方に取付けられている。具体的には、袋ガイド721は、包装フィルム111の移送経路に沿って略鉛直に配設されている。袋ガイド721は、包装袋112ごとに複数設けられ、これら袋ガイド721は、包装袋112それぞれの側方に当接した状態で各包装袋112をRカット機構71へと送る。
【0025】
送りローラ722は、包装袋112の表面に当接するローラ部材である。送りローラ722は複数設けられ、これら送りローラ722は包装袋112ごとに当接している。また、送りローラ722は、包装袋112を強めに当接したとしても、断面略コ字状の袋ガイド721が送りローラ722による押圧を後方から支持することができる。
モータ723は、回転駆動手段である。モータ723は、その同一の回転軸724によって複数のローラ722を軸支し、複数の送りローラ722を同一方向に回転させる。
【0026】
引き剥がし機構73は、Rカット機構71の抜き型711に付着する包装袋112を抜き型711から引き剥がすための機構である。この引き剥がし機構73は、引き剥がし板731、エアーシリンダ732とを有する。この引き剥がし機構73の部分構成の一例が、図6に示されている。図6(a)は正面図、図6(b)は上面図である。
引き剥がし板731は、略板状部材であり、各抜き穴714ごとに複数設けられている。これら引き剥がし板731は、取付部材733に取付けられている。引き剥がし板731は、抜き型711に対して後方に配設され、複数の抜き型711と押し型712との間に配設されている。
【0027】
詳細には、引き剥がし板731は、包装袋112と抜き型711と間に配置されている。より詳細には、引き剥がし板731は、抜き型711の各抜き穴714周辺に配設され、抜き型711と押し型712とによる打ち抜きの際に抜き穴714周辺と包装袋112との間に挟持される。
エアーシリンダ732は、引き剥がし板731を押し出したり、引き戻したりする牽引手段である。このエアーシリンダ732は、複数の引き剥がし板731を同時に押し引きするために、取り付け部材733に固着されている。
【0028】
集塵機構74は、Rカットによって生成された切り屑を回収する機構である。この集塵機構74は、吸収パイプ741、吸引機器742、屑取りパイプ743を有する。この集塵機構74の部分構成の一例が、図7に示されている。図7(a)は上面図、図7(b)は正面図である。
吸収パイプ741は、略円筒状のパイプである。吸収パイプ741は、抜き型711の各抜き穴714ごとに複数配設されている。具体的には、これら吸収パイプ741は、抜き型711に対して後方に配設されている。詳細には、これら吸収パイプ741は、抜き型711の背面において、各抜き穴714にあてがわれている。このとき、各吸収パイプ741は、抜き穴714周辺に当接してもよいし、抜き型711から離間してもよい。
【0029】
吸引機器742は、吸引手段である。
屑取りパイプ743は、略筒状のパイプである。屑取りパイプ743は、抜き型711の背面に配設され、複数の吸収パイプ741に連結されている。それとともに、この屑取りパイプ743は、吸引機器742に取付けられている。
【0030】
続いて、このような構成を有するカッター装置7の動作について詳細に説明する。
液体原料が封入された包装袋112は、ガイド機構72の袋ガイド721に左右からガイドされる。詳細には、袋ガイド721は、包装袋112が左右に動いた場合に包装袋112に左右方向から当接し、包装袋112が左右方向に動くことができる許容範囲を規定する。
【0031】
ガイド機構72の送りローラ722は、前方から後方に向かう方向に包装袋112の表面に当接する。この送りローラ722は、この当接した状態で回転しながら、包装袋112を下方へと送る。このとき、包装袋112は、断面略コ字状の袋ガイド721によって後方から前方に向けて支持されている。Rカット機構71に導入された包装袋112は、下方の横シールが抜き型711と押し型712との間を配置された状態で一旦停止する。
また、送りローラ722の回転速度は、包装袋112を下方に送ることができる程度の速度であればよい。例えば、送りローラ722は、包装袋112の移送速度よりも若干速い速度とすることができる。
【0032】
押し型712は、前方から後方に向かって押し出されると、固定された抜き型711に嵌め合う。すると、包装袋112の横シールが切り抜かれ、複数に繋がっていた包装袋112が個別に分離される。このとき、抜き型711、押し型712の形状が略太鼓状の形状を有するので、包装袋112の角部が曲線状に切り抜かれ、角のない包装袋112が形成される。
【0033】
包装袋112の横シール部分が略太鼓状に切り抜かれると、包装袋112は、引き剥がし機構73の引き剥がし板731が前方に押し出される。引き剥がし板731は、この押し出しによって包装袋112を前方に押し出して抜き型711から引き剥がす。
切り抜かれた横シール部分は、抜き型711を貫通した抜き穴714を通って、抜き型711背面に押し出される。このとき、集塵機構74の吸引機器742が吸引を行っている。そのため、抜き型711背面に押し出された切り屑は、吸収パイプ741、屑取りパイプ743を介して、吸引機器742に吸い込まれて収集される。
【0034】
従来のカッター装置は、横シール部分を略水平に直線状にカットしている。そのため、従来の袋ガイドは、包装フィルム111が左右にぶれたとしても、横シール部分を横断すれば個々の包装袋112に確実に分離することができる。また、従来の袋ガイドが包装袋112に近づきすぎた場合には、包装袋112が袋ガイドに接触して引っ掛かる。特に、縦型多列の自動包装機では、多数の包装袋112を高速で製造するので、この引っ掛かりによって多数の包装袋112をロスしてしまう。そのため、従来の袋ガイドは、包装袋112の幅に比べて幅を有し、包装袋112の近くには設けられない。
【0035】
これに対して、本発明におけるカッター装置7は、横シール部分を打ち抜くことによってRカットしている。そのため、Rカット機構71は、包装袋112が左右に動いた場合には、Rカットによって横シール部分を打ち抜くことができなかったり、左右対称にRカットすることができなかったりする。従って、袋ガイド731は、包装袋112の幅に近い幅を有し、包装袋112を近くでガイドして左右の位置決めを確実に規定する必要がある。
【0036】
このように、袋ガイド721は、従来の袋ガイドに比べて、包装袋112の近くに配設されている。そのため、包装袋112が袋ガイド721に接触し、引っ掛かる可能性が高まる。特に、上記のように、縦型多列で多数の包装袋112を高速で製造する自動包装機1の場合には、この引っ掛かりは大きな問題となる。そこで、送りローラ722は、この引っ掛かかりによって包装フィルム111の移動が妨げられないように、包装袋112に当接して包装フィルム111を移送方向に送っている。従って、袋ガイド721と送りローラ722の両者によって、包装フィルム111が左右にぶれるのを確実に防止するとともに、包装袋112が引っ掛かるのを確実に防止することが可能となる。
【0037】
以上のように、本発明に係る自動包装機1においては、カッター装置7のガイド機構72によって包装袋112の位置決めを行うことができる。詳細には、ガイド機構72の袋ガイド721が左右方向から包装袋112に当接するので、包装袋112の左右方向の位置を確実に規定することができる。それとともに、ガイド機構72の送りローラ722が包装袋112を移送方向に送りながら包装袋112表面に当接するので、包装袋112の上下方向の弛みを吸収することができる。これによって、包装袋の位置決め精度を向上させることができ、横シールの正しい位置にRカットを施すことができる。従って、液体原料が充填したスティック状の包装袋112を円滑に製造することができる。
【0038】
さらに、ガイド機構72の送りローラ722によって包装袋112の上下方向の弛みを吸収することができる。それ故、Rカット機構71がRカット形状に打ち抜く際に発生するバリが発生したとしても、上下の位置誤差を低減するとともに、引っ掛かる包装フィルム111を強制的に送ることが可能となる。従って、抜き型711に引っ掛かる事故を防止し、個別の包装袋112の仕上がりを良好に保つことができる。
【0039】
さらにまた、ガイド機構72の送りローラ722は、連続した包装袋112の搬送速度より早い回転数で回転して包装袋112を下方に引っ張っている。これによって、包装袋112の弛み吸収力を高めることができ、それとともに、包装袋112が抜き型711に付着した場合であっても引き剥がすことができる。
【0040】
なお、袋ガイド721は、断面略コ字状の形状を有するが、これに限らず、包装袋112を左右からガイドすればよい。例えば、袋ガイド721の形状としては、上記のように断面略コ字状に限らず、例えば、送りローラ722との当接面のみを開口し、包装袋112を囲繞する略筒状の形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の一構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…縦型多列自動充填包装機、2…フォーミング装置、3…縦シール装置、
4…横シール装置、5…原料供給装置、6…充填装置、7…カッター装置、
8…操作パネルボックス、9…スリッター装置
71…Rカット機構、711…抜き型、712…押し型、713…エアーシリンダ、
72…ガイド機構、721…袋ガイド、722…送りローラ、723…モータ、
73…引き剥がし機構、731…引き剥がし板、732…エアーシリンダ、
74…集塵機構、741…吸収パイプ、742…吸引機器、743…屑取りパイプ
110…原反ロール、111…包装フィルム、112…包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広いシートフィルムを複数枚の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
当該複数の各包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シール装置及び横シール装置と、
当該シール成形された各包装フィルムに液体原料を充填する充填装置と、
当該液体原料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置とを備えた縦型多列自動充填包装機であって、
当該カッター装置は、型抜きによって前記横シール部分をRカットするRカット機構と、
前記包装袋に当接し、前記Rカット機構に前記包装袋を案内するガイド機構とを有する縦型多列自動充填包装機。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記包装袋に左右から当接し、前記包装袋の左右方向の位置を規定する袋ガイドと、
前記包装袋に当接し、前記包装袋を送る送りローラとを有することを特徴とする請求項1記載の縦型多列自動充填包装機。
【請求項3】
前記袋ガイドは、断面略コ字状の形状を有し、前記包装袋の左右方向の位置を規定するとともに、前記送りローラに対向する方向から前記包装袋を支持することを特徴とする請求項2記載の縦型多列自動充填包装機。
【請求項4】
前記送りローラは、前記包装袋を上方から下方に向けて引っ張るように、前記包装袋の移送速度よりも速い回転数で回転することを特徴とする請求項2記載の縦型多列自動充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−27684(P2006−27684A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210695(P2004−210695)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】