説明

縦型常温収縮チューブ装着装置、電力ケーブルの終端接続部および縦型常温収縮チューブ装着方法

【課題】電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に装着することができる縦型常温収縮チューブ装着装置、電力ケーブルの終端接続部および縦型常温収縮チューブ装着方法を提供する。
【解決手段】縦型常温収縮チューブ装着装置50は、拡径保持部材49を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブ30を縮径させ、常温収縮チューブ30をケーブルの導体部同士を接続する接続部に装着して絶縁被覆し、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、保持部16と、保持部16に連結されるスタッドボルト52と、スタッドボルト52に連結されチューブ30の下端部を保持して常温収縮チューブ内から拡径保持部材49を縦方向に引き抜く際に常温収縮チューブの縦方向の位置を固定するストッパ部材51を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立坑内において縦型に配置された電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを常温環境下で収縮させて装着したり、あるいは電力ケーブル終端接続部のケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを常温環境下で収縮させて装着するための縦型常温収縮チューブ組立装置、電力ケーブルの終端接続部および縦型常温収縮チューブ組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルの接続部の絶縁処理の例としては、絶縁筒の内部に入れ子を挿入しておき、この入れ子を絶縁筒から半分引き抜いて絶縁筒の一方端を拡径して、絶縁筒をケーブル絶縁体に挿入する。そして、絶縁筒は半導電性のスリーブカバー上にスライドさせて、入れ子を引き抜き、絶縁筒を収縮させてスリーブカバー上に絶縁筒を装着する形式のものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、電力ケーブルの接続端末の絶縁処理の例としては、ケーブル端末の導体には端子を取り付けており、シースの外周にはシーリング材を巻き、端子の基部からシーリング材にかけて外周に筒状の常温収縮型の端末部材を被せる。この常温収縮型の端末部材は、拡径保持部材によって拡径状態に保持され、この拡径保持部材が除去されることにより常温収縮型の端末部材が拡径前の内径まで縮径させることで装着する(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平6−141453号公報
【特許文献2】特開2000−299919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力ケーブルの接続部が立坑部内に配置される場合や、電力ケーブル終端接続部を使用する場合がある。いずれの場合にも電力ケーブルの接続部は縦方向に配置される。
ところが、特許文献1と特許文献2に開示された技術を、上述したように電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に適用しようとしても、縦型の電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを現場施工で正確な位置に装着することが難しい。すなわち、縦型の電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを装着する場合には、架台の直下で1人の作業者が常温収縮チューブ内に配置されたスパイラルコア状の拡径保持部材を下方向に引き抜く必要がある。
【0005】
しかし、常温収縮チューブが拡径保持部材とともに下がってしまうのを防ぐために、さらに別の1人または2人の作業者が狭い空間内で、常温収縮チューブを抱きかかえることで、常温収縮チューブが電力ケーブルに対して下方向に位置ずれしないよう常温収縮チューブを確実に保持しなければならない。
【0006】
電力ケーブルの接続部に対する常温収縮チューブの装着位置は重要であるので、拡径保持部材を下方向に引き抜く力に抗して常温収縮チューブの装着位置を確実に保持していなければならない。このため、縦型の電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを現場施工で装着することが実際には困難な作業になる。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解消するために、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に装着することができる縦型常温収縮チューブ装着装置、電力ケーブルの終端接続部および縦型常温収縮チューブ装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解消するために、本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、前記常温収縮チューブをケーブルの導体部同士を接続している接続部に装着して絶縁被覆する縦型常温収縮チューブ装着装置であって、
基部と、
前記基部に対して連結される連結部材と、
前記連結部材に連結され、前記常温収縮チューブの下端部を保持して前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に前記常温収縮チューブの前記縦方向の位置を固定するためのストッパ部材と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、好ましくは一方の前記導体部は電力ケーブルであり、他方の前記導体部の周囲は弾性体からなるひだを有するひだ付部により覆われ、
前記基部は前記ひだ付部と他方の前記導体部を保持している接続部フランジであることを特徴とする。
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、好ましくは一方の前記導体部は電力ケーブルであり、他方の前記導体部の周囲は弾性体からなるひだを有するひだ付部により覆われ、
前記ひだ付部と前記第2導体部を保持している接続部フランジと、
前記接続部フランジを碍子を介して保持している保持部と、を有しており、
前記基部は、前記保持部であることを特徴とする。
【0010】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、好ましくは前記ストッパ部材は、板状の部材であり、
前記常温収縮チューブの下端部をはめ込んで保持する受け部と、
一方の前記導体部を通し、しかも前記拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に前記拡径保持部材を通すための開口部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、好ましくは前記連結部材は、
一端部側に形成された第1雄ねじと他端部側に形成された第2雄ねじを有する複数本のボルトと、
前記ボルトの前記第1雄ねじを前記ストッパ側に固定するために前記第1雄ねじにねじ込まれるナットと、前記ボルトの前記第2雄ねじを前記基部側に固定するために前記第2雄ねじにねじ込まれるナットと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、好ましくは前記受け部は、前記常温収縮チューブの下端部をはめ込んで保持するために下方向に先細りの傾斜面を有することを特徴とする。
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置は、好ましくは前記ケーブルの導体部の前記接続部は、立坑内に配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明の電力ケーブルの終端接続部は、好ましくは拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、前記常温収縮チューブをケーブルの導体部同士を接続している接続部に装着して絶縁被覆するための縦型常温収縮チューブ装着装置を備える電力ケーブルの終端接続部であって、
前記縦型常温収縮チューブ装着装置は、
基部と、
前記基部に対して連結される連結部材と、
前記連結部材に連結され、前記常温収縮チューブの下端部を保持して前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に前記常温収縮チューブの前記縦方向の位置を固定するためのストッパ部材と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着方法は、拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、前記常温収縮チューブをケーブルの導体部同士を接続している接続部に装着して絶縁被覆する縦型常温収縮チューブ装着方法であって、
基部に対して連結部材を用いてストッパ部材を取り付けることで、前記常温収縮チューブの下端部を前記ストッパ部材により保持し、
前記常温収縮チューブの前記縦方向の位置を前記ストッパ部材により固定した状態で、前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜くことを特徴とする。
本発明の縦型常温収縮チューブ装着方法は、好ましくは前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜いた後に、前記ストッパ部材は、前記基部から前記連結部材を取り外すことで取りはずされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置によれば、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に装着することができる。
【0016】
本発明の電力ケーブルの終端接続部によれば、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に装着することができる。
【0017】
本発明の縦型常温収縮チューブ装着方法によれば、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置の好ましい第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置により、縦型の常温収縮チューブが電力ケーブルの終端接続部に装着された例を示す軸方向の断面図である。
【0019】
図1に示す電力ケーブルの終端接続部の電力ケーブルの接続部1は、金属製の棒状の導体線2と電力ケーブル3の導体部4を、金属導体の接続部材(スリーブともいう)5を用いて電気的に機械的に接続している構造を有する。
【0020】
導体線2は、電気絶縁性を有するゴム性のひだ付部(碍管とも言う)6の中を通っており、導体線2の先端部2Bはひだ付部6の先端から突出している。ひだ付部6の外周面には、電気絶縁距離を伸ばすために電気絶縁用の大小のひだ7,8,9が突出して相互に間隔をおいて形成されている。電気絶縁部10が導体線2の周囲とひだ付部6の間に配置されており、電気絶縁部10は例えばエポキシ樹脂で作られている。
【0021】
図1に示すように、ひだ付部6の下端部と電気絶縁部10の下端部は、金属製の接続部フランジ11の上面12側に対して接続して固定されており、金属製の導体線2の軸方向CLは上下方向Lに平行に配置されている。導体線2の下端部2Cと電気絶縁部10の小径部分10Cは、接続部フランジ11の開口部11Bを通っており、導体線2の下端部2Cと電気絶縁部10の小径部分10Cは、接続部フランジ11から下方向Z1に向けて突出して配置されている。
【0022】
図1に示すように、接続部フランジ11は、複数の碍子19を介して架台14の保持部16に対して間隔をおいて保持されている。接続部フランジ11の下面13と架台14の保持部16の上面15の間には、複数の碍子19がボルトとナットを用いて固定されている。この架台14は、水平方向に形成された保持部16と、保持部16から斜め下方向に形成された脚部17を有しており、架台14の保持部16は接続部フランジ11に対して平行である。脚部17の下端部は接地部18に固定されている。
【0023】
図1に示すように、電力ケーブルの接続部1の周囲には、常温収縮チューブ30が配置されている。すなわち、常温収縮チューブ30は、導体線2の端部と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5の周囲を覆うようにして覆っている。さらに、この常温収縮チューブ30の周囲は、銅管20により包囲されている。電力ケーブルの接続部1と常温収縮チューブ30と銅管20の組立体は、保持部16の中央の開口部21を通って下方向Z1に向けて突出して配置されている。
【0024】
常温収縮チューブ30は、ゴムユニット絶縁体部31と、内部電極32と、ストレスリリースコーン33,34等を有している。内部電極32は、常温収縮チューブ30の内部であって軸方向に関して中央の位置に配置されている。常温収縮チューブ30は、弾性材である例えばゴムなどより作られていて常温で収縮できる電気絶縁体である。
【0025】
内部電極32は、導体線2と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5に対応した位置にあり、導体線2と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5の周囲を覆っている。内部電極32は、半導電性を有する弾性体、例えば半導電性ゴムにより作られている。常温収縮チューブ30の周囲は、銅管20により覆われている。
【0026】
ストレスリリースコーン33,34は、ゴムユニット絶縁体部31の一端部の内側と他端部の内側にそれぞれ配置されている。ストレスリリースコーン33は電力ケーブル3の端部の外周面とゴムユニット絶縁体部31の下端部の間に配置され、もう1つのストレスリリースコーン34は電気絶縁部10の小径部分10Cの外周面と常温収縮チューブ31の上端部の間に配置されている。
【0027】
次に、上述した電力ケーブルの接続部1に対して縦型の常温収縮チューブを装着するための縦型常温収縮チューブ装着装置50について、図2〜図5を参照して、詳しく説明する。
【0028】
図2は、架台14に対して縦型常温収縮チューブ装着装置50が着脱可能に設けられている例を示している。図3は、図2に示す縦型常温収縮チューブ装着装置50の構造を拡大して示している。図4は、図3に示す常温収縮チューブ30から拡径保持部材49の上端部が引き抜かれ始めて、常温収縮チューブ49の上端部が収縮している様子を示す図である。
【0029】
図2と図3では、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、常温収縮チューブ30を保持しており、常温収縮チューブ30の内径寸法が拡径保持部材49により拡径して保持されている状態である。しかし、図4では、拡径保持部材49の上端部が、ひも状体100を下方向Z1に引くことにより、引き抜かれ始めている。
【0030】
図5は、図3と図4に示す常温収縮チューブ30の内側から拡径保持部材49が下方向Z1に完全に取り除かれて、常温収縮チューブ30が常温状態で縮径した状態を示している。拡径保持部材49は、例えば帯状の部材をスパイラル状に巻いたスパイラルコアである。拡径保持部材49の上端部にはひも状体100の一端部が接続されており、このひも状体100の他端部を下方向Z1に沿って引っ張ることで、常温収縮チューブ30の上端部側が収縮して導体線2の外周囲に密着される。
【0031】
図2と図3に示すように、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、常温収縮チューブ30を中心軸CL方向に関して保持している。常温収縮チューブ31が拡径保持部材49により拡径して保持されており、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、常温収縮チューブ31内からひも状体100を下方向Z1に沿って引っ張ることで、常温収縮チューブ30内から拡径保持部材49を取り除く作業を行う際に、保持部16に対して着脱可能に装着できる構造を有している。
【0032】
図3に示すように、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、好ましくは板状のストッパ部材51と、複数本のスタッドボルト52と、複数のナット53と、複数のナット54を有している。電力ケーブルの終端接続部のストッパ部材51(基部に相当)は、複数の穴55と、受け部56と、中央の開口部57を有している。スタッドボルト52は穴55に通している。
【0033】
図3に示すように、受け部56は、ストッパ部材51の上面51Bの中央において開口部57に対応して設けられており、受け部56の穴59は、開口部57に対応している。穴59と開口部57には、電力ケーブル3が通っているとともに、常温収縮チューブ30の下端部30Fと拡径保持部材49の下端部49Bが位置されている。
【0034】
図3に示すように、受け部56は上方向Z2に向けて広がっている傾斜部分56Mを有している。言い換えれば、この傾斜部分56Mは下方向Z1に向かって先細りに形成されている。この傾斜部分56Mは、常温収縮チューブ30の下端部30Fのテーパ部分30Hを、下方向Z1と中心軸CLに対して直交する方向にずれないように確実に支持できる。受け部56はストッパ部材51の上面51Bに対して例えば溶接により固定されている。
【0035】
各スタッドボルト52は、ストッパ部材51を、基部としての保持部16に対して着脱可能に連結するための連結部材である。各スタッドボルト52は、第1雄ねじ60と第2雄ねじ61とナット53,54を有している。第1雄ねじ60はスタッドボルト52の一端部側に形成され、ナット54が取りつけられる。第2雄ねじ61はスタッドボルト52の他端部に形成され、ナット54が取りつけられる。
保持部16とストッパ部材51とは、平行に配置されており、保持部16にはスタッドボルト52の第2雄ねじ61を通すための複数の穴62が形成されている。
【0036】
次に、図3と図4を参照して、縦型常温収縮チューブ装着装置50の組立方法を説明した後、図3〜図5を参照して、縦型常温収縮チューブ装着方法を説明する。
図3に示すように、まず作業者が縦型常温収縮チューブ装着装置50を組み立てる際には、図3に示すように、作業者は各スタッドボルト52の第2雄ねじ61を保持部16の穴62に通して、この第2雄ねじ61にナット54を取りつけることで、各スタッドボルト52は、下方向Z1に向けて保持部16から吊り下げることができる。
【0037】
図3に示すように、作業者が、常温収縮チューブ30を、予め電力ケーブル3に対して通すことで、導体線2と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5に対応して常温収縮チューブ30を配置する。
【0038】
作業者は、各スタッドボルト52の第1雄ねじ60をストッパ部材51の穴55に通して、第1雄ねじ60にナット53を取りつけることで、ストッパ部材51は、各スタッドボルト52のナット53により保持される。このストッパ部材51は、各ナット53を回して下方向Z1あるいは上方向Z2に沿って位置を調整することができ、ストッパ部材51は、保持部16に対して平行になるように保持できる。
【0039】
図3に示すように、常温収縮チューブ30の常温収縮チューブ31の下端部30Fを、このストッパ部材51の受け部56の傾斜部分56Mに載せる。これにより、常温収縮チューブ30は、電力ケーブル3と導体線2に対して軸方向CLを中心として同軸状に、下方向Z1に下がらないように、導体線2と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5に対応して正確な位置に精度良く位置決めすることができる。
【0040】
ところで、常温収縮チューブ30を電力ケーブル3と導体線2の接続部分に対して常温で収縮させる場合には、電力ケーブル3と導体線2の接続部分に対するゴムユニット絶縁体部31の軸方向CL方向に沿った相対的な位置が重要である。すなわち、この常温収縮チューブ30と、電力ケーブル3と導体線2との間の導体の接続部材5とは、軸方向CLに関する上下の位置関係が重要である。電力ケーブル3と導体線2の接続部分を確実に電気絶縁して保護するために、電力ケーブル3と導体線2の接続部分には常温収縮チューブを正確な位置に密着して装着する必要がある。
【0041】
図1に示すように、内部電極32は、電力ケーブル3と導体線2の接続部分を確実に覆うことができるようにする必要がある。しかも、図1に示すように、電力ケーブル3の外部半導電層3Hの先端部がストレスリリースコーン33の軸方向CLの範囲内に、位置される必要がある。このように外部半導電層3Hの先端部がストレスリリースコーン33の範囲内に位置されないと、電界力線が大きく曲がってしまい,極度な電界集中部分にて絶縁破壊してしまう。
【0042】
そこで、例えば図3に示す例では、電力ケーブル3に対して予め位置決め用のマーキングMが形成されている。このマーキングMは、例えば電力ケーブル3の被覆に対して着色テープを予め貼っておくか、あるいは塗料で予め描くことで形成されている。
【0043】
このマーキングMが示す軸方向CL方向に関する位置は、図3の例では、ストッパ部材51の上面51Bに合わせてある。このように、マーキングMが示すストッパ部材51の上面51Bに合わせてあることで、常温収縮チューブ30のストレスリリースコーン33,34と内部電極32と、電力ケーブル3と導体部2の接続部分と、の位置関係を正確に定めることができる。このように、常温収縮チューブ30と導体の接続部材5の位置関係を正確に定めることにより、内部電極32は、導体の接続部材5とその周囲を確実に覆うことができる。
【0044】
次に、図3〜図5を参照して、縦型常温収縮チューブ装着方法を説明する。
図5は、常温収縮チューブ30内から拡径保持部材49が除去されて常温収縮チューブ31が常温で収縮された状態を示している。
【0045】
図3に示すように、常温収縮チューブ30がストッパ部材51の受け部56に保持されることで、常温収縮チューブ30が軸方向CLに関して正確な位置に精度良く設定される。その後、図4に示すように、1人の作業者が、拡径保持部材49のひも状体100の下端部を持って下方向Z1に向けて引くことで、スパイラルコア状の拡径保持部材49は、上端部側から下端部側へ順番に常温収縮チューブ30内から引き抜くことができる。拡径保持部材49が常温収縮チューブ30内から完全に引き抜かれた後、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、保持部16から外す。
【0046】
これにより、図4から図5に示すように、拡径保持部材49は常温収縮チューブ30内から完全に取り除かれるので、常温収縮チューブ30は常温において収縮して内径が小さくなる。従って、常温収縮チューブ30は、電力ケーブル3と導体部2と接続部分5の対応する正確な位置において電力ケーブル3と導体部2と接続部分5を精度良く覆うことができる。
【0047】
このように、常温収縮チューブ30が軸方向CLに沿って縦型に配置されていても、常温収縮チューブ30がストッパ部材51の受け部56により、軸方向CLに沿って確実に位置決めして保持できる。このため、作業者が拡径保持部材49を常温収縮チューブ30内から下方向Z1に向けて引っ張って取り除く作業をスムーズに確実に行うことができる。すなわち、従来とは異なり、1人の作業者が常温収縮チューブ30の位置を軸方向CLに関して手でもって保持する必要が全くなくなるので複数人の作業者は必要なく、拡径保持部材49を常温収縮チューブ30内から取り除く作業は、1人の作業者だけで簡単にしかも正確に行うことができる。
【0048】
上述した拡径保持部材49の除去作業が終了したら、作業者は各スタッドボルト52の第1雄ねじ60からナット53を外すと共に、各スタッドボルト52の第2雄ねじ61からナット54を外すことにより、各スタッドボルト52とストッパ部材51は、分解して保持部16から簡単に取り外すことができる。
【0049】
このように、図2〜図5に示す本発明の第1実施形態では、各スタッドボルト52の第2雄ねじ61が、ナット54を用いて架台14の保持部16に対して取り付けられており、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、基部である保持部16から吊り下げた状態で軸方向CL方向に沿って保持されている。このため、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、1人の作業者がこの電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置で精度良く装着することができる。
【0050】
また、図3に示すナット53を回して調整することにより、ストッパ部材51の軸方向CLに関する位置調整が簡単にできるので、電力ケーブル3と導体線2の接続部分に対して、予め常温収縮チューブ30の位置決め作業を簡単に正確に行うことができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、図6〜図8を参照して、本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置の好ましい第2実施形態を説明する。
図6に示す第2実施形態では、図2に示す第1実施形態とは異なり、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dが架台14の保持部16ではなく、金属製の接続部フランジ11に対して着脱可能に設けられている例を示している。図7は、図6に示す縦型常温収縮チューブ装着装置50Dの構造を拡大して示しており、常温収縮チューブ30の下端部30Fと拡径保持部材49の下端部49Bが、このストッパ部材51の受け部56の傾斜部分56Mに設定されている。図8は、常温収縮チューブ30内から拡径保持部材49が除去されて常温収縮チューブ30が常温で収縮された状態を示している。
【0052】
なお、図6〜図8に示す本発明の第2実施形態の要素が、図2〜図4に示す本発明の第1実施形態の対応する要素と同じである場合には、同じ符号を付けているが、構造が異なる要素には対応する符号にDを付加している。
既に説明したように、図2〜図5に示す本発明の第1実施形態では、各スタッドボルト52の第2雄ねじ61が、ナット54を用いて架台14の保持部16に対して着脱可能に取り付けられており、縦型常温収縮チューブ装着装置50は、保持部16から吊り下げた状態で軸方向CL方向に沿って保持されている。
【0053】
これに対して、本発明の第2実施形態では、図7に示すように、各スタッドボルト52Dの第2雄ねじ61Dが、接続部フランジ11の下面側に形成されている雌ねじ11Pに対して直接ねじ込むことで取り付けられている。これにより、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは、接続部フランジ11から吊り下げた状態で軸方向CL方向に沿って着脱可能に保持されている。
【0054】
図6と図7に示すように、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは、常温収縮チューブ30を保持している。常温収縮チューブ30が拡径保持部材49により拡径して保持している。縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは、常温収縮チューブ31内からひも状体100を下方向Z1に沿って引っ張ることで、拡径保持部材49を取り除く作業を行う際に、接続部フランジ11に対して着脱可能に装着できる構造を有している。
【0055】
図7に示すように、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは、板状のストッパ部材51と、複数本のスタッドボルト52Dと、複数のナット53を有している。ストッパ部材51は、複数の穴55と、受け部56と、中央の開口部57を有している。スタッドボルト52は穴55に通している。
【0056】
図7に示すように、受け部56は、ストッパ部材51の上面51Bの中央において開口部57に対応して設けられており、受け部56の穴59は、開口部57に対応している。穴59と開口部57には、電力ケーブル3が通っているとともに、常温収縮チューブ30の下端部30Dと拡径保持部材49の下端部49Bが位置されている。
【0057】
図7に示すように、受け部56は上方向Z2に向けて広がっている傾斜部分56Mを有しており、言い換えればこの傾斜部分56Mは下方向Z1に向かって先細りに形成されている。この傾斜部分56Mは、常温収縮チューブ30の下端部30Fのテーパ部分30Hを支持している。
【0058】
各スタッドボルト52Dは、ストッパ部材51を、基部としての接続部フランジ11に対して着脱可能に連結するための連結部材である。各スタッドボルト52は、第1雄ねじ60と第2雄ねじ61Dとナット53を有している。第1雄ねじ60はスタッドボルト52Dの一端部側に形成され、ナット54が取りつけられる。第2雄ねじ61Dはスタッドボルト52Dの他端部に形成されている。
接続部フランジ11とストッパ部材51とは、平行に配置されており、接続部フランジ11の下面側には複数の雌ねじ11Pが形成されている。スタッドボルト52Dの第2雄ねじ61Dは雌ねじ11Pに直接ねじ込まれることで接続部フランジ11に対して固定される。
【0059】
次に、図7を参照して、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dの組立方法を説明した後、図7と図8を参照して、縦型常温収縮チューブ装着方法を説明する。
図7に示すように、まず作業者が縦型常温収縮チューブ装着装置50Dを組み立てる際には、作業者は各スタッドボルト52Dの第2雄ねじ61Dを雌ねじ11Pにねじ込むことで接続部フランジ11に対して固定する。これにより、各スタッドボルト52Dは、下方向Z1に向けて接続部フランジ11から吊り下げることができる。
【0060】
図7に示すように、作業者が、常温収縮チューブ30を、予め電力ケーブル3に対して上方向Z2に向けて通すことで、導体線2と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5に対応して配置される。
【0061】
作業者は各スタッドボルト52Dの第1雄ねじ60をストッパ部材51の穴55に通して、第1雄ねじ60にナット53を取りつけることで、ストッパ部材51は、各スタッドボルト52Dのナット53により保持される。このストッパ部材51は、各ナット53を回して下方向Z1あるいは上方向Z2に沿って位置を調整することができ、ストッパ部材51は、接続部フランジ11に対して平行になるように保持できる。
【0062】
図7に示すように、常温収縮チューブ30の下端部31Fと拡径保持部材49の下端部49Bを、このストッパ部材51の受け部56の傾斜部分56Mに載せる。これにより、常温収縮チューブ30は、電力ケーブル3と導体線2に対して軸方向CLを中心として同軸状に、下方向Z1に下がらないように、導体線2と電力ケーブル3の導体部4と接続部材5に対応して正確な位置に精度良く位置決めすることができる。
【0063】
ところで、常温収縮チューブ30を電力ケーブル3と導体線2の接続部分に対して常温で収縮させる場合には、電力ケーブル3と導体線2の接続部分に対する常温収縮チューブ31の軸方向CL方向に沿った相対的な位置が重要である。すなわち、この常温収縮チューブ30と、電力ケーブル3と導体線2との間の導体の接続部材5とは、軸方向CLに関する上下の位置関係が重要である。電力ケーブル3と導体線2の接続部分を確実に電気絶縁して保護するために、電力ケーブル3と導体線2の接続部分には常温収縮チューブを正確な位置に密着して装着する必要がある。
【0064】
そこで、例えば図7に示す例では、電力ケーブル3に対して予め位置決め用のマーキングMが形成されている。
このマーキングMが示す軸方向CL方向に関する位置は、図7の例では、ストッパ部材51の上面51Bに合わせてある。このように、マーキングMが示すストッパ部材51の上面51Bに合わせてあることで、常温収縮チューブ30のストレスリリースコーン33,34と内部電極32と、電力ケーブル3と導体部2の接続部分と、の位置関係を正確に定めることができる。このように、常温収縮チューブ30と導体の接続部材5の位置関係を正確に定めることにより、内部電極32は、導体の接続部材5とその周囲を確実に覆うことができる。
【0065】
次に、図7と図8を参照して、縦型常温収縮チューブ装着方法を説明する。
図7は、常温収縮チューブ30内から拡径保持部材49が除去されて常温収縮チューブ31が常温で収縮された状態を示している。
【0066】
図7に示すように、常温収縮チューブ30がストッパ部材51の受け部56に保持されることで、常温収縮チューブ30が軸方向CLに関して正確な位置に設定されると、その後、1人の作業者が、拡径保持部材49のひも状体100の下端部を持って下方向Z1に向けて引くことで、スパイラルコア状の拡径保持部材49は、上端部側から下端部側へ順番に常温収縮チューブ30内から引き抜くことができる。拡径保持部材49が常温収縮チューブ30内から完全に引き抜かれた後、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは、接
【0067】
続部フランジ11から外す。
これにより、図4に示すように、拡径保持部材49は常温収縮チューブ30内から取り除かれるので、常温収縮チューブ30は常温において収縮して内径が小さくなる。従って、常温収縮チューブ30は、電力ケーブル3と導体部2と接続部分5の対応する正確な位置において電力ケーブル3と導体部2と接続部分5を精度良く覆うことができる。
【0068】
このように、常温収縮チューブ30が軸方向CLに沿って縦型に配置されていても、常温収縮チューブ30がストッパ部材51の受け部56により、軸方向CLに沿って確実に位置決めして保持できる。このため、作業者が拡径保持部材49を常温収縮チューブ30内から下方向Z1に向けて引っ張って取り除く作業をスムーズに確実に行うことができる。このため、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、1人の作業者がこの電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置で精度良く装着することができる。
【0069】
また、図7に示すナット53を回して調整することにより、ストッパ部材51の軸方向CLに関する位置調整が簡単にできるので、電力ケーブル3と導体線2の接続部分に対して、予め常温収縮チューブの位置決め作業を簡単に正確に行うことができる。
【0070】
上述した拡径保持部材49の除去作業が終了したら、作業者は各スタッドボルト52の第1雄ねじ60からナット53を外すと共に、各スタッドボルト52の第2雄ねじ61を接続部フランジ11の雌ねじ11Pから取り外すことで、縦型常温収縮チューブ装着装置50Dは簡単に取り外すことができる。
【0071】
本発明の実施形態では、常温収縮チューブと拡径保持部材を有する常温収縮チューブが下から電力ケーブルの所定位置まで挿入された後に、常温収縮チューブの常温収縮チューブの端部がスパイラルコアのような拡径保持部材を引き抜く際に下方に動かないように、常温収縮チューブの常温収縮チューブの端部をストッパ部材で保持する。
【0072】
このストッパ部材による常温収縮チューブの端部の常温収縮チューブの縦方向の位置調整は、スタッドボルトのナットを回すことにより設定することができる。その後、常温収縮チューブから拡径保持部材を引き抜けば常温収縮チューブはケーブルの接続部に対して正確な位置に密着して装着することができる。常温収縮チューブから拡径保持部材を引き抜く時には、1人の作業者は常温収縮チューブが左右につぶれないように手で支えるのみで、ストッパ部材は常温収縮チューブが下方向に下がるのを防止でき、常温収縮チューブが下方向へ移動することはない。このため1人の作業者がこの電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置で装着することができる。しかも、作業者は1人ですみ、例えば電力ケーブルの終端接続部の下の立坑内の狭い空間の中で常温収縮チューブを縦方向に移動しないように支える必要がなく、作業者の作業負担の軽減が図れる。
あるいは、狭い空間の立坑内に電力ケーブルの接続部が配置される場合であっても、立坑内の中で常温収縮チューブを縦方向に移動しないように支える必要がなく、作業者の作業負担の軽減が図れる。
【0073】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置は、拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、常温収縮チューブをケーブルの第1導体部と第2導体部を接続している接続部に装着して絶縁被覆する縦型常温収縮チューブ装着装置である。この縦型常温収縮チューブ装着装置は、基部と、基部に対して連結される連結部材と、連結部材に連結され、常温収縮チューブの下端部を保持して常温収縮チューブ内から拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に常温収縮チューブの前記縦方向の位置を固定するためのストッパ部材と、を備える。これにより、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に精度良く装着することができる。
【0074】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置では、第1導体部(一方の導体部)は電力ケーブルであり、第2導体部(他方の導体部)の周囲は弾性体からなるひだを有するひだ付部により覆われ、基部はひだ付部と第2導体部を保持している接続部フランジである。これにより、縦型常温収縮チューブ装着装置は、他方の導体部にひだ付部を有する形式のものであっても、接続部フランジを用いて常温収縮チューブを保持して電力ケーブルの接続部に対して正確な位置に精度良く装着することができる。
【0075】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置では、第1導体部(一方の導体部)は電力ケーブルであり、第2導体部(他方の導体部)の周囲は弾性体からなるひだを有するひだ付部により覆われ、ひだ付部と第2導体部を保持している接続部フランジと、接続部フランジを碍子を介して保持している保持部と、を有しており、この基部は保持部である。これにより、縦型常温収縮チューブ装着装置は、他方の導体部にひだ付部を有する形式のものであっても、保持部を用いて常温収縮チューブを保持して電力ケーブルの接続部に対して正確な位置に精度良く装着することができる。
【0076】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置では、ストッパ部材は、板状の部材であり、常温収縮チューブの下端部をはめ込んで保持する受け部と、第1導体部を通し、しかも拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に拡径保持部材を通すための開口部と、を有する。これにより、受け部が常温収縮チューブの下端部を軸方向と下方向に関して確実に保持することができ、常温収縮チューブから拡径保持部材を縦方向に確実に引き抜くことができる。
【0077】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置では、連結部材は、一端部側に形成された第1雄ねじと他端部側に形成された第2雄ねじを有する複数本のボルトと、ボルトの第1雄ねじをストッパ側に固定するために第1雄ねじにねじ込まれるナットと、ボルトの第2雄ねじを基部側に固定するために第2雄ねじにねじ込まれるナットと、を有する。これにより、第2雄ねじにねじ込まれるナットを回すことで、常温収縮チューブは電力ケーブルの接続部に対して正確に位置調整できる。しかも、第1雄ねじと第2雄ねじにナットをねじ込むだけで、縦型常温収縮チューブ装着装置を用いて常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができる。
【0078】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着装置は、受け部は、常温収縮チューブの下端部をはめ込んで保持するために下方向に先細りの傾斜面を有する。これにより、受け部は、常温収縮チューブの下端部を確実に保持できるので、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができる。
【0079】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着方法によれば、拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、常温収縮チューブをケーブルの第1導体部と第2導体部を接続している接続部に装着して絶縁被覆する縦型常温収縮チューブ装着方法であって、
基部に対して連結部材を用いてストッパ部材を取り付けることで、常温収縮チューブの下端部をストッパ部材により保持し、
常温収縮チューブの縦方向の位置をストッパ部材により固定した状態で、常温収縮チューブ内から拡径保持部材を縦方向に引き抜く。これにより、電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜くことができ、この電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを簡単に確実に正確な位置に精度良く装着することができる。
【0080】
本発明の実施形態の縦型常温収縮チューブ装着方法によれば、常温収縮チューブ内から拡径保持部材を縦方向に引き抜いた後に、ストッパ部材は、基部から連結部材を取り外すことで取りはずされる。これにより、常温収縮チューブから拡径保持部材を確実に引き抜いたあとで、ストッパ部材と連結部材は簡単に取り除くことができる。
【0081】
図示した縦型常温収縮チューブ装着装置の各実施形態では、電力ケーブルの終端接続部の架台または接続部フランジを基部として、この基部に対してストッパ部材をつり下げる構造を採用している。しかし、このような構造に限らず、例えば立坑部内において電力ケーブルの接続部が縦方向に配置されている場合に、縦型の電力ケーブルの接続部に対して常温収縮チューブを現場施工で装着する場合にも、本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置と縦型常温収縮チューブ装着方法が適用できる。
【0082】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
例えば、ナット53はストッパ部材51に対して予め形成しておくことで、ナットを別部材として用意する必要がなくなり、縦型常温収縮チューブ装着装置の部品点数を減らすことができる。受け部56は、ストッパ部材51と別部材で形成して両者を溶接や接着で固定しても良いし、受け部56とストッパ部材56を予め一体形成するようにしても良い。
ストッパ部材51は板状の部材でなくても、他の形状を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の縦型常温収縮チューブ装着装置により、縦型の常温収縮チューブが装着された状態を示す電力ケーブルの終端接続部の例を示す軸方向の断面図である。
【図2】第1実施形態における架台に対して縦型常温収縮チューブ装着装置が着脱可能に設けられている例を示す図である。
【図3】図2に示す縦型常温収縮チューブ装着装置の構造を拡大して示しており、常温収縮チューブを保持し、常温収縮チューブは拡径保持部材により拡径して保持されている状態を示す図である。
【図4】図3に示す常温収縮チューブから拡径保持部材が引き抜かれ始めている様子を示す図である。
【図5】図3に示す常温収縮チューブの内側から拡径保持部材が取り除かれて常温収縮チューブが常温状態で収縮された状態を示す図である。
【図6】本発明の好ましい第2実施形態を示しており、金属製の接続部フランジに対して縦型常温収縮チューブ装着装置が着脱可能に設けられている例を示す図である。
【図7】図6に示す縦型常温収縮チューブ装着装置の構造を拡大して示す図である。
【図8】常温収縮チューブ内から拡径保持部材が除去されて常温収縮チューブが常温で収縮された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 電力ケーブルの接続部
2 棒状の導体部(第2導体部、他方の導体部)
3 電力ケーブル(第1導体部、一方の導体部)
5 導体の接続部材
6 ひだ付部
11 接続部フランジ(基部の一例)
14 架台
16 架台の保持部(基部の一例)
17 脚部
18 接地部
19 碍子
20 銅管
21 穴
30 常温収縮チューブ
31 ゴムユニット絶縁体部
32 内部電極
33,34 ストレスリリースコーン
49 拡径保持部材
50 縦型常温収縮チューブ装着装置
50D 縦型常温収縮チューブ装着装置
51 板状のストッパ部材
52 スタッドボルト(連結部材の一例)
52D スタッドボルト(連結部材の一例)
53 ナット(連結部材の一例)
54 ナット(連結部材の一例)
55 穴55
56 受け部
57 中央の開口部
59 穴
60 第1雄ねじ
61 第2雄ねじ
61D 第2雄ねじ
62 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、前記常温収縮チューブをケーブルの導体部同士を接続している接続部に装着して絶縁被覆する縦型常温収縮チューブ装着装置であって、
基部と、
前記基部に対して連結される連結部材と、
前記連結部材に連結され、前記常温収縮チューブの下端部を保持して前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に前記常温収縮チューブの前記縦方向の位置を固定するためのストッパ部材と、
を備えることを特徴とする縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項2】
一方の前記導体部は電力ケーブルであり、他方の前記導体部の周囲は弾性体からなるひだを有するひだ付部により覆われ、
前記基部は前記ひだ付部と他方の前記導体部を保持している接続部フランジであることを特徴とする請求項1に記載の縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項3】
一方の前記導体部は電力ケーブルであり、他方の前記導体部の周囲は弾性体からなるひだを有するひだ付部により覆われ、
前記ひだ付部と前記第2導体部を保持している接続部フランジと、
前記接続部フランジを碍子を介して保持している保持部と、を有しており、
前記基部は、前記保持部であることを特徴とする請求項1に記載の縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項4】
前記ストッパ部材は、板状の部材であり、
前記常温収縮チューブの下端部をはめ込んで保持する受け部と、
一方の前記導体部を通し、しかも前記拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に前記拡径保持部材を通すための開口部と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項5】
前記連結部材は、
一端部側に形成された第1雄ねじと他端部側に形成された第2雄ねじを有する複数本のボルトと、
前記ボルトの前記第1雄ねじを前記ストッパ側に固定するために前記第1雄ねじにねじ込まれるナットと、前記ボルトの前記第2雄ねじを前記基部側に固定するために前記第2雄ねじにねじ込まれるナットと、を有することを特徴とする請求項4に記載の縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項6】
前記受け部は、前記常温収縮チューブの下端部をはめ込んで保持するために下方向に先細りの傾斜面を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項7】
前記ケーブルの導体部の前記接続部は、立坑内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の縦型常温収縮チューブ装着装置。
【請求項8】
拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、前記常温収縮チューブをケーブルの導体部同士を接続している接続部に装着して絶縁被覆するための縦型常温収縮チューブ装着装置を備える電力ケーブルの終端接続部であって、
前記縦型常温収縮チューブ装着装置は、
基部と、
前記基部に対して連結される連結部材と、
前記連結部材に連結され、前記常温収縮チューブの下端部を保持して前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜く際に前記常温収縮チューブの前記縦方向の位置を固定するためのストッパ部材と、
を備えることを特徴とする電力ケーブルの終端接続部。
【請求項9】
拡径保持部材を縦方向に引き抜くことで常温収縮チューブを縮径させて、前記常温収縮チューブをケーブルの導体部同士を接続している接続部に装着して絶縁被覆する縦型常温収縮チューブ装着方法であって、
基部に対して連結部材を用いてストッパ部材を取り付けることで、前記常温収縮チューブの下端部を前記ストッパ部材により保持し、
前記常温収縮チューブの前記縦方向の位置を前記ストッパ部材により固定した状態で、前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜くことを特徴とする縦型常温収縮チューブ装着方法。
【請求項10】
前記常温収縮チューブ内から前記拡径保持部材を縦方向に引き抜いた後に、前記ストッパ部材は、前記基部から前記連結部材を取り外すことで取りはずされることを特徴とする請求項9に記載の縦型常温収縮チューブ装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−4664(P2010−4664A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161817(P2008−161817)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】