説明

繊維反応性銅錯体ジスアゾ染料

式(I)で表わされる染料、それらを調製するためのプロセス、並びにヒドロキシル含有及び/又はカルボキサミド含有材料を染色又は捺染するためのそれらの使用。
【化1】


[式中、R〜R、D、f、及びMは、請求項1に示したように定義される]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維反応性アゾ染料の技術分野に位置付けられるものである。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシル含有及びカルボキサミド含有材料を紫色〜青色の色相に染色するための繊維反応性アゾ染料は、文献中に多数記載されている。しかしながら、公知の染料は、たとえば、耐光堅牢性が不十分であるとか、綿の上でのカラービルドアップ性が不十分又は不均一であるとか(良好なカラービルドアップ性では、染浴での濃度を上げて使用すると、それに見合った強い色の染色が得られるという、染料の性能を反映している)、又はカラーイールド性が染色作業における染色パラメーターの変動に過度に依存するとかの、ある種の性能的な欠陥を有していることが多い。これらの欠陥から起こりうる結果としては、たとえば染色の面における再現性が乏しいことが挙げられるが、これは究極的には染色作業の根底に悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良された性能、たとえば未固着の部分を容易に洗浄除去することと組み合わさった高い直接染色性(substantivity)を有する新規な反応性染料が依然として求められている。それらはさらに、良好な染着率を示し、そして高い反応性も有していなければならないが、その意図するところをより詳しく述べれば、高いレベルの固着性を有する染色を得るためである。
【0004】
本発明においては、上述した性質を高レベルで有する染料が今や見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)で表わされる染料を提供する。
【化1】

[式中、
及びRは互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド若しくはハロゲンであるか、又は−SO−Zの基であるが、ここで、
は、−CH=CH、−CHCHG、又はヒドロキシルであり、そして
Gは、ヒドロキシル又はアルカリ脱離可能な基であり:
は、(C〜C)−アルキル;スルホ、カルボキシル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、若しくはアセトアミドによって置換された(C〜C)−アルキル;フェニル;又は、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、ハロゲン、カルボキシル、アセトアミド、若しくはウレイドによって置換されたフェニルであり;
は水素であるか、又はRの定義の一つを有し;
fは、0又は1であり;
は、式(1)の基であるか、
【化2】

(ここで、
及びRは互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンであり;そして
は、水素又は、式−SO−Zの基であるが、ここでZは、Zの定義の一つを有する);
は、式(2)の基であるか、
【化3】

(ここで、
及びRは互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンであり;そして
はXの定義の一つを有する);又は
は、式(3)の基であるか、
【化4】

(ここで、
及びR10は互いに独立して、R及びRの定義の一つを有し;
11は、水素、(C〜C)−アルキル、又は非置換、若しくは(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルにより置換されたフェニルであり;そして
は、式(4)又は(5)又は(6)の基である
【化5】

(ここで、
Vは、フッ素又は塩素であり;
及びUは互いに独立して、フッ素、塩素又は水素であり;そして
及びQは互いに独立して、塩素、フッ素、シアナミド、ヒドロキシル、(C〜C)−アルコキシ、フェノキシ、スルホフェノキシ、メルカプト、(C〜C)−アルキルメルカプト、ピリジノ、カルボキシピリジノ、若しくはカルバモイルピリジノであるか、又は一般式(7)若しくは(8)の基である
【化6】

(ここで、
12は、水素、(C〜C)−アルキル、スルホ−(C〜C)−アルキル、非置換のフェニル、又は(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、ハロゲン、カルボキシル、アセトアミド若しくはウレイドにより置換されたフェニルであり;
13及びR14は互いに独立して、R12の定義の一つを有するか、又は結合して、式−(CH−の基(ここで、jは4又は5である)若しくは式−(CH−E−(CH−の基(ここで、Eは、酸素、硫黄、スルホニル又は−N((C〜C)−アルキル)である)を形成し;
Wは、非置換のフェニレン;(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、カルボキシル、スルホ、塩素、及び臭素からなる群より選択される1個若しくは2個の置換基によって置換されたフェニレン;非置換のナフチレン;1個若しくは2個のスルホ基によって置換されたナフチレン;(C〜C)−アルキレンアリーレン;酸素、硫黄、スルホニル、−NH−、カルボニル、−CONH−、若しくは−CON(CH)−によって介在された(C〜C)−アルキレンアリーレン;(C〜C)−アルキレン;酸素、硫黄、スルホニル、−NH−、カルボニル、−CONH−、若しくは−CON(CH)−によって介在された(C〜C)−アルキレン;フェニレン−CONH−フェニレン;又はその1個又は両方のフェニレン基がそれぞれ、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、アミド、ウレイド、及びハロゲンからなる群より選択される1個若しくは2個の置換基によって置換されているフェニレン−CONH−フェニレン、であり;そして、
はZの定義の一つを有する)));又は
は、式(9)の基であり、
【化7】

(ここで、
15は、水素、(C〜C)−アルキル、アリール、又は、一連の(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、アミド、及びハロゲンからの、1個、2個若しくは3個の相互に独立した基によって置換されたアリールであり;
16及びR17は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンであり;
Aは式(10)の基であるか、
【化8】

(ここで、
18及びR19は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンである);又は
Aは一般式(11)の基であるか、
【化9】

(ここで、
20及びR21は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンである);又は
Aは式(12)の基であり、
−(CR2223− (12)
(ここで、
kは1より大きい整数であり、そして
22及びR23は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、アミド、ハロゲン又はアリールである);そして、
はXの定義の一つを有する);そして
Mは水素、アルカリ金属又は1当量のアルカリ土類金属であり;
そして式(I)の染料には、一連の−SO−Z、−SO−Z、及びZからの少なくとも1個の繊維反応性基を含む]
【0006】
(C〜C)−アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチルである。さらに、(C〜C)基は、たとえば、ペンチル又はヘキシルであってもよい。メチル又はエチルが好ましい。同様なことが、アルコキシ、アルキルメルカプト、及びスルホアルキル、並びにさらにアルキレン基にもあてはまる。
【0007】
さらに詳しくは、アリールはフェニル、アリーレンはフェニレンを表す。ハロゲン、さらに詳しくはフッ素、塩素又は臭素であるが、フッ素又は塩素が好ましい。
【0008】
Mは、好ましくは水素、リチウム、ナトリウム、又はカリウムであるが、より好ましくは水素又はナトリウムである。
【0009】
Gで表されるアルカリ脱離可能な基の例としては以下のものが挙げられる:ハロゲン、たとえば塩素又は臭素;有機カルボン酸又はスルホン酸たとえばアルキルカルボン酸、非置換若しくは置換のベンゼンカルボン酸、又は非置換若しくは置換のベンゼンスルホン酸のエステル基;たとえば基(C〜C)−アルカノイルオキシ、より具体的にはアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、スルホベンゾイルオキシ、フェニルスルホニルオキシ、又はトリルスルホニルオキシ;無機酸たとえばリン酸、硫酸、又はチオ硫酸の酸性エステル基(ホスファト、スルファト、又はチオスルファト基)、又は、ジ−(C〜C)−アルキルアミノ基、たとえばジメチルアミノ又はジエチルアミノ。
【0010】
、Z及びZは、好ましくはビニル又はβ−クロロエチル、より好ましくはβ−スルファトエチルである。
【0011】
「スルホ」、「カルボキシル」、「チオスルファト」、「ホスファト」、及び「スルファト」基には、それらの酸の形態だけではなく、それらの塩の形態も含む。したがって、スルホ基は式−SOMを有し、チオスルファト基は式−S−SOMを有し、カルボキシル基は式−COOMを有し、ホスファト基は式−OPOを有し、そしてスルファト基は式−OSOMを有するが、それぞれにおいて、Mは先に示したように定義されている。
【0012】
式(I)の染料には、Zが意味するものの中には異なる繊維反応性基の−SO−Zが含まれていてもよい。具体的には、−SO−Zが、一つのケースではビニルスルホニルであり、他のケースでは−CHCHG、好ましくはβ−スルファトエチル−スルホニルであってよい。式(I)の染料にビニルスルホニル基が部分的に含まれている場合には、ビニルスルホニル基を有するそれぞれの染料の割合は、それぞれの全染料の量を基準にして約80モル%までとする。同様なことが、基−SO−Z及び−SO−Zにもあてはまる。
【0013】
基R及びRは、好ましくは、互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、カルボキシル、又は式−SOの基であり、より好ましくは、水素、メチル、メトキシ、スルホ、又は式−SOの基であるが、ここでZがビニル又はβ−スルファトエチルであるのがより好ましい。
【0014】
は、好ましくはメチル又はスルホメチルであるが、メチルが特に好ましい。Rは、好ましくは水素又はメチルであるが、水素が特に好ましい。
【0015】
及びRは、好ましくは、互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、又はカルボキシルであるが、より好ましくは、水素、メチル、メトキシ又はスルホである。
【0016】
〜R10、R20、及びR21は、好ましくは、互いに独立して水素又はスルホである。
【0017】
16〜R19、R22、及びR23は、好ましくは水素である。
【0018】
11、R12、及びR15は、好ましくは、互いに独立して、水素、メチル又はフェニルである。
【0019】
13及びR14は、好ましくは、互いに独立して、水素、メチル、2−スルホエチル、2−、3−若しくは4−スルホフェニルであるか、又は結合して基−(CH−O−(CHを形成する。
【0020】
は、好ましくは式(1)の基又は式(3)若しくは(9)の基であるが、ここでさらに詳しくは、R〜R11、及びR15〜R17はそれぞれ、先に挙げた好ましい定義を有している。
【0021】
が式(1)の基であり、Xが−SOである場合には、−SO−Zが、ジアゾ基に対してメタ又はパラ位にあるのが好ましい。
【0022】
式(1)の好適な基としては、たとえば以下のものが挙げられる:2−、3−若しくは4−スルホフェニル、2−、3−若しくは4−カルボキシフェニル、2,4−ジスルホフェニル、2,5−ジスルホフェニル、4−カルボキシ−2−スルホ−フェニル、5−カルボキシ−2−スルホ−フェニル、4−メチル−2−スルホ−フェニル、4−メトキシ−2−スルホ−フェニル、5−メトキシ−2−スルホ−フェニル、2−メトキシ−5−メチル−4−スルホ−フェニル、2,5−ジメトキシ−4−スルホ−フェニル、1−スルホ−ナフト−2−イル、1,5−ジスルホ−ナフト−2−イル、4,8−ジスルホ−ナフト−2−イル、2−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、3−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−カルボキシ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−クロロ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−クロロ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−ブロモ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−スルホ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−スルホ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−メトキシ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−エトキシ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2,5−ジメトキシ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−メトキシ−5−メチル−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−メチル−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−若しくは3−若しくは4−(β−チオスルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−メトキシ−5−(β−チオスルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−スルホ−4−(β−ホスファトエチルスルホニル)−フェニル、2−若しくは3−若しくは4−ビニルスルホニル−フェニル、2−スルホ−4−ビニルスルホニル−フェニル、2−クロロ−4−(β−クロロエチルスルホニル)−フェニル、2−クロロ−5−(β−クロロエチルスルホニル)−フェニル、3−若しくは4−(β−アセトキシエチルスルホニル)−フェニル、6−若しくは8−(β−スルファトエチルスルホニル)−ナフト−2−イル、6−(β−スルファトエチルスルホニル)−1−スルホ−ナフト−2−イル、又は8−(β−スルファトエチルスルホニル)−6−スルホ−ナフト−2−イル、好ましくは、3−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−スルホ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−メトキシ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2,5−ジメトキシ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、2−メトキシ−5−メチル−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−フェニル、又は3−若しくは4−ビニルスルホニル−フェニル。
【0023】
が式(2)の基である場合には、ジアゾ基に対する結合が、ナフタレン核に対してβ位にあるのが好ましい。
【0024】
が式(9)の基である場合には、基CON(R15)−A−Xが、ジアゾ基に対してパラ位又はメタ位にあるのが好ましい。
【0025】
Aが式(10)の基であり、Xが式−SO−Zの基である場合には、その−SO−Z基が、窒素原子に対してメタ位又はパラ位にあるのが好ましい。
【0026】
Aが式(11)の基である場合には、窒素原子に対するその結合が、ナフタレン核に対してβ位にあるのが好ましい。
【0027】
Aによって表される置換基の例を具体的に挙げれば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2−クロロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−1,5−フェニレン、2−ブロモ−1,4−フェニレン、2−スルホ−1,4−フェニレン、2−スルホ−1,5−フェニレン、2−メトキシ−1,5−フェニレン、2−エトキシ−1,5−フェニレン、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン、2−メトキシ−5−メチル−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2,6−ナフチレン、2,8−ナフチレン、1−スルホ−2,6−ナフチレン、6−スルホ−2,8−ナフチレン、又は1,2−エチレン、又は1,3−プロピレンなどがある。より好ましくは、Aが、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2−スルホ−1,4−フェニレン、2−メトキシ−1,5−フェニレン、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン、2−メトキシ−5−メチル−1,4−フェニレン、1,2−エチレン、又は1,3−プロピレンであるが、1,2−エチレン及び1,3−プロピレンの場合には、R15がフェニル又は2−スルホフェニルであるのが好ましい。
【0028】
kは好ましくは、2又は3の数値である。
【0029】
Wは、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2−スルホ−1,4−フェニレン、2−メトキシ−1,5−フェニレン、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン、2−メトキシ−5−メチル−1,4−フェニレン、1,2−エチレン、又は1,3−プロピレンであるのが好ましい。
【0030】
基Q及びQの例としては、以下のものが挙げられる:フッ素、塩素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、3−スルホフェノキシ、4−スルホフェノキシ、メチルメルカプト、シアナミド、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、フェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、2−スルホフェニルアミノ、3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、2,5−ジスルホフェニルアミノ、2−スルホエチルアミノ、N−メチル−2−スルホエチルアミノ、ピリジノ、3−カルボキシピリジノ、4−カルボキシピリジノ、3−カルバモイルピリジノ、4−カルバモイルピリジノ、2−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、N−エチル−3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、N−エチル−4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−カルボキシ−5−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ)、2−クロロ−4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−クロロ−5−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−ブロモ−4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−スルホ−4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−スルホ−5−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−メトキシ−5−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2,5−ジメトキシ−4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−メトキシ−5−メチル−4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、2−メチル−4−(2−スルファトエチル−スルホニル)−フェニルアミノ、2−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、3−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ)、N−エチル−3−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、N−エチル−4−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、6−(2−スルファトエチルスルホニル)−ナフト−2−イルアミノ、8−(2−スルファトエチルスルホニル)−ナフト−2−イルアミノ、8−(2−スルファトエチルスルホニル)−6−スルホ−ナフト−2−イルアミノ、3−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチルカルバモイル)−フェニルアミノ、3−(2−(ビニルスルホニル)−エチルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(2−(2−ビニルスルホニル)−エチルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(N−メチル−2−(2−スルファトエチル−スルホニル)−エチルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(N−フェニル−2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、3−(3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、3−(4−(2−スルファトエチル−スルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、3−(2−スルファトエチルスルホニル)−プロピルアミノ、N−メチル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチル)−アミノ、N−フェニル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチル)−アミノ、又はN−フェニル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−プロピル)−アミノ。
【0031】
基Q及びQが互いに独立して、次のものであるのが好ましい:フッ素、塩素、シアナミド、モルホリノ、2−スルホフェニルアミノ、3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、N−メチル−2−スルホエチルアミノ、3−カルボキシピリジノ、4−カルボキシピリジノ、3−カルバモイルピリジノ、4−カルバモイルピリジノ、3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、3−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、4−(4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、3−(3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、3−(4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルカルバモイル)−フェニルアミノ、N−メチル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチル)−アミノ、又はN−フェニル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチル)−アミノ。
【0032】
基Q及びQが互いに独立して、次のものであるのがより好ましい:フッ素、塩素、シアナミド、モルホリノ、2−スルホフェニルアミノ、3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、3−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(2−スルファトエチルスルホニル)−フェニルアミノ、3−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、4−(ビニルスルホニル)−フェニルアミノ、N−メチル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチル)−アミノ、又はN−フェニル−N−(2−(2−スルファトエチルスルホニル)−エチル)−アミノ。
【0033】
の例としては、2,4−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、4,6−ジフルオロ−ピリミジン−2−イル、5−クロロ−2,4−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、5−クロロ−4,6−ジフルオロ−ピリミジン−2−イル、4,5−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、5−クロロ−4−フルオロ−ピリミジン−6−イル、2,4,5−トリクロロ−ピリミジン−6−イル、4,5−ジクロロ−ピリミジン−6−イル、2,4−ジクロロ−ピリミジン−6−イル、4−フルオロ−ピリミジン−6−イル、4−クロロ−ピリミジン−6−イル、Q及びQのために先に挙げた例を含む式(5)の基、又は式(6)の基が挙げられる。
【0034】
で好ましいのは、2,4−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、4,6−ジフルオロ−ピリミジン−2−イル、5−クロロ−2,4−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、5−クロロ−4,6−ジフルオロ−ピリミジン−2−イル、又は先に挙げた好ましい基Q及びQを有する一般式(5)の基である。
【0035】
でより好ましいのは、2,4−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、5−クロロ−2,4−ジフルオロ−ピリミジン−6−イル、又は先に挙げたより好ましい基Q及びQを有する一般式(5)の基である。
【0036】
好適な染料は、式(Ia)に合致するものである。
【化10】

[式中、R〜R、D、f、及びMは、先に示したように定義される]
【0037】
特に好適な染料は、式(Ib)に合致するものである。
【化11】

[式中、R〜R、R、R、X、f、及びMは、先に示したように定義される]
【0038】
特に好適な染料は、式(Ic)に合致するものである。
【化12】

[式中、R、R、R、Z、Z、f、及びMは、先に示したように定義される]
【0039】
fが0である本発明の染料は、式(Id)に合致するものである。
【化13】

[式中、R〜R、D、及びMは、先に示したように定義される]
【0040】
fが1である本発明の染料は、式(Ie)に合致するものである。
【化14】

[式中、R〜R、D、及びMは、先に示したように定義される]
【0041】
本発明による式(I)の染料は、固体の形態又は液体の(溶解した)形態の調製物として存在してもよい。固体の形態においては、それらには、必要に応じて、水溶性で、特に繊維反応性の染料において慣用される電解質塩、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は硫酸ナトリウムが含まれ、さらには、商業的な染料において慣用される助剤、たとえば水溶液中のpHを3〜7の間に設定することが可能な緩衝剤物質、たとえば酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、又はリン酸水素二ナトリウム、又は追加の染色助剤、防塵剤(antidust agent)、又は少量の乾燥剤などが含まれていてもよい。それらが(捺染糊のために常用されるタイプの増粘剤のような内容物を含めて)液状の水溶液の形態で存在するならば、それらにはさらに、そのような調製物の貯蔵寿命を延ばすための物質、たとえば防黴剤のようなものを加えることもできる。
【0042】
固体の形態においては、本発明による式(I)の染料は典型的には、適切であるならば、1種又は複数の上述の助剤と共に電解質塩を含む粉体又は粒状物(一般的には、以下においては調製物と呼ばれる)の形態にある。この調製物においては、染料が、その調製物を基準にして20%〜90重量%の量で含まれている。緩衝剤物質は一般に、調製物を基準にして、全量が5重量%までの量で含まれる。
【0043】
本発明による式(I)の染料が水溶液中に存在している場合には、それらの水溶液の全染料含量は、水溶液を規準にして、約50重量%まで、たとえば5%〜50重量%の間であり、それらの水溶液の電解質塩含量は、好ましくは10重量%未満であるが、その水溶液(液状調製物)には上述の緩衝剤物質を、一般的には5重量%まで、好ましくは2重量%までの量で含んでいてもよい。
【0044】
本発明による一般式(I)の染料は、当業者には公知の慣用される手順に倣って調製することができる。
【0045】
より詳しくは、式(13)の化合物を、銅(II)塩と反応させる。
【化15】

[式中、R24は、水素、ヒドロキシル又はメトキシであり、R〜R、D、及びMは、先に示したように定義される]
【0046】
適切な銅(II)塩は、特に、硫酸銅(II)である。その反応は、必要があれば高い温度で、そして好ましくは等モル量の銅(II)塩を使用して実施する。R24が水素であるならば、その反応は、酸化剤、より詳しくは過酸化水素の存在下で、著しく進行する。
【0047】
式(13)の化合物は、たとえば以下の工程により得られる:
a)式(14)のアミンをジアゾ化する工程、
−NH (14)
[式中、Dは、先に示したように定義される]
b)次いで、そうして得られたジアゾニウム化合物を、式(15)の化合物と反応させて、
【化16】

[式中、R、R、及びMは、先に示したように定義される]
式(16)の化合物を得る工程、
【化17】

[式中、D、R、R、及びMは、先に示したように定義される]
次いで
c)一般式(17)の化合物をジアゾ化する工程、
【化18】

[式中、R、R、及びfは、先に示したように定義され、R24は、水素、ヒドロキシル、又はメトキシである]
及び
d)式(16)の化合物との反応を実施して、式(13)の化合物を得る工程。
【0048】
また別なプロセスにおいては、式(I)の染料を、式(18)の化合物を式(14)のアミンのジアゾ化された化合物と反応させることによって調製する。
【化19】

[式中、R〜R、f、及びMは、先に示したように定義される]
【0049】
式(18)の化合物は、式(17)の化合物[式中、R、R、R24、及びfは、先に示したように定義される]をジアゾ化し、そして、第一段として、式(15)の化合物[式中、R、R、及びMは、先に示したように定義される]と約6のpHレベルでの反応を実施し、次いで、上述のようにして銅(II)塩との反応を実施することによって得ることができる。
【0050】
上述のジアゾ化、カップリング、及び銅との反応は、当業者には公知であって、文献に包括的に記載されている。
【0051】
反応性の基として−CHCHG基に加えてビニルスルホニル基も含んでいる染料は、相当する置換されたビニルスルホニル化合物から出発して調製することが可能であるだけではなく、−CHCHG基を含む相当する染料を、所望の割合の−CHCHG基をビニルスルホニル基に転換させる量のアルカリと反応させることによっても調製することができる。この転換反応は、当業者熟知の方法で実施される。いくつかのケースにおいては、染料合成の過程においてさえも、ビニルスルホニル基を形成させる。
【0052】
本発明による式(I)の染料は、常法に従って、通常の塩たとえば塩化カリウムを使用して塩析するか、噴霧乾燥法若しくは蒸発法によって単離することができる。それに代わる別な方法では、合成したままの溶液を、必要はであれば次いで緩衝剤物質を添加したり、所望によって濃縮してから、液状調製物の形態で直接的に染色に使用する。
【0053】
本発明による一般式(I)の染料は、有用な性能特性を有していて、カルボキサミド含有及び/又はヒドロキシル含有材料を染色又は捺染するのに使用することができる。上述のような材料は、たとえばシート状構造の形状、たとえば紙、皮革、フィルムの形状たとえばポリアミドフィルム、又はたとえば、ポリアミド又はポリウレタンのようなバルク組成物の形状をとっていてよい。しかしながら、より具体的には、それらは上述の材料の繊維の形態をとっている。
【0054】
したがって、本発明による一般式(I)の染料は、あらゆるタイプのセルロース系繊維材料を染色又は捺染するために使用される。それらは、好ましくは、ポリアミド繊維、又はポリアミドと綿若しくはポリアミドとポリエステル繊維のブレンド布を染色又は捺染するのにも適している。
【0055】
本発明による一般式(I)の染料を、インクジェットプロセスによって織物又は紙に捺染するために使用することもまた可能である。
【0056】
したがって本発明は、カルボキサミド含有及び/又はヒドロキシル含有材料を染色又は捺染するための本発明による一般式(I)の染料の使用、並びに、着色剤として本発明による一般式(I)の1種又は複数の染料を使用することによって、慣用される手順でそのような材料を染色又は捺染するためのプロセスを提供する。
【0057】
本発明の目的のための繊維又は繊維材料は、より具体的には、織物繊維であり、それは、織布として、糸として、又は、かせ若しくは巻取りパッケージの形態で存在していてよい。
【0058】
カルボキサミド含有材料としては、たとえば、合成若しくは天然のポリアミド又はポリウレタン、より詳しくは、繊維の形状のものであり、その例としては、羊毛その他の動物の毛、絹、皮革、ナイロン−6,6、ナイロン−6、ナイロン−11、又はナイロン−4などが挙げられる。
【0059】
ヒドロキシル含有材料は、天然又は合成によるもので、たとえばセルロース繊維材料又はそれらの再生製品やポリビニルアルコールなどである。セルロース繊維材料として好ましいのは綿であるが、他の植物繊維、たとえばリネン、大麻、ジュート、又はラミー繊維などでもよい。再生セルロース繊維としてはたとえば、ステープルビスコース又はフィラメントビスコースがある。
【0060】
本発明による一般式(I)の染料は、水溶性染料、特に繊維反応性染料では公知の染着方法によって、上述の材料、より詳しくは上述の繊維材料の上に、染着させ、固着させることができる。
【0061】
非フェルト仕上げ又は低フェルト仕上げをした羊毛は非常に良好な堅牢性に染色することができる(そのような仕上げについては、たとえば、H.Rath,Lehrbuch der Textilchemie(Springer−Verlag,3rd edition(1972),p.295〜299、特にヘルコセット(Hercosett)プロセスによって仕上げたウール(p.298);J.Soc.Dyers and Colourists,1972,p.93〜99及び1975,p.33〜44を参照されたい)。ここでは、羊毛に対する染色プロセスは、通常の染色手順で、酸性媒体中で実施する。たとえば、所望のpHとするために、酢酸及び/又は酢酸アンモニウム、又は酢酸及び硫酸アンモニウム又は酢酸ナトリウムを染浴に添加することができる。染色における有用な均染性を得るためには、慣用される均染助剤たとえば、シアヌル酸塩化物を3倍モル量のアミノベンゼンスルホン酸及び/又はアミノナフタレンスルホン酸と反応させた生成物をベースとするか、又は、たとえば、ステアリルアミンとエチレンオキシドとの反応生成物をベースとする均染助剤を添加することが推奨される。したがって、たとえば、本発明の染料混合物を、好ましくは最初に、pHをモニターしながらpHが約3.5〜5.5の酸性の染浴からの吸尽プロセスにかけ、次いで、その染色時間の終わりに向けて、順次そのpHを中性から場合によっては弱アルカリ性範囲(pH8.5まで)に変化させて、特に本発明の染料混合物の染料と繊維との間に完全な反応性結合を導入して、十分な色の深みを得る。それと同時に、反応による結合に与らなかった染料の部分は除去する。
【0062】
本明細書に記載した方法は、他の天然ポリアミド又は合成ポリアミド又はポリウレタンからなる繊維材料を染色させる場合にも適用される。それらの材料は、文献記載で当業者公知の、慣用される染色又は捺染プロセスを用いて染色することができる(たとえば、H.−K.Rouette『Handbuch der Textilveredlung』(Deutscher Fachverlag GmbH、Frankfurt am Main)参照)。
【0063】
一般式(I)の染料と水に加えて、染液又は捺染糊には、さらなる添加剤が含まれていてもよい。添加剤の例としてはたとえば、湿潤剤、消泡剤、均染剤、織物材料の性質に影響を与える薬剤、たとえば軟化剤、難燃性仕上げ添加剤、又は、耐汚染性、耐水性、耐油性を付与する薬剤、又は軟水化剤などが挙げられる。捺染糊には、具体的には、天然又は合成の増粘剤、たとえばアルギネート又はセルロースエーテルがさらに含まれていてもよい。染浴又は捺染糊の中では、所望する色の深みに応じて、染料の量は広い範囲で変化させることができる。一般的には、一般式(I)の染料は、染色する物品又は捺染糊それぞれを規準にして、0.01%〜15重量%の量、より好ましくは0.1%〜10重量%の量で存在させる。
【0064】
セルロース繊維の場合には、広く各種の酸結合剤、及び適切であるならば中性塩たとえば、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを使用した、長浴(long liquor)からの吸尽プロセスによって、極めて良好なカラーイールド性を有する染色が得られる。吸尽プロセスの場合には、pH3〜7、より好ましくはpH4〜6で染色を実施するのが好ましい。液比は広い範囲の中で選択することが可能であり、たとえば(3:1)から(50:1)の間、好ましくは(5:1)から(30:1)の間である。染色は、40〜105℃の間の温度で水性浴中で実施するのが好ましいが、場合によっては過圧下で温度を130℃まで上げてもよいし、また適当であれば、慣用される染色助剤を用いてもよい。染色した材料の湿潤堅牢性は、後処理で未固着染料を除去することにより、向上させることができる。この後処理は、より具体的には、pH8〜9で、温度75〜80℃で実施する。
【0065】
一つの可能な吸尽プロセスの手順としては、材料を温浴に浸漬し、浴を徐々に加熱して所望の温度にまで上げ、染色操作を完了させる方法がある。染料の吸尽を加速する中性塩は、所望により、浴の温度が実際の染色温度に達するまでは添加せずにおくこともできる。
【0066】
セルロース繊維に対するパジングプロセスも同様にして、優れたカラーイールド性と極めて良好なカラービルドアップ性とを与えるが、その固着は、常法に従って、室温又は、たとえば蒸熱処理によるか又は乾熱の手段による約60℃までの昇温でのバッチングによって実施することができる。
【0067】
同様にして、セルロース繊維に対する通常の捺染プロセスによって明瞭な輪郭及び鮮明な白地を有する強力な着色捺染が得られるが、そのような捺染プロセスは次のようにして実施することができる:1段法で、たとえば重炭酸ナトリウム又はその他の酸結合剤を含む捺染糊とともに捺染し、次いで100〜103℃で蒸熱処理するか、2段法で、たとえば、中性又は弱酸性の捺染糊を用いて捺染し、次いでその捺染した材料を加熱した電解質含有アルカリ浴を通すか又はアルカリ性の電解質含有パジング液を用いてオーバーパジングするかのいずれかによって固着させ、次いで、アルカリでオーバーパッドした材料をバッチングするか又は蒸熱処理するか又は乾熱処理にかける。固着条件に変動があったとしても、捺染の結果への影響は、たとえあったとしても、ごくわずかである。
【0068】
乾熱の手段による固着の場合においては、慣用される熱固着法に従って、120〜200℃の加熱空気を使用する。慣用される101〜103℃の水蒸気に加えて、160℃までの温度の過熱水蒸気又は高圧水蒸気を使用することも可能である。
【0069】
セルロース繊維への染料の固着に影響を与える酸結合剤は、たとえば有機酸又は無機酸のアルカリ金属又は同様にアルカリ土類金属の水溶性塩基性塩、又は加熱によってアルカリを放出する化合物などである。特に挙げられるのは、アルカリ金属水酸化物、又は弱から中程度の強度の有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩であり、好ましいアルカリ金属化合物は、ナトリウム化合物又はカリウム化合物である。そのような酸結合剤の例を挙げれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ギ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、水ガラス又はリン酸三ナトリウム、又はそれらの混合物などがある。
【0070】
本発明による式(I)の染料は特に、色強度(color strength)及び固着収率が高いこと、並びに繊維の上に固着されていない部分を洗浄除去するのが容易なことを特徴としている。さらには、染色物又は捺染物が、総合的に良好な堅牢性を有していて、たとえば高い耐光堅牢性及び極めて良好な湿潤堅牢性、たとえば洗濯、水、塩水、クロス染色(cross−dyeing)及び汗に対する堅牢性、さらにはプリーツ加工、加熱プレス、及び摩擦色落ちに対する良好な堅牢性を有している。それらではさらに、綿/ポリアミドのブレンド布においてポリアミドが汚染される傾向も低い。したがって、全体として、それらは特公昭47−036838号公報において公知の染料に比較して、改良された性能特性を有している。
【0071】
本発明はさらに、本発明による一般式(I)の染料を含む、インクジェットプロセスによってデジタル織物捺染をするためのインキも提供する。本発明のインキは、1種又は複数の本発明による式(I)の染料を、インキの全重量を基準にして、たとえば0.1%〜50重量%の量、好ましくは1%〜30重量%の量、より好ましくは1%〜15重量%の量で含む。そのインキに、本発明による一般式(I)の染料と、織物捺染において使用されるその他の染料との混合物を含んでいてもよいということも理解されるであろう。
【0072】
そのインキを連続流動プロセスで使用する場合には、電解質を添加して導電率を0.5〜25mS/mに調節することができる。好適な電解質の例としては、硝酸リチウム又は硝酸カリウムなどが挙げられる。
【0073】
本発明のインキには、全含量1〜50%、好ましくは5〜30重量%で有機溶媒を含んでいてもよい。
【0074】
好適な有機溶媒の例としては、以下のものが挙げられる:アルコール類たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール、ペンチルアルコール、多価アルコール類たとえば、1,2−エタンジオール、1,2,3−プロパントリオール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、D,L−1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ポリアルキレングリコール類たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、2〜8個のアルキレン基を有するアルキレングリコール類たとえば、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、チオグリコール、チオジグリコール、ブチルトリグリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、多価アルコールの低級アルキルエーテル類たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルエーテル、ポリアルキレングリコールエーテル類たとえば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールグリセロールエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル、又はポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、アミン類たとえば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、尿素誘導体類たとえば、尿素、チオ尿素、N−メチル尿素、N,N’−ジメチル尿素、エチレン尿素、又は1,1,3,3−テトラメチル尿素、アミド類たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N−ホルミルエタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ケトン類又はケトアルコール類たとえば、アセトン、ジアセトンアルコール、環状エーテル類たとえば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、さらに、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−ブトキシエタノール、ベンジルアルコール、ガンマ−ブチロラクトン、イプシロン−カプロラクタム、さらに、スルホラン、メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ジメチルスルホン、ブタジエンスルホン、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、N−シクロヘキシルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、1,3−ビスメトキシメチルイミダゾリジン、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−プロポキシエトキシ)エタノール、1,2−ジメトキシプロパン、トリメトキシプロパン、ピリジン、ピペリジン、酢酸エチル、エチレンジアミンテトラアセテート、又はエチルペンチルエーテル。
【0075】
本発明の捺染インキには常用される添加剤をさらに含んでいてもよく、たとえば粘度調整剤を用いて、温度範囲20〜50℃における粘度を1.5〜40.0mPasの範囲とする。好適なインキでの粘度は1.5〜20mPas、特に好適なインキでの粘度は1.5〜15mPasである。
【0076】
適切な粘度調整剤は、たとえば以下のようなレオロジー添加物である:ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン又はさらにはそのコポリマー、ポリエーテルポリオール、連合増粘剤、ポリウレア、ポリウレタン、アルギン酸ナトリウム、変性ガラクトマンナン、ポリエーテルウレア、ポリウレタン、又はノニオン性セルロースエーテル。
【0077】
さらなる添加剤としては、本発明のインキには、表面張力を20〜65mN/mに設定するための表面活性物質を含んでいてもよいが、それらは、必要に応じて、使用されるプロセスの機能(熱電技術又は圧電技術)に合わせられる。
【0078】
好適な表面活性物質の例としては以下のものが挙げられる:すべてのタイプの表面活性物質、好ましくはノニオン性表面活性剤、ブチルジグリコール、又は1,2−ヘキサンジオール。
【0079】
そのインキにはさらに、慣用される添加物、たとえば、真菌及び細菌の繁殖を抑制するための物質を、インキの全重量を基準にして0.01%〜1重量%の量で、含んでいてもよい。
【0080】
本発明のインキは、常法に従って、水中で成分を混合させることによって調製してもよい。
【0081】
本発明のインキは、極めて幅広く各種の前処理をした材料、たとえば絹、皮革、羊毛、ポリアミド繊維又はポリウレタン、さらに詳しくは各種のセルロース系繊維材料を捺染するための、インクジェット捺染プロセスにおいて使用するのに適している。本発明の捺染インキはまた、混紡布地、たとえば綿、絹、羊毛とポリエステル繊維又はポリアミド繊維との混合物の中に存在している、予備処理したヒドロキシル含有又はアミノ含有繊維を捺染するのにも好適である。
【0082】
捺染インキに反応性染料のための固着化学物質及び増粘剤がすべてすでに含まれている従来からの織物捺染とは対照的に、インクジェット捺染の場合には、別な前処理工程で織物基材に助剤を適用することが必要である。
【0083】
たとえばセルロース又は再生セルロース繊維、さらには絹又は羊毛のような織物基材の前処理は、捺染に先立って水性アルカリ液を用いて行う。反応性染料を固着させるためには、アルカリたとえば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アルカリ供与体たとえばクロロ酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ヒドロトロープ物質(hydrotropic substance)たとえば尿素、還元抑制剤たとえばニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、又は染色インクを塗布したときの意匠(motifs)の流れを防ぐ目的の増粘剤たとえばアルギン酸ナトリウム、変性ポリアクリレート又は高度にエーテル化されたガラクトマンナンなどが必要である。
【0084】
これらの前処理用反応剤は、好適なアプリケータを使用して所定の量を均一に織物基材に適用するが、その例としては、2本又は3本ロールパッダ、無接触噴霧技術を用いたり、発泡塗布の手段によったり、あるいは程よく適合させたインクジェット技術を用いたりして、その後に乾燥させる。
【0085】
捺染を実施した後に、その織物繊維材料を120〜150℃で乾燥させてから固着させる。
【0086】
反応性染料を用いて製造したインクジェットプリントの固着は、室温で、又は飽和スチーム、過熱スチーム、加熱空気、高周波、赤外線照射、レーザービーム又は電子ビーム、あるいはその他の適切なエネルギー転換技術を用いて実施することができる。
【0087】
1相固着操作と2相固着操作との間では違いがある:1相固着においては、固着のために必要な薬剤はすでに織物基材の上に存在している。2相固着においては、この前処理は不要である。固着させるにはアルカリだけが必要であって、それを、インクジェット捺染の後、固着操作の前に適用して、その間に乾燥を加えない。さらなる添加剤、たとえば尿素又は増粘剤は、余分(redundant)である。
【0088】
固着操作の後に、染着物の後処理を実施するが、これは、良好な堅牢性、高い艶及び申し分のない白地を得るための必要条件である。
【0089】
本発明のインキを用いて製造した染着物は、高い色強度と、酸性領域のみならずアルカリ性の領域においても高い繊維−染料結合安定性を有し、さらには、良好な耐光堅牢性及び極めて良好な湿潤堅牢性、たとえば洗濯、水、塩水、クロス染色及び汗に対する堅牢性、さらにはプリーツ加工、加熱プレス、及び摩擦色落ちに対する良好な堅牢性を有している。
【0090】
本発明による一般式(I)の染料は、所定の材料の上に紫色から青色の染色物又は捺染物、及びインクジェット印刷物を与える。
【0091】
以下の実施例を、本発明を説明するために使用する。特に断らない限り、部は重量部であり、パーセントは重量パーセントである。重量部と容積部との間の関係は、キログラムとリットルの間の関係と同じである。実施例に化学式で記載する化合物は、ナトリウム塩の形で示すが、その理由は、それらの化合物がその塩、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩の形で一般に調製、単離され、それらの塩の形で染色に使用されるからである。以下の実施例、特に表の中の実施例に記載される出発化合物は、遊離の酸の形、又は同様にそれらの塩、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩の形で合成に使用することができる。
【実施例】
【0092】
実施例1
34.1部の2,5−ジメトキシ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)−アニリンを、70部の氷/水及び18部の30%強度の塩酸の中に懸濁させ、17.5部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を滴下により添加することによって、ジアゾ化を実施する。アミドスルホン酸溶液を用いて過剰の亜硝酸塩を除去してから、得られたジアゾ懸濁液を、69.1部の式(16−1)の赤色のモノアゾ染料の水溶液の中にポンプ注入する。
【化20】

[このものは、酸性媒体中で17.5部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を用いて、36.1部の2−アミノ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−ベンゼンスルホン酸をジアゾ化させ、次いで、pH1〜1.5で25.3部の4−ヒドロキシ−7−(メチル−アミノ)−ナフタレン−2−スルホン酸とカップリングさせることによって得られたものである]
次いで、25℃未満で、炭酸ナトリウムを使用してpHを5〜6に設定し、その混合物をほぼ1時間維持して、カップリング反応を終了させる。そのようにして得られた、式(13−1)の青色がかった赤色のジスアゾ染料の水溶液を、
【化21】

(吸収極大:548nm)
次いで27.5部の硫酸銅(II)五水和物と混合し、pH3.5〜5.5で、還流温度(100〜102℃)で16〜24時間加熱する。
【0093】
銅との反応が終了した後に形成される青色のジスアゾ染料(I−1)は、
【化22】

580nmに吸収極大を有していて、エステルの形態とビニルの形態との混合物として存在している。それは、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウムを用いた塩析法によるか、又は減圧下での蒸発法によるか、又は噴霧乾燥法によって単離することができる。別な方法として、得られた染料溶液を、リン酸塩緩衝液を加えることによって、pH5.5〜6に緩衝させ、規定の強度の液状製品としてさらに希釈又は濃縮して調節することもまた可能である。
【0094】
そのようにして得られた本発明の染料は、反応性染料の場合に慣用される染色条件下では、たとえば綿の上で、総合的に良好な堅牢性を有する青色の染色物又は捺染物を与える。
【0095】
実施例2
28.1部の4−(β−スルファトエチルスルホニル)−アニリンを、70部の氷/水及び18部の30%強度の塩酸の中に懸濁させ、17.5部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を滴下により加えて、ジアゾ化させる。アミドスルホン酸溶液を用いて過剰の亜硝酸塩を除去してから、得られたジアゾ懸濁液を式(16−1)の69.1部の赤色モノアゾ染料の水溶液の中にポンプ注入するが、この染料は、酸性媒体中で17.5部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を用いて、36.1部の2−アミノ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−ベンゼンスルホン酸をジアゾ化させ、次いで、pH1〜1.5で25.3部の4−ヒドロキシ−7−(メチル−アミノ)−ナフタレン−2−スルホン酸とカップリングさせることによって得られたものである。次いで、25℃未満で、炭酸ナトリウムを使用してpHを5に設定し、そのバッチを約1時間維持して、カップリング反応を終了させる。そのようにして得られた、式(13−2)の赤褐色のジスアゾ染料の水溶液を、
【化23】

(吸収極大:522nm)
次いで水を添加することによって10℃にまで冷却する。25部の硫酸銅(II)五水和物を加え、pH3.5〜4.5で、40部の35%強度の過酸化水素溶液を滴下により15分かけて加える。15〜20℃で15〜30分間撹拌を続けてから、炭酸ナトリウムを徐々に添加することによってpHを5〜6に設定する。
【0096】
銅との反応が終了した後に得られる青紫色のジスアゾ染料である式(I−2)は、
【化24】

555nmの吸収極大を有しており、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウムを用いた塩析法によるか、又は別な方法として減圧下での蒸発法によるか、又は噴霧乾燥法によって単離することができる。
【0097】
たとえば綿の上で、反応性染料の場合に慣用される染色条件下では、それは、総合的に良好な堅牢性を有する青紫色の染色物又は捺染物を与える。
【0098】
実施例3
a)28.1部の4−(β−スルファトエチルスルホニル)−アニリンを、70部の氷/水及び18部の30%強度の塩酸の中に懸濁させ、17.5部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を滴下により加えて、ジアゾ化させる。アミドスルホン酸溶液を用いて過剰の亜硝酸塩を除去してから、得られたジアゾ懸濁液を、33.3部の4−ヒドロキシ−7−(スルホメチル−アミノ)−ナフタレン−2−スルホン酸(このものは、23.9部の7−アミノ−4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホン酸を、15部のホルムアルデヒド−重亜硫酸ナトリウムと、水性媒体中、pH5.5〜6、45℃で反応させることによって得られたものである)の水溶液と混合し、固体の炭酸水素ナトリウムを使用してpH1.5に調節する。それに続けて、pH1.5で15〜20℃で撹拌して、その酸性カップリング反応を終了させる。
【0099】
b)別の反応容器の中で、38部の3−アミノ−2−ヒドロキシ−5−(β−スルファトエチルスルホニル)−ベンゼンスルホン酸を、75部の氷/水及び18部の30%強度の塩酸の中に懸濁させ、18部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を滴下により添加してジアゾ化させる。アミドスルホン酸を用いて過剰の亜硝酸塩を除去してから、このジアゾ懸濁液を、a)からの第一のカップリングステージに滴下により添加し、25℃未満で、炭酸ナトリウムを使用して6.5〜7.5のpHに設定する。カップリングが起きてから、22部の炭酸水酸化銅(CuCO・Cu(OH))を添加し、撹拌を1〜2時間続けて、銅との反応を終了させる。得られた式(I−3)の紫色のジスアゾ染料は、
【化25】

540nmの吸収極大を有しており、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウムを用いた塩析法によるか、又は別な方法として減圧下での蒸発法によるか、又は噴霧乾燥法によって単離することができる。
【0100】
たとえば綿の上で、反応性染料の場合に慣用される染色条件下では、それは、総合的に良好な堅牢性を有する紫色の染色物又は捺染物を与える。
【0101】
実施例4
20.5部の3−アミノ−4−メトキシ−ベンゼンスルホン酸を、80部の氷/水及び18部の30%強度の塩酸の中に懸濁させ、17.5部の40%強度の亜硝酸ナトリウム溶液を滴下により添加してジアゾ化させる。アミドスルホン酸溶液を用いて過剰の亜硝酸塩を除去してから、得られたジアゾ懸濁液を、69.1部の実施例1の記載に従って得られた式(16−1)の赤色モノアゾ染料の水溶液にポンプ注入する。次いで、炭酸ナトリウムを使用してpHを7〜8に設定し、20〜25℃に維持して、カップリング反応を終了させる。そのようにして得られた、式(13−3)の赤褐色のジスアゾ染料の水溶液を、
【化26】

(吸収極大:530nm)
次いで27.5部の硫酸銅(II)五水和物と混合し、pH3.5〜5.5で、還流温度(100〜102℃)で16〜24時間加熱する。
【0102】
紫色ジスアゾ染料(I−4)
【化27】

は、銅との反応が終了した後に生成し、552nmの吸収極大を有する。それは、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウムを用いた塩析法によるか、又は減圧下での蒸発法によるか、又は噴霧乾燥法によって単離することができる。
【0103】
そのようにして得られた本発明の染料は、反応性染料の場合に慣用される染色条件下では、たとえば綿の上で、総合的に良好な堅牢性を有する紫色の染色物又は捺染物を与える。
【0104】
実施例5〜67
以下の実施例において、実施例1〜4に従って調製することが可能な、さらなる本発明による一般式(I)の染料の説明をするが、それらはそれぞれ、ナトリウム塩(M=Na)の形態で与えられている。たとえば綿の上で、反応性染料の場合に慣用される染色方法に従えば、それらの染料は、紫色〜青色の染色を与える。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
【表6】

【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
【表9】

【0114】
【表10】

【0115】
【表11】

【0116】
【表12】

【0117】
染着例1
2部の実施例1により得られた染料と50部の塩化ナトリウムとを999部の水に溶解させ、さらに5部の炭酸ナトリウム、0.7部の水酸化ナトリウム(32.5%強度水溶液の形態)、そして必要があれば1部の湿潤剤を添加する。この染浴に100gの綿織布を加える。染浴の温度は最初の10分間は25℃に維持し、次いで、30分かけて最終温度(40〜80℃)まで上げ、その温度でさらに60〜90分間維持する。その後で、染色した品物を、飲料水を用いて2分間、次いで脱イオン水を用いて5分間水洗する。その染色した品物を、50%強度の酢酸を1部含む水溶液1000部中に40℃で10分間入れて中和する。これに続けて、70℃で脱イオン水を用いて水洗し、次いで、沸騰温度で15分間洗濯用洗剤を用いてセッケン洗いをし、再び水洗し、乾燥させる。これにより、極めて良好な堅牢性を有する、着色が強い青色の染色が得られる。
【0118】
染着例2
4部の実施例1の染料と50部の塩化ナトリウムとを998部の水に溶解させ、さらに5部の炭酸ナトリウム、2部の水酸化ナトリウム(32.5%強度水溶液の形態)、そして必要があれば1部の湿潤剤を添加する。この染浴に100gの綿織布を加える。さらなる処理は、染着例1に記載した通りである。これにより、極めて良好な堅牢性を有する、着色が強い青色の染色が得られる。
【0119】
染着例3
シルケット綿からなるシート状の織物構造物を、35g/Lのか焼炭酸ナトリウム、100g/Lの尿素及び150g/Lの低粘度のアルギン酸Na溶液(6%)を含む液でパジングし、次いで乾燥させる。液の付着率は70%である。
【0120】
このようにして前処理した織物を、以下のものを含む水性インキを用いて捺染するが、
2% 実施例1の染料
20% スルホラン
0.01% Mergal K9N
77.99% 水
ドロップ・オン・デマンド(バブルジェット)インクジェット印刷ヘッドを使用する。捺染物は完全に乾燥させる。102℃で8分間、飽和水蒸気の手段を用いて固着させる。次いでその捺染物を温水で水洗し、95℃の熱水で堅牢洗い(fastness wash)にかけ、温水で水洗し、乾燥させる。これにより、極めて良好な使用堅牢性を有する青色の捺染物が得られる。
【0121】
染着例4
シルケット綿からなるシート状の織物構造物を、35g/Lのか焼炭酸ナトリウム、100g/Lの尿素及び150g/Lの低粘度のアルギン酸Na溶液(6%)を含む液でパジングし、次いで乾燥させる。液の付着率は70%である。このようにして前処理した織物を、以下のものを含む水性インキを用いて捺染するが、
2% 実施例1の染料
15% N−メチルピロリドン
0.01% Mergal K9N
76.99% 水
ドロップ・オン・デマンド(バブルジェット)インクジェット印刷ヘッドを使用する。捺染物は完全に乾燥させる。102℃で8分間、飽和水蒸気の手段を用いて固着させる。次いでその捺染物を温水で水洗し、95℃の熱水で堅牢洗い(fastness wash)にかけ、温水で水洗し、乾燥させる。これにより、優れた使用堅牢性を有する青色の捺染物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表わされる染料。
【化1】

[式中、
及びRは互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド若しくはハロゲンであるか、又は−SO−Zの基であるが、ここで、
は、−CH=CH、−CHCHG、又はヒドロキシルであり、そして
Gは、ヒドロキシル又はアルカリ脱離可能な基であり:
は、(C〜C)−アルキル;スルホ、カルボキシル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、若しくはアセトアミドによって置換された(C〜C)−アルキル;フェニル;又は、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、ハロゲン、カルボキシル、アセトアミド、若しくはウレイドによって置換されたフェニルであり;
は水素であるか、又はRの定義の一つを有し;
fは、0又は1であり;
は、式(1)の基であるか、
【化2】

(ここで、
及びRは互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンであり;そして
は、水素又は、式−SO−Zの基であるが、ここでZは、Zの定義の一つを有する);
は、式(2)の基であるか、
【化3】

(ここで、
及びRは互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンであり;そして
はXの定義の一つを有する);又は
は、式(3)の基であるか、
【化4】

(ここで、
及びR10は互いに独立して、R及びRの定義の一つを有し;
11は、水素、(C〜C)−アルキル、又は非置換、若しくは(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、ハロゲン若しくはカルボキシルにより置換されたフェニルであり;そして
は、式(4)又は(5)又は(6)の基である
【化5】

(ここで、
Vは、フッ素又は塩素であり;
及びUは互いに独立して、フッ素、塩素又は水素であり;そして
及びQは互いに独立して、塩素、フッ素、シアナミド、ヒドロキシル、(C〜C)−アルコキシ、フェノキシ、スルホフェノキシ、メルカプト、(C〜C)−アルキルメルカプト、ピリジノ、カルボキシピリジノ、若しくはカルバモイルピリジノであるか、又は一般式(7)若しくは(8)の基である
【化6】

(ここで、
12は、水素、(C〜C)−アルキル、スルホ−(C〜C)−アルキル、非置換のフェニル、又は(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、スルホ、ハロゲン、カルボキシル、アセトアミド若しくはウレイドにより置換されたフェニルであり;
13及びR14は互いに独立して、R12の定義の一つを有するか、又は結合して、式−(CH−の基(ここで、jは4又は5である)若しくは式−(CH−E−(CH−の基(ここで、Eは、酸素、硫黄、スルホニル又は−N((C〜C)−アルキル)である)を形成し;
Wは、非置換のフェニレン;(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、カルボキシル、スルホ、塩素、及び臭素からなる群より選択される1個若しくは2個の置換基によって置換されたフェニレン;非置換のナフチレン;1個若しくは2個のスルホ基によって置換されたナフチレン;(C〜C)−アルキレンアリーレン;酸素、硫黄、スルホニル、−NH−、カルボニル、−CONH−、若しくは−CON(CH)−によって介在された(C〜C)−アルキレンアリーレン;(C〜C)−アルキレン;酸素、硫黄、スルホニル、−NH−、カルボニル、−CONH−、若しくは−CON(CH)−によって介在された(C〜C)−アルキレン;フェニレン−CONH−フェニレン;又はその1個又は両方のフェニレン基がそれぞれ、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、アミド、ウレイド、及びハロゲンからなる群より選択される1個若しくは2個の置換基によって置換されているフェニレン−CONH−フェニレン、であり;そして、
はZの定義の一つを有する)));又は
は、式(9)の基であり、
【化7】

(ここで、
15は、水素、(C〜C)−アルキル、アリール、又は、一連の(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、アミド、及びハロゲンからの、1個、2個若しくは3個の相互に独立した基によって置換されたアリールであり;
16及びR17は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンであり;
Aは式(10)の基であるか、
【化8】

(ここで、
18及びR19は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンである);又は
Aは一般式(11)の基であるか、
【化9】

(ここで、
20及びR21は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、スルホ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ウレイド又はハロゲンである);又は
Aは式(12)の基であり、
−(CR2223− (12)
(ここで、
kは1より大きい整数であり、そして
22及びR23は互いに独立して、水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、アミド、ハロゲン又はアリールである);そして、
はXの定義の一つを有する);そして
Mは水素、アルカリ金属又は1当量のアルカリ土類金属であり;
そして式(I)の染料には、一連の−SO−Z、−SO−Z、及びZからの少なくとも1個の繊維反応性基を含む]
【請求項2】
及びRが互いに独立して、水素、メチル、メトキシ、スルホ、又は式−SO−Zの基である、請求項1に記載の染料。
【請求項3】
がメチル又はスルホメチルであり、Rが水素又はメチルである、請求項1又は2に記載の染料。
【請求項4】
、Z、及びZが、ビニル、β−クロロエチル、又はβ−スルファトエチルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の染料。
【請求項5】
が、式(1)、(3)又は(9)の基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の染料。
【請求項6】
式(Ib)に合致するか、
【化10】

又は式(Ic)に合致する、
【化11】

[式中、R、R、R、R、R、X、Z、Z、M、及びfは、請求項1に示したように定義される]
請求項1〜5のいずれか1項に記載の染料。
【請求項7】
式(13)の化合物を、
【化12】

[式中、R24は、水素、ヒドロキシル又はメトキシであり、R〜R、D、f、及びMは、請求項1に示したように定義される]
銅(II)塩と反応させることを含む、請求項1に記載の式(I)の染料を調製するためのプロセス。
【請求項8】
式(18)の化合物を、
【化13】

[式中、R〜R、f、及びMは、請求項1に示したように定義される]
式(14)のアミンのジアゾ化化合物
−NH (14)
[式中、Dは、請求項1に示したように定義される]
と反応させることを含む、請求項1に記載の式(I)の染料を調製するためのプロセス。
【請求項9】
着色剤として、請求項1に記載の式(I)の染料を使用することを含む、カルボキサミド含有及び/又はヒドロキシル含有材料を染色又は捺染するためのプロセス。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)の染料を含む、インクジェットプロセスによってデジタル織物捺染をするための、インキ。

【公表番号】特表2012−515823(P2012−515823A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546761(P2011−546761)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050495
【国際公開番号】WO2010/086243
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(310020183)ダイスター・カラーズ・ドイッチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (11)
【Fターム(参考)】