説明

織物処理剤

織物処理剤、洗濯物処理剤または後処理剤および洗剤が、皮膚治癒および/または皮膚保護物質を、それで処理した織物を介して、この種の織物と皮膚との接触時に、皮膚に与えることができ、それによって、美容的または単に感覚的な側面を越えた種々の利益を皮膚に与える。また、本発明は、洗浄または織物乾燥法または織物処理法の範囲内の織物処理剤または洗濯物処理剤または後処理剤の使用、コンディショニング基材、および織物乾燥過程でのコンディショニング基材の使用を含むコンディショニング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物処理組成物、洗濯物処理または後処理組成物、洗濯用洗剤、ならびに、洗濯過程または織物乾燥過程または織物処理過程における織物処理または後処理組成物の使用に関する。本発明は、さらに、織物処理組成物を含んで成るコンディショニング基材ならびに織物乾燥過程においてコンディショニング基材を使用するコンディショニング方法に関する。本発明はさらに洗濯用洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2mまでの表面積を有する皮膚は、人体の最大の器官であり、種々の有害な環境作用にさらされている。敏感な皮膚を有する人の数および皮膚学的問題(過敏化による軽度の皮膚刺激、アレルギーから神経皮膚炎にまでわたる)が増加している。特に、ヒト皮膚は、日中および夜間のほとんどを、織物衣類と直接接しているのが普通であるので、織物は皮膚の健康に重大な役割を果たしていることが明らかである。
【0003】
織物処理組成物による織物衣類のこれまでの処理は、それによって処理される織物に関する種々の必要性、例えば、衛生、芳香または柔軟性を満たす。
【0004】
これに関して、織物衣類それ自体またはそれに残る残留物(例えば、洗浄操作後に織物構造中に残る残留物)が、皮膚にダメージを与えうることを考慮しなければならない。
【0005】
このような問題を減少させるために、例えば濯ぎ助剤を使用して洗濯用洗剤残留物を除去し、より良好な皮膚適合性を有する織物を得る場合もある。例えば、独国特許DE 19923303 C2は、ある最少量のクエン酸、乳酸、シクロデキストリンおよびアスコルビン酸を含んで成り、より良好な皮膚適合性を有する織物を得るのに適する濯ぎ助剤を開示している。
【0006】
さらに、皮膚に美容的または純粋に感覚的な利益を与える物質であって、皮膚と織物との接触時に皮膚に放出される物質を使用して、織物を仕上げ処理するさらなる可能性も存在する。1つのそのような方法は、例えば、これらの物質が、通常の織物処理の間に、例えば織物柔軟化の間に、織物繊維に移動するように、該物質で織物処理組成物を仕上げ処理することであり、その場合、織物繊維は一時的な受容体(host)として働き、接触時に該物質を皮膚に移動させる。
【0007】
これに関して、欧州特許EP0789070は、織物柔軟剤組成物を開示し、例えばシリコーン形態のスキンケア成分を開示している。洗濯物をこのような織物柔軟剤組成物で処理し、次に、この洗濯物を皮膚と多く接触させた場合に、微量の上記成分および/または微量のシリコーンが皮膚に見い出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景に対して、本発明の目的は、織物処理および/またはコンディショニングのための組成物であって、該組成物で処理された織物を、従来の組成物で処理された織物よりも、皮膚学的問題に関連する皮膚の健康に対して問題が少ないものにすることができ、それによって、例えば、皮膚と処理織物との接触後の皮膚刺激のリスクをさらに増加させず、むしろどちらかと言えば減少させることができるか、または既に炎症を起こしたかまたは過敏化した皮膚が、処理織物との接触によってさらにダメージを受けないようにすることができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、1つまたはそれ以上の皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質を含んで成ることを特徴とする織物処理組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の目的物は、多くの利益を与える。洗濯物処理組成物が、例えば直接的または間接的に皮膚の健康にさらに貢献することにより、全体的および多機能的に、特別の機能をも呈することは有利である。このような織物処理組成物は、洗濯用洗剤または織物柔軟剤のような従来の織物処理組成物を補助するものと理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実際に、織物処理中に、皮膚の健康を考慮するのが有利である。本発明の目的は、皮膚機能性の洗濯物処理組成物(これで処理した織物と接触する皮膚の健康に積極的に寄与する組成物)による織物衣類の処理を可能にすることである。
【0012】
このように、皮膚再生の刺激、皮膚生理の補助または皮膚バリヤ機能の強化の形態で、積極的スキンケアを、織物処理に実際に導入するという概念を追求するのが有利である。さらに、このように処理した織物によって、皮膚がその自然の保護酸外皮を再生するかまたは無傷に維持するのを助けるのが有利である。皮膚表面のpHは、汗の分泌、細菌叢および脂肪組成に依存する。皮膚の領域によって異なるが、pHは4〜7であり、健康な皮膚の場合は特に約5.5である。
【0013】
従って、皮膚が充分な水分を保持するのを助けるのが有利である。さらに、織物から皮膚に治癒活性物質を供給するのが有利である。
【0014】
このように、健康なおよび/または炎症を起こしたおよび/または過敏化したおよび/またはそれ以外のダメージを受けた皮膚の維持および/または予防的処置を可能にするのが有利である。
【0015】
このようなまたは他のどのような理論にも縛られるものではないが、本発明に従って処理した織物と皮膚との接触時に、該織物が、1つまたはそれ以上の皮膚維持または皮膚治癒組成物を皮膚に少なくとも部分的に放出し、放出された物質によってヒトの自然皮膚微生物叢が損なわれず、むしろ、それら自身の調整力が有利な方法で維持されると出願人は推定する。
【0016】
本発明において、「皮膚の健康に貢献する」という用語は、単なる美容的スキンケアまたは感覚的知覚を明らかに超えた作用を意味する。
【0017】
本発明において、「皮膚治癒」という用語または「皮膚治癒」という性質は、健康なヒト皮膚の状態を参考にして最も簡単に定義することができる。健康なヒト皮膚は、その無傷の酸外皮;微生物、細菌および病原菌に対する充分な保護;有害作用物の周囲の流体を退けるのに充分な緩衝能力およびアルカリ中和能力;赤味がないこと;および、切り傷、擦過傷および火傷のような皮膚損傷、刺激、炎症およびアレルギーがないこと;を特徴とし、ひび割れがなく乾燥もしていない。さらに、健康な皮膚は、脂肪、水および血液の貯蔵機能、ならびに代謝における重要な役割を担っている。皮膚が、上記の機能を果たせないか、または皮膚が明らかな損傷を示すか、または皮膚がかゆみを有する場合、皮膚はもはや健康とは言えない。従って、本発明において、皮膚治癒とは、皮膚がその元の状態に戻るのを助けるあらゆることである。これに関して、皮膚治癒は、皮膚の自己調整力を刺激し、養成し、維持し、促進し、それによってその自然の平衡状態に戻すことによりその機能を果たしうるようにするあらゆることをも包含する。本発明において、「皮膚治癒」という用語は、明らかな皮膚損傷(例えば、種々の重症度の湿疹、発疹、赤味、かゆみ、腫れ、水疱形成、滲出および瘡蓋を、完全に治癒しないにしても、少なくとも軽減させるあらゆる作用も意味するものと理解される。
【0018】
次に、「皮膚保護」という用語は、特定のストレス状況下で、皮膚の機能に関係した皮膚の通常性能を維持するのに必要とされ、皮膚自身の保護メカニズムを超えたあらゆるものを意味するものと理解される。従って、この用語はスキンケアとは明らかに異なる。その理由は、スキンケアは、通常条件下で、感覚的要求に関する美容的利益、例えば柔軟性または艶を与えるにすぎないからである。しかし、皮膚保護は、例えば不利な悪条件下でも、皮膚が種々の機能を果たすのを補助する追加の組成物を使用して、皮膚を維持する。そのような不利な条件は、例えば、摩擦、寒さ、暑さ、紫外線、攻撃的周囲流体、皮膚刺激物質との接触である。
【0019】
完全を期すために、本発明において、「織物」、「織物繊維」および「洗濯物」という用語は、全ての考えうる織物繊維およびそれから製造される織物だけでなく、非付形構造物、例えば、植物または動物または鉱物起源の天然繊維、および天然および合成ポリマーから製造した合成繊維とも称される人造繊維、および無機物質をも意味することが明記されるべきである。これらの繊維類のうち最も重要なのは、下記の繊維である(アルファベット順):アセテート、アルファグラス(alfa grass)、アルギン酸繊維、アルパカ、アンゴラ、アラミド、アスベスト、ラクダ、カーボン、カシミヤ、牛毛、セルロース、ココナッツ、綿、キュプラ、エラステイン、ゴム糸、フィキュー、亜麻、フッ素系繊維、ガラス、ヤギ毛、ガナコ、大麻、ヘネケン、馬毛、ジュート、カポック、ケナフ、リネン、ライブウール(live wool)、マニラ麻(アバカ)、金属、モダクリル、モダル、モヘヤ、ニューサイラン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、兎毛、ラミー、ローゼル、ゴム、絹(桑絹)、サイザル麻、インド麻、トリアセテート、ターサーシルク、ボンテンカ、ビキューナ、ビスコース、ウール(羊毛)、ヤク。選択された合成繊維、例えば、ポリアミドまたはポリエステルおよび他の多くの繊維に加えて、本発明の織物処理組成物を使用して処理するのに極めて適する繊維は、特に、綿、セルロース繊維、ジュート、ウール、亜麻、サイザル麻、大麻、絹である。他の全ての繊維も、本発明における処理に極めて適している。
【0020】
狭義の本発明において、織物は、衣類の目的を果たすもの、または通常は皮膚と接触することが多いもの、例えば、ハンドタオル、ハンカチ、寝具等を意味する。しかし、衣料工業の製品だけでなく、他の全ての織物構造物も本発明に従って処理しうることが強調されるべきである。但し、これらの織物構造物は、ヒト皮膚に接触したときに、少なくとも微量の、本発明の意味における皮膚治癒および/または皮膚保護活性物質を、皮膚に放出しうるものであることが条件である。即ち、最も広義には、本発明に関する「織物」という用語は、例えば、カーペットおよび他の家屋内織物、ならびに工業的目的を果たす織物構造物をも包含する。また、処理しうる織物は、考えうる全ての非付形構造物、例えばフロック、線構造物、例えば、トワイン、ヤーン、糸(lines)、ブレード、コード、加工糸(threads)、ならびにシート状または立体構造物、例えば、フェルト、織布、不織布および詰め物をも包含する。
【0021】
本発明において、「織物」という用語は、特に衣料を目的とした紙、ボール紙および板紙をも包含する。
【0022】
好ましい態様において、このような物質または活性物質は、それらが殺菌作用を有する場合に特に有利である。
【0023】
本発明において、「殺菌活性」という性質は、ヒト皮膚の自己調整力に役立つ作用を意味する。この活性の程度は、従来の殺細菌または殺菌組成物、例えば、フェノール、ハロゲンまたはアルコール[これらは、例えば、皮膚および粘膜、創傷または医療器具を処理して、無菌状態(細菌の不存在)を得るのに使用される]と比較することはできない。
【0024】
従来の殺菌法は、可能性のある感染の発生場所または入口地点、または体表の感染巣における抗細菌法を包含する。
【0025】
しかし、本発明に関しては、そのような強い効果は必要ではない。その理由は、それは有害な微生物等を確実に除去しうるが、ヒトの自然皮膚微生物叢をも損なうからである。
【0026】
本発明に従って使用しうる殺菌活性物質の特に有利な点は、これらの物質とヒト皮膚の一般的機能メカニズムとの相乗的相互作用から生じる。なぜなら、該メカニズムは、穏やかな殺菌物質(mild antiseptic substances)、例えば有害微生物を包含する微生物を減少させるが、それらを、完全に、即ち微生物が存在しなくなる程度にまで除去することはないからである。このようにして、ヒト皮膚の自己調整力を養成し、それによって該調整力を強化するのに充分な細菌が皮膚に残る。皮膚の自己調整力と、組成物に存在する活性物質の抗細菌能力との相互作用は、皮膚の一般的機能メカニズムを維持させる。これは、既に炎症を起こした、および/またはそれ以外のダメージを受けた皮膚に対して、明らかに極めて有利である。既に炎症を起こした、および/または過敏化した、および/またはそれ以外のダメージを受けたか、または特に敏感な皮膚の場合、一時的なものとはいえ、皮膚の自己調整力だけでは皮膚の健康を確実にできない場合がある。本発明の組成物との相乗的相互作用および該組成物の使用において、自己調整力が維持され、養成され、強化される。
【0027】
このようにして、織物処理組成物、またはそれで処理された洗濯物は、皮膚の自然皮膚微生物叢を維持する。
【0028】
ヒトの自然皮膚微生物叢を損なわないためには、強い消毒または殺菌作用を有するが、それと同時に、高アレルギー化潜在力を有し、皮膚および粘膜を刺激する物質、例えばグルタルアルデヒドを排除する(ほぼ実質的に)のが重要である。
【0029】
意外にも、このような態様の組成物は、殺菌物質が油、好ましくは精油である場合に、そのような目的に特に適している。
【0030】
この殺菌性の油は、特に下記の群から選択される精油であるのが好ましい:アンゲリカ・ファイン(fine)−Angelica archangelica、アニスの実−Pimpinella Anisum、ベンゾイン・シアム(siam)−Styrax tokinesis、カブレウバ(cabreuva)−Myrocarpus fastigiatus、カヤプト−Melaleuca leucadendron、ロックローズ−Cistrus ladaniferus、コパイバ・バルサム−Copaifera reticulata、モッコウの根−Saussurea discolor、エゾマツの針状葉−Abies alba、エレミ−Canarium luzonicum、ウイキョウ−Foeniculum dulce、トウヒの針状葉−Picea abies、ゼラニウム−Pelargonium graveolens、ホー(ho)の葉−Cinnamonum camphora、イモルテル(永久花)−Helichrysum ang.、ショウガエキス−Zingiber off.、オトギリソウ−Hypericum perforatum、ホホバ、ジャーマン・カモミール−Matricaria recutita、ブルー・カモミール・ファイン−Matricaria chamomilla、ローマン・カモミール−Anthemis nobilis、ワイルド・カモミール−Ormensis multicaulis、ニンジン−Daucus carota、モンタナマツ−Pinus mugho、ラバンジン(lavandin)−Lavendula hybrida、リトシー・クベバ(litsea cubeba)−(May Chang)、マヌーカ−Leptospermum scoparium、メリッサ−Melissa officinalis、カイガンショウ−Pinus pinaster、ミルラ−Commiphora molmol、ミルテ−Myrtus communis、ニーム−Azadirachta、ニアオウリ(niaouli)−(MQV)Malaleuca quin. viridiflora、パルマ・ローザ(palma rosa) −Cymbopogom martini、パチョリ−Pogostemon patschuli、ペルー・バルサム−Myroxylon balsamum var. pereirae、ラベントサラ・アロマティカ、ローズウッド−Aniba rosae odora、セージ−Salvia officinalis、トクサ−Equisetaceae、ノコギリソウ−Achillea millefolia、ヘラオオバコ−Plantago lanceolata、エゴノキ−Liquidambar orientalis、マンジュギク(マリーゴールド)−Tagetes patula、ティーツリー−Malaleuca alternifolia、トルー・バルサム−Myroxylon Balsamum L.、バージニア・シーダー−Juniperus virginiana、インセンス(オリバナム)−Boswellia carteri、ベイモミ−Abies alba。
【0031】
上記精油の他の利点は、それら特有の多機能性であり、該多機能性は、上記の穏やかな殺菌活性からだけでなく、明らかにこれらの油に起因する多くのさらなる望ましい感覚刺激性(organoleptic properties)からも生じる。多くの場合、粘液放出作用はこれらの油に起因する。なぜなら、これらの油は呼吸器官の粘膜に穏やかな正の刺激を与えるからである。さらに、望ましい温かい感覚も得ることができる。上記した油の本発明の使用に関して、脱臭作用、緩和作用、灌流促進作用、リラックス作用が出願人によって観察され、特に有利であることがわかった。これら油の感覚刺激性は、一般に、主成分によって形成されるのではなく、むしろ、二次的または微量の成分によって形成される。このような二次的なまたは微量の成分は、数百も存在する場合が多く、相乗的に作用する場合もある。上記した油に関連する他の利点は、それらの調和した芳香および匂いであり、それは多くの場合、ヒトに肯定的な感情をもたらす。
【0032】
このように、織物処理組成物またはそれで処理された洗濯物は、ヒトの自然皮膚微生物叢を維持するだけでなく、人体が、上記した種類の追加の利益を得るのを助ける。
【0033】
この背景に対して、特にティーツリー油は、本発明の目的物に極めて有利である。その顕著な殺菌作用、消毒作用、殺真菌作用、抗ウイルス作用、創傷治癒作用、炎症抑制作用、瘢痕促進作用に加えて、該油は、顕著な皮膚適合性を有し、また、例えばカゼまたはリウマチ性疾患、痛風、筋肉痛の持続治療に関連して、さらに広い範囲に及ぶ使用スペクトルを与える。
【0034】
他の特定の態様において、皮膚保護物質を使用する。この皮膚保護物質は、皮膚保護油、例えば担体油であるのが有利であり、特に下記の群から選択される:藻類油(Oleum Phaeophyceae)、アロエ・ベラ油(Aloe vera brasiliana)、杏仁油(Prunus armeniaca)、アルニカ油(Arnica montana)、アボカード油(Persea americana)、ルリヂサ油(Borago officinalis)、キンセンカ油(Calendula officinalis)、ツバキ油(Camellia oleifera)、アザミ油(Carthamus tinctorius)、落花生油(Arachis hypogaea)、大麻油(Cannabis sativa)、ヘーゼルナッツ油(Corylus avellana)、オトギリソウ油(Hypericum perforatum)、ホホバ油(Simondsia chinensis)、ニンジン油(Daucus carota)、ヤシ油(Cocos nucifera)、パンプキンシード油(Curcubita pepo)、ククイナッツ油(Aleurites moluccana)、マカダミアナッツ油(Macadamia ternifolia)、アーモンド油(Prunus dulcis)、オリーブ油(Olea europaea)、桃仁油(Prunus persica)、ナタネ油(Brassica oleifera)、ヒマシ油(Ricinus communis)、ブラッククミン油(Nigella sativa)、ゴマ油(Sesamium indicum)、ヒマワリ油(Helianthus annus)、グレープシード油(Vitis vinifera)、クルミ油(Juglans regia)、麦芽油(Triticum sativum)。これらの中で好ましい油は、特に、ルリヂサ油、大麻油およびアーモンド油である。
【0035】
列挙した全ての油は、天然の皮膚軟化剤、即ち、体組織をより滑らかにかつより柔軟にし、皮膚の荒さを減少させる物質である。従って、これらの油は、第一にスキンケア作用を有する。第二に、これらの油は明らかに他の特定作用を有し、該作用は、皮膚およびその自己調整力との相乗的相互作用を含み、不利な条件下でも保護を可能にする。
【0036】
本発明において特に好ましい油の例は、大麻油である。高比率の必須脂肪酸および6重量%までの有益γ-リノレン酸(GLA)を含有する大麻油は、さらに、抗炎症作用を有し、穏やかな鎮痛性であり、治癒およびケア作用を有し、皮膚構造を向上させ、老化の発現を妨げる。大麻油は、組織における再生過程を増進し、損傷した組織において高度再生作用を有する。さらに、大麻油は、他の油、特に本明細書に明示した全ての油の、ケア特性または他の特性を増加させることもできる。必須脂肪酸は、皮膚からの水分の経皮損失を調節および正常化するのを助けるので、皮膚のバリヤ機能の維持において極めて重要な役割を果たす。従って、大麻油は、その高GLA含有量の結果として本発明において特定の役割を果たす。なぜなら、GLAによる局所的処理は、乱れた経皮水分損失の現象において、経皮水分損失を最も強力に減少させるからである。さらに、大麻油は、動脈硬化、慢性関節リウマチ、糖尿病性神経障害および心臓病に対して、人体にプラスの作用を示す。
【0037】
本発明において同様に好ましい油はルリヂサ油である。
ルリヂサ油は、その高GLA含有量(25重量%まで)により、大麻と同等の特性および利点を有する。
【0038】
好ましい態様において、本発明の織物処理組成物は、GLAの最少含有量が0.1重量%、好ましくは0.3重量%、より好ましくは0.5重量%である皮膚治癒活性物質を含んで成る。このような物質には、例えば、ブラッククミン油、イブニングプリムローズ油、エキウム油、トリコデスマ(trichodesma)油、およびクロフサグリ仁油も含まれる。
【0039】
同じく好ましい油はアーモンド油である。アーモンド油は、他の油の作用を強化しうることに注目すべきであり、それによりアーモンド油は他の油と組み合わせて使用するのが有利である。
【0040】
本発明の他の態様において、異なる油を組み合わせるのが有利である。即ち、殺菌作用を有する油と皮膚保護作用を有する油とを組み合わせるか、または、殺菌作用を有する油を相互に、および皮膚保護作用を有する油を相互に、組み合わせるのが有利である。
【0041】
好ましい態様において、織物処理組成物は、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%の、1つまたはそれ以上の皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質または油または精油を含有し、少なくとも20重量%、特に25重量%より以上、さらには30重量%以上の、1つまたはそれ以上の皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質または油または精油が織物処理組成物中に存在する場合にさらに有利である。
【0042】
好ましい態様において、織物処理組成物は染料不含である。染料は一般に、明らかなアレルギー化の潜在性を有するので、染料を含有しないのが特に有利である。さらに、多くの染料に対してアレルギー反応を示す人が多い。従って、アレルギー化の潜在性を減少させるために、本発明の組成物の染料含有量を最少限にし、さらには染料不含にするのが好ましい。例えば視覚的理由から、染料が必要とされる場合は、一般的な着色剤、例えば顔料、好ましくは有機染料を使用する。有機染料は、本発明において、より皮膚適合性であることがわかっている。着色剤含有量は、好ましくは、組成物の0.002重量%未満であり、特に0重量%である。
【0043】
好ましい態様において、織物処理組成物は、固体、分散、粉末、圧縮または微粒形態にあるが、好ましくは液体形態、特に乳化形態にある。
【0044】
他の態様において、織物処理組成物は非水性形態にある。本発明において、非水性形態とは、組成物に基づいて15重量%未満の含水量、好ましくは10重量%未満、より好ましくは8重量%未満の含水量を意味するものと理解され、特に6重量%未満の含水量が好ましいが、組成物に基づいて2〜0.001重量%の含水量がとりわけ好ましい。
【0045】
組成物の含水量を減少させる利点は、織物処理組成物の成分を、濃縮した形態、従ってより有効な形態での適用に使用することができ、組成物が、より優れた加工性、例えば乳化性を有することである。
【0046】
他の好ましい態様において、織物処理組成物はどのような追加の芳香剤または芳香油をも含有しない。大部分の芳香剤または芳香油は、これらが本発明における皮膚治癒および/または皮膚保護活性物質でなければ、本発明を損なうアレルギー化の潜在性を有するので、このことは特に有利である。さらに、多くのそのような芳香剤および/または芳香油に対して明らかなアレルギー反応を示す人が多い。
【0047】
本発明の組成物は、上記の匂い物質を含有しないのが好ましいが、本発明の皮膚治癒活性物質およびこれらに固有の香りのみからは得ることができない特に心地よい芳香を生成させるのが必要とされることもある。従って、好ましい態様において、本発明における皮膚治癒および/または皮膚保護活性物質ではないそのような匂い物質を、本発明の組成物に少量で添加することができる。この場合、これら追加の匂い物質は、どのようなアレルギー反応をも起こさないことを確実にすべきである。
【0048】
通常の香料、匂い物質および/または芳香油は、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成物である。エステル型の匂い化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、シクロヘキシルプロピン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルは、例えばベンジルエチルエーテルであり;アルデヒドは、例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびブルゲオナール(bourgeonal)であり;ケトンは、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンであり;アルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールを包含し;炭化水素は、リモネンおよびピネンのようなテルペンを主に包含する。芳香油は、植物源、例えば、パイン油、ムスカテル、チョウジ油、シナモンリーフ油、ライムブロッサム油、トショウシ油、ベチバー油、ガルバヌム油およびラダナム油、ならびにオレンジブロッサム油、オレンジピール油から得られる天然の匂い物質混合物を含んでいてもよい。しかし、これら後者の油は、本発明における皮膚治癒性および/または皮膚保護性の油ではない。
【0049】
特に好ましい態様において、織物処理組成物は、後処理組成物、好ましくは濯ぎ後組成物である。
後処理組成物とは、その後の織物処理のための実際の織物洗浄後にのみ使用される組成物であると理解される。濯ぎ後組成物とは、実際の織物洗浄後にのみ液体に添加され、酸性媒体において適用するのが好ましい組成物を意味するものとごく普通に理解される。従って、このような濯ぎ後組成物は、通常は、実際の洗浄液と共に除去されないように、最後の濯ぎサイクル後にのみ液体に接し、濯ぎ中に残存するかまたは何らかの作用を生じることがない。濯ぎ後組成物の適切な適用は、手で、即ち、濯ぎ後組成物を独立した組成物として後に手で添加することによって行なうことができる。しかし、適切な適用を、制御放出メカニズムによって行なうこともできる。ここで、制御放出メカニズムとは、活性物質の時間制御放出を意味する。このような活性物質放出の制御は、種々のパラメーターによって行なうことができる。例えば、該活性物質を、感受性材料、好ましくは、ポリビニルアルコールとセルロースエーテル(メチルヒドロキシセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)との混合物で被覆することができる。
【0050】
この場合、ある種のパラメーターの関数として、各被覆材料の特徴的溶解挙動を利用する。溶解挙動は、時間、温度、pH、イオン強度、機械的応力または対応するパラメーターの関数であってよい。濯ぎ後組成物を適用する場合、pH感受性であるが、熱的に強い被覆材料を選択するのが適切である。このようにして、洗濯サイクルの終了時にpHをアルカリ性から酸性範囲に変化させ、それによって被覆材料を溶解させることにより、濯ぎ後組成物を放出させることができる。
【0051】
本発明を実施するために、特定の織物が少なくとも一時的または部分的に織物処理組成物に接触するようにして、任意の種類の洗濯物または織物を適切な織物処理組成物で処理する。このような接触は、通常の洗濯処理、例えば、機械洗濯、織物柔軟化、手による洗濯、機械乾燥の間に起こりうる。好ましくは、織物処理組成物を後処理組成物として使用する。即ち、それを、洗浄後の濯ぎ後組成物として洗濯機に入れることができ、コンディショニング基材(substrate)の形態で洗濯物乾燥機に入れることができ、あるいはそれ以外に、既に洗濯され完全に乾燥された織物を個々に後処理することができる。個々の織物の独立した処理については、種々の方法、例えば、スプレーアプリケーターの使用による吹付、または適切な処理浴への織物の導入を使用することができる。アイロンがけの間の吹付適用または蒸気適用によって、織物処理組成物を適用することもできる。適用後に織物処理組成物が織物に少なくとも部分的に残りうるように、織物処理組成物と織物とを何らかの方法で接触させることが必要であるにすぎない。
【0052】
好ましい態様において、本発明の組成物は、特に、該態様において記載した物質が織物処理後に少なくとも部分的に織物に残存し、皮膚と織物との接触時に皮膚に部分的に放出される場合に、本組成物の目的に適している。上記の物質が、織物と皮膚との接触時に、少なくとも微量でも、皮膚に移動することが重要であるにすぎない。従って、本発明の他の好ましい態様は、組成物による織物処理の過程で皮膚治癒および/または皮膚保護活性物質が織物へ移動することを特徴とする織物処理組成物の態様であり、該組成物は、織物に少なくとも部分的に残存し、織物が皮膚と接触する際に織物から皮膚に少なくとも部分的に放出される。
【0053】
本発明において皮膚治癒および/または皮膚保護物質が織物繊維に部分的に残存することは、下記の2つの理由から好都合であると考えられる。
【0054】
第一の理由は、ある繊維種の直接的な皮膚不適合性の結果として、皮膚学的問題が生じる場合があることである。皮膚治癒物質が繊維に部分的に残存する結果として、繊維と素肌との接触が減少し、従って、皮膚治癒物質は、広い意味で繊維被覆剤であると理解することができる。
【0055】
第二に、最近の洗濯用洗剤は、比較的低い洗濯温度でも、顕著な視覚的洗浄効果を得ることを可能にしている。洗濯温度の低下の結果、より高い温度で死滅する天然ヒト皮膚微生物叢に有害なある種の微生物が、洗浄サイクルを生き残ると推測することができる。繊維上の皮膚治癒物質の殺菌成分が、この問題を防止する。
【0056】
好ましい態様において、本発明の組成物は、尿素および/またはその誘導体をさらに含んで成る。尿素および/またはその誘導体は、抗微生物作用を有し、水と結合し、かゆみを緩和し、皮膚剥離を緩和し、皮膚を滑らかにし、かつ過剰細胞増殖を阻害しうるので、皮膚の健康を促進する。さらに、これらは、加湿要素として皮膚に作用することができる(即ち、皮膚が水分を保持するのを補助することができる)。
【0057】
さらに好ましい態様において、本発明の組成物は、乳酸および/またはクエン酸および/またはそれらの塩をさらに含んで成る。これら2種類の皮膚に優しい酸および/またはそれらの塩は、特に、皮膚の天然の酸保護外皮およびヒドロリピド皮膜(hydrolipid film)を維持し、再生させる作用をする。皮膚のヒドロリピド皮膜は、アルカリ作用によって攻撃されるかまたは破壊され、その結果、皮膚のバリヤ機能が損なわれ、それによって微生物または有害物質がより容易に皮膚に侵入することができる。本発明の組成物中の乳酸および/またはクエン酸は、例えば、衣類から残留アルカリを除去し、織物のpHを約5に調節することができる。追加の乳酸(これは、いずれにしても表皮の成分である)は、皮膚の酸性pH(pH約5.2)に追加の安定化作用を有し、皮膚の水結合能力を向上させることができるので加湿要素として作用する。さらに、乳酸は、皮膚を滑らかにする作用を有し、皮膚薄片の剥離を補助する。
【0058】
他の態様において、織物処理組成物のpHは、20℃の温度、特に織物処理組成物の1%水溶液で測定して4〜6.5である。これは、健康なヒトの皮膚のpHに相当する。
【0059】
皮膚の表面は、大汗腺の領域において、例えば生殖器領域および腋窩において、わずかに弱酸性(pH5.5〜6.5)であるので、これらの領域における微生物または細菌に対する防御力は明らかに低く、従って、20℃の温度で測定した織物処理組成物のpHが5.5以下である場合に本発明において特に有利である。
【0060】
織物処理組成物のこのpH範囲のさらなる利点は、身体衛生に関して見られる。身体を石鹸で洗う場合、洗った皮膚のpHは約9に増加し、従って、皮膚の天然保護外皮は、著しく損なわれている。皮膚は、その自己調整力によって、酸性pHに回復することができる。しかし、この過程は最大3時間を要するが、一般的には少なくとも30分である。これは、皮膚のタイプによって異なり、例えば小児では非常にゆっくり進行する。
【0061】
このようなpH範囲は、特に敏感皮膚の人、例えば乳児または小児、または皮膚トラブルを既に有している人、例えばアレルギー患者に対して特に有利である。例えば、乳児の皮膚は、成人の皮膚よりかなり薄い。乳児の皮膚の脂肪産生も明らかに少なく、不充分なバリヤ機能および極めて薄いヒドロリピド皮膜を有するにすぎない。このような場合、本発明の織物処理組成物が特に必要とされる。
【0062】
上記pHを有する織物処理組成物の利点は、それで処理した織物が、皮膚と接触する織物(例えば、皮膚至適pHを有する乾燥用タオルまたは下着)により、そのアルカリ中和能力に関連して、皮膚の自己調整力を維持する能力である。
【0063】
このようにして、織物処理組成物およびそれで処理した洗濯物は、ヒトの天然皮膚微生物叢を維持する。
【0064】
上記の特定の加湿要素に加えて、本発明の組成物は、好ましい態様において、例えば下記の群から選択される他の加湿要素を含有することができる:アミノ酸、キトサンまたはキトサン塩/誘導体、エチレングリコール、グルコサミン、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、尿酸、ハチ蜜および水素化ハチ蜜、クレアチニン、コラーゲンの切断生成物、ラクチトール、ポリオールおよびポリオール誘導体(例えば、ブチレングリコール、エリトリトール、プロピレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、例えば、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、PEG-20)、ピロリドンカルボン酸、糖および糖誘導体(例えば、フルクトース、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、ソルビチルシランジオール、スクロース、トレハロース、キシロース、キシリトール、グルクロン酸およびその塩)、エトキシル化ソルビトール(ソルベス-6、ソルベス-20、ソルベス-30、ソルベス-40)、水素化デンプン水解物、および水素化小麦タンパク質とPEG-20アセテートコポリマーとの混合物、特にパンテノール。
【0065】
好ましい態様において、本発明の織物処理組成物は、織物柔軟剤として作用する。この場合、組成物は少量の第四アンモニウム化合物、例えばエステルクアットを含んで成るのが好ましい。しかし、本組成物は第四アンモニウム化合物、例えばエステルクアットを、成分として全く含有しないのが好ましい。エステルクアットは、疎水基がエステル結合によって四級化ジもしくはトリエタノールアミンまたは類似化合物に結合している第四アンモニウム化合物である。エステルクアットおよび第四アンモニウム化合物を実質的ないし完全に含まないことの利点は、それらの作用原理に起因する。第四アンモニウム化合物またはエステルクアットの使用によって得られる特徴的柔軟性は、これらの物質の織物繊維への付着によって生じる。しかし同時に、これは、ある条件下で、繊維の吸収性および水取込みを減少させる。ヒトの汗が、皮膚表面から織物繊維を介して充分に輸送されない可能性があり、むしろ、湿った汗皮膜の形態で皮膚に残る場合があり、これは皮膚の健康に有害である。水分の蓄積が体熱と組み合わさると、湿疹または真菌類形成が生じやすくなるか、または少なくとも湿疹性または真菌性疾患を生じやすい環境を形成する。組成物の第四アンモニウム化合物含有量またはエステルクアット含有量を実質的ないし完全に減少させた場合は、吸収性および水取込み能力がこれらの物質によって減少しない。
【0066】
しかし、好ましい態様において、織物処理組成物は、非イオン性織物柔軟剤、例えばシリコーン油を含んで成ることができる。
【0067】
本発明の織物処理組成物の特に有利な点は、好ましい態様において、第四アンモニウム化合物またはエステルクアットを実質的にまたは全く含有しないにもかかわらず、それが織物柔軟剤として機能することである。
【0068】
これは、既に記載したかまたは下記に記載する本発明の織物処理組成物の成分のいくつか、例えば、アーモンド油、大麻油のような種々の油、クエン酸および/または乳酸が、繊維柔軟化特性を有するか、または織物を柔軟化させるような活性を有することに起因すると考えられる。
【0069】
他の好ましい態様において、本発明の織物処理組成物は、易アイロン剤および/またはシワ減少剤、例えば、本明細書の他の部分に記載する薬剤を含んで成る。この態様の利点は、易アイロン作用およびシワ減少作用がアイロンがけ時間を短縮させ、それによって、本発明の織物処理組成物の有用成分が、アイロンがけの間に過度に長い熱応力に暴露されず、従って、その充分な作用を保持することである。
【0070】
他の好ましい態様において、界面活性剤の追加の作用を任意に使用して、織物処理組成物を、例えば吸着力によって、高分子基材に可逆的に固定し、それによって、治癒活性物質の遅延放出を可能にすることができる。このようにして、著しく炎症を起こした皮膚を有する消費者に特に有益な、より長い持続作用を得ることができるので、これは特に有利である。例えば比較的少ない投与量において、治癒物質を長期間にわたって連続的に皮膚に放出させることによって、高炎症皮膚の自己調整力の特に敏感な平衡に、極めて慎重な持続性の方法で介入することができる。治癒物質の作用は極めて穏やかであるので、その有効性にもかかわらず、既に高度に炎症を起こしている皮膚に過度の負担をかけない。
【0071】
特に好ましい高分子物質は、ケイ酸エステルの群に属する。しかし、この物質は、考えうるあらゆる他の物質であってもよく、唯一の条件は、それを本発明において使用した場合に、それが、皮膚にどのような有害作用または刺激作用も与えずに、活性成分の遅延放出を可能にすることである。
【0072】
他の好ましい態様において、織物処理組成物は、治癒活性物質に加えて、1つまたはそれ以上の脱臭活性成分を含んで成る。
【0073】
これに関して、既に記載した油の多くは、脱臭作用をも同様に有することに注目すべきである。1つまたはそれ以上の脱臭活性成分を本発明の織物処理組成物に添加する特別な利点は、これらの活性成分が、上記の油と共に、脱臭効果に関して相乗的であるために、特に強化された作用をもたらすことである。これに関して、作用様式の唯一の側面は、悪臭または不快臭の遮断から成る。皮膚と処理された織物との接触によって生じる皮膚への組成物の作用に関連して、本発明の治癒活性物質と添加した脱臭活性成分との相乗的相互作用ならびに自己調整力に基づく追加の作用が生じ、それによって、悪臭の徴候だけでなく、この臭気の原因も除去される。その原因は、一般に、皮膚または毛髪または陰毛領域に、様々な数でコロニーを形成する細菌である。これらの細菌は、例えば体汗からのタンパク質および脂肪を、悪臭硫黄化合物に分解することができる。これらの細菌は、上記要素の相乗的相互作用によって、効果的に阻止される。
同時に、皮膚の自己調整力が刺激され養成される。
【0074】
好ましい態様において、織物処理組成物は、エマルジョンの形態、特にミクロエマルジョンの形態で存在する。エマルジョンは、少なくとも2つの不混和液の分散系であり、1つの相は、他の連続相に分散した微細液体粒子の形態にある。マクロエマルジョンとミクロエマルジョンの区別があり、本発明は、両方の種類のエマルジョンを包含する。しかし、ミクロエマルジョンが特に有利である。
【0075】
ミクロエマルジョンの1つの利点は、活性成分が、マクロエマルジョンの分散相におけるより実質的にさらに微細に、分散相に分散しうることである。他の利点は、一般にその低い粘度によって、それが容易に吹付け可能であることである。
ミクロエマルジョンの製造および使用の概説は、H.Eicke、SOEFW-Journal、118、311 (1992)、およびTh.Foersterら、SOEFW-Journal、122、746 (1996)に記載されている。
【0076】
本発明のエマルジョンは、従来の方法、例えば、1つの液体を他の液体へ、撹拌、泡立て(beating)、かき混ぜ、乱流混合、注入することによって、乳化セントリフュージョン(centrifusion)、コロイドミル、ホモジナイザー、混合物中の振動およびキャビテーション、および多くの他の方法によって、製造される。エマルジョンを、成分から自然発生的に形成することもできる。
【0077】
エマルジョンを、乳化剤または安定剤で安定化することもでき、それによって、クリーミングまたは沈降の可能性、または分散粒子の凝集傾向が防止される。このような化合物は、両親媒性を一般に有する(即ち、少なくとも1個の極性基および1個の非極性基を有する)が、過剰の無極性基が存在していてもよく、その場合、これらは共乳化剤と称される。使用される非極性基は、一般に、飽和または不飽和の分岐鎖または非分岐鎖アルキル基、ならびに、アリールまたはアルキルアリール基である。いくつかの名称を挙げるならば、存在する極性末端基は、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、ポリホスフェート、ラクテート、シトレート、タルトレート、アミン塩、第四アンモニウム化合物、ベタイン、アルコール、ポリエーテル、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリトリトール、スクロース、酢酸、乳酸基であり;極性中間基として作用する基は、ヒドロキシル、エステル、スルファミド、アミド、ポリアミド、ポリアミン、アミン、エーテル、ポリエーテル、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリトリトールおよびスクロース基である。陰イオン性、陽イオン性、両性および両性イオン性乳化剤ならびに非イオン性乳化剤の間で一般に区別がなされるが、これらの全ての乳化剤、これら分類に入らない乳化剤であっても、原則的に本発明において使用することができる。しかし、本発明において、乳化剤は、生理学的および毒物学的に本発明の使用において安全であることを確実にすべきであり、これは、特に皮膚に利益を与えるという本発明の目的に一致する。非イオン性乳化剤を使用するのが好ましい。本発明に従って、全ての考えうる一般的な乳化助剤を有利に使用することもできる。本発明の組成物は、特にそれが乳化されている場合、特にそれが噴霧適用される場合、浸透促進剤を任意に含有することが同様に望ましい場合がある。これは、織物から皮膚への活性物質の浸透を促進する物質である。これは、例えば、フェノキシエタノールまたはフェニルエタノールである。
【0078】
このようなエマルジョンの形態にある本発明の織物処理組成物は、種々の方法で織物に適用することができる。好ましい態様において、織物処理組成物を、直接的および直に、織物に適用する。これは、例えば、スプレーアプリケーター等を使用して吹付け適用することによって行なうことができる。
【0079】
好ましい態様において、本発明の織物処理組成物を、好ましくは単一部分に分割して、水溶性パッケージ中に導入する。本発明において、単一部分とは、特に機械における処理操作(特に濯ぎ後操作)に必要とされる織物処理組成物の量を意味するものと理解される。この単一部分はそれぞれ、水溶性パッケージに導入するのが好ましい。これは、組成物の有効成分が外部作用からより良好に保護されるという利点を有する。
【0080】
他の態様において、織物処理組成物は、好ましくは複数の独立した層から成る錠剤形態で存在する。これは、容易計量性(easy meterability)という利点を有する。錠剤が異なる相または領域に分離していることは、有用な治癒成分を残りの活性物質から空間的に分離して1つの計量単位に導入することを可能にし、それによって、個々の成分間に負の相互作用が生じないようにすることができる。上記の成形物は、活性物質の容易放出を可能にする崩壊系を含んで成るのが好ましい。適する崩壊系は、酸/炭酸塩、例えばクエン酸またはクエン酸塩と炭酸ナトリウムのような従来の発泡系に加えて、例えば、微細セルロース等のような膨潤性ポリマーである。
【0081】
好ましい態様において、本発明の組成物は、本発明の皮膚保護および/または皮膚治癒物質に加えて、ヒト生体、例えば呼吸器官および/またはヒト精神(psyche)に作用する1つまたはそれ以上の追加の物質を含んで成る。そのような物質は、当然、本発明の皮膚治癒および/または皮膚保護特性の意味において皮膚機能性であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。既に詳細に記載した物質のいくつか、例えば、オトギリソウ、ラバンジン、メリッサ、インセンスは、例えば、皮膚機能性の作用様式だけでなく、ヒト精神への鎮静化または気分高揚作用をも有する。このような物質の精油が、鼻の嗅球(Bulbus Olfactorius)を通って大脳辺縁系に入る。この場合、精油は、嗅覚によって前もって知覚されずに作用する場合があるが、これは、活性濃度が、嗅覚によって知覚しうる濃度より低い場合が多いからである。これに関して、嗅覚に知覚されることがその目的に極めて重要である上記の一般的匂い物質との明らかな境界が存在する。しかし、本発明の目的は、芳香を生じさせることではなく、ヒト生体に何らかの作用を生じさせることである。
【0082】
本発明の織物処理組成物を含有するスプレーアプリケーターを使用して、皮膚に接触する衣料品および他の織物(ハンドタオルからシーツ、枕カバー、ハンカチに及ぶ)を、吹付けによって機能化することができる。インフルエンザ、咳または気管支炎またはこの種の他の疾患の場合、粘液弛緩(mucus-loosening)または咳緩和または鬱血除去の持続治療のために、例えば、パジャマの上着またはハンカチに、ベンゾイン、ユーカリ、タイム、ライム、ミント、グレープフルーツ、レモン、プチグレン、ベルガモット、シトロネラ、モンタナマツ、ペパーミント、イソップ(ysop)またはラベンダーのような物質を適用することができる。このようにして、気道(respiratory passages)および気管支の治癒が好都合に促進される。入眠障害(difficulties in dropping off to sleep)または神経緊張または抑うつ状態の持続治療のために、例えば、カミラ(camilla)、ラベンダー、メリッサ、ネロリ、ビャクダン、ローズ、ゼラニウム、インセンスのような物質を、同じ方法で適用することができる。
【0083】
比較的変わった例として、性的刺激または性欲促進物質、例えば、バニラ、イランイラン、ジャスミン、ジャコウ、ビャクダン、トンカ豆、シナモン樹皮を、適切な方法で適用することによる、種々の可能な使用も同様に認められる。これらの全ての場合において、吸収は、気道および/または神経経路による。
【0084】
四肢の不充分な灌流の場合に、例えば靴下または手袋に、カラシ油、シラタマノキ、ラウレル油、ローズマリー油、ショウノウ、タイム、アルニカのような物質を吹付けることによって、灌流促進織物を提供することができる。この場合、吸収は、気道および皮膚による。
【0085】
本発明において、少なくとも1つの皮膚に優しい物質も同様に、処理すべき織物に移動させ、それによって、該物質が、織物と皮膚との接触時に少なくとも微量で皮膚に移動することを確実にするだけでよい。
【0086】
同様にして、皮膚疾患、例えば反作用(counteract)真菌皮膚感染(ティーツリー油使用)、または身体機能障害、例えば多汗症(セージ使用)の持続治療を可能にする織物を提供することができる。この場合、特定の衣料品、例えば靴下を、スプレーによって適切に処理し、それによって局所適用を確実にするのが好都合である。
【0087】
従って、本発明は、液状の、特に乳化させた本発明の織物処理組成物、およびスプレーディスペンサーを含んで成る製品をも提供する。
【0088】
スプレーディスペンサーは、好ましくは手動スプレーディスペンサーであり、特に、エーロゾルスプレーディスペンサー、自己与圧スプレーディスペンサー、ポンプスプレーディスペンサーおよびトリガースプレーディスペンサー、特に、透明ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレート製の容器を有するポンプスプレーディスペンサーおよびトリガースプレーディスペンサーから選択される。
【0089】
このようなまたは関連した適用器具は標準の市販製品であり、全ての標準市販スプレーディスペンサーまたは関連した適用器具が、本発明の適用に有用である。
【0090】
従って、本発明は、織物処理方法であって、有効量の本発明の組成物を、好ましくは上記製品を使用して、好ましくは吹付けによって、処理すべき織物に適用する方法をも提供する。有効量とは、上記の本発明の意味における、ヒト皮膚の自己調整力の維持および促進を可能にする量を意味するものと理解される。この量は、多くの要因、例えば、皮膚の種類、皮膚損傷の程度、所望される結果または達成すべき結果に依存する個人的な量である。処理された織物が、皮膚との接触時に、本発明の治癒活性物質を、少なくともごく僅かの領域においても皮膚に放出しうることだけが極めて重要である。
【0091】
上記した方法の好ましい態様において、本発明の組成物を、特に本発明の製品を使用して、織物目的物または織物表面上に、特に、10〜100cm、好ましくは20〜50cm、より好ましくは25〜40cm、特に好ましくは約30cmの距離から吹付ける。
【0092】
他の態様において、本発明の織物処理組成物は、欧州特許出願公開EP0789070A1に開示されている全ての活性物質、即ち、ワックス、疎水性植物抽出物、特定の炭化水素、高級脂肪酸およびエステル、精油、脂質、ビタミン、遮光剤、リン脂質、α-ヒドロキシ酸の誘導体および/または上記成分の混合物の群からの活性物質の1つまたはそれ以上を、それぞれそこに指定されている量およびそれ以上で含んで成るが、それと同時に、どのような第四アンモニウム化合物または他の関連した織物柔軟化化合物をも含有しない。関連した織物柔軟化化合物の不存在は、上記に関して必要であるが、その理由は、第一に、本発明の組成物の使用の目的は、従来の織物柔軟化ではなく、むしろ、洗濯用洗剤/化粧品/医療品の三角関係の作用において、医療品分野を重視した新しい製品群を確立することであるからである。第二に、第四アンモニウム化合物に関して先に詳しく記載した課題、例えば繊維の吸収性の減少は、排除すべきである。
【0093】
他の好ましい態様において、本織物処理組成物は界面活性剤を含有しない。
【0094】
さらに本発明は、洗濯用洗剤、特に、少なくとも2つの成分から成る液体洗濯用洗剤に関する。これらの成分は、少なくとも1つの洗濯用洗剤または洗浄組成物成分、および上記の意味における少なくとも1つの織物処理成分(従って、これは1つまたはそれ以上の皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質を含んで成る)であり、これら2つの成分は、洗濯操作または織物処理操作において異なる時点で放出されるのが好ましい。洗濯用洗剤または洗浄組成物成分が初めに放出されるのが好ましく、織物処理成分は後に放出されるのが好ましい。洗濯用洗剤の2つの成分は、例えば2つの分離室または2つの袋の形態で、空間的に厳密に分離させてよい。しかし、これらを、例えばカプセルの形態で、相互に導入してもよく、その場合、これらは、ゲル、液体または粉末等に配置される(disposed)か、または相互に混合またはブレンドされる。しかし、織物処理成分を、織物処理において、時間遅延的および制御的に放出しうることが好ましい。
【0095】
本発明において、洗濯用洗剤または洗浄組成物成分とは、洗濯または洗浄操作に関連した全ての考えうる物質の配合物または成分を意味するものと理解される。これらは、主に、その個々の成分が以下に詳しく記載される実際の洗濯用洗剤または洗浄組成物である。これらは、活性物質、例えば、界面活性剤(アニオン、ノニオン、カチオンおよび両性界面活性剤)、ビルダー物質(無機および有機ビルダー物質)、漂白剤(例えば、ペルオキソ漂白剤および塩素漂白剤)、漂白活性化剤、漂白安定剤、漂白触媒、酵素、特にポリマー(例えば、コビルダー特性を有するポリマー)、灰色化防止剤を含有するが、これらの物質群に限定されない。
【0096】
しかし、洗濯用洗剤または洗浄組成物成分という用語は、洗濯用洗剤および洗浄組成物補助剤をも意味するものと理解すべきである。これらの例は、蛍光増白剤、紫外線保護物質、および汚れ防止剤、即ち、繊維または硬質面の再汚染を防止するポリマーである。
【0097】
本発明の洗濯用洗剤が液体洗濯用洗剤である場合、それは、少なくとも2つの成分、特に、少なくとも1つの洗濯用洗剤または洗浄組成物成分、および少なくとも1つの織物処理成分から成る。特に、織物処理成分が油を含んで成る場合、液体洗濯用洗剤は、好ましくはエマルジョンの形態、特にミクロエマルジョンの形態であり、これが好ましい態様に対応する。本発明において、液体洗濯用洗剤とは、20℃で液体ないしゲルの形態にあり、広範囲に使用しうる織物洗浄組成物を意味するものと理解される。これらは、水性または非水性であってよい。本発明において非水性液体洗濯用洗剤とは、好ましくは低含水量を有し、好ましくは分割形態で水溶性被覆物に充填しうる、液体ないしゲル形態の織物洗浄組成物である。
【0098】
従って、これらの洗濯用洗剤または洗浄組成物の成分において、本発明の洗濯用洗剤は、1つまたはそれ以上のアニオン界面活性剤を任意に含有することができる。
【0099】
使用されるアニオン界面活性剤は、例えば、スルホネートおよびスルフェート型界面活性剤である。有用なスルホネート型界面活性剤は、好ましくは、C9〜13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、即ち、アルケンおよびヒドロキシアルカンスルホネートの混合物、およびジスルホネートであり、これらは、例えば、末端または内部二重結合を有するC12〜18-モノオレフィンから、気体三酸化硫黄でのスルホン化、次に、スルホン化生成物のアルカリまたは酸加水分解によって得られる。C12〜18アルカンから、例えば、スルホ塩素化またはスルホ酸化、次に、加水分解または中和によって得られるアルカンスルホネートも適している。スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、水素化ココナッツ、パーム核または獣脂脂肪酸のスルホン化メチルエステルも適している。
【0100】
他の適するアニオン界面活性剤は、硫酸化脂肪酸グリセロールエステルである。脂肪酸グリセロールエステルは、モノグリセロールを脂肪酸1〜3モルでエステル化するか、またはトリグリセリドをグリセロール0.3〜2モルでエステル交換することによって得られるモノ-、ジ-およびトリエステルおよびそれらの混合物である。好ましい硫酸化脂肪酸グリセロールエステルは、6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸の硫酸化生成物である。
【0101】
好ましいアルキル(アルケニル)スルフェートは、C12〜C18脂肪アルコール、例えば、ココナッツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチルまたはステアリルアルコール、またはC10〜C20オキソアルコールの、硫酸モノエステル、およびこれらの鎖長の第二級アルコールの硫酸モノエステルの、アルカリ金属、特にナトリウム塩である。石油化学に基づいて生成される合成直鎖アルキル基を含有し、脂肪化学原料に基づく同等化合物に類似した分解挙動を示す上記鎖長のアルキル(アルケニル)スルフェートも好ましい。洗濯の観点からすると、C12〜C16-アルキルスルフェートおよびC12〜C15-アルキルスルフェート、およびC14〜C15-アルキルスルフェートが好ましい。例えば米国特許第3234258号または第5075041号によって製造され、商品名DAN(商標)でShell Oil Companyから市販製品として得られる2,3-アルキルスルフェートも、適するアニオン界面活性剤である。
【0102】
エチレンオキシド1〜6モルでエトキシル化された直鎖または分岐鎖C7〜21アルコール、例えば、平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2-メチル-分岐C9〜11アルコール、または1〜4EOを有するC12〜18脂肪アルコールの、硫酸モノエステルも適している。それらの強い発泡傾向により、それらは、比較的少量、例えば1〜5重量%の量でのみ洗浄組成物に使用される。
【0103】
他の適するアニオン界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸の塩であり、これはスルホスクシネートまたはスルホコハク酸エステルとも称され、スルホコハク酸と、アルコール、好ましくは脂肪アルコール、特にエトキシル化脂肪アルコールとのモノエステルおよび/またはジエステルである。好ましいスルホスクシネートは、C8〜18脂肪アルコール基またはその混合物を含有する。特に好ましいスルホスクシネートは、それだけで考えればノニオン界面活性剤を構成するエトキシル化脂肪アルコールから誘導される脂肪アルコール基を含有する。これに関して特に好ましいものは、その脂肪アルコール基が、狭い同族体分布を有するエトキシル化脂肪アルコールから誘導されたスルホスクシネートである。アルキル(アルケニル)鎖に好ましくは8〜18個の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)コハク酸またはその塩を使用することもできる。
【0104】
有用な他のアニオン界面活性剤は、特に石鹸である。適する石鹸は、飽和脂肪酸石鹸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸およびベヘン酸の塩、ならびに、特に天然脂肪酸、例えばココナッツ、パーム核または獣脂脂肪酸から誘導される石鹸混合物である。
【0105】
石鹸を包含するアニオン界面活性剤は、それらのナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩の形態、および有機塩基、例えば、モノ、ジまたはトリエタノールアミンの可溶性塩の形態で存在することができる。アニオン界面活性剤は、好ましくは、それらのナトリウムまたはカリウム塩の形態、特にナトリウム塩の形態で存在する。
【0106】
アニオン界面活性剤の他の種類は、塩基性触媒の存在下に、脂肪アルコールエトキシレートとナトリウムクロロアセテートとの反応によって得られるエーテルカルボン酸の群である。これらは下記の一般式で示される:RO-(CH-CH-O)p-CH-COOH(ここで、R=C〜C18、p=0.1〜20)。エーテルカルボン酸は、水の硬度に非感受性であり、顕著な界面活性剤特性を有する。製造および使用は、例えば、Seifen、Oele、Fette、Wachse 101、37 (1975);115、235 (1989)およびTenside Deterg. 25、308 (1988)に記載されている。
【0107】
他の適するアニオン界面活性剤は、例えば、ジまたはポリヒドロキシアルカン、単糖および二糖、ポリエチレングリコールと、炭素原子10〜25個の鎖長を有する少なくとも一不飽和カルボン酸への無水マレイン酸のエンアダクトとの、酸価10〜140を有する部分エステルであり、これは、独国特許出願公開DE3808114A1(Grillo-Werke)および欧州特許出願公開EP0046070A(Grillo-Werke)に開示されている(両文献はこれに関して参照され、その内容は本明細書に組み入れられる)。
【0108】
好ましいアニオン界面活性剤は、4〜28個、好ましくは6〜20個、特に8〜18個、より好ましくは10〜16個、特に好ましくは12〜14個の炭素原子を有する非分岐または分岐の飽和または不飽和の脂肪族または芳香族の非環式または環式の任意にアルコキシル化したアルキル基だけでなく、2個またはそれ以上、特に2個の、陰イオン性の酸基、好ましくはカルボキシレート、スルホネートおよび/またはスルフェート基、特に1個のカルボキシレート基および1個のスルフェート基を有する。これらの化合物の例は、スルホ脂肪酸塩、アシルグルタメート、モノグリセリドジスルフェートおよびグリセリルジスルフェートのアルキルエーテル、特に下記のモノエステル化スルホスクシネートである。
【0109】
特に好ましいアニオン界面活性剤は、スルホスクシネート、スルホスクシナメートおよびスルホスクシンアミド、特にスルホスクシネートおよびスルホスクシナメート、特に好ましくはスルホスクシネートである。スルホスクシネートは、スルホコハク酸HOOCCH(SOH)CHCOOHのモノおよびジエステルの塩であり、スルホスクシナメートは、スルホコハク酸のモノアミドの塩であり、スルホスクシンアミドは、スルホコハク酸のジアミドの塩である。これらの既知のアニオン界面活性剤の包括的記載は、A.DomschおよびB.Irrgang、Anionic surfactants:organic chemistry (H.W.Stache編;Surfactant science series;第56巻;ISBN 0-8247-9394-3;Marcel Dekker, Inc.、New York 1996、p.501-549)に見られる。
【0110】
塩は、好ましくは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびモノ、ジおよびトリアルカノールアンモニウム塩、例えば、モノ、ジおよびトリエタノールアンモニウム塩、特に、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩、より好ましくはナトリウムまたはアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0111】
スルホスクシネートにおいて、スルホコハク酸の1個または両方のカルボキシル基が、4〜22個、好ましくは6〜20個、特に8〜18個、より好ましくは10〜16個、特に好ましくは12〜14個の炭素原子を有する非分岐または分岐の飽和または不飽和の非環式または環式の任意にアルコキシル化した1個または2個の同じかまたは異なるアルコールでエステル化されているのが好ましい。特に好ましいのは、非分岐および/または飽和および/または非環式および/またはアルコキシル化アルコール、特に、非分岐飽和脂肪アルコール、および/またはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドでアルコキシル化され、アルコキシル化度1〜20、好ましくは1〜15、特に1〜10、より好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4を有する非分岐飽和脂肪アルコールのエステルである。本発明において、モノエステルがジエステルより好ましい。特に好ましいスルホスクシネートは、スルホコハク酸ラウリルポリグリコールエステル二ナトリウム塩(ラウリル-EOスルホスクシネート、二ナトリウム塩;INCI Disodium Laureth Sulfosuccinate)であり、これは、例えば、スルホスクシネート含量30重量%を有するTego(商標) Sulfosuccinat F30 (Goldschmidt)として商業的に入手可能である。
【0112】
スルホスクシナメートまたはスルホスクシンアミドにおいて、スルホコハク酸の1つまたは両方のカルボキシル基が、第一級または第二級アミンと共にカルボキサミドを形成しているのが好ましく、該アミンは、4〜22個、好ましくは6〜20個、特に8〜18個、より好ましくは10〜16個、特に好ましくは12〜14個の炭素原子を有する非分岐または分岐の飽和または不飽和の非環式または環式の任意にアルコキシル化した1個または2個の同じかまたは異なるアルキル基を有する。特に好ましいのは、非分岐および/または飽和および/または環式アルキル基、特に、非分岐飽和脂肪アルキル基である。
【0113】
International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookに詳しく記載され、INCIに従って呼称される下記のスルホスクシネートおよびスルホスクシナメートも適している:アンモニウムジノニルスルホスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ジアンモニウムジメチコーンコポリオールスルホスクシネート、ジアンモニウムラウラミド-MEAスルホスクシネート、ジアンモニウムラウリルスルホスクシネート、ジアンモニウムオレアミドPEG-2スルホスクシネート、ジアミルナトリウムスルホスクシネート、ジカプリルナトリウムスルホスクシネート、ジシクロヘキシルナトリウムスルホスクシネート、ジヘプチルナトリウムスルホスクシネート、ジヘキシルナトリウムスルホスクシネート、ジイソブチルナトリウムスルホスクシネート、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ジナトリウムセテアリルスルホスクシネート、ジナトリウムコカミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムコカミドMIPA-スルホスクシネート、ジナトリウムコカミドPEG-3スルホスクシネート、ジナトリウムココ-グルコシドスルホスクシネート、ジナトリウムココイルブチルグルセス-10スルホスクシネート、ジナトリウムC12-15パレススルホスクシネート、ジナトリウムデセス-5スルホスクシネート、ジナトリウムデセス-6スルホスクシネート、ジナトリウムジヒドロキシエチルスルホスクシニルウンデシレネート、ジナトリウムジメチコーンコポリオールスルホスクシネート、ジナトリウム水素化コットンシードグリセリドスルホスクシネート、ジナトリウムイソデシルスルホスクシネート、ジナトリウムイソステアラミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムイソステアラミドMIPA-スルホスクシネート、ジナトリウムイソステアリルスルホスクシネート、ジナトリウムラネス-5スルホスクシネート、ジナトリウムラウラミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムラウラミドPEG-2スルホスクシネート、ジナトリウムラウラミドPEG-5スルホスクシネート、ジナトリウムラウレス-6スルホスクシネート、ジナトリウムラウレス-9スルホスクシネート、ジナトリウムラウレス-12スルホスクシネート、ジナトリウムラウリルスルホスクシネート、ジナトリウムミリスタミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムノノキシノール-10スルホスクシネート、ジナトリウムオレアミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムオレアミドMIPA-スルホスクシネート、ジナトリウムオレアミドPEG-2スルホスクシネート、ジナトリウムオレス-3スルホスクシネート、ジナトリウムオレイルスルホスクシネート、ジナトリウムパルミタミドPEG-2スルホスクシネート、ジナトリウムパルミトレアミドPEG-2スルホスクシネート、ジナトリウムPEG-4コカミドMIPA-スルホスクシネート、ジナトリウムPEG-5ラウリルシトレートスルホスクシネート、ジナトリウムPEG-8パルムグリセリドスルホスクシネート、ジナトリウムリシノレアミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムシトステレス-14スルホスクシネート、ジナトリウムステアラミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムステアリルスルホスクシナメート、ジナトリウムステアリルスルホスクシネート、ジナトリウムタラミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムタローアミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムタロースルホスクシナメート、ジナトリウムトリデシルスルホスクシネート、ジナトリウムウンデシレナミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムウンデシレナミドPEG-2スルホスクシネート、ジナトリウムホイートゲルマミドMEA-スルホスクシネート、ジナトリウムホイートゲルマミドPEG-2スルホスクシネート、ジ-TEA-オレアミドPEG-2スルホスクシネート、ジトリデシルナトリウムスルホスクシネート、ナトリウムビスグリコールリシノスルホスクシネート、ナトリウム/MEAラウレス-2スルホスクシネートおよびテトラナトリウムジカルボキシエチルステアリルスルホスクシナメート。他の適するスルホスクシナメートは、ジナトリウムC16〜18アルコキシプロピレンスルホスクシナメートである。
【0114】
好ましい態様において、本発明の洗濯用洗剤は、その洗濯用洗剤または洗浄組成物成分中に、1つまたはそれ以上のスルホスクシネート、スルホスクシナメートおよび/またはスルホスクシナミド、好ましくはスルホスクシネートおよび/またはスルホスクシナメート、特にスルホスクシネートを、通常は0.05〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に0.3〜6重量%、より好ましくは0.5〜3重量%、特に好ましくは0.7〜2重量%、例えば0.75〜1.5重量%の量で含んで成る。
【0115】
追加の成分として、本発明の洗濯用洗剤は、その洗濯用洗剤または洗浄組成物成分中に、任意に1つまたはそれ以上のノニオン界面活性剤を含んでいてよい。
【0116】
使用されるノニオン界面活性剤は、好ましくはアルコキシル化、有利にはエトキシル化および/またはプロポキシル化した、特に第一級アルコールであって、好ましくは、8〜18個の炭素原子およびアルコール1モルにつき平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)および/または1〜10モルのプロピレンオキシド(PO)を有する第一級アルコールである。特に好ましいのはC〜C16アルコールアルコキシレート、有利には、エトキシル化度2〜10、好ましくは3〜8、および/またはプロポキシル化度1〜6、好ましくは1.5〜5を有するエトキシル化および/またはプロポキシル化したC10〜C15アルコールアルコキシレート、特にC12〜C14アルコールアルコキシレートである。アルコール基は、好ましくは直鎖、またはより好ましくは2-メチル分岐であってよく、またはオキソアルコール基に一般に存在するように直鎖基およびメチル分岐基の混合物を含有していてもよい。しかし、特に好ましいアルコールエトキシレートは、12〜18個の炭素原子を有する天然由来のアルコール、例えば、ココナッツ、パーム、獣脂脂肪またはオレイルアルコールからの直鎖基、およびアルコール1モルにつき平均して2〜8個のEOを有する。好ましいエトキシル化アルコールは、例えば、3EOまたは4EOを有するC12〜14アルコール、7EOを有するC9〜11アルコール、3EO、5EO、7EOまたは8EOを有するC13〜15アルコール、3EO、5EOまたは7EOを有するC12〜18アルコール、およびそれらの混合物、例えば、3EOを有するC12〜14アルコールと5EOを有するC12〜18アルコールとの混合物である。指定したエトキシル化およびプロポキシル化度は統計的平均値であり、特定の生成物について整数または小数であってよい。好ましいアルコールエトキシレートおよびプロポキシレートは、狭い同族体分布(狭範囲エトキシレート/プロポキシレート、NRE/NRP)を有する。これらのノニオン界面活性剤に加えて、12個以上のEOを有する脂肪アルコールを使用することもできる。その例は、14EO、25EO、30EOまたは40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。
【0117】
1つのアルキル鎖につき好ましくは1〜18個の炭素原子を有し、アミン1モルにつき平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)および/または1〜10モルのプロピレンオキシド(PO)を有するアルコキシル化アミン、有利にはエトキシル化および/またはプロポキシル化された、特に第一級および第二級アミンも適している。
【0118】
さらに、使用しうる他のノニオン界面活性剤は、例えば、特にアニオン界面活性剤とのコンパウンドの形態にある一般式:RO(G)で示されるアルキルグリコシドであり、式中、Rは、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する第一級の直鎖またはメチル分岐、特に2-メチル分岐した脂肪族基であり、Gは5または6個の炭素原子を有するグリコール単位、好ましくはグルコースを表す記号である。モノグリコシドおよびオリゴグリコシドの分布を示すオリゴマー化度xは、1〜10のいずれかの数値であり、xは好ましくは1.2〜1.4である。
【0119】
単独のノニオン界面活性剤として、または他のノニオン界面活性剤と組み合わせて使用される他の種類の好ましいノニオン界面活性剤は、アルキル鎖に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはエトキシル化およびプロポキシル化した脂肪酸アルキルエステル、特に脂肪酸メチルエステルのノニオン界面活性剤であり、これらは、例えば日本国特許出願JP58/217598に開示されているか、または好ましくは国際特許出願公開WO90/13533に開示されている方法によって製造される。
【0120】
アミンオキシド型、例えば、N-ココアルキル-N,N-ジメチルアミンオキシドおよびN-(タローアルキル)-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシド、および脂肪酸アルカノールアミド型のノニオン界面活性剤も適している。
【0121】
他の有用な界面活性剤は、ゲミニ(gemini)界面活性剤として知られる界面活性剤である。これらは、一般に、1分子につき2個の親水基および2個の疎水基を有する化合物を意味する。これらの基は、一般に、スペーサーによって互いに分離されている。このスペーサーは、一般に炭素鎖であり、親水基が適切に分離してそれらが互いに独立して作用しうるように、充分な長さのものであるべきである。このような界面活性剤は、一般に、著しく低い臨界ミセル濃度、および水の表面張力を大きく減少させる能力を特徴とする。しかし、「ゲミニ界面活性剤」という用語は、特別な場合に、ニ量体界面活性剤だけでなく、三量体界面活性剤をも意味する。
【0122】
適するゲミニ界面活性剤は、例えば、独国特許出願第公開DE-A-4321022に記載の硫酸化混合ヒドロキシエーテル、またはダイマーアルコールビスおよびトリマーアルコールトリスルフェート、および国際特許出願公開WO96/23768に記載のエーテルスルフェートである。独国特許出願公開DE-A-19513391に記載の末端基をキャップしたダイマーおよびトリマー混合エーテルは、特にそれらの二官能性および三官能性の特徴を有する。例えば、上記の末端基をキャップした界面活性剤は、優れた湿潤性を有し、低発泡性であるので、これらは機械洗濯または洗浄過程に使用するのに特に適している。
【0123】
しかし、国際特許出願公開WO95/19953号、WO95/19954およびWO95/19955に開示されているような、ゲミニポリヒドロキシ脂肪酸アミドまたはポリ(ポリヒドロキシ脂肪酸アミド)を使用することもできる。
【0124】
他の適する界面活性剤は、下記の式で示されるポリヒドロキシ脂肪酸アミドである:
【化1】

[式中、
RCOは、6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり;
は、水素、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり;
[Z]は、3〜10個の炭素原子および3〜10個のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐鎖ポリヒドロキシアルキル基である]。
ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、既知の物質であり、これは、一般に、還元糖をアンモニア、アルキルアミンまたはアルカノールアミンで還元的にアミノ化し、次に、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸塩化物でアシル化することによって得られる。
【0125】
ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群は、下記の式で示される化合物をも包含する:
【化2】

[式中、
Rは、7〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基であり;
は、2〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式アルキル基またはアリール基であり;
は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式アルキル基またはアリール基またはオキシアルキル基、好ましくはC1〜4アルキルまたはフェニル基であり;
[Z]は、そのアルキル鎖が少なくとも2個のヒドロキシル基で置換された直鎖ポリヒドロキシアルキル基、またはこの基のアルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはプロポキシル化誘導体である]。
【0126】
[Z]は、還元糖、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロースの還元アミノ化によって得るのが好ましい。次に、N-アルコキシ-またはN-アリールオキシ-置換化合物を、例えば国際特許出願公開WO95/07331の教示に従って、触媒としてのアルコキシドの存在下に脂肪酸メチルエステルと反応させることによって所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに変換することができる。
【0127】
好ましいノニオン界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)および/またはプロピレンオキシド(PO)でアルコキシル化され、30までのアルコキシル化度を有する1つまたはそれ以上の非分岐または分岐鎖の飽和または不飽和C10〜22アルコールであり、好ましくは、30未満、好ましくは1〜20、特に1〜12、より好ましくは1〜8、特に好ましくは2〜5のエトキシル化度を有するエトキシル化C10〜18脂肪アルコール、例えば、2、3または4EOを有するC12〜14脂肪アルコールエトキシレート、または3および4EOを有するC12〜14脂肪アルコールエトキシレートの重量比1:1の混合物、または5、8または12EOを有するイソトリデシルアルコールエトキシレートであり、これらは、例えば独国特許DE4014055C2(Grillo-Werke)に開示されている(該文献はこれに関して参照され、その内容は本明細書に組み入れられる)。
【0128】
ノニオン界面活性剤は、全組成物に基づいて、通常は50重量%までの量、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、特に2〜25重量%の量で存在していてよい。
【0129】
さらに、本発明の洗濯用洗剤は、両性界面活性剤を任意に含んでいてもよい。多くのモノないしトリアルキル化アミンオキシドに加えて、ベタインも重要な群である。
【0130】
ベタインは、アミン化合物のカルボキシアルキル化、好ましくはカルボキシメチル化によって主に製造される既知の界面活性剤である。出発物質と、ハロカルボン酸またはその塩、特にクロロ酢酸ナトリウムとを縮合させて、ベタイン1モルにつき塩1モルを形成するのが好ましい。さらに、不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸に付加させることもできる。命名法について、特にベタインと「真の」両性界面活性剤との区別については、Seifen-Oele-Fette-Wachse、108、373 (1982)中のU.Ploogの論文が参照される。このテーマに関する他の概説が、例えば、A.O'Lennickら、HAPPI、Nov. 70 (1986)、S.Holzmanら、Tens.Surf.Det. 23、309 (1986)、R.Biboら、Soap Cosm.Chem.Spec.、Apr. 46 (1990)、およびP.Ellisら、Euro Cosm. 1、14 (1994)にも見い出される。適するベタインの例は、下記の式で示される第二級、特に第三級アミンのカルボキシアルキル化生成物である:
【化3】

[式中、
は、6〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニル基であり;
は、水素、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
nは、1〜6であり;
は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属またはアンモニウムである]。
代表的な例は、ヘキシルメチルアミン、ヘキシルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、デシルジメチルアミン、ドデシルメチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ドデシルエチルメチルアミン、C12/14-ココアルキルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルエチルメチルアミン、オレイルジメチルアミン、(C16/18タローアルキル)-ジメチルアミンおよびこれらの工業用グレード混合物のカルボキシメチル化生成物である。
【0131】
下記の式で示されるアミドアミンのカルボキシアルキル化生成物も有用である:
【化4】

[式中、
COは、6〜22個の炭素原子および0または1〜3個の二重結合を有する脂肪族アシル基であり;
mは、1〜3であり;
、R、nおよびXは、それぞれ上に定義した通りである]。
代表的な例は、6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、即ち、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、カドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸およびこれらの工業用グレード混合物と、N,N-ジメチルアミノエチルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノエチルアミンおよびN,N-ジエチルアミノプロピルアミンとの反応生成物(これらをクロロ酢酸ナトリウムと縮合させる)である。C8/18ココナッツ脂肪酸N,N-ジメチルアミノプロピルアミドとクロロ酢酸ナトリウムとの縮合生成物を使用するのが好ましい。
【0132】
また、本発明において使用されるベタインに適する他の出発物質は、下記の式で示されるイミダゾリンである:
【化5】

[式中、
は、5〜21個の炭素原子を有するアルキル基であり;
10は、ヒドロキシル基、OCORまたはNHCOR基であり;
mは、2または3である]。
これらの物質も既知の物質であり、例えば、1または2モルの脂肪酸と多官能価アミン、例えばアミノエチルエタノールアミン(AEEA)またはジエチレントリアミンとの環化縮合によって得られる。対応するカルボキシアルキル化生成物は、種々の開鎖ベタインの混合物である。代表的な例は、上記の脂肪酸とAEEAとの縮合生成物、好ましくは、ラウリン酸またはC12/14ココナッツ脂肪酸に基づくイミダゾリンであり、次に、これをクロロ酢酸ナトリウムでベタイン化する。
【0133】
好ましい態様において、本発明の洗濯用洗剤は液体形態である。液体稠度を得るために、液体有機溶媒または水を使用するのが適切な場合がある。従って、本発明の組成物は、溶媒を任意に含んで成る。
【0134】
本発明の洗濯用洗剤は、カチオン界面活性剤、好ましくは第四アンモニウム化合物、特に生分解性の該化合物を含んでいてもよい。有利には、カチオンポリマーが存在していてもよい。
【0135】
本発明の組成物に使用しうる溶媒は、特定の濃度で水と混和する限り、例えば一価または多価アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルの群に由来する。溶媒を下記のものから選択するのが好ましい:エタノール、n-またはi-プロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンまたはブタンジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピルまたはブチルジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチル、エチルまたはプロピルエーテル、ブトキシプロポキシプロパノール(BPP)、ジプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、メトキシ、エトキシまたはブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、およびこれら溶媒の混合物。
【0136】
いくつかのグリコールエーテルは、商品名 Arcosolv(商標)(Arco Chemical Co.)またはCellosolve(商標)、Carbitol(商標)またはPropasol(商標)(Union Carbide Corp.)として入手することができる。また、これらは、例えば、ButylCarbitol(商標)、HexylCarbitol(商標)、MethylCarbitol(商標)、およびCarbitol(商標)それ自体、[2-(2-エトキシ)エトキシ]エタノールをも包含する。グリコールエーテルの選択は、その揮発性、水溶性、全分散液中の重量%などに基づいて、当業者によって容易になされる。ピロリドン溶媒、例えばN-アルキルピロリドン、例えばN-メチル-2-ピロリドンまたはN-C8-12-アルキルピロリドン、または2-ピロリドンも同様に使用することができる。グリセロール誘導体、特にグリセリルカーボネートも、単独溶媒として、または溶媒混合物の成分として好ましい。
【0137】
本発明において補助溶媒として使用しうるアルコールは、低分子量を有する液体ポリエチレングリコール、例えば分子量200、300、400または600のポリエチレングリコールを包含する。他の適する補助溶媒は、例えば下記のような他のアルコールである:(a)低級アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびn-ブタノール、(b)ケトン、例えば、アセトンおよびメチルエチルケトン、(c)C〜Cポリオール、例えばジオールまたはトリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールまたはこれらの混合物。ジオールの群の中で特に好ましいのは1,2-オクタンジオールである。
【0138】
好ましい態様において、洗濯用洗剤は、C〜Cモノアルコール、C〜Cグリコール、C〜C12グリコールエーテルおよびグリセロールから成る群からの1つまたはそれ以上の溶媒、特にエタノールを含んで成る。本発明におけるC〜C12グリセロールエーテルは、10個未満の炭素原子、好ましくは8個まで、特に6個まで、より好ましくは1〜4個、特に好ましくは2〜3個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含有する。
【0139】
好ましいC〜Cモノアルコールは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールおよびtert-ブタノールである。好ましいC〜Cグリコールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,6-ヘキサンジオール、特にエチレングリコールおよび1,2-プロピレングリコールである。好ましいC〜C12グリコールエーテルは、ジ、トリ、テトラおよびペンタエチレングリコール、ジ、トリおよびテトラプロピレングリコール、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノエチルエーテル、さらに、INCIに従って呼称される溶媒、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、ブチルオクタノール、エトキシジグリコール、エトキシハノール、エチルヘキサンジオール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、3-メトキシブタノール、メトキシエタノール、メトキシイソプロパノールおよびメトキシメチルブタノールである。
【0140】
本発明の洗濯用洗剤は、1つまたはそれ以上の溶媒を、全組成物に基づいて、通常は40重量%まで、好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは5〜12重量%、例えば5.3または10.6重量%の量で含有することができる。
【0141】
好ましい態様において、本発明の洗濯用洗剤は、任意に、水を50重量%以上、特に60〜95重量%、より好ましくは70〜93重量%、特に好ましくは80〜90重量%の量で含有することができる。
【0142】
さらに、本発明の洗濯用洗剤は、洗濯用洗剤または洗浄組成物の成分中に、特に下記の群から選択される1つまたはそれ以上の通常の補助剤および添加剤を含んでいてよい:ビルダー、酵素、漂白剤、漂白活性化剤、電解質、着色剤、香料、pH調節剤、錯生成剤、蛍光剤、抑泡剤、灰色化防止剤、シワ防止剤、酸化防止剤、静電気防止剤、アイロンがけ補助剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、再析防止剤、殺菌剤、粘度調節剤、真珠色化剤、染料移行防止剤、防縮剤、腐食防止剤、防腐剤、疎水化剤および含浸剤、ヒドロトロープ、シリコーン油、および膨潤防止および滑り防止剤、ならびにエステル結合を任意に有する第四アンモニウム化合物。
【0143】
洗浄物質に加えて、ビルダーは、洗濯用洗剤および洗浄組成物の最も重要な成分である。本発明の洗濯用洗剤は、洗濯用洗剤または洗浄組成物の成分中に、洗濯用洗剤、濯ぎ組成物および洗浄組成物に一般に使用されるビルダー、即ち、特にゼオライト、シリケート、カーボネート、有機コビルダー、および、その使用に生態学的異論がなければホスフェートを含んでいてもよい。
【0144】
適する結晶質層状ケイ酸ナトリウムは、一般式:NaMSi2x+1・HOで示され、式中、Mはナトリウムまたは水素であり、xは1.9〜4であり、yは0〜20であり、xの好ましい数値は2、3または4である。このような結晶質層状ケイ酸塩は、例えば欧州特許出願公開EP-A-0164514に開示されている。上記の式で示される好ましい結晶質層状ケイ酸塩は、Mがナトリウムであり、xが2または3の数値であるケイ酸塩である。特に、二ケイ酸β-およびδ-ナトリウムNaSi・yHOの両方が好ましく、二ケイ酸β-ナトリウムは、例えば、国際特許出願公開WO91/08171に開示されている方法によって得られる。
【0145】
NaO:SiOモジュラスが1:2〜1:3.3、好ましくは1:2〜1:2.8、特に1:2〜1:2.6である非晶質ケイ酸ナトリウムを使用することもでき、これは遅延溶解および二次洗浄特性を有する。通常の非晶質ケイ酸ナトリウムと比較した溶解の遅延は、種々の方法、例えば、表面処理、コンパウンド化、圧縮または過乾燥によって得られる。本発明において「非晶質」という用語は、「X線非晶質」を意味するものとも理解される。これは、X線回折試験において、ケイ酸塩が、結晶質物質に典型的などのような鋭いX線反射も生じず、むしろ、数度単位の回折角の幅を有する散乱X線のせいぜい1つまたはそれ以上の極大を生じるにすぎないことを意味する。しかし、電子回折試験においてケイ酸塩粒子が不明確なまたは鋭い回折極大を生じる場合、特に優れたビルダー特性を生じる可能性が極めて高い。これは、生成物が、10〜数百nm、好ましくは最大50nm、特に最大20nmの大きさの微晶質領域を有するものと理解される。通常の水ガラスと同等の遅延溶解性を同様に有するそのようなX線非晶質ケイ酸塩は、例えば、独国特許出願公開DE-A-4400024に開示されている。特に好ましいのは、圧縮非晶質ケイ酸塩、コンパウンド化非晶質ケイ酸塩および過乾燥X線非晶質ケイ酸塩である。
【0146】
任意に使用される微細結晶質の合成の結合水含有ゼオライトは、好ましくはゼオライトAおよび/またはPである。P型ゼオライトは、より好ましくは、ゼオライトMAP(例えば、Crosfieldからの市販製品Doucil A24)である。しかし、ゼオライトX、ならびにゼオライトA、Xおよび/またはPの混合物も適している。同じく商業的に入手でき、本発明に使用するのに好ましいものは、例えば、ゼオライトXおよびゼオライトAの共結晶(ゼオライトXが約80重量%)であり、これはVEGOBOND AX(商標)の商品名でCONDEA Augusta S.p.A.から市販されている。適するゼオライトは、10μm未満の平均粒度を有し(容量分布;測定法:Coulter Counter)、好ましくは18〜22重量%、特に20〜22重量%の結合水を含有する。
【0147】
生態学的理由から使用を避ける必要がなければ、一般に知られているリン酸塩を、当然、ビルダー物質として使用することもできる。特に適するのは、オルトリン酸、ピロリン酸および特にトリポリリン酸のナトリウム塩である。
【0148】
使用しうる有機ビルダー物質は、例えば、そのナトリウム塩の形態で使用しうるポリカルボン酸である(ポリカルボン酸は、1個以上の酸官能基を有するカルボン酸を指す)。その例は、その使用が生態学的理由から避けるべきものでなければ、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、およびこれらの混合物である。好ましい塩は、ポリカルボン酸、例えば、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸およびこれらの混合物の塩である。酸それ自体を使用することもできる。そのビルダー作用に加えて、酸は一般に酸性化成分としての特性をも有し、従って、本発明の洗濯用洗剤および洗浄組成物部分を、より低いおよびより緩やかなpHにするようにも働く。これに関して、クエン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸およびこれらの任意の混合物が特に挙げられる。
【0149】
高分子ポリカルボキシレートもビルダーとして適している。これは、例えば、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩であり、例えば、その相対モル質量は500〜70,000g/モルである。
【0150】
本発明において、ポリマーポリカルボキシレートについて示されるモル質量は、特定の酸形態の重量平均モル質量Mwであり、これは常に、紫外吸光検出器を使用してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定されている。測定は、測定されるポリマーとの構造的類似性により実際的な分子量値を与える外部ポリアクリル酸標準に対して行われる。これらの数値は、ポリスチレンスルホン酸を標準として使用した場合の分子量データからかなりずれている。ポリスチレン酸に対して測定されたモル質量は、一般に、本発明において示されるモル質量よりも明らかに高い。
【0151】
適するポリマーは、特にポリアクリレートであり、そのモル質量は2,000〜20,000g/モルであるのが好ましい。この群の中で好ましいのは、その優れた溶解性のゆえに、モル質量が2,000〜10,000g/モル、より好ましくは3,000〜5,000g/モルである短鎖ポリアクリレートである。
【0152】
共重合ポリカルボキシレート、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマーも適している。特に適することがわかったコポリマーは、アクリル酸50〜90重量%およびマレイン酸50〜10重量%を含有するアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーである。遊離酸に基づくこれらの相対モル質量は、通常は2,000〜70,000g/モル、好ましくは20,000〜50,000g/モル、特に30,000〜40,000g/モルである。
【0153】
(共)重合ポリカルボキシレートは、粉末形態または水溶液形態で使用することができる。本発明の組成物における(共)重合ポリカルボキシレートの含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、特に3〜10重量%である。
【0154】
水溶性を向上させるために、ポリマーは、アリルスルホン酸、例えば欧州特許EP-B-0727448におけるように、アリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタリルスルホン酸を、モノマーとして含有することもできる。
【0155】
また、2種以上のモノマー単位から成る生分解性ポリマー、例えば、独国特許出願公開DE-A-4300772に従ってアクリル酸の塩またはマレイン酸の塩およびビニルアルコールまたはビニルアルコール誘導体をモノマーとして含有する生分解性ポリマー、あるいは、独国特許DE-C-4221381に従ってアクリル酸の塩および2-アルキルアリルスルホン酸の塩および糖誘導体をモノマーとして含有する生分解性ポリマーも特に好ましい。
【0156】
他の好ましいコポリマーは、独国特許出願公開DE-A-4303320およびDE-A-4417734に開示されているコポリマーであり、これは好ましくは、アクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩またはアクロレインおよびビニルアセテートをモノマーとして含有する。
【0157】
同じく挙げるべき他の好ましいビルダー物質は、高分子アミノジカルボン酸、その塩またはその先駆物質である。特に好ましいのは、ポリアスパラギン酸またはその塩および誘導体であり、それはコビルダー特性に加えて漂白安定化作用をも有することが独国特許出願公開DE-A-19540086に開示されている。
【0158】
他の適するビルダー物質は、例えば欧州特許出願公開EP-A-0280223に開示されているような、ジアルデヒドと、5〜7個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリカルボン酸とを反応させることによって得られるポリアセタールである。好ましいポリアセタールは、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドおよびそれらの混合物のようなジアルデヒド、およびグルコン酸および/またはグルコヘプトン酸のようなポリオールカルボン酸から得られる。
【0159】
他の適する有機ビルダー物質は、デキストリン、例えば、デンプンの部分加水分解によって得られる炭水化物のオリゴマーまたはポリマーである。加水分解は、一般的な方法、例えば、酸触媒法または酵素触媒法によって行うことができる。加水分解生成物は、400〜500,000g/モルの平均モル質量を有するのが好ましい。好ましいのは、デキストロース当量(DE)が0.5〜40、特に2〜30である多糖である(ここで、DEは、DE100を有するデキストロースと比較した多糖の還元作用の一般的尺度である)。DE3〜20を有するマルトデキストリン、およびDE20〜37を有する乾燥グルコースシロップ、および2,000〜30,000g/モルの比較的高いモル質量を有する黄色デキストリンおよび白色デキストリンを使用することもできる。好ましいデキストリンは、英国特許出願第9419091号に開示されている。
【0160】
このようなデキストリンの酸化誘導体は、糖環の少なくとも1個のアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化することができる酸化剤とそれとの反応生成物である。このような酸化デキストリンおよびその製造法は、特に、欧州特許出願公開EP-A-0232202、EP-A-0427349、EP-A-0472042およびEP-A-0542496、ならびに、国際特許出願公開WO92/18542、WO93/08251、WO93/16110、WO94/28030、WO95/07303、WO95/12619およびWO95/20608からも既知である。独国特許出願公開DE-A-19600018に記載の酸化オリゴ糖も同様に適している。糖環のCで酸化した生成物が特に有利であろう。
【0161】
オキシジスクシネートおよびジスクシネートの他の誘導体、好ましくはエチレンジアミンジスクシネートも、さらに適するコビルダーである。この場合、エチレンジアミンN,N'-ジスクシネート(EDDS)(その合成は、例えば米国特許US-A-3158615に開示されている)は、そのナトリウムまたはマグネシウム塩の形態で使用するのが好ましい。これに関して、例えば、米国特許US-A-4524009およびUS-A-4639325、欧州特許出願公開EP-A-0150930、および日本特許出願公開JP-A-93/339896に開示されているグリセリルジスクシネートおよびグリセリルトリスクシネートも好ましい。ゼオライト含有および/またはシリケート含有配合物における適する使用量は3〜15重量%である。
【0162】
使用しうる他の有機コビルダーは、例えば、アセチル化ヒドロキシカルボン酸またはその塩であり、それは、任意にラクトン形態で存在していてもよく、少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1個のヒドロキシル基および最大2個の酸基を含有する。そのようなコビルダーは、例えば、国際特許出願公開WO95/20029に開示されている。
【0163】
コビルダー特性を有する他の物質群は、ホスホネートである。これは、特にヒドロキシアルカンおよびアミノアルカンホスホネートである。ヒドロアルカンホスホネートの中で、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホネート(HEDP)はコビルダーとして特に重要である。それはナトリウム塩の形態で使用するのが好ましく、二ナトリウム塩は中性反応を生じ、三ナトリウム塩はアルカリ性反応(pH9)を生じる。有用なアミノアルカンホスホネートは、好ましくは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)およびそれらの高級同族体である。これらは、天然反応ナトリウム塩の形態、例えば、EDTMPの六ナトリウム塩として、またはDTPMPの七および八ナトリウム塩として使用するのが好ましい。ホスホネートの群からは、HEDPをビルダーとして使用するのが好ましい。さらに、アミノアルカンホスホネートは、優れた重金属結合能力を有する。従って、特に、本発明の組成物が漂白剤をも含んで成る場合、アミノアルカンホスホネート、特にDTPMP、または上記ホスホネートの混合物を使用するのが好ましい。
【0164】
さらに、アルカリ土類金属イオンとの錯体を形成しうる全ての化合物をコビルダーとして使用することもできる。
【0165】
好ましい態様において、本発明の洗濯用洗剤は、任意に、1つまたはそれ以上の錯生成剤をさらに含んでいてよい。
金属イオン封鎖剤としても知られる錯生成剤(INCI キレート化剤)は、金属イオンを錯化および不活性化して、組成物の安定性または外観(例えば不透明性)への不利な作用を防止することができる成分である。第一に、多くの成分と不適合性である硬水のカルシウムおよびマグネシウムイオンを錯化することが重要である。鉄または銅のような重金属のイオンの錯化は、完成組成物の酸化分解を遅らせる。
【0166】
適する錯生成剤は、例えば、INCIに従って呼称される下記の錯生成剤であり、これらはInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookに詳しく記載されている:アミノトリメチレンホスホン酸、β-アラニン二酢酸、カルシウム二ナトリウムEDTA、クエン酸、シクロデキストリン、シクロヘキサンジアミン四酢酸、クエン酸二アンモニウム、二アンモニウムEDTA、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、二カリウムEDTA、二ナトリウムアザシクロヘプタンジホスホネート、二ナトリウムEDTA、ピロリン酸二ナトリウム、EDTA、エチドロン酸、ガラクタル酸、グルコン酸、グルクロン酸、HEDTA、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、メチルシクロデキストリン、三リン酸五カリウム、五ナトリウムアミノトリメチレンホスホネート、五ナトリウムエチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、ペンテト酸五ナトリウム、三リン酸五ナトリウム、ペンテト酸、フィチン酸、クエン酸カリウム、カリウムEDTMP、グルコン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、カリウムトリスホスホノメチルアミンオキシド、リボン酸、ナトリウムキトサンメチレンホスホネート、クエン酸ナトリウム、ナトリウムジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート、ナトリウムジヒドロキシエチルグリシネート、ナトリウムEDTMP、ナトリウムグルセプテート、グルコン酸ナトリウム、ナトリウムグリセレス-1ポリホスフェート、ヘキサメタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、フィチン酸ナトリウム、ナトリウムポリジメチルグリシノフェノールスルホネート、トリメタリン酸ナトリウム、TEA-EDTA、TEA-ポリホスフェート、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、エチドロン酸四カリウム、ピロリン酸四カリウム、四ナトリウムEDTA、エチドロン酸四ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、三カリウムEDTA、三ナトリウムジカルボキシメチルアラニネート、三ナトリウムEDTA、三ナトリウムHEDTA、三ナトリウムNTAおよびリン酸三ナトリウム。
【0167】
好ましい錯生成剤は、第三級アミン、特に第三級アルカノールアミン(アミノアルコール)である。アルカノールアミンは、アミノおよびヒドロキシルおよび/またはエーテル基を官能基として有する。特に好ましい第三級アルカノールアミンは、トリエタノールアミンおよびテトラ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン[N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン]である。第三級アミンと、リシノール酸亜鉛および1つまたはそれ以上のエトキシル化脂肪アルコール(ノニオン性の可溶化剤として)、および任意に溶媒との特に好ましい組み合わせは、独国特許DE4014055C2(Grillo-Werke)に開示されている(該文献はこれに関して参照され、その内容は本明細書に組み入れられる)。
【0168】
特に好ましい錯生成剤は、エチドロン酸(1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、HEDP、アセトホスホン酸、INCI エチドロン酸)およびその塩である。従って、好ましい態様において本発明の組成物は、エチドロン酸および/または1つまたはそれ以上のその塩を錯生成剤として含有する。
【0169】
特定の態様において、本発明の洗濯用洗剤は、1つまたはそれ以上の第三級アミンおよび1つまたはそれ以上の他の錯生成剤、好ましくは、1つまたはそれ以上の錯生成剤の酸またはその塩の組合せ、特に、トリエタノールアミンおよび/またはテトラ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンおよびエチドロン酸および/または1つまたはそれ以上のその塩の錯生成剤の組合せを含有する。
【0170】
本発明の洗濯用洗剤は、錯生成剤を、通常は0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、特に好ましくは1.5〜6重量%、例えば1.5、2.1、3または4.2重量%の量で含有する。
【0171】
他の態様において、本発明の洗濯用洗剤は、好ましくは増粘剤として機能する1つまたはそれ以上の粘度調節剤を任意に含有する。
組成物の粘度は、通常の標準法(例えば、ブルックフィールドRVD-VII粘度計、20rpm、20℃、スピンドル3)によって測定することができ、好ましくは10〜5000mPasである。好ましい液体ないしゲル形態の組成物は、粘度が20〜4000mPasであり、特に好ましい粘度は40〜2000mPasである。
【0172】
適する増粘剤は、無機または高分子有機化合物である。複数の増粘剤の混合物を使用することもできる。
無機増粘剤は、例えば、ポリケイ酸、粘土鉱物、例えば、モンモリロナイト、ゼオライト、シリカ、ケイ酸アルミニウム、層状ケイ酸塩およびベントナイトである。
有機増粘剤は、天然ポリマー、改質天然ポリマーおよび完全合成ポリマーの群に由来する。
【0173】
天然に由来し、増粘剤として使用しうるポリマーは、例えば、キサンタン、寒天、カラゲナン、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、多糖類、グアールゴム、ゲランゴム、ローカストビーンゴム、デンプン、デキストリン、ゼラチンおよびカゼインである。
【0174】
改質天然物質は、特に、改質デンプンおよびセルロースの群に由来し、例として下記のものが挙げられる:カルボキメチルセルロースおよび他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロース、高度エーテル化メチルヒドロキシエチルセルロースおよび種子粉末(seed flour)エーテル。
【0175】
種々の適用分野に広い用途を有する増粘剤の大きい群は、完全合成ポリマーの群であり、例えば、架橋または非架橋の任意にカチオン的に修飾されたポリアクリル酸およびポリメタクリル酸化合物、ビニルポリマー、ポリカルボン酸、ポリエーテル、活性ポリアミド誘導体、ヒマシ油誘導体、ポリイミン、ポリアミドおよびポリウレタンである。このようなポリマーの例は、アクリル樹脂、エチルアクリレート−アクリルアミドコポリマー、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステルコポリマー、エチルアクリレート−アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、N-メチロールメタクリルアミド、無水マレイン酸−メチルビニルエーテルコポリマー、ポリエーテル−ポリオールコポリマーおよびブタジエン−スチレンコポリマーである。
【0176】
他の適する増粘剤は、有機酸の誘導体およびそれらのアルコキシド付加物、例えば、アリールポリグリコールエーテル、カルボキシル化ノニルフェノールエトキシレート誘導体、アルギン酸ナトリウム、ジグリセリルモノイソステアレート、非イオン生成性エチレンオキシド付加物、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、イソドデセニルコハク酸無水物およびガラクトマンナンである。
【0177】
上記した物質群からの増粘剤は、商業的に入手可能であり、例えば下記の商品名で入手することができる:Acusol(商標)-820 [メタクリル酸(ステアリルアルコール-20-EO)エステル−アクリル酸コポリマー、水中30%、Rohm & Haas]、Dapral(商標)-GT-282-S [アルキルポリグリコールエーテル、Akzo]、Deuterol(商標)-Polymer-11 [ジカルボン酸コポリマー、Schoener GmbH]、Deuteron(商標)-XG [β-D-グルコース、D-マンノース、D-グルクロン酸に基づくアニオンヘテロ多糖、Schoener GmbH]、Deuteron(商標)-XN [非イオン生成性多糖、Schoener GmbH]、Dicrylan(商標)-Verdicker-O [エチレンオキシド付加物、水/イソプロパノール中50%、Pfersse Chemie]、EMA(商標)-81およびEMA(商標)-91 [エチレン−無水マレイン酸コポリマー、Monsanto]、Verdicker-QR-1001 [ポリウレタンエマルジョン、水/ジグリコールエーテル中19〜21%、Rohm & Haas]、Mirox(商標)-AM [陰イオンアクリル酸−アクリル酸エステルコポリマー分散系、水中25%、Stockhausen]、SER-AD-FX-1100 [疎水性ウレタンポリマー、Servo Delden]、Shellflo(商標)-S [高分子量多糖、ホルムアルデヒドで安定化、Shell]、Shellflo(商標)-XA [キサンタン生体高分子、ホルムアルデヒドで安定化、Shell]、およびKelzan、Keltrol T [Kelco]。
【0178】
他の好ましい態様において、本発明の洗濯用洗剤は、1つまたはそれ以上の酵素を任意に含有する。
有用な酵素は、特に、加水分解酵素、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼおよび脂肪分解酵素、アミラーゼ、セルラーゼおよび他のグリコシル加水分解酵素の群からの酵素、およびこれら酵素の混合物である。洗浄において、これらの全ての加水分解酵素は、汚れ、例えば、たんぱく質、油脂またはデンプンの汚れ、および灰色化の除去に寄与する。さらに、セルラーゼおよび他のグリコシル加水分解酵素は、毛玉およびミクロフィブリルを除去することによって、織物の色の保留および柔軟性の増加に寄与することができる。漂白のため、または染料移行を防止するために、オキシレダクターゼを使用することもできる。特に適する酵素活性成分は、細菌株または真菌類、例えば、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Streptomyceus griseusおよびHumicola insolensから得られる。スブチリシン型のプロテアーゼ、特にBacillus lentusから得られるプロテアーゼを使用するのが好ましい。これに関して特に重要なものは、例えば下記のような酵素混合物である:プロテアーゼおよびアミラーゼまたはプロテアーゼおよびリパーゼまたは脂肪分解酵素またはプロテアーゼおよびセルラーゼの混合物、またはセルラーゼおよびリパーゼまたは脂肪分解酵素の混合物、またはプロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼまたは脂肪分解酵素またはプロテアーゼ、リパーゼまたは脂肪分解酵素およびセルラーゼの混合物、特にプロテアーゼおよび/またはリパーゼ含有混合物、または脂肪分解酵素含有混合物。この種の脂肪分解酵素の例は、既知のクチナーゼである。ある場合には、ペルオキシダーゼまたはオキシダーゼが適することもわかった。適するアミラーゼは、特に、α-アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼおよびペクチナーゼを包含する。使用されるセルラーゼは、好ましくは、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、およびセロビアーゼとも称されるβ-グルコシダーゼ、またはこれらの混合物である。種々のセルラーゼ種は、それらのCMCアーゼ(CMCase)およびアビセラーゼ(avicelase)活性が異なり、セルラーゼの選択的混合によって所望の活性を得ることができる。
【0179】
付形物体の形態で、酵素を支持体に吸着させるかまたは被覆物質に埋め込んで、酵素を早期分解から保護することができる。酵素、酵素混合物または酵素微粒の含有量は、例えば、約0.1〜5重量%、好ましくは0.12〜約2重量%である。
【0180】
洗濯用洗剤は、漂白剤を任意に含んでいてよい。漂白剤として機能し、水にHを供給する化合物の中で、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム四水化物および過ホウ酸ナトリウム一水化物が特に重要である。他の有用な漂白剤は、例えば、ペルオキソピロホスフェート、シトレートペルハイドレート、およびH-供給過酸塩または過酸、例えば、過硫酸塩または過硫酸である。式:HN-CO-NH・Hで示すことができる尿素ポリオキソハイドレートペルカルバミドも有用である。特に、組成物を硬質面の洗浄に、例えば機械食器洗浄に使用する場合、組成物は、必要であれば、有機漂白剤の群からの漂白剤を含んでいてよいが、それらの使用は、原理的に、織物洗浄用組成物にも可能である。一般的な有機漂白剤は、過酸化ジアシル、例えば過酸化ジベンゾイルである。他の一般的な有機漂白剤はペルオキシ酸であり、その具体例は、アルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸である。好ましい例は、ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸であるが、下記のものを使用することもできる:ペルオキシ-α-ナフトエ酸およびマグネシウムモノペルフタレート、脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸(フタルイミドペルオキシヘキサン酸、PAP)、o-カルボキシ-ベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸およびN-ノネニルアミドペルスクシネート、および脂肪族および芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)。
漂白剤は、早期分解から保護するために被覆してよい。
【0181】
染料を本発明の洗濯用洗剤に使用することができるが、1つまたはそれ以上の染料の選択される量は、組成物の使用後に可視残留物が残存しないようにするに充分な少ない量にすべきである。しかし、本発明の組成物は染料を含有しないのが好ましい。
【0182】
洗濯用洗剤は、任意に、紫外線吸収剤をさらに含んでいてよく、これは、処理された織物に付着し、繊維の光安定性および/または他の配合成分の光安定性を向上させる。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、吸収したエネルギーを再び長波長放射線、例えば熱の形態で、放出することができる有機物質(光保護フィルター)を意味する。このような所望の特性を有する化合物は、例えば、2-および/または4-位に置換基を有し、無放射失活のゆえに有効な、ベンゾフェノンの化合物および誘導体である。また適するのは、置換ベンゾトリアゾール、例えば、水溶性ベンゼンスルホン酸3-(2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-(メチルプロピル)モノナトリウム塩[Cibafast(商標)H]、2位にシアノ基を任意に有する3-フェニル置換アクリレート(桂皮酸誘導体)、サリチレート、有機ニッケル錯体および天然物質、例えば、ウンベリフェロンおよび内性ウロカニン酸である。特に重要なものは、ビフェニル誘導体、特にスチルベン誘導体であり、これは、例えば欧州特許出願公開EP0728749Aに開示され、Tinosorb(商標)FDまたはTinosorb(商標)FRとしてCibaから商業的に入手可能である。
【0183】
UV-B吸収剤は、下記のものを包含する:3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファーおよびそれらの誘導体、例えば、欧州特許EP0693471B1に開示されている3-(4-メチルベンジリデン)カンファー;4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは2-エチルヘキシル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-オクチル4-(ジメチルアミノ)-ベンゾエートおよびアミル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート;桂皮酸のエステル、好ましくは、2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート、プロピル4-メトキシシンナメート、イソアミル4-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-フェニル-シンナメート(オクトクリレン);サリチル酸のエステル、好ましくは、2-エチルヘキシルサリチレート、4-イソプロピルベンジルサリチレート、ホモメンチルサリチレート;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは、ジ-2-エチルヘキシル4-メトキシベンズマロネート;トリアジン誘導体、例えば、2,4,6-トリアニリノ(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン、および欧州特許出願公開EP0818450A1に開示されているオクチルトリアゾン、またはジオクチルブタミドトリアゾン[Uvasorb(商標)HEB];プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;欧州特許EP0694521B1に開示されているケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体。また適するのは、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウム塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびこれらの塩である。
【0184】
有用な代表的UV-Aフィルターは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば、1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、および独国特許出願公開DE19712033A1(BASF)に開示されているエナミン化合物である。勿論、UV-AおよびUV-Bフィルターを混合物で使用することもできる。上記の可溶性物質に加えて、不溶性光保護顔料、特に微細分散した、好ましくはナノ化した金属酸化物または塩もこの目的に適している。適する金属酸化物の例は、特に、酸化亜鉛および二酸化チタン、ならびに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミナおよびセリウムの酸化物、およびこれらの混合物である。使用される塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛であってよい。酸化物および塩は、スキンケアおよび皮膚保護エマルジョンおよび美容化粧品のための顔料の形態で既に使用されている。粒子は、平均粒径100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmを有すべきである。これらは、球形を有することができるが、楕円形、または球形から幾分それた形を有する粒子を使用することもできる。顔料は、表面処理されていてもよく、即ち、親水化または疎水化されていてもよい。代表的な例は、被覆された二酸化チタン、例えば二酸化チタン T 805 (Degussa)またはEusolex(商標) T2000 (Merck)である。有用な疎水性被覆組成物は、特にシリコーン、とりわけトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコーンである。微粉化酸化亜鉛を使用するのが好ましい。他の適する紫外線保護フィルターは、SOEFW-Journal 122、543 (1996)中のP.Finkelの概説に見い出される。
【0185】
紫外線吸収剤は、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.03重量%〜1重量%の量で使用することができる。
【0186】
処理された織物の吸水力および再湿潤性を向上させ、該織物のアイロンがけを容易にするために、洗濯用洗剤はアイロンがけ補助剤も任意に含んでいてよい。配合物において、例えばシリコーン誘導体を使用することができる。該シリコーン誘導体は、それらの抑泡性により、洗浄配合物の濯ぎ性能をさらに向上させる。好ましいシリコーン誘導体は、例えばポリジアルキルまたはアルキルアリールシロキサンであり、そのアルキル基は、1〜5個の炭素原子を有し、完全にまたは部分的にフッ素化されている。好ましいシリコーンはポリジメチルシロキサンであり、それは任意に誘導体化されていてよく、その場合、アミノ官能性であるかまたは四級化されているか、またはSi-OH、Si-Hおよび/またはSi-Cl結合を有する。好ましいシリコーンの25℃における粘度は100〜100,000mPasであり、シリコーンは、全組成物に基づいて0.2〜5重量%の量で使用することができる。
【0187】
洗濯用洗剤は、シワ防止剤またはシワ減少剤を任意に含んでいてよい。これらの例は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールエステル、脂肪酸アルキロールアミドまたは脂肪アルコール(これらは通常はエチレンオキシドと反応している)に基づく合成生成物、またはレシチンまたは改質リン酸エステルに基づく生成物である。
【0188】
本発明はさらに、本発明の組成物で含浸および/または被覆および/または飽和されたコンディショニング基材をも提供する。含浸、被覆または飽和組成物の構成形態は、上の記載から採用することができる。
【0189】
コンディショニング基材は、特に織物処理、とりわけ織物乾燥過程で使用される。基材材料は、多孔質平布から成るのが好ましい。これは、繊維状または気泡軟質材料から成っていてよく、該材料は、乾燥機における使用に対して充分な熱安定性を有し、かつ、組成物を有意に漏出または浸出させずに、物質を効果的にコンディショニングするために充分な量の含浸または被覆組成物を保持することができる。これらの布は、織ったおよび織っていない合成および天然繊維、フェルト、紙またはフォーム、例えば疎水性ポリウレタンフォームから製造した布を包含する。
【0190】
この場合、不織材料から製造した通常の布(不織布)を使用するのが好ましい。不織布は、マットまたは被覆された繊維構造を有するか、または繊維がランダムにまたは統計的配列で分布している繊維マットから成る、接着剤で結合した繊維製品として一般に定義される。繊維は、天然、例えば、羊毛、絹、ジュート、大麻、綿、リネン、サイザル麻またはラミー;または合成、例えば、レーヨン、セルロースエステル、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルであってよい。一般に、あらゆる繊維直径および線密度が本発明に適している。全ての方向に優れた強度を付与する不織布材料における繊維のランダムまたは統計的配列により、本発明に使用される不織布物質は、例えば家庭用洗濯乾燥機において使用したときに、裂けにくく、崩壊しにくい。本発明における基材として適する不織布物質の例は、例えば国際特許出願公開WO93/23603から既知である。好ましい多孔質の平らなコンディショニング布は、1つまたは種々の繊維材料、特に、綿、加工綿、ポリアミド、ポリエステルまたはこれらの混合物から成る。布形態のコンディショニング基材は、表面積0.2〜0.005m、好ましくは0.15〜0.01m、特に0.1〜0.03m、より好ましくは0.09〜0.06mを有する。材料の重さ(grammature)は、通常は20〜1000g/m、好ましくは30〜500g/m、特に50〜150g/mである。コンディショニング基材は、本発明の組成物またはコンディショニング組成物を、基材上に飽和または含浸させるか、または溶融させることによって得られる。
【0191】
従って、本発明は、1つまたはそれ以上の上記コンディショニング基材を、織物乾燥過程において使用する織物コンディショニング方法をさらに提供する。
【0192】
本発明は、少なくとも1つまたはそれ以上の本発明の意味における皮膚治癒および/または皮膚保護活性物質を含んで成る織物処理に適する組成物の使用をさらに提供する。これら皮膚治癒および/または皮膚保護活性物質は、殺菌作用を有するのが有利であり、好ましくは油、より好ましくは精油であり、特に上に挙げた精油から選択される。
【0193】
好ましい態様において、すぐ前に記載した織物処理に適する組成物の使用は、織物処理中に、少なくとも1つの治癒活性物質が、適切に処理された織物の繊維に移動し、皮膚との接触時に、たとえ微量であっても少なくとも部分的に織物に残留することを伴う。そしてここで、この治癒活性物質の少なくとも一部は、適切に処理された織物と皮膚との接触時に、織物から皮膚に放出される。
【0194】
好ましい態様において、本発明はさらに、炎症を起こしたおよび/または過敏化したおよび/または罹患したヒト皮膚の持続治療のためならびに健康な皮膚の予防処置のための織物仕上げについての記載から理解される本発明の織物処理組成物の特徴に従って医療活性な織物処理組成物を製造するための、少なくとも1つの皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質の使用をも提供する。
【0195】
好ましい態様において、本発明はさらに、健康なおよび/または炎症を起こしたおよび/または過敏化したおよび/または罹患したヒト皮膚の持続的および/または予防的処置のための織物仕上げについての記載から理解される特徴に従って医療活性なコンディショニング基材を製造するための、少なくとも1つの皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質の使用をも提供する。
【0196】
好ましい態様において、本発明はさらに、健康なおよび/または炎症を起こしたおよび/または過敏化したおよび/または罹患したヒト皮膚の持続的および/または予防的処置のための織物仕上げについての記載から理解される特徴に従って医療活性な洗濯用洗剤を製造するための、少なくとも1つの皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質の使用をも提供する。
【実施例】
【0197】
本発明の意味における医療用織物処理組成物の配合を下記の表に示す。
該組成物は、下記の成分から成る乳剤(エマルジョン)である:
【表1】

【0198】
実験用ホモジナイザー(回転子-固定子の系、Janke & Kunkelより)中、30℃でエマルジョンを製造し、次に、20℃まで冷却した。分解デンプンは、イネ、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、オートムギ等からの天然デンプン、好ましくは部分加水分解デンプン(酸または酵素加水分解)である。
固体クエン酸、クエン酸ナトリウム、尿素およびデンプンを、最初に充填した水に、約30℃で撹拌しながら順次に溶解させる。次に、油および乳化剤(エトキシル化ヒマシ油)を順次に添加する。ホモジナイザーを使用してエマルジョンを得る。
このエマルジョンを、織物処理に関して先に記載した全ての方法で適用することができる。
【0199】
織物から皮膚への活性物質の移動を実証するのに適する2つの方法を以下に記載する。この実証は、それぞれの場合に、多くの被験者(通常は10〜50人)が織物を所定期間着用するか、または織物試料を被験者の背中または腕に固定する段階を先に行う。任意に、被験者の皮膚を織物で1分間こすってもよい。
【0200】
検出方法1(好ましい方法):テープ剥離
インビボ試料採取のために、Sebutapes(商標)を、各場合に、織物と皮膚が接触した身体の当該部位または脇下の内側の3箇所に1分間適用する。ローラー(1000g)を、規格化した方法によって、接着テープで覆われた領域に6回転がす。
Sebutapes(商標)上のタンパク質を定量するために、これらを、それぞれ溶解緩衝液(二回蒸留した水中の0.9重量% NaCl+0.1重量% Triton X)1.5mlと混合する。この処置を、パラフィルムで注意深く密閉した6つの波形皿において行った。各場合に、3つの皿を一緒に、超音波浴で10分間処理する。全タンパク質含有量を、標準法、例えば、PierceからのmicroBCAタンパク質アッセイを使用して、製造会社の指示に従って定量する。
活性物質を定量するために、適する緩衝液を使用して、Subutapesから活性物質を溶離する。適する方法(例えば、HPLC/GC/MS等)を使用して分析を行う。
【0201】
検出方法2:溶離
織物を1日間皮膚に着用した後、分析的に純粋なエタノール2mlを用いて綿パッドにより皮膚から活性物質を抽出する。
内径40mmのプラスチックリングを皮膚に当て、試験される皮膚領域を、円形動作で3回抽出する。
このパッドを、8ml単位の分析用エタノール中に沈殿させる。次いで、活性物質を、例えば、HPLC/GC/MSまたは他の通常の分析方法によって定量する。
【0202】
これら2つの方法において、活性物質の活性が実証されたと考えられる。該方法は、織物から皮膚への活性物質の移動を裏付ける。
【0203】
活性を実証するために、さらなる試験が必要とされる。この目的のために、例えば下記の(a)および(b)のような比較実験を行わなければならない:
(a)皮膚に僅かな損傷が存在し、織物を適用することによって、非処置領域と比較して、より速い皮膚の再生が観察された。再生(より速い再生)を評価するのに適する方法は、例えば、光学的評価、TEWL(経皮水分損失)および皮膚pHの測定である;
(b)皮膚に僅かな損傷を有する被験者によって行われる、従来処理織物と比較した本発明処理織物の評価。被験者は、両タイプの織物を所定期間(8時間)身につけ、次に、異なる織物の着用によって、皮膚への作用(例えば、損傷した皮膚を有する被験者によって認識され、被験者の主観的快適感を向上させるかゆみの減少または他の作用)を知覚したか否かを評価する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたはそれ以上の皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質を含んで成ることを特徴とする織物処理組成物。
【請求項2】
活性物質の少なくとも1つが殺菌作用を有するか、または少なくとも1つの殺菌性物質を含んで成ることを特徴とする請求項1に記載の織物処理組成物。
【請求項3】
殺菌性物質が油、特に精油であることを特徴とする請求項2に記載の織物処理組成物。
【請求項4】
皮膚保護物質が皮膚保護油であることを特徴とする請求項1に記載の織物処理組成物。
【請求項5】
少なくとも1重量%の1つまたはそれ以上の皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項6】
γ-リノレン酸(GLA)の最少含有量0.1重量%を有する皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質を含んで成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項7】
尿素および/またはその誘導体および/または乳酸および/またはクエン酸および/またはそれらの塩をさらに含んで成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項8】
T=20℃の温度でpHが5.5以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項9】
活性物質が、織物処理の間に、適切に処理された織物の繊維に移動し、皮膚との接触時であっても織物に少なくとも部分的に残留することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項10】
適切に処理された織物と皮膚との接触の際に、活性物質が、該織物から皮膚に部分的に放出されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項11】
染料を含有しないことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項12】
固体、分散、粉末、圧縮または微粒形態、特に液体形態で存在することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項13】
非水性であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項14】
追加の芳香剤または他の芳香油が存在しないことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項15】
易アイロン剤および/またはシワ減少剤を含んで成ることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項16】
高分子基材に可逆的に固定され、それによって、皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質の遅延放出が可能であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項17】
高分子基材がケイ酸エステルであることを特徴とする請求項16に記載の織物処理組成物。
【請求項18】
脱臭活性成分を含んで成ることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項19】
第四アンモニウム化合物を少量で含有するかまたは特に含有せず、特に、疎水基がエステル結合によって四級化ジもしくはトリエタノールアミンまたは類似化合物に結合している第四アンモニウム化合物を含有しないことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項20】
水溶性パッケージに導入されること、特に、各部分が水溶性パッケージに導入されるように分割されることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項21】
錠剤の形態、特に、複数の分離した相から成る錠剤の形態にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項22】
エマルジョンの形態、特にミクロエマルジョンの形態で存在することを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の織物処理組成物。
【請求項23】
後処理組成物としての、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項24】
濯ぎ後組成物としての、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項25】
織物柔軟剤としての、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項26】
織物処理のための請求項1〜20および22のいずれかに記載の組成物の使用であって、該組成物が液体形態、特に乳化形態で存在することを条件として、該組成物をスプレーアプリケーターによって織物に適用することを特徴とする使用。
【請求項27】
炎症を起こしたおよび/または過敏化したおよび/または罹患したヒト皮膚の持続治療のためならびに健康な皮膚の予防処置のための織物仕上げのための、請求項1〜22のいずれかに記載の医療活性な織物処理組成物を製造するための、少なくとも1つの皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質の使用。
【請求項28】
織物処理のための方法であって、請求項1〜20および22のいずれかに記載の織物処理組成物を、該織物処理組成物が液体形態、特に乳化形態で存在することを条件として、スプレーアプリケーターによって、処理すべき織物に適用することを特徴とする方法。
【請求項29】
コンディショニング基材であって、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物で含浸および/または飽和および/または被覆された基材であることを特徴とするコンディショニング基材。
【請求項30】
基材が不織材料、特にビスコース不織布から成ることを特徴とする請求項29に記載のコンディショニング基材。
【請求項31】
基材が20〜1000g/m、特に30〜500g/mの重さを有することを特徴とする請求項29または30に記載のコンディショニング基材。
【請求項32】
基材が0.2〜0.005mの大きさであることを特徴とする請求項29〜31のいずれかに記載のコンディショニング基材。
【請求項33】
織物コンディショニングのための方法であって、請求項29〜32のいずれかに記載の1つまたはそれ以上のコンディショニング基材を、織物乾燥過程で使用することを特徴とする方法。
【請求項34】
炎症を起こしたおよび/または過敏化したおよび/または罹患したヒト皮膚の持続治療のためならびに健康な皮膚の予防処置のための織物仕上げのための、請求項29〜32のいずれかに記載の医療活性なコンディショニング基材を製造するための、少なくとも1つの皮膚保護および/または皮膚治癒活性物質の使用。
【請求項35】
少なくとも2つの成分から成る洗濯用洗剤であって、これらの成分が、少なくとも1つの洗濯用洗剤または洗浄組成物成分ならびに請求項1〜22に記載の少なくとも1つの織物処理成分であり、特にこれら2つの成分が、洗浄または織物処理操作における異なる時点で放出されることを特徴とする洗濯用洗剤。
【請求項36】
好ましくはエマルジョンの形態、特にミクロエマルジョンの形態で存在する液体洗濯用洗剤であることを特徴とする請求項35に記載の洗濯用洗剤。
【請求項37】
織物処理組成物が液体形態、好ましくはエマルジョンとして、特にミクロエマルジョンとして存在することを条件として、スプレーアプリケーターおよび請求項1〜20および22のいずれかに記載の織物処理組成物から成る製品。

【公表番号】特表2006−520434(P2006−520434A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504546(P2006−504546)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002232
【国際公開番号】WO2004/083355
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】