説明

缶キャリー

【課題】作業者が容易に使用可能な缶キャリーを提供する。
【解決手段】缶キャリー10は、清掃用の洗浄液を保持する缶を移動可能に保持する。缶キャリー10は、缶を載置する面を有する載置面を有する本体11と、本体11に連続して設けられ、当該缶キャリーを複数相互に前記面方向に接続するための突起部15、または、貫通孔13を有する4つの突出部13a〜13dを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、清掃用の洗浄液を保持したバケツ等を移動可能に保持する缶キャリーに関し、特に、作業性のよい缶キャリーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モップ等によって清掃作業をする際に洗浄液を保持したバケツを移動可能に保持する缶キャリーが提供されている。缶キャリーは台車状であり、洗浄液を保持したバケツのような缶を載置する載置面を有する載置部と、載置部から上方向に延在して設けられた把手部と、載置部の下面に設けられた複数のキャスタと含む。載置台の上にバケツが保持された状態で缶キャリーを把持部で押すことによって移動させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の洗浄液を保持したバケツを移動可能に保持する缶キャリーは上記のように構成されていた。このような缶キャリーであれば、大量の洗剤等が必要なときに複数の缶キャリーを移動させようとしても、一人では容易に移動できず、また、これらを複数保管するときには個々の缶キャリーを平面上に隣接して収容する必要があり、大きな収納スペースが必要になるという問題があった。
【0004】
この発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、使用者にとって使い易い缶キャリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る缶キャリーは、清掃用の洗浄液を保持する缶を移動可能に保持する。缶キャリーは、缶を載置する載置面を有する本体を含み、本体は、載置面に連続して設けられ、当該缶キャリーを複数相互に載置面方向に接続するための接続手段を含む。
【0006】
この発明においては、缶キャリーを複数、相互に載置面方向に接続できるため、複数の缶キャリーを一括して移動や収納が可能になる。
【0007】
その結果、使用者にとって使い易い缶キャリーを提供できる。
【0008】
好ましくは、載置面に載置された缶を所定の位置に保持するための保持手段含む。
【0009】
さらに好ましくは、接続手段は面方向に交わる上下方向に突出する一対の凸部と、一対の凸部に係合する一対の凹部とを含む。
【0010】
なお、載置面は、矩形状であり、接続手段は矩形の頂点において、矩形を構成する辺の延在する方向に交わる方向に延在するのが好ましい。
【0011】
また、本体は全体として卍状、または、逆卍状であるのが好ましく、本体の中央部には貫通孔を設けてもよい。
【0012】
この発明の他の局面においては、清掃用の洗浄液を保持する缶を移動可能に保持する缶キャリーは、缶を載置する載置面を有する本体を含む。本体は、載置面に連続して設けられ、当該缶キャリーを複数相互に載置面方向に接続するための接続手段とを含む。載置面はそれぞれが所定の幅を有する同一形状の4個の曲線状部材で構成され、4個の曲線状部材は、相互にその端部で接続され、その中央部において相互に近接する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態に係る缶キャリーの全体構成を示す図である。図1(A)は平面図であり、図1(B)は図1(A)において矢印B−Bで示す部分の側面図、および、一部断面図である。
【0014】
図1を参照して、缶キャリー10は、洗浄液を保持可能な、図示のない缶を載置する載置面を有する本体11と、本体11の下面に設けられ、本体11を移動させるための4つのキャスタ16a〜16dとを含む。本体11は、全体としてみたとき、中央部に変形された矩形状または曲線状の辺12a〜12dを有する卍状であり、中央部に同様の形状の貫通孔12eが設けられている。なお、これらの辺の幅寸法は等しいのが好ましい。また、缶キャリー10は樹脂で構成されるのが好ましい。ここでは、缶キャリー10は全体として点対称形であるが、これに限るものではない。卍状を構成する十字の4つの先端部11a〜11d近傍には清掃用の洗浄液を収容した円筒状の缶を保持するための缶保持部20a〜20dが設けられている。十字の先端部11a〜11dから左横方向には半円形の先端部を有する突出部13a〜13dが設けられている。なお、ここでは、載置面は、点線31で示される、缶が載置された場合の位置の内部である。
【0015】
缶保持部20a〜20dは、図中点線で示す円形の缶の側面を、図1(B)において矢印で示す缶の中心方向に押す押圧部21と、押圧部21が缶の側面を押圧できるように付勢するばね等を収容するとともに押圧部21を支持する支持部22と、押圧部21の反対側に設けられたキャスタ取付け部23とを備える。押圧部21は、上下方向に延在する部分を有し、上部がキャスタ側に拡がるような形状となっているため、上部から缶を容易に本体11の中央に位置決め可能である。また、図に示すように、押圧部21の上部は円形であるのが好ましい。なお、4つの押圧部20a〜20dは、缶キャリー10が点対称となる点を中心とした円周上に位置する。
【0016】
キャスタ取付け部23は扁平状の板でありキャスタ16に設けられたボルト17を貫通させる貫通孔と、貫通孔から突出したボルト17にナット18を取付けたときの座となる部分とを有している。図1(B)においては、この部分を参照番号16d〜18d、20d〜23dで示す。
【0017】
突出部13a〜13dのうち、対向する位置に設けられる突出部13aと13cの中央部には円形の貫通孔14a、14cを有している。また、これらに隣接する突出部13bと13dとは下向きの突起部15b,15dを有している。これら4つの突出部13a〜13dに設けられた2つの貫通孔14a,14c、および、2つの突起部15b,15dの中心は同一円周上に存在し、この円の中心は缶キャリー10の点対称の中心となる点である。
【0018】
なお、突出部13a〜13dは、十字の先端部11a〜11dから右横方向に設けられてもよい。また、ここでは、本体11の中央部を、4個の曲線とそれに繋がる辺とからなる変形された矩形状である例について説明したが、これに限らず、任意の形状であってもよい。たとえば、曲線を含まない矩形状としてもよいし、それぞれが円周の1/4からなるような、同一形状の4個の曲線で構成し、これらが、相互にその端部で接続され、元の円とは反対に、それぞれの円弧の中央部において相互に近接する形状としてもよい。
【0019】
図2(A)、(B)は突出部13bに設けられた突起部15bと、突出部13cに設けられた貫通孔14cの詳細を示す図であり、図1(B)においてIIA、IIBで示す部分の拡大図である。図2(A)および(B)を参照して、突起部15bと貫通孔14cとは、突起部15bが貫通孔14cにちょうど嵌りあい、相互に接続可能な寸法となっている。したがって、突起部(凸部)15bと貫通孔14cとは接続手段を構成する。
【0020】
また、突出部13bの突起部15bと突起部15bの上に設けられた鍔15cを有する部分との厚さは等しく(図中dで示す)、本体11の厚さの約半分である。同様に、突出部13cの貫通孔14cが設けられた部分と貫通孔が設けられない部分(突起部よりも径が大きい部分)との厚さは等しい(図中dで示す)。したがって、突起部15bは貫通孔14cに嵌りあい、接続されたときは、接続部の厚さは、本体11の厚さにほぼ等しくなる。なお、図に示すように、貫通孔14cの周囲には壁14bの上面が設けられており、この壁14bの上面に鍔15cが位置する。
【0021】
図3は、複数の缶キャリー10a〜10c…を、それぞれの突起部と貫通孔とで接続した状態を示す図である。図に示すように、それぞれの本体の上に缶を保持した状態で複数の缶キャリー10a〜10c…を相互に接続できるため、複数の缶キャリーを一体として移動、または、保管が可能である。
【0022】
なお、ここでは、缶キャリー10を1つづつ接続しているが、1つの缶キャリー10に複数の缶キャリーを接続してもよい。
【0023】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図4は、この発明の他の実施の形態に係る缶キャリー30を示す平面図であり、先の実施の形態の図1(A)に対応する。図4を参照して、この実施の形態においては、缶キャリー30は、全体として卍状ではなく、十字状であり、十字の端部に突出する方向に接続用の突出部が設けられている。それ以外の部分は、基本的に先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0024】
この実施の形態においても、先の実施の形態と同様に、4つの接続用の突出部を有するため、複数の缶キャリー30を一体として移動等が可能になる。
【0025】
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図5は、この発明のさらに他の実施の形態に係る缶キャリー40を示す平面図であり、先の実施の形態の図1(A)に対応する。図5を参照して、この実施の形態においては、缶キャリー30は、全体として卍状ではなく、正方形状であり、その4隅に接続用の接続部が設けられている。この実施の形態においては、接続部は突出部ではない。また、全体形状を除いて、基本的な部分は、先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。この場合も先の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0026】
なお、上記実施の形態においては、接続部となる突出部を90度ごとに4箇所設け、相互に対向する位置に突起部、または、貫通孔を設けたが、これに限らず、突起部と貫通孔とをそれぞれ連続して設けてもよい。
【0027】
また、上記実施の形態においては、接続部となる突出部が円形である場合について説明したが、これに限らず、任意の形状としてもよい。
【0028】
また、上記実施の形態においては、突起部を受ける部分が貫通孔である場合について説明したが、これに限らず、底部を有する凹部であってよい。
【0029】
上記実施の形態においては、複数の缶キャリーを、それぞれの1箇所の突起部と貫通孔とで接続した例について説明したが、これに限らず、可能な場合は、2箇所の突起部と貫通孔とで接続してもよい。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明に係る缶キャリーは、缶を保持した状態で複数を接続可能であるため、清掃用具として有利に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施の形態に係る缶キャリーの全体構成を示す図である。
【図2】突出部の詳細を示す図である。
【図3】複数の缶キャリーを接続した状態を示す図である。
【図4】この発明の他の実施の形態に係る缶キャリーの全体構成を示す図である。
【図5】この発明のさらに他の実施の形態に係る缶キャリーの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10,30,40 缶キャリー、11 本体、12 辺、13 突出部、14 貫通孔、15 突起部、16 キャスタ、17 ボルト、18 ナット、20 缶保持部、21 押圧部、22 支持部、23 キャスタ取付け部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃用の洗浄液を保持する缶を移動可能に保持する缶キャリーであって、
缶を載置する載置面を有する本体を含み、
前記本体は、前記載置面に連続して設けられ、当該缶キャリーを複数相互に前記載置面方向に接続するための接続手段を含む、缶キャリー。
【請求項2】
前記載置面に載置された缶を所定の位置に保持するための保持手段含む、請求項1に記載の缶キャリー。
【請求項3】
前記接続手段は前記載置面方向に交わる上下方向に突出する一対の凸部と、前記一対の凸部に係合する一対の凹部とを含む、請求項1または2のいずれかに記載の缶キャリー。
【請求項4】
前記載置面は、矩形状であり、前記接続手段は前記矩形の頂点において、矩形を構成する辺の延在する方向に交わる方向に延在する、請求項1から3のいずれかに記載の缶キャリー。
【請求項5】
前記本体は全体として卍状、または、逆卍状である、請求項4に記載の缶キャリー。
【請求項6】
前記本体の中央部には貫通孔が設けられる、請求項5に記載の缶キャリー。
【請求項7】
清掃用の洗浄液を保持する缶を移動可能に保持する缶キャリーであって、
缶を載置する載置面を有する本体を含み、
前記本体は、前記載置面に連続して設けられ、当該缶キャリーを複数相互に前記載置面方向に接続するための接続手段とを含み、
前記載置面はそれぞれが所定の幅を有する同一形状の4個の曲線を含む部材で構成され、
前記4個の曲線を含む部材は、相互にその端部で接続され、その中央部において相互に近接する、缶キャリー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−214607(P2009−214607A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58364(P2008−58364)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(593045260)セイワ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】