説明

置換アミドの経口投与用液体及び半固体医薬製剤

N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド(化合物I)は医薬的に許容可能な易消化性油、界面活性剤、又は補助溶媒、又はその任意2種以上の混合物を含む親油性ビヒクル中で驚くほど改善された溶解度とバイオアベイラビリティをもつ。本発明の1態様では、1)化合物Iと;2)HLBが1〜8の界面活性剤と;3)HLBが>8〜20の界面活性剤と;場合により、4)易消化性油及び/又は補助溶媒及び/又は酸化防止剤又は防腐剤を含有する自己乳化性又は自己微小乳化性組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
WO03/077847に記載の化合物N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド(化合物I)はカンナビノイド1(CB1)受容体モジュレーターであり、より特定的には機能的CB1アンタゴニストであり、更に特定的にはCB1逆アゴニストである。本発明は哺乳動物、特にヒトで使用するための化合物Iと医薬的に許容可能なその塩及び溶媒和物の製剤、特に化合物Iの吸収濃度を高め、従ってバイオアベイラビリティを高めるハード及びソフトゼラチンカプセルを含むカプセル製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬産業は水溶性及び/又は腸上皮浸透性の低い活性分子数を増加した製剤を開発するという課題に直面している。場合により、化合物Iの場合のように、従来の錠剤又はカプセル剤では許容可能なバイオアベイラビリティを容易に達成することができない。脂質溶解度の高い化合物の代替剤形としては脂質系液体充填カプセル(LFC)がある。このような製剤は経口バイオアベイラビリティが高く、経口投与用脂質系製剤の可能性に関心が高まっている。低水溶性化合物のバイオアベイラビリティの向上の原因となる厳密なメカニズムを解明することは困難であるが、脂質系製剤は主に固体剤形からの遅い溶解段階を解決することにより暴露量を増している(Pouton,C.W.,Europ.J.Pharm.Sciences,11 Suppl.2(2000)S93−S98)。更に、これらの製剤は浸透性も向上することができる(Aungst,B.J.,J.Pharm.Sciences,89:4(2000)429−442)。
【0003】
これらの脂質/界面活性剤ビヒクルは水性環境でエマルション(即ち油液滴相の連続水相懸濁液)又はマイクロエマルション(即ち安定な微小構造連続相)を形成する。これらは文献中で自己乳化性薬剤送達システム(SEDDS)と呼ばれている(S.Charmanら,Pham Res.,vol.9,87(1992))。これらは一般に油、一般に中鎖又は長鎖トリグリセリドと非イオン性乳化剤の混合物であり、水性媒体中(例えば胃腸内)に分散されるとエマルションを生成している(C.W.Pouton,Adv.Drug Deliv.Rev,vol.25,47(1997);P.P.Constantinides,Pharm.Res.,vol.12,1561(1995);A.Humberstone and W.Charman,Adv.Drug Del.Rev.,vol 25,103(1997))。
【0004】
マイクロエマルションの形成はこのような製剤の高いバイオアベイラビリティに結び付けられている。シクロスポリンAの場合には、薬剤は粗粒乳化性SANDIMMUNE製剤よりもNEORALマイクロエマルション製剤のほうがアベイラビリティが高かった(Mueller,E.A.,Kovarik,J.M.,Van Bree,J.B.,Tetz1off,W.,Kutz,K.,Pharm.Res.,11(1994)301−304)。自己乳化性システムは分散系を生成するために初期乳化プロセスに依存する。コレステリルエステル転送阻害剤の自己乳化性製剤がWO03/000295に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、暴露量を最大限にし、食物効果による潜在的吸収変動性を減らした化合物Iの経口製剤を開発することが依然として必要とされている。1カプセル当たりの用量を増加することのできる製剤も望ましい。本発明は経口投与可能な化合物Iの溶液、半固体、懸濁液、及び(水中油)エマルションである医薬組成物を提供する。溶液又は分散液は例えば液体充填封止ハードゼラチンカプセル又はグリセリンやソルビトール等の可塑剤を加えたソフトゼラチンカプセル等のカプセル剤形の充填物として投与することができる。化合物Iは以下に詳述するように、易消化性油、補助溶媒及び界面活性剤等の各種親油性ビヒクル、並びに上記ビヒクルの任意2種以上の混合物に溶解又は分散することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は低水溶性(<0.4μg/mL)化合物であるN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド(化合物I)の経口投与用医薬組成物に関する。結晶固体として投与すると、この化合物はin vivo化合物溶解度を増すために製剤に界面活性剤を添加した場合でもイヌ及びサルで経口バイオアベイラビリティが非常に低いことが判明した。(a)MIGLYOL 812、又は810(カプリル酸/カプリン酸脂肪酸のトリグリセリド,SASOL製品)、CAPTEX 355(Abitec Corp.製品)、及びCRODAMOL GTCC−PN(Croda製品)等の中鎖トリグリセリドや、オリーブ油、コーン油、大豆油、ゴマ油、ピーナツ油、綿実油及びサフラワー油等の天然油を含む易消化性油;(b)IMWITOR 742(カプリル酸/カプリン酸脂肪酸のモノ及びジグリセリド,SASOL製品)、及びCAPMUL(Abitec Corp.製品)等の中鎖モノ及びジグリセリド、LABRAFIL M 1944 CS(オレオイルマクロゴールグリセリド,Gattefosse製品)、及びLABRAFIL M 2125 CS(リノレオイルマクロゴールグリセリド,Gattefosse製品)等のグリコール化グリセリド、並びにSPAN 80(Uniqema,ICIグループ製品モノオレイン酸ソルビタン)等のソルビタン脂肪酸エステルを含む親油性低HLB界面活性剤;(c)ポリソルベート80−モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(TWEEN 80とも言う)、特にCRILLET 4 HP(Croda製品)、ポリオキシル40水素化ひまし油(CREMOPHOR RH40,BASF製品)、ポリオキシル35ひまし油(CREMOPHOL EL,BASF製品)、及びLABRASOL(カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド,Gattefosse製品)等の親水性高HLB界面活性剤;更に(d)プロピレングリコール(PG)、グリセロール、エタノール、オレイン酸、及びポリエチレングリコール(例えばPEG400)等の補助溶媒を含む液体及び反固体キャリヤーの各種組合わせに化合物を溶かした液体充填カプセル剤形を使用することにより、経口バイオアベイラビリティは驚くべきほど劇的に増加することが判明した。ハード又はソフトゼラチンカプセルに充填するために使用される本発明の特定組成物は0.8%〜2.4%化合物I、48.7%〜49.6%ポリソルベート80、48.7%〜49.6%IMWITOR 742、及び0.06%ブチル化ヒドロキシアニソールを含有する。
【発明の効果】
【0007】
化合物Iはカンナビノイド−1(CB1)受容体の逆アゴニストであり、化合物Iを含有する本発明の組成物はカンナビノイド−1(CB1)受容体により媒介される疾患の治療、予防、及び抑制に有用であり、精神病;記憶障害;認知障害;片頭痛;神経障害;多発性硬化症やギラン・バレー症候群に加え、ウイルス性脳炎、脳血管傷害、及び頭部外傷の炎症性後遺症を含む神経炎症性障害;不安障害;ストレス;癲癇;パーキンソン病;運動障害;統合失調症;物質濫用障害、特にアヘン、アルコール、マリファナ、及びニコチン(禁煙を含む);肥満症;過剰食物摂取に関連する摂食障害とそれに伴う合併症;便秘;慢性腸偽閉塞;肝硬変;並びに喘息が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明はN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド(化合物I)の経口投与用医薬組成物に関する。結晶固体として投与すると、この化合物はin vivo化合物溶解度を増すために製剤に界面活性剤を添加した場合でもイヌ及びサルで経口バイオアベイラビリティが非常に低いことが判明した。(a)易消化性油;(b)親油性低HLB界面活性剤;(c)親水性高HLB界面活性剤;及び(d)補助溶媒を含む液体及び反固体キャリヤーの各種組合わせに化合物I又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物を溶かした液体充填カプセル剤形を使用することにより、経口バイオアベイラビリティは劇的に増加することが意外にも判明した。
【0009】
本発明の1態様は化合物I又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物と、低HLB界面活性剤と高HLB界面活性剤の組合わせを含む。本発明の別の態様は化合物Iと、医薬的に許容可能な易消化性油と前記油に混和性の補助溶媒の組合わせを含む。本発明の更に別の態様は、化合物Iと、低HLB界面活性剤、高HLB界面活性剤、及び易消化性油の組合わせを含む。本発明の更に別の態様は化合物Iと、低HLB界面活性剤、高HLB界面活性剤及び防腐剤の組合わせを含む。
【0010】
本発明の1態様は化合物Iと、易消化性油、親油性溶媒(別の溶媒が実際に存在するか否かに拘わらず、本明細書では「補助溶媒」とも言う)、溶媒、界面活性剤及びその任意2種以上の混合物から選択される親油性ビヒクルを含有する組成物である。
【0011】
本発明の別の態様は化合物Iと、高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤、易消化性油、及び補助溶媒から選択される医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する組成物である。
【0012】
本発明の別の態様は化合物Iと、高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤、易消化性油、補助溶媒、及びその任意2種以上の混合物から選択される医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する組成物である。
【0013】
本態様の1分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは非溶媒和物である。本態様の別の分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは溶媒和物又は半溶媒和物である。
【0014】
本態様の別の分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは非溶媒和遊離塩基である。
【0015】
本態様の更に別の分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは非溶媒和塩である。
【0016】
本態様の更に別の分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは非溶媒和HCl塩である。
【0017】
本態様の別の分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは溶媒和塩である。
【0018】
本態様の更に別の分類では、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドは溶媒和HCl塩である。
【0019】
本態様の1分類では、高HLB界面活性剤はHLBが8−20の親水性界面活性剤から選択される。この分類の1サブクラスでは、高HLB界面活性剤はHLBが10を上回る。この分類の別のサブクラスでは、高HLB界面活性剤はICIからTWEEN 80、CrodaからCRILLET 4 NF及びCRILLET 4 HPの各商標名で市販されているモノオレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタンであるポリソルベート80;CrodaからCRILLET 1 NF及びCRILLET 1 HPとして市販されているモノラウリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート20,TWEEN 20);ポリエチレン(40又は60)水素化ひまし油(BASFから登録商標名CREMOPHOR RH40及びRH60で市販);ポリオキシエチレン(35)ひまし油(BASF製品CREMOPHOR EL及びCroda製品ETOCAS 30);ポリエチレン(60)水素化ひまし油(NIKKOL HCO−60);琥珀酸αトコフェリルポリエチレングリコール1000(Eastman製品Vitamin E TPGS);カプリル酸/カプリン酸グリセリルPEG8(Gattefosseから登録商標名LABRASOL及びAbitec Corp.から商標名ACCONON MC−8で市販されているカプリロカプロイルマクロゴールグリセリド);ラウリン酸PEG32グリセリル(Gattefosseから登録商標名GELUCIRE 44/14で市販されているラウロイルマクロゴールグリセリド);Gattefosseから登録商標名GELUCIRE 50/13で市販されているステアリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ICIから登録商標名MYRJで市販);ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(ICIから登録商標名BRIJで市販);並びにBASFから商標名LUTROLS又はPLURONICSで市販されているポロキサマー(124,188,407)等の非イオン性界面活性剤から選択される。1サブクラスでは、高HLB界面活性剤はポリソルベート80(CRILLET 4 NF,CRILLET 4 HP,及びTWEEN80を含む);CREMOPHOR RH40;LABRASOL;及びVitamin E TPGSから選択される。更に別のサブクラスでは、高HLB界面活性剤はポリソルベート80、特にCRILLET 4 HPである。
【0020】
本態様の別の分類では、低HLB界面活性剤はHLBが8未満の親油性界面活性剤から選択される。この分類の1サブクラスでは、親油性界面活性剤はモノ及びジグリセリド;より具体的にはAbitecからCAPMUL MCM、MCM 8、及びMCM 10、SASOLからIMWITOR 988,928,780K,742,380,又は308の各登録商標名で市販されているカプリン酸及びカプリル酸のモノ及びジグリセリド;Gattefosseから登録商標名LABRAFIL M 1944 CSで市販されているオレオイルマクロゴールグリセリド;GattefosseからLABRAFIL M 2125として市販されている(オレオイルマクロゴールグリセリド)ポリオキシエチレンコーン油;(Gattefosseから)登録商標名CAPRYOL 90で市販されているモノカプリル酸プロピレングリコール;PEG−カプリル酸/カプリン酸グリセリド(SASOL製品SOFTIGEN);GattefosseからLAUROGLYCOLとして市販されているモノラウリン酸プロピレングリコール;AbitecからCAPTEX 200又はSASOLからMIGLYOL 840として市販されているジカプリル酸/カプリン酸プロピレングリコールから選択される。他の低HLB界面活性剤としてはGattefosseからPLUROL OLEIQUE CC497 oleiqueとして市販されているオレイン酸ポリグリセリル;GattefosseからPECEOLとして市販されているオレイン酸グリセリル;GattefosseからMAISINE 35−1として市販されているリノール酸グリセリル;脂肪酸のソルビタンエステル(例えばUniqema/ICIからSPAN 80及びCrodaからCRILL 4 NFの各登録商標名で市販されているモノオレイン酸ソルビタン;Uniqema/ICIからSPAN 20;及びCrodaからCRILL 1 NFの各登録商標名で市販されているラウリン酸ソルビタン)が挙げられる。この分類ではIMWITOR 742、PECEOL、CAPMUL MCM、SPAN 80、及びLABRAFIL M1944 CSが好ましい。SASOL製品IMWITOR 742が最も好ましい。
【0021】
本態様の更に別の分類では、易消化性油又は脂肪(液体又は半固体ビヒクル)は中鎖トリグリセリド(MCT,C6−C12)、長鎖トリグリセリド(LCT,C14−C20)、モノ、ジ及びトリグリセリドの混合物、又は脂肪酸の親油性誘導体から選択される。本発明で有用なMCTの例としては、56%カプリル酸(C8)及び36%カプリン酸(C10)トリグリセリドであるMIGLYOL 812、MIGLYOL 810(68%C8と28%C10)、NEOBEE MS、CAPTEX 300、CAPTEX 355、LABRAFAC CRODAMOL GTCC、SOFTISANS 100、SOFTISANS 142、SOFTISANS 378、及びSOFTISANS 649等の精製ヤシ油が挙げられる。MIGLYOLはSASOL、NEOBEEはStepan Europe、CAPTEXはAbitec Corp.、LABRAFACはGattefosse、CRODAMOLはCroda Corp.から販売されている。本発明の組成物で有用なLCTの例としては、大豆油、サフラワー油、コーン油、オリーブ油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、パーム油、及び菜種油等の植物油が挙げられる。本発明で有用なアルキルアルコールの脂肪酸エステルの例としてはオレイン酸エチル及びモノオレイン酸グリセリルが挙げられる。本発明の別の側面では、易消化性油はオリーブ油、コーン油、大豆油、及びMIGLYOL 812から選択される。この分類の1サブクラスでは、易消化性油はMCTである。別のサブクラスでは、易消化性油はMIGLYOL 812である。半固体ビヒクルの例としては、モノステアリン酸グリセリル(SASOLからIMWITOR 491として市販)、脂肪酸のグリセロールエステル(例えばGattefosse製品GELUCIRE 33/01、GELUCIRE 39/01、及びGELUCIRE 43/01)及びSOFTISANS(SASOL製品SOFTISAN 100、SOFTISAN 142、SOFTISAN 378、及びSOFTISAN 649)等の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0022】
更に別の分類では、補助溶媒はトリアセチン(Eastman Chemical Corp.から市販されている三酢酸1,2,3−ブロパントリイル又は三酢酸グリセリル)又は脂肪酸の他のポリオールエステル、トリアルキルクエン酸エステル、炭酸プロピレン、ジメチメルイソソルビド、乳酸エチル、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Gattefosse製品TRANSCUTOL)、ペパーミント油、1,2−プロピレングリコール(PG)、エタノール、オレイン酸、及びポリエチレングリコールから選択される。この分類の1サブクラスでは、補助溶媒はトリアセチン、炭酸プロピレン(Huntsman Corp.)、トランスクトール(Gattefosse)、乳酸エチル(Purac,Lincolnshire,NE)、プロピレングリコール、オレイン酸、ジメチルイソソルビド(ICI Americasから登録商標名ARLASOLVE DMIで市販)、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘン酸グリセリル、及びパルミトステアリン酸グリセリルから選択される。別のサブクラスでは、プロピレングリコール、エタノール、及びオレイン酸から選択される補助溶媒を使用する。
【0023】
「易消化性油」、「界面活性剤」等の組成物成分に関する記載はこれらの成分の混合物(例えば易消化性油と界面活性剤の混合物)も含むものとする。
【0024】
「活性成分」である化合物IないしN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドの特定重量又は百分率に関する記載は特に指定しない限り、存在する任意対イオン又は溶媒和物の重量ではなく、遊離塩基重量に基づく。例えば、「N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドMTBE半溶媒和物1mg」という場合には、選択された化合物の量が溶媒和物中に存在する溶媒の重量ではなく、遊離塩基としてのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド1mgに基づくことを意味する。
【0025】
本発明の1態様では、化合物Iを高HLB界面活性剤に溶解又は分散する。別の態様では、化合物Iを高HLB界面活性剤又は界面活性剤混合物に溶解又は分散し、前記界面活性剤混合物は場合により1種以上の低HLB界面活性剤を加えてもよい。更に別の態様では、化合物Iを中鎖トリグリセリド又は易消化性油混合物等の易消化性油に溶解又は分散する。更に別の態様では、場合により易消化性油又は易消化性油混合物を加えた医薬的に許容可能な親油性溶媒に化合物Iを溶解又は分散する。本発明の別の態様では、低HLB界面活性剤又は界面活性剤混合物に溶解又は分散し、前記界面活性剤混合物は場合により1種以上の高HLB界面活性剤を加えてもよい。更に別の態様では、高HLB界面活性剤と低HLB界面活性剤の医薬的に許容可能な混合物に化合物Iを溶解又は分散する。本態様の1分類では、高HLB界面活性剤と低HLB界面活性剤は混合物中に等重量で存在する。更に別の態様では、化合物Iを補助溶媒に溶解又は分散する。
【0026】
1種以上の界面活性剤の存在により、水相と混合することにより予め形成されるか又は胃腸管の水性体液と接触することによりin vivo生成されるエマルションを医薬組成物と水の接触後に得ることができる。エマルションの形成はバイオアベイラビリティを改善し、人体における食物効果(即ち、薬剤の吸収及び/又はバイオアベイラビリティに対する食物の効果)を低減することができる。カプセルで投与する以外に、飲料として油を消費することもできる。エマルションを得るために界面活性剤を使用すると、毒物種における暴露量を増すためにも有用であると思われる。化合物Iと高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤、易消化性油、及び補助溶媒から選択される医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物に補助溶媒を加えると、所定製剤容量で補助溶媒の不在下で得られるよりも高い溶解度が得られ、従って、高い用量が得られるという利点が得られる。上記態様のいずれかに第3の成分を加えると、第1及び第2成分間の混和性を改善することもできる。
【0027】
特に好ましい態様では、本発明は化合物Iの経口バイオアベイラビリティを向上させるための組成物を提供する。本組成物は1.化合物I;2.HLBが1〜8以下の界面活性剤;3.HLBが>8〜20までの界面活性剤;及び4.場合により易消化性油を含有する。場合により、酸化防止剤も加えてもよい。このような製剤では、全賦形剤は医薬的に許容可能である。水又は他の水性媒体、通常は胃腸液と温和に混合した場合に安定なエマルションを形成するその機能に関して本明細書では上記組成物を「プレ濃縮物」と言う場合がある。また、ハードゼラチン又はソフトゼラチンカプセル用充填物としてのその用途に関して本明細書では上記組成物を「充填物」とも言う。
【0028】
本明細書では本発明で使用するための好ましい剤形としてソフトゼラチンカプセルについて頻繁に記載するが、「ソフトゲル」はソフトゼラチンカプセルの略称である。当然のことながら、「ソフトゲル」なる用語を単独で記載する場合には、本発明は堅さ、柔らかさ等に関係なく、全種ゼラチン及び非ゼラチンカプセルに等しく適用されると理解すべきである。本発明の1態様では、ソフトゼラチンカプセルはグリセリンやソルビトール等の可塑剤を含有する。所望色相のソフトゼラチンカプセルを製造するためにカプセル封入前にゲル混合物に着色剤を添加してもよい。
【0029】
上記及び下記に更に記載するように、易消化性油をプレ濃縮物の一部とすることができる。プレ濃縮物の他の成分が乳化可能な油性相として機能できない場合には、化合物Iの溶媒として機能すると共に、プレ濃縮物を水に加えると(乳化性)油液滴相を形成するために分散する油として易消化性油を加えることができる。他方、界面活性剤によってはデュアル機能、即ち界面活性剤としての機能と、水中油エマルションを形成するための溶媒及び油性ビヒクルとしての機能をもつものもある。このような界面活性剤を使用する場合には、使用量に応じて、易消化性油の量を減らすか、又は全く不要な場合もある。
【0030】
プレ濃縮物は自己乳化性又は自己微小乳化性とすることができる。「自己乳化性」なる用語は、水又は他の水性媒体で少なくとも100倍に希釈し、温和に混合すると、平均液滴直径が約5ミクロン未満で且つ100nmよりも大きく、一般に多分散性の不透明で安定な油/水エマルションを生じる製剤を意味する。「自己微小乳化性」なる用語は水性媒体で少なくとも100倍に希釈し、温和に混合すると、平均液滴寸法が約1ミクロン以下、好ましくは100nm未満の非不透明で安定な油/水エマルションを生じるプレ濃縮物を意味する。粒度は主に単モードである。本発明は自己乳化性製剤と自己微小乳化性製剤の両者を含む。
【0031】
上記に使用したような「温和な混合」とは標準実験室混合機で反復反転等の温和な手動(又は機械)混合によるエマルションの形成を意味すると当分野では理解される。エマルションを形成するために高剪断混合は不要である。このようなプレ濃縮物は一般にヒト(又は他の動物)の胃腸管に導入するとほぼ自発的に乳化する。
【0032】
HLBが1〜8の低HLB界面活性剤と、HLBが>8〜20、好ましくは9〜20の高HLB界面活性剤の2種の界面活性剤を併用すると、効率的な乳化に適正な条件を設定することができる。HLBとは「疎水性−親油性バランス」の頭文字であり、非イオン性界面活性剤の1〜20の評定尺度である。HLBが高いほど界面活性剤は親水性である。親水性界面活性剤(HLB8〜20)は単独で使用した場合に微細なエマルションを提供し、胃を均質に空にし易く、吸収表面積を著しく大きくできるという利点がある。他方、このような高HLB界面活性剤は油との混和性が低いために効果が制限されるという欠点があるので、本発明の組成物には低HLB親油性界面活性剤(HLB1〜8)も加えることができる。界面活性剤のこの併用も優れた乳化を可能にする。
【0033】
HLBが8〜20、好ましくはHLBが10を上回る親水性界面活性剤を単独でビヒクルとして使用してもよいし、混合物の一部として親水性界面活性剤を含むビヒクルに加えてもよく、エマルション液的粒度を低下するのに特に有効である。適切な選択としてはモノオレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン;ICIから商標名TWEEN 80、CrodaからCRILLET 4 NF及びCRILLET 4 HPで市販されているポリソルベート80;CrodaからCRILLET 1 NF及びCRILLET 1 HPとして市販されているモノラウリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート20,TWEEN 20);ポリエチレン(40又は60)水素化ひまし油(BASFから登録商標名CREMOPHOR RH40及びRH60で市販);ポリオキシエチレン(35)ひまし油(BASF製品CREMOPHOR EL及びCroda製品ETOCAS 30);ポリエチレン(60)水素化ひまし油(NIKKOL HCO−60);琥珀酸αトコフェリルポリエチレングリコール1000(Vitamin E TPGS);カプリル酸/カプリン酸グリセリルPEG8(Gattefosseから登録商標名LABRASOL及びAbitec Corp.から商標名ACCONON MC−8で市販されているカプリロカプロイルマクロゴールグリセリド);ラウリン酸PEG32グリセリル(Gattefosseから登録商標名GELUCIRE 44/14で市販されているラウロイルマクロゴールグリセリド);Gattefosseから登録商標名GELUCIRE 50/13で市販されているステアリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ICIから登録商標名MYRJで市販);ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(ICIから登録商標名BRIJで市販);BASFから商標名Lutrols又はPluronicsで市販されているポロキサマー(124,188,407)、並びにImwitor 380,780K,928(SASOL)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。1サブクラスでは、高HLB界面活性剤はTWEEN 80、CREMOPHOR RH40、LABRASOL及びVitamin E TPGSから選択される。更に別のサブクラスでは、高HLB界面活性剤はポリソルベート80、特にCRILLET 4 HPである。
【0034】
HLBが8未満の親油性界面活性剤を単独でビヒクルとして使用してもよいし、混合物の一部として親油性界面活性剤を含むビヒクルに加えてもよく、安定なエマルションを提供するための極性のバランスを達成するのに有用であり、親水性界面活性剤の脂肪分解阻害効果を逆転させるためにも使用されている。適切な親油性界面活性剤としてはモノ及びジグリセリド;より具体的にはAbitecからCAPMUL MCM、MCM 8、及びMCM 10、SASOLからIMWITOR 988,928,780K,742,380,又は308の各登録商標名で市販されているカプリン酸及びカプリル酸のモノ及びジグリセリド;Gattefosseから登録商標名LABRAFIL M 1944 CSで市販されているオレオイルマクロゴールグリセリド;GattefosseからLABRAFIL M 2125として市販されているポリオキシエチレンコーン油;(Gattefosseから)登録商標名CAPRYOL PGMCで市販されているカプリル酸プロピレングリコール;(Gattefosseから)登録商標名CAPRYOL 90で市販されているモノカプリル酸プロピレングリコール;PEG−カプリル酸/カプリン酸グリセリド(SASOL製品SOFTIGEN);GattefosseからLAUROGLYCOLとして市販されているモノラウリン酸プロピレングリコール;及びAbitecからCAPTEX 200又はSASOLからMIGLYOL 840として市販されているジカプリル酸/カプリン酸プロピレングリコールが挙げられる。他の低HLB界面活性剤としてはGattefosseからPLUROL OLEIQUE CC497 oleiqueとして市販されているオレイン酸ポリグリセリル;GattefosseからMAISINE 35−1として市販されているオレイン酸ソルビタングリセリル;及び脂肪酸のソルビタンエステル(例えばUniqema/ICIからSPAN 80及びCrodaからCRILL 4 NFの各登録商標名で市販されているモノオレイン酸ソルビタン、Uniqema/ICIからSPAN 20及びCrodaからCRILL 1 NFの各登録商標名で市販されているラウリン酸ソルビタン)が挙げられる。この分類ではIMWITOR 742、PECEOL、CAPMUL MCM、SPAN 80、及びLABRAFIL M1944 CSが好ましい。SASOL製品IMWITOR 742が最も好ましい。
【0035】
ビヒクルとして単独で使用することもできるし、混合物の一部として易消化性油を含むビヒクルに加えてもよい適切な易消化性油又は脂肪(液体又は半固体ビヒクル)としては、中鎖トリグリセリド(MCT,C6−C12)及び長鎖トリグリセリド(LCT,C14−C20)、モノ、ジ及びトリグリセリドの混合物、又は脂肪酸の親油性誘導体(例えばアルキルアルコールのエステル)が挙げられる。好ましいMCTの例としては、56%カプリル酸(C8)及び36%カプリン酸(C10)トリグリセリドであるMIGLYOL 812、MIGLYOL 810(68%C8と28%C10)、NEOBEE MS、CAPTEX 300、CAPTEX 355、LABRAFAC CRODAMOL GTCC等の精製ヤシ油が挙げられる。MIGLYOLはSASOL、NEOBEEはStepan Europe、CAPTEXはAbitec Corp.、LABRAFACはGattefosse、CRODAMOLはCroda Corp.から販売されている。LCTの例としては、大豆油、サフラワー油、コーン油、オリーブ油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、パーム油、及び菜種油等の植物油が挙げられる。アルキルアルコールの脂肪酸エステルの例としてはオレイン酸エチル及びモノオレイン酸グリセリルが挙げられる。本発明の別の側面では、易消化性油はオリーブ油、コーン油、大豆油、及びMIGLYOL 812から選択される。易消化性油のうちではMCTが好ましく、MIGLYOL 812が最も好ましい。半固体ビヒクルの例としては、モノステアリン酸グリセリル(SASOLからIMWITOR 491として市販)、脂肪酸のグリセロールエステル(例えばGattefosse製品GELUCIRE 33/01、GELUCIRE 39/01、及びGELUCIRE 43/01)及びSOFTISANS(SASOL製品SOFTISAN 100、SOFTISAN 142、SOFTISAN 378、及びSOFTISAN 649)等の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0036】
ビヒクルも単独又は混合物中の補助溶媒として使用する医薬的に許容可能な溶媒とすることができる。適切な溶媒/補助溶媒としては、1回の投薬毎に所望用量を送達できるようにするため又は各種製剤成分の混和性を増すために製剤中の化合物Iの溶解度を増加するために使用される任意溶媒が挙げられる。適切な溶媒としてはトリアセチン(Eastman Chemical Corp.から市販されている三酢酸1,2,3−ブロパントリイル又は三酢酸グリセリル)又は脂肪酸の他のポリオールエステル、トリアルキルクエン酸エステル、炭酸プロピレン、ジメチメルイソソルビド、乳酸エチル、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Gattefosse製品TRANSCUTOL)、ペパーミント油、1,2−プロピレングリコール(PG)、エタノール、オレイン酸、及びポリエチレングリコールが挙げられる。溶媒としてはトリアセチン、炭酸プロピレン(Huntsman Corp.)、TRANSCUTOL(Gattefosse)、乳酸エチル(Purac,Lincolnshire,NE)、プロピレングリコール、オレイン酸、ジメチルイソソルビド(ICI Americasから登録商標名ARLASOLVE DMIで市販)、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘン酸グリセリル、及びパルミトステアリン酸グリセリルが好ましい。1態様では、プロピレングリコールとオレイン酸から選択される補助溶媒を使用する。親水性溶媒はカプセルシェルに移動してシェルを軟化させ易く、揮発性の場合には、組成物中のその濃度を低下させることができるが、活性成分溶解度に潜在的な負の影響がある。本発明の1態様では、補助溶媒はオレイン酸,プロピレングリコール及びエタノールから選択される。
【0037】
本発明の1態様では、化合物Iと、TWEEN 80、CRILLET 4 HP、及びCREMOPHOR ELから選択される高HLB界面活性剤;IMWITOR 742、PECEOL、CAPMUL MCM、SPAN 80及びLABRAFIL M1944 CSから選択される低HLB界面活性剤;オリーブ油、コーン油、大豆油、及びMIGLYOL 812から選択される易消化性油;並びにプロピレングリコール、エタノール、及びオレイン酸から選択される補助溶媒から選択されるキャリヤーを含有する組成物が提供される。
【0038】
組成物は適切なゼラチン組成のゼラチンカプセル、適切なシールをもつハードゼラチンカプセル、非ゼラチンカプセル(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)に封入される充填物、又は経口液体もしくはエマルションとして当分野で一般に使用されている方法により製剤化することができる。本発明の1態様では、充填物は封止ハードゼラチンカプセル又はグリセリンやソルビトール等の可塑剤を加えたソフトゼラチンカプセルに封入される。本態様の1分類では、ハードゼラチンカプセルはゼラチンリボンを使用するバンドシール、又はLEMS(即ち、ゼラチンカプセル部材を局所的に溶融シールするためにヒドロアルコール溶液を噴霧)により封止される。充填物は賦形剤と化合物Iを必要に応じて加熱下に混合することにより製造される。
【0039】
本発明の別の態様は化合物Iと、
(a)CREMOPHOR ELと、TWEEN 80、CRILLET 4 HP、CRILLET 4 NFから選択されるポリソルベート80から選択される高HLB界面活性剤;
(b)IMWITOR 742、PECEOL、CAPMUL MCM、CAPRYOL、SPAN 80及びLABRAFIL M1944 CSから選択される低HLB界面活性剤;
(c):オリーブ油、コーン油、大豆油、及びMIGLYOL 812から選択される易消化性油;並びに
(d)プロピレングリコール、エタノール、及びオレイン酸から選択される補助溶媒
から選択される医薬的に許容可能なキャリヤーを含有するカプセルを含む。
【0040】
化合物I、界面活性剤、易消化性油、及び/又は補助溶媒の比は乳化効率と溶解度に依存し、溶解度はカプセル当たり所望用量に依存する。一般に、化合物Iの製剤の成分を重量%で表すと、0.01〜50%化合物I;0〜99.99%補助溶媒;0〜99.99%高HLB界面活性剤;0〜99.99%低HLB界面活性剤及び0〜99.99%易消化性油である。有利なバイオアベイラビリティをもつ1分類では、成分比が0.01〜25%化合物I;0〜70%易消化性油;0〜50%高HLB界面活性剤;0〜70%低HLB界面活性剤の製剤が提供される。この分類の1サブクラスでは、0.01〜13%化合物I;20〜50%高HLB界面活性剤;40〜80%低HLB界面活性剤の製剤が提供される。この分類の別のサブクラスでは、0.8%〜2.4%化合物I、48.7%〜49.6%高HLB界面活性剤、48.7%〜49.6%低HLB界面活性剤、及び場合により0.06%酸化防止剤の製剤が提供される。
【0041】
特に、本発明の組成物はポリソルベート80とIMWITOR 742;特にTWEEN 80とIMWITOR 742、又はCRILLET 4 HPとIMWITOR 742の1:1重量混合物に溶かした化合物Iを含む。この組成物は高いバイオアベイラビリティ、高い力価、良好な安全性と耐性、及び処理し易さという利点をもつ。
【0042】
上記主ソフトゲルカプセル成分に加え、ソフトゲル製剤分野で従来公知の他の安定化用添加剤も必要に応じて一般に比較的少量を充填物に添加することができ、例えば酸化防止剤(BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(t−ブチルヒドロキシトルエン)、トコフェロール、没食子酸プロピル等)及び他の防腐剤(例えばベンジルアルコールやパラベン)が挙げられる。酸化防止剤又は防腐剤は0.01%〜0.1%の重量百分率で存在することが好ましい。
【0043】
ハード又はソフトゼラチンカプセルに充填するために使用される本発明の特定組成物は0.8%〜2.4%化合物I、48.7%〜49.6%ポリソルベ〜ト80、48.7%〜49.6%IMWITOR 742、及び0.06%ブチル化ヒドロキシアニソールを含有する。
【0044】
組成物はソフトゼラチンカプセル、適切なシールをもつハードゼラチンカプセル、非ゼラチンカプセル(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)に封入される充填物、又は経口液体もしくはエマルションとして当分野で一般に使用されている方法により製剤化することができる。充填物は賦形剤と化合物Iを場合により必要に応じて加熱下に混合することにより製造される。
【0045】
本発明は、
(a)高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤及び易消化性油から選択されるキャリヤー成分をブレンドしてビヒクルを形成する段階と;
(b)N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物をビヒクルに溶かし、溶液又は分散液を形成する段階と;
(c)N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物のビヒクル溶液又は分散液を適当なハード又はソフトゼラチンカプセルに封入する段階を含むカプセルの製造方法にも関する。
【0046】
本発明の別の側面は、
(a)低HLB界面活性剤を加熱する段階と;
(b)加熱した低HLB界面活性剤に化合物Iを加え、化合物Iが溶解するまで加熱温度を維持する段階と;
(c)高HLB界面活性剤を化合物Iの溶液に加え、撹拌する段階を含むカプセルの充填物の製造方法に関する。
【0047】
本方法の1態様では、加熱する前に低HLB界面活性剤に酸化防止剤を加える。本発明の別の態様では、低HLB界面活性剤を40±5℃まで加熱する。本方法の別の態様では、低HLB界面活性剤はIMWITOR 742である。別の態様では、酸化防止剤はBHAである。本方法の別の態様では、高HLB界面活性剤はポリソルベート80である。本発明の更に別の態様では、化合物I、低HLB界面活性剤、及び高HLB界面活性剤を含有する溶液を濾過する。本態様の1分類では、濾液を減圧脱気する。
【0048】
本発明は上記方法により製造された生成物にも関する。
【0049】
本発明は、
(a)低HLB界面活性剤を加熱する段階と;
(b)加熱した低HLB界面活性剤に化合物Iを加え、化合物Iが溶解するまで加熱温度を維持する段階と;
(c)高HLB界面活性剤を化合物Iの溶液に加え、得られた混合物を撹拌する段階と;
(d)化合物Iの混合物を適当なハード又はソフトゼラチンカプセルに封入する段階を含むカプセルの製造方法にも関する。
【0050】
本態様の1分類では、溶液を35ミクロンメッシュフィルターで濾過する。本態様の別の分類では、空気が完全に除去されたことが目視試験により確認されるまで(少なくとも1時間)溶液を減圧脱気する。本態様の更に別の分類では、充填物混合物をソフトゼラチンカプセルに封入する。
【0051】
本発明のカプセルの充填物の製造方法の別の態様は、
(a)BHAをIMWITOR 742に加え、40±5℃まで加熱する段階と;
(b)化合物IをIMWITOR 742/BHAに加え、化合物Iが溶解するまで40±5℃で混合する段階と;
(c)化合物I、IMWITOR 742/BHAの溶液にポリソルベート80を加え、混合する段階を含む。
【0052】
本態様の1分類では、溶液を35ミクロンメッシュフィルターで濾過する。本態様の別の分類では、空気が完全に除去されたことが目視試験により確認されるまで(少なくとも1時間)溶液を減圧脱気する。本態様の更に別の分類では、充填物混合物をソフトゼラチンカプセルに封入する。
【0053】
本発明は、
(a)BHAをIMWITOR 742の一部に加え、40±5℃まで加熱する段階と;
(b)化合物IをIMWITOR 742/BHAに加え、化合物Iが溶解するまで40±5℃で混合する段階と;
(c)化合物I、IMWITOR 742/BHAの溶液にポリソルベート80と残量のIMWITOR 742を加え、混合する段階と;
(d)化合物Iの混合物を適当なハード又はソフトゼラチンカプセルに封入する段階を含むカプセルの製造方法にも関する。
【0054】
本態様の1分類では、溶液を35ミクロンメッシュフィルターで濾過する。本態様の別の分類では、空気が完全に除去されたことが目視試験により確認されるまで(少なくとも1時間)溶液を減圧脱気する。本態様の更に別の分類では、充填物混合物をソフトゼラチンカプセルに封入する。
【0055】
化合物Iは水溶性が極めて低く、一般に0.4ug/mL未満であるため、経口送達が特に困難である。実用的な量の薬剤の経口投与により血中治療薬濃度を達成するには、一般に胃腸液中の薬剤濃度を著しく増加し、その結果としてバイオアベイラビリティを著しく増加する必要がある。本発明の製剤は有効用量の化合物Iを患者に投与するような量を投与する。化合物Iの量は一般に主治医により認識又は決定される。従って、プレ濃縮物の投与量又は容量は1回用量として処方及び/又は他の方法で所望される化合物Iの量と、プレ濃縮物中の化合物Iの溶解度により決定される。一般に、化合物Iの有効用量は0.01mg〜約1000mg/日を1回又は数回に分け、好ましくは約0.1mg〜約10mg/日を1回又は数回に分ける。経口投与には、治療する患者の症状に用量を合わせて活性成分0.01〜1,000mg、好ましくは0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、2.5、3、4、5、6、7、7.5、8、9、10、15、20、25、30、40、50、100、250、500、750又は1000、最も好ましくは2、4、又は6mgを含有する液体又は半固体充填カプセルの形態で提供することが好ましい。
【0056】
本発明の組成物はソフト又はハードゼラチンカプセルで一般に経口投与される乳化用プレ濃縮物であり、ゼラチンカブセル封入技術は医薬分野で周知である。このようなプレ濃縮物はプレ濃縮物を水又は他の水性液体(例えばソーダ)に加えることにより水性経口エマルションとして投与することもできる。水性液体と混合し、予め形成したエマルションとして販売することもできるし、アイスクリーム等の食品に添加してもよい。
【0057】
化合物Iを含有する本発明の組成物はカンナビノイド−1(CB1)受容体により媒介される疾患の治療、予防、及び抑制に有用であり、精神病;記憶障害;認知障害;片頭痛;神経障害;多発性硬化症やギラン・バレー症候群に加え、ウイルス性脳炎、脳血管傷害、及び頭部外傷の炎症性後遺症を含む神経炎症性障害;不安障害;ストレス;癲癇;パーキンソン病;運動障害;統合失調症;物質濫用障害、特にアヘン、アルコール、マリファナ、及びニコチン(禁煙を含む);肥満症;過剰食物摂取に関連する摂食障害とそれに伴う合併症;便秘;慢性腸偽閉塞;肝硬変;並びに喘息が挙げられる。
【0058】
本発明の1態様では、組成物は医薬組成物である。本態様の1分類では、医薬組成物は肥満症を治療するために哺乳動物で使用される。本態様の別の分類では、医薬組成物は肥満症を治療するためにヒトで使用される。
【0059】
本発明の別の態様では、組成物は物質濫用障害の治療用医薬組成物である。本態様の1分類では、物質濫用障害はアヘン、アルコール、マリファナ、及びニコチンの濫用から選択される。
【0060】
本発明の別の態様では、医薬組成物は禁煙用に提供される。
【0061】
本発明の更に別の態様では、医薬組成物は飲酒癖の治療用に提供される。
【0062】
本発明の更に別の態様では、医薬組成物は糖尿病患者の治療用である。
【0063】
本発明の更に別の態様では、医薬組成物は肥満症ヒト患者の治療用である。
【0064】
本発明の更に別の態様では、医薬組成物は喫煙患者の治療用である。本態様の1分類では、患者は喫煙の継続を望まない患者である。
【0065】
本発明の別の態様では、医薬組成物はアヘン、アルコール、及びマリファナから選択される物質の濫用患者の治療用である。
【0066】
本発明の更に別の態様では、医薬組成物はアルコール中毒患者の治療用である。
【0067】
化合物「の投与」又は「を投与する」なる用語は治療を必要とする個体に本発明の組成物を提供することを意味すると理解すべきである。
【0068】
本発明の治療方法を実施するための本発明の組成物の投与はこのような治療又は予防を必要とする患者に有効量の構造式Iの化合物を投与することにより実施される。本発明の方法による予防投与の必要は周知危険因子の使用により決定される。個々の化合物の有効量は最終分析では主治医により決定されるが、治療する厳密な疾患、患者が罹患している疾患及び他の疾患又は症状の重篤度、患者に同時に必要となる他の薬剤及び治療に選択される投与経路、並びに医師が判断する他の因子等の因子に依存する。
【0069】
「肥満症」は体脂肪が過剰の状態である。肥満症の操作的定義は平方メートルで表した身長当たりの体重(kg/m)として計算されるボディマス指数(BMI)に基づく。「肥満症」とは他の点では健康な対象のボディマス指数(BMI)が30kg/m以上である状態、又は少なくとも1種の合併症をもつ対象のBMIが27kg/m以上である状態を言う。「肥満対象」とは他の点では健康であるが、ボディマス指数(BMI)が30kg/m以上である対象、又は少なくとも1種の合併症をもち、BMIが27kg/m以上である対象を言う。「肥満症の危険のある対象」とは他の点では健康であるが、BMIが25kg/m〜30kg/m未満である対象又は少なくとも1種の合併症をもち、BMIが25kg/m〜27kg/m未満である対象を言う。
【0070】
肥満症により誘導されるか又は肥満症に関連する合併症としては限定されないが、糖尿病、非インスリン依存性2型糖尿病、グルコース耐性障害、空腹時血糖障害、インスリン抵抗性症候群、脂質代謝異常、高血圧、高尿酸血症、通風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝;脳梗塞、脳血栓、一過性脳虚血発作、整形外科疾患、変形性関節炎、腰痛、月経異常、及び不妊症が挙げられる。特に、合併症としては高血圧、高脂血症、脂質代謝異常、グルコース不耐性、心臓血管疾患、睡眠時無呼吸、糖尿病、及び他の肥満症関連症状が挙げられる。本発明の組成物は上記のような肥満症により誘導されるか又は肥満症に関連する合併症をもつ患者の治療に有用である。
【0071】
「肥満症及び肥満症関連障害の治療」とは肥満対象の体重を減少又は維持するために本発明の組成物を投与することを言う。治療転帰の1つとしては本発明の組成物の投与直前の肥満対象の体重に対する体重減少が挙げられる。別の治療転帰としては、食事、運動、又は薬物療法の結果として減量した体重が元に戻らないように予防することが挙げられる。別の治療転帰としては、肥満症関連疾患の発生及び/又は重篤度の低下が挙げられる。治療の結果として対象の食物又はカロリー摂取量が低下することが適切であり、総食物摂取量の低下、又は炭水化物や脂肪等の食事の特定成分の摂取量の低下;及び/又は栄養吸収の抑制;及び/又は代謝率低下の抑制;及び減量を必要とする患者の減量が挙げられる。また、治療の結果として代謝率を変化させることもでき、例えば代謝率の低下の代わり又はそれに加えて代謝率の増加;及び/又は一般に減量に起因する代謝抵抗の最小化が挙げられる。
【0072】
「肥満症及び肥満症関連障害の予防」とは肥満症の危険のある対象の体重を減少又は維持するために本発明の組成物を投与することを言う。予防転帰の1つとしては本発明の化合物又は組成物の投与直前の肥満症の危険のある対象の体重に対する体重減少が挙げられる。別の予防転帰としては、食事、運動、又は薬物療法の結果として減量した体重が元に戻らないように予防することが挙げられる。別の予防転帰としては、肥満症の危険のある対象で肥満症が発症する前に治療薬を投与する場合に肥満症が発症しないように予防することが挙げられる。別の予防転帰としては、肥満症の危険のある対象で肥満症が発症する前に治療薬を投与する場合に肥満症関連疾患の発生及び/又は重篤度を低下することが挙げられる。更に、既に肥満している対象で治療を開始する場合には、このような治療により肥満症関連障害の発症、進行又は重篤度を予防することができ、限定されないが、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病、多嚢胞性卵巣疾患、心臓血管疾患、骨粗鬆症、皮膚疾患、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、及び胆石症が挙げられる。
【0073】
肥満症関連障害は肥満症に付随、誘導、又は起因する。肥満症関連障害の例としては過食及び多食症、高血圧、糖尿病、血漿インスリン濃度及びインスリン抵抗性増加、脂質代謝異常、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、変形性関節症、閉塞型睡眠時無呼吸、胆石症、胆石、心臓疾患、心臓リズム異常及び不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈心臓疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フローリッヒ症候群、GH欠損対象、正常変異短躯、ターナー症候群、及び代謝活性低下又は総除脂肪量の百分率としての安静時エネルギー消費量の低下を示す他の病態(例えば急性リンパ芽球性白血病の幼児)が挙げられる。肥満症関連障害の他の例としてはメタボリックシンドローム(X症候群とも言う)、インスリン抵抗性症候群、性機能及び生殖機能障害(例えば不妊症、男性性腺機能低下症及び女性多毛症)、胃腸運動障害(例えば肥満症関連胃食道逆流症)、呼吸器障害(例えば肥満症喚起過小症候群(ピックウィック症候群))、心臓血管障害、炎症(例えば全身性血管炎症)、動脈硬化症、高コレステロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、通風、並びに腎臓癌が挙げられる。本発明の組成物は左心室肥大の危険低減等の肥満症の二次転帰の危険低減にも有用である。本発明の組成物は上記のような肥満症関連障害をもつ患者の治療に有用である。
【0074】
本明細書で使用する「糖尿病」なる用語はインスリン依存性糖(即ちIDDM、I型糖尿病とも言う)と非インスリン依存性糖尿病(即ちNIDDM、II型糖尿病とも言う)の両者を含む。I型糖尿病ないしインスリン依存性糖尿病はグルコース利用を調節するホルモンであるインスリンの絶対的欠乏の結果である。II型糖尿病ないしインスリン非依存性糖尿病(即ち非インスリン依存性糖尿病)はインスリン値が正常又は高いにも拘わらず発生することが多く、組織がインスリンに適切に応答できないことに起因すると思われる。II型糖尿病患者の殆どは肥満症患者でもある。本発明の組成物はI型及びII型両者の糖尿病の治療に有用である。組成物はII型糖尿病の治療に特に有効である。本発明の組成物は妊娠糖尿病の治療及び/又は予防にも有用である。
【0075】
本明細書で使用する「物質濫用障害」なる用語は生理的依存の有無に拘わらず、物質依存性又は濫用を含む。これらの障害に関連する物質としては、アルコール、アンフェタミン(又はアンフェタミン様物質)、カフェイン、カンナビス、コカイン、幻覚剤、吸入薬、マリファナ、ニコチン、アヘン、フェンシクリジン(又はフェンシクリジン様化合物)、鎮痛薬−催眠薬又はベンゾジアゼピン、及び他の(又は未知)物質並びに上記全物質の組合わせが挙げられる。
【0076】
特に、「物質濫用障害」なる用語は認知障害を伴うか又は伴わないアルコール禁断症状;アルコール禁断譫妄;アンフェタミン禁断症状;コカイン禁断症状;ニコチン禁断症状;アヘン禁断症状;認知障害を伴うか又は伴わない鎮痛薬、催眠薬又は抗不安薬禁断症状;鎮痛薬、催眠薬又は抗不安薬禁断譫妄;及び他の物質による禁断症状等の薬物禁断障害が挙げられる。当然のことながら、ニコチン禁断症状の治療と言う場合には、禁煙に関連する症状の治療を含む。
【0077】
他の「物質濫用障害」としては禁断症状中に発生する物質誘導性不安障害;禁断症状中に発生する物質誘導性気分障害;及び禁断症状中に発生する物質誘導性睡眠障害が挙げられる。
【0078】
物質濫用障害の治療には、バレニクリンやSR 591813等のニコチン受容体部分アゴニスト;又はブプロピオン、ドキセピン、もしくはノルトリプチリン等の抗鬱剤;又はブスピロンやクロニジン等の抗不安薬を本発明の組成物に加えると有用であると思われる。
【0079】
代表的な実験手順を以下に記載する。これらの手順は例示に過ぎず、本発明の新規組成物及び方法を限定するものとみなすべきではない。
【0080】
略語:DMF:ジメチルホルムアミド;ee:エナンチオマー過剰率;HLB:親水性−親油性バランス;in:インチ;LCAP:液体クロマトグラフィーアッセイ百分率;LCT:長鎖トリグリセリド;MCT:中鎖トリグリセリド;Me:メチル;MTBE:メチルtert−ブチルエーテル;PG:プロピレングリコール;RT:室温;SOLKA FLOC:濾過助剤。
【0081】
(製造例1)
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミドMTBE半溶媒和物
【0082】
【化1】

【0083】
機械的撹拌機、熱電対、及び2L滴下漏斗を取付た12L容4頸丸底フラスコに3−{(1S,2S)−1−(4−クロロベンジル)−2−[(2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパノイル)アミノ]プロピル}ベンズアミド470gのDMF溶液を加えた。塩化シアヌル(103g)をMTBE 2Lでスラリー化し、得られたスラリーを2L滴下漏斗で〜10分間かけて反応混合物に加えた。反応混合物を1時間撹拌下にエージングさせた。バッチを10℃まで冷却し、MTBE 3Lで希釈した。温度を20℃未満に維持しながら水2Lと飽和NaHCO溶液2Lを反応混合物に加えた。MTBE 3L、水3L、及び飽和NaHCO 3Lを加えた50Lエキストラクターに得られたスラリーを移した。更に水12Lをバッチに加え、層を沈殿させた。有機層を水3Lで2回洗浄した。
【0084】
Ecosorb処理/半溶媒和物単離:〜11Lの容量を維持しながらKFを219(仕様500)とするように有機層を35℃,17in Hgで共沸蒸留した。次にバッチをECOSORB C941 320gで処理した。バッチを4時間50℃でエージングさせた後、SOLKA FLOCパッドで濾過し、MTBE 6Lで洗浄した。得られた濾液を22L容器に再添加し、11L容量まで濃縮し、ECOSORB C941 116gで再処理した。このスラリーをSOLKA FLOCベッドで濾過し、MTBE 6Lで洗浄した。得られた無色MTBE層を1ミクロンインラインフィルターに通し、オーバーヘッド撹拌機と熱電対を取付た12L容4頸丸底フラスコに移し、17in Hg,35℃で〜2L容量まで濃縮した。バッチを室温まで冷却し、サンプルを取出し、シードベッドを形成した。サンプルが結晶したらフラスコに戻し、バッチを30分間エージングさせ、大きなシードベッドを形成した。単離した固体を窒素流で乾燥し、標記化合物をMTBE半溶媒和物として得た。
【0085】
(製造例2)
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド多形体Bの単離
オーバーヘッド撹拌機と熱電対を取付た3L容3頸丸底フラスコで、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド半溶媒和物350gを合計1.82Lの2:3酢酸イソプロピル:ヘプタンでスラリー化した。混合物を1時間エージングさせた後、SOLKA FLOCの非常に小さいベッドで濾過し、母液損失を最小限にするように液体をフィルターベッドから十分に吸引した。フィルターケーキを1:3 IPAc:ヘプタン1Lで洗浄し、別のフラスコに取った。2つの濾液を合わせた(合計ee=98.5%ee)。これらの2種の溶液を1ミクロンインラインフィルターに通して22L容4頸丸底フラスコに減圧により移した。バッチを蒸気ポットで45℃まで加熱した後、ヘプタン2.35Lを加えた。N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチルピリジン−2−イル)オキシ]プロパンアミド多形体Bのシード(多形体Bシードは同一溶媒系から長期フレームで得た)(15.0g)を加え、バッチを45℃で一晩エージングさせた。得られたスラリーに次にヘプタン150mLを5時間かけて加えた後、順次ヘプタン220mLを2.0mL/min、ヘプタン1131mLを9mL/min、ヘプタン6783mLを60mL/minで加えた。全ヘプタンを加えたら、バッチを室温まで冷却し、一晩エージングさせた。バッチを0℃まで冷却し、1時間エージングさせ、濾過し、ヘプタン1Lで洗浄し、標記化合物を結晶形Bとして得た(287g,87%単離収率(半溶媒和物からの単離をシードについて補正),98.6%ee,99.5LCAP,99.5重量%アッセイ)。
【実施例1】
【0086】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド無水非溶媒和多形体Bの各種液体ビヒクル溶解度
溶解度測定は特に指定しない限り、室温で実施した。化合物Iの無水非溶媒和多形体Bの溶媒系懸濁液を調製することにより、(製造例2で製造したような)無水非溶媒和多形体BとしてのN−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド(化合物I)の溶解度を測定した。少なくとも24時間平衡化後に懸濁液を濾過し、上清をHPLCにより分析した。Vydac C18 300 A 250X4.6mm 5um粒度とインラインPhenomenex Security Guard w/C18カートリッジ又はPolaris C18−Etherカラム又はPolaris C−EtherカラムでHPLC条件に応じてメタノール又はアセトニトリルと0.1%リン酸を併用してクロマトグラフィーを実施した。標準曲線を使用して220及び272nm波長で化合物を検出した。mg/gビヒクルに基づいて計算した結果を下表1に示す。
【0087】
【表1】


【実施例2】
【0088】
化合物Iのカプセル剤形を製造するために使用した手順の1例は以下の通りである:
1.モノ及びジグリセリド賦形剤(例えばIMWITOR 742)を適当な温度で液化させる。
2.ポリソルベート80を加え、適当な温度でモノ及びジグリセリドと混合する。
3.化合物Iを混合物に加え、溶解させる。
4.混合物をハードゼラチンカプセル又は適切な処方のソフトゼラチンカプセルに充填する。ハードゼラチンカプセルの場合には、充填したカプセルを適切に封止する。
【実施例3】
【0089】
液体充填ゼラチンカプセル中化合物I 50mgを雄性アカゲザルに経口投与後の平均薬物動態パラメーター(平均±SD)。
【0090】
雄性アカゲザル(New Iberia,LA)を絶食させ、サル試験に使用した。全動物は投与前16時間絶食させた。USDAガイドラインに従って、AAALAC認可施設に収容した。一晩絶食後、カプセルを強制飼養チューブでサルに経口投与し、その直後に水20mLを与えた。各製剤を3匹ずつで試験した(n=3)。投与1時間後に水を与え、投与4時間後に飼料を与えた。伏在静脈に挿入した21gバタフライ針を使用して投与前と投与後15、30、60、120、240、360、480、及び1440分に静脈穿刺により採血した。血漿を遠心(15分間2500rpm)により分離し、LC/MS/MS分析時まで−70℃で凍結保存した。
【0091】
サル血漿中の化合物Iの定量用として液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC/ESI−MS/MS)を使用する高感度分析方法を開発し、実証した。この方法は化合物Iを生物マトリックスから単離するためにアセトニトリルを使用する蛋白質沈殿法を利用した。化合物Iの類似体N−[3−(4−フルオロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミドを内部標準として使用した。再構成した抽出液をTurboIonSprayインターフェースによりイオン化し、選択反応モニター(SRM)モードで分析した。100x2mm,5μm,AQUASIL C8カラムで75:25アセトニトリルと25mMギ酸アンモニウム,pH3.0を使用してクロマトグラフィーを実施した。これらの条件下で、イヌ血漿の内在成分から化合物I又は内部標準の干渉は観察されなかった。アッセイは0.1mL血漿アリコートによる化合物Iの定量下限(LOQ)が血漿中1ng/mLであった。標準曲線範囲は1〜5000ng/mLとした。分析時間はサンプル当たり5.0分とした。
【0092】
曲線下の面積(AUC0−24)、AUCの平均と標準偏差、最大血漿濃度観測値(Cmax)、及びCmaxの時間(Tmax)をWinNonLin v3.1で計算した。データを下表2と図1及び2に示す。
【0093】
【表2】

【実施例4】
【0094】
ソフトゲルカプセル製剤:
【0095】
【表3】

【0096】
製造方法(充填物配合):
化合物IをIMWITOR 742に加え、化合物Iが溶解するまで内容物を40±5℃で混合した。ポリソルベート80を化合物IとIMWITOR 742の混合物に加えた。溶液を40±5℃でよく混合した。溶液を35ミクロンメッシュフィルターで濾過した。空気が完全に除去されたことが目視試験により確認されるまで(少なくとも1時間)溶液を減圧脱気した。
【0097】
充填物混合物とゼラチン混合物を別々に配合した。これらの材料を次にカプセル充填機に供給した。充填物溶液をカプセル封入するために、ゼラチン製剤を2本の冷却ローラーでシート状に成形した。これらのシートを一連のロールに通し、食品グレード滑剤を添加した。次にシートを回転ダイロールに通し、ソフトゲルを形成した。ソフトゲルの下縁部が形成されるにつれて往復ポンプは充填物溶液をソフトゲルの中心に注入し、その後、ダイの上縁部が絞まり、ソフトゲルを封止した。新たに形成されたソフトゲルをシートから取り外し、タンブルドライヤーに空気移送し、45−60分間保持した。ドライヤーから排出後、ソフトゲルをトレー上に広げ、乾燥トンネル(低湿度チャンバー)に入れて乾燥した。乾燥工程が完了したら、ソフトゲルの欠陥を目視検査した。次に、カプセルを分級し、規定以上及び以下の寸法のカプセルを除去し、研磨した。
【実施例5】
【0098】
不透明ハードゼラチン液体充填カプセル製剤
【0099】
【表4】

【0100】
IMWITOR 742を40±5℃で液化させた。ポリソルベート80を適当な寸法のジャケット付き容器に加え、混合を開始した。IMWITOR 742をポリソルベート80に加え、溶液を40±5℃で混合し、均質にした。化合物Iを混合物にゆっくりと加え、溶かした。少なくとも1時間混合後にプロセス内サンプルを採取し、粒状物の有無を目視検査し、HPLCにより分析し、溶液濃度が目標値に達したことを確認した。蠕動ポンプを使用して溶液を100メッシュスクリーンで濾過し、採取容器に取った。蠕動ポンプを使用して溶液をカプセル封入のためにZANASI 40Eホッパーにポンプ移送した。液体製剤を目標充填物重量400mgまでサイズ1、白色不透明ハードゼラチンカプセル(CAPSUGEL,ゼラチンと二酸化チタン含有)に分散させた。充填したカプセルをLEMS 30カプセルシーラーに送り、1:1(重量:重量)水:エタノール(脱水,190プルーフ)溶液の混合物を噴霧することにより封止した。噴霧後にカプセルを約45℃まで温和に加熱することにより乾燥した。トレー紙を敷いたトレーに封止したカプセルを載せ、減圧チャンバー(ZANASI 40E減圧トラップ)に入れた。減圧サイクルの完了後、カプセルの漏洩を目視検査した。許容可能なカプセルをZANASIカプセルソーターに通し、空のカプセルを除去した。次に、完成したカプセルを適当な容器にパッケージングした。
【実施例6】
【0101】
ソフトゲルカプセル製剤:
【0102】
【表5】

【0103】
製造方法(充填物配合):
1.BHAをIMWITOR 742に加え、40±5℃まで加熱する。
2.化合物IをIMWITOR 742/BHAに加え、化合物Iが溶解するまで内容物を40±5℃で混合する。
3.ポリソルベート80を化合物I、IMWITOR 742/BHAの混合物に加える。溶液を40±5℃でよく混合する。
4.溶液を35ミクロンメッシュフィルターで濾過する。
5.空気が完全に除去されたことが目視試験により確認されるまで(少なくとも1時間)溶液を減圧脱気する。
【0104】
充填物混合物とゼラチン混合物を別々に配合する。これらの材料を次にカプセル充填機に供給する。充填物溶液をカプセル封入するために、ゼラチン製剤を2本の冷却ローラーでシート状に成形する。これらのシートを一連のロールに通し、食品グレード滑剤を添加する。次にシートを回転ダイロールに通し、ソフトゲルを形成する。ソフトゲルの下縁部が形成されるにつれて往復ポンプは充填物溶液をソフトゲルの中心に注入し、その後、ダイの上縁部が絞まり、ソフトゲルを封止する。新たに形成されたソフトゲルをシートから取り外し、タンブルドライヤーに空気移送し、45−60分間保持する。ドライヤーから排出後、ソフトゲルをトレー上に広げ、乾燥トンネル(低湿度チャンバー)に入れて乾燥する。
【0105】
以上、本発明をいくつかのその特定態様について記載及び例証したが、当業者に自明の通り、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、各種変更、変形及び置換を実施することができる。例えば、上記に記載した特定溶媒以外の溶媒も本明細書に記載する化学合成で有用であると思われる。従って、本発明は特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲は妥当な限り広義に解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】数種の医薬キャリヤー(70:30重量%IMWITOR 742:TWEEN 80;15:65:20重量%IMWITOR 742:MIGLYOL 812:TWEEN 80;50:50重量%IMWITOR 742:TWEEN 80;30:50:20重量%IMWITOR 742:MIGLYOL 812:TWEEN 80;及びMIGLYOL 812)を使用した液体充填ゼラチンカプセルとして50mg用量の化合物Iを雄性アカゲザルに経口投与した実施例3に記載の実験で作成した化合物Iの経時的平均血漿濃度のグラフである。このグラフからのデータを実施例2、表2にもまとめる。
【図2】ラクトース/TWEEN 80カプセルとMIGLYOL 812カプセルの2種の製剤としてゼラチンカプセル中化合物I 50mgを雄性アカゲザルに投与することにより実施例3に記載の実験で作成した化合物Iの経時的平均血漿濃度のグラフである。このグラフからのデータを実施例2、表2にもまとめる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物と、易消化性油、界面活性剤、補助溶媒、及びその任意2種以上の混合物から選択される親油性ビヒクルを含有する組成物。
【請求項2】
N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド、又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物と、高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤、易消化性油、補助溶媒、及びその任意2種以上の混合物から選択される医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する組成物。
【請求項3】
高HLB界面活性剤がHLB8〜20であり;低HLB界面活性剤がHLB8未満であり;易消化性油が植物油、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、モノ、ジ及びトリグリセリドの混合物、並びに脂肪酸の親油性誘導体から選択され;補助溶媒が脂肪酸のポリオールエステル、トリアセチン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリコフロール、ペパーミント油、1,2−プロピレングリコール、エタノール、オレイン酸、並びに他の高分子量及び低分子量ポリエチレングリコールから選択される請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
高HLB界面活性剤がポリソルベート80、TWEEN 80、CRILLET 4 HP、CRILLET 4 NF、TWEEN 20、CRILLET 1、CREMOPHOR RH40、CREMOPHOR RH60、CREMOPHOR EL、ETOCAS 30、NIKKOL HCO−60、Vitamin E TPGS、LABRASOL、ACCONON MC−8、GELUCIRE 50/13、GELUCIRE 44/14、MYRJ、BRIJ、及びポロキサマーから選択され;
低HLB界面活性剤がCAPMUL MCM、CAPMUL MCM 8、CAPMUL MCM 10、IMWITOR 988、IMWITOR 742、IMWITOR 308、LABRAFIL M 1944 CS、LABRAFIL M 2125、CAPRYOL PGMC、CAPRYOL 90、LAUROGLYCOL、CAPTEX 200、MIGLYOL 840、PLUROL OLEIQUE、SPAN 80、SPAN 20、CRILL 1、CRILL 4、MAISINE、及びPECEOLから選択され;
易消化性油がMIGLYOL 812、MIGLYOL 810、NEOBEE MS、CAPTEX 300、CAPTEX 355、LABRAFAC CC、CRODAMOL GTCC、大豆油、サフラワー油、コーン油、オリーブ油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、パーム油、菜種油、オレイン酸エチル、及びモノオレイン酸グリセリル;並びにIMWITOR 491、IMWITOR 900、GELUCIRE 33/01、GELUCIRE 39/01、GELUCIRE 43/01、及びSOFTISANS等の半固体ビヒクルから選択され、
補助溶媒が請求項3に記載した通りである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
医薬的に許容可能なキャリヤーが高HLB界面活性剤ポリソルベート80と低HLB界面活性剤モノ及びジグリセリドを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
更に酸化防止剤を含有する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物約0.1mg〜約10mgと、高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤、易消化性油、及び補助溶媒から選択される医薬的に許容可能なキャリヤーを含有するカプセル。
【請求項8】
高HLB界面活性剤がポリソルベート80、TWEEN 20、CREMOPHOR RH40、CREMOPHOR RH60、CREMOPHOR EL、ETOCAS 30、NIKKOL HCO−60、Vitamin E TPGS、LABRASOL、ACCONON MC−8、GELUCIRE 44/14、MYRJ、BRIJから選択され;
低HLB界面活性剤がCAPMUL MCM、CAPMUL MCM 8、CAPMUL MCM 10、IMWITOR 988、IMWITOR 742、IMWITOR 308、LABRAFIL M 1944 CS、LABRAFIL M 2125、LAUROGLYCOL、CAPTEX 200、MIGLYOL 840、PLUROL OLEIQUE、SPAN 80、SPAN 20、CRILL 1、CRILL 4、CAPRYOL PGMC、MAISINE、及びPECEOLから選択され;
易消化性油がMIGLYOL 812、MIGLYOL 810、NEOBEE MS、CAPTEX 300、CAPTEX 355、CRODAMOL GTCC、大豆油、サフラワー油、コーン油、オリーブ油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、パーム油、菜種油、オレイン酸エチル、及びモノオレイン酸グリセリルから選択され;
補助溶媒が脂肪酸のポリオールエステル、トリアルキルクエン酸エステル、炭酸プロピレン、ジメチルイソソルバイド、乳酸エチル、N−メチルピロリドン、トランスクトール、グリコフロール、ペパーミント油、1,2−プロピレングリコール、エタノール、オレイン酸、PEG400と他の高分子量及び低分子量PEG、並びにポリエチレングリコールから選択される請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
医薬的に許容可能なキャリヤーが高HLB界面活性剤ポリソルベート80と低HLB界面活性剤モノ及びジグリセリドを含む請求項7に記載のカプセル。
【請求項10】
N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドの量が0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、及び10mgから選択される請求項7に記載のカプセル。
【請求項11】
ポリソルベート80がTWEEN 80、CRILLET 4 HP、及びCRILLET 4 NFから選択され;モノ及びジグリセリドがIMWITOR 742であり、ポリソルベート80とモノ及びジグリセリドが等重量で存在する請求項9に記載のカプセル。
【請求項12】
更に酸化防止剤を含有する請求項11に記載のカプセル。
【請求項13】
カプセルがソフトゼラチンカプセル及びハードゼラチンカプセルから選択される請求項10に記載のカプセル。
【請求項14】
カプセルがソフトゼラチンカプセルである請求項12に記載のカプセル。
【請求項15】
(a)高HLB界面活性剤、低HLB界面活性剤、易消化性油、及び補助溶媒から選択されるキャリヤー成分をブレンドしてビヒクルを形成する段階と;
(b)N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物をビヒクルに溶かし、溶液又は分散液を形成する段階と;
(c)N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物のビヒクル溶液又は分散液をハード又はソフトゼラチンカプセルに封入する段階を含む請求項7に記載のカプセルの製造方法。
【請求項16】
(a)低HLB界面活性剤を加熱する段階と;
(b)加熱した低HLB界面活性剤にN−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物を加え、N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物が溶解するまで加熱温度を維持する段階と;
(c)N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物の溶液に高HLB界面活性剤を加え、得られた混合物を撹拌する段階と;
(d)N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物の混合物を適当なハード又はソフトゼラチンカプセルに封入する段階を含む請求項9に記載のカプセルの製造方法。
【請求項17】
酸化防止剤がブチル化ヒドロキシアニソールであり、低HLB界面活性剤がIMWITOR 742であり、高HLB界面活性剤がポリソルベート80であり、
(a)ブチル化ヒドロキシアニソールをIMWITOR 742に加え、40±5℃まで加熱する段階と;
(b)N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物をIMWITOR 742/ブチル化ヒドロキシアニソールに加え、N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物が溶解するまで40±5℃で混合する段階と;
(c)N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物のIMWITOR 742/ブチル化ヒドロキシアニソール溶液にポリソルベート80を加え、混合する段階と;
(d)N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物の混合物を適当なハード又はソフトゼラチンカプセルに封入する段階を含む請求項11に記載のカプセルの製造方法。
【請求項18】
N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル)オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物0.01〜25重量%と;易消化性油0〜70重量%と;高HLB界面活性剤0〜50重量%と;低HLB界面活性剤0〜70重量%を含有する請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物0.01〜13重量%と;高HLB界面活性剤20〜50重量%と;低HLB界面活性剤40〜80%を含有する請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
N−[1S,2S]−3−[(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[(5−トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}プロパンアミド又は医薬的に許容可能なその塩もしくは溶媒和物0.8%〜2.4重量%と、ポリソルベート80 48.7%〜49.6重量%と、IMWITOR 742 48.7%〜49.6重量%と、ブチル化ヒドロキシアニソール0.02〜0.1重量%を含有する請求項6に記載の組成物。
【請求項21】
経口医薬組成物である請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
該当治療を必要とするヒトにおける糖尿病、肥満症及び物質濫用障害から選択される症状の治療用としての請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
該当治療を必要とするヒトにおける糖尿病、肥満症及び物質濫用障害から選択される症状の治療用としての請求項2に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−521807(P2008−521807A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543271(P2007−543271)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/041836
【国際公開番号】WO2006/057903
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】