説明

置換インドリジン1,2,3,6,7,8誘導体、FGF阻害剤、その調製方法及び該誘導体を含有する医薬組成物

本発明は、式(I)の誘導体


(式中、位置6、7又は8のRは、水素又はハロゲン原子、メチル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル基又は式:−NR、−NH−SO−Alk、−NH−CO−Alk、−NH−CO−Alk、−O−Alk−COOR、−O−Alk−NR、−O−(CH−Ph又は−CO−NR(式中、Rは、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル基、置換フェニル基、1個もしくは2個の場合によっては置換されているヘテロ原子を有する5又は6結合のへテロアリール基であり;Rは、アルキル、シクロアルキル基又は場合によっては置換されているフェニル基であり;同一であるか又は異なるものであるR及びRは、それぞれが、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ基又は式:−NR、−NH−CO−Alk、−NH−CO−CF、−CO−NRもしくは−CO−NHOHである。)の基である。)、最終的に医薬的に許容される塩の形態を取るものに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、FGF(繊維芽細胞増殖因子)の阻害剤である、新規1,2,3,6,7,8−置換インドリジン誘導体、それらを調製するための方法及びそれらを含有する医薬組成物である。
【背景技術】
【0002】
FGFは、胚発生中に多数の細胞により、及び様々な病態下で成体組織の細胞により合成されるポリペプチドのファミリーである。
【0003】
ナフチリジンジアミンの誘導体及び関連尿素の中には、FGF−1の選択的阻害剤であることが知られているものがある(Batley B.ら、Life Sciences,(1998),Vol.62 No.2,pp.143−150;Thompson A.ら、J.Med.Chem.,(2000),Vol.43,pp.4200−4211)。
【0004】
特許明細書及び特許、US 4 378 362、FR 2 341 578、GB 2 064 536、EP 0 097 636、EP 302 792、EP 0 382 628及びEP 0 235 111において、いくつかのインドリジン誘導体が記載されている。これらの化合物は、狭心症及び不整脈の治療に有用である。これらの化合物のうちいくつかに対してカルシウム移動阻害特性が記載されている。
【0005】
特許明細書EP 0 022 762もまた、キサンチンオキシダーゼ及びアデノシンデアミナーゼ阻害活性及び尿酸排泄活性を有するいくつかのインドリジン誘導体について記載している。これらの化合物は、尿酸の過剰、免疫系の混乱に続いて起こる生理的障害の治療において、及び寄生虫薬として使用し得る。
【0006】
インドリジン由来のいくつかの化合物が、FGFのそれらの受容体への結合の有力なアンタゴニストであることが現在分かっている。
【発明の開示】
【0007】
従って、本発明の主題は、式I、
【0008】
【化19】

(式中、
インドリジンの6−、7−又は8−位置のRは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又は式:
−NR
−NH−SO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−O−Alk−COOR
−O−Alk−NR
−O−(CH−Ph、
−CO−NR
の基(式中、
Alkは、1個から5個の炭素原子のアルキル基又は直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表し、
nは、0から5の整数を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基又はベンジル基を表し、
は、水素原子又は1個から5個の炭素原子のアルキル基を表し、
Phは、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基を表す。)を表し、
は、
1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、
カルボキシル基、
2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、
1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基、
イオウ原子、酸素原子又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を含有し、場合によっては第二の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されている、5員のへテロアリール基、
又は、1又は2の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換され得る、6員のへテロアリール基
を表し、
は、1個から5個の炭素原子のアルキル基、3個から6個の炭素原子のシクロアルキル基又は場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基で置換されているフェニル基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又は式:
−NR
−NH−CO−Alk
−NH−CO−CF
−CO−NR
−CO−NHOH
の基(式中、Alk、R及びRは、Rに対して上記で与えた意味を有する。)を表すが、
但し、Rが水素原子を表す時、R又はRが基−CO−NR又は基−CO−NHOHを表す場合を除き、Rは、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基又は2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基を表さない。)の、場合によってはそれらの医薬的に許容される塩の1つの形態である、新規インドリジン誘導体である。
【0009】
式Iの化合物は、
インドリジンの6−、7−又は8−位置のRが、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又は式:
−NR
−NH−SO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−O−Alk−COOR
−O−Alk−NR
−CO−NR
の基(式中、
Alkは、1個から5個の炭素原子のアルキル基又は直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基又はベンジル基を表し、
は、水素原子又は1個から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)を表し、
は、
1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、
カルボキシル基、
2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、
1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基、
イオウ原子、酸素原子又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を含有し、場合によっては第二の窒素原子を含有し、場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で置換されている、5員のへテロアリール基、
又は、1個もしくは2個の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換され得る、6員のへテロアリール基
を表し、
は、1個から5個の炭素原子のアルキル基、3個から6個の炭素原子のシクロアルキル基又は、場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基で置換されている、フェニル基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又は式:
−NR
−NH−CO−Alk、
−CO−NR
−CO−NHOH
の基(式中、Alk、R及びRは、Rに対して上記で与えた意味を有する。)を表すが、
但し、Rが水素原子を表す時、R又はRが基−CO−NR又は基−CO−NHOHを表す場合を除き、Rは、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基又は2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基を表さない、場合によってはそれらの医薬的に許容される塩の1つの形態であるものが好ましい。
【0010】
式Iの化合物は、
インドリジンの6−、7−又は8−位置のRが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又は式:
−NR
−CO−NR
の基(式中、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基又はベンジル基を表す。)を表し、
は、
1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、
カルボキシル基、
1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基、
イオウ原子、酸素原子又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を含有し、場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で置換されている、5員のへテロアリール基、
又は、1個もしくは2個の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換され得る、6員のへテロアリール基
を表し、
は、1個から5個の炭素原子のアルキル基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基又は式CO−NRの基(式中、R及びRは、Rに対して上記で与えた意味を有する。)を表すが、
但し、Rが水素原子を表す時、R又はRが基−CO−NRを表す場合を除き、Rは、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基又はカルボキシル基を表さない、場合によってはそれらの医薬的に許容される塩の1つの形態であるものが特に好ましい。
【0011】
本発明の化合物の中で、特に好ましい化合物は、場合によってはその医薬的に許容される塩の1つの形態である、次のものである:
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−メトキシ−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸、
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]−メタノン、
3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−(1−メトキシ−N,2−ジメチルインドリジン−6−イル)−カルボキサミド、
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−2−メチル−7−(メチルアミノ)インドリジン−1−イル]−カルボン酸、
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−7−(ジメチルアミノ)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボン酸、
2−アミノ−5−({1−メトキシ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]インドリジン−3−イル}カルボニル)安息香酸、
2−アミノ−5−[(1,6−ジメトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]安息香酸、
2−アミノ−5−[(1−メトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]ベンズアミド
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボキサミド、
2−アミノ−5−{[2−メチル−1−(2−チエニル)インドリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸、
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[2−メチル−1−(2−チエニル)インドリジン−3−イル]メタノン。
【0012】
本発明はまた、
A)式Ia、Ib又はIcの化合物:
【0013】
【化20】

を得るために、式IIのインドリジン誘導体
【0014】
【化21】

(式中、R、R及びRは、式Iに対して与えられる意味を有するが、Rが、アルコキシカルボニル基を表す場合、Rは、7−位置で、基−NR、基−NH−CO−Alk、基−NH−CO−Alk又は基−NH−SO−Alkを表さない。)が、式III:
【0015】
【化22】

(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、R又はRは、同等に、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、ニトロ基又は2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又はトリフルオロアセトアミド基を表す。)の誘導体と縮合され、次に、
a)式Id:
【0016】
【化23】

(式中、R又はRは、アミノ基を表す。)の化合物を得るために、式Iaの化合物が還元に供され、
次に、式Idの化合物が、
Rがヒドロキシル基を表さない場合、R又はRが基−NRを表す(Rは、水素原子を表し、Rは、1個から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)式Ifの化合物を得るために、ハロゲン化アルキルの作用に供されるか、もしくは、
Rがヒドロキシル基を表さない場合、式If(R又はRが基−NH−CO−Alkを表す。)の化合物を得るために、アシル化に供され、
もしくは、
b)R及び/又はR及び/又はRがカルボキシル基を表す式Ieの化合物を得るために、R及び/又はR及び/又はRがアルコキシカルボニル基を表す式Ibの化合物が鹸化に供され、
もしくは、
c)Rがベンジルオキシ基を表す場合、式Ig:
【0017】
【化24】

の化合物を得るために、式Iaの化合物が、加圧下で接触水素化に供され、次に、式Ih:
【0018】
【化25】

の化合物を得るために、これらの式Igの化合物が選択的O−アルキル化に供されるか、又は、Rがアルコキシ基もしくは式−O−Alk−COORの基を表し、これを場合によっては式−O−Alk−COOHの基を得るために鹸化することができ、
もしくは、
d)Rがヒドロキシル基を表す場合、式Ii
【0019】
【化26】

(式中、
又はRは、Iaに対して与えられる意味を有し、Rは、アルコキシ基、式−O−Alk−NRの基又は式−O−Alk−COORの基を表し、それらは、続いて、式−O−Alk−COOHの基を得るために、場合によっては鹸化することができる。)の化合物を得るために、式Iaの化合物がO−アルキル化に供され、
もしくは、
(e)Rがアルコキシカルボニル基を表す場合、式Ij
【0020】
【化27】

(式中、R又はRは、上記で与えられる意味を有する。)の化合物を得るために、式Iの化合物が鹸化に供され、
もしくは、
(f)Rが水素を表す場合、式Ik:
【0021】
【化28】

の化合物を得るために、式Iの化合物が臭素化に供され、次に、その化合物が、Rが臭素又はヨウ素などのハロゲンを表さない場合、式Il:
【0022】
【化29】

(式中、Rは、臭素又はヨウ素などのハロゲンを表さず、R及びR又はRは、上記で与えられる意味を有し、Rは、置換フェニル基又は場合によっては置換されている5もしくは6員のへテロアリールを表す。)の化合物を得るために、Synth.Commun.;(1981),vol 11.p513に記載のSUZUKI反応の条件に従い、フェニルボロン酸又はヘテロアリールボロン酸誘導体とのカップリングに供され、
もしくは、
g)Rがヒドロキシル又はアミノ又はカルボキシル基を表さず、R又はRがカルボキシル官能基を表す場合、式Ip:
【0023】
【化30】

(式中、R又はRは、基−CO−NR又は−CO−NHOHを表す。)の化合物を得るために、カルボキシル官能基の活性化後に、式Ieの化合物が、式HNRのアミン又はヒドロキシルアミンのアミンとのカップリングに供され、
又は、
B)Rが電子求引性基を表し、Rが基7−NH−CO−Alkを表す場合、式VI:
【化31】

【0024】
の化合物を得るために、式IV
【0025】
【化32】

のピリジンを、式V
【0026】
【化33】

のブロモアセトフェノンと反応させ、次に、式Iaの化合物(式中、Rは、ベンジルオキシカルボニル基を表し、Rは、7−位置において、式−NH−COO−Alkの基を表す。)を得るために、酸化剤の存在下で、該式VIの化合物がベンジルアクリレートとの1,3−双極付加環化に供され、
又は、
C)Rが基−NH−COtブチルを表す場合、式Iaの化合物が、
式Im:
【0027】
【化34】

の化合物を得るために、アルキル化と、それに続く脱保護化及び場合によって第二のアルキル化に供されるか、
もしくは、式In:
【0028】
【化35】

の化合物を得るために、脱保護化とそれに続くアシル化に供されるか、
もしくは、式Io:
【0029】
【化36】

の化合物を得るために、脱保護化とそれに続くスルホニル化に供されるかのいずれかであり、図1、2及び3が、生成物IaからIl及びIpの合成に対する概略図を与えることを特徴とする、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0030】
本発明による化合物は、R又はRがニトロ基を表す場合、式IIのインドリジン誘導体及び式IIIのニトロベンゾイルクロリド誘導体からの公知のベンゾイル化法(Eur.J.Med.Chem.Chim.Ther,(1983),18(4),pp339−346)により調製される。このようにして式Iaの化合物が得られる。
【0031】
又はRがアミノ基を表す式Id又はIgの化合物は、ニトロ官能基を還元することにより式Iaの化合物から得られる。式Idの化合物をハロゲン化アルキルの作用に供することにより、R又はRが基−NR(式中、Rは、水素原子を表し、Rは、上記で与えられる意味を有する。)を表す式Ifの化合物が得られる。
【0032】
式Idの化合物をアシル化することにより、R又はRが基−NH−CO−Alkを表す式Ifの化合物が得られる。
【0033】
式IIのインドリジン誘導体を式IIIのアルコキシカルボニルベンゾイルクロリド誘導体と反応させることにより、R又はRがアルコキシカルボニル基を表す式Ibの化合物が得られる。後者の化合物を鹸化に供することにより、R又はRがカルボキシル基を表す式Ieの化合物が得られる。Rが場合によってはエステル官能基を含有する時、後者はまた、対応する酸を得るために鹸化され得る。
【0034】
カップリング剤の存在下で、式Ieの化合物を式HNR又はヒドロキシルアミンのアミンとカップリングさせることにより、R又はRが基−CO−NR又は−CO−NHOHを表す、式Ipの化合物が得られる。
【0035】
式IIのインドリジン誘導体を式IIIのトリフルオロアセトアミドベンゾイルクロリド誘導体と反応させることにより、R又はRがトリフルオロアセトアミド基を表す式Icの化合物が得られる。後者の化合物を塩基性加水分解に供することにより、R及び/又はRがカルボキシル基及び/又はアミノ基を表す式Idの化合物が得られる。
【0036】
図2で表されるように、Rがベンジルオキシ基を表し、R又はRがニトロ基を表す式Iaの化合物で出発し、これらの化合物を加圧下で接触水素化に供することにより、Rがヒドロキシル基を表し、R又はRがアミノ基を表す式Igの化合物が得られる。
【0037】
式Igの化合物を選択的O−アルキル化に供することにより、Rが1個から5個の炭素原子の直鎖アルコキシ基又は基−O−Alk−COORを表す、式Ihの化合物が得られる。この後者の基は、それに続いて、式−O−Alk−COOHの基を得るために、場合によっては鹸化を行うことができる。
【0038】
図2で表されるように、Rがヒドロキシル基を表し、R又はRがニトロ基を表す式Iaの化合物で出発し、これらの化合物をO−アルキル化に供することにより、Rが1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、式−O−Alk−COORの基(次に、式−O−Alk−COOHの基を得るために、場合によっては鹸化を行うことができる。)又は式−O−Alk−NRの基を表し、R又はRがニトロ基を表す式Iiの化合物が得られる。
【0039】
がカルボキシル基である式Ijの化合物を得るために、Rがアルコキシカルボニル基である式Iの化合物を鹸化に供する。
【0040】
図3で表されるように、Rが水素原子を表し、R、R又はRが一般式で与えられる意味を有する式Iの化合物を用いて出発すると、臭素化により、Rが臭素原子を表し、R、R又はRが一般式で与えられる意味を有する式Ikの化合物が得られる。後者の化合物Ikは、フェニルボロン酸又はヘテロアリールボロン酸誘導体とのSuzuki型のカップリングに供した場合(Rは臭素又はヨウ素原子を表さない場合)、Rが、様々に置換されたフェニル基又は5もしくは6員のへテロアリールであり、R又はRが一般式で与えられる意味を有し、Rが臭素又はヨウ素原子を表さない、式Ilの誘導体を導く。
【0041】
使用した式IIの化合物は、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、Rが基−CONH又はCOCHを表す場合、J.Chem.Soc.C;(1969),901で述べられている。
【0042】
式IIの化合物は、Rがメトキシ基を表し、Rがメチル基を表し、Rが、6−位置において基−CONCHを表すか、又は6−位置において−CON(CHを表す場合、インドリジンを調製するために、Tschitschibabin反応(Synthesis,(1975),p209)を用いて、次の反応スキームに従い調製される。
【0043】
【化37】

式IIの化合物は、Rが水素原子を表し、Rがメチル基を表し、Rが6−位置の基−CONHCH又は6−位置の基−NHCOOtBuのいずれかを表す場合、上記のようにTschitschibabin反応(Synthesis,(1975),p209)を用いて、次の反応スキームに従い調製される。
【0044】
【化38】

式IIの化合物は、また、Rが基−COCHを表し、Rがメチル基を表し、Rが6−位置のベンジルオキシ基又は8−位置のベンジルオキシ基のいずれかである場合、次の反応スキームに従いTschitschibabin反応を用いて調製される。
【0045】
【化39】

Rが7−位置の式−NH−COO−Alkの基を表し、Rが、ベンジルオキシカルボニルなどの電子求引性基である式Iaの化合物は、公知の付加環化法に従い調製される[J.Heterocyclic Chem.,(2001),38,853−857]。
【0046】
【化40】

式Vの適切な置換ブロモアセトフェノンを用いた式IVのピリジンの四級化により、式VIのピリジニウムが得られる。後者の1,3−双極付加環化は、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒中で、二酸化マンガンなどの酸化剤存在下にて遂行される。
【0047】
式Iの化合物は、FGF1及び2の強力なアンタゴニストである。それらの、分化した内皮細胞からの新しい血管形成両方の阻害能及びCD34+CD133+成人骨髄細胞の内皮細胞への分化の遮断能がインビトロで示された。さらに、それらの、病的血管形成の阻害能がインビボで示された。さらに、式Iの化合物がFGF−1受容体の強力なアンタゴニストであることが明らかになった。
【0048】
一般に、FGFは、自己分泌、傍分泌又はジャクスタクリン分泌を介して、癌細胞の
成長刺激の脱制御現象に大きく関与する。さらにFGF受容体は、腫瘍成長と、また転移現象の両方において主要な役割を果たす腫瘍血管形成に影響を与える。
【0049】
血管形成は、既存の血管からの、又は骨髄細胞の移行及び分化による、新しい毛細血管生成のプロセスである。したがって、腫瘍血管新生プロセスでは、内皮細胞の制御されない増殖及び骨髄からの血管芽細胞の移行が観察される。インビトロ及びインビボで、いくつかの増殖因子、特にFGF1又はa−FGF及びFGF2又はb−FGF、が内皮増殖を刺激することが示されている。これらの2つの因子は、培養及びインビボの血管新生において、増殖、移動及び内皮細胞によるプロテアーゼ産生を誘導する。a−FGF及びb−FGF受容体は、2種類のクラスの受容体、チロシンキナーゼ活性(FGF)との高親和性受容体及び細胞表面及び細胞外マトリクスに存在するヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)型の低親和性受容体、を介して内皮細胞と相互作用する。内皮細胞におけるこれらの2つの因子の傍分泌の役割については広く記載されているが、一方で、a−FGF及びb−FGFはまた、自己分泌プロセスを介して、これらの細胞において作用し得る。したがって、a−FGF及びb−FGF及びそれらの受容体は、血管形成プロセスを阻害することを目的とする治療のための非常に適したターゲットを提供する(Keshet E.,Ben−Sasson S.A.,J.Clin.Invest.,(1999),Vol.501,pp.104−1497;Presta M.,Rusnati M.,Dell’Era P.,Tanghetti E.,Urbinati C.,Giuliani R.ら、New York:Plenum Publishers,(2000),pp.7−34,Billottet C.,Janji B.,Thiery J.P.,Jouanneau J.,Oncogene,(2002),Vol.21,pp.8128−8139)。
【0050】
さらに、様々なタイプの腫瘍細胞におけるa−FGF及びb−FGF及びそれらの受容体(FGF)による発現を調べることを目的とする体系的な研究から、これらの2つの因子に対する細胞性応答が、研究を行ったヒト腫瘍細胞株の大多数で機能的であることが示されている。これらの結果により、a−FGF及びb−FGFのアンタゴニストもまた、腫瘍細胞の増殖を阻害し得るという仮説が支持される(Chandler L.A.,Sosnowski B.A.,Greenlees L.,Aukerman S.L.,Baird A., Pierce G.F.,Int.J.Cancer,(1999),Vol.58,pp.81−451)。
【0051】
前立腺細胞の増殖及び維持において、a−FGF及びb−FGFは、重要な役割を果たす。動物モデル及びヒトの両方で、これらの因子に対する細胞性応答の変化は、前立腺癌の進行において非常に重要な役割を果たす。実際にこれらの病態において、腫瘍に存在する繊維芽細胞及び内皮細胞によるa−FGF及びb−FGF産生の増加及び、腫瘍細胞におけるFGF受容体の発現上昇の両方が報告されている。したがって、前立腺癌細胞の傍分泌刺激が起こり、このプロセスがこの病態の主要な要素となり得る。本発明の化合物などの、FGF受容体拮抗活性を有する化合物は、これらの病態において、最適な治療を示し得る(Giri D.,Ropiquet F.,Clin.Cancer Res.,(1999),Vol.71,pp.5−1063;Doll J.A.,Reiher F.K.,Crawford S.E.,Pins M.R.,Campbell S.C.,Bouck N.P.,Prostate,(2001),Vol.305,pp.49−293)。
【0052】
いくつかの研究で、ヒト乳癌株(特にMCF7)及び腫瘍の生検の両方における、a−FGF及びb−FGFの存在及びそれらのFGFR受容体の存在が示されている。これらの因子は、この病態において、高転移性を誘導する非常に悪性度の高い表現形の出現に関与している可能性がある。したがって、式Iの化合物など、FGFR受容体拮抗活性を有する化合物は、これらの病態において最適な治療を示し得る(Vercoutter−Edouart A−S.,Czeszak X.,Crepin M.,Lemoine J.,Boilly B.,Le Bourhis Xら、Exp.Cell Res.,(2001),Vol.262,pp.59−68)。
【0053】
癌性のメラノーマは、高頻度で転移を誘発し、様々な化学療法に対して非常に高い耐性を示す腫瘍である。血管形成プロセスは、癌性メラノーマの進行において主要な役割を果たす。さらに、原発腫瘍の血管形成が増加すると、転移発生の可能性が非常に高まることが分かっている。メラノーマ細胞は、a−FGF及びb−FGFを含む様々な血管形成因子を産生し分泌する。さらに、可溶性FGFR1受容体によるこれらの2つの因子の細胞効果を阻害することにより、インビトロで、メラノーマ腫瘍細胞の増殖及び生存が阻止され、インビボで腫瘍進行が阻止されることが明らかとなっている。したがって、本発明の化合物など、FGFR受容体拮抗活性を有する化合物は、これらの病態において最適な治療を示し得る(Rofstad E.K.,Halsor E.F.,Cancer Res.,(2000);Yayon A.,Ma Y−S.,Safran M.,Klagsburn M.,Halaban R.,Oncogene,(1997),Vol.14,pp.2999−3009)。
【0054】
神経膠腫細胞は、インビトロ及びインビボにおいて、a−FGF及びb−FGFを産生し、その表面に様々なFGF受容体を有する。したがって、これにより、これらの2つの因子が、自己分泌及び傍分泌効果を介して、このタイプの腫瘍の進行において極めて重要な役割を果たすことが示唆される。さらに、固形癌の大多数のように、神経膠腫の進行及びそれらの転移誘導能は、原発腫瘍における血管形成プロセスに大きく依存する。FGF−1受容体アンチセンスは、ヒト星状細胞腫の増殖を阻止することもまた分かっている。さらに、ナフタレンスルホネート誘導体が、インビトロにおけるa−FGF及びb−FGFの細胞性効果及びインビボにおけるこれらの増殖因子により誘導される血管形成を阻害することが述べられている。これらの化合物の大脳内注入により、非常に顕著なアポトーシスの増加及び血管形成の大幅な減少が誘発され、その結果、ラットにおいて神経膠腫がかなり退縮する。したがって、本発明の化合物など、a−FGF及び/又はb−FGF及び/又はFGF受容体に対するアンタゴニスト活性を有する化合物は、これらの病態において最適な治療を示し得る(Yamada S.M.,Yamaguchi F.,Brown R.,Berger M.S.,Morrison R.S.,Glia,(1999),Vol.76,pp.28−66;Auguste P.,Guersel D.B.,Lemiere S.,Reimers D.,Cuevas P.,Carceller F.,ら、Cancer Res.,(2001),Vol.26,pp.61−1717)。
【0055】
最近になって、白血病及びリンパ腫における血管形成促進物質の潜在的な役割が実証された。実際に、一般に、これらの病態における細胞クローンが、免疫系により自然に破壊され得るか、又は、それらの生存及び、次いで増殖を促進する血管形成性の表現型に転換し得る。この表現型の変化は、特にマクロファージによる血管形成因子の過剰発現、及び/又は細胞外マトリクスからのこれらの因子の移行により誘導される(Thomas D.A.,Giles F.J.,Cortes J.,Albitar M.,Kantarjian H.M.,Acta Haematol,(2001),Vol.207,pp.106−190)。血管形成因子の中で、b−FGFは、多数のリンパ芽球性及び造血系腫瘍細胞株において検出されている。FGF受容体はまた、これらの株の大多数において存在し、このことから、これらの細胞の増殖を誘導する、a−FGF及びb−FGFの自己分泌性の細胞効果の可能性が示唆される。さらに、傍分泌作用による骨髄の血管形成がこれらの病態の一部の進行と相関したことが報告されている。
【0056】
特に、CLL(慢性リンパ性白血病)細胞において、b−FGFが抗アポトーシスタンパク質(Bc12)の発現増加を誘導し、それにより、これらの細胞の生存率が向上し、したがって、それらの癌化に大きく関与することが示されている。さらに、これらの細胞で測定されるb−FGFレベルは、これらの疾病の臨床的進展のステージ及びこの病態に適用される化学療法(フルダラビン)に対する耐性と、よく相関する。このように、本発明の化合物など、FGF受容体拮抗活性を有する化合物は、この病態において、あるいはフルダラビン又は他の活性剤と組み合わせて、最適な治療を示し得る(Thomas D.A.,Giles F.J.,Cortes J.,Albitar M.,Kantarjian H.M.,Acta Haematol,(2001),Vol.207,pp.106−190;Gabrilove J.L.Oncologist,(2001),Vol.6,pp.4−7)。
【0057】
骨髄血管形成のプロセスとCML(慢性骨髄単球白血病)における髄外疾患との間に相関関係が存在する。様々な研究により、血管形成の阻害、特にFGF受容体の拮抗活性を有する化合物によるもの、が、この病態において最適な治療を示し得ることが明らかとなっている。
【0058】
血管平滑筋細胞の増殖及び移動は、動脈の血管内膜肥大に寄与し、したがって、アテローム性動脈硬化症において、及び血管形成術及び動脈内膜切除後の再狭窄において主要な役割を果たす。インビボでの研究により、バルーン傷害による頸動脈の損傷後、a−FGF及びb−FGFの局所産生が示されている。この同じモデルにおいて、抗−FGF2中和抗体が、血管平滑筋細胞の増殖を阻害し、したがって、血管内膜肥大を低下させる。
【0059】
サポニンなどの分子に結合したキメラタンパク質FGF2は、インビトロにおける血管平滑筋細胞の増殖及びインビボでの血管内膜肥大を抑制する(Epstein C.E.,Siegall C.B.,Biro S.,Fu Y.M.,FitzGerald D.,Circulation,(1991),Vol.87,pp.84−778;Waltenberger J.,Circulation,(1997),pp.96−4083)。
【0060】
したがって、本発明の化合物などの、FGF受容体のアンタゴニストは、単独で、又はPDGFなどのこれらの病態に関与するその他の増殖因子に対するアンタゴニスト化合物との組み合わせて、のいずれかで、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後再狭窄もしくは血管内人工挿入物(ステント)のフィッティング後もしくは大動脈−冠動脈バイパス手術中など、血管平滑筋細胞の増殖に関与する病態の治療において、最適な治療を示し得る。
【0061】
心肥大は、圧力又は量の点での過負荷により誘発される心室壁のストレスに応答して起こる。この過負荷は、高血圧、AC(大動脈縮窄)、心筋梗塞及び様々な血管性疾患などの多くの生理病理学的状態の結果であり得る。この病態の結果、心筋細胞の肥大、マトリックスタンパク質の蓄積及び胎児性遺伝子の再発現などの、形態的、分子的及び機能的変化が起こる。b−FGFはこの病態に関与する。実際に、新生ラット由来の心筋細胞の培養に対してb−FGFを添加することにより、収縮タンパク質に対応する遺伝子プロファイルが変化し、胎児型の遺伝子プロファイルを導く。さらに、成体ラットの筋細胞は、b−FGFの影響下で肥大性の応答を示し、この応答は、抗−b−FGF中和抗体により遮断される。b−FGFに関してインビボにおいてトランスジェニックノックアウトマウスで行われた実験から、b−FGFがこの病態において心筋細胞肥大に対する主要な刺激因子であることが示されている(Schultz JeJ.,Witt S.A.,Nieman M.L.,Reiser P.J.,Engle S.J.,Zhou M.ら、J.Clin.Invest.,(1999),Vol.19,pp.104−709)。
【0062】
したがって、本発明の化合物などのFGF受容体拮抗活性を有する化合物は、心不全及び心臓組織の変性に関連するあらゆるその他の病態の治療において、最適な治療を示す。この治療は、単独で、又は現在の治療(β−ブロッカー、利尿薬、アンジオテンシンアンタゴニスト、抗不整脈薬、抗-カルシウム薬、抗血栓薬など)と組み合わせて行うことができる。
【0063】
糖尿病により起こる血管障害は、血管の反応性及び血流の変化、過透過性、増殖応答の悪化及びマトリックスタンパク質沈着の増加を特徴とする。より正確に言えば、a−FGF及びb−FGFは、糖尿病性網膜症の患者の網膜前膜、増殖性網膜症患者の下層の毛細管の膜及び硝子体液に存在する。a−FGF及びb−FGFの両方に結合することができる可溶性FGF受容体は、糖尿病に関連する血管障害において開発されている(Tilton R.G., Dixon R.A.F.,Brock T.A.,Exp.Opin.Invest.Drugs,(1997),Vol.84,pp.6−1671)。したがって、FGF受容体拮抗活性を有する式Iの化合物などの化合物は、単独で、又はVEGFなどのこれらの病態に関与するその他の増殖因子に対するアンタゴニスト化合物と組み合わせて、のいずれかで、最適な治療を示し得る。
【0064】
関節リウマチ(RA)は、病因不明の慢性疾患である。それが多数の器官に影響を及ぼすと同時に、RAの最も重篤な形態は、破壊へと至る、関節の進行性滑膜炎である。血管形成は、この病態の進行に大きく影響を及ぼすと思われる。このように、a−FGF及びb−FGFは、RA患者の滑膜組織中及び関節液中で検出されており、このことから、この増殖因子がこの病態の発症及び/又は進行に関与することが示される。ラットのAIAモデル(関節炎のアジュバント誘発モデル)において、b−FGFの過剰発現により疾患の重篤度が上昇するが、一方、抗−b−FGF中和抗体はRAの進行を抑えることが示されている(Yamashita A.,Yonemitsu Y.,Okano S.,Nakagawa K.,Nakashima Y.,Irisa T.ら、J.Immunol.,(2002),Vol.57,pp.168−450;Manabe N.,Oda H.,Nakamura K.,Kuga Y.,Uchida S.,Kawaguchi H.,Rheumatol,(1999),Vol.20,pp.38−714)。したがって、本発明による化合物は、この病態における最適な治療を示す。
【0065】
IBD(炎症性腸疾患)には、腸の慢性炎症性疾患の2つの形態:UC(潰瘍性大腸炎)及びクローン病(CD)が含まれる。IBDは、免疫機能障害を特徴とし、結果として、炎症性サイトカインの産生が不適当になり、これにより局所的な微小血管系の確立が誘発される。この炎症性起源の血管形成の結果、血管収縮により腸の虚血が誘発される。これらの病態の患者において測定を行うと、b−FGFレベルは、循環及び局所において高いレベルとなっている(Kanazawa S.,Tsunoda T.,Onuma E.,Majima T.,Kagiyama M.,Kkuchi K.,American Journal of Gastroenterology,(2001),Vol.28,pp.96−822;Thorn M.,Raab Y.,Larsson A.,Gerdin B., Hallgren R.,Scandinavian Journal of Gastroenterology,(2000),Vol.12,pp.35−408)。炎症性血管形成モデルにおいて高い抗血管形成活性を有する本発明の化合物は、これらの病態において最適な治療を示す。
【0066】
FGF−1、2及び3受容体は、クロノジェネシス(Chronogenesis)及び骨形成のプロセスに関与する。FGFR発現の持続的活性化を誘導する突然変異は、多数のヒト遺伝病に関連しており、その結果、Pfeiffer、Crouzon、Apert、Jackson−Weiss及びBear−Stevenson 回転状皮膚症候群(cutis gyrata syndromes)などの骨格の先天性異常をもたらす。特にFGF3受容体に影響するこれらの変異の中には、特に軟骨形成不全(ACH)、軟骨低形成症(HCH)及びTD(致死性骨異形成症)をもたらすものがあるが、ACHは小人症の最も一般的な型である。生化学的観点から、これらの受容体の持続的活性化は、リガンド不在での受容体の二量体化を介して起こる(Chen.L.,Adar R.,Yang X.,Monsonego E.O.,LI C.,Hauschka P.V.,Yagon A.及びDeng C.X.,(1999),The Journal of Clin.Invest.,Vol.104,No.11,pp.1517−1525)。したがって、b−FGF及びFGFRの結合に対してアンタゴニスト活性を示し、それにより受容体の二量体化を阻害する本発明の化合物は、これらの病態における最適な治療を示す。
【0067】
さらに、脂肪組織が、成体において、発生又は退行可能な稀な組織の1つであることが知られている。この組織は、非常に血管が発達しており、微小血管の非常に密なネットワークが各脂肪細胞を取り囲んでいる。これらの観察から、成体の脂肪組織の発達における抗血管形成薬の影響を試験した。このように、ob/obマウスにおける薬理学的モデルにおいて、血管形成の阻害の結果、マウスの体重が著しく低下するようである(Rupnick M.A.及びal,(2002),PNAS,Vol.99,No.16,pp.10730−10735)。したがって、強力な抗血管形成活性を有するFGF受容体に対するアンタゴニスト化合物は、肥満関連病態において最適な治療を示し得る。
【0068】
本発明の化合物は、その低い毒性ならびにその薬理学的及び生物学的特性のために、血管形成が高度に起こる(肺、乳房、前立腺、食道)、又は転移を誘導する(結腸、胃、メラノーマ)、又は自己分泌様式においてa−FGFもしくはb−FGFに対して感受性を有するあらゆる癌、又は、最後に、リンパ腫及び白血病型の病態における治療において用途がある。これらの化合物は、単独で、又は適切な化学療法と組み合わせて、最適な治療を示す。本発明による化合物はまた、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後再狭窄などの心血管系疾患の治療において、血管内人工挿入物のフィッティングもしくは冠動脈バイパスもしくは他の血管移植後に現れる合併症及び心肥大又は糖尿病性網膜症などの糖尿病の血管性合併症と関連する疾患の治療においても用途がある。本発明による化合物はまた、関節リウマチ又はIBDなどの慢性炎症性疾患の治療においても用途がある。最後に、本発明による化合物は、軟骨形成不全(ACH)、軟骨低形成症(HCH)及びTD(致死性骨異形成症)の治療、及び肥満の治療にも使用され得る。
【0069】
本発明による生成物はまた、黄斑変性の治療においても用途がある。成体における視力低下の主要な特徴は、血管新生及びそれによる出血であり、これは、眼における重大な機能的障害を引き起こし、その結果、早期に失明することとなる。近年、眼の血管新生現象に関与するメカニズムの研究により、これらの病態にける血管形成促進因子の関与を明らかにすることができた。レーザーにより誘発した脈絡膜血管新生のモデルを用いることにより、本発明による生成物がまた、脈絡膜の血管新生も調節可能であることを確認することができた。
【0070】
さらに、本発明の生成物は、特に抗癌化学療法による血小板減少症の治療又は予防において使用し得る。実際に、本発明の生成物が化学療法中に循環血小板のレベルを向上させ得ることが示されている。
【0071】
この特性の別のものによると、本発明の主題は、場合によっては1又は複数の不活性及び適切な賦形剤と組み合わせて、活性成分として、本発明による式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する、医薬組成物である。
【0072】
前記賦形剤は、医薬剤形及び所望する投与形態、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、経粘膜、局所又は直腸、に従い選択される。
【0073】
本発明による医薬組成物は、好ましくは経口経路により投与される。
【0074】
経口投与のための本発明の医薬組成物において、活性成分は、従来の医薬担体との混合物として単回投与形態において投与され得る。適当な単回投与形態は、例えば錠剤(場合によっては分割するための刻み目付き)、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒及び経口溶液又は懸濁液を含む。
【0075】
錠剤の形態である固体組成物を製造する場合、主要活性成分を、ゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなどの医薬ビヒクルと混合する。
【0076】
スクロース又はその他の適切な材料で錠剤を被覆することが可能であり、又は、その代わりに、活性が延長もしくは遅延され、活性成分の予め決められた量が連続的に放出されるようにそれらを処理することが可能である。
【0077】
ゼラチンカプセルの形態である製剤は、本活性成分を希釈剤と混合し、得られた混合物を軟又は硬ゼラチンカプセルに注ぐことにより得られる。
【0078】
シロップ又はエリキシル形態の製剤は、甘味料(好ましくはカロリー不含)、防腐剤としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン、風味剤及び適切な着色剤と共に本活性成分を含有し得る。
【0079】
水分散性の粉末又は顆粒は、ポリビニルピロリドンなど、分散剤、湿潤剤もしくは懸濁剤との、及び甘味料もしくは香味剤との混合物として本活性成分を含有し得る。
【0080】
本活性成分はまた、場合によっては1又は複数の担体もしくは添加剤とともに、マイクロカプセルの形態に処方することもできる。
【0081】
本発明による医薬組成物において、活性成分は、シクロデキストリン、それらのエーテル又はそれらのエステル中の包接錯体の形態も取り得る。
【0082】
投与される活性成分の量は、通常のように、疾患の進行の程度ならびに患者の年齢及び体重に依存する。
【0083】
したがって、経口投与のための本発明による組成物は、0.01mgから700mgの推奨用量を含有する。
【実施例】
【0084】
限定することなく与えられる次の実施例は、本発明を説明するものである。
【0085】
調製
調製I及びII
6−(メトキシメチル)−N−メチルニコチンアミド及び6−(メトキシメチル)−N,N−ジメチルニコチンアミドの合成
ジメチルホルムアミド 90ml中の6−(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド[Bull.Chem.Soc.Jpn.;(1988),61(8),2837−2846に記載されている。]の3.21g(21.10mmol)の溶液を、0℃にて、ジメチルホルムアミド 23ml中の油中分散液として65%の水素化ナトリウム 1.56g(42.19mmol)に滴下添加し、その液を0℃にて0.5時間撹拌する。次に、同じ温度で、ジメチルホルムアミド 7ml中のヨウ化メチル 2.63ml(42.19mmol)を滴下添加する。添加が終了したら、温度を室温に戻し、その液を2時間撹拌する。
【0086】
反応液を水及び酢酸エチル上に注ぐ。
【0087】
有機相をデカンテーションにより分離し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。
【0088】
この2つの所望する生成物を含有する混合物を回収し、シリカゲル上ジクロロメタンとメタノールとの混合液(95−5及び、次に9−1)で溶出するクロマトグラフィーにより分離する。
【0089】
この2つの分画を回収し、次に蒸発させる。
【0090】
A)第1の分画:調製I
6−(メトキシメチル)−N,N−ジメチルニコチンアミド
黄色の油状物質 1.27gを得る。
【0091】
収率:31%
マススペクトロメトリー(ES+mode)MH+=195.3。
【0092】
B)第2の分画:調製II
6−(メトキシメチル)−N−メチルニコチンアミド
黄色の油状物質 1.06gを得る。
【0093】
収率:28%
マススペクトロメトリー(ES+mode)MH+=181.2。
【0094】
調製III
[1−メトキシ−N,N,2−トリメチルインドリジン−6−イル]カルボキサミドの合成
クロロアセトン 501μl(6.29mmol)を、アセトニトリル 10mL中の臭化リチウム547mg(6.29mmol)の溶液に添加し、その液を室温にて15分間撹拌し、次に、アセトニトリル 10ml中で溶解させた調製Iで得た6−(メトキシメチル)−N,N−ジメチルニコチンアミド 0.94g(4.84mmol)を添加し、その液を還流下で24時間加熱する。
【0095】
その反応液を乾燥するまで蒸発させる。その残渣を水 20mlに溶解し、エチルエーテルで洗浄する。
【0096】
デカンテーション後、水相を回収し、炭酸カリウム1.34g(9.71mmol)を添加し、その液を80℃にて2時間加熱する。酢酸エチルを添加し、その液をデカンテーションにより分離し、有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。
【0097】
その残渣をシリカゲル上ジクロロメタンとメタノールとの混合液(95−5)で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。
【0098】
蒸発後、黄色の固体 960mgを回収する。
【0099】
収率:67%
融点:112.5℃。
【0100】
調製IV
[1−メトキシ−N,2−ジメチルインドリジン−6−イル]カルボキサミドの合成
Tschitschibabin反応を用いて、調製IIで得た6−(メトキシメチル)−N−メチルニコチンアミド 710mg及びクロロアセトンで開始して、調製物IIIの化合物に対するものと同様の手段に従い、この化合物を得る。黄色の固体 1.03gを得る。
【0101】
収率:84%
融点:127℃。
【0102】
調製V
メチル[8−(ベンジルオキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレートの合成
Tschitschibabin反応を用いて、メチル2−[3−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]アセテート[J.Med.Chem.;(1996),39(19),3636−3658による。]25.82g及びクロロアセトンで開始して、調製物IIIの化合物に対するものと同様の手段に従い、この化合物を得る。
【0103】
黄色の固体 19.11gを得る。
【0104】
収率:65%
マススペクトロメトリー(ES+mode)MH+=296。
【0105】
調製物VI
メチル[6−(ベンジルオキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレートの合成
Tschitschibabin反応を用いて、メチル2−[5−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]アセテート[Bull.Pol.Acad.Sci.Chem.;(1990),38(1−12),17−27による。]19g及びクロロアセトンで開始して、調製IIIの化合物に対するものと同様の手段に従い、この化合物を得る。橙色の固体 15.01gを得る。
【0106】
収率:69%
融点:143℃。
【0107】
調製VII
[N,2−ジメチルインドリジン−6−イル]カルボキサミドの合成
Tschitschibabin反応を用いて、6−メチル−N−メチルニコチンアミド[J.Org Chem.;(1959),24,1189−1191に記載。]5.4g及びクロロアセトンで開始して、塩基としてジブチルアミンを用いて、調製物IIIの化合物に対するものと同様の手段に従い、この化合物を得る。黄色の固体 2.04gを得る。
【0108】
収率:32%
マススペクトロメトリー(ES+mode)MH+=189.4。
【0109】
調製VIII
tert−ブチル[2−メチルインドリジン−6−イル]カルバメートの合成
Tschitschibabin反応を用いて、tert−ブチル(6−メチルピリジン−3−イル)カルバメート[J.Med.Chem.;(2000),43,5017−5029に記載。]5.79g及びクロロアセトンで開始して、調製IIIの化合物に対するものと同様の手段に従い、この化合物を得る。糊状の残渣1.96gを得る。
【0110】
収率:31%
マススペクトロメトリー(ES+mode)MH+=247.1。
【0111】
調製IX
メチル[1−メトキシ−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボキシレートの合成
段階A
メチル6−(メトキシメチル)ニコチネート
メタノール60mlに溶解させたメチル6−(ブロモメチル)ニコチネート[J.Med.Chem.;(2002),45(23),5005−5022に記載。]5.1g(0.022mol)を、室温にて、メタノール40mlにナトリウム 1g(0.044atom/g)を添加することにより得られたナトリウムメトキシドの溶液に添加しする。次に、その反応液を還流下で2時間加熱する。この反応液を真空下で濃縮し、残渣を硫酸水素カリウム水溶液及びジクロロメタンに溶解する。有機相をデカンテーションにより分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させる。黄色の固体 3.4gを得る。
【0112】
収率:85%
融点:33℃。
【0113】
段階B
アセトン 10ml中の臭化リチウム 1.5g(0.0174mol)に、クロロアセトン 1.46ml(0.0174mol)を添加し、その液を室温にて15分間撹拌し、次に、メチル6−(メトキシメチル)ニコチネート 1.5g(0.00828mol)を添加し、その液を還流下で一晩加熱する。臭化リチウム 1.5g(0.0174mol)及びクロロアセトン1.46ml(0.0174mol)をその反応液に添加し、その液を還流下で5時間維持する。この液を乾燥するまで蒸発させ、得られた残渣をジクロロメタン−メタノール(9−1)混合液に溶解する。得られた不溶性物質を濾過し、次にトリエチルアミン 4.62ml(0.033mol)をその濾過液に添加し、その液を室温にて1時間撹拌する。その反応液を濃縮する。得られた残渣をトルエンに溶解し、シリカベッドでの濾過によりその生成物を精製し、トルエンで溶出する。蒸発後、黄色の固体 450mgを得る。
【0114】
収率:25%
融点:51℃。
【0115】
実施例
(実施例1及び2)
メチル[8−(ベンジルオキシ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート(実施例1)及び
メチル[8−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート(実施例2)
3−メトキシ−4−ニトロベンゾイルクロリド 18.1g(0.0841mol)を、1,2−ジクロロメタン 100ml中に溶解させたメチル[8−(ベンジルオキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 19.1g(0.0647mol)に添加し、その液を室温にて60時間撹拌する。
【0116】
その反応液を乾燥するまで蒸発させる。2種類の生成物の混合物を回収し、シリカゲル上トルエン−酢酸エチル混合液(9−1)で溶出するクロマトグラフィーにより分離する。この分離の後、溶離剤としてジクロロメタンとメタノールとの混合液(9−1)を使用して、薄層クロマトグラフィー(TLC)にかける。
【0117】
次に2個の分画それぞれを蒸発させる。
【0118】
A)第1の分画
メチル[8−(ベンジルオキシ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリイジン−1−イル]−カルボキシレート
橙色の固体 8.71gを得る。
【0119】
収率:28%
融点:125℃。
【0120】
B)第2の分画
メチル[8−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリイジン−1−イル]−カルボキシレート
橙色の固体 7.68gを得る。
【0121】
収率:31%
融点:150℃。
【0122】
(実施例3から実施例17)
上述の調製による手段を遂行して、適切に置換された塩化ベンゾイルで1−、2−、6−7−及び8−位置で様々に置換されているインドリジンの3−位置のベンゾイル化により、下記の表1で述べる式Iの化合物を合成する。
【0123】
【表1】

【0124】
(実施例18)
[1−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボキサミド
段階A
[1−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボン酸
1N 水酸化ナトリウム 1.21ml(0.00121mol)を、メタノール 10ml中のメチル[1−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−6−イル]−カルボキシレート(実施例10において得られる。)440mg(0.0011mol)に添加し、その液を室温にて一晩撹拌する。その反応液を真空下で濃縮し、その残渣を水及び酢酸エチルに溶解させる。その水相をデカンテーションにより分離し、次に、1N 塩酸 1.21mlで酸性化する。形成される沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。橙色の固体 280mgを得る。
【0125】
収率:66%
融点:287℃。
【0126】
段階B
トリエチルアミン 104μl(0.74mmol)、次にベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)330mg(0.74mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド 5ml中の[1−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボン酸 260mg(0.66mmol)に添加し、この液を室温にて1時間撹拌する。テトラヒドロフラン中のアンモニアの3N溶液 0.9ml(2.71mmol)をこの反応液に添加し、この液を室温にて一晩撹拌し続ける。水及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液を添加する。この液を数回、酢酸エチルで抽出する。デカンテーションにより有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮する。得られた固形の残渣をイソプロピルエーテルに溶解し、濾過し、イソプロピルエーテルで洗浄し、次いで乾燥させる。赤色の固体 210mgが得られる。
【0127】
収率:81%
融点:244℃。
【0128】
(実施例19)
メチル[8−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート
アセトン 10ml中の実施例2で得られたメチル[8−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 705mg(1.84mmol)の炭酸カリウム 330mg(2.39mmol)との混合物に、硫酸ジメチル 0.19ml(2.02mmol)を添加し、その液を60℃にて6時間加熱する。
【0129】
この液を蒸発させる。得られた油状物質を酢酸エチル及び水に溶解する。
【0130】
デカンテーションにより有機相を分離し、水、次に塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた固体をイソプロピルエーテルに溶解し、濾過し、イソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥させる。黄色の固体 649mgを回収する。
【0131】
収率:88%
融点:73℃。
【0132】
(実施例20及び21)
上述の調製に従う手段を遂行して、適切なハロゲン化アルキルで様々に置換されたインドリジンの8−位置でのヒドロキシルのO−アルキル化を行うことにより、下記表IIに記載の式Iiの化合物を合成する。
【0133】
【表2】

【0134】
(実施例22)
(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]−メタノン
段階A
(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)(2−メチルインドリジン−3−イル)メタノン
この化合物は、実施例1で述べられている調製に従う手段を遂行して、3−メトキシ−4−ニトロベンゾイルクロリドで2−メチルインドリジンをベンゾイル化(Pharmazie;(1980),vol35(4),pp.203−204に記載。)することにより得られる。橙色の固体 6.52gを得る。
【0135】
収率:92%
融点:161℃。
【0136】
段階B
(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)(1−ブロモ−2−メチルインドリジン−3−イル)メタノン
反応液を室温に維持しながら、ジオキサン 56ml中の上記段階Aで得られた(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)(2−メチルインドリジン−3−イル)メタノン 5.47g(17.63mmol)に、ジオキサン 35ml中の臭素 993μl(19.39mmol)の溶液を滴下添加する。添加が終了したら、その液を同じ温度でさらに1時間撹拌する。
【0137】
その反応液を重炭酸ナトリウム飽和水溶液の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。デカンテーションにより有機相を分離し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。
【0138】
その残渣をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルのベッドでの濾過によりその生成物を精製する。
【0139】
蒸発後、黄色の固体 6.75gを回収する。
【0140】
収率:98%
融点:166℃。
【0141】
段階C
(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]−メタノン
アルゴン雰囲気下、1N 炭酸ナトリウム水溶液 3mlの存在下で、ジメトキシエタン 4.3ml中の先行する段階Bで得られた(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)(1−ブロモ−2−メチルインドリジン−3−イル)メタノン 500mg(1.28mmol)に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 59.4mg(0.05mmol)を添加し、次いで、4−メトキシフェニルボロン酸 238mg(1.57mmol)を添加し、その液を還流下で2時間加熱する。
【0142】
その反応液を水の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相をデカンテーションにより分離し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。
【0143】
その生成物をシリカゲル上トルエンと酢酸エチルとの混合液(92−8)により溶出するクロマトグラフィーにより精製する。
【0144】
蒸発後、橙色の固体 500mgを回収する。
【0145】
収率:93.5%
融点:169℃。
【0146】
(実施例23から実施例29)
上述の調製(実施例22、段階B)に従う手段を遂行して、式Iの化合物(R=H)を臭素で臭素化することにより、下記表IIIに記載の式Ikの化合物を合成する。
【0147】
【表3】

【0148】
(実施例30から実施例46)
実施例22、段階Cに記載の調製に従う手段を遂行して、得るべき化合物により実験条件(触媒、リガンド、塩基)を変化させながら、臭素化した一般式Ikの化合物の、フェニルボロン酸誘導体又はヘテロアリールボロン酸誘導体とのSuzuki型カップリングを行うことにより、下記表IVに記載の式Ilの化合物を合成する。
【0149】
【表4】

【0150】
(実施例47)
ベンジル[7−{N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ}−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート
段階A
4−[N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[2−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−ピリジニウムブロミド
アセトニトリル 10ml及びアセトン 20ml中の懸濁液中の4−[N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ピリジン[Tetrahedron;(2001),vol57(43),pp9033−9044に記載。]2.07g(10.6mmol)に、2−ブロモ−1−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1−エタノン[Bull.Soc.Chim.Fr.,(1962),pp2255−2261に記載。]2.90g(10.6mmol)を分割添加する。室温にて撹拌することによりその反応液が均一になり、次いで、沈殿が生じる。その液を室温にて1時間撹拌する。形成された沈殿物を濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥させる。白色の粉末 4.6gを得る。
【0151】
収率:93%
融点:224℃。
【0152】
段階B
ジメチルホルムアミド 40ml中の4−[N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[2−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]ピリジニウムブロミド 5.0g(10.67mmol)の溶液に、ベンジルクロトネート 9.4g(53.38mmol)、トリエチルアミン 1.8ml(12.8mmol)及び酸化マンガン 3.7g(42.68mmol)を連続的に添加する。次に、90℃にて4時間、この反応混合物を加熱し、次にシリカベッドで濾過し、酢酸エチルで溶出する。濾過液を水の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。デカンテーション後、有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に減圧下で濃縮する。その生成物をシリカゲル上トルエン/酢酸エチル(95/5から70/30)混合液で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。橙色の粉末 2.6gを得る。
【0153】
収率:44%
融点:95℃。
【0154】
(実施例48)
ベンジル[7−{N−(エトキシカルボニル)アミノ}−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチル−インドリジン−1−イル]カルボキシレート
段階A
4−[N−(エトキシカルボニル)アミノ]−1−[2−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]−ピリジニウムブロミド
実施例47、段階Aに記載のものと同様の方法に従い、ジクロロメタン中の2−ブロモ−1−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1−エタノンを用いてエチル4−ピリジニル−カルバメート 1.21g(7.33mmol)の四級化を行うことにより[J.Chem.Soc.;(1962),2379−2381に記載。]、この化合物を調製する。白色の沈殿物 3.24gを得る。
【0155】
収率:100%
マススペクトロメトリー(ES+mode)MH=360.3。
【0156】
段階B
実施例47、段階Bに記載したものと同様の方法に従い、酸化剤として酸化マンガン存在下で、ベンジルクロトネートとともに、4−[N−(エトキシカルボニル)アミノ]−1−[2−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2−オキソエチル]ピリジニウムブロミド 1.8g(4.1mmol)から、この化合物を調製する。黄色の粉末 573mgを得る。
【0157】
収率:26%
融点:182℃。
【0158】
(実施例49)
ベンジル[7−アミノ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート
ジクロロメタン40ml中の溶液中のベンジル[7−N−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 8.34g(14.9mmol)に、トリフルオロ酢酸 26mlを添加する。その溶液を室温にて2時間撹拌し、その反応液を重炭酸ナトリウム飽和水溶液の上に注ぐ。得られた黄味がかった赤色の固体を濾過し、水で十分に洗浄し、乾燥させる。その生成物をシリカに吸着させ、シリカゲル上ジクロロメタン−メタノール(97−3)で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。赤色の固体 6.3gを得る。
【0159】
収率:92%
融点:260℃から274℃(分解)。
【0160】
(実施例50)
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[6−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]メタノン
tert−ブチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−(4−メトキシ−フェニル)−2−メチルインドリジン−6−イル]カルバメートをトリフルオロ酢酸でブロック解除することにより、実施例49に記載したものと同様の方法に従い、この化合物を調製する。黄色の固体 317mgを得る。
【0161】
収率:定量的
融点:182℃。
【0162】
(実施例51)
ベンジル[7−(アセチルアミノ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート
無水酢酸 10ml中のベンジル[7−アミノ−3−(3−メトキシ−4−ニトロ−ベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 1.5g(3.26mmol)の懸濁液を100℃にて15分間加熱する。
【0163】
混合物が均一になる。その反応混合物を冷却し、次に形成された沈殿物を濾過する。
【0164】
得られた固体をジクロロメタン及びイソプロピルエーテルで洗浄し、次に、シリカに吸着させ、シリカゲル上トルエンと酢酸エチルとの混合液(100/0から50/50)で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。
【0165】
橙色の固体 994mgを得る。
【0166】
収率:61%
融点:227℃。
【0167】
(実施例52)
ベンジル[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチル−7−[(メチルスルホニル)アミノ)]−インドリジン−1−イル]カルボキシレート
ピリジン 15ml中のベンジル[7−アミノ−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 1.22g(2.66mmol)に、塩化メシル 410μl(5.32mmol)を添加する。その反応混合物を70℃にて2.5時間加熱し、次に室温に冷却し、減圧下で濃縮する。
【0168】
得られた残渣をジクロロメタンに溶解し、塩酸のモル溶液で洗浄する。
【0169】
デカンテーション後、有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。
【0170】
その生成物をシリカに吸着させ、シリカゲル上ジクロロメタンとメタノールとの混合液(9/1)で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。褐色の粉末 348mgを得る。
【0171】
収率:24%
融点:221℃。
【0172】
(実施例53)
ベンジル[7−[(N−tert−ブトキシカルボニル)(N−メチル)アミノ]−3−(3−メトキシ−4−ニトロ−ベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート
テトラヒドロフラン10ml中のベンジル[7−[(N−tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート 1.33g(2.34mmol)に、室温の水素化ナトリウム 154mg(3.54mmol)(油中分散液として60%)を分割添加する。
【0173】
15分後、ヨウ化メチル 220μl(3.54mmol)をその溶液に添加する。その反応混合物を40℃にて2時間撹拌し、次に冷却し、塩酸のモル溶液に注ぎ、次いで、酢酸エチルで抽出する。
【0174】
有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。その生成物をシリカに吸着させ、シリカゲル上ジクロロメタン/メタノール(9/1)で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。橙色の固体 505mgを得る。
【0175】
収率:64%
融点:117℃。
【0176】
(実施例54)
ベンジル[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチル−7−(メチルアミノ)インドリジン−1−イル]−カルボキシレート
ベンジル[7−[(N−tert−ブトキシカルボニル)(N−メチル)アミノ]−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 849mg(1.48mmol)のアミノ官能基をトリフルオロ酢酸で脱保護化することにより、実施例49の化合物と同様の方法に従い、この化合物を調製する。橙色の粉末 549mgを得る。
【0177】
収率:78%
融点:228℃。
【0178】
(実施例55)
ベンジル[7−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート
ジメチルホルムアミド 10mlの溶液中のベンジル[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチル−7−メチルアミノインドリジン−1−イル]カルボキシレート 525mg(1.11mmol)に、室温の水素化ナトリウム 80mg(1.67mmol)(油中分散液として60%)を分割添加する。10分後、ヨウ化メチル 138μl(2.22mmol)をその溶液に添加する。その液を40℃にて2時間撹拌し、塩酸のモル溶液に注ぎ、次に、酢酸エチルで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた固体をジクロロメタンで溶解し、濾過する。淡橙色の固体 439mgを得る。
【0179】
収率:81%
融点:167℃。
【0180】
(実施例56)
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]−メタノン
エタノール 9ml中の、実施例22の化合物、(3−メトキシ−4−ニトロ−フェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]メタノン 460mg(1.1mmol)に、10% Pd/C 92mgを添加し、次いで、シクロヘキサン 1.12ml(10.05mmol)を添加し、その液を還流下で4時間加熱する。その反応液を冷却し、タルクで濾過し、触媒をジクロロメタンで洗浄する。濾過液を減圧下で濃縮する。その生成物をシリカゲル上トルエンと酢酸エチルとの混合液(9−1及び次に8−2)で溶出するクロマトグラフィーにより精製する。
【0181】
黄色の粉末 400mgを得る。
【0182】
ジオキサン中で既に得られたその粉末を溶解し、次に、エチルエーテル中の1N塩酸 1.18ml(1.2等量)を添加することにより、その粉末を塩化する。エチルエーテル添加後、得られた沈殿を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。塩酸塩の形態で黄色の粉末 400mgを回収する。
【0183】
収率:94%
融点:222.5℃。
【0184】
(実施例57から実施例66)
上述の調製に従う手段を遂行して、触媒として10% Pd/C存在下でシクロヘキサンを用いて式Iaの化合物のニトロ官能基を還元することにより、下記表Vに記載の化合物を合成する。
【0185】
【表5】

【0186】
(実施例67)
メチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(ベンジルオキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート
水 4mlとエタノール 8mlとの混合液中の溶液中のメチル[6−(ベンジルオキシ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 441mg(0.93mmol)に、酢酸 0.4ml及び鉄 200mgを添加する。
【0187】
その液を70℃にて3時間加熱し、次に、室温に戻し、その後、水の上にその反応液を注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。
【0188】
有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に減圧下で濃縮する。黄色の固体 410mgを塩酸塩の形態に塩化する。
【0189】
黄色の固体(塩酸塩)を得る。
【0190】
収率:80%
融点:204℃。
【0191】
(実施例68及び実施例69)
上述の調製に従う手段を遂行して、式Iaの化合物のニトロ官能基をエタノール中の鉄及び酢酸を用いて還元することにより、下記表VIに記載の化合物を合成する。
【0192】
【表6】

【0193】
(実施例70)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−6−イル]−カルボキサミド
メタノール15ml及びジクロロメタン 13ml中の[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−インドリジン−6−イル]カルボキサミド 880mg(1.92mmol)に、メタノール4ml中の懸濁液中の10% Pd/C 184mgを最初に全て添加し、次いで、ヒドラジン水和物 470μl(9.60mmol)を添加し、その液を室温にて一晩撹拌する。その反応液をタルクで濾過し、触媒をメタノールで洗浄する。
【0194】
濾過液を減圧下で濃縮する。シリカカラム上ジクロロメタン−メタノール(98−2)及び、次に(95−5)混合液で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製する。純粋な分画を減圧下で濃縮し、黄色の粉末 610mgを回収する。
【0195】
エチルエーテル中の1N塩酸を添加することにより、その生成物を塩化する。エチルエーテルを添加した後、得られた沈殿物を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、次に乾燥させる。塩酸水和物(1.35 HO)の形態で黄色の固体を回収する。
【0196】
収率:74%
融点:213℃。
【0197】
(実施例71から実施例77)
実施例70に記載の調製に従う手段を遂行して、触媒として10% Pd/C存在下でヒドラジン水和物を用いて式Iaの化合物のニトロ官能基を還元することにより、下記表VIIに記載の化合物を合成する。
【0198】
【表7】

【0199】
(実施例78)
メチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−ヒドロキシ−2−メチルインドリイジン−1−イル]−カルボキシレート
ジメチルホルムアミド 30ml及びテトラヒドロフラン 30ml中の懸濁液中のメチル[6−(ベンジルオキシ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 1.0g(2.17mmol)に、Pd/C(10%) 100mgを添加する。その反応混合液を水素 10barで48時間撹拌する。
【0200】
限外濾過を行い(MilliporeTMフィルター 5μM)、触媒をジメチルホルムアミドで洗浄する。
【0201】
濾過液を減圧下で濃縮し、黄色の固体 780mgを得る。
【0202】
収率:91%
融点:184℃。
【0203】
(実施例79)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−ヒドロキシ−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸
実施例97の化合物の加圧下での接触水素化によりに、ヒドロキシル官能基をジベンジル化し、ニトロ官能基を還元することにより、上記実施例78の化合物と同様の方法に従い、この化合物を得る。
【0204】
黄色の固体を得て、それをナトリウム塩の形態に塩化する。
【0205】
黄色の固体を得る(Na塩、1.5 HO)。
【0206】
収率:70%
融点:214℃。
【0207】
(実施例80)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−8−{2−(ジメチルアミノ)エトキシ}−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸
実施例98の化合物の加圧下での接触水素化により、ニトロ官能基を還元することによって、上記実施例78の化合物と同様の方法に従い、この化合物を得る。
【0208】
黄色の固体を得て、それをリチウム塩水和物(2.3HO)の形態に塩化する。
【0209】
収率:76%
融点:178℃。
【0210】
(実施例81)
メチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−メトキシ−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート
アセトン 20ml中の懸濁液中のメチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−ヒドロキシ−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 460mg(1.29mmol)に、炭酸セシウム 503mg(1.54mmol)及び硫酸ジメチル 123μl(1.29mmol)を添加する。
【0211】
その反応混合物を室温にて30分間撹拌し、次に、水の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。
【0212】
有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に減圧下で濃縮する。
【0213】
シリカゲル上ジクロロメタンとメタノールとの混合液(100/0から98/2)で溶出するクロマトグラフィーによりこの生成物を精製する。
【0214】
黄色の固体 470mgを得る。
【0215】
収率:98%
融点:95℃。
【0216】
(実施例82)
メチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート
上記の実施例で述べた調製に従う手段を行うことで、メチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−ヒドロキシ−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレートをブロモ酢酸エチルでアルキル化することにより、この化合物を得る。黄色の粉末を得る。
【0217】
収率:84%
融点:192℃。
【0218】
(実施例83)
[7−(アセチルアミノ)−3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボン酸
ジメチルホルムアミド 9ml中の懸濁液中のベンジル[7−(アセチルアミノ)−3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 855mg(1.76mmol)に、Pd/C(10%) 450mgを添加する。
【0219】
その反応混合液を水素 10barで、5時間撹拌する。
【0220】
その液をシリカベッドで濾過し、ジクロロメタンとメタノールとの混合液(9−1)で溶出し、次に、その濾過液を濃縮し、黄色の固体を得て、エタノールに溶解し、次に濾過して乾燥させる。
【0221】
黄色の粉末 561mgを得て、それをメタノール 6mlに懸濁し、次に、1N 水酸化ナトリウム 1.40ml(1等量)を添加する。
【0222】
その溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体をアセトンで洗浄する。
【0223】
乾燥させた後、緑色の固体 596mgを得る(Na塩、3.7HO)。
【0224】
収率:84%
融点:288℃から291℃(分解)。
【0225】
(実施例84から実施例88)
上記に記載の手段に従う手段を遂行して、Rのベンジルエステルを加圧下で水素添加し、R又はRのニトロを還元することにより、下記表VIIIに記載の化合物を合成する。
【0226】
【表8】

【0227】
(実施例89)
2−{[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−(メトキシカルボニル)−2−メチル−インドリジン−6−イル]−オキシ}酢酸
ジオキサン 20ml中の溶液中のメチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−2−メチル−インドリジン−1−イル]オキシ}アセテート 600mg(1.36mmol)に、水酸化ナトリウムペレット 272mg(6.81mmol)を添加し、その液を還流下で1時間加熱する。その反応液を減圧下で濃縮する。その残渣を水に溶解し、得られた溶液を10% 硫酸水素カリウム水溶液でpH3から4に酸性化し、次に、酢酸エチルで抽出する。
【0228】
デカンテーションにより有機相を分離し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。
【0229】
次に、得られた黄色の固体 398mgをナトリウム塩の形態に塩化する。黄色の固体を得る(Na塩、1.5 HO)。
【0230】
収率:68%
融点:182℃。
【0231】
(実施例90)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−メトキシ−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボン酸
メタノール−ジオキサン(1−1)20mlの混合液中のメチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−メトキシ−2−メチルインドリジン−6−イル]−カルボキシレート 225mg(0.61mmol)に、1N 水酸化トリウム 2.01ml(2.01mmol)を添加し、その液を50℃にて6時間加熱する。
【0232】
その反応液を真空下で濃縮し、残渣を水及び酢酸エチルに溶解する。デカンテーションにより水相を分離し、酢酸エチルで洗浄し、次に1N 塩酸 2mlで酸性化する。
【0233】
形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。
【0234】
次に、得られた橙色の固体 189mgをナトリウム塩の形態で塩化する。
【0235】
橙色の固体(Na塩)を得る。
【0236】
収率:87%
融点:290℃。
【0237】
(実施例91)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(ベンジルオキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸
ジオキサン 30ml及びメタノール 10ml中の溶液中のメチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(ベンジルオキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボキシレート 800mg(1.79mmol)に、水酸化ナトリウムペレット 358mg(8.95mmol)を添加し、その液を還流下で16時間加熱する。
【0238】
その反応液を減圧下で濃縮する。その残渣を水に溶解し、得られた溶液を10% 硫酸水素カリウム水溶液でpH5に酸性化する。
【0239】
形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、次に乾燥させる。次いで、得られた黄色の固体 760mgをナトリウム塩の形態に塩化する。黄色の固体を得る(Na塩)。
【0240】
収率:98%
融点:258℃。
【0241】
(実施例92及び実施例93)
上記に記載の調製に従う手段を遂行して、式Ibの化合物の置換基Rに含有されるエステル官能基を水酸化ナトリウムを用いて鹸化することにより、下記表IXに記載の式Ijの化合物を合成する。
【0242】
【表9】

【0243】
(実施例94)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(カルボメトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボン酸
ジオキサン 40ml及びメタノール 20ml中の溶液中のメチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 800mg(1.81mmol)に、水酸化ナトリウムペレット 1.81g(45.40mmol)を添加し、その液を還流下で72時間加熱する。その反応液を冷却し、10% 硫酸水素カリウム水溶液でpH5に酸性化する。
【0244】
形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、次に乾燥させる。得られた黄色の固体 390mgをナトリウム塩の形態に塩化する。黄色の固体を得る(ジNa塩、4HO)。
【0245】
収率:54%
融点:273℃。
【0246】
(実施例95)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−8−(カルボメトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]−カルボン酸
上記の実施例94で述べた調製に従う手段を行うことで、化合物メチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−8−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレートの2つのエステル官能基を水酸化ナトリウムで鹸化することにより、この化合物を得る。
【0247】
鹸化後に、黄色の粉末を得る(ジNa塩、3HO)。
【0248】
収率:45%
融点:268℃。
【0249】
(実施例96)
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(メトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸
ジオキサン 12mlに溶解させたメチル[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−(メトキシ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボキシレート 420mg(1.14mmol)に、水酸化リチウム 48mg(11.4mmol)を添加する。
【0250】
この反応混合液を70℃にて13時間加熱し、次に室温に冷却し、水の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。10% 硫酸水素ナトリウム水溶液を添加することによりこの水溶液をpH5に酸性化する。この液を酢酸エチルで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に、減圧下で濃縮する。次に、黄色の固体 232mgをナトリウム塩、1.5HOの形態に塩化する。
【0251】
収率:80%
融点:242℃。
【0252】
(実施例97及び実施例98)
上記に記載の手段に従う手段を遂行して、式Iaの化合物の置換基Rに含有されるエステル官能基を水酸化ナトリウムを用いて鹸化することにより、下記表Xに記載の式Ijの化合物を合成する。
【0253】
【表10】

【0254】
(実施例99)
2−アミノ−5−({1−メトキシ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]インドリジン−3−イル}−カルボニル)安息香酸
ジオキサン 12ml中の溶液中のメチル5−({1−メトキシ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]インドリジン−3−イル}カルボニル)−2−[2,2,2−トリフルオロアセチル)アミノ]ベンゾエート 710mg(1.44mmol)に、1N 水酸化ナトリウム溶液 3.03mlを添加する。この反応液を60℃にて16時間加熱し、次に、室温に戻し、減圧下で濃縮する。この残渣を水に溶解し、エチルエーテルで洗浄する。デカンテーション後、水相を塩酸のモル溶液で酸性化し、酢酸エチルで抽出する。デカンテーションにより有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。次に、黄色の固体 400mgをナトリウム塩2水和物(2HO)の形態に塩化する。
【0255】
収率:73%
融点:311℃。
【0256】
(実施例100及び実施例101)
上記に記載の手段に従う手段を遂行して、水酸化ナトリウムを用いて、式Icの化合物の置換基R及び/又はRに含有されるエステル官能基を塩基性加水分解し、アミノ官能基を脱保護することにより、下記表XIに記載の式Ieの化合物を合成する。
【0257】
【表11】

【0258】
(実施例102)
2−アミノ−5−{[2−メチル−1−(2−チエニル)インドリジン−3−イル]−カルボニル}安息香酸
ジオキサン−メタノール(1−1) 16mlの混合液中のメチル2−アミノ−5−{[2−メチル−1−(2−チエニル)インドリジン−3−イル]カルボニル}ベンゾエート 0.29g(0.74mmol)に、1N 水酸化ナトリウム溶液 2.34ml(2.34mmol)を添加し、この液を70℃にて6時間加熱する。この反応液を乾燥するまで蒸発させる。残渣を1N 塩酸に溶解し、酢酸エチルで抽出する。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させる。シリカゲル上ジクロロメタン−メタノール(98−2)混合液で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによりこの生成物を精製する。次に、得られた黄色の固体 280mgをナトリウム塩の形態、1.25HO、に塩化する。
【0259】
収率:定量的
融点:294℃。
【0260】
(実施例103から実施例109)
上記に記載のプロトコールに従う手段を遂行して、1N 水酸化ナトリウムを用いて、式Ibの化合物の置換基R又はRに含有されるエステル官能基を鹸化し、場合によっては、置換基Rのエステル官能基を鹸化することによって、下記表XIIに記載の式Ie化合物を合成する。
【0261】
【表12】

【0262】
(実施例110)
2−アミノ−5−[(1−メトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]ベンズアミド
ジメチルホルムアミド 8ml中のナトリウム2−アミノ−5−[(1−メトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]ベンゾエート 500mg(14.4mmol)に、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP) 702.4mg(15.9mmol)を添加し、その液を室温にて1時間撹拌し、次にアンモニウム気流を反応液に5分間、泡立てて通気し、その液を室温にて一晩撹拌し続ける。
【0263】
水を添加し、その液を酢酸エチルで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上ジクロロメタンとメタノールとの混合液(99−1及び次に98−2)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによりその生成物を精製する。
【0264】
蒸発後、生成物をエチルエーテルから結晶化する。黄色の粉末 310mgを得る。
【0265】
収率:67%
融点:156℃。
【0266】
(実施例111)
2−アミノ−N−ヒドロキシ−5−[(1−メトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]ベンズアミド
上記の実施例110に記載の調製に従う手段を行うことで、BOPによる活性化後に化合物ナトリウム2−アミノ−5−[(1−メトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]ベンゾエートの酸性官能基にヒドロキシルアミンをカップリングさせることにより、この化合物を得る。
【0267】
黄色の粉末を得る。
【0268】
収率:71%
融点:205℃。
【0269】
(実施例112)
近接シンチレーション法による精製受容体FGFRαIIIcに対する125I−b−FGFの結合実験
ウェル当たり0.1%ゼラチン 100μlを用いて、NBSプレート(NBSプレート96ウェルソリッド白色 CORNING3600)を、37℃で2時間コーティングする。インキュベーション終了時に、コーティングを除去してプレートをリンスし、完全に乾燥させる。結合緩衝液(40mM Bis Tris緩衝液、pH7.0)100μlをプレートに分配する。
【0270】
本発明の化合物の希釈物を、10μl/ウェルの量でウェルに分配する。次いで、そこにb−FGF(AMERSHAM ARM35050)10μl/ウェル及びFGFRαIIIc(R&D Systems 658 FR)10μl/ウェルを分配する。次に、125I−b−FGF(Dupont NEN NEX268−特異的活性>70μCi)10μl/ウェル及びSPAビーズ(AMERSHAM RPQN 00019)50μl/ウェルを添加する。プレートを数秒間振盪し、光が当たらないようにして37℃で60分間インキュベーションする。
【0271】
インキュベーション終了時に、MIBROBETA TRILUX放射能カウンター(WALLAC−PERKINELMER)でプレートを読む。
【0272】
本発明の化合物は、10−6Mから10−9Mの間の特異的活性を示した。
【0273】
(実施例113)
b−FGF 30ng/ml又はa−FGF 10ng/mlに対する、HUVECの増殖における式Iの化合物の効果
フィブロネクチン溶液(PBS中で50μg/mlに調製)200μl/ウェルを用いて24ウェルプレート(FALCON PRIMARIA)をコーティングする。
【0274】
RPMI 1640培地+10% FCS+1%グルタミン+ヘパリン−ECGF(HE)混合液中、30000細胞/ml/ウェルの量で播種する。
【0275】
37℃にて、5%COで、細胞が接着するために要する時間インキュベーションを行う。
【0276】
本生成物及び調製溶液を、1μMの最終濃度のDNSO/反応培地に最終10−7Mで溶解する。
【0277】
5%COの存在下、37℃にて6時間、細胞を接着させた後に、培地をRPMI 1640 0.1% FCS+グルタミン+HEで置き換える。
【0278】
誘導体化のために、ネガティブ対照として0.1% FCSを、ポジティブ対照として0% FCSを、対照として0.1% FCS+b−FGF 30ng/ml又はa−FGF 10ng/mlを用いる。次いで、5%COの存在下で37℃にて24時間、インキュベーションを行う。
【0279】
2日目に、細胞をPBS 1ml及びトリプシン 200μlでリンスし、次いでそれらをアイソトーン中で回収する。カウントを行う(n>9μm)。
【0280】
b−FGF又はa−FGFにより誘導される内皮細胞の増殖のこの試験において、本発明の化合物は、10−5Mと10−9Mとの間の特異的活性を示した。
【0281】
(実施例114)
インビトロでの血管形成モデル
各チャンバースライドウェル(Biocoat Cellware ラット尾コラーゲン、タイプI、8−ウェル培養スライド:Becton Dickinson 354630)に、コラーゲン(ラット尾コラーゲン、タイプI:Becton Dickinson 354236)中で1/6希釈したマトリゲル(増殖因子低減マトリゲル:Becton Dickinson 356230)160μlを分配することによりゲルを調製する。37℃にて1時間ゲル化させる。
【0282】
ヒト静脈内皮細胞(HUVEC ref:C−015−10C−cascade Biologics,INC)又はブタ動脈内皮細胞(PAEC)を、HUVECについてはEBM培地(Clonetics C3121)+2% FGS+hEGF 10μg/ml 400μl中、PAECについては、DMEM+3% FCS+2mM グルタミン+1mM ピルビン酸ナトリウム+1% 非必須アミノ酸(GIBCO)400μl中、15・10細胞/ウェルとなるように播種する。
【0283】
本発明の生成物の存在下又は非存在下において、b−FGF(TEBU/Peprotech)10ng/ml又はa−FGF(TEBU/Peprotech)10ng/mlで、37℃にて、5%COの存在下で、24時間刺激を行う。
【0284】
24時間後、細胞を固定し、そのスライドをマッソントリクロームで染色し、その後、4倍レンズの顕微鏡下で検査及び画像解析を行う(BIOCOM−Visiolab 2000ソフトウェア)。
【0285】
b−FGF又はa−FGFにより誘導されるインビトロでの血管形成試験に対して、本発明の化合物は、10−7Mと10−11Mとの間の特異的活性を示した。
【0286】
(実施例115)
マウスにおける炎症性血管形成モデル
血管形成は、関節リウマチ、IBDなどの慢性炎症性疾患の発生だけでなく、充実性腫瘍の発生にも必要である。新しい血管の形成により、病的組織の潅流だけでなく、疾患の慢性化を確立する一因となるサイトカインの輸送も起こるようになる。
【0287】
Colvill−Nash P.ら(D.JPET.,1995,Vol.274 No.3,pp.1463−1472)により記載されているモデルによって、血管形成の発生を調節することが可能な薬理作用のある物質の研究が可能となる。
【0288】
腹腔内注射によりペントバルビタールナトリウム(60mg/kg;Sanofi Nutrition Sante Animale)で動物(約25gの非血縁の白色マウス)を麻酔する。
【0289】
皮下に空気 3mlを注入することにより、マウスの背に空気嚢を作る。
【0290】
覚醒後、動物に対して、通常、強制給餌投与により処置を行い、0.1%クロトン油(Sigma)が入ったフロイントアジュバント(Sigma) 0.5mLを嚢中に注入する。
【0291】
7日後に、マウスに再び麻酔をかけ、40℃の加熱プレート上に置く。カルミンレッド(10% ゼラチン中に5%−Aldrich Chemicals)1mlを尾静脈内に注射する。次に、動物を4℃に2時間から3時間置く。
【0292】
次いで、皮膚を除去し、56℃のオーブンで48時間乾燥させる。乾燥組織を秤量し、消化緩衝液(2mM ジチオスレイトール、2mM NaHPO、1mM EDTA、12U/ml パパイン)1.8ml中に24時間置く。
【0293】
次に、5M NaOH 0.2ml中に染色物を溶解させる。2000gで10分間、皮膚を遠心分離する。0.2μmのセルロースアセテート膜で上清を濾過する。分光光度計で、一連のカルミンレッド較正試料に対して、492nmで濾過液の読み取りを行う。
【0294】
肉芽腫の乾燥重量及びその組織消化後の染色量の2つのパラメータを測定する。
【0295】
結果は、平均値(±SEM)として表す。群間の差は、ANOVAと、それに続く、参照群が「溶媒対象」群であるDunnet検定を用いて検定する。
【0296】
本発明の化合物は、経口経路により、0.1mg/kgから100mg/kgの用量で活性を示す。
【0297】
(実施例116)
マウスにおけるMATRIGEL血管形成モデル
Passanitiら、(Laboratory Investigation(1992)67(4)pp.519−524)により記載されているモデルにより、b−FGFで特異的に誘導される血管形成の出現を調節することができる薬理作用物質の研究が可能となる。4℃で液体の形態に保たれているマトリゲル(Beckton Dickinson)に、300ng/mlの量でFGF2(Peprotech)を添加する。均質化後、予め腹膜内経路によりペントバルビタールナトリウム(60mg/kg;Sanofi Nutrition Sante Animale)で麻酔をかけた約20gの雌の黒色マウス(C57/B16)の背中下部に、その混合物(0.5ml)を皮下注射する。動物を強制給餌により処理する。5日後、マウスに再び麻酔をかけ、背中下部の皮膚を除去する;この段階で、肉芽腫の血管形成における質的な違いを評価し(獲得スコア)、肉芽腫を撮影する。次に、その細胞充実度を定量するために、肉芽腫中のDNAのアッセイを行う。そのために、37℃において一晩、分離した肉芽腫をコラゲナーゼ(3mg/ml)を用いて消化する。850gで10分間遠心分離を行った後、上清を捨て、1mM CaCl、1mM MgCl及び5mM グルコースを含むPBS緩衝液 1.2ml中でペレットを再溶解する。キット(Cyquant−GR(R),Molecular probe)を用いて、供給業者の使用説明書に従い、存在するDNA量を測定する。
【0298】
結果は、平均値(±SEM)として表す。群間の差は、ANOVAと、それに続く、参照群が「溶媒対象」群であるDunnet検定を用いて検定する。
【0299】
組織学的研究のために、筋肉及び皮膚と共に肉芽腫を除去し、一晩、10% ホルムアルデヒド溶液中で固定し、パラフィン(Embedder Leica(R))中に包埋する。次に、肉芽腫をマイクロトーム(Leica)を用いて薄切し、マッソントリクローム染色剤で染色する。次いで、肉芽腫の血管新生を評価する。血管形成のレベルは、0と5の値の間である。
【0300】
本発明の化合物は、経口経路により、0.1mg/kgから100mg/kgの用量で活性を示す。
【0301】
(実施例117)
マウスにおける腫瘍血管形成モデル
このモデルにより、腫瘍の発生で特異的に誘導される血管形成の出現を調節し得る薬理学的作用物質の研究が可能となる。腹腔内注射によりペントバルビタールナトリウム(60mg/kg;Sanofi Nutrition Sante Animale)を用いて約20gのC56/B16マウスを麻酔する。マウスルイス肺細胞をマウス1匹あたり2・10細胞の量で背中に皮下注射することにより、腫瘍を確立する。
【0302】
5日後、マウスを強制給餌により毎日処置する。21日間、1週間当たり2回、腫瘍のサイズを測定し、腫瘍体積を式:[π/6(ωxωxω)](式中、ωは最大径を表し、ωは最小径を表す。)を用いて計算する。
【0303】
結果は、平均値(±SEM)として表す。群間の差は、ANOVAと、それに続く、参照群が「溶媒対象」群であるDunnet検定を用いて検定する。
【0304】
本発明の化合物は、経口経路により、0.1mg/kgから100mg/kgの用量で活性を示す。
【0305】
(実施例118)
血小板減少症における影響
血小板減少症は、今だ、濃縮血小板及びトロンボポエチンの注入を除いて効果的な治療があまりない疾患である(Kaushansky,K.New Eng J Med(1998),339,pp746−754)。
【0306】
抗癌化学療法は、血小板減少症の主な原因の1つである。化学療法のための薬剤の1つ、カルボプラチンは、マウスにおいて血小板減少症を誘発するために広く使用されており、従って、例えばトロンボポエチンなどの血小板レベルを向上させることができる化合物の影響を明らかにできるようにするために使用されている(Hokom MMら、Blood(1995),86,pp4486−4492)。
【0307】
腹腔内投与によりカルボプラチン 150mg/kgを体重20gのbalbCマウスに投与した。後眼窩穿刺により定期的に血液試料を回収し、自動血液検査装置(MS9TM Melet−Schloesing Laboratories,Cergy−Pontoise,France)により循環血小板レベルを測定する。これらの条件下で、カルボプラチン投与後9日から10日に最低となる可逆性血小板減少症が見られる(循環血小板レベルは、50%から60%低下する。)。
【0308】
カルボプラチン投与7日前に処置を開始することにより、5日間、本発明による化合物又はそれらの溶媒(ブランク−対照)を経口投与する。この実験は、10匹から12匹のマウスからなる群において行い、その結果は、平均±標準誤差として表す。これらの条件下で、本発明の化合物は、0.1mg/kgから100mg/kgの用量で、循環血小板レベルを向上させる。
【0309】
(実施例119)
マウスにおいてアルゴンレーザーにより誘発されるCNV(脈絡膜血管新生)モデル
眼の透明性の喪失の主な特性は、血管新生及びその結果として起こる出血であり、これにより、眼において著しい機能的障害が起こり、その結果、早期に失明することとなる。近年、眼の血管新生現象に関与するメカニズムの研究により、これらの病態での血管形成促進因子の関与を明らかにすることができた。Rakic JMら(Invest Ophthalmol Vis Sci.(2003)Jul;44(7),pp3186−3193)により述べられているレーザー誘発性脈絡膜血管新生のモデルにより、脈絡膜の血管新生を調節し得る薬理学的作用物質の研究を行うことができるようになっている。
【0310】
AvertinTMの腹腔内注入によりマウスに麻酔をかける。局所適用により1% トロピカミド溶液を用いて2個の瞳孔を拡張させ、アルゴンレーザー(532nm;「スポットサイズ」直径50μm;持続時間 0.05秒;400mW)を用いて、視神経円板の周囲に3個の傷を付ける。次に視神経円板をレンズで覆う。
【0311】
14日後、そのマウスを屠殺し、眼を摘出し、3.5% FormalinTMを含有する緩衝液で固定し、tissue TeKTM(Miles Laboratories,Naperville,Illinois)中に包埋し、クライオスタットを用いて切片を作製することができるように液体窒素中で凍結させる。
【0312】
コンピュータを利用した画像解析システム(Olympus Micro Image version 3.0、Windows95/NT用、Olympus Optical CO.Europe GmBH)を用いて脈絡膜に存在する新生血管のネットワークの厚さを評価できるようにする定量的形態計測実験により、脈絡膜血管新生の定量を行った。
【0313】
血管新生は、損傷のレベルにおける脈絡膜の色素上皮層の厚さ(B)の、その損傷に隣接する領域の同じ色素上皮層の厚さ(C)に対する比(B/C)により評価する。結果は、平均値(±sem)として表す。処置群と対照群との間の差は、ANOVAとそれに続く、参照群が「対象溶媒」群であるDunnet検定を用いて検定する。
【0314】
本発明の化合物は、0.1から100mg/kgの用量で、経口経路により活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0315】
【図1】生成物IaからIl及びIpの合成に対する概略図である。
【図2】生成物IaからIl及びIpの合成に対する概略図である。
【図3】生成物IaからIl及びIpの合成に対する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、
インドリジンの6−、7−又は8−位置のRは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又は式:
−NR
−NH−SO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−O−Alk−COOR
−O−Alk−NR
−O−(CH−Ph、
−CO−NR
の基
(式中、
Alkは、1個から5個の炭素原子のアルキル基又は直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表し、
nは、0から5の整数を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基又はベンジル基を表し、
は、水素原子又は1個から5個の炭素原子のアルキル基を表し、
Phは、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基を表す。)を表し、
は、
1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、
カルボキシル基、
2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、
1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基、
イオウ原子、酸素原子又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を含有し、場合によっては第二の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されている、5員のへテロアリール基、
又は、1又は2の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換され得る、6員のへテロアリール基
を表し、
は、1個から5個の炭素原子のアルキル基、3個から6個の炭素原子のシクロアルキル基又は場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基で置換されている、フェニル基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又は式:
−NR
−NH−CO−Alk、
−NH−CO−CF
−CO−NR
−CO−NHOH
の基(式中、Alk、R及びRは、Rに対して上記で与えた意味を有する。)を表すが、
但し、Rが水素原子を表す時、R又はRが基−CO−NR又は基−CO−NHOHを表す場合を除き、Rは、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基又は2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基を表さない。)の、場合によってはそれらの医薬的に許容される塩の1つの形態である、インドリジン誘導体。
【請求項2】
インドリジンの6−、7−又は8−位置のRが、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又は式:
−NR
−NH−SO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−NH−CO−Alk、
−O−Alk−COOR
−O−Alk−NR
−CO−NR
の基
(式中、
Alkは、1個から5個の炭素原子のアルキル基又は直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基又はベンジル基を表し、
は、水素原子又は1個から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)を表し、
は、
1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、
カルボキシル基、
2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、
1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基、
イオウ原子、酸素原子又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を含有し、場合によっては第二の窒素原子を含有し、場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で置換されている、5員のへテロアリール基、
又は、1個もしくは2個の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換され得る、6員のへテロアリール基
を表し、
は、1個から5個の炭素原子のアルキル基、3個から6個の炭素原子のシクロアルキル基又は場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基で置換されているフェニル基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、ヒドロキシル基、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又は式:
−NR
−NH−CO−Alk、
−CO−NR
−CO−NHOH
の基
(式中、Alk、R及びRは、Rに対して上記で与えた意味を有する。)を表すが、
但し、Rが水素原子を表す時、R又はRが基−CO−NR又は基−CO−NHOHを表す場合を除き、Rは、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、カルボキシル基又は2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基を表さない、場合によってはそれらの医薬的に許容される塩の1つの形態である、請求項1に記載の、式Iのインドリジン誘導体。
【請求項3】
インドリジンの6−、7−又は8−位置のRが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又は式:
−NR
−CO−NR
の基(式中、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、水素原子、1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基又はベンジル基を表す。)を表し、
は、
1個から5個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基、
カルボキシル基、
1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換されているフェニル基、
イオウ原子、酸素原子又は窒素原子から選択されるヘテロ原子を含有し、場合によっては1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で置換されている、5員のへテロアリール基、
又は、1個もしくは2個の窒素原子を含有し、1もしくは複数のハロゲン原子、1もしくは複数の、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボキシル基又は1もしくは複数の、2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基で場合によっては置換され得る、6員のへテロアリール基
を表し、
は、1個から5個の炭素原子のアルキル基を表し、
及びRは、同一であるか又は異なり、それぞれが、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基又は式CO−NRの基(式中、R及びRは、Rに対して上記で与えた意味を有する。)を表すが、
但し、Rが水素原子を表す時、R又はRが基−CO−NRを表す場合を除き、Rは、1個から5個の炭素原子の直鎖若しくは分枝鎖アルコキシ基、又はカルボキシル基を表さない、場合によってはそれらの医薬的に許容される塩の1つの形態である、請求項1又は請求項2に記載の、式Iのインドリジン誘導体。
【請求項4】
次の化合物:
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−6−メトキシ−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸、
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−3−イル]−メタノン、
3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−(1−メトキシ−N,2−ジメチルインドリジン−6−イル)−カルボキサミド、
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−2−メチル−7−(メチルアミノ)インドリジン−1−イル]−カルボン酸、
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−7−(ジメチルアミノ)−2−メチルインドリジン−1−イル]カルボン酸、
2−アミノ−5−({1−メトキシ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]インドリジン−3−イル}カルボニル)安息香酸、
2−アミノ−5−[(1,6−ジメトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]安息香酸、
2−アミノ−5−[(1−メトキシ−2−メチルインドリジン−3−イル)カルボニル]ベンズアミド
[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルインドリジン−6−イル]カルボキサミド、
2−アミノ−5−{[2−メチル−1−(2−チエニル)インドリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸、
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[2−メチル−1−(2−チエニル)インドリジン−3−イル]メタノン
から選択され、場合によってはその医薬的に許容される塩の1つの形態を取る、請求項1から3の1項に記載の、式Iのインドリジン誘導体。
【請求項5】
A)式Ia、Ib又はIcの化合物:
【化2】

を得るために、式II:
【化3】

(式中、R、R及びRは、式Iに対して与えられる意味を有するが、Rが、アルコキシカルボニル基を表す場合、Rは、7−位置で、基−NR、基−NH−CO−Alk、基−NH−CO−Alk又は基−NH−SO−Alkを表さない。)のインドリジン誘導体が、式III:
【化4】

(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、R又はRは、同等に、1個から5個の炭素原子のアルコキシ基、ニトロ基又は2個から6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基又はトリフルオロアセトアミド基を表す。)の誘導体と縮合され、次に、
a)式Id:
【化5】

(式中、R又はRは、アミノ基を表す。)の化合物を得るために、式Iaの化合物が還元に供され、
次に、式Idの化合物が、
Rがヒドロキシル基を表さない場合、R又はRが基−NRを表す(Rは、水素原子を表し、Rは、1個から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)式Ifの化合物を得るために、ハロゲン化アルキルの作用に供されるか、もしくは、
Rがヒドロキシル基を表さない場合、式If(R又はRが基−NH−CO−Alkを表す。)の化合物を得るために、アシル化に供され、
もしくは、
b)R及び/又はR及び/又はRがカルボキシル基を表す式Ieの化合物を得るために、R及び/又はR及び/又はRがアルコキシカルボニル基を表す式Ibの化合物が鹸化に供され、
もしくは、
c)Rがベンジルオキシ基を表す場合、式Ig:
【化6】

の化合物を得るために、式Iaの化合物が、加圧下で接触水素化に供され、次に、式Ih:
【化7】

の化合物を得るために、これらの式Igの化合物が選択的O−アルキル化に供されるか、又は、Rがアルコキシ基もしくは式−O−Alk−COORの基を表す場合、これを場合によっては式−O−Alk−COOHの基を得るために鹸化することができ、
もしくは、
d)Rがヒドロキシル基を表す場合、式Ii:
【化8】

(式中、
又はRは、Iaに対して与えられる意味を有し、Rは、アルコキシ基、式−O−Alk−NRの基又は式−O−Alk−COORの基を表し、それらは、続いて、式−O−Alk−COOHの基を得るために、場合によっては鹸化することができる。)の化合物を得るために、式Iaの化合物がO−アルキル化に供され、
もしくは、
(e)Rがアルコキシカルボニル基を表す場合、式Ij:
【化9】

(式中、R又はRは、上記で与えられる意味を有する。)の化合物を得るために、式Iの化合物が鹸化に供され、
もしくは、
(f)Rが水素を表す場合、式Ik:
【化10】

の化合物を得るために、式Iの化合物が臭素化に供され、次に、該化合物が、Rが臭素又はヨウ素などのハロゲンを表さない場合、式Il:
【化11】

(式中、Rは、臭素又はヨウ素などのハロゲン原子を表さず、R及びR又はRは、上記で与えられる意味を有し、Rは、置換フェニル基又は場合によっては置換されている5もしくは6員のへテロアリールを表す。)の化合物を得るために、SUZUKI反応の条件に従い、フェニルボロン酸又はヘテロアリールボロン酸誘導体とのカップリングに供され、
もしくは、
g)Rがヒドロキシルもしくはアミノもしくはカルボキシル基を表さず、R又はRがカルボキシル官能基を表す場合、式Ip:
【化12】

(式中、R又はRは、基−CO−NR又は−CO−NHOHを表す。)の化合物を得るために、カルボキシル官能基の活性化後に式Ieの化合物が、式HNRのアミン又はヒドロキシルアミンとのカップリングに供され、
又は、
B)Rが電子求引性基を表し、Rが基7−NH−CO−Alkを表す場合、式VI:
【化13】

の化合物を得るために、式IV
【化14】

のピリジンを、式V:
【化15】

のブロモアセトフェノンと反応させ、次に、式Iaの化合物(式中、Rは、ベンジルオキシカルボニル基を表し、Rは、7−位置において、式−NH−COO−Alkの基を表す。)を得るために、該式VIの化合物が、酸化剤の存在下で、ベンジルアクリレートとの1,3−双極付加環化に供され、
又は、
C)Rが基−NH−COtブチルを表す場合、式Iaの化合物が、
式Im:
【化16】

の化合物を得るために、アルキル化と、それに続く脱保護化及び場合によって第二のアルキル化に供されるか、
もしくは、式In:
【化17】

の化合物を得るために、脱保護化とそれに続くアシル化に供されるか、
もしくは、式Io:
【化18】

の化合物を得るために、脱保護化とそれに続くスルホニル化に供されるかのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の式Iの化合物を調製するための方法。
【請求項6】
場合によっては1又は複数の不活性であり適切な賦形剤と組み合わせて、活性成分として請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の式Iの化合物を含有する、医薬組成物。
【請求項7】
肺癌、乳癌、前立腺癌及び食道癌などの、血管形成が高度に起こっている癌腫、結腸癌及び胃癌などの転移を誘発する癌、メラノーマ、神経膠腫、リンパ腫及び白血病の治療において有用である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
アテローム性動脈硬化症などの心血管系の疾患、血管形成術後再狭窄、血管内人工挿入物のフィッティング及び/又は大動脈−冠動脈バイパス術後もしくは他の血管移植後に現れる合併症に関する疾患、心肥大又は糖尿病性網膜症などの糖尿病の血管合併症の治療において有用である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
関節リウマチ又はIBDなどの慢性炎症性疾患の治療において有用である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
軟骨形成不全(ACH)、軟骨低形成症(HCH)及びTD(致死性骨異形成症)の治療に有用である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項11】
肥満の治療に有用である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項12】
黄斑変性の治療に有用である、請求項6に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2007−505867(P2007−505867A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526664(P2006−526664)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002347
【国際公開番号】WO2005/028476
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】