説明

羽根車を利用した発電装置

【課題】
受熱部と放熱部の間を循環する2相の熱搬送流体によって回転駆動される羽根車を利用した発電装置の技術を提供する。
【解決手段】
羽根車23はその回転中心に位置して該羽根車23を回転・支承する回転軸23aと、該回転軸23aに固着した円筒型ランナー23bと、該円筒型ランナー23bの外周円筒面に於いて、前記回転軸23aの中心から放射状に等しい開角をもって配設した複数の羽根状のバケット23cで構成する。該羽根車23は低トルクで回転する構造とし、逆転しないように適宜位置に逆止弁を設置する。発電機回転子23dは前記回転軸23aに固定してあり、熱搬送流体26の流れによって羽根車23が回転し、発電機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受熱部と放熱部の間を循環する2相の熱搬送流体によって回転駆動される羽根車を利用した発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
従来、この種の羽根車を利用した発電装置の従来の技術の一例としては図7に示す特開平1−130007号公開特許公報に開示されたものがある。これについて説明すれば、従来の技術に於ける熱搬送流体は1液2相の流体で一般のヒート流路の作動液と同じである。即ちその蒸気(気相)は凝縮性でありループ型流路の放熱部1及び放熱部1から受熱部2に至る間の流路中に於いては液相で循環し、受熱部2及び受熱部2から放熱部1に至る間の流路中に於いては気相で循環する。この従来の技術では図9の如く熱媒流体が液相流である部分においてシリンダ型コンテナ3と細管コンテナ群の複合コンテナとが連結されて閉ループ管型コンテナ4を形成している。
【0004】
従ってシリンダ型コンテナ3の中には水車5が配置されて動力発生部が構成されている。水車5はシリンダ型コンテナ3内に噴出した細管コンテナ群に強力に吸入される熱搬送流体の液相流6により強力に駆動される。従来の技術に於いて閉ループ管型コンテナ4内に封入される液量がコンテナ内容積の80〜90%如く多量である場合は、気相流部分は受熱部内とその下流の近傍部だけとなるから、シリンダ型コンテナ3は放熱部1に近い放熱部1の上流側に連結して実施することもできる。
尚、7は気相流、8は循環方向規制手段、9は高温部、10は低温部である。
【0005】
従来の技術の第2の例としては、図8に示す特開2002−34233号公開特許公報に開示されたものがある。これについて説明すれば、導電性を有する液体が内部に封入されたヒート流路であって、ループを形成し、該ループの一端が加熱され他端が冷却されたときに液体及び液体の蒸気を循環させるためのヒート流路11〜13と、ヒート流路のループの少なくとも一部において磁界を発生させる手段14、15と、液体及び液体の蒸気が磁界を横切って運動する際に発生する電気エネルギーを取り出す手段(図示せず)とを具備する。
【0006】
図8(a)において、導電性を有する流体が矢印の向きに流れると、フレミングの右手の法則に従って、2つの電極間に起電力が発生する。図8(b)に示すように、ヒート流路は折り曲げられ、n行m列で配列されている(nとmは任意の自然数)。ここで、永久磁石が作る磁界の磁束密度をφ、流体の速度をv、永久磁石の長さをLとすると、起電力Eは、次式で表される。E=φ・v・L・m・nである。一般的には、流体の運動方向が交互に変化するので、交流起電力が発生することになる。
これに対して、直流起電力を得たい場合には、ヒート流路11〜13の中に逆止弁を設けて一方向のみに流過させる。
尚、16はヒート流路11ないし13を収容・挟持するハウジング、17は高温部、18は低温部である。
【0007】
従来の技術の第3の例としては、図9に示す特開2006−132344号公開特許公報に開示されたものがある。これについて説明すれば、図9は従来の技術に於ける開放下流型の発電方法を示し、所定の流速で水流が流れる水路19の途中に、この水路19内を流れる水流によって回転が付与される水車20を設置し、この水車20の回転を増速機構21及び必要に応じて更に増速回転伝達手段(図示せず)を用いて増速し、発電機22を駆動することにより発電するようにしたものである。上記水路19としては、各種工場の施設における給排水路のほか、公共施設、大型店舗、ホテル等の給排水路、河川や農業用水路等を挙げることができる。
【特許文献1】特開平1−130007号公開特許公報
【特許文献2】特開2002−34233号公開特許公報
【特許文献3】特開2006−132344号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術に於ける前述した発電装置は上述した構成、作用であるので次の問題点が存在した。すなわち、従来の技術の第1の例に於いては複数の圧力細管としてのループ型流路と該複数のループ型流路のそれぞれ対して循環方向規制手段すなわち逆止弁が必要であり、発電装置の構造が複雑でありかつ保守が困難であるという問題問題点があった。また、従来の技術の第2の例に於いては、使用する2相の液体は導電性又は磁性を有する液体に限定され汎用性に乏しいという問題点があり、電気絶縁性及び気液密封性を得るために発電部における流路の構造が複雑になるという問題点があった。さらに、従来の技術の第3の例に於いては、傾斜した水路を流過する水によって発電するので発電装置が大規模であり、車載用途などの移動体に於ける発電手段には不適であるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る羽根車を利用した発電装置は叙上の問題点を解決すべく発明したものであり、次の構成、手段から成立する。
【0010】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、受熱部と放熱部との温度差による推進力で流送する熱搬送流体を充填した無端状循環経路を備えた構成に於いて、該無端状循環経路であって、熱搬送流体の流送方向に対して垂直方向に回転子を配設しかつ該回転子に固定された発電機回転子を有した羽根車を備えたことを特徴とする。前記熱搬送流体の流送方向に対して回転子の回転軸を垂直に配設することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の羽根車を利用した発電装置に於いて、前記無端状循環経路は単一の略O字状循環経路であることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の羽根車を利用した発電装置に於いて、前記無端状循環経路は複数個であることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の羽根車を利用した発電装置に於いて、前記無端状循環経路は無端状円環循環経路であることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の羽根車を利用した発電装置に於いて、前記無端状循環経路に絞り弁を介在させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る羽根車を利用した発電装置は上述した構成を有するので次の効果がある。
【0016】
すなわち、請求項1に記載した本発明によれば、受熱部と放熱部との温度差による推進力で流送する熱搬送流体を充填した無端状循環経路を備えた構成に於いて、該無端状循環経路であって、熱搬送流体の流送方向に対して垂直方向に回転子を配設しかつ該回転子に固定された発電機回転子を有した羽根車を備えたことを特徴とする羽根車を利用した発電装置を提供する。
このような構成としてので、羽根車はこの熱搬送流体により回転し、発電機回転子を回転駆動する。この発電機回転子は比較的低トルクで回転する構造となっているので発電機固定子から出力電圧を発生する。熱搬送流体の流送方向に対して垂直方向位置に羽根車の回転軸及び発電機回転子を配置しているので、上記熱搬送流体が高圧であって、低流量であり発電機固定子が安定した発電を行えるという効果がある。
【0017】
請求項2に記載した本発明によれば、前記無端状循環経路は単一の略O字状循環経路であることを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、無端状循環経路は単一の流路で構成することができるので、発電装置の構造を単純化することができるという効果があり、保守点検が容易であるという効果がある。
【0018】
請求項3に記載した本発明によれば、前記無端状循環経路は複数個であることを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、受熱部に与えられる熱量が大きい場合でも多量の熱搬送流体に熱エネルギーを伝導することができるので単一の回転子が熱搬送流体の熱エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換できるという効果がある。
【0019】
請求項4に記載した本発明によれば、前記無端状循環経路は無端状円環循環経路であることを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、受熱部と放熱部を羽根車の近傍に配設できるので、エネルギー変換効率が向上するという効果があり、発電装置を小型化できるという効果がある。さらに、羽根車の回転半径を大きくでき、回転トルクを大きくできる。
【0020】
請求項5に記載した本発明によれば、前記無端状循環経路に絞り弁を介在させたことを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、熱搬送流体の流送方向を制御することが容易となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施の形態としての発電装置Eを示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に羽根車を設置した例であり、(a)はその水平断面図、(b)は発電装置Eに備えた発電機を構成する羽根車を矢視A−A線方向から見た断面図である。
【図2】本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例を示す図面であって、(a)は本発明に係る羽根車を利用した発電装置E1に於ける実施例1を示す図面であって、2個の無端状循環経路を構成する発電装置E1に於いて一方の無端状循環経路の他方の流路と、他方の無端状循環経路の一方の流路との間に羽根車を設置した例を示す模式図、(b)は本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例2を示す図面であって、無端状循環経路を構成する発電装置E2に於いて流路の両側面に羽根車を設置した例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例3を示す図面であって、無端状循環経路を構成する発電装置E3に於いて流路の他方側に2個の羽根車を隣接配置した例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例4としての発電装置E4を示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に羽根車を設置し、無端状循環経路を構成する流路の他方側に蛇行ライン状流路を設置した例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例5としての発電装置E5を示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に羽根車及び絞り弁を設置した例を示す模式図である。
【図6】本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例6としての発電装置E6を示す図面であって、略円盤状の羽根車を収容するケーシングを兼ねる受熱部及び放熱部を配置した例を示す模式図であり、(a)は(b)の中央部分の垂直方向断面図、(b)は水平方向断面図である。
【図7】従来の技術に於ける発電装置の第1の例を示す図面である。
【図8】従来の技術に於ける発電装置の第2の例を示す図面であって、(a)はその正面図、(b)は右側面図である。
【図9】従来の技術に於ける発電装置の第3の例を示す図面である。
【図10】本発明に係る磁気羽根車を利用した発電装置の実施の形態としての発電装置Eを示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に磁気羽根車を設置した例であり、(a)はその水平断面図、(b)は発電装置Eに備えた発電機を構成する磁気羽根車を矢視A−A線方向から見た垂直断面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施の形態としての発電装置Eを示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に羽根車を設置した例であり、(a)は水平断面図、(b)は発電装置Eに備えた発電機を構成する羽根車を(a)に示す矢視A−A線方向から見た垂直断面図である。
【0023】
23は羽根車であって、羽根車23は通常の水力発電に用いる衝動水車に分類することができる羽根車であり、例えばペルトン水車を用いることが可能である。羽根車23は該羽根車23の回転中心に位置して該羽根車23を回転・支承する回転軸23aと、該回転軸23aに固着した円筒型ランナー23bと、該円筒型ランナー23bの外周円筒面に於いて、前記回転軸23aの中心から放射状に等しい開角をもって配設した複数の羽根状のバケット23cで構成する。該羽根車23は低トルクで回転する構造とし、逆転しないように適宜位置に逆止弁を設置することもできる。図1に於いて該バケット23cは前記回転中心から法線方向に直線で示す平板状の羽根であるが、これに限らずバケツ状の容器でも良い。23dは前記回転軸23aに固定した発電機回転子であって、熱搬送流体26の流れによって羽根車23が回転し、発電機能を有する。
【0024】
24はケーシングであって、ケーシング24は前記羽根車23の前記回転軸23aを支承する軸受け(図示せず)を具備しており、羽根車23の全体を収容する固定された略円筒形の容器である。また、図1に示すように、羽根車23のバケット23cとケーシング24の内面との間にはわずかの隙間が設定され、ケーシング24内に於いて、羽根車23は円滑に回転することができる。
【0025】
ケーシング24はその外周の一部に熱搬送流体導入部24a及び熱搬送流体導出部24bを配設し、該熱搬送流体導入部24a及び熱搬送流体導出部24bは後述する無端状循環経路としての流路に密封構造をもって接続している。
【0026】
25は流路であって、例えば、略U字状循環経路を有しており該流路25の内部は後述する熱搬送流体26が充填されている。流路25は断面形状が略円形又は楕円形が望ましいが、矩形状、三角形状又は半円形状であってもよい。図1に示すように全体形状が縦に長い長方形に形成している。該流路25は図1に示すように前記ケーシング24の熱搬送流体導入部24a及び熱搬送流体導出部24bと一体的に形成し接続する。
【0027】
26は熱搬送流体であって、熱搬送流体26は例えば水等であり、与えられた熱エネルギーの多寡によって液相又は気相を呈する2相の流体である。そして該熱搬送流体26は臨界温度が熱源温度以下、放熱部温度又は使用温度範囲で固体化しないことが条件であり、水の場合例えば100℃〜300℃の範囲内を適用する。図1に於いて、熱搬送流体26は流路25内において気相と液相の混合流体であり、26aは熱搬送流体26の液相部を示し、26bは熱搬送流体26の気相部である。円形及び略楕円形で表された26b1、26b2は前記熱搬送流体26の気相部26bを模式的に示す。そして、略楕円形で示された気相部26b2と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26は、円形で示された気相部26b1と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26に比較して気相部の割合が多いので、略楕円形で示された気相部26b2と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26は、円形で示された気相部26b1と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26に比較して、より多くの潜熱すなわち転移熱を有している。
【0028】
前記流路25は、例えば熱輸送デバイスとしての薄型プレートヒートデバイスを使用すると最適な効果が得られる。これは大きな熱量を円滑に輸送するように設計されている。また薄型プレートヒートデバイスの内部はループ型蛇行細径トンネルヒートパイプを内蔵しておりこのループ型蛇行細径トンネルヒートパイプの内部に封入した作動液が還流管路、つまり流路25内を流送する。そしてこの作動液の内圧に対して該薄型プレートヒートデバイスのループ型蛇行細径トンネルヒートパイプが十分な強度を有する必要がある。このような各種の条件を満足する薄型プレートヒートデバイスは薄型プレート内に前述したループ型蛇行細径トンネルヒートパイプを備えてある。そして、このような単位対のループ型細径トンネルヒートパイプの群は相互に連結連通されて、平面状に構成されて一体化されてある。このように一体化されたループ型細径トンネルヒートパイプの群は、一括して密閉封止され且つ真空脱気された上で所定の二相凝縮性作動液の所定量が封入されてヒートパイプ化されて、構成されている。また薄型プレートヒートデバイスは、熱伝導性の良好な金属からなる単位薄板及び平薄板の溶接積層体で構成される。単位薄板の溶接面には積層に先立って予め一連の長尺蛇行細溝が形成されてある。該長尺蛇行細溝の形成は切削、放電加工、プレス成形等何れの手段によってなされたものであっても良い。長尺蛇行細溝は積層により密閉蛇行細径トンネルとして構成され、この密閉蛇行細径トンネルに所定の作動液の所定量が封入されて蛇行細径トンネルヒートパイプとして構成されてある。
【0029】
27は蒸発部すなわち受熱部であって、受熱部27は熱搬送流体26に熱エネルギーを効率的に伝達するために流路25を取り囲んだ構造を有する。受熱部27は熱搬送流体26を液相26aから気相26bに相変化させる部分である。
28は凝縮部すなわち放熱部である。放熱部28は羽根車23を回転させて羽根車23に運動エネルギーを与えた熱搬送流体26の温度を低下させ、熱搬送流体26を気相26bから液相26aに相変化させる部分であり、熱搬送流体26から熱エネルギーを効率的に除去するために流路25を取り囲んだ構造を有する。
尚、上記無端状循環経路の上辺部分又は下辺部分の形状を変化させ、流送抵抗を増大する構成としてもよい。
【0030】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施の形態に基づく動作等を説明する。
受熱部27が加熱され放熱部28が冷却されると、該受熱部27と該放熱部28との温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は流路25内を図1に示すように下方から上方に循環流送する。そして、受熱部27と放熱部28の機能により、該流路25内に充填された熱搬送流体26は該受熱部27から矢印B1ないしB4方向に流送される。そこで該羽根車23はこの熱搬送流体26により回転する。回転軸23aが回転し、軸シール(図示せず)を介して回転軸23aが動液封止内から大気側に突出され、発電機回転子23dと同軸に連結されて該発電機回転子23dを回転駆動する。この発電機回転子23dは比較的低トルクで回転する構造となっている。これにより該発電機固定子(図示せず)から出力電圧を発生する。ここで、熱搬送流体26の流送方向に対して垂直方向位置に羽根車23の回転軸23a及び発電機回転子23dを配置している。それ故に上記熱搬送流体26が高圧であって、低流量であり発電機固定子に安定した発電を奏する。
尚、図1に於いては受熱部27を下方に配置し、放熱部28を上方に配置しているが、受熱部27を上方に配置し、放熱部28を下方に配置してもよく、羽根車23の回転方向を逆転することができる。また、発電機の始動時において、羽根車23の回転方向を任意の方向に回転させるために、発電機回転子23dに外部から電力を印加して一時的に電動機として駆動して、熱搬送流体26の循環流送方向が安定したら、発電動作に移行してもよい。
【実施例1】
【0031】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例1について添付図面に基づき詳細に説明する。
図2(a)は本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例1を示す図面であって、2個の無端状循環経路を構成する発電装置E1に於いて一方の無端状循環経路の他方の流路と、他方の無端状循環経路の一方の流路との間に羽根車を設置した例を示す模式図である。
【0032】
23Aは羽根車でありその構造や動作等は図1に示す羽根車23と略同一である。羽根車23Aは通常の水力発電に用いる衝動水車に分類することができる羽根車であり、例えばペルトン水車を用いることが可能である。羽根車23Aは該羽根車23Aの回転中心に位置して該羽根車23Aを回転・支承する回転軸(図示せず)と、該回転軸23aに固着した円筒型ランナー23bと、該円筒型ランナー23bの外周円筒面に於いて、前記回転軸23aの中心から放射状に等しい開角をもって配設した複数の羽根状のバケット23cで構成する。
【0033】
25A、25Bは流路であって、該流路25A、25Bの内部は前述した熱搬送流体26が充填されている。流路25A、25Bは断面形状が略円形又は楕円形が望ましいが、矩形状、三角形状又は半円形状であってもよい。図2(a)に示すように全体形状が縦に長い長方形に形成している。該流路25A、25Bは図2(a)に示すように前記ケーシング24の熱搬送流体導入部及び熱搬送流体導出部と一体的に形成し接続する。
【0034】
27Aは蒸発部すなわち受熱部であって、受熱部27Aは熱搬送流体26に熱エネルギーを効率的に伝達するために流路25A、25Bを取り囲んだ構造を有する。受熱部27Aは熱搬送流体26を液相から気相に相変化させる部分である。28Aは凝縮部すなわち放熱部である。放熱部28Aは羽根車23Aを回転させて羽根車23Aに運動エネルギーを与えた熱搬送流体26の温度を低下させ、熱搬送流体26を気相から液相に相変化させる部分であり、熱搬送流体26から熱エネルギーを効率的に除去するために流路25A、25Bを取り囲んだ構造を有する。
【0035】
そして、羽根車23Aの駆動動作は、受熱部27Aが加熱され放熱部28Aが冷却されると、該受熱部27Aと該放熱部28Aとの温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は流路25A、25B内を図2(a)に示すように上方から下方に循環流送する。そして、受熱部27Aと放熱部28Aの機能により、該流路25A、25B内に充填された熱搬送流体26、26は一方では矢印B5、B6、B7を経て、他方では矢印B8、B9、B10を経て流路25AS、25B内を流送する。そこで該羽根車23Aはこの熱搬送流体26により2つの経路から回転エネルギーを付与され回転する。
尚、本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例1のほかの構成及び動作等は前述した実施の形態の場合と略同一であり、その説明を省略する。
【実施例2】
【0036】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例2について添付図面に基づき詳細に説明する。
図2(b)は本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例2を示す図面であって、無端状循環経路を構成する発電装置E2に於いて流路の両側面に羽根車を設置した例を示す模式図である。
【0037】
23Bは羽根車であり、その構造や動作等は図1に示す羽根車23と略同一でありその説明を省略する。25Cは流路であって、該流路25Cの内部は前述した熱搬送流体26が充填されている。そして、羽根車23Bの駆動動作は、受熱部27Bが加熱され放熱部28Bが冷却されると、該受熱部27Bと該放熱部28Bとの温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は流路25C内を図2(b)に示すように上方から下方に循環流送する。そして、受熱部27Bと放熱部28Bの機能により、該流路25C内に充填された熱搬送流体26は該受熱部27Bから一方では矢印B11、B12、B13、B14方向に、他方では矢印B15、B13、B12、B16方向にそれぞれ流送される。そこで該羽根車23Bはこの熱搬送流体26により回転する。
尚、本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例2のほかの構成及び動作等は前述した実施の形態の場合と略同一であり、その説明を省略する。
【実施例3】
【0038】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例3について添付図面に基づき詳細に説明する。
図3は本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例3を示す図面であって、無端状循環経路を構成する発電装置E3に於いて流路の他方側に2個の羽根車を隣接配置した例を示す模式図である。
【0039】
23Cは第1羽根車、23Dは第2羽根車であり、その構造や動作等は図1に示す羽根車23と略同一でありその説明を省略する。25Dは流路であって、該流路25Dの内部は前述した熱搬送流体26が充填されている。そして、第1羽根車23C及び第2羽根車23Dの駆動動作は以下の通りとなる。受熱部27Cが加熱され放熱部28Cが冷却されると、流路25Dの他方側に於いては、該受熱部27Cと該放熱部28Cとの温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は図3に示すように上方から下方に循環流送する。そして、受熱部27Cと放熱部28Cの機能により、該流路25D内に充填された熱搬送流体26は該受熱部27Cから矢印B17ないしB22方向に流送される。そこで該第1羽根車23C及び第2羽根車23Dはこの熱搬送流体26により回転する。
尚、本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例3のほかの構成及び動作等は前述した実施の形態の場合と略同一であり、その説明を省略する。
【実施例4】
【0040】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例4について添付図面に基づき詳細に説明する。
図4は本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例4としての発電装置E4を示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に羽根車を設置し、無端状循環経路を構成する流路の他方側に蛇行ライン状流路を設置した例を示す模式図である。
【0041】
23Eは羽根車であり、その構造や動作等は図1に示す羽根車23と略同一でありその説明を省略する。25Eは流路であって、該流路25Eの内部は前述した熱搬送流体26が充填されている。
そして、羽根車23Eの駆動動作は以下の通りとなる。受熱部27Dが加熱され放熱部28Dが冷却されると、流路25Eの一方側すなわち左側に於いては、該受熱部27Dと該放熱部28Dとの温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は図4に示すように下方から上方に循環流送する。そして、受熱部27Dと放熱部28Dの機能により、該流路25E内に充填された熱搬送流体26は該受熱部27Dから矢印B23ないしB26方向に流送される。そこで該羽根車23Eはこの熱搬送流体26により回転する。
【0042】
一方、受熱部27Dが加熱され放熱部28Dが冷却されると、流路25Eの他方側すなわち右側に於いては、該受熱部27Dと該放熱部28Dとの温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は下方から上方に流送するが、流路25Eの他方側すなわち右側は流路25Eが蛇行ライン状を成しており、矢印B27ないしB29方向に流送する。この流れは流路25Eの一方側すなわち左側に比較して、流路の抵抗が大きい。そこで、該受熱部27Dと該放熱部28Dとの温度差により推進力が与えられた熱搬送流体26は流路の抵抗が小さい左側を矢印B23ないしB26方向に容易に流送して羽根車23Eを効率的に回転させる。
尚、本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例4のほかの構成及び動作等は前述した実施の形態の場合と略同一であり、その説明を省略する。
【実施例5】
【0043】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例5について添付図面に基づき詳細に説明する。
図5は本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例5としての発電装置E5を示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に羽根車及び絞り弁を設置した例を示す模式図である。
【0044】
23Fは羽根車であり、その構造や動作等は図1に示す羽根車23と略同一でありその説明を省略する。25Fは流路であって、該流路25Fの内部は前述した熱搬送流体26が充填されている。29は絞り弁である。従って、受熱部27Eが加熱され放熱部28Eが冷却されると、受熱部27Eにおいて液相から気相に相変化した流路25F内の熱搬送流体26は図5に示すように流路25Fの一方側の流路25Fから上昇し放熱部28E、絞り弁29を流過して羽根車23Fを効率的に回転させる。すなわち熱搬送流体26は矢印B30ないしB34方向に流送する。そして
絞り弁29により羽根車23Fのバスケット23cに流過する熱搬送流体26を高流速化し、該羽根車23Fを高速回転する。よって高発電機能を司る。
尚、本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例5のほかの構成及び動作等は前述した実施の形態の場合と略同一であり、その説明を省略する。
【実施例6】
【0045】
次に本発明に係る羽根車を利用した発電装置に於ける実施例6について添付図面に基づき詳細に説明する。
図6は本発明に係る羽根車を利用した発電装置の実施例6としての発電装置E6を示す図面であって、略円盤状の羽根車を収容するケーシングを兼ねる受熱部及び放熱部を配置した例を示す模式図であり、(a)は(b)の中央部分の垂直方向断面図、(b)は水平方向断面図である。
【0046】
23Gは羽根車であり、全体形状が例えば略円盤状に形成され、その外周面23G1には複数個のバスケット23eを有する。前記外周面23G1と受熱部27F及び放熱部28Fとの間は無端状円環循環経路25Gを構成している。この構成は受熱部27F及び放熱部28Fとしてのケーシングの内周面と羽根車23Gの外周面23G1とで形成する間隙であって、流路の機能を兼ねている。また、前記受熱部27F及び放熱部28Fは前記磁気羽根車23Gを嵌入している。無端状円環循環経路25G内に充填している熱搬送流体26が流送することにより該バスケット23e・・・を駆動し、該羽根車23Gを例えば図示するR方向に回転動作させる。そして図6に示すように羽根車23Gの中央部に永久磁石を回転方向でN極とS極が交互に配置された回転軸23G2を形成し、回転軸23G2と同軸上に回転軸23G2の外周を覆うように複数のコイルを配置した発電機回転子を有する。
尚、本発明に係る磁気羽根車を利用した発電装置に於ける実施例6のほかの構成及び動作等は前述した実施の形態の場合と略同一であり、その説明を省略する。
また、実施例6の変形実施例として図6の羽根車23Gの中央部にN極、S極を有する内部永久磁石が羽根車23G全体で密閉状態に配置された回転軸23G2を形成し、回転軸23G2の周辺にもN極、S極を有する外部永久磁石が配置された回転軸(図示せず)を形成してマグネットカップリングを構成し、回転軸23G2と同軸上に外部永久磁石23Hが配置された回転軸によって回転駆動される発電機回転子(図示せず)を有する。
【実施例7】
【0047】
次に本発明に係る磁気羽根車を利用した発電装置に於ける実施例7について添付図面に基づき詳細に説明する。
図10は本発明に係る磁気羽根車を利用した発電装置の実施の形態としての発電装置Eを示す図面であって、無端状循環経路を構成する流路の一方側に磁気羽根車を設置した例であり、(a)は水平断面図、(b)は発電装置Eに備えた発電機を構成する磁気羽根車を(a)に示す矢視A−A線方向から見た垂直断面図である。
【0048】
23Jは磁気羽根車であって、磁気羽根車23Jは通常の水力発電に用いる衝動水車に分類することができる羽根車であり、例えばペルトン水車を用いることが可能である。磁気羽根車23Jは後述する流路25内に配置してあるこの磁気羽根車23Jの下側に流路25の管壁を介して磁気歯車23fを備えている。発電機は前記磁気歯車23fと、該磁気羽根車23Jの回転中心に位置して該磁気歯車23fを回転・支承する回転軸23aと、発電機回転子23dとを備えている。前記磁気羽根車23Jは中心部23bを有している。この中心部23bはN極、S極が交互に帯磁されており、この磁力により磁気歯車23fを回転駆動する。該磁気羽根車23Jの中心部23bの外周円筒面に於いて、前記磁気羽根車23Jの中心部23bから放射状に等しい開角をもって配設した複数の羽根状のバケット23cを構成する。該磁気羽根車23Jは低トルクで回転する構造とし、逆転しないように適宜位置に逆止弁を設置することもできる。図10に於いて該バケット23cは前記中心部23bから法線方向に直線で示す平板状の羽根であるが、これに限らずバケツ状の容器でも良い。23dは前記回転軸23aに固定した発電機回転子であって、熱搬送流体26の流れによって磁気羽根車23Jが回転し、発電機能を有する。
【0049】
24はケーシングであって、ケーシング24は前記磁気羽根車23Jの前記回転軸23gを支承する軸受けを具備しており、磁気羽根車23Jの全体を収容する固定された略円筒形の容器である。また、図10に示すように、磁気羽根車23Jのバケット23cとケーシング24の内面との間にはわずかの隙間が設定され、ケーシング24内に於いて、磁気羽根車23Jは円滑に回転することができる。
【0050】
ケーシング24はその外周の一部に熱搬送流体導入部24a及び熱搬送流体導出部24bを配設し、該熱搬送流体導入部24a及び熱搬送流体導出部24bは後述する無端状循環経路としての流路に密封構造をもって接続している。
【0051】
25は流路であって、例えば、略U字状循環経路を有しており該流路25の内部は後述する熱搬送流体26が充填されている。流路25は断面形状が略円形又は楕円形が望ましいが、矩形状、三角形状又は半円形状であってもよい。図10に示すように全体形状が縦に長い長方形に形成している。該流路25は図1に示すように前記ケーシング24の熱搬送流体導入部24a及び熱搬送流体導出部24bと一体的に形成し接続する。
【0052】
26は熱搬送流体であって、熱搬送流体26は例えば水等であり、与えられた熱エネルギーの多寡によって液相又は気相を呈する2相の流体である。そして該熱搬送流体26は臨界温度が熱源温度以下、放熱部温度又は使用温度範囲で固体化しないことが条件であり、水の場合例えば100℃〜300℃の範囲内を適用する。図10に於いて、熱搬送流体26は流路25内において気相と液相の混合流体であり、26aは熱搬送流体26の液相部を示し、26bは熱搬送流体26の気相部である。円形及び略楕円形で表された26b1、26b2は前記熱搬送流体26の気相部26bを模式的に示す。そして、略楕円形で示された気相部26b2と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26は、円形で示された気相部26b1と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26に比較して気相部の割合が多いので、略楕円形で示された気相部26b2と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26は、円形で示された気相部26b1と液相部26aの混合流体としての熱搬送流体26に比較して、より多くの潜熱すなわち転移熱を有している。
【0053】
前記流路25は、例えば熱輸送デバイスとしての薄型プレートヒートデバイスを使用すると最適な効果が得られる。これは大きな熱量を円滑に輸送するように設計されている。また薄型プレートヒートデバイスの内部はループ型蛇行細径トンネルヒートパイプを内蔵しておりこのループ型蛇行細径トンネルヒートパイプの内部に封入した作動液が還流管路、つまり流路25内を流送する。そしてこの作動液の内圧に対して該薄型プレートヒートデバイスのループ型蛇行細径トンネルヒートパイプが十分な強度を有する必要がある。このような各種の条件を満足する薄型プレートヒートデバイスは薄型プレート内に前述したループ型蛇行細径トンネルヒートパイプを備えてある。そして、このような単位対のループ型細径トンネルヒートパイプの群は相互に連結連通されて、平面状に構成されて一体化されてある。このように一体化されたループ型細径トンネルヒートパイプの群は、一括して密閉封止され且つ真空脱気された上で所定の二相凝縮性作動液の所定量が封入されてヒートパイプ化されて、構成されている。また薄型プレートヒートデバイスは、熱伝導性の良好な金属からなる単位薄板及び平薄板の溶接積層体で構成される。単位薄板の溶接面には積層に先立って予め一連の長尺蛇行細溝が形成されてある。該長尺蛇行細溝の形成は切削、放電加工、プレス成形等何れの手段によってなされたものであっても良い。長尺蛇行細溝は積層により密閉蛇行細径トンネルとして構成され、この密閉蛇行細径トンネルに所定の作動液の所定量が封入されて蛇行細径トンネルヒートパイプとして構成されてある。
【0054】
27は蒸発部すなわち受熱部であって、受熱部27は熱搬送流体26に熱エネルギーを効率的に伝達するために流路25を取り囲んだ構造を有する。受熱部27は熱搬送流体26を液相26aから気相26bに相変化させる部分である。28は凝縮部すなわち放熱部である。放熱部28は磁気羽根車23Jを回転させて磁気羽根車23Jに運動エネルギーを与えた熱搬送流体26の温度を低下させ、熱搬送流体26を気相26bから液相26aに相変化させる部分であり、熱搬送流体26から熱エネルギーを効率的に除去するために流路25を取り囲んだ構造を有する。
尚、上記無端状循環経路の上辺部分又は下辺部分の形状を変化させ、流送抵抗を増大する構成としてもよい。
【0055】
次に本発明に係る磁気羽根車を利用した発電装置の実施の形態に基づく動作等を説明する。
受熱部27が加熱され放熱部28が冷却されると、該受熱部27と該放熱部28との温度差により相互作用が発生し熱搬送流体26に推進力が与えられ該熱搬送流体26は流路25内を図1に示すように下方から上方に循環流送する。そして、受熱部27と放熱部28の機能により、該流路25内に充填された熱搬送流体26は該受熱部27から矢印B1ないしB4方向に流送される。そこで該磁気羽根車23Jはこの熱搬送流体26により回転する。該磁気羽根車23Jが回転することによりこの磁力により磁気歯車23fが回転し、回転軸23aも回転する。そして、発電機回転子23dを回転駆動する。この発電機回転子23dは比較的低トルクで回転する構造となっている。これにより該発電機固定子(図示せず)から出力電圧を発生する。ここで、熱搬送流体26の流送方向に対して垂直方向位置に磁気羽根車23Jの回転軸23g、磁気歯車23fの回転軸23a及び発電機回転子23dを配置している。それ故に上記熱搬送流体26が高圧であって、低流量であり発電機固定子に安定した発電を奏する。
尚、図1に於いては受熱部27を下方に配置し、放熱部28を上方に配置しているが、受熱部27を上方に配置し、放熱部28を下方に配置してもよく、磁気羽根車23Jの回転方向を逆転することができる。また、発電機の始動時において、磁気羽根車23Jの回転方向を任意の方向に回転させるために、発電機回転子23dに外部から電力を印加して一時的に電動機として駆動して、熱搬送流体26の循環流送方向が安定したら、発電動作に移行してもよい。
また、実施例7の変形実施例として図10のマグネットカップリングの代わりに磁気羽根車23Jを発電機の回転とし、磁気歯車23fを円盤上に複数のコイルを配置した発電機の固定としてもよい。さらに、実施例6のように磁気羽根車23Jの磁石部分を回転軸方向で突出させ、その周円に発電機の固定子を配置することもできる。
【0056】
以上の実施例6,7のように磁石を利用して非接触で磁気羽根車の回転を発電機の回転に伝達することにより、磁気羽根車の回転軸を軸シールを介して作動液封止内から大気側に突出させ、該磁気羽根車の回転軸に発電機の回転軸を連結するよりも、回転軸部の大気側と作動液封止内とのシールを向上することができる。さらに、シール部での摩擦抵抗による効率悪化やシールの寿命低下を改善できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
自動車や住宅の給湯装置等に於いて、排熱を利用した小型の発電装置として適用できる。例えば、自動車の場合、加熱部をエンジン、冷却部をラジエータとする。船舶の場合、加熱部をエンジン、冷却部をエンジンの冷却水又は海水とする。発電機と給湯器の場合、加熱部をタービン、冷却部を加熱前の給湯水又は水道水の管とする。パソコンやサーバーの場合、加熱部をCPU、冷却部をケース若しくは電源等に使用されているファンとする。火力発電所の場合、発熱部を炉、冷却部を工場冷却水または水道管とする。電気自動車の場合、発熱部をインバータ、冷却部を走行用ラジエータもしくはファンとする。水力発電の場合、加熱部をインバータ、冷却部を外気、ラジエータ、又はファンとする一般建築物の場合、加熱部を室内もしくは室外の温度の高いほう、冷却部を室内もしくは室外の温度の低いほうとする。太陽電池の場合、加熱部をパネルの背面、冷却部を地面または水道管とする。堆肥等の発酵物の場合、加熱部を異発酵物、冷却部を水道水とする。
【符号の説明】
【0058】
23 羽根車
23A 羽根車
23B 羽根車
23C 第1羽根車
23D 第1羽根車
23E 羽根車
23F 羽根車
23G 羽根車
23G1 羽根車の外周面
23G2 回転軸
23H 外部永久磁石
23a 回転軸
23b 円筒型ランナー
23c バケット
23d 発電機回転子
23e バケット
24 ケーシング
24a 熱搬送流体導入部
24b 熱搬送流体導出部
25 流路
25A 流路
25B 流路
25C 流路
25D 流路
25E 流路
25F 流路
25G 無端状円環循環経路
26 熱搬送流体
26a 熱搬送流体の液相部
26b 熱搬送流体の気相部
26b1 熱搬送流体の気相部
26b2 熱搬送流体の気相部
27 受熱部
27A 受熱部
27B 受熱部
27C 受熱部
27D 受熱部
27E 受熱部
27F 受熱部
28 放熱部
28A 放熱部
28B 放熱部
28C 放熱部
28D 放熱部
28E 放熱部
28F 放熱部
29 絞り弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受熱部と放熱部との温度差による推進力で流送する熱搬送流体を充填した無端状循環経路を備えた構成に於いて、該無端状循環経路であって、熱搬送流体の流送方向に対して垂直方向に回転子を配設しかつ該回転子に固定された発電機回転子を有した羽根車を備えたことを特徴とする羽根車を利用した発電装置。
【請求項2】
前記無端状循環経路は単一の略字状循環経路であることを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置。
【請求項3】
前記無端状循環経路は複数個であることを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置。
【請求項4】
前記無端状循環経路は無端状円環循環経路であることを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置。
【請求項5】
前記無端状循環経路に絞り弁を介在させたことを特徴とする請求項1記載の羽根車を利用した発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−196568(P2010−196568A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41682(P2009−41682)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(599069404)ティーエス ヒートロニクス 株式会社 (11)
【Fターム(参考)】