説明

羽根駆動装置

【課題】衝撃が加わった場合であっても羽根の位置ずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる羽根駆動装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例に係る羽根駆動装置は、シャッタ開口11を有する基板10と、シャッタ開口11への入射光量を調整する羽根20と、羽根20に動力を伝達する伝達部材40とを備え、伝達部材40は、所定位置を支点として揺動する駆動ピン42を含み、羽根20は、駆動ピン42と係合するカム溝24を有すると共に駆動ピン42の揺動に伴って所定位置を支点として揺動し、カム溝24は、許容領域R1及び規制領域R2を含み、駆動ピン42が許容領域R1内にある場合には、羽根20の揺動が許容され、駆動ピン42が規制領域R2内にある場合には、羽根20の揺動が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに内蔵されている羽根駆動装置としては、例えば特許文献1に開示されているものが知られている。このような羽根駆動装置は、一般的には、開口を有する基板と、開口への入射光量を調整する羽根と、羽根に動力を伝達する伝達部材などから構成される。
【0003】
【特許文献1】特開2005‐352153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような羽根駆動装置に衝撃が加わって外力が作用した場合には、羽根が所望の位置からずれる恐れがある。羽根は、開口への入射光量を調整するためのものであるから、このような位置ずれは、所望の入射光量を得ることができずに撮像画像へ悪影響を与える恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、衝撃が加わって外力が作用した場合であっても羽根の位置ずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる羽根駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、シャッタ開口を有する基板と、前記シャッタ開口への入射光量を調整する羽根と、前記羽根に動力を伝達する伝達部材とを備え、前記伝達部材は、所定位置を支点として揺動する駆動ピンを含み、前記羽根は、前記駆動ピンと係合する第1のカム溝を有すると共に前記駆動ピンの揺動に伴って所定位置を支点として揺動し、前記第1のカム溝は、第1の許容領域及び第1の規制領域を含み、前記駆動ピンが前記第1の許容領域内にある場合には、前記羽根の揺動が許容され、前記駆動ピンが前記第1の規制領域内にある場合には、前記羽根の揺動が規制される、ことを特徴とする羽根駆動装置によって達成できる。
【0007】
これにより、駆動ピンが第1の規制領域内にある際に羽根に外力が加わった場合には、基板に対する羽根の移動が抑制される。これにより、羽根のずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0008】
上記構成において、前記駆動ピンが前記第1の規制領域内にある場合において、前記駆動ピンが揺動した場合は、該駆動ピンは前記第1の規制領域を脱することができ、前記駆動ピン以外の要因によって前記羽根へ外力が作用した場合は、前記駆動ピンは前記第1の規制領域内に維持される、構成を採用できる。これによっても駆動ピンが第1の規制領域内にある際に羽根に外力が加わった場合に、基板に対する羽根の移動が抑制され羽根のずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0009】
上記構成において、前記第1のカム溝は、前記第1の許容領域及び第1の規制領域が略直角となるようにしてL字状に形成されている、構成を採用できる。
【0010】
上記構成において、前記羽根は、前記駆動ピン及び羽根のそれぞれの支点間を前記第1のカム溝が通過するように揺動する、構成を採用できる。
【0011】
上記構成において、前記第1のカム溝は、該第カム溝の両端部に前記第1の規制領域を有し、前記第1の許容領域及び第1の規制領域が略直角となるようにしてS字状に形成されている、構成を採用できる。
【0012】
これにより、駆動ピンが第1のカム溝の両端部の規制領域内にある2箇所の位置において、羽根に外力が加わった場合に、基板に対する羽根の移動が抑制される。よって羽根駆動装置の羽根の位置に対応した、2つの状態において、羽根のずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0013】
上記構成において、前記羽根と同一軸に揺動可能に支持され、該羽根と協働して前記シャッタ開口への入射光量を調整する補助羽根を備え、前記補助羽根は、前記駆動ピンと係合する第2のカム溝を有し、前記第2のカム溝は、第2の許容領域及び第2の規制領域を含み、前記駆動ピンが前記第2のカム溝の一端に揺動した場合に、前記第1のカム溝は、前記駆動ピンと前記第1の規制領域内で係合し、前記駆動ピンが前記第2のカム溝の他端に揺動した場合に、前記第2のカム溝は、前記駆動ピンと前記第2の規制領域内で係合する、構成を採用できる。
【0014】
これにより、駆動ピンが揺動する端部において、羽根と補助羽根の各カム溝の規制領域内で駆動ピンが係合するため、スペースの関係等により1枚の羽根のカム溝の両端部に規制領域内に設けられない場合でも、羽根に外力が加わった場合に確実に基板に対する羽根のずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0015】
上記構成において、前記羽根は、前記基板の異なる軸に揺動可能に支持された複数の羽根であり、前記羽根の少なくとも1枚は、前記シャッタ開口より小径の小絞り開口を有し、前記複数の羽根は、前記駆動ピンの揺動に伴って前記シャッタ開口を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持して入射光量を調整する、構成を採用できる。
【0016】
これにより、シャッタ開口を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持可能な複数の羽根を有する羽根駆動装置において、駆動ピンが羽根のカム溝の規制領域内にある際に、羽根に外力が加わった場合には、基板に対する羽根の移動が抑制される。これにより、複数の羽根を有する場合でも羽根のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0017】
上記構成において、前記小絞り開口を有する羽根と同一軸に揺動可能に支持される少なくとも1枚の補助羽根を備え、前記補助羽根は、前記駆動ピンと係合する第2のカム溝を有し、前記第2のカム溝は、第2の許容領域及び第2の規制領域を含み、前記小絞り開口が前記シャッタ開口内に進入して小絞り状態を形成しているときに、前記第2のカム溝は、前記駆動ピンと前記第2の規制領域内で係合する、構成を採用できる。
【0018】
これにより、シャッタ開口を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持可能な複数の羽根を有する羽根駆動装置の小絞り状態において、駆動ピンが補助羽根のカム溝の規制領域内にある際に補助羽根に外力が加わった場合には、基板に対する補助羽根の移動が抑制される。これにより、小絞り羽根のカム溝に規制領域を設けられない場合でも小絞り羽根のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0019】
上記構成において、前記羽根は該羽根と異なる軸に揺動可能に支持され、該羽根と協働して前記シャッタ開口を同一方向から覆い、該シャッタ開口への入射光量を調整する補助羽根を含み、前記補助羽根は、前記駆動ピンと係合する第2のカム溝を有し、前記第2のカム溝は、第2の許容領域及び第2の規制領域を含み、前記第2のカム溝は、前記駆動ピンが前記第1のカム溝の前記第1の規制領域内にある場合に、前記駆動ピンと前記第2の規制領域内で係合する、構成を採用できる。
【0020】
これにより、複数の羽根でシャッタ開口を覆う羽根駆動装置であっても駆動ピンが規制領域内にある際に羽根に外力が加わった場合には、基板に対する複数の羽根の移動が各カム溝の規制領域により抑制される。これにより、羽根のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、衝撃が加わって外力が作用した場合であっても羽根の位置ずれを防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる羽根駆動装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る羽根駆動装置について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0023】
図1及び図2は、実施例1に係る羽根駆動装置1の正面図であり、図3は、実施例1に係る羽根駆動装置1の断面図である。図1は、羽根20がシャッタ開口11から退避した位置での実施例1に係る羽根駆動装置1を示しており、図2は、羽根20がシャッタ開口11に臨む位置での実施例1に係る羽根駆動装置1を示している。図1乃至図3に示すように、羽根駆動装置1は、基板10、羽根20、モータ30、伝達部材40、羽根押え板50等から構成される。基板10は、平板状に形成され、その中央部にシャッタ開口11が形成されている。また、羽根押え板50にも、図示はしないがシャッタ開口が形成されている。
【0024】
羽根20には、シャッタ開口11とほぼ同径の開口21が形成されている。また、羽根20には、開口21を覆うように基板10側からNDフィルタ22が取り付けられている。羽根20は、図3に示すように、基板10と、羽根押え板50との間に配置されている。また、羽根20は、孔23を支点として揺動可能に支持されている。孔23は、基板10に形成された固定軸53と係合する。また、羽根20には、長孔25が形成されており、基板10に形成された規制ピン55と係合する。また、羽根20には、第1のカム溝であるカム溝24が形成されており、図3に示すように、伝達部材40の駆動ピン42と係合している。カム溝24は、詳しくは後述するが略L字状に形成されている。基板10には、NDフィルタ22との干渉を防ぐための凹部52が所定位置に形成されている。
【0025】
モータ30は、羽根20を揺動させるための動力源である。モータ30には、回転軸31が設けられ、回転軸31には、伝達部材40が固定されている。伝達部材40は、モータ30からの動力を羽根20へと伝達する機能を有する。伝達部材40は、回転軸31の径方向外側に延在したアーム41と、アーム41から回転軸31の軸方向と平行に延在した駆動ピン42とを含む。伝達部材40は、樹脂により形成されている。モータ30は、所定範囲を回転可能に構成されている。モータ30の回転により、駆動ピン42は、回転軸31を中心として、所定の範囲を揺動する。尚、基板10、羽根押え板50には、図3に示すように、それぞれ駆動ピン42の揺動を逃がすための逃げ孔14、54が形成されている。逃げ孔14、54は、共に円弧状に形成されている。
【0026】
また、図1乃至図3に示すように、駆動ピン42は、羽根20に形成されたカム溝24と係合する。駆動ピン42の揺動に伴って、羽根20は、孔23を支点として所定の範囲を揺動する。図1及び図2に示すように、羽根20は、シャッタ開口11から退避した位置(以下、退避位置と称する)及びシャッタ開口11に臨む位置(以下、臨む位置と称する)間を揺動可能に構成されている。尚、図1に示すように、羽根20が退避位置に位置付けられている場合には、規制ピン55は長孔25の一方の端部と当接しする。これにより、羽根20は、図1に示した状態から時計方向への揺動が規制される。また、図2に示すように、羽根20が臨む位置に位置付けられている場合には、規制ピン55は長孔25の他方の端部と当接する。これにより、羽根20は、図2に示した状態から反時計方向への揺動が規制される。
【0027】
また、図1に示すように、羽根20が退避位置に位置付けられている場合には、駆動ピン42は、カム溝24の一方の端部と当接し、図2に示すように、羽根20が臨む位置に位置付けられている場合には、駆動ピン42は、カム溝24の他方の端部と当接する。羽根20が臨む位置に位置付けられている場合には、シャッタ開口11への入射光量がNDフィルタ22によって低減される。このように羽根20は、退避位置及び臨む位置間を揺動することにより、シャッタ開口11への入射光量が調整される。
【0028】
次に、本実施例に係る羽根駆動装置1の特徴部分について説明する。図4は、カム溝24周辺の位置関係の説明図である。図4(A)は、羽根20が退避位置に位置付けられている場合での、カム溝24周辺の位置関係を示した図であり、図4(B)は、羽根20が退避位置から臨む位置へと移行する途中での、カム溝24周辺の位置関係を示しており、図4(C)は、羽根20が臨む位置へ位置付けられている場合での、カム溝24周辺の位置関係を示した図である。
【0029】
まず、カム溝24の形状について詳細に説明する。カム溝24は、第1の許容領域である許容領域R1と第1の規制領域である規制領域R2とを含む。許容領域R1は、駆動ピン42がこの許容領域R1内にある場合には、羽根20の揺動が許容される領域である。規制領域R2は、駆動ピン42がこの規制領域R2内にある場合には、羽根20の揺動が規制される領域である。カム溝24は、許容領域R1と規制領域R2とが略直角となるように、L字状に形成されている。また、規制領域R2よりも許容領域R1の方が長くなるように形成されている。
【0030】
図4(A)に示すように、羽根20が退避位置に位置付けられた際に、駆動ピン42はカム溝24の一端部24aと当接する。この状態から、駆動ピン42が支点42P(回転軸31)を中心として時計方向に揺動すると、駆動ピン42は一端部24aから離れるようにしてカム溝24内を移動し、カム溝24は、支点24P(固定軸53)を中心として、反時計方向に揺動して、図4(B)に示した状態へと移行する。図4(B)においては、駆動ピン42は、許容領域R1の中腹に位置している。
【0031】
図4(B)に示した状態から更に駆動ピン42が時計方向に揺動すると、カム溝24も駆動ピン42の揺動に伴って更に反時計方向に揺動し、駆動ピン42は、許容領域R1を脱して、規制領域R2内へ移動して、図4(C)に示した状態へと移行する。前述したように、図4(C)に示した状態においては、規制ピン55が長孔25の他端部に当接することにより、羽根20の反時計方向の揺動が規制される。また、この状態においては、駆動ピン42は、他端部24bと当接する。また、羽根20は、カム溝24が駆動ピン42の支点42Pと固定軸53すなわち羽根20の支点24Pとの間を通過するように揺動する。
【0032】
次に、図4(C)に示した状態から、駆動ピン42以外の要因によって羽根20へ時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合について説明する。このような場合には、カム溝24は、支点24Pを中心として揺動しようとするので、規制領域R2における縁部24cは、駆動ピン42に対して押圧力Fを作用させる。押圧力Fは、駆動ピン42に対して、縁部24cと略直行する方向に作用する。ここで、駆動ピン42は、支点42Pを中心として揺動するため、駆動ピン42と支点42Pとの間の距離が常に一定となる範囲でしか動くことはできない。即ち、駆動ピン42は、図4(C)に示した揺動方向Dの方向にしか動くことはできない。図4(C)に示すように、押圧力Fの方向と揺動方向Dとは、略直行する。このように、押圧力Fの方向、すなわち縁部24cが駆動ピン42に作用する方向と揺動方向Dとが略直行するので、駆動ピン42に対して押圧力Fが作用した場合であっても、駆動ピン42は、規制領域R2を脱することができずに、規制領域R2内に維持される。従って、駆動ピン42が揺動方向Dへ揺動することが抑制される。よって、図4(C)に示した状態において、羽根20に対して時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、その羽根20の揺動は規制されることになる。
【0033】
これにより、例えば、羽根20が臨む位置に位置付けられている場合に、羽根駆動装置1に衝撃などが加わって外力が作用した場合であっても、羽根20の位置が所望の位置からずれることが抑制される。従って、このような簡単な構成によって羽根20の位置ずれに伴う撮像画像への悪影響を抑制することができる。
【0034】
次に、駆動ピン42がモータ30から動力を受けて図4(C)に示した状態から反時計方向に揺動する場合について説明する。図4(C)に示した状態から、モータ30からの動力を受けて駆動ピン42が反時計方向に揺動すると、まず、駆動ピン42は、縁部24cに沿うようにして揺動して他端部24bから離れる。そして駆動ピン42は、規制領域R2を脱して許容領域R1内に移動する。次に、駆動ピン42は、許容領域R1内を移動して再び一端部24aに当接する。このように規制領域R2は、駆動ピン42の揺動を逃がすように形成されている。即ち、図4(C)に示した状態において、駆動ピン42が揺動した場合は、駆動ピン42は規制領域R2から許容領域R1に移動することができるが、羽根20へ外力が作用した場合には、駆動ピン42は規制領域R2内に維持される。換言すれば、規制領域R2は、駆動ピン42自身の揺動は許容するが、駆動ピン42以外の要因によって羽根20に外力が加わった場合には羽根20の揺動を規制するように構成されている。このような構成によって、衝撃等による羽根20の位置ずれを抑制できると共に、羽根20の退避位置及び臨む位置間の揺動を確保することができる。
【実施例2】
【0035】
次に、実施例2に係る羽根駆動装置1aについて説明する。図5及び図6は、実施例2に係る羽根駆動装置1aの正面図であり、図5は、羽根20aがシャッタ開口11から退避した位置での実施例2に係る羽根駆動装置1aを、図6は、羽根20aがシャッタ開口11に臨む位置での実施例2に係る羽根駆動装置1aを示している。尚、これ以降の実施例に関して、実施例1に係る羽根駆動装置1と同一又は類似の構成については、同一又は類似の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0036】
図5及び図6に示すように、羽根駆動装置1aは、基板10a、羽根20a、不図示のモータ、伝達部材及び羽根押え板等から構成される。羽根20aには、基板10aの中央部に形成されたシャッタ開口11より小径の小絞り開口21aが形成されており、図6に示すように、羽根20aが臨む位置に位置付けられている場合には、シャッタ開口11への入射光量が小絞り開口21aによって低減される。また、羽根20aは、孔23を支点として揺動可能に支持され、孔23は、基板10aに形成された固定軸53と係合する。
【0037】
羽根20aには、第1のカム溝であるカム溝25が形成されており、図5及び図6に示すように、モータからの動力を羽根に伝達する伝達部材の駆動ピン42と係合している。駆動ピン42の揺動に伴って、羽根20aは孔23を支点として、シャッタ開口11から退避した退避位置、及びシャッタ開口11に臨む位置間を揺動する。また、図5に示すように、基板10aには羽根20aが退避位置に位置付けられている場合に、羽根20aの端部と当接する規制ピン55aが設けられており、これにより、羽根20aは図5に示した状態から時計方向への揺動が規制される。また、図6に示すように、羽根20aが臨む位置に位置付けられている場合には、規制ピン55bは羽根20aの開口21aを挟んだ他方の端部と当接する。これにより、羽根20aは、図2に示した状態から反時計方向への揺動が規制される。
【0038】
実施例2に係る羽根駆動装置1aの特徴部分について説明する。図7は、カム溝25周辺の位置関係の説明図である。図7(A)は、羽根20aが退避位置に位置付けられている場合での、カム溝25周辺の位置関係を示した図であり、図7(B)は、羽根20aが退避位置から臨む位置へと移行する途中での、カム溝25周辺の位置関係を示しており、図7(C)は、羽根20aが臨む位置へ位置付けられている場合での、カム溝25周辺の位置関係を示した図である。
【0039】
ここで、実施例1とは異なり、実施例2に係る羽根駆動装置1aのカム溝25は、第1の許容領域である許容領域R1と、カム溝25の両端部に第1の規制領域である規制領域R2とを構成している。許容領域R1は、駆動ピン42がこの許容領域R1内にある場合には、羽根20aの揺動が許容される領域であり、規制領域R2は、駆動ピン42がこの規制領域R2内にある場合には、羽根20aの揺動が規制される領域である。実施例2において、カム溝25は、カム溝25の両端部に規制領域R2を有し、許容領域R1と規制領域R2とが略直角となるように、S字状に形成されている。また、規制領域R2よりも許容領域R1の方が長くなるように形成されている。
【0040】
図7(A)に示した状態から、駆動ピン42以外の要因によって羽根20aへ反時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合についても実施例1と同様に、規制領域R2における縁部25aは、駆動ピン42に対して押圧力Fを作用させる。この押圧力F1は、駆動ピン42に対して、縁部25aと略直行する方向に作用する。ここで、駆動ピン42は、支点42Pを中心として揺動するため、駆動ピン42と支点42Pとの間の距離が常に一定となる範囲でしか動くことはできない。即ち、駆動ピン42は、図7(A)に示した揺動方向Dの方向にしか動くことはできない。このように、押圧力F1の方向、すなわち羽根20aが移動しようとする方向と揺動方向Dとが略直行するので、駆動ピン42に対して押圧力Fが作用した場合であっても、駆動ピン42は、規制領域R2を脱することができずに、規制領域R2内に維持される。従って、駆動ピン42が揺動方向Dへ揺動することが抑制される。よって、図7(A)に示した状態において、羽根20aに対して反時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、その羽根20の揺動は規制されることになる。また同様に、図7(C)に示した状態において、羽根20aに対して時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、押圧力F2の方向と駆動ピン42の揺動方向Dとは、略直行するので羽根20aの揺動は規制されることになる。
【0041】
これにより、駆動ピン42がカム溝25の両端部の規制領域R2内にある2箇所の位置において、すなわち、羽根20aが退避位置又は臨む位置に位置付けられている場合に、羽根駆動装置1aに衝撃などが加わって外力が作用した場合であっても、羽根20aの位置が所望の位置からずれることが抑制される。従って、このような簡単な構成によって羽根20aの位置ずれに伴う撮像画像への悪影響を抑制することができる。
【実施例3】
【0042】
次に、実施例3に係る羽根駆動装置1bについて説明する。図8及び図9は、実施例3に係る羽根駆動装置1bの正面図であり、図8(A)は、羽根20b及び補助羽根20cがシャッタ開口11から退避した位置での実施例3に係る羽根駆動装置1bを、図8(B)は、その部分拡大図を示している。図9(A)は、羽根20bがシャッタ開口11に臨む位置での実施例3に係る羽根駆動装置1bを、図9(B)は、その部分拡大図を示している。
【0043】
図8及び図9に示すように、羽根駆動装置1bは、基板10b、羽根20b、補助羽根20c、不図示のモータ、伝達部材及び羽根押え板等から構成される。また、羽根20bには、基板10bの中央部に形成されたシャッタ開口11とほぼ同径の開口21bが形成されている。また、羽根20bには、開口21bを覆うように基板10b側からNDフィルタ22bが取り付けられている。図9に示すように、羽根20bが臨む位置に位置付けられている場合には、シャッタ開口11への入射光量が小絞り開口21aによって低減される。また、羽根20a及び補助羽根20cは基板10aに形成された同一の固定軸53と係合し、揺動可能に支持されている。このように、羽根20bと補助羽根20cは協動してシャッタ開口11への入射光を調整する。
【0044】
羽根20b、補助羽根20cにはそれぞれ第1のカム溝であるカム溝26、第2のカム溝であるカム溝27が形成されており、図8(B)及び図9(B)に示すように、モータからの動力を羽根に伝達する伝達部材の駆動ピン42と係合している。駆動ピン42の一端から他端への揺動に伴って、羽根20b及び補助羽根20cは同一の固定軸53を回転中心として、シャッタ開口11から退避した退避位置と、羽根20bがシャッタ開口11に臨む位置間を揺動する。また、補助羽根20c及び羽根20bは、図8(A)に示した状態から時計方向への揺動が規制ピン55aにより、また図9(A)に示した状態から反時計方向への揺動が規制ピン55bにより規制される。
【0045】
ここで、実施例3に係る羽根駆動装置1aの羽根20bのカム溝26は、第1の許容領域である許容領域R1と、第1の規制領域である規制領域R2とを構成しており、補助羽根20cのカム溝27は、第2の許容領域である許容領域R3と、第2の規制領域である規制領域R4とを構成している。許容領域R1およびR3は、駆動ピン42がこの許容領域R1およびR3内にある場合には、羽根20aおよび補助羽根20cの揺動が許容される領域であり、規制領域R2、R4は、駆動ピン42がこの規制領域R2内にある場合には、羽根20aおよび補助羽根20cの揺動が規制される領域である。
【0046】
ここで、図8(A)に示した状態から、駆動ピン42以外の要因によって羽根20bへ反時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合、図8(B)に示すように、規制領域R4における縁部26aが駆動ピン42に対して作用する押圧力Fと駆動ピン42の揺動方向Dとが略直行するので駆動ピン42は規制領域R4を脱することができずに規制領域R4内に維持される。従って、羽根20bおよび補助羽根20cに対して反時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、それらの揺動は規制されることになる。
【0047】
また同様に、図9(A)に示した状態から、駆動ピン42以外の要因によって補助羽根20cへ時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合、図9(B)に示すように、規制領域R2における縁部27aが駆動ピン42に対して作用する押圧力Fと駆動ピン42の揺動方向Dとが略直行するので駆動ピン42は規制領域R2を脱することができずに規制領域R2内に維持される。従って、羽根20bおよび補助羽根20cに対して時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、それらの揺動は規制されることになる。
【0048】
羽根駆動装置1bは退避位置において、羽根20bのカム溝26の規制領域R2と駆動ピン42と係合し、臨む位置において、補助羽根20cのカム溝27の規制領域R2と駆動ピン42と係合する。換言すると、駆動ピン42が補助羽根20cの第2のカム溝27の一端に揺動した場合に、羽根20bの第1のカム溝26は駆動ピン42と第1の規制領域R2内で係合し、駆動ピン42が補助羽根20cの第2のカム溝27の他端に揺動した場合に補助羽根20cの第2のカム溝27は、駆動ピン42と第2の規制領域R2内で係合する。このように、羽根20bの退避位置と臨む位置において、それぞれ別のカム溝、すなわち羽根20bのカム溝26と補助羽根20cのカム溝27にそれぞれ規制領域R2、R4を構成することにより、羽根駆動装置1bを構成するスペースによる羽根20bの形状の規制、また固定軸53の位置関係等の規制により、羽根20bのカム溝26の両端部に規制領域R2とその中間部に許容領域R1とを構成できない場合であっても羽根20bを退避位置と臨む位置において位置ずれを確実に防止することができる。すなわち、退避位置又は臨む位置に位置付けられている場合に、羽根駆動装置1aに衝撃などが加わって外力が作用した場合であっても、羽根20b及び補助羽根20cの位置が所望の位置からずれることが確実に抑制される。従って、このような構成によって羽根20bの位置ずれに伴う撮像画像への悪影響を抑制することができる。
【実施例4】
【0049】
次に、実施例4に係る羽根駆動装置1cについて説明する。実施例4に係る羽根駆動装置1cはシャッタ開口11を、全開位置、全閉位置、小絞り位置のいずれかの状態に保持可能に構成されており、図10は、羽根駆動装置1cの羽根が全開位置にある場合、図11は羽根が全閉位置にある場合、図12は羽根が小絞り位置にある場合での正面図である。また図13(A)は、全開位置にて羽根の揺動が規制された状態での正面図、図13(B)は、そのときのカム溝部周辺の拡大図を示している。図14は、小絞り位置にて羽根の揺動が規制された状態でのカム溝部周辺の拡大図を示している。
【0050】
羽根駆動装置1cは、シャッタ開口11を有する基板10c、羽根20c1、20c2およびシャッタ開口11より小径の小絞り開口21cを有する小絞り羽根20c3等の複数の羽根により構成される。各羽根20c1、20c2および小絞り羽根20c3は基板10cに形成された異なる固定軸53a、53b、53cにそれぞれ係合し揺動可能に支持されている。羽根20c1、20c2および小絞り羽根20c3にはカム溝28a、28b、28cがそれぞれ形成されておりモータからの動力を羽根に伝達する伝達部材の駆動ピン42と係合している。駆動ピン42の一端から他端への揺動に伴って、羽根20c1、20c2および小絞り羽根20c3はそれぞれ固定軸53a、53b、53cを中心に回転し、シャッタ開口11を全開位置、全閉位置、小絞り位置を順次形成するように揺動する。このように羽根駆動装置1cはこれらの複数の羽根が駆動ピン42の揺動に伴ってシャッタ開口11を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持して入射光量を調整可能な構成となっている。また、図10に示すように、基板10cには羽根20c1、20c2および小絞り羽根20c3がシャッタ開口11を全開位置、小絞り位置に位置付けられている場合に、各羽根の端部と当接する規制ピン55a、55bが設けられており、これにより、全閉位置を中心に全開位置側及び小絞り位置側の各羽根の揺動が規制されている。
【0051】
ここで、実施例4に係る羽根駆動装置1cの第1のカム溝である、羽根20c1のカム溝28aおよび小絞り羽根20c3のカム溝28cは、第1の許容領域である許容領域R1と、第1の規制領域である規制領域R2とを構成している。許容領域R1およびR3は、駆動ピン42がこの許容領域R1内にある場合には、羽根20c1および小絞り羽根20c3の揺動が許容される領域であり、規制領域R2は、駆動ピン42がこの規制領域R2内にある場合には、羽根20c1および小絞り羽根20c3の揺動が規制される領域である。
【0052】
実施例4に係る羽根駆動装置1cの特徴部分について説明する。図13(A)は、羽根駆動装置1cが図10に示す全開位置にある場合において、駆動ピン42以外の要因によって羽根20c1へ反時計方向へと揺動するよう外力が作用し羽根20c1の揺動が規制された状態を示す正面図であり、図13(B)は、そのときのカム溝部周辺の拡大図である。
【0053】
ここで、駆動ピン42以外の要因によって羽根20c1へ反時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合、図13(A)、(B)に示すように、駆動ピン42が羽根20c1のカム溝28aの縁部28a1に係合する位置まで、羽根20c1は反時計方向に回転する。この位置において、カム溝28aの規制領域R2における縁部28a1が駆動ピン42に対して作用する押圧力Fと駆動ピン42の揺動方向Dとが略直行するので駆動ピン42は規制領域R2を脱することができずに規制領域R2内に維持される。従って、羽根20c1に対して反時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、その揺動は規制され、これにより他の羽根20c2及び小絞り羽根20c3の揺動も規制されることになる。
【0054】
図14は、羽根駆動装置1cが図12に示す小絞り位置にある場合において、駆動ピン42以外の要因によって小絞り羽根20c3へ反時計方向へと揺動するよう外力が作用し羽根20cの揺動が規制された状態のカム溝28c周辺の拡大図である。ここで同様に、駆動ピン42以外の要因によって小絞り羽根20c3へ反時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合、駆動ピン42が小絞り羽根20c3のカム溝28cの縁部28c1に係合する位置まで、小絞り羽根20c3は反時計方向に回転する。この位置において、カム溝28cの規制領域R2における縁部28c1が駆動ピン42に対して作用する押圧力Fと駆動ピン42の揺動方向Dとが略直行するので駆動ピン42は規制領域R2を脱することができずに規制領域R2内に維持される。従って、小絞り羽根20c3に対して反時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、その揺動は規制され、これにより他の羽根20c1,20c2の揺動も規制されることになる。
【0055】
このように、シャッタ開口11を、全開位置、全閉位置、小絞り位置のいずれかの状態に保持可能な複数の羽根を有する羽根駆動装置において、例えば全開位置にて駆動ピン42が羽根20c1のカム溝28aの規制領域内R2にある際に、羽根20c1に外力が加わった場合には、基板に対する羽根20c1の移動が抑制され、また羽根20c2および小絞り羽根20c3の揺動も規制される。よって複数の羽根を有する場合でもこれら複数の羽根のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【実施例5】
【0056】
次に、実施例5に係る羽根駆動装置1dについて説明する。実施例4に係る羽根駆動装置1cと同様に、実施例5に係る羽根駆動装置1dはシャッタ開口11を、全開位置、全閉位置、小絞り位置のいずれかの状態に保持可能に構成されており、図15は、羽根駆動装置1dの羽根が全開位置にある場合、図16は羽根が全閉位置にある場合、図17は羽根が小絞り位置にある場合での正面図である。図18(A)は、羽根駆動装置1dの羽根が全開位置にある場合において、羽根の揺動が規制された状態でのカム溝部周辺の拡大図であり、図19は羽根が小絞り位置にある場合において、羽根の揺動が規制された状態でのカム溝部周辺の拡大図である。尚、図18(B)は、図18(A)のカム溝29bのみを示した図である。また、図18(A)においては、羽根20d1を実線で示している。
【0057】
羽根駆動装置1dは、シャッタ開口11を有する基板10d、羽根20d1、20d2、20d3および小絞り開口21dを有する小絞り羽根20d4等により構成される。羽根20d1、20d2は基板10dに形成された固定軸53a、53bにそれぞれ係合し、羽根20d3および小絞り羽根20d4は固定軸53cに揺動可能に支持されている。羽根20d1、20d2、20d3および小絞り羽根20d4にはカム溝29a、29b、29c、29dがそれぞれ形成されておりモータからの動力を羽根に伝達する伝達部材の駆動ピン42と係合している。駆動ピン42の揺動に伴って、羽根20d1、20d2はそれぞれ固定軸53a、53bを中心に、羽根20d3および小絞り羽根20d4は固定軸53cを中心に回転し、シャッタ開口11を全開位置、全閉位置、小絞り位置を順次形成するように揺動する。また、図13に示すように、基板10dには羽根20d1、20d2、20d3および小絞り羽根20d4がシャッタ開口11を全開位置、小絞り位置に位置付けられている場合に、各羽根の端部と当接する規制ピン55a、55b、55cが設けられており、これにより、全閉位置を中心に全開位置側及び小絞り位置側の各羽根の揺動が規制されている。
【0058】
ここで、羽根駆動装置1dにおける羽根20d1、20d2はそれぞれ異なる固定軸53a、53bを中心に揺動可能に支持され、全閉位置に近づくにつれてシャッタ開口11に対して同一方向から協働してシャッタ開口11を覆うことによりシャッタ開口11への入射光量を調整するように構成されている。すなわち羽根20d1は全閉位置にて羽根20d2を補助してシャッタ開口11を覆う補助羽根の働きを有している。また羽根20d3および小絞り羽根20d4は同一の固定軸53cを中心に揺動可能に支持されており、羽根20d3は小絞り位置において羽根20d3の端部と当接する規制ピン55bにより、反時計方向の揺動が規制されている。すなわち羽根20d3は小絞り位置にて羽根20d4を保持するための補助羽根の働きを有している。
【0059】
ここで、実施例5に係る羽根駆動装置1dの羽根20d2のカム溝29bは、第1の許容領域である許容領域R1と、第1の規制領域である規制領域R2とを構成しており、補助羽根20d1、20d3の第2のカム溝であるカム溝29a、29cは、第2の許容領域である許容領域R3と、第2の規制領域である規制領域R4とを構成している。許容領域R1およびR3は、駆動ピン42がこの許容領域R1およびR3内にある場合には、羽根20d2および補助羽根20d1、20d3の揺動が許容される領域であり、規制領域R2、R4は、駆動ピン42がこの規制領域R2内にある場合には、羽根20d2および補助羽根20d1、20d3の揺動が規制される領域である。
【0060】
実施例5に係る羽根駆動装置1dの特徴部分について説明する。図18は、羽根駆動装置1dが図15に示す全開位置にある場合において、駆動ピン42以外の要因によって羽根20d1、20d2へ反時計方向へと揺動するよう外力が作用し羽根20d1、20d2の揺動が規制された状態でのカム溝部周辺の拡大図である。図19は、羽根駆動装置1dが図17に示す小絞り位置にある場合において、駆動ピン42以外の要因によって羽根20d3へ時計方向へと揺動するよう外力が作用し羽根20d3の揺動が規制された状態でのカム溝部周辺の拡大図である。
【0061】
ここで、駆動ピン42以外の要因によって羽根20d1、20d2へ反時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合、図18に示すように、羽根20d1のカム溝29aの規制領域R4における縁部29a1が駆動ピン42に対して押圧力Fが作用する。また羽根20d2のカム溝29bの規制領域R2における縁部29b1も同様に駆動ピン42に対して押圧力F1が作用する。ここで押圧力F及びF1と駆動ピン42の揺動方向Dとが略直行するので駆動ピン42は規制領域R2を脱することができずに規制領域R2内に維持される。従って、羽根20d1、20d2に対して反時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、その揺動は規制されることになる。また羽根20d3および小絞り羽根20d4の揺動も規制される。よって複数の羽根を有する場合でもこれら複数の羽根のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0062】
上述したように羽根駆動装置1dの全開位置において、羽根20d2のカム溝29bおよび補助羽根20d1のカム溝29aは共に駆動ピン42が、第1の規制領域である規制領域R2および第2の規制領域であるR4内に維持されるように構成され、羽根20d2および補助羽根20d1の揺動は規制されている。換言すれば、補助羽根20d1の第2のカム溝29aは、駆動ピン42が羽根20d2の第1のカム溝29bの第1の規制領域R2内にある場合に、駆動ピン42と第2の規制領域R4内で係合するように構成されている。この構成により、例えば比較的大きなシャッタ開口を覆うために羽根20d2と補助羽根20d1を用いた場合に、羽根20d2と補助羽根20d1の揺動を同時に規制するカム溝をそれぞれに設けることにより、確実に多数の羽根の揺動を規制することができる。
【0063】
次に羽根駆動装置1dが小絞り位置にある場合において、図17、図19を用いて説明する。上述したように補助羽根20d3および小絞り羽根20d4は同一の固定軸53cを中心に揺動可能に支持されており、補助羽根20d3は小絞り位置において羽根20d3の端部と当接する規制ピン55bにより、反時計方向の揺動が規制されている。また小絞り羽根20d4は規制ピン55cにより、時計方向の揺動が規制されている。ここで、駆動ピン42以外の要因によって補助羽根20d3へ時計方向へと揺動するよう外力が作用した場合、図19に示すように、補助羽根20d3のカム溝29cの規制領域R4における縁部29c1が駆動ピン42に対して押圧力Fが作用する。ここで押圧力Fと駆動ピン42の揺動方向Dとが略直行するので駆動ピン42は規制領域R4を脱することができずに規制領域R4内に維持される。従って、補助羽根20d3に対して時計方向へ揺動するような外力が作用した場合であっても、その揺動は規制されることになる。また羽根20d1、20d2および小絞り羽根20d4の揺動も規制される。よって複数の羽根を有する場合でもこれら複数の羽根のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0064】
また上述したように、シャッタ開口11を、全開位置、全閉位置、小絞り位置のいずれかの状態に保持可能な複数の羽根を有する羽根駆動装置1dの小絞り開口21dがシャッタ開口11に進入した小絞り位置において、駆動ピン42が補助羽根20d3の第2のカム溝29cの第2の規制領域R4内で係合する。このとき補助羽根20d3に外力が加わった場合には、基板に対する補助羽根20d3の移動が抑制され、また羽根20d1、20d2および小絞り羽根20d4の揺動も規制される。これにより、複数の羽根のずれを確実に防止できると同時に、小絞り羽根20d4のカム溝29dに規制領域を設けられない場合でも小絞り羽根20d4のずれを確実に防止でき、撮像画像への悪影響を防止できる。
【0065】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0066】
上記実施例1において、シャッタ開口11に対して羽根20が臨む位置に位置付けられた際に、羽根20の揺動が規制されるように構成されているが、このような構成に限定されず、例えば、シャッタ開口11から羽根20が退避した位置に位置付けられた際に、羽根20の揺動が規制されるように構成してもよい。また、本実施例のように、羽根が一枚のものに限定されず、複数枚の羽根を備えた羽根駆動装置に適用してもよい。この場合、全数枚の羽根に適用してもよく、また一部の羽根のみに適用してもよい。
【0067】
上記実施例1、2、3において、基板に形成されたシャッタ開口11を全閉状態にする羽根に本発明を採用してもよい。また上記実施例2において、NDフィルタが取り付けられた羽根20aに本発明を採用してもよい。
【0068】
上記実施例3において、羽根20bの退避位置と臨む位置において、すなわちシャッタ開口11を全開位置、全閉位置の2つの状態において、羽根20に第1の規制領域R2を、補助羽根20cに第2の規制領域R4を構成する例を挙げたが、シャッタ開口11を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持可能な羽根駆動装置において、その両端の2つの状態において適用してもよい。
【0069】
上記実施例4において、羽根20c1、20c2およびシャッタ開口11より小径の小絞り開口21cを有する小絞り羽根20c3を用いてシャッタ開口11を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持可能な羽根駆動装置の例を挙げたが、シャッタ開口11より小径の2種類の小絞り開口を有する第1小絞り羽根と第2小絞り羽根を用いてシャッタ開口11を第1小絞り、全閉位置、第2小絞りのいずれかの状態に保持可能な複数の羽根を用いた羽根駆動装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1に係る羽根駆動装置の羽根が退避位置にある場合での正面図である。
【図2】実施例1に係る羽根駆動装置の羽根が臨む位置にある場合での正面図である。
【図3】実施例1に係る羽根駆動装置の断面図である。
【図4】実施例1に係る羽根駆動装置の羽根の溝部周辺の位置関係を示した図である。
【図5】実施例2に係る羽根駆動装置の羽根が退避位置にある場合での正面図である。
【図6】実施例2に係る羽根駆動装置の羽根が臨む位置にある場合での正面図である。
【図7】実施例2に係る羽根駆動装置の羽根の溝部周辺の位置関係を示した図である。
【図8】実施例3に係る羽根駆動装置の羽根が退避位置にある場合での正面図及び溝部周辺の拡大図である。
【図9】実施例3に係る羽根駆動装置の羽根が臨む位置にある場合での正面図及び溝部周辺の拡大図である。
【図10】実施例4に係る羽根駆動装置の羽根が全開位置にある場合での正面図である。
【図11】実施例4に係る羽根駆動装置の羽根が全閉位置にある場合での正面図である。
【図12】実施例4に係る羽根駆動装置の羽根が小絞り位置にある場合での正面図である。
【図13】実施例4に係る羽根駆動装置の羽根が全開位置にある場合において、羽根の揺動が規制されている状態を示す正面図及び溝部周辺の拡大図である。
【図14】実施例4に係る羽根駆動装置の羽根が小絞り位置にある場合において、羽根の揺動が規制されている状態での溝部周辺の拡大図である。
【図15】実施例5に係る羽根駆動装置の羽根が全開位置にある場合での正面図である。
【図16】実施例5に係る羽根駆動装置の羽根が全閉位置にある場合での正面図である。
【図17】実施例5に係る羽根駆動装置の羽根が小絞り位置にある場合での正面図である。
【図18】実施例5に係る羽根駆動装置の羽根が全開位置にある場合において、羽根の揺動が規制されている状態での溝部周辺の拡大図である。
【図19】実施例5に係る羽根駆動装置の羽根が小絞り位置にある場合において、羽根の揺動が規制されている状態での溝部周辺の拡大図である。
【符号の説明】
【0071】
10 基板
11 シャッタ開口
20 羽根
20c、20d1、20d3 補助羽根
20c3、20d4 小絞り羽根
21 開口
22 NDフィルタ
24 カム溝
24a 一端部
24b 他端部
24c 縁部
40 伝達部材
41 アーム
42 駆動ピン
50 羽根押え板
R1 許容領域
R2 規制領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタ開口を有する基板と、前記シャッタ開口への入射光量を調整する羽根と、前記羽根に動力を伝達する伝達部材とを備え、
前記伝達部材は、所定位置を支点として揺動する駆動ピンを含み、
前記羽根は、前記駆動ピンと係合する第1のカム溝を有すると共に前記駆動ピンの揺動に伴って所定位置を支点として揺動し、
前記第1のカム溝は、第1の許容領域及び第1の規制領域を含み、
前記駆動ピンが前記第1の許容領域内にある場合には、前記羽根の揺動が許容され、
前記駆動ピンが前記第1の規制領域内にある場合には、前記羽根の揺動が規制される、ことを特徴とする羽根駆動装置。
【請求項2】
前記駆動ピンが前記第1の規制領域内にある場合において、
前記駆動ピンが揺動した場合は、該駆動ピンは前記第1の規制領域を脱することができ、
前記羽根へ外力が作用した場合は、前記駆動ピンは前記第1の規制領域内に維持される、ことを特徴とする請求項1に記載の羽根駆動装置。
【請求項3】
前記第1のカム溝は、前記第1の許容領域及び第1の規制領域が略直角となるようにしてL字状に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の羽根駆動装置。
【請求項4】
前記羽根は、前記駆動ピン及び羽根のそれぞれの支点間を前記第1のカム溝が通過するように揺動する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の羽根駆動装置。
【請求項5】
前記第1のカム溝は、該カム溝の両端部に前記第1の規制領域を有し、前記第1の許容領域及び第1の規制領域が略直角となるようにしてS字状に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の羽根駆動装置。
【請求項6】
前記羽根と同一軸に揺動可能に支持され、該羽根と協働して前記シャッタ開口への入射光量を調整する補助羽根を備え、
前記補助羽根は、前記駆動ピンと係合する第2のカム溝を有し、
前記第2のカム溝は、第2の許容領域及び第2の規制領域を含み、
前記駆動ピンが前記第2のカム溝の一端に揺動した場合に、前記第1のカム溝は、前記駆動ピンと前記第1の規制領域内で係合し、
前記駆動ピンが前記第2のカム溝の他端に揺動した場合に、前記第2のカム溝は、前記駆動ピンと前記第2の規制領域内で係合する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の羽根駆動装置。
【請求項7】
前記羽根は、前記基板の異なる軸に揺動可能に支持された複数の羽根であり、
前記羽根の少なくとも1枚は、前記シャッタ開口より小径の小絞り開口を有し、
前記複数の羽根は、前記駆動ピンの揺動に伴って前記シャッタ開口を全開、全閉、小絞りのいずれかの状態に保持して入射光量を調整する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の羽根駆動装置。
【請求項8】
前記小絞り開口を有する羽根と同一軸に揺動可能に支持される少なくとも1枚の補助羽根を備え、
前記補助羽根は、前記駆動ピンと係合する第2のカム溝を有し、
前記第2のカム溝は、第2の許容領域及び第2の規制領域を含み、
前記小絞り開口が前記シャッタ開口内に進入して小絞り状態を形成しているときに、前記第2のカム溝は、前記駆動ピンと前記第2の規制領域内で係合する、ことを特徴とする請求項7に記載の羽根駆動装置。
【請求項9】
前記羽根は該羽根と異なる軸に揺動可能に支持され、該羽根と協働して前記シャッタ開口を同一方向から覆い、該シャッタ開口への入射光量を調整する補助羽根を含み、
前記補助羽根は、前記駆動ピンと係合する第2のカム溝を有し、
前記第2のカム溝は、第2の許容領域及び第2の規制領域を含み、
前記第2のカム溝は、前記駆動ピンが前記第1のカム溝の前記第1の規制領域内にある場合に、前記駆動ピンと前記第2の規制領域内で係合する、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の羽根駆動装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−258167(P2009−258167A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103845(P2008−103845)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】