説明

耐久性のある、ポリマー−エアロゲルベースの超疎水性コーティング:複合材料

ポリマー−エアロゲル複合コーティング、ポリマー−エアロゲル複合コーティングを含むデバイスおよび物品、ならびにそのポリマー−エアロゲル複合材を調製する方法が提供される。例示的物品は、少なくとも1つの領域を含む表面と、その少なくとも1つの領域上に配置された、少なくとも約140°の水接触角および約1°未満の接触角ヒステリシスを有するポリマー−エアロゲル複合コーティングとを含むことができる。ポリマー−エアロゲル複合コーティングはポリマー、および超高水分含量触媒作用によるポリシリケートエアロゲルを含むことができ、このポリシリケートエアロゲルは、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目、および多数の孔を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の説明)
(政府の権利)
本発明は、Sandia CorporationとU.S. Department of Energyとの間の契約番号DE−AC04−94AL85000、およびU.S. Air Force Office of Scientific Researchより授与されたFA9550−06−C−0033の下に、政府の支援によりなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2008年6月30日に出願された米国仮特許出願第61/077,143号からの優先権を主張し、この仮特許出願は、その全体が本明細書により参考として援用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明の主題は、保護コーティングに、より具体的にはポリマー−エアロゲル複合材に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
エアロゲルは、多孔度99%までを有する独特の固体である。このような大きい多孔度は、エアロゲルに、高表面積、低屈折率、低誘電率、低熱損失係数および低音響速度を含む、いくつかの有用な性質を付与する。しかし、従来の超臨界的なエアロゲル処理がエネルギー集約的であり、かつ従来のエアロゲルは耐久性を欠いているので、エアロゲルの潜在能力が、一般に実現されていない。その上、大部分の超疎水性コーティングは、環境に優しくない恐れがあるフッ素を含有し、また製造するのに費用効果的ではない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来技術のこれらおよび他の問題を克服する必要性が、また、耐久性のある高価でない超疎水性ポリマー−エアロゲルコーティングを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
種々の実施形態により、ポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する一方法が存在する。この方法は、超疎水性コーティング溶液を提供するステップであり、この超疎水性コーティング溶液が、第1の溶媒中に分散された表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを含み、このポリシリケートエアロゲルが、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目を含むステップを含むことができる。この方法はまた、この超疎水性コーティング溶液に、第2の溶媒中に分散された1種または複数のポリマーを含むことができるポリマー溶液を添加して、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を形成するステップと、第1の温度でこのポリマー−エアロゲルブレンド溶液中にポリマーを溶解させるステップとを含むこともできる。この方法はさらに、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を基材表面に塗布することによりポリマー−エアロゲル複合コーティングを形成するステップであり、この間ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を、ポリマー−エアロゲル複合コーティングにおいてポリマーがエアロゲルを濡らすように、第1の温度に保持しているステップを含むことができる。
【0007】
種々の実施形態に従って、少なくとも1つの領域を含む表面と、その少なくとも1つの領域上に配置されたポリマー−エアロゲル複合コーティングであり、ポリマー、および超高水分含量触媒作用によるポリシリケートエアロゲルを含むことができ、このポリシリケートエアロゲルが、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目、および多数の孔を含むポリマー−エアロゲル複合コーティングとを含む物品であって、このポリマー−エアロゲル複合コーティングが、少なくとも約140°の水接触角および約1°未満の接触角ヒステリシスを有している物品が存在する。
【0008】
これらの実施形態のさらなる利点は、以下の記述において一部示されるであろうし、また一部はその記述から明らかであろうし、または本発明の実施により学習され得るものである。これらの利点は、添付される特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せによって、実現および達成されるであろう。
【0009】
前述の一般的記述および下記の詳細な記述は両方とも、例示的および説明的であるだけで、特許請求されるものとして本発明を制約するものではないことが理解されるべきである。
【0010】
本明細書に組み込まれその一部を構成する付属の図面は、本発明の実施形態を例示し、その記述と合わせて、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本教示に従ってポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法を示す図である。
【図2】図2は、本教示に従って例示的物品の一部の横断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の説明)
ここで、その例が付属の図面中に例示されている、本実施形態を詳細に参照する。可能な箇所ではどこでも、図面全体にわたって同一の参照番号は、同一もしくは同様な部分を指すのに使用されるであろう。
【0013】
本発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似値であるが、特定の例中に示される数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、どんな数値も、それぞれのそれらの試験測定において見出される標準偏差から必然的にもたらされるいくつかの誤差を本来的に含むものである。その上、本明細書において開示される全ての範囲は、それらの中に包摂される任意のまた全ての小範囲(sub−range)を包含することを理解されたい。例えば、「10未満」の範囲には、最小値ゼロと最大値10の間の(ゼロと10とを含めて)任意のまた全ての小範囲、すなわち、ゼロ以上の最小値と10以下の最大値とを有する任意のまた全ての小範囲、例えば1〜5が含まれ得る。いくつかの場合、パラメータについて表される数値は、マイナス値を取る可能性がある。この場合、「10未満」として表される範囲の例値は、マイナス値、例えば−1、−2、−3、−10、−20、−30などと考えられる可能性がある。
【0014】
本明細書において使用される用語「疎水性の(hydrophobic)」および「疎水性(hydrophobicity)」は、およそ85°以上の水接触角を有する表面(例えばコーティング表面)の濡れ性を指す。用語「超疎水性の(superhydrophobic)」および「超疎水性(superhydrophobicity)」は、およそ150°以上の水接触角、および非常に低い接触角ヒステリシス(Δθ=θ−θ<1)を有する表面(例えばコーティング表面)の濡れ性を指す。典型的には、例えば、疎水性表面上では、表面を適度に傾ける場合、直径2mmの水滴は玉になるが、表面から流出することはない。表面を傾けると、水滴の下り坂側の接触角が増大し、一方水滴の上り坂側の濡れ角が小さくなる。その前進(下り坂)界面を、固体表面の次の増分(increment)まで前進させることが困難であり、またその後退(上り坂)界面を、固体表面のその小部分で動かすことが困難であるので、水滴は、そのまま停止し、もしくはその場に押し付けられる傾向がある。疎水性表面は、前進接触角と後退接触角の差が1°未満である場合、低い接触角ヒステリシスを有すると言われる。
【0015】
本教示の種々の実施形態に従って、図1は、ポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する例示的な方法100を示し、例えば、例示的なポリマー−エアロゲル複合コーティング210が、図2中に示される。この方法100は、超疎水性コーティング溶液を提供するステップ101を含むことができる。この超疎水性コーティング溶液は、第1の溶媒中に分散された表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを含むことができ、このポリシリケートエアロゲルは、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目を含む。
【0016】
種々の実施形態において、超疎水性コーティング溶液を提供するステップ101は、第3の溶媒と、少なくとも1種のアルコキシシラン前駆体と、水と、酸とを使用して形成される超高水分含量酸触媒作用によるポリシリケートエアロゲルを提供するステップを含むことができ、その場合、このポリシリケートエアロゲルは、表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目および多数の孔を含むことができる。種々の実施形態において、この多数の孔内に流体を配置することができる。例示的流体には、第1の溶媒、アルコキシシランの酸触媒作用による加水分解の1種もしくは複数の反応生成物、および未反応材料(例えば、アルコキシシラン前駆体)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0017】
種々の実施形態において、このアルコキシシラン前駆体は、例えば(R’)Si(OR)4−x(式中、xは1または2であり、またRおよびR’は、同一もしくは異なることができ、有機基例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基など、またはこれらの組合せを含むことができる。)の一般式を有する有機修飾シランモノマーであり得る。このアルコキシシラン前駆体には、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、ブロモプロピルトリメトキシシラン、ヨードプロピルトリメトキシシランおよびクロロメチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランならびに1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタンを含むがこれらに限定されない、1種もしくは複数のシラン化合物が含まれ得る。いくつかの実施形態において、第3の溶媒は、任意の適切な液体例えば、メタノール、エタノールなど、および少なくとも部分的に水混和性がある任意の有機溶媒であり得る。他の実施形態において、酸は、例えば1.0N塩酸などの任意の適切な酸、および任意の水素イオン供給源であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、超高水分含量酸触媒作用によるポリシリケートエアロゲルは、水 対 アルコキシシラン前駆体のモル比が約10〜約80の範囲であり得るように、第3の溶媒と、少なくとも1種のアルコキシシラン前駆体と、水と、酸とを使用して形成することができ、それにより、「超高水分」含量の特質がもたらされる。いくつかの実施形態において、水 対 アルコキシシラン前駆体のモル比は、約80を超えるものであり得る。種々の実施形態において、このポリシリケートエアロゲルは、最初に第3の溶媒をアルコキシシラン前駆体に添加し、続いて水および酸を添加して、反応混合物を形成するステップによって形成することができる。次いでこの反応混合物を撹拌し、約15℃〜約80℃の範囲にある温度におよそ1日〜およそ90日の期間の間、置くことができ、またいくつかの場合、反応混合物を約40℃〜約60℃の範囲にある温度におよそ3日〜およそ10日の期間の間、置くステップによる。反応が完結すると、ポリシリケートエアロゲルは幾分堅くあり得、また使用した第3の溶媒に応じて透明から不透明の外観を有することができる。ポリシリケートエアロゲルは、この段階で弛んだものであるべきではない。反応容器の底を叩くと、ポリシリケートエアロゲル全体にわたって反響をもたらすものであるべきである。過剰の水分、およびより高レベルの酸触媒により、この合成のうち加水分解の部分が支配的な工程となり、縮合が制約を受ける恐れがある。米国特許出願公開第20080113188号、および2007年5月の「Mechanical property characterization of sol−gel derived nanomaterials using an acoustic wave technique」と題するDavid J. Kisselの修士論文は、シリカゲルを形成するゾルゲル法を詳細に記述しており、それらの開示は、それらの全体が本明細書に参照により組み込まれている。
【0019】
超疎水性コーティング溶液を提供するステップ101は、ポリシリケートエアロゲルの多数の孔内に配置された流体を、第4の溶媒で置き換えるステップを含むこともできる。種々の実施形態において、このポリシリケートエアロゲルは砕かれて(broken up)破砕ゲルを形成し、その後破砕ゲルに第2の溶媒を添加することができる。例えばヘキサンなどの、第3の溶媒と混和性がない任意の適切な溶媒を、第4の溶媒として使用することができる。第4の溶媒中の破砕ゲルは、約40℃〜約60℃の範囲にある温度に少なくとも約30分間保持して、溶媒交換させることができる。また最後に、破砕ゲルから過剰の第4の溶媒および流体を除去することができる。これらのステップは、少なくとも1回、好ましくは3回繰り返して、ポリシリケートエアロゲルの多数の孔内に配置された大部分の流体の置き換えを可能とすることができる。新たな第4の溶媒をポリシリケートエアロゲルに添加した後、約10℃未満の温度で冷貯蔵場所に貯蔵することができる。しかし、いくつかの場合に、ポリシリケートエアロゲルは、室温で長い貯蔵寿命を有することができるので、ポリシリケートエアロゲルは室温で新たな第4の溶媒中において貯蔵することもできる。
【0020】
超疎水性コーティング溶液を提供するステップ101は、1種または複数のシリル化剤を使用し、ポリシリケートエアロゲルの表面官能基を誘導体化して、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを形成するステップをさらに含むことができる。種々の実施形態において、ポリシリケートエアロゲルの表面官能基の誘導体化は、シリル化反応が特性として発熱性であるため、ポリシリケートエアロゲルにシリル化剤を徐々に添加するステップを含むことができる。シリル化剤として、例えば、トリメチルクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、および少なくとも1つの疎水性リガンドを含む任意の反応性シランなどの任意の適切なシランを使用することができる。シリル化反応は、溶媒の泡立ちをもたらす可能性があり、泡立ちが止まると直ぐに、ポリシリケートエアロゲルは、約40℃〜約60℃の範囲にある温度でシリル化剤中において約6時間〜約10時間貯蔵して、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを形成することができ、ならびに過剰のシリル化剤を除去することができる。どんな特定の学説によっても制約されようとせずに、第2の溶媒は、例えば、ポリシリケートエアロゲルの表面ヒドロキシル部分などの表面官能基との反応のためにシリル化剤を輸送する助けになると考えられる。
【0021】
超疎水性コーティング溶液を提供するステップ101は、第1の溶媒中の表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルのコーティング溶液を形成するステップをさらに含むことができる。種々の実施形態において、第1の溶媒中の表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルのコーティング溶液は、最初に表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを過剰の第4の溶媒で洗浄し、そして表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを第1の溶媒で少なくとも2回洗浄した後、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルに第1の溶媒を添加して、コーティング溶液を形成するステップによって形成することができる。ある実施形態において、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを音波処理して凝集体を砕き、第1の溶媒中に表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを再分散させることができる。例えばエタノールなどの任意の適切な第1の溶媒を使用することができる。いくつかの実施形態において、第1の溶媒は、第3の溶媒と同じであり得る。他では、第1の溶媒は、第3の溶媒と異なり得る。種々の実施形態において、超疎水性コーティング溶液中の表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルは、約0.1重量%〜約30重量%の、また他の場合に約0.5重量%〜約10重量%の範囲にある濃度を有することができる。いくつかの実施形態において、第1の溶媒は、第3の溶媒と同じであり得る。
【0022】
再びまた図1を参照すると、ポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法100は、超疎水性コーティング溶液にポリマー溶液を添加して、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を形成するステップ102を含むこともでき、この場合このポリマー溶液は、第2の溶媒中に分散された1種または複数のポリマーを含むことができる。ポリマー−エアロゲルブレンド溶液の形成において、エアロゲルマトリックスと結合し、構造的補強をもたらすことができる任意の適切なポリマーを使用することができる。例示的なポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリ(パーフルオロオクチルメタクリレート)および任意の適切なビニルポリマーを含むが、それらに限定されない任意の適切なコポリマー、ホモポリマーまたは1種もしくは複数のポリマーのポリマーブレンドであり得る。例えば、トルエン、アセトン、キシレンおよび酢酸エチルなどの任意の適切な第2の溶媒を使用してポリマーを溶解することができる。いくつかの場合、第2の溶媒は、単一溶媒よりもむしろ溶媒系であり得る。ポリマー溶液中のポリマーは、ポリマーの型、ポリマーの分子量、ポリマーの分子量分布などを含むがそれらに限定されない種々の因子に応じた任意の適切な濃度を有することができる。いくつかの場合、ポリマー溶液中のポリマーは、約1重量%〜約50重量%を超える範囲に、また他の場合、約5重量%〜約50重量%の範囲にある濃度を有することができる。種々の実施形態において、超疎水性コーティングが主要量として存在することができ、またポリマー溶液が少量で存在することができ、この場合、主要量は、約0.5を超える体積分率を指し、また少量は約0.5未満の体積分率を指す。いくつかの場合、ポリマー溶液は、超疎水性コーティング溶液に約0.05〜約0.25の、また他の場合、約0.1〜約0.15の体積分率で添加することができる。しかし、ポリマー溶液は、超疎水性コーティング溶液に、任意の所望される量で添加することができる。
【0023】
ポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法100は、第1の温度でポリマー−エアロゲルブレンド溶液中にポリマーを溶解するステップ103と、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を基材表面に塗布することによりポリマー−エアロゲル複合コーティングを形成するステップ104であり、この間ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を、ポリマー−エアロゲル複合コーティングにおいてポリマーがエアロゲルを濡らすように、第1の温度、または第1の温度を超える温度に保持するステップ104とを含むこともできる。いくつかの実施形態において、第1の温度でポリマー−エアロゲルブレンド溶液中にポリマーを溶解するステップは、第1の温度で撹拌と共に、ポリマーが溶解するまでポリマー−エアロゲルブレンド溶液を加熱するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1の温度は、少なくとも約100℃、他の場合少なくとも約50℃、またいくつかの他の場合少なくとも約室温であり得る。種々の実施形態において、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液は、例えば、浸し塗り、はけ塗り、ローラ塗り、吹付け塗り、スピンコーティング、キャスティングおよび流し塗りなどの任意の適切な技術を使用して、基材表面に塗布することができる。基材表面のために、例えば、金属、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、プラスチックおよび布などの任意の適切な材料を使用することができる。いくつかの実施形態において、ポリマー−エアロゲル複合コーティングを形成するステップ104は、第1の温度を超える第2の温度まで基材を加熱するステップをさらに含むことができる。ある実施形態において、第2の温度は、約50℃〜約300℃の、またいくつかの場合約100℃〜約250℃の範囲にあり得る。しかし、いくつかの実施形態において、第2の温度で基材を加熱するステップは、ポリマー成分が良く分散され、エアロゲルマトリックス中で濡れている場合、必要ではない可能性がある。さらに、第2の温度まで加熱するステップは、第2の溶媒、ポリマー、ポリマー含量などを含むがこれらに限定されない様々な因子に応じて決まる。
【0024】
どんな特定の学説によっても制約されようとせずに、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を処理する間、ポリマーと、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルとが一緒にブレンドされて、加熱するステップに先立って、相分離を生じると考えられる。約50℃〜約300℃の範囲で加熱すると、それによりポリマーが表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを被覆する/濡らす。さらに、この堆積の間、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルの粗さが保持されるという事実は、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルの超疎水性の保持を可能にする。ポリマーが多過ぎると、そのため水接触角がポリマーそれ自体の水接触角に近づく可能性がある。
【0025】
図2は、本教示の種々の実施形態に従って、例示的物品200の一部の横断面を概略的に図示する。例示的物品200は、表面220を含むことができ、この表面220は、少なくとも1つの領域230と、その少なくとも1つの領域230上に配置されたポリマー−エアロゲル複合コーティング210とを含むことができ、この場合このポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、少なくとも約140°の水接触角、および約1°未満の接触角ヒステリシスを有することができる。表面220の少なくとも1つの領域230として、金属、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、プラスチックおよび布を含むが、それらに限定されない任意の適切な材料を使用することができる。種々の実施形態において、ポリマー−エアロゲル複合コーティング220は、1種または複数のポリマーと、超高水分含量酸触媒作用によるポリシリケートゲルとを含むことができ、この場合ポリシリケートエアロゲルは、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目および多数の孔を含むことができる。ポリマー−エアロゲル複合コーティング210において、エアロゲルマトリックスと結合し、構造的補強をもたらすことができる任意の適切なポリマーを使用することができる。例示的なポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリ(パーフルオロオクチルメタクリレート)または任意の適切なビニルポリマーを含むが、それらに限定されない任意の適切なコポリマー、ホモポリマーまたは1種もしくは複数のポリマーのポリマーブレンドであり得る。例示的なシリル化剤には、トリメチルクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザンまたは、少なくとも1つの疎水性リガンドを含む任意の反応性シランが含まれ得るが、それらに限定されない。ポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、任意の適切な量で1種または複数のポリマーを含むことができる。いくつかの場合、ポリマー−エアロゲル複合コーティング中に、ポリマーは、約5体積%〜約50体積%の量で存在することができる。しかし、ポリマー−エアロゲル複合コーティング中に、ポリマーは、ポリマー−エアロゲル複合材のエアロゲル成分の機能性表面粗さをまだ保持することができる任意の適切な量で存在することができる。種々の実施形態において、ポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、約0.2μm〜約3μmの厚さを有することができる。種々の実施形態において、本明細書において開示される例示的ポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、約600nmにおける約1.0〜約1.2の範囲における低い屈折率を有することができ、光学的に透明であり得る。
【0026】
ある実施形態において、ポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、約1800時間以上腐食に耐えることができる。種々の実施形態において、例示的物品200には、それらに限定されずにアンテナ、窓、自動車、航空機、建物、布地、ボート、部分的にかつ/または完全に水没した水中構造体が含まれ得る。そしてポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、水環境における、自己清浄性表面、反射防止コーティング、防氷コーティング、防曇コーティング、抗菌コーティング、耐汚染性コーティング、および摩擦抵抗低減コーティングを含むがこれらに限定されない様々な用途に使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示のポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、氷付着防止のため航空機の翼上に塗布することができる。
【0027】
一般に、本明細書において開示されるポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、他の超疎水性材料の全ての利点を有するが、従来のエアロゲルよりも優れた耐摩耗性を含む、はるかにより大きな耐久性を提供する。その上、本開示のポリマー−エアロゲル複合コーティング210は、よりコストが安く、生物学的用途のために安全である。また、本開示のポリマー−エアロゲル複合コーティング210の製造においてフルオロ−アルキルシランおよび同様のフッ素化試薬を使用しないことによって、ポリマー−エアロゲル複合コーティング210およびそれらの製造方法100は、環境に優しいものである。
【0028】
本明細書において以下に実施例が示され、本開示の実施において利用することができる反応物および反応条件の種々の量および型を例示している。しかし、本開示は、本実施例において使用されるものよりも他の反応物および反応条件の量および型で、ならびに、上記の開示に従いかつ本明細書において以後指摘される、得られるデバイス、種々の異なる性状および用途で、実施することができる点は明らかであろう。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
ポリマー−エアロゲル複合材のためのポリマー成分、ポリ(メチルメタクリレート)の調製
約25mlの蓋のないシンチレーションバイアル内で、ポリマーであるポリ(メチルメタクリレート)を調製した。開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、および得られた分子量分布を歪ませるため連鎖移動剤としてドデカンチオールを使用して、メタクリル酸メチルを熱重合させた。ポリマーを調製するのに使用した試薬の重量分率を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
試薬を完全に混合した後、その溶液を、温度約170℃のホットプレート上に配置した。紫外線硬化のため、およそ同一重量分率の光開始剤を使用し、ガスを抜き、続いて窒素パージを行った。重合後、ポリマーをトルエン中に溶解し、続いて、残留モノマーを除去するため、エタノール中で濾過および沈殿させた。エタノールを除去した後、ポリマーを、再びトルエン中に約10重量%溶解させた。次いで、この溶液を超疎水性コーティング溶液に添加して、本複合材料を生成させた。
【0032】
(実施例2)
超疎水性コーティング溶液の形成
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示した試薬を、それらを掲げた順序により合わせた。反応混合物を撹拌し、約50℃でおよそ120時間の期間、置いた。反応が完結すると、ゲルが形成された。ゲルは不透明な外観を有し、幾分堅かった。清浄な器具(例えば、撹拌棒、スパチュラなど)でゲルを砕き、反応容器内の破砕したゲルにおよそ100mlのヘキサンを添加した。約50℃で少なくとも30分間溶媒交換させた。溶媒交換期間の後、ガラスピペットおよび/またはシリンジで過剰のヘキサンを除去し、ヘキサン洗浄を少なくとももう一度繰り返した。過剰のヘキサンを排出した後、新たなヘキサン中で、ゲルを冷貯蔵場所に置いた。およそ50mlのトリメチルクロロシラン(TMCS)(クロロトリメチルシランとも呼ばれる)を、反応の発熱性のため、約8ml〜約12mlの増加分で徐々にゲルに添加した。泡立ちが止まると直ぐに、反応容器を閉じ、約50℃で少なくとも約8時間置いた。ガラスピペットで過剰のTMCSを除去し、過剰のヘキサン(およそ100ml)で洗浄した。ヘキサン洗浄を少なくとももう一度繰り返した。過剰のヘキサンを除去した後、ヘキサンで行ったように、過剰のエタノール(およそ100ml)で洗浄し、本溶液調製前にエタノール洗浄を少なくとも1回繰り返した。最後の洗浄ステップから過剰のエタノールを除去し、本超疎水性コーティングの所望の厚さのために適正な体積のエタノールを添加した。
【0035】
(実施例3)
ポリマー−エアロゲル複合コーティングの調製
約25mlのシンチレーションバイアル中に、実施例2の超疎水性コーティング溶液を体積分率約0.8696で添加した。実施例1のポリマー/トルエン溶液を体積分率約0.1304で、実施例2の超疎水性コーティング溶液に添加して、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を形成させた。このポリマー−エアロゲルブレンド溶液を約50℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで撹拌した。このポリマー−エアロゲルブレンド溶液を基材表面に塗布し、その間ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を50℃に保持して、エアロゲルマトリックス内におけるポリマーの適切な分散を確保した。塗装の後、約180℃〜約200℃の範囲にある温度で少なくとも約2分間基材を加熱して、約144nmの厚さを有するポリマー−エアロゲル複合膜を形成させた。そのままのポリマー−エアロゲル複合膜は、約159.40°および159.30°の水接触角を示した。破壊性磨耗試験の後、ポリマー−エアロゲル複合膜は、約143.00°および142.50°の水接触角を示した。破壊性磨耗試験は、ゴム手袋で覆った指でポリマー−エアロゲル複合膜を激しく摩擦することにより行った。したがって、本ポリマー−エアロゲル複合膜は耐摩耗性を示した。
【0036】
本発明は、1つまたは複数の実施態様に関して例証されているが、添付した特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱せずに例示した実施例に対して変更および/または修正を行うことができる。さらに、いくつかの実施態様の1つのみに関して本発明の特定の特徴が開示され得ているが、このような特徴は、任意の所与のもしくは特定の機能について所望され得、かつ有利であり得るように、他の実施態様の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。その上、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」またはこれらの変形形態が、詳細な説明(detailed description)および特許請求の範囲(claims)のどちらでも使用される範囲まで、このような用語は、用語「含む(comprising)」と同様な形で包括的であることを意図されている。本明細書において使用される語句、例えば、A、BまたはCの「1つまたは複数(one or more of)」は、次のいずれかを意味している:A、BまたはC単独のいずれか;あるいは、AとB、BとC、AとCなどの2つの組合せ;あるいは、A、BおよびCの3つの組合せ。
【0037】
本発明の他の実施形態は、本明細書、および本明細書において開示される本発明の実施を考慮すれば、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は例示的のみのものとみなされ、本発明の真の範囲および趣旨は、下記の特許請求の範囲によって示されることを意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法であって、
超疎水性コーティング溶液を提供するステップであり、該超疎水性コーティング溶液が、第1の溶媒中に分散された表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを含み、該ポリシリケートエアロゲルが、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目を含むステップと、
該超疎水性コーティング溶液にポリマー溶液を添加して、ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を形成するステップであり、該ポリマー溶液が、第2の溶媒中に分散された1種または複数のポリマーを含むステップと、
第1の温度で該ポリマー−エアロゲルブレンド溶液中に該ポリマーを溶解させるステップと、
該ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を基材表面に塗布することによりポリマー−エアロゲル複合コーティングを形成するステップであり、この間該ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を、該ポリマー−エアロゲル複合コーティングにおいて該ポリマーが該エアロゲルを濡らすように、該第1の温度に保持するステップと
を含む方法。
【請求項2】
超疎水性コーティング溶液を提供する前記ステップが、
第3の溶媒、少なくとも1種のアルコキシシラン前駆体、水および酸を使用して形成される超高水分含量酸触媒作用によるポリシリケートエアロゲルを提供するステップであり、該ポリシリケートエアロゲルが、表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目および多数の孔を含み、該多数の孔内に流体が配置され、該流体が該第3の溶媒を含むステップと、
該ポリシリケートエアロゲルの該多数の孔内に配置された該流体を、該第3の溶媒と非混和性である第4の溶媒で置き換えるステップと、
該表面官能基を、シリル化剤を使用し誘導体化して、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを形成するステップと、
第1の溶媒中において該表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルの超疎水性コーティング溶液を形成するステップと
を含む、請求項1に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項3】
前記アルコキシシラン前駆体が、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、ブロモプロピルトリメトキシシラン、ヨードプロピルトリメトキシシランおよびクロロメチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランならびに1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタンからなる群から選択される1種または複数のシラン化合物を含む、請求項2に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項4】
前記シリル化剤が、トリメチルクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、および少なくとも1つの疎水性リガンドを含む任意の反応性シランの1種または複数を含む、請求項2に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項5】
前記第3の溶媒が、前記第1の溶媒と同じである、請求項2に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項6】
前記ポリシリケートエアロゲルの前記多数の孔内に存在する前記第3の溶媒を、第4の溶媒で置き換える前記ステップが、
(a)該超高水分含量酸触媒作用によるポリシリケートエアロゲルを砕いて、破砕ゲルを形成するステップと、
(b)該破砕ゲルに、約40℃〜約60℃の範囲にある温度で少なくとも約30分間第4の溶媒を添加するステップと、
(c)該破砕ゲルから、過剰な該第4の溶媒および該第3の溶媒を除去するステップと、
(d)ステップbおよびcを、少なくとも3回繰り返すステップと
を含む、請求項2に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項7】
前記表面官能基を、シリル化剤を使用し誘導体化して、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを形成する前記ステップが、
前記ポリシリケートエアロゲルにシリル化剤を徐々に添加するステップであり、該シリル化剤が、トリメチルクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、および少なくとも1つの疎水性リガンドを含む任意の反応性シランの1種または複数を含むステップと、
該ポリシリケートエアロゲルを、約40℃〜約60℃の範囲にある温度でシリル化剤中において約6時間〜約10時間貯蔵して、表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを形成するステップと、
過剰の該シリル化剤を除去するステップと
を含む、請求項2に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項8】
第1の溶媒中において前記表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルのコーティング溶液を形成する前記ステップが、
該表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを前記第4の溶媒で洗浄するステップと、
該表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルを前記第1の溶媒で少なくとも2回洗浄するステップと、
該表面誘導体化ポリシリケートエアロゲルに該第1の溶媒を添加して、コーティング溶液を形成するステップと
を含む、請求項2に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項9】
前記第1の溶媒が、前記第2の溶媒と同じである、請求項1に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項10】
前記ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリ(パーフルオロオクチルメタクリレート)および任意の適切なビニルポリマーの1種または複数を含む、請求項1に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項11】
ポリマー−エアロゲル複合コーティングを形成する前記ステップが、浸し塗り、はけ塗り、ローラ塗り、吹付け塗り、スピンコーティング、キャスティングおよび流し塗りの少なくとも1種を使用して前記ポリマー−エアロゲルブレンド溶液を塗布するステップを含む、請求項1に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項12】
ポリマー−エアロゲル複合コーティングを形成する前記ステップが、前記第1の温度を超える第2の温度まで前記基材を加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項13】
前記基材表面が、金属、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、プラスチックおよび布の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のポリマー−エアロゲル複合コーティングを調製する方法。
【請求項14】
少なくとも1つの領域を含む表面と、
該少なくとも1つの領域上に配置されたポリマー−エアロゲル複合コーティングであり、1種もしくは複数のポリマー、および超高水分含量触媒作用によるポリシリケートエアロゲルを含み、該ポリシリケートエアロゲルが、シリル化剤により誘導体化された表面官能基を有するシリカ粒子の三次元網目、および多数の孔を含むポリマー−エアロゲル複合コーティングと
を備える物品であって、
該ポリマー−エアロゲル複合コーティングが、少なくとも約140°の水接触角、および約1°未満の接触角ヒステリシスを有する物品。
【請求項15】
前記シリル化剤が、トリメチルクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、および少なくとも1つの疎水性リガンドを含む任意の反応性シランの1種または複数を含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリ(パーフルオロオクチルメタクリレート)および任意の適切なビニルポリマーの1種または複数を含む、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
前記表面が、金属、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、プラスチックおよび布の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項18】
前記ポリマーが、前記ポリマー−エアロゲル複合コーティング中に、約5体積%〜約50体積%の量で存在することができる、請求項14に記載の物品。
【請求項19】
前記ポリマー−エアロゲル複合コーティングが、約1800時間以上腐食に耐える、請求項14に記載の物品。
【請求項20】
前記ポリマー−エアロゲル複合コーティングが、水環境における、自己清浄性表面、反射防止コーティング、防氷コーティング、防曇コーティング、抗菌コーティング、耐汚染性コーティング、および摩擦抵抗低減コーティングの少なくとも1つのために使用される、請求項14に記載の物品。
【請求項21】
前記デバイスが、アンテナ、窓、自動車、航空機、建物、布地、ボート、部分的および/または完全に水没した水中構造体の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−526958(P2011−526958A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516802(P2011−516802)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/049205
【国際公開番号】WO2010/033288
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(503128320)
【氏名又は名称原語表記】STC.UNM
【Fターム(参考)】