説明

耐引掻性に優れ、経時的に安定な金属状外観を有する物品を製造するための粉末組成物

【課題】経時的に安定で且つ引掻特性に優れた金属外観を有する物品を製造するための組成物。
【解決手段】組成物全体重量に対して(1)50重量%〜99.9重量%の少なくとも一種の熱可塑性ポリマーと、(2)0.1重量%〜5重量%の光学的効果を有する少なくとも一種の顔料と、(3)0〜0.3重量%の少なくとも一種の金属顔料とから成る組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属状外観を有する物品を製造するための粉末組成物に関するものである。本発明は特に、少なくとも一層の粉末層の溶融させる粉末凝集によって物品の表面の少なくとも一部(すなわち少なくとも外表面)を製造する方法に関するものである。
【0002】
本発明はさらに、粉末の溶融または照射焼結によって少なくとも一つの粉末層を凝集させて三次元物品の全体またはその少なくとも表面の一部を製造する方法に関するものである。「照射」という用語は、3D物品または物品の少なくとも表面の一部の製造、例えば物品への塗装のための例えばレーザー光線(レーザー焼結)、赤外線、紫外線または粉末を溶かすことができる他の任意の電磁放射線を意味する。従って、本発明は特に、食器洗い機の金属バスケットのような物品を被覆(コーティング)するためのポリマー被覆の分野に関するものである。この被覆では物品上に粉末の少なくとも一層を予め形成し、それを溶融して物品上にフィルムを形成する。この被覆(コーティング)は静電塗装法、流動床浸漬法、静電摩擦床法(特許文献1参照)、その他の当業者に公知の方法を用いて工業的規模で実施できる。
【背景技術】
【0003】
特許文献2(米国特許第US 5 520 956号明細書、メルク)には架橋(熱硬化)によって得られる皮膜の光沢効果を有する顔料の使用が記載されている。
【0004】
特許文献3(米国特許第2007/0 032 574号明細書、Eckart)には表面が有機燐化合物によって変成された真珠顔料を被覆粉末で使用することが記載されている。使用する被覆粉末はポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレートまたはエポキシ樹脂である。
【0005】
このタイプのポリマー被覆には耐摩耗性が不充分、耐食性が不充分、正確な時間と温度条件下でオーブン中で架橋する等の複雑な操作を必要とする等のいくつかの欠点がある。
【0006】
また、熱可塑性ポリオレフィン(例えばポリエチレンまたはポリプロピレンをベース)粉末、極性官能基、例えば(メタ)アクリル酸から得られる被覆、例えばPlascoat社の特許文献4(英国特許第GB 2097809号公報)に記載のものから作ることもできる。しかし、この被覆は耐摩耗性および孔食強度が不充分であるため、金属金網からなる物品、例えば食器洗い機のバスケットでの使用が困難である。
【0007】
これに対してポリアミドの被覆は優れた耐摩耗性、優れた耐食性を示し、使用が非常に容易である。ポリアミド被覆は特許文献5〜10に記載されている。
【0008】
従来の被覆で最も頻繁に遭遇する欠陥は「局部腐食」、「ブリスタリング」、「フィッシュアイ」、「端縁剥離」および「オレンジ肌(peau d'ornage)」である。
【0009】
局部腐食はポリマー皮膜の塗布欠陥に起因してフィルムの形成時および硬化時に被覆表面全体にホールが生じることに対応する。ブリスタリングはポリマー皮膜の表面が火膨れすることに対応する。フィッシュアイはフィルムの一定面積で被覆が消滅して外観は不完全になることで特徴づけられる。一般にフィッシュアイは被覆が十分に表面を濡らすことができない時、または、ポリマー粒子の合体が悪い時に生じる。溶融被覆はフィッシュアイに似た形になる。端縁ストリッピング欠陥または端縁剥離は物品端部のポリマー皮膜が痩せた被覆になることに関連する。他の外観の欠陥はオレンジ肌すなわちポリマー皮膜の緊縮不足に起因する被覆の過剰な表面波打ちである。
【0010】
これらの欠陥は醜いだけでなく、腐食が問題になる。また、物品の被覆および表面によって色が変化し、黄変が起こる。
【0011】
現在のマーケットのニーズは防食性が高く且つ外観が改良された被覆、特に金属の外観、例えば銀色、金色または虹色の外観を有する被覆である。塗膜の金属外観を改良するために被覆の形成時に金属顔料を使用する。
【0012】
特許文献10(米国特許公開第US 2006/0135670号明細書)には金属外観の被覆を得るために金属粉末、例えばステンレス鋼の粉末を含む熱可塑性ポリマー組成物が記載されている。この特許で使用する金属粉末の量は100重量部の熱可塑性ポリマーに対して1〜10重量部、好ましくは1〜3重量部の範囲である。金属顔料を含むこの被覆で一般的に観測される欠点は金属の効果が低下し、水と持続的に接触した時の被覆が曇る(ternissement)点にある。ある種の両性金属は水溶媒質と反応すると化学種が形成され、使用中に金属粒子(従って被覆)が曇る点にある。
【0013】
この曇りの問題を減らすための実際の一つの手段は水非浸透性マトリックスを使用し、例えばシリカで被覆された金属粒子(例えばアルミニウム)を使用することに本質がある。これは特に非リーフ状アルミニウムの場合のものであるが、この手段では必要な外観が得られない。その他の問題点は加水分解により被覆が脆弱化する点にある。
【0014】
これに対して、他の熱可塑性ポリマー、特にポリアミド(PA)、特にポリアミド11は優れた耐加水分解性および耐エッチング性、耐摩耗を有し、加工(例えば流動床浸漬)が容易である。従って、結晶質ポリアミドは食器洗い機のバスケットの被覆に特に適したバリヤー材である。
【0015】
他の問題点は組成物中に顔料を乾式混合した時に顔料が分離する点にある。塗布時の顔料の遊離の問題点は主としても静電気力の存在に関連するポリマーと顔料が分離する点にある。この問題を避けるためには顔料に適した粒径を選択し、充分な混合時間を選択する必要がある。
【0016】
金属被覆の主たる問題は任意の表面上での物体の磨耗が大きくなる点にある。これは被覆された物品が透明な場合に特に問題になる。トップコートではその塗布中にポリマーを再溶融する間に変化するのでこの問題はトップコートを使用した場合には解決できない。
【0017】
物品、特に金属物品に摩擦を加えた時の深い擦り傷に関する被覆の能力または物品表面の被覆能力を「引掻特性(crayonnage)」「金属マーキング特性(metal marking)」といわれる。ポリマーマトリックスを深く傷つけない場合でも、物品の被覆表面がわずかに摩擦しただけで美観を損なう筋がフィルム表面上にでき、フィルムに軽い色が付く。マークは物品を使用する度、さらにはその使用前、メンテナンス中、取付け中、輸送中に被覆上に蓄積され、物品の被覆の美的外観は急速に失なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許第EP 1 119 422号公報
【特許文献2】米国特許第US 5 520 956号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2007/0 032 574号明細書
【特許文献4】英国特許第GB 2097 809号公報
【特許文献5】欧州特許第EP 0 367 653号公報
【特許文献6】欧州特許第EP 0 706 544号公報
【特許文献7】欧州特許第EP 0 821 039号公報
【特許文献8】欧州特許第EP 1 453 906号公報
【特許文献9】欧州特許第EP 1 541 650号公報
【特許文献10】国際特許第WO 2008/029 070号公報
【特許文献11】米国特許公開第US 2006/0 135 670号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の一つの目的は、上記の表面または被覆の欠陥を避け、金属外観を有する物品のポリマー被覆および/またはポリマー表面部分の引掻特性(crayonnage)を向上させることにある。
本発明の他の目的は、経時的に安定で美的(魅惑的)な均一な外観を維持することができる、すなわち、複数回の摩擦および/または物品を使用した後でも外観および金属色が変化しない、3D(三次元)物品(または少なくともその一部)を製造するための組成物および/または物品の塗膜組成物を提供することにある。
または少なくとも表面一部を生産できる
本発明の他の目的は、引掻特性に優れた被覆ポリマーと、そうした被覆を得るための被覆方法とを提供することにある。
【0020】
本発明者は、物品の製造時に粉末組成物、特に被覆組成物で、有効量の効果顔料(効果顔料、pigment a effets)、例えば真珠層を使用し、しかも、金属顔料、特にアルミニウムの含有量を制限することで物品表面または塗膜で引掻特性の低下を防ぐことができ、しかも、物品またはその被覆の美的外観、特に金属外観を向上できるということを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の対象は、下記(1)〜(3)から成る、経時的に安定で且つ引掻特性に優れた金属外観を有する物品を製造するための組成物(組成物の全量に対する比率)にある:
(1)50重量%〜99.9重量%の少なくとも一種の熱可塑性ポリマー、
(2)0.1重量%〜5重量%の少なくとも一種の光学効果顔料(pigment a effet optique)、
(3)0〜0.3重量%の少なくとも一種の金属顔料。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例で使用した引掻特性試験機を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「経時的に安定な金属外観を有する物品」とは、上記の欠点または欠陥がなく、特に、磨耗特性または「金属マーキング特性」での欠点または欠陥がなく、
しかも、これらの欠陥が時間が経過しても(物品の使用中に)生じないことを意味する。
【0024】
本発明組成物は、さらに、上記熱可塑性ポリマー以外のポリマー、充填剤、添加剤、標準の単色顔料またはこの種の粉末組成物で使用される他の任意の原料の中から選択される一つ以上の他の成分を49.9重量%以下の比率で含むことができる。
【0025】
ベースとなる少なくとも一種の熱可塑性ポリマーはポリアミド、好ましくはポリアミド:PA11、PA12、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA6.18、PA10.10、PA10.12、コポリアミドおよびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0026】
上記の少なくとも一種の効果顔料(pigment a effet)は回折(diffractive)顔料、干渉(interferentiel)顔料、反射 (reflechissant) 顔料およびこれらの混合物の中から選択される。
【0027】
上記の回折顔料は下記(1)〜(3)の中から選択するのが好ましい:
(1)金属およびその合金の中から選択される反射材料から成る単層(monocouche)顔料、
(2)少なくとも一つの側面が誘電材料の層で被覆された、金属とその合金および非金属反射材料の中から選択される反射材料の層を有する多層 (multicouche) 構造を有する顔料、
(3)予め形成された誘電体またはセラミック原料から成る顔料、例えば天然ラメラ (lamelle) または合成ラメラの層状鉱物およびその混合物。
【0028】
上記の干渉顔料は真珠層(nacres)、反射干渉 (reflechissant interferentiel)粒子およびゴニオクロマティック(goniochromatic)顔料およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0029】
上記のゴニオクロマティック顔料は干渉多層構造および液晶着色剤の中から選択するのが好ましい。
【0030】
上記真珠層は真珠層顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタン・マイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタン・マイカ、有機染料で被覆されたチタン・マイカ、オキシ塩化ビスマスベースの真珠層の顔料、表面に金属酸化物および/または有機染料の少なくとも2つの連続した層が積層されたマイカ粒子およびこれらの混合物にするのが好ましい。
【0031】
上記の反射干渉粒子は下記の中から選択するのが好ましい:
(1)金属酸化物、特に酸化チタンまたは合成で得られる酸化鉄、
(2)少なくとも一種の反射材料の層、特に少なくとも一つの金属または金属材料の層で少なくとも部分的に被覆された天然または合成の基質を有する多層構造物。
【0032】
上記の少なくとも一つの金属顔料はアルミニウム、銅、銅またはアルミニウム合金およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。アルミニウムはフィルム状(pelliculant)アルミニウムであるのが好ましい。
【0033】
上記の少なくとも一種のポリマーがポリアミド11で、少なくとも一種の効果顔料が組成物の全量に対して0.1重量〜1重量%の真珠層で、少なくとも一種の金属顔料が組成物の全量に対して0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下のアルミニウムであるのが好ましい。
【0034】
本発明組成物は少なくとも一種の添加剤および/または少なくとも一種の充填剤および/または少なくとも一種の単色顔料をさらに含むのが好ましい。上記の少なくとも一種の添加剤は抗酸化剤、熱安定剤、耐食剤、流動性または流動性向上剤、塗膜形成剤、塗膜形成助剤、ゴム、半結晶性重合体、保存剤、紫外線安定剤およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0035】
上記の少なくとも一種の充填剤は酸化物、シリカ、石英、アモルファス・シリカ、珪藻土、シリケート、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、珪酸カルシウム、トリメチルシロキシシリケート、カーボネート、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウム水素カーボネート、ドロマイト、硫酸化物、ヒドロキシ燐灰石、窒化硼素、中空シリカマイクロスフェア、ガラスまたはセラミックのマイクロカプセル、シリカ、酸化チタンおよびこれらの混合物の中から選択できる。
【0036】
本発明のさらに他の対象は、上記の粉末組成物の少なくとも一層を溶融して得られる経時的に安定で且つ耐金属マーキング特性に優れた金属外観を有する被覆にある。
【0037】
本発明のさらに他の対象は、上記の粉末組成物を溶融−凝集させて物品の少なくとも表面を製造する方法にある。この粉末組成物の溶融−凝集は電磁放射線、例えばレーザー光線、赤外線または紫外線によって起こさせるのが好ましい。
【0038】
物品の表面部分は本発明の粉末組成物の凝集によって形成された少なくとも一層の被覆を有し、この被覆は経時的に安定で、金属マーキング特性に優れた金属外観を有し、少なくとも下記工程を有する方法で作るのが好ましい:
(1)上記粉末組成物の各成分を好ましくは500〜3000回転数/分の回転速度で混合し、
(2)得られた粉末を篩分けし、
(3)被覆すべき物品の表面の少なくとも一部を加熱し、
(4)上記物品の少なく一部を上記粉末組成物中に浸漬し、
(5)空気および/または水で上記物品を冷却する。
【0039】
本発明のさらに他の対象は、経時的に安定で且つ金属マーキング特性に優れた金属外観を有する物品の製造での上記本発明組成物の使用にある。この場合の本発明の対象は被覆、ペイント、耐食組成物、多層複合材材料、電磁放射線によって起こる溶融または焼結で得られる物品、包装材料、玩具、織物、装飾部品、自動車、航空機、家庭電気商品および/またはエレクトロニクス部品の製造での使用にある。
【0040】
本発明のさらに他の対象は、上記定義の粉末組成物の少なくとも一層を溶融して得られる経時的に安定で且つ金属マーキング特性に優れた金属外観を少なくとも一つの表面部分に有する物品にある。この物品は本発明の粉末組成物から成る被覆を有するのが好ましい。
本発明のさらに他の対象は、上記定義の本発明粉末組成物から得られる被覆を有する食器洗い機のバスケットにある。
【0041】
本発明の組成物は粉末凝集プロセスによって物品を製造するのに使用できる。特に、任意の物品、特に例えばアルミニウム、アルミニウム合金、鋼およびその合金等で作られた金属物品の被覆および/または保護で使用できる。本発明は、特に金網でできた物品、例えば食器洗い機の金属バスケットの被覆に有用である。
本発明組成物は非金属の物品、例えば木、プラスチックまたはセラミックの被覆に使用することもできる。
【0042】
本発明の組成物は、一般に粉末の形をしたベースとなるポリマー、特に熱可塑性ポリマーと、効果顔料、例えば真珠層とを含む。本発明組成物はさらに、組成物の全量に対して0.3重量%以下の金属顔料および/または基準着色材料、例えば標準単色顔料を含むことができる。
【0043】
ポリマー
本発明組成物に適したポリマーの例としてはポリアミド(ホモポリアミドおよびコポリアミド)、ポリオレフィン、エポキシおよびポリエステル、エポキシ/ポリエーテル複合体およびポリウレタンを挙げることができる。
「ポリアミド(ホモポリアミドおよびコポリアミド、以下CoPAとして略記)」という用語は下記の中から選択される同じモノマー(ホモポリアミドの場合)または複数のモノマー(CoPAの場合)の重合または縮合生成物を意味する:
(1)アミノ酸またはアミノカルボン酸タイプ、好ましくはα、ω−アミノカルボン酸モノマー、
(2)主環上に3〜18個の炭素原子を有する置換されていてもよいラクタムタイプのモノマー、
(3)4〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンと4〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸との反応で得られる「ジアミン.二酸」タイプのモノマー、
(4)アミノ酸タイプのモノマーとラクタムタイプのモノマーとの混合物からなるコポリアミドの場合の異なる炭素数を有するモノマーの混合物。
【0044】
コポリアミドの場合、「モノマー」という用語は「反復単位」という意味である。特に、PAの反復単位がジアミンと二酸との組合せでの場合である。これはジアミンと二酸の組合わせ、すなわち(ジアミン.二酸)カップル(等モル量)でこれがモノマーに対応する。これは二酸またはジアミンは各個では構造単位しか表さず、各々単独で重合するものではないということを意味する。
【0045】
アミノ酸タイプのモノマー
言及されることができる酸がそれらが4から18の炭素原子への含むことを含むa,co-aminoの実施例、例えばアミノカプロン酸、7- アミノヘプタン酸、11- アミノウンデカン酸、11-n- ヘプチルアミノウンデカン酸、そして、12- アミノドデカン酸。
【0046】
ラクタムタイプのモノマー
ラクタムの例としては主環上に3〜18の炭素原子を含むものが挙げられ、例としてはb,b-ジメチルプロピオラクタム、a,a-ジ−メチルプロピオラクタム、アミルラクタム、ラクタム6として知られるカプロラクタム、カプリルラクタム、ラクタム8として知られるエナントラクタム、2-ピロリドン、ラクタム12として知られるラウリルラクタムが挙げられる。
【0047】
「ジアミン.二酸」タイプのモノマー
ジカルボン酸の例としては4〜18の炭素原子を有する酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コルク酸、イソフタル酸、ブタン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウム塩またはリチウム塩、ダイマー脂肪酸(このダイマー脂肪酸の二量体の含有量は少なくとも98%で、好ましくは水素化されたもの)、ドデカンジオン酸HOOC-(CH210-000Hが挙げられる。
【0048】
ジアミンの例は4〜18の炭素原子を含む脂肪族ジアミンで、アリールおよび/または飽和環式ジアミンでもよい。その例としてはヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5-ジアミノヘキサン、2,2,4-トリメチル-l,6- ジアミノヘキサン、ジアミン・ポリオール、イソホロン・ジアミン(IPD)、メチルペンタ−メチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、メタ−キシリレンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
【0049】
「ジアミン-二酸」タイプのモノマーの例としてはヘキサメチレンジアミンとC6〜C36二酸との縮合で得られるもの、特に6.6、6.10、6.11、6.12、6.14、6.18モノマーが挙げられる。ドデカジアミンとC6〜C36二酸との縮合で得られるモノマー、特に10.10、10.12、10.14、10.18モノマーまたはテレフタル酸とデカン-ジアミンとの縮合で得られるものすなわちモノマー10.Tが挙げられる。
【0050】
上記の各種モノマーから得られるコポリアミドの例としては少なくとも二つのα、ω−アミノカルボン酸または2つのラクタムまたは一つのラクタムと一つのα、ω−アミノカルボン酸との縮合で得られるコポリアミドが挙げられる。
から作られることが可能であるから。さらに、少なくとも一つのα、ω−アミノカルボン酸(またはラクタム)、少なくとも一つのジアミンおよび少なくとも一つのジカルボン酸の縮合で得られるコポリアミドでもよい。また、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンと上記以外の少なくとも一つの脂肪族ジアミンおよび上記とは異なる脂肪族二酸の中から選択される他のモノマーとの縮合で得られるコポリアミドでもよい。
【0051】
コポリアミドの例としてはカプロラクタムおよびラウリルラクタムのコポリマー(PA 6/12)、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸のコポリマー(PA 6/6.6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸のコポリマー(PA 6/12/6.6)、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸、11-アミノウンデカン酸およびラウリルラクタムのコポリマー(PA 6/6.9/11/12)、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、11-アミノウンデカン酸およびラウリルラクタムのコポリマー(PA 6/6.6/11/12)、ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸およびラウリルラクタムのコポリマー(PA 6.9/12)、2-ピロリドンおよびカプロラクタムのコポリマー(PA 4/6)、2-ピロリドン、カプロラクタムおよびラウリルラクタムのコポリマー(PA 4/12)、カプロラクタムと11-アミノウンデカン酸のコポリマー(PA 6/11)、ラウリルラクタムとカプリルラクタムのコポリマー(PA 12/8)、11-アミノウンデカン酸と2-ピロリドンのコポリマー(PA 11/4)、カプリルラクタムとカプロラクタムのコポリマー(PA 8/6)、カプリルラクタムと2-ピロリドンのコポリマー(PA 8/4)、ラウリルラクタムとカプリルラクタムのコポリマー(PA 12/8)、ラウリルラクタムと11- アミノウンデカン酸のコポリマー(PA 12/11)が挙げられる。
【0052】
特に好ましいのはポリアミド11およびポリアミド12と、モノマー6.10、6.12、6.14、6.18、10.10および10.12を使用したポリアミドおよびコポリアミドである。
【0053】
以下の本発明の一つの好ましい実施例の説明では本発明をPA 11(再生可能な物質であるという追加の利点も有する)の粉末に関して記載するが、本発明がPA 11粉末に限定されるものではない。本発明は任意のPA(ホモポリアミドまたはコポリアミド)粉末も含み、その粒径は5〜1000μm、好ましくは約40〜160μmである。
【0054】
本発明に特に適し且つ市販されているポリアミドの例としてはPA 11をベースにしたアルケマ(Arkema)社からリルサン(Rilsan、登録商標)の名称で市販の例えば、Rilsan T Silver 9103, Rilsan T Silver 9108がある。好ましい粒径はほぼ100μm近くにある(平均粒径d50)。
【0055】
「ポリオレフィン」という用語はエチレン、プロピレン、1-ブテン、その他の単位を含むオレフィンポリマーを意味し、例としては下記が挙げられる:
(1)ポリエチレン、プロピレン、α−オレフィンとエチレンとのコポリマー。これには不飽和カルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸または不飽和エポキシド、例えばメタクリル酸グリシジルがグラフトしていてもよい。
(2)下記から選択される少なくとも一つ化合物とエチレンとのコポリマー:
(i) 不飽和カルボン酸、その塩およびエステル、
(ii) 飽和カルボキシル酸のビニルエステル、
(iii) 不飽和ジカルボン酸、その塩、エステル、ヘミエステルおよび酸無水物、
(iv) 不飽和エポキシド。
これらのエチレンコポリマーには不飽和無水ジカルボン酸または不飽和エポキシドがグラフトされていてもよい。
【0056】
II.顔料
顔料は「金属色」または「虹色」の外観を与える着色材および/または原料で、それが、粉末(着色、白色または黒色)の形で、いわゆる「染料」とは対照的に、溶剤および基質に不溶である。
【0057】
効果顔料(pogment a effect)
本発明の組成物は回折(diffractive)顔料、干渉(interferentiel)顔料、例えば真珠層、反射 (reflechissant) 顔料およびこれらの混合物の中から選択される。
「効果顔料」という用語は特定の光学効果を有する任意の原料を意味する。この効果は従来の単一効果、すなわち、例えば単色顔料のような従来の着色材料が与える単一かつ安定した効果とは異なる。本発明で「安定した」という用語は観察角度または温度の関数で色が変化する効果を意味する。この原料は例えば金属反射を有する粒子、ゴニオクロマティック(goniochromatic)顔料、回折顔料、サーモクロミック(thermochromic)試薬、光学的光沢剤、繊維、特に干渉繊維中から選択できる。また、これらの原料を組み合わせて同時に二つの効果を持たせ、新しい効果を与えることもできるのはいうまでもない。
【0058】
本発明組成物に含まれる効果顔料は回折顔料、干渉顔料および反射顔料およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましく、本発明組成物中に組成物全量に対して0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜1重量%の含有量で存在することができる。特に、少なくとも一つの効果顔料が組成物全量に対して0.1重量%以上の含有量、好ましくは0.2重量%以上、さらには0.3重量%以上含まれるのが好ましい。
【0059】
1.干渉顔料
「干渉顔料」という用語は干渉現象、例えば異なる屈折指数を有する積層された複数の層、特に屈折指数の高いものと低いものとを積層した層の遷移によって反射された光によって色を出す顔料を言う。例えば、干渉顔料は異なる屈折指数を有する4層以上を有することができる。干渉顔料の層がコアを取囲むこともでき、平らな形にすることもできる。真珠層が干渉顔料の例である。
【0060】
真珠層
「真珠層(nacres)」という用語は虹色でもなくてもよい任意の形の着色粒子を意味し、特に光の干渉によって色彩効果を出すある種の軟体動物の殻や、合成で得られる。真珠層の例としては酸化鉄で被覆されたチタン・マイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタン・マイカ、有機染料、特に上記タイプおよび真珠層顔料で被覆したオキシ塩化ビスマスベースのチタン・マイカが挙げられる。また、表面上に金属酸化物および/または有機着色剤の少なくとも2つの連続層を付けたマイカ粒子でもよい。
【0061】
市販の真珠層としてはメルク社、BASF社、Eckart社およびEngelhard社から市販の真珠層が挙げられる。真珠層は黄色、ピンク、赤、青銅、オレンジ、茶色、灰色、銀、銅、金属および/またはモアール色の色を有することができる。本発明組成物中に干渉着色材として導入可能な真珠層としては特にEngelhard社からBrilliant gold 212G (Timica)、Gold 222C (Cloisonne)、Sparkle gold (Timica)、Gold 4504 (Chromalite)およびMonarch gold 233X (Cloisonne)の名称で市販の着色真珠層、メルク社からBronze fine (17384) (Colorona) および Bronze (17353) (Colorona) の名称で市販の青銅真珠層、Engelhard社からSuper bronze (Cloisonne)の名称で市販の着色真珠層、Engelhard社のOrange 363C (Cloisonne) および Orange MCR 101 (Cosmica)およびメルク社のPassion orange (Colorona) および Matte orange (17449) (Microna)のオレンジ真珠層、Engelhard社からNu-antique銅340XB (Cloisonne) および Brown CL4509 (Chromalite)の名称で市販の茶色真珠層、Engelhard社からCopper 340A (Timica)の名称で市販の銅淡色真珠層、メルク社からSienna fine (17386) (Colorona)の名称で市販の赤色真珠層、Engelhard社からYellow (4502) (Chromalite)の名称で市販の黄色真珠層、Engelhard社からSunstone G012 (Gemtone)の名称で市販の金色真珠層、Engelhard社からTan opale G005 (Gemtone)の名称で市販のピンク色真珠層、Engelhard社からNu antique bronze 240 AB (Timica)の名称で市販の黒真珠層、メルク社からMatte blue (17433) (Microna)の名称で市販の青色真珠層、メルク社からXirona Silverの名称で市販の白色真珠層、メルク社からIndian summer (Xirona)の名称で市販のピンクオレンジ真珠層およびこれらの混合物が挙げられる。真珠層、特に金属酸化物の少なくとも一つの層で被覆されたマイカの中から選択される着色剤をもちいるのが好ましい。
【0062】
反射干渉粒子
この粒子は、少なくとも部分的に少なくとも一つの金属酸化物、例えば、酸化チタン、特にTiO2、酸化鉄、特にFe2O3、酸化錫、酸化クロムの中から選択される金属酸化物、硫酸バリウムおよび次の原料:MgF2、CrF3、ZnS、ZnSe、SiO2、Al2O3、MgO、Y2O3、SeO3、SiO、HfO2、ZrO2、CeO2、Nb2O5、Ta2O5、MoS2およびこれらの混合物または合金の少なくとも一つの層で被覆された合成基質の粒子から選択できる。
この粒子の例としては酸化チタンで被覆された合成雲母から成る粒子、酸化鉄粉、酸化チタン、酸化錫またはこれらの混合物で被覆されたガラス粒子、例えばEngelhard社からReflecksmの名称で市販のものを挙げることができる。
【0063】
ゴニオクロマティック顔料
「ゴニオクロマティック(goniochromatic)顔料」という用語は、組成物を支持体上に塗布した時に、光投射角45度で垂直線に対して観測角を0〜80度に変えた時の少なくとも20°の色相角h°の変化Dh°に対応するカラーメータ空間CIE 1976のa*b面内のカラー軌跡(trajet de couleur)を得ることができる顔料を意味する。このカラー軌跡(trajet de couleur)は例えばInstrument Systems社のspectrogonio-reflectometer CON 360 Goniometerを使用して測定できる。この装置では自動スプレッダを使用して最初にErichsenコントラストカードTyp 24/5上に組成物を液体状態で300μmの厚さに塗り、カードをブラック下に測定する。ゴニオクロマティック顔料は干渉多層構造および液晶着色剤から選択できる。
【0064】
多層構造の場合には例えば少なくとも2層にし、各層をMgF2、CeF3、ZnS、ZnSe、Si、Si02、Ge、Te、Fe203、プラチナ、Va、Al203、MgO、Y203、S203、SiO、Hf02、Zr02、Ce02、Nb205、Ta205、Ti02、Ag、Al、Au、Cu、Rb、Ti、Ta、W、Zn、MoS2、氷晶石、合金、ポリマーおよびこれられの組合せから成る群の中から選択される少なくとも一つの原料で作ることができる。この多層構造は中央層に対して積層した層が化学的種類が対称であってもなくてもよい。各層の厚さと種類の違いによって異なる効果が得られる。
【0065】
対称な干渉多層構造の例は例えばBASF社からSicopearlの名称で市販のFe203/Si02/Fe203/Si02/Fe203の構造を有する顔料、メルク社からXironaの名称で市販のMoS2/Si02/マイカ-オキサイド/S02/M0S2、Fe203/Si02/マイカ-オキサイ/Si02/Fe203:Ti02/Si02/Ti02およびTi02/Al203/Ti02の構造を有する顔料である。
【0066】
液晶着色剤の例はメソモルフィックな基がグラフトしたシリコーンまたはセルロースエーテルから成る。使用可能な液晶ゴニオクロマティック粒子の例はChenix社から市販のもの、更にはWacker社からHELICON(登録商標)HCの目性で市販のものである。
【0067】
また、使用可能なゴニオクロマティック顔料として、ある種の真珠層、合成基質、特にアルミナ、シリカ、硼珪酸塩、酸化鉄またはアルミニウムの基質上の効果顔料またはポリテレフタレート・フィルムから得られる干渉ホログラフィックフレークスを挙げることもできる。さらに分散したゴニオクロマティック繊維から成る原料でもよい。この繊維の長さは例えば80μm以下にすることができる。
【0068】
2.回折顔料
「回折(diffractive)顔料」という用語は光りを回折させる構造の存在によって白色光で勝者した時に観測角に従って色が変化する顔料を言う。この顔料はホログラフィック顔料としても知られている。この回折顔料は例えば入射単色光線で定義される方向を回折する回折格子を有している。回折格子は周期性、特に線、入射光の波長と同じ程度の互いに隣接する2つの単位の間の周期性を有する。入射光が多色光の場合、回折格子は光の各スペクトル成分を分離し、虹効果を出す。回折顔料の構造に関しては下記文献を参照されたい。
【非特許文献1】"Pigments Exhibiting Diffractive Effects"、Alberto Argoitia and Matt Witzman, 2002, Society of Vacuum coaters, 45th Annual Technical Conference Proceedings 2002
【0069】
回折顔料は種々のプロフィルを有する単位、特に三角形、対称または非対称、定常または一定幅、正弦波、階段状に作ることができる。格子の空間周波数および単位の深さは要求される各オーダの分離度の関数で選択される。例えば、周波数は500〜3000線/mmにすることができる。各回折顔料粒子は平らで、特に血小板の形をしているのが好ましい。同じ顔料粒子が同じまたは異なる2つの交差、垂直、非垂直な回折格子を有することもできる。回折顔料は少なくとも誘電材料の層で被覆された反射材料の層を有する多層構造にすることができる。この誘電材料は回折顔料に剛性と耐久性を与える。
【0070】
誘電材料は例えば次の原料から選択できる:MgF2、Si02、Al203、A1F3、CeF3、LaF3、NdF3、SmF2、BaF2、CaF2、LiFおよびこれらの組合せ。反射材料は例えば金属およびその合金、非金属の反射材料から選択できる。使用可能な金属としてはAg、Cu、Au、Pt、Sn、Ti、Pd、Ni、Co、Rd、Nb、CrおよびFeと、その合金および希土類金属をドープした生成物を挙げることができる。これらの反射材料は単独で回折顔料を構成でき、単一層にすることができる。
【0071】
回折顔料の変形例は少なくとも片側が反射層で被覆された誘電材料のコアから成るか、コアを完全にカプセル化した多層構造にすることができる。誘電材料の層を反射層で被覆することもできる。使用する誘電材料は無機が好ましく、例えば金属弗化物、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物およびこれらの組合せの中から選択できる。
【0072】
誘電材料は結晶質、半結晶またはアモルファスにすることができる。これらの形態の中で、誘電材料は例えば次の原料から選択できる:MgF2、SiO、Si02、Al203、Ti02、WO、A1N、BN、B4C、WC、TiC、TiN、N4Si3、ZnS、ガラス粒子およびダイヤモンド型の炭素およびこれらの組合せ。回折顔料の変形例としては天然の層状無機物、予備成形した誘電体またはセラミック原料、例えばペロブスカイトマイカ、またはタルク、ガラス、炭素、アルミナ、Si02、BN、BC、グラファイト、酸化鉄/マイカ、ビスマス酸塩化物およびこれらの組合せで被覆した合成ラメラがある。
【0073】
誘電材料の層の代わりに機械特性を改良する他の原料を使用することもできる。そうした材料にはシリコーン、金属珪化物、III、IVおよびV族元素から成る半導体材料、体心立方結晶構造、サーメット組成物または半導体ガラスおよびこれらの組合せがある。使用可能な回折顔料は特に2003年2月13日公開の下記非特許文献に記載のものから選択できる。
【特許文献12】米国特許公開第US 2003/0 031 870号明細書
【0074】
回折顔料は例えば下記の構造から成ることができる:MgF2/Al/MgF2、この構造を有する回折顔料はFlex Products社からSpectraflair 1400 Pigment SilverまたはSpectraflair 1400 Pigment Silver FGの名称で市販されている。MgF2の重量比率は顔料の総重量の80%〜95%である。他の回折顔料はEckart社からMetalure(登録商標)Prismaticの名称で市販されている。他の構造はFe/ Al /FeまたはAl/Fe/Alである。回折顔料の寸法は例えば5〜200μm、好ましくは5〜100μm、例えば5〜30μmである。回折顔料の厚さは3μm以下、好ましくは2μm以下、例えば約1μmである。
【0075】
3.反射顔料粒子
「反射粒子」という用語はその寸法、構造、層厚さ、その物理的および化学的特性、表面状態によって入射光を反射できる粒子をいう。この反射は支持体上に塗布した時に、組成物または混合物の表面で十分な強度を有し、裸眼で輝いて見える、すなわち環境と対照をなして明るい見えるものにすることができる。反射粒子はそれと組み合わせて用いる着色剤が発生する着色効果を変えず、特に色彩効果を最適化するように選択できる。反射粒子は特に黄色、ピンク、赤、青銅、オレンジ、茶色、金、銀および/または銅色にすることができる。反射粒子は種々の形、特に血小板またはグロブラ(globular)形、特に球面にすることができる。反射粒子はその形にかかわりなく多層構造にすることができ、多層構造の場合、例えば一様な厚さの少なくとも一つの層、特に反射材料を有することができる。
多層構造を有しない反射粒子は例えば金属酸化物、特に合成したチタンまたは鉄の酸化物で構成できる。多層構造を有する反射粒子は例えば天然または合成の基質、特に少なくとも一つの金属または金属材料少なくとも一つの層で被覆された少なくとも部分的に反射材料の合成基質にすることができる。この基質は単一材料、複合材料、有機および/または無機の基質にすることができる。
【0076】
特に、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、シリケート、特にアルミノ珪酸塩、硼珪酸塩、合成マイカおよびこれらの混合物の中から選択できるが、これらに限定されるものではない。反射材料は金属または金属材料の層を有することができる。反射粒子は下記文献に記載されている。
【特許文献13】日本特許第JP-A-09188830号公報
【特許文献14】日本特許第JP-A-10158450号公報
【特許文献15】日本特許第JP-A-10158541号公報
【特許文献16】日本特許第JP-A-07258460号公報
【特許文献17】日本特許第JP-A-05017710号公報
【0077】
基質が金属層で被覆された無機の反射粒子の例としては銀被覆された硼珪酸塩から成る粒子を挙げることができる。血小板形の銀-被覆されたガラス基質を有する粒子はToyal社からMicroglass Metashine REFSX 2025 PSの名称で市販されている。ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基質を有する粒子は同じ会社からCrystal Star GF 550 および GF 2525の名称で販売されている。
【0078】
金属基質、例えば銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、錫、マグネシウム、鋼、青銅またはチタンから成る粒子も使用でき、
この基質を酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、セリウム酸化物、酸化クロムまたは珪素酸化物およびこれらの混合物のような少なくとも一つの金属酸化物の少なくとも一つの層で被覆する。その例としてはEckart社からVisionaireの名称で市販のSi02で被覆されたアルミニウム、ブロンズまたは銅の粉末がある。
【0079】
金属顔料
「金属顔料」という用語はアルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、鋼、青銅、チタンをベースにした粉末または特にペイントおよびインキで添加剤として一般に使用されているマイカ誘導体を含む。この顔料が与える「金属状外観」という物理的パラメータは粉末を構成する粒子の平均寸法、形状、分布、最終配合中での配向ある。その粒径は5〜25μmで、一般に扁平フレークまたはフィルム状を有するか、マイクロラメラ(microlamellae)の形をし、溶剤で湿らしたとき挙動で下記の2つのタイプに分類できる:
【0080】
(1)フィルム状顔料(または葉状(leafing)顔料):配合物の表面に残り、界面と平行に配向して濃い金属層を形成し、媒体に非常に高い反射能と優れた保護能とを与える、
(2)非フィルム状顔料:調合物の層底中に基質とほぼ平行かつランダムに配向する。
【0081】
本発明組成物は金属顔料、好ましくはフィルム状顔料、好ましくはアルミニウム・タイプのフィルム状顔料を、組成物の全量に対して0.3重量%以下の含有量という条件下で含むことができる。本発明組成物で使用可能な金属顔料の例としてはEckart-Werke社のChromal X(ステアリン酸で表面処理した平均径が9μmのフィルム状・アルミニウム粉末)またはChromal XV(フィルム状・アルミニウム粉末)を挙げることができる。
【0082】
標準単色顔料
本発明の好ましい一つの実施例では、被覆用組成物がペイントおよび被覆材で一般的に使用されている標準顔料をさらに含む。この顔料は被覆の色と不透明度に関係し、当業者に公知の無機および有機の粉末、非常に細かい顆粒(一般に1μm以下)の固形物である。例としては酸化チタン、亜鉛酸化物、カーボンブラック、酸化鉄、フェロシアン鉄カリウムまたはナトリウム、酸化クロム、発色団、助色団、アゾ色素、フタロシアニン、その他が挙げられる。この顔料は極めて周知であり、その記載は省略する。
【0083】
III.充填剤
充填剤は無機または有機の粉末状の固体成分で、ある種のレオロジー特性または物理特性、例えば塗膜強度、不浸透性、耐食性等を改良する。さらに、フィルムに均一性および/または粗面効果を与えることができる。この粉末は粒径が1μm以上で、不透明性はほとんど与えず、着色能も少ない。本発明組成物で使用する充填剤は層状、球状、球面状、繊維状またはこれらの任意中間形状を形成することができる。
【0084】
本発明充填剤は表面が被覆されていてもよく、特に、シリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体、その他任意の物質で表面処理されていてもよく、本発明組成物中への充填剤の分散と相容性を促進する。本発明組成物で使用可能な無機充填剤としては酸化物(シリカ、クォーツ、アモルファスシリカ、珪藻土、その他)、シリケート(タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、珪酸カルシウム、トリメチル・シロキシ-シリケート、その他)、カーボネート(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウム水素カーボネート、ドロマイト、その他)、硫酸エステル、バライト、硫酸バリウム、ヒドロキシりん灰石(窒化硼素)、中空シリカ・マイクロスフェア(Maprecosのシリカビーズ)、ガラスまたはセラミック・マイクロカプセル、シリカと酸化チタン複合材、例えば日本板硝子から市販のTSGシリーズおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
充填剤は本発明組成物中に組成物の全量に対して約0.1重量%〜約80重量%、好ましくは約1重量%〜約40重量%の比率で存在できる。本発明に適した充填剤は例えば平均粒径が100μm以下の充填剤、特に1〜50μm、好ましくは4〜20μmである。
【0086】
IV. 添加剤
本発明組成物はさらに、被覆分野で通常使われている任意種類の添加剤またはアジュバントを含むことができる。これらは被覆粉末および/またはフィルムに所定の性質、例えば流動性、流れ性、その他を与える添加剤にすることができる。添加剤は例えば塗膜形成要素、塗膜形成助剤、ゴム、半結晶性重合体、抗酸化剤、耐食剤、保存剤、紫外線安定剤およびこれらの混合物の中から選択できる。
【0087】
凝集法を使用する時に粉末の性質を改良することに寄与する任意タイプの添加剤を使用できる。また、赤外吸収剤、カーボンブラック、内部応力を減らすための無機充填剤および難燃剤を添加剤として加えることもできる。さらに本発明組成物から成る粉末を溶融して得られる成形品の機械特性(破断応力および破断伸び)を改良するための成分を加えることもできる。そうした充填剤の例はガラス繊維、炭素繊維、ナノフィラー、ナノクレーおよびカーボンナノチューブである。これらの充填剤を合成時に導入することで分散性および効率を改良することができる。
【0088】
当業者はルーチン作業によって本発明組成物の粘性性質に影響を与えずに、本発明組成物中に存在する充填剤および/また添加剤の種類および量を調整することができる。
【0089】
以下、本発明の好ましい組成物の例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0090】
本発明組成物を製造するための成分の混合
本発明組成物を得るための各成分、特に顔料およびベースポリマー物質の混合は乾式混合(ドライブレンド)で実行できる。本発明実施例では回転速度をオペレータが調整可能なヘンシェル(Henschel)ミクサーが使われる。その他の任意タイプのミクサー、例えばMagimixミクサーも使用できる。
「浸漬、どぶ漬け」用の粉末を製造する場合には、混合を約600〜1200回転数/分、好ましくは900回転数/分の回転速度で、60〜120秒間、好ましくはほぼ100秒間実行するのが好ましい。
【0091】
「静電」吹付けで使用する粉末を製造する場合には、混合を約1500〜2200回転数/分、好ましくは1800回転数/分の回転速度で100秒間実行するのが好ましい。それから粉末を355pmメッシュのスクリーンに通す。本発明組成物の粉末粒子の平均径は10μm〜1mmの間にあるのが好ましい。
【0092】
被覆/物品の製造方法
本発明の被覆方法、例えば流動床浸漬法では、粉末のベッド中で物品に薄い層を形成する。粉末フィルムの厚さは2mm以下、好ましくは0.1〜0.6mmの間である。必要に応じて物品を加熱またはベーキングする。粉末が溶けてフィルムを作り、被覆ができる。上記の流動床浸漬法は単なる例で、粉末の少なくとも一層を溶融凝集させる、物品フィルムで被覆する他の任意の方法、例えば静電塗装またはダスティング法も使用できるということは理解できよう。本発明方法は特にレーザー光線(レーザー焼結)、赤外線またはUV照射または電磁放射線等の任意の照射による溶融または焼結で粉末を凝集し、粉末を溶かすことによって物品、物品の一部および/またはその被覆を製造する方法が使用できる。以下の実施例では浸漬法で100×50×3mmの鋼板上に被覆がされる。塗布条件は以下の通り:
【0093】
(1)板の加熱時間:330℃で10分間、
(2)浸漬時間:4秒間、
(3)空気および/または水での冷却(1分20秒)。
【0094】
冷却法が物品表面および塗膜の厚さ内の顔料分散に影響する。被覆物品を水に浸すと構造がセットされ、大きなスフェロライト(spherolites)の成長が防止される。一方、空気冷却すると結晶構造が成長する。冷却を水で実行した場合、表面外観により光沢がでる。しかし、水で冷却(1分20秒)した板は、空気冷却した物に比べて、金属マーキング特性テストで板に大きなマークが付いた。従って、本発明方法では冷却法は空気冷却法で行うのが好ましい。
【0095】
耐金属マーキング特性の評価(フェルトテスト)
金属マーキング特性を評価するために、摩耗による各種表面または被覆の摩擦に対する耐久性を測定し、分類することができるフェルト・テストを使用した。下記の操作手順を被覆および金属表面の全てに適用した。
【0096】
原理
このテストでは被覆またはポリアミド(例えばポリアミド11)ベーズの物品の表面部分上に乾いたフェルトを擦り付ける。表面(被覆/物品の表面部分)の外観に明らかな劣化が見られるまでフェルトを加圧下に規則的に前後移動させる。
【0097】
装置
このテストは多くの場合、紙を用いて手で実行されるが、ここでは皮革工業で用いられる装置を使用した。ユゾメータ(Usometer)として知られるEMI社の装置を使用した。この装置は自動化されており、再現性の良いテストができる(1分間に往復)。
【0098】
[図1]は実施例で使用した引掻特性試験機を示している。使用したフェルトまたはフェルト片([図1]の3で示す)は15×15 mmの四角い標準化した白色フェルト(Veslic−C4500/IUF450、art No.701, ドイツ)である。
【0099】
操作手順
被覆は上記定義の塗布条件下に調製し、乾燥/冷却条件およびプレコンディショニング条件に注意を払った。得られたフィルムの表面はテスト中に異常かつ大きな劣化の開始につながる全ての欠陥(ダストや塊)が無いものでなければならない。被覆を塗布してから約24時間後に、被覆済のプレート([図1]の4)を機械上に置き、2つの横部ジョー5で固定する。クランプ2により固定された「フェルトホルダー」用のカラム上に1kgの重り1を配置する。図示した実施例ではカラムの重さは0.5kg、クランプ2の重さは0.5kgである。フェルトを固定する際にはクランプ2を外し、カラムを開放する。フェルト3をカラムの下側に固定した後にカラムを再びセットし、フェルトをテストすべき被覆4と接触させる。
カウンタをゼロにセットした後、オン/オフスイッチを押して前後運動を開始する。1000サイクルまたは3000サイクルを実行した後にテストを止める。
【0100】
A)基準スケール
金属マーキング特性に極めて敏感なアルミニウム顔料の含有量が高い(0.3%以上)のグレードでのテスト
金属マーキング特性の各レベルでサイクル数(0〜6000)を増加させ、0〜8の符号を付ける。
0=0サイクル=金属マーキング特性全く無し
8=6000サイクル=金属マーキング特性が極めて顕著
[図2]は金属マーキング特性の各レベルでその符号となる基準スケールを表す。
【0101】

【0102】
本発明実施例では各レベルで1000サイクルおよび3000サイクルでテストし、上記符号で分類した。
【0103】
B)引掻きテスト
テストした配合物および実施例では下記の一つまたは複数の成分を使用した:
効果顔料
(1)Iriodin 119(メルク社製):粒径が10〜60μmの、TiO2で被覆されたマイカのフレークから成る効果顔料、
(2)Iriodin 120(メルク社製):粒径が5〜20μmの、TiO2で被覆されたマイカのフレークスから成る効果顔料、
(3)PX 2001およびPX 1320(Eckart社製):真珠層
標準単色顔料
黒(PK 3097)、白(亜鉛酸化物)、チタンRHD2、酸化鉄赤130、明黄6R
【0104】
金属顔料
非フィルム状アルミニウム
(1)Sillux 501(Eckart社製):二重塗りの非フィルム状アルミニウムフレーク:シリカ(SiO2)および有機、平均径20μm、
(2)PCR 212(Eckart社製):平均径が48μmのシリカ(SiO2)の被覆された非フィルム状アルミニウムフレーク
(3)Alu 21326/A(Eckart社製):シリカの被覆された非フィルム状アルミニウムフレーク
アルミニウムフレーク
(1)Chromal X(Eckart-Werke社製):平均径が9μmのステアリン酸で表面処理したフレーク状アルミニウム粉末
(2)Chromal XV(Eckart-Werke社製):ステンレス鋼の外観を有するフレーク状アルミニウム粉末
【0105】
添加剤
Irganox 1098:熱可塑性被覆組成物で使用される一般的な酸化剤で、その化学式は下記の通り:N,N'-ヘキサン-1,6-ジヒルビス(3-(3,5-ジ−tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメロピオンアミド。
【0106】
[表1]は溶液相対粘度(メタ-クレゾール中の25重量%の濃度で測定した溶液粘度)が0.9から1.2であるポリアミド11をベースにした各種配合物の引掻抵抗試験(金属マーキング特性)の結果を示している。
各テストで使用した顔料とそのポリアミド11中での含有量(百分比)は[表1]に示してある(「配合」の欄)。
フェルトテストの結果(1000サイクルおよび3000サイクルに対応する金属マーキング特性MMのレベル0〜8)は[表1]の対応する欄に示してある。
【0107】
【表1】

【0108】
C)結論
アルミニウムも真珠層も含まないグレードでは金属マーキング特性に問題は無い:テスト7および8。
非フィルム状アルミニウム顔料(Sillux 501/PCR 212)を含むグレードは大きくマークが付く:テスト1〜6。
0.3重量%を超える量のフィルム状アルミニウム(Chromalタイプ)を含む配合は大きくマークが付く:テスト10。
アルミニウム金属顔料を含まないで配合(本発明実施例:テスト9)か、Chromalタイプのフィルム状アルミニウムを少量(配合全量に対する含有量が0.3重量%以下)含む配合は少ししかマークが付かない:本発明実施例のテスト11。この最後の本発明配合は非常に優れた耐金属マーキング特性を示し、3000サイクルのフェルトテスト後でも金属マーキング特性は観測されない。
【0109】
上記実施例は本発明の被覆組成物において真珠層を使用し、アルミニウムの含有量を制限し(好ましくはフィルム状アルミニウムを選択し)することで長期的に安定し且つ金属マーキング特性に対する耐久性のある金属外観を有する被覆が得られることを示している。
本発明実施例の配合(実施例9および11)ではブリスタリングがなく、他の表面欠陥もなく、色調の変化も無いことが観測される。
【0110】
テスト12〜27
これらの配合はフィルム状・アルミニウム顔料(Chromal X、Chromal XV)および非フィルム状アルミニウム顔料(Sillux 501、Alu 21326/A)を同じ配合物で異なるアルミニウム含有量(0.3%、0.6%、0.9%)にして調製した。
全ての配合物12〜27で使用したベースポリマーは相対粘度(メタ-クレゾールの0.25重量%溶液で測定)が0.95であるポリアミド11(PA 11)である。
【0111】
【表2】

【0112】
実施例15、16および17はAlu Sillux 501をAlu Chromal Xに代えた同じ配合であり、実施例18、19および20はそれをAlu 21326/Aに代えたものであり、実施例21、22および23はそれをAlu Chromal XVに代えたものである。
被覆はどぶ漬けによって100×50×3mmの板上に塗布して行った。
【0113】
塗布条件
鋼板の加熱:330℃で10分、その後4秒間どぶ漬けし、空気および水で1分20秒間冷却した。
[表3]のテスト24〜27の配合は効果顔料(Iriodin 119)を0.3重量%含む。
【0114】
【表3】

【0115】
[表4][表5](テスト14〜27)は各種含有量の金属顔料および/または効果顔料での結果で、被覆を空気または水で冷却した後の金属マーキング特性を示している。
これらの組成物で得られた被覆の外観を経験豊かな専門家委員(パネリスト)が評価した:
(1)金属外観をスケール1〜10で表した。金属外観が最も悪いのがグレード1に対応し、金属外観の最もよいものがグレード10に対応する。
(2)フィッシュアイの数を数えた(水または空気冷却後)。
【0116】
これらのテスト結果から、金属マーキング特性は空気冷却したものより水冷却した板の方が大きいことが確認された。
フィッシュアイのような表面欠陥は非フィルム状アルミニウム顔料を含む塗料の方が大きいことが分かる。[表4]と[表5]を比較するとフィルム状顔料よりは非フィルム状アルミニウムの方が金属マーキング特性が大きいことが分かる。
【0117】
【表4】

【0118】
非フィルム状・アルミニウムを含む配合の場合金属マーキング特性および被覆欠陥(フィッシュアイ)は効果顔料(Iriodin)の添加で減らすことができる。
【0119】
【表5】

【0120】
配合中のアルミニウムのタイプとは無関係に、効果顔料を限られた量(0.3重量%以下)のアルミニウム顔料と一緒に使用することで長期間、金属マーキング特性無しに、金属外観を増加させることができる。
【0121】
表面外観の顕微鏡(光学顕微鏡またはSEM)による観測
異なるフィルム状顔料および非フィルム状顔料を分散させた板の表面を観測した。非フィルム状顔料の粒子はより粗く、より輝く効果を与える。フィルム状顔料は多数の小粒子の形で表面に分布し、鏡の効果を与え、より均一表面を与える。
【0122】
本発明配合の実施例
配合28では真珠層(PX 2001およびPX 1320)と、フィルム状アルミニウム顔料(Chromal XV)との同時に使用した:
【0123】

【0124】
配合29(アルミニウム顔料無し)では真珠層(Iriodine 500、502、511)とより含有量の多い顔料(黒)とを使用した:
【0125】

【0126】

【0127】
本発明の配合28および29に配合を用いて上記塗布方法で塗布した被覆を得た:
(1)コーナーは完全に被覆され、
(2)へこみは無いか、殆ど無く(価値方法:欠陥を有する交点数の検査:ピット数/18交点)、
(3)フィッシュアイは観測されない(価値方法:約0.5mmを超える直径を有する有意なサイズのフィッシュアイを数える)。
【0128】
被覆に対して行ったフェルトテストから金属マーキング特性に対する耐久性が非常に良いことが分かる。本発明被覆は1000サイクル後、3000サイクル後、さらにはそれ以上のサイクル後の経時的に安定した金属外観を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(3)から成る、経時的に安定で且つ引掻特性に優れた金属外観を有する物品を製造するための組成物(組成物の全量に対する比率):
(1)50重量%〜99.9重量%の少なくとも一種の熱可塑性ポリマー、
(2)0.1重量%〜5重量%のる少なくとも一種の光学効果顔料(pigment a effet optique)、
(3)0〜0.3重量%の少なくとも一種の金属顔料。
【請求項2】
ベースとなる上記の少なくとも一種の熱可塑性ポリマーがポリアミドであり、好ましくはPA 11、PA 12、PA 6.10、PA 6.12、PA 6.14、PA 6.18、PA 10.10、PA 10.12、コポリアミドおよびこれの混合物から選択されるポリアミドである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記の光学的効果を有する少なくとも一種の顔料が回折(diffractive)顔料、干渉顔料、反射顔料およびこれらの混合物の中から選択される請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
上記の回折顔料が下記(1)〜(3)の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物:
(1)金属およびその合金の中から選択される反射材料から成る単層顔料、
(2)少なくとも一つの側面が誘電材料の層で被覆された、金属とその合金および非金属反射材料の中から選択される反射材料の層を有する多層構造を有する顔料、
(3)予め形成された誘電体またはセラミック原料から成る顔料、例えば天然ラメラまたは合成ラメラの層状鉱物およびその混合物。
【請求項5】
上記の干渉顔料が真珠層(nacres)、反射性粒子およびゴニオクロマティック(goniochromatic)顔料およびこれの混合物の中から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
上記のゴニオクロマティック顔料が干渉多層構造および液晶着色剤の中から選択される請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
上記真珠層が真珠層顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタン・マイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタン・マイカ、有機染料で被覆されたチタン・マイカ、オキシ塩化ビスマスをベースにした真珠層顔料、表面上に金属酸化物および/または有機染料およびこれらの混合物から成る少なくとも2つの連続層が積層されたマイカ粒子の中から選択される請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
干渉反射粒子が、少なくとも部分的に少なくとも一種の金属酸化物の少なくとも一つの層で被覆された合成基質を含む粒子の中から選択される請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
上記の反射性顔料が下記の中から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物:
(1)金属酸化物、特に酸化チタンまたは合成で得られる酸化鉄、
(2)少なくとも一種の反射材料の層、特に少なくとも一つの金属または金属材料の層で少なくとも部分的に被覆された天然または合成の基質を有する多層構造物。
【請求項10】
上記の少なくとも一種の金属の顔料がアルミニウム、銅、銅合金およびアルミニウム合金およびこれらの混合物の中から選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
アルミニウムがフィルム状アルミニウムである請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
上記の少なくとも一種のポリマーがポリアミド11であり、上記の少なくとも一種の光学的効果を有する顔料が組成物の全量に対して0.1重量%〜1重量%の真珠層を含み、上記の少なくとも一種の金属顔料がアルミニウムで、このアルミニウムが組成物の全量に対して0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下含まれる請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも一種の添加物および/または少なくとも一種の充填剤および/または少なくとも一種の単色顔料(pigment monochromatique)をさらに含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
上記の少なくとも一種の添加剤が抗酸化剤、熱安定剤、耐食剤、流動性改良剤、流動性増加剤、塗膜形成剤、フィルム形成助剤、ゴム、半結晶性ポリマー、保存剤、紫外線安定剤およびこれらの混合物の中から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも一つの充填剤が酸化物、シリカ、石英、非晶質シリカ、珪藻土、シリケート、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、珪酸カルシウム、トリメチルシロキシシリケート、カーボネート、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウム水素化カーボネート、ドロマイト、硫酸塩、ヒドロキシリンアパタイト、窒化硼素、中空シリカマイクロ球、ガラスまたはセラミックのマイクロカプセル、シリカおよび酸化チタンの複合材料およびこれらの混合物の中から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末組成物の少なくとも一つの層の溶融で得られる、経時的に安定で且つ引掻特性に優れた金属外観を有する被覆。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末の溶融による粉末凝集によって物品の表面の少なくとも一部を製造する方法。
【請求項18】
上記の粉末の溶融による粉末凝集を電磁放射線、例えばレーザー光線、赤外線または紫外線によって行う請求項17に記載の方法。
【請求項19】
物品の表面の少なくとも一部が請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末組成物の粉末凝集によって得られる少なくとも一つの被覆を有し、この被覆が経時的に安定で且つ引掻特性に優れた金属外観を有する、請求項17に記載の方法であって、少なくとも下記の工程を有することを特徴とする方法:
(1)上記粉末組成物の各成分を好ましくは500〜3000回転数/分の回転速度で混合し、
(2)得られた粉末を篩分けし、
(3)被覆すべき物品の表面の少なくとも一部を加熱し、
(4)上記物品の少なく一部を上記粉末組成物中に浸漬し、
(5)空気および/または水で上記物品を冷却する。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末組成物の、被覆、ペイント、耐食組成物、多層複合材料、電磁放射線によって起こる溶融または焼結で得られる物品、包装材料、玩具、織物、装飾部品、自動車、航空機、家庭電気商品および/またはエレクトロニクス部品の製造での使用。
【請求項21】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末組成物の少なくとも一層の溶融によって得られる経時的に安定で且つ引掻特性に優れた金属外観を有する表面を少なくとも部分的に有する物品。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末組成物から得られる被覆を有する請求項21に記載の物品。
【請求項23】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の粉末組成物から得られる被覆を有する食器洗い機のバスケット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−527370(P2011−527370A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517218(P2011−517218)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051378
【国際公開番号】WO2010/004227
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】