説明

耐火性布複合体、マットレスおよびマットレスセットを防火するための方法、ならびにそれによって防火されたマットレスおよびマットレスセット

本発明は、マットレスを防火する際に使用するための布複合体、防火されたマットレスセット、およびマットレスを防火するための方法に関し、布複合体は、(a)犠牲外側寝具用布と、(b)犠牲クッショニング材料と、(c)防火布とを順に含んでなり、防火布は、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなる不織布の単層である。この布複合体で防火されたマットレスセットは、カリフォルニア州の技術報告603に従ってテストされたとき、30分以内に150キロワット未満、好ましくは60分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有し、10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスを防火する(fire−blocking)際に使用するための布複合体、防火されたマットレスセット、およびマットレスを防火するための方法に関する。そのようなマットレスセットは、カリフォルニア州(the State of California)の技術報告(Technical Bulletin)603に従ってテストされたとき、60分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有し、10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有する。
【背景技術】
【0002】
カリフォルニア州は、家庭、ホテル、および施設の火災で失われる命の数を低減しようとする試みにおいて、マットレスおよびマットレスセットの可燃性を規制し低減する運動を導いている。特に、カリフォルニア州消費者問題局の家具および断熱部(The Bureau of Home Furnishings and Thermal Insulation of the Department of Consumer Affairs of the State of California)は、マットレスセットの可燃性性能を定量化するために、技術報告(Technical Bulletin)603「大きい裸火に対する居住用マットレス/ボックススプリングセットの耐性の要件およびテスト手順(Requirements and Test Procedure for Resistance of a Residential Mattress/Box Spring Set to a Large Open−Flame)」を発行した。
【0003】
マットレスは、通常、外側寝具用布で被覆されたクッショニング材料によって被覆されたマットレスコアを含有する。ほとんどのクッショニング材料は、裸火に曝されたときに燃焼するフォームまたは繊維材料から製造される。フォームクッション、特に飛行機座席を防火する1つの有用な方法が、ブロースタイン(Blaustein)らへの特許文献1に開示されており、耐炎性布の3から7の層が、フォームを包むために座席の被覆布の下に使用される。航空機座席可燃性テスト方法ごとに必要な程度に、これらの防火されたクッションは、クッションに衝突する火炎ジェットに耐え、かつクッション全体を、火炎によって飲み込まれること、または火炎ジェットが除去された後に燃焼し続けることから防止する。
【0004】
特許文献2、特許文献3、および特許文献4は、本質的に耐炎性の繊維と増加した耐炎性を有するセルロース繊維との混紡布を開示しており、布は、たとえば染色工程で添加剤として加えられる付加的な難燃剤を含有することができる。無機材料の低含有量のため、これらの引例に開示された耐炎性セルロース繊維は、高温に曝されたときにそれらの繊維重量の適切なパーセンテージを維持しない。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,750,443号明細書
【特許文献2】米国特許第6,132,476号明細書
【特許文献3】米国特許第6,547,835号明細書
【特許文献4】米国特許第5,609,950号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マットレスは、消費者の支持および快適さの最初の印象によって売られ、したがって、マットレスは、通常、マットレスコアの任意の支持フォームに加えて、表面クッショニング効果をもたらす低密度繊維バッティング(battings)もしくはフォームまたは両方の組合せから製造されたクッショニング材料を含有する。この触感的クッショニング効果は、消費者によって非常に望まれる。クッショニング材料は、通常、ステッチされ、マットレスコアの上の枕のように作用し、非常に触感的なクッショニングをもたらし、単にマットレスに触れるかマットレスを横切って人の手を走らせるだけで容易に認めることができるタイプである。飛行機座席のために用いられるのと同様の態様で、すなわち、適切な防火層を寝具用布の下に挿入して、バッティングおよび/またはフォームをすべて包み、クッショニング材料を圧縮し拘束し、クッショニング効果を厳しく制限し、マットレスに劣った最初の触感的審美性を与えることによって、マットレスの可燃性材料すべてを防火布で包もうとする試み。さらに、多数の防火層の使用も、剛性を加えるか、マットレスコアの弾力性を制限することがあり、全体的な快適さに影響を及ぼす。したがって、必要なのは、クッショニング材料の触感的審美性を含む、マットレスの優れた最初の審美性を維持しながらマットレスを防火する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、犠牲外側寝具用布と、犠牲クッショニング材料と、防火布とを順に含んでなる、裸火に対して耐性のある布複合体であって、防火布が、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなる不織布の単層である布複合体に関する。本発明の一実施形態において、セルロース繊維は、ケイ酸を含有するビスコース繊維であり、耐熱性繊維はポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維であり、ビスコース繊維(X)および耐熱性繊維(Y)は、下記式
Y≧−0.14X+1.4
で表わされる重量比で防火布中に存在する。
【0008】
本発明は、また、マットレスと、マットレスファンデーション(mattress foundation)とを含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレスセットであって、マットレスが、布複合体と、マットレスコアとを含んでなり、布複合体が、i)犠牲外側寝具用布と、ii)犠牲クッショニング材料と、iii)単層不織防火布とを順に含んでなり、マットレスファンデーションが、単層不織防火布と、支持構造とを含んでなり、マットレスセットが、カリフォルニア州の技術報告603に従ってテストされたとき、30分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有し、最初の10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有するマットレスセットに関する。一実施形態において、マットレスセットは、カリフォルニア州の技術報告603に従ってテストされたとき、60分以内に150キロワット未満のピークハート放出(peak heart release)速度を有し、最初の10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有する。
【0009】
本発明は、また、寝具用布と、クッショニング材料と、マットレスコアとを順に有するマットレスを防火するための方法であって、方法が、マットレスに、クッショニング材料とマットレスコアとの間に防火布を組入れる工程を含んでなり、防火布が、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維最小1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなる不織布の単層である方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、マットレスで使用するための布複合体に関する。この布複合体は、キルティングされた枕表面または他の柔らかい変形可能な表面などのさまざまな外面影響がマットレスのために作られることを考慮し、これは、本発明のマットレスが、防火層を含有しないマットレスと本質的に同じタッチに対する感触を有することを確実にする。
【0011】
本発明は、また、布複合体を組入れる、防火されたマットレスに関する。布複合体は、外側寝具用布と、クッショニング材料と、防火布とを順に含んでなる。犠牲外側寝具用布および犠牲クッショニング材料と関連して使用されるような犠牲布という用語は、火炎に曝されたときに燃焼する布の能力を示す。難燃性化学物質を犠牲布に導入してもよいが、そのような組入れは必要でない。寝具用布およびクッショニング材料は、マットレスが燃焼された場合、犠牲層になる。すなわち、それらを、マットレスが火炎に曝されたときに燃焼させる。本発明の発明者らは、そのような材料を、寝具用布およびクッショニング材料によって寄与される利用可能な燃料の量が制限され、かつ防火布が適切な材料から構成される限り、燃焼させてもよいことを見出した。防火布は、マットレスセットが燃焼されたとき、(1)マットレスコアをその中の任意のフォームとともに、衝突する火炎ならびに燃焼するバッティングおよび寝具用布から保護すること、ならびに(2)マットレスの表面に沿った火炎の伝播に抵抗することを含む特定の機能を行う。布複合体のための実際の構成技術は、材料が、外側の寝具用布、中央のクッショニング材料、次に防火布で、順に組立てられる限り、重要でない。好ましくは、布複合体を、別個の工程で製造し、次に、マットレスコアの上に配置し、マットレスコアに取付けることができるが、個別の層を、別々にマットレスコアの上に配置し、マットレスコア上に組立ててもよいことも可能である。
【0012】
本発明は、さらに、マットレスと、マットレスファンデーションとを含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレスセットであって、マットレスが、布複合体と、マットレスコアとを含んでなり、布複合体が、犠牲外側寝具用布と、犠牲クッショニング材料と、単層不織防火布とを順に含んでなるマットレスセットに関する。マットレスファンデーションも、布複合体を含むことができる。マットレスセットは、カリフォルニア州の技術報告603に従ってテストされたとき、テストの最初の30分以内に150キロワット未満、好ましくはテストの最初の60分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有する。さらに、マットレスセットは、技術報告603に従ってテストされたとき、10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有する。
【0013】
布複合体
図1は、本発明の布複合体の切り取られたものの簡略化された図を示し、個別の部分は、明確にするため、同じ割合で描かれているのではなく拡大されている。クッショニング材料12と組合された寝具用布11を備えた布複合体10が示されている。防火布14がクッショニング材料に隣接している。この図は、ステッチ15が寝具用布およびクッショニング材料の枕状表面を形成するキルトタイプパターンを示す。
【0014】
犠牲寝具用布
布複合体10の外面は寝具用布11によって被覆される。そのような布は、通常、任意の数の織りを用いる非常に耐久性のある織られたまたは編まれた布であり、1平方ヤードあたり2から8オンス(1平方メートルあたり68から271グラム)の範囲内の坪量を有する傾向がある。典型的な寝具用布は、綿、ポリエステル繊維、またはレーヨン繊維を含有してもよいが、これらに限定されない。寝具用布は、通常、クッショニング材料および防火布にステッチされ、キルト状領域を作って、布複合体またはマットレスの外面上に枕状突出を作る。さらに、マットレスの端縁における寝具用布および/または布複合体のシームをテープで留め、縫って、これらの領域において追加シーム強度をもたらしてもよい。シームにおいて寝具用布をステッチするために使用される縫い糸、およびエッジテープに使用される材料が、耐炎性材料から製造されることが好ましい。スティッチ溶着に好ましい耐炎性材料は、アラミド繊維から製造されたアラミド糸であり、好ましいアラミドはポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である。
【0015】
犠牲クッショニング材料
本発明の布複合体10は、付加的な最初の快適さをもたらすためにクッショニング材料12を含有する。このクッショニング材料は、マットレスコアの任意の支持フォームに加えるものである。クッショニング材料は、消費者によって非常に望まれる表面効果をもたらす、1つもしくはそれ以上の低密度繊維バッティングもしくはフォーム、またはそれらの組合せを含んでもよい。バッティングおよび/またはフォームは、寝具用布の下の枕のように作用し、非常に触感的なクッショニングをもたらし、単にマットレスに触れるかマットレスを横切って人の手を走らせるだけで容易に認めることができるタイプである。限定することが意図されないが、クッショニング材料が繊維バッティングである場合、そのようなバッティングは、たとえば国際公開第2003049581号パンフレットに開示されているような垂直にひだをつけられた(pleated)構造、またはたとえば米国特許第3,118,750号明細書に開示されているような繊維のバッティングを含んでもよい。
【0016】
クッショニング材料は、潜在的な燃料を布複合体に加え、布複合体に使用されるクッショニング材料の最大許容坪量は、いくつかのパラメータによる。クッショニング材料の燃焼熱および燃焼速度が、これらのパラメータのうち最も重要なものである。寝具産業において広く使用される典型的なポリエステル(PET)バッティングの場合、燃焼熱は1キログラムあたり約21.6メガジュールである(ページV/113「ポリマーハンドブック(Handbook of Polymers)」第4版、ジョン・ワイリー&サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons, Inc.)1999)。標準ツインサイズマットレスの場合、トップパネルは約2.4平方ヤード(2.6平方メートル)であり、そのトップパネル上の1平方フィートあたり1オンス(1平方メートルあたり305グラム)のポリエステルバッティングからの総燃焼熱は約13.25メガジュールである。トップパネル上の燃焼パターンは、典型的には、トップパネル上のクッショニング層がテストの最初の30分以内に完全に消費される速度で、バーナの位置から外方に放射状に広がる。上記観察および事実は、放熱速度が約ゼロで開始し、時間とともに直線的に増加する放熱の簡単なモデルにつながる。これらの想定の範囲内で、次の表を計算することができる。
【0017】
【表1】

【0018】
表1は、他の熱源がすべてない場合、典型的なクッショニング層の最大許容坪量が約10oz/yd(339g/m)であることを示す。これは、130MJ/yd(155MJ/m)の総燃焼熱に相当する。この値を超えると、ピーク放熱速度は、150kWの許容最大値を超えることが予測される。したがって、犠牲クッショニング層および任意の寝具用布の組合された総燃焼熱は、約130MJ/yd(155MJ/m)を超えてはならない。繊維バッティングが例として使用されたが、クッショニング層がフォームまたはフォームと繊維バッティングとの組合せである場合、同じ組合された総燃焼熱があてはまる。
【0019】
防火布
寝具用布およびクッショニング材料の下に位置決めされた防火布は、好ましくは、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とから構成される、単層不織布である。本発明に使用される不織防火布の坪量は、少なくとも1平方ヤードあたり2.5オンス(1平方メートルあたり85グラム)である。坪量がその量より小さい単層不織布は、適切な防火性能をもたらさない。本発明の不織防火布の最大実用坪量は、1平方ヤードあたり7オンスの範囲内である。より重い重量の布は、依然として保護をもたらすが、付加的な坪量があるので、難燃性性能の向上がほとんどない。この組成および坪量を有する不織布を、マットレス、またはマットレスとファンデーションとを含んでなるマットレスセットのための単独防火構成要素として使用することができる。
【0020】
不織防火布は、エアレイド不織布またはウェットレイド不織布を製造するための方法を含む従来の不織シート形成法によって製造することができ、そのような形成されたシートを、スパンレース法、ハイドロレース(hydrolacing)法、ニードルパンチ法、または不織シートを生成することができる他の方法によって、強化して布にすることができる。米国特許第3,508,308号明細書および米国特許第3,797,074号明細書に開示されたスパンレース法、ならびに米国特許第2,910,763号明細書および米国特許第3,684,284号明細書に開示されたニードルパンチ法が、不織布の製造に有用な、当該技術において周知の方法の例である。本発明の好ましい不織布は、高圧ウォータージェットを使用して繊維を絡ませて凝集シートにするエアレイドスパンレースまたはハイドロレース(hydrolaced)不織布である。
【0021】
セルロース繊維
本発明に有用なセルロース繊維は、チャー形成セルロース繊維である。チャー形成とは、セルロース繊維が、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときにその重量の少なくとも10パーセントを維持することを意味する。そのようなセルロース繊維は、好ましくは、10パーセントの無機化合物が繊維に組入れられる。そのような繊維、およびそのような繊維を製造するための方法は、一般に、米国特許第3,565,749号明細書および英国特許GB 1,064,271号明細書に開示されている。本発明に好ましいチャー形成セルロース繊維は、ケイ酸アルミニウムサイトを備えたポリケイ酸の形態の二酸化ケイ素を含有するビスコース繊維である。そのような繊維、およびそのような繊維を製造するための方法は、一般に、米国特許第5,417,752号明細書および国際公開第9217629号パンフレットに開示されている。ケイ酸を含有し、かつ約31(±3)パーセントの無機材料を有するビスコース繊維が、フィンランドのサテリ・オイ・カンパニー(Sateri Oy Company of Finland)によって商標ビジル(Visil)(登録商標)で販売されている。本発明のチャー形成繊維は、不織布に組入れられたとき、布を付加的な難燃性添加剤または局所的に付与される難燃性化合物で処理する必要なく、適切な防火性能をもたらす。
【0022】
耐熱性繊維
単層不織布は、耐熱性繊維最小1平方ヤードあたり0.5オンスを含有し、繊維は好ましくは有機繊維である。「耐熱性」とは、繊維が、好ましくは、1分あたり20℃の速度で500℃に空気中で加熱されたときにその繊維重量の90パーセントを維持することを意味する。そのような繊維は、通常、耐炎性であり、繊維または繊維から製造された布が、繊維または布が空気中で火炎を支持しないような限界酸素指数(LOI)を有することを意味し、好ましいLOI範囲は26より大きい。好ましい繊維は、火炎に曝されたときに過度に収縮せず、すなわち、繊維の長さは火炎に曝されたときに著しく短くならない。1分あたり20℃の速度で500℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の90パーセントを維持する有機繊維1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)を含有する布は、衝突する火炎によって燃焼されたときに限られた量の亀裂および開口部を有する傾向がある。
【0023】
本発明の不織防火布に有用な耐熱性で安定した繊維としては、パラ−アラミドポリマー、ポリベンザゾールポリマー、ポリベンゾイミダゾールポリマー、およびポリイミドポリマーから製造された繊維が挙げられる。好ましい耐熱性繊維はパラ−アラミドポリマーから製造される。
【0024】
ここで使用されるように、「アラミド」は、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合されたポリアミドを意味する。添加剤をアラミドとともに使用することができる。実際に、他のポリマー材料10重量パーセントまでをアラミドとブレンドすることができること、または、他のジアミン10パーセントがアラミドのジアミンと置換されるか他の二酸塩化物10パーセントがアラミドの二酸塩化物と置換されたコポリマーを使用することができることがわかっている。本発明の実施において、好ましいパラ−アラミドはポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である。本発明に有用なパラ−アラミド繊維を製造するための方法は、一般に、たとえば、米国特許第3,869,430号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、および米国特許第3,767,756号明細書に開示されている。そのような芳香族ポリアミド有機繊維およびこれらの繊維のさまざまな形態は、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・カンパニー(DuPont Company, Wilmington, Delaware)から商標ケブラー(Kevlar)(登録商標)繊維で入手可能である。
【0025】
本発明に有用な市販のポリベンザゾール繊維としては、日本の東洋紡(Toyobo、Japan)から入手可能なザイロン(Zylon)(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維、ザイロン(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維が挙げられる。本発明に有用な市販のポリベンゾイミダゾール繊維としては、セラニーズ・アセテートLLC(Celanese Acetate LLC)から入手可能なPBI(登録商標)繊維が挙げられる。本発明に有用な市販のポリイミド繊維としては、ラプラス・ケミカル(LaPlace Chemical)から入手可能なP−84(登録商標)繊維が挙げられる。
【0026】
セルロースと耐熱性繊維との有用な組合せ
本発明の布複合体に有用な1つの防火布は、ケイ酸を含有するビスコース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなり、ビスコース繊維(X)およびポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維(Y)は、下記式で表わされる重量比で存在する。
Y≧−0.14X+1.3
【0027】
この領域は、図2の線より上の領域で表わされる。この領域によって示された組成および坪量を有する不織布を、本発明の布複合体、マットレス、およびマットレスセットの単独防火構成要素としての単層として使用することができる。そのように規定された防火布を有する布複合体を含有するマットレスセットは、カリフォルニア(California)方法に従って燃焼されたとき、30分以内に150キロワット未満のピーク放熱を有する。これは、受入れられないバルクおよび/または剛性をマットレスに加えることがある防火布の多数の層の必要をなくす。
【0028】
本発明の布複合体に有用な、より好ましい防火布は、下記式で表わされる組成を有する。
Y≧−0.14X+1.4
【0029】
この領域は、図3の線より上の領域で表わされる。そのように規定された防火布を有する布複合体を含有するマットレスセットは、カリフォルニア方法に従って燃焼されたとき、60分以内に150キロワット未満のピーク放熱を有する。
【0030】
本発明に使用される不織防火布は、さらに、燃焼されたときに火炎抑制ガスを放出するガス発生(off gassing)材料を含むことができる。好ましいガス発生材料は、モダクリル繊維またはポリ塩化ビニル繊維などのハロゲン含有ポリマーから製造された繊維である。これらのポリマーは、燃焼されたときに塩素含有ガスを放出する。そのような材料1平方ヤードあたり4オンス(1平方メートルあたり136グラム)までを単層不織布に加えることができる。有用なモダクリル繊維としては、米国特許第5,506,042号明細書に開示されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
マットレス
図4は、明確にするため同じ割合で描かれていない本発明のマットレスの簡略化された図である。完全周囲が布複合体10によって被覆されたマットレス20の断面が示されている。通常マットレスのパネルと呼ばれるマットレスの頂面および底面は、25で示される。通常マットレスのボーダーと呼ばれるマットレスの側面は、26で示される。支持フォームの層22が布複合体10の内側にあり、この場合、支持フォームは、マットレス内部21を完全に包む。図5は、防火布複合体10、支持フォーム22、およびマットレス内部21を備えたマットレス20の破断図を示す。
【0032】
ここでの目的のため、マットレスコアは、マットレス内部21とともに任意の支持フォーム22を含むことが意味される。マットレス内部は、支持ビームおよびスプリングおよび関連したラッピングなどのマットレスの機械的構造を含むことが意図される。そのような内部は、また、付加的なフォーム、またはフォームとバッティングとの組合せを含むことができる。マットレスコアは、また、スプリングおよび他の機械的支持手段の代わりに、フォーム、または支持フォームを備えたもしくは備えていない空気もしくは液体ブラダーなどの他の支持材料のみであってもよい。
【0033】
ここで説明されるような支持フォーム22は、マットレスコアの一部であり、マットレスの支持快適さのほとんどをもたらすために使用されるフォームを含む。通常そのようなフォームは、マットレス内部のパネルのみを被覆するが、マットレス内部を完全に囲ってもよい。マットレスの防火は、大部分、支持フォームが点火されるのを防止するために行われるか、フォームが点火された場合、支持フォーム内の火炎の広がりを抑制するのを助けるために行われる。
【0034】
本発明の布複合体は、マットレスのパネルおよび/またはボーダーを防火するのに有用であり、マットレスのボーダー対パネルで異なった量のクッショニング材料を使用してもよい。マットレスを完全に防火するために、防火をマットレスのパネルおよびボーダーすべてに組入れなければならない。これは、防火特性のいずれも失うことなく、マットレスの両面を使用することができるように、マットレスが所有者によってひっくり返されることを可能にする。
【0035】
マットレスセット
布複合体は、また、マットレスと、マットレスファンデーションとを含んでなるマットレスセットを防火するために使用することができる。ボックススプリングなどのファンデーションは、一般に、ボーダーまたは側面上に防火を有することが必要である。ファンデーショントップパネルは、通常、マットレスと接触し、火炎から幾分遮蔽され、そのため、ファンデーションパネルに使用される材料は、典型的には、たとえばマットレスのパネルと同じ程度の防火を有する必要はない。限定することが意味されないが、図6および図7は、1タイプのファンデーション、すなわち、ボックススプリング、および2つの一般タイプの防火配列の非常に簡略化された図を示す。図6を参照すると、ボックススプリングファンデーション30が、トップパネルおよびすべてのボーダー上で布複合体31で被覆される。支持フォームの層32が布複合体の下にある。支持フォームは、通常木材または何らかの他の硬質材料から製造される支持構造33に取付けられる。いくつかの場合、底面上で薄い不織布ダストカバー35によって被覆されたファンデーションの大きい開いた領域34がある。代替配列が図7に示されている。マットレスファンデーション40が、トップパネル上で、布複合体31と異なった代替トップ布41で被覆される。このトップ布パネルは、頂面を被覆し、防火は、可燃性テストの間火炎ジェットの侵入を防止するために、4のボーダーすべてのために提供される。ファンデーションのトップパネルがマットレスによって被覆されるので、トップ布パネルは、ファンデーションのボーダーほど難燃性である必要はない。さらに、マットレスファンデーションは、ボーダーおよび/またはパネルに大きい程度のクッショニング材料を有さないであろう。マットレスファンデーションボーダーの外側寝具用布の下に単層防火布を有することが十分である。
【0036】
本発明のマットレスセットは、この技術報告に従ってテストされたとき、テストの最初の30分以内に、好ましくはテストの最初の60分以内に、150キロワット未満のピーク放熱を有する。さらに、本発明のマットレスは、この技術報告に従ってテストされたとき、10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有してもよい。
【0037】
マットレスを防火するための方法
本発明は、さらに、マットレスに、クッショニング材料とマットレスコアとの間に防火布を組入れることによって、マットレスを防火するための方法に関し、防火布は、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなる不織布の単層である。
【0038】
防火布は、好ましくは、最初に、寝具用布、クッショニング材料、および防火布を順に組合せて布複合体にすることによって、マットレスに組入れることができる。布複合体の層をともにステッチすることができ、次に、布複合体を使用して、マットレスコアを被覆することができる。布複合体を、スティッチ溶着などの適切な手段によってマットレスコアに取付けることができる。防火布をマットレスに組入れる代替方法は、防火布、クッショニング材料、および寝具用布の個別の層をマットレスコア上に配置し、層をマットレスコアにステッチすることによる。
【0039】
テスト方法
マットレス燃焼性能
カリフォルニア州消費者問題局の家具および断熱部(The Bureau of Home Furnishings and Thermal Insulation of the Department of Consumer Affairs of the State of California)(米国95660−5595カリフォルニア州ノースハイランズ、オレンジグローブアベニュー3485(3485 Orange Grove Avenue, North Highlands, California 95660−5595, USA))は、マットレスセットの可燃性性能を定量化するために、2003年2月付の技術報告(Technical Bulletin)603「大きい裸火に対する居住用マットレス/ボックススプリングセットの耐性の要件およびテスト手順(Requirements and Test Procedure for Resistance of a Residential Mattress/Box Spring Set to a Large Open−Flame)」を発行した。このプロトコルは、マットレスおよびファンデーションが十分に換気された条件下で特定の燃える点火源に曝されたときに特定の火災テスト反応を測定することによって、マットレス/ファンデーションセットの燃焼挙動を定める手段を提供する。それは、2003年2月付の「1対のガスバーナを使用してマットレス/ファンデーションセットをテストするプロトコル(Protocol of Testing Mattress/Foundation Sets Using a Pair of Gas Burners)」という題の国立標準技術研究所刊行物(the National Institute of Standards and Technology Publication)に基く。
【0040】
点火の時点から、(1)スリープセットの燃焼がすべて止まる、(2)1時間の期間が経過する、または(3)テスト室のフラッシュオーバが避けられないと思われるまで、特定の対のガスバーナを加える間およびその後の燃焼を説明するテストデータが得られる。燃焼テスト標本からの放熱(火災によって発生されたエネルギー)の速度を、酸素消費熱量測定によって測定する。原理、制限、および必要な計装の説明が、ASTM E 1590「マットレスの火災テストの標準テスト方法(Standard Test Method of Fire Testing of Mattresses)」に見出される。テストと関連する専門用語は、ASTM E 176「火災標準の標準専門用語(Standard Terminology of Fire Standards)」に定義される。
【0041】
一般に、テストプロトコルは、寝具を燃焼することによってマットレスおよびファンデーションに課される熱流束レベルおよび持続期間を模倣するように設計された1対のプロパンバーナを使用する。バーナは、異なる流束を異なる時間の間マットレストップおよびマットレス/ファンデーションの側面に課す。このように曝す間およびその後、テスト標本から時間依存放熱速度の測定を行う。
【0042】
マットレス/ファンデーションを、キャッチ表面上に位置する短いベッドフレームの上に配置する。テストの間、立ち昇る煙が、放熱速度を測定するように取付けられたフードによって捕えられる。実用性のため、ツインサイズのマットレスおよびファンデーションをテストする。バーナによる点火後、標本を、十分に換気された条件下で自由に燃焼させる。
【0043】
同じ割合で描かれていないガスバーナの一般的な配置の代表的な図が、図8に示されている。テスト標本50は、ファンデーション52上に配置されたマットレス51を含み、T字形バーナ53および54が、標本を燃焼するようにセットされる。バーナ53は、マットレスの頂面上に火炎を衝突させ、マットレスの表面から39mmにセットされる。第2のバーナ54は、マットレス/ファンデーションの組合せの側面上に垂直に火炎を衝突させ、標本の側面から42mmにセットされる。サイドバーナおよびトップバーナは、標本の長さに沿って同じ場所にセットされないが、図9に一般に示されているように、長さに沿って約18から20cm互いにオフセットされる。バーナは、テスト方法ごとに特別に構成され整列される。
【0044】
テスト標本を、12摂氏(54華氏)を超える周囲温度および70パーセント未満の相対湿度でテスト前24時間状態調整する。マットレスおよびファンデーションのテスト標本を、互いの上にならびにフレームおよびキャッチ表面上に中心に置く。マットレスがファンデーションより1から2cm狭い場合、マットレスを、マットレスおよびファンデーションの側面が垂直に整列されるまで移動してもよい。バーナを、標準ごとに整列させ標本から隔置する。データ記録およびロギング装置を、点火の少なくとも1分前にオンにする。バーナを点火し、トップバーナを70秒間燃焼させ、サイドバーナを50秒間燃焼させ(可能であれば)、次に、それらを領域から除去する。燃焼およびくすぶりのしるしがすべて終わるまで、または1時間が経過するまで、データ収集を続ける。
【0045】
熱重量分析(ThermoGravametric Analysis)
本発明に使用される繊維は、特定の加熱速度で高温に加熱されたときにそれらの繊維重量の一部を維持する。この繊維重量を、デラウェア州ニューアーク(Newark, Delaware)のTAインスツルメンツ(TA Instruments)(ウォーターズコーポレーション(Waters Corporation)の1事業部)から入手可能なモデル2950熱重量分析器(Thermogravimetric Analyzer)(TGA)を使用して測定した。TGAは、サンプル重量損失対上昇温度のスキャンを与える。TA汎用分析(Universal Analysis)プログラムを使用して、パーセント重量損失を任意の記録温度で測定することができる。プログラムプロファイルは、サンプルを50℃で平衡させ、温度を1分あたり10または20℃から50から1000℃で上昇させ、10ml/分で供給されるガスとして空気を使用し、500マイクロリットルのセラミックカップ(PN 952018.910)サンプルコンテナを使用することからなる。
【0046】
テスト手順は次の通りである。TGAを、TAシステムズ(Systems)2900コントローラ(Controller)上のTGAスクリーンを使用してプログラムした。サンプルIDを入力し、1分あたり20度の計画された温度上昇プログラムを選択した。空のサンプルカップを、機器の風袋機能を使用して風袋を計った。繊維サンプルを約1/16インチ(0.16cm)の長さに切断し、サンプルパンをサンプルで緩く充填した。サンプル重量は10から50mgの範囲内でなければならない。TGAはバランスを有し、したがって、厳密な重量を予め定める必要はない。サンプルのいずれも、パンの外側にあってはならない。充填されたサンプルパンをバランスワイヤ上に装填し、熱電対がパンの頂縁に近いがそれに触れていないことを確かめた。炉をパンの上に上昇させ、TGAを開始する。いったんプログラムが完了すると、TGAは、自動的に炉を低下させ、サンプルパンを除去し、冷却モードになる。次に、TAシステムズ2900汎用分析プログラムを使用して、分析し、温度の範囲にわたるパーセント重量損失についてのTGAスキャンを生成する。
【実施例】
【0047】
実施例1
各々がマットレスとファンデーションとから構成される3つのスリープセットを、典型的なマットレスおよびボックススプリング構成技術を用いて製造し、各セットは、使用された防火布のタイプおよび坪量が異なるだけであった。マットレスコアは、繊維パッドおよび0.5インチ(1.25センチメートル)のフォームシートで被覆された標準鋼コイル構成であった。ファンデーションは、標準鋼コイルおよびウッドボックス構成であった。すべてのマットレスがタイト(スムース)トップスタイルであった。表1は、5のマットレスに使用された防火布の組成および坪量を記載する。
【0048】
【表2】

【0049】
次の構成要素を順に、すなわち、3.5oz/ydの織られたポリエステル寝具用布、面積密度が0.75oz/ydの約0.75インチのポリエステルバッティング、表2からの単層防火布、1インチのポリウレタンフォームシート、0.5インチのポリウレタンフォームシート、および約1oz/ydの不織バッキングシートを、標準ポリエステル糸でともにキルティングすることによって、マットレスのためのパネル材料を組立てた。パネル材料を使用して、2面マットレスの両面(頂面および底面)を被覆した。
【0050】
次の構成要素を順に、すなわち、3.5oz/ydの織られたポリエステル寝具用布、面積密度が2.5oz/ydの約0.375インチのポリウレタンフォーム、表2から選択された同じ防火布(パネルに使用されたのと同じ)を、標準ポリエステル糸でともにキルティングすることによって、別個の作業でボーダー材料を組立てた。ボーダー材料を使用して、マットレスの4の垂直側面すべてを被覆した。
【0051】
ボーダー材料を、また、ファンデーションの上縁上の2インチ(5.1センチメートル)のコンチネンタルまたはウォーターフォール設計、すなわち、ボーダー材料が上縁にわたって折り曲げられ、ファンデーショントップパネル上に延在する設計を用いて、ファンデーションの4の垂直側面上で使用した。
【0052】
コンチネンタル端縁内のファンデーショントップパネル領域を、標準的な滑らないパッドの下のスパンレース不織布(25%のケブラー(登録商標)および75%のビジル(登録商標)の組成を有する)4oz/yd(136g/m)で被覆した。すべてのボーダーおよびパネル複合体材料シームを、ケブラー(登録商標)繊維を含有する糸で縫った。FR処理されたポリエステルシームテープも全体にわたって使用した。
【0053】
3つのスリープセットを、カリフォルニア州の技術報告603に従って個別に燃焼した。燃焼結果は表2に要約されている。すべて、最初の30分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有し、最初の10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有した。マットレスの2つは、また、最初の60分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有した。
【0054】
実施例2
各々がマットレスとファンデーションとから構成される2つのスリープセットを、実施例1と同じ技術および材料を用いて製造したが、a)マットレストップパネルおよびボーダーに使用された不織防火布は、燃焼されたときに火炎抑制ガスを放出するガス発生材料を含有し、b)この不織防火布は、単層ニードルパンチフェルト不織布であった。これらのトップパネル布の組成および坪量は、表3に示されている。マットレスのボトムパネルをファンデーションのトップパネルと同じ材料から製造し、すなわち、ボトムパネルを、標準的な滑らないパッドの下のスパンレース不織布(25%のケブラー(登録商標)および75%のビジル(登録商標)の組成を有する)4oz/yd(136g/m)で被覆した。
【0055】
両方のスリープセットを実施例1のように燃焼し、両方が、30および60分の両方におけるピーク放熱速度テスト、ならびに最初の10分以内の総放熱テストに合格した。
【0056】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の布複合体を簡略化された態様で示す。
【図2】本発明に使用される防火布の組成の範囲を示す。
【図3】本発明に使用される防火布の組成の好ましい範囲を示す。
【図4】本発明の防火されたマットレスの簡略化された断面を示す。
【図5】本発明の防火されたマットレスの破断図を示し、布複合体、クッショニングフォーム、およびマットレス内部を簡略化された態様で示す。
【図6】本発明の防火されたファンデーションの1つの可能な実施形態の簡略化された断面を示す。
【図7】異なった布頂面を有する、本発明の防火されたファンデーションの1つの可能な実施形態の簡略化された断面を示す。
【図8】バーナ、本発明のマットレスおよびマットレスセットの燃焼性能をテストするために使用されるマットレスおよびファンデーションの配列を簡略化された態様で示す。
【図9】本発明のマットレスおよびマットレスセットを燃焼するために使用されるバーナの配列のオフセットを簡略化された態様で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)犠牲外側寝具用布と、
(b)犠牲クッショニング材料と、
(c)防火布とを順に含んでなる、裸火に対して耐性のある布複合体であって、
防火布が、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなる不織布の単層である布複合体。
【請求項2】
外側寝具用布が、坪量が1平方ヤードあたり2から8オンス(1平方メートルあたり67から271グラム)の織られたまたは編まれた布である請求項1に記載の布複合体。
【請求項3】
クッショニング材料が、繊維の層、またはフォームの層、または繊維層およびフォーム層の組合せを含んでなる請求項1に記載の布複合体。
【請求項4】
外側寝具用布およびクッショニング材料が、その総燃焼熱が1平方ヤードあたり5から130メガジュール(1平方メートルあたり6から155メガジュール)である量で存在する請求項3に記載の布複合体。
【請求項5】
外側寝具用布およびクッショニング材料の総燃焼熱が、1平方ヤードあたり75メガジュール(1平方メートルあたり90メガジュール)未満である請求項4に記載の布複合体。
【請求項6】
外側寝具用布およびクッショニング材料の総燃焼熱が、1平方ヤードあたり30メガジュール(1平方メートルあたり36メガジュール)未満である請求項5に記載の布複合体。
【請求項7】
クッショニング材料の繊維の層が、繊維のバッティング、繊維の垂直にひだをつけられた配列、または繊維の網目である請求項3に記載の布複合体。
【請求項8】
クッショニング材料の最小厚さが少なくとも1/4インチ(0.6cm)であり、最大厚さが3インチ(7.6cm)である請求項3に記載の布複合体。
【請求項9】
耐熱性繊維が、1分あたり20℃の速度で500℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の90パーセントを維持する有機繊維である請求項1に記載の布複合体。
【請求項10】
耐熱性繊維が、パラ−アラミド、ポリベンザゾール、ポリベンゾイミダゾール、またはポリイミドポリマーを含んでなる請求項1に記載の布複合体。
【請求項11】
パラ−アラミドがポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である請求項10に記載の布複合体。
【請求項12】
セルロース繊維が、ケイ酸を含有するビスコース繊維である請求項1に記載の布複合体。
【請求項13】
耐熱性繊維がポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維であり、ビスコース繊維(X)および耐熱性繊維(Y)が、下記式
Y≧−0.14X+1.3
で表わされる重量比で防火布中に存在する請求項12に記載の布複合体。
【請求項14】
防火布が、燃焼されたときに火炎抑制ガスを放出するガス発生材料をさらに含んでなる請求項1に記載の布複合体。
【請求項15】
ガス発生材料がモダクリル繊維である請求項14に記載の布複合体。
【請求項16】
ガス発生材料がポリ塩化ビニル繊維である請求項14に記載の布複合体。
【請求項17】
請求項1に記載の布複合体を含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレス。
【請求項18】
布複合体がマットレスのパネルに配置される請求項17に記載のマットレス。
【請求項19】
布複合体がマットレスのボーダーに配置される請求項17に記載のマットレス。
【請求項20】
布複合体が、耐火性糸スティッチ溶着を有するシームをさらに含んでなる請求項17に記載のマットレス。
【請求項21】
請求項9に記載の布複合体を含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレス。
【請求項22】
布複合体がマットレスのパネルに配置される請求項21に記載のマットレス。
【請求項23】
布複合体がマットレスのボーダーに配置される請求項21に記載のマットレス。
【請求項24】
布複合体が、耐火性糸スティッチ溶着を有するシームをさらに含んでなる請求項21に記載のマットレス。
【請求項25】
請求項13に記載の布複合体を含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレス。
【請求項26】
マットレスと、マットレスファンデーションとを含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレスセットであって、前記マットレスセットが、請求項1に記載の布複合体を含んでなるマットレスセット。
【請求項27】
マットレスと、マットレスファンデーションとを含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレスセットであって、前記マットレスセットが、請求項9に記載の布複合体を含んでなるマットレスセット。
【請求項28】
マットレスと、マットレスファンデーションとを含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレスセットであって、前記マットレスセットが、請求項13に記載の布複合体を含んでなるマットレスセット。
【請求項29】
マットレスと、マットレスファンデーションとを含んでなる、裸火に対して耐性のあるマットレスセットであって、
マットレスが、布複合体と、マットレスコアとを含んでなり、布複合体が、
(a)犠牲外側寝具用布と、
(b)犠牲クッショニング材料と、
(c)単層不織防火布とを順に含んでなり、
マットレスファンデーションが、単層不織防火布と、支持構造とを含んでなり、
マットレスセットが、カリフォルニア州の技術報告603に従ってテストされたとき、30分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有し、最初の10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有するマットレスセット。
【請求項30】
単層不織防火布が、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)を含んでなり、不織布の坪量が、少なくとも1平方ヤードあたり2.5オンス(1平方メートルあたり85グラム)である請求項26に記載のマットレスセット。
【請求項31】
耐熱性繊維が、1分あたり20℃の速度で500℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の90パーセントを維持する有機繊維である請求項27に記載のマットレスセット。
【請求項32】
耐熱性繊維が、パラ−アラミド、ポリベンザゾール、ポリベンゾイミダゾール、およびポリイミドよりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項27に記載のマットレスセット。
【請求項33】
耐熱性繊維がポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維であり、不織防火層が、ケイ酸を含有するビスコース繊維を含み、ビスコース繊維(X)および耐熱性繊維(Y)が、下記式
Y≧−0.14X+1.3
で表わされる重量比で防火布中に存在する請求項27に記載のマットレスセット。
【請求項34】
マットレスセットが、カリフォルニア州の技術報告603に従ってテストされたとき、60分以内に150キロワット未満のピーク放熱速度を有し、最初の10分以内に25メガジュール未満の総放熱を有する請求項18に記載のマットレスセット。
【請求項35】
単層不織防火布が、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)を含んでなり、不織布の坪量が、少なくとも1平方ヤードあたり2.5オンス(1平方メートルあたり85グラム)である請求項31に記載のマットレスセット。
【請求項36】
耐熱性繊維が、1分あたり20℃の速度で500℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の90パーセントを維持する有機繊維である請求項32に記載のマットレスセット。
【請求項37】
耐熱性繊維が、パラ−アラミド、ポリベンザゾール、ポリベンゾイミダゾール、およびポリイミドよりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項32に記載のマットレスセット。
【請求項38】
耐熱性繊維がポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維であり、不織防火層が、ケイ酸を含有するビスコース繊維を含み、ビスコース繊維(X)および耐熱性繊維(Y)が、下記式
Y≧−0.14X+1.4
で表わされる重量比で防火布中に存在する請求項32に記載のマットレスセット。
【請求項39】
マットレスクッショニング材料の審美性を維持しながらマットレスを防火するための方法であって、マットレスが、寝具用布と、クッショニング材料と、マットレスコアとを順に有し、方法が、
(a)マットレスに、クッショニング材料とマットレスコアとの間に防火布を組入れる工程を含んでなり、
(b)防火布が、1分あたり20℃の速度で700℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の少なくとも10パーセントを維持するセルロース繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)と、耐熱性繊維少なくとも1平方ヤードあたり0.5オンス(1平方メートルあたり17グラム)とを含んでなる不織布の単層である方法。
【請求項40】
耐熱性繊維が、1分あたり20℃の速度で500℃に空気中で加熱されたときに繊維重量の90パーセントを維持する有機繊維である請求項34に記載の方法。
【請求項41】
耐熱性繊維が、パラ−アラミド、ポリベンザゾール、ポリベンゾイミダゾール、およびポリイミドよりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項34に記載の方法。
【請求項42】
パラ−アラミドがポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である請求項36に記載の方法。
【請求項43】
耐熱性繊維がポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維であり、セルロース繊維が、ケイ酸を含有するビスコース繊維であり、ビスコース繊維(X)およびポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維(Y)が、下記式
Y≧−0.14X+1.4
で表わされる重量比で防火布中に存在する請求項34に記載の方法。
【請求項44】
防火布が、燃焼されたときに火炎抑制ガスを放出するガス発生材料をさらに含んでなる請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−500623(P2007−500623A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522058(P2006−522058)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024464
【国際公開番号】WO2005/011975
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】