説明

耐紫外線ナノ複合材料を主材料とするモレキュラーシーブとその調合方法、およびその利用方法

本発明は、X、Y,A,STI、ASM−5、MCM−41型とその系列およびSBAとその系列のミクロ細孔性またはメソ細孔性モレキュラーシーブをホストとして、TiO、ZnO、CeO、Feナノクラスターをゲストとして利用したホスト−ゲストナノ複合材料である、新規な耐紫外線材料を提供する。この複合体は、UVA−UVB領域の紫外線を強く吸収し、化粧品用、塗料用、ゴムおよびプラスチック産業用の耐紫外線剤として利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐紫外線材料の調合に関し、より詳細には、ホストとしてゼオライトモレキュラーシーブおよびメソ細孔性モレキュラーシーブ等の結晶性多孔質材料を、ゲストとしてTiO、ZnO、CeO、Feナノクラスターを用いた、耐紫外線材料に関する。また、本願発明は、上記耐紫外線材料の調合方法および利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代産業の発達のため、近年では、大気汚染が進み、オゾン層の損傷は、ますます深刻化している。様々な分野において、紫外線照射に耐えることは、切迫した問題である。過剰な紫外線の危険性は、主に以下に示すような点で具体化している。
【0003】
1:生物に対して紫外線が照射されると、タンパク質のペプチド鎖が損傷を受け、フリーラジカルが生成される。このフリーラジカルは、さらに他のペプチド鎖に作用して、結果的に、細胞の損傷や、遺伝子変異が生じる。人間の体においても、日焼けや皮膚ガンを引き起こす。日焼け止め化粧品の使用は、上記の問題を解決するための効果的な方法の一つである。
【0004】
2:紫外光は、高エネルギーの光であり、分子工業製品を劣化させ、短寿命化させる。そのため、一般に、高分子製品には、耐紫外線剤が添加される。
【0005】
米国、日本およびヨーロッパなどのいくつかの国では、日焼け止め化粧品の研究および利用が高い水準に達し、日焼け止め化粧品は、スキンケア用化粧品の発展において、重要な点となっている。ヨーロッパにおいて、日焼け止め化粧品の1年間の成長率は、5〜10%となっている。また、米国では、1990年における化粧品の発明の半分が、日焼け止め化粧品の生産に関するものであることが報告されている。我が国においても、生活水準の急速な発展に伴い、人々の美意識および健康管理に対する意識が高まり、多くの人々が、紫外線に晒されないようにすることに一層の注意を払っている。我が国では、1990年代中期から、日焼け止め製品市場の伸び率は20%以上を保ち続けている。さらに、耐紫外線剤は、ますます使用されるようになっている。プラスチック産業、ゴムおよび塗料産業において、特に塗料産業においては、活性が高く安定な耐紫外線剤は、常に研究開発の重要な点となっている。
【発明の開示】
【0006】
現在では、耐紫外線剤の開発においては、化学的な開発と物理的な開発の2つの主な種類がある。前者を利用することが、より一般的である。一般に、化学的な耐紫外線剤は、有機化合物である。そのため、化学的な耐紫外線剤は、良い相溶性を示す。しかしながら、化学的な耐紫外線はまた、一般的に、ある程度の皮膚に対する毒性や刺激性を有している。これらは、現在における人々の健康に対する風潮と相反するものである。なぜなら、これらが皮膚に直接触れる製品に用いられると、容易に過敏症を引き起こすからである。加えて、有機耐紫外線剤は、通常、光安定性が悪く、紫外線照射によって分解されたり、酸化されたりする。ナノテクノロジーの発達により、上記の問題を解決することが可能となった。ナノテクノロジーにより開発されたものは、物理的な耐紫外線剤、すなわち、無機ナノ耐紫外線剤である。無機ナノ耐紫外線剤は、安定性と広いスペクトルを有するという特徴があり、有機耐紫外線剤の欠点を一定程度上昇させる。応用に伴い、無機ナノ耐紫外線剤の短所も徐々に明らかになってきている。表面活性が最も典型的な短所である。無機ナノ粒子は、高い表面エネルギーを有しているために、無機ナノ粒子が有機相と混合された場合に、容易にコアセルべーションが生じ、耐紫外線剤として不活性なものとなってしまう。あわせて、ナノ粒子の安全性についても、応用に際しての潜在的な問題である。
【0007】
例えば、ナノZnOおよびナノTiOは、光触媒反応性を有し、日光のもとでフリーラジカルを生成するが、これは、人体のDNAを傷つける可能性がある。オックスフォード大学のJohn Kownlandらは、TiOとZnOの有害な効果について、深く研究を行った。この研究によれば、TiOとZnOは、光照射によって、酸素および酸水素フリーラジカルを生成するということである。人々の認識とは異なり、酸水素フリーラジカルが人体のDNAを傷つける一方で、酸素フリーラジカルはDNAを傷つけないということが示されている。したがって、TiOやZnOによる害に抗するために、酸素フリーラジカル除去剤を添加するという方法では、十分ではない。ホストであるモレキュラーシーブにナノクラスターを組み合わせることで、上記の問題を劇的に改善することが可能となる。
【0008】
モレキュラーシーブは、結晶性の多孔性材料の一つである。この多孔性チャネルは、孔径の分布が狭く、微視的に高い秩序を有しているという特徴を有する。モレキュラーシーブの多孔性チャネルを鋳型として利用し、ゲスト分子をこの多孔性チャネルに導入することで、高い秩序を有するナノクラスターの準備が可能となる。この組立技術は、ナノクラスターの分散を保証するだけでなく、ナノクラスターの性能を飛躍的に高めることができる。この分野において、多数の組立方法が開発されてきた。半導体ゲスト、配位化合物ゲスト、およびいくつかの巨大分子有機ゲストの組立方法に関する研究において、いわゆる”瓶中での造船”(ship in bottom)として知られている技術が、開発されてきた。端的に言えば、この方法は、ゲストの微小分子単量体をモレキュラーシーブの多孔性チャネル中に導入した後に、多孔性チャネルを合成反応条件下におくことで、化合反応を開始させる方法である。窒素を含有するいくつかの有機ゲストを合成する際に、その場合成法を使用すると、かなり良い効果が得られることがある。上記の方法により得られた複合材料は、その表面に微小な顆粒が分布している形状を有するが、実質的にはナノクラスターの特徴を有する。モレキュラーシーブの多孔性チャネルの鋳型作用のために、ゲストは、規則正しい微小な高さを有する。これにより、材料の特性に、ケタが変わるほどの大きな変化が生じる。
【0009】
この種の組立方法は、日焼け止め化粧品、塗料、ゴムおよびプラスチック産業への応用について、優れた長所を有する。通常の有機紫外線吸収材料や、新規の無機紫外線吸収材料にかかわらず、モレキュラーシーブの多孔性チャネル中に導入することで、ナノ粒子のコアセルべーションを防ぐことが可能となり、紫外線吸収剤の副作用を最大限低下させることも可能となる。より重要な点は、紫外線吸収剤が高い規則性を有して微視的な状態で存在しているために、紫外線吸収の性能が極度に増幅されるということである。
【0010】
本発明の目的の一つは、一種の耐紫外線材料を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前述の耐紫外線材料の調合方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前述の耐紫外線材料の利用方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ホスト−ゲストナノ複合材料を主成分とするモレキュラーシーブを紫外線吸収剤として利用する耐紫外線材料を提供する。上記のホストは、X,Y,A,STI,ZSM−5,MCM−41とその系列、SBAとその系列等のようなミクロ細孔性およびメソ細孔性モレキュラーシーブの種類から選択された1以上の物質である。また、ゲストクラスターは、TiO、ZnO、CeO、Feから選択された1以上の材料である。この種の耐紫外線材料は、鋳型として、モレキュラーシーブの微視的に整列した多孔性チャネルを用いている。ゲストクラスターは、量子とじこめ効果により、方向性を有しながら高い秩序で存在している。このナノクラスターは、ナノクラスターの層間の距離が安定に存在することを保証するだけでなく、性能に関しても著しく改善されることを保証する。
【0014】
本発明は、また、耐紫外線材料の2種類の調合方法を提供する。
【0015】
第1の調合方法は、TiO、ZnO、CeO、Fe金属酸化物ナノクラスターとモレキュラーシーブとの化合物であるホスト−ゲストナノ複合材料をイオン交換法により合成する原料として、TiCl、ZnCl、Zn(NO,CeCl、Ce(NO、FeCl、Fe(NO、またはFeSOのいずれか1以上を使用し、上記の合成反応の生成物を紫外線吸収剤として使用して、耐紫外線材料を得る調合方法である。
【0016】
この方法は、以下に示す工程を含む。すなわち、原料を水に溶解する工程、モレキュラーシーブを添加する工程、室温で3〜12時間撹拌する工程、濾過する工程、洗浄する工程、400〜600℃で4〜24時間焙焼する工程を含む。
【0017】
あるいは、原料を水に溶解する工程と、低シリコンモレキュラーシーブを添加する工程と、1時間静置する工程と、濾過する工程と、洗浄および乾燥を80℃で行う工程と、500℃で12時間焙焼する工程とを含む。
【0018】
第2の調合方法は、モレキュラーシーブの中に含まれているホスト−ゲストナノ複合材料のTiOクラスターを加水分解反応により合成するために、ブチルチタネートを原料として使用し、上記加水分解反応の生成物を紫外線吸収剤として使用して、耐紫外線材料を得る調合方法である。
【0019】
この方法は、以下に示す工程を含む。すなわち、ブチルチタネートを非極性溶媒中の高シリコンモレキュラーシーブに混合する工程、不活性ガス雰囲気下において、50〜100℃で4〜48時間、還流および撹拌を行う工程、生成物をアルコール系溶媒で洗浄する工程、60〜100℃で乾燥する工程、400〜600℃で4〜24時間焙焼する工程を含む。
【0020】
本発明は、更に、化粧品、塗料、ゴムおよびプラスチック産業に用いることを特徴とする耐紫外線材料の利用方法を提供する。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を示しながら、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明が、以下に示す実施例に限定されるわけではない。
【0022】
(実施例1)
XゼオライトとZnOとを組み合わせた。
1)Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)Xゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のZn2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−X−ZnO粉末が生成物として得られた。
【0023】
(実施例2)
YゼオライトとZnOとを組み合わせた。
1)Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)Yゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のZn2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−Y−ZnO粉末が生成物として得られた。
【0024】
(実施例3)
AゼオライトとZnOとを組み合わせた。
1)Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)Aゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のZn2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−A−ZnO粉末が生成物として得られた。
【0025】
(実施例4)
STIゼオライトとZnOとを組み合わせた。
1)Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)STIゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のZn2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−STI−ZnO粉末が生成物として得られた。
【0026】
(実施例5)
ZSM−5ゼオライトとZnOとを組み合わせた。
1)Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)ZSM−5ゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のZn2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、ZSM−5−ZnO粉末が生成物として得られた。
【0027】
(実施例6)
MCM−41ゼオライトとZnOとを組み合わせた。
1)Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)MCM−41ゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Zn(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のZn2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−MCM−ZnO粉末が生成物として得られた。
【0028】
(実施例7)
XゼオライトとFeとを組み合わせた。
1)FeSOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)Xゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。FeSOを10.00g量り分け、40mlの水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のFe2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−X−Fe粉末が生成物として得られた。
【0029】
(実施例8)
YゼオライトとFeとを組み合わせた。
1)FeSOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)Yゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。FeSOを10.00g量り分け、40mlの水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)上記4)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のFe2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−Y−Fe粉末が生成物として得られた。
【0030】
(実施例9)
AゼオライトとFeとを組み合わせた。
1)FeSOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)Aゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。FeSOを10.00g量り分け、40mlの水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)5)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のFe2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−A−Fe粉末が生成物として得られた。
【0031】
(実施例10)
STIゼオライトとFeとを組み合わせた。
1)FeSOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)STIゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。FeSOを10.00g量り分け、40mlの水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)5)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のFe2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−STI−Fe粉末が生成物として得られた。
【0032】
(実施例11)
MCM−41ゼオライトとFeとを組み合わせた。
1)FeSOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)MCM−41ゼオライトを2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。FeSOを10.00g量り分け、40mlの水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)5)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のFe2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼した。これにより、H−MCM−Fe粉末が生成物として得られた。
【0033】
(実施例12)
CeOナノクラスターを、X,Y,A,ZSM−5、STI、MCM−41ゼオライトに組み合わせた。
1)Ce(NOを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)ゼオライト(X,Y,A,ZSM−5、STI、MCM−41のいずれか1つ)を2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)40〜50℃で1時間、電磁気的に撹拌した。
4)しばらく静置し、離層した後に上澄み液を捨てた。Ce(NOを10.00g量り分け、40mlの水に溶かし、1時間電磁気的に撹拌した。
5)5)の工程を3回繰り返し、3回目に、ブフナー漏斗を用いて溶液を濾過した。脱イオン水を用いて繰り返し洗浄し、溶液中の不純物イオンと、ゼオライトモレキュラーシーブの枠組み中のFe2+イオンとを取り除いた。その後、オーブンの中に入れ、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢に入れ、10〜15分間すりつぶし、その後、30mlのるつぼに移し、炉の間接加熱室において、550℃で6時間焙焼した。
7)生成物をるつぼから取り出し、10〜15分間すりつぶした後に、炉の間接加熱室に移し、同様の条件で6時間焙焼して、生成物が得られた。
【0034】
(実施例13)
TiOナノクラスターを、X,Y,A,ZSM−5、STI、MCM−41ゼオライトに組み合わせた。
1)TiClを10.00g量り分け、40mlの脱イオン水に溶かした。
2)ゼオライト(X,Y,A,ZSM−5、STI、MCM−41のいずれか1つ)を2.00g量り分け、上記の溶液に混合し、pHを4〜5に保った。
3)室温で1時間載置した。
4)濾過し、溶液中の不純物イオンを除くために脱イオン水により繰り返し洗浄した。その後、オーブンに移し、60℃で約30分間乾燥させた。
6)得られた生成物を瑪瑙の乳鉢で10〜15分間すりつぶした。その後、30mlのるつぼへと移し、炉の間接加熱室において550℃で6時間焙焼した。
7)るつぼを取り出し、10〜15分間粉末状にすりつぶした。その後、炉の間接加熱室へと移し、同様の条件下で6時間焙焼して、生成物が得られた。
【0035】
(実施例14)
アクリル酸−アミノワニスの調合
重量%
アクリル酸樹脂(70%固体含量) 52.2
アミノ樹脂(70%固体含量) 22.3
Tinnvin292 0.5
Tinnvin1130 0.8
水切りシリカ(10%) 5.0
ブチルアセテート 5.0
ジメチルベンゼン 10.0
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 2.7
n−ブチルアルコール
【0036】
合成方法
1 アクリル酸樹脂およびアミノ樹脂等の主要な樹脂を、正確に量り取り、清潔で区分けされた容器に移した。
2 初めに、ブチルアセテートおよびエチレングリコールブチルエーテルアセテート等の高い沸点を有する溶媒を樹脂に加えて樹脂を希釈し、撹拌速度を徐々に上昇させた。
3 必要なTinuvin272を正確に量り取り、少量のブチルアセテートもしくはジメチルベンゼンで希釈し、分散させた。
4 水切りシリカ等の異なる種類の補助剤を量り取り、同様にして希釈し、容器に加えた。
5 残りの溶媒を容器に加え、20〜30分間、高速回転(2000〜3000rpm)させることで分散させた。
【0037】
(実施例15)
日焼け止めの調合
重量%
A:精製水 50
ポリオキシアルキレン 12
ポリアクリル酸溶液 2
ドデシル硫酸ナトリウム 0.5
ケーソン 0.1
B:ミリスチン酸イソプロピル 10
パルミチン酸イソプロピル 10
アセチル化されたラノリン 5
t−ブチルヒドロキシルアニソール 0.05
C:ナノ複合体耐紫外線剤 8
マイカ粉末 1
D:芳香剤 0.85
【0038】
合成方法
A、Bそれぞれについて、混合および撹拌し、溶解させた。A、B、Cを乳化した後にEを加え、24時間静置した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト−ゲストナノ複合材料を基にしたモレキュラーシーブを、紫外線吸収剤として用いることを特徴とする、耐紫外線材料。
【請求項2】
前記ホスト−ゲストナノ複合材料を基にしたモレキュラーシーブのホストは、X、Y、A、STI、ZSM−5等のミクロ細孔性ゼオライトモレキュラーシーブおよびMCM−41、MCM−48、SBA−15等のメソ細孔性モレキュラーシーブから選択される1以上であることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料。
【請求項3】
前記ホスト−ゲストナノ複合材料を基にしたモレキュラーシーブのゲストは、TiO、ZnO、CeO、Feから選択される1以上の金属酸化物ナノクラスターであることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料。
【請求項4】
TiO、ZnO、CeO、Fe金属酸化物ナノクラスターと前記モレキュラーシーブとの化合物である前記ホスト−ゲストナノ複合材料をイオン交換法により合成する原料として、TiCl、ZnCl、Zn(NO,CeCl、Ce(NO、FeCl、Fe(NO、またはFeSOのいずれか1以上を使用し、
上記の合成反応の生成物を紫外線吸収剤として使用して、前記耐紫外線材料を得ることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料の調合方法。
【請求項5】
前記イオン交換法は、
前記原料を水に溶解する工程と、
前記溶液にモレキュラーシーブを添加する工程と、
1〜6時間、静置もしくは撹拌する工程と、
濾過する工程と、
洗浄および乾燥をする工程と、
400〜600℃で4〜24時間焙焼する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の耐紫外線材料の調合方法。
【請求項6】
前記イオン交換法は、
前記原料を水に溶解する工程と、
前記溶液に低シリコンモレキュラーシーブを添加する工程と、
1時間静置する工程と、
濾過する工程と、
洗浄する工程と、
80℃で乾燥する工程と、
500℃で12時間焙焼する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の耐紫外線材料の調合方法。
【請求項7】
モレキュラーシーブ中に含まれる前記ホスト−ゲストナノ複合材料のTiOクラスターを加水分解反応により合成するために、ブチルチタネートを原料として使用し、
上記加水分解反応の生成物を紫外線吸収剤として使用して、前記耐紫外線材料を得ることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料の調合方法。
【請求項8】
前記加水分解反応は、
ブチルチタネートを、非極性溶媒中の高シリコンモレキュラーシーブと混合する工程と、
不活性ガス雰囲気下において、還流および撹拌を50〜100℃で4〜48時間行う工程と、
上記工程の生成物を、アルコール系溶媒で洗浄する工程と、
60〜100℃で乾燥する工程と、
400〜600℃で4〜24時間焙焼を行う工程と、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の耐紫外線材料の調合方法。
【請求項9】
化粧品に用いることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料の利用方法。
【請求項10】
塗料に用いることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料の利用方法。
【請求項11】
ゴム産業もしくはプラスチック産業用に用いることを特徴とする、請求項1に記載の耐紫外線材料の利用方法。

【公表番号】特表2007−512216(P2007−512216A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540139(P2006−540139)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/CN2004/001316
【国際公開番号】WO2005/051843
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(506181689)上海家化朕合股▲フェン▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】