説明

耐衝撃性改質熱可塑性組成物の調製における混合物の使用

本発明は、以下のA)〜C)を含有する混合物の、着色した耐衝撃性改質熱可塑性ポリマー組成物を調製するための配合工程における使用であって、
A)シェルとしてのグラフト化ポリマー成分とゴム弾性コアから成り、粉末形態で使用される、成分AおよびBの合計に基づき60〜98重量部の、少なくとも1種のグラフトポリマー、
B)成分AおよびBの合計に基づき2〜40重量部の、少なくとも1種の無機または有機液体配合物、および
C)少なくとも1種の顔料、
該グラフトポリマーAおよび/または該顔料Cは、該液体の無機もしくは有機配合物Bを吸収または吸着し、および常圧での該成分Bの沸点は、配合する間におけるポリマー溶融体の温度よりも低いことを特徴とする、該混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性の無機または有機液体(好ましくは水)で充填された粉末状のグラフトポリマーと、少なくとも1種の顔料とを含有する混合物の、少なくとも1種の顔料を含有する耐衝撃性改質熱可塑性組成物の調製における使用に関し、該組成物はポリマーマトリックス中での顔料の改良された分散性と、その結果として示される改良された強度および表面特性によって区別される。
【0002】
更に、本発明は、少なくとも1種の顔料を含有する耐衝撃性改質熱可塑性組成物の調製法に関し、該組成物は、ポリマーマトリックス中における顔料の改良された分散性と、その結果として示される改良された強度および改良された表面特性により区別される。
【背景技術】
【0003】
熱可塑性のポリマー組成物内に顔料を導入する場合に生じる技術的な問題は、ポリマーマトリックス中に顔料を完全かつ均一に分散させることである。着色の不均一性と色深度の欠如は別にして、不完全に分散した顔料の塊もまた、特に、ポリマー組成物の機械的特性(例えば、それらの強度および引裂き伸びなど)と、材料の表面特性の両方に悪影響を及ぼすといった欠陥を生じさせる。例えば、より大きな顔料の塊は、このような組成物の表面における欠陥および不具合、例えばピンプル(pimple)および平行痕などをもたらし、最終的に、一般に、光沢において所望でない低下をもたらす。他の材料との複合材料において、このような表面の欠陥は、複合材料の接着特性(例えばラッカー接着)において更に悪影響を有する。
【0004】
分散の問題は、強い微粒子間(interparticular)結合力(分子間力)を有する顔料で特に生じる。多くの産業用途、例えば、黒色着色、組成物の電気的または熱伝導率を増加させるため、機械的に強化させるため、または低分子量有機化合物、例えば残留モノマーまたは臭物質の不安定さを拘束させ減少させるために使用される、カーボン系顔料、例えば、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、グラフェン、活性炭およびカーボンナノチューブは、特に強い粒子間結合力により区別される。したがって、これらは、熱可塑性ポリマー内に組み込まれて困難を伴ってのみ再び崩壊させることが出来る塊を形成するといった、特に顕著な傾向を有する。
【0005】
熱可塑性ポリマー組成物中にこのような顔料の分散性を改良させるための先行技術から、様々な方法が既知である。
【0006】
例えば、二軸押出機または内部ニーダーなどの市販の配合装置でポリマー溶融体内へ顔料を取込む間にせん断を施すことにより、比エネルギー投入量が増加することが明らかである。しかしながら、用途の多くの分野において、熱可塑性物質の良好な加工性(高い溶融流動性)が要求されるように、低粘度を示すポリマー溶融体の場合、エネルギー入力は、技術的装置により制限される。別の場合において、顔料が取り込まれるポリマー溶融体の熱負荷容量により制限される。通常、高い比エネルギー入力は、ポリマーに応じて、高い加工温度をもたらし、その結果、ポリマーの所望でない損傷、劣化または分解を生じさせる。
【0007】
更なる方法は、ポリマーマトリックス中に顔料の高濃縮マスターバッチを用いることである。しかしながら、この方法は第二の工程段階を必要とし、その結果、コストの観点において関心が少ない場合が多い。さらに、この方法は、一般に、顔料がマスターバッチ中に予め良好に分散している場合においてのみ、最終製品において良好な顔料分散体を製造できる。このことは、最終的に、マスターバッチの調製に先行する工程段階に、実際の問題が単純に移ることを意味する。
【0008】
第3の方法は、顔料凝集体内の顔料集合体または各顔料分子間における分子間相互作用を減少させ、それにより化合物を調製する間に凝集体の崩壊を促進させる分散助剤を用いることを含む。使用される分散助剤は、特に表面活性ワックスまたはオイル、例えば、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、またはパラフィンオイルであり、それらは、ビニルモノマーを導入するか、またはこのようなビニルモノマー、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸アミドおよびモンタンワックスなどでグラフト化させることにより所望により変性されるか所望により酸化され(極性)される。このような分散助剤を使用することの欠点は、調製されるポリマー組成物中にそれらが残存することであり、それによって、対象となる製品における用途に関する特性に悪影響を及ぼし得る。例えば、複数のポリマー(例えば耐衝撃性改質ポリマー)の多相ブレンド組成物中におけるこのようなワックスは、種々のポリマー成分の相間相溶性に悪影響を及ぼし、その結果として、ブレンド組成物の機械的特性は界面に集中されるようになる。同様に、このような添加剤は、あるポリマー系において所望でないエージング工程、例えば、重縮合ポリマー中の加水分解反応を触媒する。
【0009】
このような分散助剤を使用する更なる欠点は、分散剤と混合又は湿潤された顔料は、ポリマーの溶融体若しくはポリマー混合物内へ直接導入しなければならないことが多い。なぜならば、固体状態でポリマーまたはポリマー混合物と混合および搬送される際に、存在するワックスによって、顔料は圧縮されて処理されるようになるからである。このことは、それに続く溶融および分散工程における顔料の凝集の最適な分散を妨げることを意味する。
【0010】
第4の方法は、顔料が導入されて分散されるその内部へ、顔料と過剰量の1種以上のポリマー成分との混合剤を含有する粉末混合物の形態で顔料を計量添加することを含む。しかしながら、この方法は、一般に、顔料分散における改良をもたらすが、多くの用途に関して完全に満足なものではない。さらに、該方法は、製造工程、例えば、破砕により粒状形態で一般的に得られるポリマーから、極微細に粉末化したポリマー粉末の製造を要求する。この付加的な工程段階は、着色したポリマー組成物の製造コストにおいて所望でない増加を導くか、またはポリマーに損傷をもたらす。
【0011】
あるいは、耐衝撃性改質組成物の調製においては、衝撃改質剤として使用され、粉末形状の場合が多いゴム含有グラフトポリマーと、顔料との混合物を含有する粉末状の予備混合物の形態で、顔料を計量添加できる。しかしながら、多くの顔料、特に炭素系顔料は、顔料とグラフトポリマー粒子をから成る分散性の凝集体をわずかに形成することにより、このブレンドを調製する間に、グラフトポリマー粉末に対するそれらの高い親和力に起因して塊を形成する。このため、良好な機械的特性と欠陥のない表面をもたらす必要があるような、顔料粒子とグラフト粒子が良好に分散したこのような添加顔料を含有する衝撃改質ポリマー組成物を調製することは、特に困難である。このような調製は、更なる配合工程を介する技術的な迂回を要求する場合が多く、この場合において、事前組成物が、グラフトポリマーと、目的となる組成物の少なくとも1種の更なるポリマー成分から最初に調製される。このような事前配合は一般的に、着色ポリマー組成物の製造コストの増加を生じさせ、およびポリマーに対する損傷を潜在的に生じさせるので、望ましくない。
【0012】
特許出願DE10 2009 009680は、混合物が2〜40wt%の含水量を有し、粉状グラフトポリマー、水および所望によるポリマー添加剤、例えば顔料を含有する粉末混合物を用い、揮発性有機化合物の含有量を減少させた耐衝撃性改質熱可塑性組成物の調製に関する配合法を開示する。この出願は、特に、このような方法において、分散性の炭素系顔料をわずかに使用する際に、顔料分散の改良に関する記載をしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願第10 2009 009680号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、1つの工程で、耐衝撃性改質熱可塑性ポリマー組成物中で僅かに分散可能な顔料の分散を改良することであり、およびそれに応じて、耐衝撃性改質熱可塑性組成物の強度および表面特性を改良するための、コスト効率の高い配合法にも関する。
【0015】
本発明の更なる目的は、僅かに分散可能な顔料、特に炭素系顔料を含有する耐衝撃性改質熱可塑性ポリマー組成物の調製法を提供し、該組成物は、ポリマーマトリックス中における顔料の改良された分散により区別され、およびそれによって、改良された強度と改良された表面特性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の目的は、着色した耐衝撃性改質熱可塑性ポリマー組成物の調製に関する配合工程において、以下のものを含有する混合物を用いることによりもたらされる:
A)成分AとBの合計に基づき60〜98重量部、好ましくは68〜95重量部、特に75〜92重量部の、ゴム弾性コアとシェルとしてのグラフト化ポリマー成分から成り、
粉末形態で使用される、少なくとも1種のグラフトポリマー、
B)成分AとBの合計に基づき、2〜40重量部、好ましくは5〜32重量部、特に8〜25重量部の、少なくとも1種の無機または有機液体配合物、および
C)少なくとも1種の顔料、
なお、液体の無機または有機配合物Bは、グラフトポリマーAおよび/または顔料Cによって吸収または吸着され、および、常圧(1bar)での成分Bの沸点は、配合する間のポリマー溶融体の温度よりも低いことを特徴とする。
【0017】
第2の目的は、少なくとも1種の顔料を含有する耐衝撃性改質熱可塑性組成物の調製方法によってもたらされ、該方法において、
(i)第1工程段階において、以下のものを含有する混合物を調製し、
A)成分AとBの合計に基づき、60〜98重量部、好ましくは68〜95重量部、特に75〜92重量部の、ゴム弾性コアとシェルとしてのグラフト化ポリマー成分から成り、粉末形態で使用される、少なくとも1種のグラフトポリマー、
B)成分AとBの合計に基づき、2〜40重量部、好ましくは5〜32重量部、特に8〜25重量部の、少なくとも1種の無機または有機液体配合物、および
C)少なくとも1種の顔料、
ただし、
液体の無機または有機配合物Bは、グラフトポリマーAおよび/または顔料Cによって吸収または吸着され、および、
常圧(1bar)での成分Bの沸点は、工程段階(ii)における脱気区画におけるポリマー溶融体の温度よりも低いことを特徴とし、
(ii)および第2工程段階において、
第2工程段階において使用される成分の合計に基づき、20〜99重量部、好ましくは70〜98重量部、特に80〜97重量部の、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、または、成分Aに係るゴム弾性コアとシェルとしてのグラフトポリマー成分から成る少なくとも1種のグラフトポリマーと少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとの混合物、から成る群から選択される成分(TP)、
第2工程段階において使用される成分の合計に基づき、1〜80重量部、好ましくは2〜30重量部、特に3〜20重量部の、工程(i)で調製された混合物、
および、
所望による、第2工程段階において使用される成分の合計に基づき、40重量部までの、好ましくは25重量部未満、特に15重量部未満の、更なる成分Dが混合され、力学的エネルギーおよび熱エネルギーを導入することにより加熱され、相互に溶解および分散され、および、部分真空を施すことにより、無機および有機配合物Bが、調製された混合ポリマーから除去される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の範囲において、成分Bに係る「液体配合物」は、標準状態(1bar、25℃)の下、液体である配合物として理解される。好ましい実施態様において、水は、混合状態で液体配合物Bとして使用される。
【0019】
複数の液体配合物の混合物が成分Bとして使用される場合、次いで、工程段階(ii)において、液体の除去における工程の温度、すなわち、配合装置の脱気区画におけるポリマー溶融体の温度は、いずれの場合も常圧(1bar)にて、好ましくは、成分B中の最も高い沸騰配合物の沸点よりも高く選択され、すなわち、共沸混合物の沸点よりも高く選択される。
【0020】
成分Cの顔料は、好ましくは、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、グラフェン、活性炭およびカーボンナノチューブから成る群から主に選択される。顔料として、カーボンブラックが特に好ましく使用される。
【0021】
特定の実施態様において、工程段階(ii)における熱可塑性ポリマーは、ゴム変性熱可塑性ポリマーまたは、少なくとも2種のポリマーと少なくとも1種の所望によるゴム変性熱可塑性ポリマーのブレンドである。
【0022】
さらに特定の実施態様において、工程段階(ii)における熱可塑性ポリマーはまた、ポリマー組成物および、添加剤が予め添加されているブレンドを含む。
【0023】
成分AおよびCは、好ましくは1:25〜500:1の重量比、好ましくは1:1〜100:1、特に。3:1〜50:1の重量比で工程段階(i)に係る混合において使用される。
【0024】
更に好ましい実施態様において、成分Dの一部または全ては、工程段階(i)における混合物の成分としても使用される。
【0025】
好ましい実施態様において、成分Dは、粉末状混合物における成分A〜Dの合計に基づき、0〜80重量部、好ましくは0.5〜50重量部、特に1〜30重量部の量で、工程段階(i)において混合状態で存在する。
【0026】
好ましい実施態様において、工程段階(i)における混合物は、注入可能な粉末である。
【0027】
別の実施態様において、粒状形態で成分Dに係る種々の添加剤量または熱可塑性ポリマー(TP)量を、工程段階(i)に係る成分A〜Dの化合物に対して添加することができる。これは、工程段階(i)において粉末混合物を調製する間であっても、粉末成分の混合と分散を改良する機能を果たす。
【0028】
粒状形態の熱可塑性ポリマーは、工程段階(i)における混合物の全成分の合計に基づき、0〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に1〜10重量部の量で、工程段階(i)に係る混合物中で使用できる。
【0029】
工程段階(ii)における熱可塑性ポリマーTPとして、例えば、ポリオレフィン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなど)、ビニル(コ)ポリマー(例えばポリ塩化ビニル、スチレン(コ)ポリマー(例えば、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー)、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなど)、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール(例えば、ポリオキシメチレンおよびポリフェニレンエーテル)、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアリールエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリールスルホン、ポリアリールスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドおよびポリエステルイミドを使用できる。
【0030】
好ましい実施態様において、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート、芳香族ポリエステル、ポリアミドおよび所望によるゴム変性ビニル(コ)ポリマー、ならびに上記ポリマーのうちの少なくとも2種から成るブレンドから成る群から選択される少なくとも1種の代表例が、工程段階(ii)における熱可塑性ポリマー(TP)として使用される。
【0031】
特に好ましい実施態様において、所望により、少なくとも1種の所望によるゴム変性ビニル(コ)ポリマーと混合した、芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から代表的に選択された少なくとも1種を、工程段階(ii)における熱可塑性ポリマー(TP)として使用できる。
【0032】
熱可塑性ポリマー(TP)として、本発明において適当な芳香族ポリカーボネートは、文献において既知であるか、文献において既知の方法により調製できる(芳香族ポリカーボネートの調製については、例えば、Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates"、Interscience Publishers, 1964、および、ドイツ特許出願1495626号明細書、ドイツ特許出願2232877号明細書、ドイツ特許出願2703376号明細書、ドイツ特許出願2714544号明細書、ドイツ特許出願3000610号明細書、ドイツ特許出願3832396号明細書参照;芳香族ポリエステルカーボネートの調製については、例えばドイツ特許出願3077934号明細書参照)。
【0033】
芳香族ポリカーボネートの調製は、例えば、ジフェノールと、炭酸ハロゲン化物(好ましくはホスゲン)および/または芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物(好ましくはベンゼンジカルボン酸二ハロゲン化物)を、界面重合法により、必要に応じて連鎖停止剤(例えばモノフェノール)を使用し、また必要に応じて、三官能性以上の分枝剤(例えばトリフェノールまたはテトラフェノール)を用いて反応させることによりおこなわれる。ジフェノールと、例えばジフェニルカーボネートを反応させる溶融重合法による調製も可能である。
【0034】
好ましくは、芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートを調製するためのジフェノールは、以下の化学式(I)で表される:
【0035】
【化1】

式中、
Aは単結合、C−C−アルキレン、C−Cアルキリデン、C−C−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−、C−C12−アリーレン(該アリーレンには、必要に応じてヘテロ原子を含有する更なる芳香族環を結合させてもよい)、あるいは、以下の式(II)若しくは(III)で表される基を示す:
【0036】
【化2】

【0037】
【化3】

【0038】
式中、
Bは、いずれの場合もC-C12-アルキル(好ましくはメチル)、ハロゲン(好ましくは塩素および/または臭素)であり、
xは、いずれの場合も相互に独立して0、1または2であり、
pは、1または0であり、および
およびRは、各X1に対して独立して選択され、相互に独立して水素、
またはC−C-アルキル、好ましくは水素、メチル若しくはエチルから選択される、
は炭素であり、ならびに
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5を示す、但し、少なくとも1つのX原子上においては、RおよびRは同時にアルキルを示す。
【0039】
好ましいジフェノールとしては、以下のものが含まれる:ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス-(ヒドロキシフェニル)−C−C−アルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)−C−C−シクロアルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス-(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス-(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス-(ヒドロキシフェニル)-スルホンおよびα,α-ビス-(ヒドロキシフェニル)-ジイソプロピル-ベンゼン、並びに環を臭素化および/または塩素化させたそれらの誘導体。
【0040】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1-ビス-(4−ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、1,1-ビス-(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびこれらのジ−およびテトラ臭素化若しくは塩素化誘導体、例えば2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス-(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)-プロパンまたは2,2−ビス-(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンなどである。
【0041】
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0042】
本発明に係る方法において使用されるポリカーボネートとポリエステルカーボネートの更に好ましい形態は、DE10 2009 005762 A1、第4〜7頁において記載されており、それに関連するもこの出願に包含される。
【0043】
熱可塑性ポリマー(TP)として本発明において適当な芳香族ポリエステルは、好ましくは、文献において既知の方法により調製できる、ポリアルキレンテレフタレートである(例えば、Kunststoff-Handbuch, volume VIII, 第695頁以降、Carl-Hanser-Verlag, Munich 1973参照)。
【0044】
好ましい実施態様において、ポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸またはそれらの反応性誘導体、例えばジメチルエステルまたは無水物と、脂肪族、脂環式またはアラリファティックジオールの反応生成物、ならびにこのような反応生成物の混合物である。
【0045】
特に好ましいポリアルキレンテレフタレートは、ジカルボン酸成分に基づき、少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%の、テレフタル酸基と、ジオール成分に基づき、少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%の、エチレングリコールおよび/または1,4-ブタンジオール基を含有する。
【0046】
テレフタル酸およびそれらの反応性誘導体(例えば、それらのジアルキルエステル)と、エチレングリコールおよび/または1,4-ブタンジオールから専ら調製されているポリアルキレンテレフタレート、ならびに、このようなポリアルキレンテレフタレートの混合物が特に好ましい。
【0047】
本発明に係る方法において使用されるポリアルキレンテレフタレートの更に好ましい形態は、DE10 2009 005762 A1、第15〜17頁において記載されており、それに関連するもこの出願に包含される。
【0048】
熱可塑性ポリマー(TP)として本発明において好ましく適当なビニル(コ)ポリマーは、ビニル芳香族化合物、ビニルシアニド(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミド)から成る群からの少なくとも1種のモノマーの、ゴム不含のホモ-および/またはコポリマーである。
【0049】
特に好ましくは、以下のものから成る(コ)ポリマーである:
いずれの場合も(コ)ポリマーに基づき、50〜99wt%、好ましくは60〜80、特に70〜80重量部の、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン)、環上が置換されたビニル芳香族化合物(例えば、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン)および(メタ)アクリル酸(C〜C)−アルキルエステル(たとえば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート)から成る群から選択される少なくとも1種のモノマー、および
いずれの場合も(コ)ポリマーに基づき、1〜50wt%、好ましくは20〜40、特に20〜30重量部の、ビニルシアニド(例えば、不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート)、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば、無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミド)から成る群から選択される少なくとも1種のモノマー。
【0050】
スチレンとアクリロニトリルのコポリマーが特に好ましい。
【0051】
このような(コ)ポリマーは既知であり、ラジカル重合、特に乳化、懸濁、溶液または塊状重合により調製できる。
【0052】
熱可塑性ポリマー(TP)としての本発明において特に適当なゴム変性ビニル(コ)ポリマーは、以下のものから成るグラフトポリマーである:
このグラフトポリマーに基づき50〜95wt%、好ましくは60〜93wt%、特に70〜90wt%の、少なくとも1種のビニルモノマー、および
このグラフトポリマーに基づき、5〜50wt%、好ましくは7〜40wt%、特に10〜30wt%の、<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<-20℃のガラス転移温度を有する1種以上のグラフトベース。
【0053】
ガラス転移温度は、中間点温度としてのTを10K/分の加熱速度にて、DIN EN 61006に従い、動的示差熱量計(DSC)を用いて測定される(タンジェント法)。
【0054】
グラフトベースは、一般に、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜2μmの平均粒径(d50値)を有する。
【0055】
平均粒径d50は、その直径より大きいか、または小さい粒子がそれぞれ50wt%存在する直径である。該平均粒径は、超遠心機測定によって測定することができる(W.スコルタン, H.ランゲ, コロイド,Z.およびZ. ポリマー 250 (1972), 第782頁-第1796頁)。
【0056】
グラフトシェルのモノマーは、好ましくは以下のものから成る混合物である:
B.1に基づき50〜99重量部、好ましくは60〜80重量部、特に70〜80重量部の、ビニル芳香族化合物および/または環上が置換されたビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン)および/またはメタクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート)および、
B.1に基づき、1〜50重量部、好ましくは20〜40重量部、特に20〜30重量部の、ビニルシアニド(不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)および/または(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート)、およびまたは、不飽和カルボン酸の誘導体(例えば、無水物およびイミド)、例えば、無水マレイン酸およびN-フェニルマレイミド。
【0057】
好ましくは、グラフトシェルは、スチレンとアクリルニトリルおよび/またはメチルメタクリレートの組合せ、あるいは、純粋なメチルメタクリレートから成る。
【0058】
グラフトポリマーに関して適当なグラフトベースは、例えば、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、すなわち、エチレン/プロピレンおよび所望によりジエンに基づくゴム、およびアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴム、並びにシリコーン/アクリレート複合ゴムである。
【0059】
好ましいグラフトベースはジエンゴムであり、例えば、ブタジエンおよびイソプレンに基づくゴム、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、あるいは、別の共重合性モノマーとそれらの混合物であり、ただし、グラフトベースのガラス転移温度は<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<-20℃である。純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0060】
更に好ましいグラフトベースは、アクリレートゴム、特に、ブチルアクリレートに基づくものである。
【0061】
特に好ましいゴム-変性ビニル(コ)ポリマーは、ABSポリマー(乳化、塊状および懸濁ABS)であり、例えば、DE-OS2035390(=US-PS3644574)またはDE-OS2248242(=GB-PS1409275)、あるいは「ウルマンズ工業化学百科事典」第19巻(1980年)、第280頁以降に記載されている。
【0062】
更に好ましいゴム-変性ビニル(コ)ポリマーは、ブチルアクリレートゴム上にグラフトしたスチレンとアクリロニトリルから成るグラフトポリマーを含有するASAポリマーおよび遊離スチレン-アクリロニトリルコポリマーである。
【0063】
好ましい実施態様において、工程段階(i)において成分AとBがまず予備混合され、次いで、成分Cおよび所望によるDがその中に混合される。それによって、成分Bに係る無機または有機液体は、成分Aに係るグラフトポリマーにより吸着または吸収され、成分AとBの予備混合物と、成分A、B、Cおよび所望によるDの混合物は共に、注入可能な混合物、好ましくは注入可能な粉状混合物を構成する。したがって、AおよびBの量は、グラフトポリマーAにより成分Bが完全に結合されるような、相互に適合した量である。グラフトポリマーAにより成分Bを結合できるかどうか、および成分Bの量は、最終的に、成分Aの性質(特にその多孔度)と、成分Bの性質(特にその極性と表面張力)の両方に依存する。
【0064】
工程段階(i)および(ii)に従い得られる組成物は、好ましくは0.05〜15wt%、より好ましくは0.1〜5wt%、および特に好ましくは0.2〜2wt%の成分Cを含有する。
【0065】
工程段階(ii)において使用される配合装置は、溶融区画と混合区画、または結合させた溶融混合区画(以下、この「溶融混合区画」は、「混練溶融区画」とも称される)、ならびに脱気区画を有し、この場合において、好ましくは、絶対圧Pabsは、800mbar以下、より好ましくは500mbar以下、特に好ましくは200mbar以下に設定される。
【0066】
好ましい実施態様において、脱気区画中のポリマーアロイまたはポリマーの溶融温度は、200℃〜350℃、好ましくは220℃〜320℃、特に好ましくは230℃〜300℃である。
【0067】
工程段階(i)において調製された混合物を経て工程内へ導入され、工程段階(ii)において、ポリマー若しくはポリマーアロイの溶融体と成分Bとが接触する平均滞留時間は、好ましくは90秒以下に制限され、特に好ましくは60秒以下、最も特に好ましくは30秒以下である。
【0068】
配合装置は、好ましくは二軸押出機、特に好ましくは、共回転軸を有する二軸押出機であり、該二軸押出機は、スクリュー軸の長さ/直径比が好ましくは32〜44、特に好ましくは34〜38である。
【0069】
本発明の範囲内において、「粉末」または「粉末状」は、凝集において固体状態で存在する複数の成分の混合物または成分を意味するものと理解され、この場合において、粒子は2mm未満、好ましくは1mm未満、特に0.5mm未満の平均粒径を有する。
【0070】
本発明の範囲内における「粒状」は、凝集において固体状態で存在する複数の成分の混合物または成分を意味するものと理解され、この場合において、固体粒子は、少なくとも2mmおよび一般に10mm以下の平均粒径を有する。粒状の粒子は、任意所望の形態、例えば、レンズ状の形態、球体形状、またはシリンダー形状などを有することができる。
【0071】
本発明は、本発明に係る上記工程の内の1つにより調製された組成物と、このような組成物から製造された成形品を更に提供する。
【0072】
成分A)
成分Aは、複数の粉末状のグラフトポリマーの混合物または粉末状のグラフトポリマーである。成分Aとして好ましく使用されるグラフトポリマーは、以下のものから成る1種以上のグラフトポリマーを含む:
A.1)成分Aに基づき、5〜95wt%、好ましくは20〜90wt%、特に25〜50wt%の、少なくとも1種のビニルモノマー、および
A.2)成分Aに基づき、95〜5wt%、好ましくは80〜10wt%、特に75〜50wt%の、<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<-20℃のガラス転移温度を有する1種以上のグラフトベース。
【0073】
ガラス転移温度は、中間点温度としてのTを10K/分の加熱速度にて、DIN EN 61006に従い、動的示差熱量計(DSC)を用いて測定される(タンジェント法)。
【0074】
グラフトベースは、一般に、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜2μm、特に好ましくは0.15〜0.6μmの平均粒径(d50値)を有する。
【0075】
平均粒径d50は、その直径より大きいか、または小さい粒子がそれぞれ50wt%存在する直径である。該平均粒径は、超遠心機測定によって測定することができる(W.スコルタン, H.ランゲ, コロイド,Z.およびZ. ポリマー 250 (1972), 第782頁-第1796頁)。
【0076】
モノマーA.1は、好ましくは以下のA.1.1およびA.1.2の混合物である:
A1.1:
A.1に基づき、50〜99重量部、好ましくは60〜80重量部、特に70〜80重量部の、ビニル芳香族化合物および/または環上が置換されたビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン)および/またはメタクリル酸(C〜C)−アルキルエステル(たとえば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート)および、
A1.2:
A.1に基づき、1〜50重量部、好ましくは20〜40重量部、特に20〜30重量部の、ビニルシアニド、例えば不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど、および/または(メタ)アクリル酸(C-C)-アルキルエステル、例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレートなど、および/または不飽和カルボン酸の誘導体(例えば、無水物およびイミド)、例えば無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミドなど。
【0077】
好ましいモノマーA1.1は、スチレン、α-メチルスチレンおよびメチルメタクリレートモノマーの少なくとも1種から選択され、好ましいモノマーA.1.2は、アクリロニトリル、無水マレイン酸およびメチルメタクリレートのモノマーの少なくとも1種から選択される。特に好ましいモノマーは、A.1.1スチレン、およびA1.2アクリロニトリルである。
【0078】
グラフトポリマーAに関して適当なグラフトベースA.2は、例えば、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、すなわち、エチレン/プロピレンおよび所望によりジエンに基づくゴム、およびアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴム、並びにシリコーン/アクリレート複合ゴムである。
【0079】
好ましいグラフトベースA.2はジエンゴムであり、例えば、ブタジエンおよびイソプレンに基づくゴム、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、あるいは、別の共重合性モノマー(例えば、A.1.1およびA.1.2に係るもの)とそれらの混合物であり、ただし、成分A.2のガラス転移温度は、<10℃、好ましくは<0℃、特に好ましくは<-20℃である。純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0080】
グラフトコポリマーAは、ラジカル重合により調製され、好ましくは、乳化重合により調製される。
【0081】
特に適当なグラフトポリマーAは、コア-シェル構造を有する。
【0082】
乳化重合により調製されたグラフトポリマーの場合におけるグラフトベースA.2のゲル含有量は、少なくとも30wt%、好ましくは少なくとも40wt%(トルエン中で測定した)である。
【0083】
グラフトベースA.2またはグラフトポリマーAのゲル含有量は、このような溶媒中に不溶であるフラクションとして適当な溶媒中で25℃にて測定される(M.Hoffmann, H,Kromer, R.Kuhn,Polymeranalytik I und II, Georg Thieme-Verlag, Stuttgart 1977)。
【0084】
また、特に適当なグラフトゴムはUS-P4937285に係るアスコルビン酸と有機ヒドロペルオキシドを含有する開始剤とを用いるレッドクス開始によって調製されるABSポリマーである。
【0085】
グラフトモノマーは、グラフト反応中においてグラフトベース上へ完全にグラフトする必要がないことが知られているため、本発明におけるグラフトポリマーAは、グラフトベースの存在下、グラフトモノマーの(共)重合によって得られたこれらの生成物、および処理中に付随して形成されるこれらの生成物としても理解される。これらの生成物は、したがって、遊離した、すなわち、ゴムに対して化学的に結合していないグラフトモノマーの(コ)ポリマーを含有してもよい。
【0086】
A.2に係る適当なアクリレートゴムは、A.2に基づき、所望により40wt%までの他の重合性エチレン性不飽和モノマーを含んでもよい、アクリル酸アルキルエステルのポリマーである。好ましい重合性アクリル酸エステルとして、C−〜C−アルキルエステル、例えばメチル、エチル、ブチル、n−オクチルおよび2−エチルヘキシルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくはハロC〜C−アルキルエステル(例えば、クロロエチルアクリレートなど)、ならびにこれらのモノマーの混合物が挙げられる。
【0087】
架橋については、1つ以上の重合性二重結合を有するモノマーを共重合させることができる。架橋モノマーの好ましい例としては、3〜8の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3〜12の炭素原子を有する不飽和の一価アルコール、または2〜4のOH基および2〜20の炭素原子を有する飽和ポリオール(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレートなど)とのエステル;ポリ不飽和ヘテロ環化合物(例えば、トリビニルおよびトリアリルシアヌレートなど);多官能性ビニル化合物(例えば、ジ−およびトリ−ビニルベンゼンなど);が挙げられ、また、トリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートなども挙げられる。好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレートおよび少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するヘテロ環化合物である。特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーのトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリルベンゼンである。
架橋モノマーの量は、好ましくは、グラフトベースA.2に基づき、0.02〜5wt%、特に0.05〜2wt%である。少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーの場合は、グラフトベースA.2の1重量%以下の量に限定することが有利である。
【0088】
グラフトベースA.2の調製においてアクリル酸エステルに加えて任意に用いることができる、好ましい「他の」重合性エチレン性不飽和モノマーは、例えば、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド類、ビニルC〜C−アルキルエーテル類、メチルメタクリレート、ブタジエンである。グラフトベースA.2として好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含有量を有する乳化重合体である。
【0089】
A.2に係る更なる適当なグラフトベースは、グラフト活性部位を有するシリコーンゴムであり、DE-OS3704657、DE-OS3704655、DE-OS3631540およびDE-OS361539に記載されている。
【0090】
成分B
原則として、工程段階(ii)における配合装置の脱気区画において、常圧(1bar)にて、ポリマー溶融体の温度よりも低い沸点を有する、任意の無機または有機液体配合物、またはこのような配合物の混合物が、成分Bとして適当である。
【0091】
常圧下での成分Bの沸点は、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、さらにより好ましくは130℃以下、および特に好ましくは70〜120℃以下である。
【0092】
成分Bとして水の使用が特に好ましく、すぐに入手でき、低い原価要素を有し、作業が安全であり生態学的に無害であるといった更なる利点をもたらす。
【0093】
さらに適当な液体配合物は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、アセトン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、ならびにこれらの液体の混合物である。
【0094】
更に好ましい実施態様において、成分Bは、水と部分的または完全に混和性を示す少なくとも1種の更なる液体、好ましくは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、アセトン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンおよびトルエン、より好ましくはアルコール、特に好ましくはエタノールおよびイソプロパノールから選択される液体と、水との混合物である。
【0095】
この実施態様において、混合形態が均一な、すなわち単相となるような混合比で、水と更なる液体が使用される。このような混合物の含水量は、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも75wt%、および特に好ましくは少なくとも90wt%である。
【0096】
好ましくは、AおよびBを混合することが注型可能な混合物をもたらして、懸濁液を生じさせないように、成分Bは、グラフトポリマーAにより吸着または吸収されるものから選択される。
【0097】
成分C
原則として、成分Cとしては、任意所望の無機または有機、天然または合成的に調製された顔料を使用できる。顔料は、適用する媒体(ここでは熱可塑性ポリマー)中で不溶性の着色物質であると理解される。このような顔料の例は、二酸化チタン、カーボンブラック、ビスマス顔料、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、鉄シアンブルー、ウルトラマリン、カドミウム顔料、クロム酸塩顔料、アゾ顔料および多環式顔料である。
【0098】
強い粒子間結合力(ファンデルワールス力)を有する含量が、成分Cとして好ましく使用される。なぜならば、それらを分散させるのは特に困難だからである。
【0099】
特に好ましくは、成分Cは、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、グラフェン、活性炭、およびカーボンナノチューブから成る群から選択される少なくとも1種の炭素系顔料である。
【0100】
単層壁(単壁カーボンナノチューブ=SWCNTs)を有するカーボンナノチューブおよび多層壁(多壁カーボンナノチューブ=MWCNTs)を有するカーボンナノチューブのいずれも、カーボンナノチューブとして適当である。
【0101】
カーボンナノチューブ(CNTs)は、アモルファスカーボンを含有しない、>95%の炭素含量を有する円筒状のカーボンナノチューブとして好ましく理解される。好ましくは、カーボンナノチューブは3〜80nm、特に好ましくは5〜20nmの外径を有する。外径の平均値は、好ましくは13〜16nmである。円筒状のカーボンナノチューブの長さは、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは1〜10μmである。カーボンナノチューブは、好ましくは、2〜50、特に好ましくは3〜15の、最小内径2〜6nmを有するグラファイトシート(「層」または「壁」とも称される)から構成される。このようなカーボンナノチューブは、例えば、カーボン繊維または中空カーボン繊維とも称される。
【0102】
本発明において使用されるCNTの調製は一般的に既知である(例えば、US-A5643502およびDE-A102006017695参照)。好ましくは、調製は、DE-A102006017695、特に好ましくは102006017695の実施例3に記載された方法に従い行われる。
【0103】
成分Cとして特に好ましく使用されるカーボンブラックは、原則として、成分Cとして使用するのに適当な任意のカーボンブラックである。
【0104】
カーボンブラックは、その品質と使用に応じて、実質的に炭素から成る、黒色の粉状固体である。カーボンブラックの炭素含量は、一般的に80.0〜99.9wt%である。カーボンブラックが酸化的後処理を施されない場合、炭素含量は、好ましくは96.0〜95.5wt%である。カーボンブラックにおける有機不純物の痕跡は、有機溶媒、例えば、トルエンを用いてカーボンブラックを抽出することにより除去でき、それにより、炭素含量は99.9wt%よりも高く増加できる。カーボンブラックが酸化的後処理に曝される場合、酸素含有量は、30wt%まで、好ましくは20wt%まで、特に5〜15wt%であることができる。
【0105】
カーボンブラックは、大部分が、好ましくは10〜500nmの寸法を有する一次粒子である。これらの一次粒子は、鎖状または分岐した凝集体を形成するとともに成長する。凝集体は、一般に、分散工程においてカーボンブラックを破砕できる最も小さな単位である。多くのこれらの凝集体は分子間力(ファンデルワールス力)により再び結合し、凝集体を形成する。一次粒子とそれらの凝集体(構造)の寸法は共に、調製条件を変化させることにより目的に応じて調整できる。用語「構造」は、凝集体における一次粒子の3次元的配列の性質を意味するとして、当業者により理解される。用語「高構造」は、高く分岐および架橋した凝集体構造を有するカーボンブラックに関して使用され、一方で、「低構造」は大部分が直線状の凝集体構造に関し、すなわち、小さな分岐と架橋を有するものに関する。
【0106】
ジブチルフタレート(DBP)を用いてISO4656に従い測定されるオイル吸着数は、カーボンブラックの構造を測定するのに一般的に用いられる。高いオイル吸着数は、高構造を示す。
【0107】
カーボンブラックの一次粒子サイズは、例えば、走査型電気化学顕微鏡法を用いることにより測定できる。しかしながら、窒素吸着を用いISO4652に従い定義される、カーボンブラックのBET表面積もまた、カーボンブラックの一次粒子径を測定するのに使用される。高いBET表面積は、小さな一次粒子サイズを示す。
【0108】
カーボンブラックの凝塊物の分散性は一次粒子サイズと凝集体の構造に基づき、一般的に、カーボンブラックの分散性は、一次粒子サイズと構造が減少するにつれて減少する。
【0109】
工業製品として、工業的なカーボンブラックは、炭化水素の不完全燃焼または熱分解により製造される。工業的なカーボンブラックを製造するための方法は、文献において既知である。工業的なカーボンブラックを製造するための既知の方法は、特に加熱炉、ガスブラック、炎ブラック、アセチレンブラックおよび熱ブラック法である。
【0110】
一次粒子の粒子サイズ分布、ならびに一次粒子凝集体の寸法および構造は、性質、例えばカーボンブラックの色深度、ベーストーンおよび電気伝導率などを決定する。一般に、導電性ブラックは、小さな一次粒子と幅広く分岐した凝集体を有する。一般に、カラーカーボンブラックは、極めて小さな一次粒子を有するカーボンブラックであり、それらが製造された後に、上記方法の内の1種により後酸化に曝される場合が多い。これによって、カーボンブラック表面に付着した酸化基(oxidic group)は、カラーカーボンブラックを導入し分散させる樹脂との相溶性を増加させる。
【0111】
好ましくは、カラーカーボンブラックは、成分Cとして使用される。好ましい実施態様において、それらは、走査型電気化学顕微鏡法により測定された、10〜100nm、より好ましくは10〜50nm、特に好ましくは10〜30nm特に10〜20nmの平均一次粒子サイズを有する。したがって、特に細かく分割されたカラーカーボンブラックは、本発明による方法において特に好ましい。なぜならば、カーボンブラックの特定量を用いてもたらすことが出来る色深度および耐UV性は、一次粒子サイズが低下するにつれて増加するからである。しかし、一方では、それらの分散性も低下し、このことは、特に、このような極めて細かく分割されたカーボンブラックが分散性に関する改良を必要とする理由でもある。
【0112】
成分Cとして好ましく使用されるカラーカーボンブラックは、窒素吸着を用いISO4652に従い定義される、好ましくは少なくとも20m/g、より好ましくは少なくとも50m/g、特に好ましくは少なくとも100m/g、特に少なくとも150m/gのBET表面積を有する。
【0113】
成分Cとして好ましく使用されるカラーカーボンブラックは、更に、ジブチルフタレート(DBP)を用いてISO4656に従い測定される、好ましくは10〜200ml/100g、より好ましくは30〜150ml/100g、特に好ましくは40〜120ml/100g、特に40〜80ml/100gのオイル吸着数により特徴づけられる。一般に、低いオイル吸着数を有するカラーカーボンブラックは、良好な色深度をもたらすが、一方では、それらは一般に分散させるのがより困難である。このことは、特に、このようなカーボンブラックが分散性に関する改良を必要とする理由でもある。
【0114】
成分Cとして使用されるカーボンブラックは、ペレット化またはパール形態で好ましく使用できる。パール化またはペレット化は、文献で既知の方法により行われ、一方で、バルク密度の上昇および計量(流れ)特性の改良に使用され、一方では、作業における衛生に関する理由よりおこなわれる。ペレットまたはパールの硬さは、それらの輸送に耐え、計量する間の供給工程において大部分が損傷しないように調整されるが、例えば、市販の粉末混合装置および/または配合装置により、より大きな力学的なせん断力に曝される場合、再び凝塊物へと完全に粉砕される。
【0115】
成分D
成分Dは、市販のポリマー添加剤、例えば防炎剤(例えば、ハロゲン化合物またはリン化合物、例えば単量体またはオリゴマー有機リン酸エステル、ホスファゼンまたはホスホネートアミンなど)、防炎協力剤(たとえば、ナノスケール金属酸化物)、発煙抑制添加剤剤(たとえば、ホウ酸またはホウ酸塩)、ドリッピング防止剤(たとえば、フッ素化ポリオレフィン、シリコーンおよびアラミドファイバの物質群からの化合物)、内部および外部潤滑剤および離型剤(たとえば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、モンタンワックスまたはポリエチレンワックス)、流動助剤(たとえば、低分子量ビニル(コ)ポリマー)、帯電防止剤(たとえば、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマー、他のポリエーテルまたはポリヒドロキシエーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミドまたはスルホン酸塩)、導電性添加剤(成分Cの定義の以外の添加剤)、安定剤(たとえば、UV/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換抑制剤、加水分解安定剤)、抗菌活性のある添加剤(たとえば、銀または銀塩)、耐引掻き性改良剤(たとえば、シリコーンオイルまたは硬質充填剤、たとえば、セラミック(中空)球体)、IR吸収剤、光沢剤、蛍光剤、充填剤および補強材料(成分Cの定義の以外の添加剤、例えば、タルク、所望による粉末ガラス繊維、(中空)ガラスまたはセラミック球体、マイカ、カオリン、CaCOおよびガラスフレーク)、ならびに成分C以外の着色剤および顔料、成分A以外の衝撃改質剤、破砕された熱可塑性ポリマー、および塩基受容体としてのブレンステッド酸化合物、あるいは、複数の記載された添加剤の混合物から成る群から選択される。
【実施例1】
【0116】
成分A
乳化重合法により調製された、グラフトベースに基づき46重量部のシリコーンゴムとグラフトベースに基づき54重量部のブチルアクリレートゴムから成る72wt%のコアとしての微粒子グラフトベース、および、シェルとして、71対29重量部のスチレンとアクリロニトリルの比を有する28wt%のスチレン-アクリロニトリルコポリマーから成るグラフトポリマー。
【0117】
成分B

【0118】
成分C
ブラックパール800(Capot社、ルーバン、ベルギー);走査型電気化学顕微鏡法により測定された、17nmの平均一次粒径を有し、窒素吸着によりISO4652に従い測定された、210m/gのBET表面積を有し、および、ジブチルフタレート(DBP)を用いてISO4656に従い測定された、65ml/100gのオイル吸着数を有する、パール化顔料ブラックである。
【0119】
成分D
成分D1
粉末形態で使用されるペンタエリトリトールテトラステアレート(PETS)。
【0120】
成分D2
Irganox B900:80wt%のIrgafos 168(tris-(2,4-ジ-tert-ブチル)フェニルホスファイトと、20wt%のIrganox 1076(オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)の粉末状混合物(BASF、ドイツ、ルートウィヒスハーフェン)。
【0121】
成分D3
Tinuvin 329:粉末形態で使用される、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、(BASF、ドイツ、ルートウィヒスハーフェン)。
【0122】
熱可塑性ポリマー(TP)
成分TP1
(基準としてポリカーボネートを用い、塩化メチレン中でGPCにより測定された)25000g/モルの重量平均分子量Mwを有する、ビスフェノールAに基づく直鎖状のポリカーボネート。
【0123】
成分TP2
(基準としてポリスチレンを用い、ジメチルホルムアミド中でGPCにより測定された)100000g/モルの重量平均分子量Mwを有し、76wt%のスチレン含有量と24wt%のアクリロニトリル含有量を有するスチレン-アクリロニトリルコポリマー。
【0124】
成形組成物の調製および試験
表1において記載された組成物を、約260℃の溶融温度にて、20kg/時の供給量および220rpmの速度で、二軸押出機(ZSK-25)(Werner und Pfleiderer、ドイツ、シュトゥットガルト)を用いて配合した。その後、配合物の溶融体を冷却および固化させたのち、粒状化した。押出機の脱気区画における圧力は、いずれの場合も200mbarであった。
【0125】
比較例1において、成分A、CおよびD1〜D3を、Mixaco Dr.Herfeld GmbH and Co. KG Maschinenfabrik (ドイツ、ノイエンラーデ)製の粉末ミキサーでまず混合した。このように調製した粉末状の混合物を、2つの熱可塑性ポリマーTP1およびTP2と共に、二軸押出機の吸入区画内へ計量添加し、混練および混合区画中で溶融させ、次いで、種々の成分を相互に分散させ、次いで、このように調製されたポリマーアロイの溶融体を脱気区画中で脱気させた。
【0126】
本発明に係る例2において、まず、成分AおよびBを、Mixaco Dr.Herfeld GmbH and Co. KG Maschinenfabrik (ドイツ、ノイエンラーデ)製の粉末ミキサーで相互に予備混合した。水(成分B)を、グラフトポリマー(成分A)により完全に吸収させ、それによって、この工程は、その注入および計量挙動が成分Aの注入および計量挙動と異ならない均一な粉末状混合物を得た。成分D1〜D3をこの予備混合物に添加し、Mixacoミキサー用いて混合を再びおこなった。このように調製された粉末状混合物を、2つの熱可塑性ポリマーTP1およびTP2と共に、二軸押出機の吸入区画内へ計量添加し、混練および混合区画中で溶融させ、次いで、種々の成分を相互に分散させ、次いで、このように調製されたポリマーアロイの溶融体を脱気区画中で脱気させた。
【0127】
いずれの場合においても、配合物から得られる粒状物を、80℃の金型温度および260℃の溶融温度で、射出成形機(Arburg)を用いて、試験片へと加工した。
【0128】
調製した組成物のノッチ付き衝撃強さ[ak]を、80mm×10mm×4mmに計測した試験片に関してISO180-1Aに従い、23℃にて測定した。
【0129】
調製した組成物の低温強さの測定として、60mm×60mm×2mmに計測した試験片について、−20℃にてISO6603-2に従い破壊試験を行い、および最大エネルギー吸収Epを測定した。
【0130】
耐熱変形性を、80mm×10mm×4mmに計測した試験片について、ISO306に従い測定されたビカーB120を用いて評価した。
【0131】
溶融流動性を、5kgのダイ荷重を用い、260℃の温度にて、ISO1133に従い測定したメルトボリュームフローレート(MVR)に基づき評価する。
【0132】
15cm×10cm×3mmに計測したシートについて表面品質を視覚的に評価した。表面における欠陥の数を、非分散カーボンブラック-グラフト凝塊物に基づき評価した。
【0133】
【表1】

【0134】
例1(比較)と例2(本発明に係る実施例)の比較は、成分AとBの合計に基づき、約13wt%の水を添加し、他を変化させずに(同じ特定のエネルギー入力で)配合方法を保つことにより、熱可塑性の耐衝撃性改質ポリカーボネート組成物中におけるカーボンブラックの分散性を著しく改良させたことを示す。カーボンブラックの改良された分散性は、まず、ノッチ付き衝撃強さと低温延性における改良を明らかにし、第2に、射出成形した成形品の表面品質(不具合数の減少=欠陥の減少)における著しい改良を明らかにする。水を添加することは、MVRの増加を明らかに示すポリマーの分解、特にポリカーボネートの加水分解を明らかに生じさせない(MVRにおける増加は観察されていない)。更に、粉末混合物を調製する間に供給された全ての水は、配合工程における脱気を介して再びポリマー組成物から明確に除去できる。なぜならば、残存する水の量は、ビカーB120値の低下をもたらすが、このことは、同様に観察されていないからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のA)〜C)を含有する混合物の、着色した耐衝撃性改質熱可塑性ポリマー組成物を調製するための配合工程における使用であって、
A)シェルとしてのグラフト化ポリマー成分とゴム弾性コアから成り、粉末形態で使用される、成分AおよびBの合計に基づき60〜98重量部の、少なくとも1種のグラフトポリマー、
B)成分AおよびBの合計に基づき2〜40重量部の、少なくとも1種の無機または有機液体配合物、および
C)少なくとも1種の顔料、
該グラフトポリマーAおよび/または該顔料Cは、該液体の無機もしくは有機配合物Bを吸収または吸着し、および常圧での該成分Bの沸点は、配合する間におけるポリマー溶融体の温度よりも低いことを特徴とする、該混合物の使用。
【請求項2】
以下のA)およびB)を含有する、請求項1に記載の混合物の使用:
A)シェルとしてのグラフト化ポリマー成分とゴム弾性コアから成り、粉末形態で使用される、成分AおよびBの合計に基づき75〜92重量部の、少なくとも1種のグラフトポリマー、および
B)成分AおよびBの合計に基づき8〜25重量部の、少なくとも1種の無機または有機液体配合物。
【請求項3】
顔料Cが、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、グラフェン、活性炭およびカーボンナノチューブから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の混合物の使用。
【請求項4】
成分Bが、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、アセトン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、ならびにこれらの液体の混合物を含有する群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の混合物の使用。
【請求項5】
成分Bが水であることを特徴とする、請求項1または2に記載の混合物の使用。
【請求項6】
成分Bが、水と部分的にまたは完全に混和性である少なくとも1種の更なる液体と水との単相混合物であり、該水の量が少なくとも90wt%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の混合物の使用。
【請求項7】
成分Cに対する成分Aの割合が、3:1〜50:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の混合物の使用。
【請求項8】
混合物が、破砕された熱可塑性ポリマー、防炎剤、防炎協力剤、発煙抑制添加剤、ドリッピング防止剤、内部および外部潤滑剤および離型剤、流動助剤、帯電防止剤、導電性添加剤、核形成剤、安定剤、抗菌活性のある添加剤、耐引掻き性改良剤、IR吸収剤、光沢剤、蛍光添加剤、充填剤および補強材料、成分Cの定義以外の着色剤および顔料、成分Aの定義以外の衝撃改質剤、およびブレンステッド酸化合物から成る群から選択される少なくとも1種の更なる粉末状成分Dを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の混合物の使用。
【請求項9】
混合物が、この混合物における全ての成分の合計に基づき、1〜10重量部の量で、粒状形態での少なくとも1種の成分Dまたは少なくとも1種の熱可塑性ポリマーTPを含有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の混合物の使用。
【請求項10】
少なくとも1種の顔料を含有する耐衝撃性改質熱可塑性組成物の調製方法であって、
(i)第1工程段階において、以下のものを含有する混合物を調製し、
A)シェルとしてのグラフト化ポリマー成分とゴム弾性コアから成り、粉末形態で使用される、成分AおよびBの合計に基づき60〜98重量部の、少なくとも1種のグラフトポリマー、
B)成分AおよびBの合計に基づき2〜40重量部の、少なくとも1種の無機または有機液体配合物、および
C)少なくとも1種の顔料、
ただし、該グラフトポリマーAおよび/または該顔料Cは、該液体の無機もしくは有機配合物Bを吸収または吸着し、および
常圧(1bar)での該成分Bの沸点は、工程段階(ii)における脱気区画でのポリマー溶融体の温度よりも低いことを特徴とする、
(ii)および第2工程段階において、
該第2工程段階において使用される成分の合計に基づき、20〜99重量部の、
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、または成分Aに係るシェルとしてのグラフト化ポリマー成分とゴム弾性コアから成る少なくとも1種のグラフトポリマーと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとの混合物から成る群から選択される成分(TP)、
該第2工程段階において使用される成分の合計に基づき、1〜80重量部の、工程段階(i)で調製された混合物、および、
所望による、該第2工程段階において使用される成分の合計に基づき、40重量部までの更なる成分、
が混合され、溶融され、相互に分散され、
部分真空を施すことにより、該無機または有機成分Bが、このようにして調製された混合ポリマー溶融体から除去される、
該調製方法。
【請求項11】
成分Bが水であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成分Bが、水と部分的にまたは完全に混和性である少なくとも1種の更なる液体と水との単相混合物であり、該水の量が少なくとも90wt%であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
成分Cがカーボンブラックであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
成分Cに係るカーボンブラックが、ISO4652に従う窒素吸着により測定される、少なくとも100m/gのBET表面積と、およびISO4656に従いジブチルフタレートを用いて測定される、40〜120ml/100gのオイル吸着数を有することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法のうちの1つに従い調製された組成物、およびこのような組成物から製造される成形物品。

【公表番号】特表2013−519745(P2013−519745A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552384(P2012−552384)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051902
【国際公開番号】WO2011/098490
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】