説明

耳落とし装置

【課題】パン片が置かれた搬送ベルトに耳落とし刃が食い込んで搬送ベルトを傷付けることを防ぎ、安全かつ衛生的に耳落としができる耳落とし装置を提供する。
【解決手段】耳落とし刃62が第二ベルトコンベヤ52の上方で待機する状態において、次のパン片101が第二ベルトコンベヤ52で運ばれてくる(A)。パン片101が弾性部材67が設けられた領域に達すると、第二ベルトコンベヤ52を停止させ、耳落とし刃62を下降させる(B)。耳落とし刃62の下限ストローク位置では、弾性部材67は耳落とし刃62がパン片101を押圧する力を第二ベルトコンベヤ52の沈み込みを許容しつつ弾性的に支えることにより、耳落とし刃62の先端が第二ベルトコンベヤ52の搬送面52aにわずかに触れるまで下降して、パン片101の耳部102のみを切断する(C)。耳落とし刃62を上昇させるとともに、第二ベルトコンベヤ52による搬送を再開する(D)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン片の周縁部である耳部を切断する耳落とし装置に関し、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等で販売するサンドイッチ等を作るために、塊状の食パンを所定のスライス厚の複数のパン片にスライスする業務用等のパンスライス装置に用いられる。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、所定のスライス厚にスライスされたパン片が、スライサーと平行に配置された搬送コンベアの搬送面(水平面)に落下する場合、薄くスライスされ柔軟性を有するパン片は、全体が撓んで折れ曲がったり端部が垂れ下がったり、あるいは搬送面に対して大きく傾いた状態(例えば45°以上の傾き)で落下したりして姿勢が不安定になりやすい。このような落下姿勢の乱れにより、落下位置にも乱れを生じやすくなるので、下流の工程(例えば耳落とし工程やパン片のカット工程等)に悪影響を及ぼし、サンドイッチ等の製品の品質や歩留りを低下させるおそれがある。また、特許文献1にはスライス後のパン片の耳部を切断する耳落とし装置(耳切断装置)も記載されているが、柔軟性を有するパン片に耳切断刃を押し当てることにより、パン片を受ける搬送ベルトまで傷付けるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−290160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、パン片が置かれた搬送ベルトに耳落とし刃が食い込んで搬送ベルトを傷付けることを防ぎ、安全かつ衛生的に耳落としができる耳落とし装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、
搬送ベルトの搬送面上に置かれたパン片の耳部を切断する耳落とし装置であって、
前記搬送ベルトの上側に配置された耳落とし刃と、該搬送ベルトの下側で前記耳落とし刃が当たる領域に配置された弾性部材とを有し、
耳落とし時において、前記弾性部材は前記耳落とし刃がパン片を押圧する力を前記搬送ベルトの沈み込みを許容しつつ弾性的に支え、前記耳落とし刃がパン片の耳部を切断することを特徴とする。
【0006】
上記耳落とし装置では、弾性部材によって耳落とし刃が搬送ベルトに食い込まないように弾性的に支えることができ、耳落とし作業を安全かつスピーディに行える。なお、弾性部材としてゴム板、ウレタンシート等を用いることができる。
【0007】
上記耳落とし刃は矩形の枠状に配置され、搬送ベルトを停止させた状態において、耳落とし刃を静止状態のパン片に押し当てることにより4辺の耳部が互いに分離した状態で同時に切断される。静止状態のパン片に耳落とし刃を押し当てることにより、耳落とし時において、耳部の切り落とし面がきれいになるとともに、搬送ベルトに食い込まない位置で耳落とし刃を停止させることが容易にできる。
【0008】
上記耳落とし装置は、ブロック状のパン塊を所定のスライス厚の複数のパン片にスライスするパンスライス装置に用いられ、そのパンスライス装置は、
スライスされた複数のパン片を順次下流に搬送する搬送コンベアと、
その搬送コンベアの搬送面に対して板面が鋭角に傾斜した姿勢で設けられた円板状の回転スライサーと、
その回転スライサーを前記傾斜した姿勢と平行な鋭角傾斜方向へ往復駆動し、その往ストロークで前記回転スライサーにスライス動作を、復ストロークで退避動作をさせるスライサー往復駆動装置と、
上方からパン塊を前記回転スライサーの往復駆動の軌道と交差する向きに、前記スライス厚に対応する距離ずつ間欠的に送るパン塊送り装置と、
を備える場合がある。
【0009】
上記パンスライス装置では、回転スライサーによってスライスされたパン片は搬送コンベアに対し鋭角に傾斜した姿勢(斜め姿勢)で搬送コンベア上に落下し、平行に保持されて下流へ搬送される。具体的には、例えば斜め姿勢で落下するパン片は、斜め方向の下方側端部にて搬送コンベアの搬送面に着地し、着地した下方側端部を支点として上方側端部が下向きに回動して搬送面に着地することにより、スライス面全体が円滑に搬送面に保持される。
【0010】
このように、搬送面に対してパン片が落下するときには、パン片は全体が撓んで折れ曲がったり端部が垂れ下がったりせずに安定した斜め姿勢で落下する。すなわち、斜め姿勢の低い側の端部(下方側端部)から搬送面に着地し、すぐに高い側の端部(上方側端部)も着地するので、落下姿勢が乱れにくく落下位置の乱れも小さくなる。したがって、下流工程への悪影響を少なくして、製品の品質や歩留りの向上に寄与することができる。
【0011】
回転スライサーによってスライスされたパン片が斜め姿勢で搬送コンベア上に落下するようにパン片をガイドする案内部材を設け、案内部材が回転スライサーの往復動と同期して一体的に移動する場合には、案内部材によってパン片を斜め姿勢にガイドし、最初に着地する側を定めることができるのでパン片の落下姿勢が一層安定し、落下位置の乱れをさらに小さくすることができる。
【0012】
回転スライサーが往復駆動される鋭角傾斜方向(鋭角傾斜軌道)は、搬送コンベアの搬送面に対して5°〜30°程度の傾きを有することによって、パン片の落下姿勢を安定させることが可能である。また、傾斜角度を例えば10°±5°程度の範囲内で調節可能とすることにより、パン塊の焼き方、パン片の大きさ(特にスライス厚)等に応じてパン片の落下姿勢を微調整することができる。なお、搬送コンベアの搬送面は、一般的にほぼ水平方向(水平線に対して±5°程度以内)に延びる水平面に設定される。
【0013】
上記した案内部材は回転スライサーの傾斜軌道に対し仰角となる案内角を形成して交差するように配置され、案内部材の案内角が傾斜軌道の傾斜角よりも大に設定されている場合には、回転スライサーによってスライスされるパン片をスライス開始側ほど下向きとなるような斜め姿勢にガイドすることができる。例えば傾斜軌道の傾斜角が5°〜30°程度であれば、案内部材の案内角は10°〜60°程度とすることができる。
【0014】
パン塊を送る向きは、回転スライサーの往復駆動の軌道(鋭角傾斜軌道)と交差する向きに設定すればよく、搬送面に対して直角の向き(例えば垂直方向)となる場合を含む。この場合には、垂直方向(下向き)に間欠送りされるパン塊は、傾斜姿勢の回転スライサーが鋭角傾斜軌道上を移動することによって斜め切りのパン片にスライスされる。
【0015】
上記パン塊送り装置は、回転スライサーの往復駆動の軌道とほぼ直角に交差することにより搬送コンベアに対しては垂直に対して鋭角に傾斜する向きに、パン塊をスライス厚に対応する距離ずつ間欠的に送る。このようにパン塊を送る向きと回転スライサーの軌道とをほぼ直交(交差角は90°±10°程度)させて直角切りのパン片にスライスすることにより、パン塊から複数のパン片をスライスする際の無駄を少なくすることができる。
【0016】
パン塊送り装置は、パン塊を挟持するために対向して設けられた送りベルトと、その送りベルトを間欠的に送る駆動装置とを含む。対向して配置された一対の送りベルトでパン塊を挟持し間欠的に送ることによって、パン片のスライス厚を一定に維持しつつ、スライス作業が効率的に行える。なお、送りベルトのパン塊挟持面に突起が形成されるときには、パン塊の表面に突起を押し付けることによりパン塊のずり落ち等を防ぎ、パン片のスライス厚を一定に維持することが容易になる。
【0017】
パン塊送り装置の下方に、送りベルトがパン塊を送って停止したときに、次にスライスするスライス厚を保った状態でパン塊の下端部を保持する保持部材が配置される場合には、保持部材でパン塊を下側から支持することによってパン片のスライス厚の不揃いを防止することができる。また、パン塊から複数のパン片をスライスして最後に残った端部パン片が所定のスライス厚に満たない場合、送りベルトによる送りや保持ができなくなっても、保持部材によって端部パン片を保持することができる。
【0018】
パン塊送り装置がパン塊をスライス厚分送って停止した状態で、回転スライサーが鋭角傾斜軌道に沿った往ストロークによりパン塊の下端部をスライスし、かつ復ストロークによりパン塊から退避した後、パン塊送り装置がパン塊を次のスライス厚分送る。パン塊送り装置によるパン塊の送り動作と回転スライサーによるスライス動作とを協調して行うことにより、スライス作業が一層効率的に行える。
【0019】
上記した保持部材が、パン塊の下端部を下側から支持する支持部と、スライスされたパン片を通過させる窓孔とを有し、回転スライサーと一体的に移動する場合には、パン塊送り装置によるパン塊の送り動作時には送られたパン塊を支持部で支持し、回転スライサーによるスライス動作時にはスライスされたパン片を窓孔から通過させるように、パン塊送り装置及び回転スライサーと保持部材とを協調作動させることができる。
【0020】
円板状の回転スライサーは搬送コンベアに対して鋭角に傾斜した姿勢でスライダーに支持され、かつそのスライダーに固定されたスライサーモータにより回転駆動され、そのスライダーは搬送コンベアに対して鋭角に傾斜した鋭角傾斜方向に沿って往復動するように位置固定のガイドフレームで案内され、スライサー往復駆動装置は、そのスライダーに連結され、スライダーと共に円板状の回転スライサーとスライサーモータとを一体的に鋭角傾斜方向においてガイドフレームに案内させつつ往復動させる。ガイドフレームで回転スライサーとスライサーモータとを一体的に案内して往復動させることにより、スライス時における回転スライサーの回転及び鋭角傾斜方向での往復動(鋭角傾斜軌道)が安定するので、パン片のスライス面が見た目にもきれいになる。
【0021】
上記した案内部材が、回転スライサーの下方において、保持部材の窓孔と対向する状態でスライダーに固定される場合には、回転スライサーによってスライスされるパン片を、回転スライサーの回転軸等との干渉から保護しつつ保持部材の窓孔へ誘導することが容易となる。
【0022】
耳落とし装置よりも上流側の搬送コンベアには、搬送面上のパン片の位置を搬送方向に対し一定の状態に揃える整列装置を設けることができる。耳落とし装置よりも上流側にてパン片の位置を一定の状態に揃えることによって、下流工程での耳落とし作業が効率よく行える。整列装置として、例えば搬送コンベアによって搬送されるパン片の左右両側に揺動板をそれぞれ設置し、各揺動板をワイパーのように往復揺動させてパン片の左右側面に接触させることによって、パン片が進行方向に対して真っ直ぐの状態に揃えることができる。なお、パン片との接触面にはゴム板、ウレタンシート等の緩衝材を設けてもよい。
【0023】
搬送コンベアは、耳落し装置が設けられた上流側のコンベアと、その上流側のコンベアとパン片の受け渡し可能な隙間を介して接続された下流側のコンベアとを含み、パン片がコンベア間で受け渡されるとき、分離状態の耳部が隙間から落下して回収される。搬送コンベア(上流側及び下流側のコンベア)での搬送を停止させることなくパン片から耳部を脱落させることができるので、パン片と耳部との分離及び回収が能率よく行えるとともに、前後の工程での作業能率も向上する。
【0024】
搬送コンベアには、回収した耳部を細片に砕き、あるいはパン粉に粉砕する破砕装置が設けられている。破砕装置により、廃棄部分である耳部を飼料や食料として再利用することが容易になる。
【0025】
破砕装置には、細片あるいはパン粉を風力によって所定の位置に運ぶ風力搬送装置が設けられている。風力搬送装置により細片やパン粉を大量に遠くへ運べるので、パン片の生産量に応じて発生量が増える耳部の処理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る耳落とし装置を含むパンスライス装置の一実施例を示す概略正面図。
【図2】パンスライス装置の要部の概略構成を示す正面図及び底面図。
【図3】スライス動作時における要部の底面図。
【図4】パン塊からパン片をスライスする動作を示す説明図。
【図5】パン塊送り装置の概略構成を示す正面図。
【図6】スライスされたパン片の搬送状態を示す平面図。
【図7】整列装置の変形例の概略構成を示す平面図。
【図8】図6に続く搬送状態を示す平面図。
【図9】本発明に係る耳落とし装置の概略構成を示す正面図及び側面図。
【図10】パン片から耳落としする動作を示す説明図。
【図11】パン塊からパン片をスライスする動作の変形例を示す説明図。
【図12】耳落とし刃の配置の変形例を示す平面図。
【図13】パンスライス装置の他の実施例について、要部を示す概略正面図及び底面図。
【図14】スライス動作時における要部の底面図。
【図15】パン塊からパン片をスライスする動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係る耳落とし装置を含むパンスライス装置の一実施例を示す概略正面図である。図1に示すパンスライス装置1は、図示しないオーブン等でブロック状に焼き上げたパン塊100を、例えばサンドイッチに適したスライス厚αの複数のパン片101にスライスするために用いられる。なお、ブロック状のパン塊100は一般的には直方体に似た形状であり、そのスライス面は擬似的な矩形状となるが、以下の記載においてはパン塊100を正四角柱形状、そのスライス面を正方形として扱う場合がある。
【0028】
このパンスライス装置1は、パン塊100を下方へ間欠的に送るパン塊送り装置2と、パン塊送り装置2で送られたパン塊100の下端部をスライスする円板状の回転スライサー3と、回転スライサー3を往復駆動するスライサー往復駆動装置4と、回転スライサー3でスライスされた複数のパン片101を順次下流に搬送する搬送コンベア5とを備えている。搬送コンベア5は、回転スライサー3の下方に位置する第一ベルトコンベヤ51と、その下流側に位置する第二ベルトコンベヤ52と、さらにその下流側に位置する第三ベルトコンベヤ53と、さらに下流側にてサンドイッチ工程へ向かう第四ベルトコンベヤ54とを含む。
【0029】
第二ベルトコンベヤ52には、パン片101の耳部102を切断する耳落とし装置6が設けられている。第二ベルトコンベヤ52(上流側のコンベヤ)の終端部(下流側端部)及び第三ベルトコンベヤ53(下流側のコンベヤ)の始端部(上流側端部)に跨って、耳部102をパン粉104に粉砕する破砕装置7と、パン粉104を風力によって所定の位置に運ぶ風力搬送装置8とが設けられている。なお、パンスライス装置1には、パン塊100を1個ずつパン塊送り装置2へ供給するパン塊供給装置91と、耳落とし装置6による耳落とし前に第一ベルトコンベヤ51上のパン片101の位置を一定の状態に揃える整列装置92と、1個のパン塊100から最初と最後にスライスされる端部パン片105(図6参照)を第一ベルトコンベヤ51上から除去する除去装置93も設けられている。
【0030】
また、第三ベルトコンベヤ53にはバター塗布装置94が設けられ、ホッパー94a内に貯留されたバター(例えばからしバター)を回転する転写ローラー94bの表面に一時的に塗り、耳部102を切り落とされた耳なしパン片103のスライス面にそのバターを塗布する(一種の転写形態をとる)。補助ローラー94cは、転写ローラー94bの押し付けによる耳なしパン片103及び第三ベルトコンベヤ53の下方への撓み量を所定範囲内に留めるために、転写ローラー94bと対向する形で第三ベルトコンベヤ53と下面側で接している。転写ローラー94bはモータ等によって回転駆動されるが、補助ローラー94cは非駆動の遊転状態であってもよい。
【0031】
円板状の回転スライサー3は、第一ベルトコンベヤ51の搬送面51a(水平面)に対して、板面がスライス開始側ほど高くなるように、傾斜角θで鋭角(θ=5°〜30°程度)に傾斜した姿勢で設けられている。スライサー往復駆動装置4は、回転スライサー3を傾斜した姿勢と平行な鋭角傾斜方向へ往復駆動する。スライサー往復駆動装置4は、斜め下向きとなる往ストロークで回転スライサー3にスライス動作を行わせ、斜め上向きとなる復ストロークで退避動作を行わせる。パン塊送り装置2は、上方からパン塊100を回転スライサー3の往復駆動の軌道と交差する向き(図では直交する向き)に、スライス厚αに対応する距離ずつ間欠的に送る。このようにパン塊100を送る向きと回転スライサー3の傾斜軌道とが直交しているので、直角切りのパン片101にスライスされる。また、パン塊送り装置2の送り方向は、第一ベルトコンベヤ51の搬送面51aに垂直な方向に対して、傾斜角θの傾きを有している。
【0032】
パン塊供給装置91は、複数の縦枠91bで連結され、固定の案内枠91cにガイドされて周回移動する垂直コンベヤ91aを有する。直方体形状あるいは正四角柱形状のパン塊100を縦枠91b間に1個ずつ挿入し、垂直コンベヤ91aを周回させると、先頭のパン塊100は案内枠91cによってパン塊送り装置2の上方で斜め(傾斜角θ)に姿勢変更されて落下し、パン塊送り装置2へ供給される。
【0033】
図5はパン塊送り装置の概略構成を示す正面図である。パン塊送り装置2は、パン塊100を挟持するためのパン塊挟持面21aを対向して設けた一対の送りベルト21と、その一対の送りベルト21を同期させて間欠的に下向きに送るための歯車伝動装置23(駆動装置)とを含む。送り用モータ22の回転を各送りベルト21へ同時に伝達するために、歯車伝動装置23は1本の駆動軸24上に3組の歯車(図ではかさ歯車)が配置され、送りベルト21にはタイミングベルトが用いられている。また、送りベルト21のパン塊挟持面21aには碁盤目状に複数の突起21bが形成され、パン塊100の表面に突起21bを押し付けてパン塊100のずり落ち等を防ぐことにより、パン片101のスライス厚αを一定に維持している。なお、送りベルト21のパン塊挟持面21aは、パン塊100の4つの側面のうち、対向するいずれか2面を挟持すればよい。
【0034】
図2はパンスライス装置の要部(主として回転スライサー及びスライサー往復駆動装置)の概略構成を示す正面図及び底面図である。回転スライサー3は、第一ベルトコンベヤ51(搬送面51a)に対してスライス開始側ほど高くなるように鋭角に傾斜した姿勢(傾斜角θ)で往復移動枠31(スライダー)に支持され、往復移動枠31に固定されたスライサーモータ32によりスライサー回転用ベルト33を介して回転駆動される。往復移動枠31は、第一ベルトコンベヤ51に対してスライス開始側ほど高くなるように鋭角に傾斜した鋭角傾斜方向に沿って往復動するように、位置固定の固定枠41(ガイドフレーム)で案内される。スライサー往復駆動装置4は、往復移動枠31と固定枠41とに連結されており、往復移動枠31と共に回転スライサー3とスライサーモータ32とを一体的に、鋭角傾斜方向において固定枠41に案内させつつ往復動させる。
【0035】
具体的には、固定枠41に固定された往復駆動用モータ42の回転は、ベルト43により、固定枠41に回転可能に支持された駆動軸44及び駆動軸44と一体の回転アーム45に伝達される。往復移動枠31には2本のアーム保持レール31bが前後方向(第一ベルトコンベヤ51の進行方向と直交する方向)に固定され、回転アーム45の先端部45aはアーム保持レール31b,31bの間(すなわち溝)に前後方向へスライド可能に挿入されている。往復移動枠31には2つの直線レール31aが左右方向(第一ベルトコンベヤ51の進行方向)に平行に固定され、これらの直線レール31aは固定枠41に平行に固定された左右方向の2つの直線ガイド41aで各々案内される。移動側の直線レール31aと固定側の直線ガイド41aとによって直線状案内部材(通称リニアガイド)を形成しているが、固定側をレール、移動側をガイドとしてもよい。
【0036】
したがって、回転アーム45が図2(b)の位置から図3の位置へと180°回転するとき、回転アーム45の先端部45aがアーム保持レール31b,31b間を前後方向へ摺動するとともに、直線レール31aと直線ガイド41aとの摺動案内によって往復移動枠31は固定枠41に対して左右方向に直線移動する。このように、固定枠41で回転スライサー3とスライサーモータ32とを一体的に案内して往復動させることにより、スライス時における回転スライサー3の回転及び鋭角傾斜方向での往復動(鋭角傾斜軌道)が安定するので、パン片101のスライス面が見た目にもきれいになる。なお、回転アーム45とアーム保持レール31b,31bとは往復スライダクランク機構を構成しているが、アーム保持レール31b,31bの間をカムの溝と考えた場合には、回転アーム45の先端部45aをカムホロワとして捉えることもできる。
【0037】
図2には長孔とねじによる傾斜角θの調節機構46も記載されている。調節機構46により回転スライサー3及びスライサー往復駆動装置4の傾斜角θを例えば±5°程度の範囲内で調節して、パン塊100の焼き方、パン片101の大きさ(特にスライス厚α)等に応じてパン片101の落下姿勢を微調整することができる。
【0038】
また、図2に示すように、往復移動枠31の先端部(パン塊送り装置2側)には板状のパン片ガイド34(案内部材)が固定され、回転スライサー3の往復動と同期して一体的に移動する。このパン片ガイド34の先端は、パン塊100に切り込む回転スライサー3の刃先の直後方かつ直下に位置する。パン片ガイド34は、スライス時において回転スライサー3でスライスされるパン片101が斜め姿勢で第一ベルトコンベヤ51上に落下するようにパン片101をガイドするとともに、回転スライサー3の下面側に位置するスライサー回転用ベルト33、プーリ33a、回転軸33b等がパン片101と干渉しないようにカバーする。パン片ガイド34は、回転スライサー3の傾斜軌道に対し仰角となる案内角δを形成して交差する(δ=10°〜60°程度)ように配置されている。
【0039】
ここで、パン片ガイド34の案内角δ(例えばδ≒30°)は傾斜軌道の傾斜角θ(例えばθ≒15°)よりも大に設定されているので、回転スライサー3によってスライスされるパン片101をスライス開始側(第一ベルトコンベヤ51の搬送方向では下流側)ほど下向きとなるような斜め姿勢にガイドすることができる(図4(a)参照)。このように、パン片ガイド34によってパン片101を斜め姿勢にガイドし、最初に着地する側を定めることができるのでパン片101の落下姿勢が安定し、落下位置の乱れを小さくすることができる。
【0040】
さらに、往復移動枠31の先端部には板状のパン塊ストッパ35(保持部材)も延設され、回転スライサー3と一体的に移動する。このパン塊ストッパ35は、パン塊100の下端部を下側から支持する支持部35aと、回転スライサー3でスライスされたパン片101を通過させる矩形状の窓孔35bとを有する。支持部35aでパン塊100を下側から支持することによって、例えばパン片101が厚み方向に必要以上に圧縮されないように送りベルト21の送り力を加減することができ、パン片101のスライス厚αの不揃いを防止することができる。ただし、パン塊送り装置2によるパン塊100の間欠送り及び保持によってパン片101のスライス厚αが確保できる場合には、支持部35aを設けなくてもよい。
【0041】
そして、窓孔35bは回転スライサー3の下方においてパン片ガイド34と対向して配置されている。窓孔35bとパン片ガイド34との対向配置により、回転スライサー3によってスライスされるパン片101を、回転スライサー3のプーリ33a、回転軸33b等との干渉から保護しつつパン片ガイド34で斜め下向きにガイドし、窓孔35bへ誘導することが容易となる。
【0042】
なお、図3に示すように、パン塊100のスライス面を一辺の長さLSの正方形と考えたとき、切断に必要なスライサー直径DMは、
DM>21/2×LS
と表される。また、切断に必要な回転スライサー3の移動ストロークST(すなわち回転アーム45の旋回直径)は、
ST>21/2×LS
と表される。このように、この実施例ではパン片ガイド34を有しているので、スライサー直径DMは一辺の長さLSの21/2≒1.41倍より大きければよく、移動ストロークSTはスライサー直径DMと同等又はそれ以上となる。
【0043】
図4はパン塊からパン片をスライスする動作を示す説明図である。パン塊送り装置2がパン塊100をスライス厚α分送って停止した状態で、回転スライサー3が鋭角傾斜軌道に沿った往ストロークによりパン塊100の下端部からパン片101をスライスする(図4(a))。回転スライサー3のスライス動作時には、窓孔35bは、回転スライサー3でスライスされパン片ガイド34でガイドされるパン片101を通過(落下)させるとともに、支持部35aは、スライス動作を妨げないようにパン塊送り装置2の向こう側に退避している。
【0044】
次に、回転スライサー3が復ストロークによりパン塊100から退避するとともに、パン塊送り装置2がパン塊100を次のスライス厚α分送る(図4(b))。回転スライサー3の退避時には、支持部35aはパン塊送り装置2の下方に位置し、次にスライスするスライス厚αを保った状態でパン塊100の下端部を保持するとともに、窓孔35b及びパン片ガイド34は回転スライサー3とともに退避している。
【0045】
パン塊送り装置2が停止した状態で、再び回転スライサー3が鋭角傾斜軌道に沿った往ストロークを移動してパン塊100の下端部から次のパン片101をスライスする(図4(c))。このように、パン塊送り装置2によるパン塊100の送り動作と回転スライサー3によるスライス動作とを協調して行うことにより、スライス作業が効率的に行える。なお、パン塊100から複数のパン片101をスライスして最後に残った端部パン片105(図6参照)が所定のスライス厚αに満たない場合、送りベルト21による送りや保持ができなくなっても、支持部35aによって端部パン片105を支持することができる。このとき回転スライサー3の往ストローク移動によって端部パン片105をスライスすることはできないが、端部パン片105はパン片ガイド34でガイドされ窓孔35bを通過して、第一ベルトコンベヤ51上に落下する。
【0046】
そして、回転スライサー3によってスライスされたパン片101は搬送面51aに対し鋭角に傾いた姿勢(例えば10°〜30°程度の斜め姿勢)で第一ベルトコンベヤ51上に落下し、平行に保持されて下流へ搬送される。具体的には、回転スライサー3によってスライスされるパン片101は、パン片ガイド34によってスライス開始側(第一ベルトコンベヤ51の搬送方向では下流側)ほど下向きとなるような斜め姿勢にガイドされる(図4(a))。斜め姿勢で落下するパン片101は、斜め方向の下方側端部101aにて第一ベルトコンベヤ51の搬送面51a(の搬送下流側)に着地し(図4(b))、着地した下方側端部101aを支点として上方側端部101bが下向きに回動して搬送面51a(の搬送上流側)に着地することにより、スライス面全体が円滑に搬送面51aに保持される(図4(c))。
【0047】
このように、搬送面51aに対してパン片101が落下するときには、パン片ガイド34によってパン片101は斜め姿勢にガイドされ、パン片101は全体が撓んで折れ曲がったり端部が垂れ下がったりせずに安定した斜め姿勢で落下する。すなわち、斜め姿勢の低い側の端部(下方側端部101a)から搬送面51aに着地し、すぐに高い側の端部(上方側端部101b)も着地するので、落下姿勢が乱れにくく落下位置の乱れも小さくなる。
【0048】
図6はスライスされたパン片の搬送状態を示す平面図である。上記したように、第一ベルトコンベヤ51の搬送面51aに対してパン片101が斜め姿勢で落下する場合、特に正面視におけるパン片101の落下姿勢が安定する。ただし、この場合においても平面視での落下位置(落下姿勢)が第一ベルトコンベヤ51の進行方向から少しずれる(平行にならない)ときがある。そこで耳落とし処理をする前に第一ベルトコンベヤ51上のパン片101の位置を第一ベルトコンベヤ51の進行方向と平行な状態に揃えるために、整列装置92が設けられている。
【0049】
具体的には、図6に示す整列装置92は、第一ベルトコンベヤ51の進行方向において、パン片101の左右両側に各々配置された整列板92aと、各整列板92aを進退させるエアシリンダ92cとを有している。また、図7に示す変形例の整列装置92においては、第一ベルトコンベヤ51の進行方向において、パン片101の左右両側に整列板92aをそれぞれ設置し、円形の回動板92dと各整列板92aとを連結アーム92eで接続する。各々の連結アーム92eと回動板92dとは回動板92dの中心から偏心した対称位置で連結し、回動板92dを所定の角度範囲(例えば±90°)で正逆回転することにより、各整列板92aをワイパーのように往復揺動させる。図6及び図7に示す整列装置92において、左右の整列板92aがパン片101の左右側面に同期して接触することによって、パン片101を進行方向に対して真っ直ぐの状態に素早く揃えることができる。なお、整列板92aには、パン片101との接触面にゴム板、ウレタンシート等の緩衝材92bを設け、パン片101の変形等を防止してもよい。
【0050】
図6に戻り、整列装置92の搬送方向下流側には、端部パン片105の除去装置93が設けられている。具体的には、除去装置93は、端部パン片105を進行方向の一側方から押す押出板93aと、その押出板93aを進退させるエアシリンダ93bとを有している。パン塊100の大きさ(高さ)とパン片101のスライス厚から端部パン片105の発生時期(除去装置93への到達時期)は予めわかっている(あるいはセンサによって到達を検知できる)ので、所定のタイミングでエアシリンダ93bを伸長させれば、押出板93aによって端部パン片105を押し出して端部パン片回収容器93cに取り出すことができる。
【0051】
図8は図6に続く搬送状態を示す平面図である。図6に示す整列装置92によって姿勢を整えられたパン片101は、第一ベルトコンベヤ51(搬送面51a)から後続の第二ベルトコンベヤ52(搬送面52a)へ移しかえられる。第二ベルトコンベヤ52の途中には搬送面52a上のパン片101の耳部を切断する耳落とし装置6が設けられている。耳落とし装置6は第二ベルトコンベヤ52の上側に配置された耳落とし刃62と、第二ベルトコンベヤ52の下側で耳落とし刃62が当たる領域に配置された弾性部材67とを有する。図8に示すように、弾性部材67はパン片101のスライス面よりも広い面積を有している。
【0052】
耳落とし刃62は矩形(図ではほぼ正方形)の枠状に配置される。具体的には、4枚の刃体62a,62b,62c,62dを井桁状に組み合わせて配置し、そのうちの対向する2辺(図では62a,62cの2枚)についてはパン片101の外縁に達するまで、あるいは外縁を超えるまで長く形成されている。第二ベルトコンベヤ52を停止させた状態において、耳落とし刃62を構成する刃体62a,62b,62c,62dを静止状態のパン片101に同時に押し当てることにより4辺の耳部102が互いに分離した状態で同時に切断される。また、弾性部材67は第二ベルトコンベヤ52のコンベヤガイド(図示せず)等に固定して配置され、ゴム板、ウレタンシート等を用いることができる。
【0053】
図9は本発明に係る耳落とし装置の概略構成を示す正面図及び側面図である。防振部材61bを介して耳落とし刃62を一体的に支持する昇降フレーム61は、上下方向に往復動するように位置固定の固定フレーム66で案内される。
【0054】
具体的には、固定フレーム66に固定された耳落とし用モータ63の回転は、モータ63に直結された円形の回転板64に伝達される。回転板64と昇降フレーム61とを揺動アーム65で接続する。揺動アーム65の一端部(下端部)は昇降フレーム61に揺動可能に連結される。揺動アーム65の他端部(上端部)は、回転板64の中心から偏心した位置で回転板64と回転可能に連結される。昇降フレーム61には2つの直線レール61aが上下方向に平行に固定され、これらの直線レール61aは固定フレーム66に平行に固定された上下方向の2つの直線ガイド66aで各々案内される。移動側の直線レール61aと固定側の直線ガイド66aとによって直線状案内部材(通称リニアガイド)を形成しているが、固定側をレール、移動側をガイドとしてもよい。
【0055】
したがって、回転板64が図9の実線の状態から(正逆いずれかに)半回転すると、直線レール61aと直線ガイド66aとの摺動案内によって、昇降フレーム61は固定フレーム66に対して下方(仮想線の位置)に直線移動する。さらに、(正逆いずれかに)半回転すると、直線レール61aと直線ガイド66aとの摺動案内によって、昇降フレーム61は固定フレーム66に対して上方(元の実線の位置)に直線移動する。
【0056】
さらに図10はパン片から耳落としする動作を示す説明図である。耳落とし刃62が第二ベルトコンベヤ52の上方で待機する状態において、次のパン片101が第二ベルトコンベヤ52で運ばれてくる(図10(A))。パン片101が弾性部材67が設けられた領域に達すると、第二ベルトコンベヤ52を停止させ、耳落とし用モータ63を駆動して耳落とし刃62を下降させる(図10(B))。耳落とし刃62の下限ストローク位置では、弾性部材67は耳落とし刃62がパン片101を押圧する力を第二ベルトコンベヤ52の沈み込みを許容しつつ弾性的に支えることにより、耳落とし刃62の先端が第二ベルトコンベヤ52の搬送面52aにわずかに触れるまで下降して、パン片101の耳部102のみを切断する(図10(C))。耳落とし用モータ63を駆動して耳落とし刃62を上昇させるとともに、第二ベルトコンベヤ52による搬送を再開する(図10(D))。このように、弾性部材67によって耳落とし刃62が第二ベルトコンベヤ52に食い込まないように弾性的に支えることができるから、安全かつ衛生的であり、第二ベルトコンベヤ52の耐久性も損なわれない。
【0057】
図8に戻り、第二ベルトコンベヤ52の終端部(下流側端部)と第三ベルトコンベヤ53の始端部(上流側端部)とは、耳なしパン片103の受け渡し可能な隙間βを介して接続されている。また、第三ベルトコンベヤ53の搬送幅(ベルト幅)は耳なしパン片103の幅よりわずかに広い程度、言い換えればパン片101の幅と同じ程度に形成されている。
【0058】
したがって、耳なしパン片103は第二ベルトコンベヤ52から第三ベルトコンベヤ53へ慣性によって乗り移ることができる。一方、耳落とし刃62によってすでに切断されている耳部102は、耳なしパン片103が第三ベルトコンベヤ53へ乗り移ったときの衝撃で耳なしパン片103から分離してばらばらとなり、隙間β、あるい第三ベルトコンベヤ53の両側部から落下する。なお、落下した耳部102は破砕装置7の耳部回収容器71に回収され、粉砕機72でパン粉104に粉砕された後、風力搬送装置8のブロワ81によって管路82内を風力搬送されてパン粉回収容器83に回収される(図1参照)。さらに、第三ベルトコンベヤ53では、バター塗布装置94の転写ローラー94bによって耳なしパン片103のスライス面にバターが塗布され、サンドイッチ工程(図1参照)へ移行する。
【0059】
(変形例1)
図11はパン塊からパン片をスライスする動作の変形例を示す説明図である。この変形例では、パン塊100を送る向きは、第一ベルトコンベヤ51の搬送面51aに対して直角の向き(垂直方向)である。したがって、垂直方向(下向き)に間欠送りされるパン塊100は、傾斜姿勢の回転スライサー3が鋭角傾斜軌道上を移動することによって斜め切りのパン片101にスライスされる。
【0060】
(変形例2)
図12は耳落とし刃の配置の変形例を示す平面図である。この変形例では、耳落とし刃62の4枚の刃体62a,62b,62c,62dは渦巻状に配置されているので、刃体62a〜62dの共用化が容易となる。
【0061】
図13はパンスライス装置の他の実施例について、要部を示す概略正面図及び底面図、図14はスライス動作時における要部の底面図である。図14に示すように、この実施例のスライサー直径DMは、
DM>51/2×LS
で表される。このように、この実施例では、スライサー直径DMがパン塊100の一辺の長さLSの51/2≒2.24倍より大きい大径刃を用いているので、回転スライサー3の半分以下の面積でパン塊100をスライスできる。したがって、この実施例では実施例1のパン片ガイド34(案内部材)を省略できる。さらに、この実施例では実施例1のパン塊ストッパ35(保持部材)も省略してある。なお、切断に必要な回転スライサー3の移動ストロークST(すなわち回転アーム45の旋回直径)は、
ST>(51/2×LS)/2
と表され、回転スライサー3の半径と同等又はそれ以上となる。
【0062】
図15はパン塊からパン片をスライスする動作を示す説明図である。パン塊送り装置2がパン塊100をスライス厚α分送って停止した状態で、回転スライサー3が鋭角傾斜軌道に沿った往ストロークによりパン塊100の下端部からパン片101をスライスする(図15(A))。次に、回転スライサー3が復ストロークによりパン塊100から退避するとともに、パン塊送り装置2がパン塊100を次のスライス厚α分送る(図15(B))。パン塊送り装置2が停止した状態で、再び回転スライサー3が鋭角傾斜軌道に沿った往ストロークを移動してパン塊100の下端部から次のパン片101をスライスする(図15(C))。このように、パン塊送り装置2によるパン塊100の送り動作と回転スライサー3によるスライス動作とを協調して行うことにより、スライス作業が効率的に行える。
【0063】
この実施例においても、回転スライサー3によってスライスされたパン片101は搬送面51aに対し鋭角に傾斜した姿勢(例えば10°〜30°程度の斜め姿勢)で第一ベルトコンベヤ51上に落下し、平行に保持されて下流へ搬送される。具体的には、回転スライサー3によってスライスされるパン片101はそのまま斜め姿勢で落下する(図15(A))。斜め姿勢で落下するパン片101は、斜め方向の下方側端部101aにて第一ベルトコンベヤ51の搬送面51a(の搬送上流側)に着地し(図15(B))、着地した下方側端部101aを支点として上方側端部101bが下向きに回動して搬送面51a(の搬送下流側)に着地することにより、スライス面全体が円滑に搬送面51aに保持される(図15(C))。
【0064】
このように、搬送面51aに対してパン片101が落下するときには、パン片101は全体が撓んで折れ曲がったり端部が垂れ下がったりせずに安定した斜め姿勢で落下する。すなわち、斜め姿勢の低い側の端部(下方側端部101a)から搬送面51aに着地し、すぐに高い側の端部(上方側端部101b)も着地するので、落下姿勢が乱れにくく落下位置の乱れも小さくなる。
【0065】
なお、変形例1,2(図11,図12)及びパンスライス装置の他の実施例(図13〜図15)において、パンスライス装置の一実施例(図1〜図10)と共通の機能を有する部位には同一符号を付して詳細な説明を省略した。
【符号の説明】
【0066】
1 パンスライス装置
2 パン塊送り装置
21 送りベルト(タイミングベルト)
21a パン塊挟持面
21b 突起
22 送り用モータ
23 歯車伝動装置(駆動装置)
24 駆動軸
3 回転スライサー
31 往復移動枠(スライダー)
31a 直線レール(直線状案内部材)
31b アーム保持レール(往復スライダクランク機構)
32 スライサーモータ
33 スライサー回転用ベルト
33a プーリ
33b 回転軸
34 パン片ガイド(案内部材)
35 パン塊ストッパ(保持部材)
35a 支持部
35b 窓孔
4 スライサー往復駆動装置
41 固定枠(ガイドフレーム)
41a 直線ガイド(直線状案内部材)
42 往復駆動用モータ
43 ベルト
44 駆動軸
45 回転アーム(往復スライダクランク機構)
45a 先端部
46 傾斜角調節機構
5 搬送コンベア
51 第一ベルトコンベヤ
51a 搬送面
52 第二ベルトコンベヤ(上流側のコンベヤ)
53 第三ベルトコンベヤ(下流側のコンベヤ)
54 第四ベルトコンベヤ
6 耳落とし装置
61 昇降フレーム
61a 直線レール(直線状案内部材)
61b 防振部材
62 耳落とし刃
63 耳落とし用モータ
64 回転板
65 揺動アーム
66 固定フレーム
66a 直線ガイド(直線状案内部材)
67 弾性部材
7 破砕装置
8 風力搬送装置
91 パン塊供給装置
92 整列装置
93 除去装置
94 バター塗布装置
100 パン塊
101 パン片
102 耳部
103 耳なしパン片
104 パン粉
105 端部パン片
LS 一辺の長さ
DM スライサー直径
ST 移動ストローク
α スライス厚
β 隙間
θ 傾斜角
δ 案内角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトの搬送面上に置かれたパン片の耳部を切断する耳落とし装置であって、
前記搬送ベルトの上側に配置された耳落とし刃と、該搬送ベルトの下側で前記耳落とし刃が当たる領域に配置された弾性部材とを有し、
耳落とし時において、前記弾性部材は前記耳落とし刃がパン片を押圧する力を前記搬送ベルトの沈み込みを許容しつつ弾性的に支え、前記耳落とし刃がパン片の耳部を切断することを特徴とする耳落とし装置。
【請求項2】
前記耳落とし刃は上下方向に往復動可能に支持され、前記耳落とし刃の下限ストローク位置において、前記弾性部材は前記耳落とし刃がパン片を押圧する力を前記搬送ベルトの沈み込みを許容しつつ弾性的に支えるとともに、前記耳落とし刃の先端は前記搬送ベルトの搬送面にわずかに触れるまで下降することによりパン片の耳部のみを切断する請求項1に記載の耳落とし装置。
【請求項3】
前記耳落とし刃は矩形の枠状に配置され、前記搬送ベルトを停止させ静止状態のパン片に押し当てられることにより、4辺の耳部を互いに分離した状態で同時に切断する請求項1又は2に記載の耳落とし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−876(P2013−876A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275610(P2011−275610)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2011−135513(P2011−135513)の分割
【原出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【特許番号】特許第5080684号(P5080684)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(507295093)株式会社ミヤザワ (7)
【Fターム(参考)】